第12期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第1回)議事録

1.日時

令和5年8月23日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省会議室(※Web開催)

3.議題

  1. ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の議事運営について【非公開】
  2. ナノテクノロジー・材料科学技術委員会における第 12 期の活動について
  3. 研究開発課題の中間評価について
  4. その他

4.議事録

【柴田補佐】 文部科学省事務局の柴田でございます。時間となりましたので、まだ一部の先生、入られていらっしゃらない方もいらっしゃいますが、定足数に達しておりますので、開始させていただきたいと思います。
会議開催前に事務局からお知らせいたします。本日は、文部科学省の会議室とオンラインを併用いたしましたハイブリッドでの開催といたします。
また、本日は、議事(1)から(4)を予定しております。議事(1)については、主査代理の指名等、人事に係る案件がございますので、非公開とさせていただきます。傍聴者の皆様は、一度御退席いただき、再度御入室いただく形を取らせていただきます。そちらを御了承願います。
それでは、ただいまより、第1回ナノテクノロジー・材料科学技術委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところ、また、大変暑い中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
私は、文部科学省研究振興局ナノテクノロジー・物質・材料担当参事官付の柴田でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、第12期のナノテクノロジー・材料科学技術委員会として初めての開催となります。主査に進行をお願いするまでの間、進行役を務めさせていただきます。
本日は、現地とオンラインのハイブリッドで行いますので、発言の御希望のある方は、挙手または挙手のボタンを押して、指名された後に御発言いただきますようお願いいたします。
また、ウェブ参加の先生方で音声が聞き取りづらいなどの問題が生じた場合は、チャット機能を活用して事務局までお知らせいただければ、適宜対応させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題は、議事次第のとおり4つございます。また、配付資料も議事次第のとおりですが、不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
また、本日は、文部科学省より大臣官房審議官の奥野、また、ナノテク担当参事官の宅間が出席しておりますので、御挨拶を申し上げます。

【奥野審議官】 本日は、第12期の第1回ということに当たりまして、私、文部科学省大臣官房審議官の奥野のほうから、まずは委員の皆様に、お忙しい中、本委員会の委員をお引き受けいただきまして、本当にありがとうございます。また、本日も、このお暑い中、それぞれ御多忙の中、御出席賜りましたことも併せて御礼申し上げます。
さて、このナノテクノロジー・材料科学技術分野につきましては、もう委員の皆様御承知のとおり、広範な社会的課題の解決に資する基盤的技術であると同時に、我が国がこれまでも強みを有してきた分野でございます。こういった観点から、内閣府がつくります科学技術・イノベーション基本計画をはじめとする国の科学技術政策の中で、これまでも重要分野として位置づけられております。また、政府全体として、令和3年4月にマテリアル革新力強化戦略が統合イノベーション戦略推進会議で決定されるなど、国全体としての研究開発の一つのポリシーというのが示されておるところでございます。
本委員会につきましては、当該分野に関する当省の施策に関して御議論いただく場となってございます。特に当分野につきましては、我が国が強みを有すると同時に、大学及び国研等の研究活動と産業界との関係でも、他分野と比して非常に良い形で連携した取組が進んでおるところでございます。
こういった状況におきまして、我が省においては、先端設備の共用体制の整備から、データの集約・蓄積、データ駆動型研究の推進まで一体的に実施するマテリアルDXプラットフォームの実現に向けた取組等を進めておるところです。
このように、分野としての優位性というのを引き続き維持して、研究開発の機能を強化していくだけではなく、我が国のまさに科学技術の観点での研究開発の在り方というのを、他分野に先駆けて先導している極めて重要な分野であると私ども考えてございます。
今期におきましても、本分野のさらなる発展に向けて、我が省の研究開発の進め方について、委員の皆様から様々な御意見、御助言をいただきたいと考えております。今期の委員会、御指導、御助言、よろしくお願いいたします。

【宅間参事官】 ナノテクノロジー・物質・材料担当参事官をしております宅間でございます。改めまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。
コロナ以降、審議会も非常にオンラインが多くございまして、今回このような形でリアルの会場をメインに開催させていただくことができまして、感慨深く感じておるところでございます。中には、遠いところから、また、このお暑い中、お集まりくださいまして、本当にありがとうございました。
今日は12期の初回ではございますけれども、早速にも、私ども実施しております一つの事業の評価につきまして、メインの議題としてお取扱いいただくこととなっております。
今回は時間の関係上間に合わなかったのですけれども、次回以降は、マテリアル革新力強化戦略も策定されて3年目に入っている状況を見ながら、ナノテク・材料分野全体を見渡したような御意見、御議論をいただく機会もぜひこの委員会の中でつくらせていただきたいと思っておりますので、委員の皆様、前期から引き続き引き受けてくださった先生方もいらっしゃいますし、また、今期新しく引き受けくださった先生もいらっしゃいますけれども、様々なお立場から大所高所の御議論をいただけることを楽しみにしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

【柴田補佐】 それでは、傍聴の皆様は一度御退席いただき、15時10分以降に再度入室をお願いいたします。
ただし、非公開議題が予定より延びる場合もございますので、もし入室できないような場合には、少しお時間を空けて何度か入室を試みていただくようお願いいたします。
それでは、手続に入らせていただきます。

(傍聴者退室)

(傍聴者入室)

【高梨主査】 それでは、改めて始めたいと思いますけれど、まず私のほうから御挨拶をさせていただきます。主査を仰せつかっております高梨でございます。前期から引き続き主査を仰せつかっておりますけれども、この大任をしっかりと果たさせていただきたいと思います。皆様の御協力のほど、よろしくお願いいたします。
私は、委員としては、実は2015年、8期から委員をやっておりまして、結構年数をやっておりますので、年数的に言うと、間もなくお役御免かなというところでございますが、今期までは少なくとも頑張らせていただきます。よろしくお願いいたします。
あと、私、昨年の3月まで東北大学の金属材料研究所におりましたが、現在は日本原子力研究開発機構の先端基礎研究センターにおります。専門分野は磁性材料、それからスピントロニクスでございます。よろしくお願いいたします。
それでは、柴田さん、よろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
御出席いただいている各委員の皆様より、菅野主査代理から順番に、簡単に自己紹介を兼ねて御挨拶をお願いいたします。
私のほうで、資料1-1の名簿に沿いましてお名前と御所属等を御紹介させていただきますので、それが終わりましたら一言いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
それでは、初めに、菅野了次、東京工業大学科学技術創成研究院教授、よろしくお願いいたします。

【菅野主査代理】 菅野です。私も、いつからかちょっと覚えていないんですけれど、長く務めさせていただいています。今回、主査代理ということで、精いっぱい務めさせていただきます。専門は無機材料、蓄電池です。よろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
続きまして、伊藤みほ、株式会社デンソー先端技術研究所所長。

【伊藤委員】 初めまして。第12期からお世話になりますデンソー先端技術研究所、伊藤でございます。よろしくお願いします。
私は、もともと専門はセラミックだったり、量子計算だったりといったところを専門としてきているんですけれど、今、研究所のほうでは、材料とAIと人間工学と幅広い先端研究をやっております。どうぞよろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
続きまして、ウェブで御参加いただいております上杉志成、京都大学化学研究所教授。

【上杉委員】 京都大学の上杉でございます。専門はケミカルバイオロジーです。たしか私も10期からさせていただいていると思います。あまり役に立っていないので、役に立てるように頑張ります。今回はオンラインですけれども、また現地で参加できるようにいたします。
以上です。ありがとうございます。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
続きまして、折茂慎一、東北大学材料科学高等研究所長、金属材料研究所教授、よろしくお願いいたします。

【折茂委員】 東北大学の折茂と申します。本年度から拝命しております。専門は水素に関わる材料科学でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
続きまして、加藤隆史、東京大学大学院工学系研究科教授、よろしくお願いいたします。

【加藤委員】 東大の加藤です。第9期からやらせていただいています。今期も頑張りますので、よろしくお願いします。専門は高分子・有機材料です。よろしくお願いします。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
続きまして、堅達京子、株式会社NHKエンタープライズ第1制作センター社会情報部エグゼクティブ・プロデューサー。

【堅達委員】 今期より委員を務めさせていただきます堅達と申します。私はジャーナリストという立場でございまして、この中で恐らく文系なのは私だけなのではないかと思うところでございますが、これまで環境エネルギー科学技術委員会のほうの審議に参加させていただいたり、15年以上、気候変動とか脱炭素の報道を主に担当したりしてまいりましたので、そうした視点から、国民、市民、ジャーナリストの視点からぜひ参画させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
本日、関谷委員は御欠席ですので、引き続きまして、ウェブで参加いただいております瀬戸山亨、三菱ケミカル株式会社エグゼクティブフェロー。

【瀬戸山委員】
僕も何回も委員をやっているんですけれども、特にエネルギー関係とか興味ありまして、最近、自分でベンチャーを起こしたりして、いろんなことをやっています。今日はいろいろ楽しみにしています。よろしくお願いします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
続きまして、高村由起子、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科教授。

【高村委員】 北陸先端大の高村と申します。第11期に引き続いて、こちらの委員を務めることになりました。よろしくお願いいたします。
専門は二次元材料とかのナノマテリアル、平たいナノマテリアルになります。また、この委員会と関わりの深いところでは、マテリアル先端リサーチインフラ事業で機関代表を務めております。どうぞよろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
続きまして、ウェブで参加いただいておりますが、武田志津、株式会社日立製作所専門理事、研究開発グループ技師長、日立神戸ラボ長、よろしくお願いいたします。

【武田委員】 日立製作所の武田志津と申します。継続で今期も委員を務めさせていただきます。
私の専門は、特にライフサイエンス分野でバイオロジーの研究開発に携わっております。特に有機材料や生体高分子関係、また、細胞に至るまで、特に専門性を生かして少しでもお役に立てればと思っています。よろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
永次委員は本日御欠席でございますので、引き続きまして、中山智弘、国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター企画運営室長、よろしくお願いいたします。

