情報科学技術委員会(第102回) 議事録

1.日時

平成30年1月30日(火曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省15階特別会議室

東京都千代田区霞ケ関3-2-2

3.議題

  1. 平成30年度予算案について
  2. 「未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発」の事後評価について
  3. 「ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発」の中間評価について
  4. 我が国全体の状況を把握するアウトカム指標(案)について
  5. その他

4.出席者

委員

北川主査、有村委員、伊藤委員、上田委員、喜連川委員、瀧委員、辻委員、土井委員、樋口委員、八木委員、矢野委員

文部科学省

磯谷研究振興局長、板倉大臣官房審議官(研究振興局担当)、原参事官(情報担当)、石田情報科学技術推進官、澤田参事官補佐、邉田専門官、國分企画評価課課長補佐

オブザーバー

柴田 応用物理学会物理系学術誌刊行センター APEX/JJAP専任編集長

5.議事録

【北川主査】  それでは、定刻を過ぎておりますので、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会情報科学技術委員会の第102回会合を開催いたします。
 本日は、國井委員、栗原委員、高安委員、安浦委員から欠席の御連絡を頂いております。
 また、議題2に関連しまして、「イノベーション創出を支える情報基盤強化のための新技術開発」のプログラムオフィサーとして、柴田先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、続いて事務局からお願いいたします。
【邉田専門官】  まず資料を確認させていただきます。お手元中央にクリップ留めの束で御用意させていただいております資料でございます。まず座席表が一番上、その下に本日のアジェンダ、その下に資料1-1のホチキス留め、資料1-2、黄色い資料のホチキス留め、その下に資料2-1のホチキス留め、及び資料2-2、こちらは1枚紙になってございます。資料2-3、同じく裏表の1枚紙というところです。その下、資料3、イノベーション創出を支える新技術開発事後評価結果(案)、こちらがホチキス留めの紙の束で御用意させていただいております。その下、資料4として、「ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発」の中間評価結果(案)でございます。ホチキス留めで用意させていただいております。その下、資料5-1の1枚紙、資料5-2のホチキス留め、その下に参考資料1、参考資料2というふうに御用意させていただいております。
 また、机上資料として、資料5の議題のときに使うWeb of Scienceのサブジェクトカテゴリの打ち出しの資料について、机上資料1として御用意させていただいております。
 また、本日緑の束の机上資料に加えまして、前回、平成29年11月22日の第101回委員会で御審議いただきましたときに使いました事後評価に関する柴田POからのコメント、及びそのときに採択者が使われていた村岡先生と大野先生のところのプレゼン資料等々について御用意をさせていただいておりますので、当該審議のときに適宜お使いいただきながら御審議いただければと思ってございます。
 以上でございます。
【北川主査】  それでは、これから議題1の平成30年度予算案に入らせていただきます。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。
【邉田専門官】  それでは、議題1につきましては簡単に御説明をさせていただきます。資料1-1と資料1-2を使いながら御説明をさせていただければと思います。
 まず資料1-1でございます。「科学技術予算のポイント」と書いたホチキス留めでございます。こちら文部科学省の科学技術予算の全体について書かせていただいております。平成29年度予算額が9,621億円に対して、5億円の増でございます。平成29年度補正予算案としては451億円を要求しております。今まさしく通常国会に掛かって審議をされるというところでございます。
 中身ですけれども、Society 5.0の実現のためということで、革新的な人工知能・ビッグデータ・IoT、ナノテク、光・量子技術等の未来社会実現の鍵となる先端研究の推進、情報科学技術を核としたSociety 5.0の実現に向けた取組など、生産性革命に貢献する科学技術イノベーションを推進するというところでございまして、情報科学技術関係において特筆すべきところとしましては、その下、「未来を切り拓くイノベーション創出のための重点的取組」というところでございまして、1つ目の丸、未来社会の実現に向けた先端研究の抜本的強化というところでございます。Society 5.0実現化研究拠点支援事業、こちらは新規で7億円と書かせていただいておるのですけれども、夏に23億円の打ち出しで要求させていただいた、ここでも御審議いただいた拠点支援事業になってございます。その下、AIPプロジェクトについて86億円ということで、15億円増となってございます。
 その予算資料について、資料1-2のポンチ絵というところになってございまして、詳しくは1枚めくっていただいて、ページは打っていないですけれども裏の2ページ目に、Society 5.0実現化研究拠点支援事業ということで、新規7億円、大学等を中心として産業界、自治体、他機関を巻き込みながら、知恵・情報・技術・人材をつなげてSociety 5.0、プレSociety 5.0というものを示していくという事業になってございます。こちらについては、これから公募に向かってどういう立て付けで、どういう審査基準でやっていこうかというところを、有識者会議を立ち上げて議論をしていくと考えてございます。年度内にある程度の議論を済ませて、4月以降、公募の説明会を経て公募を開始すると考えてございまして、審査機関等々を含めまして10月頃に事業が始められたらというふうな形で、今スケジュールを考えているというところでございます。これについては、まずは5年間でどの程度のものができるのかというところをお示しいただいて、最大で10年間の事業と考えておるところでございます。
 また、これについては夏に御審議いただいたときから少し増えておりまして、そのポンチ絵の右下、米印で「5年目に支援金額と同規模以上の大学等、産業界、自治体などの関係機関による貢献」というふうなところが、財務当局との折衝において増えたというところでございます。こちら、こういう取組をするのであれば、しっかり民間からの投資がなされているというところを、ある種マッチングみたいな感じですけれども、担保すべきというふうなところを受けたものでございます。全て資金でということではなくて、民間企業なり自治体なりが委員会の分を含めてどういうふうな投資をして、この事業に参画しているのかというところを示すために必要な指標とお考えいただければと思います。
 その他、次のページでは、AIPプロジェクトとして、理研AIPセンターの取組とJSTの戦略的創造研究推進事業、「JST AIPネットワークラボ」と呼んでございますけれども、そこの部分について少し増額要求させていただいて、増額のまま予算案になったというふうなところでございます。JSTの戦略創造研究推進事業については、インタラクションの領域が新しく立っているというところもあって自然増というところもございますけれども、引き続きまして情報分野の新しい戦略目標を立てて、研究領域を立てて、戦略的にCREST、さきがけ、ACT-i等々で研究振興と人材育成を図っていくというふうなところで、引き続き取組を進めていきたいと考えているところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。
【北川主査】  ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました予算案について、質問あるいは御意見がございましたらお願いいたします。よろしいですか。特になければ、次に移らせていただきます。
 それでは、2番目の議題に行きたいと思いますが、議題2と議題3は事後評価、中間評価ということで、評価になりますので、この評価の進め方についてまず説明していただいて、その後議題2に入りたいと思います。よろしくお願いします。
【邉田専門官】  それでは、資料2-1、2-2、2-3について御説明をさせていただきます。まず、資料2-1でございます。平成29年度情報科学技術分野における研究評価計画ということで、6月6日の当委員会において御審議いただいたものでございます。評価対象課題としまして、次の議題、資料3については2ポツ(3)の事後評価の2件、その次の資料4については(2)の中間評価というところでございまして、それぞれ(3)につきましては前回101回の当委員会において御審議いただきましたものを事務局案としてまとめさせていただいておるものを使って、御審議いただくと考えてございます。また、中間評価については、HPCIの計画推進委員会で審議されたものをベースにして、情報科学技術委員会として審議いただくというふうなところでございます。
 1枚おめくりいただきまして、留意事項、利害関係者の範囲ということで、評価を実施するに当たって、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」にのっとって、公正で透明な評価を行う観点から、原則として利害関係者が評価に加わらないようにすると考えてございます。
 その範囲について資料2-2を御用意させていただいておりまして、これは平成23年6月に当委員会で決めたもののようでございますけれども、ここに書いてあるとおり、評価対象課題に参画している者、丸2、評価対象課題の研究参画者と親族関係にある者、丸3、利害関係を有すると自ら判断する者、丸4、以下に該当する者として、評価対象課題に参画する機関の代表権を有する者又は長を務める者、評価対象課題の研究参画者が所属する組織、大学、独立行政法人等の研究機関において同一の学部、研究科等々、同一の部局又は同一の企業に所属する者、情報科学技術委員会において評価に加わらないことが適当であると判断された者というところでございます。
 こちらにつきましては、議題2の事後評価に向けまして、前回矢野先生から、ストレージに日立が参加しているということで御表明いただきまして、矢野委員には、出てはいただかないものの、議論には御参加いただくのを少しやめていただくということになります。
 議題3の中間評価に当たりましては、まず上田先生、理研AIPセンターの津田先生が参加している課題があるということで利害関係があるだろうと考えてございます。また、喜連川先生が、東大生産研の先生方が複数課題に参加しているというところでございまして、利害関係に当たるのではないかと事務局として確認をしてございます。それ以外には事前申告もないと思ってございますけれども、また審議の際に利害関係かもしれないというところがございましたら、御申告いただければとは思います。
 また、資料2-3でございます。全体の施策マップでございまして、緑色に色を付けているところが今回の中間評価、事後評価というところでございます。一番上の緑のところが事後評価のもの、「イノベーション創出を支える情報基盤強化のための新技術開発」、これはストレージとスピントロニクスの課題でございます。下の方に「ポスト「京」の開発」ということで赤い三角が2つございまして、1つ目の中間評価が今年に来ていると。アプリの方の中間評価を今年と。システム開発についての中間評価は来年度と考えておるところでございます。
