原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力研究開発作業部会(第16回) 議事要旨

1.日時

平成18年9月6日(水曜日) 14時~16時

2.場所

三菱ビル 地下1階 M1会議室

3.議題

  1. 高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズⅡについて
  2. 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力研究開発作業部会の今後の予定について

4.出席者

委員

 柴田洋二、代谷誠治、田中知、前川治、山中伸介(以上、五十音順、敬称略)

文部科学省

 中村原子力研究開発課長、鈴木原子力研究開発課核燃料サイクル推進調整官、鎌田原子力研究開発課課長補佐
日本原子力研究開発機構
 向次世代原子力システム研究開発部門長、佐賀山次世代原子力システム研究開発部門副部門長、他1名

5.議事要旨

(1)高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズ2について

FBRサイクル導入シナリオ核燃料サイクル諸量解析について

 原子力機構より、資料16‐1に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 ケース1とケース2で、軽水炉プルサーマルの運用の最終年が異なるのはなぜか。

【機構】
 プルトニウムの初装荷のインベントリーによるもので、増殖比1.2の方が1.1よりも初装荷燃料のプルトニウムインベントリーが小さい分だけプルサーマルの運転期間を延ばすことができる。

【委員】
 増殖比1.2のときは、プルサーマルをそこで切るのではなくて、これだけ伸ばさないと初装荷量が確保できないということか。

【機構】
 プルトニウムの蓄積をさらに下げた場合にどういうことになるか、もう少し保有していい場合にどうなるか、というところを分析しないと結果が出ないが、今のプルサーマルのところだけで見ると、増殖比1.2のほうが少し余裕がある。

【委員】
 プルトニウムの組成の変化や、アメリシウムも計算に入っているのか。

【機構】
 入っている。

【委員】
 3ページ目で、軽水炉の1/3MOX(混合酸化物)炉心を2007年からということだが、これは何基導入、あるいは、軽水炉が全部この1/3MOX(混合酸化物)になるという想定か。

【機構】
 基数というよりも、発電設備容量としてギガワットで計算しており、3ページ目の図1と図2の中のピンクで着色した部分がそれに当たる。

【委員】
 18ギガぐらいか。

【機構】
 そうである。

【委員】
 増殖比を振るケースというのは、なぜ増殖比を大きくとらなければいけないかというと、結局、ウラン資源を獲得しにくくなって、早期にウランサイクルからMOX(混合酸化物)サイクルに切りかえなければいけないという条件下で起こると思う。軽水炉からFBRへの移行完了時期が同じになっているが、本来はここが大きく変わってくるというものではないのか。

【機構】
 リプレースが60年ということでやっているので、軽水炉の最後の導入が2045年というところを維持すると、そこまで自立できないということでは変わってこない。軽水炉を60年未満で強引にリプレースしようとすれば、増殖費1.1と1.2の違いが出てくるかもしれない。

【委員】
 そもそもFBRで高い増殖炉で頑張ってやろうというのは、早くウランサイクルから抜け出そうという政策があって初めて動くものだと思うので、原子力大綱の中長期の計画と整合がとれているかは別として、サーベイとしてはそういうケースが1つあっていい。

GNEPの現状について

 原子力機構佐賀山副部門長より、資料16‐2に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 1カ月か2カ月ぐらいで変わったが、また変わることはあるのか。

【機構】
 従来のGNEPのねらいはナショナルラボラトリー、いわゆる国研が中心。国研ばかりがクローズアップされており、産業界は、かなり冷ややかに見ているという話が伝わってきていた。そこを、新しく次官補になったスパージョンが、産業界にジョブを発注するという格好をとりたいということで、このイニシアチブを考えたと聞いている。これからさらに変わるというよりは、こういう形で産業界の反応を見ながら今後の進め方を考えていくということだろうと思う。

高速増殖炉サイクルの研究開発に関する資金展開について

 原子力機構佐賀山副部門長より、資料16‐3に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 高速増殖炉サイクルの研究開発の中に、臨界実験装置(FCA)など基本的なものが出てこないが、今後、入れざるを得ないという部分があると思がどのように考えているのか。原子力委員会の委員長からも、基礎的な部分を考える必要があるのではないかという話があったと思う。

【機構】
 直接的に開発にかかるところを加算している。基盤的な部分の研究は当然リンクしながらやる。基盤的なものが、どの程度そこに寄与するかは分類しにくい。直接関連してやる場合は、予算の一部を割いて、そっち側で試験するといった形で動かしていくことになる。

