第4期ナノテクノロジー・材料委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成19年12月20日(木曜日) 19時~21時

2.場所

三菱ビル 地下1階 M1会議室

3.出席者

委員

 榊主査、井上委員、潮田委員、遠藤委員、大泊委員、長我部委員、片岡委員、川合委員、岸委員、栗原委員、小長井委員、横山委員

文部科学省

 藤木大臣官房審議官、大竹基礎基盤研究課長、高橋ナノテクノロジー・材料開発推進室長、関根情報科学技術研究企画官、下岡ナノテクノロジー・材料開発推進室室長補佐 他

オブザーバー

(委員外)
 平田分子科学研究所教授、臼井科学技術振興機構審議役

4.議事録

【高橋室長】
 すみません、時間もございますので、そろそろ会議を始めたいと思います。
 本日は、遅い時間に、ご多忙のところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日、第5回のナノテクノロジー・材料委員会でございますが、実は先般、JSTの理事長に北澤先生がご就任されまして、北澤先生のほうから当委員会の主査につきまして交代したいというお申し出が、私どものほうにございました。私どものほうで運営規則に従いまして、研究計画評価分科会の澤岡会長ともご相談をいたしまして、榊先生を当委員会の主査ということで澤岡先生からご指名をいただいております。
 それでは、本日から榊先生に主査をお願いするということでございますので、先生、一言お願いいたします。

【榊主査】
 今、室長からご説明がありましたように、北澤先生がどうしても委員長の任を続けることができないということで私に数週間前に打診がございまして、私といたしましては、大変力量不足の上に、最近、時間不足も手伝いまして、大変懸念をしていることを申し上げましたけれども、委員会全体としてチームワークよく協力をしてもらえるはずだからというようなお話もございましたので、非力ながら引き受けさせていただきました。どうか皆様、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。なかなか北澤先生のような形にはまいりませんけれども、遠慮なくいろいろ不足の部分をご指摘いただいて支障がないように図ってまいりたいと、そんなふうに思っております。どうかよろしくご支援をいただけますようにお願いいたします。

【高橋室長】
 それでは、引き続きまして榊先生のほうに進行をお願いいたします。

【榊主査】
 それでは、きょうは、お手元の議事次第にありますように、JSTの戦略的創造研究推進事業の研究領域についての話と、もう1つは、次世代ナノ統合シミュレーションソフトウエア、これはスーパーコンピュータとの絡みで進んでおりますことにつきましてご発表いただいて、いろいろ意見交換をするというのが、2つの大きな議題になっております。これに沿ってまいりたいと思います。
 それでは、まず事務局から委員の出欠状況及びお手元の資料の確認をお願いしたいと思います。

【下岡補佐】
 本日ご出席いただいています先生方の出席の確認及び資料の確認をさせていただきます。
 五十音順に失礼いたしますが、井上委員、潮田委員、遠藤委員、長我部委員、片岡委員、榊主査、川合委員、岸委員、栗原委員、小長井委員。ほかの先生方は、ちょっとおくれている先生方がいらっしゃいますが、そのうちいらっしゃると思います。本日ご欠席の連絡をいただいている先生方でございますが、魚崎委員、岡野委員、北澤委員、竹山委員、田島委員、田中委員、樽茶委員となっております。横山委員は、後ほどおくれていらっしゃるとの連絡をいただいております。
 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 配付資料の資料1でございますが、こちらは前回の会議の議事録でございます。資料2でございますが、JST「戦略的創造研究推進事業」のナノ・材料関連分野の研究領域についてでございます。資料3‐1でございますが、「次世代スーパーコンピュータの開発・利用」プロジェクトの概要でございます。資料3‐2、「次世代ナノ統合シミュレーションソフトウエアの研究開発‐ナノ分野グランドチャレンジ‐」でございます。参考資料といたしまして、経済産業省ナノテクノロジー政策委員会の設置についてを配付させていただいております。欠落等ございましたら、事務局までお知らせください。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 それでは、まず前回の第4回のナノテクノロジー・材料委員会の議事録の確認をさせていただきたいと思います。資料1、先ほどお話がありましたように、委員会の議事録の案がございます。これを後ほどごらんいただきまして、修正の必要がある点が見つかれば、1月10日までに事務局にご連絡をお願いしたいということでございます。よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、早速、議事の(1)に入ってまいりたいと思います。議事の(1)は、先ほど申しましたように、JSTの「戦略的創造研究推進事業」のナノ・材料関連分野の研究領域についてでございます。ご承知のとおりに、平成14年でしょうか、ナノテクノロジー分野別のバーチャルラボが開始されまして、ナノテクノロジー・材料分野の研究の推進に非常に大きな貢献があったかと思いますが、これが本年の19年度をもって終了いたします。しかしながら、このバーチャルラボ以外にナノテクノロジー及び材料分野に関連したCRESTやさきがけが既に複数設定されておりまして、来年度以降はこれらのプロジェクトを通じまして推進することになります。JSTの領域全体を見ましてこれを運営していく必要がありますので、本日は臼井審議役においでいただきまして、バーチャルラボの経緯・経験を踏まえた上で、今後の運営についてお考えを伺いたいというふうに考えております。
 それでは、臼井さん、よろしくお願いいたします。

【臼井審議役】
 私、JSTのほうで基礎研究全体のお世話をしております臼井と申します。本日は、時間をいただきまして、現在進めておりますナノテク関係の状況についてご報告させていただきます。座ってやってよろしいでしょうか。
 お手元に資料2という非常に簡単な資料、3枚組みのものがございますので、これを使いながらご説明してまいります。
 今、榊先生のほうからもお話がございましたように、平成14年度にナノテクバーチャルラボという形で10領域動き始めました。その際、私たちの戦略にしても、さきがけ事業にしても、実は国のほうから戦略目標というものをちょうだいしていまして、その戦略目標を達成するために領域を設定して進めるという形になっていました。平成14年度に実は3つの戦略目標をちょうだいしました。1つはデバイス材料関係の戦略目標でございます。これに基づきまして設定されました領域が、お手元の資料の1枚目の1から4が実はデバイス材料関係で設定されました領域でございます。その次の5から7までが、ナノバイオテクノロジーというんでしょうか、ナノバイオ絡みの戦略目標のもとにつくられた領域でございます。8番目と9番目が環境エネルギー関係と、こうなっております。もう1つ、10番目のこれは、それを全体的に横断的に、さきがけという形の領域をつくっていろいろ研究をやっていこうということで、これは3つの目標に横断的でございました。こういう形で平成14年度に始まりまして、この資料にございますように、領域名、研究総括の名前、一番上に榊先生のお名前が出ておりますが、こういう形でそれぞれの研究総括にお願いしまして、課題数というのは、実はその領域で採択されました課題をここに書いてございます。で、14年度から19年度までの5年間、研究を進めさせていただいたわけでございます。これまで、研究総括の先生方、また選ばれた研究代表者の皆さん方の大変なご努力でいろいろな成果が上がってきたのではないかなと思っている次第でございます。実はこの19年度末、来年3月にこのナノテクバーチャルラボ全体が終わるということでございます。現在、このナノテクバーチャルラボにつきましては、終わります研究課題についての課題評価、課題の事後評価は既に終わってございます。来年2月から3月にかけまして、領域の事業評価、この研究領域そのものがどうだったかということで領域の事業評価を行うことになっております。こういう形で一応事業を終了に向けて進めている次第でございます。
 それ以外に、ここで大変いろんな成果が生まれたわけでございますので、これをできるだけ広く皆さん方にお知らせして、できるだけその次のフェーズに持っていきたいということもございまして、実はこの10領域全体を一応3つのシンポジウムに分けまして、その研究成果などを皆さん方にお知らせするということで進めております。お手元の資料の一番厚い、この色でございますが、「ナノテク・未来への挑戦」、これは実は11月29日に開催いたしましたシンポジウムの要旨集でございました。この日、横浜のほうでやったんですが、大変たくさんの方がお越しいただきまして、立ち見の席が出るくらい大変大入りになったと。600を超える人たちがお見えになったんですが、その中の4割を超えるくらいが企業の方だったということで、企業の方にも大変関心を持ってもらえているんじゃないかなという感じがいたします。こういう形でまず環境エネルギー関係をやりまして、来年の1月11日に物理系の領域、それから1月22日にバイオテクノロジー関係と、こういう形で終了に向けたシンポジウムをやっていくという形で今進めている次第でございます。
 もう一つ、私たちにとってはここで生まれました成果をどう次のフェーズにつなげていくかということが大変重要でございまして、この間、NEDOの担当の方にお越しいただいて制度をいろいろご説明いただいて、そういうものに何とかつなげていけないかと、こんな努力もしておりますし、また、もう一つ、JST自身でいろんな技術移転のプログラムを持っておりますので、こういうJSTのプログラムにも何とか乗るものがないだろうかということで、そういう成果を次のフェーズに持っていくためのいろんな努力を今している最中でございます。
 こういう形でナノテクバーチャルラボのほうは終わるわけでございますが、お手元の資料の下のほうに、バーチャルラボの下のほうに緑色で組んでいるところがございますが、11番目以降でございます。これにつきましては、やはり文部科学省のほうから戦略目標をちょうだいして動いているものでございます。実は、このナノバーチャルラボが始まるときに19年度末ですべて終わるということは予定でございましたので、そこで終わってしまってその後続かないようですと、これは大きな問題だということで、文部科学省の材料室ともいろいろご相談しながら、ナノテク絡みの目標をちょうだいしまして、16年度からCREST、さきがけという形でいろいろ進めてきております。この11から17まで今やってきておりまして、下のほうにございます次世代エレクトロニクスとか、その下の革新デバイス、これは平成19年度に始まりました新しい領域でございます。こういう形で領域を設定していろいろ、たくさんの応募の中からすばらしい提案を採択させていただきまして研究を推進しているというのが、今の状況でございます。
 ナノバーチャルラボのほうはこれで終わるわけでございますが、私たちとしてはナノ関係の領域につきましてはこれからもいろいろ積極的に取り組まねばならんなと思っておるところでございまして、いろんなことを考えているんですが、ただ一つ、ナノバーチャルラボと違いますのは、発足年次がそれぞれ違うわけでございます。ですから、領域によって進みぐあいもそれぞれみんな違っているものですから、ナノバーチャルラボのようにまとめてやっていくというのはなかなか難しいところが若干ございます。ただ、やはり大変重要でございますので、例えば領域間の情報交換を密にするとか、それから、場合によっては領域をまたいで共同でシンポジウムをやるとか、そういうことも含めてやっていきたいと思っています。
 それから、それ以外に、研究所のほうのご希望もあるんですが、できればその領域の中でいろいろやられている中でいろんな関連を持った研究テーマというのはいっぱいあるわけでございますので、こういうものをできるだけナノテク全体としてうまく研究を進めて、いい成果につながるように、何とかそのあたりを上手にやっていきたいなと思っていまして、場合によっては総括の先生方にお集まりいただく、そういう会を設けたり、また、研究者同士が連携をとったりするような会議の場を設けるとか、いろんなこともこれから工夫していきたいなと思っている次第でございます。
 そういうことで、これからこういう形で進めてまいりたいと思いますので、この委員会の先生方にもいろんな面でアドバイスをいただいたり、ご指導いただきながら、トータルとしてナノテクをやっていてよかったというふうに評価をいただけるように持っていきたいと思っている次第でございます。
 そういうことで、これからも進めてまいりますが、平成20年度以降もできれば新しい戦略目標をちょうだいして、ナノテク関係の領域を立て、進めていきたいものだというふうに思っている次第でございます。今後ともひとつよろしくお願いいたします。
 非常に簡単でございますが、今の状況をご報告いたしました。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 それでは、これから今のご説明についてご意見やご質問をちょうだいしたいと思いますけれども、ちょっと私から1つ確認をさせていただきたいんですが、バーチャルラボの場合には一斉に発足して、たしか梶村先生と相澤先生のほうはちょっと先行していたしましたけれども、それ以外は全部一斉にスタートして、ある年に全部採択してずっと続くという形であったかと思うんですけれども、継続、後続の幾つかのものはちゃんと3年間採択をするような形になっているというふうに、もう一遍ちょっと確認させていただいてよろしいでしょうか。

