原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力研究開発作業部会(第10回) 議事要旨

1.日時

平成18年6月14日(水曜日) 14時~16時

2.場所

経済産業省別館11階 1111会議室

3.議題

  1. 高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズ2について
  2. 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力研究開発作業部会の今後の予定について

4.出席者

委員

 柴田洋二、代谷誠治、田中知、田中治邦、前川治、山中伸介(以上、五十音順、敬称略)

文部科学省

 中村原子力研究開発課長、鈴木原子力研究開発課核燃料サイクル推進調整官、鎌田原子力研究開発課課長補佐
日本原子力研究開発機構
 向次世代原子力システム研究開発部門長、佐賀山次世代原子力システム研究開発部門副部門長、他5名

5.議事要旨

(1)高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズⅡについて

2ループ化の成立性の根拠について

 原子力機構より、資料10‐1に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 3ループと2ループで、経済性に与える影響はどうなるのか。

【機構】
 3ループにすると機器の数、原子炉容器あるいは格納容器施設の建屋面積、容積等が増えるので、スケールアップしても経済性が少し出にくくなる傾向がある。

【委員】
 許認可に必要な追加の研究開発というのは本当にないのか。

【機構】
 8ページ目に設定根拠と開発課題をまとめている。2ループ化で必要と考えているのは、逆流抵抗の確保と炉心圧損の試験。大きなリスクのある試験という意味合いではなく、確認試験をやっていくレベルと思っている。

【委員】
 反応度係数の不確かさ低減で、設定値が「もんじゅ」、実証炉の1/2とあるが、どういう意味か。

【機構】
 ボイド反応度の不確かさを「もんじゅ」の場合、プラスマイナス50パーセントと安全評価上行った。これに対して、今回は、ボイド反応度は2割ぐらい、考慮すべき不確かさの幅を半分ぐらいにしたい。

【委員】
 ボイド反応度を計算等で出し、その不確かさがどの程度かを評価をするときに、「もんじゅ」、実証炉の半分になっているということをやろうとすると、データがきちんとそろっていないと、認められないということになる。

【機構】
 「もんじゅ」のボイド反応度に関して、プラスマイナス50パーセントはあまりにも大きいという議論があり、実証炉の設計のときの目標はプラスマイナス30パーセントであった。今回実用炉をやるにあたり、プラスマイナス20パーセントぐらいを目指しており、今の段階で見通しを得ている。

【委員】
 MAを入れることによる不確かさの影響は出てくると思う。設定上、厳し過ぎる目標になっていないか。

【機構】
 MAに関してはデータが不足している。MAを5パーセントまで考慮したときのセンシティビィティはそれほど大きくないが、MAも含めたことで、安全評価上不確かさを半分ぐらいにできるように進めている。

【委員】
 見通しはどの程度か。

【機構】
 1次系の配管流速の高速化の問題は、今まで試験をやったときの入り口部分を整理した条件。実際はまだ手前でベントが1つあるし、流量外乱があった場合や定格流量で試験を始めているが、110パーセント過流量を含めたときなど、幅広に試験研究をしなければいけない。

【委員】
 高温の強度とか強度力学的な問題は出てこないのか。

【機構】
 問題ないように設計を進めている。

【機構】
 配管はIHXのところでしっかり支えて、リアクター側の方は上からつる形で少しフリーになっているため、構造的な応力が集中するといったところはあまりない。サポートそのものが2カ所で押さえており、耐震条件等の問題も含めて、1つのエルボでも応力の集中を抑えて加重があまり極端に集中することはない。実機条件により近い条件など検討すべきことはある。

【委員】
 ナトリウムボイド反応度の実験ができる実験設備はあるのか。

【機構】
 「もんじゅ」のときもそうだが、ZPPRなどで実際の実証炉や「もんじゅ」の体系を組んで、ボイド反応等を評価する試験を行っている。

【委員】
 いろんな振動のもととなる原因があり、ベントや炉内でもいろいろとあり、各々大体様子はわかっていると思うが、実際にやってみないとわからないことはないか。

【機構】
 流れの場合は、いろんな現象によって変わるので、1つの小型サイズのものでやって大丈夫だというわけにはいかない。ナトリウムで大型のものができれば一番再現性はあるが、サイズを変えたことで全体の体系の実験をやり、比較した上で最終的な結論をださせざるを得ない。流体相似条件を変えたもので追加試験をして最終的に確認することになる。

