ここからサイトの主なメニューです

第9期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成29年8月8日(火曜日)15時~17時

2.場所

3F1 特別会議室

3.議題

  1. ナノテクノロジー・材料分野の研究開発戦略検討作業部会の検討報告
  2. 研究開発課題の中間評価結果について
  3. ナノテクノロジー・材料科学技術に関する最近の取組
  4. その他

4.議事録

【三島主査】
 皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから、第9期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第2回)を開催させていただきます。  お忙しい中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
 本日の議題は、議題表を御覧いただいて、議題(1)で、前回の委員会で設置を御承認いただいたナノテクノロジー・材料分野の研究開発戦略検討作業部会の主査を務めていただいている中山委員から御報告を頂いてディスカッションをお願いしたいと思います。
 その次に、当委員会で評価をすべく、ナノテクノロジープラットフォームの中間評価の結果について、中間評価検討委員会で主査代理を務められた中山委員から、同じく御説明いただきます。 そして、最後に、議題(3)のところで、ナノテク・材料科学技術に関する最近の取組ということで、2名の委員、萬委員と加藤委員から御発表いただくという内容になっておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、早速ですが、まず、事務局から委員の出欠と配付資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【丹羽専門職】
 事務局です。本日は、納富委員、上杉委員、林委員が御欠席です。また、当省より、関研究振興局長、板倉研究振興局審議官が出席をしております。
 事務局に異動がございましたので、紹介させていただきます。ナノテクノロジー・物質・材料担当参事官の齊藤です。
【齊藤参事官】
 よろしくお願いします。
【丹羽専門職】
 それから、私、同じく、参事官付の丹羽と申します。よろしくお願いいたします。
 配付資料ですが、議事次第の下に、資料1、資料2-1、2-2、資料3とあります。それから、参考資料、全部で5種類の資料があります。欠落等ございましたら、事務局まで御連絡ください。
 以上です。
【三島主査】
 配付資料等、よろしいでしょうか。
 それでは、早速ですが、議事の(1)に入ります。先ほど申し上げたように、ナノテクノロジー・材料分野の研究開発の戦略検討作業部会の状況についてですが、これで検討の方向性ということをまとめていただいております。初めのところで重要ですので、御説明を頂いた後、いろいろ御意見を賜ればと思います。
 それでは、中山委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【中山委員】
 どうもありがとうございます。中山から御説明させていただきます。
 当分野の研究開発戦略検討作業部会で繰り返し集まり検討させていただいた内容です。
 まず、1.の背景ですが、最初のパラグラフは、米国のナノテクノロジーイニシアチブ、そして、第2期科学技術基本計画でナノテクノロジー・材料分野が立ち上げられた当時の経緯、また、例えば元素戦略等の取組を精力的に行ってきているという歴史の話です。
 そして、次のパラグラフは、このIoT・AI時代において、現行の科学技術基本計画にあるSociety5.0等に対して如何なる貢献ができるか、あるいは、未来社会の実現に向けて、どのような取組が大事であるかということをしっかり認識すべきということを記しています。
 そして、三つ目のパラグラフは、さらに、SDGs、持続可能な開発目標などの話が国際的に出て参りまして、それに対するこの分野の取組、あるいは、科学技術の取組をどうするか、検討していくべきということを記しています。
 2.は検討の目標です。今申し上げました観点を踏まえ、さらに、2030年頃の社会像に向けて、今後、我が国が行うべきナノテクノロジー・材料分野の研究開発を議論しましょうということ。また、それらを俯瞰するような新たな旗印のようなものはないか、研究開発戦略としてまとめていくにはどうすべきか、そして、次の第6期基本計画等の議論にも参考になるようなものを作ることを目標とします。
 さらに、この計画は2年ごとに見直しを行いと書いてありますが、常にローリングをしていき、この委員会で議論していただくことで、より良くしていきたいと考えております。
 3.ですが、これは報告書の全体像のイメージです。ご覧頂ければと思います。
 4.は戦略を検討する上での留意事項です。科学技術の現状をレビューしつつ議論を進めること。時間軸を定めて議論すること。次に策定される第6期科学技術基本計画、SDGs、政府内の議論等も踏まえ、2030年頃を一つのターゲットイヤーとして設定したいと考えます。
 あとは、次のポツですが、この分野の位置付けや新たな旗印等も検討したく思います。また、アカデミアのみならず、材料の開発企業やユーザー企業も含めた産業界からも幅広く意見を聴取します。これは多くの人や機関を巻き込みたいという意図がございまして、そういうもので当分野の求心力を得ていきたいと。求心力がそのまま実行力につながるのではないかと思います。外部の皆様と双方向のやり取りをしまして、施策立案プロセスに良いもの、良い内容が集まるような流れを作っていきたいと思います。
 下から二つ目のポツです。社会への大きな貢献、又は、サイエンスとして大きな飛躍が期待できるもので、我が国が世界に勝てるような技術領域について、世界的な潮流や技術動向を踏まえながら検討いたします。また、想定される代替技術・競合技術についても留意して議論を進めていきたいと考えております。
 5.は当面のスケジュールです。8月下旬までに、以下の1、2に関する現時点での項目を示します。また今後、さらに多くの皆様から意見を頂き、まとめていくという流れです。
 次、3枚目です。現時点で考えられる検討項目を列挙いたしております。まだ事例の段階でございまして、ここで意見をもらいつつ、また、外部を含め多くの皆様方の意見でブラッシュアップしていければと考えております。
 (1)の1です。2030年に向けた研究開発戦略の検討項目として、踏まえておくべきことです。繰返しですが、未来社会、Society5.0や、あるいは、SDGsを意識しておくこと。また、用途や時間軸のイメージを持つ。さらに、今までと違う視点もよく考慮しながら、同じこと、違うこと、新しいことも考えていきます。基礎から応用まで、材料開発に関して考えていく。また、大事な点ですが、融合、統合やシステム化などを意識した横断的な取組をきっちり考えていくこと。また、既存材料の高度化、新たな用途開拓、あるいは、組合せによる新材料の創出等も検討する。さらに、AIやIoT、ビッグデータの活用をはじめ、新しい発想による材料開発手法も導入していきたいと考えております。
 2は1の内容を踏まえた2030年の材料科学技術の研究開発のコンセプトやアイデアです。サイバーとフィジカルの高度な接続、両立し得ない複数の機能の達成、生物メカニズムの取込み、そして、次世代元素戦略。これは、元素の機能を最大限利用とするというような観点での元素戦略です。あるいは、有害物質の有用物質への転換、未利用資源の活用、ナノの特性を生かす設計やプロセス、異種材料界面の理解と制御等を挙げています。  また、今までなされてきた施策であっても、それで1回やったから終わりということではなく、良いものは続ける、新たな価値や内容を入れて考え直して続けるべきは続けていくことも大事だという意見も多く出ております。
 3です。この2の実現によって創出される価値として、例えば健康で快適な暮らしとか、人間の能力の拡張、これはナノバイオとかロボティクスとか、そういうことかなと思っています。あるいは、人間と社会のつながりの深化、持続可能な社会や資源リスクの話、環境の話、あるいは、強靱な構造やインフラの話、こういうところを価値として見出していければと思います。
 そして4番は3を実現するための材料やデバイスやシステム、そして、5番は萌芽的なサイエンス、6番はそれらを支える基盤技術です。この4、5、6に関しては、次のページにマトリックスに例を書いております。このマトリックスを、個別研究領域、融合の内容、統合のシステム、等々を書いて充実させるような活動を今後進めていきたいと考えております。
 今はここに事例といたしまして、センサ・アクチュエータ、材料デジタルツイン、ロボット・IoT、自動走行、分離・精製システム等の話が書かれております。細かい話から大きな話までありますが、こういうものを今後整理していきたいと考えております。
 また、下の四角は、萌芽的なサイエンスです。例えばトポロジカル物性とかフォノンエンジニアリングとか、まだ多くあると思いますが、このような案を出している最中です。
 また、6では、これらを支える基盤技術として、マテリアルズ・インフォマティクス、計測基盤・最先端計測、また、微細加工に属するMEMSやNEMS等も大事だということで検討を進めております。
 (2)は、Society5.0の実現に向けた検討項目で、第5期基本計画の後半にやるような内容です。センシング等の対象を広げるフレキシブル・超省エネ・超小型センサ、アクチュエータの材料、あるいは、環境発電材料等を挙げています。あるいは、材料自身が情報を持ち、サイバーとフィジカルを直接つなぐようなもの。検討していくべきことを更に考えています。まだまだ煮詰めが甘いところもありますが、多くの御指摘を頂いて検討して直していければと思っております。
 御説明は、以上です。
【三島主査】
 中山委員、どうもありがとうございました。
 これからの方向性ということで非常に重要だと思われるのは、やはりSociety5.0とかSDGsとかいう、どういう社会に、この技術はどこへ実際に反映できるのかというようなことが非常に問われる今回の考え方だと思うんですね。今までも、ナノテク・材料委員会はナノテク・材料の分野でどこを伸ばしていくべきか、どこに資源を投ずべきかということをやってきたと思いますけど、今回はかなり明瞭にSDGsのどこに資するか、Society5.0のどこかでどういうものを生み出せるか、新しい技術を作り出せるか、そして、それが国際競争力をちゃんと持っているかというようなことを考えながらやるということで、大きな目標にしっかりと取り組んでいかなきゃいけないということと、第5期が昨年の春、始まったばかりですけれども、第6期をにらんでというようなことも含めて、しっかりとした方向性を出していただきたいと思います。
 作業部会を、短い間にも2度もやっていただいて、こういう案を作っていただきましたので、皆様、委員の皆様から、忌憚のない御意見を聞かせていただければと思います。いかがでしょうか。橋本先生、どうぞ。
【橋本委員】
 今、座長もおっしゃってくださったように、今後の戦略ということで大変重要なので、一生懸命やっていただきどうもありがとうございます。  少し気になった点としましては、中山主査の御説明の中で何度か、これから多くの意見を聞いて取り込んでいくとおっしゃいましたが、ナノテク・材料分野は言うまでもなく基盤的なものなので非常に範囲が広く総花的になるかと思います。
 私も長い間この委員会に関わっていますけれど、みなさん自分の分野が重要だと主張されます。だから、結局全部入ってしまって、百貨店的なものになってしまわないかなという気がいたしました。
 そういうものも重要だとは思いますが、もう一度、この報告書をどう位置づけるかを私たちが考えるべきなのかなと思いました。
 重要なものを全部書き出すという作業は極めて重要なので、それはそれでやるとして、ここで作るのは多分そういうものではなくて、今、世の中が非常に大きく変化しサイエンスのやり方自身が大きく変わりかけている中において、ナノテク・材料研究はどうあるべきか、どういう方向に行くべきかみんなで真剣に知恵を出すことが重要なのではないかという気がします。
