第3期地球観測推進部会(第4回) 議事録

1.日時

平成21年8月7日(金曜日)14時00分~15時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成22年度の我が国における地球観測の実施方針について
  2. 連携拠点の構築に向けた作業部会の設置について
  3. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、青木委員、井上委員、小池(俊)委員、高薮委員、寶委員、瀧澤委員、深澤委員、藤谷委員、堀川委員、本蔵委員、安岡委員、渡邉委員

文部科学省

森本大臣官房審議官、谷地球・環境科学技術推進室長、西山地球・環境科学技術推進室室長補佐、石川地球・環境科学技術推進室専門職

オブザーバー

原沢内閣府参事官

5.議事録

【小池(勲)部会長】
 それでは、時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会の第4回の会合を開催したいと思います。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 初めに、本日の出席者の確認をお願いいたします。

【谷室長】
 本日、大垣先生、沢田先生、杉本先生、中静先生、和気先生がご欠席でございます。13名の委員にご出席をいただいており、過半数に達しておりますので、部会は成立でございます。また、本部会は部会の運営規則により公開でございますので、よろしくお願いいたします。

【小池(勲)部会長】
 それでは、議事に入る前に事務局より資料の確認をお願いいたします。

【事務局】
 それでは、お手元にお配りしております議事次第に従いまして資料を確認させていただきます。
 資料1が平成22年度の我が国における地球観測の実施方針(案)でございます。資料2が地球観測の連携のための作業部会の設置について(案)ということで裏表の1枚紙となっております。
 以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 本日はお手元の議事次第にありますように、その他を入れて3件の議題を用意しております。終了時刻は一応、16時を予定しておりますけれども、早く終われば早く終わるということにいたしたいと思います。
 初めに、事務局のほうで人事異動がございました。森本審議官が新たに着任されましたので、一言ごあいさついただきたいと思います。お願いいたします。

