安全・安心科学技術委員会(第25回) 議事録

1.日時

平成23年2月16日(水曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 安全・安心科学技術の取組状況等について
  2. 安全・安心科学技術分野の今後の取組について
  3. その他

4.出席者

委員

板生 清 主査、岸 徹 主査代理、青木 節子 委員、河本 志朗 委員、四ノ宮 成祥 委員、橋本 敏彦 委員、堀井 秀之 委員

文部科学省

合田 隆史 科学技術・学術政策局長
渡辺 格 科学技術・学術政策局次長
常盤 豊 科学技術・学術政策局総括官
大山 真未 科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(推進調整担当)
新田 浩史 科学技術・学術政策局安全・安心科学技術企画室長

5.議事録

 <開会> 

  第6期科学技術・学術審議会として最初の委員会であり、人事案件である主査代理の指名は非公開で行った。岸委員が主査代理に指名された。

委員の紹介、自己紹介。

 <板生主査挨拶> 

 国家の安全・安心の技術というものに関して、国民のレベルでどういうふうに社会実装していくかというような観点から、委員会をやっていきたい。安全と安心と2通りあり、最初のころの議論では、安心に関して、どうしたら科学技術を使い安心が実現できるのかという議論を行った。安心は人間とかかわりが深過ぎ、人間そのものの研究をきちんとやらないと安心の定義すらわからない。安全の問題と安心の問題は全然違うという意見もあるし、安全があってこそ安心だという見方もある。今期は、安心についても議論していく予定である。局長がいったように、4期の基本計画において、技術一辺倒ではなく、人間の社会、人との関係で技術をどう見るかということを考えていく上では、安全だけではなく安心も十分考えていく必要がある。委員会では、安心という軸もできるだけ考えて、新しい提案をしていくベースにしたい。

<研究計画・評価分科会及び本委員会の設置について>

【板生主査】  研究計画・評価分科会及び本委員会の設置についての説明と配付資料の確認を事務局に依頼する。

【新田室長】  配付資料を確認し、資料1、2、3、4  、5に基づき説明。

【板生主査】  研究計画・評価分科会には出席できなかったが、課題領域3で「安全な国民生活」とあって、「安心」が抜けている。これに関して何か議論はあったか。

【合田局長】  ここの課題領域の表現は、いろんな意味で適当でないという意見が出て、これは多分書き直しになると思う。

【新田室長】  「安心」という言葉そのものが議論になったわけではないが、もう少し課題領域を広く設定すべきだという意見は分科会の意見として少しあった

【板生主査】  その報告は次回していただくことにして、議事に入りたい。

 <議題1 安全・安心科学技術の取組状況等について>

【板生主査】   配付資料について事務局から説明を依頼。

【新田室長】  資料6-1、6-2、6-3、7を用いて、安全・安心科学技術の取組状況等について説明。

【板生主査】  今までの説明で簡単な質問だけ5分ぐらいでお願いしたい。議論そのものは後ほど時間をとる予定である。

【四ノ宮委員】  資料5の3ページで、課題領域の3の「安全な国民生活」と書いている欄の「関係する委員会」のところで、他の委員会では領域はかなり限定的な感じがするが、本委員会は領域を特定せずに横断的なイメージがある。ほかの委員会で検討していることについて、できるだけオーバーラップしないように本委員会で検討するのか、もしくは、ほかの委員会とは別個に本委員会で大事であるというものは議論するのか。

【新田室長】  基本的には、整合性がとれないと困るので、ほかの委員会の報告で必要があれば、こちらの委員会でも紹介するが、事務局の希望としては、あまりそういう所掌ということではなく、安全・安心科学技術として整理すべきものは、そういう視点で全体を整理していただきたい。例えばライフサイエンス委員会であれば、そちらのほうにも情報提供して、うまく整合性をとるような形で整理したい。

【板生主査】  防災は、かなり関係するから、逆に言うと、防災は、こちらであんまり取り上げないと言っていることになるかもしれない。

【新田室長】  防災のようにはっきりしている場合は非常にわかりやすいが、ライフサイエンスのような場合は、切り分けようとすると非常に不自然なミシン目を入れなければいけなくなると思う。

【板生主査】  地域社会における危機管理システムでは、「危機管理」という言葉が入るが、こちらでは「安全・安心」という言葉を使っている。これらは基本的には違う言葉で違う概念だが、これはどう考えていくのか。「危機管理」はアクティブな感じがするが、「安全・安心」は待っているような印象がある。どちらの言葉を我々は本格的に使うべきか。