 例えば、私が思うのは、過去10年、20年に比べて、これから先の10年、20年は多分いろいろな意味で大きな変化がある。その大きな変化の中の本質的なところはどこなのか、その上でナノテク・材料研究では何に注力しなければいけないのかと区切って考えないと、結局全部重要というふうになってしまわないかなという気がしました。
 昨日、新聞の解説に東大のAIの松尾さんが書いていますが、今まで、入口と出口があって、その間を一生懸命つなぐという“サイエンス”はやってきたけれど、そこの部分を全部飛ばして入口と出口の間の部分は機械学習させてしまいましょうというような動きがどんどん出ていると。材料研究もそういうふうになっていくのではないかと書かれていました。それが本当かどうかは分かりませんが。
 例えば、そういう非常に大きな変化があるということに注目したレポートにするということも一つの手なのかなと思います。
 もちろん今やっていただいている重要なことを全部書き出すということはやっていただくとして、その上で、大きな変化としては例えばこういうところがある、というような2段構えにするとか、そのようなことを考えていただいた方がよろしいのではないかなと思います。
【三島主査】
 ありがとうございました。大変貴重な御意見です。ただ、実際にやるとなると、大分考え方を改めてやっていかないと、あれも大事、これも大事になりそうなところは確かにあるかと思います。
 ほかに御意見。では、五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】
 産業界からの意見として申し上げたいんですが、やはり、今、橋本先生からも御意見がありましたように、日本が2030年、どういう姿を目指すかと、その例えばいろんな分野でパラダイムシフトが起こると思うんですけれども、それにつながる材料分野でのブレークスルーにつながるような、そういう何か戦略が打てないかなと思うんですね。
 例えば、有機ELですけれども、ディスプレーがどんどん日本以外で開発が進んで、多分スマホは有機ELに全部変わるだろうと。テレビも、大型のところはまだ液晶ですけれども、そういうところで有機ELテレビが出てくると。
 ただ、日本には、やっぱりその有機ELの素子を作っているメーカー、実は私どもの会社もそうですし、それから、液晶の大型化、4K、8K、そういうテレビの大型化に寄与、繊細なそういう画像を実現できるそういうブラックレジストですとか、そういう材料というのは日本が持っているんですよ。
 ただ、それを本当に国際競争力を持ってそのパラダイムシフトにつなげるためには、素材だけでは足りないところがあって、そういうところがシステム化ですとか、融合ですとか、そういうのが求められているけれども、日本はそういうのがどうも余り得意じゃないと。それで、どんどん、どんどん海外に取られてしまっているようなところがあるんですよ。
 ですから、是非、ナノテク・材料というところは、シーズ技術、本当に夢のあるシーズ技術が山ほどあると思うんですけれども、それをいかにそういうパラダイムシフトに必要なブレークスルーにつなげるか、何かそういう分野、全てじゃなくてもいいと思うんですけれども、そういうのが見えている分野でこういうブレークスルーがあるべきだと、こういう素材開発をするべきだみたいな提言ができれば、非常にいいんじゃないかなというふうに感じています。
【三島主査】
 他に御意見ありますか。瀬戸山さん、どうぞ。
【瀬戸山委員】
 今の五十嵐先生の話と似ているんですけどね。基本的に、IT、エレクトロニクスで日本がこれだけ落ち目になったのは、基本的に国としてのビジネスモデルが無いからだと私は思っています。だから、企業が一個一個やって、多分、太刀打ちできなくなっていて、やっぱりEUなんかで例えばやっているのは、ちょっとびっくりしたんですけどね。EUのバイオジェットフィールって物すごく大きな作業をやって、ヨーロッパだけ、EUたけがひとり勝ちなんですね。例えばそういう状況というのはやっぱりEUというのが国として、国家として戦略を持ってやってきたんですね。
 日本の場合には、一つの技術だけでこういうふうに、文科省に失礼ですけれども、文科省でサイエンスをやるといったときに、じゃあ、そのサイエンスをどうやって生かすかという部分の社会科学的な側面というのがなくて、それを、じゃあ、誰が議論するのかという部分が多分欠けているのではないのかなと思うんですね。
 なので、そういうことを含めて、技術として、どういうふうにそれをテクノロジーに変えて産業に変えていくのかというところに対して、何かものを言えるような部分というのがあった方がいいのではないのかなと思います。何か今のやり方だと、多分、技術にフォーカスを当て過ぎているもんだから、そこら辺のことがやっぱり言えなくなってしまっているということじゃないのかなという気がします。
【三島主査】
 ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。じゃあ、栗原さん、どうぞ。
【栗原委員】
 皆さんのおっしゃること、それぞれの立場ではもっともだと思います。あと、もう一つ、やはり今まとめていただいた中で、ナノの特性を生かすとか、制御とか、今の技術課題と先端のサイエンスってどこがつながるのか、つながらないのかをもう少しクリアにして、具体的な課題を本当に解決するという例を一つでも二つでも、現在の知識の限界で現実課題を幾つかずつでも解決するということは大事だと思っています。
 マクロな実際のプロセス、材料でも何でも、マクロなわけですけれども、それをナノから本当にアプローチしている例というのがどれだけあって、どういうふうに成功しているのかということをもう少しきちっと見据えたり、あるいは、課題を分解するというと一般的になるんですけれども、技術課題と先端をつなげる努力を積み上げていくということの幾つかの例示でほかのところに波及効果が結構あるんじゃないかなと思っています。
【三島主査】
 ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。どうぞ、加藤先生。
【加藤委員】
 加藤です。まず、AIとかで情報が今もてはやされていて、実際重要な分野ですけど、やはりそれは一つは材料の上に成り立っていることは間違いなくて、半導体を作るフォトレジストから考えても、とにかく材料の基盤なくしてあり得ないわけですね。
 材料というのが今、やはり世界的に見渡しても、材料、ナノテクノロジーは、言うまでもなく、日本が一番強いわけです。ですから、この一番強い内容をきちっと整理して、今おっしゃったような出口へどうつなげるかということをきちっと筋道をうまく図で示したり、流れとして出せるような形にしていけるかが重要であると考えています。思います。
 本日後半、話をしますが、日本の材料には様々な基盤の非常に強いことが多くあるんですね。それをどのように巧みに展開していくか。先ほども御意見ありましたが、AI・情報などは入り口と出口の間ブラックボックスになっているように見えますけど、実は裏で全部、材料とナノテクノロジーのしっかりした技術が支えているわけで、それをどのようにつないで、どのように社会の発展につなげていくかということをもう少し盛り込めると、さらに良くなると思います。
 以上です。
【三島主査】
 ありがとうございます。
 他に御意見ありますでしょうか。武田先生どうぞ。
【武田委員】
 私はバイオ分野を専門としているのですが、SDGsの観点から、近い未来社会に地球規模で懸念されるような課題というのはやはりいろいろ出てきております。感染症の蔓延ですとか、石油資源への依存の課題です。そういう課題に対して、新しい材料開発・ものづくりとして、バイオの力つまり生物の力を借りた生物合成によって新しい材料を創るという、そういう動きも今活発に、国やアカデミアでの取組、あるいは、企業の取組で行われてきていますので、そちらの方の観点も大事だと思います。ぜひ戦略等を議論いただければと思います。
【三島主査】
 ありがとうございます。
 SDGsは、2015年の秋ぐらいに国連で採択されて、それで、16年の1月ぐらいから、もう方々で検討されていたけれど、比較的日本の対応が遅いという言われ方をされて来たと思うんですけど、その辺、対応が当初は遅かったからどうということはないのかもしれないけれども、やはりヨーロッパとか、そういうところの動きが非常に早いというようなことを聞きますが、その辺の状況というのは、中山さん、何か御存じでいらっしゃいますか。
【中山委員】
 そうですね、立ち上がりが遅いかに見えましたが、最近はいろいろなコミュニティとか、JST、外務省、文部科学省も含めて、大きな対応がなされているところと認識しています。各省の文書の文言等にも入ってきているところで、今後、科学技術がそれにどうやって貢献していくかが出ていくところと思います。それに対して我々の報告書や議論も、貢献していければと強く感じているところです。重要な点であると思います。
【三島主査】
 そうですよね。Society5.0のいわゆるサイバーとフィジカルの社会うんぬんというのはその中にもちろん入っているんだけれども、SDG sは何かもっと大きな、何か飢餓をなくすだとか、それから、よい教育を世界じゅうに行き渡らせるとか、何かそういうもうワンランク上のような気がするので、その技術をどういうふうに結び付けていくかという中に必ず絵はきちっと描けていくのかなという気がします。その辺の検討がやっぱり一段必要かなというふうにちょっと私は思っておりました。
【中山委員】
 分かりました。
【三島主査】
 ほかに御意見、ありますでしょうか。常行先生。
【常行委員】
 AIとかIoT、あるいは、ビッグデータの活用というのは、これがキーテクノロジーの一つであるということは、これは私も賛成です。ただ、ちょっと注意しておかなくてはいけないのは、データとかAIだけで全く新しいものが生まれるかというと、私、それだけでは不十分だと思っていて、そこには必ずサイエンスの裏付けが必要であると。
 サイエンスと、それから、AIをいかにつなげるかという、ここが多分これから非常に重要なところで、例えば、私の分野のシミュレーションでいいますと、シミュレーションという非常に基礎的なサイエンスのしっかりしたサイエンスから出発した方法論に、それではどうしてもアプローチできない、つまり、原理的には可能であっても、計算規模の問題でありますとか、時間の問題でアプローチできないところにAIを使っていくとか、そういううまいつなげ方をして、実験、計算、シミュレーション等の従来型の研究とAIと両方使って、新しい材料を生み出していく、そういうサイエンスに根ざしたAIの利用というところが必要であろうかというふうに思います。
【三島主査】
 ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。どうぞ。
【館林委員】
 創出される価値のところの例に、健康で快適な暮らしとか、人間の能力の拡張とか書いてあるんですけれども、やはりこれから先、雇用が確保できるのかとか、産業がきちんと新しいものを維持していかれるのかとか、あと、高齢化の中で、体がちゃんと動くかどうかとか、自分が自立できる生活が送れるかとか、そういう何か国民それぞれの、いかにもこれだったら、こういうことをしてくれるんだったらいいなというような書きぶりにしていただいて、科学がすごく役に立っているのかなというのが、もうちょっと社会的課題を見ながら、説得力のあるように書いていただければ有り難いかなと思いました。
【三島主査】
 ありがとうございます。この委員会はいろんな角度からものを見ていただいて、忌憚のない御意見を頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 他、いかがでしょうか。じゃあ、菅野先生、どうぞ。
【菅野委員】
 材料の開発とデバイスのギャップというのを深く考察していただきたいというふうに思います。
 材料開発というのは、材料の改変で結構閉じてしまっていて、目標、上から目標を立てるというのはデバイス、入り口から、出口から入るというのが一番分かりやすいんですけれども、そこのギャップというのがいつも、材料開発側から苦労するところですし、多分デバイス側からも多分、材料開発が見えてくるという、そこのギャップ、どの分野でも一緒だと思うんですけれども、少し深く考察していただきたいと思います。
【三島主査】
 他にいかがですか。馬場先生、どうぞ。
【馬場委員】