今後の報告書の取りまとめの方法をどのような形にしていくのか

 事務局中村課長より、資料10‐2に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 この中で今議論しているところがこれに反映できる。評価をもとにして、研究開発方針をつくるという形でやっていく。

配管・蒸気発生器伝熱管の2重化について

 原子力機構より、資料10‐1に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 SGの熱膨張は大丈夫か。

【機構】
 胴側のベローズで管と容器の伸びの差を吸収することを考えている。伝熱管破損のときに、そこの温度と水が流れているところで温度差が出て熱膨張差が生じるが、単にプラグするだけでは、2重管ではうまくおさまらないので、抜管することも考えている。

【委員】
 2重管は、内側の管が破れても外側の管があるからよしとするという考え方だが、今の説明では、内側の管が破れるとだめということ。つまり、最初の内側の管が破れると、補修の頻度が高くなり、稼働日数等に影響するという、その辺りのトレードオフがある。

【機構】
 フェーズ2の最初の段階で、2重管の構造を1枚で分厚くタフな設計ではなく、半分の厚さで2枚にしたのは、内側あるいは外側から管板等の傷が拡大していったとき、1枚であればなかなか1つの構造体の中ではとまらないが、不連続な2つの面があれば、その界面でとまることが期待できるからである。どちらかが破れたときに間隙に漏洩した水かNa(ナトリウム)を検出できるけど外管の健全性が確認できない方法(従来の2重管)か、間隙での検出ができないが定期的に内管と外管の健全性を確実に検査できる方法をとった。もちろんもっと合理的な方法があれば、設計を進めながらやっていく必要があると思う。

【委員】
 検査技術との兼ね合いがあると思う。単管であっても検査技術がしっかりしていれば、兆候が見つかったときに、その時点で対処することで2重管と同じことを保証するやり方があると思う。経済性を考えるとそちらのほうが楽になると思う。

【委員】
 2重管に穴があいたときに、水あるいはナトリウムの両方を見るのか。

【機構】
 隙間で漏洩を検出する方法は考えていない。内管と外管の間に隙間があると超音波が通らなくなり検査できないので、ほとんどくっついた状態でやっている。隙間はゼロではないので、その隙間を沿って高圧の水とナトリウムが会合する可能性があり、その内部でのナトリウム水反応は想定されるので、その現象は詰めようと考えている。ナトリウム中では水素計や圧力計等で検出できるようにしている。

【委員】
 隙間で水ナトリウム反応が起こったらどうなるのか。

【機構】
 今から試験を始めようとしているが、狭隘な間隙での微小量の反応であるため影響は小さい筈。

【委員】
 密閉系的な中で反応が起こるとどうなるのか。

【機構】
 一種のセルフ・ウェステージ的な現象として想定される。

【委員】
 SG大型化に伴うナトリウム水反応の水素計の検出感度が遅れるのは、2重管でも改善はされてないということか。

【機構】
 大型化すると検知時間にかなり時間がかかり、影響が比較的大きくなってからでないとわかりにくいので、漏れないようにするため2重管の方法をとった。運転使用期間中に2つのものが同時に破れないから、定期検査のときにどちらかの損傷を検知できるということでナトリウム水反応が防げると考えている。

【機構】
 内管がどこかで破れて外管もどこかで破れたら、すき間でナトリウムと水が反応し、水側とナトリウム側がつながる。それがナトリウム側のほうへセルフ・ウェステージして穴があき、反応がわずかながら広がり、ナトリウム側にある水素計のレベルが上がる。想定されるナトリウム水反応はわずかなナトリウム水反応から始まるものが想定される。2重管自身の特異な現象で時間が随分間延びする。

【事務局】
 今の水反応が起こったときの影響というよりは、そもそも起こるか起こらないかという発生の低減という観点ではないのか。

【機構】
 密着2重管SGをとったのは、ナトリウム水反応が起きるような破損にはなりにくい構造を指向するというもの。起きるとしたらこういうことが考えられるということである。基本はナトリウム水反応が発生しないようなコンセプトを追求しようということである。

