研究開発プラットフォーム委員会 先端計測分析技術・システム開発小委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成26年1月29日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成26年度の先端計測分析技術・機器開発プログラムの進め方について
  2. その他

4.出席者

委員

長我部委員、尾嶋委員、二瓶主査、江原委員、大堀委員、小野委員、佐藤主査代理、杉沢委員、杉山委員、瀬藤委員、竹内委員、中村委員、藤宮委員、森川委員、森口委員、柳沢委員、山科委員、

文部科学省

伊藤科学技術・学術政策局次長、弦本研究開発基盤課長、三宅研究開発基盤課課長補佐、

オブザーバー

小原JST理事、齊藤JST執行役、林JST開発主監、市川JST先端計測分析技術・機器開発プログラム総合評価分科会長、重茂NISTEP科学技術動向研究センターセンター長補佐、久保JST先端計測室室長、児山JST先端計測室副調査役、菅原JST先端計測室主査、

5.議事録

科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
研究開発プラットフォーム委員会
先端計測分析技術・システム開発小委員会(第4回)
平成26年1月29日


【二瓶主査】それでは、定刻になりましたので、本日、先端計測分析技術・システム開発小委員会、第4回を開始させていただきたいと思います。1月も月末近くになってしまいましたが、本年初めの委員会ということもございまして、一言御挨拶申し上げます。
 先生方、年初、お正月のお忙しい折りにこの委員会に御参集いただきましてまことにありがとうございました。本年もどうぞよい年になりますように、いろいろな意味で御協力をいただければと願っております。よろしくお願い申し上げます。
 本日の議題、お手元の資料のとおりでございますが、「平成26年度の先端計測分析技術・機器開発プログラムの進め方について」でございます。
 初めに、事務局より配付資料の確認をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より,出席者の紹介と配付資料の確認があった。

【二瓶主査】それでは、本日の議題に入りたいと思います。まず、「平成25年度の先端計測分析技術・機器開発プログラムの状況について」、資料2-1から資料2-3を用いてJSTの方から御説明をお願いいたします。

○JST先端計測室児山副調査役より、資料2-1~資料2-3に基づき説明があった。

【二瓶主査】ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関し、何か御質疑、御討論がございましたらお願いいたします。もちろん、お気づきの点があれば後ほど御質問していただいて結構ですが、よろしければ、先に進ませていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、先端計測分析技術・機器開発プログラムを取り巻く昨今の状況について、資料3から資料5を用いて事務局から御説明をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、資料3~資料5に基づき説明があった。

【二瓶主査】ありがとうございました。ただいま資料3、資料4、資料5について御説明いただきました。それぞれ10分程度の御質疑の時間を準備しております。全体の時間が長いものですから、交通整理をさせていただきまして、まず資料3についての御質疑、御討論をお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

【尾嶋委員】平成26年度の予算予定額が30億円で、平成25年度に比べて約5億円減っているわけです。このままだと新規採択が非常に難しいということをおっしゃったのですが、このプログラムは、やはり新規をとり続けないと非常にまずい、継続するということが非常に大きな力だと思います。その点、平成25年では383件のうちの38件が採択ですが、この予算だと平成26年度は何件ぐらいの新規採択になりそうか、SIPも含めてどのように考えればいいのか、お考えをお聞かせください。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】事務局の想定ですけれども、いわゆる継続課題をそのまま要求ベースで配分するとなってしまうと、本当に新規課題がとれなくなるというふうになってしまいます。そこについては、ある程度、査定をさせていただきまして、新規採択課題のための予算を確保したいと考えているところでございます。
 単純に、今の想定ですけれども、新規課題のために予算を確保するということをいろいろと考えた中で、予算額につきましては、5億6,000万円ぐらいの枠が取れるのではないかと想定しております。その場合、このプログラムによって単価というのは結構違うものですけれども、一律で単価を計算しますと、今の実質の各領域における単価というのが年間3,300万円程度ですので、新規課題というのが全体で14課題程度の採択が可能ではないかという見込みがございます。

【尾嶋委員】今年度は38件採択なので、それが14件に減ってしまうということでしょうか。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】はい。ただし、SIPの件を先ほどお話しさせていただきました。構造物の劣化診断については、SIPの仕組みがあるのだからそちらでしっかりと獲得すべきだという御指摘を頂いております。ですから、こちらにつきましては、予算が措置されれば、完全にこれからアドオンの形で予算が追加されるという形になりますので、そちらがつくことになれば、更に多くの課題を取ることができるという状況でございます。

【尾嶋委員】私も市川総合評価分科会長のもとで課題審査をやっているのですけれども、構造物の劣化とか、そういう関係の提案というのは比較的少ないのです。したがって、それでカバーできる分野、要するに、提案に対して採択できる数はかなり少ないのではないかという危機感を持っています。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】基本的に、新しくSIPを取った場合には、恐らく、その領域に関する開発課題をお示ししながら開拓することになります。いわゆる重点開発領域という形になりますので、その中で募集をするということであれば、ある程度、その方向に合わせた御提案をすることになると思います。そこについては、やり方の工夫はいろいろあるかと思いますが、そういう形で募集をうまくかけていくという形になると思います。今の一般領域からその関係するものを取るというのではなくて、しっかりとその関係する課題を出していただくように公募を行うということになろうかと考えております。

【二瓶主査】今の御議論で私からも質問したいのですが、SIPに関して、これは詳しくは後ほど御議論があろうかと思います。これは新規予算がSIPに対してついているということから、私どもの事業に関連する課題、それはそのSIPの新規予算の中から配分を受けて、それで採択できると、そう考えてよろしいのでしょうか。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】SIPの仕組みとしましては、内閣府計上の予算ですけれども、完全に新規の予算となっております。ですから、配分はまさにこれから、各省庁の既存施策や新しいアイデア等のヒアリングを受けながら、最終的に内閣府総合科学技術会議のもとで配分を決定していくことになります。具体的に、この先端計測の仕組みを使うということが決定すれば、そこに新規の予算として、事務的には移しかえ予算という形になるのですけれども、新しい枠が得られて、そこは完全に新規の課題を取るための予算となりますので、そこにアドオンされるという形になります。

【二瓶主査】ほかにございますか。

【佐藤主査代理】今のことに関連して、SIPのプログラムというのは、結局、内閣府でやるとしたら、今、先端計測でやっているみたいなプログラムを設定して、応募を受け付けて審査するというプロセスを経ています。そういうものを、SIPのいろいろなプログラムがあるのだけれども、これは、それぞれのところの関連するところに任せていくということなのですか。それとも、内閣府にそういう審査する機構を作って、応募してきたものを採択するというプログラムの中にあるということですか。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】実はまだ大枠についてまさに議論しているところではあるのですけれども、いろいろなパターンが考えられます。例えば、インフラの話で例を挙げさせていただきますと、具体的にこういう課題があって、例えば、橋の劣化診断をしなければいけないからこういう機器を作ってくれということであれば、恐らく競争的資金の仕組みではなくて、ある一定の既に開発しようとしているものに予算をつけることになるということであります。ただし、そうではなくて、ある程度、大きな仕組みとして、こういう開発課題があって、具体的なやり方については公募をしてやりたいということになった場合、公募を行っているような既存の各プログラムや、新しいプログラムを活用して開発していくことになります。その場合であれば、例えば、今、先端計測で持っている仕組みを使ってこういう課題を解決する機器開発をしてほしいということになれば、こちらの既存の仕組みを使っていく。一本釣りをするようなことを考えるのであれば、そうしていくということになってきます。ですから、今はいろいろな施策が考えられますので、そのヒアリングを内閣府の方で行っている。当課としましては、先端計測の仕組みを使ってはどうかという御提案させていただいているという状況でございます。