 今、様々な御意見を伺って、中山主査は多分困っているんだと思いますけれども、確かにSDGsとかSociety5.0が目指す社会を全部包括して、この戦略の中に盛り込んでいただきたいというのは我々の気持ちではありますけれども、なかなか最初からそれを全部盛り込む形で戦略立てるというのはかなり厳しいんではないかと思いますので、これ、せっかく検討部会の中に非常に若手の優秀な人が入っておられるので、一応2030年でSociety5.0とかSDGをちゃんと認識はしつつも、本当の意味で、今どこに集中して施策を打つべきかというのを少し議論していただいて、今日の話ですと、2年に1回見直すということですので、例えば10年ぐらいたったら、SDGとかSociety5.0の目標の全般がカバーできているというような形も考えられてはいかがかなと思います。
 今日のお話で、3枚目の現時点での検討項目を見ますと、幾つか例示されていますが、基本的には、SDGとかSociety5.0があって、それをもう少しブレークダウンしたものが3で、それを実現するためのデバイスが4で考えられて、その基盤になるところが2ですというようなたてつけなんだと思いますけれども、その中で、今日、いろんな先生方の御意見もありましたので、それを勘案しつつ、本当の意味で、ナノテクノロジー・材料で今どこが一番大事かというところを是非御検討いただければと思います。
【三島主査】
 ありがとうございます。
 他に御意見ありましょうか。
【栗原委員】
 ちょっと補足させていただいていいですか。さっき菅野先生がおっしゃったことで、やはりデバイスと材料をつなぐところはプロセスではないかと思うので、そのプロセスの理解に対するナノテクノロジー的なアプローチというのもあるんじゃないかと思います。
【三島主査】
 ありがとうございます。
 他、よろしいでしょうか。
 それでは、中山委員、大変いろんな意見が出ているんですけれども、ナノテクノロジーの材料の部分で、我が国のどこが強いかというのはまずはっきりさせて、それを今までのようにそこをさらに強くするんだけれども、極端に言えば、社会実装までも想定しながら、難しいと思いますけれども、何がどこに役に立つのか、あるいは、立てるようにするにはどうしたらいいかというファクターがしっかりと入ったような形で考えていくということだと思うんです。他にいろんな意見がございましたので、大変だと思いますが、また作業部会で引き続き御検討いただければと思います。  ありがとうございました。
 それでは、議題(2)ですけれども、研究開発課題の中間評価結果ということです。
 この委員会、中間評価の委員会には中山委員と萬委員に御参画いただいて、中間評価検討会においてヒアリング等を実施していただき、研究計画・評価分科会という上の会議ですね、ここに最終的に提出する中間評価表の案を作成していると、そういう段階です。
 本評価につきましては、各プラットフォームの評価というよりは、事業全体の評価を実施することになりますということですので、御説明を頂いて御意見を頂きたいと思いますが、橋本委員と馬場委員におかれては、利害関係者ということだそうですので、御発言は控えていただきたいと、我慢をしていただければというふうに思います。
 それでは、引き続き、中山委員から、検討した中間評価について、御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【中山委員】
 引き続き、失礼いたします。使います資料は、資料2-1と2-2です。2-1が中間評価結果の概要です。そして、2-2が中間評価結果の本文です。
 本文は非常に内容が多いので概要にて説明させていただきますが、最初だけ、2-2の中間評価結果案で説明致します。ナノテクノロジープラットフォームに触れるのが初めての委員の先生方もおられますので、概略に多少触れさせていただきます。
 ナノテクノロジープラットフォームというのは、我が国の素材開発の基礎力の引上げとイノベーション創出に向けた強固な研究基盤を形成するために作られた、基本的には機器の共用を行っていくプラットフォーム、仕組みです。
 必要性といたしまして、科学技術基本計画等で国として本事業に代表されるような先端研究施設及び設備の整理、共用促進を図る必要があるとの結論が得られた上での施策です。
 3ページの有効性というところです。この施策の前身としては、「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト」が平成14年から始まっております。これは米国のNNI、National Nanotechnology Initiativeを受ける形で文部科学省が設置した施策で、兄弟施策としてJSTのナノテクノロジー・バーチャル・ラボラトリという、CRESTとさきがけの10領域がございました。そういうものと一緒に走り始めております。
 その後、平成19年から、「ナノテクノロジーネットワーク」という施策に昇華いたしまして、ここでかなりの設備、経験、ノウハウが蓄積されました。それを更に活用し、どういった形で生かしていくのが適切かという議論がなされ、このナノテクノロジープラットフォームという施策が作られたという経緯があります。
 (3)へ行っていただきまして、そういう中で、例えば、「プラットフォーム運営統括会議」等の強固な推進組織ができ、あるいは、「センター機関」というところがイニシアチブを発揮しながら、この施策が推進されているということです。
 そのうしろは、事業推進の体制です。推進者の顔と機関が思い浮かぶかなと思います。
 基本的なところはここまでで、資料2-1へ戻らせていただきます。ナノテクノロジープラットフォームの中間評価結果概要です。
 まず(1)で、全体の状況及び評価です。利用件数および利用料収入が年々増加して、利用が拡大し定着しています。各プラットフォームの代表機関及び実施機関の連携体制もよく機能しているということが見てとれます。利便性の向上もよく図られていると思います。
 また、大学の研究力向上への貢献として、本事業の支援による研究論文の被引用数が確実に上がっていること、また、質の高い研究が多く実施されていることも見てとれます。また、ここには書いておりませんが、企業の利用もどんどん拡大していっております。
 さらに、本事業を契機に各大学等で設備の共用及び課金制度の導入が進むなど、共用システムの改革に貢献している。そもそも、研究装置の共用という概念というか文化を根付かせるというところから、本事業、あるいは、本事業の前身のプロジェクトは始まっておりまして、それらが根付いてきていると考えられます。
 最後の丸ですが、本事業で雇用している技術支援者のインセンティブについて、検討を加速してほしいということ、また根本的な問題として、これらの支援者等のキャリアパスの形成等の課題は残っており、これらは引き続き考えていくということです。
 (2)へ行っていただきまして、各プラットフォームの状況及び評価です。三つのプラットフォームから成っておりまして、微細構造解析プラットフォーム、これは物質・材料研究機構が中心です。また、微細加工プラットフォーム、これは京都大学が中心です。また、分子・物質合成プラットフォーム、これは分子研が中心で行われております。
 最初の微細構造解析プラットフォームです。利用件数、利用料収入ともに目標を超える大きな伸びを示しております。また、解析技術を独自開発するなど良い取組が多く、また、分析会社との連携協議会を開くなど、先進的な取組も行っております。また、計測データの標準化やビッグデータの活用等、ユニークな施策も評価されるところです。
 ただし、提供技術が電子顕微鏡分野に偏っているため、今後は新規の分野への対応を期待したいところです。また、大型研究施設を有する実施機関を抱えておりますが、これらの利用の拡大に向けた方策も必要です。
 次が、微細加工プラットフォーム。京都大学が代表機関ですが、これらも利用料、利用は伸びており、技術支援から製品化につながっている例も複数存在しております。全国の実施機関で質が保証された支援を提供する体制、これも非常に重要な取組です。また、機関内にコーディネーターを置き、利用相談や技術相談を行うような体制も整備されており、評価されるところです。また、技術代行等の要望も、多く頂いておりますが、「新たな代行モデル」を検討するなど、積極的な取組姿勢が評価されます。この「新たな代行モデル」というのは、人材をプールするような仕組み、あるいは、キャリアモデルとビジネスモデルを併せたような取組です。検討の途中ではありますが、先進的な考えを持っております。
 また、分子・合成プラットフォームでは、使用者の研究論文の被引用数も非常に高く、学術的に質の高い支援を行っていると考えられます。また、研究者自身ではできない合成の支援機能は貴重であり、評価されます。一方で、解析・分析・評価に対する支援が多く、合成の支援が少ないのが実情です。これら、プラットフォームが有効に活用されるよう、代表機関がリーダーシップとり、更なる高みへ上っていただくことを強く期待します。
 また、センター機関、これはNIMSとJSTです。運営責任者会議等での問題を共有化、利用者の拡大、異分野開拓のための産学連携マネジャーの取組、あるいは、「試行的利用」等は高く評価されるところです。また、利用者及び実施機関への表彰とか、利用者と支援者の双方のインセンティブを確保するための取組を多く行っています。運営効率の向上策を更に練るなど、より存在感の高まる活動を是非とも実施していただきたいと考えております。
 次、(3)です。今後の事業の方向性です。
 まず、より高みに登るための取組に期待したいところです。科学技術の新たな成長に併せ、プラットフォームを鋭意整備していただきたいということ。また、支援の質の向上や新たな支援要請への対応での隘路を打開するため、機器の拡充や技術支援者数の増強を図ってほしい。また、新規利用者の開拓のために配置された産学連携マネジャーの役割は達成されたと評価されますので、次の段階として、今度は開拓した企業と連携した技術開発等へ移行し、更なる向上を図ってほしいと思います。また、企業からの利用を更に促すため、中小企業やベンチャー企業等との共同研究を含めた技術支援の拡大を行ってほしい。
 大きな観点として、科学的卓越性の追求とイノベーション促進、地域への貢献の三つがあります。かなりぜいたくではありますが、代表機関はこれらを満たすため、各プラットフォームの実施体制を構築し、より強いイニシアチブを発揮してほしいと考えております。
 次が、引き続き着実に実施すべき事項です。まず大事なのは、技術支援者のキャリアパスの問題に対して真正面に取り組んでいただきたいこと。あとは、利用料金をより適正化し、利用料の収入を更に伸ばすこと。そして、利用料と事業の運用費をうまく連動させ、サステーナブルな取組につながるようなことをよく考えていただきたいです。また、IoT・AIの時代を踏まえて、シミュレーション、モデリング等にもしっかり取り組んでいただきたい。既に行われておりますが、物質・材料研究機構の情報統合型物質・材料研究拠点等とのコラボレーション等、引き続き、積極的に実施して頂きたいと考えております。
 次に、今後改善が必要な事項です。これからの科学技術の推移を予測して、プラットフォームのあるべき姿を再度戦略立案してほしいと考えます。一部の実施機関や提供技術を差し替えるなどを含む、不断かつ厳しい見直しを実施していただきたい改善の内容に関してもこの場で更に議論していただければと思います。また、機器の共用を一層推進し、外部共用率を更に高める。あるいは、登録機器のラインアップをよく見直していただきたいと考えております。
 報告の最後になりますが、この取組に関しまして、PD、POの精力的な取組は特筆に値すべきものだと、委員会では高く評価したところです。最初に立上げに携わった田中一宜先生、その後の大泊先生、あるいは、今の佐藤勝昭先生、さらに、今日来ておられますけど、POの永野さん、田中さん、これらの皆様なくしては、この施策の今はなかったと思われます。引き続き、これらに対しての尽力をお願いしたいところです。
 以上です。
【三島主査】
 御報告、ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら、御質問等ございましたら、どうぞ。いかがでしょうか。常行先生、どうぞ。
【常行委員】