【臼井審議役】
 先生ご指摘のとおりでございまして、16年度以降新しくスタートしましたナノテク関係の領域は、CRESTもさきがけも3年間募集をするという形で動かせております。ですから、終わる時期がどんどんずれてくるような形になりますが、この資料では、最後に選ばれた方が終わるまで、色で塗りつぶしてございます。

【榊主査】
 ということですね。わかりました。
 それから、規模を把握するために課題数というのが、例えば今のように継続していく場合に、それぞれ、新海先生とか、堀池先生とか、渡辺先生が何年までのを勘定しておられるのか。

【臼井審議役】
 ここに書いております課題数は、現在採択されたものだけが書いてございます。ですから、例えば渡辺久恒先生のはCREST型なんですが、これは19年度に6課題採択しました。ですから、20年度、21年度という形でまた数課題ずつ選ばれていくというふうになります。

【榊主査】
 わかりました。そうしますと、この表を見ると、堀池先生も新海先生も1年ずれていますから、もう1年、選ばれる、加わるというふうに思ってよろしいですか。

【臼井審議役】
 さようでございます。20年度を一応想定しております。

【榊主査】
 わかりました。ありがとうございました。
 それでは、皆様からぜひご意見やご質問をちょうだいしたいというふうに思いますけれども、その話に入る前に、今回はJST系のバーチャルラボが中心だと思うんですけれども、ナノテク全体としますと、ナノテク支援のプログラムも5年間走って、それからまた、それの後続みたいなのが走りますね。全体のあれとしては、その辺も、高橋さんにちょっと、三、四分、概略をお話しいただいて、それからこの議論に入りたいと思うんですけれども、よろしいですか。

【高橋室長】
 はい。ナノテクの内局の予算も含めてということであるかと思いますが、ご指摘のとおり平成18年までの5年間、第2期の科学技術基本計画の考え方を受けまして、ナノテク総合支援という形で施設の共用化の施策がございました。それは、研究プロジェクトを推進するということではなくて、大学や独法の研究施設を共用化するというような、研究基盤の整備のための施策でございます。
 あと、そのほかリーディングプロジェクトというのがございまして、これは本年度をもちましてほぼ終了すると。一方、キーテクノロジーというのが新しいカテゴリーとして起こってまいりまして、これは引き続き行われていくと思いますが、例えば19年度につきましては元素戦略ということでキーテクノロジーの枠で新しい公募研究もスタートしておりますが、こちらは断続的に新しいものを立てて、プロジェクトが終了したものは終わってというような形になってございます。

【榊主査】
 ありがとうございました。大体概略が把握できたかなと思いますけれども、いろいろご質問やコメントをいただきたいと思いますが、岸先生、口火を。早過ぎるかもしれませんけれども、いろんな……。

【岸委員】
 1つ伺いたいんですけど、この緑の部分というのは、バジェットとしてはどのぐらいのことに今なっていて、これからなりそうなんでしょうか。

【臼井審議役】
 予算、これは領域の性格によってもいろいろあるのかなという感じいたしますが、標準タイプで一応考えますと、CRESTという1つの領域を立てますと、例えば年間8,000万とか9,000万クラスのテーマを1つ3年間で12件くらい採択することを想定しております。その全体の予算を計算しますと、50億をちょっと切れるぐらい。ですから、1つのCRESTの領域ですと約50億弱ぐらいが標準的なスケールじゃないかなという感じがいたします。ただ、大きいものがあったり、小さいものがあったりしますので、いろいろございます。
 さきがけのほうは、年間大体、1つの領域を設定しますと、選びますと、10人ぐらい。そうすると、3年間やりますと30人ぐらいと。1人の方が大体4,000万弱くらいと。こういう計算をしますと、30人の4,000万ですから、12億になりますか。さきがけは1つの領域を立てますとそのくらいの予算と、こんなような感じになりましょうか。
 正確に言うと、今回、さきがけで数学という領域を立てたりしていまして、ナノと違うんですが、こういうのはちょっとこじんまりしていたり、いろいろございます。

【榊主査】
 岸先生、よろしいですか。

【岸委員】
 結局は、ナノテク・材料でJSTの取り扱っているこの範囲で、全体にふえているんですか、減っているんですか。

【臼井審議役】
 おそらく、19年度でバーチャルラボのほうが終わって、今、既存で動いているもの、また新しく来るものもあるんですが、瞬間的にはちょっと、20年度は落ちるんじゃないかという感じがします。ただ、お手元の緑色、この数を全部足しますと、120くらいあるんです。ただ、さきがけの数がかなり多いものですから、そうしますと、今、19年度から全部やっていますから結構なお金になっていますが、20年度はちょっと落ちて、また新しい戦略目標をちょうだいしますと徐々にふえていくと、こんなような形かなという感じがします。
 ちなみにこのナノバーチャルラボにどれだけお金を投入したかという話で、数字がございまして、この5年間で約390億。そうすると、5年で割りますと80億ぐらい平均的に。そういうことかな。ただ、これはオーバーヘッドはあまり入ってないのか。このころはJSTでCREST、さきがけを直轄的にやっておりました。ですから、どっちかというと正味の研究費みたいな形になりますが、今、CREST、さきがけ、新しく始まるものは全部委託方式になりますと、3割、間接経費のほうにのりますので、なかなか実は大変でございます。

【榊主査】
 ありがとうございました。改めて全貌の財政規模なども結構把握できたと思いますが、ご質問、コメントをいただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
 川合先生、どうですか。

【川合委員】
 制度設計に関してなんですけど、例えばバーチャルラボをやるときは、日本のナノテクということをロードマップ的に考えて、中でどういう分野が必要かというのをこういう委員会である程度決めて、そういう中から焦点が絞られて、それでスタートしたという経緯がありますね。だから、継続性という意味だと、5年でぱしっと割るという性格ではなく、最初設計してスタートしたと思うんですね。この図をそのまま見ちゃいますと、そうやってスタートしたのが5年で終わって、ちょっと切り口を違えたものをまたスタートしているというふうにかかれているように見えます。もちろんこれ、その中にはある程度継続性を持たせてつなげることもできると思うんですが、全体の学問なり科学技術の発展性から考えると、5年で変えていって、一見真新しくするというやつだけだとまずいなというふうに思っています。やっぱりある程度、非常に大事なところというのは延ばしたり、さらに大きくしたり、小さくしたりとか、そういう継続性というのがある。その継続性というのはなかなか難しいなというふうに感じていまして、絵でもそう見えますので、JSTというのはなかなか難しい立場で、やっぱり5年ごとにやったほうが見ばえがいいんだと思いますが、そこら辺、何かあるでしょうか。

【臼井審議役】
 文部科学省さんのほうからご説明いただいたほうがいいのかもしれませんが、私たち、基本的には国のほうの戦略目標というものに基づいて、目標をいただいて、その目標を達成するのに重要と思われる分野・領域を決めていくという、まず目標が基本的にあるということがあるかと思います。実は平成13年度、この委員会に私も末席におりまして、あのころたしか25の重要なテーマというのを抽出されたということを覚えていまして、あの中からかなり重要と思われるのを10個に絞り込んだというような形でございますね。その後の戦略目標を16年度、17年度といただくときにも、あれは何か、多分いろいろ参考にされながら戦略目標というのは組まれているんじゃないかなと、私は理解してございます。おっしゃるようにJSTの場合は戦略事業ということで、やはり重点的に投入するところというのを絞り込んでやっていくという形になりますので、場合によってはそのとき、そのときに重要だと思われるところを積極的に取り上げていくということも必要じゃないかと思いますし、もう一つは、岸先生おっしゃるように重要な部分は続けていくということも大変重要だろうと。これを戦略目標をいただく中でどうつくっていくかというのは、実はなかなか悩ましいところかなという感じいたします。ちょっと私も、戦略目標のもとでやっていくという意味ではフリーハンドが少しないところもございますので……。

【川合委員】
 戦略目標は例えば文科省から与えられるとか、そういうのではなくて、実際にJSTがプロジェクトをしていくときに、ちょっと変わっちゃったり、見ばえがいいというのを選ぶと、例えば継続性がなくなったり、せっかく伸びようとしているのがとまっちゃったりとか、そういうのもあり得ると思うんですね。だから、そこら辺は少し考えて、前は、非常にいいのは、いわゆる継続のシステムがありましたよね。それは一切しないというふうになったので、より一層ケアしないといけないのかなと思っています。

【臼井審議役】
 もしかしたら、領域の立て方の問題と、もう1つは、領域が立った後、その中でどういうものを選んでいくかという、この2つなのかもしれませんね。おっしゃるようにいいテーマをできるだけ取り上げていきたいとは思っているんですが、ここあたり何かございますか。

【高橋室長】
 川合先生からご指摘の継続性ということにつきましては、私どもも、バーチャルラボをいかに発展といいますか、継続性を前提にして戦略目標を考えるようにしてございます。その中でJSTとはよく相談をして、継続性を踏まえ形で、ただ継続するんじゃなくて、より発展していけるような運営といいますか、マネジメントをお願いしますということで、最近は非常によく相談をしながらやる体制ができてきているのかなというふうに思ってございます。先生方のご指摘もまた取り入れて、今後さらに協力してやっていきたいというふうに思っております。

【榊主査】
 ありがとうございました。大変重要なお話で、おそらく川合先生がご指摘の六、七年前の検討のときには、それぞれのテーマが、出口といいますか、つながるのに10年、15年先といいますか、そういうところを考えてきたわけですけど、5年経過したときにすべて完了しているということはあり得ないわけですので、そういう形でいろんな継続的な活動がどういう形で確保できているかということは少し留意しながら点検する必要があるかと思いますが、一方で、1億円とか8,000万円クラスのお金がずっと継続しなくても、ある程度注入されているためにいろいろやれる部分もあるかというふうに思いますので、ちょっと広い観点から継続性がどういうふうに確保されているか、またいろいろコメントやご議論いただきたいと思います。
 ほかにご質問やコメントがあろうかと思います。どうぞ。

【小長井委員】
 こういう長期にわたるプロジェクトの場合、基礎研究の場合は特に目標の立て方は難しいと思うんですけど、そこら辺をどんなふうにされたのかということと、おそらく中間評価もされているのではないかと思うんですが、基礎研究の場合には2年置きにやったりすると大変だろうと思いますが、この場合にはどのように中間評価を、期間を定めてされたのかというのをちょっとお聞かせいただければと思います。

【臼井審議役】
 確かに先生のご指摘のように基礎研究、フェーズとしては基礎研究のフェーズでございますので、1年目に何をやって2年目に何をやるという、そういうマイルストーンをしっかりつくって、その達成状況を見ていくというのには合わないんじゃないかと思います。もちろん、領域を設定しまして広く募集するときに、私たち、応募書類の中に、一体その5年でどういうあたりのことまで実現したいとお考えになっているのか、また、将来それをどんなふうに展開することが期待されるのか、こんなことをいろいろ書いてもらうことにしております。そういうことで、中間段階では、やはり基礎ではあるんですが、当初その方が構想してお申しになったことに対してどれだけ進んできているのかなとか、そういうことについての中間段階。特に中間段階ではやっぱり、後半のあと半分についてどんなふうにより効率的にやっていけばいいんだろうかと。例えば研究チームの体制が少し偏っていて、もうちょっとこういう部分を入れたらいいんじゃないかとか、そんなようなアドバイスをするなり、そういう形で中間評価はやっております。
 事後評価は、当初構想としてお申しになったことに対してどれだけ近づけたかという形が一つの評価の基準かなと。ただ、基礎研究ですから、思わぬ展開があったら、それは大いに結構じゃないかと思っていますので、そういうことも含めて課題評価をやっているところでございますが、最近特に、役に立つようなものとか、時間軸が短いことが求められたりしますが、私たちとしてはやっぱり、応用研究フェーズじゃなくて基礎研究フェーズとして一応考えてございまして、そういう点で気をつけながら評価をしているというところでございます。

