航空科学技術委員会(第66回) 議事録

1.日時

令和2年9月16日(水曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためオンラインで開催

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. 研究開発ビジョン最終とりまとめに向けた進め方について
  3. 研究開発ビジョンに関する今後の方向性について
  4. 研究開発プログラム評価の新たな仕組みに向けて
  5. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  髙辻 成次
科学技術・学術審議会専門委員  武市 昇
科学技術・学術審議会専門委員  戸井 康弘
科学技術・学術審議会専門委員  冨井 哲雄
科学技術・学術審議会専門委員  難波 章子
科学技術・学術審議会専門委員  松島 紀佐
科学技術・学術審議会専門委員  山内 純子
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)  長野 裕子
研究開発局宇宙開発利用課長  藤吉 尚之
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長  平田 容章
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  先光 吉宗

オブザーバー

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 航空技術部門長  張替 正敏
 航空技術部門航空プログラムディレクタ  村上 哲
経済産業省

5.議事録

1.開会

【先光課長補佐】 ただ今から、科学技術学術審議会 研究計画・評価分科会 航空科学技術委員会の第66回を開会させていただきます。本日はお忙しい中、ご出席をいただきまして、ありがとうございます。私、事務局を務めさせていただきます宇宙開発利用課の先光と申します。よろしくお願いいたします。はじめに、本日は航空科学技術委員会の委員11名のうち、竹内委員がご欠席されておりますけれども、そのほか10名の委員の皆さまにご出席をいただいておりますので、定足数である過半数を満たしていることをご報告させていただきます。このほか、オブザーバーとしてJAXAや関係省庁からもご出席いただいております。また、報道機関からも傍聴の参加もございます。個別の紹介はお手元の出席者一覧をもって代えさせてさせていただきますので、よろしくお願いいたします。なお、事務局側で8月の人事異動で文部科学省研究開発局の岡村審議官に代わりまして、長野審議官が着任しておりますので、本日初めての出席となりますので、ここでご紹介をさせていただきます。

【長野審議官】 長野裕子と申します。8月1日付けで着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

【先光課長補佐】 ありがとうございます。続きまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。本日の配付資料につきましては、あらかじめ電子ファイルで事前に送付をさせていただいておりますが、資料の66-1-1から、66-4-1までと参考資料が1から9までとなっております。また、66-2-1と3-1につきましては、一度差し替え版のほうを送付しておりますのでご注意いただければと思います。資料は以上となりますが、もし何かございましたら事務局までご連絡をお願いいたします。では、以後の議事につきましては李家主査のほうにお願いしたいと思います。

2. 議事

(1)研究開発課題の評価について
【李家主査】 李家です。皆さま、きょうはお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。オンラインでの開催の2回目となりますが、きょうもよろしくお願いします。では、さっそく議題の1番に入らせていただきます。議題の1番、「研究開発課題の評価について」ということで、まずは事務局からご説明をお願いいたします。

【先光課長補佐】 事務局から説明させていただきます。本議題は静粛超音速機統合設計技術の研究開発の事後評価をさせていただいているものでございまして、前回に引き続いての議題でございます。資料で言いますと66-1-1、1-2と1-3でございまして、資料の1-1につきましては、内容は前回と同じもので、資料の1-3の補足資料も前回と同じものを添付してございます。前回、第65回の航空委でご議論いただいて、その後改めて委員の皆さまからいただきましたコメントを踏まえまして、事後評価票の修正案である資料の66-1-2につきまして、改めて今回ご確認をいただきたいと思っております。もとの案から追加したものが赤字で、削除したものがグレーで取り消し線を付けておりますので、順を追ってご説明させていただきます。
 まず、事後評価票の3ページから4ページにかけてですけれども、松島委員のほうからJAXAの研究成果に係る文書の追記修正のご提案をいただいておりまして、具体的な記述を加えさせていただいております。5ページにいきまして、同様に成果を明確にするというところのご意見をいただいておりますので、ご主旨に沿って修正をさせていただいております。6ページにいきまして、松島委員から、ICAO基準と国際基準の表現についてご意見をいただきましたので、事後評価票の中では、ICAOにおける国際基準という表現で統一をさせていただきました。また、わが国産業の目指すべき方向性の内容について質問をいただいておりますので、戦略的次世代航空機研究開発ビジョンを踏まえて、国際共同研究開発において主導権を獲得するという旨を明確に記載させていただいております。
 7ページに移りまして、低離着陸騒音との関連についてご質問をいただいておりますので、超音速機が乗り入れ可能な空港を増やすために、亜音速機と同等の騒音基準を満たすことを目標としているという趣旨を追記、明確化させていただいております。加えてエンジン排気がソニックブームに与える影響の評価について追記のご提案をいただいておりますので、ご提案に沿った形で修正を加えております。8ページにいきまして、成果の内容を整理して、ご指摘の点に加えて「機体によるエンジン騒音遮蔽(しゃへい)効果」も成果の一つであり、これを読み取りやすくなるように修正を加えております。
 9ページのほうに移りまして、戸井委員から軽量化に関する記述について、中間評価と今後の事後評価で同じ対象が評価されているかどうかというところを補足したほうがよいというご意見をいただいておりまして、それを踏まえて、主翼に複合材料の軽量化するということを追記しております。加えまして、松島委員から重量の21%減というところについて、比較対象を明確にしたほうがよいのではないかというコメントをいただいておりましたので、全金属材料の機体に対して重量軽減を図ったという旨を追記いたしました。
 続きまして、10ページ、必要性の科学的・技術的意義のところでございますが、竹内委員のほうから、先導性・独創性・発展性という項目と、ここでの必要性との関連についてご指摘をいただいております。これにつきましては、文部科学省の評価指針の中で、研究開発課題の評価について、研究開発課題の性格や内容や規模等に応じて必要性等の観点のもとに、適切な評価項目を設定の上で評価を実施するとしておりますところ、この評価項目の例といたしまして、科学的・技術的意義、そのうち独創性・革新性・先導性・発展性というもので評価をするというふうに挙げられておりますので、これをもって評価を行っております。
 それを踏まえまして、独創性・先導性・発展性が高い研究開発を進めることが、科学的・技術的意義が大きく、かつ必要性も高いものであるということを本文のほうにも明記をいたしました。
 また、11ページですけれども、李家委員から、全機ロバスト低ブーム設計技術の優位性と、基準策定へのどのように貢献できるのか補足が必要ではないかというご意見を踏まえまして、その点を追記しております。11ページ冒頭の経済性という言葉につきましては、松島委員のご指摘を踏まえまして、運航経済性という表現に変えさせていただいております。
 12ページ、社会的・経済的意義の項目ですけれども、戸井委員からのご意見と李家委員からのご意見で、陸域上空の飛行の必要性に係るご指摘をいただいておりますので、ここで新たな市場創出等をアピールする文言を追記させていただいております。
 次に、有効性についてですけれども、竹内委員から直接効果・間接効果・波及効果、これらの用語の使い分けについてご指摘をいただいております。これにつきましては、直接、間接の成果・効果と、もともと項目として書いてありますけれども、本課題を通じた直接の成果として基準策定の貢献と、超音速機実現の鍵技術の獲得、技術実証構想の策定という3つを挙げておりまして、間接の効果といたしまして、航空科学技術分野の基盤技術の強化に寄与したという点を挙げております。また、これらの波及効果として、これらの成果を踏まえた産学における関連研究を活性化して、研究レベルの向上を促し、わが国航空機産業競争力の土台となったという点を挙げております。
 続きまして、15ページ目ですが、李家委員から、全機ロバスト低ブーム設計技術について、必要性の箇所と同様のコメントをいただいておりますので、こちらも追記させていただいております。また、松島委員からご指摘のあった陸域上空を超音速で飛行可能とするという部分につきましては、これまで海域上空のみだったものを、これに新たに陸域上空でも飛行可能となる技術ということを強調するために、そういった記載を残させていただいております。16ページにいきまして、産学官一体の研究開発体制の構築および技術実証構想の立案につきましては、ご指摘のとおり、立案は既に終えていることではございますが、それまでの課程として、本研究の期間を通じてこれに取り組んだということで成果として記載をさせていただいております。
  17ページでは、武市委員からご指摘を踏まえて、超音速機の研究開発に限らず応用できる汎用性の高い航空科学技術分野の基盤技術を獲得したということを追記させていただいております。
 18ページからの効率性ですが、竹内委員のからのご指摘につきまして、本研究課題の事前評価において、効率性の評価項目である費用構造や費用対効果向上方策の妥当性については、費用構造については共同研究相手先もリソースを負担してもらう体制をとるということを原則として、費用対効果向上方策としては、産学官の強みを生かした体制を構築するというふうに事前評価の段階でしていたということを踏まえまして、その実績について事後評価の中で記載することとしております。また、前回の委員会でもご意見をいただいた高辻委員のご指摘に沿って、運行者からの意見も聴取したという旨を追記しております。
 少しとびまして24ページから総合評価の項目ですけれども、李家委員からのご指摘を踏まえまして、今回の研究開発課題を通じて次に行うべき実証フェーズの準備が整ったということを追記しております。
 25ページからの今後の展望ですが、松島委員のご意見を踏まえまして、過去の飛行実証実験の知見等を生かすという観点を追記いたしまして、李家委員のご指摘を踏まえて、超音速機の必要性等をより広い範囲で認識してもらうということを追記いたしました。また、李家委員のご指摘をふまえ、ポストコロナにおいて超音速機による時間的制約の緩和に対するニーズを見極めつつ、仕様等にフィードバックしていくというところも記載をしております。加えて、竹内委員からのご指摘を踏まえまして、今後の研究の進め方として、コミュニケーション方法に留意をして、本研究開発で得た連携体制を維持・強化する必要があるという旨を追記しております。
 以上の形で、前回の委員会の時点から、委員の皆さまからいただいたご指摘を踏まえまして、事務局の修正案を改めて作成いたしました。委員の皆さまに、今回改めてご確認をいただいた上で、今後、評価分科会に報告させていただきたいと考えております。事務局からの説明は以上でございます。

