資料4 共用プラットフォーム形成に係る論点

短期的な検討事項
○共用プラットフォーム形成の効果
・利便性向上(ワンストップサービス、測定方法の効率化、データフォーマットの標準化、複数施設利用)
・技術支援者等の人材育成・確保・流動化
・技術の改良・高度化(共用施設・設備の開発者側との連携)
・データポリシー作成(プラットフォームとしてのデータ蓄積)
・プラットフォームの特性に応じた成果
・新たな共用システム(マルチスケール・マルチデバイス)の構築


中長期的な検討事項
○共用対象施設の範囲(先端装置、汎用装置等)
○共用施設の利用者の範囲(アカデミア、産業界)
○共用施設の利用形態(トライアルユース、成果公開・非公開)
○共用施設の開発者との連携(ユーザーニーズの把握、運用管理の効率化)
○共用施設の利用料収入の設定


参考
○文部科学省における共用プラットフォーム事業
・光ビームプラットフォーム
・NMR共用プラットフォーム
・ナノテクノロジープラットフォーム
・革新的ハイパフォーマンスコンピューティングインフラ(HPCI)


(参考)
科学技術基本計画等における共用プラットフォームの位置づけ
○第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)

・我が国が直面する重要課題への対応
2.重要課題達成のための施策の推進
(5)科学技術の共通基盤の充実、強化
  a)共通的、基盤的な施設及び設備の高度化、ネットワーク化
 科学技術に関する広範な研究開発領域や、産学官の多様な研究機関に用いられる共通的、基盤的な施設及び設備に関して、その有効利用、活用を促進するとともに、これらに係る技術の高度化を促進するための研究開発を推進する。
 また、これらの施設及び設備の相互のネットワーク化を促進し、利便性、相互補完性、緊急時対応等を向上するための取組を進める。

・基礎研究及び人材育成の強化
4.国際水準の研究環境及び基盤の形成 
(1)大学及び公的研究機関における研究開発環境の整備 
  b)先端研究施設及び設備の整備、共用促進
 整備や運用に多額の経費を要し、科学技術の広範な分野で共用に供することが適切な先端研究施設及び設備については、これまで公的研究機関が中心となって整備や運用を進めてきた。このような最先端の研究施設及び設備は、優れた研究開発成果の創出や人材養成において極めて重要であるが、公的研究機関に対する財政支援が減少傾向にある中、その維持管理の在り方が問題となっている。このため、公的研究機関等が施設及び設備の整備や運用、幅広い共用促進を行うことができるよう取組を進める。

<推進方策>
・国は、公的研究機関を中心に、世界最先端の研究開発の推進に加えて、幅広い分野への活用が期待される先端研究施設及び設備の整備、更新等を着実に進めるとともに、その着実な運用や、「共用法」に基づく施設など世界最先端の研究施設及び設備について共用を促進するための支援を行う。


・公的研究機関等は、保有する施設及び設備の共用を促進するとともに、これを利用する研究者や機関の利便性を高めるため、安定的な運転時間の確保や利用者ニーズを把握した上での技術支援者の適切な配置など、利用者支援体制を充実、強化する。また、優れた研究成果が創出できるよう、共用に際して、研究課題の公募や選定の在り方を含め、より成果が期待される研究開発を戦略的に実施するための方策を講じる。


・国及び公的研究機関は、分野融合やイノベーションの促進に向けて、飛躍的な技術革新をもたらし、幅広い研究開発課題に共通して用いられる基盤技術の高度化につながる研究施設及び設備の整備を進めるとともに、相互のネットワークを強化する。

 
・国は、自然災害等の影響で、公的研究機関等が保有する先端研究施設及び設備の安定的、継続的な運用に著しい支障を生じるような場合、これらの復旧や高度化に向けて柔軟な支援が可能となるような仕組みを整備するとともに、国内外の施設及び設備等の利用を支援するための取組を進める。

○科学技術イノベーション総合戦略2014~未来創造に向けたイノベーションの懸け橋~(平成26年6月24日閣議決定)