【新田室長】  「危機管理」という言葉は、CSTPにおける整理で用いられているが、我々の理解では、これも広い意味では安全・安心科学技術の中に入っていると思う。 

<議題2 安全・安心科学技術分野の今後の取組について>

【板生主査】  「安全・安心科学技術分野の今後の取組について」事務局から基本計画中心に説明をお願いする。

【新田室長】  資料8に基づき説明。

【板生主査】  ここから先は時間をとり、できるだけいろいろな意見を述べていただいて、次回から少し論点を整理していただくという形にしたい。

【堀井委員】  基本計画において重要課題の達成に向けた施策の重点化に方針を転換するということで、これは非常に歓迎するべき方針転換である。先ほどの説明にあったとおり、安全・安心科学技術委員会では、先行して重要課題の達成を目標に掲げて活動を進めてきているので、そういう方針転換をすることが具体的にどういうことをすればいいのかを、この委員会から情報発信するという役割もあると考えている。その意味で、6月に報告する予定の地域社会の安全ということで行ってきたプロジェクトについて、ただ単にその成果をまとめるだけではなく、課題達成型の研究開発をどう進めていくかということについて、一般化や普遍化を行い、方向性を提示することが使命だと考えている。
 例えば、資料5の3ページで先端技術に関する研究開発から得られる成果をもとにした事業化支援、普及・展開に関する研究を促進すると書いてあるが、この事業化支援や、普及・展開に関する研究が、課題解決、課題達成型の研究活動の中では重要になると思う。
 安全・安心科学技術とは何かについて、ずっと議論してきたが、安全・安心科学技術というときの技術が、ただ単に装置の開発という意味だけの技術だけではなく、もう少し技術の概念を拡張して、技術の使い方を広い意味での技術としてとらえ、その研究開発、あるいは社会実装をやっていくことが、重要だと思う。
 そういう技術の実際的な活動、例えば地域なら地域に入り込み、科学技術の事業化支援や、普及・展開の実践的な研究や活動を進めていくことも重要だが、一方、そういうことには必ず人が関わっており、実際に人が技術をうまく使える必要があるので、どうやってそのような人を育てていくのかということもかなり重要になると思う。だから、人づくりや教育プログラムの作成も技術開発の一部だと思う。今日の資料では、人づくりというところに必ずしも光が当たってない。常に基礎研究のほうで人材育成と言われているが、むしろこういう分野でも、人づくり、教育プログラムづくりを考えていく必要がある。
 教育というと小・中・高・大学が通常の対象だが、社会の中で働いている人にどういう教育をし、そのプログラムを作成していくかということが技術開発と並行して行われていくことも重要だと思う。安全・安心のスペシャリストが社会に増えていくことが安全・安心社会をつくっていくとことだと思うので、社会が必要としている安全・安心のスペシャリストはどのような人で、どういう職種で、どういう活動をしていて、その人にどんな能力やコンピテンシーが求められるのかといったことを、行政なり国がどうやって提供していくのかということも、この委員会の中で議論できたらいいと思う。 

【板生主査】  いろいろな分野で人材育成プログラムがあり、私の近くでは環境人材を育成するプランナーのような活動もある。科学技術をよりわかりやすく説明するための、インタープリターのような人材育成の話もある。安全・安心システムプランナーのような資格をつくり育成をすることもあり得る。

【青木委員】  今のご意見に多少関連するが、安全・安心を確保するためには、一人一人の国民の知識と決断や情報に基づく評価を適切に行うことが大事になる。特に地域に関しては、母親が安心を確保するために行動しなければいけない場面や、子供や老人を守るために行動しなければいけない場面が多いので、適切な知識を得られる環境やプランナーなどの資格を持つ人の養成、一人一人の力を底上げする仕組みを工夫していく必要があると思う。

【板生主査】  先生のご専門の国際的な観点からすると、安全・安心と国際人材と人材の育成という3つを並べると、どんなことが起こるのか。

【青木委員】  エンパワーメントの国際法とか、キャパシティービルディングとか、そのための協力の枠組みがどの程度、法に落とし込めるのかというところは注目されている部分である。

【河本委員】  堀井先生と青木先生からお話があった人材の育成に関してだが、資料6-3の2枚目で、「地域社会における危機管理システム改革プログラム」が示されている。地方自治体における危機管理の一番の問題は人材である。一般の防災に関しては、各自治体は経験があり何が起こるかわかっているので、ある程度対応ができるが、例えばテロなどの新しい問題について、なかなか対応ができないのではないかということが議論されていて、その人材をどうするかということは各自治体にとって大きな課題になっているので、このプログラムは非常におもしろいと思う。意思決定支援システムをつくることと同時に、それを使える人材を両方、両輪でつくっていかないと、うまく機能しないということがあると思う。これは人材育成だけを分けることではなく、危機管理システムの支援プログラムをつくる中に人材育成が入ってこないと十二分な効果が期待できないと思う。
 危機管理でいうと、何かの危機事案が発生した場合のリスクコミュニケーションも重要である。これは、青木先生のご指摘にあったように、発信側もそうだが、受ける側、国民の側の情報のリテラシーを上げていくという双方向の人材の育成が必要だと思う。

【岸主査代理】  人材の育成は確かに大事だと思う。一般の人が安全の科学技術を理解していれば安心のほうに結びついていくので、人材の育成は必要だと思う。ただ、安全・安心の分野で非常に難しいのは、ターゲットが動いていくということで、例えば、がんを治しましょうというと、そのターゲットは多分動かないが、安全・安心の場合は、ターゲットが次から次に動いていくので、ある意味で一番難しいと思う。それにある程度対応するためには、新しい技術を開発することも大事だが、ある程度既存の技術をシステム化してスピーディーに対処するという形が必要だと思う。ですから、目標をどこに置くかということと、科学技術の研究をやっていく段階で、固定的なものではなく、流動性をもって、いろいろなことができるようなシステムづくりが必要だと思う。
 犯罪・テロに関して言うと、技術開発が完了する前に別のターゲットに変わることがあり、それへの対処が一つの問題である。そこら辺をどうやっていくかというのが1つの問題かなとは思っている。