【森本審議官】
 ただいまご紹介いただきました大臣官房審議官の森本でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 この地球観測推進部会は、私も以前出席させていただいたこともございます。おかげさまで宇宙、海洋、陸域含めまして統合的な地球観測のシステムが、徐々に進んできたのではないかと思っております。今年はCOP15もございますし、来年は第5回地球観測サミットもございます。我々としましては質の良いデータをきちんと取るということと、それが社会に還元されるようにデータの提供をして、気候変動の適応策、あるいは緩和策につなげていくような基盤ができるように努力していきたいと思っております。先生方の忌憚のないご意見をいただきまして、ぜひ統合的な地球観測システムが効率よく運用できるような、そういう体制を作っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、議事を始めたいと思います。議題の最初は平成22年度の我が国における地球観測の実施方針です。これまで本部会で進めてきました議論を基に事務局で案をまとめていただきましたので、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【谷室長】
 それでは、資料1に沿いましてご説明させていただきます。既に前回の部会でもご議論いただきましたし、その後、ご意見を踏まえまして7月28日付で、先生方に実施方針の最新の案をお届けいたしまして、それに対してのコメントをちょうだいいたしました。関係府省・機関にも並行して意見を聞いております。本日はその7月28日のバージョンから追加的に新しく入ったところを中心にご紹介をさせていただきたいと思っております。
 第1章でございますけれども、頭のところ、特に大きな変更はございません。字句の修正等の説明は割愛させていただきまして、大きな変更に絞ってご紹介させていただきます。
 第1節、気候変動のプロセス・メカニズム理解のための地球観測というところの中ほど「IPCCをはじめとする」というところ、「引き続き地球シミュレータ等の世界最高水準のスーパーコンピュータを最大限に活用し」の部分の文章を分かりやすく整理してございます。
 それから、次のパラグラフの頭の「本節では」というところの前に「これら不確実性の大きな原因は予測モデルにおける気候変動プロセス・メカニズムのインプットの不足であることは言うまでもない」という説明文を挿入させていただいております。
 5ページの炭素循環の解明のところに、2つほど大きな挿入部分がございます。一つは森林の最後の部分、「また」以下でございます。「また、農耕地における炭素貯留は、今後の地球温暖化対策として重要な役割を果たすことが期待されており、他の温室効果ガスを含めて、農耕地の条件とガス・物質動態のより正確な見積もりと評価が求められている」という説明文を挿入してございます。
 それから、次の「また」以下に新しく追加をしてございます。「また、生態系による吸収・放出量の寄与を明らかにするためには、陸域生態系の生産量分布と、その長期的な変化を捉える必要がある。そのため、地球環境変動観測ミッション・気候変動観測衛星(GCOM-C)シリーズによる全球規模の生産量把握と長期変動監視の早期開始、及び陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)シリーズによる詳細な地表面観測の継続により、地上観測網による精緻な実測と併せてこれを広域化するためのデータを取得することが必要である。現在、LバンドSARで世界の森林を広範囲にかつ高頻度に観測できる衛星は世界でも「だいち」しかない。Lバンドも含め、様々なセンサを組み合わせて、森林状況把握し二酸化炭素量を推定する取組において、我が国が国際的なリーダーシップを発揮し、推進することが期待される。さらに、時系列のデータ取得の重要性から「だいち」による観測を継続するALOS-2の開発の推進が必要である」という大きなパラグラフを追加してございます。
 続きまして、6ページの雲物理・降水過程の解明のところでございます。後半部分、「気候変動の予測制度向上のためにはこれらの全球規模での観測が必須であるが、現状は十分な観測が行われていない状態であり」、の次から新しい文章「GCOM-Cシリーズによる陸域も含めた全球規模のエアロゾル高精度観測、及び雲エアロゾル放射ミッション(EarthCARE)による雲の鉛直構造把握など」が入ってございます。それから、次のパラグラフは全く新しい一文でございます。「熱帯の降水過程の再現は、大気大循環のエネルギー源の正確な再現によって最重要であるため、全球気候の決定に大きな影響を持つが、現在の気候モデルにおいて不確実性の大きい問題として残されている。これを改善して気候モデル予測の不確実性を軽減するためには、熱帯降雨観測計画(TRMM)衛星の長所を生かして計画を発展させたGPM(Global Precipitation Measurement)計画などの衛星観測による立体的かつ観測頻度の高い降雨観測の開始が必要である」。
 次の対流圏大気変化の把握の後段の部分に少し新しいコメントが追加されてございます。「大気化学の観測では、大気組成の空間的・時間的変動の常時監視が重要で、そのためには、互いを補完する衛星観測と地上観測の並行実施が不可欠である。静止衛星によるアジア地域の広域的な大気汚染・大気変化の監視が必要とされているが、欧米も含めてまだ実現していない。実現のためには、静止衛星への搭載を目指した、大気環境観測センサの研究」――これは少し日本語が変ですね。「研究の促進が必要である。同時に粒子状物質のような空間的変動が大きい物質の観測に対応した地上観測点の整備も必要である」というところが新しいところでございます。
 続きまして7ページの海洋変動の把握の部分の最後の「加えて」というパラグラフが新しくなってございます。「加えて、海洋変動監視や大気・海洋相互作用の把握に必要な海面水温や海上風等の観測を、天候や海況によらず高頻度で行うことができる水循環変動観測衛星(GCOM-W)シリーズの観測を早期に開始し、上述の現場観測データとの比較検証により広域の高精度観測を実現することが必要である」というところでございます。
 引き続きまして、第2節の気候変動への適応のための地球観測でございます。これも読み上げで恐縮ですが、ご紹介をさせていただきますと、「適応計画策定の際には」というところからでございます。「気候予測に内在する不確実性への配慮が不可欠であるため、不確実性の定量化と予測信頼性の向上のため、生物・化学過程の導入や高解像度化などにより気候予測モデルを高度化するとともに、不確実性を把握し、さらには人口変化、経済発展など人間社会側の変化も考慮した上での計画策定に資するための情報基盤整備が必要である。具体的な管理・統合化技術としては、気候変動対策の基盤となる観測予測研究に関する総合的な研究拠点の整備、産学官がそれぞれ進める対策を統合化する技術や成果共有のための枠組みの構築、モニタリング技術に支えられた行動結果のフィードバックによる軌道修正や計画変更等の管理技術の構築、異なる分野のデータベースのインターオペラビリティの向上等が挙げられる。その他、今後急ぎ取り組むべき課題として、宇宙から海洋までつながった革新的地球観測技術が挙げられる」、この部分が新しく追加となってございます。
 次の「また」のパラグラフでは、「地域における住民の視点から」というのが追加のコメントとして入れてございます。これは国民参加ということで、地域における住民の視点ということを書き加えてございます。
 それから、9ページの水循環・風水害の分野での具体的な取り組みのところでございます。水災害の軽減に資する水循環・気候変動・気象の統合衛星観測というところで、「気象衛星観測の継続実施」というのが追加されたというのが1点。それから、「及びこれらと全球レベルの地球地図等による基盤的地理情報を関連づけた統合的利用」ということで、これは継続的な取り組みを引き続きしっかりやっていくという趣旨で追加、追記をしてございます。
 次の集中豪雨などの極端降水現象の監視と発現メカニズムの解明のところでございます。「極端現象の観測は、現在地上レーダ観測などが中心である」というもとの文章でしたが、そこに少し追加をして、「中心であり、今後も地上レーダによる観測網を広げていくとともに、高精度レーダ観測技術の開発や観測結果をもとにした高精度リアルタイム予測を進めていく必要がある」と改めてございます。また、そのパラグラフの最後のところでございますが、「メカニズムの解明が必要であり」の後、「メカニズムの解明に用いる数値モデルの入力として広範囲な観測データが不可欠である」と修正をしてございます。また、その柱の最後のところに「水災害は気象条件とともに、河川や周辺の表層地質・植生など条件にも大きく支配される。観測・調査に基づいたハザードマップの作成・周知なども自然災害の抑制には必須である」という文章をつけ加えてございます。
 次の総合的水資源管理システムの構築のところでございますが、これも従来の取り組みということを踏まえて、「現在、基礎となる土地利用情報として」という最後のパラグラフのところに「地球地図データが存在するが、今後、より詳細なデータ整備が期待される」と追記をしてございます。
 生態系・生物多様性のところでは、第1パラグラフの中ほど「生物多様性条約における目標達成状況の把握などにおいても、生態系・生物多様性」というのを新しく入れ、また、「必要となる可能性がある」という若干の字句の修正をしております。
 続いて、海洋酸性化のメカニズムの理解と生態系への影響評価のところは、これまで水産資源への影響評価と書いておりましたが、より広めにということで「生態系への影響評価」というふうに改めてございます。さらに、ここのパラグラフの最後に「地球環境変動に対する適応策の策定のために、速やかに海洋酸性化と低次生態系の構造と機能の変化に関する観測研究を開始し、生物多様性、水産資源、及び炭素循環を含む物質循環の影響評価に向けての取り組みを始める必要がある」と文章を追記してございます。
 第3節の分野横断的なデータの共有・統融合、11ページの一番下のところ、「なお」以下の文章を分かりやすく修正しております。「観測データから有用な情報を創出し、その情報を用いて政策決定を行うという一連のプロセスにおいては、それぞれのステップの間にモデルやデータ同化等を介して情報を変換している。そのため、同じ観測データを用いていても得られた情報の相違次第で解釈の違いが生じ、最終的に選択される政策が全く異なるものになってしまうことがあり得る。したがって、データを統合し、高次の情報を創成していく過程では、利用するモデルのパフォーマンスに加えて、地球観測等で得られる多種・多様なデータの統融合結果の整合性を検証し、「現象解明・影響予測・抑制適応」に係る情報・施策の妥当性を評価する留意する必要がある」。
 続きまして、第2章の地球観測の基本戦略に基づく地球観測等事業の推進のところでございます。第1節の利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築のうちの中ほど、「また、地球観測には、変化を迅速に把握するため、高精度のみならず高頻度の観測が必要である。これを全球規模で実現するためには複数の衛星が必要であり、また、多様な観測ニーズに応えるとともに全体の事業コストを抑えるためには衛星の小型化等を図る必要がある」という一文を新しく入れてございます。
 第2節の地球観測システムの統合化における我が国の独自性の確保とリーダーシップの発揮の中、「我が国はG8メンバー国として、GEOSSに関係する取組の推進をはじめ、GEOSSにおいて宇宙に関連する部分の構築を担っている地球観測衛星委員会(CEOS)の活動を推進する等、関連する国際機関・計画における地球観測に関する取組をより一層加速し、推進することが求められる」と言う部分を追記してございます。 それから、「また」以下も新しい追記の文章でございます。「また、GEOSS構築にかかわる早期取組として、米欧の気候・気象観測の中核的計画であるNPOESS及びMETOP計画と、我が国の長期観測計画であるGCOMシリーズとの協力等が進められているが、このような連携を一層強化し、より効率的・相補的な全球観測網の構築に率先して参画することで、主体的な国際貢献を果たすことができる」。
 最後の第3章の分野別推進戦略に基づく地球観測事業の推進の部分では、地震・津波・火山分野の取り組みのところで、「また、観測研究の縮小が危惧される火山観測・監視体制についても、その強化が必要である」という一文をつけ加えてございます。
 以上が前回からの大きな変更点でございます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。
 実施方針は、今日ご議論いただいて、確定させていただきたいと思います。各委員、あるいは各省からこれまでにもいろいろとメール等でコメントいただきまして、それが網羅されていると思いますけれども、何かコメントがございましたらお願いいたします。ほとんどの意見は取り入れていただいていると思いますけれども、何か抜けているところがありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
 今ご説明いただきましたけれども、かなり膨大なものになっておりますので、どういたしましょうか。今後の手順ですけれども、8月27日に研究計画・評価分科会があります。今の予定ですと、そこでこれを報告ということになります。それと、9月に科学技術・学術審議会の総会がありますので、そこでも報告ということになります。一応、今日これでお認めいただいて、もし字句とかその他でどうしても変えていただきたいというところがあれば、1週間ぐらいは受け付けるということにいたしましょうか。どういたしますか。