第3章 科学技術イノベーションに適した環境創出
(2)イノベーションシステムを駆動する~分野や組織の枠を超えた共創環境の実現~ 
  c)研究推進体制の強化
 この総合戦略では、関係機関との連携の下、資金配分機関が中核となって、研究マネジメントや研究支援に係る人材を国全体で継続的かつ安定的に育成・確保し、一人一人の持てる能力を活かせる活躍の場を提供できる仕組みの整備を重点的に推進する。また、こうした人材の適材適所を目指した流動化の促進、キャリアパスの多様化に資するよう、各機関の研究支援に係る人材の全国的なネットワーク化の推進に取り組む。その際、支援の類型ごとに求められる知識やスキルを明確にして、研究支援に係る職種を研究者と並ぶ専門的な職種として確立し、社会的認知度を高めることに留意する。

<主な関連施策>
・研究設備利用に係る技術補助に留まらず、最先端設備の機能と研究課題の双方に精通し、研究課題の対応策の提案が可能な優れた技術支援者等の育成・確保と、流動化やキャリアパスの構築に向けたネットワーク化・プラットフォーム化の推進【文部科学省】

○我が国の中長期を展望した科学技術イノベーション政策について~ポスト第4期科学技術基本計画に向けて~(中間取りまとめ)(平成27年1月20日 科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会)

第3章 イノベーション創出基盤の強化
2.イノベーションの源泉の強化
(2)研究開発活動を支える共通基盤技術、施設・設備、情報基盤の戦略的強化 
  d)産学官が利用可能な研究施設・設備の整備、共用、プラットフォーム化
 世界最先端の大型研究施設や、産学官が共用可能な研究施設・設備等は、その施設・設備等を通じて多種多様な人材を集めることが可能であり、科学技術イノベーションの創出の加速が期待される。このため、これらの施設・設備等の整備・運用や施設間のネットワーク構築によるプラットフォーム化を戦略的に実施していくことが重要である。

(世界の科学技術イノベーションを牽引する最先端大型研究施設の整備、共用)
 我が国の大きな強みとも言える世界最先端の大型研究施設について、海外を含め、産学官の幅広い分野の研究者等が最大限活用できる体制を構築し、持続的に強化していくことは、世界に先駆けた科学技術イノベーションの創出と、国際的な研究ネットワークの構築、産学官連携や異分野融合の促進等にとって有意義となる。
 このため、政府は、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」で指定されている最先端の大型研究施設について、産学官の幅広い共用と利用体制構築、計画的な高度化、関連する技術開発等に対する適切な支援を行う。また、施設間のネットワーク構築等の取組を促進し、各施設における利用者視点に立った整備・運用体制の持続的な改善を促す。
 また、産学官の広範な研究者が利用可能な最先端の大型研究施設の整備・高度化の在り方について、学術研究の大型プロジェクトに関するロードマップ等も参考にしつつ検討を進めるとともに、2020年を目標として、次世代スーパーコンピュータ(ポスト「京」)の開発・整備を計画的に推進する。

(研究施設・設備、知的基盤の共用、高度化、プラットフォーム化)
 最先端の大型研究施設のみならず、大学、公的研究機関等が有する多種多様な研究施設・設備等を内外に開放し、複数の研究者等が利用できるようにすることは、施設・設備の有効利用に資するばかりでなく、共同研究の進展や融合領域の開拓など、新たな知の創出と人材交流に効果をもたらす。さらに、それらの施設・設備等を産学官の研究者等の幅広い利用に供することは、産学官連携の本格化を通じて、民間企業等の科学技術イノベーション活動の加速に貢献するとともに、施設・設備等を所有する大学、公的研究機関等における研究活動の更なる充実等を可能とする。
 しかし、大学や公的研究機関等において、自ら所有する施設・設備等を積極的に内外に開放しようとする取組は必ずしも十分に進んでいない傾向にある。このため、政府は、幅広い研究分野・領域や産業界を含めた幅広い研究者等の利用が見込まれるような研究施設・設備等の産学官への共用取組を積極的に促進し、我が国全体として共用施設・設備等を拡大していく。
 その際、研究施設・設備等の利便性向上と成果創出の加速の観点からの取組も重要である。このため、政府は、共用施設・設備等に関して、技術的特性や利用者視点に応じてネットワークを構築する「共用プラットフォーム」の形成を促進する。なお、それぞれの共用プラットフォームにおいては、産学官の研究者の利便性向上やリスク分散のための利用体制を整備するとともに、プラットフォーム参画機関による、各施設・設備の戦略的な高度化や、技術者・技術支援者等の育成・確保等の取組の実施など戦略的な経営が求められる。
 また、研究施設・設備のみならず、バイオリソースやデータベース等の知的基盤を、広く産学官の研究者の利用に供することも重要であり、政府はこれらの知的基盤の整備・共用のための取組をより効果的・効率的に推進する。

