研究設備共用プラットフォーム委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成27年8月3日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館(金融庁)12階 共用第2特別会議室

3.議題

  1. 共用プラットフォーム形成に係る検討について
  2. その他

4.出席者

委員

宇川主査、野村主査代理、西島委員、瀧澤委員、福嶋委員、木川委員、森委員、野田委員

文部科学省

渡辺研究開発基盤課長、中川研究開発基盤課長補佐、江端研究基盤環境形成作業部会専門委員

5.議事録

科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
研究設備共用プラットフォーム委員会(第2回)
平成27年8月3日


【宇川主査】  それでは、本日はお忙しい中、また大変な猛暑の中を御出席いただいてありがとうございます。時間となりましたので、研究設備共用プラットフォーム委員会を開始いたします。なお、本日の会議は公開の扱いといたしますので、御承知ください。
 それでは事務局から、出席者の確認及び配付資料の確認をお願いいたします。

 中川研究開発基盤課課長補佐より、出席者の紹介と配布資料の確認があった。

【宇川主査】  よろしゅうございますか。
 それでは、本日の議題、共用プラットフォーム形成に係る検討に入りたいと思います。
 前回の委員会において、次期共用プラットフォーム形成事業の検討に当たって、平成25年度から取組を開始したNMR共用プラットフォーム、それから光ビームプラットフォームについては、木川委員と野村委員から御説明いただきました。本日は、それ以前からナノテクノロジー分野のプラットフォームの取組として実施しているナノテクノロジープラットフォームについて、中核を担っている物質・材料研究機構(NIMS)から、その取組について説明をお願いしたいと思います。
 今回のヒアリングの進め方は、15分間の説明、続いて15分間の質疑という時間を設けております。
 それでは、ナノテクノロジープラットフォームのセンター長である野田委員から説明をお願いいたします。

【野田委員】  野田でございます。それでは、座ったままで説明させていただきます。
 今日はナノテクノロジープラットフォームの取組状況ということで、平成24年からちょうど3年たちましたのですけれども、その状況について御説明したいと思います。
 今日の話なのですが、どういった結果が得られているのかと。それから、利用者からどう見られているのかと。あと、課題が途中で結構出てきておりまして、それに対してどう対処しているのかという話と、それから、他の共用プラットフォーム、特にこちらのプラットフォームとの関係とか、その辺のお話をして、今後の課題につなげたいと思います。
 既に昨年1月に、この委員会で私が御紹介したのですけれども、ナノテクノロジープラットフォームというのは平成24年の7月から始まりまして、10年計画で3つの技術領域、電顕関係、微細加工、それから分子合成という形で、これが一体となったプラットフォームですね。ですから、全国どこでも誰でもが同じように、このプラットフォームを利用できるといった体制を作るということで、全国25機関、全部合わせますとハードの分に関しては37組織、それから我々センター機関としてNIMSとJSTが一緒になって行っておりますけれども、合わせると全部で39の組織が、1つの一体となったプラットフォームとして、様々な技術提供、それから設備の利用というものを皆さんにサービスするという形になっております。
 1つ目の技術領域として、電子顕微鏡関係がございます。これは構造解析ということで、ここに円グラフがございますけれども、どういった技術分野でそれぞれの機関がサービスをしているかということなのですが、電子顕微鏡がかなり中心となっておりますが、放射光に関しましてもJAEAとNIMS、産総研が参加しているといった状況でございます。
 これは加工の方でございますけれども、基本的にクリーンルームの中で様々な微細なナノメーターサイズから、いろいろな組織、デバイスを作るといったことで、その例として、バイオから様々な分野に使われるような状況を、全国16機関、京都大学が中心となって全体の取りまとめを行っているといったことでございます。
 それから分子合成、これは特に有機合成、それから生体用の材料等の合成と解析をサポートするグループでございまして、これも11機関が全国から入っておりまして、分子研がその中心となっているといったことでございます。
 そういった体制で一体となったプラットフォームを形成して、様々な利用者に対して施設と最先端の技術を提供すると。このプログラムがちょうど始まったのが平成24年の7月なのですが、プラットフォームとして統一的な考え方で進めることが非常に大事だということで、我々センターとしては、3つのプラットフォームと一緒になって様々な決め事を行いました。
 これは、ユーザーから見てどういった流れになるかというのを示したものでございますけれども、最初に利用するときに、なるべく手続が簡素化ということで、我々は約款方式と。この約款を了承となれば、そのまますぐ使えるということで、申し込みから最短1週間ぐらいから使えるといった状況でございます。
 それから、いろいろな利用形態がありますので、それも統一的に考えて、ここに書いてあるように機器利用からの技術相談を含めて、トライアルユースというのも当然入ってございます。
 知財に関しましては、基本的に機器利用に関してはユーザーに帰属するというふうにしました。共同研究とかそういう段階になりますと、それは利用者と支援機関の間で相談するということでございます。
 それから、このプロジェクトは文科省の委託事業でやっておりますので、基本は成果公開でございます。ただし、成果公開といいましても、我々はなるべく簡便にしようということで、利用報告書の書式とか、成果の公開に関しましても特許等を考えて、2年間の猶予まで認めるといったことも進めております。
 利用料に関しましても、ある程度の一定の取り決めで進めていると。当然、企業さんが利用する場合には非公開というのも非常に多いので、そういった非公開にも対応できるようにしたということです。
 その統一化の一つとして、全3つの技術領域全てに対して、こういった利用課題番号の統一化というのを図りました。分野コード、これは3つの技術領域ですね。年度、それから機関、どの機関がやっているかと。で、受け付け番号ということで、公開・非公開に関わらず、全てナノプラットの設備を使った場合には、必ずこういった課題番号が付けられるということでございます。
 利用形態は、先ほど述べたように、こういった幾つかがございます。それから報告書も、ここにちょっと見づらいですけれども、A4用紙1枚でなるべく簡便化すると。それから、当然使った後は満足度アンケートというのを必ず出していただいて、これはウエブで入れていただくものでございますけれども、そういったところから、次の年の利用の改善につなげようということです。
 利用料に関しましては、各プラットフォームで共通化された利用料体系を構築ということで、これは必ずしも機関によって全部が統一されているわけではないのですけれども、1,000円から1万円以内ということで、基本的な考え方は装置購入額見合いといったものに対して、どういった利用形態にするかと。あるいはアカデミックディスカウントとか、そういった係数を掛けて、料金が設定されていると。これはウエブを見ていただければ料金が分かるかと思います。
 それから、我々センターとしては総合的な窓口ということで、こういった施設をどう利用できるのか、どういった情報がもらえるのかということで、結構混んではおりますけれども、このnanonet.mext.go.jp、これは前の平成23年以前のネットワークのときのウエブページをそのまま利用しているのですけれども、こういった機器ポータルということで、1,000台以上の設備が登録されているわけですが、その情報。それから、何でも御相談といった窓口。それから、いろいろな成果の情報などもウエブマガジン等で提供しているということでございます。
 これは設備検索システムでございます。ここに日本地図があって、どの地域で、どこの大学あるいは機関で、どういった設備があるかと。あるいは大分類から見て、どういった設備があって、最終的にどういった詳細な情報があるのかといったことまで見ることができます。
 我々はこういったウエブでの提供と同時に、ユーザー開拓といったことが1つ、ナノプラットの大きな課題で、口を開けて待っているのではなくて、積極的に新しいユーザーを開拓するといったことで、1つは企業の利用というのをターゲットにしております。ナノプラットでは、利用者の最大30%ぐらいまで企業の利用を進めるようにといった目標を設定しておりまして、我々はこういったナノテクビジネス推進協議会とか、あるいは次のページにありますけれども、各地区での産学官連携といった形でも進めております。あと、学協会での紹介活動ですね。
 それからもう一つ、新しい事業として、試行的利用ということで、特に最初に使われる方に対して、ほんのわずかでございますけれども、旅費とか利用料等を支援するといった制度も設けております。大体年間100件弱ぐらいでございまして、そのうちの大体4割以上が次の年には正規のユーザーになっていただけるといった状況です。
 地域で、特に全国いろいろな地域で新たなユーザーを開拓するといったことで、我々センターとしては、一緒に行っておりますJSTさんが今まで持っていたリソースですね。プラザ・サテライトといった事業もやっておりまして、そういったリソースを利用して、全国に5か所マネジャーを配置して、そういった地域でのユーザーと実施機関とを結び付けるといった活動をしております。
 それともう一つ、実際使っていく中で産業化とか、新たな出口が見えるものに対して、A-STEPといったJSTの事業に是非提案してほしいといったことも行っているということでございます。あと、様々な地域セミナーとかいろいろな展示会等で、成果についても紹介するといったことを行っております。
これは実際に利用された状況なのですけれども、平成23年度以前がナノプラットの前のナノネットというのでやっていた事業ですが、こちらは拠点型でやっていました。で、こちらのナノプラットに入って、分野ごとに強固なプラットフォームを作ろうという形で進めておりまして、その違いは、ユーザーの数が増えていると。これは基本的に公開事業のデータでございますけれども、非公開はさらにこれに数が加算されるのですが、まず公開事業に関してお話ししたいと思います。
 特色的なのは、この青と赤にありますように、企業ユーザーが非常に伸びているといったことで、これは平成26年度のデータは載っていないのですけれども、平成26年度ですと大体3割近くが、企業の方が使っていらっしゃるといった状況です。それからアウトプットなのですけれども、着実に伸びているといった状況になっております。
 利用成果事例については、年間大体3,000件弱の利用成果の中から、いろいろどういった成果があるかということで、幾つか紹介したいのですが、これは電子顕微鏡の中で、in situで結晶の成長を実際に観察したといった成果事例です。
 これは大型施設との共同でもありますけれども、自由電子レーザーの中で、細胞の中のその場での状況を見るといったことで、そのときにナノプラット側では、こういった生きた細胞を入れるアレイといいますか、そういうものを開発いたしまして、実際にほんの数マイクロ秒以内での話でございますが、そういった生きたままの状態を見ることができたといった例でございます。
 これは、ナノプラットに入っている合成グループが実際に開発したカーボンナノファイバー、これはエミッションの強度が非常に高いということで、紫外発光のランプに使えたという例でございます。
 こういった出てきた成果をどう普及するかということで、我々一番大きなのは、学協会等もございますけれども、毎年1月の末に行っております総合シンポ、総合展等で、この成果を公表しているといったことでございます。
 それと、このプログラムを始めて2年目なのですけれども、どうやって参加している実施者、それから技術支援者、ナノプラットは、雇用されている方は大体190名ぐらい、関わっている人たちを入れる300名を超えるのですけれども、そういった技術支援に携わっている人たちをどうエンカレッジするかということで、平成25年度から、3,000件の中から六大成果といった表彰、あるいは昨年から、今年の1月の末なのですけれども、すぐれた支援を行った技術者を表彰するといったことを行っております。
 人材育成に関しましても、学生対象、それから技術支援者対象に、いろいろなことを行っておりまして、これは基本的に次の世代のユーザーとか、あるいはこういった支援に関わる人材を育成しようというもので、ナノネットのときから行っているのですが、その中から実際に、この施設の共用に携わっている人たちが生まれてきております。
 それから、利用者からどういう評価を得ているかというのは、当然、使った方はある程度満足はしているといったことがございますけれども、若干まだいろいろ要望もございまして、もうちょっと利用手続を簡素化できないかとか、あるいはテレビ会議で事前に打ち合わせできないかと。それから技術スタッフに関しましては、スタッフの増員を希望するといった要望が来ております。
 この3年間の中で様々な活動を通して、いかにユーザーの裾野を広げるかとか、利便性を向上させるかと。それから、インセンティブをどう与えるかと。今取り組んでいるのは、1つは技術支援者に対するインセンティブで、表彰制度は立ち上げたのですけれども、ナノプラット独自で、ある程度の技術支援者をエンカレッジするために、スキル認定といいますか、そういう制度を今年から開始しようということで、現在準備を進めております。
 他の共用プラットフォームとの連携では、既にこちらの共用ナビさんとはウエブのリンクを図っておりますし、また我々は窓口とクイックアクセスのところで来た課題に関して、ナノプラットでは対応できないものについては、適切な機関等を紹介しているといった状況でございます。
 それから、他ネットワークとのイベントへの協力ということで、こちらの光ビームプラットフォームの様々なイベントとか、そういうものにも協力しているといった状況です。
あと、これは技術支援人材の流動性なのですけれども、具体的にはまだやっていないですが、特に放射光関係に関してはNIMSで採用した人の中に、JASRIから来られた方もいらっしゃいますし、少しずつそういった流動性の確保というのが進むのかなという感じがございます。
 今後の取組で、特に重要なポイントを幾つか指摘しましたけれども、技術スタッフをどうやって確保し、その技術をレベル維持するかと。あとは問題なのは、非公開事業をどう評価するかということがあります。こういったところが我々の今後の課題だと考えております。
 他ネットワークとの協力でございますけれども、さらに協力関係を構築するということと、特に窓口機能ではお互いに協力するという形をもっと進めていきたいということと、人材の流動性というのを確保できないかといったことでございます。
以上でございます。

