第10期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第7回)議事録

1.日時

令和2年8月5日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web開催

3.議題

  1. 「マテリアル革新力強化のための政府戦略策定に向けて」について
  2. 令和3年度新規要求・拡充施策についての事前評価【非公開】
  3. その他

4.議事録

【栗原主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第10期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第7回)を開催いたします。本日は御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。

早速ですが、事務局より、本日の会議の流れの説明をお願いいたします。

【小川補佐】 事務局の小川でございます。新しく着任いたしました。よろしくお願いいたします。

当委員会の委員につきまして、三島主査と滝田委員が御退任されました。また、三島主査の御退任に伴いまして、新たに栗原委員が主査に御就任されております。

本日は、委員の皆様全員に御出席いただいております。

また、当省より、杉野研究振興局長及び黒澤参事官が出席しております。

なお、当省研究振興局の局長につきましては、7月28日付で村田が退任し、新たに杉野が着任しておりますので、一言御挨拶させていただければと思います。

【杉野局長】 失礼いたします。先月の28日付で研究振興局長を拝命いたしました杉野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

この委員会では、次期科学技術基本計画に向けての御議論など、大変活発に御議論いただいていると伺っております。今後とも、御審議を通じまして、私どもに様々な貴重な御示唆を賜ればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川補佐】 それでは、次に、配付資料の確認をさせていただきます。既にお送りしておりますとおり、議事次第のほか、配付資料・資料1としまして、マテリアル革新力強化のための政府戦略策定に向けて(準備会合取りまとめ)【概要】、また、机上配付資料としまして、事前評価に向けた説明資料、また参考資料1としまして、第10期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会委員名簿、参考資料2としまして、マテリアル革新力強化のための政府戦略策定に向けて(準備会合取りまとめ)、参考資料3としまして、先端共用施設・共用プラットフォーム展望調査WG報告書概要となっております。特段問題ないかと思いますが、何かございましたら、挙手いただければと思います。

また、本日は、議題(1)としまして、「マテリアル革新力強化のための政府戦略策定に向けて」につきまして、マテリアル革新力強化のための戦略策定に向けた準備会合の三島副座長より御発表いただきます。

次に、議題(2)としまして、令和3年度新規要求・拡充施策についての事前評価について、事務局より御説明の後、先生方に御議論いただければと考えてございます。

なお、議題(2)につきましては、概算要求に関わる内容となりますので、本委員会の運営規則第4条3号の定めによりまして、本議題については非公開とさせていただきたく、御提案を申し上げます。よろしくお願いいたします。

【栗原主査】 それでは、事務局の提案どおり、議題(2)は非公開としたいと思いますが、よろしいでしょうか。

ありがとうございます。御異議の声がないので、そのようにさせていただきます。

まず、議題(1)の「マテリアル革新力強化のための政府戦略策定に向けて」についてに入ります。

御説明を、マテリアル革新力強化のための戦略策定に向けた準備会合の三島副座長よりお願いいたします。

【三島先生】 皆様、おはようございます。このたび、4月1日にAMED理事長を拝命いたしまして、主査でございましたけれども、この職に専任義務がございますために原則兼職ができず、10期の期末を待たずに退任することになりました。第10期のナノテクノロジー・材料科学技術委員会の皆様には大変御迷惑をおかけしました。心からおわび申し上げたいと思います。

それでは、議題(1)のパワーポイント、資料1を御用意ください。

マテリアル革新力強化のための政府戦略策定に向けてという、この流れをまず御説明したいと思いますが、資料1の1ページ目の左上に検討の経緯が出てございます。これをさっと見ていただければと思いますけれども、今年の2月に文科省と経産省の連携の下で、このマテリアル革新力の強化に向けた有識者会議というものが設置されました。この会議は、東北大の総長の大野先生を座長としまして、橋本CSTI議員、それと私が副座長ということで、有識者の方、あるいは各省からの出席のメンバーを得まして検討を開始しました。二、三回の検討をした後に、4月に正式に、ほぼ同じメンバーで、「マテリアル革新力強化のための政府戦略策定に向けた準備会合」を設置し、検討を加速したというのが経緯でございます。

そして、その頃から新型コロナウイルス感染症の発生・拡大が非常に大きくなりましたので、それも踏まえた追加検討をした後、「マテリアル革新力強化のための政府戦略に向けて(戦略準備会合取りまとめ)」を策定して、6月に公表したところでございます。資料1は、その概要でございまして、参考資料2に、その本体の文章をお示ししておりますので、御覧いただければと思います。

基本的に、本取りまとめは、統合イノベーション戦略2020及び第6期科学技術基本計画を視野に入れて、マテリアル革新力の強化のための政府全体の戦略策定に向けた基本的な考え方、今後の取組の方向性等を示したものでございます。

それで、1ページ目の次の四角の1、「戦略策定の必要性~今なぜマテリアル」というところがございますけれども、ここには、Society 5.0の実現にデジタル・イノベーションを支えるマテリアル・イノベーションが不可欠である。AI、バイオ、量子等の先端技術の強化から、SDGsやパリ協定の長期目標の達成、資源・環境制約の克服、安全・安心社会の実現等の社会課題解決に至るまで、マテリアルの革新が決定的に重要である。新型感染症対策にもマテリアルの研究開発が貢献等、なぜこういった戦略を策定する必要があるかということが、ここにございますような項目について述べられております。

