原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力研究開発作業部会(第13回) 議事要旨

1.日時

平成18年7月19日(水曜日) 14時~16時

2.場所

経済産業省 別館10階 1020会議室

3.議題

  1. 高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズ2について
  2. 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力研究開発作業部会の今後の予定について

4.出席者

委員

 榎田洋一、代谷誠治、柴田洋二、田中知、田中治邦、前川治、山中伸介(以上、五十音順、敬称略)

文部科学省

 中村原子力研究開発課長、鈴木原子力研究開発課核燃料サイクル推進調整官
日本原子力研究開発機構
 向次世代原子力システム研究開発部門長、佐賀山次世代原子力システム研究開発部門副部門長、他3名

5.議事要旨

(1)高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズ2について

連続溶解層の特徴及び保守性について

 原子力機構より、資料13‐1に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 原理的には、連続溶解槽のハルの出口からは硝酸溶液が出ていかないようになっているのか。

【機構】
 原理的にはそうである。

【委員】
 ドラムの穴を硝酸が流れるとのことだが、ドラムの中に残渣が付着することで、穴の数が詰まるなどしたときには、メンテナンスはどうするのか。その場では行わず、ドラムを取り出すことになるのか。

【機構】
 場所を変えて、掃除ができるものであればする。これまでウラン試験、実際のグリーンペレットを使った試験を行ったが、ドラム側面の穴が詰まるということがないことは確認している。高速炉の使用済燃料のスラッジ量などがどれぐらいかは、完全に確認できていない。

【委員】
 設計の考え方としては、一応は点検するが、ドラムの中にスラッジがたまったときには、丸ごと取りかえるのが設計思想になっているのか。

【機構】
 そうである。

ナトリウム冷却炉について

 原子力機構より、資料13‐3に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 国際協力は、今後の研究開発計画のどこかの線図に入ってくるのか。

【事務局】
 2008年までは構想や設計の検討を行う。ハードの研究は多くないので計画の大きな変更はないと思う。もしハードの研究が大きく進むようなことがあれば線図に入ってくると思う。いずれにしろ、GNEPについては、これから日米間で議論する。

【委員】
 特別推進分野の公募で行うことになる課題は、この中ではかなり枢要な部分だと理解しているが、公募で応募がない場合はどうするのか。

【事務局】
 どの課題をだれが実施するかはこれから決めなければいけない問題。公募で取り上げるのが適切な課題については、募集を開始した。応募課題の研究計画が適切でない場合、採択しないことはあり得る。その場合、予算措置も含めて、どういう形でだれが実施するのがいいかを考え直さなければいけない。全ての課題を原子力機構がやるわけではなく、誰かにやってもらうことを考えている。どのように1つの概念設計に集約していくことが可能かを体制のほうで議論いただきたい。

【委員】
 公募研究で、よりよい提案があればそれを積極的に採用するという姿勢は堅持しながらも、なければどこがやるのかをある程度決めておかなければ、不安である。開発体制等については、何らかの形で示す必要がある。

【事務局】
 あくまでたたき台としてだが、原子力機構を中核とせざるを得ないと思う。国としては独法に対して、各課題について具体的な指示はできない。国の提示する研究開発計画に沿って、原子力機構が自主的にやるのが最も望ましいと思う。しかし、原子力機構自身がすべての資金を手当てできるかどうかというのは、これからの資金計画にもかかわる。研究開発の実施者を、誰かに決めておくという考えもあるが、研究開発機関が研究をすることと、実証炉あるいは実用炉につなげていくところでは大きなステップアップがあり、どのようにしてつなげていくかを考えると、実際に使う方々、作る方々も参加しながら研究開発のステージを変えていくやり方が、円滑な移行の観点からは必要だろうということも考えなければいけない。そうすることで、望ましい研究開発の体制というのが出てくると思っている。

【委員】
 これまで色々作業部会において議論してきたものが反映されているかが分からない。例えば、IHXとポンプの機器合体について、結構新しいコンセプトなので、判断基準の検討からはじめてきちんと慎重に設計すべき、という指摘がこの作業部会であったが、それをどこで、いつやるのか分からない。つまり、研究計画の項目だけが並んでいて、どれだけの深さをどれだけの予算でやるのか等が示されていないので、これでいいのかよくわからない。