【佐藤主査代理】そうすると、その理解としては、全体の大きい課題に関してのヒアリングは内閣府がある程度取り上げて、中身の具体的なプログラムについてはケースバイケースで、そのファンディング機能が既にあるところに関してはそちらに任せるとか、あるいは、内閣府の中で一部を作るとか、そういうケースバイケースでやっていくという話ですか。そういう理解でいいですか。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】はい、そのとおりです。各PDにおいて最適な方法を取捨選択していくということになっておりますので、必ずしも、どのパターンでやるかというのは現時点では、逆に確たるものは作らずに、最適な方法を選択していくという方法で今、検討が進められているところでございます。

【佐藤主査代理】わかりました。

【二瓶主査】ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【藤宮委員】日本版NIHの件についてちょっとお伺いしたいと思います。今回のライフイノベーション領域を移管するということになった場合、これも議論中の話なのかもしれませんけれども、新規の募集については固まった後でなければ全くわからないような感じもしますが、既に採択されている案件に関して、中間評価や事後評価の体制も、今の先端計測に関係する方がNIHの方に移るような感じで体制が組まれるのか、その辺はまだわからないのですか。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】現時点では、確たることが決まってはいないのですが、最終的にどのような形で移管するかについては、これから議論しいろいろ作るというふうに聞いています。具体的には、新法人の創設に向けた各省のプロジェクトを調整する場として、いわゆる有識者から成る共同の推進会議設立の検討が進んでおります。ですから、医療機器関係というのも各省で幾つかあるわけですけれども、そういうことも含めて調整が行われる場が作られる。具体的に、事務的にどのような形になるかというのは、その議論を踏まえて最終的な、独立行政法人という形式と聞いておりますが、そういう形で組織ができるわけですが、その中で、そもそもあった各省の仕組みをどういうふうに取り入れるかということが、まさにこれから議論になるという状況でございます。

【藤宮委員】ありがとうございます。例えば、薬品とか、生体に関する直接的な作用を見ている研究の場合には、そういった分野の方がごらんになりながら評価するということが非常に適していると思うのですが、先端計測の中で採択されてきている案件というのは、計測技術を含む複合的な領域が多いです。そのため、計測技術、物理関係、化学関係の先生も入った体制で動いているというところが、このプログラムの非常に特徴的なところだと私は認識しております。
この体制を何らかの形でうまく活かせるような配慮がされたら、現在、採択されているものも効果的に進められると思います。今後も、iPS関連などいろいろなライフサイエンスの領域の研究があると思いますが、研究領域から、どんどん産業に活かしていくという場合、これまでの物理、化学の専門家を含む体制が特に重要だという気がしております。

【二瓶主査】ありがとうございます。既に議論が資料4のライフイノベーション領域に移っております。もちろんそれで結構ですが、一応念のため、資料3、予算にかかわる御質問は一通りよろしいですか。どうぞ。

【杉山委員】それでは、予算関係で1つ質問です。採択プロセスは余り細かなことは知らないのですが、これだけ予算が厳しくなってきて新規課題の採択が難しくなってきたときに、応募に対して分割採択のような仕組みというのはもう既にあるのでしょうか。つまり新規応募の方というのは、どうしても開発目標機能を複数入れたり、装置開発も複数入れたりしてしまい内容が膨らむケースがあると思いますが、その中にキラリと光るアイデアとか、キラリと光る機器開発がある。そんなときに、例えば、全体は採択しないけれども、提案内容の2分の1は予算も半分で採択するとか、3分の1は採択するとか、そういう提案に対して1か0かという審議ではなく、分割採択という考え方というのがあるのかどうかという点について、いかがでしょうか。

【市川総合評価分科会長】実際はやっています。例えば、こういう部分に集中してくださいということで、半額まではいかないのですけれども、かなり減額しております。ですから、ケースバイケースです。一律にやっているわけではなくて、個々に、この部分が重要だからこれに集中してくださいということで、余分な部分は後回しにしてくださいということは実際にやっております。

【杉山委員】ありがとうございました。

【二瓶主査】ありがとうございました。予算関係はよろしいでしょうか。
      それでは、先ほど既に1つ、御質問を頂いておりますが、資料4について御質問がございましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

【山科委員】先ほど藤宮委員からの御質問と同じようなことなのだろうと思いますが、去年の公募ではライフイノベーションに関して既知のターゲットを測定する機器と、未知のターゲットと2つに分けてやっていた、あの考え方というのは、割合に説明しやすくて、それから、特に既知のターゲットは文科省以外にも厚労省とか、ほかの省庁にもまたがるような内容で、未知のターゲットの部分については、むしろ文科省が中心になってやるべきだと、そのような議論もあったと思いますけれども、それを丸ごと全部、ライフだからそちらへと、そういうふうになってしまうのでしょうか。
そうすると、電子顕微鏡を例にすればわかりやすいと思いますけれども、バイオ用の電顕の開発と金属用の電顕とが別個の問題といったようなことになってしまって、むしろ全体としての開発に齟齬を来すのではないか、そういうことが危惧されますけれども、そのあたりはどうなのでしょうか。

【弦本研究開発基盤課長】日本版NIHにどこまで移管するかというのは、おっしゃるように、電子顕微鏡のような汎用的な機器の場合は議論があると思いますけれども、今のところは、一応、医療分野に限るようにしていますので、電子顕微鏡は今のところ、移管は考えていません。これがNIHに移管されるだろうというリストをピックアップするのですけれども、そのときにはヒトの医療に限って考えています。議論の進みぐあいによっては、変わるかもしれませんが、NIHに移管されるのは、本当にヒトに関係したものというふうに考えています。

【二瓶主査】どうぞ。

【柳沢委員】今と同じようなことを違う聞き方で聞きたいのですけれども、例えば平成25年度に採択が決まったばかりの新規の課題群では、一般領域でも生物学関係が半分ぐらいあるわけですが、そのような一般領域の課題はNIHには行かない可能性が高いという理解でよろしいのでしょうか。

【弦本研究開発基盤課長】資料4にも書きましたけれども、一般領域で、やはり一部、医療機器関連というのがあるものですから、その部分はNIHに移管することを前提に今、交渉はしています。ですが、一般領域の大部分はNIHに行かないと思います。

【柳沢委員】それは要するに、例えば要素技術などでも、明らかに将来的な発展がメディカルな方向に行っているものについては、日本版NIHに移管するかもしれないということでしょうか。