【谷室長】
 では、念のためご確認をいただいて、もしございましたら事務局のほうにいただきたいと思います。もしよろしければ部会長一任ということで。

【小池(勲)部会長】
 修正に関しては私にご一任いただきたいということで、1週間ぐらいのプラスアルファの時間を取り、今日は一応、これでお認めいただきたいと思いますけれども、よろしいですか。どうぞ。

【深澤委員】
 細かい語句というよりも、言葉の使い方などの修正というのはいつごろなされますか。何かこちらから意見を差し上げたほうがよろしいんですか。

【谷室長】
 今日このバージョンで、もし気になる点がございましたら、1週間以内ぐらいの間にいただければ修正を部会長とさせていただきます。

【深澤委員】
 はい。承知しました。

【小池(勲)部会長】
 たくさんありますか。

【深澤委員】
 いや、僕がちょっと気になったのが2点ほどあったものですから。

【小池(勲)部会長】
 一応、「てにをは」的なこともある程度は見てありますけれども、ございましたらお願いいたします。

【深澤委員】
 じゃあ、今のうちに。4ページ目の炭素循環の解明、全体的に非常に網羅的になっていいと思うのですけれども、その「炭素循環を正確に予測する」でいいですか。
 1つは、もしも予測だったら炭素循環の変動を予測するべきですし、それから、正確に知るという意味でしたら「炭素循環を知る」でいいのですけれども、そのどちらの方向をやるのかなというのはちょっと気になったもので、つまり、炭素循環の予測を22年度、どこまで進められるのかなというのが、まあ、その後は必要だと書いてあるから、あまり気にしなくていいのかもしれませんけれども、そこが1つ目です。
 それからもう一つのところは、10ページ目です。2の生態系・生物多様性の温暖化に伴うというところですけれども、「温暖化に伴う生態系・生物多様性の変化とその適応策の監視」でいいですか。生物多様性の変化とその適応策の監視というのが少しピンと来なかったものですから、これはどんな感じなのかなと。適応策の確立とか、そういう意味ですか。

【事務局】
 この部分は生態系・生物多様性の変化のモニタリングに加えて、その結果として講じる様々な適応策がどれだけ有効かといった、適応策自体のモニタリングも重要であろうという意味で、このような表題にさせていただいております。

【深澤委員】
 わかりました。ただ、適応策の監視というのがピンと来ないものですから。

【小池(勲)部会長】
 おそらく監視とモニタリングというとちょっと雰囲気が違いますよね。監視というと、日本語だと強いような感じがしますけれども、まあ、そこはご検討ください。
 先ほどの4ページの最後のところは、これは炭素循環を正確に解明するんですか、知るのですか。知るのと、それの予測がありますよね。ほんとうは両方入ったほうがいいと思いますけれども。

【深澤委員】
 気候変動を予測する上で、それを評価するのだとすると、炭素循環の変動が正確に予測できていないと困るだろうという書き方なのか、それとも気候変動を予測して、それを評価する上で炭素循環の今を知っておくことが必要なのか、それの2つの考え方があるのでどちらでもいいのですけれども、もしも前のほうだとしたら、炭素循環変動と入れたほうがいい。そこに変動を加えたほうがよりはっきりするとは思ったのですね。

【事務局】
 5ページ目の1パラの最後の文章ですけれども、「こうしたことから炭素循環の一層の理解」と書いてございます。そういう意味では、ここでの意図は炭素循環をよりよく知るといったことですので、そのように修文させていただきたいと思います。

【深澤委員】
 ありがとうございます。

【小池(勲)部会長】
 ほかにすぐ気がつくようなところがあったら、今ご発言いただいて、――どうぞ。

【安岡委員】
 細かいことですけれども、14ページのちょうど真ん中あたり、先ほど修正したと言われたところなのですけれども、「さらに、衛星を活用した地球観測技術は地球科学とリモートセンシングそして技術の融合であり」という、ここの意味合いがちょっとよくわからないのですが。

【事務局】
 ここは前回お示しした素案の段階だと、「地球科学と電波科学、そして技術の融合であり」と書いていたのですけれども、電波科学というのがわかりにくいというのがあって、リモートセンシングにしたらどうかというのもあったのですけれども、それでまたちょっとわかりにくい文章になってしまったかもしれません。

【安岡委員】
 なるほど。

【事務局】
 ここの書きぶりについても検討いたします。

【小池(勲)部会長】
 「そして技術の融合であり」というところがちょっとはっきりしない書き方ですね。
 ほかによろしいでしょうか。それでは、この後の修正は部会長にご一任いただくということで、1週間ぐらいでもしございましたら事務局までお願いいたします。それでは、これに関しては原則お認めいただいたということにしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。次は、資料にございます連携拠点の構築に向けた作業部会の設置についてです。これまでも本部会で議論してきましたように、水分野と生態系・生物多様性の分野に関しては関係府省・機関の連携のための拠点があったほうがいいのではないかということが議論されてまいりました。そこで、この部会の下に連携拠点の構築に向けて検討を進めるための作業部会というものを設置したいと考えております。
 初めに事務局からご説明をお願いいたします。