【事務局】
 機構が引いている線表に対して、こういうものをもっと早くやるべきであるため新たな線表を引くといった観点から審議をお願いしたい。

【機構】
 ここで説明した研究開発計画の資料では、具体的な試験の方法、規模、必要な資金は概算できるレベルにはなっていない。今後さらにブラッシュアップしていこうと考えている。設計の判断基準は、フェーズ2の段階から着手しているため、基本的な設計要求等については書いていないが、試験をやりながら適宜見直している。ご指摘のように線表を作るとなると、段階的な開発の組み上げ方、どの段階でどう判断するのかというのを別資料で説明する必要がある。

【委員】
 フェーズ2で、機器の設計については、ある程度の概念設計は済んでいるが、この機器が成立するかどうかという意味での実機設計はされていないと聞いている。こういう要素試験をやる前に、実機として成立するかどうかという設計がきちんとされていて、その設計に対して、1回レビューがされた上で書かれているというならわかるのだが。

【機構】
 実機設計のイメージは、これまでの検討では、設計メーカで予備的な概念設計レベルかもしれないが、振動伝達モデルに即した実機の設計は暫定的であるが、いったんできている。したがって、暫定的な設計をやりながら、試験で手法と基準を見直しながらやっていくという考え方をとっている。

【機構】
 設計検討は、概念設計の中でやる予定をしているが、設計研究の中身、力点をどこに置いているかということをもう少し言わないと、表現したことにならないかもしれない。

【委員】
 概念設計研究は10億円、20億円かけて毎年やるという理解でよいか。特にポンプは、もんじゅのポンプを開発するときも随分長い間研究開発をやった。もんじゅのポンプは一発で回ったが、それ以前のポンプは色々と手直しをしてきている。長尺ナトリウムポンプは非常に難しいと理解しているので、振動特性だけいいと言われても、ほんとにそうなのかと言いたくなる。慎重に設計をしなければいけない。そういうことが全て設計研究の中に入っているのであればそれでいいが、結果として年間1億円しか予算がつかなかったからできなかったということはどこでチェックされるのか。

【機構】
 概念設計はそれなりの深さで当然行い、機器設計も含めて概念設計の中で展開する予定だが、線図の中で、個別の要素の中にはそれを入れていないので、あらわし方を少し工夫したほうがいいかもしれない。予算の件はまた別だが、予算をつけて行う必要があるだろうという認識はしている。

【事務局】
 予算をつけるに当たっては、総額を定めその中で研究を行うというのと、必要な研究に対して必要な予算を措置するというのと、2つのアプローチがある。今は、これからどんな研究開発テーマが出てくるのかを先生方に見ていただき、ある程度固まった段階で、いくら必要かを積み上げることとし、万一、それが予想外の金額になるようであれば、改めて研究開発計画そのものを見直すという順番でいきたいと思っている。まずは計画の妥当性を議論いただきたい。
 ポンプ、IHXの話で言うと、6ページの実証試験施設の概念例の中に入ってきており、これを作るのはいつかというと、4ページでは2012年ぐらいから建設するイメージとなっている。概念設計はもっと上のほうでやっているが、ここで言う建設のときにできるだけ同じものを組み込みたいという考え方との関係はどう読み込めばいいのか。

【機構】
 基本的には、実用炉の概念構築では75万、150万キロワットの2つのラインナップを考えている。例えばポンプの設計をここで行うと考えている。
 大型試験施設の建設のための設計研究は、ミニチュアの300メガワット程度のものを想定している。そういう規模の設計については、設計研究が2つに分かれているが、実証試験施設の概念構築、下のほうの線図の中でここでシミュレーションする、対象とする機器の設計は、ここで詳細に製作設計まで含めたものをやろうと考えている。

【事務局】
 そのときに設計はするが、成立するかどうかの判断基準はもう少し前に明確にしたほうがいいと言っているので、そこは2010年までの間にやるということか。その上で実機かミニチュアの設計かを判断していくという流れと思っていればよいか。

【委員】
 実機設計というのを入れたほうがいいと思う。ケース1、ケース2、ケース3があって、これは3つのケースに共通するものと思っていいか。

【機構】
 4ページの全体に書いているのは、早めるケースで、大型試験施設をできるだけ早目に持ってくるものなので、ケース2に相当する。ポンプは、13ページのR&Dの課題、特に2010年ごろまでの課題はケース1、2、3にかかわらず、機器としての成立性を見通すということなので、ケース依存性はないと考えている。