【中山委員】 御紹介ありがとうございます。JSTの中山と申します。よろしくお願いします。私は多分4期目ぐらいではないかなと思います。
ふだんは、JSTの中のシンクタンクセクションである研究開発戦略センターというところで仕事をしていて、私は全体のコーディネートをするような仕事をしています。今日はのちほど評価の件で御説明させていただきますので、またよろしくお願いします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
引き続きまして、ウェブで御参加いただいております納富雅也、東京工業大学理学院教授、よろしくお願いいたします。

【納富委員】 紹介ありがとうございます。私は、東工大とNTTをクロスアポイントメントで兼務しています納富と申します。よろしくお願いします。
専門は、私は少し皆さんと毛色が違っていて、光が専門で、ナノフォトニクスの研究をしています。主に光と電気を融合したような大規模な集積回路を目指したような研究をしていまして、その中で、いろいろなナノマテリアルを使うといったところで材料と絡んだ研究活動を行っております。よろしくお願いします。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
長谷川委員は本日御欠席でございますので、引き続きまして、馬場嘉信、名古屋大学大学院工学研究科教授、よろしくお願いいたします。

【馬場委員】 名古屋大学の馬場でございます。よろしくお願いいたします。私もいつから本委員を仰せつかったかちょっと覚えておりませんが、先期から引き続きお世話になっております。
専門は、名古屋大学のほうでは、ナノテクノロジーとバイオテクノロジー並びにその医学等への応用の研究を進めております。また、私、クロスアポイントメントで量子科学技術研究開発機構の量子生命科学研究所の所長も仰せつかっておりまして、そちらでは量子技術と生命科学の、あるいは医学の融合領域ということで、いずれにしても異分野融合のところを主にこれまで研究してまいりました。
先ほど奥野審議官、宅間参事官も御指摘になったとおり、マテリアル革新力強化戦略の中で、この融合領域というのはますます重要になってきていると思いますので、今後も先生方といろいろ議論させていただきながら、この分野をさらに研究開発力の強化に資するような貢献ができればと思います。よろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
引き続きまして、平田裕人、トヨタ自動車株式会社先端材料技術部長、よろしくお願いします。

【平田委員】 トヨタ自動車、平田と申します。私は、前回11期からお世話になっております。私自身は触媒屋です。ちょうど都合のいいことにというか、私の部署のところで、自動車であるとか、最近はロボットとか都市にも関係しますけれども、環境性能であるとか、動力性能に関わるような、主に無機材料ですね。触媒、電池、磁石、半導体、最近は量子マテリアルなんかもありますけれども、そういったことの研究部隊が全員おりますので、この場にも接点のある先生方が多くいらっしゃって緊張しておりますが、今年もよろしくお願い申し上げます。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
引き続きまして、宝野和博、国立研究開発法人物質・材料研究機構理事長、よろしくお願いいたします。

【宝野委員】 NIMSの宝野でございます。物質・材料研究機構、非常に長い名前ですので、最近、NIMSと呼んでくださいとお願いしております。
それで、私の専門は金属材料、特に磁性材料で、最近では永久磁石関連の研究に従事しておりました。
本日、現地参加の皆様が意外と多いので、皆様、人との関係に飢えていらっしゃるなと思っています。私も現地で参加できて非常にうれしく思っております。本日はよろしくお願いします。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
続いて、ウェブで御参加の湯浅新治、国立研究開発法人産業技術総合研究所新原理コンピューティング研究センター長、よろしくお願いいたします。

【湯浅委員】 御紹介ありがとうございます。産総研の湯浅です。私ももうかなり長くこの委員会の委員をやっていまして、いつからかよく覚えていませんけれど、多分第9期ぐらいからだと思います。
専門は磁性材料、スピントロニクスでして、大体高梨先生、宝野先生と似たような専門性を有しております。よろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
同じくウェブで参加いただいております吉江尚子、東京大学副学長、生産技術研究所教授、よろしくお願いいたします。

【吉江委員】 東京大学生産技術研究所の吉江でございます。私は多分5期目ぐらいになるのではないかと思っております。専門は高分子材料で、専ら柔らかい材料について研究を進めてきております。
私も、本日、近いのに所用によりウェブ参加とさせていただいておりますが、また皆様と対面でお目にかかれるようにいたしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございました。
最後に、萬伸一、国立研究開発法人理化学研究所量子コンピュータ研究センター副センター長、よろしくお願いいたします。

【萬委員】 萬です。私も、はっきり分かりませんが、コロナ前からずっと委員をやらせていただいております。就任の頃はまだNECの研究所におりまして、量子デバイス、材料、ナノテクノロジーの研究、あるいは研究マネジメントもしておりました。このため、この委員会に加えていただいたのだろうと思っています。
現在は理研に転じまして、量子関係の仕事が多くなっておりますが、もちろん、この領域、量子技術と、先ほど馬場先生もおっしゃっていましたが、非常に近いところでございますので、何らかの形でこの委員会にも貢献できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 どうもありがとうございました。

【高梨主査】 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、次の議事は、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会における第12期の活動についてでございます。
まず、文部科学省より御説明をお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。事務局より説明させていただきます。
資料2-1、2-2、2-3を御覧ください。
まず2-1についてですけれども、こちらは、親会議である研究計画・評価分科会事務局から示された報告様式に基づきまして、本委員会での取組についてまとめてございます。前期の第11期も類似の資料を作成しておりますので、今期も同様に作成しております。
簡単に概要を御説明させていただきますと、第6期科学技術・イノベーション基本計画に対応する取組についてということで、まず(1)、各部会・委員会に関する研究及び開発等に関するものといたしまして、特に資料に記載の検討を行うとともに、審議を行うということになっておりますけれども、現在実施しております「材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業」、「マテリアル先端リサーチインフラ」、「データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト」の中間評価を予定してございます。また、必要に応じまして、新規・拡充事業の事前評価などについて審議を行う予定でございます。
また、(2)ですけれども、科学技術・イノベーション基本計画等で指摘されております「総合知」の創出・活用に向けたものといたしまして、本委員会におきましても、分野の研究及び開発に関する計画の検討に当たっては、「総合知」の活用に留意することとするとしております。こちらの多様な知を持ち寄って、社会課題解決に向けて検討を進めていくという内容になってございます。
引き続きまして、資料2-2でございますけれども、審議事項の詳細になっております。
1ポツで、研究開発の評価についてでございますけれども、本日実施させていただきますプロセスサイエンス構築事業、通称Materealizeと呼んでおりますけれども、こちらの中間評価を行っていただくとともに、マテリアル先端リサーチインフラ、通称ARIMと呼ばせていただいておりますが、こちらの中間評価も後日予定してございますので、よろしくお願いいたします。
また、来年度になりますけれども、データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト、通称DxMTと呼ばせていただいておりますが、こちらの中間評価も予定してございます。
推進方策等につきましては、文科省としての今後のナノテクノロジー・材料分野の研究及び開発に関する計画の検討等を予定してございます。
3ポツのほうは、こちらの委員会のほうで論点等を整理いたしまして、必要に応じて研究計画・評価分科会等に報告するという内容を記載してございまして、最後に、当面の審議スケジュールを御紹介してございます。
当面のスケジュールについては、2-3のほうに表でも示しておりますので、適宜御参考ください。
以上でございます。

【高梨主査】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明の内容につきまして、御意見、御質問等ございましたら、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。どんなことでも結構です。 どうぞ、馬場委員。

【馬場委員】 名古屋大学の馬場でございます。
詳細な御説明ありがとうございます。
「総合知」の創出・活用、今、非常に重要だと思うのですが、先ほどの自己紹介でもありましたとおり、ほぼ全員自然科学系というか、工学系の委員が多いので、第11期でも議論いたしましたけれども、どういう形でこの総合知をナノテクノロジー・材料で活用するかというのは、なかなかアイデアが出てきにくいなと以前から思っておりましたので、この議論をするときは、少し文系の先生に御協力いただくとか、そういうことも少し考えていければと思いますので、今後、ぜひ御検討をお願いいたします。
以上でございます。

【高梨主査】 どうもありがとうございます。非常に貴重な御意見で、私もこの総合知のことで一言コメントしようかと思っていたのですが、まさに馬場先生おっしゃるとおりだと思います。
堅達委員は、今のことに関しまして、何かございますか。

【堅達委員】 たった一人の文系として、責任重大だなと思っているところでございますが。私も、フューチャー・アースという、気候変動関係の学際的ないろんな異分野で協力しながら一つの英知をちゃんと社会実装していくというようなプロジェクトに長年携わっていますけれども、おっしゃるとおりで、時々のゲストでも構わないので、文系のそういう専門家の方も呼んで、今どき理系・文系と言っているのは日本だけといううわさもありますので、そこは新しい視点で英知を結集していけるように、体制としても整えていかれたらよろしいかと思います。よろしくお願いします。

