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第9期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成30年11月29日(木曜日)16時~18時

2.場所

中央合同庁舎第4号館1階 共用123会議室

3.議題

  1. ナノテクノロジー・材料分野の研究開発評価について
  2. ナノテクノロジー・材料分野の国際動向について
  3. その他

4.議事録

【三島主査】  それでは、ただいまから第9期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会第7回目を開催させていただきます。本日、第9期の最終回ということですけれども、お忙しいところお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 本日の議事ですけれども、まず議事1が「ナノテクノロジー・材料分野の研究開発評価について」ということで、元素戦略プロジェクトの中間評価について御議論を頂きたいと思います。それから、議事2は「ナノテクノロジー・材料分野の国際動向について」ということで、科学技術振興機構(JST)のCRDSの方から御講演を頂くということになってございます。

 それでは早速ですけど、事務局から委員の出欠及び配付資料の確認をお願いいたします。

【高橋補佐】  ありがとうございます。本日は、射場委員、加藤委員、瀬戸山委員、武田委員、館林委員、林委員が御欠席と承ってございます。

 続いて、配付資料の確認に移らせていただきます。お手元の資料をごらんください。資料1-1(机上配付)として、ナノテクノロジー・材料分野の施策マップがございます。次に資料1-2として元素戦略プロジェクトの中間評価研究結果の案。資料1-3(机上配布)として、元素戦略プロジェクトの中間評価の評価基準の一覧です。続いて、資料2-1と2-2としてCRDSのお二人から御講演いただく資料。続いて、参考資料1として、研究評価計画についての資料、参考資料2(机上配布)として、総合政策特別委員会の検討の進め方について、最後に参考資料3(机上配布)として、ナノテクノロジー・材料科学技術の研究開発戦略の概要を配布させていただいてございます。落丁等ございましたら、事務局の方にお申し付けください。

【三島主査】  ありがとうございました。資料よろしいでしょうか。

 それでは早速、議事1に参ります。「ナノテクノロジー・材料分野の研究開発評価について」ということで、先ほども申しましたが、元素戦略プロジェクトの評価について御議論いただきますが、私自身が利害関係者ということだそうでございまして、この元素戦略を立ち上げるときから関与しておりましたし、運営統括会議のメンバーでもあったということであろうかと思います。ということで、この議事については五十嵐主査代理に進行をお願いして、進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【五十嵐主査代理】  承知しました。それでは、議事1については五十嵐が進行を務めさせていただきます。

 本件につきましては、平成24年度から実施している元素戦略プロジェクト(研究拠点形成型)について2回目の中間評価を行うものです。当該事業では4つの拠点を形成して事業を推進しているところでありますが、今回は各拠点の評価というよりは、事業全体の評価を実施することになります。

 評価の進め方としては、本日の参考資料1として配付されておりますが、本年6月の委員会で決定したとおり、外部有識者からなる中間評価に係る検討会を開催し、事業実施者からの報告書並びにヒアリング等により評価を検討の上、中間評価票案を作成し、本委員会に御報告いただくこととしております。その上で、本委員会において質疑応答、討議を行い、中間評価票案について検討いただき、適宜修正の後、取りまとめて、研究計画・評価分科会に評価結果の報告を行うことといたします。

 本事業の中間評価検討会については、本委員会から栗原委員、菅野委員に御参画いただいて、ヒアリング等を実施していただいた上で、中間評価票の案を作成いただいております。そこで、本日は栗原委員及び事務局より検討の結果発等について15分程度で御説明をお願いしたいと思います。

 なお、参考資料1にございますが、本年6月の委員会で決定した平成30年度研究評価計画により、利害関係者の範囲が整理されております。これに基づきまして、本日御出席の委員のうち、三島主査、高梨委員、常行委員、中山委員、橋本委員につきましては利害関係者に当たると考えられますので、評価に係る御発言はお控えいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 また、他の皆様におかれましても、利害関係を有すると自ら御判断される方がいらっしゃいましたら、あらかじめ御申告をお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは、栗原先生、よろしくお願いいたします。

【栗原委員】  それでは、私の方からは、どのように評価を実施したかを簡単に御説明させていただきます。

 中間評価結果(案)の3ページが委員名簿です。私と菅野先生がこの委員会から加わっておりまして、あとは関連分野の研究者からなっております。

 それで、5ページには、対象となっている4領域と、それから事業全体の評価ということで、玉尾先生がPDでいらっしゃるので、玉尾先生から発表いただきまして、評価をいたしました。評価の進め方は、報告書と、それから発表資料を事前に頂いて、各委員が見ていた上で、10月2日にヒアリングを行いました。

 実施案の最後のページを見ていただきますと、今回、非常に細かく評価の基準というのを作りまして、これに従って個別にコメントを書いていただくということを書面にしました。そのために、どちらかというと、ヒアリングも少し時間がかかったんですけれども、非常に具体的なコメントを頂いて、それが今回の報告書に反映しております。

 事業全体、研究拠点について、項目についてそれぞれ5段階で評価するということでしたので、評価をする側としては、きちっと状況をそれぞれについて伺えているかどうかということは、皆さん大変気にしてヒアリングをしていただきました。

 その内容については事務局から御紹介いただきます。よろしくお願いします。

【高橋補佐】  ありがとうございます。続いて、事務局から中間評価(案)と全体の流れについて御説明させていただければと思います。お手元の資料1-1と1-2をごらんいただければ幸いです。

 資料1-1は、今、文科省で走っている関連施策をマッピングしたものです。この中で、真ん中に元素戦略プロジェクト(研究拠点形成型)があり、本年2018年度について中間評価を実施するとさせていただいているところでございます。

 続いて、資料1-2をごらんいただければ幸いです。先ほど栗原先生からも御案内がございましたが、こちらが中間評価結果の(案)となってございます。中間評価検討会の経緯、また、その概要につきましては先ほど栗原先生から御案内いただきましたので、割愛させていただきまして、8ページ以降の中間評価票の中身について私の方から御説明させていただければと思っております。

 8ページをごらんください。8ページですけれども、課題名、元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>とさせていただきまして、研究の評価のところで、文部科学省の研究開発計画で施策目標、大目標、中目標というたてつけがございますので、これを8ページ目に記載させていただいております。施策目標としては、未来社会を見据えた先端基盤技術の強化とした上で、大目標、中目標に基づいて元素戦略がたてつけてあるというところの説明です。これも公表されているものですので、割愛させていただきます。

 続いて、本課題が関係するアウトプット指標とアウトカム指標について御案内します。1つ目が研究発表数ですけれども、平成25年度ですと989件、26年度ですと1,467件でしたが、過去3年、1,700件~1,800件と高い伸びを示している。

 また、本課題が関係するアウトカム指標として、論文数と特許出願数を挙げてございます。こちらについても、平成27年から490件、500件以上の件数を上げているというところでございまして、平成25年度ですと284件という数字でございましたので、大分伸びを示している。

 また、特許出願数についても、過去3年で見ますと、大体18件、17件程度で推移しておりまして、過去の平成25年度、26年度は10件前後でございましたので、こちらも伸びを示しているという状況です。

 続いて9ページ目をごらんください。評価結果の具体のところです。まず、課題の進捗状況について御説明させていただければと思います。本事業では、磁石、触媒・電池、電子、構造の4つの材料領域を基にトップレベルの研究者集団によって、元素の機能の理論的解明から新材料の創製、特性評価を一体的に推進する研究拠点を形成することを目指してございます。

 本事業の全体の進捗状況ですが、事業開始時に設定した目標達成に向け、事業開始後約6年間の取組として、おおむね良好に進捗していると認められているという評価を頂いてございます。具体的には研究開発体制から御説明させていただきます。

 まず全体の研究開発体制ですが、平成28年度に事業運営の主体である運営統括会議をプログラム運営委員会へと改編し、PDを中心として、PO及び専門委員が強力にサポートする体制へと移行いたしました。この改編によって、事業運営の効率化、運営から拠点への指示伝達ルートの明確化が図られたというところ、有効に機能したというところございます。

 また、各拠点においても前回中間評価における指摘を受けまして、電子論、材料創製、機能評価の3つのグループの位置付け、資源配分の見直しを行いました。各グループ単独ではなし得ない連携・融合による成果が得られている。また、一部では電子論が材料創製を先導する事例も見られる等、本事業の特色を生かした研究開発が展開されているとの評価をいただいてございます。

 また、中盤2番目、マテリアルズ・インフォマティクスについても各拠点において活用されているというような御評価を頂いています。

 また、本事業は事業開始当初より、ほかの省庁との事業分担という観点で、内閣府及び経済産業省が実施する関連事業と一体的に運用するためのガバニングボードを設置してございまして、磁石・高効率モーター、蓄電池、構造材料の3分野において定期的に開催し、また合同シンポジウムも開催するなど、府省庁をまたぐ連携が行われているというところ。また、研究者の交流もこれまで以上に活発になってございます。

 各拠点における研究成果・拠点構築状況について御説明させていただきます。磁石材料拠点ですけれども、磁石材料の微細組織化と結晶粒界の磁性制御により、従来品と同等性能を有するDyフリーネオジム磁石の開発に成功、一部企業での実用化につながっている。また、さらに高い保磁力を有する材料として、SmFeCo系の物質を見出しているバルク磁石化に取り組んでいる。また、磁石の熱力学的挙動を計算できるデータベースを構築する等、日本における磁石研究の拠点として機能しているとの評価です。

 続いて10ページをごらんください。10ページ上段ですが、触媒・電池材料拠点についてです。電池領域では、拠点独自の技術である常温溶融水和物の可能性を追求し、電池の安全性向上に寄与する消火性電解液を見出した。また、Naイオン二次電池の部材開発においても多くの候補材料を開発しており、サイエンスに基づく次世代電池材料開発の拠点となっているという成果も挙げられてございます。触媒領域でも、貴金属フリー触媒の開発を継続しているなど、結果を出しているというところです。

 続いて3番目、電子材料拠点ですが、こちらも従来の発想にとらわれず、物質の多様性と多存元素の活用に重点を置き、MIも駆使しながら両極性半導体となるZrOSを見出す等、超伝導体、半導体、誘電体の各分野において、これまでにない新しい物質群を開発しているとの評価を頂いてございます。また、企業との共同開発や社会実装に取り組んでおりまして、社会からの注目度も非常に高い拠点となっており、東京工業大学の重点分野に新・元素戦略が位置付けられているというところで、拠点化が着実に進捗しているという評価を頂いています。

 構造材料拠点ですが、こちら、最先端の計算科学を駆使したマルチスケール計算の活用とバルクナノメタル化により、従来の延長線上にはない強度と靱性を高いレベルで両立する鉄鋼及び非鉄材料を見出している。変形子という概念によって、その原理解明を進めるとともに、プロセス条件を確立することによって、新たな材料設計指針につながる共通指導原理の獲得を目指しており、学の拠点となりつつあるという評価を頂いてございます。