【谷室長】
 それでは、資料2に基づきましてご説明させていただきます。地球観測連携拠点検討のための作業部会の設置について(案)でございます。
 趣旨でございますが、まず、総合科学技術会議の地球観測の推進戦略に、分野ごとに関係府省・機関間のより緊密な連携を図るための機能を有する推進体制を整備することが必要だとされてございます。現在、地球温暖化分野、また、地震と火山分野につきましては、それぞれ連携拠点が設置をされ、関係府省・機関間の連携が推進されております。しかしながら、それ以外の分野につきましては、連携体制の整備について遅れているという状況にございます。現在、気候変動というのが非常に大きな政策的課題になっているわけでございますけれども、水の分野、それから、生態系・生物多様性の分野は、この気候変動の影響を非常に大きく受けるということが予想されてございます。
 したがいまして、こういった大きな政策的課題にもきちんと応えていくという意味で、関係府省・機関間の連携のもとで、水の分野、それから、生態系・生物多様性の分野における観測を推進していくということが求められているのではないかと現状認識してございます。したがいまして、水分野と生態系・生物多様性分野の2つの分野におきまして国内外の観測ニーズ、それから、進捗状況等の情報を集約して関係府省・関係機関間の連携を促進するための拠点のあり方をどのように置けばよいか、両分野の地球観測連携拠点の設置に向けての検討をするための作業部会を設置してはどうかということを事務局のほうから提案をさせていただきたいと思っております。
 設置をする作業部会は2つございます。当部会の運営規則の第2条第1項に作業部会の設置の条項に基づきまして2つの作業部会の設置を考えてございます。地球観測連携拠点(水分野)検討作業部会。それから、地球観測連携拠点(生態系・生物多様性分野)検討作業部会でございます。それぞれ連携拠点のあり方についての検討ということを調査事項とさせていただければと思っております。
 それから、やや形式的でございますけれども、設置の期間は、当委員会の委員の先生方の任期となっている平成23年1月31日までとするとしてございます。また、その他として、作業部会の庶務は地球・環境科学技術推進室で行いますということを書いてございます。
 資料2の説明は以上でございますけれども、検討のタイムフレーム、どのくらいのタイミングで結論を出すかということを補足的にご説明させていただきます。まず、連携拠点の設置の前提条件となります連携拠点の必要性でありますとか、メリット等について整理をする必要があるであろうと考えております。また、それぞれの連携拠点の設置に向けて関係府省・機関の取り組みの状況なども整理をする必要があろうかと思っております。そういったものを踏まえまして連携拠点を作るべしという方向であれば、その連携拠点のあり方は具体的にどういうのがあるべきかというご議論をいただくということでございます。半年から長くても1年程度で結論を出すということで考えてございます。
 資料2につきまして、以上でございます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。
 ただいま事務局からご説明がありましたように、2つの分野に関して、連携拠点を作ることに関して、できたら前向きの方向でご議論いただきたいという趣旨で作業部会を作るということです。先ほど話がありましたように、一応、23年の1月までとなっていますけれども、これはこの部会の委員の任期だそうですね。2年もかけてやるわけにはいかないので、半年から1年以内の間には結論を出していただきたいということでございます。これに関してご意見、ご質問をお願いいたします。
 どうぞ。

【本藏委員】
 ただいまの趣旨説明についてはよくわかったのですが、この2つの分野の連携拠点は作るべし、設置すべしというニュアンスで話が進んでいると思うんですね。この拠点のあり方について検討というのは、1年もかけてあり方を検討して、それからさらに今度は拠点の設置に向けてまた検討するというニュアンスに聞こえるのですけれども、ここはもう最初から設置に向けた検討として強力に進めたほうがいいのではないかと思うのですけれども、それは難しいという判断があるのでしょうか。

【谷室長】
 率直に申し上げますと、連携拠点について必要である、連携拠点を設置して観測を推進していく、ということが求められているというのは、推進戦略の位置づけでもありますし、そういうご意見はいろいろな局面でちょうだいをいたします。ただ、これまで設置されていなかったというのも、これもまた事実でありまして、連携拠点の設置というのが必ずしも容易ではなく、ある程度の事柄の整理というようなことが必要かと思っております。
 私自身の問題意識といたしましては、連携というのは手段でありますので、何か必要性なり課題があって、そのために連携するわけであります。
 連携するプレイヤーはたくさんいらっしゃるわけですけれども、必ずしもその個々のプレイヤーに対するメリット、必要性がきちんと共有されていないというところが、連携拠点がこれまでに設置されていない最大のハードル、障害になっていると思っておりまして、そういう意味では必要性、メリットをきちんと共有をする場というのを作るというのが連携拠点の設置に向けての大きなきっかけになるのではないかと考え、今回、作業部会の設置ということで提案をさせていただいたという次第でございます。

【本藏委員】
 ちょっとまどろっこしいな。

【寶委員】
 基本的には今、本藏先生がおっしゃったように早くやってもいいのではないかなという気もするんですね。
 今日の議題では、検討作業部会を作っていきますのでよろしくというのだったら、このぐらいの説明で結構なのですけれども、もう少し連携拠点を作りましょうという方向で決めていく場合には、既存のものがどうなっていて、どういう問題点があって、どういうデメリットがあってとか、その辺がわかりませんと議論できません。
 この分野は当然重要だと思います。災害の分野も重要かなと思うのですけれども、水分野の中で水災害系は取り扱われるのだろうと思います。したがいまして、今、口頭で簡単にもう少しご説明していただけるのなら、既存の2つの連携拠点について、どこに設置されていて、どれぐらいのメンバーでどういうことをやっているかということがわかるとありがたいと思います。

【小池(勲)部会長】
 本部会にはその両方の関係者の方がいらっしゃいますので、いかがでしょうか。藤谷委員、温暖化の連携拠点。少し簡単にご説明いただけますか。

【藤谷委員】
 これまでにもこの部会で何度かご説明させていただきました。パンフレットもございますので、寶先生には直接お送りいたします。今お聞きしていまして確かに本藏先生が言われますように、設置するのだからそれでいいじゃないかというお話もございますが、私自身、初めて設置された地球温暖化に関する連携拠点を担当させていただいて感じたことでございますが、そのころは先例もなくて、非常に混沌としたものでございました。今いろいろと設置のときの資料を見直してみますと、この機会にやはりもう少しいろいろと見直して議論すればいいかなということもございます。そういう意味で、この際、作業部会を設置して、そもそも論のところも少し議論されるほうが、良いような気が致します。
 例えば、地震、火山分野は地震調査研究推進本部の中に連携拠点がございまして、それなりにきちんとした行政的な裏づけがございます。一方、我々がやっています地球温暖化分野の連携拠点というのは、その位置づけがもはっきりしていない部分がございます。それで日常のいろいろな業務の実施に際しましても非常に難しいところがございます。行政的にきちっと位置づけされているわけでもないし、NPOでもないし、じゃあ、何なのだというところがありまして、日々の書類の決裁のところから非常に疑問を呈されるところも実はございます。そういう意味で、もう一度議論をされるほうがいいのではないかというのが個人的な印象であります。
 我々の行っております地球温暖化の連携拠点は、GEOの話の流れの中で、地球観測に関するモメンタムが非常に大きかったので、環境省と気象庁で合意して、この部会でお認めいただくということで具体的に発足したわけでございます。設置以来、いろいろなことをやってまいりました。推進された部分、それから、なかなか進まない部分とかいろいろございますので、一度立ちどまって議論するのはやはり有効ではないかという気がいたします。