【橋本委員】  地域の安全の場合は、どうしても人材とそれを実行に移す、あるいはそのシステムを理解するとかという意味で人材は大切だけれども、一方でスペシャリストが必要な分野というのがあって、それはフェイスブックとはまた別のところであると思う。
 河本委員とお話したことですが、監視カメラというのがどんどん社会に入ってきていますと。今、監視カメラ画像を人がモニターを見ていたり、あるいはコンピューターのほうで若干支援をして、こういうところが何か変ですよというアラートが出たりとかいうのはある。その技術が、どういう技術が組み合わさると、こういうマーケットがあるとか、また、この技術はかなり先まで行かないとできない技術だとか、マップというか、技術のタームと、それからマーケットの大きさ等とかという全部を見渡すというようなことが、どれだけの人ができているのかなと思っている。今、別の案件でいろいろお聞きしているが、皆さん、結構、自分の興味だけで動いている。
 安全・安心という観点から、技術をこういうふうにしたいというような方針というか、ある意味のコンセンサスみたいなものをどこでやっているかというと、学会でもないし、どこだろうというような部分がある。ある意味、こちらの安全・安心のほうのテーマを設定して、それで募集してくださいというのが1つの刺激にはなるかと思う。そういうスペシャルな部分、スペシャルな技術に関しての、技術は技術で一生懸命、論文を書くのはいい。が、“こういうことでもうちょっと見渡せるような部分というのがある、”というようなものを、こちら側のほうから材料を発信していくとかいうようなこと、あるいは場を提供するみたいなことがあると、その議論がどんどん出てくるのではないかと思う。

【板生主査】  いわゆるスペシャリストの育成というか、スペシャリストの集団をきちっとつくるというのと、一般的な人々にいかに安全・安心の教育をするかというのと、2通りある。その中でスペシャリストに関連していうならば、マーケットとか、技術とか、整理をきちっとしていくということは、まだできてないというような感じですかね。

【橋本委員】  はい。せっかく、ある意味ターゲットというか、課題を設けて、例えばこの例でいうと、2年間、実証期というのをフェーズ2で設けましょうみたいなサンプルがあるんですけれども、これはものすごく大切だと思う。まさに死の谷だとかというようなものを想定したときに、この期間があるからこそ、こんなことができる。多分論文は出ないかもしれないけれども、このような内容で研究費が使えるという例があると思う。
 こういう形の実証期間を設けた形での募集というのは、わりと多くはないのかなと。つまり、募集期がある、だからこそ研究もゴールというものをきちんと決めて、そこで製品になるような形の研究というものを募集しますよ、という態度を示すことがものすごく重要だなと思う。

【四ノ宮委員】  最初に堀井先生が言われた人材育成の点というのは非常に重要だと考えます。安全・安心の社会のために、どういうふうなポイントが大事で、それをいかに教育システムとしてつくり上げていって、さらに大事なことは、それをいかに先に向けて継続的に実施可能なものにするかという点です。非常に漠然としたことになりますが、人づくりというか、教育プログラムというソフト的な面も含めて、やはり考えていくべきではないかと思う。
 例えば先ほど私が申し上げた課題領域の、防災科学技術委員会と本委員会であります安全・安心科学技術委員会の違いということです。防災科学技術委員会であれば、地震とか津波を早期に予測して、いかにそれを早く関係の国民に知らせるかというシステムづくり、あるいは検知ということが、まず技術的に到達可能なイメージとして多分出てくると思う。けれども、安全・安心という切り口から考えると、幾らそういう技術が発達しても、実際に住民がちゃんと避難行動をとらなければいけないとか、うまくシステムがみんなに行き渡って、みんなに理解してもらえるかという、そういうある意味教育とかソフトウエア的な面が大事なわけです。そういうところをうまくカバーするようなシステムとか、人づくり、あるいは、実際にそれにかかわる人材だけではなくて、そういう人材を育てるための基盤となる人材という、そういう面からも人づくりといいますか、教育プログラムというのは、文部科学省として重要なポイントの1つだと思うので、ぜひ本委員会で考えていくべきことだと思う。
 もう一つは、テロや何かのときの脅威をどのように分析して、どのように対応していくかということを考えた場合。例えば生物テロであれば、ある菌がまかれたとなれば、それに対する技術的な側面からいけば、例えば治療薬を開発したりとか、あるいはワクチンを開発したりという具体的にできる目標もありますし、そういうものがコマーシャルベースで実際に流通できるという側面もあると思う。そういうある程度予測可能である脅威もある。
 もう一つ、どのような状況でどのようなことが起こるか、なかなか予測できないようなもの。例えば私は今、科学技術の善悪両用性というところに少しタッチしている。今、いろいろな形で進歩している合成生物学であるとか、あるいはシステムズ・バイオロジーであるとか、そういうライフサイエンスの部分の動きが、現段階ではなかなか何とも言えないけれども、科学技術が進歩することによって、どのような悪用の可能性があるかということと、悪用の可能性があれば、それに対してどう対処するか、どう安全・安心を確保するかということ、これは個々の技術として1個1個の技術的な開発ということでやっていきますと非常にいろいろな状況が出てきまして、対応しなければいけない要素も非常に莫大なものになってしまうという側面がある。一方、そういうものを全体的にとらえて、科学研究とか、技術開発にかかわるような人の倫理基盤を作成して、あるいはリーダーシップを養成するということによって、グループ的に全体的にリスクを回避しようということに関するプログラムというものも大事ではないかと思う。個々のいろいろな対応可能なものに対して技術的に開発する。これはもちろん先端技術を応用して大事なことだとは思うけれども、片や先ほど申したように、なかなか予測不能であるようなものに対して、いかにセーフティーネットを張っていけるようなシステムをつくるかという点も大事なのではないかと思う。
 これも時代に合わせて変わってくるものでなかなか難しい点があるけれども、科学技術とか、あるいはリスクに関係するようなものを時代に合わせて、うまく情報収集して評価していく。これはある時点ではなくて、継続的に将来に向かって徐々に変わっていくものだとは思うけれども、そういうものに関する検討というのも重要かと思う。
 あともう1点、リスクに関しては、私は悪用の件をやっていますが、オウム真理教のように、科学者として一時期勉強していた者が実際に犯罪に手を染めるということに関する倫理的側面、あるいは、そういう心の病理といいますか、そういうものも含めて安全な社会を形成するにはどうしたらいいかということで、自然科学系のみならず、やっぱり人文科学系の関与というのはかなり大事だと考えます。