【榊主査】
 よろしいですか。どうぞ。

【岸委員】
 やはりそういう考えなので、平成14年には非常に重点化という感じが強かったんですね。今度のほうは、製造と界面と制御とか、非常にごく一般的なものが並んでいますね、名前は。これはやっぱり反省に立ってこういう形になったんですか。重点化をどっちかというとやめる方向かなと見えちゃうんですけどね。

【臼井審議役】
 決してそうじゃございませんで、私たち、特にJSTの場合はトップダウン型で一応やっていくということがありますし、もう一つはイノベーションに向けて技術シーズをつくり出すということがございますので、その線はきちっとしておくと。ただ、領域の表現をどうするかということはいろいろありまして、お手元にあるように、ナノ製造なんて、これは実は堀池先生にお願いしている領域ですが、これは将来の製造技術につながっていくような基礎的なことをしっかりやってもらおうじゃないかとか、そんな形でいろんなタイプがございます。ただ、少なくとも反省に立ってベーシックに戻ったという感じではございません。

【榊主査】
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【井上委員】
 今、臼井審議役さんがご説明いただいていたときに、NEDOだとかJSTの委託開発にどうこうでいろいろ調査、これは一つのアウトプットとして、基礎、技術シーズから、いきなり工業化じゃなしに、そういうNEDOの。そういう動きについてはいかがなんでしょうか。この中から何点かそういう動きがあるんでしょうか。

【臼井審議役】
 今、実は私たちとしては、JSTというのはやはり将来の技術ということが視点になりますので、次のフェーズにどうつないでいくかというのは大変重要でございます。そういう点で実は、説明会をやったり、研究所のほうにアプローチしたり、いろいろやっています。今いろいろ調べているんですが、企業の方と共同研究をやっているとか、それから、NEDOのほうに、そのままじゃないんですが、研究成果の一部がつながっているとかというのは、アンケートをやってみましたら、結構たくさんのやつが出てきております。おそらくこれからかなあという感じがいたしますが、既に動きが始まっていると。
 それから、全体のサポートをする技術参事っているんですが、その方たちが研究者にいろいろご相談して、JSTの中のいろんなプログラムにも結構な数がつながっていると。ただ残念ながら、ライセンスされて、それが実施されてロイヤルティーが上がっているというのは、まだでございます。ベンチャーが3社くらいできたとかっていう話も聞いておりまして、そういう意味で次のフェーズにつながるのはこれからかなあと。私たちとしては、そこがJSTの特徴じゃないかと思っていますので、この努力はこれから積極的にやっていきたいと思っています。

【潮田委員】
 私、企業の研究部門におる者でして、先ほどから、継続性だとか、あるいは次のステップへの展開ということに関して非常に興味を持っております。例えばシンポジウムで環境エネルギーやナノ面で4割ぐらいが企業の方であったと。企業の方々はそれを聞いていろんな印象をきっと持っていて、先ほどのように具体的にアンケートをとられて、こういうことをやりたいと、そういう具体的な動きがあったということなんですか。

【臼井審議役】
 今、かなりの数がそういうことで動き始めているというのは、これは研究者に対するアンケートをやっております。実は、シンポジウムが終わったときに、よく私、やる方にお願いしているんですが、シンポジウムをやって人が来て、終わって、よかった、よかったじゃなくて、その後どんな企業からどういうアプローチがどの研究者の方に行っているのか、これは我々把握しないと次のフェーズにつながりませんので、研究の方には次のフェーズにつなげるためにどんなアプローチが今来ているのかというのを調べることにしておりまして、そういうのの一部が今のデータに来ていると。

【潮田委員】
 やはりそういう地道なといいますか、足元の課題で苦しんでいるだとか、あるいは将来の課題で悩んでいるだとか、いろんなものにつながるきっかけになると思うものですから、その辺はぜひとも大切にしていただきたいと、このように思います。課題として大きなものももちろんありますが、小さなものがいっぱいあるんじゃないかなと、そういうものが出てくるんじゃないかなと思うものですから。
 それから、ロードマップに関してなんですが、やはり継続性という観点からしましても、数年たった後、もう一度ロードマップを見直してみる、5年、10年ぐらい先のレンジで見直してみるということも大事なんじゃないかなと、そういう印象を持っております。

【榊主査】
 ありがとうございました。

【臼井審議役】
 1つだけ補足いたします。今ご指摘の点は、私たちも大変重要なものと思っていまして、まず、どうやって企業の方にご利用いただけるように持っていくかという、これはいろいろ今やっております。例えば、私たち技術移転部門というのを別途持っておるんですが、そこでは新技術説明会というのがありまして、きらっと光る成果について、広く企業の方にお越しいただいて企業の方にご説明する場をつくるとか、こういうことも実はやっております。そういうので結構、お越しになった方が、その場ではなかなか言わないんですが、別室を設けておきまして、もし個別にご相談いただくんだったらどうぞとやると、結構そういう形で企業の方が成果について関心を持っていると、こんな話がございました。この間、実は栗原先生にもそれをやっていただいたんですが、そんな形でやっております。
 それからもう一つは、私たち、事業評価で終わる、5年間で終わるんですが、もう5年くらいたったときに、この成果が一体どうなったかということについての追跡調査をやろうと、実は思っております。そんなことで、やはりやりっ放しはだめなんだなという感じがしておりまして、今後ともそういう意味では努力していきたいなと思っています。

【榊主査】
 ありがとうございます。

【栗原委員】
 私の名前が出たので。

【榊主査】
 ぜひ。

【栗原委員】
 私は非常に、基礎研究をやっていると、周りも、私自身も充実していたんですが、このごろ材料のほうがどんどんナノになってきまして、普通の材料をつくっている人たちから随分問い合わせがございますし、そういう場で発表したところ、そこで聞いたのだということで後から連絡してこられた方も、その場でお問い合わせいただいた方もありまして、ナノバイオテックというのは、バイオも非常に重要なんですけれども、今、普通のウェットな材料づくりのところとの接点が非常に広くなっているので、産業支援という意味でも非常に大事なんだというふうに私は理解していまして、そういう部分が随分出てきているというか、バーチャルラボということである規模でやっていることで、目を引きやすいというか、企業の方が来たときに、あんなこともっていうようなことが随分出ているんだというふうに理解しております。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。

【片岡委員】
 このナノテクバーチャルラボが結構注目されていたのは、外国の方に非常にわかりやすいんでしょうね。だから、日本全体としてナノテクで何やっているのかというのを見るときに、こういうバーチャルラボみたいな、つまりこういう一つのものがあると、それが非常によく見える。だから、ある意味では、プロジェクトはある期間があって当然サンセットになるんでしょうけど、このプログラムというんでしょうか、ナノテクノロジーのこういう全体を特に海外に向かって発信していくという機能はやっぱり残しておいたほうがいいんじゃないかと。外から見たときに、日本がこういうことを真剣にやっているというのは、結構よく見てくれているように思うんです。むしろ我々が思っている以上に、向こうはこういうことを通じて見ているという気がいたします。

【榊主査】
 岸先生、例の支援センターの後続として自前でいろいろご尽力されているので、発信という意味でちょっと一言コメントいただけますか。

【岸委員】
 今言われたとおりだと思うんですけど、どういう形で全体をというと、といっても、まだ大きなのはもう一つNEDOがあって、個々の研究、科研費があるわけですね。これ全部を組み込んだ形でどういう形でネットワークを組むための発信源をつくるかというのは、一つの課題ですね。そのうちでは、バーチャルラボは北澤のご自慢で、大事な人は7割入っているとよく言われていましたけど、でも7割なんですね。あとまだ3割あるわけですね。そういう意味ではぜひ我々も努力して、片岡先生が言われたように全体としてわかりやすいものをつくり上げる必要は、十分感じております。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 もう少し議論をしたいところなんですけれども、実は予定の時間をほぼ10分経過したところで、後ほど時間が許せばまたご発言いただくということで、次の議題に移らせていただいてよろしいでしょうか。
 どうぞ。