【委員】
 そういうことが考慮の中に入っているのかということについて書いていただきたい。

【機構】
 基盤部隊との連携はかなり密にとろうと思っている。臨界実験装置的なもの、熱誘導的なもの、サイクルなどいろいろある。特にメインに考えているもの以外の技術、それをさらに高度化するためのアクション、いろいろな課題が出てきたときの解決といったところで、基盤部隊と連携しないと、不足するところが多々出てくる。

【委員】
 資金展開は、原子力機構のつくった資金展開要望案みたいなものと思っていいか。

【機構】
 要求ベースのものであり、実際どうなっていくかはこれからである。

高速増殖炉サイクルの研究開発方針について-「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズ2最終報告書」を受けて-(案)について

 事務局中村課長より、資料16‐4に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 例えばFCAは、全炉心にMAを入れることになったときは、そういう試験等を行っておくことが不可欠になると思う。避けて通れないことについては、きっちりとこの中に入れておくということが必要だと思う。

【委員】
 FS報告書を引用するときは「補完概念」という言葉が出てくるが、「補完概念」という言葉と「副概念」というのが同じように使われていると、非常にわかりにくい。「補完概念」をあえて「副概念」に変える方が、間違いがなくていいのでは。

【事務局】
 FS報告書では「補完概念」が2つ選ばれているが、委員会報告書案では「副概念」という概念を1つ選ぶと書いてある。FS報告書との違いは何ヶ所かあるので、それは評価の成果として残し、わかりにくいというところは、注釈をつけ加えたいと思う。

【委員】
 注釈で書いておくとわかると思うが、注釈がないと、FS報告書を見ずにこれを見る人は、かえって混乱を起こすという気がする。

【委員】
 88ページの軽水炉から高速増殖炉への移行期の図を見ると、軽水炉については60年間の運転ということになっているが、それより短くて終わるような気がしないでもない。プルサーマルも60年寿命であればピンクのところがもう少し長くあってもいい。プルサーマルはどうしているのか。

【機構】
 大間を含むプルサーマルはすべて濃縮ウラン燃料に戻すという形で計算している。

【委員】
 先ほどの資金展開は、このいろいろと項目が載ったものでいいか。

【事務局】
 「『もんじゅ』や『常陽』といった施設の維持費に資金がかかり、研究費は少ないのではないか」というコメントがあるが、機構の見積もりによれば、資金がかかるのはやはり大きな施設の維持費。『もんじゅ』は初めての長期の運転停止になるので、施設のチェックを全面的にやらなければいけない。そのチェックを全面的にやるので、運転維持費に208億円かかるということである。いたずらに運転維持費がかかるわけではなく、最初のところでは減っていくが、今度はこういうものが増えていくとか、中身を書いていくと、それが研究開発にとって大事なことだとわかる。単に「もんじゅ」何百億円というのではなく、わかってもらえないかという視点で少し細かくした。

【委員】
 FCAなどの扱いや、検討中の人材をどうするかについて、よい資料はできそうか。

【事務局】
 必要なものは何なのかというのに対して、何をするために必要なものが何なのかということを書くのが難しい。例えば人についても、主概念の研究開発に必要な人間がどれぐらいというあたりは書けるが、運転維持のために必要な人間は、例えば2直でいくのか、3直でいくのかなど、どこで割り切るかというのが、すごく悩ましい。基礎研究についても同じ問題がある

【委員】
 2、3年前に学術会議が、年間、原子力関連の学科から何人ぐらい原子力関係に就職しているかという数値を出していたが、大体40名ぐらいの学生が原子力関連の企業に就職している。今回出される数字が、400必要というのであれば、それなりに学科を増やさなければいけないという話にもなるので、その辺もよくにらんで数値をはじき出していただきたい。我々としては、たくさん出したいが、受け入れ先がなければいろいろな人材育成をしていく必要があるので、あまりかけ離れた数値が出ると、いろいろな議論を巻き起こしそうである。

【委員】
 人材の件について、高速炉サイクルという観点の切り口で、メーカーの高速炉関係の技術、人材の現状など、具体的な数値が入っているが、高速炉だけでメーカーが存在しているのではない。原子力全体として見たときに、高速炉を担当している人数はこの人数だということなので、単純に、この人数だけいればメーカーとして人材が維持していけるのではない。人材の育成について、メーカーの中でも、これから先、特に2025年あたりまでどうやって維持していくかは、高速炉だけでなく、軽水炉も含めて非常に重要なところなので、300人だけいれば大丈夫みたいになると、困るところがある。

【委員】
 数字を載せるかどうかは別だが、載せるとしても、注を書かなければいけない。

(2)今後の予定について

 事務局から説明。

-了-

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