【板生主査】  ありがとうございました。一当たりご意見をいただきました。人材の育成といいますか、人をどうつくるかということが大きな議論の1つになりましたが、その辺の議論はまたさらに深めるとしまして、もしこれに関連して何か言い足りないことがあれば、おっしゃっていただいて結構ですけれども、いかがでしょうか。
 話をもう少し全般的な話に向けてみて、いかがでしょうか。例えば先ほどの資料6-3でありましたように省庁連携型研究開発をいかに進めるかと。その省庁連携型研究開発、テロとか、そういう犯罪に関する話がかなり意識された省庁連携型の研究開発でありますが、これは既に科学技術振興調整費、今度、新しい科学技術戦略推進費においても既に盛り込まれていることでもありますので、これを進めていくということが1つの方向だとは思います。これに関して何かご意見があったりしましたら、どうぞよろしくお願いします。どうぞ。

【堀井委員】  今ご指摘のあった資料6-3のところで、「地域社会における危機管理システム改革プログラム」というものと「犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」という、この2つが大きくこの活動にかかわるものだと思います。先ほど車の両輪の片側を随分強調して、ソフト面とか人材とか、そういうことが重要だということを申し上げたけれども、もう一方で、当然のことながら、ニーズドリブンのシーズ開発というか、ニーズにこたえるためのシーズの開発というところも重要で、そういうものとしてどんなものを安全・安心のために開発していけばいいかということを考えるのも、ここの重要な役割だと思う。1つは、犯罪・テロ対策というのは、かなり重要で、ほかの委員会がカバーしている部分と国民のニーズというものを考えたときに、そこで抜け落ちているというか、かなり重要なもので、ここが扱わないとほかではなかなか扱ってくれないというものがあるということなので、その1つの典型が犯罪・テロ対策なのかなと思う。
 もう一方で、地域のニーズにこたえるというのは、これからますます重要になっていく。地方自治体をいかに国として支援していけるかというところは重要だと思う。そういう意味では、地域の安全の3つのプロジェクトのうちの東京工業大学が扱ったプロジェクトは非常に参考になるかなと思う。その内容は北海道の遠軽町というところの防災を支援するということですけれども、要するに地方自治体はいろいろな行政システムを抱えていて、異なる目的に異なるシステムがあって、それぞれ維持管理にすごく金がかかる。安全対策という観点でシステムを自分たちで更新できるようにして、それを使って、さまざまな行政をそれで行うということによって、そのシステムの維持費みたいなものが大分楽になるみたいな、そういうメカニズムがあると地方自治体の安全・安心対策が進んでいくと思う。そういうインセンティブをつくり出すということに成功した事例なのかなと思う。
 ですから、危機管理ということにターゲットを当ててやるにしても、危機管理だけじゃなくて、平常時のさまざまな活動もあわせて支援して総合的に行政サービスが効率化させる。そういうものをうまく組み合わせて、地方自治体を支援していくということはすごく方向性としてはあっており、そのためのシーズ開発が何かというようなことを、ここで議論することも重要と思います。

【板生主査】  今おっしゃったように、安全という点での防災的な話とか、そういうものがいろいろ出てくるが、安心の話はあんまり出てこないですね。安心というか、結局、健康とか、例えば看取りと言うべきかわかりませんが、実際にはひとり暮らしの老人とか、そういう人たちが特に、いってみれば孤立しているような状態の中で、どういうふうに助けるかという問題もある。限界集落という言葉がよく言われますが、そういうところまでを安心という観点から含めるか、それとも基本的には防災的な安全という形でとどめるか、この辺のところも議論としてはあるのではないかと思うけれども、どうですか。