【高梨主査】 ありがとうございます。
この文章にはないですけど、サーキュラーエコノミーというのは一つのキーワードにもなっていると思うので、そういう経済学の人を呼ぶのがいいのかどうか、すぐには分かりませんけど、例えば、そういうような方とか、いろいろ文系の方を適宜お呼びして、議論に加わっていただくということは非常に重要かなと思います。
御議論ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。今のことに関してでもいいですし、また、全く別なことでもいいんですけれども。
よろしいでしょうか。
では、どうもありがとうございました。
それでは、一応基本的には、この第12期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきまして、この方針で議論を行っていくということでしたいと思います。よろしくお願いいたします。
事務局から、次回の自由討議に先立って、現在の文科省で行っている事業について、事務局からの御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【柴田補佐】 ありがとうございます。
資料2-4に従いまして御説明させていただこうと思いますが、1点、先ほど説明した資料2-1につきましては、明後日の研究計画・評価分科会のほうでも報告させていただきますので、一言申し添えさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料2-4に戻りまして、現在文科省で行っている事業について、簡単ではございますが、御説明させていただきます。
まず1ページ目ですが、マテリアル革新力強化戦略について、こちら、先ほど来少し話題にも上っておりますけれども、令和3年4月に統合イノベーション戦略推進会議で決定されたものでございます。こちらで、戦略策定の意義として3点、国際状況ですとか、材料については、社会を変える力を本来持っているけれども、なかなかドラスティックな変化として見えてきにくいということですとか、SDGsの意識の高まりといったところがといったところが、もともとの課題の問題意識として挙げられてございます。
国際状況につきましては、EUの環境政策等ですとか、サプライチェーンの脆弱性とか、いろいろ挙げてございますけれども、2021年にこちらの戦略を策定された後に、また例のロシアによるウクライナ侵略ですとか、そういった話も出てきたりして、よりサプライチェーンの脆弱性等などが問題になっております。あとは、EUの環境政策等という意味では、先月の7月13日でしたでしょうか、EUのほうでELV指令等に関する規制案が発表されておりまして、カーボンニュートラルですとかサーキュラーエコノミーへの意識の高まりというのが起こっている状況でございます。
そのような情勢を踏まえまして、我が国の強み(高い技術力、優れた人材、良質なデータ、高度な研究施設・設備、産学官の連携関係等)を生かしていくということで、目指すべき姿、マテリアル革新力を高め、より経済発展と社会課題解決が両立した、持続可能な社会への転換に世界の先頭に立って取り組み、世界に貢献するということで、アクションプランを3つ立ててございます。
革新的マテリアルの開発と迅速な社会実装、また、マテリアル・データと製造技術を活用したデータ駆動型研究開発の促進、また、国際競争力の持続的強化ということで、マテリアル革新力強化戦略のほうでうたわれてございます。
これらを踏まえまして、特に文部科学省のナノ材参事官付のほうで、近年、DX化に力を入れて事業を推進してございます。
このような動きにつきましては、今年の統合イノベーション戦略においても、重点的に取り組むべき事項として引き続き位置づけられております。ちょっと見にくいですけれども、背景・課題の下のほうの統合イノベーション戦略2023というところで御紹介してございます。
これらの政府方針を受けまして、現在、具体的な取組としては、材料データの収集・蓄積・活用促進の取組の実績を持つマテリアル分野を研究DXのユースケースにということで、研究データの、まず1つ目といたしまして創出、次に、2つ目といたしまして統合・管理、3つ目といたしまして利活用まで、一気通貫して実施しております。
研究を効率的に加速する全国の大学等の先端共用設備の体制整備に加えまして、研究DXのユースケースとして創出データを機関の枠組みを越えて共有・活用する仕組みを実現し、データ駆動型研究を全国に展開すること、また、データ駆動型研究が計算・計測手法と融合する、次世代の革新的研究手法を確立し、社会課題解決につなげるということに取り組んでございます。
具体的な事業といたしましては、①のデータ創出としてマテリアル先端リサーチインフラ事業、次に、②のデータ統合・管理といたしましてこちら、NIMSのほうで取り組んでおられますけれども、データ中核拠点の形成、③のデータ利活用といたしましてデータ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト、また、NIMSにおけるデータ駆動型研究の推進、さらには材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業、今日中間評価をいただきますけれども、こちらの事業を実施してございます。
また、これらの取組を通じまして、2025年度からプラットフォームの本格始動すると位置づけておりまして、ARIM事業、リサーチインフラ事業のほうでは、データの共有を本格化するとともに、データ中核拠点やデータ創出事業のほうで、データを活用するAIアプリの共有といったことを取り組んでいくということに、現在、目標として事業を進めておるところでございます。
各事業の詳細につきまして、次ページ以降にございますけれども、その中でも、プロセスサイエンス事業のほうは、後ほど中間評価で事業の紹介もございますので、マテリアル先端リサーチインフラ事業とデータ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト及びNIMSでやっていただいておりますデータ連携部会等の取組について、簡単に御紹介させていただきます。
まず、2ページのマテリアル先端リサーチインフラ事業でございますけれども、こちら、先端設備の共用事業になってございます。前身のナノテクプラットフォーム事業がございましたけれども、そちらで最先端の設備の共用の環境整備を行ってまいりました。また、ただの設備の共用だけではなくて、最先端の技術を有する支援人材とともに、その共用環境を提供するというところがコンセプトになってございましたが、マテリアル先端リサーチインフラ事業として、新たにデータ登録とその先のデータの活用を志向いたしました取組ですとか、また、7つの重要課題領域を設けまして、各社会課題の解決に向けた取組等に積極的に取り組んでいただくこととなってございます。こちらの事業は、大体17億ぐらいの委託費を投入してございますけれども、利用料収入等を認めておりますのと、また、各機関等で独自に自主的に運営費交付金等も合わせまして、大体30億ぐらいの規模で、大体1,000台の最先端の設備を、500名ぐらいの規模の研究の支援者等の方々の協力を得て運営しておるものでございます。現在、令和3年から令和4年ぐらいですけれども、年間の利用件数が2,500件ぐらいになってございます。
次の3ページ目につきましては、マテリアル先端リサーチインフラの推進体制でございまして、御紹介させていただきました25機関が、右上のほうに重要技術領域を設定しておりますけれども、この重要技術領域に合わせて体制を組んで実施しておるところでございます。
続いて、4ページ目をお願いいたします。データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクトといたしまして、「富岳」や放射光施設などの大型先端施設やマテリアルDXプラットフォームをフル活用しつつ、データ駆動型研究を取り入れた次世代の研究方法論を実践し、革新的機能を有するマテリアルを創出する事業になっております。令和3年度に実施したFSでもともとスタートしておりますけれども、こちらを生かしつつ、令和4年度より研究開発を本格開始してございます。そして、現在は、研究活動で創出されたデータ・AI解析ツールの展開など、データ連携に係る取組を引き続き実施しておるところでございます。
実際の各拠点の代表の方々は、次の5ページにございますけれども、東大の杉山先生ですとか、NIMSの大久保先生ですとか、半導体では東京工業大学の神谷先生、構造材料では東北大学の吉見先生、バイオアダプティブ材料では京都大学の沼田先生が中心となって事業を進めておられます。
また、6ページに移っていただきますけれども、特に各拠点で共通的な課題等出てまいります。どうしてもデータ駆動型研究を進めていく上で、実際にデータをどう共有していくのかですとか、データを構造化する上で技術的な課題等出てまいりますが、そういった共通の課題を解決するための枠組みといたしまして、データ連携部会を設置しており、こちら、NIMSが中核機関となりましてデータ連携部会を運営してございます。
このデータ連携部会で、各拠点の中で出てきたような、例えば、研究手法ですとか、研究ツールの共同開発ですとか、共用化及び普及活動なんかを共に取り組んで、さらにはその全国展開につなげていけるように、横串活動等を組み込んだ枠組みで実施しておるところでございます。
事業の説明については、以上になります。

【高梨主査】 ありがとうございました。
これは次回以降、今の御説明いただいた現在の事業の状況を踏まえつつ御議論いただければということでございますが、多少時間があるので、今の御説明で何か御質問等ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですかね。これはまた次回以降、こういった事業についていろいろ御議論いただくということになりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に移りたいと思います。議題(3)の研究開発課題の中間評価についてということでございます。
本件に関しましては、令和元年度から実施している材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業(Materealize)について、中間評価を行うものでございます。
既に外部有識者から成る中間評価に係る検討会を開催し、中間評価票(案)を作成していただいておりますので、当該中間評価票(案)について御報告をいただき、本委員会において質疑応答、討議を行い、中間評価票(案)について検討、取りまとめを行いたいと思います。
質疑応答の際には、必要に応じて、本事業の松原PD及び永野POから御回答いただきます。
なお、取りまとめた中間評価票(案)について、研究計画・評価分科会への報告を経て決定ということになります。
中間評価票(案)の御報告の前に、まず事務局より、当該事業の概要及び評価指標について御説明をお願いしたいと思います。
また、中間評価票(案)については、本事業の中間評価検討会に本委員会から中山委員に御参画いただいておりますので、中山委員より御説明をお願いしたいと思います。
なお、参考資料4の第12期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価についてで、分野別委員会等で利害関係者の範囲について明確に定めることとされております。
当委員会の利害関係者についても、研究計画・評価分科会と同様の範囲とさせていただきたいと思いますけれども、御異存ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【高梨主査】 では、御異議ないようですので、そのようにさせていただきます。
そうしますと、本日御出席の委員のうち、菅野主査代理、折茂委員、宝野委員については、利害関係に当たると考えられますので、評価に係る御発言は控えていただければと思います。
さて、それでは、まず事務局より、事業の概要について御説明をお願いいたします。

