災害等に強い情報処理・管理システム構築等の復興に貢献する新技術開発

1.課題名

 災害等に強い情報処理・管理システム構築等の復興に貢献する新技術開発

2.開発・事業期間

 開発・事業期間 平成24年度~平成26年度

3.課題概要

 情報社会では社会の隅々にまで情報システムが浸透し、必要なライフラインとして我々の社会活動を支えている。しかし、今般の震災では情報システムの機能の停止、行政・学校・企業等における重要データの消失等が発生し、地震災害時やその後の対応に必要な情報の伝達ができない事態をもたらし、人的、社会的、経済的に大きな損失が生じた。また、復興構想会議・宮城県震災復興計画・仙台市震災復興ビジョン等においても、復興・災害対応のための情報通信技術の貢献が明示されており、国による対応が待たれるところ。
 本事業は、東日本大震災による被災地域の産業復興にも貢献する目的で、地震・津波の発生時においても、システムの途絶や情報の喪失等が生じないよう、機器・システムの耐災害性を強化するとともに障害が起こっても柔軟な運用の切り換え等が行える機能を有した、信頼性の高い情報処理・管理システムの実現に必要な新技術の開発をするものである。
 具体的には、例えば、主要な情報処理・管理コンポーネント(CPU、ストレージ、ソフトウェア基盤、アプリケーション等)について、耐災害性の強化やしなやかな自己修復を目指すための要素技術開発を行うとともに、システムの要求水準(100%、70%、40%等)を達成するためのアーキテクチャやシステム構成技術を研究する。
 平成26年度末までに基盤技術の開発を完了し、平成27年度以降には本研究開発成果を踏まえた技術が民間事業者または情報システムの運用主体により導入されることや被災地の産業復興への貢献を目指す。

4.各観点からの評価

 (1)必要性
   東日本大震災のような未曾有の大災害が生じた場合でも、社会の重要なライフラインである情報通信システムの各要素およびシステム全体が最低限の機能を維持することにより、
  地震災害時に必要かつ適切な情報伝達、社会システムの機能が確保されることは、防災・減災の観点から必要性が認められる。また、本研究開発分野については、被災自治体等から
  具体的な要望が出されている。

 (2)有効性
  本プロジェクトについては以下のことから十分な有効性が認められる。
  1.民間においても障害からの自動回復に焦点を絞った研究開発がなされているが、こうした研究成果と、セルフモニタリング、バックアップ系システム、仮想化、データベース、
   設定の自動化等の要素技術を組み合わせることにより、環境変化・攻撃対応・構成変更等様々な変化に対応できる自己修復型システムの効果的な実現が期待される。
  2.プロジェクト実施段階において、実用化に向けた関係者との連携を適切に行う計画を有していることを実施主体選定の条件としているほか、研究開発の成果については、
   運用主体に受け渡して実用化(導入・整備)する前提としている。
  3.本技術開発は、様々な情報処理・管理システムに応用可能性であり、平時においては高速性や新機能に特徴を持つ次世代情報システムの構築に寄与することが期待でき、
   開発された技術の民間事業者への受け渡しが行われれば、新産業の育成等やその結果としての被災地域の復興にも寄与する。 

(3)効率性
  本プロジェクトについては、以下のことから十分な効率性が認められる。
  1.実用化に向けて実施主体は関係者と適切に連携を行うこととしている。
  2.他府省等の研究開発プロジェクトの研究成果を分析し、これらの既存の最新の技術を最大限生かしながら重複のない範囲で、研究開発を行うこととしている。
  3.実施主体の選定にあたっては、求められる研究開発能力のある研究機関等であって効率的な実施のできる計画を有する機関を選定することとしている。
  4.研究開発の進捗状況や課題の達成状況を把握し、必要に応じ研究開発計画を修正することとしている。

5.総合評価

 本事業の成果として、復興・防災の課題に対応した災害時やその後の対応に必要な情報の処理・管理を可能とする基盤技術の確立と社会実装が期待でき、災害等に強い安心・安全な社会の実現に資する有益な事業であると判断できる。
 なお、研究開発の実施にあたり、以下のような点に留意することが必要である。
 ・他府省等の関連施策と十分な連携を図り、適切な役割分担により効果的に研究開発を推進すること。
 ・研究開発当初より、民間事業者や実用化後の運用主体及び想定される関係府省の協力を得て研究開発を進め、実用化に向けてのニーズを常に技術開発にフィードバックすること。
  また、ユーザ側、システム側、ソフト開発側の三者の視点を踏まえて具体的な要求定義がなされること。
 ・民間の研究機関等における研究開発動向の把握に努め、それらの研究開発成果の積極的な活用を図ること。
 ・これらの動向に応じ、研究開発内容の変更等の柔軟な対応が可能となるような研究開発体制とすること。

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付

今田、三坂
電話番号:03-5253-4111(内線:4286)

(研究振興局参事官(情報担当)付)

-- 登録:平成26年06月 --