【委員】
 2重管の空気冷却器やSGを開発する優先度がどのぐらいあるかが重要。単に2重管にすることで、漏えい検出の確率を落とせるというのは、詳しく分析をしないとわからないのではないか。整理して報告書に入れたほうがわかりやすい。2重管というコンセプトは明らかに経済性を落としているので、疑問を持たれると思う。

【機構】
 伝熱管の母材部分だけでなく、管板の溶接部を全部合わせて今進めているところだが、エビデンスという意味ではまだ不十分だと思っている。

【委員】
 いろんな可能性は否定する必要ないとが、設計とものづくりは一緒に考えておかないといけないと思う。いろいろと検討したほうがいいと思う。

ポンプ組込型中間熱交換器の開発について

 原子力機構より、資料10‐1に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 ベローズの部分の振動や、長期的に使えるか等、技術評価しているのか。

【機構】
 試験として具体的に計画は立ってないが、SGの高クロム鋼でのベローズ自体から始めようと考えている。

【委員】
 ポンプの振動については、試験をしてクリアできそうという見通しを立てているが、長尺のポンプの場合、全体の熱変形、静圧軸受部の熱変形が問題になる。運転状態によって常に温度分布が変わるような機器でポンプの外側を覆っている体系でのポンプの軸受けの熱変形はどういう評価をしたのか、あるいは、今後それをどう評価しようとしているか。

【機構】
 後日回答する。

【委員】
 28ページに、検査性の向上と書いて、下部管板へのアクセス可能とあるが、このポンプの下のところを外して、中から保守や検査をするということか。

【機構】
 ポンプのこれを上に引き上げてできるようにもしようとしている。

【委員】
 こういうポンプはどのような定期的な検査をしなければいけないのか。

【機構】
 一番ポイントになるのは、軸シール部や回転摺動部でシールしているところ。伝熱管、IHXポンプについては軸シール部と軸受けは前からあったと思う。定期検査は2つのバリエーションを考えている。標準点検は引き抜かずに見ていく。標準外点検は、10年や15年に1度ぐらいの頻度でしっかり見るところで引き抜いて見ることも今想定している。定期検査の体系は最終的にまだ詰め切っていない。

【委員】
 一体化することにより、検査や保守の点で特に難しくなることはないか。

【機構】
 1次系機器に関しては、Na‐Naの環境なので、IHXについては中をいつもあけることは考えていないので、検査が難しくなることはないと思う。大がかりな検査を15年とかに1度やるときに、機器合体によって問題にならないようにしようということで、設計上の工夫を講じている。

【委員】
 もともとのねらいはボリュームを減らすことか。

【機構】
 全体の物量を削減する、建屋容積を減らすことが一つの目的である。

【委員】
 軽水炉では、ポンプの軸が長くなってよくなった例は一つもない。振動の問題が出てきて、結果的にまたそこに伝熱管のチューブがあってというところがあるので相当神経を使って設計するか、あるいは、実証試験も考えていかないといけないと思う。特に、長期供用後の健全性をどのように確保していくかがポイントになると思う。

ナトリウム冷却炉の炉型選定の考え方について

 原子力機構より、資料10‐1に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 外国の設計でタンク型は、評価軸が違うのか。

【機構】
 評価軸は同じである。

【委員】
 なぜ違う答えが出るのか。

【機構】
 EFRは、コンセプトがコンベンショナルな技術の塊である。今すぐにでも作れることを前提につくったものであり、そういう意味で評価軸の違いはない。コンセプトをつくったときの新しい革新的な技術はあまり入れずに、より合理的につくったもの。

【事務局】
 フランスがループを選ばない理由を訊かれたときに、保守性がいいからフランスも当然選ぶだろうという趣旨の読み方をしなければいけないが、それでいいか。

【機構】
 フランスもコストダウンするようないろんなトライアルはした。イノベーティブな技術を入れ込んだ将来型の概念ということでは、タンク型に固執していなかった。EFRをつくるころまでは、比較的近未来でつくるという考え方なので、タンク型を選択した。将来、新しい概念を取り込み、物量全体を下げようと考えたときには、タンク型ではなく、ループ型がいいという答えもあった。ただし、単なるスタディのレベルなので、全体としての方向性を目指そうということで決めたわけではない。フランスは、さらなる合理化のためのスタディを中断したので、それから進んでいない。