【李家主査】 ありがとうございました。では、ただ今のご説明について、ご質問やご意見等はございますでしょうか。ご発言されるときは声に出していただけると幸いです。前回、挙手をしていただこうとしたのですが、うまくいかなかったようですので、直接声に出していただければと思います。

【李家主査】 では、私から1つ伺わせていただきます。きょうは竹内委員がご欠席ですが、10ページ、11ページのところでの竹内委員からのコメントについて、科学的・技術的意義に関するご説明もありましたけれども、この独創性・革新性・先導性・発展性、今読んでいるのが、資料の11ページの上のほうですけれども、この辺りのことを、今回の超音速機の話に当てはめてみますと、あくまでも確認ですけれども、まず独創性・革新性、この辺りのところはロバストな低ブーム設計ができるといったようなことが一番に上がるのか、先導性というところでは、低ソニックブームのためのいろいろな指針を国際的な組織の中で先導的に提案をされようとしているのかといったところかと思いますが、そういう考えでよろしいですか。

【先光課長補佐】 今お話しいただいたとおりでございまして、全機ロバスト低ブーム設計技術というのが、JAXAの優位的な技術ということで、非常に独創性や先導性のあるものだというふうに評価ができると考えております。先導性という部分につきましては、国際的な低ブームの騒音基準の議論で提案をするなど、先導的にJAXA、日本が取り組んでいるということで評価をさせていただいております。もしJAXAのほうからも補足がございましたら、お願いいたします。

【村上プログラムディレクタ】 JAXA村上のほうからお答えいたします。今、先光補佐、あるいは李家委員長がおっしゃったとおりでございまして、今回の4年間の研究開発の中では、ICAOへの貢献の中で得た知見に着目して、世界に先駆けて設計技術をして作り上げて成果としての見通しを得たロバストな低ブーム設計技術が、革新的なものであり、かつ独創的なところであると自負しております。また、ICAOの中におきましては、騒音の予測ツールをはじめ、ソニックブームにおける大気乱流の効果の評価、こういったところでの貢献、技術的な内容の提供をしておりまして、そういう意味では、国際的にもこの技術の分野におきまして先導してきているものと、私どもとしては自己評価をしているものでございます。以上です。

【李家主査】 どうもありがとうございました。よく分かりました。他にご意見等ありますでしょうか。いろいろご意見いただいたことに関しては、適切に本文のほうも修正してもらっているというように考えてよろしいでしょうか。

【李家主査】 ありがとうございます。そういたしますと、この事後評価票の修正案については、これでほぼ仕上がったということで。あとは私、主査に一任ということにさせていただきまして、その上で研究計画・評価分科会のほうにお諮りしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

【李家主査】 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。どうもありがとうございました。

(2)研究開発ビジョン最終とりまとめに向けた進め方について
【李家主査】 では、議事の2番目に進ませていただきます。(2)「研究開発ビジョン、最終取りまとめに向けた進め方について」ということで、まずは事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【先光課長補佐】 事務局から説明をさせていただきます。本議題につきましては、参考資料1をまずご覧いただけますでしょうか。こちらの資料を用いまして、今年の1月の第64回の航空委の議題(2)「研究開発ビジョンの今後の方向性について」の中で、3枚目のビジョン最終取りまとめに向けた論点の案について、一度ご議論をいただいたところでございます。その後、事務局にて最終取りまとめに向けた検討体制ですとかスケジュールの具体化というところを進めていくとされておりましたので、その件について今回ご報告をさせていただきます。
 では、資料の66-2-1をご覧いただけますでしょうか。1枚目にも再度掲載をさせていただいておりますが、研究開発ビジョン最終取りまとめに向けた論点案というところのうち、論点の3番目、最終取りまとめに向けた検討体制についてと、論点の2つ目、追記部分の内容を検討する方向性、この2つに対応する点につきまして、2枚目のスライドにまとめております。
 こちらは、第64回の航空委の中でも議論がありましたとおり、最終取りまとめに向けた個別具体の研究開発課題とその取り組み方策の検討は、航空科学技術分野における研究開発の中心的な実施機関であるJAXAに検討を依頼して、研究開発ビジョンの具体化を進めていくこととしたいと考えております。その上で、中間取りまとめにおけるデザインシナリオを実現する研究開発、基盤技術整備の方向性というものを踏まえつつ、個別の研究開発を具体化するとともに、64回航空委でも委員のほうからメーカーやユーザーから意見等聴取するといった取り組みはないか、というご意見もいただいておりましたので、このJAXAの検討においては、産業界ですとか学会、学識経験者、企業実務経験者(エアライン)、そういったところの有識者の視点も十分に活用するということとしたいというふうに考えております。
 航空科学技術委員会といたしましては、要所でJAXAでの検討状況を聴取いたしまして、必要に応じて助言をするということとしたいと思っております。また、航空委では、JAXAから最終的な報告を受けまして、政策的な観点から内容を確認して、研究開発ビジョンの最終取りまとめにこれを反映させていくというふうな進め方を考えております。反映の過程では、コロナ禍等の最新の社会情勢を踏まえて検討するとともに、これまでの方針に相当する粒度の内容を、次期研究開発計画の形式に整合する形で中間取りまとめに追記するということとしたいと考えております。
 1枚目に戻りまして、論点4の最終取りまとめに向けた検討スケジュールについてですが、こちらについては、3枚目をご覧ください。本日の航空委を踏まえて、JAXAでの検討を開始して、年明けに一度中間報告というような形でいただいた上で、航空委でご確認とご議論をいただきまして、航空委からJAXAへフィードバックをした上で、来年の7月ごろ、JAXAから最終報告という形で受けたいと考えております。この最終報告を踏まえて、航空委においては第6期科学技術基本計画の内容も考慮しつつ、最終取りまとめの検討を進めて、来年度中に最終取りまとめを策定し、その後、最終取りまとめを踏まえまして、次期研究開発計画を策定するというようなスケジュール感で考えているところでございます。
 改めて1枚目に戻りまして、論点1最終取りまとめの形式について、ですが、こちらにつきましては、4枚目をご覧いただきたいんですけれども、最終取りまとめにおいては現行の研究開発計画に相当する粒度の内容を、次期研究開発計画の形式に整合する形で中間取りまとめに追記するということで、JAXAからの報告書において、今後10年を見据えて取り組むべき研究領域をまとめつつ、直近5年の具体な研究計画として個別の研究課題というものを整理して、それらを最終取りまとめの中に追記をしていくということで考えております。次の議題でご議論いただくWithコロナ、Afterコロナの観点というものも各章に書き加えていくという形でまとめられればというふうに考えております。事務局からの説明は以上となります。