【弦本研究開発基盤課長】そうですね。一般領域の中でも一部は移管することが考えられます。

【二瓶主査】少し私から御説明申し上げます。今の議論は、まさに現時点での我々のこの委員会にかかわる事業の内容についてなのですが、私どもは過去7年間にわたって、かなり具体的にターゲットを決めて重点的に開発することを目指した開発領域を特定して公募したことがあります。その中に「ライフ関係」は毎年数領域ありました。その後領域特定をせずに「一般」というところでとってきましたが、本年度からは「ライフイノベーション」という重点開発領域を立ち上げてスタートさせたわけです。先ほど、山科委員からも御質問がありましたとおり、ライフイノベーションの考え方は、カテゴリー1とカテゴリー2に分けて、前者はターゲット(マーカーや症状)を特定されているものの診断のための機器開発、それから、後者は未知のターゲットを見いだすための機器開発という二段構えにしております。しかし、いずれも言うならばメディカルサイエンスの範疇を考えて立ち上げたかと思います。
 しかしながら、今までこのプログラムは10年間やっておりますから、その中でいろいろなライフ関係の課題がございます。それは、ライフサイエンスと呼ばれるカテゴリーとメディカルサイエンスと呼ばれるカテゴリーの両方が入っていたと思います。したがって、まさに個々の課題ごとに移管すべきかどうかという議論がなされるようなものが混在していると考えられます。これは一般論としてどなたにも御同意いただける話です。
 さて、現実に日本版NIHに何を移管するかということについては、ただいま課長から御説明がありましたように、今、必ずしも基準が決まっていないという状態でありますから、私どもとしては、今のような話をきちっと整理した上で、これを日本版NIHとして大いに盛り上げていただきたいということを提案する立場ではないかと私は考えております。
 もちろん、これは3省合同のプランですから、正式にはそういう推進のための会議体ができて、そこで議論をして決まるというストーリーではあると思います。しかしながら今までの実績もありますので、我々としては、我々の考え方は明示した上で、そのロジックの上に3省合同の推進委員会に提案をするという形ではないかと、現時点では私の個人的意見ですが、そのように考えております。議論の参考にしていただければと思います。

【瀬藤委員】今のお話のとおりだと思いますし、今国会でちょうど来年度予算が出てきまして、この間、財務省の審議官から御説明いただいたのですけれども、要は、全体としては全部据置きの中で、厚労省の予算と日本版NIHの予算だけが増えている、あとの国交省とか、そういうものは全部抑えられているか、据置きの形です。その据置きの形で、結局、消費税が上がる分、実質目減りという形になっていますので、その中で増えていく部分というのはこの日本版NIHというのがありますから、そこは、先端計測も含め、JSTや文科省からも人がいっぱい出ていきますし、まだ来年度は枠組みだけが決まっているので、次に実際に機構が動き出すという状況と聞いておりますから、来年度の段階で、是非、我々がやってきたことを、先端計測をほかの省庁の人たちにも理解していただいて、それを更に推進していく、その枠組み自体が、大体2割か3割、純増する形になっていますので、我々が持ち出していく分、そのまま素直に行けば2割か3割増えるはずなので、それがそれ以上に増えるように働きかけていく、そういう姿勢でいればいいのではないかと私は理解しております。

【二瓶主査】瀬藤先生の今のお話で、私がまだきちんと把握していない部分がありますので、私からちょっと御質問したいと思います。平成27年度以降は、まさに先生がおっしゃるストーリーだろうと思っておりますが、平成26年度に関しては、いろいろな公表された書き物を見ておりますと、それぞれの省庁が現在やっている事業を粛々と進めてほしいとなっております。なぜならば、日本版NIHなるものの組織体もできていなければ、考え方もまだ十分にでき上がっていない。学術的な枠組みは、ほぼでき上がったように伺っておりますが、何を具体的にどのように進めるかということはこれからだろうと思います。特に平成26年度は、基本的に各省庁、今までやってきたベースとなる事業があるから、それを進めていただきたいと、こういうニュアンスで伺っております。
 だとすると、まさに先ほどの議論のように、平成25年度にやってきた枠組み、それを平成26年度にどう適用するのかということが当面の話題です。普通でしたら、平成25年度やってきた枠組みをそのまま平成26年度にやるというのが通常の形ではないかという気はしているのですが、どうなのでしょうか。

【瀬藤委員】私がお答えする立場にあるかどうかわかりませんけれども、確かに、おおむねの理解はそうだと思います。一応、形の上では増えていることになっていますので、その増えている分が一体どこに配られるのだろうということが気になるところではありますが、常識的に考えると、多分、均等に増えるのではないかと思います。

【二瓶主査】そういうことで、一言、課長から状況の説明をお願いします。

【弦本研究開発基盤課長】NIHの発足がいつになるかというのは、去年、予算要求をした段階ではわかっておらず、私どもとしては平成26年度中に立ち上がるのかということにも対応して、予算要求した段階では、ライフイノベーション領域については増要求をしませんでした。結果的に、NIHは平成27年度発足ということになっていますので、改めて平成26年度の事業をどうするかという課題を今回この場で御意見を聞きながら議論していただければと思っています。
 資料6の議論に行ってしまうかもしれませんが、ライフイノベーションについて、新規課題も含めて何らかの形で継続していきたいと考えています。今後まだNIHの議論も動くところがありますし、このSIPの関係も動くところがありますので、この場では議論を頂いて、また状況を見ながら実際のところは運用していきたいと考えています。

【二瓶主査】ありがとうございました。お願いいたします。

【伊藤科学技術・学術政策局次長】一言補足させていただきます。実は、我々もNIHがどういう姿になるのかというのは見えておりません。ただ、一言申し上げられるのは、NIH自身、厚生労働省がやる組織ではございません。これは厚生労働省もありますけれども、文部科学省、それと経済産業省、この3省庁が共管になります。そういう意味では、局はちょっと違うかもしれませんけれども、文部科学省としても必要な研究開発が行えるようにきちっと意見を言い、かつ、そのようにコントロールできるというような立場にもございます。
 よって、今回のこの分析機器等については、これは誰が見ても必要な研究開発でありますので、どういうやり方でやるのかということはあろうかと思いますけれども、必要なところはきちっとNIHで、今まで経験を積んだ最も適切な方法で課題が選定され、かつ、適切な方法でそれを実施していただく、それが実現できるように、我々文部科学省としても最大限の努力をしていきたいと思っております。仮に、万万が一、NIHのスキームにこの委員会、我々の考えていることが合わないということであれば、文部科学省自身が、いわゆるライフサイエンス、あるいは基礎的な部分から見た基盤的な施設、あるいは機器等の開発として整理の上くみ取らせていただくこともあろうかと思います。そこは本当に、繰り返しになりますが、必要な研究開発は続けてまいりたい、あるいは、それに向けて努力してまいりたいということであります。極めて歯切れは悪いのですけれども、少し猶予を頂きたいということでございます。

【二瓶主査】ありがとうございます。伊藤次長からただいまのようなお言葉を頂けますと、大変ホッといたします。まさに従来もやってきたわけですけれども、文部科学省独自の、いわば基礎から革新的な機器に発展するであろう芽を見いだして、それを育て上げていくということをずっと今までやってまいりましたから、これからもそれをやることが日本版NIHの方針にも合うにちがいないと確信しております。
 全体の総理大臣を長とする戦略推進会議の物の考え方も、結局、今、より便利になる機器が日本で多く使われるようになればいいという、ただそれだけでなく、将来、世界のレベルで革新的な機器が日本発で普及するということを目指した政策であるはずですので、私どもが今まで考えてきたことは全く合致しているというふうに考えておりますので、どうぞよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。

【佐藤主査代理】少し私どももホッとしたのですけれども、このライフイノベーション領域のところで、昨年からいろいろ、混乱したかどうかはわかりませんけれども、かなり事務局側は苦労されたと思うのです。それで、結果的にどういう形に持っていけばいいかということは、最終的な明快な形では決められない状況で来ていると思います。先ほど来の説明でおわかりのように、この領域はやはりすごくニーズが高いのです。これに対する応募がすごく、ライフイノベーション領域をこの委員会で取り上げて、設定してやった結果、すごく盛り上がっているという状況です。それは採択率も十分上げられない状況で今、予算的には来ているので、何とかこれを伸ばしていきたいという状況に我々もあったので、それを十分くんでもらって、今後、新規課題に対してどうしていくかという話は、全体的に予算的には厳しいので、先ほどのSIPも含めたいろいろな、伊藤次長から言われた予算のことも含めて、もう少し予算化を膨らませて、本来我々が目指してきた、やらなければいけないということに関する課題に関しては、是非取り上げる方向でお願いしたいと思います。
 さすがに、予算として決めているので、ごり押しをすることは多分できないと思うので、そこをどういうふうにうまい仕組みで、どういうふうにやるかというのは、今後のやり方次第でいろいろあると思うので、その辺の努力を我々も惜しまないので、是非よろしくお願いしたいという要望であります。よろしくお願いします。