 ちょっと内容が分からないので質問ですが、引き続き着実に実施すべき事項の中で、「物材機構の情報統合型物質・材料研究拠点と引き続き積極的に連携すること」という項目がございまして、これ、ちょっと意図、意味がよく分からないんですが、この「データを蓄積、活用する」というのは、このナノテクプラットフォームで計測されたデータを蓄積して、それを提供するという、そういう意味ですか。これ、ちょっと説明いただければ。
【中山委員】
 ここで多くのデータがそろいますので、内容非開示のもの等は難しいと思いますけど、相互に使えるデータはしっかり使い、NIMSのMI2Iの拠点に移していったり、そこでまた解析して、それをまたフィードバック頂いたりというような取組を始められないかという意図です。
【常行委員】
 そうすると、データプラットフォームを使っていただいて、計測したもののある部分はもう公開を同意されていて、それをその拠点に蓄積してとか、そういう仕組みがあるという、思ってよろしいですか。
【中山委員】
 同意されたものに関しては、そうなる仕組みを作ろうとしていると思います。
【尾西補佐】
 すみません、事務局の方で少し補足させていただきます。
 こちらの方で書かせていただいています物質・材料研究機構、NIMSの情報統合型物質・材料研究拠点の方とは、各プラットフォーム、代表機関とは既に、どういったデータを提供できるのか、あるいは、どういったことを逆にしないと提供できないのかというところを議論を始めさせていただいてございまして、ここの点に関して、一部の代表機関等のところでまず仮にやってみようというところの話が進んでございまして、まだ具体的にこういうデータを出したとか、そういうわけではないですけれども、引き続き、加速してやっていってほしいということを検討会にて評価いただきまして、それについてしっかりやってくれということをここに書かせていただいた。そういうことです。
【常行委員】
 分かりました。ありがとうございます。知財の問題等がクリアできて、こういうことができるなら、大変すばらしいことだと思います。
【三島主査】
 そうですね。いわゆるビッグデータとか、ああいうようなものにつながっていくのには、質のいい情報をたくさんほしいので、知財とうまく折り合いを付けて、そういう蓄積をしていくというのは意義があることだと思います。
 では、前田委員、どうぞ。
【前田委員】
 非常にいい試みだと思いまして、中間評価のところのいろいろコメントを読ませていただいて、いいなと思うんですが、産業界の利用の比率とか、どれぐらいになっているんですか。あと、中小企業の方が利用される場合というのはどんなイメージなんですか。
【三島主査】
 尾西さんから、どうぞ。
【尾西補佐】
 事務局の方から御回答申し上げます。
 具体的な資料につきましては、細かくて恐縮ですけれども、こちらの方に、「ナノテクノロジープラットフォーム中間評価報告書」と、机上配付資料がございまして、こちらの後ろの方にデータ集というのを付けてございます。この参考資料2のところになりますけれども、その53ページにございます。
 細かい数値は出ておりませんけれども、ここのところで、大体、企業の利用としましては、3割弱ぐらいはあるのではないかと思いますけれども、そのような形で、御活用いただいています。
 ただ、今回ここの御指摘、中間評価の検討会で御指摘いただきますとおり、更なる利用を促すための取組というのをしていただきたいと御評価いただいたところです。
【前田委員】
 産業界の方にどんどん使っていただくのは非常にいいと思いますし、ベンチャーとか中小企業の方が使いやすくなるように、広報というんですか。きっと知らない小さな企業さんとか、たくさんあると思いますので、なるべく上手に広報して、多くの方に使っていただけるようになるといいのかななんて思っています。
 また、コーディネーターの方を置いてやってくださっていることがすごく大事だなと思いまして、ただ、こういうのって事業が終わると、ずっと維持していただくのがすごい大変になりますので、その辺のところが困らなくならないように継続しなきゃいけないのかなというふうに思っています。
【尾西補佐】
 ありがとうございます。
【三島主査】
 ありがとうございました。
 他に。五十嵐委員。
【五十嵐委員】
 ちょっと質問とお願いというか、伺いたいんですが。共同研究を含めた技術支援の提供を拡大する取組というのがあるんですけどね。実は私ども企業として、実際にこれ、オープンに最先端の機器を利用できる、さらには、いろんな技術相談に乗っていただける。すばらしいということで利用したこともあるんですけれども、共同研究とおっしゃられているのは、どういう形態で実際やられているんですか。
 技術支援と共同研究って全く別ですよね。共同研究って、普通は何かの課題をお互いにリソースを投入して、それで、例えば知財ができてきたら、それを共有するとか、あるいは、どちらかにするとか、そういう取決めがあると思うんですけれども、こちらでおっしゃっている共同研究というのはそういうものも含めた、例えばエクスクルーシブな共同研究というのも認められているんですか。
【三島主査】
 これはどちらですか。では、尾西さん。
【尾西補佐】
 また事務局から申し上げます。
共同研究という形で、ナノテクノロジープラットフォームとしてやらせていただいているものに関しましては、各支援する大学の技術支援者の方々、あるいは、実際の大学の先生、共通の先生と企業の方とか、同じように、知恵でありますとか、あるいは、ものでありますとか、そういうものを出し合って一緒にやるという形の共同研究を指していたところでして、それが、ナノテクノロジープラットフォームの中では、成果自体はオープンにしてもいいという形のものになっています。
 ただ、一方で、成果非公開というのもございまして、そこに関しては、この事業の枠組みから外れてしまいますけれども、それに関してもきちんと支援をさせていただくという形で一体として大きく捉えますと、事業としてはやらせていただいているとなっています。
【五十嵐委員】
 ですから、仕組みとしてはちゃんと整備されていて、その本来の目的を達成するための阻害要因にはなってないと考えてよろしいんですか。 【尾西補佐】
 はい。我々としては、そういうふうに考えるところです。
【五十嵐委員】
 企業は、いいものがあったら、どんどん、どんどんそれを取り込もうとして、共同研究とか、そういう提案が来ると思うんですけれどもね。それが例えば大学の先生方の負担にならないかとか、そういうことをちょっと心配して、今、お尋ねさせていただいたんですけどね。
 そういうことでなければ、できるだけオープンにどんどんやっていただいて、ただし、そこから本当にブレークスルーが期待できるものであれば、スピンアウトしてでも、共同研究に進めたらいいと思うんですけれども、是非、制度としてはうまく運用していただきたいなというふうに思います。
【尾西補佐】
 ありがとうございます。そこに関しましては、今回の検討会でも同じように意見が出ておりまして、公開型から、非公開型へ移行というのもきちんとその企業の方への支援という形でできるように検討すべきだということを御意見頂いているところですので、我々としても検討させていただければというふうに考えています。ありがとうございます。
【五十嵐委員】
 ありがとうございます。
【中山委員】
 1点だけ。共同研究の窓口みたいなものになっていまして、計測機器を使いに来て、それで、そこで企業がお試しを行います。そこでいい先生方と知り合って、それをスピンアウトしてやっていくというような事例が結構あり、そのような事例が蓄積していくと、更にこういうところが充実してきて、また、人の求心力にもなるかなと。評価委員会でも議論がなされておりまして、すばらしいと思っております。ただ、そういうことを更にもっと広報していくべきと思います。センター機関を中心に、それを更に加速していくということは大事とは思います。
 ただし、グラフでも見ていただけますように、件数の伸びが止まっているのは、計測機器の数の問題、あるいは、技術支援者の数の問題です。余り多く受け過ぎますと、今度は質が低下していってしまうということもありますし、本部の研究者が自分の研究ができなくなってしまうとか、本来業務の研究がやりにくいとか。ある程度のリソースの問題もございまして、そこが悩みの種ということだとは思います。
 ただしこの事業は、これを使うことによって、確実に税金の消費が抑えられる方向に行くプロジェクトで、特異なものです。自分が研究するわけではなく、外の人が研究費を持ってきて、使うお金を減らしてあげる、税金の投入を減らしてあげる、あるいは、企業の支出も減らしてあげ、さらに質を向上させるような、そういう働きがあるので、非常にいい施策ではないかという評価を頂いているところで、評価委員会でもそういう議論がなされております。
【五十嵐委員】
 そのように思います。
【三島主査】
 栗原先生どうぞ。
【栗原委員】
 もちろん、この制度は、広範な設備を使えるということに研究者にとっては非常にメリットがあるんですけど、それと同時に、私どもが使わせていただいていて、電顕で組織を見るというようなのは、装置を私たちがすっと行って使っても、非常に精度のいい、細かいというか、本当にナノレベルの電顕像を簡単に撮れないわけで、そういう意味では、装置だけじゃなくて、測定技術の提供というところが非常に、例えば計測や解析のところでは大きいと思います。
 それで、あと、一つ質問なんですけれども、合成の提供ってすごく貴重だと思うんですが、やはり余りたくさんはないですね。実施例が……。
【中山委員】
 合成ですね。その通りです。
【栗原委員】
 ということは、これは意外と提供者にも負担が大きいと思うんですけれども、その辺りのどうするとできるようになるのかということも、あるのかと思います。合成を人にやってもらうというのは、私、逆に言うと、すごい負担だろうと思って、簡単には頼めないような気がするんですが、そこの辺り、十分にちゃんとサービスを提供できるような体制にあるのかどうかというようなところは、少し確認されないと、実施、合成のシェアが少ないと、解析・分析・評価は大部分というところは、やはりこの分子・物質合成プラットフォームには、ちょっと状況も確認していかないと、いけないんではないかと思うんですが、いかがですか。
【中山委員】
 おっしゃるとおりで、評価委員会ではかなりの時間をそのような議論に割きました。合成のところは非常に手間がかかり、共同研究に移行するものが多いです。難しいものの合成依頼がほとんどですので、なかなか件数は上がりません。しかし、こういう取組は評価されるところです。自分たちで作れないものをほかの人が作ってくれるのはすごく有り難く、そこが隘路になっていた研究が飛躍的に進む側面もあります。
【栗原委員】
 そう、やってもらう方にとっては大変有り難い活動。
【中山委員】
 聞いたところによると、日本のこの合成のプラットフォームのまねをして、合成の機能をアメリカが自分のところの共用プロジェクトに組み入れたようです。日本の本施策が逆にまねされているような状況もございます。ですが、このプラットフォームに関しましては、やり方も含めてよく検討して頂き、使う方と使ってもらう方がウイン・ウインになるためにどうしたらよいかということを、議論すべきです。分子研が中心機関なので、伝えているところです。
【栗原委員】
 こういう活動をやるんだと、かなり条件をきちっとそろえて、使う方も、提供する方も、いい形で進める必要があるんじゃないかなと思います。 【中山委員】
 あと、技術代行のところですが、自分ができなくてもすぐ使えるというのは非常にメリットである。ただし、全て技術代行だと、今度は多くの研究者の計測や加工する能力が、だんだん低くなってしまいます。だから、技術を代行するところと、来て自分でやるところをうまく混ぜています。特に若い人にはそういう能力を身に付けていただきたいと思います。
【栗原委員】
 自分でやるための支援。
【中山委員】
 そういうバランスが非常に大事かなと。だから、技術代行が求められているから、全部技術代行だという話ではないと思います。我が国全体の科学技術力というものをもう少し引いた目で見たいなというのは強く思うところです。
【三島主査】
 高梨委員どうぞ。
【高梨委員】
 すみません、利用料金のことがちょっと記載がありますけど、財務状況はこれはどういう感じになっていますでしょうか。