【李家主査】 ありがとうございました。では、ただ今のご説明に関して、ご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【李家主査】 私から最初によろしいでしょうか。今のご説明で、JAXAのほうで検討していただくということで、その辺のJAXAでの検討の体制というのはどういうふうになるのでしょうか。JAXAのほうから説明をいただいてよろしいでしょうか。

【張替部門長】 それでは、航空技術部門長を務めております張替のほうからご説明させていただきます。今、文科省さまのほうからご提示いただきましたように、JAXAにおいて検討をさせていただくことを考えております。その中におきまして、部門長諮問の外部有識者委員会というものを組織しまして、研究開発ビジョンの中に取り込む研究開発課題の検討を行いたいと思っております。
 現在の予定では、本航空科学技術委員会の決定を受けて、今年の10月から来年5月末までに諮問委員会を計6回開催予定させていただきたいと思っております。委員会には、ご指示のありましたように航空産業各団体、日本航空機開発協会、日本エンジン協会、それから日本航空宇宙工業会、それからユーザーであるエアライン各社、それから学会の有識者として日本航空宇宙学会から、さらに新しい研究領域として、昨年度の航空科学技術委員会でもお示しいただいた次世代モビリティーといったところの検討も考えるということで、電機、自動車、さらにはデジタル、AI、そして金融などの非航空分野の有識者にもご参加いただく予定でございます。もちろん関係省庁といたしまして、文科省さまをはじめ経産省、国交省、防衛装備庁の代表の方々にもオブザーバーとしてご参加いただく予定にしております。
 計6回の検討のうち、途中経過につきましては先ほどお示しいただいたスケジュールに沿って、中間取りまとめとして航空科学技術委員会にご報告し、検討、検証していただきまして、それを受けて、さらに有識者会議でも検討を進めて最終報告を航空科学技術委員会のほうにお示ししたいと思っております。

【李家主査】 ありがとうございました。そういたしますと、今回の資料66-2-1の4ページに報告書の項目の案がありましたけれども、そこのJAXA側の報告書の項目、研究計画というところは、項目的にはわれわれのほうで考えている右側の取りまとめのほうの第2章から第4章までの項目に沿って考えられるのか、また、他にも広く活動されていると思いますので、これには含まれないような内容も含まれるのか。この辺りのところはいかがでしょうか。

【張替部門長】 張替のほうからお答えさせていただきます。今、言っていただいております左側のJAXA報告書の項目を、赤字で書いてある3つございますけれども、計6回の有識者委員会におきまして、まず上から順番に2回ずつ検討を進めていただきまして、それぞれご提言をいただくということを予定しておりますので、基本的にはこのページに書かれている項目に従って、有識者委員会のご検討をいただくということを考えております。ただ、中間報告等で、航空科学技術委員会の皆さま、本委員会の皆さまのほうから追加で検討すべき項目といったもののご指示がございましたら、その部分については入れていきたいと考えておりますが、基本としてはこの左側の水色の部分の赤字で書いてあるところを埋めていくという形で検討させていただきたいと思っております。

【李家主査】 ありがとうございました。分かりました。それでは、他の委員の先生方、いかがでしょうか。ご質問等、ご意見等お願いいたします。

【佐藤委員】 早稲田大学の佐藤ですが、よろしいでしょうか。

【李家主査】 お願いします。

【佐藤委員】 今の出ているページの右側のところで、追記というのでWith/afterコロナの観点というのが書かれているのですけれども、ここに書いてあることをまとめて章立てにする必要は特にないと考えて、それぞれのところに少しずつ書いていくような形でまとめるということでよろしいでしょうか。

【張替部門長】 張替のほうからお答えさせていただきます。今、佐藤先生のほうからご指摘がございましたように、コロナということを考えて、それはやはり一番上の「研究領域」から一番下の「研究環境」に至るまで、それぞれの部分で考えていかなければいけないことだというふうに思っておりますので、それぞれの中で分析し、その対応策を書き込んでいくことになると思います。それについて、一つのまとまりとして、右側の報告書の中では抜き出してまとめていただけるというふうに、われわれのほうでは想定をさせていただいております。

【佐藤委員】 分かりました、ありがとうございます。

【李家主査】 他にはいかがでしょうか。

【武市委員】 都立大の武市ですけれども。

【李家主査】 お願いいたします。

【武市委員】 2ページ目に、産業界とその他有識者の視点を十分に活用と書いてあって、この活用というのが、先ほどの張替さんご説明によれば、有識者委員会に対応するもの認識していいのだろうと思いますが、次の最後のページの具体的な取りまとめ内容の中の4番に、直近5年の具体的な研究計画というところが出てきますが、ここを決めるのは、有識者の人たちですか? それともJAXAの人たちになるんですか?

【張替部門長】 張替のほうからお答えさせていただきます。今回の有識者の委員の方々には、技術の使い手として、エンドユーザーである航空機を開発される方、運航をされる方、それから新しい航空機の使い方といったものを創成される方と、こういった方々を含んでおりますので、10年先を見越して直近5年で開発すべき技術課題というのは、基本的に外部有識者の方々の意見を強く意識して検討していきたいと考えております。もちろん、基盤技術ということで、必ずしもニーズだけで決まるものでもないところもございますので、その辺りはJAXAも深く考えながらバランスのとれた開発計画にしていきたいと思っております。

【武市委員】 分かりました。基盤とニーズとで分けて考えるのは、当然だと思いますが、やはりメーカー等、出口側の機関の意向が強く反映されるような検討の仕方が望ましいと思います。よろしくお願いします。

【張替部門長】 ありがとうございます。まず、基盤においても出口からバックキャストということが非常に重要だと考えておりますので、バックキャストをして、今現在、基盤としてどういうことをやるべきかについて、必ずそういう考えをとるようにしたいと思いますし。かつ、やはり先進的な技術といった、ちょっと使い方が分からないというところも、ある程度は入れる余地は必要だというふうにも考えております。そういったところはやはり学協会の有識者の方々からご意見をお聞きしながら取り入れていければというふうに考えております。

【李家主査】 他はいかがでしょうか。

【戸井委員】 JADCの戸井ですが、よろしいでしょうか。

【李家主査】 お願いいたします。

【戸井委員】 質問がかぶるかもしれませんが、論点3では研究開発の実施者に近い立場の者に原案の検討を依頼すると。これは外部有識者という視点と、やや違うように思えますが、この辺はどのように捉えておられますでしょうか。

【張替部門長】 JAXAの張替のほうからお答えさせていただきます。研究開発の実施者としてはJAXAが中心になるとは考えておりますけれども、メーカーの方々、あるいは運航会社の方々、それから非航空分野の方々もプレイヤーになることを想定しています。今回の有識者の委員の方々には、そういったJAXA以外のプレイヤーの方々にも入っていただいておりますので、想定する10年先からバックキャストした5年の研究計画をつくり上げる上では、自分たちでお持ちである技術であるとか、あるいは技術シーズ、将来ニーズといったことも考慮してバックキャストしていただけるものというふうに考えておりますし、JAXAにおいても、自分たちの持っている技術シーズをもとに、うまくバックキャストをしていきたいと考えておりますので、有識者の方々の委員会で研究の実行者との間で齟齬(そご)が、すなわち提言どおりに研究開発ができないということがないように配慮していきたいと思っております。

