原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力研究開発作業部会(第7回) 議事要旨

1.日時

平成18年5月12日(金曜日) 14時~16時

2.場所

古河総合ビル6階 F1会議室

3.議題

  1. 高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズ2について
  2. 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 原子力分野の研究開発に関する委員会 原子力研究開発作業部会の今後の予定について

4.出席者

委員

 榎田 洋一、柴田 洋二、代谷 誠治、田中 知、田中 治邦、山中 伸介(以上、五十音順、敬称略)

文部科学省

 中村原子力研究開発課長、鈴木原子力研究開発課核燃料サイクル推進調整官
日本原子力研究開発機構
 向次世代原子力システム研究開発部門長、佐賀山次世代原子力システム研究開発部門副部門長他5名

5.議事要旨

1.高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズ2について

1.資料7‐1に基づき事務局中村課長から説明後質疑応答。

 <質問・意見等なし>

2.資料7‐2に基づき原子力機構佐賀山、小竹、中村氏より説明。引き続き、柴田委員より参考資料7‐1に基づき説明後質疑応答。

【柴田委員】
 参考資料7‐1(日本電機工業会の考えるロードマップ)の説明と併せてコメントする。参考資料7‐1は原子力機構の「研究開発方策の考え方」とほぼ同じ考え方で作成している。違いとしては、基本方針として、諸外国の開発動向に合わせて研究開発を行い、国際標準を目指す、という視点を追加している。原子力機構の考える3ケースに関して、まず、ケース3については他のケースに比べて非常に手間ひま(コスト、時間)がかかるので我々としては想定外とした。ケース2については、フェーズ2の主概念では、「もんじゅ」の経験からかなりステップアップした革新技術を採用することとなっており、いわゆるコンポーネント試験で機器の性能を確認するだけでなく、どのように許認可を取得するのかも大きな課題になるものと考えている。許認可をどのように取るのかも計画的に考えていく必要があり、そのことを考えるとケース2も難しいと思う。以上の観点から、ケース1に賛成。
 まず、もんじゅの運転開始を2010年と置き、世界と開発スピードを合わせるために、開発試験炉を2020年に、商業導入炉を2030年とする。ものづくりでは、建設の意志決定をいつ頃行うのか、それまでに何を明らかにしなければならないかが重要。
 ロードマップでは、研究開発へのフィードバック等が未検討であり、今後その辺は詰める予定。また、燃料サイクルはピン規模から工学規模へ、そして初号機へとステップアップが必要であり、相当の覚悟を要する。炉とサイクルを1対1で対応させて開発スピードを上げる必要が本当にあるのかも含めて、議論をしていく中である程度の解が見つかると考える。

【榎田委員】
 資料7‐2(原子力機構ロードマップ)の位置づけは、FSフェーズ2報告書をまとめたものか、それともさらに詳細を検討したものか。それに応じて、最終報告書の評価が変わる。また、サイクルシステムの年間処理量(50tHM/y(トンヘビーメタルパーイヤー))についてもう一度説明してもらいたい。
 サイクルシステムの処理量等の考え方として、取得するデータは、年間処理量ではなく時間当たりの処理量と運転時間からなる総量何トンとして考えたのかが必要。

【佐賀山副部門長】
 ロードマップの位置づけは、報告書概要の「2015年頃以降の進め方に関する課題」をつじつまが合っているかを確認するためにブレイクダウンしたもの。報告書の主眼は2015年までの研究開発計画であり、どういう考え方があるかケーススタディの提案に止めている。

【榎田委員】
 報告書概要にある簡易ロードマップと、今回説明されている2050年までをブレイクダウンしたものは、昨今の国際情勢及び国内情勢を勘案してもぶれがないという解釈でよろしいか。

【佐賀山副部門長】
 2050年に実用化させるという意味で、報告書全体としての整合性はあると思うが、GNEPなど最近の国際事情を勘案して開発速度を上げるべきだという考えもある。