【二瓶主査】ありがとうございました。ほかに補足的な御意見があれば、もちろん承りますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次に、資料5、略称SIP、戦略的イノベーション創造プログラムに関する議論、資料5に関する質疑応答をさせていただきたいと思います。どうぞ。

【長我部委員】SIPの10課題のほかに、健康長寿ということで、日本版NIHの枠がここにも1つありますが、これに関しては、平成26年度550億円という枠の中でこれを採択するということでしょうか。
 それから、ここに何が来るかというのは、やはりまだ日本版NIHの方での議論は進んでいない状態というふうに考えていたらいいのでしょうか。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】10課題のほか、健康長寿の分野に関しては、具体的な内容の検討については健康医療戦略本部が行うことになっております。ただ、現状としましては、そもそもこの11課題をどういう配分で行うのかという全体の枠組みの議論が今はまだ行われておりまして、最終的に、この11課題のうちの健康長寿という部分がどれくらいの配分になるかということがまだ決まっていないというのが現状でございます。
 ですから、これは、あくまでもSIPの仕組みを使って学省連携をやっていくというものの枠で日本版NIHが確保している枠なので、それ以外に、日本版NIH自身が持っている予算もございますので、SIPの中での健康長寿の予算というのが別途措置されて、それが550億円のうちの一部分ということになります。

【長我部委員】わかりました。そうすると、議論自体はSIPの制度設計と同時に、今、ほとんど埋まっていない健康長寿のところも中身が埋まっていくという受け取り方をしてよろしいわけですか。そのとき、ここの部分に先端計測でやっているライフイノベーションにかかわるようなものが入ってくる可能性というのは余り考慮しなくてもいいということでしょうか。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】具体的なSIPの中の健康長寿の分野で何をやるかというのが今のところ決まっていないので、その内容に応じる形になろうかと思います。

【二瓶主査】ほかにいかがでしょうか。
      それでは、私からで恐縮なのですが、このSIPは、そこに10課題とおっしゃいましたけれども、この健康長寿を入れると11課題になりますね。健康長寿は別かもしれませんが、それぞれにPD、プログラム・ディレクターが既に決まっているというふうに伺っております。先ほど少しお話のありましたインフラ維持管理・更新・マネジメント技術に関する分野に関して、現状、どの程度準備が進んでいるのか、そのあたりを御紹介いただけますでしょうか。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】では、簡単に御紹介させていただきます。SIPの仕組み及びPDにつきましては、昨年10月に決定をいたしまして、それに基づいて、この事業自体が行われるのは平成26年度からなので、現状は政策参与という形で、インフラの分野で言えば藤野先生がPD候補として採択されているという状況でございます。
 現状といたしましては、関係の各省で持っている施策に関してヒアリングが行われている状況でございます。インフラの分野であれば、文科省、経産省、国交省、農水省、いろいろなところにかかわってきますので、それに関連する施策に関して、PDを含めて、SIP事務局と具体的な中身についてのヒアリングが行われていることになっております。今後、そのヒアリングを踏まえて、SIPのインフラ維持管理・更新・マネジメント技術の中でどういうふうなものを目標として、どういう課題を解決していくために、こういう配分をしていくということを今後決めていくことになります。その上で、平成26年度にありました具体的に予算が措置されますので、その中で、この各省のこれにこれだけの予算をつけましょうという形で内閣府の方で決定をいたしまして、具体的には各省庁に配分されるという流れになっております。具体的に何月になるかというのはまだ示されておりませんので、現状としましては、各省のヒアリングを内閣府の方で順次進めているという状況でございます。

【尾嶋委員】先ほども申し上げましたけれども、これは、インフラ維持管理というところと関係があると思うのですが、ここに書かれていることと、現在まで我々がやっている先端計測のターゲットとかなり離れているのです。もちろん、これを取りにいくというのは非常に大事だと思うのですが、現実的に今まで出てきている提案の受皿として、どういうふうにそれを取りにいけばいいのかということがよく見えません。エレクトロニクスとかエネルギーキャリアとか、この辺のところは、ある程度見えるかもしれません。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】具体的にどのような御説明をしているかというのは、資料5の最後のページをごらんいただきたいと思います。こちらの資料に基づいて、SIP事務局に対しては先端計測、こちらは、そもそもの先端計測の仕組み自体もお伝えしているところですけれども、こちらでこういう環境問題解決領域の中で、この仕組みを使って新しい計測システムの開発をするというのはどうかということを提案しているところでございます。
 ここで具体的な例示として示させていただいているのが、ここにありますけれども、開発課題例として、大型構造物を高速に透過するための原子核乾板要素技術という例を出させていただいておりますけれども、こういうふうな技術開発を、先端計測の仕組みというのは、単純に、具体的にこれまでやってきた課題というよりは、そもそもJSTに置いているPDの仕組みであったり、課題関与の仕組みであったり、又は、要素技術、機器開発に流れる一連の流れの仕組みをうまく活用する。また、SIPもどのくらいの期間でやるのかということは明確になっていないのですけれども、その中で、すぐに使える技術ということであれば、例えば、放射線計測のような仕組みで、単年度にすぐに使えるものを作るということもありましたので、そういうやり方もいろいろなパターンで対応できる柔軟性のあるプログラムである、歴史であるプログラムであるということを御説明して、そういう仕組みを使うというのはどうかということを提案しているところでございます。

【尾嶋委員】調べたところでは、すぐに使えて、すぐに役立つという、既にでき上がっている技術の組合せのようなプログラムというイメージを持ったのです。先端計測というのは、要素から始まって機器開発、実用化、それから世界最先端をねらうという目標があります。だから、2つの方向のベクトルが相当違うのかなという印象を持っていて、そこのところは、これから我々、頑張らなければいけないと思うのですが、少し不安を持っています。せっかくの先端計測の大事な部分が、こういうプログラムでは欠落してしまい、その場しのぎの技術でお茶を濁すということになるのではないか。10年後、20年後、30年後につながるような技術開発の本当のところがここでできるのかという観点からみると、この位置付けでは危ないなという気はしております。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】一応我々としても、かなり強く、ニーズに基づいた研究開発課題を設定してくれということを言われております。最終的に、現場で使われないと意味がないというのは、当然のことと言えば当然なのですけれども、そういうことがございますので、そこの部分をしっかりと、これまでの先端計測の仕組みでも当然ニーズを踏まえた機器開発と、重点領域などではそういう設定をしておりますので、そういう仕組みをしっかりと取り入れていくという提案をきっちりしていく必要があるのかなと考えているところでございます。