【臼井審議役】
 きょうお手元にお配りした資料は3つございまして、先ほどのシンポジウムの関係もございます。それ以外に、ナノテクノロジーの分野別バーチャルラボの成果集という形で、実は全部じゃないんですが、重立ったものをこういう形でまとめてございます。それから、今までナノテクバーチャルラボの10領域でどんな人がどんなことをやってきたかという、簡単なファイルがございます。お時間がございましたら、ひとつよろしくごらんいただければと思います。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 本委員会としましては、今挙げられたような課題を幾つか今後も議論の対象としてまいりたいと思いますが、ちょっと時間の制約もございますので、とりあえずここで区切らせていただいて、最後にまた時間の余裕があれば、次のご発表とも幾分関連のあるところもありますので、後で意見をお伺いさせていただきたいというふうに思います。
 それでは、第2の議題に参ります。次世代ナノ統合シミュレーションソフトウエアの研究開発についてということでございます。ご承知のとおり、平成24年の完成に向けまして文部科学省は国家基幹技術として次世代スーパーコンピュータの整備を推進しておられます。このスパコンの研究開発では、完成後の利用推進という観点から、アプリケーションとしてナノテクノロジーとライフサイエンス関係のソフトがハードの整備と並んで進められております。ナノテクノロジーのアプリケーションにつきましては本委員会と大変縁がありますので、このあたりのことについて情報をいただいて議論をしていく必要があるというふうに思っております。そういうわけで、今回、スパコン整備を担当されておられます情報課のほうの関根スパコン整備推進室長と、アプリケーションの開発の中心であられる分子研の平田先生にお越しいただいております。まず、情報課の関根室長から、スパコン整備の全体像、それからアプリケーションとの関係の部分についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【関根企画官】
 ただいまご紹介をいただきました文部科学省情報課の関根と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 まずもって、私どものプロジェクトをご紹介させていただく機会をいただきまして、どうもありがとうございます。今、主査のほうからご紹介いただきましたように、私ども、ハードウエアとともに、その次世代スパコンの能力を最大限に活用するといったような観点でアプリケーションの開発も並行して行ってございます。生命体の分野ときょうご紹介をさせていただくナノの分野で2つの大きな領域をつくって、ソフトウエア開発をやってございます。そのソフトウエア開発の部分につきましては後ほど分子研の平田拠点長から詳しくご紹介をさせていただきますが、私のほうから、プロジェクトの概要といいますか、全体像について、ごく簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 お手元に配付をさせていただいております資料3‐1をお開きいただきたいと思います。まず、プロジェクトの背景の部分でございますけれども、これは皆さんご案内かと思いますが、第3期基本計画においては国家基幹技術といった概念が打ち出されてございます。これは国家的な目標と長期戦略を明確にして研究開発を進めるべきものといったようなことで、現在、5つの分野で、プロジェクトといいますか、技術開発が行われてございます。そのうちの1つが次世代スーパーコンピュータということでございます。その辺は、2ページ目に少し書かせていただいております。
 これもご説明不要かと思いますが、この次世代スーパーコンピュータは2つの視点で重要かと思っております。1つは、基盤となるインフラという意味でございます。ご案内のとおりスーパーコンピュータということでございますので、いろんなことが可能になるということでございます。この辺、3ページ目に少し書かせていただいておりますが、きょうご紹介をさせていただくナノテク、それからライフ、さらには、ものづくり、地球環境といったような、幅広い分野での応用が可能と考えております。
 もう一つの視点といたしましては、スパコン技術そのものの重要性といった視点でございます。実は、スーパーコンピュータをチップのレベルからきちんと組み上げられる技術といったようなものは、今、日本とアメリカ、この2国が有してございます。そういった意味では、皆さんご記憶あるかと思いますけど、2002年にJAMSTECが地球シミュレータというものを開発いたしております。これは、4ページ目に少し書いてございますTOP500、あるベンチーマークのソフトウエアを走らせたときの速さなんですけれども、これで2年半にわたって世界のTOP1を維持したといったようなこともございます。ただ、現状を見ますと、この4ページ目に書いてございますとおり、日本では、このTOP500のランキングにおいては、東工大が有しておりますTSUBAMEというクラスターが今16位、さらには地球シミュレータが30位といったようなランクになってございます。
 さらには、5ページ目に特に米国の開発の状況について書かせていただいております。例えば米国におきましては、エネルギー省ですとか、国防省、さらにはNSF(米国科学財団)などがそれぞれの政策趣旨に応じてプロジェクトを並行で走らせており、そういう意味では、米国ではスパコンの開発計画、さらにはその整備計画が複数走っているといったような状況でございます。
 こういったような背景をもとにいたしまして、私ども、次世代スーパーコンピュータの開発・利用プロジェクトを昨年度から開始をしているといったようなことでございます。
 6ページをお開きいただきたいんですけれども、私どもの次世代スーパーコンピュータのプロジェクトの概要を書かせていただいております。簡単に申しますと、まずハードウエアをきちんと整備する。これは世界最先端の機能を有するものをつくろうということで、10ペタフロップス級と言っております。地球シミュレータの2けた上の性能になるかと思います。あわせまして、この次世代スーパーコンピュータを最大限利活用するためのソフトウエア、これの開発・普及も並行で行う。それがまずは開発の部分になろうかと思います。当然、この次世代スーパーコンピュータを活用する部分といったようなこともとても重要だと思っておりまして、この次世代スパコンを核としたCOE(研究教育拠点)を今後形成していくといったようなことも視野に入れてございます。
 この次世代スパコンにつきましては、ご案内のとおりSpring‐8という施設がございます。大型放射光の施設がございますが、この施設と同じような運用形態を想定しております。具体的には、特定の機関のみではなくて、産学官、皆さんに使っていただく、いわゆる共用の施設といったようなことで今後運用していきたいというふうに考えております。
 7ページ目をお開きいただきたいんですが、これはプロジェクトの全体スケジュールでございます。システムとソフトウエア、それから施設といったような分け方になっているかと思いますけれども、まず、システム、ハードウエアにつきましては、平成19年度の中ぐらいになりますけれども、ことし9月にこの開発主体である理化学研究所が概念設計をいたしております。この概念設計を文部科学省、さらには総合科学技術会議の評価を得まして、ことし9月に概念設計、システム構成が固まり、現在は詳細設計の段階に入っております。ハードウエアにつきましては、この詳細設計を来年度いっぱいぐらいまで続けまして、それから具体的な製造・据えつけ工程に入っていく。平成22年度の末には稼働を開始し、平成23年度末、24年にはフルスペックでの完成といったようなスケジュールになってございます。
 ソフトウエアにつきましては、次世代ナノ統合シミュレーション、ナノ分野では分子科学研究所、それから、生命体のプロジェクトにおきましては理化学研究所が開発拠点で、今、開発を進めているところでございます。
 それから、計算機棟、研究棟、いわゆる施設の部分でございますが、現在、設計段階に入ってございます。先行する計算機棟につきましては、来年3月に具体的な工事に入っていくといったようなスケジュールになってございます。
 8ページ目をお開きいただきたいんですけれども、ことし3月に理化学研究所が立地地点を決定いたしております。具体的には神戸市のポートアイランドでございます。ここは空港からそばであり、さらには、この近辺では医療産業の集積がございます。さらには、今後、大学ですとか研究機関の進出なども予定をされているといったようなことになってございます。
 9ページ目、10ページ目は、ハードウエアの概要を載せさせていただいております。9ページ目におきましてはこのシステム構成の特徴を書かせていただいておりますが、まず、世界最速のシステム、10ペタフロップス級ということでございます。それから、皆さんにお使いいただくといったような視点からも、汎用のシステムということでございます。多様なアプリケーションや、これまで不可能だった複雑かつ大規模なシミュレーションが実行可能なシステム。それから、革新的なシステムということで、画期的な省電力、省スペースを実現しております。開発体制といたしましては、開発主体である理化学研究所を中心に、日本のNEC、日立、富士通、この3社が共同開発を行うといったような体制を敷いてございます。
 具体的には、10ページをお開きいただきますと、スカラ部とベクトル部、この2つの部からなる複合汎用システムという構造を考えてございます。こういう構造をとることによって、あらゆる計算、あらゆるシミュレーションに対応していきたいというふうに考えております。
 それから、11ページ目はソフトウエアの概要でございますが、先ほど申し上げましたようにナノとライフの分野でこの次世代スパコンの能力を最大限に発揮するようなソフトウエアの開発を並行で行ってございます。ナノテクの部分については、後ほどご説明をさせていただきたいと思います。
 それから、12ページ目はプロジェクトの推進体制を書かせていただいております。非常に大きいプロジェクトということで、まず文部科学省の中にスーパーコンピュータ整備推進本部というものを設置してございます。これは、藤木審議官が本部長で、関係課・室の課・室長クラスが構成員の本部でございます。ここをトップといたしまして、まず、ハードの開発主体である理化学研究所に開発実施本部というのを置いてございます。プロジェクトリーダーには、渡辺リーダーがなってございます。ここと密接な連携をとる形でグランドチャレンジアプリケーション、アプリの開発拠点が2つございます。これは、ナノについては分子科学研究所、生命体については理化学研究所の和光研究所でございます。さらには、上のほうに少し書いてございますが、産業界との連携という観点でスーパーコンピューティング技術産業応用協議会といったようなところとも密接な連携をとりながら、プロジェクトを推進しております。
 13ページに、産業界との協力体制ということで、今申し上げました産業応用協議会の概要を書かせていただいております。174機関の加盟がある産業界の任意の集まりでございますが、ここでいろんなご要望ですとかご示唆などもいただきながら、プロジェクトを推進しているといったようなことでございます。
 14ページ目に、次世代スーパーコンピュータ作業部会の設置ということで書かせていただいております。今申し上げましたように、ハードウエア、ソフトウエアなどの開発が一応、軌道に乗っている、方向性がある程度明確になってきてございます。そういったことを踏まえまして、文部科学省といたしましても、その利活用、完成後の活用を少し検討を始めさせていただきたいというふうに思っております。そういった視点で科学技術・学術審議会の情報科学技術委員会のもとにこういった作業部会の設置をお願いしてございます。ここにおきましては、当面の検討課題といたしまして、次世代スーパーコンピュータを中核とした教育研究のグランドデザインといったようなこと。特に、この次世代スパコンを活用しながら、どういった教育、どういった研究、またはどういった支援機能ですとか産学連携といったものを構築していくのかといったような、グランドデザインをご議論いただきたいと思っております。さらには、将来的には当然、共用施設としての運営のあり方ですとか、特に大学が有しておりますスーパーコンピュータセンターとの連携、こういったものも今後の検討課題としてございます。この検討につきましては、今月といいますか、26日に第1回目の会合を開催させていただきたいというふうに思っておりまして、特に教育研究のグランドデザインにつきましては、ほぼ半年ぐらいで集中的にご議論をいただき、取りまとめをしていただきたいというふうに考えております。
 すみません、以上でございます。

【榊主査】
 まことにありがとうございました。
 実はここで質問をちょうだいしたいところなんですけれども、次に平田先生にアプリケーションのご説明をいただくことになりますので、ご質問はそのお話を伺ってからさせていただきたいと思います。ただし、そこへ入る前に、藤木審議官がおいでいただいたので、予定には入っておりませんけど、ちょっと今のことについて一言いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

【藤木大臣官房審議官】
 ありがとうございます。ただいまご報告の中でちょっと触れさせていただきましたように、大変荷が重いんですけれども、このスーパーコンピュータの整備推進本部という、国家基幹技術ということですから、国としてしっかりこれを実現するというための組織をつくりまして、そこの本部長ということで就任させていただいております。
 スーパーコンピュータプロジェクトといいますと、どちらかというと一般のイメージとしてはハードのコンピュータをつくるプロジェクトなのであるというふうに思われがちなんですけれども、その側面は実に半分しかございませんで、残りの半分は、それをどのように生かすのか、すなわちソフトウエアをどうするのかというところがやはり半分の重みがあるというふうに思っておりまして、その部分をどのように能力を育て、具体的によいソフトをつくっていくのかという、そこのところを考えなくてはいけないということで、先ほどグランドチャレンジと呼ばれるソフトウエアの高度化プログラム、次世代スパコン用の高度化プログラムについて、プログラムを我々で持っておりますけれど、今までどちらかというと情報科学、計算科学の側から多く発想が出てきて、その観点からナノとかライフに応用できていくというような発想が多かったのではないかと思うんですけれど、よく考えてみるとソフトウエアというのは、利用する人、ナノだったらナノテクノロジーをやっておられる方がほんとうに重要だと思われる分野においてほんとうにすばらしいソフトが出てくるという視点、これはとても大事なことであろうということで、これまでスーパーコンピュータプロジェクトは、情報科学技術委員会というのが同じ科学技術・学術審議会の中にございますので、そちらでメーンに議論をしていただいてきたわけですけれども、ナノテク分野、もう1つライフ分野というのがあるんですが、実際にナノテク分野なりライフ分野なりの今後の方向について考えていただいている、政策論議をしていただいているその場でも、将来のこの次世代スーパーコンピュータにおいて扱われる高度ソフトウエアで行うべき内容についてぜひご審議いただきたいというふうなことで、きょうなぜこのスパコンが突然ここに出てきたんだというふうに思われる方がおありになるもしれませんけれど、そういう思いで、これはライフサイエンスのほうも同じなんですが、こういった場でご議論をいただければということで、本日以降お願いすることにしたわけでございます。そういった視点でございますので、忌憚なきご意見いただければ大変ありがたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 それでは、予定に戻りまして、平田先生からこのアプリケーションソフトの、シミュレーションソフトウエアの研究開発についてお話しいただきます。よろしくお願いいたします。

