第7期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成27年1月15日(木曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. ナノテクノロジー・材料科学技術に係る平成27年度予算案について
  2. 研究開発課題の中間・事後評価について
  3. その他

4.議事録

【川合主査】
  それでは、ただいまより、第10回ナノテクノロジー・材料科学技術委員会を開催いたします。
  本日は御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。
  本日が第7期の最後の委員会になりますので、よろしくお願いします。
  では、事務局より、委員の出欠と配付資料の確認をお願いします。

【長野参事官】
  はい。ありがとうございます。本日の御欠席は、伊丹委員、片岡委員、小池委員、榊委員、橋本委員、福島委員、松下委員、三島委員ということで承っております。
  配付資料につきましては、お手元にございますので、ごらんになっていただければと思います。本日の議題は大きく分けて2つございまして、1つ目が、昨日閣議決定されました平成27年度の政府予算案について、もう一つが、今般、当委員会で御評価いただきます研究開発課題の中間又は事後評価が4件ございます。そちらの資料になります。
  資料1の方が予算の資料で、2-1が各施策の内容、それから、資料2-2以降、個別の事業について、事業の概要紙、パワーポイント1枚と、その後に評価結果の冊子がそれぞれついているという形になっています。それが、資料2-5-1、2までございまして、最後に参考資料としてお配りしていますのが、昨年の夏頃からるる先生方にこの委員会で御議論いただきました結果を、中間まとめという形で、今期の議論の結果をまとめたもので、昨年12月に総合政策特別委員会の方にこちらの資料を提出しています。
  以上です。何か過不足等ありましたらお知らせください。

【川合主査】
  それでは、議事の1に入ります。
  先日の1月14日に政府予算案が閣議決定されましたので、ナノテクノロジー・材料科学技術に関わる文部科学省の平成27年度の予算案について、事務局より御説明をお願いします。

【長野参事官】
  それでは、先ほど申し上げました資料1です。こちらの最初の1枚紙が、ナノテクノロジー・材料関係の分野に係る主なプロジェクト、プログラムの一覧です。これは概算要求の際にもごらんになっていただけたかと思いますけれども、それに対しての政府予算案の内容ということになります。
  簡単にかいつまんで申し上げますと、まず、左の上の方から、内局の事業であります元素戦略プロジェクト、これは昨年度に比べて、20.5億ということで3,000万の増ということになっています。それから、もう一つが、右の上にありますナノテクノロジープラットフォーム、これも内局事業ですけれども、これは前年同ということで17.1億円となっています。それから、左の真ん中になりますけど、これは、東北発の素材技術先導プロジェクトということで、復興特会の関係の事業でして、復興特会の様々な財政事情の関係で、平成27年度の予算につきましては減ということで、8.3億円となっています。それから、もう一つが、左の下にありますナノテクノロジーを活用した環境技術開発、これはTIA-nanoの関連のプロジェクトの拠点事業ですけれども、これも2,000万円の減ということで、3.7億円となっています。
  ここまでが内局の事業でして、それから、物質・材料研究の機関としての物質・材料研究機構の運営費交付金等につきましては、これも減で119億円ということで、予算案となっています。
  以上が、私どもで直接所管しております事業、関係機関の関係経費です。
  その後ろにつきましては、その中でも主なプログラムにつきましての概要ということで、内容面につきましては、これまでも当委員会の方で御相談、御報告、御議論いただいた内容などを踏まえたものとなっております。データ駆動型の材料研究開発の推進は、基本的には物質・材料研究機構の運営費交付金の中でやっていくもの、それから、外部のいろんな資金等の活用も検討するものとなっています。それから、元素戦略プロジェクトは、中身的には引き続きのものとなっています。最後にナノテクノロジープラットフォームにつきましても、内容的には引き続きのものになっております。さらに、まさに今回、中間評価の対象となっていますので、中間評価の結果も踏まえながら、また来年度の施策に反映していくと、そういったことになっています。
  以上です。

【川合主査】
  どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問や御意見ございましたらお願いします。いかがでしょうか、予算。特にございませんか。はい、どうぞ。

【常行委員】
  常行です。データ駆動型の材料研究開発の推進ということで、これは、ここでもたびたび議論したもので、私としてはかなり重要な新しい試みだと思っています。幸い少し予算が付きましたが、新しい分野を立ち上げるにしてはちょっと不足ではないかと思っていることと、それから、この資料だけ見ると非常にローカルな、NIMSに閉じた印象がなくもないので、書かれてはいますけれども、是非これは全国的なネットワークを作って、たくさんの新しい研究者が参加できるような枠組みを作っていただきたいと、よろしくお願いいたします。

【長野参事官】
  ありがとうございます。ここの説明の資料、若干、物材機構の運営費交付金の中での説明のところに終始した感があるかもしれません。先生が御指摘のとおり、データ駆動型の研究開発、まさに当委員会でも御議論いただきましたように、オールジャパンで、いろんな大学、研究機関等、又は産業界も含めて、どういった連携体制で我が国としてやっていくかといったことを、仕組み作りも含めて検討をさらに進めて、具体的な策を進めていかなければならないと私どもも考えています。そういった意味で、是非この委員会の先生方にも御協力、御支援いただければと思っています。

【川合主査】
  ほかにいかがでしょうか。
  あと、この委員会でナノバイオの領域も少し議論しましたが、これは、例えば戦略目標とかCRESTに通じる、ちょっとここと違うジャンルで進める可能性はあるんですか。

【長野参事官】
  当委員会で御議論いただきました省エネルギーですとかナノバイオですとか、そういった、またさらに新たな分野といったことで御議論があったかと思います。それにつきましては、今の概算要求しているそのものの内容には、また政府予算案のところには、主なものに入っていないのですが、おっしゃいますように、いろんな、私どもが所管していないような事業の活用も含めて、私どもなりに活用策も含めて検討してまいりたいと思います。先生にも御指導いただければと思います。

【川合主査】
  ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。
  はい、どうもありがとうございます。
  それでは、議事の2に入ります。
  今年度の第1回の本委員会で提示された研究計画・評価に基づいて、今回は、中間評価を3事業、それから事後評価が1事業あります。全部で4つありますので、まずは事後評価審議を行う元素戦略プロジェクト、その中でも産学官連携型、平成21年度課題について、事務局より説明をお願いいたします。

【長野参事官】
  ちょっと簡単に事業の概要ということで、まずは御紹介したいと思います。元素戦略の産学官連携型の事後評価ですけれども、その前に若干、全体を資料2-1の方に、今回対象となります事業が分かるように一覧にしています。
  一番上がまさに元素戦略プロジェクト産学官連携型、これは、これまで昨年、一昨年も先生方に事後評価していただきました。これは、3回目の採択されたものを対象としています。それの、5年間終わった後の事後評価ということになります。それから、その下の元素戦略研究拠点型、これは来年度の中間評価になります。それから、今回の対象になっている2つ目が、ナノテクノロジーを活用した環境技術開発。これは拠点型ですけれども、始まって6年目の中間評価になります。それから、その次に復興特会の東北発のプロジェクト、これも3年目の中間評価になります。それから、次のナノテクノロジープラットフォーム、これも3年目に当たりまして、中間評価を今回お願いしたいと思っております。そのあと、その下は、当省の別の課、環境エネルギー課の関係の所管の事業ですけれども、この大学発のグリーンイノベーションという中で材料分野についての事業も走っておりまして、これは昨年、中間評価をしていただきました。今回は対象になっていません。これが、大体関係のもの、当委員会での対象となる課題事業の4つの柱が、この中で位置付けられております。
  まず最初に、元素戦略のプロジェクト産学官連携型ですけれども、資料2-2-1をごらんいただきたいと思います。これは、まさに今現在走っています元素戦略プロジェクト研究拠点型の前身になる事業ということで、精神としては変わらず、材料の特性発揮に果たしている構成元素の役割、メカニズムの基礎基盤を確立しながら、レアメタル、レアアースの元素を元素代替するような材料開発を行うということで、産学連携をしながら、実用化開発への移行を促進するというものでやっています。
  それで、今回の事後評価の対象につきましては、裏側の方をごらんになっていただきまして、裏側の19年度、20年度採択は、もう既に事後評価いただきました。この一番下にあります21年度採択の4課題に係る部分について、本日は御評価いただきたいというものです。
  以上です。

【川合主査】
  今の御説明ということで、これの事後評価の結果が資料2-2-2でありますので、これについて審議を行います。
  きょうは評価検討会の主査が御都合で欠席ですので、事務局から報告いただくということと、それから、このプロジェクトのPDを務めていただいている澤岡先生に御出席いただいていますので、何かありましたらということです。
  それでは、事務局からお願いします。

