原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会(第26回) 議事録

1.日時

平成23年1月25日(火曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 第8回BA運営委員会の報告
  2. 核融合研究開発の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

小森主査、疇地委員、笹尾委員、髙村委員、平山委員、堀池委員、松田委員、吉田委員、奥村副部門長

文部科学省

西山核融合科学専門官、河原補佐、山田科学官、門学術調査官

5.議事録

 【小森主査】  それでは、ただいまから第26回の核融合研究作業部会を開催したいと思います。本日は、石塚委員、大島委員、香山委員、髙津委員、東嶋委員から御欠席との連絡をいただいております。また、日本原子力研究開発機構の奥村副部門長にお越しいただいております。後ほどBA活動に関しまして御説明いただく予定となっております。

 それでは、議事の紹介ですけれども、本日は、まず第8回BA運営員会の報告、二つ目が核融合研究開発の在り方について、その他になっておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、資料につきまして事務局の方からお願いいたします。

【西山核融合科学専門官】  本日は、お手元の資料でございますけれども、議事次第の4に配付資料として記載もしてございますが、御確認をお願いいたします。資料1が「核融合エネルギーの実現に向けた『幅広いアプローチ活動』に関する第8回運営委員会~日・欧共同プレスリリース」でございます。それから、資料2が「BA原型炉設計活動の進捗と今後の計画」でございます。それから、資料3が「核融合エネルギーフォーラム提言『原型炉に向けた核融合研究開発の具体化について』」でございます。最後に、資料4が「核融合研究作業部会審議メモ(案)」でございます。

 配付資料は以上でございますが、漏れ等ございましたらお申し出いただきたいと思います。

【小森主査】  よろしいですか。それでは、議事(1)「第8回BA運営委員会の報告」です。西山専門官から御説明をお願いいたします。

【西山核融合科学専門官】  それでは、資料1に沿って簡単に御説明いたします。BA運営委員会でございますけれども、「1.概要」の3行目にありますように、原則として年2回日欧において交互に開催されております。そして、第8回の運営委員会でございますが、昨年12月15日にスペイン・マドリッドにおいて開催されました。そのときの主な議題としては、各事業の進展の確認、各事業の2011年の作業計画の承認ということでございました。

 ポイントだけ説明いたしますと、BA活動については大きく三つの事業がございますが、まずIFMIF/EVEDAにおいては、原型加速器の実証実験期間を今までより2.5年延長したしまして、BA協定の終了期間まで、すなわち2017年まで延長するということで承認がなされました。それから、IFERCでございますけれども、後ほど奥村副部門長からより詳細な説明がございますが、日欧共通の原型炉概念に基づく原型炉設計活動を今年、2011年から開始するということが認められております。それから、サテライト・トカマク計画につきましては、非常に順調にJT-60SAの機器製造が進展しているという報告がなされて、承認されております。

 なお、第9回の運営委員会でございますけれども、今まで3回連続青森で開催しておりましたが、平成23年については茨城県那珂市で開催するということで、本年5月で今のところ調整してございます。あと、出席者については、森山審議官がヘッドを務めたということでございます。欧州の方は、キンタナ=トリアスエネルギー局長が務めましたが、キンタナ=トリアス氏については今回が最後だという御挨拶がございました。

 簡単ですが、以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。これに関連しまして、奥村副部長より資料2について御説明をお願いします。

【奥村副部門長】  それでは、資料2に基づきまして、BA原型炉設計活動の進捗と今後の計画について御説明いたします。

 BA原型炉設計とR&Dに関しましては、当初から第1フェーズ、第2フェーズと分けてやり、第1フェーズで準備を行って、第2フェーズで本格的な活動に入る。第1フェーズは、ワークショップ及び技術会合、いろいろな準備的なR&Dを行うということで、第2フェーズの本格的な実施に対する準備期間と位置付けてございましたが、原型炉設計については、昨年1年間以上かけて日欧の専門家で原型炉設計をBA期間中どうやるかということについて、かなり突っ込んだ議論を行いました。

 その結果、共同設計作業として実施要領、Terms of Referenceを定めて、それに基づいて行うことになりまして、それを昨年末、12月の「幅広いアプローチ活動」の運営委員会で承認いただいたということで、今後の原型炉設計の枠組、内容についてかなり明確になったことを御報告したいと思います。第1フェーズに関しましては、ワークショップ、技術会合で原型炉の役割・要件、設計に関わる技術課題等について議論してまいりまして、昨年活動の枠組を実施要領、Terms of Referenceとして取りまとめ、運営委員会で承認をいただいた。

 実施要領の骨子と申しますと、事業チームに日欧の専門家から構成される原型炉設計ユニットを置き、日本のホームチーム、欧州のホームチームで構成される統合チームでもって共同設計作業を実施する。具体的な設計検討作業は、日本のホームチーム、ヨーロッパのホームチームが分担・協力して実施する。共同設計の内容でございますが、「設計情報の整理統合」、「原型炉設計要件の決定」。そして、「原型炉R&D項目の明確化」は、当然のことながらBAで行う原型炉のR&D活動に反映されます。それから、「物理・工学課題の分析」、「原型炉概念案の提示」という五つの内容について行う。そして、共同設計作業に関しましては、日欧実施機関間の取決めであります調達取決めに基づいて実施するということが、Terms of Referenceの骨子でございます。

 具体的な第2フェーズの計画でございますが、第2フェーズを三つのサブフェーズに分割して共同設計を実施するということで、フェーズ2Aで2年間かけまして共通設計基盤の構築へ向けた予備作業を行い、フェーズ2Bで共通設計基盤の整理統合、分析を行って、最終的にフェーズ2Cで原型炉概念の検討を行うということになってございます。また、第2フェーズの前半には、現在準備を進めてございますDesign Driver、設計を決める重要な要素の検討を行うとともに、原型炉のコストを評価するための共通のシステムコードを開発するということで、今ベンチマークコード等の検討を開始してございます。

 そして、当面の2011年の計画としましては、日欧の実施機関間で調達取決めを締結し、調達取決めに基づいて共同設計作業を開始します。共同設計作業につきましては、大学等を含めた国内体制を整備しまして、大学等との共同研究等によりまして、オールジャパン体制で実施するということになります。

 特記事項としまして、原型炉の設計と研究開発は今後数10年を要する息の長い活動でございますので、その実施に当たっては、我が国における今後の原型炉設計を担う若手研究者の養成が一つ肝要なファクターではないかと考えます。また、それとともに、全日本的な幅広い連携のもとで設計検討を実施することが重要であるということで、図1として今考えている実施体制の案がございますが、BA運営委員会のもとにIFERCの事業長がおりますが、事業チームの中に原型炉設計の核となる原型炉設計ユニットを立ち上げるということで、既に日本の専門家は2人六ヶ所に来てございますし、欧州からも専門家がここに合流します。

 そして、日本のホームチームとヨーロッパのホームチームが協力して行いますが、日本のホームチームとしましては、原子力機構の中心となりますのは炉システム研究室でございますが、その研究室だけではなくて、核融合部門全体でサポートする体制でございます。また、共同研究等を介しまして、日本の大学・研究機関等と密接な関係を保ちつつ、メーカーも含めてBAの原型炉設計に関わるチームを明確にしまして、これら全体で日本のホームチームとして、全日本的な体制で実施したいと考えてございます。また、炉工学ネットワーク、核融合エネルギーフォーラム等の合同作業会も立ち上げていただいて、国内意見の集約等を図りたいと考えてございます。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、ただいまの西山専門官と奥村副部門長の御説明に対しまして、何か御質問等があればお願いします。どうぞ。

【髙村委員】  大変期待するところが大きいのですけれども、ちょっと詳細が分からないので2、3お聞きしたい。最後の方からいきますと、最後に言われたBA原型炉設計合同作業会は、BAの枠組の中でどう位置付けられるのでしょうか。