【平田教授】
 分子科学研究所の平田でございます。きょうは、こういう機会を与えていただきまして、ほんとうにありがとうございます。

【榊主査】
 どうぞお座りになって。

【平田教授】
 すみません。このナノ委員会で、実験の分野で活躍されている方々を前にしてこういう話をするというのは、我々としてもちょっと舞い上がるようなところがございますけれども、その一線のナノ分野の先生方に、我々は計算科学でどういうことができるのか、あるいは次世代スパコンを使うと一体どういうことができるようになるんだろうかという、そういうことを中心にしてお話を申し上げて、忌憚のないご意見、コメント等をいただきたいと、そういうつもりできょうは準備をしてまいりました。
 そういう意味で、まず、我々はなぜナノサイエンスというものをこの計算科学に取り上げたのかと、次世代スパコンのグランドチャレンジ課題として取り上げたのかということで、その動機というようなことになると思いますけれども、ここに簡単にまとめております。これはもちろん先生方には釈迦に説法ということになると思いますけれども、ナノの問題というのは、大体サイズ的にはこういうサイズでして、巨大分子だとか、あるいは分子の集合体といったものでございます。ただし、そういったものが、これは例えばフラーレンみたいなものですけれども、それが無限の広がりを持つ媒体の中に入っていたり、あるいはたんぱく質が水という無限の広がりを持つ媒体の中に入っているというように、非常に複雑な状況、物理としては非常に複雑な物理がこの中に含まれております。
 我々は今これに着目しているわけですけれども、ミクロの分野では、私はミクロの分野の問題をずっとやってきているわけですが、電子とか、原子とか、分子、こういったものというのは、量子力学、あるいは力学といった、こういった分子を取り扱う方法論というのが確立してございます。この程度の分子だったら、その電子状態を計算して、こういった分子の成り立ちといいますか、構造とか、あるいはどうやってこういう分子ができるのかといったことは、ある意味では簡単に、簡単ではないですけれども、できるようになってきている。
 一方、マクロの分野といいますか、目に見えるサイズですけれども、自動車の設計とか、あるいは従来のチップの設計とか、こういったものというのは大体、いわゆるマクロな物理、熱力学とか、弾性体力学とか、流体力学とか、電磁気学、こういったものでこれまで解決してきております。この分野というのは、今、一つの考え方としては、こちらをどんどん小さくしていって何とかできるんじゃないかというふうに考えられる方も、一般の方はそういうふうに考えられるんですけれども、実は、こちらのほうからナノの問題に接近することは不可能である。なぜならば、ここには全く違った物理、すなわち、例えば電子の振る舞いとか、量子力学とか、そういったことが関係してくる現象がここにあるわけですね。したがって、こちらから接近することはできない。こちらから接近しなければいけない。ところが、こちらから接近しようとすると、こういった分子だとか、こういった巨大分子が無限の媒体の中に入っているという問題を電子レベルから解かなければいけないという、そういう問題になります。
 これは非常に難しい問題で、ある意味ではまだ、国際的に見ても、理論、あるいは計算科学で完全に解き明かしたという、そういう理論、あるいは方法論はございません。それを我々はこの次世代スパコンによって何とか解決できないだろうかということがこのプロジェクトの一番の大きな動機なんですけれども、先ほどご紹介ありましたように、現在のコンピュータの最高性能、これは、地球シミュレータとか、あるいはブルー・ジーンの性能に対応するわけですけれども、大体この程度の性能です。
 一方、次世代スパコンで期待されている、我々が期待している性能というのは大体10ペタぐらいだということは、当然ものすごく速くなるんですけれども、大体100倍のオーダーの程度の速度になる。これは先ほどご説明いただいたとおりなんです。一方、実際の問題というのは、単にサイズとか時間スケールの点だけから見ても、はるかに大きい。同時に、先ほど申しましたように量子力学から熱力学までの大きな階層の物理を含んでいる。ということは、従来の理論、方法論、あるいは計算プログラムをそのまま適用したのではとても太刀打ちできないという、そういう問題がある意味ではナノの問題でございます。
 したがって、個々の要素となる理論とか方法論、これは従来の量子力学、統計力学、シミュレーションといった方法がございますけれども、そういったものを練り上げていくのと同時に、プログラムの高度化というのをどうしてもやらなければいけない。要するに速くする必要がある。それからもう1つは、そういった方法論を組み合わせて、先ほど申しましたように非常に複雑なマルチスケール・マルチフィジックスの方法論というものを開発していく必要がある。こういったことを何とかできないだろうかという、それをこのプロジェクトの最大の眼目にしております。
 その1つの例としましては、これは実は私自身が開発している、自分自身がやっていることのほうが説明しやすいものですからこういう例を挙げておりますけれども、プロジェクトの中の他の研究者も同様のさまざまな試みをやっております。これは私が開発しております3次元RISM。RISMというのは、溶媒の分布を分子レベルで計算する方法です。統計力学のほう。それからFMOというのは、巨大なたんぱくなんかの電子状態を計算することができるようにした量子化学のプログラムです。方法論です。こういったものを2つ組み合わせて溶液の中の巨大分子の電子状態を計算することができれば、かなり多くのナノの問題を、ソフトナノと呼ばれている問題ですけれども、解くことができるだろうということで、今開発を進めているプログラムでございます。ここに書いておりますように溶質の電子状態と溶媒分布を自己無撞着的に計算できるプログラムである。
 こういうふうにある意味ではこの2つを組み合わせてセルフコンシステントに解くというだけの話なんですけれども、これができるためには、それぞれの3次元RISM、それから量子化学のそれ自身を非常に速くしなければいけないとか、さまざまな問題がございます。それから、こういったものをただ単につないであるだけではほんとうに竹に木をつないだようなつなぎ方になって両方とも死んでしまうということになりますので、そういった物理、こういったものをつなぐ物理というものも開発していく必要があります。そういったことをやりたいと考えております。
 これも私の例を出して申しわけないんですけれども、計算科学というものが、これは次世代スパコンによる計算科学にとどまりませんけれども、計算科学で一体実験ではできないようなことがほんとうにできるのかどうかということを今我々としては一つの命題としておりまして、そういう可能性があるということを申し上げるためにつくった図でございます。これは、私がこのプロジェクトの中で提案させていただいている、セルロースを分解してアルコールにする。この場合には、セルロースを分解して、高分子を分解して単糖類にするという、そういうプロセス、これはエネルギー問題にとって非常に今クルーシアルな問題になっておりますけれども、そういった問題を解くためのプログラムといいますか、方法論、それをこの問題に適用したということでございます。
 これは、セルロースを分解する酵素、たんぱく質ですけれども、その図でございます。ここにセルロースがかみついているわけですけれども、こういった問題を解くときに、実はセルロース分解というのは加水分解反応でございまして、どこに水分子がいるのかというのは非常にクルーシアルな問題になります。当然その水分子自身が反応に関与するわけですから、どの部分にいるかということによって反応のスキームまでも変わってしまいます。きくものも変わってしまいます。この問題を計算いたしまして、こういう結果が今得られております。これは、セルロースの周りに、もちろん周りにたんぱくがいるわけですけれども、黄色であらわしたのが水の分布でございます。水がいろんなところにいるんですけれども、緑であらわしたのが水の分布が一番大きなところ、高いところでして、まさにここに水分子がいるんだということがわかったわけです。これはある意味では反応中間体を同定したことになります。こういったことというのは、実験ではとてもできません。なぜならば、実験でやろうとすると、水分子は既に反応してしまって別のものになっていますので、実験でアイデンティファイすることはできないわけですね。そういった意味で、こういったことができれば、実験ができないことを予測したり、そういったことができるという、その例としてここで挙げさせていただきました。
 今申し上げましたのは一例にすぎません。私どもは、ほんとうにたくさんのさまざまなナノの問題を今考えておりますけれども、やっておりますけれども、これが計画の線表でございまして、これは先ほど関根企画官のほうからご説明いただいたスパコンの開発日程でございます。ここで大体できるわけですけれども、私どもは現在までのところ、一応、先ほど申しました練成計算だとか、そういったことの技術といいますか、理論・方法論の確立がほぼ、おおむねできただろうと。もちろんできていない問題もありますから継続的にやらなければいけないんですけれども、そういった段階に来ております。今後、やはりこれをペタフロップス級の非常に早い、プログラムの高度化ということをやっていかなければいけないと、そういったフェーズに入っておりまして、最終的には一応、今現在の、開発環境と我々呼んでおりますけれども、開発環境を使ってテストをやって、実機ができたところで実際のプログラムのテストをやっていくということになろうかと思います。後でもう少し詳しく申し上げますけれども、こういったことをやっていくためにはさまざまなほかのソフトも開発する必要があります。そういったソフトの線表もここにかかれております。
 これは、私どもが開発しようとしているソフトウエア群の、ある意味では一覧表といいますか、俯瞰図でございます。まず一番下に、我々は中核アプリケーションと呼んでおりますけれども、6本の非常に基本となるソフトウエアを準備してございます。このうちの3つは、ある意味では固体電子論、固体の中の電子の振る舞いを計算するためのソフトでございまして、それぞれ違った性格を持っております。それからこちら側は、これは分子動力学のシミュレーションソフト、これは先ほど申しました液体の分布などを計算する統計力学の方法論、それからこれは量子化学の計算ソフトでございます。これを非常に速くしようとしています。
 これは中核ソフトでございますが、こういった6本はもちろんそれぞれでいろんなことができますけれども、これをそれぞれ独立にやったのでは先ほど申しましたようにナノの問題はなかなか太刀打ちできない。こういったものをいろいろに組み合わせて、例えば先ほど申しましたようにRISMと量子化学の高速プログラムとを組み合わせて例えば化学反応の問題をやったり、そういったことができるようになる。そういった意味でここに、付加機能ソフトと呼んでおりますけれども、そういったソフトウエア群がどうしても発生します。ある意味ではここは非常に物理を反映したところでして、それぞれの研究者の創意工夫が非常に生かされる部分でございます。これをやらないと、とてもこの問題には行かない。ここで物理の問題を解決しまして、ただし、物理の問題を解決しただけでは、なかなかこのプログラムを統合して動かすことはできません。特に、一つの問題は、そういったプログラムの初期条件をどうやって設定するかといった問題。初期データ、初期原子の配置とか、構造とか、そういった初期の構造をつくってやる必要がある。これはなかなか面倒でして、そういったことを自動的にやるプログラム、これはIGNITIONと呼んでおりますけれども、そういったソフトを開発しております。
 それからもう1つは、こういったいろんなプログラムは全く別々の個人が開発したプログラムでして、データ構造は完全にまちまちでございます。そういったものを、ある意味ではシームレスにそのデータをやり取りできるような、そういうプログラムが必要です。これはGIANTと呼んでおりますけれども、そういったものをつくっております。こういったものをつくって、こういったものでこういう6本の中核ソフトをさまざまに組み合わせて、我々が提案しております3つのグランドチャレンジ課題に挑戦していこうということでございます。
 その6つの中核ソフトの概要をここにちょっと書いておりますけれども、これは、詳しくなり過ぎますので、ちらっとお見せするだけにしたいと思います。
 それぞれのプログラムのいわば計画、開発計画がここに書かれております。これも、もしご興味があれば、お手元にお配りしてある表のほうをごらんいただきたいと思います。もし何かご質問があれば、お答えしたいと思います。
 これが中核アプリの高度化年次計画ということで、現在は、現時点の中核アプリ6本に対して、概念設計仕様に沿ってプログラム実行時の調査を行って、今、ボトルネック等、課題の抽出を行っております。例えば、私が先ほど申しました3次元RISMというプログラムは、FFTという数学ライブラリに対応いたします。ところが次世代スパコンでそのFFTというのはなかなか高速化するのが難しいということで、例えば、そのために共通の数学ライブラリを今、筑波大学と理研の間で協力してつくっていただいている。そういった問題の洗い出しをここで行っているということでございます。中核ソフトを高度化して、そしてプロトタイプのものを抽出していろんな試験を行っていくという、そういう計画でございます。
 次は、付加機能ソフト群でございますけれども、これはたくさんございますので、ぱっと見ていただいて、もしご興味があれば。これはまさに物理の問題でございます。ほとんどが、各研究者が創意工夫を凝らしてさまざまなソフトウエアを、あるいは方法論を組み合わせて違った物理を解いていくと。そういったことでございます。
 先ほど申しましたIGNITIONというのは初期入力データの生成プログラムでして、これは多分、計算科学を少しでもやられた方はすぐおわかりだと思いますけれども、最初の入出力をつくるというのは非常に大変な作業でして、これを自動的にやってしまおうと、そういうことを計画しております。計画しておりますというか、これはほぼ完成しております。
 それから、GIANT。これは、先ほど申しましたようにアプリケーション間のデータを変換して、シームレスにそのデータがやり取りできるようにする、そういうソフトでございまして、これもほぼ完成しております。
 これは、GIANTとIGNITIONをつなぎ合わせてどういうふうに計算をしていくかと、そういった概念図でございまして、IGNITIONでデータ生成をして、中核アプリで計算をして、ここで入力のときにGIANTを使いますけれども、入出力でそのGIANを使って別のプログラムに渡して、そういったことをやって計算を行っていく、そういう概念図でございます。
 ということで、全体のスキームは、中核アプリと付加機能ソフトを連携ツールで任意に結合して、3つのグランドチャレンジ課題を解決する。3つのグランドチャレンジ課題というのは、これから時間がある限り簡単にご説明申し上げますけれども、次世代ナノ情報機能・材料、次世代ナノ生体物質、次世代エネルギー。先ほど拝見しましたところ、このナノ委員会のほうでも問題にされているこういった問題、全く同じ問題、ほぼ同じ、対応している問題でございます。
 それを俯瞰したものがこの図でございまして、一番下のほうに、固体電子論、分子動力学、量子化学、それから、出てないかもしれませんけれども、統計力学の方法論、こういったものをいろいろ組み合わせて、最終的には、エネルギーの問題とか、生体物質の問題とか、デバイスの問題とか、そういったことを解明していきたいと考えております。
 これからは少し各論に入ってまいりますけれども、まず次世代ナノ情報機能・材料の研究概要でございます。これは、皆さんのほうがよくご存じなんですけれども、CMOSの次の世代のナノテクノロジーまで見据えた、さらなる高密度実装を目指した新規電子デバイスとか、あるいは巨大・超高速応答光スイッチ、あるいは超高密度磁気記録、そういったことをつくっていくための基礎となる理論・計算科学方法論の確立を目指すということで、ある意味ではナノテクノロジーのいわゆる一番もとになったところでございます。そういった問題をやっていくとどういうことができるようになるだろかという、その夢をここに書いてございます。どういう方法論、プログラムですね。ここにナノデバイスとか、高密度磁気記録、巨大・超高速応答光スイッチ、こういった問題を解いていくためにこういうソフトウエア群がございます。
 これは次世代ナノ生体物質の研究概要でございますけれども、ここで生体物質と書いておりますが、まさに、例えばここに書いてあるたんぱく質だとか、あるいは、ミセルというか、こういう分子集合体とか、たんぱく質の複合体とか、あるいは、ウイルスとかリポソーム、こういったものを指しておりますけれども、我々はこれを基本的には物質だととらえております。こういった物質が、例えば酵素のように物を物に変換する、そういういわば分子機械だというふうな観点でこの問題をとらえておりまして、分子機械を使った物質変換の、あるいは物質・エネルギー変換、物質・光変換、光・エネルギー変換、そういった道具としてとらえております。その意味で当然、もちろんそういった基礎的な技術、基礎的な科学、理論・方法論というのは医療などにも応用することができるだろうと。我々はそういったことの基礎的な計算科学的方法論をつくっていこうということを目指しております。
 それから、これは次世代エネルギーでございますけれども、化石燃料にかわる恒久的エネルギー源としての太陽エネルギーの固定、変換、利用、貯蔵技術の基礎となる理論・計算科学方法の確立を目指すということで、ここに書いておりますように幾つかの問題。これは我々のチームに所属している各研究者が挙げてきているテーマを並べただけですので、もちろん進捗状況にはかなりでこぼこがございますけれども、現在こういった問題を進めております。ここに書いておるとおりでございますけれども、太陽エネルギーを軸にして、これを化学エネルギーに変換したり、電気エネルギーに変換します。ただし、電気エネルギーに変換するというのはこういったものでやるわけですけれども、電気エネルギーというのはなかなか蓄えるのが大変でして、これを蓄えるための技術ですね。例えばスーパーキャパシタ、これを変換して物質に変えるような問題とか、あるいは逆とか、そういったことを考えております。
 ここに研究の進捗状況を書いておりますけれども、これは、時間がございませんので、ちょっと眺めていただく程度で省略をさせていただきます。現在、大体こんなところまで来ているという感じでございます。
 これは次世代ナノ統合シミュレーションの、我々のチームの拠点の研究体制でございまして、先ほど申しましたように私が拠点長を仰せつかっておりますけれども、副拠点長として、常次先生、それから岡崎先生にお願いしてございます。このもとに先ほど申しました3つのグランドチャレンジ課題を設定しております。ここに各6研究機関と、それから多くの大学、それから、トヨタ、あるいは東レといった企業にも参加していただいております。
 もう一つ重要な特徴としましては、私どもは中核アプリケーション高度化ワーキンググループということでこういうワーキンググループを設定しております。ここで高度化を、プログラムの開発といいますか、並列化、あるいは、我々、物理変換と言っておりますけれども、固体の物理間をつなぐような、そういった問題を解いていくということを考えております。
 さらに、私どもは物性科学ワーキンググループと分子科学ワーキンググループという2つのワーキンググループをつくっておりまして、この中に、プロジェクト外の計算科学者、それから大学における実験研究者、それから企業の研究者ですね。計算科学者、実験科学者に積極的にご参加いただいて、我々に対していろんな意見を言っていだたくとか、あるいは共同研究をしていただくとか、そういったことを考えておりまして、今、その活動を開始しているところでございます。
 時間はまだございますか。