 全体は以上でございます。
【北川主査】  ありがとうございました。今の点はよろしいでしょうか。
 ここで、磯谷局長がおいでですので、ご挨拶をお願いいたします。
【磯谷研究振興局長】  遅参しまして申し訳ございません。16日付で関前局長の後に新しく研究振興局長に就任しました磯谷でございます。2001年に省庁を統合してから、いわゆる研究三局は6度目になりますので、本当に先生方に、いろんなところでお世話になっている方ばかりなのですが、国立大学4大学の現場の経験もありますので、とにかく現場の視点も大事にしながら、先生方の御指導を頂きながら、基礎研究の推進と学術研究の振興に全力を挙げていきたいと思います。最近は日本の研究力の低下ということでよく言われていますので、そういったものを是非皆様方の御協力を頂きながら、回復するための何らかの貢献をしていきたいと思っていますので、どうか御指導をよろしくお願いします。
【北川主査】  どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは、これから議題2に進みたいと思います。「イノベーション創出を支える情報基盤強化のための新技術開発」の事後評価結果(案)に関するものでございます。事務局から説明をお願いいたします。
【石田情報科学技術推進官】  それでは、お手元にございます資料3を御覧ください。こちらは「イノベーション創出を支える情報基盤強化のための新技術開発 事後評価結果(案)」ということで、事務局案として作成したものでございます。まずはこちらを御説明申し上げたいと思います。
 先ほど事務局から説明いたしました資料2-3で、同じ題名の課題が5年間ということで色を付けておりますけども、その上に「未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発」とございますが、こちらがこれまで当委員会で御審議いただきましたビッグデータ関係の人材育成であるとか、サイバーフィジカルシステムに関する基盤技術の研究開発であるとかいったものを全て含んでいる研究開発でございますが、本東北大学の課題についてはその集大成といいますか、ハードウエアの観点で最後に当たる課題ということになります。
 それでは、3ページでございます。こちらの概要でございますが、平成24年度から5か年度実施いたしました。その際、事前評価、それから中間評価とともに、今回の事後評価の御審議をいただくということになります。
 概要・目的、及び必要性等は従前の、先般の説明と重複しますので割愛いたしますが、次のページをおめくりいただきまして4ページ、予算の変遷ということで、本研究課題については2課題が含まれておりますけども、5か年度トータルで12億円程度の予算が執行されました。それから、5、課題の実施機関・体制ということで、2課題のそれぞれの研究代表者、及びその傘下に当たるサブグループ等の研究体制図をこちらでおさらいさせていただいております。
 それでは、5ページでございますが、本題の事後評価票の案を御説明いたします。研究代表者は東北大学の村岡教授とそれから大野教授ということになります。事後評価票のフォーマットが昨年度と少し違っておりますのが次の2ポツでございますが、研究開発計画との関係、こちらが新たに追加されております。こちらはお手元の机上配付資料の6番に研究開発計画、既に御審議いただいたものでございますが、そちらの5ページに情報科学技術分野の該当箇所がございますので、適宜御参照いただければと思います。施策目標「未来社会を見据えた先端基盤技術の強化」、それから大目標、中目標、重点的に推進すべき研究開発の取組ということで、いずれも開発計画の中に記載がございますということでございます。
 それから6ページですけども、この研究開発計画においてはアウトプット指標とアウトカム指標が設定されておりまして、それぞれに該当する本課題における実績を記載させていただきました。アウトプットのうち論文数、学会発表数が6ページの一番上の丸1、それから特許数が丸2、こちらは前回の村岡先生・大野先生の発表に基づく数字でございます。アウトカム指標の方は2つありまして、1番目、研究開発のテーマ数ということで、こちらはこれまでの5年間の実績に基づきまして、ストレージは4つ記載いたしました。データの可用性、それからデータ転送の高速化、ストレージの高速化も含まれております。それから基盤的なソフトウエアの技術ということで、こちらはウエブアプリを開発するためのプログラミング言語といったものが中心になります。その3つを踏まえまして実証実験を行ったということで、以上の4つが研究開発のテーマに該当するだろうと考えております。
 それからスピントロニクスの方でございますが、こちらは高速動作、それから超低消費電力メモリということで、2課題に主に取り組んでいただきましたので、こちらの2課題をテーマということで記載しております。
 それから丸2の経済・社会に与えるインパクトでございますが、ストレージに関しましては、国際学会における紹介あるいは展示といったものとともに、他省庁のプロジェクトとの相乗効果といったものが該当するだろうということを記載しております。
 それから、スピントロニクスにつきましては、この課題で得られました基盤技術のノウハウあるいは知財といった成果が、材料から最終的なソリューションに至るまでの全産業領域の産学官連携活動に活用されていくといったことと、それから7ページに移りまして、半導体企業等とのスピントロニクス技術の活用について協議機会を設けているといったようなことで社会貢献に寄与しているといったこと、それから本事業の成果を更に発展させることによって、一桁台のナノメートル世代といったところまでの実用レベルでの高熱に対する安定性及びスピントロニクスの注入書き込みといったものの実証に向けて、世界に先駆けて成功していただいているといったところを記載しております。
 それから次に、3の評価結果でございます。こちらは必要性、有効性、効率性の観点でまとめさせていただきました。まず、必要性でございますが、2課題の総合的な記載というのを最初に簡単に置かせていただいておりまして、耐災害性を有する信頼性の高い情報システムの必要性を踏まえた独創的かつ優位性にすぐれた研究成果というのが得られたと考えております。それとともに、広範なビジネス分野に今後展開が期待できるレベルに到達しているということから、社会・経済あるいは科学的・技術的に意義深いと評価しております。
 各論ということで、ストレージの方につきましてですが、1)では東北大震災の経験を踏まえる形で、先般の東日本大震災のときには住基情報あるいは医療情報といったものが多数喪失したといったことがございましたので、広域甚大災害に耐え得るような情報ストレージシステムの必要性というのが顕在化したといったことで、国費を用いて研究開発を行うのに十分な意義があると考えております。
 それから、同じく2)ですが、データの保全といったことに対する世の中の需要というのが非常に高いといったことから、社会的あるいは経済的な意義といったものがあるとともに、本課題では科学的・技術的意義といった両面からすぐれた成果を出していただいていますので、意義深いというふうに評価できるだろうと考えております。
 次に8ページ、おめくりください。他方で、委員の皆様方からも御指摘があったものでございますが、被災ケース数あるいは被災シナリオ数といったものが必ずしも十分ではなかったということがありまして、今後十分な数のショーケースといった形でその具体例を提示していくといったところが課題になるだろうと考えております。もう1つは、要素技術そのものにどの程度の科学的な独創性があるかといったことの御指摘がございましたので、そこをより明らかに今後していくべきではないかと記載をさせていただきました。
 次に、スピントロニクスでございますが、こちらは待機電力の消費を伴わない不揮発性のワーキングメモリといったメモリ素子につきまして、その必要性が非常に大きいと考えておりまして、かつ、この研究課題につきましては国際的な優位性というのを担保しているということから、社会的・経済的な意義というのが大きいと考えております。
 次に9ページでございます。有効性でございますが、総論といたしまして、耐災害性あるいは高可用性といったものを有した信頼性の高い情報システムの実現に向けて、ストレージ及びスピントロニクスの2つについては有効な基盤技術ができたと考えております。その上で、産学連携を通じまして、今後の実用化に向けた道筋あるいはその課題といったものが一定程度明確化されただろうと判断しております。
 各論に移りますが、ストレージにつきましては、有効性の観点から、信頼性の高い情報システムの実現に欠かせない基盤技術が開発されたと考えております。2)ですが、電子お薬手帳を題材としたアプリを開発することによって、100万人都市で実際にその適用が可能な実証実験を行っていただいたというものでございまして、それによって情報ストレージ基盤技術そのものと、それからアプリの両方の有効性というのが実証されただろうと考えております。
 一方で、今後想定される東南海地震等の甚大な災害に対してどの程度有効に、かつ汎用性のある形で使えるかといったところは更なる検討が必要だろうということと、それから先ほども少し出ましたが、事例が少し少ないのではないかということがございますので、適用ができそうな事例を増やすといったことと、それからデータの損壊レベル何%に対して、何%程度のデータであれば可用性が担保できるといったところの数字的な目安をしっかりと見せていくというところが課題になるだろうと考えております。さらに、より多くの種類の大規模データに対してどの程度有効かということや、コストといったものが社会実装においては重要になってくるだろうということで、課題として挙げさせていただきました。
 それから、スピントロニクスでございますけども、こちらは世界に先駆けて独創的かつ先端的な技術に基づくデバイスが創出されたと考えておりまして、それとともに、人工神経回路網といった題材について、実際に人の人工神経回路網を模擬するといったような実験、実証というか、ある意味簡易な実証実験というふうにプレゼンをしていただいておりますけども、こちらが世界で初めて示されたといったことで、当初なかった目標あるいは成果といったものも得られているということから、新しい知の創出といったものへの貢献も十分なされているだろうと考えておりまして、かつ特許、こちらも先般机上配付資料で御覧いただいたものもありましたけども、多数申請されているというふうな状況でございます。
 それから、次の2)ですが、特にDRAMとSRAMの代替ということを第一義の目標としてやっていただいた課題でございますけども、その中でもとりわけSRAMについては実用化に向けた道筋というのが一定程度明確になったと考えております。他方で、先ほどのストレージと同様に、コスト面についてはこの研究課題のもともとの研究検討項目には上がっていなかったものではございますが、社会実装の観点ではコストがどうしても欠かせませんので、こちらの検討というのが必要になるということも課題として明記いたしました。
 次に10ページを御覧ください。効率性でございます。こちらは専門分野ごとの専門家あるいは企業といったものを結集させるということで、かつ特徴的なのは、いずれの企業、いずれの課題についても、地元企業・団体といったものが入っているというところがポイントになっていまして、そういった地元の産業の振興といったところも見据えながら連携体制を築けたと考えておりまして、効率性という意味では十分あるだろうと考えております。また、ステアリング会議といったようなものであるとか、新たな研究機関を課題、研究動向に応じて参加させるといったような体制を整えた上で、計画の見直しも柔軟にやっていただいたと考えております。