【戸井委員】 了解しました。ありがとうございました。

【李家主査】 他はいかがでしょうか。よろしいですか。では、もう一度私から一つ追加で伺わせてください。スケジュールですが、これから有識者の検討を開始されて、2月ごろに開催される航空委でいったん報告をしていただきます。その後、さらに来年の7月まで議論を行っていただくということで、かなり長丁場になるようです。次の議題とも関わる、新型コロナの特にエアライン関係で状況がいろいろと動くようなところもあるのではないかと思います。その辺りのところは、状況を見ながら有識者委員会の結論や議論等を見直していくようなこともしていただけるのでしょうか。それともわれわれのほうで中間報告のときに、注意したほうがよろしいのでしょうか。

【張替部門長】 コロナについては現在進行形で動いております。しかし、コロナそのものというよりはニューノーマルといいますか、われわれのライフスタイルがどういうふうに変わっていくかというところをきちんと見ながら分析するべきところだと思います。そういったところについては、もちろんエアライン、JAL、ANAの有識者の委員の方も入っていただきますけれども、やはりオピニオンリーダーといった方、あるいは日本政策投資銀行といった、そういった金融機関の方々にも、多分、広くコロナの影響で、われわれの生活がどういうふうに変わっているかということをウォッチしていただけているというふうに期待しております。ですので、そういった方々から、特にコロナに対して、われわれの生活を見た上で新しいライフスタイルを見た上で、航空機産業、あるいは航空機運航はどういうふうにあるべきかといったことを、この有識者委員会の中で提言していただき、かつ、中間報告会では航空委の先生方にも検証していただくというふうなプロセスを取りたいと考えております。

【先光課長補佐】 事務局のほうからも補足させていただきます。今回の航空委、次の議題でコロナについて改めてご検討いただきますけれども、それを踏まえて、JAXAのほうで改めて検討も進めていただきますし、来年7月めどに最終報告を受けた上で、またそこから最終取りまとめに向けて航空委でも少し議論をいたしますので、その中でもし状況が変わっていれば、そういったところも反映させながら最終取りまとめを策定できればというふうに考えております。

【李家主査】 分かりました。どうもありがとうございました。それでは、他、よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。それでは、JAXAにおいて今後検討していただいて、それをこの委員会に結果を報告していただいた上で、研究開発ビジョンを策定するという案で進めることにしたいと思いますが、それについてご了承していただけますでしょうか。

【李家主査】 ありがとうございます。それでは、これからのJAXAでの検討と、それから報告のほうをよろしくお願いいたします。

【張替部門長】 承りました。よろしくお願いいたします。

【李家主査】 よろしくお願いします。

(3) 研究開発ビジョンに関する今後の方向性について
【李家主査】 それでは続いて議題の3番目、研究開発ビジョンに関する今後の方向性に移ります。これはさきほども話が出ましたけれども、前回のこの委員会で議論させていただいたことの続きになります。それでは事務局からご説明をお願いいたします。

【先光課長補佐】 事務局のほうから説明させていただきます。本議題は昨年10月に中間取りまとめを行った研究開発ビジョンについて、昨今の新型コロナウイルス感染症による航空業界への影響を踏まえまして、最終取りまとめに向けて必要と思われる新たな観点について、事務局のほうから提案をさせていただいているもので、今、主査のほうからお話がありましたとおり、前回65回に引き続いての議題となっております。
 資料でいいますと66-3-1になります。こちらは、前回の委員会の後に事務局の作成の案について、各委員のほうからコメントをいただいておりまして、それを反映させた形で資料66-3-1として修正をさせていただいているものでございます。いただいたコメントと修正した内容について資料を使って順にご説明をさせていただきます。
 まず1ページ目でございますが、(1)のわが国の航空分野の現状というところで、山内委員と李家委員のほうからのご意見で、今回のコロナについては、過去の有事とは異なって先行きが不透明であるということを踏まえまして、左側の赤字の丸1というところに追記をしております。2ページ目にいきまして、竹内委員と山内委員のほうからのご意見で、企業の経営状態が厳しくなっているという現状を踏まえまして、丸2のところに追記をさせていただいております。3ページ目ですけれども、佐藤委員の、若手研究者が挑戦できる新しい技術の創出ですとか、竹内委員からのご指摘であった、けん引するという表現のほうがいいのではないかというところも踏まえまして、これらを反映させていただいております。
 (2)未来社会デザインシナリオにつきましては、佐藤委員のほうから個別の技術課題やUAVの貢献についてご提案いただいておりますが、これらについては、既に中間取りまとめのほうで網羅的に挙げられておりますので、最終取りまとめに反映させる段階で、書きぶりをまた検討させていただければというふうに思います。4ページ目にいきまして、和田委員のほうからご提案いただいた修文案ですとか、李家委員から、量から質への要求が高まるというご意見を踏まえまして、それを反映させていただいております。
 5ページ目にいきまして、(3)の未来社会デザインシナリオを実現するための研究開発・基盤技術整備の方向性ですけれども、こちらについては、竹内委員のほうから企業の負担についてご意見をいただいておりますが、これは先ほどの2ページ目の丸2の部分で追記した観点と同様の内容となっておりますので、そちらに反映をさせていただいております。また、李家委員の時間的制約の緩和に対するニーズを見極める必要があるという点については、4ページのほうに追記をさせていただいております。佐藤委員からは、コロナ禍により価値観が変わったというのではなく、価値観の変化が加速したというところのご指摘につきまして、本文のほうに反映をさせていただいております。次に5ページから6ページ目にかけてですけれども、戸井委員からの、多様性に即応できる機動性をデジタル技術による連携拡大等で高める体制が望ましいというご意見を踏まえまして、その内容を追記するとともに、李家委員から、ワンマンオペレーション技術について検討をという観点をいただいておりますので、中間取りまとめの書きぶりを踏まえまして、AI、ロボット、IoTを活用した「省人化」という形で追記をしております。また、和田委員から修文案をいただいておりますので、そちらも反映させていただいております。竹内委員のご意見につきましては、2ページ目の丸2に追記した観点ですけれども、小規模ベンチャーによる開発の状況も注視していく必要性があるものの、コロナ禍を踏まえた民間の経営状況を踏まえて、国による支援の重要性というものが増すということを記載しております。
 最後になりますが、7ページ目の(4)未来社会デザインシナリオの実現方策というところですけれども、こちらにつきましては李家委員のほうから航空機の感染症対策に知見を有する人材に関するコメントをいただいておりますけれども、コメントの中で記載いただいているとおり、(2)の未来社会デザインシナリオのところに記載をさせていただいております。それと同じ要素だというふうに考えております。
 以上の形で、前回の委員会の時点からいただいたコメントを踏まえまして修正案という形で作成して提示させていただきました。こちらの資料につきましては、ホームページ掲載時には委員のお名前は載せずに、ご意見の部分のみ掲載をさせていただきたいと思います。
 続きまして、資料66-3-2をご覧いただけますでしょうか。前回に引き続いて今回議論いただく、こちらの新型コロナ感染症を踏まえた最終取りまとめに追加するべき観点というものについては、まず、丸1の前の議題でもご説明したJAXAにおける個別具体の研究開発の取り組みについての詳細な検討の中でも、これらの観点を踏まえた検討を行っていただくということと、丸2の資料66-3-1に挙げた、未来社会デザインシナリオを実現するための研究開発、基盤技術整備の方向性についての3つの観点というものを考慮するというふうにしたいと考えております。今回、委員の皆さまにおかれましては、追記修正した部分についてご確認をいただくとともに、今後の最終取りまとめに向けた議論を進める上で、航空科学技術分野においてWithコロナ、Afterコロナで特に重要と思われる観点を改めて挙げていただけますと幸いでございます。事務局からの説明は以上です。

【李家主査】 どうもありがとうございました。それでは、委員の皆さまから、ただ今の事務局からの説明についてご質問、ご意見等ありましたら出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【武市委員】 都立大の武市です。