【宇川主査】  ありがとうございました。
 それでは、今の御説明について、何か御質問等ありましたらお願いいたします。
 どうぞ、西島委員、お願いします。

【西島委員】  大変進んでいるのだなと感心いたしました。
 それで、2点あるのですけれども、企業の立場からすると、企業ユーザーなんかは増えてきたと。もちろん、広報活動がすぐれているとかあるのですけれども、企業が増えてきた大きな要因、つまり想定外に、想定外に増えてきたと言っては失礼ですけれども、増えてきた要因って、何かほかに考えられるのかというのが、まず1点目なのですけれども。

【野田委員】  1つは広報活動があるのですが、もう一つ、我々は連携推進マネジャー5名を配置して、実際に企業さんのところに行って説明したりして、実際にどういった課題がありますかと。それを拾い上げましょうと。
 特に中小企業は増えていますね。ナノネットのときは、ほとんど企業は、2割程度でしたけれども、中小企業はまだまだこれから伸び代があるなと。
 開発型の中小企業は全国で大体1万社ぐらいありますので、その中で製造業関係、それとナノプラットだけじゃなくて、いろいろなプラットフォームを利用しようという企業さんは、全国に結構あるのではないかと思っています。

【西島委員】  そういうニーズをうまく発掘できたし、それに応えるスタッフがそろっていたということですね。

【野田委員】  はい。

【西島委員】  もう一点は、最後のところでも出ましたけれども、非公開事業という形になってきて、トライアルユースというか、お試しみたいな形から進んで、成果公開前提なのですけれども、いいものが出れば出るほど、ここに入っている業界は製薬企業に比べればはるかに紳士的なところが多いと思いますので。

【野田委員】  そうそう。

【西島委員】  そんなことはないと思うのですけれども、良い成果が出始まると途端に成果が公開されなくなるというのはいかがなものかなと思って。
 実際これ、各機関にお任せしているということなのですが、逆に言うと複数の機関を利用したときに、統一的見解なり、取り決めがないと、そこで成果の取扱いが難しくなってくると思うのですけれどもいかがでしょうか。例えば、非公開という場合に、課金の問題とか、それから未来永劫本当に成果を公開しないことが本当にいいことなのかと。
その辺のことも含めて、各機関別に制度がありという、その制度というのは、比較的それでも統一的な流れがあるのでしょうか。

【野田委員】  今は、統一化はされております。要するに、基本的な料金の計算のところで非常に低額に抑えられているのですけれども、非公開利用の場合には、大体これの2倍から10倍の間ぐらいまで行っています。
 あと、非公開事業というのは増えてきています。それに関して、残念ながら今はナノプラットというのは公開事業で、そこの成果に出すのは、先ほどのデータに出ていますけれども、これはあくまでも公開事業のデータ。これプラス、非公開事業のデータがあると。

【西島委員】  非公開が増えているということは、それだけこのプラットフォームがすぐれた技術を使われているという1つの目安ですよね。

【野田委員】  そうですね。それをこの事業としてどういうふうに評価していただけるのかというのが、我々が今の文科省さんとも議論しているところです。

【宇川主査】  よろしいですか。
 この委員会の任務ではないかもしれないのですけれども、非公開の件数というのは、ざくっとで結構なのですけれども、どの程度やられていらっしゃるのでしょう。

【野田委員】  平成25年度のデータでは、非公開に関しては300件を超えていますね。400件ぐらいあったということです。

【宇川主査】  それはかなりの数ですね。
 ほかに御意見、御質問はありますか。

【木川委員】  先、どうぞ。

【宇川主査】  先はどっちですかね。では、福嶋先生、お願いします。

【福嶋委員】  すいません。今の非公開に関わるところなのですけれども、こういう非公開になると、技術スタッフの人のモチベーションというのがむしろ下がるというか、「おまえら、測ればいいのだ」というような変な頼まれ方で、本来のプラットフォームの意義から外れていくようなお客さんというのが出てきている心配をするんですが、そのようなことはないでしょうか。