 各論のストレージでございますが、宮城県の薬剤師会と共同する形で車載モバイル薬局を活用した実証実験が行われたということで、今後の実用化という観点から一定程度その実用化の姿を見せられたと考えております。
 それから、ストレージの低消費電力化が当初研究課題の1つに挙げられていたところでございますが、こちらは開発の研究者に対する負荷や、あるいは予算削減といったものに対応して中止したといったことがございまして、こちらは耐災害性を有する情報ストレージ基盤技術といった観点からは必須ではないだろうという判断で行われたものであって、課題の見直し、あるいは研究開発のリソースの集中といった観点からは、むしろ効率的であっただろうと考えております。
 他方で、この課題は1大学2企業によって実施されたところでございますが、2企業はいずれも日立グループということで実質的に1大学1企業といった体制でございまして、課題解決の方法という意味では、より広く捉えるという意味では、ほかの研究機関であるとか企業といったところの関与というのを求めてもよかったのではないかなという御意見も頂いておりましたので、そちらを記載させていただいております。
 それから、スピントロニクスの方でございますが、こちらはいわばオールジャパン的な体制といった形を示していただいたと考えております。その上で半導体企業といった民間企業との協議会を設けるといったような体制になっておりまして、今後のデバイスの構造研究あるいはその試作・試験といったものの分業体制や、製造治具といったものを作っていく上での開発体制の推進という意味では、効率性の高い体制であっただろうと考えております。
 2番目ですが、本課題はスピントロニクスデバイスの世界的な第一人者をリーダーといたしまして、多数のプロジェクトの参加者から成る運営委員会を月1回から数回開催されたということで、プロジェクト全体の横のつながりというのを密にされていたというところが特徴的であっただろうと考えております。
 それから3番目ですが、こちらも計画を研究動向や予算といったことに対応して柔軟に見直していただいていたということで、効率的に推進されたと考えております。
 以上が、最初の(1)の項目でございますが、次に(2)の総合評価でございます。こちらは大きく2つに分けておりますが、今の様式で分かれておりますが、丸1の総合評価でそれぞれの課題ごとの評価を記載した上で、次ページに総合評価というふうに記載させていただいている、少し順番が逆になっているような気もするのですが、そういう構成になっております。
 11ページのストレージの方でございますが、こちらは開発された技術という点では3つ、先ほども申し上げたとおりでございますが、分散ストレージの基盤技術、データの転送の高速化、それからウエブアプリ開発といった技術については、当初の目標どおり達成されている。それから、実証実験を行ったと。それによって実用性が示されたといったことから、東日本大震災を契機とする社会的なニーズを踏まえた実用性の高いすぐれた研究成果を上げていただいたと評価しております。
 他方で、2)ですけども、分散ストレージがどの程度の災害に有効か、あるいは汎用性がどの程度あるかといったことが必ずしも明確でないのではないかということと、それから被災シナリオが限定的であるといったことから、今後の課題としては、本情報ストレージ基盤技術が有効に働く場面というのを明確化すべきであろうと考えております。
 3)ですけども、かつ社会実装の観点からは、冗長にデータを保有するということは一般的に管理コストあるいはユーザーの利用料といったものの上昇に影響を与えるという傾向がございますので、社会実装の際においてはコストあるいはコスト負担が可能な一定程度、一定規模以上の組織に利用が限られる可能性があるのではないかということを留意点として書かせていただいております。
 それから、スピントロニクスでございます。こちらにつきましては不揮発性メモリを題材としまして世界最先端の基盤技術開発に成功したということで、まずは評価をいたしまして、その上で、トップレベルの学会誌あるいは国際会議といったところでの成果発表もされているといったことと、高速スピントロニクスメモリ、それから大容量スピントロニクスメモリの2つに求められる目標性能はいずれも達成されております。したがって、今後のスピントロニクスデバイスの実用化という観点では、その実用化を加速する研究成果であると評価できると考えております。
 それから2)ですけども、研究開発で得られましたノウハウあるいは知財といったものの成果はいずれも東北大学のCIESで管理及び運用をされているといったことから、実用化に向けた成果展開の道筋というのは一定程度付けられていると評価できると思っています。その上で半導体企業、特に国内、の復活、最近元気がないと言われているところでございますが、起爆剤として期待できるとも記載いたしました。
 他方で、メモリの開発に今回は特化していただいた研究開発ではございましたが、より具体的に情報システム全体としての形を示していくということが課題であろうと。同様に、新しい製品マーケットということで、実際のマーケットにどういう形で出ていくか、生かされているかということを示していくということが、特にCIESを通じた産学官連携での今後の課題になっていくだろうと考えております。
 次に12ページを御覧ください。評価概要ですが、事業の目標につきましては、全体として着実に達成したと判断いたします。その上で、研究開発を通じて明らかになった課題については、継続的に、以下の、今後の展望でも少し述べますが、継続的に取り組まれる組織体制が一定程度整備されていると考えておりまして、したがって、実用化が広範な領域で進むことが期待されると考えております。
 最後の(3)展望でございますが、ストレージにつきましては具体的に2点ほどございまして、1番目がヨッタインフォマティックス研究センター、こちらが東北大学の中に設置されておりまして、こちらで本課題について研究に継続的に取り組むという意向が示されておりまして、かつ、このヨッタレベルの大規模データを取り扱う上でのハードウエアを支える基盤技術として本課題を活用していくといったことの方向性を示していただいておりまして、そちらでの更なるよいアイデアであるとか、改良技術といったものの創出というのが期待されるのではないかと考えております。
 2つ目の実用展開・社会実装という観点からは幾つか、これも委員各位からコメントを頂いておりまして、それをまとめさせていただいておりますが、4つほど記載しておりまして、1番目がソリューション例あるいはケース想定数を充実すべきじゃないかと。コストも考えてくださいと。それから、国際標準に持っていくというのがいいのではないか。それから、データの損壊率とデータの可用性率の関係をより充実させるということと、得られた基礎的なデータの公開も検討していくべきじゃないか。最後に、データの間の整合性ということで、非同期のデータ更新システムになってございますので、そういった整合性の話であるとか、あるいはその応用としまして、共通通貨で信頼性保持という観点からブロックチェーン技術の方と融合することも今後検討していく必要があるのではないかというようなことを記載させていただきました。
 最後ですけども、スピントロニクスの方ですが、こちらは先進的かつ次世代のVLSIの実用化につながる国際的な優位性を持った重要技術であるという意味で有望であるということから、現在も進行中でございますが、CIESで管理・運用しながら実用化に持っていくということが当面の課題になっていくだろうと考えておりまして、最後の13ページですけども、これもコメントとして頂いておりましたが、他省庁、経産省であるとかのプロジェクトに移管していく必要があるのではないかということから、他省庁のプロジェクトに参画するといったような取組、実用化という観点から、より基礎を担う文科省よりはそういったところの方がいいのではないかということも記載させていただいております。
 なお、スピントロニクスにつきましては、内閣府のImPACT事業の方で昨年度から既に実用化、特に省電力という観点での実用化を目指したプロジェクトの2つのコンポーネントのうちの1つということで組み込まれておりますので、そちらにつきましては既に他省庁プロジェクトということで走っているということを付言させていただきます。
 最後ですけども、特にスピントロニクスにつきましては、人工知能応用といったところの方向性の可能性を示したということから、日本発のハードウエア実現といったところで新たな今後の取組というのが期待されるのではないかと考えているところでございます。
 事務局案として、以上のとおり説明させていただきました。以上でございます。
【北川主査】  ありがとうございます。それでは、ただいまの事後評価結果(案)につきまして御審議いただきたいと思います。御意見がございましたらお願いいたします。
【伊藤委員】  前回欠席しましたので申し訳ないのですけども、この総合評価のところ、11ページと12ページ、13ページを中心に質問させていただきたいのですが、まず総合評価1、高機能高可用性情報ストレージの、2)の「他方、近距離で情報を持ち合う分散ストレージがどの程度の災害に有効であるか」ということに関しましては、当初目標に鑑みて、これは要は完璧に有用なものを作るということを、目標値にあったのでこういうふうに言われているのか、又はもうある程度やられたので、実はこれは今後の展開に回しても、展望に回してもいいものではないかなというようなところを、2)に関しては私は感じました。3)に関しては、やはり何事でも実用化するには、特に冗長にデータを保有すること、ストレージの使用料の増加というのは理解できるので、その辺のところは本質的なところかなと思うのですが、2)に関しては、今後の展望に回すというのが1つの手かなとちょっと感じました。
 同様に、11ページの下から3行目のところの、「研究成果のポイントとして、メモリの開発のみならず」というふうにここに書くと、これはもし最初からメモリのみを開発するプロジェクトであれば、あたかも、誤解を呼んでしまいますよね。メモリ以外のことも開発すると約束しながら、「メモリの開発のみならず」というのが総合評価に出ていると。なので、これも今後の展望なのかなと私は思ったのですが、いかがでしょうか。
 以上です。
【石田情報科学技術推進官】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 まず、1点目の、この分散ストレージがどの程度災害に有効であるかとか、被災シナリオの16種類が限定的じゃなかったかということなのですが、こちらにつきましては前回の御審議において意見として出されておったものなのですが、この研究開発課題の中でこれが示されると、そうすると、今回は損壊率が50%で可用性が90%という目標にある意味特化した形で、研究開発をやっていただいていたところなのですけども、例えばその数字をもうちょっと損壊率を上げてみたらどうかとかいったような議論があったと理解しております。それはある意味、今後の展望ということでも考えられますし、研究開発自体がどの程度多様性のある形で実用化の姿を見せられたかという意味では、その研究開発自体の評価にもなり得ると考えていまして、こちらの方を一部といいますか、今後の展望の方にも記載させていただきながら、こういった形で、この5年間の研究開発という意味ではもう少しシナリオの数を増やした形で取り組んでもよかったのではないかというふうに課題を置くのは、それは一定程度妥当性はあるのかなと考えています。