【本藏委員】
 私が先ほど申し上げたのは理由がありまして、今言われたようないろいろな難しい、組織的にも難しい面があるというのは重々承知していますけれども、こういうものはやはりある目標が決まったら、それに向かって困難があっても進めていくという姿勢を示さないと、検討、検討、検討でいつまでも検討。難しいものにぶち当たると、これは無理ですねという話になりかねないんですね。私どももそれはものすごく経験してきたところなわけです。ある意味では、この推進部会はCSTPから受けて、地球観測の一種の司令塔みたいなものですよね。せっかくそういうものがあるのだったら、そのもとでやはり必要なものは不完全でもいいから作り、それを進めながらさらに考えていくというほうがいいと思うんですね。
 何か一生懸命考えて、初めから立派なものをイメージして、それをするにはどうしたらいいのか検討するといったら、多分、挫折すると思うんですよ。だから、そうではなくて、必要なのだということをこの推進部会でうたって、作っていくプロセスを始めると。それでできなければ、それはしようがないと思うんですね。そういう意味で私は申し上げたのであって、難しいのはわかるのですが、このあり方について検討を1年もかけてやるんですかというのはちょっといかがなものかなと。地震の分野は、この部会では連携拠点をつくるということでありましたが、実際には既にできていたわけで、それをこの部会用に少し書きかえたというだけの話です。
 地震、火山の分野は長い歴史があって、ご承知のとおり神戸の地震のときに組織としても壊滅的な打撃を受けたんですね。それまでの体制は一体何だったのだという非常に大きな批判を受けて、それで国全体として考え直す。大きな方針転換を行ったわけで、その中で、じゃあ、オールジャパン体制はどうあるべきなのかということをずっと考えてきて、10年たったわけですね、いろいろな組織を整理するのに。今は非常に確立していて、我々は世界的にも非常に誇るべき組織になっていると思います。データ流通は完全にフリーで、今や研究目的が非常に強いものについても、ある期間置いたらフリーですよという、そういう意識も醸成されてきていて、もう当たり前の世界になっているわけですね、データ流通が。それから、いろいろ連携しながらやりましょうという話も当たり前の組織になっているわけです。
 組織として地震調査研究推進本部というのが文科省にあるので、そういうやりやすい組織になっているわけですけれども、その中では、今、各省庁の概算要求についても全部ヒアリングをやっていまして、今年から評価も入れてヒアリングを2回ほどやっております。8月の末に本部会議で承認いただくという形で進めているわけで、そういう強固な組織があるので、地球観測という位置づけでの地震・火山・津波のものについては、そのままそれを適用すればいいということになっていますけれども、作るには10年ぐらいはかかっているんですね、実際には。
 だから、それをさっき1年でというのは、言い過ぎではあるのですが、私の言いたかったことはそうではなくて、やはり必要なものは作るという方針を出して、その中で、各省庁いろいろな機関の方がありますので、いろいろな問題があるというのは重々承知しています。しかし、そこは不完全でも設置に向けて動き出して、その連携を進める方向性を出す。私の印象では、それで一たん動き出すと、いろいろなところが協力というか、参加してくると思いますね。最初はいろいろな問題があって難しいという話があったとしても、そこは何とかクリアして連携拠点のようなものができて、それで観測体制が強固になっていくということが見えてくれば、やはりその方向に向かうべきだろうし、その温暖化のものについては、そういうご苦労があるのはわかっていますけれども、でも、今は機能していると思うんですね。
 完璧であるかどうかは私にはわかりませんが、いつも報告されていますし、機能していると思うんですね。だから、そういう形、むしろ、地震・火山というよりは、温暖化のほうがモデルケースになると思うので、そちらを参考にしながら、設置する方向に今から進めていただいたほうがいいのではないかというのが私が先ほど申し上げた趣旨です。

【藤谷委員】
 私の先ほどの発言、必ずしも否定的な話ではなくて、もちろんCSTPの評価にも連携拠点は必要だということも書かれています。必要なのはわかっているのですが、少し立ちどまって検討するのも必要ではないかなと、そういう意味で申し上げました。

【寶委員】
 私、GEOのタスクフォースに入っていて災害分野、これはSBA――Societal Benefit Areasの一つなのですけれども、そこの事務局から今日の未明にメールが入りました。そこでは、地球観測のプライオリティーですとかプランを収集して、今、レポートを作ろうとしているわけです。けれども、日本の災害分野のプライオリティーというか、プランはどうなっているのかということで文献を当たると、1997年のドキュメントはあるけれども、それ以後はどうなっているのかと聞いてきたんですよ。今日、先ほど議題1で認めたような文書も、いつ英文化されるのかまた後で聞こうと思っていたのですけれども、例えばこういう連携拠点がそういう国際的なミッションに対するレスポンスも国の代表としてするとか、そういうファンクションも要ると思うんですね。
 今、個人的に聞いていて、私の知っている範囲で、例えばこれは本藏先生にどういうドキュメントがあるのかとお聞きしようと思っているのですが、英文のドキュメントがちゃんと出ていて、それが日本の公式な見解として、これとこれとこれをやろうとしている、あるいはこれをやっているということで伝えないといけない。今、個人的にメンバーになっていて、日本から推薦されてなっているわけではないので、そういう連携拠点ができれば、そこにこのポストをやっていただいて、我が国としての対応をしていただくということは大事だと思うのです。先ほど本藏先生が世界的にちゃんと機能しているとおっしゃって、データ収集はしているということなのですけれども、こういったマネジメントのところも連携拠点が担うというような形でやっていただけたらなと思っています。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございます。
 連携拠点というのは、もともと地球観測がおそらく1つの省庁だけではなかなかできない。幾つかの省庁がまたがってやるということで、それの意思統合を図るための組織ということで、いろいろな組織が多分あり得ると思います。ただ、そういうものが必要だということは、今のお話にもありましたように、国内のものをまとめ、それから、それを世界に向けて発信していく、間をつなぐものというのはぜひこの連携拠点の、今は難しいかもしれないですけれども、将来的には非常に大きな役割になってくる。おそらくこれは初めに何か作っておいて、それがだんだん進化していくものだと思うんですね。ですから、初めからなかなか完全なものはとてもできないというのはそのとおりだと思うのですけれども、いかがでしょうか。これ、やはり作るという方向で検討をお願いしますというふうにしたほうが、この部会の意思ははっきり伝わるのではないかと思いますけれども。

【谷室長】
 事前に部会長とご相談したときに半年と言っていたのですけれども、さっき一瞬ふと考えて1年というのをつけ加えてしまって、随分長く時間をかけて検討するなという、そういう印象をちょっと与えてしまったかもしれません。基本的にはあり方というのは、最終的には、具体的にどういう形がいいでしょうかということですので、基本的には拠点を設置するというのが前提の考え方ということでございます。
 決してゆっくりやるとか、何かやっているふうに見せるということではなくて、具体的な中身の議論をしていただくための具体的なアクションとして作業部会を設置するということを考えておりますので、そういう意味では、先ほど若干申し上げましたけれども、いろいろな事柄の整理も含めて必要性、メリットということも見せ、具体的な姿としてどういうふうにしていけるのかというのを関係者の合意形成もしつつ、拠点の設置を目指したいと考えてございます。