【堀井委員】  これまでの実績という意味で地域の安全のプロジェクトを見てみると、防災訓練の一環として安否確認なんかをやると、寝たきりの方とか、防災訓練なんだけど、ちゃんと安否を確認しているのか。

【板生主査】  その辺まで多少踏み込んでいかないと、安心までは踏み込めない。

【堀井委員】  ですから、言葉として「安心」が別に表に突出しなくても、当然ここで扱うことは、この委員会の名前にもついているわけだが、文部科学省としても安心ということが重要だということについては全く認識が変わらないと思う。我々は意識的に安全の裏側にある安心を常に考えて、安全技術だけじゃなくて安心技術という側面も忘れずにやっていくというのが基本的な方針でしょう。 

【岸主査代理】  いわゆる情報伝達の方法というのがものすごく変化してきたというのが、安全・安心にものすごく影響してきていると思う。例えば、非常に遠いところで何か事件が起きたとしても昔だったらそれを知らないわけで、ある意味で安心という観点からはほとんど関係なかったけれど、今はすぐそういう情報が自分の手元に入ってくる。そうすると、自分のところでも起きるかもしれないというような何か、いわゆる不安になるということがあるので、インターネットとか、もろもろ含めて情報の伝達の方法が急激に変化しているというのも、何か1つの安心に対するポイントになるのかなという感じはしている。

【河本委員】  岸先生のおっしゃるとおりで、例えば最近、非常に凶悪な事件が多いと思われており、体感治安という言葉もありますけれども、実際に統計的に見ると、殺人事件というのはほとんど変わってないですね。この10年間ほどは1300件から1400件くらいであまり変わっていない。むしろここ2、3年は少し減っているにもかかわらず、最近、凶悪事件がどんどん増えているように思うというのは、昔はメディアで遠くの事件というのは東京で見聞きすることはあんまりなかったのではないか。ところが、最近、殺人事件等はメディアがどんどん取り上げるので、あちこちで起こっているように思う。身近で起こっているわけではないが、そう思う。
 もう一つは、防犯の関係でいうと、最近、携帯のメールで、例えば自分の自治体の中でこんな事件がありました、ひったくりがありました、気をつけましょう、と情報が自動で送られてくる。そういうものは、自分の身近でなければ今まで気がつかなかったものが携帯に入ってくるので、しょっちゅう自分の身近で起こっているように思ってしまう。そこのギャップがあると思う。
 安心というのは何かというと、あなたは守られていますよと感じさせる事。きちんと守られている、あるいはきちんと守る手だてがされていますよということを、いかに実感してもらうかという話なので、その部分でいうと、技術で貢献できることがあると思う。おそらくコミュニケーションの問題で、国民にいかに自分たちが守られているかということをどうやって実感してもらうか、そのためのツールとして技術が何らかの役に立てるのかどうかというところだろうと思う。おそらく、先生がおっしゃったように、今、ツイッターであるとか、いろいろな情報が飛び交うけれども、それが本物かどうかわからない中で確からしい、例えば自治体なり国なりがしっかりした情報をどうやって届けるかという、そこをどうするかということもあるのかなという気はします。

【四ノ宮委員】  先ほどの河本先生の件に関しまして、情報の取り扱いというのは、1点、非常に重要だと思います。情報が来たときに、それがどのぐらい確からしさ、ほんとうなのかどうなのかということをやはり確認をしないといけない。ともすると、インターネットとかに出ると、すぐみんなが、たくさんの人が一度に信用してしまって、それを信用してしまったがために、本来起こすべきでない行動が起こってしまうということも多分考えられると思う。それを逆に、いかに確かな情報を早くみんなに届けて、その情報が正しいということを実感させるにはどうしたらいいかということになる。これはメディア側の問題も含まれると思うが、それをいかに解決していくかということも、この非常に高速情報化社会においては安全・安心の上で重要な点ではないかと感じます。

【橋本委員】  板生先生のおっしゃっていた安心というものを、この委員会の中でどういうふうに取り扱うかという点で、例えばお1人で住んでらっしゃる方が、今、ほんとうに安否大丈夫なのかという安否確認みたいなシステムというのは、いろいろなところで言われている。ただ、決定的にこれがいいというようなシステムは、まだ市販されていないという状況の中で、ここで取り上げたりとか、議論したりとかするのかどうかというようなところを持ち込むことが、まさに安全だけじゃなくて、安心を取り扱うかどうかという部分になるのかなと思う。
 これまでのテーマを見てみると、やはりちょっとおどろおどろしい、爆発物だとか、テロ対策とかいうものがずっと並んでいて、これは国家にとってもものすごく大事ですし、重要なことはわかっているんですが、まさに安心という部分をどう議論して、どういうところまで研究を後押ししていくのがいいのかというものというのは、もうちょっと議論していいと思う。
 そういうのは、新規の技術ではなくても、システムを組めば要素技術はあるんだというみたいな話はもちろんある。ニーズは多くあるのに決定的なものが出てきてないという現状を見たときに、これをどういうふうに打開するのかということを議論するというのは、ものすごく大事と思います。