一番下の、こういうことに基づいて、我が国の強みに立脚した、マテリアル・イノベーションを創出する力である「マテリアル革新力」を強化するための政府戦略を、産学官共通のビジョンの下で早急に策定する必要があることが言われてございます。

2ページ目は現状認識として、我が国のマテリアル革新力の強みと危機となってございます。ここでは、「産業」の観点、「基礎」の観点、「融合」の観点から、我が国のマテリアル革新力の強みと危機がまとめられてございます。各観点について、左側に強みが書いてございまして、右側に危機や弱みの部分が書いてございます。このような観点を踏まえ、今、マテリアルが目指すべき将来像が下の3番目のところに書いてございまして、目指すべき将来像として、「マテリアルで産業を牽引し、世界でリーダーシップを発揮する国」、「マテリアルの魅力で、世界から優れた研究者を引き付ける国」、そして、「マテリアルで新しい価値と産業を生み出し、世界に貢献できる国」、この3つを掲げた上で、10年後を見据えて今後当面推進すべき4つの取組を提示しております。

そして、3ページから、その4つの取組というのが出てまいります。3ページ目には、まず1番として、データを基軸としたマテリアル研究開発のプラットフォーム整備ということでございまして、マテリアル研究開発の効率化・高速化・高度化にはデータ駆動型研究開発に使う高品質なマテリアルデータが決定的に重要である。我が国最大のマテリアルの強みは、世界最高水準の共用施設・設備、産学官の優れた人材、成熟した産学官連携関係の存在。マテリアルの研究開発現場や製造現場全体のデジタル化、リモート化、スマート化、オンデマンド化が急がれる状況であるということでございますので、我が国の強みを基盤に、産学官のマテリアルデータが持続的・効果的に創出、共用化、蓄積、流通、利活用される「マテリアルDXプラットフォーム」を日本全体で速やかに整備すべきである。研究開発成果の創出における圧倒的な生産性向上を実現するとともに、データ有効活用のジャパンモデルを確立していこうというものでございます。

ここには幾つか項目が書いてございますけれども、要点としては、今読み上げた最初の丸3つと矢印のところでございますので、その下のところは、また後で御覧いただければと思います。

それから、4ページ目になりますと、4つの方針のうちの2番目と3番目と4番目がここに書いてございます。

2番目が、重要なマテリアル技術・実装領域の戦略的推進ということで、我が国が真に伸ばすべき技術領域と、こうした技術が付加価値をもたらす社会実装領域を抽出するということで、左側の箱2つございますけれども、社会実装領域、これが未来の姿のイメージの例として、超低消費電力で駆動するEco-Society 5.0の実現、資源の海外依存国から資源産出国への実質的転換、世界一安全なレジリエンス国家の実現など7領域が提示されている。 それから、重要な技術領域としては、高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル、マテリアルの高度循環のための技術、極限機能を有するマテリアル、マルチマテリアル化技術、そして、物質と機能の設計・制御と挙げてございますが、これ以外にも5つの領域が提示されているということでございます。

右側の箱には、その推進方法というのが書いてございます。

未来の姿の実現に向けたリーディングプロジェクトと、重要技術を育成する拠点形成を推進する。領域毎に、産学官連携、異分野融合、データ創出・活用、プロセス技術強化、国際協力等を促進する仕組みを適切に構想し推進。一部技術・実装領域において、府省連携型の統合型プロジェクトを推進する。ガバニングボードの下で、マテリアルDXプラットフォームやプロセスイノベーション拠点との連携体制を構築し、データ創出・活用型の研究開発課題を集中支援するということでございまして、最後のところに、こうした「戦略」型の研究に加えて、研究者の内在的動機に基づく研究課題に取り組む「創発」型の研究も推進し、多様な卓越知を蓄積しようということでございます。

3番目が、マテリアル・イノベーションエコシステムの構築ということで、ベンチャー企業等の新しいプレイヤーが次々と生まれるような多様な産学官のステークホルダーが参画・融合する新たなイノベーションエコシステムの構築。そして、我が国企業が国際市場を戦略的に獲得可能な環境整備を推進ということでございます。

最後、4番目が、これも重要ですけれども、人材育成です。マテリアル革新力を支える人材の育成・確保ということで、右側のところに書いてございますけれども、「マテリアル×デジタル」融合人材の育成強化として、データ専門人材、データ駆動型研究開発をツールとして駆使できるマテリアル研究者、数理・データサイエンス・AIの専門知識を持つマテリアル関連人材を育成し、4つの項目についてしっかりと進めていこうというのが、この資料の意味でございます。

それから、もう一つ御紹介しておきたいことがございます。この戦略準備会合の取りまとめについて、公表された今年6月2日に、萩生田文部科学大臣が記者会見を行ってございます。そこで大臣が言われたことを述べますと、「本日、文部科学省及び経済産業省の有識者会合において、我が国の科学技術イノベーションの強みである「マテリアル」の革新力強化に向けた報告書を取りまとめたのでお知らせいたします。