 総評として、本事業では、学理構築に重きを置きつつ、元素戦略のコンセプトに忠実にのっとった研究が実施されることによって、多くの独創的な材料が生まれている。また、積極的な情報発信と企業連携により、拠点としての認知度も向上している。また、社会実装も進む等、顕著な成果が見られ、事業後半となる今後もより多くの産業界への橋渡しが期待できるという評価を頂いてございます。

 続いて、各観点の再評価ということで、必要性、有効性、効率性の観点から、再度事業全体を見直したというところです。

 まず、必要性の観点ですが、平成30年度現在においても、やはり資源制約を受けやすいという我が国の状況は変わっていないこと。また、SDGsに代表されます社会的な要請の中でも元素戦略が優先課題の1つに挙げられているなど、新たな期待も寄せられているという状況がございます。産業界のみではできない研究開発に重点を起き、サイエンスベースで目標を達成するという戦略も高く評価できるというような御指摘を頂いてございます。

 また、指摘というところでは、磁石材料拠点や触媒・電池材料拠点ではターゲットを限定し過ぎたことにより、元素戦略の展開に制約が出ていないかというような御指摘、また、本事業では各材料領域における元素戦略研究の展開が最も重要であり、研究対象が特定の物質や現象に限定されないよう配慮すべきというような御指摘を頂いてございます。

 続いて、有効性の観点ですが、拠点ごとに組織された3つのグループ機能を融合し、さらに大型研究施設とも密に連携しながら、独自性の高い研究成果が上がっている。また、研究発表や論文等の成果の情報発信も積極的になされているとの評価を頂いてございます。特に産業界では実施できない基礎学理の構築の着実な進展と評価手法の開発に注力している点は全拠点において評価できるとの評価です。

 一方で指摘というところですが、3グループ間の融合にはまだ改善の余地がある。各グループ単独ではなし得ない研究成果の創出を期待したい。実用化に関しては拠点ごとに進捗の差があるので、産業界への情報発信、社会ニーズの取り込み、産学連携をさらに強化してほしい。また、事業終了後も研究者が集まる研究拠点として残すことができるよう、学理の構築のみならず、若手人材の育成、産業界との連携、社会実装による外部資金の獲得等にもこれまで以上に積極的に取り組んでもらいたいとの評価を頂きました。

 最後、効率性ですが、拠点形成の観点で、前回の中間評価における視点を受けて、PDを中心とする運営体制へと大幅な再編が行われたというところです。また、文部科学省も含めた運営と拠点との連絡・指示伝達体制も整備される等、改善が着実になされているとの評価を頂いてございます。また、産学の研究者、技術者が参画した強力なアドバイス体制も構築されている。その結果、多くの研究成果につながっているとのことです。

 一方、指摘としては、磁石材料拠点や構造材料拠点において、企業研究者のアドバイスが特に重要であり、体制の中に入れることを検討してほしい。また、企業からのコンタクトが増えるように、研究成果の提示につながるようなさらなる工夫を期待したいというような御指摘がありました。

 最後、まとめに入りますが、今後の研究開発の方向性としては、本課題は継続するとしていただいております。我が国の科学技術基本計画の下、材料開発の根幹となる元素戦略の必要性は高まる一方であり、成果も順調に上がっていることから、引き続き本事業を推進すべきとの判断。事業運営及び研究開発の体制も妥当であり、今後も社会実装につながる成果が期待できるとしていただいてございます。

 その他といたしまして、今後は成果の取りまとめの時期に入ることから、知財の確立、活用方法について、文部科学省も含めて、拠点と再度方針を確認し、知財戦略の策定、産業応用の可能性がある成果については積極的に特許化を進める等の対応が必要であるというところを御指摘として頂いてございまして、国が主導する研究開発事業のモデルケースとして、今後も引き続き頑張ってほしいという意見を頂いてございます。

 説明は以上です。

【五十嵐主査代理】  ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明内容について御意見、御質問がございましたら、よろしくお願いします。

【上杉委員】  非常によくまとめられていると思います。11ページの上の方について1つ質問があります。

 「出口戦略や性能目標も具体化されているが」のところであります。これは1つの指摘だと思うんですけれども、磁石、触媒・電池というようなところではターゲットを限定し過ぎたことにより展開に制約が出るということに留意しなければならないということですね。恐らく両方とも大切なことなんだと思うんです。

ターゲットを全く限定せずにやって、後で利用価値を見付けようとなりますと、なかなか難しくなります。プロジェクトが成り立ちにくい。一方、限定し過ぎて、それだけしかやらないとなると、新しいものが出てこない。使い方がはっきりしていると、競争になることも多いです。しかし、何かひょんなことから新しいものが出てとなると、全く画期的な特許性の高いものになると我々は感じています。

そこに「配慮すべきである」と書かれていますけれども、どんな配慮をすれば両方が効率よくできるのでしょう。

【栗原委員】  これは研究テーマについて適切に見直しながら進めてほしいということだと思うんですけれども、特に触媒とか電池の領域では、電解質が特定のものを、独自性があるという意味ではいいけれども、少し特殊なものを限定して研究しているように見えたり、触媒なんかも少し限定的な印象があったんですね。ですから、これは当然のことではあるんですが、まだ残りの期間もあるので、少し広げることも含め、研究の周りの状況も含めて、テーマについてはきちっと見直してやってくださいという。

【上杉委員】  その都度見直しながら進めるということですか。

【栗原委員】  そうです。特に限定し過ぎないように、やはり拠点なので、広がりと学理の確立というような意味での深掘りと両方必要だというのが大体の骨子だと思います。

【上杉委員】  分かりました。ありがとうございます。

【五十嵐主査代理】  湯浅先生、どうぞ。

【湯浅委員】  大変よくまとまっていると思いましたが、特許出願件数が増えたとはいえ、まだまだ少ないように感じますが、これ拠点ごとに何本ぐらい出願したか分かりますか。

【栗原委員】  具体的な数字は今すぐには出ないのですが、拠点によっては非常に少ないところもあります。第1期は出ているけれど、第2期はほとんどゼロに近いところがあったと思います。もちろんきちっと継続的に出していらっしゃるところもあるのですけども、全体として特許の扱いに関しては、PDも含めて知財担当と皆さんで検討して、戦略的に進めてくださいというコメントをその他の欄に特別に出ししているのはそういう事情になります。

【湯浅委員】  成果が出ていないならしようがないんですけど、この論文発表の件数から見ると、相当成果が出ていますので、相当特許性のある成果ももっとあると思います。

【栗原委員】  我々もそういう印象です。

【五十嵐主査代理】  今の件なんですが、例えば、企業と実際社会実装が進んでいるとかという表現もあったんですけれども、企業からの出願というのはこれにはカウントされていないんですかね。

【事務局】  企業からの出願はカウントされないです。

【五十嵐主査代理】  カウントされないんですね。

【事務局】  はい。ですので、間接的に寄与しているということはあり得ると思います。

【五十嵐主査代理】  それはやっぱり、元素戦略のプロジェクトの成果として何らかのカウントすべきじゃないんでしょうか。

【高橋補佐】  そうですね。共同研究先の方の成果というところをどう捉えるかというのは、文科省全体の施策全体に関わるような話でございまして、現状は恐らく、あくまで研究を行っている者からの申請のみですので、そういったことが取り得るのかという可能性も含めて、今後検討をする必要があるかなと思います。

【栗原委員】  研究者が入っていればカウントされるのではないかと思いますけど、一般論としては。

【高橋補佐】  そうですね。

【五十嵐主査代理】  共同出願はカウントされるんですね。

【栗原委員】  実施者が特許の開発、発明者に入っていれば、常識的には当然カウントしているのではないかと思いますけど、ただ、そういうことを考えても、少なかったです。

【中山委員】  ナノ材委員としては発言権ないのですが、推進していたPOとして。おっしゃるとおりですが、例えば、企業さんがこれを社に持ち帰って、自分でこれを応用して何か特許を出したりするのは見えます。でも、企業さんとしては、出所を言いたくない、場合によっては秘めておきたい気持ちがあって、どうしても把握できないところがあって、どのようにそれを表していくべきかというのはずっと悩んできたところです。

 例えば、磁石のところ。磁石の会社は非常に秘密の部分が多いです。なかなかそれを表すことができない中で、どのように外に出していこうか悩みます。このプロジェクトだけではなくて、企業さんとの研究開発プロジェクトの関係でそれをどのように成果として表していくかということは、考えていかないといけません。本当の意味での成果にならないし、多分公的資金での研究開発から得られた成果を使って、かなり企業さんは成果もしくは研究を進められていると思います。そこに関して、何らかの企業さんからの発言頂ければいいなというところです。いくつかの企業さんからのありがたいという発言は頂いているという状況ですけど、それが定量的にはなされていない状況です。

【五十嵐主査代理】  お願いします。

【湯浅委員】  今のお話ですと、企業というのは、そもそも特許出願もせずにクローズしたいという方針なんでしょうか。

【中山委員】  そういうところもありますし、独自のこれをさらに応用したような特許を独自で出されているというようなことも何となく見える。

【湯浅委員】  もっとも、特許が公開されるのを嫌がって、クローズしたいんだったら、ノウハウ登録というふうな方法でカウントする方法もあると思うんですが。

【栗原委員】  はい。ですので、最後のその他のところに書かれているのはまさに、そういうものを総合的にPDあるいはPOを中心にして検討していただきたいという要望を委員会としても出させていただいたというところです。

【五十嵐主査代理】  今の点は非常に重要かと思います。特に文科省発のプロジェクトにおいては、プロジェクトの成果をいかに社会実装につなげるか、それは目に見えないところでどんどん自由に使ってもらうというのが一番いいわけですよね。ただし、それはオリジナリティーを尊重するというのが日本の風土で欠けるところかなと思いますので、そこを是非PD、POの方中心にうまい仕組みを作っていただけたらと思います。よろしくお願いします。

【中山委員】  企業側のマインドの話もあるので、そこはなかなか難しい。一緒に考えていくということですかね。そういうことに関して企業出身で出席されている委員の皆様も一緒に考えていただけるということが一番いいかと思います。

【五十嵐主査代理】  よろしくお願いします。その他、御意見ございませんでしょうか。

【萬委員】  1点よろしいでしょうか。こういう拠点で考えなきゃいけないことに若手人材の育成ということがあります。今回の評価において具体的にどういうよい試みの事例があって、課題感としてはどういうものがあるのか、教えていただければと思います。

【栗原委員】  若手の方々はそれなりに参画して育っているという、そういう御報告だったと思うのですけれども、このプログラムは分野融合もしなくてはいけないし、機関融合、産学官連携と、いろいろ課題が多いので、それぞれの拠点によってウエートに特色がありますし、若手といっても、若手研究者の場合も学生さんの場合もあるように思います。

 例えば、細野先生のところは、どちらかというと、アイデアは若手の人から出ているものが具体化していっているというような御説明もありました。ですから、そういうものもあると理解しています。どの拠点も意識してやっていらっしゃると思います。

【五十嵐主査代理】  よろしいですか。

【萬委員】  はい。

【五十嵐主査代理】  そのほか、ございませんでしょうか。まだ時間もございますので、御遠慮なく。

【吉江委員】  では、有効性のところの最後の方に、事業終了後も研究拠点として残せるようなというような表現があったんですけれども、これはどういうイメージを考えていらっしゃるんでしょうか。