【野田委員】  実は、これは委託事業の縛りがありまして、委託事業で雇用している人は、要するにナノプラット事業で雇用しているということなので、実は非公開事業には直接には関わることができないのですね。ですから、基本的にそれ以外の、例えば正規の雇用されている技術者とか、それから、実は非公開のときは結構研究者も絡んでいるのですけれども、今そこでカバーしているのですが、確かにおっしゃられるように、モチベーションがどう下がらないようにするかということなのですけれども、もう一つはもっと大きなところで、法人として、この法人をどう経営していくかというところがあって、むしろそちらの方では外部資金の、外部からの受託も含めて、そういった資金を入れていくということが今後重要になってくるので、大きなところでは収入を殖やすといったことが法人の1つの方向でもあるかなと。その辺は、モチベーションという意味では、本人の給料とか様々な形でフィードバックは可能ではないかと思っています。

【宇川主査】  それでは、木川委員、お願いします。

【木川委員】  今の話にも関わることなのですけれども、プラットフォームとして利用を受け付けるというものと、各機関で受け付けるというものとのバランスのとり方というか、特に今の話ですと、企業の非公開利用は各機関で受け付けていると。それから、公開利用はプラットフォームでという形なのでしょうか。そういうバランスのとり方で、これは非常にこれから、特にこれくらいのサイズになったときに、運用をどういうふうに上手にされているのかなと、私は非常に興味があったのですけれども。

【野田委員】  様々な形といいますか、ユーザーはどこからでも入ってくるのですが、大体今までの、実は県別のというか地域別の大学・企業の利用を見ていると、実施機関があるところに結構すごく集中しているということなので、やっぱりすぐ近くにあるところを使うというのが、大体、公開も非公開も両方ともそういう感じですね。
 ただ、我々は全体として1つのプラットフォームを形成しておりますので、ない装置がいろいろなところにありますので、そこを紹介していると。その割合は確かに全体から見れば少ないかなと思いますけれども、それが1つのプラットフォームの役割ではないかと。どこかで必ずサポートできるといったものを提供するということでございます。

【木川委員】  そういう意味では地域性も生かしながら、ある程度補完性をプラットフォームで持たせているという感じ。それは、企業の非公開利用ですね、今から議論になっている有償の非公開利用というのは、そういうのはうまく機能しているのでしょうか。

【野田委員】  企業に関しては結構地域性がありまして、京阪、中京、関西、あの辺が集中していますね。北海道とか東北とか、そこは絶対数としてはどうしても少ないので、割合というよりは数でいうと、やっぱり都市に集中しているというところはあります。

【木川委員】  ありがとうございます。

【宇川主査】  ほかにはいかがでしょうか。
 では、野村委員、お願いします。

【野村主査代理】  中小企業の利用が増えているというお話があったのですけれども、その場合、そういう企業さんがこういう装置を使いこなす人材を、どう育成してやっていくのかというところは、ちょっと教えていただければ有り難い。

【野田委員】  現在、特に中小企業さんの場合ですと、結構技術代行が多い。だから、かなりお任せスタイルということで、増やしていくためには支援者のスタッフも充実が必要で、それが今、実はこのプラットフォームの中でも話題だというか、かなり疲れてきているといった話もあります。その辺はそれぞれの技術を取得していただくということと同時に、そういった機会ももうちょっと増やさないと。確かに講習会等やっておりますけれども、必ずしもそれが十分ではないということでございますね。

【宇川主査】  ほかにはいかがでしょうか。まだもう少し時間がありますが。

【野村主査代理】  もう一つ、いいですか。

【宇川主査】  では、もう一件、お願いします。

【野村主査代理】  技術者の方がかなりの数、いらっしゃるということで、この事業がまだ10年あるからいいのかもしれないのですけれども、キャリアパス作りというのですかね、その辺のところについて、どういうふうにお考えかというのと、多分今、労働契約法との関係で期限の問題というのがあって、その辺、何かいい試みをされているなら教えていただきたい。

【野田委員】  ここに実は我々のタスクフォースというのを3年前に立ち上げて、現状とどうやって支援人材にインセンティブを与えるかといった、殊にこの4ポツのところでございますけれども、最初にまず表彰制度というのを立ち上げたのですが、労基法の関係で実は10年まで延びたのですけれども、いまだに5年、4年といったところが結構多くて、そうすると、ある程度の技術が認められているといったものを付加して、流動性というのを図って、それはナノプラットの中のいろいろな地域で動くということもありますし、あるいはほかのプラットフォームだとか、ほかの企業とか大学とか、そういうところに行く場合にも、きちんと保障してあげるよというわけじゃないですけれども、そういった制度をきちんと作る必要があると考えて、今進めているところです。

【宇川主査】  大体よろしゅうございますか。
 それでは、この議題についてはこれで閉じるということにさせていただきます。
 それでは、3つのプラットフォームの取組において課題、それから良好事例などを御説明いただきましたので、それらを踏まえて委員会として、次期共用プラットフォーム形成に向けた今後の展開についてまとめていきたいと思います。
 まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。

 中川研究開発基盤課課長補佐より、資料2-1~2-4に基づき説明があった。

【宇川主査】  ありがとうございました。この資料2-1というのが、今後の共用プラットフォーム形成に向けた基本的な考え方ということになりますので、本日の意見交換の中心になるということでございます。
 それで、この文章は1ポツの総括と、2ポツの今後の展開という2部構成になっておりますので、まずは1ポツの総括のところについて、御意見あれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。参考資料のデータ等も見ながら、少し考えていただいて、御意見あれば伺いたいと思いますが。

【西島委員】  いいですか。

【宇川主査】  西島委員。いつも最初ですね。

【西島委員】  みんなに考える余裕を与えるという……。

【宇川主査】  与えないと。

【西島委員】  献身的な姿勢からですよ。

【宇川主査】  お願いします。

【西島委員】  1ページ目の3番目の、「達成は困難であると予想される」という形なのですけれども、この自立的な共用体制の維持というものに対して、運営をどこまでやればいいかという目標の数値というのは、各所で十分に把握されているのかなということなのですね。つまり、ある程度利用料金を取ってきたのだけれども、そこのところが明確化されていないと、そもそも達成困難というよりは、どこの部分をどこまでやったらいいという目標というものは、これまでの中に達成というのは明確に明示化されていたのでしょうか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  補助事業としては、それぞれ事業計画を出していただいて、それに補助金として充当できるところ、最終的には補助金の総額が予算の枠で決まるので、そこから案分して、補助事業として認めたところに対して交付するという形になっております。
 ここで言うところのある種の自立化といいますか、継続的にこの共用事業を続けていくといったことを考えたときに、事業の設計をそもそも見直さなきゃいけないのではないかというところにもつながるのですけれども、補助金を見越してある程度の事業計画を出してくると、それはそれである種の形となって出てくるのですけれども、そこから先、補助金がなくなったときのシナリオがそこから見えてくるかというと、そこまでは至っていないのですね。
 つまり、徐々に補助金が減っていってもこれだけの事業規模が確保できるとか、そういう見通しを立てていくことはある種の理想論としてはあるにせよ、事業の構造として、そこまでしっかり持ってきたものではないというところが1つ反省で、今の事業のまま、つまり今の募集要項のまま続けても、ここはなかなか難しいのではないかと感じております。

【西島委員】  ということは、この次に話す「今後の展開」の中では、ここのところの現行事業の達成は困難であるというところを踏まえての計画が、次の「今後の展開」の中で議論されると捉えてよろしいのですかね。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  はい。是非そういった流れでやっていただきたいと思っておりまして、そういう意味ではもう少し明確に書けばよかったかなとも思うのですが、技術支援者にかなり依存するというのは、この共用事業、どの施設もそうだと思うのですが、例えば電気代だけの補助が幾らあっても支援者がいないと、来て利用していただけないというようなところから、補助者をどのように確実に担保して、共用に使っていただくかと。これはちょっと踏み込んだ議論かもしれませんが、場合によっては共用の時間が減っても、確実に支援できる体制を作ることというのも重要ではないかと考えております。
 そういった意味で、それぞれプラットフォーム化の中で、単独ではなかなか難しいところをシェアして、何か共用の体制を維持していくとか、そういったいろいろな戦略を次には考えていただきたいと思いまして、そういったところで今後の展開に少しつなげていきたいと思うのですが、1つはプラットフォーム化で、より金額が厳しい中で効率化により体制を維持していくこと。技術支援者に関しては、原則はそれぞれの機関で確保した上で、どれだけ共用にできますかと。その部分はプラットフォームによってプラスアルファのサービスをして、支援者が雇われていくというのもあるかもしれませんが、そこら辺が今期の反省と、次に向けてのスタートラインといいますか、考えていただきたいという点でございます。