【事業担当官(庄司)】
  はい、事務局の方からですが、元素戦略プロジェクト産学官連携型事後評価票について説明をさせていただきます。
  まず、平成21年度採択課題として、化学ポテンシャル図に立脚した多元系機能材料の精密制御、京都大学宇田先生、それから、有機分子を活物質に用いた二次電池の高性能化と充放電機構の解明、大阪大学森田先生、複合界面制御による白金族元素フリー機能性磁性材料の開発として筑波大喜多先生、エコフレンドリーポストリチウム二次電池の創成として九州大学岡田先生が採択されております。
  以降、各課題の事後評価結果をコンパクトにまとめながら紹介させていただきたいと思います。
  まず、1つ目、化学ポテンシャル図に立脚した多元系機能材料の精密制御の評価を、まず5から8ページに記載してあります。
  本課題の目的は、汎用的な元素であるリンに着眼して、このリンを使いこなすことで新たな機能性材料を見出すことを目的としております。その際に、化学ポテンシャル図というものを作成し、それを道しるべとして物質探索を実施するという新たな試みも織り込まれているというものでありました。
  結果として、リン酸ランタンにカルシウムやストロンチウム、それからバリウムを同時添加することで、高いプロトン伝導を示すプロトン伝導材料を見出すことに成功し、その合成、それから、その伝導機構の解明まで実施できております。また、太陽電池用の材料として、インジウムやガリウムを用いない硫黄、リン、亜鉛で構成された化合物を得たということを、成果として挙げられるかと思います。この両者を見出すに当たって、化学ポテンシャル図というものを作成し、これでもって物質探索を効率的に実施したということに関しては、高い評価が得られております。
  今後の展望としまして、本課題で確立された化学ポテンシャル図を構築する手法は、例えばマテリアルズインフォマティクスへの展開などが期待されるのではないかという評価を得ております。また、見出された材料の実用化を目指した研究開発へ移行することが望まれており、高い評価が得られているということになります。これが1件目になります。
  次に、2件目の、有機分子を活物質に用いた二次電池の高性能化と充放電機構の解明の評価が、9から12ページに記載してあります。
  本課題は、レアメタルを用いない有機分子を活物質として活用し、二次電池を創出するという、採択当時、全く新規の取組でした。結果として、TOT、トリオキソトリアンギュレン化合物をベースとして、電子吸引性などの観点からブロモを化合させることで、非常によい充放電特性が得られるということをまず理論的に予測し、その理論予測に従って物質を合成しております。その結果、有機分子でありながら、100回以上の充放電が可能な活物質として機能するということを見出し、非常に画期的な成果が上げられていると評価されております。
  また、本課題の今後の展望といたしまして、冒頭申し上げましたとおり、本課題というのは我が国初の独創性の高い研究領域です。この研究領域は引き続き日本の強みとして研究が継続されるということを、仕掛けることが重要であろうという評価を得ております。また、産業界との連携で研究を加速した好事例であり、成果が製品につながるよう連携が継続することが期待されているということで、非常に高い評価を得ております。
  3つ目の課題としまして、複合界面制御による白金族元素フリー機能性磁性材料の開発に関して、13から16ページに記載してあります。
  本課題は、白金族フリーで磁気記録媒体を実現するために、鉄、コバルト、酸素のみからなる高機能な磁性薄膜を得ることを目的として実施されております。得られた結果としまして、鉄、コバルト、酸素のみから構成される高い垂直磁気異方性を持つ磁性薄膜を得ることに成功しております。また、この薄膜の性能を評価したところ、磁気記録媒体を構成するのに十分な性能を有しておるということで、オンリーワンの技術を確立するということに至っております。また、界面での磁気相互作用についての理論的な検討もなされており、高いレベルの成果が得られたという評価を得ております。
  今後の展開として、本課題は、特に内閣府のImPACTやJSTの産学共創基礎基盤研究プログラムに引き継がれて検討が継続しておりますので、実用化に向け、着実に研究推進がなされることが期待されております。
  最後、4つ目の課題なんですけれども、エコフレンドリーポストリチウム二次電池の創成に関して、17から20ページに記載しております。
  本課題は、ポストリチウム電池として有望視されておりますナトリウム電池を、レアメタルを用いずに実現するための研究開発プログラムでありました。本課題は、正極材、負極材、電解質を各研究機関で分担し、研究を遂行しております。それで、最後にフルセルを試作するということで、研究プログラムが推進されました。
  結果として、正極材としてバナジウムフッ素化ポリアニオン系のナトリウム塩とロジソン酸ナトリウムというものが、高い充放電能を持つことを見出すに至っております。負極材としては、ハードカーボンのフギ構造を制御することで、充放電容量を最適化できることを見出し、例えば1,600度での熱処理でもって高容量化することが見出されております。電解質材料としては、アンモニウム系イオン液体であるDEMETFSIとプロピレンカーボネートとナトリウムイミド塩であるナトリウムTFSIポリエーテルを混合し、難燃化と充放電能の確保に成功しております。
  通常であれば、各研究機関で分担したものをがっちゃんこしていいものを作るというのは、なかなか成功しないということが多いのですけれども、本研究プログラムでは、これら分担した結果を結集することで、しっかりと電池デバイスのフルセル電池を試作し、600ミリアンペア・アワーレベルの電池の動作を確認することに至っております。
  今後の展開として、本課題は、元素戦略プロジェクト拠点形成型に引き継がれ、研究が継続しており、さらなる飛躍が期待されております。また、本課題の中で出てきた成果は、電池研究の新たなフィールドを開拓する先導的な研究となっております。この結果、研究フィールドの領域拡大への波及効果も大きかったという評価を得て、おおむね4課題とも非常に高い評価を得られたということになっております。
  以上となります。

【川合主査】
  はい、どうもありがとうございます。
  澤岡先生、全体として何かコメントがありましたら。

【PD(澤岡)】
  はい。このプロジェクトについて、特に大学の研究者は、出だしの頃は、科学研究費とは違うプロジェクトであるという認識は持っていながらも、なかなか産学連携・拠点という考え方について、研究仲間に企業の名前が1つ入っていればいいのではないかという程度の認識でスタートして、それが1年、2年、そうではなくもっと実質的な連携が重要であるということを、御自身でだんだん、それぞれのチームが認識するようになりまして、ただ、その中で非常に経済的な大きな変動があって、例えば阪大のテーマに関しましては、パートナーの企業がこれに関する事業を中止するとか、そういうことがほかのところでもしばしば見られました。筑波大のプロジェクトでも、担当パートナーがその仕事の部門を閉鎖するといったようなことが出てまいりまして、非常に研究者自身は苦労いたしましたが、最後4年目、5年目になりまして大変な追い込みがあって、ただいま報告があったような成果を上げることができて、ほっとしております。
  以上です。

【川合主査】
  そういう意味ですと、澤岡先生、お疲れさまでした。

【PO(中山)】
  補足で追加させていただきます、POとして……。

【川合主査】
  POの中山さんが一番よく知っておりますので。

【PO(中山)】
  今、庄司さんからお話がありましたように、4件とも産業界としての期待が非常に高いということと、あと4件中3件が、次のプロジェクトにしっかり進んでいる。JSTのプロジェクト、元素戦略の新しい拠点型とか、JSTの産連事業とか、それもやはり非常によい。それも、これらは、例えばナトリウムイオン電池とか、多分、射場さんの方がお詳しいと思いますが、最初は学会に行っても誰もいないようなエリアが、先生が火を着けたところで、もう最後の頃になると立ち見が出るぐらいの、学会のそういう盛り上がりを見せて、実際にこの部分が1つの主流になろうとしている。そういう火を着けたというのも、この元素戦略の大きな功績だと思います。
  ただ、見ていただくと分かるように、結構お金は少ないですよね。そういう意味では、非常に費用対効果が高い、いいお金の使い方をしたのではないかなと、澤岡先生ともお話ししているところです。
  以上です。

【川合主査】
  補足説明、どうもありがとうございました。
  それでは、この事後評価結果に関しての御質問や御意見、ありましたらお願いします。
  はい、どうぞ。

【北川委員】
  いろいろうまくいっている動きを聞かせていただいたんですけど、例えば一例として、最後のエコフレンドリーポストリチウム二次電池の創成についてなんですが、先ほどおっしゃったように、それぞれの要素技術を単に集めてやっただけではうまくいかなかったのが、非常に今回はうまくいったという、そのキーは何でしょうか、ポイントは。どういうことをやってうまくいったんでしょう。

【PO(中山)】
  企業が非常に内側まで乗り込んできてくれていたんですよね。この場合、住友化学でしたけど、全部に目を配って、本当に自分のラボでしっかりそれを組んで、それをフィードバックしてということを――通常、企業って割と抱えちゃうことが多いんですけど、それを抱え込まずに、しっかり仕事としても文科省のこの事業としても真剣に取り組んでくれたという、企業の本気度が出たんじゃないかなと、非常にそう思います。

【川合主査】
  はい、どうぞ。

【五十嵐委員】
  元素戦略プロジェクトは、日本の産業界の国際競争力強化に非常に貢献していると思うんですけれども、先導研究として、大学と企業が連携してやられたということで、多くの成果が得られていると思うんですけれども、ここに記載されていない以上の特許ですとかノウハウですとか、そういうのが恐らく連携された産業界には蓄積されたと思うんですけれども、そのあたりというのは、プロジェクトごとに戦略的にやられたのか、あるいは企業に任せてそういう知財戦略というのをやられたのか、そのあたりを教えていただけませんでしょうか。

【PD(澤岡)】
  現在スタートしております拠点型のプロジェクトでは、JSTの特許担当の方がPOとして入って、こちらのプロジェクトにはそういう方はいらっしゃらなかったんですが、中山さんはじめ、JSTが積極的に特許マップを作って、戦略的に特許ということを考えなきゃいけないということを2年目ぐらいから主張されまして、後半はかなり組織的に動いたのではないかと思いますが、ただ、やはり難しい点は、参画企業の考え方と、それから研究代表者の考え方に大きな溝がありまして、それは永遠に埋まることはないと思うんですが、かなり今までよりはよかったなと思っております。
  次のプロジェクト、長期の10年の今進んでおりますプロジェクトについては、最初から組織的に、文科省からそういうふうにやらなきゃいけないということでしたが、これはそういう橋渡しする意味で、よい練習になったと思っております。

【五十嵐委員】
  企業の方は、やはり自分たちのノウハウにしたいとか権利にしたいというのは当然考えられると思うんですけれども、大学の先生方は、やっぱり論文が書けるということは、そこに新しい知見なり進歩性があるわけですから、是非連携されている企業の方に、これは特許にならないんですかというのをしっかり主張していただくのが、一番いいんじゃないかなと思います。それによって、やっぱり競争力として一つ一つの技術が確立できるんじゃないかなと思いますので、今後またよろしくお願いしたいと思います。

【川合主査】
  はい、どうぞ。

【長我部委員】
  先ほどちょっとコメントのあった阪大の有機分子を活物質に用いた二次電池の話なんですけれども、経緯があって、最終的には日本電子さんが「産」として協力していて、今後の展望の中に産学連携で研究が加速した好事例ということで、これは主に計測とか分析という面で「産」が入って、それで研究が進んだという理解でよろしいですか。

【PD(澤岡)】
  はい。当初は、日本電子が電池を内製するところまで2年間でやったんですが、不幸にも2年間でやめるということで、計測に専念しなさいということで、計測について日本電子が最終的に最後まで貢献いただいたんですが、電池を作るという意味では、途中でリタイアされました。

【長我部委員】
  状況は分かりました。そういう撤退という面もあるかもしれないんですけれども、計測とか分析という意味で「産」が絡むことによって、研究そのものが進んで、将来の出口につながるというのは、ある種ポジティブに見れば、計測という連携の仕方もあるなという捉え方もあるかなと思ってちょっと伺いました。どうもありがとうございます。

【川合主査】
  ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。
  それでは、この事後評価の結果の案ですね、この資料の2-2-2の案について、特に御異議がないということのようですので、これは、この委員会として次の研究計画・評価分科会で報告させていただきます。
  それでは、今度は中間評価ですね。中間評価で、東北発素材先導プロジェクトですが、栗原委員は利害関係者ですので、ちょっと御退席を願います。
  では、まず事務局より、事業概要の御説明をお願いします。