【栗原委員】  これも個別の拠点によって大分違います。東工大の拠点は大学が認定してやっているので、多分安定した運営ができるでしょうけれども、大学は、名前としては拠点認定していても財政的にバックアップしていないようなものもあります。国研などの場合は多分、日常活動の中のどこかに一緒に組み込まれていくだろうと思われるところもありますが、それに対して大学のものに関しては、PDの玉尾先生は学理を残してくださいということを非常に強くおっしゃっていました。それで、学理を残すことで、そこのところに活動の中心になるようなものを残したり、あるいは普遍的なものを作っていってもらうのがいいのではないかと。できれば外部資金を入れて、拠点として存続されれば、もちろんそれの方がいいので、そういう活動はどこもこれから活発にされると思います。

【五十嵐主査代理】  菅野先生は何かコメントございますか。

【菅野委員】  今後の終了後のことですけれども、それぞれに皆さん大変苦労されている、今後のことをどうするかというのは大変苦労されて、真剣に考えていらっしゃいます。うまくいくだろうなというところと、それからもう少し努力が必要だろうなというところは当然あるんですけれども、それなりに皆さん努力をされているので、今後、うまい方向に行くように期待したいというのが評価委員会のところでの大体総意でした。

 それぞれ先ほどの、私の印象として、全ての研究拠点について大変すばらしい成果を出していらっしゃいます。それについては全く問題ないと思います。すばらしい研究成果というのと、この目的とする3つの電子論、材料創製、解析評価、これを融合するというのと、あるところではちょっと努力をする必要がある。個々の成果はすばらしいんだけれども、この3つを融合して、別の分野を作る、別のところへ行くということに関しては、それぞれ温度差があって、もう少し努力が必要だなというところと、それは十分成果を上げているというところがありました。

 でも、それぞれこの3つ、私、前の中間評価の報告書も読ませていただいたんですけれども、それをベースに大変進歩しているという印象を持ちました。

【五十嵐主査代理】  前田先生。

【前田委員】  産業界からすると、この基礎的な内容を使ってこれからやろうとしている秘密裏のものを外に出したくないというのはすごくよく分かるんですけれども、内容を言わずに、この元の基礎的なものを使って会社が特許を出したということとか、何かしら申告してもらうということは難しいんですか。さっきノウハウでっておっしゃられましたけれど、会社の中で特許にはしないでノウハウにしとこうねということはよくやるんですけれども、多分企業からしたら、公にはしないですけど、書いてくださいと言われて書く人いないので、内容はあまり書かずに、分野だけとか、どう使ったかというファジーな書き方でもどう利用されたかということを表すことができると、いかに基礎的なものをきちんと作ってもらうことが産業界に使われているよというふうに、何かうまく表せないのかなと。きっと、でも、書いてって言ったら絶対産業界はやっていると言わないので、内容は言わなくてもいいけれども、どれぐらい使ったかを申告してほしいんですけどみたいな、いい感じで申告してもらえるような方法があるといいななんて思うんですけど。

【栗原委員】  それに関しては報告書の中で申告されていたと思います。例えば、共同研究事業化のフェーズに進んだ場合には、この成果はそこまで行ったという表現で伝えられていて、さきほどの特許の件数が出ている、出ていないと産業界と連携しているとか、していないということとは別の話だと思います。

 

【前田委員】  そうですね。共同研究になっているところはきっと必ずやしゃべっていると思うんですけれども、基礎的なところをアカデミアのところにきちんとやってもらえば、それを絶対にうまく使いたいし、そこは最近は産業界はそこまで手を出したくないと思っているので、ありがたいと思っているに決まっているので、何かしらそれを上手に使ったということをどう表現したらいいのかなというふうに思うんですね。

 共同研究って、上がっているところはこのように実装レベルまで行ったよというのは当然書いてくださっているとは思うんですけれども、そうじゃない水面下のところをどう数字に上げるかなというところが何か工夫できないのかなというふうに思いますね。

 具体的なものを書かなくてもいいので、うまく利用して特許になったというのが何件とか、何かそういうふうに表せないのかななんていうふうに思っているんですけど。

【五十嵐主査代理】  時間がそろそろ来たんですが、私、産業界の人間として、基本は湯浅先生がおっしゃった、まず各拠点の研究成果を基本特許としてまず押さえる。そうすると、企業がそれに興味を持って、何かそこから材料開発をする。そのときには必ずその特許を使うわけです。少なくともクロスライセンスになりますから、特許は是非書いていただきたいなと。ですから、今後の課題として上げていただいた内容がやっぱり一番重要かなというふうに思います。

 それからもう1つの御提案は、企業から問い合わせがあった、それ自体もう成果なんですよ。ですから、それをカウントするというのが一番明確で手っ取り早いかなというふうに思います。それを企業がどう発展させるか、そこはもしかしたらブラックボックスかもしれないですけれども、是非そういうことをしていただいたらいいんじゃないかなと思います。

 すいません、司会がしゃべり過ぎですけど。そのほか、ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、この評価票の内容、表現等に特段の御異議がないというふうに判断してよろしいでしょうか。

 では、本中間評価票(案)につきましては、12月19日の第67回研究計画・評価分科会において、ナノテクノロジー・材料科学技術機会として報告させていただきます。本件これで議論終了させていただきます。ありがとうございました。

【三島主査】  それでは、どうもありがとうございました。

 次に、議事2に入りますけれども、「ナノテクノロジー・材料分野の国際動向について」ということで、JST研究開発戦略センター(CRDS)のお二人、永野智己フェローと宮下哲フェローから合わせて30分程度で御講演を頂き、その後、20分程度の質疑応答をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、先に永野様、そして続いて宮下様ということでよろしくお願いいたします。

【永野様】  JST研究開発戦略センターの永野です。海外の政策動向を御紹介させていただきます。まず、私からナノテクノロジーについて、特に今日はELI/EHS、の政策動向をお伝えします。欧米、中国等でどういったことがトップリーダーたちに議論されているか、取り組まれているかということを私から御紹介させていただいた後に、隣の宮下の方から、まさに先ほど議論もありました元素戦略関連や、それからマテリアルゲノム、データ駆動型のマテリアルズ・インフォマティクス、に関する海外政策動向について御紹介させていただきます。

 まず、資料2-1をご覧ください。2ページですけれども、ナノテクノロジーの世界的な戦略・公的投資の動きが始まってから早18年が経過しようとしているわけです。その間、当初の10年あまりたった段階で世界の数十か国がナノテクノロジーの国家計画あるいは国家イニシアチブというものを運営していた。その後、2010年代の後半に差し掛かってくると、それぞれの国や地域の目指す方向が多様化してきてて、ナノテクノロジーを前面に出して戦略を堅持するスタイルの政策を取るところもあれば、特定の応用や産業戦略のなかのキーテクノロジーとして取り扱う、あるいは分野政策として取り扱う、といったように、国々の実情に応じて多様化してきたというふうに見られます。

 中でもアメリカはクリントン、ブッシュ、オバマ、トランプと4代の政権にわたって国家ナノテクノロジー・イニシアチブを運営しておりまして、トランプ政権になって、これはいわゆる政府と研究コミュニティの分断が顕在化し議論されておりますけれども、ナノテクイニシアティブ予算にも痛みがあり減少傾向にある。それでもナノエレクトロニクスやAI/IoT関連のデバイス技術は強化が継続している。それからマテリアルゲノムは国家イニシアチブとしては継続していないが、研究機関の現場では研究開発活動が継続されているということです。

 それからEUは、今、Horizon2020の後半期に差し掛かっていますけれども、この中で重要技術項目とされているKETs、これはKey Enabling Technologiesと呼びますけれども、KETsの中心は、ナノテク、マイクロテクノロジー、それからナノエレクトロニクス、このあたりはAIやライフサイエンスに並ぶ位置で重要なテクノロジーとしてセットされて、投資が継続しています。ナノテク関係では特にリスク評価技術であるとか標準化、規制・ガイドライン策定、こういった国際ルール作りを主導することは非常にEUの得意とするところです。既に次期フレームワーク、これはHorizon Europeと現時点では呼ばれていますけれども、2021年からの7年間の計画の議論が本格化しているという状況です。

 欧州各国は、それぞれの国でさらに独自の科学技術政策・戦略を運営しているわけですけれども、今は特にイギリスが今後どう動いていくかということが、注目される。

 それから、中国は最大強化の状況です。まずもって圧倒的な投資規模ですね。研究開発、科学技術関係予算を今後数年で、GDP比にして1.5%から3%まで上げるとしている。この3%はそもそもの分母が巨大ですから、恐らく30兆円規模になってくるのではないか。それほどまで拡大しようとしている。産業技術への投資と、学術・サイエンスへの投資、このどちらもが最大強化の傾向にある。

 他のアジア諸国・地域は、各国の予算自体は大きくなくても、例えばタイや台湾は、やはり重視するポイントによって違いがある。タイであれば農業関連のナノテクノロジーを重点化していたり、台湾ではナノエレクトロニクスや風力発電等の再生可能エネルギー、そういうところに国としての強化の軸足を確実に置いてやっている。

 3ページですけれども、マーケットの流れに一言だけ触れておきますけれども、IoT/AI時代の関連テクノロジーはどうなっていくかということなんですが、いわゆるスマイルカーブの両端に付加価値が集中するという傾向がさらに続いていくだろうということです。マーケットとしてはCPS(サイバー・フィジカル・システム)が牽引していくことになるが、まずは確立されたハードの技術、これはいわば枯れた技術とも言える場合がありますけれども、そういったものをモジュール化してプラットフォーマーが大きくマーケットを主導していくというのが進んでいくわけです。

 今後もスマホ、ドローン、クラウド、VR/AR、自動運転、これらはアプリが今、注目されているわけですけれども、モジュール化されたデバイスが川上の市場を牽引していきます。今後クローズアップされてくるのはヘルスケアですけれども、ヘルスケアに関して気になるのは、技術に対して法制度が遅れていること。例えば、生体関連データをどうやって取り扱うのか、データ取得時の安全性や、データの信頼性、個人情報の扱い、こういったところの法制度化が間に合っておらず、テクノロジーの方がどんどん進んでいっているというような状況です。

 IoTで注目されるのはアナログとデジタルの境目です。つまり、アナログのフィジカル世界の情報をセンサーを介して取得して即座にデジタル変換する、こういったテクノロジーを入り口として、素材を含むセンサデバイス技術、特にMEMSデバイスで、微弱な信号をいかに増幅してデジタルとして変換して処理していくか、こういうところが注目される。

 素材産業に関しては、汎用品は原料側の価格に動向が依存されるわけですけれども、特に高機能用途のもの、少量多品種の用途は、先端技術・知財の塊になっていくわけです。特にプロセス技術が競争力になってくる。今年、概算要求をしていただいているような、プロセスサイエンス・プロセス工学をどうやって発展させて新しいものを構築していくか。そういう部分が重要であり、いわゆるスマイルカーブの左側はナノテク・材料技術が今後も付加価値の源泉であろうというふうに考えられるわけです。