【西島委員】  分かりました。

【宇川主査】  よろしいですか。大変大事な論点だったと思いますが。
 では、福嶋委員、お願いします。

【福嶋委員】  利用料金については今後のところで詳しくまた議論したいのですけれども、もう一つ、一番初めに書いてあるワンストップサービスというのが非常に重要な気がするのですけれども、これは資料2-2に行くと、ワンストップサービスに向けた状況ができたという表現で、ここ2年3年でワンストップサービス化は、体制はもう整備されたと考えてよろしいのでしょうか。実際見ていると、そういう事例が余りまだ多くないような気がするのですけれども。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  ここについては、1つは今期の事業、25年度からの取組としては、光とNMRの2つのプラットフォームなので、それぞれにおいてホームページによる、ある種のワンストップ化とか、問い合わせに一元的に対応できる体制であるとか、そういったところを捉えて、ワンストップが進んだという形でやっております。

【福嶋委員】  分かりました。ありがとうございます。

【宇川主査】  その点は、ある程度はできたと書くのか書かないのかというところがありますよね。ここは一切書いていないわけですけれども。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  何をどこまで達成したら達成と言うかというのは、非常に判断が難しいところなのですが、これ自身は、本当の意味でワンストップの中でのいろいろなサービスは、まだまだやれることというのはあると思いますし、それぞれプラットフォームでまさに模索していただいているところなのですが、1つは、外から見てここにということで、ホームページだったり問い合わせだったりというところで、ランク1じゃないですけれども、あるレベルまでは達成できたというところをもってして達成ということで、この文章上は書きたいなと考えております。

【宇川主査】  よろしいでしょうか。

【福嶋委員】  正確に言うと、この資料2-2に書いてあることが非常に正確な文章で、ワンストップサービス化に向けた体制ができつつあると。ですから、来期以降は本当の意味でのワンストップサービス化を、方策も含めて進めていくというふうに理解するのが、一番分かりやすいような気がしたのですけれども。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  そのとおりです。

【宇川主査】  では、少しそのあたりは、もし必要があれば文章を多少修正するということで。

【渡辺研究開発基盤課長】  よろしいですか。今期において進められているものについては、窓口としてのワンストップサービスという意味でしたら、達成できたと言ってよいのかと思いますが、ただ、ワンストップサービスって、本当に使う側から1つの窓口で全部、サポートのところですよね。研究、測りたいもののサポートに至るところまでできる。そこまで求めると、今後拡充していくものの中においては、サポートのレベルがいろいろと違うときに、どこまでをできた、現状のものについてはできたと申し上げてよろしいのかと思いますけれども、今後の方針の中でどういうところまでを目指していくのかというのは、内容に応じた、少しきめの細かい技術が必要になってくるのかなと思っておりますので、そのあたりの記述は検討させていただきたいと思います。

【宇川主査】  ほかに。総括のところに関してでよろしいですか。

【木川委員】  先ほど、今、ワンストップサービスに……。

【宇川主査】  では、お願いします。

【木川委員】  NMRの方もワンストップサービス、かなり努力してやっているのですが、先ほどの非公開利用と公開利用のつながりとか、特に非公開利用に関しては、かなり各機関とのいろいろな、機関が定めている仕組みとの関係というのが、知財の話とかお金の話とか、そういうのが非常に複雑に入り組んでいまして、そういう意味ではそこが非常に、そこを整理するのが1つ、かなり頑張っていますが、まだまだ解決できていない。
 ただ、ユーザーから見ると、非公開利用と公開利用をある程度、特に企業ユーザーなんかはシームレスに考えているということもありまして、そこら辺がどうしてもまだ時間が、各施設・各機関のそもそもの成り立ちと、こういう制度との関係というのは整理し切れていないのですが、なるべく我々ができる範囲では、入り口を一緒にするとか、見やすくするとか、同じような条件で、少なくとも利用条件を見ることからいくと、そういうことはかなり努力してやっているつもりです。

【宇川主査】  ありがとうございます。今のも大事な点だったと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。総括部分については大体よろしいですか。
 よろしければ、今後の展開の方ですけれども、こちらは全体として3つに分けられていて、1つがプラットフォーム化の推進ですね。2番目が技術支援体制の確立、3番目が好循環モデルの確立と、3つ大きく論点をくくってありますけれども、これも順番に行くのがいいかなと思いますが、まず1つ目のプラットフォーム化の推進に関していかがでしょうか。
では、西島委員、お願いいたします。

【西島委員】  必ずしも1と2が別々とは思わないのですけれども、先ほどのお話にあったナノテクノロジープラットフォームの方でも、最後のところに技術支援スタッフの絶対数の不足というのと、次世代技術支援人材の育成ということが書いてある。これはどっちが先かということで、次世代技術支援人材の育成が十分できていないで、キャリアアップにつながっていないから、はっきり言うと、技術支援スタッフがなかなか自分のところで残らないから絶対数不足で、ただ数を増やせばいいという問題ではなくて、この中で文部科学省らしいなという技術人材の育成、養成、キャリアアップ、モチベーションアップというところを、もう少し踏み込んで記載すべきと思います。では、どう書くのだと言われると、私はちょっと答えられないのですが、そこは文部科学省が得意な部分ではないかと思うのです。ここの部分があれば、魅力あるものとして増えていくのではないかなと私は思うのですけれども、いつも人材育成というと、数が足らないから増やすと記載されて済まされている印象です。
 例えば、新しいユーザーを獲得するということに、例えば若い技術支援スタッフがみずから取りに行って、新しいユーザーを拡大していって、そのユーザーが来たときの成果というものは、単にありがとうという謝辞だけじゃなくて、論文の中に具体的な貢献度を明記するとか、国際学会で一緒に発表するとか、成果論文の中で技術支援スタッフの名前を記載するとか、その人のキャリアにつながっていくようなものを、文部科学省が推進することが重要でしょう。そういうことが前提であるということです。
 そんな事例を増やしていけばいいのだけれども、新しいユーザーを獲得するのが、新しい若い人が行って柔軟に対応したということに対しての評価が、日本では低い。例えば欧米、新しい海外の施設に行くと、若いスタッフがすごく積極的なのですね。一方、国内施設のスタッフって、自分の仕事に精いっぱいで、新しいユーザーを増やして新しい仕事を増やしたら、下手したら上司に怒られてしまうかもしれませんよね。「余計な仕事を持ってきたな」とか。そういうことがないように、その辺、もう少し踏み込んだ書き方ができないのかなと思います。

【宇川主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょう。文科省側としては、何か今の時点でお答えはありますか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  書けるところは頑張りたいと思います。確かに今、先生がおっしゃったような学会とか、国際的な学会なのかもしれませんが、そういったところでの発表の機会というのは、自身のキャリアアップも含めて、そういった要望といいますか、声は確かにアンケート調査の中でも多かったです。悩ましいのは、これを制度的にやるのか、あるいは機関の雇用の問題ではないかというところもあったりもしますが、声は声で大切にしたいなと思っております。
 そこについては、この事業の中でやる課題なのか、あるいは先ほどのナノプラの中での表彰制度みたいなもの、あるいはキャリアパスをもう少し明確化していくこと。これはまた別の事例になりますけれども、私はヨーロッパに視察で、NMRのいろいろな機関にインタビューしたときも、そこで感じたのは、非常に民間との出入りが多くて、日本で言うところの技術支援のスタッフが、その後スキルを身に着けて、今度はメーカー側だと思うのですが、民間に行くというところも、非常にそれもいろいろな給与面とか、待遇もいろいろあるみたいでしたけれども、結構積極的に出ていっているというような、キャリアパス全体を見た上で、どういう形で推奨するのがいいのかということは、もう少し腰を落ちつけて、しっかりデータも集めて、議論の必要もあるのではないかと思っておりまして、1つは、もう一つの作業部会の技術基盤の環境形成の方の作業部会でも、このアンケート調査の結果ももう少し詳細に分析していきたいと思いまして、こちらで書けるところは是非書き込みたいと思いますが、そういったところも含めて、技術支援、技術に関するスタッフ全体をどうしていくか、場合によっては人材委員会ともよく連携して議論しながら、これは本当に重要な問題ですので、中長期的にもしっかり議論したいと考えております。

【西島委員】  大学の運営費交付金も結構減ってきて、言えば言うほど結構余裕がなくなってきているのではないかなと私は思うのですね。ただ、新しいユーザーが増えていって、企業からの人、我が国全体の科学技術を支える部分からすると、この技術支援スタッフの質の高さ、それから、やっている人たちのモチベーションの高さが大変重要だと感じます。
 だから、ここに書いてありますけれども、複数企業による技術スタッフの派遣とか、そういう少し踏み込んだ策みたいなものも、こうなると利益相反も少し出てくるという、細かいことを言い出すと切りがないのですけれども、この辺も人材という切り口でうまく持っていって、新しい方につなげていったらいいのではないかなと思いました。

【宇川主査】  ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。いろいろ関係するので、別の観点でも構わないと思いますが。
 では、野村委員、お願いします。