報告書では、マテリアルの研究開発現場のデジタル化、リモート化、スマート化に向けて、高品質なマテリアルデータを創出・利活用できるプラットフォームを整備していくことの必要性や、多様なマテリアルの研究成果を社会課題解決に迅速につなげるための戦略的な研究開発や人材育成に関するご提案を頂きました。こうしたマテリアルの取組は、新型感染症等に伴う研究活動の停滞リスクを低減し、今後の強靭な社会・産業作りを大きく牽引するものであると考えております。文科省としては、これらの取組について速やかに検討を着手するとともに、今後の政府戦略の策定を見据え、新しい時代にマテリアルの研究開発がどうあるべきか、関係府省とともに引き続き検討を深めてまいりたいと思います。」という、発言をなさっております。

これに対して、記者から「政府は、もう既に量子やAI分野などで政府戦略を作っておりまして、多分、今回の取りまとめというのは、そういった量子・AIの戦略レベルに相当するようなものを作るものだと思います。マテリアル戦略とも言うべき戦略の策定の重要性・意義、あと今後の検討のスケジュールなどを教えてください。」と質問があり、それに対して大臣は、「本取りまとめでは、今後マテリアルの研究開発のデジタル化、リモート化、スマート化を進めていくことに加えて、重要技術領域への戦略的投資やイノベーションエコシステムの構築、人材育成に関する提案も頂きました。今後、これらをより具体化し、実行に移していくためには、関係府省との連携・協力が不可欠です。このため、マテリアル革新力強化のための政府全体の戦略の策定に向けて、今後、内閣府を中心とする関係府省と相談をしてまいりたいと思います。」というお答えをなさっているということを御紹介いたしました。

そういうことで、本資料は、先に申し上げたとおり、今後の総合イノベーション戦略2020と第6期の科学技術基本計画の検討を視野に入れた、政府の戦略策定に資するものでございまして、我々、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会が第9期から10期にかけて検討してきたナノテクノロジー・材料科学技術のこれからの戦略がベースになっていると思います。

本委員会の委員の皆様には、この間、非常に建設的で熱意ある御意見をたくさん頂戴したことについて、深く感謝申し上げたいと思います。また、特に第10期の黒澤参事官、高橋補佐、竹上専門官、そして事務局の皆様、そして、CRDSの中山様、永野様にも心から御礼を申し上げたいと思います。

以上で、私の説明とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

【栗原主査】 ありがとうございました。

大変丁寧な御説明を頂き、また、当委員会において9期から検討していたことが、このような形で、より先進的な内容も加えてまとめていただき、関係者の皆様、本当にありがとうございました。

それでは、今の御説明に対して御意見、御質問等ありましたら、お願いいたします。

【中山委員】 中山でございます。三島先生、ありがとうございます。今後とも御指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。

この一連の御説明ですが、まさしくプラットフォームですよね。プラットフォームで何が大事かというと、やはり基盤のところですね。マテリアル、物質・材料というのは、もともと科学技術全体の基盤ではありますが、その中でのさらに基盤になるということです。こういうプラットフォームで大事なことは、外から人が来るということ、あるいは来たいと思うということで、これを推進する人だけで閉じては絶対にいけないということかと思います。

際限なく新しい人がどんどん入ってくるようなものを目指してほしいです。入ってきた人や知見に、いかに付加価値を付けてその人に返すか、あるいは世間に返すかということが大事です。つまり、これを推進する人はかなりの滅私奉公が必要になります。自分の功を焦るというよりは、外の人がいかに花開いて飛び立てるかということに対して相当の重きを置かなければいけないと思います。そうすることで拠点の価値も増す、すなわちwin-winの関係で、それが続いていくことがエコシステムだと思います。

その大事な思想というのは、これまで何年にもわたって行われてきたナノテクプラットフォーム、また、その前身のナノネットやナノ支援プロジェクトなどの思想、つまり滅私奉公で、外の人に付加価値を付けて返す。プロジェクトの中では、人が成長し、技術を支援する人もしっかりと育っている。そのような思想をさらに飛躍・発展させて、大きなDXという横串の概念も入れたプラットフォームに成長してほしいと思います。

まだこれは構想の段階で、ここからどんどん心と内容を入れていくところだと思いますが、これが独立して走るというよりは、周りと一緒にエコシステムを作っていくということをくれぐれも忘れないように、皆さんで見ていければと思います。よろしくお願いします。

以上です。

【三島先生】 三島でございます。この戦略を立てた後、実際にこれを遂行していく際の心構えというような形で、大変貴重な御意見いただきました。ありがとうございました。

【栗原主査】 ありがとうございました。

私も、今後の科学技術の推進においては、今、中山委員の言われたような気持ちを研究者が持っていくことは非常に大事だと思います。私自身もいつも考えていることですので、個人の意見として付け加えさせていただきます。

【中山委員】 これだけが良ければいいわけではないですよね。これがベースとなって、周りが良くなければ意味がないです。だから評価するときも、これを評価するというよりは、周り全体を評価すべきであるし、一部分のプロジェクト1個だけを見て良い悪いではなく、大きな目で全体を評価しないと、このプラットフォームを評価したことにはならないので、評価のやり方自体も考えていく必要があります。逆に言うと、そういう考え方も含めて、一生懸命皆さんで考えていければと思います。