 ここからELSI/EHSの海外動向について話をさせていただきますけれども、4ページですが、当初、ナノテクノロジーの未知の影響懸念というのがあった、もちろん今もあるわけですけれども、それがだんだん具体的な国際的な枠組みのなかで、ISO、OECD、そういったところでリスク評価であったり物質の管理方法というものが標準化されてきました。

 今いよいよ、この3つめの段ですけれども、それぞれの国や地域が自らの便益を強く意識した戦略的な取組へと反映し出した状況になってきている。具体的にルールや規制が導入されていくというフェーズに入ってきたわけです。それと同時に、社会とのコンセンサス形成、市民のエンゲージメントが重視され、研究開発サイドも責任ある研究・イノベーション、RRI(Responsible Research and Innovation)というキーワードで取り組まれようになってきており、この両輪で進んでいるということであります。

 5ページと6ページ、目下アメリカのナノテクノロジー・イニシアチブの2019年予算案は約1,400ミリオンドルということで、前年比マイナス5%です。2018年も既にマイナス5%ほど減ってきているので、イニシアティブ予算は大きな打撃を受けている。しかし、既に今年大きく減少してしまったDOEに関しては来年は維持される見込みであり、NIHも維持される見込みです。

 主な減少分は、注目されていたシグニチャー・イニシアチブというものでして、これはNNIの中でも省庁連携で取り組むべきフラグシップのテーマです。具体的なテーマとしては、下の6ページのブルーのところで、1a、1b、1c、~1fまで書かれている6つのテーマがシグニチャー・イニシアチブとして指定されています。この内の幾つか、例えばフューチャー・コンピューティングなどの予算が減少する。

 その一方で、増額されるものもあって、例えばセンサー関連が増額される。これは例えば先ほどもありました生体情報のセンサ技術、ナノバイオセンシングなどの新計画が来年度動き出そうとしているということです。

 それから、エレクトロニクスに関しても、DARPAのElectronics Resurgence Initiativeといった新しいプロジェクトが始まっていまして、これはIoT時代の新デバイス開発ということで、AIとIoTとをいかにつないでいくかというところになるんですけれども、こういった新しい施策が動き出しています。

 7ページと8ページをご覧ください。米国NNIの全体予算が減少しているといっても、米国ではなぜこのようなメリハリを付けた戦略的な行動が取れているのかということが注目されるわけですけれども、NNIの政策運営構造が非常に特徴的です。7ページの赤で囲ってあるところ、これはホワイトハウスにひもづく組織ですが、National Nanotechnology Coordination Office(NNCO)という部署がありまして、ここが全NNI関連省庁の施策を調整・統括している。NNCOでは、関連省庁のNNI担当者が、財務省も入る形で毎月のように集まって議論を続けている。これを15年以上やっているわけですね。 こういう中で、図の下のところのカテゴリー、Environmental and Health Implicationsとか、標準化、グローバル課題、それから教育、エンゲージメント、社会的側面、こういったものの取組もNNIの具体的な予算枠としてセットしていくということをやっているわけです。

 例えば、8ページにあるようなEHSリサーチストテラジーということで、ナノテク・イニシアチブの実に5%~7%の予算がEHS関連として毎年常にキープされている。NNIの7%というのは100億円規模にもなるものであり、これだけの額をずっと継続的に投資し続けているわけです。

 そういう中でアウトカムとして出てくるのは、9ページにあるような、これはアメリカの労働安全衛生研究所が作っている具体的なナノ物質の作業環境・製造現場における取り扱い方法に関するガイドだったりするわけですけれども、こういうものをどんどん作成・公表して、実際に研究者や事業者が新たに取り扱うときは、このように取り扱っくださいねというものをつくっている。

 それから10ページのような、これはNSFが拠点プログラムとして採択しているものですけれども、Center for Nanotechnology in Societyということで、ここではコンセンサス形成の手法研究であったり、アップストリーム・エンゲージメント、パブリックへのアウトリーチ、そこに社会学者や哲学者などもが入ってこういう拠点をキープしている。NSFの拠点事業そのものは既に所定の期間を終えているんですけれども、各大学のセンターは現在も継続しているということです。

 11ページ、12ページ。NSFでは常にこれらの施策と教育・人材育成策とをセットでやっており、これは初等・中等教育に相当する部分ですが、例えば、毎年10月9日はナショナル・ナノテクノロジー・デーということで、10のマイナス9乗ということなんですけれども、全米でいろいろなイベントが行われます。下にありますように100ビリオンナノメーターダッシュ、要は100メートル走のことなんですが、子どもたちに興味を抱かせるきっかけの一つとして各地でこういうことをずっとやってきているんです。何でこんなことをここで紹介するかというと、2000年代の初頭に、当時10代だった子たちが、今では30歳前後になってきて、米国のナノテク研究開発の主力を担っているということです。つまり、こういうときから様々なイベントや教育施策を通じて夢を描いてきた子たちが、今の主力に育ってきている。これが米国がほかの国々とは大きく違うところなんですね。まさにこれが時を経た競争力の源泉だったりするということです。

 戦略的な研究開発施策と教育・人材育成策とをセットでやっているということが重要なわけで、下の12ページを見ていただくと分かるんですけれども、米国ではナノテクに関して当初から30年間分の戦略を描いておきながら、10年単位で修正を加えていく。こういうことを行っているのがアメリカです。

 次はヨーロッパです。13ページと14ページ。ヨーロッパに関しては今後の話ですけれども、2021年からのHorizon Europe、7年間のフレームワーク計画の具体的なテーマの議論が、この時点で既に本格化しているわけなんですが、14ページを見ていただくと、3つの柱の中でオープンサイエンス、グローバルチャレンジ、それからオープンイノベーションという枠で、全体で1,000億ユーロの予算が計画されています。背景には、Horizon2020が大成功したというような認識になっていまして、次期期間では大幅な増額が予定され、これから欧州議会で承認されるかどうかというところまで来ている。

 特に注目されるのは、第2の柱であるグローバルチャレンジの産業競争力に関する部分です。これは日本でいえば社会課題解決型の研究開発投資に相当するわけですけれども、次の15ページ、16ページ、英語資料で大変恐縮ですが、クラスター3というところで、デジタル・アンド・インダストリーというところです。ここに我々が言うところのアドバンスト・マテリアルズであったり、マニュファクチュアリング・テクノロジーであったり、こういうものを上部のキーワードとして置いて、今後具体的な施策を立てていこうというふうに議論が行われています。

 例えば、つい先月ですが、17ページ、18ページ、EUの議長国であるオーストリアで、この7年計画の具体的なコンテンツを議論するためのオープンな会議が行われました。私もこのなかの一つのセッションに招聘されて参加してまいりました。左上の写真は、欧州の先端材料・ナノテクノロジー担当課のトップの方、それから米国NNIのNNCOのディレクター。そして中国科学院のバイスプレジデント、こういう方々が集まって、今後のナノテクノロジーあるいは先端材料、製造技術をどういうふうに強化していくかということを、オープンな場で議論していくということをやっています。

 それから、このプレイベントとして、EU-Asia Dialogue on Nanosafetyというワークショップが行われた。これはEUとアジア各国でナノセーフティーの取組を共同でやっていこうということで様々な議論がされたわけですけれども、具体的には18ページにあるような、これもKey Enabling Technologiesということで、アドバンスト・マニュファクチュアリング、マイクロ・ナノエレクトロニクス・アンド・フォトニクス、それからアドバンスト・マテリアルズ・アンド・ナノテクノロジー、やはりこういうものが実にKey Enabling Technologiesの半分を占めるということで、EUに関してはこういう形で、少なくとも施策を緩める様子はないというふうに言っていいかと思います。

 19ページ、20ページですけれども、ここからナノセーフティー関係の海外動向を御紹介します。欧州は常に、毎年平均30ミリオンユーロをフレームワークプログラムであるHorizon2020のもと投資を継続している。さらに各国の関連予算が別枠であるわけですから、この赤いグラフのようになっているということです。20ページにあるような、ナノ・セーフティー・クラスターという非常に大きなクラスターを欧州28国全体が参加できるような枠組を作っておいて、この中で様々な大学人、NGO、NPO、産業界、シンクタンク、それからEU当局関係者や国研、皆さんが参加する形になっています。この傘の下に、新しいプロジェクトやプログラムを立ち上げていく、そういう構造が取られています。このような構造を持つこと自体が極めて戦略的だし、一般社会であったり、NGOであったりというところとのコミュニケーション施策に関しても、非常に強い結び付きがあります。

 21ページ、22ページは、今後の3年間でどういうプログラムが立ち上がっていくかということなんですけれども、例えばリスクガバナンス・オブ・ナノテクノロジーであるとか、ナノインフォマティクスというのもありますけれども、これはマテリアルズ・インフォマティクスのことではなくて、トキシコロジーやリスク評価研究のデータ連携であるとか、さらに、セーフ・バイ・デザインやスタンダード、それからレギュラトリーサイエンス、こういうものが次々に動いている。

 23ページ、24ページをご覧いただきますと、既に2019年から新しく始まる関連プロジェクトというのも決まりつつあります。24ページは、ECHAとありますけれども、欧州化学品庁では具体的なナノ物質のオブザベートリーの施策というのがスタートしていて、これは物質データをここに登録していくような方式で当局がおこなっているということです。

 これらは、全てナノテク政策を開始した2000年代前半の最初の頃から、大きな戦略を描いて継続的に発展させてきているということが特徴です。25ページ以降、2ページにわたって示していますが、Nanosafety in Europeという、2015年~25年までの10年間の計画の中で、各表に示されているように、2015年までに何をやるか、2020年までに何をやるか、2025年までに何をやるか、こういうことがかなり早い段階から、様々なステークホルダーと共有しながら議論を進めた上で、具体的な施策が打たれているということです。

 27、28ページ、研究開発拠点も整っていまして、28ページのプラットフォーム・ナノ・セーフ拠点というのは、フランスのMINATECの脇にあるんですけれども、CEAが所管するハードの拠点であり、ここにEU各国の関連研究者、PhD50名を超える人が在籍しているわけですけれども、こういうところに産業界も参画して、評価研究であったり、安全性試験などができるようになっている。これが欧州の動向です。

 それから中国、29ページから4ページほどにわたってですけれども、中国は今年非常に大きなプロジェクトをスタートしています。重点特定プロジェクトというものですけれども、9つの分野があり、そのうちの赤い文字ですけれども、3つ、トランスフォーマティブ技術、ナノテクノロジー、それからマテリアルゲノムのプラットフォームということで、この3つが我々にとって非常に関連の深いプロジェクトとなっています。具体的なプロジェクト採択テーマは以降のページのリストに挙げているようなものが走っています。

 これらを見ますと、約5年間で3億円ずつのテーマというものが多く採択されています。一方で、中国政府は2001年以降、アメリカ同様にナノテク予算の7%をナノセーフティーに投資し続けているということが書かれており、これはウェブサイトを整えるとか、そういうことだけではなくて、具体的な拠点を作って、評価研究や試験研究を行って、その結果を論文として書くことや、評価データを取得して、蓄積する。そういうこと目立たないがずっと続けているというのが中国です。