【野村主査代理】  人材育成というのは非常に大事だと思うのですけれども、なかなか今、こういう事業の中で雇用された人たちの、ある意味、自由度というのですかね。例えば企業の研究をサポートしてやって、それだけで本当に論文になるかとか、多分何かを加えていかないと、まとまった仕事にはなかなかならないと。そういう点のある程度の自由度をキープすることと、多分コーディネーターレベルの人がその辺を細かくケアしながら、そういうことをエンカレッジしていくということをやらないと、なかなか論文にならないのですね。私たちも見ていて、次へ行くことが大事だというのもあって、だからその辺の自由度を高めていくというのが大事かなと思っています。
 また、先ほど中川さんからもありましたように、企業との間の人材交流というのですかね、余りこれまでそういう視点がなかったので、今後少し考えてやっていくということで、前回私もお話ししたのですけれども、例えば分析受託企業なんかでも優秀な人材を望んでいるはずですし、一方で大学等々はなかなか営業力がないのも事実で、その辺がお互い相互乗り入れしながら、新しい活躍の場を作っていくというのも、非常に大事かなとは考えています。

【宇川主査】  ありがとうございました。
 ほかの視点はいかがでしょうか。

【木川委員】  ちょっとよろしいでしょうか。

【宇川主査】  では、木川さん、お願いします。

【木川委員】  人材育成というと、若い人を特に育てるというのは、ある程度長期のビジョンで見てあげて、やってあげなきゃいけないところなのですが、どうしても事業は3年ぐらいという目標で回していくとなると、そこら辺の長期的なビジョンによる育成と、この事業自体の短い期間とのマッチングというのは、非常に悩ましいところでありまして、どちらかといえば早く成果が出た方がいいとなれば、余り教育的効果を考えるよりは成果を追求してしまいがちになるし、かといってそれをやり過ぎると、人が育ちにくいというジレンマがあるというのが、ずっと事業を運営してきて感じるところでありまして、ある程度、どうしても人の教育というのは長期的なビジョン、例えばしばらく海外に行って勉強してこいと言っても、3年間の事業の中でそれをやるのは非常に厳しいわけでありまして、10年とか5年というある程度長い単位でやるからこそ、少し余裕を持った運営ができるという意味では、そこら辺、答えがあるというわけではないのですけれども、非常に、運営していていつもジレンマを感じるところでありまして、人を育てる方を追求すれば、ある程度事業の成果の追求度は甘くなる部分もあるし、事業の成果を追求すればするほど、人の教育は二の次になってしまうという部分が常にあるので、そこら辺、何かうまい解決法がないかというのは、常に悩んでいるところではあるんですけれども。
 結論はないのですけれども、そういうのは実際運営する側としては、常に悩んでいるところです。

【宇川主査】  ありがとうございます。事業の年限をどの程度に設定するかというのも、かなり大事な論点ではないかなと思います。
 人材育成に議論が集中しておりますが、ほかの観点、いかがでしょうか。プラットフォーム化の推進ですとか、あるいは好循環モデル。
 瀧澤先生、お願いします。

【瀧澤委員】  私、先生方のように実際の機関の内情をよく分からない立場で、的外れの発言かもしれませんけれども、先ほどからお伺いしておりまして、全体の本文の1のところで、自立的な共用体制の維持というワードが出てまいりますが、そもそもこの事業がおのおのの機関にとって、どれぐらいこれから育っていく、持続性のあるものとして、自立的にしていこうとされているのか。恐らく今の私にとっては、今の各機関の懐ぐあいというか、帳尻みたいなところがよく見えていないところがあって、どこが課題なのかというのがよく分からないのですが。
 先ほどから人材育成のところ、たくさん指摘されていますけれども、そのほかに研究施設・設備関係の総合的意識調査というのが、資料の2-2の14ページ、15ページぐらいのところにあるのですが、下の自由筆記のところですね。充実度を上げた理由の例が左側にあって、右側に充実度を下げた理由の例というのがあって、左側は置いておくとして、下げた理由の例で、例えば14ページですと、施設の設備の老朽化や陳腐化、維持・管理が十分でない、故障した実験設備の修理ができないとか、おのおの予算上の厳しさというのがにじみ出ているように思うのですけれども、これから文科省さんとしては、自立的な方向を目指すのか、それとももっと別の方向でやられようとしているのか、そもそもその立ち位置のところがよく分からないのですが、教えていただければと思います。

【宇川主査】  課長、お願いします。

【渡辺研究開発基盤課長】  文科省としての方針が今、明確にこれだというものというよりは、本日はこちらのプラットフォームの在り方をどうしていくかということについて、集中的に御議論いただく場なのですけれども、本来は、別にそれぞれの組織にとってみれば、プラットフォームだけがあるわけではなくて、それよりももっと大きな装置を組織として維持しなければいけない人というのも現実問題にはあるわけですし、それから、プラットフォーム化をしていって、何とか機器の更新とか、人の育成というものをつないでいこうというレベルのプラットフォームにするのに適したレベル、NMRとか光ビームだとかというものに挙がっているのがその例なのですけれども、あとは、そこまでは行かなくても、数千万レベルで、もっと共用がうまく進むといいのになという装置群というのが実はありますと。ただ、そういう全体の中で一番大きなもの、本日ここで扱っていないものの、例えば共用法の装置、京とかSPring-8とかというものは、法律で特別の扱いがあって、運転経費が別途見られているわけです。
 というわけで、そういう意味では、世界のトップクラスのところはそういう手当てによって、何とか運転時間も5,000時間とか確保できていると。その次のクラスになると、率直に申し上げて、施設の維持というのに非常に苦労されているところ。その中で共有できる、共通的に皆さんで合理化できる部分については、NMR、光ビームをはじめとして、プラットフォーム化によってそういったコストというところ、あるいは涵養して引き継いでいくべき知識というのが維持できないかというところを図ろうと。さらに、本日こちらには挙がっておりませんけれども、教育プラットフォームだから、こちらはやらないのだね。その次に競争的資金の改革と併せて、それぞれの研究所単位のお金の運用をもっとうまくできるようにして、施設・設備の管理がうまくできるようにしましょうという考え方も、併せて進めていくという形にしています。
 それはもうちょっと御説明しないと分からないと思うので、長くなって申し訳ないのですが、科研費では合算で1つの設備を買うというのができるようになってきていますけれども、それ以外の競争的資金でも、自分の研究費で全ての設備を買わなければいけないとか、維持しなければいけないのではなくて、基本的に設備の類いで共用できるものは全部共用にしましょうという考え方が、競争的資金でできるようにしていくということを図っています。そういうものを皆合わせて、先ほどの人材育成にしましても、組織としての、例えばこういった技術支援に当たる人たちのキャリアパスというのが、しっかり描けるようなゆとりを持たせようと。そういう仕組みを全体として作っていますので、方針というと、そういう全体としての方針があると。
 先ほど人材の話もありましたけれども、むしろこの中で完結して、決め手になるものを意見として出すというよりは、今回初めての試みとして、技術支援の方々の調査というところで、大分自由記述の御意見をたくさん拾わせていただいたりしているので、むしろそういう個々の意見というのを表に出して、共通的な人材委員会ですとかの場でお話をしていただくと。どちらかというと、プラットフォームをどう扱うかということに加えて、あとはいろいろなところで扱う課題出しを、このプラットフォーム委員会でむしろしていくべきであると思っています。
 お答えになっているかどうか分かりませんが、全体の中で見ていくということになっておりますので、プラットフォームのみでどうするというところではないと。ただ、プラットフォームの役割というものは、今申し上げた中ぐらいの、自分のところだけではなくて、もっと広く公開してプラットフォーム化していくことで意義があるというレベルのものの扱いということを、プラットフォームの推進という中で、うまく生態系が、エコシステムができていくようなところということが、私どもの方針でございます。

【宇川主査】  ありがとうございます。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  ちょっとだけ補足……。

【宇川主査】  補足ですか。お願いします。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  自立という意味で、私自身、今までのアンケート調査とか、今の各機関にプラットフォームの提案をいろいろ考えていただいている中で感じるのは、ある種の装置の保守・メンテをやっていく中で、そもそもメンテをできる人が機関にどんどん雇用ができなくなってきて、いわゆる昔で言うと技官の方をどんどん研究者に振り替えていったり、定員削減の中でそういった管理部門といったところが落ちていったりする中で、まず機関の中に人がいなくなり、その次にはメーカー側に定期的なメンテのときには来てもらってやっていたら、今度はメーカー側がそういった装置がどんどんなくなっていく中で、では、作り続けるのかといったときに、メーカー側もどんどんその人がいなくなり、となると、日本国内でその装置を維持できなくなると思うのですね。
 そこはかなり危機的状況になるのではないかと思っておりまして、どういった分野でそれが如実に起きているかというのは、まだ十分な調査ができているわけではないのですけれども、そういった点からも、まず各機関だけで維持できないところをプラットフォームで維持していくというのは、今後の日本の研究基盤を維持していく中では重要な視点ではないかと思いまして、その点でも先ほど来、幾つか御意見も頂いておりますが、民間とうまく補完的に組むということは、今後の科学技術政策で大事な視点ではないかなと思っております。