 それから次に、スピントロニクスの方でございますが、こちらは御指摘のとおりでございまして、「メモリの開発のみならず」というふうに、いわゆる評価の観点で書いてしまうと、確かにおっしゃるとおりで、この研究開発自体がその目標設定が例えば不十分じゃなかったかとか、そういったような誤解を生むおそれがあるとか思います。そこで、差し支えなければこちらの方、特に3)につきましては今後の展望にさせていただこうかなと今考えております。
 以上でございます。
【北川主査】  繰り返しになりますけど、最初の50%の問題というのをやはり……。よろしいですか。
【伊藤委員】  分かりました。その50%をどういうふうに達成したかということですので、それに対してまだ試行が十分でなかったということであれば、本当にそういうふうに思いますので、それで結構です。ありがとうございます。
【北川主査】  というか、損壊率が100%になったら可用率がゼロになるのはほぼ明らかなので、どこかでフェールする可能性があるので、そこを押さえておくのは重要だと思います。
【伊藤委員】  分かりました。
【北川主査】  ほかの方、何か。いかがでしょうか。
 柴田POがおいでで、文書では御提出いただいておりますけど、何かコメントの追加がございますか。
【柴田PO】  いや、今ので十分だと思いますが、先ほどの更にというところは、やはりこれ、急に出てきたもので、スピントロニクスの研究は非常に物理の最先端のところをやっているところ、これをやっていた人がこれをうまく使えばなるほどメモリを使えるということを見つけて、それをニューラルネットワークに応用したということで、そういう意味では本当によく、期待もしないでできた成果だったので、ここに書いておくのは私はいいのではないかと思いますけど。
【北川主査】  ありがとうございました。ほかに何かコメントはございませんか。
 ちょっと確認ですが、8ページの上の方にある①から④は大体優位性なのですが、2番目が独創性ということになっていますが、これはこの2トラック同時読み込みのところが独創的ということですか。
【石田情報科学技術推進官】  そのとおりでございまして、この評価票の案につきましては、独創性と優位性の言葉については一応使い分けをしているつもりでございます。優位性は、既存の技術であったのを、例えば既存の技術の性能の向上であるとか、既に類似の技術がある中でそのより高いレベルでの研究成果が出たとか、そういったところを一応優位性というふうに考えておりまして、独創性は、そういったいわば先例がないようなものについて開発されたといったところを主眼において一応使っていると、今考えております。
【北川主査】  ほかの方からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは多少御意見を頂きましたので、最終的には主査預かりという形で委員会としては御承認いただいたとさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【北川主査】  ありがとうございました。修正を、どうしますか。
【石田情報科学技術推進官】  事務局で取り急ぎ修正いたしまして、北川主査に御相談申し上げたいと思います。
【北川主査】  では、その後、事務局から委員の方には御連絡申し上げるという形にさせていただきます。
 なお、今回の事後評価結果(案)につきましては、この委員会の上位の分科会であります研究計画・評価分科会が2月又は3月に次回が開催されますが、そこの会合におきまして私から報告させていただきます。
 それでは、次の議題(3)に参ります。「スーパーコンピューター「京」の運営中間評価について」でございます。まず事務局から中間評価結果(案)の説明をお願いいたします。
【澤田参事官補佐】  資料4を御覧ください。平成29年12月にHPCI計画推進委員会でお認めいただいた中間評価結果(案)を御説明いたします。
 1枚おめくりいただきますと、2ページ、3ページにHPCI計画推進委員会、研究振興局の局長の私的諮問委員会ですけども、こういったメンバーで、伊藤公平先生にも喜連川先生にも入っていただきまして、土井先生にも入っていただきまして、やっております。主査は阪大の西尾先生です。
 3ページに行きますと、ポスト「京」のアプリケーション開発ということなので、よりアプリケーションに専門性のある先生方に入っていただきながら、こういった評価やコメントなどを頂いております。
 もう1枚おめくりいただきますと、横のパワーポイントになりますけども、ポスト「京」の開発といったことで、事前評価はこちらの委員会でも頂いていると思うのですけども、改めて簡単に御説明いたします。ポスト「京」は一番上の背景の欄にございますように、理論、実験と並ぶ第3の手法、シミュレーションのツールとして、スパコンは国民のために不可欠な研究情報基盤であるということで進めています。予算は、今年29年度は67億円、来年度、ここは要求案になっていますけども、これはこのまま通っていまして56億円、これは一見減額していますが、後ほど御説明しますけども、ポスト「京」の供用開始時期が世界的な半導体の製造遅れで一、二年の延伸がありましたので、それに必要な額を要求して、財務省というか、閣議決定はしたということでございます。ただいま予算委員会で御審議いただいているところです。
 事業の概要に参りまして、この目的ですけれども、ポスト「京」の開発というのは、我が国の直面する課題に対応するために、もともと2020年でしたが、今では2021年から2022年の運用開始を目指して、世界最高水準の汎用性のあるスパコンの実現を目指すということです。
 「京」のときは幸か不幸か、不幸にも単純計算の速度がどれほどかという議論に結構巻き込まれたといいますか、議論がありましたけれども、そういったところじゃなくて、ポスト「京」では、次の「事業の概要」でございますが、システムだけではなくてアプリケーションも協調的に開発することで、世界最高水準の汎用性を目指しつつ、最大で「京」の100倍のアプリケーションの実効性能を目指すといったことで、そのアプリケーションの対象としては、まさに今回御審議いただきますけれども、健康長寿、防災・減災、エネルギー、ものづくり分野、もちろん基礎科学もあるのですけども、そういった社会的・科学的な課題を選定しております。消費電力は100倍のアプリケーション実効性能と言っておきながら「京」の約3倍に抑えるということで、30から40メガワット。それでも大きいのですけれども、そういった消費電力でやろうとしていますし、国費総額は「京」と同等程度の1,100億円でやろうとしております。
 右側に「システムの特色」とあって4つありますが、単純な計算能力だけではなくて、先ほどの消費電力の性能ですとか、ユーザーの利便性・使い勝手のよさ、何より画期的な成果を創出するということを特色としております。
 上の方に線表がございまして、システムの開発、今は詳細設計の段階でございますが、星印が今年の秋に想定されています中間評価で、こちらもシステムのワーキンググループで御議論いただきまして、またこちらの委員会にもお諮りいたしまして、更には内閣のCSTIの方でも御議論いただくというようなことにしています。アプリケーションはシステムと違いまして、1年、2年の遅れというのはなかったものですから、先んじて当初の予定どおり中間評価を今やっているというところでございます。下の方に期待される成果例が8つ載っていますが、これは後ほど詳しく御説明いたします。
 5ページに行きますと、この経緯・推進体制でございまして、平成24年から今に至るまでの歴史が書いてありますが、特に見ていただきたいのは、下の「推進体制」で重点課題というのが9つありまして、萌芽的な課題というのがテーマ別にいうと4つですし、組織別にいうと8つありまして、こういったとても広い分野の先生方というかチームに集まってもらって、ポスト「京」のアプリケーションを作っていただいているということで、我々事務局としても、なかなか文科省で1つの課室においてこういうたくさんの分野を見るというチャンスもないので、この事業を是非育てていきたいと思っております。
 それぞれマネジメントはとても大変ですけれども、各重点課題、萌芽的課題の実施機関の中核機関の先生方、その下に更にサブ課題というのもありますし、そういったところをまとめて自己評価をまずしていただいて、上のオレンジ色の重点課題推進ワーキングとサブワーキングというところで、それぞれ重点課題と萌芽的課題の評価を外部有識者から、先ほどの委員の一覧にありましたけれども、あそこの委員会で評価をしていただきます。その親委員会である西尾先生のHPCI計画推進委員会で更に評価を頂きましたのが今の段階で、まさに本日、情報科学技術委員会でこの評価を頂くということでございます。
 6ページ目以降は、おのおのの重点課題ですとか、萌芽的課題の実施体制が事細かに書いてありますが、ここでは時間の関係で省略させていただきまして、1つの重点課題にたくさんのサブ課題があるということだけ御理解いただければいいかなと思っております。
 14ページまで飛ばしまして、15ページに中間評価票の案がありますので、ここからまた改めて御説明いたします。課題名はこのとおり、ポスト「京」の重点的な課題の研究開発ということでございますが、事前評価はシステムとアプリケーションを合わせまして、エクサスケールと当初は言っていましたが、これを「国として着実に推進することが適当」とされておりました。このプロジェクトはシステムとアプリの2つに分かれておりますけれども、その下にありますように、システム開発については半導体製造の世界的な遅延をもちまして12か月から24か月のスケジュール延伸がありましたので、アプリケーションのみ今回中間評価をさせていただいております。
 研究開発計画との関係、2ポツですけれども、大目標は超スマート社会サービスプラットフォームの構築に必要となる基盤技術というところで読んでおります。中目標は同じく超スマート社会で、下にあります重点的に推進すべき取組ということで、これは計算環境を作っていくということです。このアウトプット指標ですけども、アウトプット、アウトカム、2ページにまたがっていますが、アウトプットはさっき磯谷が申しましたように論文数も日本全体として低下しているというところなので、何とかこの情報科学技術分野から論文数を増やしていくためにも、このポスト「京」のアプリケーション開発が貢献できるといいなと思っております。
 また、何よりも、16ページに行きますけども、例えば天気予報が、より精度が高くなって、主婦の方が布団を干しながら外に出掛けるような未来が来るような、そういう実際に国民の皆様に使っていただけるようなシミュレーションがここから生まれていくということを目指していますので、社会実装が幾つできるかという、サブ課題が60個ありますけれども、幾つ実装できるかというところも見ていきたいと思っております。
 16ページの3ポツ、評価結果ですが、まず結論が最初のポツにございまして、進捗状況としてはおおむね妥当と評価を頂いております。その概要ですけども、2ポツ目でいうと、文科省の委員会での外部有識者の提言に基づいて、いろんな計画が策定されたりリバイスされたりしているということと、内部でも委員会を別途設けていただいて、それぞれ進捗管理をしてもらっていると。3ポツ目では、それぞれの60の課題がございますけれども、未達がなくて、全てが達成ということを自己評価をされておりました。