 このようなナノセーフティの取り組みは、大きい予算を持つ国だけがやっているわけではなくて、例えば33ページにございますように、タイなんかも、日本と比べれば非常に小さい科学技術関係予算であるはずですが、赤で囲ってある天秤の絵を見ていただければ分かるとおり、研究開発とセーフティーは同じ重さであるとしている。それがサステナビリティーであるとして、こういうものをプレゼンテーションの1ページ目に持ってきているわけです。これはタイのナノテクセンターが紹介してくれたものですが、このあたりは日本と比較すると、マインドも行動も、ともに大きな違いが出ているなということが言えると思います。

 34、35ページは、時間がないのでちょっと飛ばしますけれども、ISOとOECDで具体的な標準化であったり、規制のガイダンスを作っておいて、それが各国に導入されていくわけですけれども、この議論をどうやって主導していくかということが非常に重要になっているわけです。こういうところでコンビナーを取るのは欧州、そして中国、韓国、そういったところが取っているわけです。ISO229に関しては、日本は唯一、計測のワーキンググループだけコンビナーを取っているんですけれども、今後大事になってくるのはやはり製品応用であったり、材料そのもののグループだったりというところです。材料規格は中国が、製品・応用は韓国がコンビナーとして主導しています。

 こういったことの結果が、今、36ページの下の方にありますような具体的な規制に反映されてきています。例えばすでに、フランス、ノルウエー、デンマーク、ベルギー、スウェーデン、こういうところはナノ物質の届出制度が義務化されていまして、特にフランスは罰則規定(罰金)まであります。欧州全体でも、例えばカーボンブラックの20ナノメートル以下の材料は使用が禁止されました。こうなってくると、いかに性能がいいものを作っても、日本が材料産業で世界に打って出るといっても、規制に則った材料でなくては市場に入って行けません。したがってルールを主導しているところがマーケットでは支配的になっていきます。今後どう対応していくかというのは非常に重要な部分ですけれども、欧州ではREACH規制にも反映されていくということですから、日本としては、産業界だけに任せるのではなく、産学官で連携して対応をとっていかなければならないでしょう。

 37ページ、アメリカでも、昨年から製造ナノ材料の報告と記録保持というものが義務化されました。一方、日本にはこのような義務はありません。化審法では組成と重量で登録されますので、「ナノ」という概念はないんですね。もちろん、科学的に本当に何か違いがあるのかという、実質的な同等性をどう捉えるかということは、科学的に見なくてはいけない部分ですけれども、少なくとも日本にはこういう制度はないということです。

 特定タイプのカーボンナノチューブであるMWNT-7というものが唯一、厚労省のがん原性指針に追加されたのすけど、この材料は既に製造されていません。これは企業が生産事業から撤退しているからです。したがって今は作っていないものについて登録されているということになり、、そのぶん、もっと新しい材料については何も決まっていない。このように規制・制度面でちょっと後手に回ってしまっているという懸念があります。

 こういうことが今後不利になってくるかということなんですが、38ページにありますように、今、日本企業は海外でビジネスするときは、材料の安全性評価データを取って、規制当局に出さなければいけないんですけれども、その評価データを取るノウハウさえ、今、日本には十分に蓄積されていません。どうしているかといえば、海外の大手化学メーカーに委託研究として安全性評価を頼むわけです、数億円単位の資金がかかります。そして、そのデータが海外の当局に登録されるということで、日本には国としてノウハウもデータも残らないという状況が続いています。これが後々どういうことをもたらすかということは、それにどう対峙するのかということは、やはり考えておかなければならないし、今、遅過ぎるといわずに、これからどうすべきかを構築して国際的に取り組まなくてはならないのではないかという認識を持っています。

 これで最後ですが、日本のリスク評価研究者、例えば毒性学者とは、39ページにありますように、絶滅危惧種に近い状態になってきています。進路としてキャリアパスが描けないので選ばれない状況にあります。こういう中で、どういう対応策を、戦略を国として考えていくのかということが大事ですし、社会とのコンセンサス形成の中でどう進めていくのかということもしっかり見ていかなければなりません。ちょうど昨日のニュースで話題になりましたような、「ゲノム編集」であれば皆さん大変気になるテーマで分かりやすい面があるわけですけれども、こういったナノ材料分野でどうするかということは、ある程度、共通の議論ができるプラットフォームを構築して、検討できるようなことが今後は必要なのではないかなということを申し上げて、私の御説明を終わりにさせていただきます。

【三島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、続けて、宮下様から続きをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【宮下様】  ありがとうございます。それでは、CRDSナノテクノロジーユニットの宮下から、資料2-2に基づきまして、希少資源戦略とデータ駆動型材料開発について、米欧中の状況について説明したいと思います。

 まず2ページ目、きょうの発表のポイントをまとめておりますけれども、アメリカに関しましては、希少資源問題は何年か前からクリティカル・マテリアルズ・インスティテュートという形でAmes研で研究されましたけれども、つい最近、これは4月にこの場で玉尾先生からの紹介あったと思いますけれども、昨年12月にトランプ大統領による大統領令が発令されまして、今、各省がそれに対する対応方針を決めている、考えているという状況になっていることを後ほど詳しく説明します。

 また、アメリカのデータ駆動型材料開発につきましては、MGIということで、世界に先駆けて提唱されたわけですが、5年間で約500ミリオンダラーを使いまして、ただ、今は、先ほど永野からも言いましたように、イニシアチブとしては終了。今、各省の予算でこの4つのセンターを中心に継続しているという状況になっています。

 これに対しまして、最近、今年の4月にNISTがこのMGIに対する経済分析レポートというものを公表しております。

 ヨーロッパに関しましては、希少資源問題は過去3年ごとに希少資源というのを指定するリストを更新しておりまして、最近ではサーキュラーエコノミーという観点でクリティカルローマテリアルについての確保が重要視されているという状況になっております。

 また、データ駆動型の材料開発につきましては、EMMCという協議会を中心に材料モデリングをどう産業応用に使うかというところの活動が活発化しているという状況、また、データベースとしましては、NOMADプロジェクトとかMARVELというものが割と見えているという状況になっております。

 中国に関しましては、資源に関しましては彼らはたくさんあるので、希少資源に関する戦略は特にないんですけれども、データ駆動に関しましては、彼らはアメリカのMGIをそのまま利用するという形で、国や上海市というところが中心に大きな予算を出しているというところで、主に上海には、上海大学にゲノム研究所があったり、交通大学に材料ゲノム共同研究センターというのがあります。また、北京の方では、北京材料工学イノベーションアライアンスという形で、こちらでもやっている。ただ、北京と上海で特に一緒にやっているという印象はありません。

 また、ここ3年ぐらいで先ほど永野から言いましたように、国家重点研究開発計画として、マテリアルゲノムに関する大きなプロジェクトが走っているということで、数百億円、百何十億円ぐらいの規模で今の研究が進んでいるという状況になっています。

 それでは続きまして、3ページ目以降で少し詳細に説明したいと思います

 4ページ目は、簡単に省略しますけど、これは2012年にクリティカル・マテリアルズ・ストラテジーという形で、これは恐らく日本の元素戦略や経産省、文科省の元素戦略や経産省の希少金属代替材料開発に対抗するような戦略になっています。

 Ames研を中心に研究が進んでいたというところで、その後、特に大きな何か目立った成果は聞こえてこなかったんですけれども、つい昨年12月にトランプ大統領が、恐らくこれは中国対策だと思いますけれども、クリティカル・マテリアルズ・エグゼクティブ・オーダーという形で、資源確保に関することをちゃんと考えようというような大統領令を出しております。中身としましては、5ページ目の上からちっちゃいポツの2ポツ目にありますように、米国の経済とか安全保障という観点でぜい弱性の要因となり得る希少鉱物の輸入依存の低減と安定供給ルートの確保というところで、まず内務省に対して60日以内に希少鉱物リストを作りなさいという指示、その後、各省に対して、この希少鉱物リスト作成から180日以内に対応方針に対する報告書を提出せよという指示が出ております。内務省からは、2月にまずリストのドラフト案が出まして、5月に最終リストが出ております。ここでは35鉱物が指定されております。ただ、その後、180日後に何か出ているはずなんですけれども、公開情報としてはまだ情報が得られていませんでして、この動きに関しまして今後も注視して見ていきたいと思っております。

 また、欧州に関しましては、先ほど言いましたように、3年ごとに希少鉱物のリストが更新されている。今、2017年度では27種の鉱物が指定されております。

 欧州に関しましては、数年前から割と大きな動きが始まっていまして、例えば、INTRAWという活動ですけれども、こちらはEUのHorizon2020が支援していまして、3年間の準備期間ということで、欧州の中の希少鉱物の確保をどうするか。また、それによって欧州外の例えばオーストラリア、カナダ、日本、南アフリカ、米国というところの情報も入れながら、世界中の鉱物情報も入れながら欧州として対応を考えるというような場がありました。

 今年1月には希少鉱物と循環型経済に関するレポートという形で、まず定義と一般的な政策、及びプロジェクトが今どういうのがあるかというところとデータソースや主要セクターにおけるCRM(クリティカル・ロー・マテリアル)の需要動向についての記載とか、あとは重要なデータソースの提供、優良事例の促進、実行可能と考えられる今後のアクションを特定するという目的でレポートが発行されています。

 このレポートによりますと、今後、2018年~2020年の間に、CRMに関する活動に2億5,000万ユーロを投資するというところと、あとはそもそも資源確保をどうするかというのと、専門家コミュニティーの強化をどうするかということが書かれております。こういう形で、欧州に関しましてはサーキュラーエコノミーという観点で資源確保に向けた活動が活発化していくという可能性があるかと思っております。

 次のページは、今、日米欧3極でずっと2011年から密に会合が行われておりまして、これは日本におきましては経済産業省が中心で動いていますけれども、これの第8回が来週秋葉原で行われる予定になっております。この会議では主にレアメタルを中心に、どうやって確保していくかというところを日米欧3極で議論し合うというところで、アメリカ、日本、欧州の持ち回りで開催をしているというところです。

 続きまして、データ駆動型材料開発について説明しますと、9ページ、10ページ、11ページはアメリカの動向ですけれども、皆さん御存じのとおり、2011年にMGIが出て以降、一応5年間でこのイニシアチブは終了しております。その総括文書が2016年8月に出ていますけれども、先ほど言いましたように、5年間で500ミリオンダラーを投資した。成果としては、材料開発におけるパラダイムシフトが醸成されたんじゃないかというところと、基盤的なファンドが充実した、あと人が育った、データベースもできた、あとは産業界との連携を促進するコンソーシアムができているというところで、イニシアチブ終了後は各センターで継続して実施しているというところですが、このMGIに関しましては、今後も米国製造業に革新をもたらす可能性があるということで、政権交代後も継続すべきだというところが言及されているわけですけれども、トランプ政権においては、残念ながらMGIは優先事項には含まれていないという状況になっております。