【李家主査】 お願いします。

【武市委員】 私の書き方が悪くて変な風に、意図が伝わってしまったので、修正をお願いします。資料66-3-1の最後から2番目のページですね。私の意見は、国の政策のもとでの国費による研究開発の体制のままでよいのか、というのが本来の趣旨です。この説明を加えさせていただくと、まずコロナをきっかけにリソースが減るでしょう。そうすると今度は減っていくリソースの中で、より効率よく、一定の期間で、出口につながる研究成果を出していかないといけないので、これまでの研究体制よりも、改善を検討すべきじゃないのかということが、趣旨です。ベンチャーを引き合いに出していますけれども、ベンチャーはスピードとか変化に対応する力というのはありますし、ベンチャーがリスクを冒して研究開発できるのは、研究開発の出口と、その出口のさらに先が見えているからですよね。出口につながれば必ずもうけが出るから、リスクを冒してでも研究開発をする。この出口が見えているというところも強みだと思います。日本の社会でベンチャーをやるというのは、非常に難しいとは思うんですけれども、国の支援、国の制度を使いながらも、ベンチャー企業のいいところを取り入れることのできるような研究体制を検討すべきなんじゃないのか、というのが趣旨です。 なので、先ほどの議題の、張替さんのご説明にもつながりますけど、効率のいい研究開発の体制をつくるために、出口側の機関、メーカーとかエアラインとか、航空局も入ると思いますが、その出口側からの研究に対するニーズ、あるいは研究に対する要請というものを、もっと取り入れやすい、文科省の研究開発の方針に反映させやすい、そういう仕組みがどこかにあってもいいのかなと思っています。ということを、追加したいです。それに合わせて、資料66-3-2の一番最後に、出口を見据えた産業界との連携とありますが、連携という言葉は、やはり曖昧な意味合いです。連携というよりは、出口の業界からのニーズをどんどん積極的に取り入れられる、強制的に取り入れてしまうぐらいのシステムを検討するほうが、効率はよくなるだろうというふうに思っています。もう普通の飛行機だったら、普通につくれる時代なので、出口側の機関にはこれからの明確なニーズが分かっているはずですよね。ですから、ニーズを考えていくのではなくて、出口側からニーズをどんどん提案していただく、というような研究体制が、コロナのようなことをきっかけとすれば検討できるんじゃないかなと思っています。これが本来の趣旨です。

【先光課長補佐】 ありがとうございます。出口側のニーズを積極的に取り入れていくような体制をつくるという観点についても、この中に記載できるように、検討させていただきたいと思います。

【武市委員】 すみませんけれども、よろしくお願いします。

【先光課長補佐】 ありがとうございます。

【李家主査】 他はいかがでしょうか。それでは、私から一つよろしいでしょうか。資料の66-3-1の5ページの私のコメントが上から2つ目にあります。確認させていただきたいですが、オンラインでのコミュニケーションが非常に便利に、今回の委員会もそうですが、できるようになってきている状況のもとで、時間的な制約をさらに緩和した上で、非常に短い時間で目的地に飛んでいけるという航空機のニーズは、どのようになるのでしょうか。この点は、私もよく分からなかったので、書かせていただきました。特にJAXAさんのほうでご意見があったら伺いたいですが、どうでしょうか。

【張替部門長】 JAXA張替のほうからお答えしてよろしいでしょうか。

【李家主査】 お願いします。

【張替部門長】 今、航空機の活用がどういうふうになされているかということがはっきり分かっているわけではないですけれども。例えばJAXAにおける航空機の利用は特に海外へ行こうとするときには、その必要性、本当に対面、オンサイトで実行しなければいけない業務かといったことが厳しく問われています。これは、現在は職員の安全を守るという観点から、そのように問われているのですが、必要性ということについては、今後、このコロナ自体が収束してもこのスタイルは変わらないのだと思います。一度価値観が動いてしまうと、元へは戻らないのではないかと思います。価値観の変化が早くなっているだけですという、委員の先生のご意見もございました。
 そうしたときに、李家先生のご質問になるのですけれども、航空機の利用といったときに、やはり大人数でそこに行く必要がありますか。あるいは、その移動がデジタルではできないですかという、その評価が必ずあると思います。そうしたときには、やはり航空機で移動する価値が、非常に高いものを選択する、価値の高いものを運ぶというふうになってくると思います。やはり人間の時間、価値というのですかね、移動の時間、価値といったものは、非常に重要度が高くなってくるのではないかなと思います。
 我田引水にはなってしまうのですけれども、超音速、短い時間で人を動かすということが、これはそんなに遠い先の技術ではなくて10年先には実現が十分できる技術で、かつベンチャーとかもたくさん出ている技術なので、今後進展していくのではないかなと予測をしているところです。コロナの関係で、将来を見通すことはできないのですけれども、現状を見たときの私見にはなりますけれども、そのような考えを持っております。

【李家主査】 どうもありがとうございました。この先、どうなるかが分からないということで、今後もいろいろと考えさせていただきたいと思います。今、お話を聞いていて、思い出したのですが、今の議論は人間の移動でしたけれども、貨物の関係は他で聞いた話ですと、こういうコロナの状況下でも、例えば国際線は大幅な人間の旅客輸送は減っている状況にもかかわらず、貨物のほうはそれほど変わらず、航空貨物の需要が非常に高いということです。貨物と旅客というのは、かなり性格の違うものだというのが、これでよく分かってきたような気もします。そういった面でも航空の重要性というのはあるのかなと、個人的には思っています。どうもありがとうございました。

【李家主査】 他はいかがでしょうか。

【和田委員】 日本女性航空協会の和田ですけれども、よろしいでしょうか。

【李家主査】 お願いします。

【和田委員】 お話を伺いまして、コロナ禍という不確定要素がとても大きい状況下の中で、実際に異分野連携を活用した革新技術創出というところで、以前にも結構議論されてきたと思いますが、異分野連携について、現状でどれぐらいの連携の広さで、どこぐらいまでの革新、技術的創出、先ほどもありましたベンチャー企業との将来性、あとは出口を見据えた産業界との連携ということで、実際にどれぐらいの広さを考えて、ここの部分を今後検討されていくべきなのか、コロナ下の中でどう変化していくのかということをお伺いしたいです。
 先ほども幾つかお話があったと思うのですが、どのような異分野連携を、具体的には、出口を見据えるとなると、やはりユーザーとなるエアラインとか、そういうところともお話をなさるでしょうし。ここでは技術創出となっていますが、実際に出口となると、それを買う、そしてそれを利用するとなると、決して技術だけではいかない部分というのも出てくると思うのですが、そういう方たちのお話も積極的に伺いながら、異分野連携というのを取るということで考えてよろしいんでしょうか。

【張替部門長】 JAXA張替のほうから、幾つか例を出しながらお話をさせていただきます。 これは武市先生のご意見にも沿っているのですけれども、技術異分野を探しているというわけではなくて、あることを実現したいと考えたときに、実はその技術は既存の航空機産業の中にはなくて、別の業界のところに技術がある。その人たちも航空機に使えるとは考えていなかったけれども、そういうニーズがあるんだったらやってみましょうという、そういう例がたくさんございます。
 われわれが今までの研究開発の中でやらせていただいています環境、安全、それから超音速で一つずつ例を挙げていきたいと思いますけれども、環境という意味では、コロナ禍で運賃を安くするということで燃費低減が重要になってくると思います。もちろんエンジンの燃費低減技術とか、そういったことはやるわけですけれども、他の例として空気抵抗、表面の摩擦抵抗を減らすということが燃費にすごく大きく役に立ちます。昔からある技術として表面に加工をするというリブレットという技術があるのですけれども、なかなか加工性といったところで現状まだ広く使われているというものではありません。その中で、今までJAXAが連携してきたのは、航空機の塗料の会社とかで、この辺りはまだ航空産業というのが見えています。しかし、最近では印刷技術や半導体のエッチングのような技術で金属加工を直接できているというような、そういう会社とも連携が図れる連携の例がございます。航空機の燃費改善に半導体の技術が役に立つ例もあります。
 安全では、凍結した滑走路が非常に怖いのはよくご承知のとおりだと思いますけれども、われわれは道路の凍結を測るような、道路のセンサー、雪の凍結、積雪とかを測るようなそういう会社と連携をして滑走路の雪氷の状態を測るというようなことも考えております。
 あるいは超音速機であれば、機体の設計という意味では、もちろん航空機の関係になりますけれども、ソニックブームの音を計るのは音屋さんという、世界ではいろんなところで音を計るという技術を持っていらっしゃる会社があって、まさか超音速機で使われるとは思わないんだけれども、そういう音の技術が研究開発に役に立つということもあります。
 異分野の人と一緒に探して何かをやるというのも、もちろんあるとは思うのですけれども、やはり社会のデザインを考えていく中で、こういう技術が必要であるというバックキャストしていったときに、その技術は異分野のところにあるというふうな見方をしていったほうが、航空機以外の出口づくりもやりやすいと思っているところでございます。