【宇川主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。瀧澤先生、よろしいですか。

【瀧澤委員】  ちょっとまだもやっとしているところもありますけれども、また分からないことは質問させていただきます。

【宇川主査】  根本的なところだと思いますけれども、文科省さんの考え方は説明していただいたと思います。
 西島委員、お願いします。

【西島委員】  ちょっと視点が違うのですけれども。

【宇川主査】  別な視点ですね。

【西島委員】  そもそもこれ、基盤共用・プラットフォームの中に先端研究というのがあって、最先端というと、先ほど渡辺課長がおっしゃったSPring-8と京がありますけれども、この先端研究という装置というもののそもそもは、企業からすれば装置を買うということ自体がそれほど負担ではなくて、むしろ先端研究に伴うソフト面とか、融合的な価値とか、あるいは、そもそもリスクの高い研究シーズ探索をやるというものについて、企業はどこまで投入するかということで、装置を買えばいいということであれば、今の企業であれば買えないものではないというものがあるのですね。さすがにSPring-8は買えませんけれども、NMR程度であれば買えないことはないけれども、問題はソフト面ということであって、先ほどから私が人材について言っているのは、ソフト面とか融合面とか、リスクの高いような、いわゆる新しい研究というものが、そういう技術スタッフに伝えたい部分が多いということで断ったということなのです。
 そういうふうに考えると、最初の39の施設を選んだときには、高度化というものは考えないで、今ある施設をうまく維持するということだったのです。補正予算が出たからNMRについては例外的に高度化されましたが。今度の今後の展開の中には、「維持・高度化を図り」ということが記載されていますが、この部分については補正予算に頼るのではなくて、集約という言葉を使うと危険なのですけれども、プラットフォームの中で同じような装置を幾つかそろえるのではなくて、その中でもヒエラルキーを組んでいって高度化というのを戦略的に組めば、また魅力的になるということであって、この辺の高度化というものについても是非、今までのものとは違うというところはプラットフォームの中に強調してもいいのかなと思います。

【宇川主査】  いかがですか。

【渡辺研究開発基盤課長】  委員の皆様方の御賛同が得られれば、是非そういう形でアトラクティブにする方向の部分を盛り込んでいきたいと思っておりますが、若干オフレコですけれども、これまでやってきたプラットフォームの在り方というか、共用事業の在り方の中では、西島委員御指摘のように高度化というところに対して、あるいはサイエンスをどこまで高めていくかというところに対して、私の個人的な意見ですけれども、少し緩かったのかなという気がいたします。
 それで今回、プラットフォームにできた人から、高度化の中で採用していきますよと。頑張って補正予算も付けば、新しい施設もこれでできますよと、大変前向きに拳を上げておりますが、実際にそれを言われた皆様方の方では、大変に御苦労されているところだろうなと。ただ、本質的には高度化、その企業の方たちが、まさにおっしゃるように入ってくるところに意味合いを見出さないといけないわけですね。
 ということで、でき得れば、資料3の方の議論になってしまう部分もあると思うのですけれども、高度化、ネットワーク、プラットフォームになっていく中は、プレーヤーとして民間企業が顔の見える形で入っていただくということでも、というか、むしろそういったことも推奨されていくのかなと思っております。

【宇川主査】  お願いいたします。

【森委員】  先ほどの課長さんの御説明をお聞きして、この次を狙っておられる内容が大分分かってきたと思うのですけれども、資料3に一部わたる話かもしれませんが、これまでこの前身である産業連携課と呼ばれていたときにやっておられた事業は、私の理解する範囲では、産業連携課の中で全ての事業のコントロールをしておられたと思います。
 しかし、今課長さんがおっしゃったような高度化、私は高度化するためには専門性を上げないと、全く実体のないものになってしまうと思うのですけれども、そういうことも含めて、これだけ、資料3の2ページ目をちょっと横目で見させていただいているのですけれども、こういうものをプラットフォームに上げていくということをもしお考えであるのなら、私は産業連携課のときにやっておられた1つの課で、課の職員さんがこれをコントロールするのは、ちょっと難しいのではないかと。ある意味で司令塔のようなものを1つ組織として、予算の中でお作りになることが、私は必要ではないかと思っております。
 報道でしか知りませんけれども、オープンプラットフォームの考え方でありますとか、あるいは先ほど野田先生がおっしゃった省内のほかの予算によるプラットフォームも非常に活発に動いていることもありまして、こういうプラットフォームを新しく作ったときに、必ずそことの相互作用というのが出てくるでしょうし、同じ文科省の予算を有効に使う上では、司令塔のような組織を1つ作って、そこに本来の目的に沿っているかどうかという活動運営がそうなっているかを含めて、あるいは民間企業への貢献が8割程度求められておるようですけれども、そういう意識のレベルになっているのかどうか。それから、渡辺課長がおっしゃった、本来どこの機関も大もとの予算は、大学であれば運営費交付金で大方のところを賄っていて、それにこういう補助金を頂いてやるわけですけれども、そこもトータルにして運営して、初めて最大の成果が得られるということが出てくると思います。
 それは、技術支援者を雇うにしても、そういう側面がございます。私は大学におりますけれども、大学で支援者を雇うのだったら40年の覚悟が要るのです。一定の試験を合格された方から採用して、ある装置を担当していただいて、そしてその方が、これまでだったら定年までおられるとすると、40年のスパンでその方を確実に雇うお金を考えて決定されます。それはある意味、研究者のパッションだと思います。
 そういうもので初めて若手を育成していくということが可能になるわけですけれども、そういう中にいろいろなお考えの補助金などが入ってくれば、それはまたやる方で自由度は出てくるわけで、そういう総合的な中で物事を判断していく上では、これまでのばらばらに各実施機関に制御するのではなくて、何か1つまとまった司令塔のようなところで組織をお作りになって、予算の中で。それは1つのやり方ではないかと思います。

【宇川主査】  ありがとうございます。

【福嶋委員】  よろしいですか。

【宇川主査】  今の点に関係したことでございますか。その前にまず、文科省から何かお答えはありますかね。御意見伺っておくということでございましょうか。

【渡辺研究開発基盤課長】  プラットフォームの事業の運営の仕方としては、例えばプロジェクトマネジャー的な、全体にわたって見ていただく方というのを作るですとか、今後の予算の仕上がりの中で財政当局と議論しながら、これが十分に運営されていく仕組みというのを検討させていただきたいと思います。
 実際に、例えばJSTといったところでこういったプロジェクトを運用していくときには、プロジェクトダイレクターとかプロジェクトマネジャーとかオフィサーという方たちがいて、プログラムの運営自体に目配りをしているというところでございますから、それをこの委員会にお願いしますというのは、なかなか常設とはいえ、中を全部見ていただくというのも難しいところもあるかと思いますので、どうしたらうまくそういったものができるかということは、少し検討させていただきたいと思います。

【宇川主査】  はい。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  森先生の御意見で、先生がおっしゃるように、今先生の意見をお伺いして思ったのは、大学当局、本部なんかも含めて、どちらかというと我々も先生の御指摘で反省しきりなのですが、それぞれの研究室であったりとか、センターレベルであったりとか、そういったところで日頃やり取りが我々は多いのですけれども、しっかり大学の経営として、これをどういうふうに位置付けられているのかも含めて、運営費交付金で購入した装置が別にあるとか、人の雇用は当然、全体の話ですので、是非次のプラットフォームの設計のときにはそこもしっかり押さえた上で、我々は判断していかなきゃいけないと思いました。ありがとうございます。