【二瓶主査】私からの質問で恐縮ですが、SIPは5年の期間で始めます。その先はわかりませんけれども、5年間で今から始めるとなれば、ちょうど我々、機器開発の年限に相当するわけで、尾嶋委員がおっしゃった組合せ型というものだけだったら3年もあれば十分だろうというのが私どものセンスですので、是非そのあたりを強く主張していただいて、イノベーションというと全部出口だと思われる向きは、やはり頭を切りかえていただく必要があるだろうと思います。要するに、「新規性、革新性がない技術に国費を大量に使ってどうするのですか」と、国民の立場からすれば言いたくなるわけで、イノベーションを本気になって考えるのならば、どこかに新規性と革新性がなければ世界に通用しないと考えられます。ただ束ねればいいだろうということでは成り立たないプログラムだと思います。ですから、そのあたりを強調していただきたい。
もちろん、トップダウン型の開発体制というのはあり得るのです。出口がはっきりすればするほど、私の経験から言うと、これも文科省でなさったと思うのですが、安全・安心の事業などは、まさにトップダウンで、目標をはっきりとした上でスペックを出して、それができるグループは手を挙げなさいと言って、その中からベストを選んでやっていただく、これは目標設定から何から、いわばトップダウンでチームを作るという発想です。ここがそうなるかどうかも、まだこれからの議論なわけです。

【尾嶋委員】心配ですね。

【二瓶主査】いずれにしても、この我々の事業から出ていくのであれば、もちろん、考え方はいろいろあると思いますが、とにかく革新的な技術になる芽を重視して、それをはっきりしたニーズに向けて装置化するのだというのが我々の持ち味ですから、是非、関係者の皆さんにそれを強調していただきたい。5年後には、一つ頭が抜け出た革新的な技術を作るのだということを強調していただければと思います。
 どうぞ。

【長我部委員】SIPは、先ほどから議論が出ているように、先端計測から見れば、上のレイヤーの政策目標を掲げているので、そこから見れば、当然、完成度の高いものを部品の一つとして使って目標を達成したいという議論になるのは当然だと思います。その中で、我々として、先のイノベーションを本当に起こすようなものをしっかりやるにはどうしたらいいかという議論だと思うのです。10課題の中の一つの領域だけだとなかなか難しいのですけれども、全部横断というと、また「元の木阿弥」になってしまうのですが、2つとか、幾つか共通性の非常に高いところで、センシングとしても共通性の高いものが見いだせるのならば、何かそういうテーマ横断的なとり方ができないでしょうか。それとも、そういうシーズがないと仕方がないのですが、そういうことも理論的には可能なのでしょうか。

【弦本研究開発基盤課長】今のところ10、11ですか、その課題ごとにPDというのが置かれるので、PD同士の話合いで分野をまたがったものというのはあり得るとは思うのですけれども、まだその状況はよく見えていないところです。

【長我部委員】基本的には、PDがそれぞれヒアリングを縦割りでやっている状況だということですね。はい、わかりました。

【二瓶主査】 どうぞ。

【佐藤主査代理】今、いろいろ議論が出ているもので、こういう考え方はできないのですか。例えば、今まで先端計測でやってきたものがあり、実証実用化という制度もあります。そうすると、短期の課題解決に関する問題に関しては、今までいろいろやってきたものをさらに、それは寄せ集めになるかもしれないのですけれども、寄せ集めて、ある大きな価値が出せるような仕組みができれば、そういうものを応募してもらうとか、そういうものを提案していくとか。それでは長期的に問題解決できないということに関しては、その基礎的な課題があって、それに対して、まさに先端計測でいろいろと革新的にやろうとしていることのプログラムの中の一つとして捉えて、両方向を攻めていくというやり方ができればいいかなという気がするのですけれども、そういう捉え方でいいですか。

【弦本研究開発基盤課長】おっしゃるように、ここの先端計測のプログラムで要素技術的なところから実証実用化のところまでいろいろな段階がありますので、それぞれの段階で売れると思いますので、おっしゃるような考え方で構わないと思います。

【二瓶主査】どうぞ。

【柳沢委員】NIHの話に一部戻ってしまうのですけれども、先ほど二瓶先生がおっしゃったことは、日本版NIHとこの委員会との関係でも全く同じように当てはまるように感じるのです。やはり、メディカリーオリエンテッドかどうかで日本版NIHに入るかどうかを振り分けるという考え方は、ある意味非常に危険で、ここで議論されているようなものは、非常に要素技術的なところからのインテグレーションやユーザーのニーズまでのインテグレーションがないと進まないことが多いわけです。先ほど、化学や物理の方も含んでいないと実際のエバリュエーションができないという話もありましたが、そこはむしろ日本版NIHにできるだけ多く取り込まれるような方向に私たちからは提言した方がいいのではないかという印象を、今お話を聞いていて非常に強く持ちました。
 私は、NIHのディレクターズ・パイオニア・グラントという非常にハイリスク・ハイリターンなプログラムの審査員を何年もやっています。これは議論し尽くされたことかもしれませんが、「日本版NIH」という名前自体がミスノームで、アメリカのNIHと全然考え方が違うわけです。アメリカのNIHは本当に基礎的な要素技術的なこと、あるいは、一見メディカルとは何の関係もないバイオロジカルなことまでグラントしているわけで、そこは根本的に考え方が違うと言ってしまえばそれまでなのですけれども、実はアメリカのNIHの強さはそこにあるのです。臨床から信じられないような基礎まで含んでいるところが彼らの強さです。特にディレクターズ・パイオニア・グラントというのは、まさにそれの基礎的なもので、10年先、20年先を見たようなことも、今までNSFとかDODといった別のところでやっていたところをNIHに取り込もうという考え方もあるわけです。
 何が申し上げたいかというと、特にこの委員会でやっているような分野というのは、かなり基礎的な部分までNIHに取り込まれる方向で進言した方がむしろいいのではないか、という印象を今持ちました。

【二瓶主査】ありがとうございました。大体予定した時間になりましたが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、先に進ませていただきます。
 ただいまの議論全部がかかりますが、平成26年度の基本方針について、資料6を用いて事務局から御説明をお願いいたします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、資料6に基づき説明があった。

【二瓶主査】ありがとうございました。それでは、この基本方針に関する御議論を頂きたいと思いますが、初めに、本年に入って1月8日でしたか、タスクフォースを開かせていただきました。その折りにいろいろな議論をさせていただきまして、今回の本委員会における議論の、いわばたたき台の議論をさせていただいたということになります。
 1つ、補足的に御説明をお願いしたいと思いますのは、幾つかのところにビッグデータの処理に関する記述があろうかと思いますが、この件について、杉山委員から少し御説明をいただければと思います。

【杉山委員】はい、わかりました。今、御紹介いただきました資料6の中では、「3.重点開発領域以外について」の中で、「最先端研究基盤領域の中で様々な計測機器から得られる画像等の情報を、もっと体系的に解析してはどうか」と、文章で入れていただいていますし、また、最後の「4.その他の重要事項について」にも関連文章が入っております。この議論の根本は、これまでたくさん開発してきたX線CTとか、共焦点レーザー顕微鏡とか、あるいは三次元で様々な構造を観察する技術開発をしてきた中で、三次元、さらには時間軸などの四次元のデータまで含め、相当膨大なデータが出てきている現状においては、こういった画像処理のデータを、今は機器ごとの様式で処理していますが、もっと体系的に幅広く誰でも使える形に展開する時代に来ていると考える点にあります。それらの画像データを定量化して、定量化されたデータをもとに科学の議論を展開するのが重要であろうと考えますと、今、膨大に出てきている三次元、四次元のデータを画像処理により定量化、計測化されたデータとする技術開発まで含めて計測機器開発と捉えていいのではないかと考えます。
 結局、測定機器ごとに異なる画像データから、そのデータ構造、あるいは統一的なデータフォーマットに基づく画像データの定量化、計測化技術へと変化させる技術を開発していくことで、日本発の新しい膨大な画像処理に対する有効技術を開発し、単にデータベース化に止まらない画像データ群からの新しい価値を作りだす仕組みができるのではないか、そういった技術開発に関する提案をこの要素技術タイプで採択できるようにしていただきたいと思います。
 また個々にはいろいろとあると思いますが、大枠としてはそのように考えております。