【委員】
 軽水炉は150万kWe(キロワットイー)で独立のプラントだが、ツインプラントが前提だと300万kWe(キロワットイー)となり、同等のものに置きかえるという考えから外れないか。

【機構】
 初号機コストで建設コストを評価した。世界的に建設コストは、習熟効果を考慮した最終的なコストで評価しているのが一般的である。我々は、初号機コストだけでは150万kWe(キロワットイー)のよさが出てこないので、300万kWe(キロワットイー)でナトリウム、ガス、鉛、水を比較しようということでスタートした。ツインで2つの平均値として1kWe(キロワットイー)あたり20万円を切れるポテンシャルがあると考えている。今後は、世界標準の建設コストと同じ条件に対しても数字が言えるように検討を進めたい。フェーズ2まではツインプラントの価格で検討してきた。

【事務局】
 2008年にアメリカがGNEP構想を進めていく中でタンク型を選んでも、日本はループを選んだ理由を言えなければいけない。海外の動向の変化を踏まえた上で、現在の知見は報告書の中に書き込むべきものと思う。

【委員】
 日本で将来つくっていくときに、ループとタンクが混在することは考えにくい。ある条件を満たすときにそれを総合的にどう考えていくのかは重要な点だと思うので、今後の研究開発課題とも関係してくる。

【事務局】
 技術的成立性はループ型とタンク型では変わらない。また、物量は同じだから経済性も変わらない。ループ型がタンク型より有利という理屈については保守補修性が良い、将来のコストダウンの可能性がある、という観点からでいいのか。昔でいえば、タンクはものすごく大きいから、免震性、耐震性がとれないと言っていたのが、今は免震技術が進んだから、その理屈ではなくなったようだとかいろいろあるが、本当にこれでいいのか。

【委員】
 これは非常に難しい問題。運転保守性はループ型が優れていると考えているが、タンク型の方が優れているという人もいる。このレベルでの議論ではなく、何がすぐれているかというもう一つ彫り込んだところで主張をしないと、きちんとした主張にはならない気がする。

【委員】
 44、45ページの比較検討を見る限り、どのアイテムをとっても全部ループがいいとなっている。例えば7対3でループがいいのであればわかるが、これは10対0である。10対0なら、絶対にどの国もループをとるので、もう少しそのあたりを見ていただきたい。

【機構】
 フェーズ1の対象はアグレッシブなタンクを想定しているが、世の中にはこのような例は少ない。通常のタンク型だと明らかに経済性が悪くなるが、実績がある。比較の仕方が難しいが、例えば、プリズムは物量だけで見ると多いが数を作れば安いという議論もあり、その辺の視点で比較するための材料も準備しておかないといけない。

【委員】
 この部会では、将来の日本には入るのはこれだということは決められないと思うが、仮定や前提、境界条件をしっかりして、こうしてこうなったとしておけばいいと思う。フェーズ1のときと現在では議論は変わらないか。

【機構】
 さらに小さくするのは難しい。評価するときの対象、どういう比較をするのか、アドバンスなタンクとループで比べるだけにするか、欧米のものと比較するのか。タンク、ループという概念だけの論争は出尽くしており、できるだけインテグレートしたシステムのほうが安いとなっている。最後はインテグレートする仕方がどうかというところになってくる。

【事務局】
 PWRとBWRがあるように、タンク型とループ型が併存するというまとめ方もあるかもしれない。

【委員】
 BWRからABWRにいくときに、再循環系配管をなくした。このときは、保守性を改善するためには、配管のメンテナンスをどうするのかが大きなポイントであった。今回、縦軸に配管のことは書いてないので、評価軸にすえて表にまとめればどうか。

【委員】
 いい提案なので、もしほかにも何か評価項目があるとすれば、そういうようなことを踏まえてこの報告書に書ければいい。

軽水炉再処理の回収ウランの取り扱いについて

 原子力機構より、資料10‐1に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 先進湿式法を使って、軽水炉の使用済燃料を再処理して出てくる回収ウランをどう扱えばいいかということか。