【長野参事官】
  事業概要ですけれども、資料2-3-1の方にございます。これに基づきまして、簡単に御説明申し上げます。
  この事業につきましては、平成24年度から開始したもので、復興特会の関連の事業になっております。特に東北地方、その中でも東北大学が、材料、光、ナノテク分野に強みを有するということで、そういったポテンシャルを活用しながら、大学、公的機関、産業界の強みというのを最大限に活用して、拠点機能を形成しながら、産業集積、新産業の創出、雇用創出の取組を促進すると、そういった趣旨でやっているプロジェクトです。
  大きく分けて3つの柱で構成されておりまして、1つ目が、超低摩擦技術領域になっています。それから、2つ目が超低損失磁心材料技術領域、3つ目が希少元素高効率抽出技術領域ということで、3つ、材料分野といいましても相当分野の異なる、それぞれ大きな柱といった形でプロジェクトが走っております。
  簡単ですが、以上です。

【川合主査】
  それでは、これに対して中間評価の結果の案が2-3-2ですが、この審議を行いたいと思います。
  評価検討会の主査を務めていただきました井口先生に御説明、御報告をお願いいたします。

【事業評価検討会主査(井口)】
  それでは、報告させていただきます。
  先ほど概要で説明しましたように、この3つの研究領域、技術領域というのは、かなり多岐にわたっております。そして、これは復興特会で行われたんですけれども、実は東北大学は、700から800億、東日本大震災で被害を受けたんですけれども、幸いにこの3つの研究領域の拠点長は、比較的建物に被害が軽微な研究所に属していたと。装置はかなりダメージを受けたんですけれども、そういう点では、この短期間でもかなり進んできたと評価をし、そして、このナノテクノロジー研究開発拠点の形成で東北素材産業の発展を牽引するという目標に向かって、東北地方では大学、企業等と連携した研究開発拠点を構築しておりますし、成果の事業化に向けて年度計画に沿って研究が進展しておりまして、事業は着実に進捗していると認められます。
  ここ、スタート時点では、なかなか産学官連携というのはうまくいってきていないんですけれども、JST復興促進センターだとか東北経産局、東北経済連合会、宮城工業会だとか産総研東北センター、宮城県産業技術総合センターだとか、こういう組織が仙台にございますので、そういう意味では、地域連絡協議会というのが、スタートして1年ちょっとたってから結成されて、現在、東北大学の産学連携推進本部のトップもある意味では代わったこともあって、現在時点では、こういうような大学の指導と、それから地域の連携というものがうまくいっていると、このように評価をいたしました。
  こういう事業がどう有効かというのは、この3つの技術領域について説明させていただきますと、超低摩擦技術領域では、目標としますナノレベルでの摩擦現象の解明、低摩擦を発現する実用材料と界面設計技術の開発に向けて、基礎基盤技術ですけれどもかなり研究が進捗してきておりまして、その過程で、摩擦面の化学変化をその場分析できる装置を世界で初めて開発しております。これも大きな評価だと思います。予滑りによる摩擦低減を実現して、こういう水中滑りでのダイヤモンドライクカーボンに着目して、特許も申請するというようなことも行われて、有効に研究を進めておられます。
  次の超低損失磁心材料技術領域においては、従来、東北大学が、この分野では基盤技術から応用技術まで進んできているんですけれども、さらに、低損失材料の開発と工業化に向けて着実に研究が進捗しておりまして、工業化で必要な広幅の薄帯の試作に成功して、実証研究に係る共同研究を企業との間で開始するというようなことで、ベンチャーも作られたり、あるいは、自動車会社で是非モーターということが実証でスタートしてきているということで、有効に研究が進められていると評価できました。
  希少元素高効率抽出技術領域においては、目標とする希少金属の回収システムの開発と、それから、従来からありました東北地区のこういうような精錬とかという、金属産業をベースとした循環型社会ビジネスの展開への応用に向けて、着実に研究が進捗しております。その中でも電気パルスによる破砕に関して、その機構を解明するとか、そういうような有効な研究が進められていると評価できます。
  これは、実は地域の研究拠点長は、いろんな分野で自治体との連携とか企業との連携もしておりまして、一番はどうやったらこういうような材料を……、希少金属を含んだ使用済みのいろんな基盤とか電池だとか、そういうようなものを回収するシステムというものが一番大事だということで、ちょっと1番、2番とは違った行き方をしておりまして、その辺も徐々に進んできております。
  それでは、効率的にはどう進んでいるかというと、初め、ちょっと評価委員でも、超低摩擦技術領域というのはまだまだ基礎研究と、基盤技術ではないかという心配もあったんですけれども、昨年度になって、それからどんどん進んできておりまして、自動車産業を含めながら企業群が10数社集まっておりまして、試作とか加工は、東北地域の企業が一緒に加わって、事業化を見据えた研究を実施する体制ができておりまして、効率的に進められているだろうなと評価しました。
  次の超低損失磁心材料技術領域は、一番早く――先ほど言いましたように、もともと東北大学にそういう基盤技術がありましたので、最も進んでおりまして、先ほどちょっと言いました東北地域の企業が幅広の薄帯製造というものを実際に作っておりまして、それを実証、先ほどの企業との共同、実用化に供給できるという体制になり、しかも、大学発ベンチャーの設立にもこぎ着けております。
  それから、もう一つの希少元素高効率抽出技術領域では、やはりどうやったらリサイクルということで、日本国内にもこういうような、東北地域も企業が拠点と先ほど言いましたように、それから日本ELVリサイクル機構と連携して、リサイクルという研究を進めてきております。
  次に、今後、こういうものをどう方向性を持っていくかということで、この辺の拠点形成によって、東北の素材産業の発展を牽引するという本事業の目的で、これからも引き続き事業推進を図るべきであると評価しております。
  また、各領域における個々の技術課題の抽出は適切であると。ただ、余り研究が分散しないように、できるだけシーズの選択と集中を図った上で加速するということで、復興へどう寄与するかという、東北地方の産業界への発信が重要であるというようなことを要望として出しました。
  それから、最後に当たりますけれども、概要で説明したように、東北大学はこういうような材料素材というもので中核になっておりまして、是非この辺は、東北地域のみならず、日本国内、世界に向かって発信していただきたいというようなことを要望しております。
  先ほど来年度の予算で説明がありましたように、これは復興特会なものですから、やむを得ないと言えばやむを得ないんですけれども、来年度30%減ということで、あるレベルでは予測しながら、厳しいなということで、是非、今後ともいろんな意味で御理解を頂ければと思います。
  以上です。

【川合主査】
  どうもありがとうございました。
  このプロジェクトのPD、POの方から何かコメントはありますでしょうか。

【PD(澤岡)】
  このプロジェクトのPDを務めさせていただいておりますが、評価主査の方からお話がありましたように、復興特会で新事業を東北に創成しなきゃいけないという任務を持ったプロジェクトで、大学を中心として5年間で目に見えるような成果を上げるというのは、予想以上に苦労しております。ただ、1つ、この中のプロジェクトは、磁性材料に関するものですが、もう既にベンチャーなども立ち上がって、大々的に全国規模で1つの産業が起きつつあるという明るいニュースもございます。非常にこれは苦労している……、現場の方は大変苦労しているなと思いますが、一番よく知っておりますのはPOの嶋林なので、一言お願いします。

【PO(嶋林)】
  POをしております嶋林と申します。
  澤岡先生がおっしゃいましたように、特に磁心材料の方、文科省の別のベンチャーの事業も活用しながらベンチャーを立ち上げると、これは非常に目覚ましい成果と考えています。つい先日も、パナソニックさんの方と、家電用のモーターの効率を3.5%上昇させるというようなプレス発表をいたしまして、東北の地元の企業で材料を作るとともに、全国、若しくは、もちろん家電ですので世界に散らばるようなモーターの効率を上げるという、両方の成果を上げているということは、非常にPRしたい点だと思っております。
  また、この領域のみならず、ほかの2つですね、摩擦、そして希少元素抽出、三者三様の領域ですけれども、摩擦の方は非常に基盤的な技術を自動車などに応用していること、また希少元素の抽出の方は、地元の金属精錬のところに抽出材や物理分別や、あるいは、それぞれで起こるプロセスでの問題点などを科学的に解決していくという、日々の現場での悩みを科学的に解決すると、この両方からアプローチしていると、この点も改めて御説明させていただきたいと思います。
  以上です。

【川合主査】
  この中間評価の結果の案に関して、御意見、質問なり、お願いします。
  はい、どうぞ。

【曽根委員】
  このプロジェクトは3つとも、非常に産業的にも重要な領域だと思います。そういう意味で、産業界がこれからどんどんコミットしていただかないといけないと思うんですが、ベンチャーもできたりということで、真剣になると、産業界からの資金を導入する、あるいはベンチャーが始まるということは、ベンチャーのファンドのマネーが入ってくるということだと思いますけど、そこら辺のところの技術のトランスファーというんですか、それに伴う資金的な対応というのはどんなふうになっているんですか。
  これ、今年度予算減ということですけど、これは多分、今後どんどん研究が進展していく中で、企業のいろんなお金を入れていって、それでコンペンセートしていかないといけないと思うんですよね。あるいはもっとアクティビティーを拡大する。そこら辺のところの考え方というのはどんなふうになっているんですか。

【事業評価検討会主査(井口)】
  私、よろしいですか。確かに御指摘のように、これだけ予算を減額されたんですけれども、産学の連携、企業群がかなり関与していきているというところで、企業との連携をかなり重視していきたいと。もう一つは、ベンチャーを立ち上げたけれども、地域のベンチャーキャピタル、ベンチャーファンドは、非常に脆弱、貧弱です。そして、東北大学にいまだかつてないんですけれども、現在、東北大学も、そういうベンチャーファンドを作ろうというところをスタートし始めておりまして、私は別なベンチャーキャピタルを設立からずっとやっているんですけど、そこも10何年で苦労してきております。でも、ここ、今の経済状況で、我々はある意味では、違った意味でその辺も期待したいと。
  ただ、大学独自がそういうこともスタートするという体制ができつつあるというのも、このプロジェクト、研究領域にとっては朗報ではないかなと、そのように思っております。