【二瓶主査】ありがとうございました。ただいまの御説明にございましたとおり、タスクフォースでは、理研の、恐らく国レベルでの研究プロジェクトとしては相当まとまった体制で、そのデータ処理に関する長年の研究の実績がある部署があります。そこで理化学研究所の専門家をお呼びして、最新の3D、4Dの、いわばビッグデータの処理に関する最近の動向のお話を伺ったという経緯がございます。そのようなことを下地として、本基本方針に盛り込ませていただいた訳です。
 さて、以上までが御説明でございますが、この内容、あるいは表現につきまして、御質問、あるいは御意見がございましたらお願いいたします。どうぞ。

【柳沢委員】単純なことなのですが、資料6の2-1と2-2のパラグラフの長さが数倍以上違うのは、環境問題解決領域は新しく名前も変わったから丁寧に説明したと、ただそれだけのことなのでしょうか。ライフが少し後ろに回っているような印象があるので、長さがどうしてこんなに違うのかと疑問に思いました。

【弦本研究開発基盤課長】環境問題は、おっしゃるように、新しい領域なので若干詳しく書いたということであります。ライフイノベーション領域については、新規課題の採択を念頭に置いていない形で書いていますので、そういう意味では若干、記述が短くなっているということであります。

【二瓶主査】どうぞ。

【山科委員】短くなったのはやむを得ないかもしれませんけれども、ここに書いてある内容が、ターゲットを測定するための診断技術・機器の開発のことだけであって、未知のターゲットを解明するサイエンス・機器の開発のところの書き方が、希薄なような気が致します。どちらかと言えば、後者の方が、この委員会の作業としては非常に重要な部分だと思いますので、短くなっても、そこのところはきちっと確保しておいていただいた方がいいのではないかと思います。

【森口委員】私は記述が長い方の環境問題に近いのですが、これを拝見しますと、具体的な開発対象課題、更にその下に想定される開発課題例とありまして、このあたりの例示が長くなっている原因かなと思います。やはり、書いていただかないとちょっとわかりにくいということはあるのですが、一方で、書いてしまいますと、それにかなり縛られる部分もあると思うのです。具体的な開発対象課題の中にも、例示をしつつも、「環境問題解決領域分科会での更なる検討結果を踏まえた上で、公募要領等に明示していくことが望まれる」と書かれているので、ここのところで具体的な課題については、飽くまで例であって、具体的な検討はその領域の分科会で検討しますという書かれ方をしているので、この想定される開発課題例を書いた方がいいのかどうかという、ちょっと大きな話になってしまうのですけれども、長さのバランスという意味では、これを書いてしまうことのよしあしをここで御議論いただいた上で、場合によっては、ここは落とすというやり方もあり得るのかなということで、御提案申し上げます。

【二瓶主査】どうぞ。

【江原委員】今の山科先生、森口先生と似たような意見になってしまうのですけれども、この環境問題解決領域となると、私の理解としては、当然、温暖化対策の技術、環境汚染物質の新技術等があると思いますが、そのほかに、もっと社会的な、例えば熱帯林の減少とか有害物質の越境問題とか、そのような領域まで含んでしまうようなイメージがあるものですから、その辺をどう理解したらいいのかということを御説明いただきたい。
 それから、資料6の4ページのところにも、一般領域からちょっと文章を変えているところがあったと思います。趣旨が明確になるようにということで狭めておりまして、それに対してこちらの部分は、環境問題ということで大きく広げている。この辺、もう少し御説明していただけますでしょうか。
 それから、環境問題と広げたのは、やはり、公募と採択の件数が少ないからという趣旨も踏まえてなのでしょうか。そこも1つ、御説明をお願いいたします。

【三宅研究開発基盤課課長補佐】環境問題解決領域については様々な議論があったわけですけれども、もともとグリーンイノベーション領域の発展型という形で考えておりますので、ベースとなるのはもともとあったグリーンイノベーション領域、特に太陽光発電、蓄電池や燃料電池の技術を開発したところがありますけれども、そちらを更に発展して設置をしているものでございます。
 基本的に、こちらの重点課題というのは、現状の課題に対して対応するものでございますので、昨今言われている、例えば、政府の計画や方針に基づいた課題をうまく取り入れていくということをしておりますので、今回で言うと、PM2.5に代表される環境汚染物質のものを取り入れていく。その中で全体の領域名をどのようにしていくのかという議論の中で「環境問題解決領域」というふうにさせていただいているわけでございます。
 ですから、「環境」と言ってしまうと、確かに広い、何でも取り込めるような内容になってしまいますけれども、その範囲につきましては、具体的な開発課題や、想定される開発課題例で、ある程度のターゲットは絞っているというふうに認識しております。もともとグリーンイノベーション領域のころも、「グリーンイノベーション」というとかなり広い中ではありますけれども、ある程度、開発課題、テーマを明確に示した中で具体的な公募を募ったという経緯もございまして、このような形にさせていただいているところでございます。
 同様に、資料6の「3.重点開発領域以外について」ということで、いわゆる「一般領域」というものを「最先端研究基盤領域」という名前に変えさせていただいております。先端計測といっても、計測技術だったら何でもいいのではなくて、名前のとおり、最先端な計測分析機器を開発していくということでございます。だから、明日すぐ作れるようなものを開発することが目的ではなくて、本当にオンリーワン、ナンバーワンがとれるような新たな機器開発というものを要素技術から始めて開発していくということですので、そこは、何でもいいですよという一般、「一般」というのが名称としていいか悪いかという議論はあるかもしれませんけれども、そういうことを明確にするために領域名を変更してはどうかというふうな形でこのようにさせていただいているところでございます。

【二瓶主査】ありがとうございます。今の御説明にもありましたが、「グリーンイノベーション」の名称変更と内容拡大なのです。「グリーンイノベーション」という表現そのものが非常に広いのですが、先ほどSIPのところで議論がありました、いわゆる、国土強靱化政策の中の一つである社会インフラの健全性診断のようなものを取り込むということが1つのファクターです。それから、昨年度までは、グリーンイノベーションと言いながら、蓄電池、太陽電池、二次電池、そのあたりに大変極端にといいますか、絞り込んでグリーンイノベーション領域をスタートさせました。その後、「グリーン」というとたくさん内容がありますねというところから、こういう発展系に至ったのですが、タイトルは「グリーンイノベーション」というのは使いにくいという行政判断がありまして、「環境問題解決」としたという幾つかのステップが複合して今の御質問のようなことになってしまったということです。
 もう一つ、資料6の2-1が極端に短いのは、本来、書くべきことがどんどんどんどん削ってしまった結果です。先ほどのNIHにおける現況の説明でございましたように、本来ならば来年度、どういう考え方で日本版NIHに移管するのか、それから新規公募をするのか等という内容を本来ならば基本方針ですから書きたいところでございますが、現時点では書けないという客観情勢がございまして、それで短くなってしまった訳です。ただ、これをもって全ての基本方針とするというのは、御指摘のとおり、必ずしも適切ではないということで、これは、ただいまのような御質問があったのでお話しいたしますが、この件はやはり、日本版NIHの更に具体化された実施体制の具体論、そこに至る様子がもう少しクリアになった時点で、ここに書くべき内容を決めるのが良いと思います。
 ただ、1点、新規公募をするか否かというのは、その言葉どおりにじっと待っているわけにはいきません。したがって、大変苦しい状況判断ですが、本日の御議論はここまでとさせていただきまして、これを更に補足する具体論を、本来書き込むべきものの検討を、やはりきちんとしなければいけないと考えております。これは事務局に私からお願いしているレベルの話ですから、結論としてこの委員会に御報告するという段階ではございませんが、そのような方向で考えていると御理解いただければ幸いです。
 事務局から何か御説明はありますでしょうか。