【堀井委員】  そういう意味では、今、案として挙がっている「地域社会における危機管理システム改革プログラム」、地域における危機管理というのを考えたときに、今の安否確認のお話もそうですし、情報をどう伝達するか、過剰な不安をどうやって抑制するのか。それは当然イシューになってくるので、例えば具体的にこういうところで考えていくと、安心とか、いろいろなものが入ってくるということでしょう。

【板生主査】  確かにそうですね。安心とか安全とか、正面切って議論しなくても、当然それが中に含まれるはずであるというようなお考えだろうと思いますし、そのとおりだと思いますが、そういう意味で何かまたご意見がありましたらどうぞ。

【河本委員】  今ご指摘のあった地域社会の危機管理システムについて、先ほど、私は非常に狭く考えていて、自治体が行う危機管理の支援システムをどう構築するかという面だけを考えていたのですが、今議論があったように、もっと幅広く危機管理をとらえるとすると、危機へ対応するということと、それから危機に対応すると同時に住民に安心を与えるということとを両方考える必要があると思う。危機対応すること、それから当然ながら危機対応するのと同時に住民に安心を与えるという、そこがわりとはっきり二本立てになってもいいのかなと思う。

【堀井委員】  例えば6-3の資料の2枚目を拝見すると、真ん中辺のところに「科学・技術外交の展開に資する国際政策対話の促進」の話が書いてあります。科学・技術外交というか、外交手段としての科学・技術みたいな側面も結構重要だと思う。安全・安心というのは世界中でニーズがあって、日本の警察の能力とか技術とか、あるいは犯罪・テロ対策のためのさまざまな技術というものは、世界的に見ても優位性があると思う。ですから、それを技術協力という形でいくのか、あるいは日本の民間の企業が安全・安心ということでビジネスチャンスをいかす。既に中国で展開されているような企業もありますが、そういうものも支援していくのか。いずれにしても、日本の国内だけのためというだけでなく、もうちょっと国際的な展開という視点も議論し得るのかなと思っています。この委員会でそんなことも少し議論できればいいかなと思う。

【板生主査】  日本の有力な警備保障会社は中国へ乗り出しましたからね。そういうようなところもありますし、確かに国際的ないろいろな危機管理というのが1つの技術として輸出できるというところまで来ているのかもしれませんし、青木先生、国際分野としては、どうでしょうか。

【青木委員】  「科学・技術外交」というときに、定義というのはあるのでしょうか。今、堀井先生がおっしゃった外交に資する科学・技術ということとともに、科学・技術を用いて何か新しいツールを開発して外交を新しい形で進めていくというようなことの2つの意味を持った用語なのかどうかということです。「科学技術外交」は、どういう言葉で定義されているのでしょうか。

【渡辺次長】  青木先生がおっしゃったとおり、実は「科学・技術外交」というのは2つの側面があって、日本が持っている高い科学・技術力をもって日本が世界に貢献をするというのが1つ。それから2番目が逆で、外交的な関係をうまく利用して、日本の、あるいは世界の科学・技術をうまく発展させていく、国際協力のことです。その2つの視点があるのですが、総合科学技術会議の中で議論されているのは、どちらかというと前者のほうに重きがあるのかなと思っています。つまり、世界の中で日本は何が特徴ですかと言われると、やはり高い科学・技術、特に安全・安心も含めた高い技術力がある、資源はないということなので、日本の持っている科学・技術力をもって世界に貢献をすることによって世界の中における日本の地位を高めることができるでしょうということで、それは世界に貢献するという部分と、もうちょっと狭く言えば日本の国益になるという意味と両方あって、いずれにしろ悪い話ではないと。こういうことで科学・技術を国際社会の中で活用していくという発想が重要ですねというのが科学技術会議のメッセージだと思う。ですから、今ご議論になった安全・安心に関するいろいろな技術、これは実は技術だけじゃなくて、システムも含めて、制度も含めてなんですが、確かにおっしゃるとおり、日本の強みではあると思います。
 私、個人的なことを言うと、2回ほど中国の北京に駐在したことがあるのですが、実感として日本にいると極めて安心です。今日の新聞にも出ていましたけど、中国だと、お米の10%に基準以上のカドミウムが含まれているとか、さっきネットのニュースに出ていました。それは技術の問題でもあり、また制度の問題、システムの問題でもあるのですけれども、その意味でいうと、科学技術ということだけではないにしても、日本が貢献する科学技術の部分では少なくとも貢献できることはかなりあるのかなという気が個人的にもしております。

【板生主査】  安全・安心サービスというのが日本のお家芸の輸出システムになるという可能性は十分あるということもあると思うが、切り離していくのではなくて、全体的に考えるサービスとしても考えるということかもしれない。 