【曽根委員】
  ちょっと心配しているのは、別の資金が入ってくると、テーマの切り分けだとか、それをがちがちやってフレキシビリティーがなくなって、結局、いいものができてもなかなか産業界の方へ、そこのレギュレーションのために動けないということが結構あるので、これは難しいところですけど、是非フレキシブルにできるような体制、こういうのができるといいなとちょっと思っているんですけど、そういう方向で是非頑張っていただきたいと思います。

【事業評価検討会主査(井口)】
  ありがとうございます。私もその辺のベンチャーファンド等にも関与しているんですけれども、できるだけやっぱり、自由度と同時にマーケットにできるような、そういうところの指導はきっちりやると、そういうような姿勢でやっておりますので。でも、今の件も、帰りましたら、その辺の担当者にちょっとお話はさせていただければと、このように思います。ありがとうございます。

【事務局(佐藤)】
  事務局からちょっと補足をさせていただきますと、前者の、民間からのお金という観点からは、今、3プロジェクトともいろんな委員会はあるんですが、その中に地元の主力銀行である七十七銀行も加わっていただいていまして、そういう意味では、これからさらに、東北地方に限らずなんですが、民間からのお金が入っていけるように、役所としてもサポートしたいと思っています。
  それから、2点目にあったフレキシビリティーの方なんですが、この事業は幸いなことにと言いますか、補助金の補助事業ですので、そういう意味では、切り分けの部分はそこまではがちがちにはなっておりませんので、5年物、あと2年とお尻が決まっているプロジェクトですので、そういう意味で、どんどん引き渡していけるようにサポートといいますか、推進していきたいと思っております。

【川合主査】
  ほかにいかがですか。
  先ほどのお話の中で、14ページですか、「有望な研究シーズへの選択と集中を図った上で」と、かなりこれ、今後、後期に対しての極めて重要なことですが、もう少し具体的に、もう中間評価ですので、この3つの中でどこら辺がぐんと集中して伸ばせそうかとか、そういったこともお話しいただければと思いますが。

【事業評価検討会主査(井口)】
  2番目、3番目、超低損失磁心というのと希少元素高効率と、これはある意味ではもう流れは決まっているんですけれども、1番の超低摩擦は、うっかりすると基礎と基盤で論文という方向に走りがちなんですけれども、先ほど言いましたように、企業が10数社入っていろいろ検討しておりまして、今年度はそういう意味で、どこに集中してやるかというようなアドバイスも頂いて、大学は、逆に言うと研究論文ができればいいと言うんですけれども、これは目的が違いますので、こういう意味で、最初の概要でも示したり、いろんなところで記してありますように、この超低摩擦技術については是非、ある意味ではトライボロジー、それから自動車産業が、トヨタ自動車東日本が立地したということもあって、かなりいろんな意味で高まっておりますので、そういう意味では、あるところでは、そういうところに特化したような分野のあるいは技術というところで、分散しないようにというようなことが、地域の連絡推進協議会の課題にもなっております。

【川合主査】
  3.6億円も減るので、やはりこれ、PDやPOがそこら辺をかなりがちっと仕切っていかざるを得ないことになりますね。これだけ減るというと、相当、現実に絞らないといけないな。

【PD(澤岡)】
  大変難しい点は、これが委託事業であれば、私、文科省から命令されまして、そういう仕事をさせていただいているんですが、補助金の場合は、科研費に準ずるというか、性格からいきますと、渡したらもうそれっきりで、余り注文が次の年に付けづらい性格のお金なものですから、そこら辺のさじ加減を上手にいかないと、補助金という性格の限界を超えるところまで口は出しているんですが、東北大学が責任を持って仕切るという約束でスタートしていますので、その中のお金の配分については、10%か15%ぐらいずらしてくださいとは言えますけれども、30%をこちらからこちらへというのは越権行為のようなことで、非常に難しいなと思っております。1割ぐらいは注文を付けました。

【川合主査】
  でも、プロジェクトマネジメントというのは今、非常に重要になっていて、これ、どこの省庁でも、やっぱりPMがしっかりとやらないといけないという方向ですので……。

【PD(澤岡)】
  はい。きょうお尻をたたかれたということで、安心して口を出したいと思いますが、なかなか、間に東北大学事務局という物すごい組織が、障壁があるものですから、あれが突破できないということで苦労しております。

【川合主査】
  ほかに。はい、どうぞ。

【PO(嶋林)】
  今、澤岡先生がおっしゃったとおりなんですけれども、その上であえて申し上げますと、参画している企業の方から、特に企業化するための焦点というのがある程度絞られてきた段階でもありますので、例えば固体潤滑ですと参画している日立、あるいは油潤滑ですとトヨタの方、水潤滑ですとデンソーのDLCなど、その辺のある程度の集約のポイントというのが見えてきたところです。このあたりをどういうふうに東北企業を中心に発展させていくかということを、今後、相談していきたいと思います。

【川合主査】
  はい、どうぞ。

【小長井委員】
  復興特会を使っているということで、地元への技術移転が非常に重要だということで、大変興味深くお伺いしたんですが、私は福島復興事業をちょっとやっていることもありまして、大変参考になるお話を伺ったと思うんですけど、もともとこのテーマを選ぶときに、地元企業がしっかりしていそうな分野を選んだということもあってうまくいっているのか、それとも、やはり最初はゼロでも、成果をいかに移転するかというところで地元企業にどう説明していくか、そこら辺がうまくできたから今のような状態になっているんでしょうか。そこら辺をちょっとお伺いできれば。

【事業評価検討会主査(井口)】
  これが3つの技術領域なものですから、それでは、「はい、地元はしっかりしています」と、なかなかヒアリングとかいろいろでも言えなくて、まとめるのもあれなんですけれども、低損失、欠損の少ない、これは従来ざーっと東北大学がやってきておりましたので、そういう組織的な面、あるいは地域の小さい企業もその辺に関与している。
  ただ、超低摩擦は余りにも幅広くて、なかなか、それじゃあ、東北地域で是非だと……。もちろん採択のとき私はいませんので、分かりませんけれども、その辺のところがといって、この拠点長とか東北大学の産学連携推進部は、できるだけの多くの企業といって10数企業に声をかけて、そこからのアドバイスをもらうということで、リサイクルの方は、もともとあそこは非鉄金属のインフラが十分あって、現在も動いております。ただ、あの辺も、中国の政策と、それからこういうような希少金属をできるだけ使わないという技術がどんどん開発されておりまして、なかなかその辺のやりくりが難しいところですけれども、でも、この領域としては、拠点長が政府のいろんなこともやっておりますので、うまくまとめていると、そのように思います。
  ですから、2、3については、あるレベルではもともとあったと、そういうようなことをお答えできるんじゃないかなと、このように思います。

【川合主査】
  よろしいですか。あくまで委員として、射場委員、何かコメントはありますか。

【射場委員】
  どの課題もどこかに名前が書いてあるので発言を控えていたんですけど、簡単に言うと、民間も大学も、材料に関するポテンシャルがもともと高くて、震災で被害を受けていますけれども、それをまた復興する力がすごくあった。シーズ1個1個を見ると、そもそもシーズのあるものを採択しているということがあって、うまくいっているというふうに感じておりますし、我々も、大変どの課題にもかなりの期待を持って参画をしております。

【川合主査】
  はい、どうぞ。

【岡野委員】
  内容を全て理解した上で申し上げるんじゃないので、あれなんですが、極めて高いシーズがあって、これをベースに産業化していくと。それで、産業化サイドの方では、やっぱりそれを見据えたニーズ設定といいますか、その中に、やっぱりシーズとニーズをどうマッチングしていくかという中で、新しいまたシーズの作り出し、創出みたいなことが起きてきて、どんどん進んでいくと、東北に極めてユニークで価値ある産業が出てくるということになるだろうと思うんですが、この報告書で一番私が見えないのは、そのシーズ、ニーズのマッチングのプロセスが全く見えないんですね。
  ですから、こういうシーズがあって、それをどういうふうに事業展開していくのかというところが、極めて抽象的な表現にしかなっていないので、是非、こういうシーズをどういうふうに使っていく、そのためにはそのシーズをどういうふうに技術を高めていくかという、そういうことをここの中でしっかりやるんだというのがないと、何かやりたいことをやっているという感じがします。
  それで、これは補助金だからやりたいことをやるのはしようがないというふうに言って、そのことが進まないと、本来のこの復興の予算を使っていくという目的に合っていないんじゃないかというふうに感じるんですが、是非その点、詳細にもう一度議論していただいて、シーズとニーズのマッチング、それから今後の事業計画にどう向けていくかを、もう少し具体的に作り上げていってもらったらいいなと思いますので、よろしく御検討いただければと思います。

【PD(澤岡)】
  今の点につきまして、説明不足で申し訳ございません。事業化ということで一番進んでおりますのは、牧野教授が代表しております磁気材料なわけですが、これは、もう東北大の金研で30年以上の歴史を持っております急速冷却によって、溶かした合金を帯状にして、これをトランスとか高周波材料に使おうというものですが、もう世界に先駆けて東北大学が大々的にスタートしたプロジェクトで、それを昔の新技術開発事業団がサポートしてきましたが、思ったほどマーケットが広がらなかった1つの理由は、この材料が、耐久性とか、それから少し温度が上がりますと、非晶質材料ですので、もとに戻って性能が劣化するという、この点を著しく変える、銅を加えることによって――金属の銅ですが、そういうことを見出し、そして今、拠点の代表をしております牧野教授は、ある時期、東北の企業で働いておりました。そこで温めたアイデアを持って大学に帰って、芽を出したところに、この復興特会の予算がちょうどマッチングよく、そのために出身の企業、それから関連の企業、大きな企業もたくさんございますが、そういうネットワークの上でスタートできましたので、わずか3年で、例えば先ほど新聞発表があったのはパナソニックでありますが、大手の企業が非常に注目するような勢いが付いてきて、今の点のシナリオについては非常に明快に説明できるような準備がなされておりました。
  それをお手本に潤滑のテーマも進んでくればいいなと思いますが、非常に幅広く、基礎的な、重要なテーマでありますので、5年では非常に苦しい。やっぱり10年仕事だなと思っております。補足させていただきました。