3.持続的なオープンイノベーションを可能とするイノベーションシステムの構築
(3)イノベーションシステムを支える人材(イノベーション促進人材)の育成・確保
  新しいイノベーションシステムを駆動させるには、イノベーションシステムを支える多様な人材(イノベーション促進人材)が重要である。
  イノベーション促進人材としては、大学や公的研究機関等におけるプログラム・マネージャーやリサーチ・アドミニストレーター等の研究マネジメント人材、研究施設・設備等を支える技術支援者、ベンチャー企業等を興すアントレプレナー、地域の産学官連携を支えるマッチングプランナーといった幅広い人材が挙げられる。これまでの基本計画においては、研究者の育成・確保に重点を置いた取組が進められてきたため、こうした多様な人材の育成・確保に向けた取組は必ずしも十分には進められてこなかった。
  我が国が科学技術イノベーションを強力に進める上で、研究者と並んでこれらの人材は等しく重要であり、社会全体で、イノベーション促進人材の育成・確保と研究現場等における地位の確立に速やかに取り組んでいく必要がある。このため、政府は、職種ごとに求められる知識やスキルを一層明確にしつつ、以下に提示する点に留意しながら、人材の育成・確保のための取組を促進する。

(技術支援者の育成・確保)
 研究施設・設備等を支える技術支援者の育成・確保に当たっては、大学や公的研究機関等における社会的地位の確立と、適切な評価の下での明確なキャリアパスの確立が求められる。加えて、研修の機会の充実や、産学官の優れたシニア人材の活用といった取組も求められる。その際、共用プラットフォームをはじめとする、大学、公的研究機関、民間企業、地方公共団体等の複数機関の連携による取組の実施も有効な手段となる。

○基本計画専門調査会中間とりまとめ(素案)
(平成27年4月23日 総合科学技術・イノベーション会議 基本計画専門調査会)

6.基盤的な力の育成・強化
(2)知の基盤の涵養
(横断的・基盤的な科学技術の強力な推進、知の基盤としての研究環境整備)
 未来の産業創造や社会変革を先取りし、経済・社会的な課題を解決していくためには、これらを横断的に支える基盤的な科学技術を強力に推進することが必要である。
 また、知の基盤として、大学や公的研究機関における研究環境整備を持続的に行う。
 具体的には、情報基盤は、研究開発活動、成果の発信、人材育成など、あらゆる科学技術・学術活動を支える情報インフラとして、我が国の科学技術イノベーション政策にとって必要不可欠な役割・機能を担っている。特に、知の創出に新たな道を開くとともに、イノベーションの創出につなげることを目指したオープンサイエンスという国際的広がりに対応できる研究データ基盤等の強化は緊急である。
 また、世界最先端の大型研究施設や、産学官が共用可能な研究施設・設備等は、その施設・設備等を通じて多種多様な人材を集めることが可能であり、科学技術イノベーションの創出の加速が期待される。このため、これらの施設・設備等の整備・運用や施設間のネットワーク構築によるプラットフォーム化を戦略的に実施していくことが重要である。さらに、研究施設・設備のみならず、バイオリソースやデータベース等の知的基盤を、広く産学官の研究者の利用に供することも重要であり、政府はこれらの知的基盤の整備・共用のための取組をより効果的・効率的に推進する。

お問合せ先

文部科学省 科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

橋本、麻田、加藤
電話番号:03-6734-4098(直通)
ファクシミリ番号:03-6734-4121
メールアドレス:kibanken@mext.go.jp

(文部科学省 科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)