【委員】
 4ページの一番下から2段目の欄に大型試験施設の設計が2011年度から入ると書いてあるが、このページはフローなので、フローだけ先に伺うと、実証試験施設のうち実証炉に当たるものの設計検討というのはいつからできるのか。上から2つ、上の設計研究の2行目かと思うが、これはいつごろから開始することになるのか。

【機構】
 基本的に実用炉のイメージを2010年に、革新技術を選定して作るので、それに即して、まず革新技術についてコールドでどこまでやる必要があるのかということを2010年頃判断する。但し、実際には2010年の一、二年前には大体見通しがつく。今ある13課題のうち、半分ぐらいはほぼ行けそうだという技術が既にある。ポンプ内蔵型のIHX、SGとか、いくつかのものはこれから三、四年、開発をしっかりした上でしか判断できないと思うが、そうでないものもかなりあることを考えると、2010年の少し前ぐらいから実用炉及びその前に作る実証炉の検討は技術的にはできるような状況になると考えている。

【委員】
 大型試験施設の設計よりも先にできるということか。

【機構】
 大型試験施設の概念検討は、実証炉よりもう少し前にやる必要があると思っている。実証試験施設の概念構築のところも来年度から概念検討を行うというように線を引いている。実証炉よりも少し大型試験施設の検討のほうが深く早くやる必要があると考えている。

【委員】
 大型試験施設の設計は2011年、2012年に書いてあるので、これより後に来るものの設計研究は、実際結論が出るのはいつごろになるのか。

【機構】
 6ページ大型試験施設の下から2番目は、大型のコールド試験施設そのものである。これは、実証炉とは関係なく、コールド試験のループの設計をするもので、欲しい情報は、個々のコンポーネントの試験の結果や、そういうものを反映するということである。

【委員】
 コンポーネントの結果を反映した実証試験施設の設計研究は、いつごろできるのか。

【機構】
 コンポーネントの概念そのものは2010年にある程度決めるので、設計はそこからある程度はできる。実際の試験結果を持たないと、確証を得たデータに基づいたことにならないので、そのデータをフィードバックしながら行う。いわゆる大型のコールド試験のアウトプットは、運転結果が出る2014年ぐらいから入れ込んでチェックしていくことになる。
 個々のコンポーネントのいろいろな問題点は、それ以前にやっている。ここでは、確認に近い。その中で出てくる問題点をフィードバックすることはある。

【委員】
 設計研究とあって、5ページにその内容が記載されているが、概念設計で何をやろうとされているのかがよく分からない。概念設計のでき上がりは、例えばプリントレイアウトまで含めた図面が出てくるのか、単に機器のアセンブリーが出るだけなのか。実炉に向かって、そこのクリティカルパスが、あるいはロードマップがどうなるのか、例えば大型試験施設をどう位置づけ、どういうパスをたどるのか。

【機構】
 採用した革新技術で概念、成立性を見通すということが2010年段階での概念設計の実用炉の上がりのイメージである。
 その後、継続するR&Dの結果を設計に反映し、2015年の技術体系整備のときには、少なくとも添付8ないしは添付10は書けるぐらいのレベル、それを1つの目安として考えている。実用炉のサイトが決まれば設置許可申請が出せる一歩手前ぐらいのレベルまで持っていくのがイメージ。
 実際、実用炉を一気につくるわけではなく、2025年ごろに実証炉というものが入ってくると思われる。実用炉のイメージをつくること、それから大型試験施設でよりシステム挙動として大きなものを実証すること、その間に実証炉があり、クリティカルパスが出てくると思うが、まだそこは詰め切れていないと理解している。

【委員】
 概念設計ではなく、詳細設計に踏み込みつつあるレベルのものでないと、とても添8、添10を書くことはできない。概念設計研究に開発要素が反映されていけば、それはどんどん詳細に入っていくのではないか。実証試験施設についても、革新技術、実証のための原子炉の概念について設計研究を実施する。概念というのは人々それぞれであり、DCがとれるぐらいのレベルと言ってもらえば、非常にはっきりする。まだ詳細ではなく、概念図ベースの図面を起こすレベルでずっと行くというのであれば、10年間というのは長く感じる。