【宅間参事官】 参事官の宅間でございます。資料3-1に基づきまして、材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業(Materealize)の概要を御説明させていただきます。
材料研究の社会実装につきましては、先ほどの説明と少し重複する部分もございますが、令和3年4月に策定されましたマテリアル革新力強化戦略におきましても、マテリアル・イノベーションを創出する力の強化に向けた課題の一つといたしまして、社会実装が遅い、優れたマテリアルがあるにもかかわらず、社会実装されない事例も多いといったところが指摘されているところでございます。
また、この戦略に先立ちまして、平成30年8月に本委員会でおまとめいただきましたナノテクノロジー・材料科学技術研究開発戦略におきましては、より具体的に、マテリアル革命の実現に向けた課題といたしまして、ラボと民間のスケール差やコスト等の事業化へのギャップや、基礎研究と実用化の橋渡しの必要性、社会ニーズや技術シーズの多様化・複雑化に伴う産業界が抱える基礎研究フェーズの課題への対応の必要性が指摘されております。また、国際競争力の根幹に関わるプロセス技術につきましては、論文を書きにくい技術領域であるというようなところもございますが、そうしたものに対する適切な評価軸の設定の必要性といったことも指摘されました。
これらの課題に対応いたしまして、右側の具体的な取組の(2)といたしまして、創出された革新的マテリアルを世に送り出すサイエンス基盤の構築という取組を提言いただいたところでございます。
これを受けまして、材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業を令和元年度より開始してございます。
内容につきましては、5ページ目にございますように、先生方には申し上げるまでもないことでございますけれども、材料開発におきましては、新しいモノを作るためのマテリアルサイエンスと、作り方の理解を深め、新しく生み出すという観点でプロセスサイエンス、この両輪を発展させることが不可欠であるというところでございます。この事業におきましては、このプロセスサイエンスをターゲットといたしております。
次のページに参りまして、そのプロセスサイエンスにつきましては、近年、様々な要請に基づきまして、経済的な制約でありますとか社会課題等、例えば、持続可能性等に関する制約など、マテリアル自体がクリアするべき条件というものが複雑化・高度化しているところでございます。それに伴いまして、マテリアルを製造するプロセスにつきましても進化が求められているということで、従前、こうした課題につきましては、蓄積されたノウハウなどで乗り越えてきたというところがございましたが、社会実装のための課題を真に解決するためには、サイエンスに立ち返って深掘りをすることが必要だということで、この事業が開始されたところでございます。
7ページ目に参りまして、本事業の目標は大きく2つに整理されております。1つ目といたしましては、プロセスサイエンスの構築でございます。2つ目といたしましては、大学等と企業の連携体制、産学官からの相談先と呼んでおりますが、こちらの構築、この2つを事業の目標としております。これらの両輪で、我が国のナノテクノロジー・材料分野における研究力向上、また、将来的な産業競争力の強化につなげていくということを目標にしてございます。
次のページに参りますが、実施課題でございますけれども、2課題ございます。
東北大学の阿尻先生を代表といたします、ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンスにつきましては、様々な分野で応用研究が行われていながら実用化へのハードルが高いナノ材料の作成につきまして、ボトルネックとなる分散・凝集・配列の制御を理解し、高機能化のためのプロセスサイエンスを構築するという内容で実施しております。
事業目標の1つ目、プロセスサイエンスの構築に関しましては、材料の化学工学熱力学を世界に先駆けて確立するということを目標としております。
また、事業目標の2つ目の産学官からの相談先の構築につきましては、企業の共通基盤ニーズを抽出するコンソーシアムと、蓄積したデータ等の探索試験等の場を提供するセンターを設置するということを目標としておられます。
期待される成果といたしましては、ナノ材料プロセスの応用先は他業種にわたるということで、企業間で自律的に連携することが難しいという課題がございます。この事業の実施によりまして、東北大に蓄積された知見を礎として、効率的に企業へ成果を展開することが期待されてございます。
2つ目の課題でございますけれども、NIMS、高田先生を研究代表者とします、全固体電池を実現する接合プロセス技術革新でございます。こちらにつきましては、次世代蓄電池と目されます酸化物型全固体電池の実現を可能とする固体材料の革新的な接合プロセスに向けたサイエンスの構築を実施しております。
プロセスサイエンス構築につきましては、酸化物型全固体電池の実現に不可欠な固体界面科学を確立すること、また、産学官からの相談先の構築につきましては、ワンストップの総合支援窓口を設立するとともに、関連企業とのコンソーシアムを設立し、相談先機能の効果的な活用を図るということで進めております。
期待される成果といたしましては、全固体電池は社会課題解決に資するマテリアルの代表例の一つでございますので、こうした酸化物固体電池に関する学理等の構築といったところは非常に課題が大きく、民間主体では取組が難しいといったところで、NIMSを代表とするこの事業の実施により、数々の知見の解決が期待されているというところでございます。
続きまして、事業の成果のごく概略でございますけれども、9ページ目以降でございます。
まず、事業目的の一つ、プロセスサイエンスの構築に関する成果でございますが、こちらの指標に関しましては、後ほど中間評価票のほうにも出てまいりますが、まず、このプロセス、また、構造、物性・特性の相関といったところを幾つ見いだしているかという、この件数を指標の一つに置いてございます。
こちらにつきましても、R3年度に行いました評価からR5年度の評価におきまして、この数字自体は累計でございますが、単年度で見ましても、前年度に比して成果が上がってきているという状況でございます。
また、査読付論文数につきましても、こちらの数字、申事務局の不手際で少し数字にずれがございます。この会議後、修正させていただきたいと思っておりますが、令和5年度ステージゲート時点という数字は、120報というのが正確な数字になるところでございます。こうしたところで、順調に成果も上がっているというところになっております。
次のページにつきましては、事業目標の2つ目、「産学官からの相談先」の構築に関する成果でございますけれども、こちらの指標につきましては、プロセス上の課題解決に関する産学官からの相談件数、また、プロジェクト・コンソーシアムの参画企業数、それから、企業などからの資金導入率というものを評価の指標として扱っております。
こちらにつきましても、先ほどと同様に、この数字は累計でございますけれども、単年度ごとの数字で見ましても、前年度に比して成果が上がっております。また、相談につきましては、その相談の内容が、より具体的な相談内容になっているというような形で、数のみならず、質の進化といったものも見られているというところでございました。
続きまして、11ページ目以降は、この事業の運営実施体制でございます。本日の会議の場にもお越しいただいておりますPDまたはPOを中心といたしまして、委員会において助言をいただく専門委員の皆様にもお加わりいただき、また、文科省も入りまして、プログラム運営委員会を構成しております。こちらで、各課題研究代表に対する研究、進捗等に関する指示などを行わせていただいて、報告などを受けるという体制を構築しております。
具体的な先生方の名簿につきましては、御覧のとおりでございます。
その次のページは、事業評価の体制につきましてでございますけれども、本事業では、毎年度プログラム運営委員会を年2回程度開催しておりまして、プロジェクトの進捗状況等を確認しております。また、3年目、5年目には、各プロジェクトのステージゲート評価、また、事業中間評価を実施しておりまして、今年度、5年目に当たりますステージゲート評価を実施した上での中間評価の案を中間評価委員会で作成していただき、本日、このナノ材委員会に諮らせていただくということになっております。
中間評価の委員につきましては、次のスライドにございます。
また、中間評価の観点等につきましては、その次のスライド2枚ほどにわたって提示させていただきました。
事業の概要につきましては、以上でございます。

【高梨主査】 ありがとうございました。
では、続きまして、宅間参事官、それから中山委員より、中間評価票(案)についての御説明をお願いいたします。
まずは、宅間参事官、よろしくお願いいたします。

【宅間参事官】 それでは、中間評価書の形式的なところを御説明させていただきたいと思います。資料3-2でございます。
こちらにつきましては、このナノテクノロジー・材料科学技術委員会のクレジットにて、後日開催されます研究計画・評価分科会のほうにお諮りするものということになります。
資料の構成でございますけれども、まず委員名簿をつけさせていただいております。説明は割愛させていただきます。
5ページ目に、本事業の概要がございますけれども、こちらにつきましては、先ほど御説明いたしましたので、大部分割愛させていただきまして、3ポツの研究開発の必要性等というところだけ補足の説明をさせていただきますが、こちらの内容につきましては、定まった様式でございまして、この事業を開始する前に行った事前評価の内容を転記しているものでございます。
ごくかいつまんで申し上げますが、本事業の必要性といたしましては、(1)の最初のパラグラフの後半の辺りにございますけれども、これまでのマテリアル研究は、マテリアル創出にフォーカスされており、「使えるマテリアル」に作り込むために必要となる科学技術への施策が手薄であったという指摘で、本事業は、そうした手薄であったところに対応する施策というところで、必要性や有効性の高さといったところが評価されたところでございました。
また、効率性につきましても、この事業の実施によりまして、個別の支援では実施できないような体制を構築して、産学共通の課題について産学連携で取り組むということでの効率性についても認められたということで開始した事業になっております。
7ページ目、4ポツ、予算につきましては、今年度3億500万という規模で、大体事業開始より同規模で推移しております。
5番、6番は既に説明済みの内容でございますので、割愛させていただきます。
それから、10ページ目以降が中間評価票の本体というところになりますけれども、こちらも定まった様式でございますが、課題名、また、上位施策との関係といったところが多少整理をして記載させていただいております。
また、指標に関しましては、先ほど御説明したとおりでございますが、プログラム全体に関連するアウトプット指標といたしましては、この事業目標のプロセスサイエンスの構築に関しては「プロセス・構造・物性」の相関の件数、相談体制の構築につきましてはコンソーシアムの設立数、11ページ目に参りまして、アウトカムの指標といたしましては、プロセスサイエンスについては査読付論文の本数、それから、相談体制の構築につきましては、相談件数、参画企業数、資金導入機関からの資金導入状況といったところで指標を立てさせていただいております。
数値につきましては、御覧のとおりでございますが、先ほども申しましたように、一部数字に精査が必要なところがございました。評価の大勢に影響するものではございませんので、後ほど事務局のほうで修正させていただいた上で、こちらで御了承いただきましたら、計評分科会のほうに御報告をさせていただきたいと思っております。
3ポツ、評価結果につきましては、中間評価委員会の委員でもあります中山委員より代表して御説明いただけることになっております。
簡単に構成だけ御説明させていただきますが、まず(1)課題の進捗状況、(2)各観点の再評価とございますが、こちら、必要性、有効性、効率性の3つの観点で評価していただいております。評価基準は表に御覧のとおりですけれども、今回中間評価でございますので、適用時期が中間評価の「中」というのが書かれている部分の指標に沿って、今回評価をまとめさせていただいております。
それから、(3)のところは、科学技術・イノベーション基本計画等の上位施策への貢献状況、(4)は、事前評価結果時等の指摘事項に対する対応状況、(5)今後の研究開発の方向性、(6)その他という構成になっております。
それでは、3ポツのところに戻っていただきまして、中山委員、よろしくお願い申し上げます。