 その結果、本事業では、ポスト「京」の超並列・大規模シミュレーションのための手法開発が着実な進展を見ており、論文に関しましてもScience、Nature等での発表をはじめとして、下に書いてありますような数の論文数や学会発表をしてございます。29年の第1四半期は28年より少ないのではないかという話もありますが、第2四半期以降増えてくる傾向があるということで御了解いただいております。さらに下のポツですけども、それだけじゃなくてそれぞれの分野も大事なのですけれども、例えばある分野で、ビニール袋が破れるときの挙動と地震の挙動がとても似ているといったように、それを同じ計算手法で解き明かすというようなマルチスケールのシミュレーションをやるとか、あと数値計算がいかに計算として簡略化しても同じ精度が出るかという精度保証の問題ですとか、これから人工知能の時代も来ますので全脳シミュレーションといったところもチャレンジをしていくということ。また、1つの分野にとどまらず、ほかの分野にも飛び出していって異分野交流をしてもらうといったところも、この取組が進められているといったことで、当初の想定以上の成果が得られつつあると書いております。
 また、この事業の予算ではございませんけれども、産学官連携ということが自主的といいますか、自発的に取り組まれておりまして、製薬ですとか、自動車ものづくりといったコンソーシアム、機械もそうですね、といったところでこの産学官連携のための取組が進められていますのと、あと政府としても中央防災会議からこのポスト「京」のアプリケーションを先行的に使うといったこともしていただいております。
 次の17ページですけども、これはまたややこしいところが、システムとアプリケーションを協調的に開発しているので、どちらの中間評価でそれを入れるかと悩んだのですが、システムでもきちんとこれを見ていきますが、アプリケーションにも書いた方がいいということだったので、システムとアプリの協調開発をしているので、Co-designと呼んでいますけれども、これは理研がまずシステムを作っております。先ほどの17個、17機関の実施機関がアプリケーションを作ってくれておりますけれども、そこの間で情報交換が進められており、何よりHPCIの委員会でもポスト「京」の情報をもっと開示すべきである、開示と公開を進めるべきだということで、この前24日にそういう説明会を開催いたしましたが、そういったことを通じてポスト「京」のシステムとアプリケーションの協調開発を進めていくといったところであります。これはシステムの方で主には中間評価をする予定です。
 さらにその(2)から必要性、有効性、効率性をそれぞれ御説明いたしますが、実は先ほどの17個の課題がございますので、それぞれ必要性を書くのはすごく冗長になりますので、事務局と主査で相談させていただきまして、分野で分けてみました。
 必要性というところには、上から2つ目のポツにあるように、我が国においてとても喫緊の課題である分野、例えば健康長寿、あと防災・環境、エネルギー問題といったところについて、このアプリケーションは役立つかというところを見てみました。健康長寿社会を実現するとしても、創薬プロセスや、また地震・津波の対策というのはとてもコストが掛かるということで、又は実空間での再現が不可能であるということなので、本事業でそういった現象を再現することを世界に先駆けて可能にするということと、それだけじゃなくて、我が国でそれが実現しましたら、課題先進国である我が国として他国への展開を見込むといったところで、最後のポツですけども、第5期の基本計画にも書いてございますが、国連のSDGsの達成にスパコンもちゃんと貢献しろということで、例えば地球規模の気候変動に対応しろということを基本計画にも書いていただいていますし、SDGsはもっと広いので、いろんなところで貢献ができてくるのではないかと思っております。
 18ページはそれぞれ創薬、防災、エネルギーのこれまでの成果を書いております。例えば、真ん中の観測ビッグデータを用いた気象予測というのは、これまでのトラディショナルな気象庁さんの気象予測だけではなくて、たくさん観測データが上がってくるので、それを常に気象予測に戻してあげることで、これまでの精度よりも上回る気象予測ができると。データ同化という手法を使う先生方も最近育ってきているので、そういったことを期待しております。
 次に有効性に参ります。有効性も、全てのそれぞれの課題が有効ではあるのですけれども、あえて説明のために今度分野を区切りまして、ここでは我が国が強みを有する分野について御説明いたしますが、我が国が強みを有しております材料やものづくりといった分野では、例えばこれまで実験の先生方が無数の組合せを試したり、自動車の風洞実験にも多大なコストが掛かったりしてきましたが、これをシミュレーションによって革新、代替することができるのではないかということを考えています。
 また、基礎科学も我が国はレベルが高いと言われておりますが、さすがに宇宙や素粒子の実験は困難ですので、それをシミュレーションで再現というか、アシストすると。何より「京」やポスト「京」ができることで、そういった基礎研究の先生方が自らの頭にリミットを掛けていたところを、「京」やポスト「京」があるのだったらそこを取り払ってみようかという気になるということも聞きますので、そういったところに貢献できたらいいなとは思っております。
 19ページでは、更にそれまでの重点課題の取組以外に萌芽的な課題ということで、ポスト「京」時代を見据えてマルチスケールのシミュレーションですとか、精度保証、あと人工知能への応用といった、シミュレーションそのものを変えていく質の向上のための施策ですとか、領域を融合させるといった取組もするといったところに期待をしているということです。これをもってSociety 5.0といったところの実現に貢献していきたいと思っております。19ページの下にはそういった具体例を書いていますけども、例えば2番目のものづくり分野でいいますと、これまで数十億から数百億ある格子点の接触する問題を解析する際に、パラメータが多過ぎてとても手に負えなかったところを、自動でパラメータを最適化してくれるような、そういったシミュレーションのプラットフォームも開発されているといったところが、成果として例えば挙げられております。
 最後に20ページに行っていただきまして、効率性といったところですけども、そもそもシミュレーションで効率性が上がると思うのですが、この事業がいかに効率的に進められているかという観点で書いておりまして、先ほどから何度か御説明してしまったのですが、この事業自体が外部有識者のコメントを、延べ23人の先生方から17の課題に対して300程度のコメントを、私の手元にありますけども、これはごく一例ですが、こういったたくさんのコメントを頂いていまして、これはそれぞれ各実施機関に、評価ももちろんするんですが、こうした方がもっとよくなるだろうというようなコメントを大量に真摯に頂きまして、それを全て我々事務局としても実施機関側に伝えております。私もよく挨拶とかで各機関に行くのですけども、必ず、こういうコメントをもらいましたけど、どう対応すればいいでしょうかというところとか、こう対応したいと思っていますといったところを、我々文科省事務局と先生方の会合でも、真面目に皆さんやってくださっているなという印象を持っています。そういったところで外部からの提言もちゃんと聞いていただいているというところと、内部機関、内部的にも諮問委員会という委員会でそれぞれ著名な先生方からのコメントに基づいて進捗管理をされているというところでございます。
 最後の21ページ、例えばそういった、ほかにも産業界の要望を踏まえて計画を修正するといった取組ですとか、サブ課題がいっぱいありますので、そのサブ課題間をつなぐような基盤グループを作って、なるべく技術を共通化して使えるようにしようという取組もされているといったところですとか、あとポスドクの交流も進められているというところを効率性というところに書きました。
 最後に、今後の研究開発の方向性なのですけども、本課題はそういったところで「継続」という評価を頂いております。その理由として、もちろん個別の健康長寿ですとか防災・減災といったものに対応するほかに、最近国連のSDGsですとか、Society 5.0といったところにも貢献していくであろうと、ここを期待しているということでございました。
 最後、その他なのですけども、コメントとしては、何よりせっかくいい成果が出るのであれば、引き続きその成果の発信を分かりやすく国民の皆様に行っていくように努力をしましょうというところと、2ポツ目、Co-designというのは全てのアプリケーションで残念ながらできませんので、各機関でCo-designされたアプリケーションがありましたら、それを各機関内のほかのCo-design対象以外のアプリケーションにも広げることで、全体としてポスト「京」のアプリケーション群が充実していくようにするべきであるといったところで、理研と各機関でより一層の充実、連携を図ってほしいといったところです。
 以上が中間評価票なのですけども、先生方に1つお願いがございまして、事務局からなのですが、ポスト「京」のシステムの中間評価が今年の秋頃に予定されています。大変恐縮なのですけれども、ポスト「京」のシステムは今、コスト・性能評価という評価を去年終えて、それはおおむね妥当という評価を頂きました。それはHPCIの委員会で閉じていますが、今後中間評価を先生方にも見ていただこうと思っていまして、これと同じようなフォーマットでシステムについてもやるのですが、ポスト「京」の開発というのが今年の夏に1つ節目を迎えまして、そこでCPUができてきて、それを見てからHPCIの委員会でそれを評価すると。一方で、年末の予算のときまでに内閣府の方でCSTIの評価をしていただくということから、秋ぐらいのスケジュール、具体的には1回ぐらいだと思うのですけども、秋頃の委員会のスケジュールが非常に立て込んでおりまして、先生方にもし、無理な日程調整ですとか、例えば、本当はこういった形で御説明したいのですけども、時間によってはメールでのお願いですとかいったこともあるかもしれませんが、また何とぞよろしくお願いしたいと思っています。
 以上です。
【北川主査】  ありがとうございました。それでは、ただいまの中間評価結果(案)につきまして御審議いただきたいと思いますので、御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
 土井委員。
【土井委員】  HPCIの委員会に出ていたときは気付かなかったのですが、16ページのところで、上から4つ目の丸の中の3番目のポチのところ、「マルチスケールシミュレーション数値計算の精度保証や」と書かれているのですが、ここは先ほど御説明にもありましたように、また19ページの一番上の丸のところにも書いていただいているように、マルチスケールシミュレーションと大規模数値計算の精度保証というのは異なっている話なので、これがまとめて1つになってしまっているので、「マルチスケールシミュレーション、大規模数値計算の精度保証や」というふうに修正していただくのがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【澤田参事官補佐】  大変失礼しました。これは確かに先生御指摘のとおり乱丁だと思いますので、ここはポツを入れることで2つに分けさせていただきたいと思っています。ありがとうございます。
【北川主査】  ありがとうございます。ほかに。
 矢野委員。