【機構】
 これはでき上がったプラントではないので、自信のないところは詳細設計に近いこともあり得る。全体として概念設計とあえて言っているのは、必ずしも詰めなくてもいい部分もあるからである。例えば、NSSの主要コンポーネントは大幅に変えるから、そういうところはかなり詰めていかなければいけない。また、BOP関係のところなどは軽水炉の知見もかなり使える。そのため、疎密がある設計をするというのが概念設計のイメージである。

【委員】
 この辺の議論は今後どのように続けていくのか。

【事務局】
 2015年のアウトプットが何なのか、どこまでやるのか、これは非常に大事なところだと思っている。今までの議論で、概念設計の中に革新的な技術の成果、要素の研究成果を踏まえて、その結果から必要なものを取捨選択して組み合わせて概念設計を構築する、これが2015年の最終目標であるという話があった。そのときの概念設計は、キーコンポーネントがあって、個別の要素についてある程度決まっていけば、それ以外のところについてまで同じように力を入れなくても、全体の概念設計は構築できるだろうということ、その後、添付8とか添付10が書けるぐらいのレベルのものが2015年にはあるのではないかという説明だった。この目標が本当にできるものなのか、この目標がそもそもいいのか、というあたりをこの部会で確認いただけると、最終的にこの委員会として2015年にはどこまで求めるのか、その求めるものに対して、これが十分なのかということが言えることになるので、そのあたりを決めていただきたい。

【事務局】
 この部分は非常に重要なところ。概念設計という言葉をもう少し詳細にしたほうがいいなどの意見を踏まえ、修文や変更いただくことは十分にあると思う。

【委員】
 概念設計とか実証試験施設の設計というところが、何をどこまでやるのかというのは一度この部会で議論させていただいたほうがいいと思う。そのときは、設計というのは項目だけではなくて深さの表現がないとわからないので、お金で表現できなければどのぐらいの設計の深さかを表現した説明が必要。例えば、IHXとコンポの合体機器で言うと、計画図を描くレベルではとてもだめで、製作図に落とす直前ぐらいまで検討してみて、どこで何が問題なのかというのを拾ってみないと、ほんとうの意味で設計にはならない。場合によっては、振動特性だけ議論されているが、長尺のナトリウムポンプというのは熱に対しても非常に敏感なので、定格運転に限らず、いろいろな運転モードのときにどういう温度分布になるか、熱変形を評価して静圧軸受けのところをかじらないように工夫するということをやると、これは簡単ではなくて、それをやるためには非常にラフな、まだ姿も形もわからない実証プラントのプラント熱過渡評価をやってみないといけない。それは大変なことである。そうすると、それだけでも1年とか2年のエンジニアスケジュールを引っ張る必要があるので、そういうことがわかる説明をいただけたらと思う。

【委員】
 サイクルと炉はレベルやターゲットが違うのかわからないから、注意しながら議論したいと思う。

連続溶解槽の特徴及び保守性について

 原子力機構より、資料13‐1に基づき再説明後、質疑応答。

【委員】
 プロセス工学的な面と、実機で起こる予想される課題については解決しておかなければいけない。例えばモリブデン酸ジルコニウムの付着や、それによる穴の閉塞ということが、重々PUREX系では予想されることなど、軽水炉の再処理の知見なども生かしつつ、新技術の開発のどのステージで課題を解決するのかということを、このFSの中で位置づけているのか。連続溶解槽の場合、最終的には工学規模での確認試験が必要ということでは、ここでの確認が不十分だと思うが、そのあたりはどういう位置づけで現状考えられて、これは何年ごろのフェーズでどういうふうに解決するのか。日本でこれをある程度解決しようとすると、ホットの溶液を使えるところでないとできず、どの程度の規模でやらなければいけないかということでかなり違ってくる。実際の連続溶解槽、1年間で50トンぐらいに相当するようなものをやろうとすると溶液量も大変になり、何かできることはないのかという質問である。

【機構】
 TRP、東海再処理工場では、スラッジによる詰まりを経験している。その中でのスラッジの性状などのデータを、設計の中でふまえている。
 ホット工学になるまでにできるだけ手の打てるところについては何か考えたいと思う。ホット工学というのは、課題が上がることが1つの大きな研究の目的でもあるので、丁寧に試験をし、よく観察しながら見ていくというのも大きな課題解決の手ではないかと思っている。