【原子力機構】
 資料7‐2 P7、12に基づき再処理量の規模について説明させていただく。実用化推進サイクル施設の再処理量が100tHM/y(トンヘビーメタルパーイヤー)となっているのは、軽水炉からFBRへ移行する際に、FBRとプルサーマルの両方を対象にしているからである。燃料製造が10tHM/y(トンヘビーメタルパーイヤー)なのは、軽水炉の使用済燃料も用いるため。規模としては、商用サイクル施設の200tHM/y(トンヘビーメタルパーイヤー)から考えても、経済性の視点から妥当と考える。ステップ2の装置能力の10kgHM/h(キログラムヘビーメタルパーアワー)については、年間50tHM(トンヘビーメタル)を処理できる設備の試験として。ステップ2の試験量1tHM/y(トンヘビーメタルパーイヤー)は、年間8キャンペーン(1キャンペーン(約1ヶ月)はもんじゅの集合体3~4体相当)を想定している。

【榎田委員】
 よくわかった。

【柴田委員】
 原子力機構のロードマップは、2050年まで着実に開発するという昔の状況に合わせたものである。諸外国と競争・協力をするときに、国際的に受け入れられるものという観点でロードマップを再検討してもらいたい。また、ロードマップ作成にあたり、技術的な観点に加え、例えば施設立地のための説明や準備などといった考えが必要。そうすれば、考えている以上にもっと早く動き出さなければならない。
 現在の状況に合わせたロードマップを提示してほしい。また、これを踏まえて2015年までに何をするべきか議論すべき。

【中村課長】
 今回のロードマップは報告書には記載されていないもので、原子力機構が考えているものである。

【田中主査】
 海外の動向を踏まえて、本当に電気事業者に受け入れられる商用炉はどのようなものかも、報告書とは別のロードマップを作業部会において検討することは可能か。

【中村課長】
 技術的な事項についての将来の見通しであり、本作業部会において検討するにふさわしい事項である。どの程度詳細まで書けるかはわからないが、ロードマップ、線表、指摘事項など議論の様子を見て考えていきたい。

【佐賀山副部門長】
 2010年が革新技術を決定する、つまりスペックを決める重要ポイント。世界の動きが現在の予定通り動くかは未定の部分も多いので、2010年、2015年までの進め方を中心に議論してほしい。

【代谷委員】
 3つのケースについて、2015年までの研究開発はほぼ同じであり、2015年以降のケースに大きく影響はしないと思う。2010年に見直す必要があると思うが、開発速度を早めるならば、開発目標をどう設定するか議論が必要。国際情勢を重視するのなら、どこまで革新技術を採用するのかが問題となる。例えば2重管蒸気発生器については国際的な観点では採用されないかもしれない。難しい技術で世界標準を目指そうとしているが、国際協力を強く押し出すのであれば、取捨選択は必要。
 また、軽水炉の出力は徐々に上げてきたが、FBRは大型化するのは困難だと思われる。安全性を考慮すると、着実に実施するには炉を2つ作るケース1がいいと思う。

【田中主査】
 2010年にスペックを決定する時の視点は、これまでと同じ計画か国際的に勝てるものとするかなど、将来どういうものを開発するかで変わる。革新技術を2050年の姿として良いか、どのように整理して評価すべきか、意見を聞きたい。

【山中委員】
 ケース1が理想。しかし、ロードマップのスケジュールでは、これから10年が非常にハードになる。炉心条件や炉心材料など、革新技術のイメージは具体的にあるのか。

【佐賀山副部門長】
 材料について、革新技術のイメージは決まっている。GEN‐4でも議論があったが、資金を集中的に投入すれば早期にできる。

【山中委員】
 革新技術がうまくいかなかった場合のオプションが必要。主概念のそれぞれについて、そろそろ評価を始めなければならないのでは。

【佐賀山副部門長】
 2010年には、かなりの確度で見通しをもって革新技術を決める。それぞれについて代替技術は用意している。

【代谷委員】
 全ての代替技術を採用した際、コストについての目標値はクリアできるのか。

【佐賀山副部門長】
 全ての革新技術がうまくいかなければ想定している将来の費用の1.3倍程度。全てがうまくいくのは難しいかもしれないが、炉の2ループ化など主要な技術はものにしたい。主要なものについては見通しがたっている。