栗原委員も、ありがとうございます。

【栗原主査】 研究においては、やはり研究者のモチベーションがすごく大事なので、その両面を今回も丁寧に書いていただいていると思います。その創発の部分にも、お礼申し上げたいと思います。

それでは、ほかに御意見ありますでしょうか。

では、まず馬場委員、お願いします。

【馬場委員】 馬場でございます。三島先生、どうも、詳細な御説明ありがとうございます。非常に力強いマテリアルの革新力の戦略を立てていただいて、大変感謝申し上げております。

その中で、幾つかのマテリアルの拠点、今、中山委員もいわれた共用施設の拠点もそうですけれども、拠点形成しながら研究開発とエコシステムの構築に向けた検討が重要かということは、先生の御説明どおりだと私も思っております。

その際に、拠点を選ぶときに、全てをボトムアップ的に選ぶのではなくて、必要なところは、ぜひ、マテリアル革新力の戦略をまとめていただいている内閣府等で、トップダウン的に選ぶという考え方も御検討いただいたほうがいいのではないかと私自身は思っております。

といいますのは、私、量子戦略のほうに一部関わっておりますが、量子戦略では今8つの拠点を構築することを検討しており、そのうちの6つは、ほぼトップダウン的に拠点化を進めておりまして、残り2つを今公募中という状況でございます。

このマテリアル革新力についても、既に非常に長い間、参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付等の支援も受けて、様々な形で拠点形成が既に進んでいる部分がかなりあると思います。あるいは、三島先生もやられているSIPなどでもそうです。そういう意味では、ぜひ、このマテリアル革新力の戦略をまとめていただいた先生方に、全国を俯瞰していただいて、一部の拠点はトップダウン的に、新しいところは公募等でボトムアップ的な拠点形成を行い、うまく日本全国をカバーして、かつ、国際的にも非常にプレゼンスあるような拠点形成を進めることが、今の時点での、特に第6期に向けた戦略の進め方として重要ではないかと考えております。そういった点も含めて、ぜひ御検討いただければと思います。

以上でございます。

【三島先生】 三島でございます。ありがとうございます。

今のトップダウン的に重要なものについては、内閣府を中心として、すぐにそれを拠点として育てていくやり方が必要だと思います。これからタスクフォース等で更なる検討がされるようでございますので、そういったところで今の御意見を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。

【馬場委員】 ありがとうございます。

【栗原主査】 ありがとうございました。

従来のポテンシャルを活用しつつ、新しいものも入れていくということで御意見いただきました。

それでは、五十嵐委員、いかがでしょうか。

【五十嵐委員】 五十嵐です。三島先生、どうもありがとうございました。今後とも、引き続き御指導よろしくお願いいたします。

【三島先生】 ありがとうございます。

【五十嵐委員】 今回の政府戦略策定に向けた準備会合について、ウェブ会議の議論も聞かせていただいたのですが、私から2つの視点でコメントさせていただきたいと思います。

まず、マテリアル革新力を強化するための戦略というのは、恐らく分野によっていろんなフェーズがあるだろうなと思っています。私が関わった鉄鋼と化学に関して申し上げますと、鉄鋼というのは、今、8割は汎用品化しています。それで、2割のところがハイエンドで、ここが競争の領域になっています。ところが、鉄鋼材料というのは、長年のいろんな経験、その積み重ねによって、その2割のハイエンドのところも、8割の汎用のところのデータ、技術があって初めて成り立っている領域です。そのような領域は、こういう新たな取組で革新力強化しましょうと言っても、なかなか土俵に乗れないという難しさがあるのではないかと思っています。

ただし、鉄鋼においても新たな機能、例えば強度とフレキシブル化を両立する、あるいは金属を透明にする、あるいは今一番課題となっています複合化によって剛性を高めるとか、そういった部分であれば、これからデータを創出して、互いにそういうものを利用して、また競争力を高めるということは可能になると思います。ですから、分野によっては、戦略を一様にするのではなくて、それぞれの分野に適した戦略を作っていく必要があります。

一方、化学の分野は、私の経験、まだ浅いですが、新たな特性を見出すためには、単に物質の合成だけではなくて、その後、重合して、それから別の材料と組み合わせる。いろんな段階を踏んで、本当に新たな物質の創製というのが、このデータ駆動型で可能になりつつあります。これは鉄とは全く違った戦略が立てられますので、こういうところは、より高い連携でもって、こういうマテリアル革新力強化のような戦略が打てるのではないかと考えています。

それから、もう一つの視点は、人材です。最後に書いていただいた、数学者にも、あるいはデータサイエンティストにも、マテリアルに興味を持ってもらうことは第一歩です。しかし私の経験では、実は鉄鋼材料でも、機械学習ですとか、AIですとか、そういうものはもう既に取り入れて、材料開発に適用しましたが、数学者に興味を持ってもらっても、やはり実感として材料が分からないのです。そうなると、一番手っ取り早いのは、数学者や、数学の素養のある人に材料を触ってもらうことだと考えています。材料を知ってもらうと、次から次へとアイデアが出てきて、それこそ新たな材料開発の指針が出てくると。それによって、材料開発が飛躍的に向上したという例を知っておりますので、ぜひ、ここの人材育成に関しては、材料屋は材料屋、数学屋は数学屋ではなくて、相互にお互いを知る仕組みで人材育成を図っていただけたらと思っております。