【榊主査】
 あと3分ぐらいあります。

【平田教授】
 最後になりますけれども、次世代スパコンでどういう計算が可能になるのかということです。これは一つの例として、先ほど申しましたバイオマスの問題ですね。化学エネルギー転換技術に必要な酵素・触媒反応ということで、特にここでは、今現在どういうことができていて、将来はどういうことができるようになるだろうか、次世代スパコンができたらどういうことができるようになるだろうかということをここに簡単に、これはほんとうに概算ですけれども書いておりまして、現状では、例えば既存の方法論では不可能ですけれども、二糖類から単糖類への分解の酵素反応の全電子状態計算を行うのに100年ぐらいかかると。これは、現在の実効性能を0.5テラフロップスと考えて、そのぐらいかかります。これは大体、我々が持っているマシンの性能ですけれども。次世代スパコンができますと、こういうことが実際に現実のものになってくる。計算で20日間でこういうことができるようになる。先ほど一番最初のほうにセルロース分解の酵素反応のいわば一種の中間対応を検証したという話をしましたけれども、あれをさらに量子化学計算をやって反応の機構まで解明するために次世代スパコンができても大体このぐらいかかるという、そういう概算でございます。
 あとは巨大分子の原子シミュレーションですね。例えば、ウイルスのシミュレーションとか、それからデバイスのシミュレーション、そういったことが次世代スパコンで、これは2カ月程度と書いておりますけれども、大体そういったオーダーでできるようになってくるだろうと。今現在それをやろうとすると800年かかってしまうという、それが次世代スパコンで2カ月程度で可能になるだろうという、そういう概算を示しております。
 時間がございませんので、以上、どうもご清聴ありがとうございました。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 これから議論に入らせていただきたいというふうに思いますけれども、この資料を拝見いたしますと、日本のこの分野で大変アクティブに活躍しておられる方の名前が続々と出てこられて、私、全員存じ上げているわけでは決してないんですけれども、大変心強く感じておりますというのがまず第一のコメントですが、もう1つ、随員できょう来ていただいている中に常行先生がおられたりとかで、物性面でもしあれでしたら、何分か、ちょっとコメントをしていただけますでしょうか。

【常行教授】
 ご指名いただきまして、ありがとうございます。東京大学の常行と申します。私、紹介されませんでした次世代ナノの、一番最後のページですね。

【平田教授】
 一番最後のページをごらんいただけますでしょうか。

【常行教授】
 ロードマップとの関係というのを、この資料を私が取りまとめましたので、これをもとにちょっと一言だけ説明させていただきたいと思います。
 これは、IPRSの2005、2006アップデート、それから、経産省の「技術戦略ロードマップ2007」というのがありますが、そこで示されております半導体関係のロードマップと、それから我々が行っております次世代ナノ統合シミュレーションソフトウエアの開発、この間の関係についてまとめたものでございます。先ほどの平田先生のご説明は主に分子化学の立場だったと思いますが、これはむしろ物性物理の立場から我々が何をしようとしているのかという図でございます。
 見ていただきますと横軸が年代で、年代が進むにつれましてゲート長がどんどん小さくなる。大体2020年ぐらいまでCMOS Extensionと呼ばれている時代で、そこから先についてはIPRSにもはっきりしたことは書かれておりませんで、非常に不透明な状況で、おそらくそこには、量子効果とかスピンデバイス、あるいは原子・分子デバイスとか、そういうものがあるだろうというふうに予想されております。私どもがやろうとしておりますのは、ここに書いてあるのは、それぞれの時代時代において問題となるであろう、目標とされている事柄を赤い字で書いて、さらに、具体的にどういう対象・物質があるかというのを黒枠で囲んだ黒字で書いています。それに対応して、我々が開発しようとしているソフトウエアがどういう役に立つだろうかというのが、上に黄色い枠で書かれておりますのが私たちの開発ソフトウエアで、3つぐらいグループがありますけれども、それぞれが具体的に半導体のロードマップに沿って非常に重要な寄与ができるだろうと、我々は考えております。もちろん我々、非常に人数も限られておりますし、それから基礎研究をやっておりますので、実用化の間には非常に深い死の谷と呼ばれるものがあることは存じ上げておりますけれども、おそらくこういうここで開発しているソフトウエアは、我々、あるいは実際にこれをその後で使われる企業、そういう方と協力しますと、おそらくそういうデバイスの発展に関してもある程度の寄与ができるものというふうに考えております。
 1つ、最後に申し上げたいのは、私どものソフトウエアの中核アプリというものを中心にしまして、その後に付加ソフトウエア、いろいろつけ加えて、非常に高度なものを目指しております。ここで大事なのは、新しいスーパーコンピュータというのは、ただ単に既存のコンピュータの速さを速くする、そのために私たちが開発しているソフトというのは、今まで計算できたものの規模を大きくする、そういうレベルのものでは決してない。我々は、計算機が速くなることによって、これまで思いもつかなかったような方法論、これまで私たちがあきらめていた方法論が使えるようになる、あるいはそれを開発していく意欲がわいてくる、ここが非常に大事な点でありまして、おそらく、中核ソフトは大事でありますけれども、それに加えて新しい方法論の開発、これを積極的に進めていくことで計算科学全体の進展・進行というものが図れるというふうに考えております。
 以上でございます。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 それでは、皆様からコメントや質問をいただいて議論に入ってまいりたいと思いますけれども、私のようにどちらかというとハードをいじってきた立場から言うと大変ふなれなところで、そういう質問もいろいろあろうかと思いますけれども、この議論全体としては、ナノテクにどう生かしていくのかという、そういう切り口からいろんなコメントとか問題提起をしていただければと思いますが、まず最初に、遠藤先生、実験的に、いろいろ発見的にやってこられたお立場から、計算機というのはほんとうに役に立つのか、(笑)大変乱暴なんですけど、どんなふうに思いながら聞かれたか、少しコメントいただけますか。

【遠藤委員】
 ご指名なのでちょっと発言させていただきますけど、今までの計算機科学というのは実験の正しさを検証するというところが主で、これからあるかもしれないというイノベーティブな現象を予測してきたということはあまりないんですね。それがために、これは地球シミュレータなんかの反省なんですけれども、なかなかそこに資源をどんどんつぎ込んで新しいものを生み出すということができなかった。それはやはり、スピードという問題が一つありましたね。今、最後に常行先生がおっしゃったように、10ペタフロップス、これだけ速い計算が可能になってきますと、やはり今までの方法論と違った新しい方法論、これが可能になるんですね。それができて初めて、この計算機科学がほんとうの意味で物質開発とか、あるいは技術開発というものにつながっていくと思うんですね。そういう意味では、地球シミュレータというのはどっちかといいますと、気象現象とか、そういうものをある程度的確に予測して私たちにそれなりのインパクトを与えたんですけれども、しかし、物質の世界の中で拡大したときに果たしてそれだけ大きな成果を出してきたかというと、まだちょっとそういう意味では若干、「帯に短し、たすきに長し」というところだったと思うんですね。しかし、このスピードになったときに初めて新しい方法論というのができる。これこそほんとうに計算機科学のブレークスルーだと思うんですね。ここからほんとうにうちでの小づちを振るがごとき新しいデバイスとか物質開拓、こういうものが予測できたら、人々はもっともっと次世代の、さらに100テラフロップスなんていう新しいものに継続的に行けると思うんですね。そういう意味では地球シミュレータとこの機械とはちょっとギャップがあるのは惜しいんですけど、それは過去のそういった計算機技術そのものの未発達の部分というのがあったと思うんですね。しかし、これはほんとうの機械だと思いますね。これをどうやって生かすか。今、委員長おっしゃったように、ナノテクノロジーというのはほんとうに、バイオテクノロジー、それからケミストリー、フィジックス、これを完全に一体化するんですね。ほんとうに生命現象なんかも、物質という観点で物が見れるようになってきた。ということは、計算機科学がものすごく生きる世界なんですね。それをこの機械を使って日本でやる、これは世界のまさにすばらしいコンピュータ神話を持った日本が未来に向かって大きく勇気づけられるんじゃないか。ですから、こういう高速マシンをどうやって使いこなすか、これにすべての知的な資源を結集していただきたい。今これをお聞きしますと、何かやれそうな感じがしているんですけど。
 以上です。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 どうぞご自由に。また、ちょっと今回心強く思うのは、富士通、日立、NEC、全部挙げてハードをつくってあれされているようなんですけれども、横山さん、富士通などの名前も上がっていて発言しにくいかもしれませんが、少しコメントして。