【中山委員】 参事官、御説明ありがとうございました。黒田一幸主査に代わりまして、中山から御説明いたします。黒田先生には非常に丁寧に見ていただきました。今は海外在住のため、私が説明させていただきます。
最初の部分は事業の目的ですので、重複するため省略させていただきます。時間が限られるため、ご説明できない部分があることを御了承ください。
今は実質4年ぐらいの時点でございますが、一部は改善を要するものの、想定以上の成果の創出が2つのプロジェクトともに認められると思われます。詳しくは後ほど出てきますので、ここでは飛ばさせていただきます。
まず、「ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンス」についてす。世界に先んじて「ナノ粒子系の熱力学」をプロセスサイエンスとして体系化しようとする取組であり、化学工学やナノ材料活用の発展の観点で様々な産業応用も期待され、極めて大きな成果・進捗がなされていると考えております。データの収集と解析により、ナノ粒子に対して熱力学的な扱いが可能なことを見いだし、体系化されたプロセスサイエンスが学理として丁寧に検討されています。「化学工学便覧」への掲載もされるような流れになっており、そういう面でも優れていると考えられます。
また、コンソーシアムを介した産学官連携も、相談対応という一方的な貢献だけではなく、企業からのデータ提供も受けるという双方向の話も進んでおります。さらに人材育成の面でも、例えばプロジェクトに参画している研究者の昇任等も多く見られるなど、良い進捗がなされています。
一方で、当初計画を上回る成果が期待できるゆえに、コンソーシアムの運営や知的財産の取扱いなどについて、新たな課題ができる可能性もあるかもしれません。事業終了後も本プロジェクトで構築された拠点が求心力を持って維持運営されることは重要です。そのために、企業から提供されたデータの取扱いや事業が終わった後の取扱いなど、広義の知財マネジメント、その取扱体制、運営コスト等についての検討は、今からしっかりとやっておく必要があるとの議論がなされております。
次に、「全固体電池を実現する接合プロセスの技術革新」についてです。
可塑性をほとんど示さない酸化物型固体電池ですので、必要な電気化学的特性を実現する界面の形成は、難しい課題とされております。良好なイオン伝導を実現する界面構造の形成に不可欠な、固相、液相、気相のセラミックス材料接合のプロセスサイエンス構築について、まさに挑戦しているところでございます。
一方で、焼結プロセスを対象とした接合プロセスという研究課題は非常に意義が深いものと考えます。材料自体の特性にプロセスが依存する場合が多く、個別事例の積上げにならざるを得ず、体系的な学理に帰着させるハードルは高く、非常に難しい取組をしていただいていると認識しております。接合プロセスの体系化等、構築すべき新しいプロセスサイエンスの思想や全体像、方向性はまだまだ検討の途上でありますが、このプロジェクトで生まれつつあるとされる新しい学理・サイエンスが、どこに象徴的に出てくるのかを明示する必要があると思われます。ここは、研究している皆さん、PD、SPD、PO、あるいは、プログラム委員会の皆様が一緒になって、方向性の明確化を早急にしていただきたいという議論が行われました。
また、酸化物型固体電池を希望する企業との連携強化などを含め、事業終了後にこの活動母体が維持運営されることは重要です。そのための知的財産やデータの取扱いなども含めたルールの設計とその運用体制が今後の課題であり、両プロジェクトとも共通ですが、終わった後のことまで見据え、今のうちからしっかりと準備をして欲しいということを、評価のときにも丁寧に議論させていただきました。
産学官一体となり、材料の社会実装に向けたプロセスサイエンスの新たな発展を目指す取組は、我が国の産業競争力強化の上で不可欠であろうと思います。また、このマテリアル分野において、プロセスサイエンスという概念を取入れた事業を我が国が世界に先んじて行いました。プロセスエンジニアリングはEUのプログラムで行われておりますが、それをサイエンスに帰着させることを重視したところに我が国のオリジナリティーがあります。Horizon Europe等の諸外国の情勢を見ても、これは必要な取組であったと思われます。
次は有効性についてです。特に「ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンス」では、プロセスサイエンスについての体系的な知識の構築が試みられており、化学工学やナノ材料活用の発展の観点で様々な産業応用も期待され、極めて重要な成果・進捗等を示していると思われます。
また、NIMSの知的財産室による本プロジェクトの戦略的知財管理体制が構築されており、NIMSが組織を挙げてしっかりとサポートしており、好感が持てるところと思います。先に述べたように非常に難しいテーマであり、今後もしっかりやって頂きたいと思います。
効率性につきましては、大学や国立研究開発法人が、それぞれの研究資源と研究・開発体制を活用して取組んでおり、限られた資源を有効に生かしており、効率的な研究を推進するための適切な実施体制等が形成されていると思われます。資源の配分や運営体制は妥当なものであると思われます。
その上で、今後の課題に関するところです。両プロジェクトの課題設定が異なることから、更なる運営面での改善を目指すためには、それぞれのプロジェクトで認識されている課題等を踏まえ、PD、PO、SPD等が適切なイニシアチブを発揮し、更なる主体的な検討や、今まで以上の強い指示など各課題へのより積極的な関与をしていただきたいと思います。
得られたプロセスサイエンスを、より汎用的なものに展開して活用していくための産学官からの相談先の機能強化についても、これは特筆すべきであると評価いたしております。
以上のことから、本事業の実施体制及び運営の妥当性は、冒頭に掲げた評価基準を満たしていると判断しているところでございます。
今後の研究開発の方向性としては、本課題は、「継続」する方向とさせていただくのが妥当ではないかと判断しております。今後も基礎学理の確立やデータの活用が推進され、材料の社会実装につながる成果が大いに期待されるところです。一方で、先ほどご説明したように、一部には課題も明らかとなっています。したがって、一部改善しながら、あるいは、本課題を継続することが望ましいと考えています。引き続きプロセスサイエンスの体系化を推進し、産学官でしっかり協働し、プロセスサイエンスを「世に出る」成果につなげていただきたい。本事業の終了まで、志高く、高みを目指していく取組をしっかりと行い、実現していただければと思っております。
次は本課題の改善に向けた指摘事項です。ナノ材料の界面のプロジェクトでは、構築した拠点が事業中から終了後に亘って求心力を持って維持・運営されるために、企業から提供されたメタデータの取扱いも含めて、広義の知財マネジメントをしっかりやっていただく必要があります。これは繰り返しの部分でございます。
もう一つ、全固体電池のプロジェクトですが、これも先ほどの繰り返しになりますが、接合プロセスの体系化等、構築しようとする新しいプロセスサイエンスの思想、その全体像、方向性、これをしっかりと考えて頂く必要があります。
最後のところですが、次の3年弱で本事業が終了するのを見据え、持続的な材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス拠点の維持に向けた方策を、今から検討すべきであろうと思います。
また、マテリアル分野におけるプロセスサイエンスを国際的に認知された学術にまで育て、社会的有効性や有用性を認識させるには、次の3年弱以降も持続的な体制を各プロジェクトが構築することが必要であり、本事業実施期間終了後の施策の検討も早急に始める必要があると考えます。
知的財産についても、両プロジェクトがそのコアコンピテンスを維持発展できるようなものを考えていく必要があると思います。また、大学や国立研究開発法人の一般的な知財ルールは考慮しつつも、本プロジェクトの活用のためにオーダーメードのルールも必要になろうかと思います。それぞれに合ったものをしっかりと独自に設計するなど、今後検討ただくことが大事であろうと思います。
以上でございます。

【高梨主査】 どうもありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明の内容に関しまして、御意見、御質問をいただきたいと思います。これは少し時間をかけて御議論させていただければと思いますが、挙手をお願いいたします。大変丁寧に御説明いただいたと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。

【馬場委員】 評価につきまして詳細に御説明ありがとうございます。また、本プロジェクトは非常にいい成果につながっているということは、本委員会としても大変喜ばしく存じます。
私から質問させていただきたいと思いますが、ナノ材料の界面構造制御プロセスサイエンスのプロジェクトのほうにつきまして、非常にいい成果が上がっているというふうに御説明いただいたとおりかと思いますけれども。ナノ材料の界面構造制御といいまして、特にナノ粒子をターゲットにされていると思いますが、ナノ粒子といっても、ありとあらゆる材料があるわけでして、今回はターゲットを幾つか絞られて、それのおかげでいい成果が出ていると思うんですが。
1つは、どういう基準で、今回、そのターゲットをある程度絞られたかということと、それから、今後、多分これまでの成果を別な材料系にも展開されるということを考えられるんだと思います。最初の質問とも関連しますが、今の成果案に基づいて、今後どういう材料系への展開というのを考えられていて、それを、できればNIMSでやっている固体電池のプロジェクトとも連携されると、よりよい成果になるのかなと思いますので、そういう観点から、今回の材料をどういうふうに絞り込まれたかということと、今後の展開をどういうふうにされるかということ、それをお伺いできればと思います。

【中山委員】 このターゲットの絞り方について、ナノ粒子をいかに一般化するかということに腐心されたのではないかと思います。ナノ粒子を分子に見立て、うまく一般化し、今まで個別でやっていたことが上位の視点で考えられるようになったところが、大事な点であると思います。どのような考えや基準でそうしたかということなど、PD、POからご発言いただければと思います。

【松原PD】 では、PDから御説明申し上げます。
まず、この東北大学のプロジェクトがうまくいった一つの理由は、標準物質というものを決めて、それを研究者全員に配るということがございます。そのときに、その標準物質自体が多分散であるとか、その分散状態、あるいは、その粒径も含めまして、きちっと制御されるということが非常に重要です。そういうことが、まず可能である物質ということで決めております。
出てきたデータに関しましては、メタデータ化をして、理論曲線に載せてまいりますので、それは様々なものに対応していけるというふうな体系化をしておるということです。
今後どういうものに使っていくかということに関しまして、まず標準物質で行うことによって、今申し上げましたような様々な知見を積み上げ、それを今度は企業との話合いの中で様々な課題が出てまいります。それを今いろいろ広げていくという段階に入ろうとしているというような現状でございます。
ですから、まずナノ材料の加工体系というものをつくり上げるというところで、標準材料がきちっと規格化されて、大量に作れるというところで、ここで3種類ぐらい東北大学のほうから供給されております。そういうことで、まずは決められる。だから、それは既に様々な知見を、この中核となっております東北大学の阿尻先生のグループは持っておったということが、一番大きな理由でございます。それで、そういうことをベースに、今後組み上げていこうとしておるというふうなことでございます。

【馬場委員】 ありがとうございます。

【永野PO】 POの永野でございます。
補足をいたしますと、具体的には、標準物質として、セリアを用いております。そこに有機修飾ナノ粒子を様々な密度で付与していく、また、長さも変えながら付与していく。そういったものを修飾ナノ粒子としたものを、一つの大きな分子として取り扱うことが、熱力学的に、ナノ粒子の熱力学としても成立するんだということをまずサイエンスとして示すと。
ここからの展開として、チタニアでありますとかボロンナイトライド、そういった材料系への展開を図っていくと。さらに、それを応用する素材としては、例えば、熱電変換材料でありますとか、あるいは、吸着材料でありますとか、そういったものにおけるナノ粒子の分散性を物性から推算し予測していく、そういう形で社会に貢献していくというようなことを考えて取り組んでおります。
以上でございます。

