資料2-1 原子力基盤強化作業部会の設置について(案)

平成21年4月
文部科学省
研究開発局
原子力計画課

1.趣旨

原子力の研究開発機能や人材育成機能の基盤強化を図ること目指した調査検討を行うこととし、「原子力分野の研究開発に関する委員会」のもと、「原子力基盤強化作業部会」を設置する。

2.検討事項例

○大学等における原子力教育の活性化について

海外の原子力発電所の建設や国内既存原発のリプレースにより、今後、優秀な原子力技術者等の需要が大幅に増加することが見込まれる一方で、大学では原子力学科の不人気や維持に多額の費用を要することから、原子力を専門に教える学科数が減少傾向にあるなど、原子力人材育成機能の弱体化が懸念されている。

こうした状況を踏まえ、産業界との連携を密接に取りながら、大学等における教育機能を最大限発揮して、原子力人材の育成を効果的に進めることが出来るような制度整備や支援方策の検討を行う。

○原子力関連の研究開発施設の有効利用について

原子力の技術開発を進めていく上で、最終的にその技術を確立していくためには、原子炉やホットラボなどホットな場で研究開発を行うことは不可欠である。このようなホット研究施設の整備・維持は、多大な人的・資金的リソースが必要となり、各機関で整備を進めていくことには限界があり、また既に施設を有する機関では老朽化が進むとともにその維持に苦労している状況がある。また、原子力機構が有する施設については、必ずしも大学や産業界の外部利用が進んでいるとは言い難い状況である。

こうした状況を踏まえ、原子力関連の研究施設の戦略的整備や有効利用のための方策の検討を行う。

○原子力技術の研究開発から産業化への戦略的移行について

原子力のような大規模システム技術についての研究開発から産業化への移行に際しては、国費により原子力機構が開発した技術を産業界に技術移転して国内技術として産業化を図っていくこととのビジネスモデルを基本としてきた。これまで、軽水炉は我が国の産業技術として定着してきたが、ウラン濃縮、再処理等ではその技術移転に関し課題も指摘されている。また、今後は高速増殖炉、第二再処理工場や高レベル放射性廃棄物処分の実用化に向け正念場を迎えてくる。

このため、濃縮技術や再処理技術の事例等をレビューしつつ、原子力技術の産業界へ適切な移行についての環境整備方策等について検討を行う。

○原子力機構の基盤的機能の強化について

原子力機構の人的・資金的リソースについては、高速増殖炉サイクルや大強度陽子加速器、ITERなどのプロジェクト事業への重点化が進み、我が国の原子力基盤を支える原子力基礎基盤研究や安全研究機能の弱体化が指摘されている。さらには、原子力発電の黎明期・発展期を支えてきた熟練の研究者・技術者の世代の退職時期を迎え、我が国の原子力界全体として、こうした傾向に拍車がかかっている。

こうした状況を踏まえ、原子力機構を中心に産業界や大学等との効果的な協力体制を講じながら、我が国全体の基盤的機能の強化に向けた検討を行う。

3.メンバー

・ 田中 知 東京大学大学院工学系研究科教授【主査】
・ 市村敏夫 独立行政法人日本原子力研究開発機構、核燃料サイクル技術開発部門長
・ 小川 徹 独立行政法人日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門長
・ 小澤通裕 社団法人日本電機工業会原子力技術委員長
・ 井上 正 財団法人電力中央研究所首席研究員
・ 高橋祐治 電気事業連合会原子力部長
・ 丹沢富雄 東京都市大学工学部特任教授
・ 長﨑晋也 東京大学大学院工学系研究科教授
・ 服部拓也 社団法人日本原子力産業協会理事長
・ 村上朋子 財団法人日本エネルギー経済研究所戦略・産業ユニット、原子力グループリーダー
・ 山名 元 京都大学原子炉実験所教授

4.スケジュール

4月中に第1回を開催し、7月中旬を目処に一次報告書を取りまとめる。

5.庶務

原子力研究開発課、研究開発戦略官付と協力しながら、原子力計画課において庶務を行う。

お問合せ先

研究開発局原子力計画課