 というのは、やっぱりこういうのを継続発展させていくためには、装置のメンテナンスとかアップグレードとかというのはやっぱり定期的に、これ、計画的にやっていかなきゃいけないと思うので、そのための予算確保って絶対重要だと思うんですよね。
 一方で、利用料金、これ、やっぱり適正だと思う料金じゃないと、なかなか使用者にとっては使いにくいというところもあるので、そこら辺のところは問題ないというか、順調なんでしょうかね。
【中山委員】
 問題ないと言ったらうそになりますね。どんどん予算も減っていっておりますし、そういう中で、技術料金、技術料、利用料もなかなか上げられないというところ。ただし、議論の中では、それでもまだまだ利用料が低いのではないかという議論もあって、少し利用料を高めていくような方向かなと思います。また、機関間で利用料金やその使用の考え方の足並みが揃っていないところも見られるので、そういうところも直していくようなことも考えて頂きます。
【高梨委員】
 やっぱり利用者増やすということは、非常に重要な仕事。
【中山委員】
 増やしたいですけど、先ほど言いましたように、そんなに増やせないという実情もあります。
【高梨委員】
 装置の稼働率みたいなのは、もちろんまちまちでしょうけど。
【中山委員】
 それはまちまちです。人気のある機械は100%動いているというような状況ですね。
【三島主査】
 他にありますか。では、湯浅先生、先に。
【湯浅委員】
 技術支援者のキャリアパスの拡大ってありますけど、今、この資料によると、事業費による雇用者が258名いらっしゃるということですが、これ、皆さん、有期雇用の契約職員なんですか。
【中山委員】
 ほとんどが有期雇用だと認識はしております。
【湯浅委員】
 今、栗原先生がおっしゃったように、技術の継承の点が重要ですし、あとは、本当にキャリアパスって難しい問題がありますよね。労働契約法の問題もあります。これまでのところ、皆さん、どういうキャリアパスが典型的な例となっていますか。
【中山委員】
 若い人に関しては、違うプラットフォームに異動する等は多くございます。あと、企業から定年に近い頃に来ていただくというパターンは多いかなと思います。
【湯浅委員】
 なるほど。でも、若い人をどんどん技能を育てていって、無期雇用にするというのはなかなか今の仕組みでは難しいと。
【中山委員】
 無期雇用になった例は幾つかあります。そういうことの促進はずっと続けているところではあります。ただし、各機関とも人件費というのは上限があるところでございまして、そう簡単ではないです。
【三島主査】
 それでは瀬戸山委員。
【瀬戸山委員】
 これはプラットフォームの中間評価なんで、ある程度底上げできたなということじゃないかと思うんですけど、中山さんの意識の中で、これ、プラットフォームの最終報告書ってどうなるイメージがあるのか。
 要するに、どこまで上げればいいのかということがなくて、今上がっていて、何か今、横に一般的な分析をこれだけやれば、ちょっと広がり過ぎて質も下がるんで、そこはやっぱりある程度制限がありますという話があったと思うんですけれども、じゃあ、逆に、共同研究で上の方に、高い方に上げていくのと、横に広げていくの、バランスみたいなものが多分あるんじゃないかと思うんですけれども。
 だから、そう見たときに、これ、1番、こうと言い切れるわけじゃないんだけれども、最後はこれぐらいまで行ったらいいなというイメージがあって、最終報告のところに行くんじゃないのかなと思うんだけど、そういう意識というのはあるんですか。
【中山委員】
 数値的にどのぐらいというところまでは考えていないですが、量としてはある程度頭打ちですので、質をどんどん上げていくということかと思います。
 また、それだけではなくて、例えば計測機器開発のような、新たな取組をしていってほしいと思います。あと5年でこのような取り組みが断絶してしまうのは、知識や経験の継承という点でも非常にまずいので、次の施策も考えるべきです。そのためには、ここで何を備えておかなければいけないか、何を先回りしてやるべきかということを真摯に議論する次の5年になるのかなと思います。
【瀬戸山委員】  そういう意味で、質とおっしゃったんだけど、その質というのは多分、どういう成果なのか、というのは、多分ある程度、目視するんじゃなくて、出たものは形として数字、あるいは、表現として、これだけの成果が出たよというのがやって、これだから続ける意味があるよねというような、多分そういう最後の話になるんじゃないかと思いますけど、そういうのは今の段階から、中間が終わった後から、もう意識してやっておいた方がいいんじゃないのかなというふうに思います。
【中山委員】
 分かります。ありがとうございます。
【三島主査】
 今の御意見は、私が、上委員会である研究計画・評価分科会で報告があると、必ず出る質問、よく出る質問で、成果が上がっている、上がっていると言うけど、つぎ込んだお金と比較したときに、それだけの本当の成果なのかというような質問というのは割に出るんですね。だから、そこはやはり意識をしておいて、きちっと説明ができるようにしておく必要はあると思いますね。
 ほか、いかがでしょうか。
【梅村委員】
 よろしいですか。
【三島主査】
 どうぞ。
【梅村委員】
 梅村です。今のちょっと質という話にも絡むかもしれないんですけど、このデータ集を拝見させていただくと、大学だとか研究機関、どこが使っているというのは大変よく分かるんですけれども、何に使っているかというのがちょっと分かりづらいような気がして。
 例えば、私ども、自動車分野みたいなのもあると思うし、いろんな分野でこのナノテクのこういったデータベースを使っていくと思うんですけど、例えば大学なり、研究機関なり、企業が、その何にというそのマトリックスに少しデータ整理ができると、このデータベースのその強みがどこにあって、弱みがどこにあって、より強化するには、どういったところのデータを強化していかなくちゃいけないかということが見える化されていいんじゃないかなというふうに思うんですが、そういった観点での整理というのは難しいでしょうか。
【尾西補佐】
 事務局の方から。御指摘、ありがとうございます。データ自体は、これ、1件1件全部、利用報告書という簡単なものですけれども、利用者から報告を頂いて、どういったものに使ったかというのを頂いていますので、そこから、どういった用途、最終的な用途までは見えませんけど、どういったものを支援したかということは全部分かりますので、そこから、少し時間は掛かると思いますけれども、用途というのを抽出して、こういったところが多いとか、少ないというのは言えるようになるかと思いますので、そういったことは、御指摘のとおり、今後、各プラットフォームごとに出して、具体的に見える形にしていくと、そういった御指摘にこれはもう応えられるような形のものが出来上がると思いますので、そこを検討させていただきます。
【三島主査】
 いろいろありがとうございます。
 他、よろしいですか。加藤先生どうぞ。
【加藤委員】
 今の御質問にも絡むんですけど、どういうところに使われてきて、どのように役に立ったかと、なかなか個別には出しにくい面もあると思います。要するに、そこをうまく全体的に俯瞰すると、日本のサイエンスの技術全体が見えてくるはずです。
 この場合は、施策的に経費とか人数とかインパクトファクターとかではない、トップ10の論文が出たとかなっていますけど、それだけではなくて、何ていうか、すごく底上げができているとか、目に見えない効果もたくさんあると思うんですね。
 例えばこの物質合成というのは、具体的なことがちょっと分からないですが、この資料によると、シミュレーションをやったりしているようですね。そうしたときに、例えば、今までは合成の研究者は、シミュレーションの研究者と別々にやっている場合が多かったですが、今後少しずつ一緒にやろうという機運が、これにより出てきている。このような機運をこのプラットフォームに持ってきたときに、シミュレーションをプラットフォームでやる人のレベルが上がっていくとか、このような定量しにくい効果も重要と思います。ただ、分子と原子、置いてやっていたのを、現実の材料が分かって、レベルが上がって人材育成になるとかもです。数字も大事ですが、数字以外のところもあると思うんですよね。そういったものをうまく、何かうまくアピールしていけると、よりこのプラットフォームの効果とか意義、より出せるのではないかなと思います。
 ですから、そのようなところも是非検討して、この効果をより多角的に見ていくというのも重要であると思います。
【三島主査】
 よろしいですか。
【尾西補佐】
 すみません。まさに先生が御指摘のとおりのところですね。この評価検討会の場でも、質の評価という観点、今は量的なものをお出ししていますけれども、質の面でやはり見ていく指標というものを開発していく必要もあるんじゃないかという御指摘を頂いていますので、それにつきましては、ここの報告書のところでも言われています。この分厚い報告書の中ではしっかり御指摘いただいているところがありますので、そこに関して、今後、最終評価までに、新たなものを打ち出せるように、各プラットフォームごとに相談させていただいて、どういったものであれば、指標といいますか、データとしては取れるのかというところも相談させていただければというふうに思っています。
 ありがとうございます。
【三島主査】
 いかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。どうぞ。
【中山委員】
 少しだけ時間をください。この施策の推進に尽力してきたPOの永野さんがおられるので、推進に当たっての考えとか、思いとか、聞けないかなと思いますが。 【三島主査】
 では、永野さん、どうぞよろしくお願いします。
【永野PO】
 立って失礼いたします。POをお受けします永野です。御評価、御議論いただきまして、大変ありがとうございます。
 私、この事業を5年前にPOとしてお受けするに当たりまして、前身事業の10年があってこそ、ここまで成長させることができたんだろうと、そういった御尽力いただいたことにまず感謝申し上げたいと思います。
 今後なんですけれども、もうこの5年間は、いわばいわゆる古い制度であったり、古い考え方、慣習、それは各参画法人の中に存在するもの、あるいは、日本全体の科学技術政策に存在するもの、そういった旧弊との闘いの期間であったなというふうに思っております。
 すなわち、いろんな仕組みを新しいものに変えていく、課金制度一つ取っても、給与制度一つ取っても、人の雇用の形態一つ取っても、変えていくというか、その闘いの5年間だったと。基盤はできたなと思っていますと。
 これからなんですけれども、まず、大きく外部環境は変化しているわけです。技術的にも、産業構造的にも、すごいスピードで変化していると。その中にあって、こういったプラットフォームは基盤として何を提供すべきかというのは、やはり我々自身が変化を更に先取りしていく、あるいは、自らが変化をしていく、そういう次の後半期間にしたいなと。
 例えば、最近ですと、バイオ関係の支援依頼とか、MEMS関係の支援依頼というのが非常に伸びているわけですね。もはやナノテクかどうかというような議論ではないわけです。なので、そういった新しい動きに対して、プラットフォームが何を提供することで変化をしていきたいと。
 その中で最も大事なのは、やはり人なんですね。先ほど湯浅先生からも御意見賜りましたけれども、このプラットフォームには258名の雇用技術者がおりますと。彼らが提供する支援サービスこそが価値の源泉だというふうに考えています。この方々があって、これだけの成果をどういうふうに表現するのか。いわゆる提供している価値を表現するということに注力して、更に将来に向けた取組というのをこの事業からまた提案していく。そういうふうにしていきたいと考えております。
 以上です。是非これからもよろしくお願いします。ありがとうございました。
【三島主査】
 大変力強いビジョンと、それから、現状と、それから、先への抱負ということをまとめていただきました。ありがとうございました。
 それでは時間も押しているのであと一件、吉江先生、どうぞ。
【吉江委員】