【委員】
 ロードマップあるいは再処理の道筋の中では、具体的には何年ごろ、今言われた計画をすることになっているのかが一番わからない。軽水炉での再処理の経験を生かせるというところが、一番PUREXとか安心してサイレントな方々もサポートしているところであり、重要だと思う。具体的に分からないと、安心してサポートできないと思う。

【機構】
 モックアップ機を作り、コールドで試験することも考えている。最終的にはホット工学試験施設へ入れる機器の設計に反映するためにやるので、2010年前後にそういう試験をやるということを考えている。

【委員】
 今のはコールドの試験ということか。そうすると、2016年以降にならないと、この3ページのアスタリスクで書いてあるところについてはできないと、そういう計画になっているということになってしまう。

【機構】
 ホット工学については、2015年ごろにホットインしてこの試験を行う計画である。

【委員】

アスタリスクがついているような問題については、2015年まで結論は出ないという認識でよいか。

【機構】
 途中経過はある程度見通しがあると思うが、最終的な確認はここで行う。

廃棄物処理、処分の観点からの燃料サイクル技術の研究開発について

 原子力機構より、資料13‐2に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 今回の報告書の結果との関係で眺めると、例えば補完技術に位置づけられている金属燃料の融塩電解の高レベル放射性廃棄物の制御・評価という評価で、先進湿式から出てくる高レベル放射性廃棄物ガラス固化体に比べて、現状の技術で融塩電解したものから出てくる高レベル放射性廃棄物は比較的量が多い。補完技術か、主概念かの選択をする際に、一般の方が見るのはそこではないかというのが心配である。
 1つ、ガラス固化体の発生量あるいは処分との兼ね合いの観点から、実際はもっと難しい問題がいろいろあるかと思うが、これが正しいとするとようやく理解できる。一方で、乾式については説明が十分なのか、それから評価の土俵が同じところに立っているのかというところが心配。要は、高レベル放射性廃棄物の発生量、廃棄体の量とか処分場の広さ等が、それもある決まった条件で計算したときにそうなるということが、決して主概念とかほかの概念の決め手になっているのではないということの注意を喚起いただきたいと思う。

【委員】
 比較のときに、乾式について廃棄物の話が結構出ていた。テクネチウムは分離しても核変換しないと意味がない。

【機構】
 今もヨウ素は取っており、これを下げるとなると核変換しか手はないのではないか。100パーセントなくなるということにはないと思う。

先進湿式法再処理と簡素化ペレット法燃料製造について

 原子力機構より、資料13‐4に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 研究を進めるバーチャートの中で、例えば17ページの晶析で、公募というのが赤で書いてあって、上のほうは高DF晶析技術の検討というのは黄色いバーですよね。それから、例えば19ページは全部が黄色いバーなんだけれども、黄色いバーが2006年度から始まっているというのは、引き続き、従来からやっている研究の延長であって、今年の予算というか、仕事としてできると思っていいか。

【機構】
 例えば17ページの高DFの晶析のところだが、これは基礎公募のほうでもう既に採用されていて、これで始めるという状況なので、ここに線を引いている。

【委員】
 19ページのような例は2006年度から始まっていて、前から続いていることなのかと思うが。それから、23ページのような例は2007年度から始まるように書いてあって、先ほどの炉のほうも18年度公募というのは18年度の下期のことか。それ以外に、2007年度から公募とは書いていないバーがどんどん始まっているものがあり、そういう多くの研究をとにかくしっかりやるということがまず重要と思う。そこの基本方針が心配という気がするが、それは大丈夫なのか。要素技術の研究が、バーの中身を細かく議論することも重要だろうが、それがちゃんと進むのかというのがちょっと心配である。

