防災分野の研究開発に関する委員会(第53回) 議事録

1.日時

平成21年10月6日(火曜日) 13時30分~17時

2.場所

文部科学省 3F 2特別会議室

3.議題

  1. 東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究の事後評価について(非公開)
  2. 首都直下地震防災・減災特別プロジェクトの中間評価について
  3. 平成22年度予算案の概要について
  4. 防災分野の重要事項について
  5. 防災分野における研究開発の国際展開
  6. その他

4.出席者

委員

濱田主査、天野委員、荒卷委員、今井委員、岡田委員、折坂委員、国崎委員、重川委員、清水委員、武井委員、田中委員、中尾委員、林委員、松澤委員

文部科学省

森本審議官、鈴木地震・防災研究課長、南山防災科学技術推進室長 他

5.議事録

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 それでは、定刻になりましたので、防災分野の研究開発に関する委員会の第53回を開催させていただきます。

 本日、委員21名中、現在12名出席していただいており、定足数を満たしています。佐土原先生は遅れるとの連絡いただいております。

 本日の議題は2つあります。議題1の「東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究の事後評価について」については、事業評価ですので、非公開とさせていただいております。この議題が終了し、休憩を挟んでからの、おおむね16時ぐらいから、議題2の審議に入り、そこからは公開したいという予定です。

 続きまして、お手元の資料につきまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。

-資料の確認-

 よろしければ、以降、議事進行を濱田先生にお願いいたします。

【濱田主査】

 委員の先生方、お忙しいところ委員会にご出席いただきまして、ありがとうございます。早速、本日の議題に入りますが、事務局からご説明あったように、議題は2つございます。1つ目は、東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究の事後評価でございます。2番目の議題は、第4期科学技術基本計画の策定に向けた防災分野の重要事項についてです。途中で休憩を挟みます。

 それでは、まず最初の議題であります、東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究の事後評価につきまして、評価の進め方について事務局から説明をお願いします。

【 議題1 東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究の事後評価について 】

 -事後評価の実施(非公開)-

【 議題2 第4期科学技術基本計画の策定に向けた防災分野の重要事項について 】

【濱田主査】

 第4期科学技術基本計画への提言についてということですが、資料53-5は、委員会の名前が入っておりません。内容をご説明いただく前に、この資料の性格を説明していただけますか?

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 これまで5回、防災の委員会で、第4期科学技術基本計画の策定に向けて、いろんなご意見を伺ってきました。これをもとに、今後、第4期科学技術基本計画を策定するに当たって、防災科学技術をいかに位置づけていくかというのを、事務局、文科省内で検討していく予定です。そこで、こちらの委員会では、こういう意見が出たという集約したものを作成しました。今後、これをもとに、今年度末を目途に、本委員会の提言書をまとめていくので、現段階での意見の集約版という位置づけとして取り扱っていきたいと思っております。

【濱田主査】

 今、ご説明ありましたように、文部科学省として第4期科学技術基本計画への提言を行うわけですが、これは防災分野に限らず、ほかの分野の提言も含めて一つのものをまとめて出すということです。その文部科学省内部での取りまとめのための資料の段階であることをご理解いただきたいと考えます。ただし、本委員会では、非常に貴重なご意見も先生方からいただきましたので、本年度末を目途として、委員会としての報告書を取りまとめたいと考えております。

 それでは、53-5の資料につきまして、ご説明お願いします。

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 それでは、資料53-5につきまして、説明をさせていただきます。

  -資料53-5に基づき説明-

【鈴木地震・防災研究課長】

 担当者からの説明に、少し補足します。

 前回、事務局で、主査からのご依頼を受けまして、委員会におけるこれまでの議論の概要ということで、箇条書きに整理をさせていただいて、前回、少しご議論していただいております。そのときには、理念及び方向性と今後の防災科学技術の重要課題ということでグルーピングし、大きくくくりで出しておりました。今回は、自然現象の観測とかいうような形で、もう一回項目を整理し直して、わかりやすいように、文章化させていただいています。その文章化にあたっては、頂いたご意見をできるだけ読み込めるような形とし、理念や論理構成を見えるような形で項目を整理させていただきました。そのため、前回見ていただいたものとは違って見えるところがあります。