【横山委員】
 富士通では、このハードをつくろうということで、本体に本部をつくりまして、今やっております。やはりこれを将来は売っていかないといけないので、そのときにはアプリケーションが絶対必要だということで、一応、私、ナノテク研センターのセンター長をしているんですけど、ナノテク関係のシミュレーションを強化して、やろうとしています。今、実際に分子研のほうで寺倉先生と一緒にやらせていただいておりまして、カーボンナノチューブの成長のシミュレーションとか、あと、一般公募でも出させていただいて、酸化膜の信頼性とか、そういうのをやっております。やっぱり今の能力だけですと、例えばカーボンナノチューブを計算機の中で成長しようとすると一晩でまだ二、三本しか成長できないとか、あと信頼性のシミュレーションに関しましてもほんの一部しかできないということで、やはり理想的には、例えばCMOSで言うと、こういう材料を使って、こういうプロセスを通してこういうトランジスタをつくると、どういう特性が出て、信頼性はどうか、そこまでシミュレーションできるようにしたいということで、ほんとうに期待しております。例えば富士通のほうでアプリケーションをすべて開発するのはとても無理なので、やはり分子研のほうでいろいろアプリケーションをつくっていただいて、それをいかにまとめて使いやすくするかというのは、ある意味メーカーの仕事かなと思っております。
 あと、ソフトとハードって分けてしまうとちょっとまずいなと思っておりまして、このアプリケーションを見ながらハードのほうもチューニングする必要があるのかなと思っておりまして、そのあたりの交流といいますか、そのあたりも今後お願いできればと思っております。
 以上です。

【榊主査】
 ありがとうございました。今の2つのコメントについて少しご意見があれば、お伺いしたいと思います。

【平田教授】
 ものすごくありがたいコメントなので、ちょっと。特に最後にご指摘いただいた点ですね。我々のアプリケーションのほうからハードのほうにフィードバックするというか、そういうことがほんとうに重要だろうと考えておりまして、マシンの性能を最大限に発揮するためには、ハードのアーキテクチャー、それから詳細設計の段階でも、できるだけアプリケーションが速く動くような、そういう設計にしていただく。これは理研を通じてベンダーの方々ともこれから協議を進めていくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 それでは、引き続きコメントをちょうだいしたいんですけれども、さっき富士通が出たので、日立の、会社の代表としての発言でありませんので、誤解のないように。(笑)

【長我部委員】
 それでは、個人的なということで。まず、私たちもハードをつくらせていただくということで戦略室をつくらせていただきまして、デバイスレベルから随分チャレンジさせていただいていて、大変ありがたい環境をいただいていると思います。
 一方、企業におけるスパコンの利用というのは、まず古典物理の世界では不可避なものになっておりまして、昨今、ちょっと恥ずかしい話ですが、私たちの浜岡のタービンの事故、あれは完全に事故原因の究明ができましたけれども、かなりの流体力学とか幾つかの古典物理を練成させてスパコンでそれをすべて解いて原子炉の再現が完全にできまして、そういう意味でも私たち、スパコンのありがたさ、あるいは強力さというのを再認識して、設備投資をしてスパコンを社内に、今、ノードをすごくふやしております。今、それをナノにどのくらい、古典物理と同じぐらい、量子力学とか、あるいは統計力学の世界で適用できるかということを、私たちも高度シミュレーションセンターというのをグループ内につくりまして、そこでいろいろ検討させていただいております。先ほど横山委員からいろいろお話があったように、まだまだ現在のスパコンのレベルですと計算力が足りないという状況なんですが、ぜひこの計測計算機を使って、ここに書いてございますような次世代ナノ統合シミュレーションソフトウエア、このロードマップに沿った新しいデバイスですとか、材料の開発にどんどん使っていきたいと思います。
 それで、ちょっと気になりますのは、この辺の幾つかつくっている基幹のソフトウエアとか、あるいは付加ソフトウエアがどのくらい、普通の計算機利用ユーザーから見て使える状況なのかというあたりは、一緒に共同研究をやって中身を深く理解するプロセスが必要なのか、そういうわりと一般的なスパコンユーザーにどれだけ使える状況になっているか、その辺が少しいろいろ明らかになってくれば、ますます私たち産業界としても使いやすいと思いますし、それから、産業利用の協議会、多分、JTERのほうでいろいろやっているかと思うんですけれども、こういうところを通じてこれから使い方についていろいろご相談させていただければというふうに思います。

【榊主査】
 その点はいかがなんでしょうか。一般ユーザーとの間の距離という点は。

【平田教授】
 今のご質問に対しては、各ソフトによって少しずつ違うということが正確な答えかと思います。ソフトウエアによっては、もう既に一般のユーザーの方でも使えるレベルのソフトウエアもございます。それから、実際に使っておられるソフトウエアを高度化しているという、そういうことも。例えば、GAMESSというプログラムを我々は高度化しようとしていますけれども、そういったものはもう既に一般のユーザーの方が使っておられている。
 一方、例えば私が開発しているプログラムというのは、非常に普及していませんで、ほとんどそのバックグラウンドがないと使えないような状態ですので、これからは、この前のNARGIというプロジェクトを我々引き継いでいるので、そこでいわば企業の方々に勉強していただいたという、そういうことがございますけれども、今はその段階でして、勉強会をやって企業の方々の中にある程度核ができたというところで、今度はそれをさらにある程度使っていただけるような形で、いろいろな形で公開していこうかなという、そういう段階でございます。

【長我部委員】
 そういう勉強会とか、そういう講習会的なことをぜひやっていただいて、国にはそういうことを支援していただいて、ユーザーが理解して使えるようにしていただければ、大変ありがたいと思います。

【平田教授】
 それの1つとして、先ほどご説明しましたけれども、ワーキンググループというのをつくってございます。これは、そういった企業の方々に勉強会に参加していただいたり、講習会に参加していただいたり、あるいは共同研究をやっていただいたり、そういったことを促進するといいますか、容易にするといいますか、この前身のプロジェクトのときには、そういったことに対してお金が出せなかったんですね。要するに旅費や何か、お金が出せなかったんですけれども、今度は旅費も出しましょうということにしましたので、ぜひとも企業の方々にも参加していただいて、ここでつくっているいろんなプログラムというのはそのバックグラウンドが相当大変ですので、勉強もしていただけたら幸いだというふうに思っております。

【榊主査】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。大泊先生は以前、コンピュータでいろいろSiO2(酸化ケイ素)のあれをされたり、まだ計算力が非常に弱いころからやっておられたんですけれども、少しコメントを。

【大泊委員】
 せっかくこれだけのものをつくられるのですから、なるべくポジティブな発言をしたいと思っているんですけど、ただ、例えば34ページを拝見しますと、ここに並んでいる言葉というのはどれも非常に、例えば納税者に対してチャーミングな言葉ですが、計算科学としてのアウトプットは一体何なのかというのは全然見えない。例えば光触媒による太陽エネルギーの固定なんていう話は、もし何かを使うことですごくバリアの低い反応経路が探せるとか、そういう非常にシャープで切れ味のいい結果が出せるのならば我々評価するんですけど、そういう筋書きが全然ここでは見えてないというのが、1つ気になるところですね。ですから、一般受けするための資料として用意されているんでしょうけれども、もう少し踏み込んだときの出力は何かというところがちょっとよく見えなかったと。
 同じくように、一番最後、常行先生がご説明になった42ページ、下のほうの西暦に対して現在のデバイスが抱える問題点等々、これに関しては非常にまともな問題意識で、実はこういうところに今、日本のシリコンテクノロジーがぶつかっている大きな課題があるんですね、いっぱい。特に基礎研究の面でやらなくちゃいけないことがいっぱいあるわけですが、それと計算科学への期待との間に多少の乖離がある。よくわからない。これらを一体どうしようとするのか。例えば私なんかの問題意識ですと、こういうふうに、例えばHigh‐k/Metal gateとか、CNTとかという物質がふえるごとに難易度はけた違いに違っていってしまうわけですね。そういうときに必要なことっていうのは、実はナノレベルでの挿図をつくるとか、基礎科学上重要なことがいっぱいあるんですね。そういうことがきちんとこういうプロジェクトによって解決されるならば期待ができるという感じがいたします。

【榊主査】
 ありがとうございました。いずれにしても実験的な研究者との間の風通しがどれぐらいうまく保てるかというのが一つのかぎになりそうですので、ぜひあれで。多分、実験に日ごろいそしんでいる立場からすると、横のソフトの使いぐあいがわからないとなかなか話が持っていきにくいかもしれませんので、その辺、ぜひご尽力いただければと思います。
 どうぞ。

【栗原委員】
 先ほどのワーキンググループということですけれども、私はそれはすごく大事だと思うんですが、私どもも最近、固体の固液界面の理論計算を理論の方と一緒にしましたら、パラメータの選び方が分子の配向を知っているか知らないかで全然違うというような結果がありました。分子の配向がわかるというのは、ナノの分野の実験科学の先端の知識というのをうまく使っていただいて、ほんとうに現実味のあるもの、あるいはどういうところが計算法として課題になるのかという、そこは実際に実験データとかなりきめ細かく突き合わさないとわからないと思うので、このワーキンググループをそこの先端とうまくつなぐようにということをぜひお願いしたいというふうに思います。
 実は、ずっと伺いながら、こういうものがあるといいなと思いながら伺っていたら、さすがにあったので、平田先生、私はすごく感銘を受けました。

【平田教授】
 ぜひともこの委員会に参加されている方々にワーキンググループに入っていただいて。結構、実験家の方に入っていただいているんですね。例えば、金の春田先生とか、それから、分子研の田中先生とか、たくさんの実験家の方々に入っていただいて、いろいろアドバイスを受けています。例えば先ほど一番最初に私がお見せしたセルロース分解酵素のあれですけれども、あれは、三重大学の苅田という准教授の方ですけれども、その方にも入っていただいて、実際にデータを提供していただいて、実際に共同研究をやって、ああいうことがわかってきたんですね。実は、この会を企画していただいた背景には、私がそういうことをお願いしたという背景が多分あると思うんですけど、ここにおられる先生方はナノの先端の実験をやられている先生方で、我々は一応ナノの分野である程度計算科学の先端を走っていると自負しておりますから、多分、そこで共同でいろんなことができれば、相当おもしろい話ができるんじゃないかというふうに考えております。ぜひとも参加いただいて、アドバイスをいただきたいというふうに思います。

【榊主査】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

【川合委員】
 僕も相互作用というのは非常に重要だと思っているんですが、そのやり方に関して、こういうことじゃないかと思うんですけど、39ページのを見ると、100年かかるのが20日間というのは、さっき言った計算からすれば、3けたということを考えれば、100年が2けたで1年で、そのまた10分の1だから、まあ大体リニアな感じかなと。だけど、その次のページの800年が2カ月というと、こういう工夫があって、例えばオーダーN法とか、それ自身を変えることによってぐんと進むという進歩があると思う。それで、ナノのほうで実験をしている人はどうしても線形的に考えて大体こんなところができるかなというふうな考えをするんですが、相互作用するときに、今まではこれくらいはできたけど、こういうやり方でぐんと進みますよね。そのときに何を選ぶかというのが非常に重要になると思う。そのテーマ選びとして、いわゆるナノの中の難問とか非常に重要なやつを幾つか示すような、そういう相互作用を持っていただくと、非常にアピールしやすいんじゃないかなと。
 例えばナノバイオの関係ですと、やっぱり自己組織化で階層を越えていくようなやつですね。あれは、今までのだとどこまでできて、ちょっと計算法なんかが大きな進歩があるとここまで行けるよというのがわかると、その中の非常に重要な難問なり、発生に、要するに環境の変化によってどう行くかという、非常にいい例ができるので、そういったところに絞った相互作用、そこら辺があるといいんじゃないかなというふうに思って聞いていました。そうでないと、何となくたくさん集まって、たくさんいろんな絵をかいて、先ほど大泊先生が言ったような感じになってしまうんじゃないかなと。