【機構】
 18年度を引いているのは、これまで継続しているものが一部あり、基礎公募のほか、今度の特別推進で採用したらというものも色を塗っている。

【委員】
 19年度はどうか。

【事務局】
 研究開発計画を議論して、これで行こうということになれば、実施できるような予算措置をすべく努力するということになる。

【委員】
 燃料の照射の話が炉のほうに入っていて、サイクルのほうに製造があって、その中に設計構造の話とか照射データの話が入っていて、ばらけているような形になっているので、その辺はうまくつながりができるように、あるいはサイクルに結果がうまくフィードバックされるような形を考えたほうがいい。完全に製造が切り離されている部分については、将来、サイクルの中に製造が入っているというのも問題ないと思うが、設計構造の話や、あるいは照射データの行動への反映というのは、炉の中に将来は入っていてもいい。燃料については、炉本体やサイクルのプラントに比べると、フィードバックがかけやすく、性能を5年あるいは10年ごとにどんどんグレードアップしていくことができるのは、これは軽水炉の例を見てもわかると思う。最初から100点満点で、もう炉の設計に燃料の詳細のところまでがちがちに反映させるというのは、逆に苦しい面もあるという。

【機構】
 おっしゃるとおりだと思っていて、柔軟に進めるように考えている。部署としても、燃料製造を開発する部署と、燃料全体の開発を見る部署、炉心設計をする部署の3つがあり、これらが1つの会議体をつくって、情報をやりとりするなど努力している。

【委員】
 湿式の関係者からお話を聞いていたら、22ページからの廃棄物低減化技術の開発というところで、ソルトフリー化とかいろいろなキーワードが挙がっているが、まずこういう検討をする前に、今つくろうとしている主ラインのプロセスというのがほんとにきちんとできていて、どこから、どんな廃棄物がどのぐらい出るのかというのが完全に把握できているだろうかというか、逆に把握してからでないと、簡単に廃棄物低減、廃液2極化と簡単に行かない。今のプラントでも、廃棄物の処理については随分工夫されているし、経験を積まれているということがあるので、かなり泥臭い検討をやっていかないと、これをクリアできないのではないかというコメントをいただいたのでご紹介まで。

【機構】
 ソフトワークとして廃棄物の検討をこのフェーズ2でもやってきた。東海再処理工場でどんな廃棄物が出るとか、その性状はとか、そういうのをベースにはじいている。実際にこのプロセス自体は大きな規模で動いているものではないが、そういうものをベースにして、ある程度推測しながら、あと頭で考えられるということである。ここにソルトフリーと書いているのは、これは六ケ所だとかなり改善されているが、東海の場合だと、ナトリウム塩の試薬を使うことによって、それが低レベル廃液として出てくる。それが硝酸ナトリウムを含んだものになっており、取り扱いが厄介。強酸化性のものなので、前、火災・爆発を起こしたアスファルトを固化するというプロセスがある。塩がないと、濃縮を繰り返せば凝縮液はどんどんレベルが低くなって、最終的にはこれは理想であるが、海洋放出できるレベルまで廃液をする。残った濃縮液は、逆にどんどん濃縮して高レベルにしてしまう、こういうことが技術的にも可能だろう。使うところはどこだということを考えて、斬新な見方をして廃液を減らしていこうと考えている。

【委員】
 5ページ、あるいは、2ページの報告書からの変更点にかかわるが、いつから代替技術という欄ができたのか。ほとんどのところが従来型Purexベース技術と書いてあるだけで、もう少し内容がわかるような形にしたほうがいいという気がする。
 抽出クロマトグラフィーのところの前倒しの是非について、マイナーアクチニドなど、発熱性核種とかロングライフのFPもそうだったかと思うので、全体をまとめて質問したので、少し核種によって違うということかもしれないが、まずアメリシウム、キリュウムについて、かなり早い段階で核変換と言うか、燃料として使うということは今のところ、いつごろということは決まっているのかどうか。それとの兼ね合いで、時期が遅いのだったら、抽出クロマトグラフィーは必ずしも前倒しする必要は全くないと思う。ほかの技術は前倒しの意味があると思うが、この抽出クロマトグラフィーも前倒しする計画にされたのかというところ、あわせて教えてほしい。

【機構】
 最初の代替技術だが、一番最初からこの欄はある。従来型Purexと書いてあり、完全にそこまで戻るかどうかというのはまだ決めていないというのが実情。例えばピューレックスについても、過去にはいろいろなピューレックスの改良を研究されている事例もある。

【委員】
 趣旨としては、例えば解体・せん断のところがレーザー解体を違う技術で置きかえるということだったので、そういうのが見えるほうがいいのではないかということ。中身は大体わかっているということだが、一般の方が見たときに、今の再処理をそのまま持ってくるのかなと思うといけないので、何かある程度見えるようにしていただいたほうがいい。そちらは、可能な範囲でご検討いただければと思う。