【奥村副部門長】  現在原型炉のR&Dに関しまして、既にネットワークとフォーラムの合同作業会を立ち上げていただきまして、具体的な共同研究について御報告して、共同研究を選定するというわけではなくて意見を伺い、作業会を通じて共同研究のいろいろな報告、今後の方針等も議論していただいております。その原型炉設計版をぜひ立ち上げたいと考えている次第です。

【髙村委員】  ありがとうございます。それから、その上の特記事項で若手研究者の養成とありますけれども、具体的な活動というか、何かありますでしょうか。

【奥村副部門長】  現在具体的にはございませんが、一つは、共同研究で大学・研究機関等と協力する場合に、大学の研究室でも特に若手の今後を担っていただける可能性のある人材をぜひ出していただいてやっていきたい。それから、BA関係で原型炉設計のプラットフォーム会合を昨年から立ち上げてございまして、今年も開く予定ですが、大学、原子力機構、関係機関等の若手に集まっていただいて、原型炉設計の横断的なレビューといいますか研究会みたいなのを開催してございまして、そういう研究会等も通じてぜひ若手の方に参加していただいて、今後担ってくれる人材を発掘していきたいと考えています。

【髙村委員】  若手の研究者を実際に雇うとか、そういうことはなかなか難しいのでしょうけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。それから、1ページ目に戻りまして、原型炉概念と書いていますよね。この概念というのは、どこまでの内容を含むのかということ。

【奥村副部門長】  ITERでもCDR、EDRといきましたけれども、CDRベースのものを日欧でできれば単一のものをつくりたいと考えてございますが、一つにならないまでも、ベースとなるシステムコードの考え方とか、いろいろな考え方を共通したものにしたいと考えてございまして、それを概念とここでは書いてございます。

【髙村委員】  まだありますけれども、一応ありがとうございました。

【小森主査】  それではほかに。どうぞ。

【松田委員】  事業チームの原型炉設計ユニットがまとめる格好になっていますよね。ここのリーダーはもう決まっているのですか。

【奥村副部門長】  はい。現在電中研の岡野先生に外来研究員になっていただきまして、既にこの1月から六ヶ所に岡野先生に来ていただいて。

【松田委員】  それは、日欧共同のチームのリーダー。

【奥村副部門長】  そうです。

【松田委員】  ヨーロッパもそれで良いと言っているわけですね。

【奥村副部門長】  そうです。

【小森主査】  ほかにございますか。

【堀池委員】  いいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【堀池委員】  どなたに聞いたら良いか分からないのですけれども、資料1のIFMIF/EVEDAのことなのですが、加速器とターゲットとユーザーと三つの部分からできていまして、従来は2013年で終わると言っていたものが、加速器だけ延長されて、あと残り二つが置いてけぼりということなのでしょうか。

【奥村副部門長】  そうです。残り二つに関しましては、当初の予定どおり2013年まで運転しまして、そこで報告書を書き上げるということになってございます。

【堀池委員】  それ以降はどうするのですか。

【奥村副部門長】  それ以降は、特にBAの計画の中では決まってございません。

【松田委員】  そうですか。では、大洗のヘリウムというのは今どんな状況になっているのですか。

【奥村副部門長】  今のは、リチウムループに関しましては……。

【松田委員】  ヘリウムじゃない、リチウム。

【奥村副部門長】  12月の段階で一応物としては完成しまして、消防署の最終検査も受けて合格しまして、今調整運転をやってございます。年末にリチウムを全部溶かしたのですけれども、今年に入ってから、溶かしたリチウムを電磁ポンプを動かして今ループを回し始めたところです。今はメーカーも含めた調整運転ですが、本格的な実験はこの夏くらいからと考えています。

【小森主査】  ほかにございますか。よろしいですか。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。議事(2)は「核融合研究開発の在り方について」です。前回の作業部会におきまして、核融合エネルギーフォーラムからも意見を伺うということでございましたので、堀池委員より資料3について御説明をお願いいたします。

【堀池委員】  資料3を御説明いたします。これが、核融合エネルギーフォーラムの調整委員会を経て、委員長の了解のもとに正式に出されたバージョンということになります。全体の構成を見ていただきますと、1ページ、2ページにあらすじ、要約がございまして、3ページから9ページまでが本文というか、内容を御説明申し上げておりまして、11、12ページで具体的な事項を述べた形という、3部に分かれた構造になっております。

 あまり時間もありませんので、キーワードだけ御紹介したいと思うのですけれども、今奥村さんの話にもございましたが、1ページの上から3行目くらいから見ていただきたいのですが、結局ITERとブローダーアプローチを利器として、原型炉につなげる活動を本格化させていただきたいというのが、この提言の一番の主要ポイントでございます。5行目から6行目に書いてございますように、原型炉の建設に至る過程を着実に進めていただきたい。それによりまして、ITERとかJT-60SAはこの提言では既存のプロジェクトとしているのですけども、そういったものが合理的かつ効率的な実験開発を主導する一番の錦の御旗を立てる必要があるということでございます。

 もう一つは、9行目、10行目になるのですけれども、来るべき原型炉の製造設計・建設段階への円滑な移行を可能にするような工学基盤をちゃんと構築する必要があるということと、そのさらに2行くらい下のところに、社会に核融合エネルギーの利用を含めた総合的な技術戦略を明示して、ちゃんと我々コミュニティーとして説明責任を果たしていく必要があるといったことが書いてございます。

 ここで想定しておりますのは、ITERとブローダーアプローチが既に終わってからどうするかということがメインなのですけれども、一応二つのフェーズに分けております。1ページ目の2番目のパラグラフの3行目の「原型炉概念設計活動」と、その次の行にある「原型炉工学設計・R&D活動」の二つくらいに分けて中身を整理しておりまして、「原型炉概念設計活動」は、大体2010年代、ITERのファーストプラズマ点火までを想定しておりまして、二つ目の「原型炉工学設計・R&D活動」は、ITERのDT運転である程度性能が見える時期までを想定しております。ここの御提案の趣旨は、第2パラグラフの一番下にありますように、「原型炉戦略設計コアチーム」の早期立ち上げを提案したいということであります。

 1枚めくっていただきまして、裏の2ページに項目がずっと要約されております。この項目が3ページ以降と1対1対応になっておりますので、ここから先は、3ページに飛びまして御説明させていただきたいと思います。

 「原型炉戦略設計コアチーム」が「原型炉概念設計活動」で何をするのかということに関しましては、3ページの下から9行目あたりに点を四つ箇条書きしておりますが、まず、原型炉の仕様を決めるための技術基盤を整備して、いろいろある技術の中から技術を選択する。それから、2番目のポツでは、主要装置の概念設計を構築して、概略の仕様を決定する。それから、3番目のポツでは、最初の「原型炉概念設計活動」の段階では、「原型炉工学設計・R&D活動」に円滑に移行するために必要な最低限の工学設計くらいはやっておきたい。それから、4番目のポツでは、核融合エネルギーの意義、安全性、環境特性といったことに関して、ちゃんと国民への説明責任が果たせるような材料をつくるということが、「原型炉概念設計活動」での具体的な活動になる。

 1枚めくっていただきまして、4ページなのですけれども、4ページの2が「『原型炉設計作業活動』の進め方」でありまして、2-1に当面の組織・枠組みが書いてございます。我々が想定しておりますのは、今奥村副部門長から御紹介がありましたBAによる概念設計活動が、一つのコアとして非常に期待できる。それに日本国内の分をしっかりと付加して、日本独自の設計活動としてつくっていって、それが将来の日本の原型炉設計の旗手となるように育てていくのが大事だということをここで述べております。