【板生主査】  もし何かもう少し全体的な進め方の中でご意見等がございましたら、いかがでしょうか。

【青木委員】  ちょっと的外れかもしれないのですけれども、犯罪・テロ対策技術等を実用化するというところに関係するのだろうと思うんですけれども、今、テロの中でもサイバーテロの問題というのは大きな問題になってきていると思います。特に最近イランの核兵器開発といわれる原子力発電研究所をねらった事例もあります。そういう閉鎖的なサイバー環境をもつ基幹的な施設にテロ行為がおこされたりすると非常に危ないですから、技術・制度を整えていかなければいけないと思います。そういうことについて考えるのも、この委員会の範囲でしょうか。それとも、どこかでもう集中的にやっている話でしょうか。

【板生主査】  どこかで集中的にやっているかどうか、私はわからないんですけど、いかがですか。

【新田室長】  サイバーテロの話は、総合科学技術会議のほうの社会システムの担当と議論したことがあります。今の時点でそういう視点で統一的な議論はどこもされてないようです。それから、先ほどのお答えでいえば、おそらくは安全・安心委員会の所掌の範囲というか、ご議論の範囲内だと私は理解しています。ただ、片方で、確かに今動いているプログラムで、そういうことは実はやってないという部分がありまして、片方で、今までは分野別に整理されていたものですから、情報分野は片方で非常に大きな分野が立っていて、何となくそちらでもやっている関係で少し重複感があります。必ずしも我々の話としてはそこを重視してなかったという事情は若干ございます。が、当然対象にするべき話ですし、実は現状、あまりそういう視点できちっとまとまった整理がされてないというように、総合科学技術会議の議論の中でも話が出ました。

【板生主査】  ぜひそういう意味では扱っていただいて、ここでいろいろ議論していただくことにしたいと思います。

【板生主査】  私、1つだけ、資料8の4ページ目のところの、先ほど新田室長がご説明された線が引いてあったところ以外の下のほうで気になるところがある。「生活における安全の確保」の一番下の行ですけど、例えば老朽化対策のための住宅とか、社会資本ストックの高度化とか長寿命化に関して。要するに橋が落ちたり、ビルが壊れたりするということはものすごく不安なことであり、また問題があるわけです。安全・安心は広げていけば切りがないので、理屈をつければ幾らでもみんなやることになるのですが。したがって、こういうのは国土交通省とか議論しているということであれば別に問題はないのかもしれません。ただ、技術を使ってそういうことをきちっとやろうというところは、政府の中でも意外と少ないという気がする。
 1つ、何をやるかは別にして、調査のスコープの中に入れておいて議論してみたらどうかと思う。それこそ省庁連携の中で国交省が困っているとすれば、科学技術でもってそれをどうやってあげるかということです。さっきのおどろおどろという話があったので、テロとか犯罪ばかりやっていると本委員会がテロ・犯罪の対策集団みたいになっちゃうので、もうちょっと広げて、国民生活に関連するところをもう少しやっていくほうが1つの発展にもなると思う。

【新田室長】  先ほど言われた老朽化対策等は、すごく重要だと思います。例えば、非破壊検査の技術は結構重要ですけれども、今の技術ではなくて、中性子の技術とかを使って、非常に高精度な非破壊検査をしようという研究開発をやりたいところが結構多いですね。ですが、今おっしゃられたように、実はそういう視点で、進んだ技術という視点から社会インフラをどう守るかというような議論というのは実はなされてなくて、どこに相談に行ったらいいかわからないという声も聞いたことがあります。安全・安心で1つそういう視点というのを入れていただくのは、海外にまで広めるチャンスというか、政府としてもどこかで声を上げておく必要がある1つのテーマなのかなと思う。

【板生主査】  省庁連携ということをやるに当たって、いろいろなネタをこちらとしては持っているということで生きればいいなという意味ではいろいろなご意見が省内であると思いますので、文部科学省の意見をいただきたい。

【渡辺次長】  1つは、これは国の政策についてご議論いただく会議なので、世の中では安全・安心といっても、いわゆるビジネスになる部分とビジネスにならない部分。これまでもいろいろご議論されてきたところですが、まさに犯罪対策とか、防災とか、テロ対策というのは実は商売にはあんまりならない部分で、今までの議論で、例えばユーザーが警察庁であったり、地方自治体であったりという、役所同士がつくり出すユーザーであるということなので、それは放っておくと、だれも、どの会社も何もしないということは、これは国がやらなければいけない、政府がやらなければいけない、重点が置かれるという気がします。
 先ほどサイバーテロの話がありましたが、例えばコンピューターネットワークのセキュリティについてはビジネスになるので、結構民間でもそれなりにお金を出してやっているところがある。その辺、多分ご議論の中で重点といいますか、要するに、この委員会で国がやらないとだれもやらないというところは、やっぱり重要な1つ観点としてある。

【板生主査】  国が行うというのと、それから、国がまずある方向を示さないとなかなか動かないというのが両方あって、国が動き始めると、意外と民間の人が知恵を出してくるというケースもあるような気もしますので、おっしゃるとおりであります。