【矢野委員】  いろんな状況とか制約が全く分かっていないので、ただこのポスト「京」のいろんな検討が始まってから多分三、四年たっているのだと思うのですけれども、この三、四年、大変スパコンの周りというのは大きく状況が変わっているということがありまして、この変化は非常に激しく変わっているので、こういう国プロの取組の中でそれをどこまで取り入れるかというところは議論があると思いますが、むしろそういうことはちゃんと議論する必要があるのかなと。
 特に、私の認識するところだと、今は実は、これは全く三、四年前には想定していなかった空前のスパコン投資ブームでありまして、そういうことはこのポスト「京」の議論の中でちゃんと議論されているのかどうかも私は認識していないのですが、もうあらゆる企業が今スパコンに投資しようと。大きくはシミュレーターとディープラーニングとか、要するに機械学習とシミュレーションを連動して動かそうというところに、今までのコンピューター資源だと全然足らないと。いきなり1桁、2桁、あるいは3桁高い数値のスパコンが必要だと。弊社なんかも含めていろんな会社がみんな投資ブームに今なっているわけですね。そういう状況であるということは、恐らくこの議論の中でちゃんと議論されているのかもしれませんが、きっちり認識する必要があって、恐らくこれは民間の事業だとしたら、こんな状況でどう見直すのだろうという議論を当然やっている話なのかなと思います。先ほどので、そういうようなことがどこにも出てきていないので、どこかでちゃんとそういう議論をするべきなのではないかなと。この中間評価にどこまで入れるべきかというのは別にしても、このある程度の長い計画の中で、そういう見直しですとかいうことをやっていく必要はあるのではないかなとは思っております。
【北川主査】  事務局お願いします。
【澤田参事官補佐】  御指摘ありがとうございました。このポスト「京」アプリケーションの中間評価のワーキングではそういった議論は主にはなされておりませんけれども、先ほど2ページにございましたHPCI計画推進委員会では、昨年の6月にも、ポスト「京」というのはもちろん国としてやるべきであるけれども、「京」・ポスト「京」以外にも、今のスパコンのアーキテクチャといいますか、いろんな種類のスパコンが出てきているのが現実、事実としてありますし、あと、データ同化というか、そういうデータ科学とシミュレーションの融合というところについてはきちんと今後進めていくべきであるという御指摘をもらっていまして、今年度から、予算規模はまだ小さいのですけれども、そういったところに対応するための新規事業を開始しておったり、何よりポスト「京」が今ここまで来ておりますが、ポスト「京」の次がどうなるかということがまだ見えていません。そういったところについて考えていくための委員会についても別途立ち上げを、まさに1月、先週からしておりまして、先生の御指摘の点についても、そこでまた話し合っていければなと思っております。
【矢野委員】  ありがとうございます。一番違うところはやっぱり、ここのスパコンで主に想定していたのが非常に演繹的な、いろんなデータを方程式から作る側の処理だと思いますけども、今、これに人工知能、機械学習的なものが組み合わさって、シミュレーションが生み出したデータから学習すると。あるいは学習した結果からシミュレーターのパラメータを置き換えるという、こういう連動が非常にリアルな場面で物すごく当たり前に、当たり前というか、今始まっているという状況です。ということなので、そこに物すごい計算シーンが必要だということで、需要が物すごく増えているという状況なので、そのあたりをきっちり取り入れる必要があるかなと思っています。
【北川主査】  ポスト「京」のところが大事ですし、それからデータ同化のところも大事だと思いますが、現在ほかの委員会で検討を始めているということでよろしいでしょうか。
 ほかの委員からも結構ですが、御意見がございましたら。よろしいでしょうか。
 それでは、多少修正がございましたので、そこは修正していただくということで、全体としては委員会として御了解いただいたということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【北川主査】  ありがとうございました。それでは、この件につきましても次回の研究計画・評価分科会で報告をさせていただきます。
 それでは、4番目の議題ですが、我が国全体の状況を把握するアウトカム指標(案)についてでございます。事務局から説明をお願いいたします。
【邉田専門官】  それでは資料5-1、5-2、及び机上資料1を用いまして御説明をさせていただきます。資料5-1、5-2ともに第63回の計・評分科会の資料と聞いてございます。
 まず、資料5-1からです。研究開発計画における指標の再検討についてということでございまして、5期の基本計画を踏まえて、アウトプット指標、アウトカム指標を検討し設定しているというところでございますけれども、そもそもとして指標に統一性がなかったり、アウトカム指標の粒度にも違いがあったりするということが明らかになった中で、再検討をしていかないといけないと。加えて、分野全体、施策で進めていくというところでございますけれども、その分野自体に対してどういうふうに施策が効いてきているのかという、その我が国全体の状況を把握することができるような指標というのがないのではないかというふうなことが指摘されてきたというところでございます。
 その中で、2に意見として、論文数・特許数等々、定量的な指標に偏り過ぎると、数を出せばよいという風潮になる危険性があるといったような御意見を頂きながら検討を進めてきたというところでございますけれども、その中で、3として検討すべき事項、我が国の全体の状況を把握する指標、研究開発計画のアウトプット指標、アウトカム指標、ばらつきの修正等々をしなければならないだろうというところで、前回、第63回12月の計・評分科会では国際的に評価、比較のできるベンチマークとしての視点、全体的に共通の指標とするか、委員会ごとの検討とするか又は両方にするかといった論点、論文数や特許数のように時差のあるものを指標とする場合の利用方法等について議論がなされたと。
 続きまして、資料5-2ですけれども、こちらも12月22日の計・評分科会の資料、計・評分科会における我が国全体の状況を把握するアウトカム指標についてということで、案が示されているところでございます。
 目的ですが、中目標達成状況の評価のための指標として、研究開発計画ではアウトプット指標、アウトカム指標を設定して、文部科学省の施策の成果・進捗を測定することとしている。プログラム評価を実施するに当たっては、これに加えて、当該分野に関する我が国全体の状況を把握するための指標を設定してはいかがかというところで、まとまっているところでございます。
 論点ですが、国際比較ができることを前提とした指標のレベル感というのはどういうものか、統一的な指標とするか、統一性にこだわらず中目標ごとの特性に応じた指標とするかというところを論点にしてまとめられておるわけでございますけれども、その指標の候補として候補1、候補2が示されているところでございます。
 候補1、まず共通の指標案、各分野の研究内容(サブジェクトカテゴリ)ごとの論文数ということで、施策として実施した研究開発の成果としての論文数だけでなくと。施策に閉じたミクロな指標だけではなくて、もう少し大きく分野に係る成果が見えるように、どういうふうに効いてきているのかが見えるように、マクロに見られるように、我が国全体の論文数ということで当該中目標に係る分野の論文数を用いてはどうかと。具体的には旧トムソン・ロイター、今はクラリベイト・アナリティクス社に変わりましたけれども、Web of Scienceにおいて各分野の研究内容(サブジェクトカテゴリ)の分類ごとの論文数を共通の指標とするというのはどうでしょうかというところでございます。
 候補2というのは、2ページ目に行っていただきまして、関係する論文がサブジェクトカテゴリに広く浅く分散していってしまっていることによってそれだけでは動向を把握できない分野については、産業データベースとか温室効果ガスの排出量等々の、社会・経済的に生み出される価値の内容による指標を利用することも考えられるのではないかというところで示されていると。
 4ポツで、候補1・候補2それぞれの留意点があると考えているところではございますけれども、プログラム評価の実施に当たって、特性に応じて我が国全体の状況を把握するためのアウトカム指標を試行的に設定して、参考指標として活用していくということでどうかというふうに議論がされたと聞いております。
 5、指標の活用ということでございまして、サブジェクトカテゴリごとの論文数(候補1)、「科学研究のベンチマーキング」が2年に1度公表された際に、全分野の状況を事務局から当分科会及び各委員会に報告することとしてはどうかと。
 サブジェクトカテゴリごとの論文数(候補1)を活用する場合は、「中目標達成のために重点的に推進すべき研究開発の取組」が関与するサブジェクトカテゴリごとの論文数の国際比較や状況の変化を確認して、研究開発の取組の寄与度についても評価しましょうと。
 研究開発プログラム評価においては、当該分野の状況を俯瞰して、当該分野の国際比較、国内における研究開発、産業・経済への貢献の観点についても検討するための参考指標として活用しましょう。
 我が国全体の状況を把握する指標候補、これは候補1・候補2それぞれですけども、しっかりと留意点のような課題も踏まえながら、各委員会においては、これら以外にもほかの定量的なデータ等々から、研究開発の特性・規模に応じ、対象となる研究開発の国際水準を踏まえた評価を実施するということが、前回63回の計・評分科会でまとまったところでございます。
 それに応じて別紙で、同じ束でございますけれども、候補1、各分野の研究内容(サブジェクトカテゴリ)ごとの論文数を指標とする場合の例として、事務局から提示させていただいていると。情報科学技術分野は、机上資料1の束でいうところのこういうところを使ってはいかがでしょうかというのが今回の案でございまして、これについて審議いただくとともに、候補2のように、社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標とする、そういう指標というのがもしあるようでしたら、そこも併せて置きつつ、今後、指標の活用、5の(1)、(2)等々で示させていただいている活用の在り方をするために設定をしていきたいと考えているところでございまして、当委員会におきましてはその候補1、別紙に書かれている一番上の情報科学技術分野のところで、このサブジェクトカテゴリはそもそもこれでいいのかというところも含めて御議論いただきまして、きょう議論せずに、もう少し御意見等々を募りながら、全体として、委員会として、試行的にですけれども、使っていく指標としてまとめていくという作業をしたいと考えているところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。
 なお、本日、計・評分科会の事務局である科学技術・学術政策局企画評価課の國分補佐にも御出席いただいておりますので、御議論をさせていただければと思ってございます。
 以上でございます。
【北川主査】  ありがとうございました。ただいまの説明がありましたように、我が国全体の状況を把握するアウトカム指標の部分を中心に御議論いただく必要があるかと思いますが、その前に情報科学技術分野の事情というか特殊性から何か御指摘いただく点があれば、最初にそこだけ一般論として議論しておいた方がいいのではないかと思います。後に出てきますが、例えばWeb of Scienceで評価するとか、全体的にはそういう方向になっておりますけれども、やはり情報科学技術分野だとそれだとまずいとか、逆にそれでも問題はないというご意見でもいいですが、まずその辺の感じで、何かございますか。