【川合主査】
  岡野委員の御指摘は、そういうことがきちんと書かれているべきだということですので、今のは大変重要な御指摘だと思うので、そういう事業につながるようなところを、もう少し具体的に筋道をという意味での修正はあってもいいのかなと思います。
  よろしいでしょうか。
  それでは、頂いた御意見を踏まえて、修正も検討するということで進めていきたいと思います。修正させていただいたこの案に関しては、同様、研究計画・評価分科会で報告させていただきます。どうもありがとうございます。
  それでは、その次の中間評価で、ナノテクノロジーを活用した環境技術開発です。
  まず、事務局から事業概要の説明、2-4-1ですね、お願いいたします。

【長野参事官】
  はい。資料2-4-1にございますように、ナノテクノロジーを活用した環境技術開発のプロジェクトです。これは、つくばイノベーションアリーナ、TIA-nanoにおける中核的プロジェクトとして位置付けております。
  このプロジェクトにつきましては平成21年度から開始され、中間評価を1回、平成23年度にされております。今回は2回目の中間評価ということになります。
  この事業は、実際、拠点型ということで、地球規模問題を抜本的に解決して、持続可能な社会を構築するということで、産学官が連携しながら拠点を構築して、環境技術の基礎基盤的な研究開発を推進するとなっています。その中で、中心的なテーマの柱立てとして、太陽光発電、二次電池、燃料電池、光触媒といったテーマを掲げて、基礎基盤研究の強化ということを実施しております。その中でも、特にこれは拠点形成ということですので、その中で、先端環境技術に取り組む人材育成を推進するというのも重要な柱となっております。
  体制としては、物質・材料研究機構を場としまして、そこを中心としながら、ここに掲げておりますような大学、企業等が参画する形での拠点となっております。
  以上です。

【川合主査】
  はい。それでは、続きまして、中間評価結果の案です。これが2-4-2になるのかな。審議を行います。
  これも、評価検討会の主催の澤岡先生から御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【中間評価検討会主査(澤岡)】
  今度はPDではございませんで、評価委員会の方ですので、外から見るという立場で少し気が楽……、今まではもう気が気でなかったんですが、報告させていただきます。
  このプロジェクトは10年プロジェクトの6年目です。既に3年終わったところで一度、1回目の中間評価が行われておりまして、今回、第2回目です。評価も、第1回目の評価を踏まえて、その点がよくなったかというあたりを一番注目して、評価をいたしました。
  この2-4-2の一番最後の別添という7ページにございますが、このようなメンバーで評価をさせていただきました。1回目の評価委員3分の1が、今回の第2回の評価では委員が交代しています。それぞれの専門分野が相当変わってきておりますので、その分野に最も適した専門家ということで、文科省の方でこのような構成員の選定をして、進めさせていただいたわけです。
  5ページをお開きになってください。その前に、3ページに色刷りのところがございまして、先ほど2-4-1図、これを縮小したものでありまして、ここにこの縮小したものが付いております。もう一度2-4-1を見ていただきますと、重要なキーワード、赤でアンダーラインが付いております。概要のところにもありますように、つくばイノベーションアリーナにおけるグリーンコア研究の中核的プロジェクトであるということ、それから、オープンイノベーションの場であること、それから、ナノテクノロジー・材料分野において高い研究水準、そして、「Under One Roof」形式ということで、この真ん中の右側に写真が付いていますが、中間評価のときにはまだ完成しておりませんでした美しい新棟が完成しております。WPIと、この建物には2つの大きなプロジェクが入っております。そういう意味で、研究者、2つの大きなグループの間の人的なと言いましょうか、大変独特のすばらしい雰囲気の場ができたと考えております。
  また上に戻りますと、アンダーラインのところ、太陽光発電、二次電池、燃料電池、光触媒、このキーワードで基礎基盤研究の強化、そして、技術シーズの開拓とともに、先端環境技術に取り組む人材育成ということです。採択機関として、NIMS以外、北海道大学、名古屋大学、トヨタ自動車をはじめとする13の機関が参加しております。
  先ほどの5ページに戻ります。それで、1回目の評価のときには、重点項目がというよりも、むしろ幅広にいろんなことが行われ過ぎているということ、もっと絞り込んで、特に拠点長のリーダーシップを強めなきゃいけないということも、中間評価にございました。それで、言い方が非常に難しいんですが、理事長が拠点長になっておりました。理事長が拠点長になること自体、大変お忙しい理事長がそこまで仕切れるかというと、それはもう物理的にというか、時間的に難しいのではないかということで、強力なリーダーシップを持った方に拠点長を代わっていただいて、もう一度見直した方がいいのではないかというのが、1回目の中間評価の一番のポイントでありました。それを受けまして、副拠点長でありました魚崎先生が新拠点長になりまして、非常に強いリーダーシップの下で再編成をいたしました。
  そして、最近では、蓄電池の分野では特別推進チームを設置しまして、世界的に注目されるチャレンジを始めているということです。金属リチウムの、ある意味の空気電池というものに挑戦しようということで、最近、マグネシウムの空気電池が大変注目されておりますが、一気にリチウムまで行こうということで、非常にクリーンな環境で研究する場も作られております。必要性、そして、5ページの真ん中の有効性、数行読んでみます。
  それを基礎・基盤研究を通じて解決を目指す課題として明確化するとともに、環境セル――この環境セルというのは、補正予算でできました電池関係の設備が非常に充実しまして、いろんな環境で試験ができるような場もできました。それを活用して、電池材料の計測・解析、固体電解質のリチウムイオン拡散機構を解明するシミュレーションの高度化が図られており、有効に研究活動が推進されているということです。
  人材育成では、広く高専に声もかけまして、大学・大学院だけではなくて、高専の方々も呼び込んでオープンラボを実施するなど、大きな展開がございます。
  効率性として、事業推進の中核的機関である物質・材料研究機構内に新棟が建設され、大部屋仕様の研究室やオープンな交流スペースの設置により、研究者間の緊密な相互交流を促す等、「Under One Roof」の拠点として機能している場が設けられているという点です。
  次の6ページを見ていただきますと、(2)でありますが、着実にマネジメントの改善、研究推進体制及び手法の改良が行われている。1回目の中間評価で指摘された点については、非常によく克服されたというか、さらに進んだということで、高い評価の文章です。引き続きニーズの抽出に積極的に努めることも必要である。
  ただ、少し問題なのは、1回目の評価のときに、従来の論文、特許も含めまして、そういうものを中心に評価をするだけではなくて、何かこういう拠点独特の指標というものを設けて、評価基準を少し変える――それは評価委員会の仕事でもありますが、当事者自身も、そのあたりについて新しい工夫が必要ではないかという御指摘に対して、現場では大変苦しんでおります。若手研究者に対してキャリアパスになるようにということで、拠点賞を設けて、若手をエンカレッジするようなことが行われておりますけれども、それが本当に若手のキャリアパスのポイントになるかどうか、論文は少ないけど拠点賞を取ったからあの人はすごいと言ってくれるかどうか、なかなか今の環境では難しいのではないか。
  さらに、そのあたりの、この拠点の評価を今後どうするかという1つの指標を、これから10年の最終評価に向けて考えていく必要があると感じました。そのようなことが、少し最後に文章で付け加えられております。
  以上です。

【川合主査】
  どうもありがとうございました。
  これは、何かPOの方からコメントは。

【PO(古川)】
  プログラムオフィサーを務めております科学技術振興機構古川です。今回は澤岡主査をはじめ、多くの評価委員の先生方に、この委員会の委員の方々にも入っていただいたわけなんですけれども、厚く御礼申し上げる次第です。
  それで、今、澤岡主査の御報告がございましたように、中間評価、我々もまさに肝に銘じるところと、今後、さらに襟を正して強化していくべきところがあるという意識を持っております。
  特に澤岡主査からお話のありました最後の評価の部分というところは、このNIMS、ナノ環境拠点、時限付きのプロジェクトであるとはいえ、実際にこのプロジェクトが終了した後も、ある意味恒久的に、機能として、あるいは組織として、NIMS本体に組み込まれていくようなシナリオも、我々、NIMSサイドとも連携というか、議論をさせていただきながら進めていく必要があろうと思います。その中で、この評価の在り方というのはかなり本質的な部分で、私たちもすぐに解を持っているわけではありませんけれども、そこをしっかり強化していきたいと思っております。
  それで、このNIMSナノ環境拠点6年目において、これまでに都合3度にわたって、このプロジェクトというか、拠点のフォーメーションを変えてきたというところがあります。実際に事業実施サイドに立つ我々として、後から振り返ったときに、やはり5年、6年かかってようやくここまでなのかというふうな御意見も多々あろうかと思いますし、我々も、自己評価する点においては、そこは強く意識するところなんです。
  ただ、やはりこれは、かつてプログラムディレクターであった橋本先生もかなりイニシアチブを取っていただいて、NIMSの潮田理事長、曽根理事などの御理解も賜りながら、より研究開発に近いマネジメントをスムーズに行えるようにということで、この1年半前ぐらいからかなり体制の変更をしてきた。それとともに、テーマに関しても、かなり選択と集中を図ってきているというところがあります。具体的には、このナノ環境拠点の後半戦に向けては、二次電池を中心としつつ、燃料電池、あるいは太陽電池に関しても、ある意味短期決戦で、ペロブスカイト型太陽電池のテーマに関して、NIMSナノ環境拠点ならではの切り口でもって特化して研究を進めていくというところを、拠点長以下、意識を合わせているところです。
  そういう点で、マネジメントの部分と、そもそもナノ環境拠点が発足したときのコンセプトに立ち返ったときの、やはり計算、計測というナノテクノロジーの1つのツールといいますか、そういったところが、マクロスケールの電池、あるいはその他の太陽光利用というところに本質的にどのような貢献ができるのかというところに関しては、この後半戦で何かしらの解を出したいと思っているところです。
  少し長くなりましたけど、私からの意見です。

【PO(中山)】
  一言だけ。

【川合主査】
  はい。

【PO(中山)】
  同じく古川さんと共同でPOをしておりました中山です。今、そのほかのことでちょっと気を付けていたことがありまして、ともすると旧国研のプロジェクトというのは、割と内部にこもってしまったり、そこで閉じてしまったりということが――NIMSがどうこうという話ではないんですけど、そういう傾向があるところを、なるべく外に開いた拠点、あるいは内側に抱え込まない、あるいは目に見える拠点に本当にしたいということで気を付けてまいりました。
  そういう中で、例えば、先ほど言われましたペロブスカイト型の太陽電池に対して緊急対応をされる。それで、非常に目に見えるようなシンポジウムをこの前、開催させていただきまして、小長井先生に基調講演をしていただいて、満席になるような、そういう……。割と来ていただける方が産業界の方が非常に多かったり、非常にいい働きをしたんじゃないかなと思います。
  あと、ナノテクのNBCIという産業団体とか、あるいはTIAとしっかり連携することとか、そういう外に出ること、あと、例えば二次電池のところでは、JSTのALCAがあり、また元素戦略の電池の拠点があり、その中でナノ環境拠点があるわけですけど、その3つが実はお互いに干渉し、また相互補完しながら、特にこの拠点では計測のところを非常に得意としていると。それは、ほかの人たちが、もう我先に使いに来るようなものに育っておりまして、非常に国としてもいい設計ができているのではないかなと考えているところです。
  以上です。