【濱田主査】

 はい、どうもありがとうございました。

 今、補足説明をして頂きましたけれども、2回にわたって委員の先生方からいろいろご意見をいただいて、その後も議論を続けてきました。それを一応文章化していただいたものであります。最初に申し上げましたように、これにつきましては、文部科学省内で基本計画に向けて他分野も含めてまとめられる際の、防災分野からの提案ということになります。委員会としては、もう少しこの議論を続けて、本年度内に取りまとめをしたいと思います。

 短期間に非常によくまとめていただいたと思います。私から、また新たにご説明するまでもありませんが、目次案を見ていただきますと、2.の基本計画で重点的に推進すべき事項で、3つを挙げております。1つは、自然災害の発生メカニズムの解明と予測の手法、災害の予測というようなことになります。主として理学分野の研究ということになろうかと思います。2番目としましては、防災・減災技術。構造物とか社会とか、そういうものの防災力をどう上げるかというようなことに関する研究、及び、そのためのデータベースの構築というのがこの中に含まれていると。3番目としては、国際協力と人材育成というような分け方をしてまとめたということであります。

 多分、文科省全体で取りまとめたときに、数ページになることになると思いますが、恐らくその骨子に取り入れられるだろうと思います。それが1ページ目の6項目であると考えます。ここでは観測技術・体制の高度化から始まり人材育成と、6項目挙げられている。

 それで、文言、表現等、まだまだ不十分なところがあるのではと思います。きょう、まずご議論いただきたいのは、この防災の委員会から発信するキーワードが、骨子として、この1ページ目の6項目でよいかという点について、ご意見をいただきたいと思います。細かい文言については後ほど、各委員の先生方からメール送っていただきたい。この表現はわからないとか、こう直したほうが良いよと、ご意見を頂きたい。本日は、骨格についてご意見いただきたいと考えます。

 1ページ目に6項目が挙がっておりますが、まず、これについて、こういうことが足らないんじゃないかとかいうことがありましたら、ご意見をお出しいただきたいと思います。どうぞ、もうあとはどこからでも結構ですから。

 はい、どうぞ。

【天野委員】

 このお話し合いをする前に、確認をさせていただきたいのですが、民主党政権になり、防災分野は社会基盤整備につながるところもあるかと思うのですが、方向転換というか、考えなきゃいけないようなことはあるんでしょうか。

【鈴木地震・防災研究課長】

 先生方から、それぞれのお立場でこれまで、こういうことが大事だと、こういうことを考えていかなきゃいけないという、いろんなご意見を取りまとめをする。我々としては、全体をまとめるときに、防災の委員会の委員の先生方はこういうことが大事だと言っておられるので、基本計画をつくっていくときには反映をして欲しいというと上げる。そこから先は、ちょっとなかなか私どもも不明です。

【天野委員】

 了解しました。建設業の人間なのですが、社会基盤整備市場関連の予算を縮小させる中で、本当に安全・安心な社会を目指す上で必要なものを、きちんと予算化して整備できるといいなと思って、今の発言をさせていただきました。

【濱田主査】

 天野委員が聞きたいことをちょっと私が補足すると、ここで来年度の概算要求のための何項目かの課題についてご意見をいただいて、私は上の委員会で報告をした。そのことに関して影響を受けるということは、今のところはあり得ないという理解でよろしいか。

【鈴木地震・防災研究課長】

 事実関係だけ申し上げます。

 概算要求につきましては、10月15日までに22年度の概算要求を出すということで、現在、作業中でございます。

【濱田主査】

 皆さんがいろいろご指摘になったことは、この6項目の中に包含されるだろうというふうには思いますが、いかがでございましょうか。よろしいですか。

【松澤委員】

 1つよろしいですか。この6項目で大変結構だと思うのですけれども、ほかの5つは、その後の文章で読めるんですけれども、4番目の成果の社会への還元の促進というのが、文章の中でどのように拾われているのか、ちょっとよくわからなかったんですけれども、ご説明お願い、いただけますか。

【濱田主査】

 いかがですか。

 これは、ここに書いてあるから、後の各論には書いていないですね、確かにね。項目に、観測、予測、それと防災・減災、両方に書いておく必要があるのかもしれませんが、いかがでしょうか。

