【資料1-4】大型放射光施設評価作業部会(第1回)で指摘された論点(案)

1.施設及び設備の整備・高度化について

  • 施設全体、建物、空調、冷却も含めて一体的に性能を保証することが非常に重要。単に効率だけを追求すると性能がどこかにいってしまうことになる。

2.ビームラインの整備・高度化について

  • 開発の方向性として、共用ビームラインを理研が引き取り、理研ビームラインとしてアップグレードしたものを共用ビームラインへ戻す循環システムは非常に良い案だが、問題点はないのか?
    (回答)アップグレード対象のビームラインユーザーの同意が得られるかが課題。光源性能に合わせた形に高度化して使いやすくすることがポイント。標準化しているアップグレードを行き渡らせることが重要。
  • 現在、残り5本のビームラインが建造できる状況であるが、その使い方は、ビームラインの循環のためにあえて空けておくことも含めて検討する必要がある。

3.利用者支援について

  • SPRUCは全ユーザーが自動的かつ会費無料で会員になるユーザー組織。予算的裏づけがほとんどなく、アクションが起こしにくい。これが持続的に発展させていく仕組みは非常に重要な検討事項。

4.利用者拡大について

  • ファシリティが改善された分、ユーザーにも変化が見られたはず。そこの分析が次の10年につながる。

5.利用研究課題の選定について

  • 課題数や成果数がここ7年で飽和状態にある。これをどう分析するかが非常に大切。
  • 大変な国税を使ってここまで来ているSPring-8の存在意義は、いい研究成果がでること。極端にいえば、良いユーザーが良い課題を持ち込み、施設がそれに適切に対応すること。それをコミュニティ全体でどう進めるか。SPRUCができたということは、新しい課題の抽出に役立つきっかけとなる。ぜひ、本部会で良いスキームができれば。

6.施設の運用・運転について

  • SPring-8とPFが同時に止まってしまうのはいかがなものか。日本の放射光施設を有機的に、常にどこかは動いているようなシステムを作った方が良い。

7.先端研究拠点の形成・人材育について

  • 修士課程、博士課程の学生向けの育成プログラムがあるようだが、企業側がもっと自信をもって、広がりを持った形で使いやすくなるよう、企業人材向けの育成プロジェクトができないか。
    (回答)理化学研究所の中に、若手研究者を外部から招き研究してもらう制度があり、それを使ってSPring-8で研究をしている企業が幾つかある。
  • もう少し大学を長期的にSPring-8等に常駐させる、また、SPring-8の人が大学にいくという交流も含めて、うまく大学を利用するシステムが必要。
    (回答)リーディング大学院プログラムとの連携は進めている。兵庫県立大学の生命系や、大阪大学、名古屋大学と連携。
  • 今のSPring-8のビームタイムでは、ユーザーが大学院生をトレーニングしながら利用するには短すぎる。失敗も教育だ、という余裕が欲しい。
  • まず、SPring-8でSPRUCのようなユーザーの意見を取りまとめる工夫がされ、更にそれが大型施設間で情報交換され、他国ではできない貴重な研究テーマがピックアップされる、そういう機会をぜひ日本で作るべき。旬のすばらしい研究成果やハイライトを互いに紹介し意見交換する場を設ける。行政まで含めて工夫し、実現したい。

8. 研究成果の公表・社会への還元について

  • 専用ビームラインの成果発表が少ないのは、良い成果が出ているからである。成果を公開すると約束している人がいつまでも公開しないことが問題。そこを混同している。

その他

  • この15年間のサイエンティフィックなアクティビティ、アウトプットのハイライトと、成果、分野の数量的なデータを提示してほしい。
  • それぞれの立場もあると思うが、大事なことはいい研究成果がでること。お互いが刺激をし合い、次の良い研究ができるよう、場を提供する仕組みがどうあれば良いかが見えてくれば、この部会の存在意義が将来に残るかもしれない。素材、要素は既にあるので、どうピックアップ、コーディネートできるかという問題。これからの議論に期待。

お問合せ先

研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室

(研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室)