【李家主査】 ありがとうございました。

【和田委員】 ありがとうございました。

【李家主査】 和田さん、よろしいでしょうか。

【和田委員】 分かりました、ありがとうございます。

【山内委員】 すみません、山内ですけれども、よろしいでしょうか。

【李家主査】 どうぞ。

【山内委員】 今後の方向性の話をしているところで、ちょっと申し訳ないですが、現実問題として、ちょっと気になっているのですけれども、こういうコロナ禍の状況の中で、ボーイングなんかもそうですけれども、メーカーとか、国内もそうですけれども、非常に厳しい状況の中で、現在、研究開発している、このスピードというか状況は特に影響はない状況で進んでいるんでしょうか。ちょっと気になりましたので、いいでしょうか、ちょっと関係ない話かもしれませんけれども。

【張替部門長】 それほどたくさんの経験がわれわれにあるわけではないのですが、例えば海外メーカーと共同研究をしておりますと、彼らが継続してやっているもの、それから延期、中止しているものが3つの分類に分けられると思います。すなわち、直近のもの、それから10年ぐらい先のもの、さらにもうちょっと革新的で将来を見据えたもの、という、その3つの分類を考えたときに、延期させているといるのは、将来のもの、それから直近のもの。この2つがやはりスローダウンをしているというふうに見受けられます。
 一方、中期ですね。10年ぐらい先といったことは、これは止めてしまうと、コロナが1年、2年で収束したときに、研究を止めていた企業が技術的に遅れてしまうと、要するに取り返しのつかないことになってしまうという恐れがあると思われます。われわれとの共同研究は、その部分については、継続しているというふうに感じられます。
 やはり事業の赤字を減らすために、直近のものはある程度スローダウンさせるとか、あるいは遠くのものはちょっと諦めるというのは見受けられると。われわれの今までの経験では、そういうような感じになってございます。

【山内委員】 ありがとうございました。分かりました。

【李家主査】 他はいかがでしょうか。大体ご質問、ご意見等出たと思います。そういたしますと、本日いただきましたいろいろな事項を踏まえて、最終取りまとめに向けた新型コロナウイルス感染症に関わる追加の論点については、これもいったん、私、主査一任としていただいて整理をさせていただいて、その上でまた、最終取りまとめの検討の際にご意見をいただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。

【李家主査】 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。

(4) 研究開発プログラム評価の新たな仕組みに向けて
【李家主査】 そういたしますと、続いて議題の4番、研究開発プログラム評価の新たな仕組みに向けて、ということで、こちらのほうも事務局からまずご説明をお願いいたします。

【先光課長補佐】 事務局のほうから説明させていただきます。本議題につきましては、7月の16日に開催された計評分科会において提示されました、研究開発プログラム評価の新たな仕組みについて、その内容をご報告させていただくものです。まず、参考資料2のほうからご覧いただけますでしょうか。第10期におきましては、中目標を評価単位とする研究開発プログラムに対して、その評価の試行的実施を行うということで、1月にございました第64回でご議論いただきまして、こちらの研究開発プログラム評価票、こちらを計評分科会のほうに提出をしておりました。ここでは中目標を評価単位とした研究開発プログラム全体を評価するとともに、後段のほうで研究開発プログラム評価にあたっての気付きという形で、この仕組みの改善点とか、そういったところをまとめて計評分科会のほうに報告をしておりました。
 これを踏まえまして、参考資料3になりますが、計評分科会におきまして、各分野別の委員会のほうから提出された、こういった意見を整理した資料になりますけれども、ここではおおむね各分野別委員会、及びその事務局における評価作業が大変困難であったという意見が多く示されたというふうに記載がされております。その理由といたしまして、1つ目に中目標ごとのアウトプット指標やアウトカム指標の各分野の性質に合わせた検討の見直し等が、研究開発計画を策定した時点から、それ以降具体的にそういった検討がなされていなかったので、結果として後付けの評価を行うことがふさわしくないのではないかという印象を感じられた計評分科会の委員がおられたというところと、2つ目として、研究開発プログラム全体を改めて俯瞰(ふかん)することの意義が感じられなかったといった、文部科学省全体として客観的に把握できるエビデンスによる俯瞰というアプローチについての共通見解を各分野別委員会において持つことが難しいということがあったと書かれております。3つ目に、プログラム評価の意義や進め方について、分野別委員会から説明を行ったり、意見交換の場を設けるなどの工夫を行ったりしたものの、具体的な作業に落とし込むには、そのノウハウやスキルといった両面で困難であったといったことが挙げられております。
 その上で、次のページの2ポツの今後の対応というところに書いてありますが、現行の研究開発計画は今期限りとしまして、分野ごとの特性や事情を考慮して、新たな枠組みとして、分野ごとに研究開発の進め方や戦略等を記載した、研究開発戦略・計画というものと、分野全体を客観的に俯瞰、把握できるとともに、分野全体を評価するための基盤となる研究開発プログラムを策定するという方向で検討を進めるというふうにされております。これにつきましては別資料が用意されておりまして、参考資料4になりますけれども、3ポツの分野別戦略・計画といたしまして、分野別委員会や内閣官房等において、政府全体を対象とした、別途検討を策定して戦略や計画といったものを引用したり活用したりできることとする、もしくは、それをもって代えることが可能な仕組みとする。主に分野全体を俯瞰する戦略・計画として、1つ目に、各分野における研究開発推進の必要性、重点的、戦略的に取り組むべき研究開発領域や、それに基づく計画。2つ目として、各分野に共通する横断的事項、この2点を基本とする最低限のポイントを記載した文書というものを分野別の委員会でまとめるということとなっております。
 分野別プログラムにつきましては、分野別戦略・計画と整合する形で、分野全体を客観的にエビデンスに基づいて俯瞰、把握でき、これによって分野別戦略・計画等の進捗状況の把握ですとか、見直し・改訂のための材料となることと、エビデンスに基づいたプログラム評価にも資するものであることを明確にして、文部科学省におけるEBPMの推進の基盤であると位置付けられるものであり、研究開発課題間の関係性の把握やプログラム全体に対する気付きや改善点を得るもの。分野別委員会は、その事務局の組織学習につなげるための評価の視点が強いものであるとされております。さらに詳細につきましては、参考資料5ですが、研究計画・評価分科会における審議の方向性についての案という形で書かれておりまして、次の参考資料6に、その内容として、現行の研究開発計画と、先ほど申し上げました分野別戦略・計画というものの関係が表に整理されております。ちょっと詳細につきましては、説明は割愛させていただきますが、これらの新しい仕組みに向けた今後の検討の予定について、ということで、参考資料7番の中で示されていますけれども、今年度末にかけて計評分科会から基本的な方向性というのが提示されまして、第11期、次の2年間で各分野別委員会において、分野別戦略・計画の策定と、分野別プログラムの整備というものを進めていくとされております。
 このスケジュール感を踏まえまして、参考資料8ですけれども、前回の計評分科会において、研究開発プログラム評価の新たな仕組みに向けて、各分野の特徴、特性を踏まえて、計評分科会と各分野別委員会と一緒になって取り組んで、第10期の終了までにある程度の方向性を導き出すということで、この新たな仕組みの導入に向けて、各分野別委員会における審議を活性化し、議論を行って、検討結果をフィードバックする、計評分科会のほうにまた報告をしてほしいというような依頼が来ているところです。
 その依頼の具体的な内容ですけれども、参考資料9になります。ここが今回議論いただく内容の中心的な内容ですけれども、参考資料9で、分野別委員会で議論するべき2つの視点というものが示されております。1つ目の視点といたしまして、分野別戦略・計画の策定について次の2年間のうち、最初の1年間、2021年度末をめどに、各分野別委員会での分野別戦略・計画について審議、議論をして、分野別委員会として、分野別戦略・計画を取りまとめていく。その際の留意点といたしまして、既に別トラックで分野別戦略・計画を有する、もしくは検討している核融合科学技術分野ですとか航空科学技術分野は、それをもって代える、またはそれをもって更新する形でかまわないというふうにされております。
 2つ目の視点ですけれども、EBPMのベースとなるエビデンスと、分野別戦略・計画および分野別プログラムの関係性についてなんですけれども、分野別プログラムというものは各分野別委員会のプログラム担当課室の意向を踏まえて作成されるものとなっておりまして、そのエビデンスとして質的な内容の違いによって、Expert Opinion、Knowledge、Objective and Comprehensive Information from various Perspectivesという3つのエビデンスが盛り込まれて、特に丸2と丸3のエビデンスの内容を充実させるというふうに書いております。ここで、資料66-4-1をご覧いただけますでしょうか。この資料66-4-1の1ポツと2ポツの部分につきましては、今、ご説明させていただいたものをまとめた内容となっております。3ポツ目のほうに、航空科学技術委員会における方針の案として提示をさせていただいております。先ほどご紹介した視点の1つ目につきましては、2021年度末、令和3年度末をめどに航空科学技術委員会において、航空科学技術分野の戦略・計画を策定することといたしまして、2021年度中に航空科学技術分野に関する研究開発ビジョンを策定するべく検討を進めておりますので、航空科学技術委員会としては、現行の研究開発計画の構成というのを参考に、この研究開発ビジョンの最終取りまとめ、これを最大限活用、引用をする形で策定するということにしたいというふうに考えております。
 視点の2つ目につきましては、分野別プログラムの策定においては、航空科学技術分野に関する研究開発ビジョンの内容を踏まえつつ、現行の研究開発プログラムと同様に分野別戦略・計画の中目標に相当するような評価単位としたいというふうに考えております。分野別プログラムに盛り込むエビデンスといたしましては、1つ目として、昨年度実施した研究開発プログラム評価の試行的実施と同様に、この航空委の委員会において、委員の先生方のご意見をいただくとともに、2つ目としてJAXAの研究者から研究組織や現場における工夫や、課題など、研究推進を考慮するにあたって大切な意見というものを聴取して、必要に応じてこれを充実させていくということが可能なのではないかというふうに考えております。これが先ほどご紹介したExpert Opinionというものと、Knowledgeです。この2つになります。さらに3つ目につきましては、今後の分科会での議論を踏まえつつ人材育成、国際協働、研究開発環境基盤の整備、といった客観的に航空科学技術分野の課題と全体を理解する情報の充実というものに努めていくことにしたいというふうに考えております。
 4ポツの今後の予定といたしましては、ちょっと今回、計評分科会のほうで示された、こういった新たな仕組みについてご報告させていただきまして、その上でご意見いただいて、次回の67回の航空委でも少しご議論をいただいた上で、12月までに計評事務局のほうに提出、航空委としての考え方を提出できればというふうに考えております。ちょっとなかなか複雑な仕組みではございますけれども、今回の議論としては、まずこの3ポツで示しました方針案というものについて、ご意見等をいただければというふうに考えております。事務局からの説明は以上になります。
 