 それで、その中身についてですが、1で書いていますのは、今奥村部門長の話でもありましたけれども、設計の内容が設計者によって好き嫌いがあったり、R&Dの提案内容がいろいろ違ったりしますが、そういったものを取捨選択して1本化するということでございます。2は、非常に長期的な、特にエネルギーを目標とするプロジェクトになるところから、ここにははっきり書いていないのですけれども、バックグラウンドとしては高速増殖炉、核燃料サイクルとの両立性とか、相補性についてきっちりと説明することが大事だと。それから、3番目では、概念を決めるに当たりまして、全体の炉構造におきまして遠隔保守性とか2030年代、40年代の原子力機器の製造技術といったコンパチブルな技術でできるような設計を目指すことによって、合理的な価格でエネルギー装置をつくるという志向性を出していただきたいということが書いてございます。

 それが設計チームの役割として我々が提言する内容でございまして、工学的な内容につきましては6ページ以降に書いてございます。1枚めくっていただきますと、2)に装置工学と書いてございまして、簡単に言うと、超電導の線材をどうするか、超電導コイルを何に使うのかということを工学開発しておく必要がある。単純に言いますと、現状のニオブ酸スズ線材、今先進的な線材として注目されておりますニオブ酸アルミニウム、高温超電導材料などの新しい線材の研究を進めて、工学R&D、あるいは本格的な建設のためのR&Dに至るまでに、このような線材の見通しを得ておくための準備を、未来から現代に戻って手順を追って進めておくことが非常に重要であるということでございます。

 それから、3)はブランケット工学について記述してございます。1は、ITER-TBMがITER計画でもBA活動でも入ってございませんので、とにかくITER-TBMのちゃんとした具体化と、ITERに日本のブランケットモジュールをしっかりとつけてテストすることが一番重要ということをここで書いております。2では、それを受けまして、原型炉ブランケットモジュールを開発しておくことが重要になってきまして、それに対して、「原型炉戦略設計コアチーム」を中心としたR&Dを行って、原型炉用のブランケットの開発を行うということが書いてございます。

 7ページの第2パラグラフの「『原型炉工学設計・R&D活動』での課題」というタイトルのすぐ下の1行目のところで、我々としては炉工学試験装置を提案したいと考えております。これは、中性子源、イオンビーム、電子ビーム、レーザーを利用した材料の超高熱負荷試験装置とのコンビネーションを、今のところはよく分からないのですけれども想定しておりまして、そういったものを準備することによって、核融合ブランケット以外のところでもブランケット、あるいは次に出てきますダイバータのモジュール程度のプラズマ条件に比較的近い工学試験ができるものを考えております。そういうものを利用しまして、ブランケットの開発を進めていくことが重要である。

 4)がダイバータ工学でございまして、ダイバータも現状では、いろいろなプロジェクトからアパラントにこれが大事だということが重要なわりには、比較的抜けているところでございます。ダイバータにつきましては、高熱負荷の受熱装置という意味では、基礎試験を行えるような炉工学試験装置をつくるということと、もう一つは、プラズマとのPSIは幸い今のところ、ラージヘリカルデバイスが非常な高密度でプラズマの運転ができるということですので、その特徴を生かしてLHDを中心にPSIの研究を進める。そういう二つの装置の成果をシステムとしてJT-60SAに持ち込みまして、そこで最終的なフルのテストとはいかないと思うのですけれども、全体のテストをするという方向付けが良いのではないかということを提案しております。

 それから、7ページの一番下の行に5)で核融合燃料工学とまとめられておりますが、トリチウム関連技術の重要性、必要性について述べているセクションです。8ページの1行目を見ていただきますと、最初に出てくる言葉が「初期装荷トリチウムの入手や管理」ということでございまして、本気になって原型炉をつくるとすると、1970年代に高速炉ができたときに、プルトニウムがないという議論がありまして、それとよく似た議論になるのですけれども、トリチウムがないという壁を乗り越える必要がある。

 1でトリチウム関連技術の開発が必要と書いておりまして、5行目の第2パラグラフですが、国内で原子炉とか中性子源を使って製造する、あるいは8行目にありますが、そのころ例えばEUでも原型炉をつくるという話になれば、トリチウムの国際管理ということもあり得るとか、最初はDTのバランスでTが少ない状態から、原型炉で少しずつTBRを高めて増やしていくという自給シナリオも一応考えられますので、そういったものも含めて、トリチウムの確保の技術開発が非常に重要であるということをここで書いております。それから、2の上のところなのですけれども、炉工学としてのトリチウム技術は、現在のところITERで確立されるということになっておりまして、それを今奥村部門長から御紹介がありましたIFERC事業などと組み合わせて、安全管理、トリチウムの環境挙動や計測管理の技術に継承して、原型炉に開発としてつなげていく必要があるということでございます。

 2では、トリチウムの増倍という意味でリチウムが非常に死活的な役割を果たしておりまして、リチウムの確保がもう一つの重要技術になる可能性が高いと書いております。特に核融合でトリチウムをつくりますのはリチウム6ですので、リチウム6の濃縮とか、リチウムの確保だけでなくて、その中からリチウム6をどうやって取り出すか、どうやって有効に活用するかという技術開発が非常に重要だとここで書いております。

 それがトリチウムのところで、6)が材料工学、あるいはデータベースということで、7)が環境安全性評価とか安全性の研究を少しずつでもやっておく必要があるということで、特に規格基準と、まだちょっと気が早いのですけれども、本当に原型炉を日本につくるということを考えた場合に、どう安全を国民として担保してもらうのか材料開発と一緒に考えていく必要があるということで、この辺は、実際にR&Dが始まりますと、その中で一緒にやっていくことになる。

 私個人の感想としましては、昔ITERの誘致のときに藤家委員会、田中知委員会というのができまして、日本に来たときの規制の勉強をされておりました。そのときの話では、僕も委員だったのですけれども、日本でのITERは核燃料取扱い施設プラスアルファくらいというところを目標にして規制の勉強をしていたのですが、今ITERのフランスでの規制を聞きますと、一番グレードの低い原子炉並みの規制となっていると聞いておりまして、その辺の考え方が少し違っていて、フランスの現在の規制の方がきついのではないかと思われる。そういうことも含めて、現在のJAEAの方には、ITERの安全許可についてどういう議論が行われて、どういう技術体系で、どういうふうにして安全で、なぜ原子炉並みになったのかしっかり勉強していってもらって、将来の原型炉の開発の方向性付けに役立ててもらうことが非常に重要ではないかと思います。それは書いていないのですけれども、私の感想です。

 8)は、炉心プラズマの研究が一番大事だと。当然これが原型炉の概念を最も大きく支配する項目でありまして、そのためにITERとJT-60SA、あるいはLHDのプラズマ研究と理論シミュレーションの開発が非常に大事で、それらの開発とそこでの若手の人材育成をあわせて、今後の本格的な開発につなげていくことが大事であるということで提言を締めくくっております。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、御質問や御意見がございましたらお願いいたします。どうぞ。

【髙村委員】  非常にしっかりとしたまとめをしていただいたことに敬意を表します。最初にも書いてありますが、4番目のところで「原型炉戦略設計コアチーム」を立ち上げるということで、これは先ほどのBAの活動と一応一線を画した形で、日本独自のものを十分盛り込めるということなのですけれども、当面、あるいは将来的にはどう考えておられるのでしょうか。要するにどこにつくるのかということですけれども、これを読みますと、JAEAの中に将来的にはつくっていくというお考えなのでしょうか。

【堀池委員】  そこまで議論していないのですけれども、ここで想定しましたときは、JAEAとは一線を画した方が良いという意見は結構強くありました。というのは、大学とか核融合研究所もありますし、特に産業界の意見をこれから大きく取り入れていって、電気業界に核融合のグループをちゃんとつくることが、原型炉に向かって非常に大事な要素であることから、その辺が入りやすい形態を模索するべきだということかもしれません。あまり強くは想定していません。

【髙村委員】  当面はどういうふうに。フォーラムの中で活動されるのですか。

【堀池委員】  そこまで議論していないので申しわけありませんが、司令塔さえしっかりしていれば、バーチャルでもいいのではないかという意見もありまして、そういう意味で言うと、先ほど奥村副部門長がお話しされたJAホームチームの横っちょくらいにいるか、JAホームチームの取り巻きとして最初はスタートするというのが一番自然な姿なのかもしれません。