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 ここは、それぞれの課題を進めるに当たっての考え方として、理念と方向性を並べ、後ろには、委員の先生方からいただいた比較的具体的な、こういうことをやるというものを整理しております。そういう点で、具体的に社会還元のためにするというところが、後ろには明示されていない形になっています。

【岡田委員】

 6項目の最初の3つは、全部判で押したように高度化というのが並んでいます。中身は、先ほどご説明いただいたところですが、1番目は、観測技術とか体制のことが入っているのですが、むしろ観測基盤と基礎研究の強化といった言い方のほうが良いのではないかなと思います。

【濱田主査】

 はい、そうですね。高度化というのは、よくわからないですよね。きょうもよく出てきましたけれども。検討をしていただくということにしましょう。

 ほかに、どうでしょうか。

【福和委員】

 1ページのところは、今回、非常にバランスよいと感じました。

 ただ、この6項目のバランスと、それから後ろに書かれている文章のバランスが随分違うかなという印象は感じます。ここは、防災の委員会ですから、もう少し防災的な視点を強く出しておく。今のこの文章だと、どちらかというと地震調査研究推進本部の文章に近く見えてしまうので、もっとぐっと減災というようなところを書き込まないといけないという気が強くしました。

 全体的な文章のバランスからいうと、特に土木や建築のところの工学的な部分での減災技術というところが、実際には防災には一番重要になってくると思うんですが、そこの技術が極めて少なくて、たった3行しか書いていないんです。「建物・土木構造物の地震による破壊過程の解明」というところの3行だけになってしまっているので、これは少しバランスを欠くかなと思います。いろいろな観測というキーワードがたくさん出てきているのですが、都市部の軟らかい地盤の観測、揺れの観測というような部分とか、そこの解明という部分が、技術がないということと、それから、実験ではわからない構造物の挙動の観測に関する技術がこの中には一言もなかったので、できれば入れていただけるといいかなと思います。

 それから、7ページに人材と書いてあるところも、これを、よく読むと、サイエンスの人材の育成になってしまっている面が強くて、もう少し幅広の防災科学技術を担う人材育成と書いておいていただいたほうがよい。特に最近、土木建築を志す、特に安全にかかわるところを志す人材というのが、土木建築も、それから原子力分野も、相当に減ってきている。そのことから考えると、そういった視点も入れておいていただいたほうがいいように感じました。

 それから、防災教育という言葉は、研究なので入れないほうがいいのか。それとも、本当は社会還元という立場からすると防災教育も含みつつ、人の意識を変えていくというような部分が一番重要な社会還元なので、文科省としては入れても良いのじゃないかという印象を持ちました。

 以上です。

【濱田主査】

 もう後の各論には行っておりますが、議論していただいて構いません。

 それで、きょう、いろいろご意見をいただく、それから、お持ち帰りいただいて、それぞれお気づきの点をメモとして、ぜひともご提出いただきたいと。きょう発言されたことも、できればメモとして出していただきたい。それを事務局と私で少し検討して、この報告書を修正していくというような形にしたいと思いますので、お願いしたいと思います。

【林委員】

 ちょっと1ページ目でいいですか。もしかすると、もっと大きな話かもしれないんですが、第4期の科学技術基本計画は、基本的には内閣府が主管をしていて、この防災にかかわる分野については文科省が取りまとめるというような認識ではないんですか。

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 おっしゃるとおり、内閣府の総合科学技術会議の審議が今スタートしたばかりでございます。それと並行して、少し先立つ形で、科学技術学術審議会という文部科学省の審議会がございまして、その中に基本計画特別部会というのをつくって、これを、野依座長がまとめておられるのですが、そこに、11月19日ですけれども、この研究開発局関係の、防災とか航空とか、色々な分野について、まとめてご報告させていただく機会があるので、そのときにこれをぜひ活用させていただきたいと思っております。

【林委員】

 今のような認識でなんですが、例えば、これはいつも思うことなんですが、文部科学省というのは実際には、こういう防災にかかわる人材をほとんど抱えているセクションです。ただ、これを見ていると、例えば内閣府の防災担当、中央防災会議とか、あるいは実行官庁である国交省だとかとのすみ分けを非常に意識して書かれているような文章のように読める。もっと平たく言えば、地震研と防災科研とE-ディフェンスだけを守るみたいにも読めてしまう。例えば、科学技術を本当にリードするような立場として文部科学省を考えたら、もう少し何か幅広に書いても良いのでは。