【李家主査】 ありがとうございました。では、ただ今の事務局からのご説明についてのご質問やご意見を伺いたいと思いますが、その前にかなり仕組的にも大きく変えるようなお話を、ただ今、説明していただいたのですが、もう一度確認させていただきたいと思います。
 要は、研究開発計画を廃止して、新たに分野別戦略・計画と、それから分野別プログラムの2つをつくるということでした。先ほど先光さんからご説明いただいているのですけれども、なぜ研究開発計画を廃止しなければいけないのかという点が一つ目です。研究開発計画はいろいろな委員会でかなり議論した上でつくられたものでしたので。2つ目は、これもご説明いただいているのですが、分野別戦略・計画というものと、それから分野別プログラムというものが、なぜ2つあるのか、またどう違うのかということを、もう一度ご説明いただけないでしょうか。

【先光課長補佐】 事務局のほうから補足をさせていただきます。まず、なぜ現行の研究開発計画を廃止して、新たに分野別戦略・計画というものを策定するのかというところでございますけれども、参考資料3をご覧いただきたいんですけれども、研究開発プログラム評価の試行的実施というものを昨年度、各分野別委員会で実施をいたしまして、その際に提出したそれぞれの分野別委員会の意見といいますか、考えというのを計評分科会で取りまとめております。この取りまとめた意見の中と、計評分科会の議論の中で、この1ポツの意見のまとめというところでまとめていただいているんですけれども、現行の研究開発計画とその評価というものが、分野別委員会や事務局での評価作業というのが大変困難であったというところと、その理由として3つ大きくここに挙げられておりますけれども、研究開発計画に記載されている内容の、各分野別の性質に合わせた検討や見直しというものが、研究開発計画を策定した時点から、具体的に見直しがなされていなかったということで、後付けの評価というような形でふさわしくないのではないかという印象を感じられた委員がいらっしゃったり、あとは文部科学省全体として客観的に把握できるエビデンスによる俯瞰というアプローチについて、各分野別委員会で共通の見解を持つことが難しかったということですとか、意見交換の場を設けるなどの工夫を行ったものの、具体的なこういった評価の作業に落とし込んでいくには、ノウハウやスキルの両面で困難だったというような意見があったということで、この研究開発計画と、研究開発プログラム評価の実施というところについて大幅な見直しがなされたという経緯になってございます。
 2つ目の分野別戦略・計画と分野別プログラム、その2つになったというところでございますが、研究開発計画は文部科学省全体で、各分野別委員会共通の、内容としては別に書かれておりますけれども、共通のものとして策定されておりますけれども、今回は計評分科会での議論を踏まえまして、各分野別委員会の事情ですとか性格といったものを考慮して、それぞれの分野ごとに戦略や計画を策定していくということと、あと特に航空委の場合、今まさに研究開発ビジョンの取りまとめを進めているところでありますが、こういった分野ごとの戦略やビジョンというものがあるにもかかわらず、それとは別に新たに研究開発計画というものをつくると、重複する部分も多いということで、分野ごとのこういったビジョンや戦略というものを最大限活用して、分野ごとに計画を立てていくというほうが適切ではないかということで、この分野別戦略・計画を策定するということになっております。
 分野別プログラムですけれども、こちらは、やはり評価をするというところで分野全体をきちんと俯瞰できるものということで、分野別プログラムというものをつくる必要があるということなんですけれども、その際には客観的なエビデンスという形で、中目標というものだけではなくて、委員の先生方の意見ですとか、研究に近い立場の方の意見ですとか、もしくは客観的な人材育成、国際協働といった課題、全体を理解するのに役立つ情報というものも考慮した上で、こういったプログラムをつくるべきではないかということで、新たに分野別プログラムというものもつくることとされております。
 以上で説明とさせていただいたんですけれども、よろしいでしょうか。

【李家主査】 どうもありがとうございました。繰り返しのご説明ありがとうございました。 では、こういうことを受けて、ご意見のほうをいただければと思いますが、いかがでしょうか。

【戸井委員】 JADCの戸井ですが、よろしいでしょうか。

【李家主査】 お願いします。

【戸井委員】 まだ私もよく腑に落ちないですけれども、分野別に変えるという方向ではありますが、もともと航空というのは一つの分野として議論をされてきたように思うんですけれども。航空のこの動き方にとって、研究開発計画を廃止して、分野でやり直すというところが、いまひとつ、よくイメージが湧かないんですけれども、いかがでしょうか。