【馬場委員】 ありがとうございます。

【高梨主査】 どうぞ、加藤委員。

【加藤委員】 御説明ありがとうございました。
この界面が一つキーワードになっていて、不均一系ですね。一番難しいところだと思うのですけど。一つは、普遍性のところです。このプロジェクトで新しい材料を作っていくというときに、プロセスサイエンスとつけたというふうにおっしゃっていますね。その場合、今のお話だったら、企業とかが製品化していくときは、どうしても知財とかでクローズになっていくんですけど、サイエンスと言っている以上、普遍性がないといけないと思うのですね。ですから、ただクローズして終わっても、次につながらないので、いわゆる普遍性をどれだけ持たせて、世界中の人が、これは分子の熱力と同じレベルだねとか言えるように、個別のところと普遍的なところをどうレベルを上げて、これからつないでいくかというのを、お考えをお聞かせいただきたいのが一つです。

【松原PD】 その点に関しましては、非常に腐心をされておるところでございます。
まず、非協調領域というものをきちっと設けることによって、そういうものをまず企業との間できちっと話し合ってまずつくると。それが具体的にどういうものかと申しますと、今の「化学工学便覧」というものでナノ材料の体系化したものを掲載しようとしており、進んでおります。それがまさにいわゆる世界に向けても発信される科学的な体系化ということで出てまいります。
具体的なものになったときは、当然、その中で企業とのやり取りがございます。そのときには、共同研究をやる中で、競争領域と非競争領域というものを、まず共同研究を行う前にきちっと議論して、非競争領域に関しては皆で使えるようにしましょうというような議論がきっとなされるという体制が、今、走りながら考えている部分もございますが、そういうことができつつあります。
それがデータベースの中に組み込まれていく。また、データベースに組み込むときは、メタデータ化をきちっとしておりますので、企業から見た場合も、それは非協調領域として安心して様々なデータを提供できるという体制も取っております。そういうことによって、今、先生がおっしゃったような課題に対応しようとしておるのが現状でございます。

【永野PO】 ありがとうございます。
非常に大事な御質問、御指摘をいただいたと思っておりまして、やはり従来、材料のプロセスというのは、特に日本では、産業界にほとんどのプロセスの経験値であり蓄積というのがなされてきたと。今、様々な面でサイエンスが進んできて、計測の技術、計算科学、そして、今、データ科学というものも使えるようになってきて、ようやくプロセスに本当の意味でサイエンスに切り込んでいける段階になってきたのではないかというところで、この事業が始まったわけですね。
そうしますと、この事業でも、様々な企業さんの課題として何があるのかというのをよくお聞きしながら、プロジェクトのアカデミアを中心とする先生方は、まずデータ基盤をちゃんと整えようではないかと。つまり、基本的な標準物質におけるPVTのデータ、それから、粘性データ等々を取りそろえていきながら、じゃ、企業さんがこの材料でこういうプロセスをやりたいんだけど、そのときにどういう推算が可能でしょうか、どういう予測が可能でしょうかという問いに対して、データベースを使いながら、その案を提供していくという、そういうような仕組みが既に動き始めておりまして、その意味では、サイエンス面で頼りにされる拠点として、徐々に成長していけるのかなというところです。
肝腎の知財については、これは特許にしているものもあるんですが、やはりデータであったり、プロセスのノウハウであったりという部分を本当の意味での知的財産としてプロジェクトでは貯めていきながら、それを企業の方に具体的な相談の中で提供していくということを考えておりまして、本当に権利化されるものについては、後に特許にしてライセンスしていくというものを考えるんですが、今はサイエンスの基盤として、そういうものを体系化して用意しようと。その顕在化の一つが、次の「化学工学便覧」に新しい章を設けて、ナノ構造制御の章を設けさせていただいて、そこに載せて世界に発信しようではないかと、こういう取組をしております。

【加藤委員】 ありがとうございます。もう一つよろしいでしょうか。
それから、今、ご説明がありましたけれど、やはり今が良いときであると。すなわち、ただ作るだけではなくて、構造とか計算とかデータとか、それを新しい科学と融合できるという話をされたのですが。。先ほどの最初のこの委員会の説明がありました、例えば、マテリアル先端リサーチインフラとか、構造解析がありますね。界面なんかは、構造解析が非常に大事で、そういったところは、特許でなくても、内容を発信していただくと、特許と関係なしに、皆の役に立つのではないかと思うんですね。例えば、今、非常に分析装置はレベルが進んでいて、我々も恩恵にあずかっているのですけど、こういう材料ではこういうところが見えてきたとかそのようなことです。
その構造解析というのも一つの重要な柱だと思うのですけど、その辺はまだあまり書いておられなくて、そういうことは、特許とは違って、ある程度公開しやすくて、役に立つところになるのではないかと思うのですが、固体界面とか、ナノ粒子の界面とか、本当に非常に深いので、その辺が分かると皆さん役に立つのではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。

【松原PD】 まず、東北大学のグループがやっておりますのは、計算科学を非常にうまく使って界面のシミュレーションをやることによって、理解を深めるというようなことをやっております。それから、NIMSに関しましては、もともとが非常に優れた高度解析技術を持っておりますので、それらが多面的に進めています。
先ほどのマテリアル革命の実現に向けた課題の中で出てまいりました、論文化がしにくいというようなところは、まさに今先生がおっしゃったような観点のところが論文化されることによって、研究者もモチベーションといいますか、そういうものを持てるようなうまいすり合わせといいますか、そういうことを考えながら進めている。ですから、今先生がおっしゃった計測技術、あるいは、計算科学、そういうものは、両プロジェクトとも非常に駆使しながら今現在進めておるようなことでございます。

【永野PO】 具体例として、一言だけ。
NIMSのセラミックス接合のプロジェクトのほうでは、まさに測定技術を高度に駆使しようということで、例えば、複合的な計測技術、TOF-SIMSや、ICP、EDSマッピング、そして、TEMの画像といったものも組み合わせながら解析に使うということで、さらに、その画像類を標準的に取りそろえて機械学習に入れていこうといったところからシミュレーションして予測をすると、具体的にこういう構造状態が次のプロセスでは出るのではないか、そういう形で産業界の課題に貢献していこうということを考えていますので、まさに今、先端の計測技術が進んできたものを最大限組み合わせて活用していくということが、恐らく日本のこれからのアカデミアの先生方にとっても強力なツールになるのではないかなと思っています。

【加藤委員】 ありがとうございます。
ぜひ、順次公開していただいて、役に立てさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【中山委員】 1点だけ申し添えさせて頂きます。ナノ粒子のプロジェクトのほうは、体系化やサイエンス・学理をしっかりとやられて進んできました。簡単ではなかったけど、しっかりやられていたということに対して、NIMSの固体電池のほうはまだ難しいのが現状です。普遍的なところには到達できておらず、電池を作る界面のところで一点一点苦しんでいるという状況で、そこに大きな差があります。ですがそこを頑張っていただかないと、サイエンスや学理、体系化に昇華できません。ここが最も大切な頑張りどころではないかというのが、この評価の肝のところです。
しかし、非常に難しいからこそ、やると価値があるのは明白であり、背中を押したいなという内容になっています。

【加藤委員】 ありがとうございます。
私も難しいと思うので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますけど、今おっしゃった学理のところで、分子に類似させてやるとおっしゃっていまして、でも、全然違うのですよね。だから、全く一緒に体系化できないと思うので、逆に、どう違うか。例えば、もう理想気体とか、理想溶液系は、もう普通の熱力学では確立されていて、それはどんどん複雑系になって、ナノ粒子というのは、コロイド化学の複雑系の一種の極地、どちらかというと、きれいな複雑系だと思うのです。でも、分子と全然違うので、体系化すると言っても、ただ分子を拡張できましたではなくて、我々から見ると、どこが違っていて、どうなってこういう体系になりましたとか、そういうところはすごく普遍的なところなので、それを明らかにしていただくと、すごく全体的な科学技術の役に立つのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

【高梨主査】 どうぞ。評価に関わることではなくてということで、コメントですね。

【宝野委員】 私、利害関係者ということで、評価には関わっていないんですけど。今回の評価、初めて見させていただくんですけど、事業の評価としては結構だと思うんですけど、この中で2つのテーマが動いていると思うんですね。この個々のテーマについての評価はしていらっしゃらないのでしょうか。
それで、個々のテーマについての評価を反映して、例えば、予算配分を変えるとか、今後の運営を変えていくとか、そういったことはやっていらっしゃらないのでしょうか。

【宅間参事官】 事務局からよろしいでしょうか。
先ほどの資料3-1で御説明させていただきましたとおり、結論から申すと、個別の課題の評価も行っております。先ほど資料3-1の13ページ目で、事業評価の体制を御説明させていただきましたけれども、この進捗管理につきましては、毎年度プログラム運営委員会を開催いたしまして、進捗状況等を確認させていただいて、必要に応じて、PDからの指示事項も出していただいて、翌年度の研究計画の反映などを行っております。また、3年目、5年目にステージゲート評価、中間評価とありまして、ステージゲート評価のほうが、今まさに御指摘いただきました各課題の評価ということになります。
各課題の評価につきましては、PDを中心といたしまして、プログラム運営委員会でステージゲート評価をしていただいております。そちらにつきましては、各課題のほうに既に結果もフィードバックをさせていただいているところでございます。
事務局からの御回答、以上になります。

【高梨主査】 よろしいですか。

【宝野委員】 ありがとうございます。

【高梨主査】 そういう意味では、参考資料として、そういうのもあったほうがよかったかもしれないかなと思いますけど。

【宅間参事官】 御指摘のとおりかと思います。失礼いたしました。

【高梨主査】 ありがとうございます。
では、オンラインのほうで、上杉先生、どうぞ。

【上杉委員】 すみません。上杉です。
このお話を聞いていますと、先ほども話がありましたが、知財のところはすごく難しそうだなと思いました。先ほど話があったように、どの部分を閉鎖的にして、どの部分をオープンにするか、そこも難しいところで、今回の書類の最後のほうに、それぞれ、その場合によってオーダーメード的なルールをつくっていくという話がありました。これ、両立させていくのがすごく難しいことだと思います。でも、逆に言えば、うまい方法ができれば、今後のいいモデルになるのではないかなと思います。
そこで、僕の質問は、このプロセスの中で、うまくスタートアップを使うことができないかなと思いました。例えば、画期的なプロセスの方法がこれでできれば、一つの会社に、一緒に共同研究した会社に特許を取って、そこが実行していくとなっていれば、これはほとんどオープンではない。でも、逆に、何もせずに完全にオープンにしてしまえば、減るものはないとすれば、中間的な方法としては、そういうスタートアップをつくって、そこにその方法を使いたいような会社が集まってきて投資していく、それで民間のほうに持っていくという方法もあるのではないかなと思います。今までのこの話の中にはそういう話はなかったので、今回、スタートアップをこう活用しようというような、直接学校から企業ではなくて、スタートアップをかませてというような話はありましたでしょうか。もしくは、お考えでしょうか。