【小池(勲)部会長】
 拠点、どういう形になるかは別にして、全体をつなぐものを作っていくという方向で議論していただくということだと思います。

【井上委員】
 この検討委員会は、どういうふうな方々で作られるわけですか。つまり、府省間の調整といいますか、行政の方々の意思というのもある程度反映しないと作れませんでしょうし、そうかといってそういう行政だけのものでなくて、研究とか観測をやっている人とか、そういう研究者サイドのリードというか、そういうのも必要でしょうし、おそらく温暖化の拠点を作るときにも双方で話し合った記憶が私はあるのですけれども、少なくとも行政の方々がないと空虚な、実現不可能な、やりましょうというだけの話になってしまうという気もするのですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。

【谷室長】
 まず、作業部会につきましては、メンバーになっていただく先生方は当観測部会の先生方を中心に有識者の先生方で構成をさせていただくというふうに考えております。ただ、先生ご指摘のように、連携拠点を作るということについて、その具体のあり方について関係省庁の合意がきちっと必要であろうと考えますので、そこは従来の観測部会同様、オブザーバという形ですけれども、関係各省庁から来ていただいているような形になっております。ですから、通常の議論のところはオブザーバという形であろうかと思いますが、そのコミットメントのところにつきましては、具体的に各関係省庁からの意見も聞いていただいて、最終的な結論のところに持っていきたいと考えております。

【小池(勲)部会長】
 よろしいですか。

【井上委員】
 事務局は文科省のほうでやられて、各府省間の調整をやられるという、そういう感じですか。

【谷室長】
 はい。そのように考えております。

【井上委員】
 わかりました。

【小池(勲)部会長】
 ほかに何かこれに関してございますか。どうぞ。

【深澤委員】
 このもともと連携拠点の考え方というのは、地球観測サミットがあって、その中でGEOSSが出てきて、その9つのSBAがある。そのSBAに貢献するような、特に国が推進しなければならないものについては連携拠点を作ろうという形であったと思うのですけれども、その認識は間違っていませんね。

【谷室長】
 はい。

【深澤委員】
 今、私、GEOSSのモニタリングと評価の委員をやっているのですけれども、最終的にはそれぞれのSBAと、あと横断分野のほうを全部評価することになるわけです。そういう点から見てくると、例えばSBAそれぞれに日本としてどういう対応をするのか、あるいはそのもとで各省庁をまたがって、あるいは大学をまたがったような、そういう活動をどう調整するのか。あるいはどうその情報を集めるのかという形が、多分、必要になってくるのだと思うのですね。その中で連携拠点がすごく大事になってくるのだと思うのです。
 だから、9つ作れというわけではないのですけれども、今の連携拠点ができて何年かたっているわけで、その連携拠点がどういう働きをしてきたかというレビューをしなくてはいけないと思うのです。それは各人がなさるのだと思いますが、各連携拠点が例えばSBAにどういうぐあいに関係しているのか、どれがSBAに入っていないのかとか、そういう点が各連携拠点から示されていると、この後どういう連携拠点が日本は必要になるのかという形が見えてくるような気がするし、また、その連携拠点のあり方というのについても1つの方向性が出てくるのではないかという気がするのですが、そのあたりは今の連携拠点をなさっている先生方はどうお考えになりますか。

【谷室長】
 少し補足をさせていただいてよろしいでしょうか。GEOSSとの関係では、地球観測の国際的な推進といいますか、機運の盛り上がりという中で、この連携拠点の話もその大きな流れの中にあるということについてはおそらく間違いがないと思います。ただ、連携拠点の活動がGEOSSの活動の一部に位置づけられるということでは必ずしもないと理解しておりまして、具体的な連携拠点を通じたいろいろなアウトプットがGEOSSの具体的なコンポーネントになっていくというようなことであろうと理解をしております。
 そういう意味では、連携拠点での取り組みがいろいろな形で、今まさにGEOSSのコンポーネントになってきているということだと思いますので、今後も新しい連携拠点が作られて、連携をしていく中で出てくるアウトプットというのはいろいろなものが考えられると思います。
 それはGEOSSのコンポーネントになっていくものもあるかと思いますし、個別のSBA、どれにというよりは、いろいろな分野に、分野横断したような取り組みというのも出てくると思いますのす。まさに連携拠点というのは、そういうところをねらっているところもあると思います。ですから、そういう意味では、問題意識としてはもう少し広いといいますか、そういう構えで考えてやっていかないといけないかとは思っておりました。補足させていただきました。

【藤谷委員】
 今、深澤先生が言われたのは非常に重要でございまして、もともとこの推進戦略を作ったのは、GEOの動きがあったときに日本国内の地球観測に関する戦略がないということに対応するためでした。一方、GEO対応のほうは、ご存じのように文科省の中に国際対応部会ができまして、丹保先生が委員長で対応を行ったわけです。この委員会もなくなってしまったわけです。我々としては、まず国内の対応がある。さらに、GEOの対応があるということで、業務を行っております。例えば我々がやっておりますワーキンググループの報告書なども、そのサマリーは英語版を作ってGEOの会合へ持っていって配るとか、あるいはGEOSS APシンポジウムのサポートをするということをやってございます。今、室長が言われたように、そのあたり、もともとの連携拠点というのは国内向けの推進戦略から来たわけでございますし、それをGEOとどう位置づけるかというのも、今回、やはり議論すべき課題の1つだとは思います。

【本藏委員】
 地震分野も全く同様で、もともとはGEO、あるいは推進戦略にのっとって作ったものです。作ったというか、今あるものを位置づけたということなのであります。GEOSSの関係では、この前、小池俊雄先生からも言われて、地震分野、ちゃんと体制はしていてデータハンドリングをちゃんとやっているにもかかわらず宣伝が足りないとご指導いただいた点がございまして反省はしておりますけれども、ほかの私たち、日本だけではなくて世界も、地震分野というのはもうかなり古くから全世界とも連携が進んでいますので、改めてGEOSSということではなくて、もう進んでいたわけですね。
 ですから、全体としてはGEOSSの中での活動はちょっと弱く見えるんですね。それは我が国だけではなくて。それをどう整理するかというのは、前回言われて、私も宿題として頭には残っているのですけれども、地震の分野はそういう位置づけになっています。ですから、ほかの全体の、GEOSSの中で全体をどう取りまとめていくかというところについても、地震の分野はほかと少し違う面があるかなとは思っていますけれども。