【川合主査】
  という、いろいろ説明がありましたが、この中間評価の結果に関して御質問や御意見、いかがでしょうか。小長井委員があれですね、中間評価の検討をいただきました。全体的にもし何か補足がありましたら。

【小長井委員】
  特にないんですけど、今回、リーダーシップが発揮できるような体制になったということで、大変よかったなと思うんですね。その一例が、先ほどちょっとありましたように、太陽電池の材料も、新しいのが出てきたときにいかに早くそこに行けるかということなんですけど、今回は大変早くペロブスカイトの方に集中できたということは、これからNIMSがその分野で中心となって日本を引っ張っていく、いいチャンスになったと思っております。

【川合主査】
  いかがでしょうか。御意見、御質問。
  はい、どうぞ。

【北川委員】
  人材育成というところに非常に興味があるんですけれども、確かに課題解決で貢献した人、若手をどういうふうに評価するかという。論文発表を意識しないということになってきますと、若い人が、例えば大学院生、それからポスドク、そういう人たちが次どこに行くかというポイントが一番大きいと思うんですけど、そこにいる人たちは、今考えているのは、産業界の方を考えているんでしょうかというのが1つと、もう一つは、NIMS、WPIも含めて、非常に外国人が多いんですけれども、そういう外国人の方々が簡単にこういうプログラムに入り込んで、一生懸命やってくれるようなインセンティブが作られているのか、その辺ちょっとお教えいただきたいんですけど。

【川合主査】
  これはどなたが答えるのがいいのかな。評価委員長じゃなくて、POですかね。

【PO(古川)】
  この拠点においては、NIMSの中の若い人たちをしっかりプロモーションしていくというところの側面と、ともすると、ちょっと語弊があるかもしれませんが、全国の地方大学、あるいは高専の、必ずしも研究環境が十分整っていないような人たちをNIMSに受け入れて研究をしていく、あるいは、同じく地方大学の学生さんを受け入れてプロモーションしてく、こういうところがあります。その結果として、実績ベースで申し上げると、その機会を得た若手研究者が大学の助教になっていったりとか、場合によっては企業の部分とのコラボレーションが強化されていったりとか、そういうところがあると思います。
  ただ、企業志向があるか、アカデミー志向があるかというところに関しては、どちらかに偏っているというところではなく、ほどほどなところがあるんじゃないかなという、これは私自身の意識です。
  それと、外国人の人たちへの環境というか、基本的には、NIMSの中にも国際部門のポスドクのICYSなどの制度もありまして、そういう人たちの中から、NIMSのナノ環境拠点に部分的に参加しているような方々もいらっしゃいます。いずれにせよ、インセンティブを強烈に、他の機関でまねできないようなところをできているかということに関しては、これという材料が、私、北川先生に今申し上げられないんですけれども、少なくともそういう人たちの研究環境をしっかりサポートできるような体制を、今、NIMSナノ環境拠点としては整備しているというところで、ちょっと私の答えは止めさせていただければと思います。

【北川委員】
  非常に重要だと思いますので、こういう例でもってしてやっていかないと、一般的には論文じゃない、もっと貢献するようなことをやりなさいと言うんですけど、やっぱり成功例がないとなかなか伝わっていかないので、是非よろしくお願いします。

【中間評価検討会主査(澤岡)】
  私がそういうことを述べる立場にはないんですが、今、PDが空席になっておりますが、このPDは橋本先生が担当されていたんですが、現在、総合科学技術・イノベーション会議の議員をやっておられる。今のような問題を解決する中核機関が総合科学技術会議で、その議員になっておられて、橋本先生は今その関係で、どうしてもPDはできないということですが、非常に精通して、連絡もとっておられますので、きょうのことはよくお考えになって、多分、政策にも反映していただけると思いますし、きょうの意見が出たということはPOの方から伝えて、むしろこれは総合科学技術会議で重要課題として取り上げるべきだと、そうだと言うと思うんですが、余計なことですが、申し上げました。

【川合主査】
  曽根委員は何か、今のことで。

【曽根委員】
  海外の人の関係ですけど、ここは、新しい建物、両ウィング、片方がWPI、片方がナノグリーン。それで、このナノグリーンの方は、産業界と一緒になってやるというところにかなりウエートを置いています。そういう意味で海外の人は、WPIの方とは大分違って、基本的には、産業界も入っているということがあって、そんなに多くはないです。
  むしろ今、説明のあったように、NIMSそのものに国際部門があって、ICYS、ここの、こういった電池関係ですとか太陽光も含めてですけど、そういったものに突出したNIMSの職員は海外のメンバーも入っていると。そういう意味では、海外の人の比率はそんなに多くはないと思います。
  それから、あと、そうですね、若手をどう触発するかということに関しては、魚崎さんも、あるいは我々も非常に腐心していまして、その1つの解ですけれども、いろんな賞を積極的に与える、シンポジウムを積極的に開く、そういうことをやっていますし、また、ここは基礎基盤のところにウエートが拠点としてはありますので、論文も、そういう意味では非常に重要なアウトプットということになっています。

【川合主査】
  いかがでしょうか。御質問はありましたけど、この内容に関して特に異議とか修正という点はありますか。よろしいですか。今後の進め方には是非御参考にしていただければと思いますが、この資料2-4-2の中間評価結果の案に関しては、特段の異議はないということで、これを研究計画・評価分科会で報告させていただきたいと思います。
  それでは、その次、中間評価の最後です。ナノテクノロジープラットフォーム事業についてです。事務局から、まず事業概要の説明、2-5-1でお願いいたします。

【長野参事官】
  資料2-5-1にございますように、ナノテクノロジープラットフォームです。これは平成24年度から開始で、今年度3年目になっております。
  この概要のところにございますように、これは研究開発のプログラムではありませんで、ナノテクノロジーに関する最先端の研究設備、全国のいろんな大学、研究機関の中に整備されているもの、これを活用するノウハウを持っているような大学、研究機関が連携しながら、全国的な共用体制を構築して、プラットフォームの形で体制づくりをすると、そういったものです。
  その中で、特に技術領域としては、微細構造解析、微細加工、分子・物質合成といった3つの領域に対応したプラットフォームを形成しております。こういったプラットフォームの体制を取りながら、産学官の利用者に対して、最先端の計測、評価、加工設備の利用機会を高度な技術支援とともに提供すると、そういった趣旨のものです。
  その中で、実際の事業の中でのポイントとしては、まず1つ目が、プラットフォームの体制を取っておりますので、そのプラットフォームの中での一体的な運営の方針を持ち、その下で企業等の利用者ニーズに迅速かつ的確に対応するといったことが1つ目です。もう一つは、ポイント2としまして、いろんな利用者のニーズを集約・分析しながら、研究現場の技術課題に対して総合的な解決方法を提供するということ。3番目に、そういった施設・設備の共用を通じた交流ということによって、産学官の連携ですとか異分野融合、人材育成を推進すると、そういったようなことがこの事業の中での趣旨となっております。
  このナノテクノロジープラットフォームにつきましては、平成24年度開始ですが、この前進ナノテクネット、そのまた前進ということで、関係の共用に係る事業は実施されてきたところですけれども、今回、ナノプラにつきましては、課金制度を導入するですとか、プラットフォームという形で、全国規模で、きちっと良質な、高度な技術支援を持ったサービスができるようにしているといったところが、この事業での新しい取組と理解しています。
  以上です。

【川合主査】
  どうもありがとうございます。
  続いて、中間評価の結果案、2-5-2ですが、それについての審議を行いたいと思います。大林委員がこの事業の運営統括会議の構成員を務められておりますので、大林委員より御報告をお願いいたします。