【事務局】
 再処理の晶析で回収されたウランの放射能量が高く、輸送や貯蔵の問題が出るので、晶析の手法そのものが、システム全体の中では優位でないという指摘があった。軽水炉はPu(プルトニウム)とU(ウラン)は1対99なので、貯蔵に対して影響が大きく出る。一方、高速炉は、Pu(プルトニウム)とU(ウラン)は3対7や2対8といった程度であり、すぐに使うから、貯蔵もあまり時間がかからないし、きかない。第二再処理工場の次世代のものにどう生かすかであれば、先進湿式法に類するものは必要だと思うが、そのまま適用するのではなく工夫が要る。

【事務局】
 2050年以降ではなく、実用化に向けての移行期においてどうあるべきかも重要な項目であり、実用炉ではなく実証炉の議論や第二再処理工場に対してどういう貢献をするのかについてのご議論も必要になっている。そういう観点から、報告書にその辺の考察も書き込みたい。2010年に議論する際、提供すべき技術的データは何かを想定し、研究計画に盛り込みたい。

【委員】
 我々は、他のものが入っていて線量が高くなる、扱いにくくなるものを核拡散抵抗性があるというが、必ずしも国際的には認知されていないのではないか。極端な話で、アメリカの昔の話だと、同位体分離を要するものは、核拡散抵抗性があるという。この報告書でいう核不拡散抵抗性は、線量が高くなる、扱いにくくなる、接近性がどうだという話であり、本当にいいのか疑問である。国際的にコンセンサスができていれば問題はないと思うが、核拡散抵抗性という言葉を使うときは、十分に気をつけないといけない。

【事務局】
 核拡散抵抗性の定義が明確でないのは確か。IAEAで考える核拡散抵抗性は、フルスコープ・セーフガードを受ける体制や計量管理だと思う。この報告書では、体制ではなく、技術でどういう貢献ができるかということ。ウランとプルトニウムが1対1で混じったものにするだけでなく、さらにMAを混ぜることによって、放射能による接近性や、即発中性子の効果によって核兵器になりにくい物質となっているとか、発熱が多いことによって核兵器にしにくいという特性を生かしての技術論だと思う。

【委員】
 晶析プロセスがその後の再濃縮、再転換のときに重要となる。

【事務局】
 日本のように、燃料とすることを前提に、直接処分も可能なレベルにしておくのは、政策判断に近いところだと思う。ここで検討するのは技術としての答えだが、2010年あるいは2015年の判断に当たっての政策判断として必要なところというのも提案していきたい。

【委員】
 政策判断のときには、晶析で注目すべき核種のDFがどうなっているのかということがわかれば、技術のいろんなデータが与えられる。

移行期におけるTRU燃料について

 原子力機構より、資料10‐1に基づき説明後、質疑応答。

【委員】
 MAが5パーセント入ったもので燃料を作ったときに、冷却をしないと表面温度はどれぐらいになるのか。

【機構】
 集合体にすると、条件にもよるが、自然空冷では表面が数百度で、中心が400度。

【委員】
 炉に入れてナトリウムで冷やされると、一瞬温度が下がるのか。

【機構】
 燃料を作ったところで、400度に置いておくのはよくないので、空冷を絶対しなければいけない。

【機構】
 輸送するときも、冷却を考慮して、温度を200度以下にするように考えている。

【委員】
 燃料として成立できるかどうかが一番大事。5パーセント程度アメリシウムが入っている燃料だと、物理的性質はそれほど変わらないが、化学的性質が変わる可能性があるので、被覆管と燃料がセットになった照射試験が必要である。燃料の成立性と平行して、製造できるか等々の試験を行ってほしい。

【委員】
 その辺を踏まえて、上限5パーセントにしたのではないのか。

【機構】
 炉心設計からも、MA、FPを含めて評価・解析しており、上限が5パーセントぐらいと評価している。

(2)今後の予定について

 事務局から説明。

‐了‐

お問合せ先

研究開発局原子力研究開発課

(研究開発局原子力研究開発課)