以上です。

【栗原主査】 ありがとうございました。

ほかに御意見ありますでしょうか。

【常行委員】 常行です。データを基軸としたマテリアル研究開発のプラットフォーム整備は非常に重要なポイントなので、こういうのをまとめていただいたのは大変良かったと思います。

それで、この中に書いてあることをこれから実現していくことを考えますと、この際、この委員会関係だけではなくて、例えば、量子研究推進室でありますとか、環境エネルギー課、それから計算科学技術推進室等、文科省内での連携がますます重要になってくるように思いますので、よく情報交換をして進めていただけると、研究者もそれぞれのところに関与しておりますので、そういうところで一緒に御協力しやすいのではないかと思いました。感想でございます。

【栗原主査】 ありがとうございました。

私も研究計画・評価分科会に出ていますけれども、そこでもいかに融合研究を進めるのかという議論がありますので、今のようなご意見に対応すると思います。

ほかに御意見はおありでしょうか。

【射場委員】 射場です。三島先生、ありがとうございました。今まで、特にデータの話は随分何回も意見を言って、たくさん取り上げられているので、ありがたいと思っています。

そこはそれでよいのですが、先ほど栗原主査もおっしゃっていた、4ページ目の真ん中あたりの創発の話について、これは去年、経団連からも戦略と創発という形で提言もしていて、ここにも取り上げてもらっていますが、ここの1行だけで、何か寂しいなという気もします。

創発型研究のマテリアルの部分はどんどん強化していってほしいと思うので、これも具体的な展開をお願いしたいと考えていますが、現状でも、JSPS等で創発型研究が大変たくさん実施されていると思います。その研究成果をいかに戦略に移行していくか、民間も含めて取り組む必要がありますが、JSTやNEDOの中でも、やはり創発の成果を受け取って新しい戦略を立てることの強化が必要で、ここは大変新しいシーズを生み出す意味では大事だと思っています。

【栗原主査】 ありがとうございました。

それでは、加藤委員。

【加藤委員】 東大の加藤です。三島先生、どうもありがとうございました。

今回の議論ですが、プラットフォームを強化する、それから、データ駆動を重視するというのは非常に良いと思うのですが、それに加えて、実験をきちんとやる人がいないとデータが出ないので、日本の強みでもある従来の実験研究に加えてさらにデータ駆動につながっていく仕組みを作っていただきたいと思います。

ノーベル賞の吉野先生の話も何度かお聞きしましたけど、やはり泥くさい実験を何年も重ねて、それがシステムになっていき、最終的に電池になったわけですので、そういった地道に実験でデータが出せる日本の強みというものも残していただきたいと思います。

それから、人材育成のところですが、例えば、私のところは化学系の実際に実験する研究室ですが、やはり世代が変わってきているのを感じています。例えば、今の研究室の学生ですと、ふだんは分子の合成実験をやっている学生でも、デジタルな環境で育っているので、自分から統計に興味を持って、統計1級の資格を取ったりしています。そういう若い人材が育っているので、先ほど数学者とかデータのサイエンティスト、材料に興味を持ってもらうという御発言がありましたが、一方で、実験系の学生で、デジタルに興味を持っている学生をどう育てていくか。それはもう学生の段階で引き上げていかないとなかなか難しくて、じっとしていると、そういう学生はコンサルティング・マーケティングなどの業種に行ってしまいます。それはそれで大事な仕事ですけど、どうやってマテリアル研究のほうに、マテリアルに興味があって、デジタルにも興味がある若い学生をつかまえるか、この分野で活躍してもらえる体制をつくるかということも、1つ重要ではないかと思いますので、その辺の仕組みもぜひ考えていただきたい。融合人材をつくると言っても、仕組みをきちんと考えていかないと、簡単にはできないと思います。ぜひ、その辺もよろしくお願いしたいと思います。

どうもありがとうございました。

【三島先生】 三島でございます。加藤先生、どうもありがとうございます。

材料で言えば、材料と情報と両方できる人というようなことにすぐなるわけですが、東北大学で、そういう計算材料学をやっている人たちのための人材育成のプロジェクトがありました。たしか5年終わったと思いますけれども、そこでは、いろいろな分野の人たち、計算を得意とする人に限らず、材料を得意とする人がそういうところに集まっていろんな勉強をしているというようなことも動いております。人材育成についてはたしかに非常に工夫とか、システムをきちんと作ってやらないといけないというのは御意見のとおりだと思いますので、そういうものを生かしていきたいと思います。ありがとうございました。

【加藤委員】 拠点型で幾つか成功されているということで、良いと思うのですけど、全国的に見たとき、ぽつんと出てくる学生をどう拾い上げるかというのも、ぜひお考えいただければなと思いますので、お願いいたします。

【三島先生】 分かりました。ありがとうございます。

【栗原主査】 東工大の卓越大学院も、物質と情報ということではやっていますよね。

【三島先生】 そうですね。やっております。

【加藤委員】 問題はそういう学生が将来、どう活躍しているかもぜひ追跡して、活躍する場を与えてあげるというのも大事かと思いますので、よろしくお願いいたします。

【三島先生】 そのとおりだと思います。

【栗原主査】 拠点ができていたときには、そこの外にいる学生や、研究者を、どううまくネットワークの中に入れていくのかがすごく大事ではないかと思うので、そういう意味でも、加藤先生、ありがとうございます。