 全部を自分でやりますという、ある種の決意表明としては大変正直に書いていただいていると思う。ですけれども、ほら吹く部分というのもあってもいいんじゃないか。特に、天野委員の発言じゃないけれども、体制も変わっていますので、この際、筋をしっかり、びしっと言うのはいいのかなという気もする。

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 そういう点では、我々が言いたいことを書いているというよりは、今までのご議論について、各項目を、外から見ての順番、論理に立ってわかるような形を意識してまとめています。私どもがやりたいこと、やることを書いているというわけではありません。

 ただ、文部科学省の審議会に上げる防災の委員会での意見ということにはなっています。

【天野委員】

 今の議論に関連して、この1ページ目から消えてしまったキーワードがあるなと感じています。実は、社会科学系というか、リスクマネジメント系の話が全然なくなってしまったように感じています。

 やっぱり防災というのは、縦割りではなくて、組織や学問分野を横につなげるところでちゃんと流れができていくと思いますので、これまでにも何回も発言させていただきました。災害のデータベースを作って、いろいろ情報などを、まとめて発信しましょうということを書いていただいているので、それはいいと思います。けれども、その災害発生後の対策のことを見ていくと、やっと工学というのが入ってきて、ああ、国土交通省系の対策がイメージされてきているのかなという気はする。本当に日本を救うということを考え、経済活動とか、日本としての事業継続を考えたときには、やっぱり一番最後のページには、参考のほうに載っているように、工学とか人文社会科学というか、そういったようなところも入れていくべきだと思うんですね。

 文科省は、研究が主だということなんですけれども、いろいろな対策なり計画をお立てになるときには絶対に判断するためのツールというものが必要で、これは研究開発でしかでき上がらないものだと思いますし、国が防災対策を策定する際には、判断ツールを提供することで、全般的に文部科学省が関わらなければいけないと思います。ぜひその辺も入れていっていただいたらいいなと思います。

【濱田主査】

 はい、どうぞ。

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 そういう点では、まだ書き方が十分ではなかったかと思うんです。6ページの災害後も継続可能な社会システムに関する研究というのは、そういう点ではかなり幅広に読んでいただきたいと思います。委員の方からご意見いただいた、災害発生後関係のまとめの他、人文社会科学系の災害発生前の情報と災害発生後のことについて、まとめて2つの形で書かせていただいたつもりですが、ちょっと書き方が悪かったようですので、修文意見を頂ければと思います。

【濱田主査】

 いかがですか。どうぞ。

【岡田委員】

 先ほど福和先生がバランスというお話をされて、理学に対して工学が小さいということなんですけれども、理学の中だけ見ても、余りに地震・火山ばっかりが何か表に出ていて、ほかの災害がほとんど取り上げられていないという印象を持ちます。特に2ページの基礎的研究のところは地震と火山しか書いていなくて、ほかの水害だの、そういうものは、もう基礎研究はしなくていいのかと読めるぐらいなので、これではまずい。ちょっと構成の仕方を考えたほうがいいかなと思いました。

 それから工学のほうも、全体として少ないのはもちろんなんですが、5ページの耐震性のことに関して、土木構造物やなんかは地震にだけ強ければいいわけじゃなくて、国によっては水害とか高潮とか、そういうのが一番の大問題である国がたくさんあるわけです。水害に対してどういうふうに土木構造物をつくっていくかということは、近年のダムの問題等も含めて、大変大きな問題なので、地震のことばっかりだけではいけないと思うんですよね。もう少し地震災害以外のものについても、よいバランスで並ぶように提案させていただきたいと思います。

【濱田主査】

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【松澤委員】

 最初ちょっと違和感があったのは、自然災害の発生メカニズムというときに、パッと読んだときに、ディザスターの発生メカニズムかと思って読んでいたら、中身はハザードの発生メカニズムということで、その辺は多分、災害という言葉がごっちゃになっているんですね。