【弦本研究開発基盤課長】状況が見えないところで御議論いただいているのはまことに申し訳ないのですけれども、できるだけ状況に対応して、この方針がもう少し具体的になっていくように努力したいと思います。

【二瓶主査】ありがとうございます。ほかに何かございますか、どうぞ。

【中村委員】来年度は公募がないということで、いささか議論にはなっていない放射線計測についてなのですけれども、来年度は暮らしの再生、福島などの再生につなげるといったところで、社会の実装に向けての取り組みが望まれるというふうにされていまして、まさにそのとおりだと思うのですけれども、復興という意味では、実感が極めて重要だと思いますので、言葉として「早期に」とか、何かそういう時間がわかるような言葉があるといいというふうに感じました。
 以上です。

【森口委員】度々恐縮です。今、中村委員から御発言がありました資料6の2-3の放射線計測領域について、私もJSTの委員会にかかわっておりますのと、先日まで開催されておりました原子力規制委員会のもとに機関に向けた安全安心対策検討チームがありまして、そこの外部有識者として参加しておりましたので、そちらの観点からの発言を少しさせていただきます。
 今、中村委員がおっしゃったことの繰り返しになるのですけれども、この社会実装を是非進めていただきたいと思っております。除染とか、自然の減衰等もあるのですけれども、目に見えない放射線を可視化するということが、こういう計測技術を科学技術に対する信頼感の回復につなげる上で非常に有効だと思っておりまして、技術はあるわけですけれども、それが現場で使われないことには宝の持ち腐れになってしまうと思います。これは国費の使い方として制約があるとは思うのですけれども、是非、普及に力を入れられるような形、「シンポジウム等を実施する」などとは書かれているのですけれども、実際のもろもろの事業というのは関係各省でやっておられる。そういうものを調達の中にこういうものの成果を生かすということを明示的に書くことはできないかもしれませんので、ここの方針の中に書き込むことは難しいと思いますけれども、その社会実装を何か、誰かが勝手にやってくれるという形ではなくて、文科省をはじめ、関係省庁の中で社会実装の後押しをしていただきたいと思っておりますので、そこのところを是非よろしくお願いいたします。

【市川総合評価分科会長】今のことと少し関係があるのですけれども、資料6の最後の5ページに「普及促進については重点的に予算を配分していくことが望まれる」と書いてあるのですけれども、平成25年度を見ますと、実は「開発成果の活用・普及促進」の1件当たりの予算が2,000万円と増えたので、採択できる件数が激減してしまったのです。結局、26件中3件しか採択できず、これも3件採択できるかどうかわからなくて、2件になるかもしれないということで大変な事態になりました。先ほど言いましたように、普及すべきものが結構あります。しかも、26件はいろいろ評価してみますと、みんな非常にレベルが高くて、何を選んでいいのか評価委員の方でもすごく困ったのです。「重点的な予算配分が望まれる」と書いてありますが、重点というのは、結局予算を増やすということだと思うのですけれども、今の状況ですと、そうはいかないという状況になっています。来年度は新規でさえ難しいという状況です。
 ですから、この辺りをきちんと考えておかないと、せっかくいい機器がこのプログラムで開発されても、結局世の中になかなか普及していかないという状況に陥りかねないということなので、どこかできちんと考えておかなければいけないと思います。私は特に今回、普及の採択をやっていたときに非常に感じたことです。たくさん採択したいのですけれども、予算が限られている、かつ、1件当たりの予算が2,000万円と非常に増えたので、1件当たり3倍ぐらいの予算になったと思うのです。そうしますと3分の1しか採択できないということになってしまうのです。その辺りは、やはり、きちんと考えておかなければいけない問題ではないかと思います。実際に重点的に予算を配分してほしいので、「望まれる」ではなくて、「すべきである」というように書いてほしいと私は思っています。
 以上です。

【二瓶主査】ありがとうございます。今の点は予算折衝された背景をちょっと御説明いただくのがいいのではないかと思います。全体としては市川総合評価分科会長がおっしゃるとおりだと私も思いますが、御説明いただけますか。

【弦本研究開発基盤課長】資料3のところに戻っていただきたいと思います。資料3の右から2番目、黄色い枠で「技術・機器・システムの普及促進」という枠があります。ここについて、今回、予算要求のときに、今まではどちらかというと、ある機器を機関外に開放するという形の予算で要求していました。それでも単価が低かったわけですけれども、今回は一応、プロトタイプ機を複製して、共用するという形の予算が取れるようにということで要求して、一応はついているというふうに認識しています。ですから、そういう意味では、今までに比べれば普及促進に関して重点的に予算は措置できているかとは思っています。ただ、全体として予算額が減っているので、新規採択とのバーターになることは間違いないわけですけれども、その中でも、やはり、いい機器についてできるだけデファクトスタンダードというか、標準化というか、そういうものが進めるような機器を採択していただけるような予算は組んだつもりであります。

【市川総合評価分科会長】実際、平成25年度からもう既にそうなったのです。複製ができるということで2,000万円にしたということです。その状況を見てみますと、では予算が増えたのかなと思うと、全然予算が増えていません。だから、こういう状況に陥ってしまうと困るなということを、平成26年度の予算を決めるときに考えてくださらないと、また平成26年度も2件か3件しか採択できないという状況に陥ってしまうのではないかという恐れがあったので、そういうお話をさせていただいたのです。
 現実として、もう採択が3分の1くらいに減っているわけです。そうすると、普及すべきいろいろな機器とか技術が全然普及できないということになりかねないということがありますので、その辺りは慎重に考える必要があるのではないかと私は思っています。

【二瓶主査】ありがとうございます。どうぞ。

【山科委員】先ほど杉山委員から御発言がありました3Dの問題ですが、これは非常に重要なことだと思います。特に顕微鏡などのあらゆる画像を相手にした分析機器については三次元で画像を作っていく、取り込んでいく、それから、それを三次元で表示するという2つの段階があると思いますが、開発していった画像機器の画像を標準化するという観点から、今、あちこちでいろいろなところでやられているものを何とか標準化していって、日本製の機械ならば大抵こういう装置がついている、それでやっていくのがいずれ世界のスタンダードになっていくというような、その段階はちょっともう既に遅いのかもしれませんけれども、そのことを今から考えておくことは、いろいろな機械の開発の上で重要だと思うのです。
 例えば、CTとかMRIのメーカーなどでは独自の3Dのソフトを作って、顧客に利用を進めています。そういうものが、例えば、そのほかの分野、例えば発生学における標本の解析などにまで使えるとか、かなり広範に転用されているのが実情です。何か規格化するようなことは、今の段階でやらないともう遅くなってしまうのではないか、どこかでやられれば、もう後手に回ってしまいます。そのようなわけで、非常に重要なことだと思うので、どこかに書いておいた方がいいと思うのです。例えば、資料6の5ページの上から5行目あたりに、「計測分析技術についての標準化に向けて」と書いてありますから、そのようなところにもう1行文言を並べて、3Dのテクノロジーは装置を標準化する上で重要なのだという姿勢を示しておくことが大事なのではないかと思いました。