【髙村委員】  逆に言いますと、この作業部会で議論しているのは、まさにそこをどうするかということはかなり柱になる部分もありますよね。

【堀池委員】  はい。

【髙村委員】  それから、もう1点よろしいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【髙村委員】  個別的な話ですが、炉工学試験装置というのもまだ具体的な姿はあまり見えていないということですが、ダイバータなんかとも関連して考えられているのですよね。その場合に、例えば熱負荷という考え方ですと、レーザー、電子ビーム、イオンビームとかおっしゃいますが、ただ、相手はプラズマですので、その観点が抜けるとかなり問題が出てくるのではないかと思います。それで、これを検討する場合には、いわゆる炉工屋さんだけではなくて、プラズマ屋さんもちゃんと含めて検討していただきたいというのが希望です。

【堀池委員】  その辺は、私の個人的な考え方ですけれども、LHDでどこまでカバーできるのかというのと、原型炉の条件からおろしてきたときに、LHDの条件がオーバーラップするかしないかによっても変わってくると思うので、その辺の議論も大事かと思います。

【髙村委員】  そうですね。

【小森主査】  ほかにございますか。これは、この間のネットワークの御意見と合わせて、次期以降にロードマップの中に組み込んでいくという話でよろしいわけですね。

【松田委員】  今の議論と関連して、ダイバータのプラズマの観点で言ったときに、トカマクのダイバータプラズマとヘリカルのダイバータプラズマとのシミラリティーとかを検討したというのはあるのですか。あるいはまだないのか。要するに、例えばヘリカルでどこまでできるかという。

【髙村委員】  たしか学会誌のどこかでその違いとかを議論して、誰が書いたのかというのは今クリアではないのですけれども、いろいろおもしろい比較があって、核融合研の小林さんなんかも含まれている。(2009年5月号に統計的磁場中のプラズマ輸送について核融合研の増崎・小林が比較している。)

【小森主査】  そうかもしれません。

【髙村委員】  ありましたよね。

【小森主査】  あったと思います。

【松田委員】  いつ頃の。

【髙村委員】  ごく最近です。

【松田委員】  そうですか。

【髙村委員】  あれは非常によくまとまっているなと思ったのですけれども、まさにそういう点も非常に重要だと思うのですね。磁力線のコネクションレングスが全然違いますので、しかもLHDの場合はそれが分布しているわけですし、その辺はかなり違うのではないかなと思います。

【小森主査】  そういう意味では、LHDはまずエルゴティックレイヤーが存在する。その外にダイバータ構造がありますので、その辺はかなり違うし、不純物を中に入れないという意味では、小林さんが書いていた気がしますが、エルゴティック層の存在が非常にポジティブに働いている格好ですね。

 ちょっと余談かもしれませんが、今LHDはクローズドダイバータ化のため、2セクションだけバッフル板を設置して実験を行っています。ダイバータ部のコンプレッションとしては、山田さんの方が詳しいですが、計算どおり大体20倍くらいになっているという結果が得られつつあるところです。まだポンプは置かずに、コンプレッションだけの試験です。

【髙村委員】  握力の絶対値としては、どんなものですか。

【小森主査】  絶対値はどのくらいですか。

【山田科学官】  0.1パスカルくらいです。

【髙村委員】  0.1パスカルということは、トールで言うと。

【小森主査】  トールで言うと……。

【山田科学官】  100分1だから、1ミリトールです。

【髙村委員】  それはまだ不十分ですよ。だって、トカマクでは何10ミリトールでしょう。すごいコンプレッションが。

【山田科学官】  ええ。

【小森主査】  ただ、体積的な問題を加味すれば多分同じくらいの効果はあると思います。

【髙村委員】  まだこれからだと思いますので。

【疇地委員】  1点お伺いしたいのですけれども。

【小森主査】  どうぞ。

【疇地委員】  この提言をこの委員会の中でどのように使うといいますか、役に立てていくのかというのが、まずお伺いしたい1点です。もう一つは、もちろんそのお答えによるのですけれども、9ページの炉心プラズマ研究は磁場核融合だけに特化されていて、後で議論もあるのでしょうが、これは考え方なので、こうせいと言っているつもりはないのですけれども、炉心プラズマの性質が相当違うわけなので、考え方としては、別々のそれぞれの方式に適したやり方が当然あるという考え方に基づいて、磁場核融合だけにされているのでしょうかという確認です。

【小森主査】  まず、この提言をどうされるのですかという最初の御質問ですけれども、前回議論しましたように、ネットワークから御意見をお聞きしたので、今度はフォーラムの方からお聞きし、次期になりますけれども、この二つを炉工学のロードマップを作る際の参考にさせていただくということです。もう一つの方は、堀池先生に。

【堀池委員】  髙村先生にお答えしてもらった方が良いかもしれないのですけれども、もともとトカマクの原型炉を目指したロードマップがあって、まだこれから発展しますが、ITER、BAという一応既定のプロジェクトがあって、その間をどうやってつないでいくのか検討しなさいというのがもともとの発端なので、その路線に沿ったお答えを出しております。

【疇地委員】  どうもありがとうございました。

【小森主査】  どうぞ。

【吉田委員】  これはフォーラムでまとめさせていただいたものなのですが、いろいろ提言というか考え方を述べてありますけれども、この作業部会として非常に重く受けとめなくてはいかんというか、我々がぜひ議論するべきだと思うのは、先ほどから出ています「原型炉戦略設計コアチーム」をどう立ち上げていくのかという。そういう道筋をつけるのは、このレベルのディスカッションではなくて、核融合研究作業部会のまさに一番大きな使命の一つではないかなと思うのですね。

 そういうところできっちりした方針が出ることによって、後の項目も非常に筋道が立った形で進んでいくということなので、ここに「早期立ち上げを提案する」とありますけれども、本当に今立ち上げるべきときだと思いますので、今期のまとめの報告書はぜひこの辺の議論を含んだ形でまとめていくべきだという気がいたしております。この報告書の中身ではございませんけれども、これを受けての私の御意見を申し上げさせていただきました。

【小森主査】  そういう意味では、どこにどう立ち上げるかという具体的な話になると、かなり議論が要るところなので、次期にかなりディスカッションが必要かと思います。今期は今までの議論をまとめて……。

【吉田委員】  それをしっかりと次につないでいくということですね。だから、今決められないのだったらどういうところに課題があるのかとか、その辺のところも少し議論した方が良いのではないかなという気がいたします。

【小森主査】  どうぞ。

【笹尾委員】  今の御議論と絡んでいるのですが、2ページ目の最初の「原型炉の概念構築と設計作業」ということで、この提言の中では、原型炉概念をまず構築してR&Dに着手という順序で書かれていて、その後、当然いろいろな試験装置が必要だとか、こういう研究が必要だという項目がいくつも挙がってはいるのですけれども、時系列というか、結局下に掲げたいろいろな課題はそれぞれ非常に強くリンクしていて、試験装置で得られた結果が必ずしも生きてくるとは限らないような炉設計になる可能性もあると思うのですね。そのあたりをどこが担うのか、開発項目のリンク及び進んでいる概念の構築を統合して、見通すところはどこなのかという点を。それこそ今吉田先生がおっしゃられた、この作業部会でそういうところをどうするのかという議論が重要だというのは、そういうところではないかと思うのですけれども、私なりの解釈です。

【堀池委員】  いいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【堀池委員】  それは、多分「原型炉戦略設計コアチーム」の一番大きな仕事というか、チームを設置する目標が、そういうものを最も合理的なできるだけ手戻りのない形で進めるように努力する。完璧に無駄なしにR&Dができるとは誰も思っていないですけれども、この御時世ですし、できるだけ合理化されたスタイルでR&Dを進めるというのが大事。そういう意味もあって、解析と理論の研究もここに入れさせていただいて、従来は実験でやっていたものは、コンピューターでできるものはできるだけコンピューターに移して、合理化した形で開発をするという趣旨で書いてございます。