【深澤委員】
 わかりました。どうもありがとうございました。

【小池(勲)部会長】
 今、2つ、既にある連携拠点の話をいただきましたけれども、温暖化と地震、火山のほうはもともとかなり起源が違う形でできていて、今言ったような形になっていますけれども、先ほど出ましたように、今回お願いしたい連携拠点というのは、多分、温暖化のような形で多分スタートする。温暖化は比較的フォーマルにスタートしたわけですね。環境省と気象庁が連携してやるという格好でスタートしたわけですけれども、お互いに予算を出し合ってちゃんとやるという形でスタートしていただきました。おそらく室長が心配されているのは、そうなるのもなかなか大変だろうなというので、半年とか、1年とか、だんだん話が少し長くなってしまったかと思うのです。けれども、どういう形でフォーマルにやるかというのは、多分、それぞれのケース・バイ・ケースによると思います。
 ですから、おそらく連携拠点というのは、ほんとうはしっかりした塊を持つのが望ましいのですけれども、お互いにそういう議論がきちんと継続的にできるような場を作るだけでも、私はスタートとすれば非常にいいのではないかとは思います。あまり最初からしっかりしたものを作ろうという意気込みだと、多分、なかなかバリアがあると思いますので、その辺は少しフレキシブルに考えていただきたいとは思います。
 ほかにこの件でいかがでしょうか。小池俊雄委員は水のほうですけれども、室長はなかなか水のバリアは高そうだと考えておられますが。

【小池(俊)委員】
 高いと思います。ただ、小池部会長からもありましたように、メンバーがメリットを感じるものが出てくると進むわけです。予算を出し合って事務局を作るというものではなくても、地球観測の枠組みでそれをシェアすることによって、それぞれの省庁・機関の持っているミッションがうまく回っていくということを感じられるようなことがあればいいわけで、そういう検討をまずは始めるといいのではないでしょうか。組織を作るというよりも、どうやってメリットを見出すかというような検討を始めていくと、わりと進むのではないか。科学技術が、地球観測の推進戦略ができた2004年の12月よりはかなり進んできましたので、やや実となるものがシェアできるような状況に近づいてきているように思いますので、私は高いけれども何とかなるのかなとも思っております。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございます。
 どうぞ。

【深澤委員】
 今の小池委員の話には、全部賛成というわけではないのですけれども、かなり正しい部分があって、ただ、それと同時に、この連携拠点を考えるときに非常に重要な部分は、その連携拠点が連携拠点としてのTORをきちんと実施するために、適切なコンセプトとかサイズというのがあると思うのですね。別にGEOと直接結びつけろと言っているわけではなくて、例えば災害というものを作ったとしますね。そうすると、本藏先生のところから小池先生のところ、みんな入ってしまうわけですよ。当然、気象庁さんも入るし。ただ、そういう形ももちろんあり得るのですけれども、例えば地震などがうまくいくのは、地震で固まっているからという部分があるのですね。

【本藏委員】
 そのとおりです。

【深澤委員】
 ですから、どこまでのサイズを考えるかというのはかなり重要な部分で、今、小池先生がおっしゃっているハードルの高さというのは、水というのはすごく広くて、水管理、水災害、それから、この間も申し上げましたけれども、気候変動そのものは大気ならば水の移動そのものですから、そうすると気候にも入る、温暖化にも入ってくるということで、プレイヤーがいろいろなところに位置する形になるわけですね。そのまとまりとしての連携拠点が何をするところになるかというのは、あらかじめかなり議論しておかないと、先ほど小池委員のおっしゃったメリットというものが、多分、見えなくなってくるのかなという、そこが少し心配なんですね。
 それで、切り方の、横断の切り口としてどこまでを含めるかという議論は、多分、この作業部会でやる。おっしゃるとおり、1年かけるというのは余りにも長過ぎると思いますけれども、少なくともかなり密に議論しておいたほうがいいかなという気がする次第です。

【本藏委員】
 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、水の分野、相当広いと思うんですね。いろいろ多岐にわたっていて、考え方もかなり違うと思うのですけれども、ですが、この地球観測という観点からしたときに何がコアかというのはあるのではないかと思うんですね、その中で。そこの部分をやっぱりあんまり最初から広げないで、作って、そこから徐々に広げていくというのが私は現実的ではないかなと思うんです。コアの部分がどれなのかというところを定めたらどうかなと思いますが。

【深澤委員】
 それは本藏先生のおっしゃるとおりで、まさにポイントだと思いますね。最初から広げないでコアになる。つまり、かなり初めはカチッとしたものを作って広げていくというほうが、例えば地震(防災)もそういう行き方が多分できると思うので、それが一番いい。最初から広いコンセプトで始めると、逆に広過ぎるために漏れてしまうところが出てくる。それが一番怖いですね。

【小池(勲)部会長】
 今、水のほうに関してはいろいろご議論いただきましたけれども、安岡委員、生態系のほうは何か成算はございますでしょうか。

【安岡委員】
 生態系・生物多様性という分野も非常に範囲が広くて、例えば生物多様性条約ができて、各国をまとめるときに一番問題になったのは、遺伝子の産業利用みたいな話のときです。例えば遺伝子をどう取り込むかというようなことも、ここの議論のスコープに入るとすると、この連携拠点は相当しんどい話になるだろうという気はします。生態系と、生物の多様性、やや学問的な領域であれば、それなりにまとまることはできるかもしれない。霞が関の省庁もある程度限られますから。ただ、やはり検討しなければいけないことはたくさんあるだろうという気がします。
 ただ、先ほど来議論がありますけれども、連携拠点は非常に重要です。文科省も、それから、全ての省庁が問題解決というのをキーワードに挙げて、ある種のパラダイムシフトを図ろうとしています。その問題解決というのは今までの下からの省庁のボトムアップとか、従来の学問分野のボトムアップではなくて、上の問題を解決するためにみんなが協力するという話ですから、やっぱり連携というのは必須なんですね。そういう意味では長い目で見ると連携拠点というのは絶対要るだろうと思います。少し時間をかけて説得しながら進むしかないかなという気はしています。努力はしたいと思います。決して水より簡単だとは思っておりません。

【小池(勲)部会長】
 今日は、こういう作業部会を作るということをこの部会でご承認いただきたいということですけれども、今までの議論で連携拠点というのは非常に大事なものであるということと、この2つの分野というのはやはりそれを作る意義は十分あるということを部会とすると考えているということで、できたら半年、あるいは長くても1年以内に何らかの形でこの部会に対して、報告していただきたいということですね。では、この部会としては承認していただくということにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。これのメンバーはどうなるんでしょう。

【谷室長】
 作業部会のメンバーにつきましては、部会の運営規則にのっとりまして部会長の指名ということでお願いしたいと思っております。具体的には部会長と相談をさせていただきたいと思いますので、後ほどメンバーになっていただく先生方には改めて後日連絡を事務局のほうから差し上げるというふうにいたしたいと思います。

【小池(勲)部会長】
 よろしくお願いしたいと思います。それで、先ほどからありましたように、例えば水にしろ、生態系にしろ、データを使う側と、それから各省庁のほうとの両方が、多分、作業部会に入っていただかないとなかなか話が進みませんので、ぜひそういう形で少しメンバーの検討をさせていただきたいと思います。
 それでは、2つ議題が終わりましたけれども、その他は何かございますか。