【大林委員】
  本日、この中間評価の主査を務められます大泊先生が御欠席なので、代わりまして大林が御報告させていただきます。
  本事業は、11ページ、12ページのところをごらんいただくと分かると思いますが、非常に多数の大学、研究機関が結集いたしましてプログラムを組んでおりますので、これらの機関がばらばらではなくて、有機的に結合した活動ができるということを構成していくことが非常に重要です。この3年間で、全国的にもカバーした体制作りから始めまして、実質的な活動が軌道に乗ってきたのではないかと評価しております。
  微細構造解析、それから微細加工、分子・物質合成と、3つの領域があるのですけれども、その支援件数は、先ほどありましたナノネットで最終的に恒常的な支援件数があったんですけど、それに対してこの3年間でおよそ2倍以上の支援件数が行われてくるように発展しております。
  それから、この事業を行うことによりまして、先端的な非常に高度な設備を共用できるということ、それから、それによりまして新しい新技術ができてくるとか、あるいは異分野の研究者が交流できること、医学とか薬学とか、いろんなこれまでとは違った共用の過程ができまして、それで、新たな知の創出ができてきているということ、あるいは、共同研究等が盛んになってきたということです。
  それに加えまして、従来、研究計画、新しい研究提案の場合には、それぞれの研究チームが自前で一式の装置をそろえるというような案、プランが出てきたようなんですけれども、この高度の共同設備ができたことによりまして、そのようなことは、一般的な設備は除いて固有の設備に特化したような、共用設備の利用を前提とした提案が出てきているということです。
  それから、この事業で各領域にコーディネーターを設けておりまして、そこのコーディネーターが、利用者のサイドに立って、どこへ何を持っていけばいいかというような目配りをすると同時に、あるいは、コーディネーターを通じて最適の機関にテーマを振るとか、あるいは、機関同士の間でテーマを送り合うとか、そういう有機的な行動が取られるようになってきております。
  それで、先ほども出ましたけれども、これを実際に実行しています支援者、あるいは技術者なんですけれども、最先端の設備機器を非常に高度に駆使するという能力の高い技術支援者が必要なのですけれども、今のところ、最初それぞれに引っ張ってきているんですけれども、今後これを10年間継続して発展させていくためには、技術支援者を育成、あるいは確保、それからさらに、その人たちの処遇の改善とかキャリアパスの構築とかが是非必要であろうと考えられます。
  それから、研究設備の共用がかなり進んできたということで、先ほども申しましたように、自前で何もかもそろえるのではなくて、それを利用することによって研究費の効率的な活用、あるいは設備の稼働時間が現実に向上するとか、あるいは共用を通じて他分野の研究者が相互に触れ合うということから、異分野融合、あるいはイノベーションが促進されているように考えられます。
  それから、この高度な共用設備が誰でも使えるというような状況ですので、新たに研究チームをスタートした人とか、あるいは新たな研究を始めた人、あるいはまだこれからの人……、若手で研究をスタートする人たちが、その技術にノウハウを持っていなかったとしても、有効な共用の設備を提供できるということで、非常に有効な研究環境が構築されたと考えております。
  それから、各、今の3つの分野にそれぞれ代表機関がありまして、そこが全国的に散らばっている各大学、研究機関を一まとめにうまくまとめ上げまして、そこに統一的な運用とか、あるいはいろんな調整をしておるということで、従来に増して、非常に全国的に有効な組織作りができていると考えております。
  以上述べましたように、研究、それから研究設備の効率的利用が促進されるし、それから、異分野融合、イノベーションが推進できるということから、この事業は大変有用であると思いますけれども、この有用な方式を今後も引き続き持続・発展させていくことが重要ではないかと考えます。さらに、10年間この事業を継続していくとなりますと、担当者とか、それから実際の技術者が交代していく、あるいはキャリアを踏んでどこかへ出かけていくということがございますし、それから、管理者の方、大学当局の方も変わっていくということですので、この意義をずっと、これに関わる人たちの間でその必要性とか使命とか、そういうものを再確認し、引き継いでいきまして、この事業が共用の文化というところにまで発展し、その一層の発展が原動力となることが期待されております。
  それで、特にこの事業を推進していくに当たって、大学の先生方に、あるいは若手の大学の研究者にかなりの負担がかかっているケースもございまして、先ほどもありましたように、若手の研究者を論文ベースだけで評価するとなると、「これ、私、やらない、行かない」、「私、やりたくないよ」という人も出てくる可能性もございまして、是非こういうことに貢献しているというポイントが評価されるような仕組みを、考えていかなければならないのではないかと思います。
  それから、もう一つ、この事業を民間についても活用していただくということで、外に向かって発信をしているわけですけれども、センター機関というものを、先ほどの3つの構造の上にもう一つ設けていまして、そこがウエブをつくったり、どなたでもこの設備に入って、そこに相談すれば、どこかにつながるというワンストップサービスが可能になるような取組をやっておりまして、今後もさらにそれを維持・発展させていくことが、共用という仕組みの発展につながっていくと考えています。
  以上です。

【川合主査】
  どうもありがとうございました。
  これのPOとして何かコメントがありましたら。

【PO(永野)】
  POを仰せつかっておりますJSTの永野です。
  現在、POは、私の隣におります田中さんとの2名体制で、今年度からやらせていただいております。役割としては、田中さんは、企業におられながら、特に財務面、資金面の専門性が非常に高い見識、知識、御経験をお持ちですので、そういった面で彼にやっていただいて、私は、技術面、仕組みの面でやらせていただいております。
  ごく簡潔に3点だけ申し上げます。
  1点目は、この事業、3年を経て、驚くべき成長を遂げているということであります。昨年度で全体2,600件余りの利用、今年度は恐らく3,000件から4,000件に迫る利用に上るということで、潜在的な利用ニーズが極めて高いという状態で、これは、ヒト・モノ・カネの新しい関係がこういった状況を生み出しているのであろうと。ヒトというのは、高度な専門技術者を直接雇用しているということでありまして、100名弱の技術者が専任でこのユーザーサポート、ユーザーに対するサービスを提供するということをしているということ、その彼らが、最先端の装置群、例えば電子顕微鏡であるとか、また電子線描画装置といった、通常ですとプロフェッショナルな知識がかなり求められるものに、すぐ利用に供するようなことを維持していってくれているということ、そして、お金ということでは財源なんですが、文科省事業としての予算、それから各地の実施機関が自己負担によってこの事業に割いている予算、そして利用課金、この3つが重なって事業全体の規模を構成しているということでありまして、こういった、いわば研究開発の新しいエコシステムとして、まだ3年という道半ばでありますが、既に根付きつつあるということが1点目です。
  2点目は、全国37機関あるわけですけれども、この37機関が全国でつながっているということ。これ、何がつながっているかというと、利用課題がその37機関に流れ、そして解決策が流れるということで、ある地方のところに持ち込まれた利用課題が、そこで対応できない場合は、ほかの全国のあらゆる機関が、うちの測定装置だったら対応できます、うちの加工装置だったら解決できますということで、37機関がネットワークでつながっているということで、これは新しい出会いから新しい共同の研究、共同の開発、そしてビジネスプランというところにまでもって、そういう全国のつながりというのが非常に大きな展開であると。
  最後の3点目が、今後の課題として認識していることなんですが、10年後、どういう状態を目指すのかというので、これ、37機関それぞれによって事情は違いますが、日本全体としてのこの共用の仕組みと研究開発の新しいエコシステムを、どういう状態を目指していくのかというのを具体的に描いて、共有しながらやっていくということが必要であると。
  そして、もう1点の課題が、国際的なビジビリティーをどうしていくか。こういったものを国際的に日本が用意していると。場合によっては海外からの利用に対して応えていく。それによって日本の技術ポテンシャルが認められて、日本に新しい技術を導入する、またビジネスを展開するとか、そういったことが考えられますので、今後の国際対応と、目指す状態をどうしていくかということが大きな課題ではないかということで認識しております。
  以上です。

【川合主査】
  どうもありがとうございました。
  これは10年事業で3年目ですので、これから十分発展の余地があるということだと思います。これに関して……、これというのは、特に中間評価結果の案に関して御意見や御質問をお願いいたします。
  どうぞ。

【小林委員】
  先ほど……、今POの方から御説明があったところですと、技術支援とかその辺は100名ぐらいの方がいて、非常にすばらしく、うまくいっているというようなお話だったんですが、大林委員の方からは、大学の先生とか、それから若手研究者の方にはかなりの負担は行っているというようなお話もありましたので、ちょっとその辺は矛盾するところもあるかなというような感じがしたんですが。

【PO(永野)】
  これは、利用ニーズがどんどん拡大して、つまり3,000件を数えるような利用の申請、是非これを使って研究をやりたい、技術開発をしたいという方に対して、それに対応できるリソースの側とのバランスの問題であります。
  1人の技術支援者、高度技術者が、どれだけの利用件数に対して対応できるかと、この状況が、実は今御指摘ありましたことに答えますと、飽和しつつあるんですね。1人の人が年間どれだけのサービスを提供できるのか、それに対して必要な技術者リソースというのが、今、限界が見えつつあると。この状況で事業全体の規模をどうしていくのか。つまり今後は、場合によっては断らなきゃいけないケースというのが出てくるかもしれないんですね。そのときに質を担保しながらさばいていけるのか。
  そういった問題と、技術サービスを行っている専門家の方々、これは、ある割合の方はもうPh.Dを保有している技術者ですけれども、彼ら自身が、この10年間の間に次の自身のポジションとしてどう展開していくのか。中には、自分は一生こうやって技術のプロとしてやっていきたいのであるというふうに表明しておられる方も結構いらっしゃるんですね。これは、本当に若い方であってもそういうことを表明される。しかし、その方々が、いわゆる持続的にこういった仕組みの中でやっていっていただくには、ある規模感が全国で必要なのではないかと思っておりまして、今、新しい動きとして見えているのは、例えば地方のある大学にこの事業で採用されている技術者の方が、別のプラットフォームの実施機関に転勤する、異動するということが実際に起きてきていたりするんですね。そうしますと、技術者が全国的にある種の流動をしていく、こういうことが本当にできるのかどうかということが、これから本格的に考えなきゃいけない時期に来ているのではないかと思っています。

【小林委員】
  大型施設とか、そういうものの利用に関しまして、やはり技術支援がどれぐらい十分かということが、その機関の利用がどれぐらいうまくいくか、有効であるかということに関わってくると思うので、今言われたようなことを是非これから十分に検討されて、よいものにしていただきたいと思っています。

【川合主査】
  はい、どうぞ。

【岡野委員】
  こういうプラットフォームができることで、従来解析できなかったこと、分からなかったことが、どんどん手軽にやれるということで、日本に新しい出口が出てくるということでは、非常にいいプラットフォームができつつあるなというふうに感じるわけで、利用者数がどんどん増大していくという、これもいい装置がどんどん入ってきて、ここへ行けば何かいろいろ見られるといえば、これは当然お金を使っているわけですから、増大しているのは全然……、1つの成果ではありますが、そこが最終の評価の決め手ではないと。
  それで、どこを最終的な効果の評価にするのかということをちょっと考えてほしいのが、使っている人が増えているからいいんだじゃなくて、やっぱり効果をどういうふうに上げて、日本の工業生産性にどう貢献していくかという本質的な問題が、今、欠けているように思うんですね。これを、今後この事業をやっていく中で、どういうふうにデータを取っていくかということを放っぽらかして、解析してあげて、どんどん出ていったから終わりだというふうにしておくと、数だけしか出てきません。ですから、今後、このプラットフォームがどういうふうに効果を上げていったかというのを、いろんなところが単に測定だけやらせてもらうというところよりも、そういうことも一体になって、効果を一緒にフォローアップできるような仕組みを作っていくと。
  その技術者というのは、単に今、測定するだけが技術者のような議論になっていますけど、そういう中で、やっぱりどういうふうに技術が展開されていくかということをちゃんと把握できるような人であれば、これはもう企業の中でも、あるいは大学の中でも、極めて高い技術性を持った人として生き延びていけると思うんです。
  ですから、人のソフト面が非常に欠けている。ですから、ハード面の装置を、いいものを入れて測定するということに加えて、人、あるいはアイデア、あるいは将来に向けて、効果をしっかり把握していくような仕組みを是非考えていただきたいなと思います。よろしくお願いします。