 10ページ目は、MGI以降も継続している主な4つのセンターの概要を書いておりますが、ここは省略いたします。

 こういう状況に対しまして、4月に、11ページにありますように、経済分析のレポートが提出されております。ここではNISTが調査会社に依頼をして、アメリカの材料関係の業界の100名超えの専門家にアンケートを行いまして、6つの重要ニーズを特定して、また、経済的インパクトの見積もりをしております。

 6つといいますのは、1つ目は高品質データへのアクセスというところと、あとは協働ネットワーク、材料設計手法、生産とスケールアップ手法、品質保証、コンポーネント基準認証方法、モデル検証と不確定性の定量化というところで、特に1番の高品質データへのアクセスというのが最重要ではないか。ただ、これに関しましては民間投資だけではできないので、国の投資が要るんじゃないかということが書かれています。

 また、経済的な分析としましては、このMGI、こういうデータプラットフォームを作ることで年間経済利益が1,000億ドル以上になるんじゃないかというところとか、あとは、新材料開発に伴うリスクが50%削減されますよとか、開発期間が35%短くなるといったことがアンケートに基づいて分析されているというところで、これはトランプ政権に対してアピールする目的じゃないかというふうに思われています。

 一方、アメリカに関しましては、MGIに関しましては主にはビッグデータ解析を中心に新しい材料を開発していこうという流れですけれども、欧州に関しましては、どちらかというと、マルチスケール・モデリング、計算機科学を中心としたデータ駆動の材料開発をしようという流れになっております。

 ヨーロピアン・マテリアルズ・モデリング・カウンシルというものは、主に、そういう材料モデリングをいかに産業応用に使うか、産業応用に近付けるかというところを目的として設立されております。役割としましては、まず、統合材料モデリングをいかに促進するかというところと、アカデミックなイノベーションを産業応用にどうやって早く結び付けるかというところ、又は産業界や中小企業におけるモデリングを使おうとする、使ってもらうような意識を高揚させるというところとか、そもそも産業運用に向けての障壁が何なのか、また、それを克服するための戦略は何なのかというところを考えるというところを目的に、こういう協議会が設立されています。

 6つのワーキンググループがありまして、今言いました目的を達成するために、以下の6つのワーキンググループが作られているという形になっております。ここでのポイントは、材料モデリングにプラス、インフォマティクスを使って産業応用をいかに促進するかというところが中心かと思っています。

 13ページは、ヨーロッパの中で主に目立っているデータベースの取組ですけれども、まず1つ目、左上にありますNOMADと言われるものは、これはHorizonの支援でありまして、これは既にこの10月で終了していますけれども、主に計算材料科学、Integrated Computational Materials Engineeringというコンセプトを中心にして進められているというところ。

 右側のスイスを中心としたMARVELというものは、今、これは第3フェーズまでありまして、2014年に開始して、1フェーズ4年で、今、第1フェーズが終わって、第2フェーズに入っているところになっております。

 一方、中国ですけれども、14ページに行きまして、中国は国や上海市が中心となって積極的に支援をしている。先ほど言いましたように、上海大学には材料ゲノム研究所があります。これは2014年にできました。上海交通大学にも材料ゲノム共同研究センターがある。北京にもアライアンスがあるという状況になっています。先ほど言いましたように、国家重点研究開発計画ということで、マテリアルゲノムの予算配分がなされていまして、今、3年間の公募で44件の採択課題、研究期間は3年~5年となっています。総額8億元ということで126億円程度の予算が注ぎ込まれているというところ。

 あとは、上海大学材料ゲノム研究所は、実は先月直接訪問させていただきまして、いろいろ聞いてきました。ここは主に上海市からの支援が最も大きくて、上海付近の大学で1つアライアンスを組んでいまして、ゲノム研究所自体にはスタッフが38名いる。うち8名が教授ということで、ここでは教育と研究の両方行っているというところです。対象はエネルギー材料、スマート材料、構造材料ということで、4つの部門に分かれています。

 今、CASの予算も入れて8万2,000件ぐらいのデータベースがあるということですけれども、ここには企業のデータも入っているというふうにおっしゃっていました。ただ、基本的にはデータベースはオープンですけれども、企業のデータに関しましては一部クローズドという情報を得ております。コンセプトとしましては、アメリカと同じ方法を取っているというところです。

 最後、まとめまして、希少資源問題に関しましては、米国に関しましては、経済、軍事の方面、欧州に関しましてはサーキュラーエコノミーという観点で今後希少資源確保に向けて大きな動きになるんじゃないかというふうに思っています。

 一方、我が国は、先ほど評価ありましたけれども、元素戦略拠点以外には大きなプロジェクトは今終わっている状況なので、次の手をどうするかということが課題ではないかというふうに考えております。

 データ駆動型材料開発につきましては、米欧中で政策的な取り扱いはそれぞれなんですけれども、いずれにしましても産業界からの期待は高いというところかと思います。今、どの国・地域に関しましても、学術的な成果を蓄積して、産業応用へどう可能性を示すかというところが大きなところじゃないかと思っています。

 また、今後、今、CRDSも検討中のことではありますけれども、今、電池・磁石や、様々な材料がいろんな元素が混ざった複雑系に向かっている中で、やはりこのデータ駆動研究というのは重要度も高まるだろうというところで、今は主にマテリアルズ・インフォマティクス、材料設計、いわゆる見付けるところが中心かと思いますけれども、これからはプロセス、いかにどう作るかというところまでインフォマティクスが要るんじゃないかというふうに考えています。

 また、公開されている1次データから得られた2次データというのは基本的には企業内とか各個人で隠しているものだと思いますけれども、これをいかにいい公表するかというところと、そもそもデータの所有権を明確化して、データを出した人がどういうインセンティブをもらうかというところが課題ではないかというふうに思っています。

 以上です。

【三島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、2つの話、大変ボリュームのあるデータですけれども、御質問あるいは御意見等がございましたら、どうぞ。

【上杉委員】  先ほどの宮下様の御説明で1つ質問があります。マテリアルゲノム・イニシアチブのところですね。2つ目の9ページ、10ページあたりです。トランプ政権においては今のところ政策的優先事項にMGIは含まれていないとあります。それはどういう理由で含まれていないと思われますか。

【宮下様】  トランプ政権は基本的に、先ほどのNNIもそうですけど、前の政権がやっていたイニシアチブは基本的にはあまり利用されていない状況のように見えます。今、トランプ政権が興味あるところは、AIだとかスーパーコンピューターとか量子コンピューターというところのようで、こういう基盤的なところはそれほど優先事項では優先されていないという状況じゃないかと思います。

【三島主査】  いいですか。ほかにいかがでしょうか。

【五十嵐主査代理】  永野さんのお話で、ナノリスク評価のところ、日本がなかなかしっかり動けていないんじゃないかというお話があったんですけれども、恐らく各国でいろんな規制が本当に始まると、日本も規制の話から入ると思うんですね。でも、実際問題は、数ナノの物質をしっかりと測定する技術、それからそれを評価する解析技術、それがまだ確立されていないんじゃないか。私どもの会社でもそういう対象になるんじゃないかなという物資があったら、まず測定法の探索から今、検討しています。その上で、実際、人体に影響があるかどうかという、そういう評価は医学部の先生方にお願いするしかなくて、そういうところを地道にやるしかないなと。

 ですから、もし、いろんな検討会は既にやられている、そういうところにも参画はさせていただいているんですけれども、是非ロードマップを作って、本当にできるところからやっていく必要があるんじゃないかな、そういうふうに感じています。そのあたり、いかがでしょうか。

【永野様】  ありがとうございます。ご指摘のことは重要で、36ページの真ん中あたり、大変小さい字で申し訳ないんですけれども、日本では今、産総研と主要分析機器メーカーがCOMS-NANOというコンソーシアムを組んでいて、欧州の定義に対して具体的に測定をするための技術開発というのを進めています。これは割といい技術開発成果が出つつあると聞いており、このような取り組みがあることは非常にいい傾向です。産業界は今、五十嵐委員がおっしゃいましたように、海外の動きに対して真摯に何とかしなきゃいけないだろうということがあります。各社や業界団体のレベルでやっているものから、今後は国としてどういうふうにサポートするか、例えば評価手法として一定のお墨付きを与えなど、国として評価データをどうやって蓄積して、それを第三者が使えるようにしていくのかというところが重要になってくると考えられます。実際に今、彼らの声としてもあります。

 もう1つ重要なことが、大学研究者の参加です。日本はこういう分野に対して、大学はほとんど参加していません。第3期科学技術基本計画のときをピークに、ある程度は薬学部や医学部の研究者が参画していた状況がありましたが、今は、投資がほとんど途絶えています。例えば疫学的な評価だったり、細胞毒性や組織毒性の評価、そういったところに対しては、第三者として実験室レベルでやっていただく人たちがいないと、企業が自前で作成したものを「安全でした」と言っても信じてもらえないわけです。科学的な面で、学の力というのは必要になります。

【三島主査】  ありがとうございます。はい、どうぞ。

【高梨委員】  今のに関連して私も質問したかったんですが、私、リスク評価というのは全然専門外なので、ただ、39ページで出されていて、今のお話で毒性病理学会というのがいわばこういうものの代表する学会になっているんですか。

 それからあと、この年齢構成で出されているんだけど、確かに男性の方を見ると50代が一番ピークになっていて、あまり楽観できないような年齢構成ですけど、女性を見ると30代ぐらいにピークがあって、まだこれからむしろ女性が活躍できるような、そういう分野になっているのかなという感じもするんですけれども、そこら辺もどうお考えなのか。

【永野様】  ありがとうございます。ここで用いています毒性病理学会というのは、あくまでもその1つの注目される分野というか、主要な役割を担っていただくべきであろう学会の1つだということです。リスク評価といっても、毒性学的、医学的見地から評価するケースと、それから作業環境としてどうやって物質の管理基準を作るかという研究、それから分析関係、先ほど五十嵐委員から計測技術としてどうするか。さらには社会科学として、社会とのコンセンサス形成であったりコミュニケーション、そういうものをどうやって進めていくか、そういった学術分野もあるわけでして、様々な学問分野が本来は関係することが必要です。その中でも特に危機的な状況が強いと思われるのが、この毒性関係ということです。

 それから、この赤と青の色分けですが、専門家である科学者・技術者はブルーの方なんですね。赤は学会の会員としての数でして、科学者ではない会員も含まれた数になっています。つまり、ブルーのところを見れば、いかに危機的な数であるかということがわかります。

【三島主査】  どうぞ。

【馬場委員】  まず、永野さんの方の説明で、非常に分かりやすく御説明いただいてありがとうございます。ナノ材料のELSI/EHSは極めて重要だと私いろいろなところでこれまでも申し上げているんですが、これまで多分中心的にやってきたのは、産総研はじめ経産省のプロジェクトであって、文科省ではほとんど取り組んでいないと思うんですね。

 大学でやる人が少ないというのは、そのとおりで、毒性学というのは、こう言うと語弊がありますが、すごいネガティブなイメージがあるので、大学というのはすごい研究しづらいと思うんですね。