【笹尾委員】  そういたしますと、今のコアチームのイメージとすると、相当な経験と頭脳を必要とする。若手の人材ということも書いてありますけれども、むしろそういう意味では経験と頭脳を持って、バーチャルな組織ではかなり難しい仕事が予想される気がいたしますが。

【堀池委員】  多分それは、先ほどから髙村先生との議論もありましたけれども、フェーズで変わってくるのだと思うのです。笹尾先生がおっしゃるのは、多分セカンドフェーズ、サードフェーズに行くと、プロジェクト全体をコントロールする機能がメインになってくるし、最初のうちでおっかなびっくりで、EUと日本の概念が違うというところから多分始まるのだとは思うのです。

【笹尾委員】  それで確認なのですけれども、この提言の最初に原型炉概念をまず構築してR&Dに着手という文章が出てきたいきさつですが、それを考えると、概念を構築というところにかなり重要な内容が含まれているのではないか。フェーズ1のところをおっかなびっくりスタートするという話もありましたけれども、最初の1歩が重要ですので、かなりしっかりしたものが必要ではないかという印象を持ちました。

【小森主査】  先ほどの奥村副部門長のヨーロッパとの話は、概念設計が目的というか、いろいろやった後に最後に概念設計となるわけですね。それとはちょっと違う。そういう意味では、こういう御提案があるということで、ネットワークの御提案とも合わせて、どうするかは、さらに議論を重ねて進めていけば良いと思います。多分今の堀池先生の御説明ですと、具体的な御提案ではなく、こういうのが必要ではないかという御提案ですので、今後その辺りから議論していけばと考えます。

【奥村副部門長】  よろしいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【奥村副部門長】  BAにおける日本のホームチームをどう運営していくかということについては、今いろいろ考えてございますが、一つは、単に共同研究といっても、従来の共同研究のように契約書に基づいてこういう研究、検討をやってくれて、それを研究会で発表し、報告書にまとめるというだけではなくて、IFERCの文書管理システム、DMSというのが立ち上がって、そこに設計とかいろいろな研究成果とか設計検討の成果を全部統一して、日欧のドキュメント管理、文書管理システムとして成果をざっとまとめようと思っていて、そこからとったやつに貢献をプラスしていくという共同設計の形を考えているのですが、共同研究に参加していただいたキーパーソンとなる方々には、ぜひDMSに直接アクセスして、日欧の合同チームのメンバーになっていただきたいと考えてございます。

 従来DMSは原子力機構のメンバーだけが参加していたのですけれども、そうではなくて、日本のホームチーム全体として、キーパーソンになる方々にはDMSのアカウントをとっていただいて、ぜひ主体的に日欧の共同設計作業に参加していただきたい。そういうキーパーソンとなる方々は、今おっしゃられたコアチームのメンバーにもダブるのかなと、私の個人的な意見ですけれども考えたのですが、いかがでしょうか。

【小森主査】  まず松田先生から。

【松田委員】  「原型炉戦略設計コアチーム」の議論をするときは、先ほど来議論が出ているように具体的な議論を始めないと、多分いつまでたっても繰り返し絵にかいたモチの話になってしまうので、こういう議論をするときは、良い、悪いは別にして、具体的提案がなされないと話にならないと思うのです。お役所の方も、例えばそういうものを設けて何かしようとすると、全く予算措置なしでというわけにいかないから、お役所の方で受け取れそうな感覚と、実現性があるかとかいうことをいろいろ加味しないといけないので、次回だと思うのだけれども、ぜひ具体的な提案を各委員が出していただいて議論するのが必要ではないかと思うのですね。

 そのとき大事なのは、堀池先生なんかも言っておられた、どこかに属してそのアドミニストレーションのもとでやると、なかなか協力の形がつくりにくいという議論はあるのですけれども、それはマネジメントのインディペンデンシーであって、お金の流れとしてどこかに属しているということと直接には関係がないようにはできるのだと思うのです。というのは、新しい全くインディペンデントな組織をつくろうとしたら、非常にコストが高くなるのです。事務屋さんのほかに、理事会だの何だのをつくらないといけないし、今からそんな独立したのが認められるとはとても思えないのですね。

 そうすると、どこかには属しているのだけれども、設計のマネジメントに関してはそこのチームに最大限委ねられるという形がとれれば、インディペンデンシーは確保できるし、そこの区別をちゃんぽんにしながら議論すると、いつまでたっても答えが見つからないので、ぜひそういう認識で、例えばどこには属すけれどもどういう条件でとか、セットの提案をそれぞれ出して議論すべきではないかと思います。

【小森主査】  どうぞ。

【堀池委員】  今の御議論に関しましては、僕らが参考にさせていただいたのは、3回くらい前に常松委員の方から原型炉の設計チームの御提案がありまして、一応それと今奥村副部門長から出てきましたような考え方の包絡線みたいなものが多分出発点になるという前提で考えて、この文章はできております。今の松田委員の話で言うと、旅費はどうなるのとか、僕らにしてみると授業はどうするのとか、もう少し具体的な話になってきたときに、いろいろ条件、バウンダリーコンディションがそれぞれ変わってくるので、もう1回集まって考えて、最小公約数はここで、最大包絡線はここだというところでまとめていかざるを得ないのかなと思うのです。

【髙村委員】  よろしいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【髙村委員】  今の話を聞いていると、あまり踏み込むと良くないかもしれませんけれども、JAEAに立ち上げるというのはなかなか難しいような気がするのですね。というのは、BAが一応走っていますのでそれとのすみ分けとかがありそうで、むしろ核融合研の方が良いような気がするのですけれども、これは聞き流していただいて良いのですが、そうすると、そこで日本版という形でやれますので、総合的にうまくやっていくと非常に良いのではないかなという印象を持ちました。

【小森主査】  その辺の議論は次期ということで、それはこの辺で。ほかに全く違う……。

【山田科学官】  高村先生の先ほどのLHDのコンプレッションの話ですけれども、私勘違いしていて、0.5パスカルです。5倍上がっていますので。

【髙村委員】  いや、いいと思います。

【山田科学官】  まだまだ足りないということは重々理解しておりますので、研究を進めていきたいと思います。

【髙村委員】  DIIIDだったと思いますけれども、数10ミリトール。

【山田科学官】  それと、もとに戻りまして、堀池先生、まとめてこの部会に出していただきまして、どうもありがとうございました。それで、1点スペシフィックな質問なのですけれども、装置工学が必要だという指摘の中で、超電導磁石、遠隔保守、加熱電流駆動というのが挙げてあって、超電導磁石と遠隔保守については詳細が書いてあるのですが、加熱電流駆動については記述がないので、これについてはITERとBAでいけるという理解でよろしいですか。この報告書の内容として、確認しておきたいのですけれども。

【堀池委員】  そういう話をしていくと、ほかにも計測をどうするのとかいうのが出てくると思うのですけれども、加熱電流駆動に関して言うと、一応議論はしたのですが、ITERとブローダーアプローチ、JT-60SAの中にあらかた含まれていて、それにも少しR&Dが必要になるかもしれないけれども、特に抜き出して項目を立てるほどのことはないのではないかということで、加熱電流駆動を項目としては入れなかった。その原因は、一つは、ほかのワーキンググループのロードマップのときにもその議論があったのですが、一応ネットワークの方にも入っていますし、そういうことも考えて挙げなかったということです。忘れているわけではありません。

【小森主査】  ネットワークには入っているということですね。ほかにございますか。よろしいですか。

 それでは、次に移らせていただきたいと思います。次は、資料4です。「核融合研究作業部会 審議メモ(案)」ということで、西山専門官から御説明をお願いいたします。

【西山核融合科学専門官】  それでは、資料4を御覧いただきたいと思います。第5期の審議の成果物となります作業部会の審議メモの案でございますが、これにつきましては、前回の部会におきまして一応お諮りいたしました。かなりまとまっているけれども、いくつか修正すべき箇所があるということで、本日は修正点について御説明いたします。