 すみません。今も、人というようなお話がキーワードとしてすごく重要に出てきたと思うんですけど、こういうような委員会で、普通、人材育成というと、大体、研究者というようなイメージで大分捉えられるような気がするんですけれども、やっぱり今おっしゃったような中には技術者というような方がたくさん含まれていて、その方たちが技術者として幸せにずっと成長できるというような場というのがやや今、この日本の環境の中に少ないような意識というのを非常に私、感じておりまして、というのは、実際に男女共同参画学協会連絡会がやっているアンケートなんかでも、はっきりとそういうような数字が出てきています。
 それから、もう一つ、ポスドクは研究に比較的専念できているんですけど、その次のポストの方たちが研究以外のことに非常に時間を割かれているというような現実もあります。それは、ある意味、そういう技術者の方とか、役割分担がうまくいっていないというようなことが原因にあるのではないかなというようなところが見えてきているような気がしていますので、そういうようなもろもろを考えましても、せっかくプラットフォームで各種のいろんな機械のエキスパートがいっぱいいらっしゃるような機会、場所ができているわけですから、そこのその場にいる技術者の方たちが、ここ、先ほど、有期雇用だというふうにおっしゃっていましたけど、無期でそのまま技術者としてずっと行けるような道というのが何か考えられないのかなというようなことを非常に今思いました。どうか次の5年で何か考えていただけるといいなというふうに思いました。
 ありがとうございます。
【三島主査】
 貴重な御意見だと思います。ありがとうございます。
 これでよろしいですか。
 それでは、いろいろな御意見を頂きました。その中で、特に今、案として出していただいた報告書のここの書き方はまずいというような御意見は特にはなかったと思います。御質問とそれに対する受け答えだったと思いますが、その辺、よろしいですか。事務局と、それから、私で書きぶりのところ、もう一度、今頂いた御意見を受けた段階で、御一任いただければ、なるべくよい中間報告を作っていきたいというふうに思いますが、それでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、3番目の議題に参りたいと思いますが、これはナノテクノロジー・材料科学技術に関する最近の取組ということでございまして、きょうはSociety5.0等の未来社会に対して、本分野がどう貢献できるのかについてという議論を頂きたいために、お二人に10分程度の御発表を頂き、それぞれに質疑応答した後、その残った時間で総合的な議論ができればというふうに思います。
 それでは、まず、萬委員からお願いできますでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
【萬委員】
 NECの萬です。添付、配付してあります資料に従いまして、御説明させていただきます。
 NECは、今、何を目指しているのか。会社全体としては、社会価値を創造するということを掲げております。NECがずっと続けて事業としてやっておりましたICTというものを生かして、社会価値を創造することを会社全体として行うことを目指しております。
 社会価値を創造するやりかたとして、実世界の情報を取ってきまして、サイバーで価値出しをし、また、実世界に戻すと。こういういわゆるCPSと言われているような仕組み、こういったところを中心に、事業を作っていくということです。
 そこに出てくる大きな技術領域としましては、サイバー世界のデータサイエンス、それから、データ分析などをしっかり行うためのプラットフォーム、セキュリティ、コンピューティング、ネットワーキング、からなります。そして、実世界とサイバーをつなぐIoTデバイスと、こういったものが主要な取り組むべき領域ということになります。
 この中でIoTデバイス、センシングとかアクチュエーション、そういったところがナノテクで価値を出せる領域であるというふうに考えています。
 このような考え方でナノテクを位置付けておりますが、要はサイバーと実世界の連携を先端で深化させて価値を生み出すための基盤技術という考えです。ですので、サイバーと実世界との接点を拡張する。例えば見えないものを見るとか、触れられないところに触れるとか、そういったようなものでありまして、主にターゲットは、やはりこれまで余り触れられてこなかった生体とか環境、あるいは、内部情報ですね。そういうような技術として、期待しています。
 それから、もう一つナノテクの価値は、実世界に処理プラットフォームが浸透していく時代になるだろうということで、AIとかIoTが、特にIoTですね、通信とコンピューティングを担う基盤技術になり得るだろうと。例えば、実世界での情報をリアルタイム処理して、クラウドなどに送るようなITとかネットワークのデバイス技術というところにつながるのではないかと位置付けています。
 それから、IoTの普遍化に向けた環境技術と呼んでいますが、IoTの機器というのは広く多様に分散するということが想定されますので、その動作環境を構築できるような技術ということで、環境エネルギーの活用技術、あるいは、ICTの機器自体と環境との調和技術と、こういったところもナノテクとして価値が出せるところであると我々は考えております。
 現在取り組んでいる領域をざっと見たのがこのスライドですが、ICTの対象を環境や人間に広げるということを目指したものです。領域的には、環境フロンティアの領域、あるいは、人間のフロンティアの領域、そして、ICTのプラットフォームを支える領域ということで、これまでICTというのは比較的マクロなスケールを対象にしていましたが、より人間の細かなところへ入り込む、あるいは、スケールは大きいですけれども、非常に細やかに情報を環境から取ってくるというところにナノテクは行き得るだろうというような考え方で開発を進めているわけです。
 NECは中長期にわたる将来技術にも取り組んでいます。中長期といいましても会社ですので、それほど大長期ではないですが、2030年ぐらいまでを見通した上で、ある程度フォワードキャスティング的な技術ロードマップと、将来社会と技術のあるべき姿、解くべき課題から、バックキャスティング的に解くべき課題を出していくというようなことを両立させて、研究開発を行っています。
 ナノテクに関わる部分では、例えばセンシング領域が挙げられますが、そこでどういうことを考えているかを示したものがこのスライドです。フォワードキャスティング的には、高性能化は進んでいくでしょう。つまり、アンビエント化とかハイスペック化と呼んでいますが、あまねくセンサがあちこちに出てくる時代、あるいは、個々のセンサが非常に高精度になっていく流れはこれからも続くであろうということで、そういったところを支えるための幾つか強みを作るためのキーテクノロジーをやるということと、もう少しバックキャスティング的に見たときに、そういうふうにあまねくセンサがあるというよりは、デバイスが単体で、状況に応じて柔軟に判断しながら狙ったデータを探索的に取りに行くというようなやり方へ非連続な進化を遂げるのではないかというような仮説を置いて活動を行っています。
 このスライドから、個別の技術ですので、後で資料をお読みいただければと思いますが、例えば赤外線を量子デバイスにより、見たい情報だけを選択して高感度に取得する技術開発をおこなっています。NECに人工衛星の事業がありますので、そういった事業に直接貢献できつつ、さらに取れなかった情報価値を生み出すことを目指した研究です。
 それから、先ほどのアンビエント化というところでは、あまねくところ、あまねく場所にセンサがあり、しかも、低コストである。あまねく場所を考えると大体平らなところばかりではありませんで、そういうところにも置けると、そういったようなセンサができますというフレキシブル大面積エレクトロニクスの研究をしております。こういったところに、キーマテリアルとしてカーボンナノチューブを入れるというような形で競争優位を作ることも重要だと考えております。
 それから、これはコンピューティングですが、ナノブリッジという非常に小さな原子スイッチです。原子スイッチを使って、FPGAを高速、低電力、回路面積の縮小というところを狙う研究です。エッジでも、クラウドでも使えますが、よりエッジで使いやすくなるようなデバイス開発もやっております。
 NECでは、素材そのものを研究するという活動は余り多くありませんが、様々な経緯でやっているものもあります。基本的には、保有技術が強くなればパートナリングでより発展的に進めていくということと、新しい機能を先行的に取得することで、新たな強みを材料から作っていくということを目指しております。代表的なものとして、ナノカーボン材料があげられますが、カーボンナノチューブ、そして、カーボンナノホーン、そして、最近はカーボンナノブラシの発見というような成果が出ております。
 このように社会価値創出の貢献を目指すナノテクを目指しているわけですが、紹介してきましたようにナノテク単体だけでは多彩な社会価値創出は十分ではなく情報処理も含めた複合技術の組合せというのは必須になると考えます。
 それから、これはほとんどの会社が直面していますが、ビジネスモデルが事業優位性の鍵となる中で、基盤技術のナノテクをどう考えるのかというのが非常に私の悩みのところでございまして、ナノテクは、やはりどうしても技術価値の魅力が主であり、社会価値とされる実際の事業性に関係する価値とのギャップというのはどうしてもある、平たく言えば、距離が割と遠いというところがある。ここをどう結び付けるかというところが非常に課題であると思っています。
 それから、複数技術を組み合わせなければいけないという場合、時間軸をうまく整合させるということ、ここも非常に難しくて重要なところです。ナノテク系は研究開発期間がどうしても他の技術等に比べて長くなる傾向があり、ここをタイミングよく結び付けていくというところが課題の一つになるだろうと思います。
 テーマ選択におきましても、先ほど、バックキャスティング型アプローチを紹介いたしましたが、バックキャスティング型は大きな課題や方向性を提示するには有効ですが、ここから具体的なテーマへの落とし込みにおいてユニークで競争力のあるものが出せるのかどうかというところが難しい。どうしても、競争の激しい当たり前のテーマになりやすい傾向があると思います。一方、保有技術から何ができるかということをまたボトムアップ的に考えると、今度は、社会課題を本質的に解いているのかというようなところとのずれが生じてくるケースもございまして難しいところです。
 テーマの推進に関しては、ビジネスモデルも絡んできますので、非常に様々な知見を取り込まなきゃいけない。また、時間軸をどう設定するのかが重要です。
 それから、社会価値を創造する場合は、その適用先の知識というのは必須です。ナノテクの知識だけ、あるいは、AIの知識だけということでできるものは限られている。こういった知見をいつどのようにして取り組んでくるのかということが実質的には非常に課題になってくると思います。  次のスライドに、一つの事例として熱電発電をあげます。社会課題、これはエネルギー問題、特に未利用熱をどう生かせるかというところにおいています。その解決手段としての技術の課題があり、これを、両方同時に捉えて、研究すべきポイントを作っていきました。実感としてこのような要素を複合的に考えていくということが非常に重要になってきていると思います。この場合、結果的に新しい系によって課題を解決するしかないというふうに考えたわけです。そこで、スピントロニクスを使った新しい原理での熱電発電の研究に着手しております。もちろん基礎研究ですが、これによって、少なくとも効率においては大きなブレークスルーが受ける可能性があるとなっています。
 この研究活動には価値の増幅というねらいもあります。この技術の場合、従来技術と異なる使い方が可能で、全くこれまで考えられてこなかった用途開拓にもつながると考えております。
 最後に、今日御紹介いたしました個別技術はオープンイノベーションを活用しています。私ども単体だけで進めているのはほとんどございません。やはり技術の部分で強みを持つ大学などとの連携というのは今後必須になってくると思われます。また、ナノテクの部分はある程度顔の分かった研究者の皆様と連携して共同研究をやれますが、適用先の技術との連携をいち早く先行的に行うことも行っています。
 NECの目指す社会価値創造、ナノテクの研究の考え方、それから、社会価値創出に貢献するナノテクを目指した事例紹介というものをさせていただきました。
 以上です。
【三島主査】