【機構】
 MAのことだが、これは以前の加速ケースにあるように、先ほどの燃料の開発とも絡めてTRU燃料の照射というのを早い時期にやっていきたいと思っている。それも規模の問題がある。当面はまずはネプツニウムとアメリシウムを対象に、ピンレベルからはじめ、これを順次やっていて、再処理のホット工学、それから燃料製造のホット工学を組み合わせて、燃料集合体単位でTRU燃料をつくる。まずそのつくるところの技術開発はするが、それができれば、今度それをもんじゅや、あるいは実証炉かもしれないが、それに回す。その時期が、早ければ大体2020年ごろをターゲットとしている。ホット工学、再処理の中にはそういう分離のところを入れないといけないというところで、今これを用意しようと考えている。

【委員】
 将来の姿というよりも、燃料サイクルの研究開発全体を見たときに、この技術が早くないと、ほかの燃料とか炉での照射のほうが成立しないというか、フィードするためのものがここで前倒しにならなきゃいけない。

【機構】
 アメリシウム、キュリウムも入れてTRU燃料を使っていきたいと考えている。

【委員】
 2050年から。わかりました。

【委員】
 炉関係とサイクル関係では研究開発レベル、炉に対してサイクル関係が遅れているので、このバーチャートになっていると考えていいか。

【機構】
 2015年にどういうものを出すかということだが、サイクルとして考えているのは、しっかりとした概念設計をやること。建物、機器配置がちゃんとできて、そういう絵がかけること。機器の概念図がきちんとかけること。もっと大事なのは、プロセス側としては、物質収支、マスバランスがとれること。プロセスフローダイヤグラムというものがかけること。大よそだが、そういう根幹にかかわるところがきっちりとかけるようにすると。機器開発については、今、外形図、絵と申しましたが、実際にはホット工学試験施設、これを15年には動かしますので、それまでにいろいろな設計も具体的にしている。そのデータが、スケールは少し大きくなるが、それを使ってかなり詳細な絵まで描けると、そういうところまで考えている。
 以上が2015年のでき上がりみたいなもので考えているところである。

【委員】
 それなりの資源投入とかなきゃいけない。今おっしゃったようなところだけ資料でもあればいいかと思った。

【事務局】
 今の点はすごく重要であり、そのレベルの成果を得ることで2015年を迎えて十分なのかどうかというのがポイント。2015年までに何をやるつもりと言うのは結構だが、その内容がだめならもっと違うことをやってもらわなければいけない。2015年を迎えるときに、炉はどこまでできていて、サイクルのほうはそこまででいいのか、という点に意見いただければと思う。特に、今の話では、機器概念図、配置図、マスバランス、プロセスダイアグラムという4つのことを挙げていたが、実際に照射をし、もう少し基礎的なデータも含めてホットでのデータがどこまでとれているのか、というあたりのことも資料の中に入れておけば、2015年に本当に何ができているのかが分かるし、それで十分かどうかの判断に役に立つと思う。

【機構】
 例えばマスバランスといったが、こういうものはそういうホットでのデータが必ず反映されるもの。放射能収支などもあるが、そういうものはホット試験をやって出てくるものである。
 燃料製造についても、この5年間で小型のグローボックスを使ったホット試験をやり、これをベースに、5年後に概念設計の成果を出すという計画にしてある。

【委員】
 結構重要な点だと思うし、燃料の溶解のところのホットデータはいつ出るのかとか。もちろん、ホットの前にコールドでの試験もあると思うので、そういうのをどうやってつくることが大事なのか、これが見えてくると、炉との違いとかになってくると思うし、この研究開発計画が意義あるものになっていくと思うので、ぜひそのようなところをどうするか。

【委員】
 ここで出てくる中間整理のところは、そういうふうに考えてなくてはいけない?