 まず、1ページ目でございますが、第3パラグラフの白丸の二つ目でございます。「核融合に関する学術研究については」とございますが、学術研究として進めているヘリカル方式、レーザー方式についても、トカマク方式と同様に既に核融合炉としての可能性について判断すべき時期にあるという意見が出た一方で、ヘリカル、レーザー方式についてはまだ研究開発段階には至っておらず、その段階に進むまでにはチェックポイントを設けて、チェック・アンド・レビューをかけて見きわめをすべきだという御意見が出ました。

 そういった意見に対しまして、特に松田委員から的確なアドバイスをいただきました。お手元の資料の赤い紙のファイルの4を御覧いただきたいと思いますけれども、「今後の核融合研究開発の推進方策について」というものがございます。こちらの26ページの中ほど、3.5.2にチェック・アンド・レビューとありまして、そこの第3パラグラフをそのまま資料4に持ってきたということでございます。核融合炉としての可能性を記述するのはまだ若干早いのではないか、基本的な考え方から逸脱するのではないかという指摘を松田委員からいただきましたので、17年の指摘をそのまま採用して入れているという状況でございます。

 それから、4ページにまいります。これも同じ話であったのですが、4ページ目の第2パラグラフの8行目でございます。「ITER計画やBA活動が進捗したこと、あるいはトカマク方式のみならず、重点化を図ったヘリカル方式、レーザー方式の研究も進展してきている」と、ここで一旦丸をつけておりますけれども、前回は「してきており、また、」と続いておりましたが、続いているとトカマクもヘリカルもレーザーも同じレベルで考えるようなイメージを持つということで、誤解しないように「してきている」で一旦切った方が良いという御意見をいただきましたので、その形にしております。

 それから、7ページでございます。先ほど堀池先生から御報告をいただきましたけれども、7ページの3の1の第3パラグラフでございますが、核融合エネルギーフォーラムというのを固有名詞で加えております。核融合ネットワークのみならず、核融合エネルギーフォーラムにおいても精力的な議論がなされていて、さらに最近では一体になってやっているということがございますので、核融合エネルギーフォーラムという固有名詞を入れたということでございます。

 それから、めくっていただきまして8ページでございます。先ほど来御議論が盛んにございましたが、「2.産学官民一体となった推進・支援体制の構築」の第3パラグラフの2行目の中ほど、「また、BA活動では、平成23年から原型炉設計活動が、日本原子力研究開発機構、核融合科学研究所、大学、産業界などの協力の下、全日本的なチーム体制の整備を図りつつ、開始される予定であり、人材の育成も期待されるところであるが、チーム体制の充実や活動の強化を今後も図っていく必要がある。併せて将来の原型炉開発を見据え、優秀なコアとなる人材が集まり、将来にわたって中核的な機能を果たす組織について検討していく必要がある」ということで、ITER、BAだけでは解決されない課題があると聞いておりますけれども、将来の原型炉開発を見据えてBAチーム体制を中核に、それを取り巻く形で発展させて、そうした組織をつくっていくということを今まで以上に踏み込んでおります。

 それから、最後でございますが、9ページ目でございます。産業界からは、メモ全体として緊迫感が足りないのではないかという御指摘を受けました。ということで、(2)の第3パラグラフになりますけれども、核融合研究については、我が国の研究レベルは世界最先端レベルにあるわけですが、国際競争が激しくなっており、決して安閑、安穏としておられないという状況で、そういった中で、支持・支援を取りつけていく必要があるということを新たにパラグラフごと追加しております。

 修正点は以上でございます。

【小森主査】  この間の御議論を踏まえて直していただいたわけですけれども、これにつきまして御意見等ございましたらお願いします。どうぞ。

【松田委員】  1点だけ今気がついたのですが、最後の9ページで波及のこれを入れるのであれば、超電導の技術というのが抜けているような気がします。

【小森主査】  どこですか?

【松田委員】  最後のパラグラフです。核融合研究の波及技術について、「例えば、高熱負荷材料」云々かんぬんと書いてあるところです。

【小森主査】  ここに超電導の。

【松田委員】  超電導の技術というのは、いろいろな波及をしていますので。

【小森主査】  この間御指摘いただいたところは、直っていると思いますけれども、ほかにございますか。

【堀池委員】  いいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【堀池委員】  前回欠席しましたもので、前回に議論されたのかもしれないのですが、このメモはどういう位置付けになってということをお伺いしたい。

【小森主査】  今期は核融合工学といいますか炉工学といいますか、そのロードマップをつくる目的で始まったわけですけれども、今期の完成は非常に難しいということで、中間的なまとめをする、メモをまとめることにしました。最初の目的は次期以降に引き続き行うという格好になります。

【堀池委員】  引き継ぎ文書のようなものですね。

【小森主査】  そうですね。

【松田委員】  確認ですけれども、田中知先生の委員会には報告は上がるのですか。あるいは、まだその以前の段階でとどまりますか。

【西山核融合科学専門官】  一旦は、第5期の審議の状況ということで、審議のメモとして小森主査の方から早い時点で御報告していただこうと考えております。

【小森主査】  ということですので、重要な議論という意味ではまだ入っていないかもしれませんが、中間ということで御理解いただければと思います。よろしいですか。

【髙村委員】  一つ。

【小森主査】  どうぞ。

【髙村委員】  3番目の「原型炉開発に向けた今後の検討・推進体制の在り方について」で、核融合エネルギーフォーラムと核融合ネットワークの話があって、ここでは研究開発の課題について検討がなされてきていると。確かにそうなのですけれども、今日の話で体制とかにも言及されていて、そこが非常に重要だという先ほど来の議論ですので、それを反映していただかないと。

【山田科学官】  髙村先生の御指摘の点は、1ページめくっていただいて8ページ目の「(2)進路決定の仕組みづくりとそのサポート体制について」ということで、特に下の4行のところに核融合研とJAEAの役割、フォーラムとネットワークの役割について記述してございますが、これではちょっと違う。

【髙村委員】  ちょっと弱いのではないかな。先ほどの推進体制というところに向けて、そこにも記述していただくとよりインパクトが大きいのではないかなと思います。

【小森主査】  検討がなされてきている中身について、研究開発の課題と体制についてもということですね。

【髙村委員】  そうですね。3のところで「検討・推進体制の在り方」と書いてありますので、ここできちっと記述して。

【松田委員】  「研究開発の課題や体制について検討がなされてきている」とすれば。

【小森主査】  そうですね。体制につきましてはそのように直させてもらって、あと何かございますか。あれば。

【疇地委員】  ちょっと細かいところなのですけれども、2点ございます。一つは、6ページの上の方で、「方式の違いを超えて、原型炉開発の前に立ちはだかる課題を解決し、原型炉開発の可能性を高めるためにも、着実に推進していくことが必要である」と。それで、「特に」ということで特出しをして、炉心プラズマの話と炉工学の話が書いてあるわけです。炉心プラズマの非線形性、非平衡性、自律性という相当……、この文章がここに出てくるのが適切なのかという質問なのですけれども、つまり、方式の違いを超えて進めるために、これ以外にないのかということなのです。この文章が非常にスペシフィックな印象があって、ちょっと引っかかった点が一つです。