 萬先生、どうもありがとうございました。今、我々がこれからいろいろと課題を詰めていかなきゃいけないことをよくまさにここの課題かなというふうに思いますけれども、大変ありがとうございました。
 では、御質問、御意見ございましたら、どうぞ。
【瀬戸山委員】
 今、NECさんの立場で話されましたけど、これって基本的に、日本でこういうふうなことをやってもらって、その枠の中でNECがやっていくというような、やっぱりそういう戦略の話じゃないかと僕は思っているんですけれども、それは会社の中でそういう議論がそもそもあるのか、何か聞いていると、やっぱり結構会社の中で頑張るんだけれども、どこまで一般性が取れるかということで、ちょっと僕も聞いていて、一応疑問があるんですよ。そこをどういうふうに思われているのかなということですよね。
【萬委員】  今日は、NECの技術の紹介をしてくださいというお題でしたので、NECがこうやっていますという部分が多い話でしたが、基本的には考え方は同じで、やはり問われている価値とか課題というのは、国という場であっても似ていると思います。ですので、こういう場の議論も社内でもやっている議論に近いものになるだろうと思います。
【瀬戸山委員】  そうですよね。だから、私もそうなんですけれども、こういうふうなことを国にやってほしいよねというのが多分民間の方からいくらも言える気がしていて、そういうのはやっぱりこういう場とかを含めて、やっぱり戦略の方に、国としての戦略みたいなものにはね返していくようなことをやっぱり考えていただきたいなというふうに思うんです。そっちを向いて言いますけど。
【萬委員】
 私もここのメンバーですので、そういう議論をしっかりさせていただきたいと考えております。
【三島主査】
 そうですね。ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。どうぞ。
【加藤委員】
 私は化学とか材料の立場の研究者なんですけど、例えばNECさんのような電気メーカーさんとなかなかうまく接点がないという状況です。このような状況は一般的で日本全体でもロスしていると思いますね。
 やっぱりやる気はあるんだけど、どこから取り次いでいいか分からない。こういう場で一緒にさせていただいているので、さっき瀬戸山委員からもありましたように、どうやったら、こういったふだん、1年後のもうけを考えると一緒にできないんですけど、長期的に本質的に材料とNECさんのようなシステムとかがお得意なところで、どうやったらうまくやれるかという仕組みとか、その場とかどう作るかというのを是非考えたいなと思うんですけど。
【萬委員】
 まさにそのとおりでございまして、まさに1社である程度やっていた時代もありましたが、もうそういう時代でもございません。
 やはり材料には技術的な優位性を確保できるポテンシャルがあるものだと思います。強い技術を持っていれば、上のレイヤでも価値が出せると思っていまして、どういうエコシステムをつくれば有効に機能させるのかというのが私も課題として持っておりますので、是非御議論させていただければと思います。
【加藤委員】
 ただぼんやり集まっても進みにくいですね。
【萬委員】
 そうですね。
【加藤委員】
 だから、どうやったらいいかというのをよく皆で考える必要があると思っています。
【萬委員】
 ナノテクの業界団体でNBCIというのがありますが、ああいうところは材料メーカーさんもかなり入っていまして、いわゆる普通の同じ業界の人だけではなくて、垂直統合型の業界が集まって、いい議論ができていると思います。これもアカデミアにまで広げていくというのは重要なことだと思っています。
【三島主査】
 他に御意見ありますでしょうか。どうぞ。
【中山委員】
 今言われた中で、10ページでナノブリッジの話があります。これは10年ほど前に、物質・材料研究機構の青野先生が、文科省のナノ材分野のファンディングで培われた技術で、やっと日の目を見たなと思っています。こういう技術、大事にしたいところですが、また次の新しい研究開発に関して、さらに、国と一緒にやっていくようなものをNECさんではお考えでしょうか。
【萬委員】  まず、これは確かに物材機構さんの基礎技術が基になっておりまして、やっとここまで来た。やっぱり時間掛かるんだなというのが本当に実感です。ただ、ここまで来たということ自体が相当希有な事例かと思います。これだというのが最初から答えのようにあるわけではないので、やはり幾つかトライをさせていただいています。今日御紹介し切れない、そういう初期的な技術という種まきはやっておりまして、そこでも大学や国研さんの力をお借りしているケースがあります。
  【三島主査】
 ありがとうございます。  他に御意見ありますか。常行先生、どうぞ。
【常行委員】
 今日伺ったお話では、IoTとかデータ科学というのは、そのために必要なデバイスの技術を開発するという、そういう内容だったと思うんですけど、逆に、材料とかデバイスを開発するために、NECさんがお持ちのデータサイエンスの技術でありますとか、そういうものを活用する、そういうところで国全体の材料開発とかデバイス開発に貢献できるような、そういうお考えはいかがでしょうか。
【萬委員】
 ご紹介したスピンゼーべックデバイスは多元系になっております。この材料開発にはマテリアルズ・インフォマティクスを活用して一定の効果が出ています。NECでは、異種混合学習とか、AI系のデータ処理技術がたくさんありますので、そういったものを活用して、こういう材料の探索に役立てるという研究はやっております。
【三島主査】
 このスピンゼーべック効果だと、性能指数ってどのぐらいまで行くんですか。
【萬委員】
 従来技術のもつ限界よりは上にあるはずだと思っております。現状、私どものラボでは、従来技術並みの効率は実現できるだろうというレベルに来ており、そこから更にどれだけ伸びるかということと、もう一段の価値であります使い方を変わるというところを伸ばしていく方針です。
【三島主査】
 ありがとうございます。
 他によろしいでしょうか。湯浅先生、どうそ。
【湯浅委員】
 すみません、今、カーボンナノチューブの例を紹介していただきましたが、90年代にNEC基礎研の飯島さんが始められた分野で、その後、飯島さんが産総研に移られて発展させて、後継者が日本ゼオンと一緒に量産化に成功して、やっと事業化したと。非常に長い時間が掛かって成功した例なんですけど、90年代のNEC基礎研がいかにすばらしいことをやっていたかという例であるとともに、いかにこのナノテクを実用化に結び付けるのが難しいかを示す例でもあると思うんですが、これ、なかなかNEC社内で事業化まで持っていくのはやはり難しかったということですか。
【萬委員】
 なかなか簡単には申し上げにくいことです。
【湯浅委員】
 すみません。
【萬委員】
 ほぼおっしゃられるとおりですが、やはり時間掛かることは間違いない。だからこそ、時間軸をうまく合わせて、実用・事業に意味があるのだというストーリーを作っておかないと、なかなか長期にわたってやっていくのが難しくなっていると思います。
 事業のあり方も、結果的には、日本ゼオンさんとか、そういうところが実を結ばせています。そうすると、じゃあ、そういうところから良いものを買ってきて、パートナリングで、我々の会社の事業の方向性に合ったところへ整合させていくのかなと。
 なので、研究開発をよく考えてやるということが、何でもかんでも事業になる時代ではないので、非常に重要になっていると思っています。
【三島主査】
 それでは、まだあるかもしれませんが、時間が参りましたので、まずは萬先生、どうもありがとうございました。
【萬委員】
 ありがとうございました。
【三島主査】
 それでは、続いて、加藤委員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 資料としては机上配付資料でよろしいんですね。
【加藤委員】
 東京大学の加藤です。本日は、Society5.0等の未来の社会へ向けて話してほしいということで、まず、自分の研究を紹介して、それから、今後どのようにするべきかを話してほしいということでお話しさせていただきます。題名としては、私は分子を扱ってきましたので、「分子を基盤とする材料とナノテクノロジーの展開」と、「-Society5.0に向けて-」ということで紹介さていただきます。
 私のこれまでの研究ですが、一言で言うと、機能分子化学というものでありまして、皆さんの体も分子からできておりますが、分子を組織化して、新しい材料・デバイスを創製する研究を先導してきています。キーワードとしましては、分子技術・超空間材料・融合マテリアル・自己組織化というようなもので、扱っている材料は、高分子・液晶でありますとか、有機材料といったものであります。 例えば、ここに膜が示されていますが、分子を組織化して、海水を真水に変える、あるいは、ウイルスを完全に除去する材料などを作っています。、それから、機械的刺激により色が変わるセンシング材料、これは紫外線を当てる部分が黄色く光っていますけど、機械的刺激を当てますと、青く変わるというような刺激応答材料も作っております。 今後このような機能材料で何を目指せばいいかというと、軽い、薄いとか軽いとか小さいとか選択的とか高効率とか、そういったことが、個々が輝くSociety5.0ということになると、必要になってくると思います。
 例えば、今、企業および都市工学の先生と一緒に共同でやっていて、そこの瀬戸山委員のJSTのプロジェクトの中でやらせていただいているものですが、安全・安心のための分離ということで、例えば水処理膜、海水淡水化膜、有害物完全除去膜を開発する研究をやっています。有害なウイルスというのは、大体20から120ナノメートルぐらいの大きさなんですけど、今現在、完全に除去する膜が存在しません。すなわち、きっちり膜を作ったつもりでも、欠陥ができていて、必ずそこをウイルスはすり抜けていくんですね。それを止めるために完全に欠陥のないウイルス完全除去膜というものを作ることに成功しています。
 また、先ほどお見せしましたようなセンシング材料があります。例えば機械的刺激を発光色の変化に変える材料でありますとか、デバイス高性能化のための材料、輸送材料、軽くて安全な薄い電池を志向するイオン伝導材料を構築する研究をやっております。
 また、例えば自然界に目を移して、自然界に規範を取りますと、例えばロブスターとか、そういった甲殻類の甲殻、これらは、見方によると軽くて強靭な生分解性材料、さらに、作るときも常温常圧という省エネルギープロセスで作れるような環境材料と言えると思うんですけど、そういったものも作っております。
こういった自分自身の研究に加えてもう一つ、JSTのさきがけの「分子技術と機能創出」の研究総括をやらせていただいています。そこで四十数名の若手の研究者を鍛えています。これは分子技術というのは文科省の戦略目標に数年前立ち上がりまして始まった内容です。分子技術のコンセプトというのは、物理や科学や生物や数学、そういったものをまとめて分子科学というものができてきて分子の基礎科学をやってきたが、これからは社会でどう使われるかを考えて、そのためにどのように学問を組み合わせていくかが重要である。そのために分子技術という概念がつくられました。すなわち、狙いを定めて、そのための材料を設計していくと、構造構築をしていくというのが分子技術であると。コンセプトに従って、こういった分野の研究を若い人と一緒に行ってきております。
 これは、分子技術の「さきがけ」を立ち上げたときの説明に使った図です。ここに横に赤と四角の枠が並んでいますけど、これは材料開発の私の考えております流れを示してあります。まず、分子を設計して、それを変換、合成する。それから、集合させる。さらに、機能発現をさせる。最終的に、材料化してデバイス化していくと。
 この分子技術で、これまで多くの研究者は、どこか一つをやっていたわけですね。例えば私は合成が得意ですとか、それから、構造を調べるのが得意ですとか。そうではなくて、分子技術というのは、最終のデバイス化・プロセス化を意識して、そこで自分がどこか得意なところは必要ですが、全体の流れを意識して研究してくださいということを言って研究を進めていきます。分子からデバイスまで。
 そのときに、もちろんこの流れが中心ですが、ここに横断的研究というのがありまして、計測ですとか、解析とかシミュレーション、こういったものをこの流れの中で取り入れてやっていて、そういう相対として、分子技術というふうに理解して研究を進めていきました。