【平田教授】
 大変重要なご指摘、ありがとうございます。我々も実は、今ちょっとおっしゃられた自己組織化の問題というのは、ナノの問題のかなり中心的な問題になると考えております。例えばミセルをつくったり、ベシクルをつくったり、あるいはいろんな階層の分子集合体をつくっていくといった問題とか、あるいはたんぱくのホールディングなんかもある意味では自己組織化の範疇に入るんですね。いずれにしてもエントロピーの核へさかのぼっていくわけですから非常に大変な問題で、計算科学のある意味では一番難しいターゲットだろうと考えております。その問題はぜひとも解きたいと、我々としてはそういうふうに考えております。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 きょうは、このスーパーコンピュータ、それを利活用したソフトウエアにつきましては初めての議論ですので、私どもとしてもこれからも議論をしていかなければいけないというふうに思っております。時間の制約がなければもう少しいきたいところなんですけれども、とりあえずきょうの議論はここまでとさせていただきまして、ぜひこれを機会に両コミュニティーがいい形で相互作用をふやしていくようにご尽力いただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

【平田教授】
 どうもありがとうございました。

【榊主査】
 それでは、次の案件に移らせていただきますけれども、その他といたしまして、経済産業省でナノテクノロジー・材料分野についての調査・検討が開始されたということですので、高橋室長から概略をご紹介いただきたいというふうに思います。
 よろしくお願いします。

【高橋室長】
 お手元の参考資料をごらんいただければと存じます。ナノテクノロジー政策研究会ということでございまして、これは、経産省の非鉄金属課のほうでナノテクを担当してございますが、こちらのほうで今般設置されました勉強会でございます。経産省でございますのでナノテクノロジーと産業というような観点を意識しました検討を進めるということでございますが、特に1ページ目の一番下、検討の方向性というところでございますけれども、「ナノテクは成果を上げていない」という指摘もあるが、さまざまに活用されているんだというような問題意識。また、2ページ目に参りますと、ナノテクノロジーは主に素材関係で活躍しているんだというようなことですとか、また、社会との関係をしっかりと位置づけていこうというようなことで、基本的に経産省的な切り口でナノテクノロジーの成果をどう評価していくのか、また、これからどういうふうに伸ばしていくのかというような検討を考えているようでございます。
 3ページ目をごらんいただきたいんですが、スケジュールとしましては、年内というのは既にもう開催されてございまして、今年度中にある程度の成果を目指したいというものでございます。最後のページには、委員の名簿というのをつけてございます。基本的には産業界の方を中心としてございますが、素材産業、またバイオの関係なども目配りをした人選になってございまして、中心は日立の中村先生が主査として牽引されているということでございます。
 概略、以上でございます。

【榊主査】
 ありがとうございました。
 このナノテク関係は、当初から経済産業省と文部科学省の補完的な役割という位置づけがはっきりしていて、もともとすそ野がオーバーラップしますけれども、そういう形であったかと思います。そういう意味で、この政策研究会が経済産業省のほうで発足をしたということで、改めて文部科学省の中で、特に大学、あるいは国研をベースとする基礎的な研究、あるいはその展開研究の意義や成果についてしっかりした議論をして、ここといろいろ対話をしていく必要があるかなというふうに思っております。
 こういうやり方につきましては、川合先生はいろいろご経験が豊かだと思うので、少しご感想とコメントをいただければと思います。

【川合委員】
 経産省のほうは、やはり経産省らしい一つの目的があって、こういうのがあるのはいいと思います。同時に、第2期が始まったときもそうですけど、文科省の特徴とある程度すみ分けをしながら、しかし、補完的になったり、場合によっては連携したりするということを進めるということなので、やはり文科省のほうとしても、次の4期をにらんだような、しっかりした体制をつくっていくというのは非常に大事だと思います。時によってはよく連携をとっていくといいんじゃないかなと思います。

【榊主査】
 ありがとうございます。
 私の感じとしますと、例えばLSIということだけを取り上げましても、日本のトップメーカーの東芝が1兆円の売り上げとか、それから次のは5,000億とか、6,000億とか、ちょっと合わせるだけで2兆円とか、大変大きな、そういう中のナノテクがどういうふうにインパクトを与えていくかというようなあたりから、非常に探索的なところまで、ナノテクって非常にすそ野が広い。そういう位置づけの中で大学の研究がどういう形で産業界と相互作用していくのかというようなことで、それを今後もこの委員会でいろいろ考えていく必要があるかなというふうに思います。
 その点では、JSTのほうにご承知のとおりに戦略のCRDSというのがございます。生駒センター長及び本会の田中委員がそこの中核メンバーですけれども、そこもそういう切り口でいろいろご検討いただいているかと思います。そういう意味で今後、この経済産業省の委員会と、それから、文科省、JST中のCRDSの田中委員等のご意見もいろいろ伺いながら、きょうの議論との接点なども考えていく必要があるかと思います。さらに、総合科学技術会議との連携も含めまして、考えていく必要があるかというふうに思います。
 今後会を進めていく上で事務局のほうでそういう諸組織との間のいろいろやり取りを進めていただきたいというふうに考えておりますけれども、そういう面で、どういう点でその議論をしていくのかということについて、きょうは少し時間の関係で難しいかもしれませんけれども、皆様にいろいろお知恵をいただいて、事務局のほうにサジェスチョンを出していただくということをお願いできればというふうに思います。
 それから、実はもう一つその点で、事務局のほうでいろいろそういうことをやっていただく上では、私も十分に尽力するつもりなんですけれども、議論の取りまとめを川合先生にひとつ、ここの委員会と連携すべき諸委員会・諸組織と、事務局にいろいろ動いていただくのにつきまして、ぜひ中核的にご助言をいただければというふうに思うので、よろしくお願いいたします。
 それからもう1点、続きましてお願いがございまして、私もこの春に職場がかわってから委員会に出る時間がやや難しくなっている面がございまして、委員会の開催その他でご迷惑をおかけする可能性が、なるべく回避するつもりではありますけど、ございます。その際にはどなたかに副主査的な役割をお願いできないものだろうかというようなことを高橋室長ともいろいろご相談を申し上げておりましたところ、そういうことであればぜひそうしたらどうだろうというようなこともいただいておりまして、私としましては、川合先生に副主査というようなことで、私が出られないときにも会合を開いていただくということで機能が伴うようにしていただけるように、あわせてお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、本日の議論はこれで終わらせていただくということにいたしまして、今後、きょう提起された問題も含めまして幅広く議論を展開したいというふうに思います。それで、1月以降ですけれども、当委員会のメンバーの先生、あるいは外部の先生にプレゼンテーションをしていただいて、適宜その問題について議論をしてまいりたいというふうに思います。特にそのスピーカーとしては若手の方も含めてお招きしていろいろな形で議論をしたいというふうに思っておりますので、この委員会の中でどういう方にどういう問題を話していただいたらいいのかということをちょっとお考えいただいて、きょうご提案いただくと同時に、今後ちょっと提案をいただきたいというふうに思っております。おおむね1月、2月の間については1カ月に1回ぐらいずつの会合をしたいと思っておりまして、事務局のほうから1月のほうのスケジュール表がそこに出ているかと思います。もしできれば、きょう中にこれに返事を書いていただいて、ご都合の悪い場合には後ほどメールでいただきたいと思いますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。
 それで、1月、2月に関して、プレゼンテーションをお願いするのに、外の方のご推薦もさることながら、この中で我こそはというような形でお話しいただける方があれば、お手を挙げていただきたい。あるいはこの先生にお願いしたいというようなことがあれば、ぜひ名前を挙げていただきたいんですけれども、いかがなものでしょうか。
 片岡先生、東京大学でいろいろ、新しい枠組みでいろいろやっておられるというお話もちょっと伺っているんですけれども、1月か2月に、どちらかで何か……。

【片岡委員】
 それは、今やっている活動状況の報告というか……。

【榊主査】
 それも含めてですが、今回、CRESTだとか、いろいろな枠組みが変わってきた中で、違った枠組みで今展開しておられますけれども、大学の中での領域を越えた研究推進というようなものの一つのモデルみたいなこととして相当いろんな工夫をしておられるというふうに聞いているんですけれども。

【片岡委員】
 そういう枠組みのお話とか、そういう……。

【榊主査】
 そうですね。実例もちょっと含めてですけど、もしできましたら……。

【片岡委員】
 もしそういうお話でよろしければ、議論のたたき台ということで。

【榊主査】
 お願いしたいと思います。
 私ばかりが勝手に指名すると非常にぐあいが悪いんですけれども、いかがですか。川合先生、どうですか。川合先生ご自身もあれですけど、何人話していただけるかということも絡んできますけど。

【川合委員】
 そうですね。今のこれと関係してということですか。

【榊主査】
 必ずしも経済産業省との関連ということではなくて、むしろこの委員会本来のミッションということで、きょう前半のほうで話をしていただいた研究の進め方とか、継続性とかというようなことから考えて、間違いなくそれが進んでいくためにどういう点検をしなくちゃいけないかとかですね。

【川合委員】
 ちょっと考えてみますが、今瞬時には。

【榊主査】
 岸先生、このあたりの進め方について、私も突然主査をやっているものですからあまり十分な準備は……。

【岸委員】
 いえいえ、これで結構です。どうぞよろしく。

【榊主査】
 これから1月、2月ということで少しそういうプレゼンテーションをしていただきながら、議論を踏まえて、それを政策に反映させていくということをしたいと思いますので。

【川合委員】
 少し事務局とも相談しながら。

【榊主査】
 そうですね。川合先生、ぜひその辺、よろしくお願いします。

【岸委員】
 ただ、少し気になるのは、経済産業省とどういうような話し合いをこういうところはするべきなのかどうかも含めて、1999年ぐらいでしたっけ?材料の9省庁の集まりなんていうのを随分やったもんですね。それがずっと途絶えているような気がしますね、第2期に入ってからは。
 それともう1つは、通産省は今、ナノテクに対して少しダウンなんですよね。ですから、そういう話し合いを持ったほうがいいのか、相手にしないほうがいいぞというのか、そこらまで含めて、一度は考えてみる必要があるんじゃないかと思いますね。

【榊主査】
 1つだけ例を申しますと、今度始まった領域の中の渡辺久恒先生の次世代ナノエレクトロニクスのCRESTプログラムは、これと補完する形で経済産業省のほうでもう1つのプログラムが走って、ペアプログラムのような形で動いた初めての例かなと思っているんですね。少しそういうことも含めて、できる限り補完的ないい形のものができるようにしたい。
 それでは、そういうことで1月、2月については、プレゼンテーションをしていただきたい方について、事務局が調査をした上で川合先生を中心にしてちょっとご検討いただきますので、委員の諸先生にもご提案いただいて、それからご自身も、こういうふうな話をしたいと思うんだがということを遠慮なくご提案いただければというふうに思います。
 それでは、これでほぼ議論すべきことはカバーできたかと思いますが、何かご発言がありますでしょうか。よろしいですか。
 それじゃあ、最後、閉じる前に高橋さんのほうで、よろしくお願いしたいと思います。

【高橋室長】
 それでは、日程のほう等はまた調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。

【榊主査】
 それでは、皆さん、どうもありがとうございました。これで散会といたします。

‐了‐

お問合せ先

研究振興局基礎基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室

(研究振興局基礎基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室)