【加藤委員】 ありがとうございました。

【栗原主査】 また、実験の最初は常にフロンティアで、型にあまりはまらないと思うので、今の加藤先生の前半の御意見も大変重要だと思います。ありがとうございます。

ほかに何か御意見ありますでしょうか。

【前田委員】 前田裕子です。三島先生、ほか皆様、ありがとうございました。また、三島先生、AMEDの理事長御就任おめでとうございます。

【三島先生】 ありがとうございます。

【前田委員】 まさしく今、加藤先生がおっしゃられたように、人材育成のところで全く同じようなお話をさせていただきたかったのですが、大学設置審議会の委員を6年させていただいていまして、学部の名前や学科の名前の申請を見ると、どうしても古くさいイメージがある「材料」とかいう言葉がどんどん姿を消していっています。若い学生さんに魅力のあるようなタイトルであったり、もちろんデジタルと掛け合わせていただいたり、もしくは、人文科学のほうの方にも目を向けてもらえるような学科名であったり、若い学生さんが入ってきやすいような土壌をつくっていくことが大事かなと思います。

やはり材料開発という目線ではなく、もっと違う方面の人がどういう材料を求めているのかということを、違う立場からいろいろ見ていただけると、もっと違う目線での発想が出てくると思っていまして、文部科学省だからこそ、何とか高校生から大学に上がるときの若い方を吸い上げられるような方策が何かできないのかとすごく思っています。

以上です。

【栗原主査】 ありがとうございました。

それでは、ほかに御意見ありますでしょうか。では、菅野委員、お願いします。

【菅野委員】 菅野です。大変な取りまとめ案、どうもありがとうございました。2点、簡潔に意見を述べたいと思います。

メールでのコメントにも少し書いたのですけれども、やはり独創的な研究というのが重要であると考えます。先ほど射場委員からの指摘もありましたけれども、戦略研究から創発型研究へ推進し、この1行ですけれども、ここの道筋がもう少しあったらいいなと感じました。

もう1点、この取組を個々の研究者に広げる仕組みというのが重要であると思います。例えば、ナノテクプラットフォームなどは、個々の研究者がプラットフォームを使い、待っていてもデータが集まっていくと。しかし、このデータを集めるという今回のプラットフォームは、個々の研究者からデータを取るためには、例えば拠点であれば、拠点から取りにいかなければならない、働きかけなければならないと思います。その仕組みというのが重要であると考えます。

以上2点です。

【栗原主査】 どうもありがとうございました。

宝野委員、お願いします。

【宝野委員】 どうもありがとうございます。

今回のマテリアル革新力の取りまとめ、分かりやすくまとめていただいて、ありがとうございます。

それで、こういった議論があるときにいつも思うのですが、やはり実効性を持たせるためには、人をどうやって動かすかということが非常に重要だと思います。それで、マテリアル関連の論文の質量ともに国際シェアが下落しているとかいったデータは頻繁に拝見するのですが、やはり日本では博士課程の学生が、特に中国と比べても不足していると思います。

それでも、多くの学生さんが博士課程に進学されますが、その後、なかなか定年制の職に就けないという問題があると思います。それで、卓越研究員制度とか、いろいろ用意していただいているのですけど、卓越研究員の資格を持たれても、なかなか基礎研究では定年制のポストが得られず、年を召されても任期制の職に就いておられるという方がおられて、それが博士課程に進む動機を低めていると感じております。

それで、一番の問題は、このマテリアルの分野でドクターを取って、そういった方々が大学や我が国の研究機関だけを目指されるというところに、ちょっと構造的な限界があるような気がします。それで、マテリアル・イノベーションの基礎・応用研究をやられた方々がどんどん企業に就職される、ドクターあるいはポスドクをやってからも企業に就職できるような環境ができて初めて研究のエコシステムが構築されたと言えるように思います。

ですから、今後議論していく上で、若手研究者の中には博士課程の学生を入れて、給与の支払いも含めて、どうやって博士課程の生活を自立させて、それで、学術的な成果を上げた一部の方は大学や公的機関に残っていかれるでしょうけれども、それ以外の方々でも民間企業に就職して、そこで活躍していただくとか、そういった博士課程の学生さんが多様な分野で活躍できるようなシステムの構築が非常に重要だと感じました。

以上です。

【栗原主査】 大変貴重な視点だと思います。ただ、化学や材料分野では、割と企業にドクターの修了者が就職しているというふうな見聞もありますが、そういうものがまとまったデータになっていないので、ぜひ、関係者でそういう企業で活躍しているというようなことを、むしろ学生の人たちにもっと理解してもらうということが大事なのではないかなと私は思っています。

最近、NISTEPで、ドクターに進学した学生さんにキャリアフォローをするような登録の呼びかけがあったようで、文科省の皆さんがそういうデータに対して集めようとしていただいているのは、大変貴重な活動だと思って、感謝して状況を見ています。ドクターに進学したことが、その人のキャリアにメリットがあるということも、何とか研究者コミュニティとしてもうまく集められたらと思います。

この委員の皆さんでも、大学にいらっしゃる方々はうまく卒業生の活躍を発信していくことも、ドクターの学生をより増やすためには大事なのではないかと思っていますので、何かできないかと、私は大学の教員として思います。

