資料3-6 先端計測分析技術・機器開発プログラムにおける平成26年度概算要求に向けた検討事項に関する意見

先端計測分析技術・機器開発プログラムにおける
平成26年度概算要求に向けた検討事項に関する意見


ア)「ライフイノベーション」領域について、(1)ターゲットを測定するための診断技術・機器、(2)ターゲットを解明するための計測分析技術・機器を重点的に開発していくべきか。

<(1)ターゲットを測定するための診断技術・機器>
・ファンディングの機会が本プログラム以外に多くあり、本プログラムであえて重点領域に指定する必要はないのではないか。
・ターゲットがはっきりしており、企業独自に開発を進めることが可能である。

<(2)ターゲットを解明するための計測分析技術・機器>
・一般領域とライフイノベーション領域の重複が起こらないように留意すべき。
・ターゲットを解明するためには、大学の協力や公的な支援が必要である。解明された後は、産業や経済に大きく貢献する。
・(1)、(2)のどちらも必要だが、(2)は特に重要である。(1)は厚生労働省や経済産業省で支援可能だが、(2)は文部科学省にしかできない。 <ライフイノベーション領域全体>
・画像診断・イメージングが重要な分野だが、特に質量分析装置の開発は今後の薬品の標的を探索(たんぱく質の修飾部の解析等)するため、更なる高度化が求められており、国の重点投資が必要である。また、国内メーカーがコンソーシアムを組むことが必要である。
・人のサンプルはライフイノベーション領域、動物実験は一般領域で開発すると整理しているが、動物実験の後は人のサンプルにつながるものである。(1)、(2)の他に(3)として前臨床のカテゴリーを入れるという案がある。また、応募課題のクオリティーが重要であるため、ターゲットを絞り、門を狭めるのが良いのか検討が必要である。
・ライフイノベーション領域とグリーンイノベーション領域で広い研究分野をカバーしており、新たな領域設定は不要(復興特別会計の放射線計測領域は除く)であるが、ライフイノベーション領域は重点的に開発すべき。

イ)その他、重点開発領域として新たに設定すべき領域はあるか。(「構造物の劣化・損傷等を点検・診断・予測する技術」「PM2.5等の環境汚染物質等の把握」等)

<構造物の劣化・損傷等を点検・診断・予測する技術>
・諸外国に比べて比較的安全な我が国が率先して本領域の技術開発を推進し、スタンダードな技術にすることは重要である。完全に課題解決型の技術開発であり、ネガティブなイメージがあるため、公募件数が低い可能性がある。技術の重要性や対象技術例をアピールすることが望ましい。検出技術、そのITを活用したシステム化がポイント。
・社会インフラの年数が経ち、対応すべき分野であるため、社会インフラのメンテナンスを可能とする計測技術の開発は重要である。

<PM2.5等の環境汚染物質等の把握>
・大気汚染で今後どのくらい市場があるのか検討が必要である。
・研究サイドではやや周回遅れのテーマである。機器開発(改良)のニーズはあるが、主に計測器メーカーの実用化レベルの話であり、この枠には必ずしもなじまないのではないか。同じPM2.5でも、基準の定めに用いられている重量濃度だけでなく組成分析など、より精緻な研究開発を要するテーマならば十分ありうる。
・グローバルな環境問題の原因究明と解決に関する領域は重要である。使いやすい技術とすることで、問題の発生源である中国や発展途上国での解決の支援につなげる。

<計測情報科学・データ統合領域>
・1.計測データの新しい情報解析方法、2.対象データの高度なスクリーニング方法、3.測定条件等の属性値や計測プロトコルを含めた管理方法、4.複合的なデータの統合管理方法、5.大量データに対する目的データの検索方法、を満たし、情報系の研究者が開発チームに入り、先端計測領域と情報工学系の交流を活発にすることが重要である。

<その他>
・一般領域の中から重点領域に移す項目を選定する。
・復興財源のような別枠予算より拠出される場合は、その予算の趣旨に合った重点領域の指定を行うべきだが、通常予算の枠であれば、あえて新規の重点領域を作る必要はないのではないか。
・分野をあまり広げず、健康医療に絞るべき。健康医療関連に集中している現在のスキームは非常に良い。健康医療に特化している米国のNIHを見習うのが良い。
・環境・エネルギー分野において、天然資源の探索・探査技術領域は強化すべきである。放射線領域は、既に米等の固形物の放射線測定技術は確立しつつあるので、魚等の海・水分野に関する測定技術は今後も強化すべき。
ウ)これまで小委員会が進めてきた「知的創造プラットフォーム」の議論を、現在議論されている「研究開発プラットフォーム」の中でどう展開・発展させていくか。

<研究開発インフラ>
・計測分析技術・機器は、研究開発インフラとしての側面が大きい。インフラを維持、発展させるという観点で、研究開発プラットフォームを充実させる手法が必要である。
・ボトムアップで、今ある施設・設備をどのようにつなげていくのかという議論が重要である。SPring-8等、具体的な施設がなぜ上手くいっているのか検証し、ほかの施設でも同じように進める。

<ものづくり>
・産業競争力を強化するようなプラットフォーム形成が必要である。
・ソフトウェアや金融工学、デザイン等の高度な知識集約産業である第三次産業として、また装置のオペレーションシステムとしてプラットフォームを形成する。
・ものを作る産業のプラットフォームであり、ものづくりは作った後のフィードバックが必要である。経営や大学研究者と、現場の工場や技術者との距離が離れすぎないことが望ましい。大学が地元産業への人材供給装置にとどまらず、地元のシンクタンクになることを踏まえた支援が必要である。企業と大学が組んだ提案を採択するにあたっては、大学と企業がものづくりを実際に行う工場や研究所が同一ないしは隣接する都道府県に所在していることが重要である。
・重点開発領域がプラットフォーム形成である。もう少し絞った重点開発領域が必要である。

<共用>
・先端的設備・装置や研究成果・知的資源の共同利用化を進める上で研究開発プラットフォームは有効であり、一般に広く周知し研究者が集まる場所として提供する。
・プロトタイプ機の共用のほかに、開発初期段階での「知の融合・戦略の共有」ができると良い。JSTのプログラムに採択された関連する分野の研究者同士のワークショップは価値があるのではないか。
・装置を構成する要素技術に分け、何が見えるのか、何が測れるのかなど、誰でも分かる言葉で要素技術を表現し、共用化する。成果専有な部分と、成果非専有な部分と二つに分け、二つが成長していける評価方法と予算措置が必要である。
・プラットフォーム形成を踏まえ、開発成果の活用・普及促進タイプを発展する。

<ネットワーク>
・先端計測分析基盤センター構想のように、成果を上げた研究者のネットワークを中心とし、大学や公的研究機関の高度な計測技術や、計測情報科学の発展の推進、技術サポートを進めることが重要である。
・科学技術イノベーション総合戦略が掲げる「スマート」「システム」「グローバル」をどのようにプラットフォームに反映させるかが重要である。

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