【川合主査】
  御指摘はもうそのとおりだと思うので。
  何か。

【PO(永野)】
  まさしく最も重要な御指摘でありまして、その部分は常に考えながら、導入しようとしております。フォローアップ、大きな視点としては2つあって、1つは、企業からの利用のあったもののフォローアップを、少ない自己資金、又はスタートアップ段階のものを、どうやってその後、自社で事業展開していったのか、その事業展開の波及効果をフォローアップするのが1点。
  もう一つは、大学や独法からの利用の場合は、いわゆるビジネスとしての利用ではなくて、彼ら自身の研究課題の利用、そのフォローアップというのがあるわけですけれども、彼らは、いわゆる科研費であるとかJST、NEDO等の競争的資金を使いながら利用するわけですね。そうしますと、その競争的資金の中で、こういうプラットフォームを使って成果を上げた。そちらで成果として還付されるわけですよね。そういったものは、プラットフォームのこの仕組みがあったからこそ生み出された成果というものを、同定してフォローアップしていく、そういう仕組みを入れていきたいということを考えております。これの両方をやりながら、事業全体の波及効果と目指すところの相関を取って考えていこうということを、今やっていこうとしています。

【川合主査】
  それでは、先に射場委員。

【射場委員】
  今のに関連する意見なんですけど、先ほどナノ環境も同じようなステータスで、民間が課題を持ち込んだときは、その結果はきっとクローズで持ち帰りたいと言うと思うんですよね。その結果は、それはそれでいいと思うんですけど、その中で、ただ単に持ち込んですぐに解析できるわけでなくて、解析技術も開発しているはずなので、そこを基盤技術として引き出す。そこは解析なんだからいいじゃないのと言って、そうやって民間が1個解析することによってだんだん共通基盤技術が大きくなっていくような、そういうマネジメントを積極的にしていかないといかんと思う。自然にもう大分やられていると思うんですよね。ここでやった評価セルをこっちで使いましょうみたいなのは、現場ではいろいろやっているんだけど、上からのマネジメントでそういうのを積極的にやっていくような仕組みを考えられるといいんじゃないかと思うので。

【PO(永野)】
  まさしくおっしゃるとおりでありまして、いわゆる息の長い利用、つまり1回きりではなくて、例えば半年とか年単位の利用の中で、実施機関サイドで新しい技術が開発されていくということが幾つも起きています。それを技術として具体的にほかの機関にも展開していくとか、そこから、関連していた装置メーカーが新しい製品のプロトタイムを作っていく、そういった展開が幾つか出てきておりますので、こういったものを展開していく仕組みを入れていくということを考えていくと。

【射場委員】
  多分、事例はいろいろあると思うので、目標を決めて、ここまでやるぞみたいにやってもいいかと思うので、お願いします。

【川合主査】
  それでは、時間があともう数分しかありませんので、なるべく短めでよろしくお願いします。

【田中委員】
  このプログラムは結構歴史的な経緯がありまして、今の議論はもう十分にされてきているんですよね。そして、担当者の方々は、そのことをかなり理解しているということは、ちょっと了解していただきたいと思います。
  それから、こういう政策といいますか、科学技術政策を進める上で非常に重要な問題として、最近、上山隆大さんが指摘しておりますけど、歴史的な視点と、それからインセンティブメカニズムを必ずそこへくっつける、この2つが重要であるということを言っています。
  その観点からちょっと申し上げますけれども、まず、歴史的というのは、過去10年――これの前に2つのプログラムを合わせますと、10年の経験があるわけです。その意味では先ほど申し上げたように、十分にその上に立って、そして国際的な動きと見合せた上で、今、最大限の努力をしていると。ただし、その上で、かなりいろいろな問題が実はあるわけです、先ほど指摘されたようにですね。インセンティブの面で言いますと、とにかく予算を、国家の投資を効率化しないといけないということはあるわけで、その意味では、このようなプラットフォームが成功するというのは、日本の今後の科学技術政策にとって極めて重要なわけです。その意味で、インセンティブは極めて大きいということは第1点です。
  それから、こういうものを進める上において、何よりも最近の政策の中で言いますと、地域創生ということと結び付いている。これは前回、あるいは前々回で議論したことです。そういうものと政策的にうまくカップリングして、そして、地域創生の実際、具体的な形として、こういうものが、大学が産業をエンカレッジするとか、あるいは、大学自身の新しい使命として社会への直接的な貢献と、そういったものを評価の中に入れる。先ほど、大林さんなんかも話がありましたけれども、そういったことを今後の政策の中に十分入れていっていただきたいなと思うわけです。
  その意味で、今まで、重要なのは、効率化の面からしますと、課金制を成功させて自立化するということが一番重要なわけです。その面で大きな進展があったということは、私はセンターの機関からも聞いておりますし、またPO、PDからも聞いております。これは、評価書の中に、数行でもいいから、きちっと入れておいていただくというのが多分重要ではないかと思います。
  それから、最後ですけれども、これは中国の漢籍によくありますけれども、守成は創業よりかたしと言っておりまして、新しいものを作り上げて発信するというのはなかなか大変なんですが、それ以上に、その精神を維持し発展させることはもっと重要。先ほど大林さんもそれに近いことを言っておられましたけれども、そちらの方がはるかに重要で、この10年間、これを成功させるかどうかというのは、今後の国家投資の効率化や、あるいは地方の企業のエンカレッジという面からしても極めて重要なので、そのことは数行でもいいから入れていただいたらいいんじゃないかなと思います。
  そのような意味で、こういったものの制度のエンカレッジメントとか、あるいはウォッチング、そういったものをうんと続けていただきたいということと、そのために必要な仕組みの改善があれば、それはスピード感を持って大胆に行っていただきたいと思います。

【川合主査】
  そうしたら、もう時間ですので、本当に短く。

【五十嵐委員】
  30秒で。課題採択のハードルを上げないでほしいんです。件数が多いから断るじゃなくて、中小企業とか地域で、レベルは低い課題だけれども、それをやることで本当にイノベーションができる課題もありますので、それを是非やっていただきたい。それから、海外からの採択というのは、そういう状況もあるので、ちょっと慎重に考えていただきたいなと、そのように思います。
  以上です。

【川合主査】
  じゃあ、また一言で。

【栗原委員】
  私も質問もあったんですけど、簡単に、時間がないようなので。異分野の研究の交流による新たな知の創出というのは、プラットフォームをやっていらっしゃる方と利用者という場合と、利用者同士というのがあるかもしれないんですけれども、やはり従来でしたら、ここにある装置を使わないような分野の人が、今、中小企業もありますけれども、例えばバイオ分野で、あるいは農学とか、そういう分野で、使っていない人たちが最先端の装置へアクセスできて、新しい知が創出できるというのは非常に大事だと思いますので、そういうような視点で統計情報等も取られると、意義がより明確になるのではないかと感じました。

【川合主査】
  どうもありがとうございます。
  この中間評価結果の案の文章に関してですが、ちょっと私の方から1つ最後に申し上げたいのは、13ページの進捗状況も、すごく抽象的に書かれていますよね。「支援件数は着実に増加し」、「利用機会を着実に拡大させている」と。これ、先ほどあったように、例えば初年度何件、それからその次何件、それで2006年は3,000件になったとか、はっきりとちゃんと書かれた方が評価しやすいと思います。それで、ここの全体の文章を見ても、ナノテクのプラットのミッションというのは、田中先生がおっしゃったように、かなりもう議論がはっきりしていますので、それに対して今どういうふうな進捗をしているかという書き方をしていただいた方が分かりやすいと思います。
  それから、14ページが、ちょっとこれは問題じゃないかなと思うんですが、(2)の下の文章を見ると、ほとんどが「今後更なる検討が必要である」とか、ウエブサイトが「一層の利便性が求められる」とか、「必要である」とか、そういうのがざーっと並んでいて、一般的だと、A、B、C、Dという評価をするとBかCぐらいの印象になってしまうので、ここのところで具体的に今後――今、中間評価なので――何をしてどう改善するのが望まれるというようなことをきちんと書くと、非常に見やすいんじゃないかなと思います。答えの出ていないのもあるかもしれませんが。
  そういう意味で、幾つか御意見が出たのもベースに、この13、14のところを少し修正……、少しというか、できればちょっと修正を図りたいなと思いますが。

【岡野委員】
  大枠の話ですか。

【川合主査】
  はい。大枠としては、皆さん、大変よく頑張ってやっているというのは一致していますので、そういうのに合うような形で、うまく中間評価の評が書ければいいかなと思っています。
  よろしいでしょうか。ちょうど12時になってしまいましたので、今まで出ましたいろんな御意見ですね、修正を検討して、その修正をした上で、研究計画・評価分科会で報告させていただきたいと思います。
  ということで、最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。

【長野参事官】
  まず、事務連絡ですけれども、本日の委員会の議事録につきましては、委員の先生方に御確認の上、文科省ホームページに公開させていただくというふうに進めさせていただければと思います。
  また、本日、中間評価の結果案につきまして、特に東北発プロジェクト、ナノプラを中心にコメントが出されておりますので、その修正につきましては、主査に御相談しながら進めさせていただければと思います。
  最後になりますけれども、今回の委員会は第7期の科学技術・学術審議会の当委員会の最終回ということになります。先生方、本当にどうもありがとうございました。最後の機会になりますので、当事務局の方から、安藤審議官より御挨拶させていただければと思います。

【安藤審議官】
  安藤です。遅れて参りまして、大変申し訳ございません。
  7期のナノテク・材料の科学技術委員会ですけれども、本日でひとまず最後という区切りです。川合主査をはじめとしまして、皆様方、本当にお忙しい中、精力的に議論を頂きました。2年間で10回と聞いていますけれども、審議を頂きました。非常に重要な点を取りまとめていただきまして、きょうも資料としてお配りさせていただいていますけれども、ナノテクノロジー・材料科学技術の研究開発方策の中間取りまとめも、限られた時間の中で精力的に御審議いただいて、まとめていただきました。第5期の科学技術基本計画の検討が進む中でこれをまとめていただいたことは、非常に感謝を申し上げたいと思います。
  来期ですけれども、まだまだナノテクノロジー・材料の研究開発をめぐりましては、いろいろ課題、問題がございますので、引き続きこの委員会、そして参加いただく委員の先生方にも、いろいろ企画立案、多方面にわたって御支援と御指導を賜りたいと思っております。本当にこの委員会への御参加につきまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

【川合主査】
  どうもありがとうございました。
  では、これで閉会いたします。

‐了‐

お問合せ先

研究振興局参事官付

後藤裕
電話番号:内線(4100)