ほかの方で何か。納富委員、お願いします。

【納富委員】 1つ、先ほどの件についてちょっと補足しますと、私はNTTに勤めているのですけれども、NTTはドクターを非常に大量に採っておりますので、そういう話もいろいろ広めていこうかなと考えています。

今回も三島先生がまとめていただいた非常に力強い戦略について、私に関係するところでちょっとコメントさせていただきますと、マテリアル・イノベーションエコシステムの構築というところで、プロセスのイノベーション拠点を作るという話がありまして、その中でも、最先端のプロセスファウンダリーというようなことも挙がっています。最近、例えば、電子機器に応用しようと思った場合には、やはりファウンダリーと組まないと、もう社会実装は難しいという問題が非常に深刻になっています。こういう点では、米国は非常にそのファウンダリーが進んでいるので、そこら辺が非常にスムーズで、例えば、ドクター学生のアイデアがもうすぐに製品化に結びつくようなところも非常によくあります。

ヨーロッパのほうでは、民間企業のファウンダリーはそれほど強くないのですけど、国とかEUを挙げた非常に強力なファウンダリーがあって、そういうところと研究室が組んでいると。

日本は、そういうところでいくと、従来はメーカーだったのですけれども、そこは組めるところがなかなかなくなっていて、やはりこれがかなり問題になっていると思っています。

特に最近は、例えば、最先端のファウンダリーはシリコンのプロセスが中心だったのですが、そういうところに新しい材料をどんどん入れていこうというムーブメントがかなり広まっていると思う一方で、そういうところになかなか日本の研究機関が入り込めていないというところがありますので、このプロセスファウンダリーは、ぜひ強力なものを作っていただきたいと思います。

特に、これは経産省のほうでも、産総研さんを中心に、そういうファウンダリーを進めていらっしゃいますので、ぜひ、そういうところと協力をして、日本として非常に強い、そういうイノベーションの拠点を作っていただければと考えています。

以上です。

【栗原主査】 ありがとうございました。

三島先生、今回の御提案は、この検討会、経産省との合同だということだったので、そういう点に関しては、どういう議論がされていらっしゃるんでしょうか。

【三島先生】 経産省は、2つの分野の と、それから、 になっていて、非常にものづくりの方面のところでいろいろな御意見を出されておりました。

それで、どういう議論があったかというと、今、このまとめの中にも入っているような、どういうふうにそのプラットフォームを作っていくかということですけれども、経産省から、例えば、日本の産業界を強くするという観点が一番強いので、そういった、ここで考えているようなマテリアルに関する戦略を、どういうふうに企業がそれを請け負ってやっていくか。その辺のところでは、多分、データの共用みたいなところが非常に重要になるというような感じだったと思いますが、今思いつくだけでは、そのぐらいのところでございます。

【栗原主査】 ありがとうございます。

一緒に検討されたということは、両側からアプローチして、それこそ基礎から出口ということで検討されたのだと。

【三島先生】 これから年度内ぐらいに向けて、やはり文科省、経産省に内閣府が入って、タスクフォースのようなことをやっていくというふうには聞いておりますので、引き続き、その3省に連携はしっかりとして進んでいくと思います。

【栗原主査】 それでは、次、高梨委員、お願いします。

【高梨委員】 どうもありがとうございます。東北大の高梨です。

ちょっと蛇足になってしまうかもしれないですが、今までの議論を聞かせていただいて、宝野先生のおっしゃっていることが、大学の人間としては非常に強く応える、響くところがありました。

1つ言えることは、これはマテリアルだけの問題ではないのですが、今、研究者の立場というのが非常に不安定になっている、特に若手の研究者のほとんどに任期が付いていて不安定になっているということは、非常に大きな問題だと日頃から感じています。それが日本の学生がなかなかドクターに行かない1つの大きな要因になっていると思うので、これはここで言うべきことでもないのかもしれないですが、そこの部分は、やはりちゃんと考えないといけません。

国研はまだよいと思います。大学はもちろん変わらなければいけないのですが、予算上の非常に大きな問題があって、若手がほとんど任期付きになっていて、そこは非常に大きな問題だと思います。

栗原先生がおっしゃったように、マテリアルはまだ企業に行く道があるというのは、確かにそのとおりだと思いますけれども、単にメーカーとか、技術者とか、そういうような意味での企業だけではなくて、学位を取った人間にはいろいろな道があるのだというところを日本はもっと示していかないと。例えば、研究をマネージするような分野とか、広報とか、大学ではURAみたいなものになるかもしれませんけど、あと官公庁、そういうところに行くとか、そういうような道、キャリアパスも日本の中で示していかないといけないんだと思います。

それから、あと、三島先生が東北大学の計算材料学の人材育成プロジェクトを非常に高く評価してくださったのは大変ありがたく、うれしく思うのですが、あれも結局、これからさらに続けていくのにはお金が必要で、評価してくださるのでしたら、ぜひサポートについても積極的にお考えいただければありがたいと思います。

「富岳」が世界一のスピードを誇るというのは大変結構なことだと思うのですが、結局、コミュニティや人材育成に対して、まだまだお金が不十分です。その点も、ぜひお考えいただいて、サポートいただければと思います。