 喜連川委員。
【喜連川委員】  これは今回初めて見ますので、今、北川主査から頂いた話としましては、ほかの分野と根源的に違うのは、オープンソースのソフトウエア開発というのが非常に広くそのコミュニティに貢献していることだと思います。先ほど矢野委員からも機械学習という話が出たかと思いますけれども、現在、ほとんどのライブラリーは完璧にオープンになっている。これが、技術の部分は論文ですけれども、使いやすく利用が非常に簡単にできるという環境を作ったところで、非常に大きく沸騰してくるわけですね。この辺の感覚が、ほかの分野ではどちらかというと少ないような気がしますので、情報の特異性として何があるのかという御質問からすると、そこが相当大きな違いになっているのではないかと思います。
【北川主査】  ありがとうございます。同じような点でほかの御意見がございましたら。
【伊藤委員】  情報科学技術分野をどう定義するかだけなのですけれども、先ほど評価をしました「イノベーションを支える情報基盤強化のための新技術開発」のようなデバイス等は含まれなくなるので、その辺のところをどう考えていくのかということが一番の私の、どうしていくんでしょうかということだと思います。私がもともとハードウエアだったので、入ってくださいということでずっといるんですけども、これだとハードウエアは要らなくなるから、じゃあ私も辞めてもいいかなともちょっと思うぐらい、実はその上、ハードウエアの人はどこに行くのかということになると思います。
【北川主査】  今の点は事務局から何か回答はありますか。
【邉田専門官】  候補1の例でいうと、Web of Scienceのカテゴライズがそもそも大丈夫なのかみたいなところはきっとあるんだと思うのですけれども、そこはこれまでもやってきましたし、これからもしっかりやっていくという観点で、そこもしっかり見られるようなサブジェクトカテゴリを選択していかないといけないだろうと思ってございます。そのために何を選ぶのか、どこまで手を広げて、3ページにあるような量子科学技術分野の例でいうと、相当範囲の広いサブジェクトカテゴリを選んでいるのですけれども、これは本当にこういう指標でマクロにその分野を見るということになるのかというところも含めて、特徴的なところでどういうサブジェクトカテゴリを選んでいけばいいのかみたいな、そういう観点からでも、是非こういうカテゴリは入れた方がいいというところと、このカテゴリについては別にいいだろうというところの御意見を頂戴できれば大変ありがたいなと思ってございます。
【北川主査】  どうぞ。瀧委員。
【瀧主査代理】  実際のWeb of Scienceを見ますと、例えばロボティックスとか、それから言語学とか、いろんなものが入っていたりしますが、その辺もコンピューターサイエンスと非常に関係が強いですよね。ですから、全部入れようとすると広がり過ぎるというふうになりますので、コアな部分と周辺部分と、何か2段階ぐらいにするのが良いという気がするのですが、どうでしょうか。
【北川主査】  自然にサブジェクトカテゴリの話になったので、そこに行きたいと思いますが、現在提案されているものを御覧になって、その考え方、それから具体的にこれでいいのか。その辺はいかがでしょうか。
 これについては、数が多いことのメリット・デメリットがあるかと思うんですが、その辺はどういうふうに整理されていますか。
【邉田専門官】  そうですね。余りにも数が大き過ぎると、なかなか全体としての指標として適当かどうかというところはあるかなとは思うのですけれども、情報科学技術というある種いろんなところにツールとして使われる、いろんな分野に効いてくるようなものなので、余り絞り過ぎて全く見られないような指標を置くというのも、そこは難しいのかなと。そこのバランスなのですけれども、そこは試行としてまずはちょっと置いてみて、どんどんその改良をしていくということなのだろうとは思うのですが、まずはどういう形が必要かなというところで御議論をいただければありがたいなというところでございます。
【有村委員】  質問をします。今、指標の設定で、サブジェクトカテゴリをどうするかを議論していますが、質問は、サブジェクトカテゴリが決まった場合の使い道についてはどうお考えでしょうか。つまり、サブジェクトカテゴリが決まると、評価対象のプロジェクトや、国内の該当分野、あるいは世界全体の論文数がカテゴリに応じて決まるので、同じカテゴリ内で異なる対象を相対的に比べることができます。これは妥当な使い方だと思いますが、一方で、異なるカテゴリ同士で論文発表数の絶対値を比べて、カテゴリ間の優劣を決めるのには不向きだと思います。つまり、使い道によっては、カテゴリを決めてその中の論文数を相対的または絶対的に比較する方法がいいかどうかが大きく変わると思います。その他にも、絶対数をとることの妥当性など、分野の特性にも関わるものと関わらないものがあると思うのです。ご回答をお願いします。
【國分科学技術・学術政策局企画評価課長補佐】  科学技術・学術政策局企画評価課の國分と申します。代わってお答えいたします。
 こちらの今、我が国全体を見る指標を考えていただきたいと申し上げている目的なのですけれども、これまで各委員会ではそれぞれ個別の課題、プロジェクトについては評価していただいていたのですが、第5期科学技術基本計画が策定されまして、今後の研究開発評価の在り方として、国の研究開発における大綱的指針という、評価の大綱的指針というものが出されておりまして、その中でプログラム評価を推進しなさいということが言われております。プログラム評価というのはその個々の課題で設定してもいいのですけれども、ある程度施策目標、こういう目標に向かってやっている事業というのが複数あると思うのですが、そちらをまとめて評価をする。それで今回、研究開発計画というものを第8期の委員の皆さんで検討いただきました。
 その中で、まず大目標というのがあって、その下に中目標というものを設定していて、そこで情報科学技術分野ということで設定していただいております。今後約5年に1回のペースで、この中目標を単位として、この委員会で今後の施策の方向性、今後、情報科学技術の中でもこういう分野について力を入れていこうとか、今までは個別の課題しか評価していなかったので、そういう議論はなかなか、されていたのかもしれないのですけれども、文科省として大きくはなかなか検討されてこなかったという部分がありまして、今後そのプログラム評価というものをしていくに当たっては、我が国全体の状況を把握しつつ、これまでの課題だけではなくて、全体の状況を把握しつつ、情報科学技術分野で力を入れていくべきところといったことを議論していただくための指標として使わせていただきたいと考えております。
【有村委員】  よく分かりました。ありがとうございます。関連する課題を挙げますと、情報はいろいろな副分野からなる複合分野で、例えば物理や、材料に近いところもあれば、電子技術、通信技術に近い所、あるいは数学に近い分野があるなど、背景となる学問や学術文化多様です。すると、仮説を立てて、研究をし、実験をして、論文を書いて発表するという科学技術のプロセス自体は共通でも、細部に微妙に違うところがあるので、カテゴリと発表数を使った評価は慎重に計画する必要があるように思います。例えば、材料分野に比べると、情報・通信分野の論文はすごく長いということが言われます。情報分野内だけでなく、自然科学全体を見たときでも、数学寄りの理論的な分野の論文は長く、化学や材料の非常に競争が厳しく、かつ実験寄りのところは短い論文が普通だと聞きます。このようなことを考えると、異なる背景をもつ学問を横断的に比べるようなカテゴリの使用については、慎重な運用が必要かもしれません。例えば、同じ方法論の人たち同士を同じサブジェクトカテゴリで比べることは問題ないかもしれませんが、サブジェクト設定を標準化したつもりで、それを使って違う方法論の人たちを比べると、難しいことが起きる可能性があると思います。私も分からないのですが、カテゴリを決めるだけでなく、その使い方と、さらに適用した場合に起こり得る正負の効果を考えていただくことも大事だと思います。是非、専門家の方々に、今後ご検討いただけるとありがたいと思います。
【北川主査】  土井委員。
【土井委員】  よろしいですか。私、研究計画・評価分科会も出ているのですけれども、実はこのサブカテゴリを選ぶということに関しては非常に違和感を覚えています。なぜかと申しますと、このサブカテゴリはただ単に論文数をカウントアップするときに統一したものでやりたいという考えで、それだけに使うという考え方もあるかもしれませんが、一方、情報は先ほど喜連川先生からも指摘がありましたように、いろいろな学術の基盤になっているわけです。先ほど評価をしましたポスト「京」においても、そのポスト「京」の下でCo-designをやっているところには量子力学もあり、材料もあり、地球物理もあるわけですよね。それをポスト「京」の経費の中でやって、それがカウントアップされないと。このカテゴリでやれば量子とか、みんなそういうのは抜けますので、というのは何か非常に大きな矛盾を来すようになると思うのですね。なので、そういう形で本当にいいのかなというのは、よく考えないといけないと思うのです。
 ですから、方便としてはいいのかもしれませんが、きちんとこのポスト「京」でCo-designとしてやっていくという、単に計算機のツールを利用し作っていくということをやっているわけではなく、学術全体をレベルアップするためにこういう形ができているということは非常に貴重なことなので、先ほど矢野委員からも今、世の中はいろいろ変わっているという話がありましたけど、それをやはりきちんと、そのボトムアップ、立ち上げができるように、情報がいろいろなツールを提供しているからできているお話で、そこに投資が集まっているというのも、それは経済の活性化につながっているわけで、一部の会社しかもうかっていないかもしれませんが、でもやっぱりそういうことがきちんと分かるようにならないといけなくて、やっぱり狭めると今のポスト「京」のCo-designのようないいものがなくなってしまうので、是非そのあたりはよくお考えいただければと思います。指標が必要というのも事実だとは思いますが、論文数だけに偏ると最近あるような不正の問題も出てきますので、そういう意味ではやっぱりバランスよくやるというのはどういうことなのかというのを常に考えていただくということも重要だと思います。
 よろしくお願いいたします。
【北川主査】  先ほどもお話がありましたけれども、研究計画・評価分科会に出ていると、以前はそれぞれの分野ごとに枠がほとんど決まったものとして、その中での評価だけが行われていた。それではまずいだろうということで、こういう動きになっていると思います。従って、それ自体は非常にいいことだと思いますが、今、土井委員が言われたように、やり方自体はかなり慎重にやる必要があるのではないかなと感じております。
 それでは、喜連川委員。
【喜連川委員】  病理は全ての医学の母だと言われているのですね。つまり、どの疾病も最終的には病理に行き着くのです。だから病理がどの医学領域かというのが曖昧なのです。実はコンピューター科学も、ある研究者が京都賞を取られたときに、コンピューターサイエンスはクイーン・オブ・サイエンスだと言われた方がおられて、つまりどのディシプリンにも今コンピューターを使わないで研究をすることは論理的にはあり得ないと。これは日本のいろいろな学科を見ますと、学会の分野の中に多くの場合、コンピュテーショナル何とか、例えばコンピュテーショナル・ケミストリーというような、コンピュテーショナル・バイオロジーというようなものとか、何とかかんとかインフォマティック、ソシオロジカル・インフォマティックスというような、情報で何とかをするという学問分野がそれぞれの学問分野の中に内在するという構図がありとあらゆるところで出てきています。