 1つの考え方として、例えば、私、今やらせていただいている細胞外微粒子というCRESTがあるんですけれども、その中で、もともとバイオロジーの最先端の先生たちが、例えばPM2.5みたいなのが細胞に取り込まれたときどういう反応をするかという研究を始めてもらっているんです。

 それは毒性学という観点ではないんですけれども、だから、文科省としては1つできるとすると、本当のバイオロジーとか医療の最先端の人とナノ材料や例えば企業の方と一緒になるような場を作って、それが毒性学の成果になるような形のプロジェクトを組むというのが1つのアイデアかなというふうに考えています。

 ISOのTC229を一村先生はじめ日本のグループが非常に精力的にやられているので、それは非常にすばらしいことだと思いますし、我々もImPACTのプロジェクトで一時ここと連携して、それは毒性学ではないんですけれども、ナノテクの標準化をしようと試みたこともありますので、そういう試みを、きょう、永野さんの提案のように、国として組織的にやっていただくことが非常に重要かなというふうに感じました。

 それから、宮下さんの御説明でデータ駆動型の材料開発の点ですけれども、今、先ほどの米国の動きの話で量子コンピューティングの方とか、それ以外のところに力が入っているということですが、データ駆動型の材料開発と量子コンピューティングというのは関連付けてやられているんでしょうか。

【宮下様】  実はこのレポートに関してのコメントが出ているのがありまして、そこの中では、今、トランプ政権はMGIに関しては無視しがちだと。ただ、量子コンピューターとかAIとかの方とは当然親和性が高いので、そちらと一緒にやれば、お金もらえるんじゃないかみたいなことを言っているところもありますので、今後どういう動きになるか分かりませんけど、当然、そちらと一緒にやるということはあり得るかとは思います。

【馬場委員】  ありがとうございます。

【永野様】  一言だけ補足させていただいていいですか。馬場委員、ありがとうございます。今、日本は第3期の頃から継続的にやってきた産総研を中心とする関連NEDOプロジェクトは全て終了しました。唯一残っているのが、セルロースナノファイバーの開発プロジェクトの中で一部評価系の仕事をするというものです。プロジェクトとしてはカーボンナノチューブ関係も終わった状況です。なので、今、国としてはほぼやっていないといえます。

 大学に関しては、まさに先生のおっしゃるとおりかもしれませんが、日本はどうしてもゼロ・イチというか、白・黒というか、一度ネガディブなイメージが付くと、どうしてもそっちにわーっと行ってしまうという傾向が強いです。ポジとネガと、どちらの仮説を持つにせよ、本来、科学者とは実測データに中立であるべきで、そんなことは言ってはならないはずですども、どうしてもそういうようなポジションが、そこに活動する研究者にも心理的な影響を及ぼしてしまうという面があります。一方、アメリカでは規制当局と評価技術を担う企業やコンサルティング会社との間で、キャリアアップの経路が確立していることもあって、関連人材は豊富にいます。日本ではそういった道はほとんど成立していないため、こういうところに大きな差があります。別にこれが海外と同じようにするべきとは言いませんが、少なくとも差があるということを認識して、日本はどうするかということを決めていかなければならないはずです。

【三島主査】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【納富委員】  ちょっと専門外なので教えてほしいことがあるんですけれども、宮下さんの話の一番最後のところで、テーラーズ・インフォマティクスからプロセス・インフォマティクスへの流れというのがあったんですけれども、これはもう少し具体的にどういう流れなんでしょうか。

【宮下様】  流れというか、そっちに向かうべきじゃないかという意見ですけど、今、マテリアルズ・インフォマティクスでは、データから候補材料は分かっても、それをどう作ったらいいかは示してくれない。なので、今後はこれまでいろんな材料を作っていっている過程を全てどうデータベース化するか難しいと思うんですけれども、何とかデータベースにして、物質か材料を作る過程も含めてデータ科学で示唆できるようにする方向性に行くべきじゃないかという。

【納富委員】  そうすると、多分、メーカーがかなり積極的に入って、データを出してくれないと難しい気がするんですけど、そういう流れが今、海外であるということですか。

【宮下様】  はい。実際、NIMSの中でもそういうデータプラットフォームの議論がされていまして、いろんな日本の企業の方々も参画されているんですけれども、なかなか企業の中ではデータは命ではあるので、どこまで出していいか、なかなか悩ましいという状況で、それは恐らく海外でも同じように、ただ、中国はこの前行って話を聞くと、企業も出してくれる。それは多分国の力が強いので出すけれども、ただ、それもきちんとここはクローズド、ここはオープンというのを区別して出してもらっているというふうにおっしゃっていました。

【納富委員】  中国以外だと、そこは難しいポイントになると思うんですけれども、それは日本と余り変わらないという感じですか。

【宮下様】  はい。

【三島主査】  今のところはNIMSを中心にした、いわゆる計算材料学を使ったものを新しいものを作っていくというプロセスと、それからもう1つ重要なのが、今のプロセスを含めた物作りをどうしていくか。特に逆問題と言われる、こういう性質を持つものが欲しいというところから出発して、じゃ、あとどうやって作るかを今までにあるデータからできるだけ早く効率よくという問題に日本も取り組んでいるし、NIMSという拠点があるので、そういうところの日本の動きというのは国際的にもかなりトップを走っているんじゃないかなとは思っていますけれども、もちろんそこでもデータが果たして出てくるかというところはあるでしょうけど、そこの工夫をどういうふうにするかというのはやはり鍵を握っているとは言えると思うんですね。それは日本もそこまでは来ているというふうに言っていいかと思います。

【栗原委員】  安全性について情報をご提供いただいて、ありがとうございました。安全性についてこれだけやるからには、使う立場での研究とか開発もずっと底流としてあるからこそ、逆に安全に対して熱心であるのではないかと思うのですが、そういうところは完全に成熟しているのか、あるいはそれが今、プロセスと安全なのか、あるいはここにあるセーフ・アンド・サステナブルというのはどういう課題をカバーしているのかとか、そのあたりはどうなんでしょう。

【永野様】  基本的にこういった政策を形成していくステークホルダーたちの底流にあるものとして、あらゆる研究開発関係のプロジェクトというか、仕事において、一定割合はこういうELSI/EHSの取り組みを常に並行させることが諸外国では当たり前のものとしてある。スタートが違う。

 例えば、マイクロプラスチックの問題だってそうです。実際、人間に対して長期的にどうかという部分は未解明なところがまだ多い。いまだにというか、まさにこれからというところもありますよね。マイクロプラスチックと同時に一部はナノプラスチックでもあるわけですけれども、そして、研究開発だって当然ある。新しいプラスチックの研究開発は今後もまだ進んでいくわけで、どういうアンケーションの目的に対して、どのリソースを使っていくのかということです。全体が少ないからといって、全部を開発アクセルを踏む側だけということにしていないのが、今日ご紹介した海外の動向です。日本では必ずしもそこはなかなか難しい議論であり、どうしてもリスク評価などはマイノリティーというか、活動が極めてしにくい状況に置かれてしまう。意思決定する側にもやっぱりそういう面があるように見えます。

【栗原委員】  というからには、カウンターパートがやっぱりあるわけですよね。それと同時に、こういうものももう少し大事にやっていくんだという立場になるんですかね。それとも、サステナビリティーということである程度、どういう場合には使えるけど、使えないというところも区別しているのか、あるいはそういうようなところ。

【永野様】  具体的にルール化していくところでは、こういう使い方の範囲であれば、これは安全であるという、そういうお墨付きも規制として与えることが重要になってくるわけです。安全であるというお墨付きを与えられたものは自信を持ってビジネス展開ができるということで、これには極めて戦略的な面と、同時に社会、市民という観点で、具体的な消費者製品としてこれを使うということへの安心感というものに対しても、必要なことです。いわゆる社会を代表するという方が誰なのかという問題はありますが、法律家であったり、市民グループであったりという方々が、例えば欧米では具体的なプロジェクトにも参画しています。

【上杉委員】  ナノ材料の安全性について、こういう考え方はないですかね。先ほど馬場先生が言われたように、大学で安全性を研究するというのは非常に難しい。でも、一方で、実はナノ材料と生体との関係が全く分かっていない。例えば、スモールパーティクルがどのように免疫を起こすかといったことについて、実はよく分かっていないんです。悪いところを言えば、アレルギーを起こすということなんですが、そこがよく分かれば、ワクチンのアジュバントが作れます。免疫を賦活するということです。悪いところといいところというのは紙一重だったりすると思うんです。そこに有用な材料がある。悪いことを理解すればいいように転換することができると思うのです。生体とナノ材料との関係を明らかにするであれば、大学の研究でたくさんできます。網羅的に分かってくれば、安全性にも役立つし、利用にも役に立つ。説明ができるようなものになっていくんじゃないかと思います。

【湯浅委員】  リスク評価で産総研が比較的に熱心にやっている理由を考えますと、工業標準というのは産総研の重要ミッションの1つであるだけじゃなくて、標準化への貢献というのが重要な評価指標になっているんですね。個人評価の指標にまで論文数と同じようにカウントされる。ですから、大学でもやるにはその辺の仕組みから変えないと、なかなか先生方はやらないんじゃないかなと思います。

【常行委員】  ナノテクノロジーの安全性の問題というのは、人体とか生体にナノ材料が与える影響というのは理屈が余りはっきりしているものではないので、そういう意味でいうと、マテリアルズ・インフォマティクスみたいにインフォマティクスの手法とはかなりマッチするんじゃないかと思うんですが、そういう観点での研究というのは世界的にやっているんですか。

【永野様】  大変重要な御指摘でして、分からないから、できる限り分かるやり方をみんなで見出そうというようなことでやっている状況です。リスク評価データ、や物質そのものに関わるデータみたいなものをどうやって共有するかというのは、まさにマテリアルズ・インフォマティクスで課題になっていることと同じ議論が、この分野でもなされています。

 安全性や環境影響に関わることであれば、これは本来、国際的な協調ができるところのはずです。各国で重複投資をしないで、いかに人類にとって共通に価値のあるデータとして共有していくかということが議論されています。特にこういう部分はEUのような枠組みがあると、ぐっとやりやすくなるわけです。それでも、あらゆるものを実験で測定して積み上げていくということは、実はもはや不可能なぐらい、ナノ材料は多様化しています。こうした考えから、実はアメリカとEUの間ではどうやって協調していくか、そしてアジア地域ではどこの国と組むのか、そのような議論が今実際に行われています。

 欧米亜の諸外国から、日本も是非一緒にやりませんかという声をたくさん頂くわけですが、日本にはその受け手側の体制が今はありません。そういう面では、できればこれまで各国で生み出してきた評価データについては、参照させてくださいということが本当はできるといいなと思うところがありますが、それには日本側の技術的な貢献も求められます。

【常行委員】  インフォマティクスの使い方の1つは、理屈が分からないときに、欲しいのは例えば安全性という情報が欲しいんだけど、実はそれの測定には時間がかかるとか、何を測定すればいいか分からないときに、それと相関のあるもっと簡単な量を測定すればいい、そういう相関を見付け出すとか、そういう役割があるわけですね。