【先光課長補佐】 もともとの研究開発計画では、確かに航空科学技術分野の部分について計画が記載されているんですけれども、研究開発計画自体は、各分野を束ねたものとなっていて、文部科学省全体の計画として定められておりました。ただ、各分野で事情が異なったり、結果として各分野共通の認識を持って取り組むということが難しかったりということで、改めて、戦略・計画としては分野ごとにこういった計画をつくっていったほうがいいんじゃないかということで、研究開発計画という一つのものではなく、分野ごとに改めて策定をするという、そういった議論が始まったというところでございます。回答になっておりましたでしょうか。

【戸井委員】 航空科学技術分野の動きとしては、どう違うんでしょうか。大きな研究開発計画の中で、航空科学技術分野というのがあったという流れがあるとしても、航空技術分野の中でやってきたことは、何かやっぱり変えなきゃいけないような状況なんでしょうか。

【先光課長補佐】 航空科学技術分野としましては、特に従前から何かが大きく変わるというものではないというふうに認識をしております。分野別の戦略・計画を定める上で、当然、これまでやってきたことを継続していくという部分も大きいので、これまでの研究開発計画の、特に航空科学技術分野の内容を踏まえた上で、今回策定しようとしている研究開発ビジョンというものも踏まえて、航空科学技術分野としての戦略・計画を策定するということで、特に内容が大きく変わる、航空科学技術分野として何か新しいことをやるとか、過去のものを廃止するとか、そういうことではないというふうに考えております。あくまで、計画自体の枠組みが少し変わるというイメージでおります。

【戸井委員】 全体へのつなぎ方が変わるというようなイメージですかね。

【先光課長補佐】 はい、そうです。

【戸井委員】 了解しました。

【松島委員】 すみません、富山大学の松島ですが。

【李家主査】 お願いします。

【松島委員】 よろしいでしょうか。参考資料1の1ページの図に、文科省におけるこれまでの航空科学技術分野の方針という図があって、この図の一番下のほうに、研究開発ビジョン最終取りまとめ、2021年、クエスチョンマークがあって、これから反映させるものとして、左側に次期研究開発計画というものがあるんですけれども、この次期研究開発計画のところが置き換えられるというイメージでしょうか。それとの関係が分からないんですけれども。

【先光課長補佐】 おっしゃるとおり、ここで書かれております次期研究開発計画というものが、新たに分野別戦略・計画というものになるというふうに承知しております。

【松島委員】 そう致しますと、今までは次期研究開発計画として分野を全て統合した形のものが、何か一つできていたんだけれども、これからは分野ごとに個別の戦略にするというイメージでよろしいでしょうか。

【先光課長補佐】 はい、そのようなイメージでございます。

【松島委員】 ありがとうございます。

【先光課長補佐】 ちょっと別の資料になりますけれども、資料66-2-1の3ページ目をご覧いただけますでしょうか。最終取りまとめに向けた検討スケジュール案というものですが、3ページ目で、ここで一番右の令和3年度末のところで次期研究開発計画策定と書いておりますが、ここも、これが今申し上げた分野別戦略・計画というものになるというイメージでございます。この戦略・計画というものを策定する上で、分野ごとのそういったビジョンである、航空分野でいえば研究開発ビジョンを最大限、これに活用する、反映させるということで、分野別戦略・計画を策定して、それを計評のほうにお送りしていくというような流れになると考えております。

【松島委員】 ありがとうございました。よく分かりました。

【李家主査】 他にございますでしょうか。

【李家主査】 私から一つ確認させてください。資料の66-4-1の3ページの、航空科学技術委員会における方針(案)で、視点1、視点2とありますけれども、そこの視点2に関するエビデンスのところで、これまでは論文数や特許が実際にどれくらい使われるようになったかということをもとにしてアウトカムやアウトプットとして評価していましたけれども、その代わりに視点2の2つ目のポチのところにあるように、特に丸2番のように現場における工夫とか、そういった、これまでと全く違うような、だけれども研究を行うにあたって非常に重要であるだろうといった知見を、評価に使用するということだと思います。現場における工夫というのを私のほうで考えると、例えばJAXAさんの基盤設備である風洞でいろいろな試験をされていますが、その試験をするにあたって、こういう何らかの工夫をすることによって、精度が上がったとか、効率が上がったとか、そういったすぐには論文等には出てこないような、現場のお話といったものをわれわれのほうで拾い上げて、評価に使うという、そういったことでよろしいんでしょうか。

【先光課長補佐】 そのように考えております。なかなか論文数ですとか、そういった数字に出てこない現場での工夫というものを、まさに拾い上げて評価するというような仕組みだというふうに考えております。

【李家主査】 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。

【武市委員】 都立大の武市です。

【李家主査】 ありがとうございます。

【武市委員】 今の李家先生がおっしゃっていた部分なんですが、視点2の丸2は今はこのように書かれているんですが、全体のほうの資料の前のページの、丸2Knowledgeのところで、研究動向、社会的要請ととあります。今書かれているのは、この後の研究組織や現場における工夫に該当すると思うんですけれども、やっぱり工学系の委員会なので、社会的要請というのが大事なんじゃないですかね。これが、これまでの航空の、この委員会に欠けていた視点じゃないですか。これはうまく反映するのは難しいかもしれないですけれども、この点の反映が重要かと思います。

【先光課長補佐】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、この丸2のKnowledgeの部分、研究組織や現場における工夫という部分から、ここに記載をしていたんですけれども、社会的要請という部分についても追加して反映させたいと思います。ありがとうございます。

【武市委員】 やっぱり、さっきも言いましたけど、出口側から見たときの評価といったものがあると、よりよくなるのかなと思います。よろしくお願いします。

【先光課長補佐】 ありがとうございます。

【李家主査】 他にありますでしょうか。

【李家主査】 また私から一つ確認させてください。この同じ資料の3ポチの、再び視点2のところですが、今出ている一番下の丸3については、つまり下から3行目のところです、そこに人材育成、国際協働、研究開発環境や基盤の整備というのがあります。これらに関しては以前の研究開発計画でも、その中で1つの章を設けてしっかりと書かせていただきましたけれども、それとほぼ同じようなものと考えればよろしいでしょうか。

【先光課長補佐】 ご指摘いただいたとおり、研究開発計画の中でも1つの章として書いておりまして、そういった内容を客観的に航空科学技術分野の全体を理解する上で必要な情報という形で充実させていくという方向で考えております。

【李家主査】 ありがとうございます。他、いかがでしょうか。よろしいですか。また次回の航空委でも、議論ができると思いますので、そのときにまたお願いいたします。そういたしますと、もしこれ以上ご意見等ないようでしたら、次へ進めさせていただきます。さらにご質問やご意見等がある場合には、委員会が終わった後に事務局までご連絡いただければ、事務局のほうから回答していただけます。

(5)その他
【李家主査】 では、最後に5番のその他ですが、これに関してはこちらで用意した議題はないと思いますけれども、委員の皆さまのほうで、これまでの議事の内容も含めて何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。そういたしますと、以上で本日の議事は全て終了いたしましたので、進行を事務局のほうにお返しいたします。今日はどうもありがとうございました。

3.閉会

【先光課長補佐】 ありがとうございます。最後に事務局のほうから事務連絡をさせていただきます。次回の航空科学技術委員会は11月19日木曜日の午前10時から12時で開催をさせていただきたいというふうに考えております。以前、予備日としてお伝えしておりました20日金曜日についてはお時間を確保していただく必要はございませんので、19日木曜日の午前ということでよろしくお願いいたします。また、本日の委員会の議事録につきましては、事務局のほうで案を作成して、委員の皆さまにご確認をいただいた上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきます。加えまして、少し先の話ではございますが、第10期の委員の任期が来年、令和3年の2月の14日までとなっております。第11期への再任ですとか、任期満了の場合のご相談につきましては、年内をめどにまたご連絡をさせていただきたいというふうに考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、これで科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 航空科学技術委員会の第66回を閉会とさせていただきたいと思います。改めまして本日はお忙しいところをご参加いただきまして、ありがとうございました。これで終了とさせていただきます。

(了)

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