【小森主査】  引っかかったというのは、「特に」と書いてありますけれども、なくても良いのではないかと。

【疇地委員】  そうではなくて、ほかにはないのだろうかと。つまり、例えば高密度とか。

【小森主査】  非線形性とか非平衡性という言葉に並んで、ほかにもないかということですか。

【疇地委員】  そうです。それが一つと、もう一つは7ページで、これは私の責任でもあるのですけれども、一番上の行に「セラミッククリスタルの透明化と励起用レーザーダイオードの長時間運転」というのが挙げてあります。これは文章としてちょっと曖昧なので、つまり、成功するというのが両方にかかっているはずなのですけれども、この文章からはそれが明示的には読めないということと、セラミッククリスタルは確かに大きなブレークスルーだけれども、レーザーダイオードは別に日本だけで長時間運転をやっているわけではないとか、細かい修正について後で送らせていただいてよろしいですかね。

 以上2点です。

【小森主査】  最初は6ページですね。でも、これは特に炉心プラズマの……。

【松田委員】  炉心プラズマが重なっていますね。

【小森主査】  重なっていますね。「炉心プラズマの非線形性、非平衡性、自律性といった」と言っていて、別にこれだけに限っているわけではないような気がしますが、何か引っかかりますか。ほかに何かありますか。

【疇地委員】  炉心プラズマとしては、重要な物理はこれだけではないのではないかなと思うのですね。その後で、「『選択と収斂』を行う際の根本的な判断基準を与えるものである」とまで書いているので。

【小森主査】  「といった」という中にいろいろ入っているのではないですか。もっとあれば、具体的に挙げれば良いかもしれませんけれど。

【笹尾委員】  確かにこれはかなり強調して書かれていますね。これらが「『選択と収斂』を行う際の根本的な判断基準」とまで強く言っているので、そうすると、上に挙げたこういう特徴が理解できれば、「選択と収斂」を行う際の根本的な判断基準が出るのかと理解されてしまう可能性があります。

【小森主査】  私は、この文章は要らないような気がします。これが分かったら炉ができるわけではないですよね。

【笹尾委員】  そういう意味で。

【小森主査】  いくら非線形とかを解明しても、別に炉はできないです。非線形を研究していましたから、私がとっくにつくっていますよ。

【笹尾委員】  これは、確かにかなり強いステートメントですね。気がつきませんでした。

【吉田委員】  これは、確かにレベルが違う。

【小森主査】  これはない方が良いと思いますが、いかがでしょうか。

【堀池委員】  この部分は、「特に」から「ものである」というところまで要らないとおっしゃっているのですか。

【小森主査】  「特に」から「判断基準を与えるものである」まで要らないと思います。「また」も要らないかもしれませんね。次は、基礎が要ると書いてありますからそこは良いですね。したがって、「原型炉開発にあたっては、重点化施策の一つである炉工学についても、総合的な知見が必要となることから、今後どのように基礎学術研究の知見を蓄積、あるいはうまく統合し」だけあればよいと思います。

【笹尾委員】  いや、この文章は炉工学と炉心プラズマを対比させているので、疇地先生がおっしゃるようにもう少し一般化して、「特に、炉心プラズマ」の後の1行を飛ばして、「に関する高度な理解は、今後の原型炉開発にあたり『選択と収斂』を行う際の根本的な」というので、「炉心プラズマに関する高度な理解」としてしまえば、いろいろなものが含まれると思います。

【小森主査】  確かに。それでいきましょうか。

【髙村委員】  ただ、まぜ返すわけではないのですけれども、フォーラムのあれにもあまり書いてなかったのですが、むしろその両者をシステムインテグレーションという形でくくることが大事で、そこが抜けているのですね。

【小森主査】  要するに、炉心プラズマの理解という意味ですか。

【髙村委員】  両方をそれぞれ別々に言っている。

【疇地委員】  いや、別々ではない。

【笹尾委員】  これで、下から2行目に「それらをうまく統合し、活用していくかが極めて重要である」という。

【髙村委員】  「それら」というのは、炉心と両方と理解すれば良いですか。

【小森主査】  両方入っています。

【笹尾委員】  炉心と炉工学を統合することが重要。

【小森主査】  この文章でいくと、確かに「それらをうまく統合し」の「それら」は、炉心プラズマの理解と炉工学についての総合的な知見が必要ということですね。この二つをさらに統合し……、最初からそう読めるかもしれません。

【髙村委員】  確かにそう言われると。

【疇地委員】  曖昧さを除くために、明示的に書いていただくと良いのではないですか。

【笹尾委員】  「それら」のかわりに、「炉心プラズマの高度な理解と炉工学の総合的な知見」ともう1回ここで書いても良いですね。「をうまく統合し」ということですね。

【小森主査】  結構です。よろしいですか。もう一つのレーザーの方は、レーザーに固有の問題だということですね。ブレークスルーは……。

【疇地委員】  片方だけに。

【小森主査】  セラミッククリスタルの透明化がブレークスルーで、励起用レーザーダイオードの長時間運転は別にブレークスルーではない。みんながやっている。

【疇地委員】  いや、ブレークスルーなのですけれども、別に我が国だけがやっているわけではないのでという意味です。

【堀池委員】  素直に読めばそう読めますよ。

【疇地委員】  そうですか。

【小森主査】  あまり大きな問題ではないような気がしますが。

【疇地委員】  分かりました。

【小森主査】  これで良いのではないですか。

【疇地委員】  そうですか。

【松田委員】  誤解される場合は、悪くない方に誤解されるから良いのではないですか。

【小森主査】  ほかにございますか。それでは、今のところをここで議論していただいたように直して、最終版とさせていただきます。これが最終回ですので、最終版は一任いただきたいと思いますが、よろしいですか。今の議論で大体決まったと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、その他ということで事務局の方からお願いします。何かありますか。

【西山核融合科学専門官】  特段用意はしておりません。

【小森主査】  特にないですか。

【西山核融合科学専門官】  はい。特にございません。

【小森主査】  それでは、議事は終了させていただきます。この期は今回が最後ということですので、疇地先生から順番に感想というか、何か一言ずつお願いします。

【疇地委員】  そうですか。

【小森主査】  一応今回がこのメンバーでは最後ですので。

【疇地委員】  この委員会のかなり最初の方で、原型炉の設計まで踏み込むのであれば、学術研究としてのヘリカルとかレーザーを整理して、トカマクに一本化するという非常に極端なことも含めて検討する必要があるのではないかと、たしか平山先生がおっしゃったのではないかなと記憶しているのですけれども、ある方式の存在にまで関わる議論になることを覚悟したのですが、結果的にはそうはならなかったのですが、最初のかなり大きな意気込みの具体化が、原研と核融合研の合同設計チームをつくるかどうかという点が一つと、もう一つ、必ずしも議論にならなかったと思いますけれども、チェック・アンド・レビューをヘリカル、レーザーについてやるという2点が、多分今後の宿題になると感想としては思っています。

【小森主査】  笹尾先生どうぞ。

【笹尾委員】  この作業部会で原型炉に向けたいろいろな方策の議論に参加させていただいて、大変勉強になりました。いろいろな課題が独立したものではなく、統合できる実力をソサエティーがつけていくにはどうしたら良いかということを、少しずつ考えなければいけない時期になっているとひしひしと感じることができたと思います。そういう議論に参加させていただいて、本当に感謝しています。

 以上です。

【小森主査】  どうぞ。

【髙村委員】  最初は、炉設計といいますか原型炉開発に向けての体制の具体案までいけるのではないかなという話で、私個人的には、今日も御紹介があったIFERCを充実させていくという形で何とかできないかなと考えたのですけれども、今日フォーラムの御報告があって、ある意味IFERCはBAという枠組の中で走っていくので限界があるということで、オールジャパン、要するに日本独自のものとしては、個別に先ほどのコアチームのようなものを立てていく方が良いのかなと今は感じて、これだけ時間をかけたある意味の成果でもあるかなと思っています。

 それからもう1点は、課題の抽出で9項目出てきましたけれども、この辺のところはフォーラムを含めたある意味成果で、ますます課題が多いし、ITERも大変いろいろ苦労しているし、核融合研究の難しさを改めて身にしみて感じているというのが実感でございます。いろいろ議論に参加させていただきまして、ありがとうございました。