【松原PD】 今、5年のステージゲートを受けまして、今後、持続的にどうしていくかという議論を今やらせていただいております。その中で、スタートアップというのも一つでございますし、研究組合というのも、そういうものだと思っています。それをどうするのがいいかというのは、今議論を進めておるところでございます。
ただ、今、先生の御指摘のように、何らかの形で、今ここで出た成果をいきなり企業に持っていくという方法もあるかも分かりませんが、そういう間にかますという中で、どういう形がいいかというのは、今まさに議論させていただいておるようなところでございます。それは、最終年度までには、どういう形がモデルケースとしてよいか、一つでも二つでも出てくれば非常にいいなと思っております。今まさに議論をしておるところです。
今、大変重要な点だと思っておりますし、それは私も各拠点に指摘させていただいておるところでございます。議論中でございます。

【上杉委員】 分かりました。ありがとうございます。

【高梨主査】 よろしいでしょうか。
ほかに。では、平田委員、どうぞ。

【平田委員】 トヨタ自動車、平田です。御説明ありがとうございました。
ものづくりをしている身からすると、こういったナノ材料を混ぜて、塗って、乾かして、場合によっては焼くというのもありますけど、触媒コンバータなんかもそうですし、電池もそうですし、FCもそうですが、混ぜ方とか、塗り方とか、乾かし方とか、焼き方で、性能って大きく変わってきてしまいます。当然、我々、それを制御するために、それぞれの工程でいろんなパラメータを取って、どうすれば性能が上がるかなというのはやっています。
ただ、それでもまだまだ十分ではないと思っていまして、こういう検討を通じて、私たちが見落としているような、こういうパラメータをしっかり押さえておくと特性に効いてきますよということが出てくると、非常に我々としてはありがたいですし、願わくばですが、そういったパラメータが、あまり取るのが大変なパラメータだと企業で取れないので、なるべく簡便な方法で取れるものという形でうまくまとまって、何か共通項目というのが出てくると、私たちとしては、実際産業利用する面で非常にありがたいので、そういった点を期待しております。

【松原PD】 今、まさにその点に関しまして、東北大学のプロジェクトで階層化をしておるわけですが、最後の構造化というところが、まさに工程の中の共通項目のようなものを、塗布、それから乾燥というようなものに積み上げていこうということをやっております。
そういう中で、先ほどNIMSの全固体電池のプロジェクトとか、あるいは、実際にこのプロジェクトとの連携をすることによって、まさに固体電池なんかは塗布、乾燥のプロセスですので、そういう共通項目に関する知見が使えないだろうかという検討を今始めさせていただいたようなところでございます。
検討をやるに当たって、やはり企業ニーズというものは一体どこにあるのかというのを我々は的確につかむ必要もございますので、企業との連携がさらに進んでいけばと思っております。だから、まず我々は、この間のナノテクなどで発信させていただく中で、そういうニーズを見つけ出して、今の議論をしていく。実際プロジェクトとしては、今申し上げたような構造化というところで、工程の中の共通項目を具体的にどうサイエンスに落とし込むかというのをやらせていただいております。

【平田委員】 ありがとうございます。
ぜひとも、こういうパラメータを取っておくといいよというのが分かってくると非常にありがたいですので、よろしくお願いいたします。

【高梨主査】 ほかに、いかがでしょうか。
どうぞ、堅達委員。

【堅達委員】 ちょっと素朴な質問になってしまうかもしれないんですが、中間評価をする意味というのは、今までやってきた分をちゃんと検証して、次により大きな成果を出していくためにやると思うんですけど。予算的に、僅かこの一、二年でもめちゃめちゃ電気代が値上がりしていたり、もうコンピュータを使うのも、燃料代も、全て今大変な状況にあると。ほかの研究もそうだと思いますけど、我々も、ジャーナリストとして、そういう厳しい状況を聞いております。国立科学博物館が正直クラウドファンディングしなければお金がもうにっちもさっちもいかないみたいになっているということも含めて。
なので、特にこの1年ぐらい、実際に研究しておられて、厳しいと、予算は同じ額しか来ないけど、やれることがこれだけになってしまったなんていう、もしそういう側面もあるのであれば、逆に、率直におっしゃっていただいて、今後何か改善していけるポイントがあるのかどうか検討するのも中間評価の意味かなと思っております。
私、この2つの研究、とてもすばらしいし、日本の産業力強化にとっては重要なプロジェクトだというふうに御説明を聞いて伺いましたし、最初の問題の認識で、社会実装が日本はどうも、せっかくいいシーズがあるのに遅いんだというお話も聞いたんですけど、せっかく伸び代があるところを、たかだかと言っては言葉は悪いんですけど、そういう十分に研究環境が整わないということで、加速すべきところを足踏みするのではもったいないなと思うので、何かやってみて感じておられる部分があれば、ぜひポジティブな意味で次につなげていける課題、予算面的なものも含め、あるいは、人材も含めて、あるのかどうか教えていただければと思います。

【永野PO】 POの永野でございます。大変ありがたい御配慮あるお言葉をいただきまして、ありがとうございます。
プロジェクトの現場では、これ、事業予算、年間およそ3億円ということで、文科省からの委託費を頂いているわけですけれども、御指摘のように、今、例えば、資材の高騰でありますとか、もちろん電気代もそうです。そして、装置類もそうなんですよね。体感、実感として、おおむね1.5倍ぐらいになっているわけです。そうすると、当初の頃に比べると、実際できる研究というのは、その1.5倍に相対して小さくなってきてしまうというところがあります。
その対策としては、これは現場では本当に努力をしながら、企業コンソーシアムの方々から共同研究テーマの形で共同研究費を一部入れていただく、あるいは、コンソーシアムの会費として頂いたものを、両方で実施するテーマとして取り組ませていただく。
それから、今日、中山委員から御指摘ございましたように、オープンになっている研究インフラを有効に活用していく中で、持たない装置ではあっても、ほかのところのインフラを使わせてもらえれば最先端の研究ができるとか、そういったことを組み合わせながら、何とかアクティビティが下がらないようにという、これはかなりの努力はしている状況ではありますが、やはりこれというのは限界もあるところですので、御指摘いただいたのは非常に重要と思います。
そして、このプロジェクト、やはり非常に限られた2課題のみしかやっていないんですが、日本全体のマテリアライズということを考えた場合には、本当は様々な材料でプロセスに取り組む必要が本来あるのではないかというふうに僭越ながら考えておりまして、ぜひそこは、この委員会の先生方から御指摘、御意見賜ればありがたいなと思っております。ありがとうございます。

【堅達委員】 ありがとうございます。
ぜひ適正に評価をした上で、文部科学省さんもしっかりと応援すべきものは応援するという体制を取っていただいたほうが、科学技術立国としての価値が高まって、産業競争力にもつながっていくのではないかと思われます。よろしくお願いいたします。

【高梨主査】 ありがとうございます。
これ、前にも議論があったと思うんですけど、やっぱり2つだけということではなくて、もっといろいろこのプロセスサイエンスは広げていくといいのではないかという議論は確かにあったと思います。ぜひ御検討というか、予算の限りはあるかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。
ほかに、いかがでしょうか。
どうぞ、萬委員。

【萬委員】 私も、このプロジェクトには2つの見方があって、2つの材料系の高度化を図るという、通常の研究開発プロジェクトと、全体としてプロセスサイエンスを確立するという少し大きなお話とがあると感じました。
その中で、後者に立った場合、プロセスサイエンスを確立するという観点で、2件のケーススタディを遂行し、最初に想定していたプロセスサイエンスの在り方と実際の違いについて、PO、PDで何かお気づきになったところがあれば、教えていただければと思います。

【松原PD】 そのプロセスサイエンスが何かというのは、ずっと考えてまいりました。やはり始まったときに、プロセスサイエンスって、物を作る工程を科学的に理解するというのは、これは簡単なんですが、一体何かということで、それを考えながら、この2つのプロジェクトを見てまいりました。
私の個人的な感想で申し上げますと、まず東北大学のプロジェクト、これは化学工学という、ある意味でプロセスというものを基盤とした科学技術といいますか、そういうものが既にあったものを、ナノ材料というものに新たに拡張していくという中で、プロセスサイエンスというものが非常にうまく構築された例であると感じました。
それに対しまして、NIMSのプロジェクトというのは、やはり焼結という、そういう意味では、化学工学のようなプロセスに関するサイエンス基盤というものがまだ開発途上であるという中で、果敢に取り組んだというところもありまして、今、少し苦戦をしておるということです。しかしながら、NIMSが持っております様々な評価技術、多面的な評価技術、あるいは、今新たに出てきております機械学習というようなものが見えてくる中で、そういう評価や計算科学で様々出てくるデータというものを集結して、さらにそれに機械学習を組み合わせることによって、この場合は、固体酸化物電池の接合界面のプロセスでございますが、そういうものに新たな光を当てられるのではないかということが見えてきております。
ですから、やはりプロセスサイエンスというものが始まった当初とは違いまして、今の中で我々も理解し、また、社会にも少しずつ認知していただいている状況ではないかと思います。ですから、ある意味でフィージブリティスタディだったのか分かりませんが、今後、こういうものをコアにして、新たな様々な材料に展開していくというものをもしもお考えいただけるのであれば、非常にいい時期ではないかというふうに個人的は思っております。