 Web of Scienceを見ますと、引っ張ると、確かにここに挙げられたもの以外、引っ張るものが多分ないと思うのですけれども、もうちょっと、一歩ブレークダウンしたときに、情報系の論文がどういうふうに分布しているかというところを確認してから、統計を取られると。この統計を何の目的でというのは、先ほど有村先生がおっしゃられたいろんな問題がある、目的があるかと思うのですけど、いわゆるコンピューターのテクノロジーがどこまで広がっているかというもののカバレッジを見ようと思った場合には、少なくとも今のカテゴリだけだと多分狭い領域を見てしまう。
 それから、これは指標1ですけど、指標2の方が結構重要だと思っていて、2の方になりますと、ますます今申し上げましたような広めのカバレッジを取らざるを得ない。ただ、その中でフィルターを掛けなきゃいけないとか、いろんな問題が出てくると思います。
 難しいのですけれども、先ほど言いましたように、コンピューターというのは今は全学問分野のある種基盤、つまりクイーンに相当するものなので、それがしようがない難しさだというのを御理解いただいて、情報分野の先生も今後いろいろお手伝いをしていく必要があろうかと思いますけど、そういう問題点をちょっと感じる次第です。
【北川主査】  ありがとうございます。
 八木委員。
【八木委員】  データベースが違えば出てくる結果が違うという話が当然あるかと思うのですが、Web of Scienceが、仮に情報を表現できているのかということも当然あるかと思うんですね。情報に関わっている分野の人でも、ジャーナル・オリエンティッドでやっている人もいれば、分野によってはカンファレンスベースでいくし、最近Web of Scienceもカンファレンス・プロシーディングが増えてはきているけども、網羅性という意味でいうと必ずしもどうか分からないというところで、結構難しい問題かなと思うのです。じゃあScopusがいいのですかという話とか、いろんな議論があるので、ここを評価するときに慎重にやらないと、分野によっては必ずしもカバーリングされていない可能性があると思うので、Web of Scienceのみに走ったときのリスクというのはちょっと考えておく必要があるかなと思います。
【北川主査】  ありがとうございます。ほかに。
 伊藤委員。
【伊藤委員】  今、カテゴリを話しているということで、私も根本的にこのやり方はどうかという疑問は相当あるのですけども、カテゴリだけをお話しすると、先ほど指摘したことが入るように「工学、電気電子」というのは1つ加えておいた方がいいのではないかとは思います。
【北川主査】  樋口委員。
【樋口委員】  私の発言も今までの先生方の繰り返しになるのですが、私はこれを初めて見て、かなり違和感を覚えました。それは情報科学技術の特性というものに照らし合わせるといかがなものかということです。例えばいろいろ今起こっている、あるいはこれまで見てきたイノベーションというのは、こういうカテゴリに入らずに、このどこに入れたらいいか分からない、あるいは情報科学技術を使ってつないだようなところから生まれています。それが非常に重要なわけなので、じゃあそういう性質のものをこういう範疇に入れ込むということでちゃんと測れるのかというのが非常に疑問です。
 あともう1点は、分野によって論文化されるまでにタイムラグが非常に違う点です。ファクトファインディング的なもの、これは結構早い期間内に成果が出るわけなのですが、一方、考え方とか方法論とかを本委員会に属する我々は取り扱っているわけなのですけど、そういうものはなかなか論文化しづらい。つまり、分野によって成長曲線、衰退曲線が非常に違うわけなので、それらもちゃんと取り扱えるのかというのが、2つ目のコメントです。
 3つ目は質問なのですけども、私の記憶はちょっと定かじゃないのですが、このカテゴリ自体が、旧トムソン・ロイター社が定期的に変えていたと私は記憶しているのですけど、1企業のものに、国の施策が引きずられるのはいかがなものなのかと思います。3番目は質問なのですけど、もし間違えていたら訂正していただければと思います。
【北川主査】  変えているということでいいですね。
 上田委員、お願いします。
【上田委員】  皆さんの意見と大差はないのですけども、1つ気になる点が、例えば「コンピューターサイエンス、人工知能」というのがサブカテゴリに出ていますよね。大昔の人工知能というのは確かに1つの研究分野といいますか、論理に基づくような人工知能研究というと大体分かるのだけれど、今はもう何でもかんでも人工知能ですよね。だから言葉の定義が変わっているので、分類したときに主観で、とにかくマスコミは何でも人工知能技術と言うし、見識のある人はやっぱり人工知能じゃない、例えば機械学習と言うだとかね。ゲノムなんかに使われているのは、機械学習技術としては新しくないから、これはゲノムの研究ですという主張をするし、だから幾らこれは定義をしても、言葉を作っても、運用の仕方が人によってばらばらだと、結局ちゃんとした評価にならないというのがあって、特にこれ、人工知能だとかバズワードになっているものをこういうカテゴリに入れてしまうと、非常に危険な気もします。とにかく今は人工知能とみんな誰でも言います。何をやっていったら人工知能と。だから多分昔のWeb of Scienceの定義の人工知能があったとしたら、それは違うのではないかなと。
 以上です。
【北川主査】  ありがとうございます。時間も大分経っていますが、國分補佐にちょっと伺いますが、次回の研究計画・評価分科会へは、今回の意見をまとめた形で本委員会から報告しますが、次回で何かを決めるというわけでもないのでしょうか。
【國分科学技術・学術政策局企画評価課長補佐】  指標につきましてはこれで決定というわけではなくて、常に見直されるべきものと思っておりますので、まず一旦はこれで出しておいて、例えば実際に1度やってみて、やはりこれよりももっと、例えばサブジェクトカテゴリじゃなきゃいけないということでもないので、例えば情報分野はかなり幅が広いので、もっとふさわしい指標があればそれを出していただければいいし、ということで、次回までに必ず決めなくてはいけないということではないです。仮の案で出していただいて結構です。
【北川主査】  本日の意見はなるべく吸い上げるようにしますが、もう少し言っておきたいということがあれば……。
【有村委員】  よろしいですか。
【北川主査】  どうぞ。
【有村委員】  サブジェクトを決めること自体は、必要であればどこかでしないといけないと思いますが、2点考えた方が良いことがあるかと思います。
 1点目は、サブジェクトという測り方と、その使い方をペアにして、具体的なサブジェクト割を決める前にあらかじめ審議することです。サブジェクトだけを先に決めて、後から元々想定しない別の使い方をしたら、実は全く効果が違うものになると思います。
 もう1つは、国の制度や運用としては例が少ないのかも知れませんが、現時点で、政策や制度を無条件に適用して良い保証が固まらないときには、これはこの通用範囲までしか適用できませんという限界を付記して、基準やルールを決めることが必要なのではないかということです。例えば、プライバシーに関してガイドラインを決めるときに、従来の法律的な要件だけで決められず、現状の技術的な前提、例えば匿名化技術を前提として、ある妥当な行為を定める時には、下にある技術的な仮定を明らかにして、こういう使い道が可能であるということがそれに当たると思います。あるいは、意図や保証範囲を逸脱した利用に対しては、もとのルールはこういうことしか言っていない、それ以上のことは言っていないということを明示化することが大事なのではないかと思います。今後、評価制度や評価方法が多様化していく前提のもとで、サブジェクトカテゴリを決める必要があるとすれば、このような考え方も必要ではないかと思います。
【北川主査】  ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、予定の時間も過ぎておりますので、本日頂いた御意見を踏まえまして、主査預かりの形で案をまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【北川主査】  後日、取りまとめた案は事務局から委員宛てにお送りさせていただきます。本件につきましても次回の研究計画・評価分科会で私から報告させていただきます。
 それでは、こちらで用意している議題は以上でございますけれども、出席の委員の方から特に御発言がありましたら、よろしくお願いしたいと思います。
【喜連川委員】  最後のやつに関しましては、多分CSTIは今、山極先生が入っておられますので、これ学問全体ですから、学術会議にも問われたらいかがじゃないかなと思います。これは、1個のこの小さな委員会の意見が全てというのはちょっと小さいのではないかなと思いますので、いろいろなところから御意見を頂くのがいいかなと感じました。
【北川主査】  瀧委員、お願いします。
【瀧主査代理】  これはタイトルがアウトカム指標案についてというのになっているのがかなり問題かなと思います。やはりアウトカムの場合は波及効果も全部見て評価することですから。この内容だとアウトプットの指標にしかなっていないので、そこを間違えないようにしていただきたいなと思います。
【北川主査】  ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
 それでは、以上で……。澤田さん、何か。
【澤田参事官補佐】  すいません。先ほどの、議題3ではなくて2のポスト「京」の件で、先ほど矢野先生から御質問があった件、1つ補足で、ポスト「京」は1年、2年システムが延伸したと御説明申し上げたのですけども、そのときにただ一、二年ぼうっとしていたわけではなくて、開発担当企業の富士通さんと、あと開発主体の理化学研究所さんで、先生から御指摘があったようなAIとかビッグデータへの対応ということで何ができるかということを、検討を自発的にしていただいて、FP16という半精度の計算ができるような仕組みを取り入れることで、ディープラーニングやAIを含めるような、ものに対応もできるようにはしているというところと、あとそういったところで、ポスト「京」にARM社のアーキテクチャを採用して、ヨーロッパのコミュニティと一緒にやっていくということをポスト「京」ではやろうとしているということを、すいません、御説明しそびれましたので、そういったことで、ポスト「京」でも先生の御指摘にも対応していきたいと思っています。
【北川主査】  よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から次回の予定等をお願いします。
【邉田専門官】  事務的な御連絡でございます。今年度の委員会は今回で最後ということで予定してございます。次回は年度明けの4月以降ということで、また開催に向けてスケジュールを調整させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【北川主査】  それでは、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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