【渡辺次長】  私の仕事の半分は原子力安全規制ですけれども、原子力安全規制の分野では、まさに安全・安心というのは極めて重要な問題で、住民の方にどれだけ説明するかというのが重要な問題で、情報を与えないほうがいいのか、与えたほうがいいのかというのは議論があるところは、与えた上で、理解した上で、納得した上で、これなら大丈夫ですと、そこまで情報を与えることになる。与えるという言い方は正しくなくて、示して知っていただくというのが重要だというところだと思う。
 それから、先ほど言った老朽化の話も、原子力の世界では極めて重要なテーマで、もう既にそれは頭に置いて、かなりの研究はされているというところがあります。逆に言うと、原子力以外のところで安心を与えるためにはどういう情報を一般国民の方に知っていただき、あるいは、さっき言った老朽化のところで、どういう研究が必要でやらなければいけないかというのが、実を言うと、原子力はそれなりに相当先に進んでやっています。それ以外のところは、できてない部分があるのかなという感じを持っております。
 この委員会では、原子力発電の話は基本的にはやらないものだと私は理解しておりますけれども、安全・安心のあり方みたいな形では、もし必要があれば、私どものほうから、原子力の経験みたいなものをお話しすることは可能だと思う。

【板生主査】  原子力のそういう知識を、いろいろ技術の情報を、ビルディングとか橋だとか、そういうものに対してまで応用といいますか、適用していただくようになると、技術が流れていくと思う。

【渡辺次長】  例えばひび割れの発展とかというのは、高温・高圧下、放射線環境下での影響なので、実は必ずしもまだ十分ではないけれど、それなりに進んでいるところがありますので、当然、一般工学にも利用・活用可能なところはたくさんあると思う。

【四ノ宮委員】  この委員会で取り扱うテーマについて、もう二、三質問させていただきたい。資料8には環境で少し出てきていますが、それ以外に人の健康自体ですね。いろいろな病気とのかかわり合いもあると思いますし、それ以外も漠然とした健康というイメージはあると思います。あるいは食の安全というのも1つ重要な、安心というところでは重要なテーマになってくると思います。そういうものも包括的に取り込んだ上で議論するのか、あるいは体力増強とか、個人的な健康の問題は別途、別の機会で議論して、あるいは、食の安全の問題は別途議論するのかということはいかがでしょうか。

【板生主査】  それこそ最初の段階で7つの分野というのがあったのですよね。その辺をちょっと説明してください。

【新田室長】  第3期科学技術基本計画のときには、総合科学技術会議のほうに先に7つの分野というように、もう例示があって、最初からその7つの分野を前提に議論を進めたということがありましたが、その後の分野、今ご紹介はあえてしなかったのは、今回あえてそれにとらわれないほうがいいかなと考えました。今の話の中であった健康は、正直言って、安全・安心の科学技術というところからは違うのかなと思いました。
 食の安全に関しましては、どこまでを見るのか難しいのですが、片方で、アメリカなどでは、食品の製造過程でいろいろな、いわゆる毒物なり化学物質等が添加されたりという事例を、ある種テロ対策の一部として扱っている部分もあり、食の安全は、ある程度は、やっぱりそういうターゲットになりやすい社会システムの一部とは思う。

【渡辺次長】  この委員会は安全・安心科学技術委員会なので、当然、技術は既存の技術でシステムとして調べればいいというのだと、この委員会のテーマに多分ならないと思う。食品に含まれる成分を調べたりとか、あるいは何か、そういう科学技術の面で食の安全に貢献できるものが何かあれば、多分議論の対象にはなり得るのかなと私は思う。

【岸主査代理】  食の安全の話も何か事件絡みの話になると、警察関係が出てくることにはなります。この前の毒入りギョーザの話とか、事例がありました。

【河本委員】  フードディフェンスという考え方があります。それはさっきおっしゃったテロ対策のような話で、要するに衛生管理として安全性を確保するフードセイフティではなくて、食の安全に対する悪意をもった危機に対抗するという意味でのフードディフェンスという考え方が最近はアメリカ等では大変強くなっています。それがテロ対策の1つとしても考えられているというのはあります。その中で今、新しい技術という意味で何か対処できるものがあるのかどうかというのは、まだわかりませんけど、考え方としては、そういうのがあり得るかなという気はします。

【板生主査】  口蹄疫とか、鳥インフルエンザとか、ああいう社会に大きな影響を及ぼすようなものに関連して、技術でどこまで我々が検討してカバーできるかという問題は、食品というか、食品をつくる段階のところでいろいろあるかもしれません。

【合田局長】  分野で厳密に線を引こうと思っていただく必要はなくて、むしろそのプライオリティーの問題として、この委員会でないとできないようなことというのが、高いプライオリティーとして挙がってくるということでしょう。

【板生主査】  単にハード・ソフトだけではなくて、システムまで含めて、社会のイノベーションを行う上で重要な安全・安心技術というようなインフォメーションに向けた、そういう取り組みというのを考えていくということが、ここにも書いてありますが、大事なことだと思いますので、もう少しまた議論をしていただくと同時に、少し集約をして論点を整理してみて、次回の委員会あたりで少し絞り込むということにしたいと思います。 議題3として、「その他」は何かありますか?
 今日の予定を終わることにいたします。事務局からの連絡事項をお願いします。

【新田室長】  次回の会合を、できましたら3月17日に開催したいと考えております。

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