【三島先生】 分かりました。ありがとうございます。

【栗原主査】 ありがとうございました。

それでは、長谷川先生、お願いします。

【長谷川委員】 ありがとうございます。青山学院大学の長谷川でございます。

三島先生、種々、主査として先導してくださいまして、大変ありがとうございました。今後ともよろしく御指導くださいませ。また、栗原先生、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

三島先生からのマテリアル促進力というか、次の世代に向けた非常に力強い御提案、革新力ということで、資料を拝見して、大変感銘を受けております。2点だけコメントをさせていただきたいと思います。

1つ目は、マテリアル革新力、あるいはイノベーションというところから、ケミカル・アブストラクト・サービスにおける物質に番号が一つずつ付いていくんですけれども、それは論文からの新しい材料にも物質に番号が付いていくシステムがございます。この通称CASナンバーというものが、あるレビューにまとめられておりまして、それによりますと、2000年頃には、CASナンバーを付けられた物質の数が約30ミリオン、3,000万個、これが20年後ぐらいの2017年には、200ミリオン、2億に増えているということです。この現象は、2000年頃から急激に物質の数が増えてきたということを意味しておりまして、物質爆発時期と、爆発的物質の数と増加というふうに表現されております。

これは何を意味しているかというと、大抵のものを作れるような技術がもう培われてきているということと、そういった技術を使って次の世代に新しいマテリアルを創製していく時代に入ってきたということかなと思っております。これは、エデュケーションと社会とのつながりがマテリアルで支えられるということが、三島先生の御提案のマテリアル革新力の推進に非常に合った時期にあるのではないかと思いました。

2つ目のお話は、こういった新しいマテリアルが開発されると、それをある意味特殊な方法で構造を知らなくてはいけないですとか、機能を知らなくてはいけないとか、新しい技術や測定の方法なども開発されてきているということだと思います。これは、先ほどの理論と実際のマテリアルとの融合ですとか、あるいは、その他の周辺の分野と併せて、この技術もオリジナルなものですとか、それを支えていく人材の創発というのが、日本がイニシアティブを取るよい内容なのかなというような印象を受けました。

以上です。ありがとうございます。

【栗原主査】 ありがとうございました。

では、武田委員、お願いします。

【武田委員】 武田でございます。手短に話します。

分野融合といったときに、私は2つあると思っておりまして、1つは、マテリアル研究をより活性化するために、ほかの分野の方、材料以外の分野、例えば情報系の方と共に研究を推進するという意味と、もう一つは、そのマテリアルの受け手側、マテリアルの応用先の分野の方との異分野の融合というのも非常に重要だと思っております。これはどういう意味があるかといいますと、マテリアルの社会実装のことになりますけれども、マテリアルがどのように世の中を変えられるのか、こんなすばらしいことができるという、そのような道を探るための異分野融合、そういうのが非常に重要だと思っておりまして、大学生や、さらに若い方たちにとって、将来こんな社会になったらいいね、こんな社会を変えられたらいいねというところで、マテリアル研究がこれだけ役に立つというような教育というのも1つの手段だと思っています。

また、このたび、三島先生がAMEDの理事長に御就任されまして、私、大変うれしく思ったのですが、医療分野において、一層マテリアルを応用することによって、より良い医療に役立つものができると思っておりますので、ぜひ、三島先生の御指導で、さらに医療研究開発の新たな展開などというのもすごく期待申し上げております。ぜひ、そのような異分野融合を活性化したらいいのではないかと考えております。

【三島先生】 三島でございます。ありがとうございます。

私の方針には異分野融合はしっかり入っておりますので、頑張りたいと思います。

【武田委員】 ありがとうございます。

【栗原主査】 どうもありがとうございました。

【栗原主査】 この議題(1)に関しては、まだまだ御意見あるかと思いますが、議題(2)についても似た観点もございますので、時間が限られておりますので、ここで打ち切らせていただきます。

三島先生、本当に御多用のところ、ありがとうございました。

【三島先生】 いいえ、こういう機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。申しわけありませんが、これで退室いたします。ありがとうございました。

【栗原主査】 ありがとうございました。

では、続きまして、議題(2)の令和3年度新規要求・拡充施策についての事前に評価に入ります。この部分については非公開ということでお願いいたします。

事務局、説明をお願いします。

(議題(2)については、概算要求に関わる内容のため非公開)


(以下、公開)

【栗原主査】本日の議事は以上となります。

では、最後に、その他の事務連絡を事務局よりお願いいたします。

【小川補佐】 事務局より事務連絡でございます。

次回の第8回ナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、9月上旬を予定しております。後日、開催案内をお送りさせていただく予定でございます。また、新規拡充に係る事前評価書(案)でございますけれども、こちらも後日、先生方に送付させていただきますので、次回委員会で御審議いただければ幸いでございます。

また、本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成して、委員の皆様にお諮りし、主査代理及び主査に御確認していただいた後、ホームページにて公開いたします。

資料につきましても、今回配付させていただいたものをホームページに公開させていただきます。

以上でございます。

【栗原主査】 ありがとうございました。

今日は、委員の皆様、大変活発な御意見いただき、ありがとうございました。

それでは、本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会は、これで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。また今後ともよろしくお願いいたします。


―― 了 ――

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研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

(研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付)