 平成18年の防災に関する研究開発の推進方策についての、この文章の中でも、ハザードという言葉が使われたり、外力と使われたり、加害力―害を加える力―という言葉を使われたりで、用語は結構統一されていないので、多分早い段階で用語を整理されたほうがよい。今、我々はハザードを議論しているのか、ディザスターを議論しているのかと、はっきりしますので。

 多分、この文章を拝見すると、私、理学屋なので、ハザードを知りたいという思い入れはあるんですけれども、ちょっとやっぱりハザードに偏りすぎかなという印象は持ちましたね。

【濱田主査】

 全くご指摘のとおりでして、ハザードを日本語に訳すとどういうことになるかというと、外的負荷条件みたいなことになるんですね。それを受けて、人間社会が受けてディザスターになるということですから、ちょっとよく分けたほうがいい。ハザードとディザスターが一般的に混同されているのです。これを明確に分けるようなことを考えましょう。

 どうぞ。

【松澤委員】

 それで、何かいい言葉はないですか。先週ずっと英語で会議をやってきて、ハザードとディザスターが、頭の中で大分はっきり分かれてきたのだけれども、日本語に戻った瞬間に混乱をする。だから、何かいい言葉が提案できれば。

【濱田主査】

 先ほどの外的負荷条件。降雨だとか地震とかにあたるもの。外力というと工学的になっちゃうのかな。

【松澤委員】

 一般にもうちょっとわかりやすい、いい言葉があるといいなと思いますね。外力というほうがいい言葉だと思うんです。

【濱田主査】

 外力でいいですかね。外力というのは、例えば降雨なんていうのも広く解釈すれば、入りますか。

【松澤委員】

 でも、力学の言葉に結構近いから、なかなか。

【林委員】

 その外力って、土木の人たちが使っているのを僕は門前の小僧で聞かせていただいているのですけれども、言葉としては違和感がないのですよ。外から加わる力という部分になりますから。特に自然災害をやっているときには、台風であったり、地震であったり、噴火であったり。僕らとは関係ないところでボーンと来ますので、そういう意味では外力という言葉をあえて使ってもいいような思いはあります。

【濱田主査】

 わかりました。それでちょっと検討しましょう、どういう言葉が適当か。

 ほかに。

【岡田委員】

 もしかしたらいいかなと思うのは、加害要因と被害要因という言葉では。

【林委員】

 災害の誘因なんですよね。素因は人間の側ですから。脆弱性が素因なので、誘因というのが僕らハザード。高橋学先生の災害論では、素因、誘因という言い方。ただ、結構専門家でもひっくり返って使っている人がいるから、やめたほうがいいと思って言わなかった。定着させるならひとつというわけで。

【濱田主査】

 なるべくわかりやすい用語を少し検討しましょう。それについても、皆さんのお考えがあれば、メモを提出していただくということにしましょう。

 ほかにいかがでしょうか。各論でも結構です。

 ちょっと私から、気になったところなのですが、国際協力、これは外交的な優位とかなんとかいう言葉がやや目立つような気がするんです。今度のインドネシアなんかでも、やっぱり海外で求められていたのは、いわゆるノーエンジニアです。ビルディングとかハウスの補強をどうするかというようなことを日本に指導してくれと。これは決して先端的な話ではないんですよね。だから、防災の協力というのは、必ずしも先端的に日本の技術でやるぞというやり方は適当ではないと思うんです。その辺、どう書き込むか、ちょっと検討をしたいと思います。

 ほかに、どうぞ。

【林委員】

 1ページの、4.社会還元というのが後にないというところで、さっき福和先生が触れていることを、もう一回蒸します。バランスは別にして、理学、工学、社会科学風に、本文は社会学と、一生懸命項目立てていただいたということに対しては敬意を表したいと思います。けれども、その2(2)を読んでいくと、やはり社会基盤であり、社会資本です。はっきり言えば、次が国でありというところで終わっているんです。

 やはり、大きな災害、特に後ろで言っているような首都直下地震とか東海・東南海・南海地震といえば、やっぱり民の資産の破壊というのが多いはず。阪神大震災だって6割は住宅でしたから、いわゆる民の財産なんですよね。公的なものというのは、特に社会の事業継続にとっては非常に重要な意味を持っているけれども、全体の被害ということを考えると、やはり民。民の防災力が上がらないことには、公的な支援で乗り切れるようなものではないという認識はやっぱりあるべきではないかなという気はする。そうすると、そこにかかわるような項目立てがイコール防災教育になるのか。それは、これからの問題だと思いますけれども、民の側の防災力の向上というのも掲げる。