【小森主査】  どうぞ、平山先生。

【平山委員】  先ほど言われたようなことを言ったつもりではなくて、私が言ったのは、原型炉というものを考えるときに三つ違うものを同時にやることはできないので、どの段階でどういう形でどういう方式をするかがはっきりしていないと、いつまでもずっと動くことは難しいのではないでしょうかということを、意見として出したのだと思います。この間の議論は、前回は出られなかったので議事録とかを読ませていただいたのですが、やはりその三つの関係がいろいろと複雑になってきている面があるような感じがします。

 そういう意味では、コミュニティーの関係者の方が今回のメモで合意されたのであれば、大分すっきりしたという感じはするのですけれども、前回のメモだけ読むとちょっと分かりにくいのですが、何となくそのあたりがぎくしゃくしている印象は持ちました。大部分の方が内部の関係者の方で議論されている中で、ちょっと違う立場で聞かせていただいて、いろいろな意味で大変勉強になりました。どうもありがとうございました。

【堀池委員】  実は私、高速炉の方の委員会も大分出ていまして、核燃料サイクルの方も大分やっているのですけれども、エネルギー問題の中で、核融合エネルギーの技術的な内容とエネルギー開発としての重要性を、日本のエネルギー基本政策にのっとった形でちゃんとお示ししたいというのが、多分一番重大な問題ではないかと思うのです。そういう意味で言うと、その辺がうまくいっていなかったから、10年くらい前の話ですけれども、電力の方からITERの誘致に対してものすごい反応があったのが、いまだに完璧には払拭されていないように思います。そういうことも横に見ながら、大きなお金をいただいてのプロジェクトですので、ちゃんと説明責任を果たしていくのがこれから一番大事かなと思います。

【小森主査】  ありがとうございました。私は途中から主査になり、立場が変わって戸惑いもありましたが、先生方のお陰で今期を終了することができました。ありがとうございました。先ほど平山先生がおっしゃったことは、疇地先生が最初におっしゃったことと同じことだと個人的には思っています。核融合ということで大型の予算を使わせていただいていますので、こう進めていくというロードマップなどを示す必要があると思います。ですから、今回は示せませんでしたけれども、近い将来、そういうものをつくっていかないと、サポートされなくなるのではないかと危惧しています。要するに、いつまでも同じことをしているみたいなイメージを持たれないように、ロードマップにのっとって着実に進んでいることを示す必要があると思います。そういう意味で、次期以降非常に重要な議論が必要になると考えています。

 以上です。

【松田委員】  2点ありまして、一つは、時期的なタイミングは非常に大事で、今はなかなか大きな計画を打ち出すのは難しい時期であるということも分かるのですが、一方、過去これまで核融合会議とか大きいところで政策の議論をするときには、必ず若い世代というか引っ張っていく世代の人がメンバーに加わっていたり、各委員会をリードしてきたりしてやっているのですね。審議会なりこういう委員会で、そうだねとかこういうところが足りないとかいう議論をしてやってきているのが多いのです。

 それで実現していくから、ふたをあけたときにリーダーが誰かというのが結構はっきりしていて、そういう人が何人か中心になって進んでいくというのが見えていたのですが、そういう意味では、「原型炉戦略設計コアチーム」をやるときには、どういう人たちの顔が浮かんできますかというのが本来出てこないといけないのです。そういう意味で、若い世代の人たちに、おれたちが計画をつくっていくという意気込みのある人たちが出てきてくれることを期待したいと思います。だんだん装置が複雑になってきて難しいとは思うんですけれども、必ずそういう人がいないと実現するのは難しいと感じています。

 それからもう一つは、今のまま進んでいったのではなかなか社会の理解を得られないだろうというのは、堀池先生なんかがおっしゃっているとおりで……。

【堀池委員】  いや、そんなことは言っていません。理解が得られるように、ちゃんとやっていくことが大事だと。

【松田委員】  それで、懸念しているのは、ニュークリアに関する研究者の数もだんだん減っているのではないかという気がするのです。少し前だと、フィッションもやっているしフュージョンもやっているという人数が結構いたのですが、核融合専門の人はいるのだけれども、ニュークリアと両方見ている人がだんだん減ってきている。施設が減っているというのもありますし、そうすると、原型炉の話がどんどん出てきたときに、ニュークリアな部分を社会へ説明する人たちの数が非常に少なくて、これからそこをしっかりやっていかないといけないのではないか。そっちの方は、多分結構頭を使うのは必要だと思うのだけれども、大きな施設というよりも、むしろ知識を有機的につなげていく作業がしばらく必要なのではないかなという気がしております。

【小森主査】  吉田先生どうぞ。

【吉田委員】  ITERがスタートして、BAがスタートして、本当に新しい段階に入ったわけなのですが、そういうときに、次は炉を目指せということになるわけで、そういう観点からすると、日本の核融合研究はそういうのを目指したシステマチックな体制がとり得る状況になっているか考えたときに、やはりロードマップが必要であり、どういう事柄が抜けているかもう1遍見直す必要があるということでこの期やってきたわけなのですが、これは本当に急ぐ作業だと思うのです。

 その辺のところをきちっと示すことが、限られた予算、マンパワーの中で最大限の成果を上げていくためには非常に必要でありまして、私がいます大学なんかを見ていますと、知り合いのことしか見えないわけですけれども、みんなどこまで意識してやっているのかなと思うようなさまざまな研究があって、例えばこの段階でどこを目指しているのだ、本当に炉というものを考えているのかなと疑いたくなるような研究が結構ありますし、そういう人たちに対してきちっと情報と議論をできるような研究体制が必要だと思います。

 そういう意味では、先ほど来議論になりました「原型炉戦略設計コアチーム」をどこかで早く立ち上げて、そういうものを通してきちっとした方向性、見通しを出していくのが、この委員会のこれからの大きな役目ではないかなと感じております。

【小森主査】  どうもありがとうございました。山田さんもどうぞ。

【山田科学官】  いいですか。

【小森主査】  委員ではありませんが、一緒にやってきましたから。

【山田科学官】  先生方、本当に貴重な時間を割いて議論いただきまして、どうもありがとうございました。4月に前科学官から引き継ぎまして、まことに力不足で裏方としてはいろいろ御迷惑をかけたと思います。しかしながら、今日まとめていただいた資料は、来期以降議論をきちっとやっていくという意味では、非常に良いものをつくっていただいたと思いますので、来期はしっかり仕事をしたいと思いますので、先生方にも引き続きお願いする方、残念ながらこれで委員をお役御免になられる先生方がいらっしゃるかと思いますけれども、核融合研究は息が長いですので、これからも大所高所からいろいろ御意見を賜りますようよろしくお願いいたします。

【小森主査】  門調査官。

【門学術調査官】  私、4月赴任いたしまして、こういった機会は初めてでしたので、右も左もわからずに参加させていただいていたのですけれども、随分勉強させていただきました。今まで自分の研究に手いっぱいだったところがありましたので、良い機会、刺激にもなったと思っております。皆様に比べると、私はまだひよっこの駆け出しで若い世代ですので、核融合のミッションの部分とドリームの部分をうまくバランスをとって、若手を引っ張り込めるような活動をやっていければと思っていますので、今後ともどうぞ御指導、御鞭撻よろしくお願いします。

【小森主査】  どうもありがとうございました。それでは、最後になりますけれども、西山専門官お願いします。

【西山核融合科学専門官】  今回が第5期としては最後の会議になるわけでございまして、本来であれば戦略官の片岡から締めの御挨拶をすべきところでございますが、ITERのMACの会議がございまして外国出張中なものですから、代わって御挨拶いたします。

 第5期は、原型炉の開発を含めて大変熱心に御議論いただきまして、大変ありがとうございました。今日はメモの案をかけたわけでございますけれども、来期に向けて引き継いで、さらにしっかりしたものにしていきたいと考えておりますので、感謝とともに今後またお世話になるかとも思いますが、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

【小森主査】  本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

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