【事務局】
 中間整理については、前回までの議論を事務局として整理したところなので、きょうの議論も踏まえて、どんどんこれからも追加していこうと思う。これまでのご議論が十分に事務局に理解できたかどうか、あるいは議論として足りないところがないかどうかを見ていただくために途中段階でまとめてみたものなので、そういう意味でごらんいただければと思う。

国際協力の基本方針について

【事務局】
 国際協力については、次回に議論いただくこととしたい。

FS評価報告書の中間整理(案)について

 事務局中村課長より、資料13‐6に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 右のほうに文書、左のほうに図面と報告書の構成は、文科省では革新的な感じがする。

【事務局】
 原子力委員会から意見をいただいたときに、どうやればわかりやすくなるのか、よく考えなさいと言われている。それは、外への広報も含めて言われているものなので、何がいいか考えてみた。絵を大きくしようと思ったが、入れ込みにしていくと結構難しいところもあるので、思い切って、とにかく絵だけ見たらわかるようにしたいということで、トライしてみている。見にくかったり、うまくないようであれば、もとに戻す。

【委員】
 絵や表は、FS報告書に載っている絵が多い。それを踏まえて、あるいはそれをまた別のような絵を、部会あるいは文科省でつくることは考えているか。

【事務局】
 あると思っている。特に体制のところなどは、FS報告書に書いていないものが多くあると思うし、今日の報告書案の中でも、FS最終報告書ではなくて、技術評価書からとってきた絵もある。今日の線表のように、FS報告書の線表をリバイスした絵というものもある。紹介をしているようなところではFS最終報告書からとってきた絵が確かに多いが、それ以外の部分ではどうやったらわかりやすいかという観点から色々な絵をつくっていければと思っている。

【委員】
 評価した主体がわかりにくいとのコメントがあったが、それは書き方で、特に主語を書いていなかった。これは文部科学省が評価したということでいいか。

【事務局】
 はい。

【委員】
 原子力委員会から三報にわたり、この評価について要請があったが、文科省としては自動的に織り込んで報告書をつくるのか、要請を踏まえて、作業部会が考えて補充しなければいけないのか。

【事務局】
 原子力委員会からは3度文書をいただいている。技術的な指摘については、機構から検討状況を説明して、それに対して先生方のコメントを反映させた上で盛り込んでいく。基本的な考え方については、報告書をまとめる際に一つの参考として織り込み、それに対して先生方にコメントを求めたいと思っている。

【委員】
 原子力委員会からの第3報の中に、燃料サイクル側の開発を2015年までに無理しなくていいのではないか、また、実証炉の運転に間に合うようにすればいいのではないかという指摘があったと記憶している。

【事務局】
 ご指摘の部分を読むと、『このような手順を踏むには長い時間を要するため、2015年までに実用化するべき技術システムの概念設計を確定することは容易ではないと考える。』とある。言いかえれば、炉のほうについては実用化するべき技術システムの概念設計を確定することはできそうだけれども、サイクルシステムについてはそこができそうもない。そこで、『性能目標を満たす核燃料サイクル技術の実用化像は実証炉の建設開始までに確定すればよいとして、「2015年にはその後の研究開発により、これが達成される可能性が高いことを示すとする」という方針も検討されてよい』ということで、2015年の達成目標が炉とサイクルでは若干違ってもいいのではないか、そういうことも検討してもいいと書いている。
 これまでのこの部会での議論においては、炉、サイクルとも同じように概念設計を出すという言い方だったが、今日の議論では、機構より、サイクルについては2015年にはこんな成果を出したいと思っている、あるいは炉についてはこういうことを出したいと思っているという説明に対し、そこがまだ十分ではない、もう一度議論しようという話になっているので、考え方を改めてもう一度示した上で、ここについての具体的な我々の答えというか、書き方を判断したいと思っている。原子力委員会は、大綱のときはこれをやりなさいと言っていたが、今回は、進捗に応じてそこは柔軟性を持ってもいいので、よく考えてください、ということだろうと思うので、そういうふうに受けとめて作業したいと思っている。

【委員】
 いろいろな資料が出てくる中で、今後の研究開発をどう考えていくか出てくると思う。研究開発目標とか設計要求というのがあって、これもフェーズ2の報告書に書いているが、そこで言っていることと、今後、2015年までにどういうふうなことをやっていくのかということとは、そこは性質がやや異なってくる可能性もあるので、そこのところを十分に定義をはっきりさせて議論しないと、何を言っているのかわからなくなる。それがまたこれから研究開発をどうするかという議論の中で出てくると、原子力委員会への答えにもなるし、それを踏まえて、この最終報告書がいいものになってくると思うので、ぜひそういうふうな観点から、今後議論いただければと思う。

(2)今後の予定について

 事務局から説明。

-了-

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