 その意味で言うと、特定の、そんなに広くやらなくてもいいから、よく調べられているものの中で、そこにインフォマティクスを適用して、重要な要素を見付けていくという仕事が必要だと思います。

【永野様】  おっしゃるとおりで、組成の違いはある場合に、形状が例えば同じ数ナノメートルの棒状のものだったら、同じような効果、影響が出るのか、または組成は同じでもナノ形状が異なると影響は変わるのかどうかみたいなことが、わかっていません。つまり、実質的な同等性をどうグルーピングし、カテゴライズしていくかという仕事が大変重要になっています。そういうところで、ある一方のデータがどれだけ援用できるのか、こういうことも非常に重要なテーマとして研究開発がおこなわれているということです。

【常行委員】  それは進んでいるということですか。

【永野様】  はい。

【三島主査】  それでは、よろしいでしょうか。そろそろ時間ですので、お二人の御発表本当にありがとうございました。大変インフォーマティブなものを見せていただきました。ありがとうございました。

 それでは、議題3、その他というところに入りますけれども、第6期の科学技術基本計画の策定に向けた検討の動き、それから今後の見通し、そして本委員会としての検討の進め方について、簡単にお話しさせていただきたいと思います。

 まず、事務局から検討の現状と今後の見通し等について御説明を頂ければと思います。高橋補佐、よろしくお願いします。

【高橋補佐】  ありがとうございます。お手元に机上配付させていただいております参考資料2「総合政策特別委員会の検討の進め方について」をごらんください。

 こちらは、今月15日に開催された第22回総合政策特別委員会で配付された資料のうち、今後の検討の進め方に係る資料になります。次期科学技術基本計画等の検討のために、文科省として今、総合政策特別委員会が開かれているところですが、この資料をもとに、今後の同委員会の流れについて御案内をしたいと思います。

 まず、1ページ目をごらんいただければと思います。全体の流れといたしまして、現在、総合政策特別委員会において、平成31年1月、これは第9期委員の任期終了時期に合わせていますが、第5期科学技術基本計画後半や第6期科学技術基本計画に向けた検討の視点を取りまとめ、第10期になりますが、2月以降に具体的方策を検討、平成31年9月をめどに論点を取りまとめるとしてございます。

 総合政策特別委員会は論点を取りまとめた段階で各分科会・所管課等へ具体的方策の検討を依頼、各分科会・所管課等は具体的施策を検討し、6月の総合政策特別委員会に報告するという流れがございます。また、論点の取りまとめ前であっても、各分科会等から随時意見は提案を受け付けるというようなこともございます。

 今後の流れのスケジュールをまとめたものが2番目のところでございまして、今までから1月までにかけて計4回程度開催、31年1月に具体的方策の検討を各分科会・所管課へ依頼するという流れです。

 それを受けて、各分科会等においてはどうするのかというところが3番目、フォローアップの中間取りまとめを踏まえ、総合政策特別委員会の議論と並行して、次期基本計画を見据えた検討のための準備を平成31年1月までに行い、総合政策特別委員会における議論に関する協議に対応する。平成31年2月に総合政策特別委員会からの検討依頼を受けて、論点に沿った具体的な施策の検討を行い、6月の総合政策特別委員会で報告するという流れがございます。論点を取りまとめる前であっても、提案は随時意見に反映させるというところがございます。

 これをフローでまとめたのが2ページ目です。説明は省略させていただきますが、先ほど申し上げた月別の流れがまとめられているところです。

 続いて、飛ばして4ページ目以降をごらんください。今月15日の総合政策特別委員会においては、今後の進め方について御出席の委員から大きな方向性について大所高所の議論がなされたというところでございました。そのためもあって、本資料に記載された論点は事務局が用意したもので、こちらについての議論というところはあまり踏み込まれるところはなかったのですけれども、あくまで現状の論点としてどのようなものが考えられるかということについて、御参考までに御紹介したいと思います。

 4ページ目の中段をごらんください。中段のところのチェックマークですが、グローバル化が浸透している一方、自国第一主義が台頭している中、持続可能な開発目標(SDGs)への科学技術イノベーションの貢献が求められている。また、Society5.0の対応などもある。今後訪れる社会的変化はどういったものか。

 また、次のチェックマークですが、日本の科学技術システムについて全般的に何をどう目指すべきか。その中で単一のシステムではなく、多種多様な研究開発・イノベーションにおのおの最適化したシステムが必要ではないか、文部科学省としてどの部分を担うべきか。

 5ページ目をごらんください。一番上、新たな発想を生み出し、破壊的イノベーションの源泉である基礎研究こそが我が国としての力の源泉ではないか。

 次です。複雑化、多様化する社会問題を抽出化し、その解決を出発点としたバックキャスト型の視点を研究開発にどう取り入れるか。

 最後ですが、科学技術の創造の担い手である人材の養成・供給が重要ではないか、特に文理融合をはじめ、柔軟性を持ち、あらゆる変化に耐え得る力を持った人材が求められるのではないかというような論点が事務局としては上がっていたような形でございました。

 続いて、6、7ページ目ですが、こちらについては先ほど申し上げた論点のところをさらに深掘りした内容ではございますが、内容は共通するところがございますので、省略させていただきたいと思います。

 現状の動向については以上です。

【三島主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明のように、来年6月頃に総合政策特別委員会において、各委員会からの検討に関する報告が求められるということだそうですので、本委員会においてもそれまでに検討を深めていくようなことを予定してございます。

 第9期については本日が最終回ですので、具体の検討は第10期のメンバーで進めていくということになりますけれども、この委員会では今年8月に研究開発戦略をまとめておりますので、基本的にはそれをベースに検討の深掘りを行っていくものというふうに考えているところです。

 この件について、何か御質問、御意見ございましたらと思いますが。

【橋本委員】  僕はCSTIの方のメンバーでありますから、ちょっと御紹介いたしますと、CSTIの方でもというか、CSTIで今議論を始めたところでありまして、それで文科省にも是非、御検討を進めるのに一緒に進めていきましょうということでリクエストしまして、その結果、文科省の方で総合政策特別委員会ができて、議論を始めようとしているという、そういう段階で、これからです。

 きょうも実はCSTIの方の会合がありましたけど、そこでも議論しましたけれども、どういう視点で第6期を作っていくのかというところから今議論を始めているところです。ですので、あまりかちっとしたものを今議論してもしようがないと思いますが、非常に頻度高く文部科学省とは情報を共有しながら進めていく、CSTIとしてはしていくつもりでので、その辺をしっかりと取り込みながら、ここで議論していくことが重要かなと思います。

 それで、1点だけ申し上げますと、今、多分間違いなく議論として大きく前面に出てくるのは、物すごく大きな変革、社会変革の時代だというのは共通認識なわけで、それが過去の5期までとは格段に違った形で、社会変革という意味で大きな変化がある中において、科学技術基本計画はどうあるべきかという議論が前面に出ます。

 というのと、もう1つは、限られた資源の中で我が国として将来どのように国際的なポジショニングを取っていくのかということで、限られた資源の中でというのも非常に重要な視点になっているんですね。

 ですので、ナノテクのこの議論、きょうのお話を伺っていても、きょうの議論は今のナノリスクの話と評価の話と、それからインフォマティクスの話と2つがたまたま出ましたけど、全部できるわけじゃないんですよね、我が国において。なので、例えばナノリスクを文科省プロジェクトの中に入れていくんだったら、その分、それを入れていくためには、どこかから取ってこないといけないわけです。でも、それはなかなかしんどくて、今ここで持っているナノのどこかを削ってそういうふうにやりますかという、例えばこういう議論にもなりかねないんですね。

 今、リスクの方が経産省主導でやっているのは、実はこれユーザー側の方の視点から見たときに、業界側がなかなかそこは大変なのでということで、そちら側に近い省庁の経産省の方の予算でやられているという、そういう視点があるんですね。だけど、それだけじゃ足りなくて、学問的な何々が必要だというような議論がきょうされたと思うんですけれども、それは純粋にそれだけスタンドアローンではいかなくて、限られた資源の中でどういうところに配分されるかという議論と併せてやらないと、言いっぱなしになってしまうという恐れがあると思っています。

 ですので、きょうもかなりそこ、私自身はそこは強く言っているんですけれども、今後、産業界それから学術会議等を含めた学会との連携をしっかりしながら、1つのテーブルでどいうところに、集中するじゃないですよ、間違っていただくと困るんだけど、どっかある分野に集中するということを言っているわけじゃなくて、全体図を見たときに、我が国としてどういうふうな張り方をしていくのかという、そういうことを第5期の中でちゃんと戦略的に入れていかないといけないというふうに思って、多分そういう議論になっていくと思います。

 ですので、ここも全部重要だといっても、多分、話にはならなくて、かといって、じゃ、この分野とこの分野に特定していいんですか、こういう議論も当然あるわけで、そういう中において、どのようにナノテクの重要性をここから先5年間の施策の中に入れていくのかという視点でのアイデアを出していただくということが重要になると思います。

 逆に、そうじゃなければほとんど出されても使われませんので。スルーされるだけですので、これは。ですので、その辺は私もいろんな形で情報は出していきますけど、是非そこは頭に入れていただきたいと思います。

【三島主査】  分かりました。大変重要な御意見を頂きました。ありがとうございました。

 ということで、繰り返しますと、第10期の方でまた進めていくことになりますけれども、今のようなことを、こういう限られた資源の中でどこに重点を置いてというような話というのは、この委員会ではよくこういう話が出てくるところだろうというふうに思いますけれども、引き続きしっかりと皆さんのお知恵を借りて進めていきたいというふうに思います。

 それでは、よろしいでしょうか。本日の議事は大体以上ですが、冒頭、先ほどから申し上げていますように、第9期については本日が最終回となるということで、事務局から一言御発言、事務連絡をお願いしたいと思いますが、参事官、どうぞよろしくお願いいたします。

【齊藤参事官】  皆様方へのお礼です。

 主査の御案内のとおり、きょうが最終回ということで、この第9期、中間評価が2回、事後評価が1回、そしてこの夏には事前評価ということで議論を重ねていただきました。そして、何より研究開発戦略を取りまとめていただきましたこと、お礼申し上げます。今後ともいろんなところで御支援賜るかと思いますけれども、引き続きまたよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【三島主査】  それでは、あとは高橋補佐から少し。

【高橋補佐】  事務連絡が何点かございます。本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、委員の皆様にお諮りし、主査に御確認いただいた後にホームページ上に公開いたします。また、資料につきましても机上配付のものを除き、今回配付させていただいたものをホームページに公開させていただきます。

 また、お手元の資料につきまして、本日の配付資料につきましては、封筒にお名前を書いて机上に置いていただければ、後日、事務局から郵送させていただきますので、御希望の方、お願いいたします。

 以上です。

【三島主査】  どうもありがとうございました。それでは、本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会は以上です。閉会いたします。どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

(研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付)

-- 登録:平成31年04月 --