【二瓶主査】ありがとうございます。どうぞ。

【森川委員】今のことに関連して、私どももナノマテアリルを解析するために150ナノぐらいのCTをやっていますけれども、今はもうその装置の解像度よりも、それを使った解析ソフトの勝負で海外とやるという時代になっていますから、今回、杉山委員の御提案でこういう文言が入ったということは、私は大変すばらしいと認識しております。
 もう1点、開発成果の活用・普及・促進タイプが新規公募されたというのは、私は大変すばらしいと思います。もともとこのプログラムは、要素技術、機器開発から実証実用化に6年前からなって、更にこういう形になった。私は、死の谷を埋めるすばらしいものだと思うのですけれども、いかんせん、2,000万円で3件しかとれないというのは確かに残念です。
 本委員会はプラットフォーム化を数年前からプロジェクトを作って答申もしているわけですけれども、例えば、JSTの中に、このプログラムは科学技術イノベーション創出の推進プログラムですけれども、もう一つ、科学技術基盤の形成で150億円ぐらいの予算があり、この中は知識インフラの構築となっているのですけれども、確かに、試作機を普及させるためにはこういう予算にしかならないと思いますが、もう一つ成果物を、ハードではなくても、周辺情報も含めてもっとこの予算を使ってプラットフォーム化の一助になるようなことの可能性はないのでしょうか。その辺りは私にはよくわからないのですが、物を共用化するだけではなくて、まさに、うまく知識インフラに結びつけていくことは可能なのか、いかがでしょうか。

【二瓶主査】お答えになるかどうかわかりませんが、御指摘のとおり、研究開発プラットフォーム委員会における議論でも同じように、まさにこの試作機、あるいはユニークな装置をプラットフォームに載せて普及させるとともに共用化するという目論見が入っております。ですから、本来ならば、この事業の中にプラットフォーム形成をもっとはっきり鮮明に打ち出して、それとの絡みで予算を増やしていくという目論見があっていいと思っております。
 ただ、なかなかそこまで今、手が回りません。御存知のとおり、文科省で先端機器の普及という事業が別途ございます。それから、一方では、プラットフォーム化ということで、いろいろなグルーピングをした上で、ナノテクノロジープラットフォームのようなものでもう少し小ぶりなものをいろいろと作っていくということも考えるべきだと思っております。
 このあたりは本日、大変貴重な御意見をいろいろ頂いておりますので、この事業の中からもう少し明快に発信をして、世の中に貢献する一つの大事な柱という位置付けにすべきではないかと考えております。どうぞ。

【小野委員】今、二瓶主査がおっしゃったこととも関連し、また、普及促進と関連したことですけれども、皆様の御意見に共感すると同時に、私はちょっとこの点も大事かなと思ったところは、資料6の「4.その他の重点事項について」において、下から3番目の、「外部への成果発信を戦略的に行うなど、プログラムの広報の一層の強化に努める」ということで、言われていることだとは思うのですけれども、先ほど、SIPとの関連で本委員会の役割といいますか、特徴が非常に明確になったと思ったのですけれども、そういうことも含めて広く広報していくといいますか、そういうことも大事だと思いましたので、一言、つけ加えさせていただきました。

【二瓶主査】ありがとうございます。どうぞ。

【藤宮委員】杉山委員から出ていますビッグデータの画像に関して、我々、この先端計測の中で認識しておかなければいけない点がございます。それは、例えば健康データや医療データというのは、データの大もとのプロトコルが非常によく整備されています。ある均質な手順に従ってデータを集めたことによって、いろいろな情報がその中から引き出されてきます。先端計測の場合は、やや複合的になります。ビッグデータで均一的に大量に集めることによって情報が出るのだという単純な世界ではなくて、この計測機器の中で集まるデータというのは、プロトコルなど前処理の段階がやや異なっている。しかも、画像が得られたものに対してどういうふうな欠陥があった云々というアノテーション情報、そういったものの質が多様になります。通常行われるビッグデータの解析のプロジェクトと、この分野で行われるものはちょっと違うというふうに私は認識しております。
 この先端計測の中で行われるビッグデータ、画像データを含めた解析の研究は、他の分野と違い、大きな価値があると考えています。これらを進めるためには、単なる画像を集めだけではなくて、前処理情報、アノテーション情報まで含めた統合的なデータの収集、それから、その上で付加価値をつける試みというのが、重要になると感じております。
 以上です。

【二瓶主査】ありがとうございます。どうぞ。

【竹内委員】今回の基本方針の中に、太陽電池の性能の向上が書かれていますが、太陽電池は性質上長持ちすることが必要です。このようなものに対する寿命を推定する理論の構築をするための計測技術が書かれていないように思います。そのキーワードをどこかに入れてはどうかと思います。
 特に長くもたなければいけないものもありまして、それを、そこまで来ないとチェックできないのでは困るので、早く劣化を推定して、どこまで寿命があるのかということを計測して予測できるような技術の開発が必要だと思います。

【二瓶主査】ありがとうございます。あと、大堀委員と杉沢委員、何か御発言がありましたらどうぞ。

【大堀委員】環境問題解決領域なのですけれども、放射線計測がまだ記憶に新しいので、この「PM2.5」などのキーワードを聞くと、今の中国の問題を先端でなくてもいいから解決したいという課題とちょっと混同する可能性があると思うのです。これはやはり、飽くまで先端の分析を使って、単にPM2.5をはかるだけではなくて解決するために何をやるかというところであることを、もう少し明確にされた方がいいのではないかというふうに感じました。

【二瓶主査】ありがとうございます。杉沢委員、いかがでしょうか。

【杉沢委員】今回、杉山委員の方から御提案されている画像処理等を含めた情報処理の技術を要素技術の方に加えていくということは、非常にすばらしい観点だと私たちは感じております。これは非常に有り難いと思っております。
 もう一つの重要な観点は、マルチスケール解析です。これは大型構造物の劣化状況等のところで言及されているものです。これは複雑な材料の解析や、人体のような複雑で階層的な構造によって機能を発揮しているものを解析し、機能改善を図ったり、経時変化を予測したりして、問題発生を未然に防ぐための分析技術の一つととらえております。我々、計測機器メーカーといたしましては、マルチスケール解析あるいはマルチモーダル解析というキーワードでとらえております。この意味は、大領域から小領域、メーターオーダの領域からナノ領域までをシームレスにつなげて計測し、ナノ領域における原子・分子構造や挙動に関する情報に基づき、大きな構造体の機能を分析する技術ととらえています。このためには、複数の計測装置のデータを系統的に集積し、得られたビックデータを大きな構造体の機能予測に結びつけるIT技術との融合が必要ではないかと考えています。今後、我々はそういった方向に開発を進めていかなければいけないと考えておりますが、そういったところに光が当たってきたというのは非常に有り難いことで、是非、こういう方向で進めていただきたいと考えております。
 以上です。

【二瓶主査】ありがとうございました。本日は課題、議論すべき対象が多くて2回分ぐらいの委員会を一遍にこなしている感じがしております。先ほど来、御説明申し上げましたが、特に日本版NIHにつきましては事務局に再度の機会ができればということをお願いしたいと考えております。
 本日、予定の時間になりましたが、よろしいでしょうか。
 それでは、最後の締めくくりに事務局からアナウンスをお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュールの確認があった。

【二瓶主査】それでは、どうもありがとうございました。本日は盛りだくさんでしたが、適切な御意見、御議論を頂きまして大変ありがとうございました。本日の会議は以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――


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