【高梨主査】 よろしいですか。

【中山委員】 少々、発言させて下さい。
そもそも本事業が始まったときの問題意識は、ナノテクノロジー、あるいは、材料分野の優れた成果を世に出す努力が不足しているのではないかということでした。さらに、それはエンジニアリング的なところの努力だけではなく、しっかりとサイエンスも重視して進めていこうというところです。
なので、極めて広い材料分野で採択が2つのはずがないのです。そもそも相当広く多くの課題をやるべきなのですが、予算の都合もありできていません。そのやるべきことのプロトタイプを今やっており、確かに有用性があるということが分かり始めてきたところです。今の2つの課題をしっかり行い、その上で願わくは、こういうことが大事だとなり、また次に展開されるということが望ましいのではと思っています。
まず我々としては、この予算内で与えられた2つをしっかりと評価したということですが、必要なことが極めて多くある中のプロトタイプをやっているという認識です。よって、この取組が終わって、よくできたという結論で終了というのは、そもそもの目的には到達せず、足りないと考えます。普通の一般的なプロジェクト型よりは、目指しているものが非常に広いのです。だからこそ、ここはそういうことを望んだような評価にもなっていると思っています。

【高梨主査】 ありがとうございます。
先ほどの松原先生の2つのプロジェクトの比較は、とても分かりやすかったんですけどね。評価の観点で、一応確認なんですけど、結局、ここはあくまでサイエンスの構築というのが評価のポイントにあるということですよね。

【松原PD】 はい。

【高梨主査】 だから、結局、論文化できるものがどれだけあるかということが、一つ評価のポイントになって、だからこそ評価指標に論文が出てきている。
ただ、プラス、社会実装という観点もある程度あるので、そこに今度相談件数というのが評価の指標で入っているんですが、そこの位置づけというか、一応そこを確認させていただければと思うんですけど。

【中山委員】 私としては、二兎を追っているんだと思っています。サイエンスをしっかり行うことは大事です。翻って、もともとの問題意識は、良い成果を世に出す努力が不足しているということなので、世に出すところをしっかりとやっていただく必要があります。サイエンスだけやって何も世に出ないようでは、それは片手落ちです。なので、サイエンスと成果を世に出すことの両輪を考えないとなりません。サイエンスのために論文が出たらいいじゃないかということだけではないと私は思っています。そういう片方の視点では私は評価していません。

【高梨主査】 なるほど。最初の論文化しにくいというか、だから、ほかの評価軸が必要だというような問題意識があったわけですよね。そこの評価軸というのをここの中でどう考えているのかなというのをちょっと確認したかったんですよ。
サイエンス構築と言えば、当然論文にしなければいけない。だから、そこは当然入っているんだけど、そこのもう一つ別な評価軸ということに関してね。
どうぞ。

【中山委員】 それで、評価軸の工夫などをしているところがあります。

【永野PO】 永野でございます。
私が松原先生とともにこの事業のPD、POをお受けする際に、文科省として、この事業はそもそも何を目指すんですかというところをかなり議論させていただきました。そこで、今、中山委員からもありましたように、この事業は、まずはサイエンスを構築するということを掲げつつも、もう一つ、相談先になるんだということも掲げたんですよね。この意味が、このタイトルにまさに表れていて、材料の社会実装に向けたプロセスサイエンスを構築する事業ですと。
じゃ、そのプロセスサイエンスを構築するというのは、一体何をしたらそれをしたことになるのかというのが、より本質的な問題として私たちに与えられたわけですよね。それは、一つ一つ論文を出していけば、それでサイエンスが体系化されたことになるのかというと、そうではないでしょうと。その一つの体現の在り方として、東北大を中心とするプロジェクトのほうは、じゃ、「化学工学便覧」というところをみんなにとって使えるハンドブックとして提供しようではないかと、これは一個ある。
NIMSを中心としたプロジェクトのほうも、今後英語の書籍化を考えていきたいということで、今、検討しておりまして、これもあらゆるプロセスの検証や、データというものも含めて、公開可能なものは書籍にして世に発信していこうということを一つ考えております。それは、サイエンスとして頼りになるハンドブックであり、拠点でありというものになっていくんだと。
また、相談を受け付ける機能というのは、様々な産業界の方々から、いつでもぜひ御相談くださいという体制を今つくったら、既にそれぞれ100を超える相談をいただける状況になっていまして、その具体的な相談というのは、我が社では今後こういう材料でこんな機能を出したいんだけれども、それができるための材料プロセスが分からないんですという相談を受け付けるわけですね。そのときに、その新しい材料のプロセスが拠点側にあるわけではないんです。ただ、標準化された材料によって学理を構築しているものがありますから、その経験からすると、こういう予測や推算が可能です、きっとこういうプロセスならあるはずですということを持ちかけるんですね。そこまでいくと、じゃ、会社に戻ってやります、あるいは、一緒に共同研究でやりましょうという体制が進んでいきますので、具体的な共同研究が今たくさん進み始めています。これはやはり相談を起点として具体的な開発研究への橋渡しが実現しつつあるということで、これは重要なポイントではないかと思っていまして、この2つがかみ合って、サイエンスで頼りにされる拠点ということが大事なのではないかなと思っております。
以上です。

【高梨主査】 どうもありがとうございます。
評価指標の位置づけが非常によく分かりました。ありがとうございます。
大分時間が来てしまったんですが、何かございますか。

【宅間参事官】 すみません。事務局から。
今、十分、PO、中山委員、またPDから御説明いただいたところでございますけれども、文部科学省といたしましても、本事業の目標、今の御説明いただいたとおりと思っております。
プロセスサイエンスの構築のみならず、きちんと橋渡しということで、企業との連携体制を構築するということの2つを目標にして、二兎を追うということをおっしゃっていただきましたけれども、まさにそういう目標になっております。
プロセスサイエンスの一つといたしましては、論文数を使っておりますけれども、サイエンスが出ればいいというだけではないというところで、どれだけそれが本当に企業の方に役立つ成果につながっているのかといったところを測る指標といたしまして、それが相談件数であるとか、コンソーシアムの参画企業数といったところに間接的に表れてくるであろうということで、こういう指標を置いているものと理解しております。
最後に1点、御紹介が漏れてしまいました。先ほど議論にありました各課題の評価、ステージゲート評価につきましての参考資料があったほうがといったところで、本日、委員限りの資料といたしまして、机上資料をお配りさせていただいております。こちらが、まさにステージゲート評価結果をおまとめいただいたPDの資料でございます。先ほど御紹介を忘れてしまいまして失礼いたしました。
以上でございます。

【高梨主査】 すみません。私も資料を頂いていたんですね。ちゃんと自覚していなくてすみませんでした。
大分時間が来ているんですが、あと、納富委員と湯浅委員から手が挙がっていますので、納富委員からお願いします。

【納富委員】 ちょっと違う観点から質問したいと思ったことがあるんですけれども。プロセスサイエンスが学理として確立すると、そういう方向に行くと、そういうプロセスサイエンスを学ぶ学生が増えて、先ほど論文数の話もありましたけれども、そうすると、学位を取った、そういう学生が増えていって、望ましくは、そういったプロセスを学んだ学生が企業へ入っていくと。そういう学生って、多分、企業から見ると非常にいい学生だと思いますので。そういった流れができているのかというような観点で、何か調べていることとかはありますでしょうか。

【松原PD】 その点に関しましては、特に東北大学の場合は、もともと教育機関でございますので、そういう観点で、特にナノ材料の化学工学、熱力学というような学問領域を新たにつくって、そこで学んだ学生が企業に出ていく、あるいは、ドクターに進むということは、実際行われております。
NIMSに関しましても、教育連携がございますので、そういうところを通して学生が学ぶ、あるいは、若手研究者が入ってきて、またどこかへ昇任して出ていくというようなことが行われております。
そういうことの中で、そういう若手研究者がこの各分野で様々なプロセスサイエンスを学んで活躍していくということは、具体的に行っております。ただ、それが実際実を結ぶというのはもう少し時間がかかるかと思っておりますが、実際にそういうことが行われておるという事実だけ、今御説明申し上げたいと思います。

【納富委員】 企業からすると、非常に魅力的な人材が育ちそうな気がするので、そういった点で、いろいろアピールをするといいのかなと思いました。
ありがとうございました。

【高梨主査】 では、湯浅委員。

【湯浅委員】 時間がないようでしたら飛ばしていただいてもいいんですが、アクションプランの中に戦略的な標準化というのがありましたけれど、何か国際標準化の活動をやっていましたら教えてください。

【松原PD】 国際標準化と言えるものとは少し観点が違うかと思いますが、「化学工学便覧」というものをインターナショナルにしようというようなことは、今、東北大のプロジェクトではやられております。それは国際標準化というところとは少し違いますが、そういう学問領域を新たにつくって、世界に発信していく。その後に、恐らく標準化というのが出てくるのかも分かりませんが、そういう取組というものが意識しては始まっておるというような認識をしております。

【湯浅委員】 特に特許の確保が難しい場合は、日本に有利になる形での標準化というのがもう一つのやり方だと思いますし、今得られたことや書籍も重要だと思うんですが、やはり国際競争力の評価には標準化も少し活用のしようがあるのではないかなと思いました。

【松原PD】 それは肝に銘じて、きちっとガイドしていきたいと思っております。ありがとうございます。

【高梨主査】 どうもありがとうございました。
大分時間が来てしまって、私の進行不手際で申し訳ございませんが、良い議論ができたと思います。
それで、評価票案に関しまして、最終的に、こちらについては、特に修正の御意見、御異議とかはないと思ってよろしいでしょうか。
中山さんのほう、特に今の議論で、別に何か付け加えたいとか、そういうことはないですね。

【中山委員】 多少の文言のチェック等はあるかもしれませんが、大きな変更の必要性を私は今感じておりません。

【高梨主査】 分かりました。
では、よろしいですね、皆さん、そういう意味では。
そうすると、本中間評価票(案)に関しましては、この秋以降に開催予定の研究計画・評価分科会において、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会として報告させていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、最後に議題(4)、その他でございますが、事務局より御説明をお願いいたします。

【柴田補佐】 文科省の柴田より御説明させていただきます。
次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、調整の上、追って事務局より御連絡させていただきます。
本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、委員の皆様にお諮りし、主査に御確認いただいた後にホームページにて公開いたしますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。

【高梨主査】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
では、本当に今日は暑い中、お集まりいただきまして、活発な御議論、貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――