【田中主査】
 目標値についての議論があったが、目標設定は平衡サイクルになったとき、つまり理想的にうまくいったことを想定している。2050年に商用炉を導入するのが妥当かどうか、また、軽水炉から高速増殖炉への移行について等を考えると、目標設定は変更する可能性があると思う。

【中村課長】
 資料7‐1で基本方針は妥当かとあるが、「国際協力を最大限活用する」などの視点は報告書では検討されていないなど議論の余地があると思う。

【柴田委員】
 資料7‐1 P8に、「炉と燃料サイクルの研究開発を密接に連携させて推進」とあるが、これが必須かどうか。例えば、フランスでは、FBRは軽水炉使用済燃料を再処理したプルトニウムを使うため、FBRサイクルはFBR導入20年以内にできればいいという考え方をしている。炉もサイクルも当然必要だが、予算が厳しい中、順番を検討する余地があるのかもしれない。

【田中(治)委員】
 日本電機工業会のロードマップを見る限り、次々と炉を作り、再処理は後回しというように受け取れる。炉と燃料サイクルを整合させて研究開発を進めていくべきと考えるが、このロードマップはそうなっていない。炉とサイクルの研究開発を密接に連携させるかどうかの大方針を議論しなければならない。一方、原子力機構のロードマップは炉と燃料サイクルの研究開発は整合しているのではないか。「もんじゅ」が止まった後は、革新技術実証のための炉が動き出し、プルトニウムは軽水炉使用済燃料の再処理から持ってくることになる。2035年以降は2つの炉と1つ再処理施設のサイクルでバランスをとるということか。両者は考え方は全く異なる。こういった視点からの検討が必要。それから、現段階では実用化概念を見通せず、どの様な設計になるかはまだわからない。実用化概念がどのような革新技術を採用するかを見通した後に実証プロセスの検討を行うべき。着実で自信をもてる計画をしっかりたてないで炉の建設だけを考えていると、いつか来た道と同様になる。

【柴田委員】
 誤解を招いているようだが、日本電機工業会のロードマップでも、FBRの使用済燃料はできるだけ早く再処理をし、低除染でサイクルを回すという前提を考えている。ただし、サイクル技術が間に合うかが懸念されるという意味。

【田中(治)委員】
 2035年以降はサイクル施設が運転されるが、2035年までプルトニウムはどうするのか。

【柴田委員】
 六ヶ所再処理工場を利用する。

【田中(治)委員】
 六ヶ所のプルトニウムは軽水炉で使う分をJMOXで製造すると思っており、その前提で設計をして、まさに安全審査の段階である。全体的なプルトニウムバランスを把握する必要があり、設計や定量的な計算は1年程度でできる話ではない。どのケースがいいのか提案し検討するのは、まさにフェーズ3のミッションなのだから、大いに議論すべきと考えるが、結論はすぐにはでない。

【中村課長】
 FS報告書には、現在と2050年以降の理想型の計画のみ書かれているため、軽水炉からFBRへの移行の流れが見えない。燃料サイクルについても、将来は低除染でそれまでは高除染といっても、その過程でのプルトニウムバランスが見えない。これから議論して明らかにするものであり、2010年に出してもらうデータのひとつ。このように、頭で考えていても、明確になっていない事項を指摘していただければ事務局でまとめる。
 参考資料7‐2の原子力委員会の意見にも答えた形の報告書の内容にしたい。

【代谷委員】
 国際協力について、2国間で開発する革新技術の具体的考えはあるのか。

【佐賀山副部門長】
 GNEP、GIF等の中で、協力できないかどうか前向きに各国と検討中である。具体的にはコンポーネント開発、安全性技術、保守性技術、システム開発など日本の技術が国際標準になるように協力の方法を詰めている。

2.今後の審議スケジュールについて事務局より説明

 事務局鈴木調整官から説明

‐了‐

お問合せ先

研究開発局原子力研究開発課

(研究開発局原子力研究開発課)