 これがその分子技術の基本ですが、今後どうしたらいいかということがありまして、公益社団法人日本工学アカデミーの材料プロジェクトのまとめ役として材料の今後を考えるということになりまして、もう少しウイングを広げて、今後について、今考えているところです。
 このデバイス化とプロセス化だけだと、こんなデバイスができましたで終わってしまうんですね。ただ、ここで社会実装というにもつなぎ、最後にエンドユーザーがいるわけですね。そこを考えて、どう使うか、どうやって作るか、どうやって加工していくかということがあるわけです。
 企業の方とお話ししても、デバイスやプロセス、デバイス化をきっちりやっても、実用化することはなかなかないと。そこには時代の要請が必要ですし、いろいろなコストとか、ぴったりくることはなかなかないわけです。しかし、この図の左の分子の設計・材料化から上げていったものと、実際の社会の要求、下がってきたものが、この矢印がぴったり一致したところが実用化されていくわけです。なかなか難しいですが、常にこの流れを意識して、今ここまで来たのを、社会実装側の枠まで広げていく進め方を考えています。
 それから、もう一つ、分子・原子の場合には、資源のところから最後の社会実装まで、一つの流れで考えていくのが重要です。それから、ここのところでデバイスができたからといって、必ず社会実装されるわけではなくて、どのような良いデバイスも、時代・社会の要請というものがあるということを理解しています。
 我が国は材料・デバイス化のところが非常に強いんですね。ですから、ここで間口を広げて待てると。これ、何が落ちてくるか分からないけど、必ず受け止められるというような、すなわち、我々はこの応用を志向した基礎で待ち構えて、こちらに広げていくというふうに考える。ですから、新しい学問の創出・産業化・社会への貢献のため、今、私は、分子技術のウイングを資源側と社会側に広げていくということを考えています。  今後、Society5.0といたしまして、今後我々がどのような社会が望ましいかというときのその超スマート社会の内容を少し拝見したときに、必要なものやサービスを必要な人に必要なときに必要なだけ提供するのが重要であるということが書いてありますが、それを議論するためのプラットフォームを構築するのが必要であると思います。
 材料分野と材料ユーザーの交流ですね。やはり材料から見た他産業ですとか、国民との対話とか、日本は小さいですが、情報収集がまだまだ足りてないと考えます。例えば我々の材料化学の分野ですと、自動車産業、それから、電器産業に長く材料を提供してきているわけですけど、そのようなものに加えて、農業・林業・畜産業・漁業ですとか、資源産業・鉱業、プロセス・建設業、そういった分野とも対話を深めてやっていくべきだというふうに考えています。
 それから、もう一つは、これまでの「さきがけ」の経験からも、今の話のような資源・エネルギーから材料・デバイス・社会実装までを見据える、例えば材料、ネットワーク型でバーチャル型の「材料エンジニアリングエキスパート研究所」みたいなものを産学官が共同で作ることが必要と考えています。これは必要に応じて我が国の英知を集めて、それを集める、集めて実際に研究の実質へ行くわけですけど、人も育てるというような場を作れたらいいのではないかと。
 これからの少子高齢化社会では、1人当たり二、三倍の生産性も必要になってくると思いますので、それぞれがせっかく持っている能力とか知恵を、ほかの分野との交流によって生かすような場を作れればいいなと思います。  それから、やはり材料全般を見通せるエキスパート人材。専門はいるんですけど、やっぱりウイングを広げた目を持つということが必要で、専門を持ちつつ、材料全体を見通せる人材の育成。
 それから、もう一つは、もう見ていくと、非常に我が国が強い分野がいろいろあるんですけど、部分的には継承が困難になっていく学問分野ですとか技術もありますので、それも対象にしてやっていくというようなものができればなというふうに考えて、工学アカデミーで議論しているところです。
 ということで、分子を基盤とした材料としては、こういった全体的な流れの中で、どうやって社会と基礎をつなぐかが課題です。ここにありますけど、社会の要求と材料の特徴がずれることは往々にしてあるんですけど、基盤をしっかりしておけば、広くスイートスポットを大きくしておけば、当たるはずですし、そういった面で、ここの基盤を強くしつつ、ウイングを広げていくというのが重要じゃないかというふうに考えております。
 以上です。
【三島主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見ございましたら、どうぞ。馬場先生、どうぞ。
【馬場委員】
 加藤先生御自身の大変すばらしいお仕事から、それから、今後の分子技術といいますか、材料の発展の方向性まで、分かりやすく御説明いただきました。ありがとうございます。
 先生のお仕事や、先ほどのNECの方のカーボンナノチューブとか量子ドットのような、今までのナノ材料、あるいは、分子技術というのは日本の産業の強いところに主に使われてきているわけですけど、例えば、私がやっているようなバイオとか医療の分野ですと、それがまだ完全には使い切れてないんじゃないかといつも思うんです。
 これだけすばらしい技術、材料があるものを、先生が、最後の方にも言われましたように、いろんな異分野に展開できれば、同じ材料が展開できれば、プロセスも多分そのまま使えるし、それから、これまでのノウハウも使えるので、マーケットも広がっていいんじゃないのかなと勝手に思っているんですけれども。
 そのときに、先生のこの図の中で、多分、赤いところで書かれた左側は基盤で共通だと思うんですが、資源から集合体ぐらいまでのところ、そこから先が出口によって少し付与しないといけない機能が変わるとか、あるいは、医療の分野ですと、安全性の問題がどうかとか、あるいは、国際標準化とか、そういうことも入ってくると思うんですけれども、そういうところは、先生の構想だと、どういうふうにお考えなんでしょうか。
【加藤委員】
 この図の流れは、横に一直線に書いているんですが、ここが赤から青に変わっていますね。ここの相転移のところを、赤から青に変えるところを何の機能を出すかというのは、おっしゃるとおり、ここが重要で、多分ここに矢印が横から入って、ここが今、例えば馬場先生のご指摘の部分だと、ここにバイオとあって、横から矢印が入って、赤から青に変わるところを、その他分野との対話という形で、すなわち、基礎学問の他の分野との交わりによって、どうやってこの赤から青に変えるかが課題です。ご指摘ありがとうございます。
 そういったこともここに入っておりますが、十分に書けておりませんね。この図を発展させるときにはちょっと考えたいと思います。おっしゃるとおり、この基礎のところの中で、どう展開していく方向へ出すかというのも非常に重要だと思います。
【三島主査】
 他にございませんでしょうか。瀬戸山さん。
【瀬戸山委員】
 今のこの絵でいいんですけどね。先生の言い方で言うと、スイートスポットを大きく取ってという言い方をされるんだけれども、多分、もうそれは違っていると思っていて、要するに、どれだけスイートスポットを狭くして、要するに、ほかとの違いがなきゃいけないんです。だから、例えば合成だったら、これってやっぱり韓国でも中国でもまねするよねといったところは、やっぱりそこはやる、任せておけばよくて、だけど、ここは絶対通れないというのは何なのかということを見極めていって、そこの周辺に、どこが、だから、一番言いたいのは、だから、何が一番差異化できるか、コアになるかという部分をずっとながめていって、アサインするということが多分一番重要じゃないのかなと思うんですね。
【加藤委員】
 そうですね。私がスイートスポットを広げるという意味は、俺はこの技術は世界で一番すごいんだといっても、すごいだけですねみたいなことにならないように、視野を広げておくということです。
 視野を広げて基盤をきっちり持って視野を広げておいて、今おっしゃったようなぱっと気付いたところにばっと集中して、絶対ここ、負けないというものを作っていくといいますか、スイートスポットで薄く広くじゃいけないんじゃないかというのはもっともなんですけど、ただ、情報は広く持って、日本の強いところは、例えばここに集中しようという絞り込むときに、やっぱり基盤が広いので、幅広くいる人材を対応させて、そこに集中して行くという意味でありまして、言いたいことは一緒じゃないかと思います。
【瀬戸山委員】
 一緒なんです。だから、アカデミアの先生方が言われるときには、サイエンス、あるいは、テクノロジーでここは強いという言い方をされていて、僕らとかが言うときには、これ、逆にビジネスモデルがどうかということなんですね。ところが、それというのは、一般的にはこの文科省さん的なこういうサイエンスを語るときには、なかなか語れないんですよ。
 だから、そこのところをどういうふうに織り込むかというふうなところが多分視点としてなければいけないということじゃないのかなと思うんです。
【加藤委員】
 そうですね。ですから、今のお話で、ちょっとさっきの矢印がこうくっつく、矢印がこうきっちり合うところに絞り込む、どう絞り込むかというのをうまくできればなというふうに思っています。
【三島主査】
 栗原先生どうぞ。
【栗原委員】
 今の点、同じことなんですけど、多分、矢印を両側から究極まで伸ばして同じ点に持っていこうとしないで、さっきおっしゃった横から入れるというのを、ふわっとそこで一緒にやるというのが意外と大事なんじゃないかと思っていまして、余りこの特化したものを、すごくいいものでも、社会に出そうとすると、いわゆるものすごくギャップが大きいと。
 そうすると、もうちょっと基礎的なところでニーズとシーズを融合しつつ作っていくというような視点が、そういう場を作るのは意外と大事なんじゃないかと思います。
【加藤委員】
 おっしゃるとおりだと思います。この絵は非常に一次元の絵にしておりますので、ちょっと極端ですが、これをより整理・進化させていきたいと考えています。それから、この図はJSTの研究開発略センターがお作りになった図なんですけど、この場合は一直線になっておりませんで、いろんな分野に広がっていて、ここで機能発現するときに、いろんな分野の要求を取り入れていく形になっていますので、こういった絵と、こういったようなことも大事かと思っています。
 ですから、基礎のところでどんな分野と交わって、どういう方向に出ていくかと。おっしゃるとおりだと思います。
【三島主査】
 他にございますか。
 それでは、今日、二つお話を頂きましたけど、二つともちょうどこれから我々が考えていかなきゃいけないものに対して、かなりいろいろなヒントを頂けたかなと思います。萬先生、加藤先生、御講演いただきまして、本当にありがとうございました。
 それでは、時間になりましたので、事務局から、最後に事務連絡をお願いして終わりにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【丹羽専門職】
 次回の第3回ナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、御連絡をさせていただいておりますとおり、11月28日、火曜日の13時からを候補日とさせていただいております。正式な御連絡等、改めてさせていただきます。
 本日の議事録につきましては、事務局で案を作成しまして、先生方にお諮りして主査に確認いただいた後、ホームページへ公開をいたします。  また、資料についても、机上配付資料を除いて、今回配付したものをホームページに掲載させていただきます。
 今日の配付資料については、封筒にお名前を書いて机上に置いておいていただければ、後ほど郵送いたしますので、よろしくお願いいたします。  以上です。
【三島主査】
 それでは、本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会、以上です。ありがとうございました。


お問合せ先

研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

(研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付)

-- 登録:平成29年11月 --