【宇川主査】  森先生、今のことでよろしいですか。

【森委員】  はい。

【宇川主査】  それでは、次は福嶋委員、お願いします。

【福嶋委員】  今の森先生との続きになるかもしれませんけれども、先ほど課長さんのおっしゃった共用法みたいな考え方が、こういう先端機器に関しても必要になってきているという状況ではないかなと思うのですね。ですから、ある程度タックスペイヤーが納得する形で、定常的に補填すべきものは確保して、それは人材でいけば森先生がおっしゃったように40年サイクルで、ちゃんと人材が途切れないようにして入れられるためには、そういうベースがないといけない。
 ですから、共用法ほどリジッドなものじゃないでしょうけれども、その種のベースが何かというのを生み出していく工夫が必要であると。それは考えておられるのだと思いますけれども、それが先ほどおっしゃった高度化ということであり、高度化をやるということは、単なる技術支援ではなくて研究者でありますから、その人たちが、支援をすることによって自分たちの研究にもなるということでモチベーションが上がっていって、サイクルがうまくいくというためには、この事業が終わったらNMRは要らないという話ではないと思うので、この事業を契機にして、NMRも含めた大きな先端研究が、定常的にみんなに使っていけるという状況になるということです。
 実例で言いますと、我々豊田中央研究所でも各受託研究を、コストを計算して幾らかといって、いわゆる自立していけるかという試算をしたときには、とても自立していけないわけです。エックス線を1つ測るだけでも非常に高額になってしまって、ですからトヨタグループの経営者全体が共通ですねという大きなところからの認識があって、最初の出資があって、それがベースになるところがあって、共用法のベースみたいなところだと思いますけれども、そこでさらに高度化も含めて進展していくという、森先生との関係もありますけれども、先ほどの課金の問題も含めて、全て課金でやるという不可能に近いことを初めから言っているわけで、課金の部分は何を意味するのかということと、ベースが何かということを分けて、決めていただければ有り難いと思います。

【宇川主査】  ありがとうございます。
 よろしいですか。文科省の方は何かお答えになりますか。

【渡辺研究開発基盤課長】  まさに今、若干1周遅れの感はあるのですけれども、そういった施設をそれぞれの組織、それから組織を超えて、どう管理していくことがサステーナブルなのかということについて、非常に動き出しているというか、だんだんもたなくなってきているのでということもあると思いますけれども、ということも動き出しているという感じでございまして、そういう意味では、この共用事業が始まったときには、一部の熱意のある先生方が研究室ベースでこういうものを申請して運用しましょうということで、ここまで事業が進んできた感がございます。
 これを、それぞれの先生方が所属される附置研、それから大学という単位まで含めてどういうふうに考えていくのかということを、プラットフォームを強化していくという事業体制に少し性質を変換させていく中で、所属される先生とのやり取りはもちろんなのですけれども、それぞれの組織としての考え方ということも併せて一緒に議論していけるという形に、少し変えさせていただきたいと思っております。
 その中で、大学という単位で物を考えていくようになれば、例えばこういうプラットフォーム化をしていくときに取りまとめになっていただくところには、この事業のお金というよりは、管理的な経費がより多くのポーションで行くということも、ささやかな試みではありますけれども、そういったところもできていくわけでして、逆に大学側から見れば、これは1つ取ったということだけなのですけれども、ただ、そういうものを幾つか集めて持って、全体として定常状態がどのぐらい自分たちは出し入れができるのかと見ていただくということで、その中で、どういう方をどのぐらいの期間で育成していかなければいけないかなと、初めて息をついて考えることができるようになるので、もう少し大きな仕組みに連動して考えていただけるような提案にしていきたいと思っておりますので、そのあたりもまたお知恵を頂ければと思います。

【宇川主査】  はい。

【福嶋委員】  もう一つだけ。

【宇川主査】  もう一言だけ。はい。じゃ、福嶋委員、お願いします。

【福嶋委員】  今度の科学技術基本法に関して、経団連の提言が去年ぐらいに出たと思うのですけれども、その中で経団連の自己反省として、企業側の自己反省として、日本の企業は、たしかNIH症候群という表現をしていますけれども、Not Invented Hereという、自分のところで全部やりたがると。いわゆる競争前研究であっても自分でやりたがって、非常に非効率的であると。そういう意識を変えるためには、むしろこういう先生方の強力なイニシアチブで、ここまでは一緒にやりましょうというようなことをやってほしいという提言があったと思うのですね。
 ですから、まさにこういうプラットフォームのところで、先ほどのコーディネーターの方々がより積極的に、ここは競争前研究であるから協力してやりましょうというところで、企業側の意識も変えていかなければいけないと。そういうところまで踏み込んでやっていただければと思います。

【宇川主査】  ほかにはよろしいでしょうか。
 かなり高い立場というか、大きな立場からの御意見も幾つか頂いて、それは非常に貴重な意見だったと思います。そういった御意見に対して、どう応えるかということは考えていただきつつも、この文章自身は現在走っている先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業に関することかと思います。読んで分かるとおり、共用という言葉とプラットフォーム形成という2つの言葉が続いていて、来年度以降はプラットフォーム形成というところを、いかに充実したものにしていくのかというところがポイントではないか。そういう中で、単に維持だけではなくて高度化という観点、あるいは支援者、専門スタッフの方々のキャリアをもう少し充実したものにしていくためにはどうすればいいのかといった観点を含めて、事業全体を作っていく。そういう観点の文章かと思います。
 そういう観点から、今日頂いた御意見を踏まえつつ、大きく変えるところがあるかどうかということを最後にお伺いしたいと思います。これはどうしても抜けているので入れる必要があるのではないか、そういったところがもしございませんでしたら、本日頂きました御意見を踏まえた上で、委員会の報告として取りまとめたいと思います。最終的な調整は、もしよろしければ主査に一任させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【西島委員】  結構です。

【宇川主査】  お願いいたします。

【野田委員】  3ページ目の2段落目の、技術スタッフの減少は機関全体の問題であるという、このとおりなのですけれども、1つのプラットフォームとして、例えばでこぼこというか、余裕があるところとか、余裕がないところとか、いろいろあると思うのですよね。その中である程度、資料を見ていただきますと、いろいろな技術者交流もそれぞれNMRとか光プラットフォームで行っていらっしゃるので、その中で技術者がある程度流動というか、1つの機関だけに閉じ込めるのではなくて、プラットフォーム全体として、ある程度バランスをとれないのかなと。そういった施策は打てないのかなと。
 これは我々ナノプラットでも同じでして、人材に関しては、自分のところで全てを解決するのではなくて、ほかに結構流動性というのも大事だなということで、いろいろやっているのですけれども、特にNMRとか光ビームだと技術領域が非常に近いので、そういう流動性の確保なんていうのは、ある程度できるのではないかなという気がするのですけれどね。
 そういった機関の問題でもあるのだけれども、プラットフォームとして何かできないのかというのが、ちょっとここに入れられるといいなと思ったのですけれども。

【宇川主査】  それについては御検討いただいて、書ける範囲があれば修正いただくということにしたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、そういう形で、最終的な調整は主査に一任させていただきます。調整した結果につきましては、もうあさってですが、8月5日の先端研究基盤部会で報告する予定でございます。
 本件についてはこれで終わりとさせていただきます。
3件目の議事ですけれども、平成28年度の概算要求に向けて、事務局において、次期共用プラットフォーム形成事業の事業内容について検討を進めているということですので、検討状況について事務局より説明をお願いいたします。

 中川研究開発基盤課課長補佐より、資料3に基づき説明があった。

【宇川主査】  ありがとうございます。
 それでは、今の御説明について、何か御質問等ございますでしょうか。

【渡辺研究開発基盤課長】  主査、すみません。皆様に御検討いただいている間に、私が今、案で出ているものに特別の思いを言うのがどうかというところはありますけれども、一応議論のためとして申し上げさせていただきますと、今回プラットフォームの幾つか御提案を御検討いただいているものの中に、今までにないものとして、例えば7ですとか10ですとか、日立製作所さん、言わずと知れた民間企業ですが、こういったものが入っていただいて、プラットフォームの中で一定の役割を果たすということについて、今一緒に議論を頂いているということが1つございます。
 それと対応していくときに、例えば、先端計測の方でも少しお話ししていくのですけれども、ビームラインであるとかNMRというのは、先端計測という中でも非常に大事な役割の中なのですが、最初の1番のところですね。木川委員もいらっしゃいますけれども、NMRというのは世界的に見たときには、これを作っている人が2人、2社しかないというときに、例えばこの中でJEOLさん、もちろん理研とJEOLの包括協定だとか、個々のお役目というのはいろいろと現場ではあると思うのですけれども、プラットフォームの中での例えばJEOL、日本電子さんの役割というのはどういうことだろうかというのを、例えばもう一度御検討いただくということも大事なことかと思います。
 これはNMRになってしまうと特殊な事例になってまいりますので、ほかの装置を中心としたものの中で、同様のことがあるのかどうか。それから、例えば機器で得難いデータがとれるということで、皆さんで使ってマシンタイムを共有していくということが1つございますが、例えば事例で申し上げると、8番。振動台を用いた耐震研究のプラットフォームですけれども、そこから得られているデータ自体の共有が例えばできるのであれば、これもプラットフォームとしての存在意義を、より一層高めていくということもできるわけでございます。
 もちろん、仕組みを考えないと、どういうふうに成果を発表していくとか、誰とはどういう条件で共有していくということも考えていただかなければいけないのですけれども、共用プラットフォームとしては、まず機器の共有がプラットフォーム的にできればというのが、第一のクリアランスレベルではありますけれども、この中でより一層イノバティブな活動をしていくというところにおいては、これから採択基準は決めていくということになると思いますけれども、どういうプラットフォーム、どういう特色があり得るのかというところは、少し御指摘を頂けますと、この事業の目玉にしていけるのかなと思っております。