【谷室長】
 作業部会の件につきましては、ありがとうございました。作業部会の設置をするという議題のもとでこれだけ議論が進みましたので、作業部会ができたらもっと進むだろうというふうに期待をしております。事務局としてもしっかりやらせていただきたいと思っております。
 事務的な連絡でございますが、本日、実施方針について大まかにお認めいただきまして、若干の字句の修正等ございましたら、ご連絡をいただくということになります。精力的なご議論を大変ありがとうございました。
 次回の観測部会の開催でございますけれども、まだ特に直近では、予定をしておりません。改めてまた日程調整をさせていただきたいと思いますので、連絡を差し上げます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。

【寶委員】
 先ほど申しましたけれども、地球観測の推進に関する英語のドキュメント、最新版としてはいつごろのものがあるのかということを教えていただきたい。今でなくても結構ですけれども、そういうタスクフォースが災害分野だけではなくて、ほかのSBAでも要請が来ているかと思うのですけれども、我々がレスポンスするときに参照できるような英語の文章ですね。今日の文章はアップされるのは次の上の委員会ですか。その後、こういう文章は英文化したりはしないのですね、基本的には。

【谷室長】
 実施方針は毎年まとめているもので、特に国内の関係者を念頭に置いて作っておりますので、英文化は考えてございません。従来もやっていないと思いますし、今回も考えておりません。

【寶委員】
 今日の内容を我々なりに、そのタスクフォースのメンバーとして関係する部分について、報告していいのかどうかということなのですが。全てこれを訳して送ろうとは思いませんけれども、災害分野について関係しそうなところは、ある程度、日本の方針としてやることになっているというようなことで報告することは差し支えないでしょうか。

【谷室長】
 もちろん結構でございます。本来であれば、英文化してきちっと国際的に発信しろということかと思いますけれども、行き届いておりませんで恐縮でございます。対外的にそういう形でお出しいただけるというのは大変ありがたいと思っております。

【瀧澤委員】
 蛇足的なお話になってしまって恐縮なのですけれども、昨日、たまたま海洋研究開発機構さんがやられているシンポジウムを聞きに行って、深澤先生のご発表も拝聴しました。一般の方々のこういう観測ですとか、気候変動に対する興味が非常に高くて、国連大学の講堂でやられたのですけれども、満席ですね。それで、皆さん、途中で寝たりする方も非常に少なくて、積極的に議論に参加されて、質問も非常に高度な質問が数多く出されるという状況ですね。こういった実施方針もホームページ、インターネットを通じて広く皆様に行き渡ることがとても重要で、今回、すごく完成度が高いと思いますので、事務局の方々と先生方のご努力に非常に感謝しております。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございます。

【井上委員】
 この実施方針を出して、そこに書いてあるから各府省が予算要求を出したときに、ちゃんとここに書いてあるというところでの支援になる機能はすると思うのですけれども、もう少しここに書いてあることを実現していくというためには、GEOSSなどでも強調している、どういうメリットが国民側にあるのだということを強調して、ディシジョンメーカー、政治家、国民がこういう観測を支持するというところに持っていかないと広がりは見せないし、ここに書いてあることはかなりの部分が絵にかいた餅になってしまうと思うんですね。だから、これは少なくともやるということが決まったわけではなくて、こういう方向でやろうということを言っているにすぎないので、実際にはそれぞれの予算がついたりして実行されるわけで、そこの間にギャップがあるわけです。
 そのギャップを埋めるためには、もう少しこの方針でどういうことがわかって、それが国民ないし世界でもメリットがあるのだということをどこかで説明していかなければいけないのではないかと思うんですね。その点では各プロジェクトをやっているJAMSTECにしても、JAXAにしても、いろいろな研究所にしても、自分たちのやっていることについては、それぞれがこういうメリットがあるのだということを説明して、昔に比べればそういうところは非常に一生懸命やるようになったと思うのですけれども、肝心のこういうのを全部まとめたところでのそういうアピールがないと、やっぱりここに書いたものが単にこういう文章を作っておしまいということになりかねないと思います。
 できれば、ほんとうは全ての分野について連携拠点があれば、そこがそれぞれについて書いて、それをまとめて出していくようなのが理想的だと思うのですけれども、それできないところは委員が書くとかという格好で何かアピールするものを作っていくということをこれからやっていくような必要があるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

【小池(勲)部会長】
 これは確かに非常に大きな問題で、今はともかくこの推進方策を作って、これを各省庁として上げていって、ここにこういうふうに書かれているのでぜひこれをやりたいという形でやっていって、どちらかというとベクトルが内向きです。外に対してあまりこれは使われていないのですけれども、それを両方に対してやることによって、よりそれを進めていきたいという今のご意見だと思うのですけれども、ただ、今、事務局のほうにこれを投げかけても、おそらく手いっぱいでしょうね。

【谷室長】
 直接のお答えになるかどうかわかりませんけれども、本部会の下に全球地球観測システム作業部会を作って、GEOSSの戦略等をご議論いただいております。その中でGEO.jpというのを作ろう、すなわち、GEOSSは国際的な取組みなわけですけれども、その中で日本の貢献というのをしっかり見せていこうではないかということで、日本の国内の観測の取り組みというのがわかるようなホームページを作って我が国の観測活動の全体像、それらがどういうメリットを生むのかというのを見える形にしようではないかということの議論がございました。これはもう既にアクションアイテムとしてまとめ、私どものほうでやりますということを宣言しておりまして、近々成果がご報告できると思っております。
 活動が非常に幅広くやられているということで、なかなか全体像がよく見えないということがございますので、そうしたものをポータル的にまとめて見える化を図りたいということを考えております。そういう中にメリット、あるいはそういうものを使った成果が出てくれば、さらに個々の活動も非常に大きく進むと期待をしております。まずはGEO.jpのホームページをきちっと作る、ポータルをきちっと作るということで、今、並行して作業をしております。それを見ていただいて、さらにここをこうやるべしというコメントをいただければと思っております。

【小池(勲)部会長】
 それは日本語と英語、両方作られるのですか。

【谷室長】
 はい。やはり国際的にも日本としてまとまった形で出す必要があるだろうということで、全て細かいところまで英語化する必要があるのかという議論はもちろんあるのですけれども、少なくとも海外から見てもわかるようにしたいということで、基本的には日英で作るというふうに考えております。

【小池(勲)部会長】
 そうすると、先ほど出てきましたいろいろな連携拠点と、それとリンクをうまく張れば、そこへまた情報が増えるということになりますので、ぜひ工夫をしていただきたいと思います。
 最後のは、予定しなかった議題でしたけれども、こういう地球観測の場合、いろいろな省庁を挙げて、しかも、なかなか今のように予算がタイトですと、続けていくのが非常に厳しいという中でやはり大事な観測を続けていくためには、様々な努力を払う必要があると思います。ですから、そういう外に対するアピールというのも大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。よろしければ、これで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

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