 それはある意味では、さっき濱田先生が気にされているような国際貢献にもつながる。民の防災力というのは、そんな最先端の、本当にお金のかかるものだけをやるわけではなくて、どちらかといえば比較的お金のかからない、技術からいえば、うんと古いようなものも取り混ぜて、どうパッケージングするかというか、全体として機能を発揮させるかというようなところがやっぱり重要です。そういう意味では、日本で頑張っているような、NPO系の人たちが、例えば国際場面へ行って役立つかもしれない。民、それから、その延長に外国の人たちということで、何か1項目ぐらい立っても、バランスという点からいえば、大変いいんじゃないなという思いがございます。以上です。

【濱田主査】

 はい、どうも。 ほかにどうでしょう、ご意見。

【福和委員】

 民主党の話が先ほど出ましたので、少し申し上げたいんですが、4つの大事なことの1つに耐震化を選択。それから、FEMA的なものをつくっていくときには地域が大事で、各地域に拠点となる出先機関をつくっていこう。算か慰安ではこういったキーワードが入っていたように思っていた。やっぱり防災は、どこかで地域特性によるところがあるが、その視点が、今回、全部消えちゃった。少し復活していただけるといいと思っています。

【濱田主査】

 先ほど林先生からご発言がありましたけれども、こういう防災に関する提言というのは、例えば日本学術会議だとか、行政としては中央防災会議が防災白書等にいろいろ毎年まとめて出している。文部科学省の防災の委員会からの提言ということになると、やはり学術とか研究とか教育とか、そういう観点に重きを置いた提言になるだろう。ただし、文科省のテリトリーだけを守っていて、それは国交省だよというような話になっちゃうと、国の機関が横断して統一的に防災を考えていくというのがなかなか進まないという状況がございます。

 ですから、私は、書くことを少しはみ出してもいいだろうと思うんです。これは担当の官庁がやるべきことかもしれないけれども、自ら視野を限定しないで書いていったらどうかと思います。いかがでしょうか。

【富田防災科学技術推進室長補佐】 林委員からもご意見ございましたように、人材、国際貢献と、その教育というような形で、先生方のご意見を取り込むような整理をさせていただきたいと思います。

【森本審議官】

 今の補足です。おっしゃるとおりで、今の民主党政権は、国民の目線、国民の立場に立ってというところが原点になっていると思います。ここの報告書が、やっぱりやりたい研究の羅列ということではなくて、国民を守るためにはどうしたらいいか、国民が知りたいことに対してどう答えるか、そういうような観点で、少し表現ぶり、ないしは中身を見直していく必要があるのかなと。

 それで、おっしゃるとおり、各省縦割りではいけませんので、情報プラットフォームにしろ、あるいはリスクマネジメントにしろ、トータルの総合的なものという形で打ち出していただいて、その中で多少表現ぶりないしは語尾が変わるとしても、全体像を描いていただくと、こういうことがよろしいんではないかと思います。

【濱田主査】

 はい、どうもありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 それでは、委員の先生方にお願いしたいんですが、ぜひとも今日、発言されたこと、それから、お持ち帰りいただいて気づいた点、全体のまとめ方でも何でもいい、メモでお出しください。それをもとに事務局でもう一度まとめていただく。私も参加させていただきますが、そういう形でまとめたものを、また次回、お諮りをするという形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 全体を通して、何かご発言があれば承りたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 じゃ、これで本日の議事を終了したことにします。

 事務局にお返しします。

【 議題3 その他 】

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 事務局から連絡事項でございますが、繰り返しになるかと思いますけれども、議題1の事後評価の評価シートの提出について、今日、持ち帰られる場合には、10月15日までに事務局にメールで提出をお願いします。

 それから、次回委員会につきましては、未定ではございますが、大体1月を考えています。詳細決まり次第、お知らせいたしたいと思っています。次回には、平成22年度の予算案、それから、第4期科学技術基本計画の策定の進捗が議題になろうかと思っております。

 以上でございます。

 

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課)