【宇川主査】  ありがとうございます。
 お願いします。

【西島委員】  そういう意味では、これまでの39というのではなくて、プラットフォームとしてお互いが刺激になるような、優れた先端企業が積極に入っていくし、場合によっては今までこういう中で動いていたばらばらのソフトみたいなのを1本、世界標準をとりに行くみたいな動きとか、あるいはインフォマティクス担当人材を育てるとか、そういうところを踏み込んでという、公募ですから、そういう提案をされて前向きなところには、先ほど言った高度化というのがおのずから付いてくるという積極的な捉え方でよろしいのですね。

【渡辺研究開発基盤課長】  はい、期待しております。

【西島委員】  そのときに、前は産業界に使ってもらうとか、産業利用枠とか、トライアルユースとかいうのが、かなり私たち産業界からすればうれしいものがあったのですが、あの辺はある程度残せるというか、例えばトライアルユースとか。トライアルユースというのと、うまくいったら成果を発表しないというのはどうなのというのは、課長の頭の中にあると思うのですが、先ほど言いましたようにトライアルユースというのは、とても私はよかったと思っています。
 それから、いい成果が出ているからこそ、対価を払って成果を出さないという企業の部分があると思うので、この辺はある程度残していく必要があるかなと思うのですけれどね。

【渡辺研究開発基盤課長】  よろしいですか。

【宇川主査】  はい、お願いします。

【渡辺研究開発基盤課長】  御指摘のとおりだと思いまして、これはいろいろな装置で分けているものもあれば、目的で分けているものもあるので、まさにその業態とか業界に応じたバランスというのがとても大事ですので、そこのところを是非強調した御提案を頂けるようなところですと、非常にプラットフォーム事業として、私どもは冬に掛けて予算を頑張って確保していかなきゃいけないのですけれども、非常に強い武器を頂けるかなという気がいたします。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  よろしいですか。

【宇川主査】  はい、お願いします。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  トライアルユースなのですが、恐らくこの中で一番反対しているのは私ではないかと思っているのですが、トライアルユースは公開なので、どんどんホームページにも皆さん、成果を出していただいているので、それを私も勉強させてもらいに見ていたりするのですけれども、なかなかこれをどう政策として評価していいのか、次にどうつながったと考えればいいのかとか、非常にそこの効果が不明確で、なかなか、トライアルユースでこうだから、この事業はこうなのだというのが説明できない、非常に不明確なものに今なっている。
 これは反省しなきゃいけないのは、トライアルユースの制度設計、あるいはトライアルユースの結果何を測ったかを、しっかり見なきゃいけなかったなと思うところは反省しているのですが、今と同じ形のトライアルユースを続けては、また同じことを繰り返すだけなので、私は基本的に、単純なトライアルユースは断固反対だと思っておりまして。
 ただ、トライアルユースの結果が何につながるのかというのを、逆にプラットフォーム側からしっかり提案を頂いて、1つ、いろいろなプラットフォームさんと議論させていただいている中では、戦略的な課題設定をしていただいて、それに対して応募してもらうとか、あるいは、これは実際もうNMRとかで取り組まれているかもしれないのですが、これを測れないかと持ってきた側としては、思ったものが見えなかったら失敗だと思うのですけれども、その中で、1回装置を回したというところでは、何かしらのデータが出ているのではないかと思うのです。そういったところをしっかりプラットフォームとして積み上げていくような仕掛けを中で入れていただければ、そこに対して公費を払ったということに対して、説明は付くのではないかと思っておりますので、是非、単純なトライアルユースではなく、プラットフォームのメリットが出てくるようなものを提案で頂きたいと思っております。

【西島委員】  そういう意味で、私はトライアルユースを推進している方なのですけれども。多分、隣のトヨタさんもそうだと思うのですけれども、大手といってもプロジェクトは細分化されていて、現場に行けば行くほど、先端施設を使って何がよかったのか、どういう特徴があるのかかというのを上の方に上げるとき、こういう先端施設を利用して、従来の施設では実施できない成果を示して差別化できることを見せるのが一番だと思うのですね。
 そのときに、成果公開のトライアルユースというのは比較的、トライアルユースならやってもいいよと言うのですけれども、いきなり自社独自のテーマについて先端施設を利用して、成果公開・非公開に持っていくというのは、結構ハードルが高いと思うのですね。だから、トライアルユースをやって、それから成果公開して、それから先、非公開で、予算プロジェクトに持っていくという流れが宜しいとの印象ですので、そういう取っ掛かりとしては、私は、トライアルユースはなかなかいいのではないかなと思っています。
ただし、のべつやるなということに対しても、私はよく分かります。その辺は必要だと思うのですが、成功事例として、SPring-8も含めてトライアルユースは成功しているのではないかと私は思っています。

【宇川主査】  トライアルユースに関してはこのぐらいにしておいていいのではないかと思いますが、ほかの論点をお持ちの方がいらっしゃると思いますので、いかがでしょうか。
福嶋委員、お願いいたします。

【福嶋委員】  先ほど課長さんがおっしゃった、この提案の中には装置のものと目的のもの、志向もありますね。装置のものは何となくプラットフォームとして考えやすいのですけれども、ある目的に向かうもののプラットフォームというのは、どういう考え方でプラットフォームになるのかなというのが、急には理解できないのですけれども、その辺はどういう考え方で作ろうとなさっているのでしょうか。

【宇川主査】  これは2枚目の、今出ている提案を見て、そこはどう整理するのかという御質問ですね。

【福嶋委員】  そうです。

【宇川主査】  いかがでしょうか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  ここは本当に我々も迷っているところでして、幾つかの提案についてはもう少し機能的な面での枠組みかなという議論も、プラットフォームとさせていただいたのですけれども、例えば5番なんかの原子・分子の顕微イメージングで、それはこの前、森先生からも御指摘ありましたけれども、一番コアとなる機器を中心に考えると分かりやすいものになるかなと、今は考えておりまして、そういった中で、マルチという分類にさせていただいているところは、先生おっしゃっているように、機能での説明というのはなかなか、分かりやすくという意味では非常にハードルが高いところですが、それぞれのプラットフォームとお話をさせていただいて、今これが一番分かりやすいかなというので、頑張って書いている状況です。これは本当に引き続きブラッシュアップが必要だと思っております。

【宇川主査】  よろしいですか。

【福嶋委員】  はい。

【宇川主査】  まだ整理ができていないというお返事かと思いますが。
 ほかに御意見、いかがでしょうか。来年度の概算要求に向けてのこの資料、大体よろしゅうございますか。

【西島委員】  ざっくり。

【宇川主査】  最後、簡単にお願いします。

【西島委員】  予算を取ることから言いますけれども、渡辺課長の頭には何個ぐらいプラットフォームを作ろうかなということを描いて想定しているのでしょうか。大体でいいので。予算を取れればたくさんだよという答えだと思うのですけれども。

【渡辺研究開発基盤課長】  お約束できるものではないのですけれども、できれば採択は1桁でも後ろの方、2桁に近いところが成立するか、若しくは一つ一つのプラットフォームの配分額を大きくできるようにしたいと思っているのですが、財政状況厳しい折、なかなか難しいなと。
 というよりは、プラットフォームになったことによって、いろいろな機器のアップデートが非常にスムーズに、計画的にできるというようなメリット部分を、より明確に付けられるような事業にしていきたいので、数でいくと最後は一個一個の金額を小さくすれば数は増えるので、そういう適した枠組みで、それが5つの中で、例えば数億レベルのものがある方がいいというのであれば、そういう仕組みにしていきたいと思っています。今はまだ両方とも満たすように頑張っていますが。

【宇川主査】  ありがとうございます。
 大体よろしゅうございますか。それでは、本件についてもこれで閉じさせていただきます。
前回、それから本日の委員会で、現在走っている先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業、それから本日は、ナノテクノロジープラットフォームについて取組を振り返るということと、それらを踏まえて、次期共用プラットフォーム形成に向けた御議論を頂きました。それで、本委員会では本日の委員会報告を踏まえて、引き続き、次期共用プラットフォーム事業の事業内容について検討を進めていきたいと思っておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か連絡事項等はございますでしょうか。

 中川研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュールの確認があった。

【宇川主査】  それでは以上をもちまして、第2回研究設備共用プラットフォーム委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

── 了 ──

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