研究基盤環境形成作業部会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成27年4月17日(金曜日)15時00分~16時00分

2.場所

TKPガーデンシティ京都2F紅葉

3.議題

  1. 研究環境の整備に向けた検討について
  2. その他

4.出席者

委員

原田主査、江端委員、隠岐委員

文部科学省

麻田研究開発基盤課研究基盤整備係長

5.議事要旨

科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
研究基盤環境形成作業部会(第1回)
平成27年4月17日


麻田研究基盤整備係長より、主査の紹介と配付資料の確認があった。

【原田主査】 それでは、資料1-1から1-3に基づいて、本作業部会の設置及び委員の紹介を事務局からお願いします。

麻田研究基盤整備係長より、資料1-1、1-2に基づき説明があり、資料1-3に基づき出席者の紹介があった。

【原田主査】 では、次に運営規則等について説明をお願いします。

麻田研究基盤整備係長より、資料2-1、2-2に基づき説明があった。

【原田主査】 それでは、本案を、研究基盤環境形成作業部会の運営規則、公開の手続として決定してよろしいでしょうか。
では、異議なしということで、了承されたことになります。
次に、共用取組状況に関するアンケート調査結果に入ります。資料3について事務局から御説明をお願いします。

麻田研究基盤整備係長より、資料3に基づき説明があった。

【麻田研究基盤整備係長】 本調査の内容につきましては、江端委員にも御協力いただきながら進めております。江端委員から本調査の全体について改めて御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【江端委員】 今、麻田係長から非常に細かく御報告いただきましたので、詳細につきましては、後ほどまた議論することに致します。まずこの調査についてですが、これまで研究支援者というカテゴリーの方々に関して、ここまで細かい実態調査をしたのは初めてだと思います。私の周囲にも優秀な技術支援者の方々がたくさんおりますが、このような実態調査の結果は非常に優秀な研究支援者の方々がいらっしゃるというエビデンスにもなるのではないかと考えています。
現在、政策上一般的に認識されているような研究支援者の方々は、この実態調査の結果にもありますように、以前よりも高学歴化していまして、高い論文執筆能力や研究能力を兼ね備えているような方々が多くなっている傾向にあると思います。こういう方々がより活躍できるような環境を考えていくために、今回の作業部会の中でいろいろと議論を進めていきたいと考えているわけですが、具体的には技術支援者の方々の待遇面とかキャリアパス、あるいは、作業環境というものを検討していかなければいけないのではないかと考えております。
本件に関しては、現在進められているような分析機器の共用事業、冒頭ありましたように「先端研究基盤共有プラットフォーム形成事業」といった事業との関連性は非常に深いと考えております。そのためには、新たな環境をつくるというよりも、現在のリソースをいかに活用するかというところに本件に関する大きな課題を解決するための突破口があると私は認識しています。
今回の調査結果はその基礎となるような重要なデータだと考えております。現時点ではこういったデータとして見える化されてまとめられているものでありますので、このようなデータから細かい分析というのは現時点ではまだできておりません。ですので、今後このようなデータを使いながら、これまで見えてこなかったような課題を発見していって、本作業部会で議論をさせていただければと考えております。
このようなデータ解析については、次回の作業部会に向けて、私を中心に、中川課長補佐や橋本係長と一緒に検討させていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
以上です。

【原田主査】 ありがとうございました。
それでは、本件について何かご質問や御意見ございますでしょうか。

【隠岐主査代理】 質問をよろしいですか。よく知らないので教えていただきたいのですが、技術支援者の中で研究者が20.5%と書いてあって、これはこの後ほかの大学の教員になるなど、単にキャリアチェンジするような人という理解でいいですか。

【江端委員】 はい、それでいいと思います。
ただ、技術支援者というカテゴリー自体が現時点で非常に曖昧な表現でして、アンケート調査をつくる際に、「技術支援者」という方がどこの範囲まで、どういった方々に対してこのアンケートを進めていくかということに非常に苦慮したという経緯がありまして、今回の定義においては、分析機器共用にかかわっている研究者、技術職員や技術補佐員など共用機器にかかわっている方々を対象として考えましたので、研究者の方もこのアンケート調査の対象として含まれているという状況です。

【隠岐主査代理】 では、自覚としては研究者であるということだけれども、共用機器にかかわっている人が20%ということでいいのですね。

【江端委員】 はい。

【隠岐主査代理】 もう一つだけ。資料3の2ページの下から5行目で「次の職が決まっている人の博士号の有無には差がない」というのは、どういうふうに解釈したらいいことなのかというのがわからなかったので、伺いたいと思います。あと上の方にも、博士号の有無について「定年制」と「任期制」で書いてありましたけれども、これは単なる事実の記述であるのか、例えば何か問題がある事態なのかというのを判断として知りたかったということです。

【江端委員】 質問の趣旨は理解しました。
まず、正直に申しますと、この報告書自体、文部科学省が未来工学研究所に委託して調査をしました。私がこの報告書を頂いたのは昨日の段階でして、まとめた書類の解析に関しては私自身まだ行えていない状況です。未来工学研究所さんと何度かメールでディスカッションしながら、ポイントを押さえてまとめてくださいねということはお伝えしているのですけれども、現時点での結果としてこういうところが見られたというところでとどまっているという状況です。

【隠岐主査代理】 なるほど。では、背景とか、博士号が十分に評価されていないという話になるかはこれからの分析次第と。そうではなくて単に適材適所なのだけれども、この結果ではこうなったのかもしれないと、どっちかわからないと。

【江端委員】 その辺も含めてこれから検討していきたいなと考えているところです。実際、ここのまとめにも出てきていますように、今回の対象者としては、博士課程修了者が38.4%だったとか、博士号の保有者が42.7%であるということで、冒頭申し上げたとおり高学歴化していると。非常に優秀な技術を持った方々が多いということも見えてきておりますので、そういった方々の今後のキャリアパスを考える上では、この定年制とか任期制という分類の仕方も重要なポイントだと思います。その辺も含めて、この結果を基に新たなデータの組合せを検討しながら課題の発見を行い、更に課題を解決するためにはどうすべきかということについて議論を進めていきたいと思っています。

【隠岐主査代理】 わかりました。ありがとうございます。

【原田主査】 次の職のところで、定年制は技術支援者が多く研究者が少ないというのが、いかに研究職の定年制のポジションが少ないかということを象徴していることなのかなと思い、興味深く見ました。

【江端委員】 そうですよね。こういったところも非常にわかりやすく出てきています。ポイントとしては、今回、過去と現在と未来という形で分類したアンケート調査を行っていますので、これまで何をしてきたのか、今現在何をしているのか、今後どうしていきたいのかというところも含めて、トータルで結果として見えてくるのかなと思います。我々のデータ解析の仕方によって、もっと面白い結果が見えてくるのかなと期待しているところです。
例えば、「現在の雇用財源」というところで研究費の獲得の話も出てきていますが、科研費をこれまで獲得したことがあるのか、今現在獲得しているのか、あるいは、今後獲得したいと思っているのかというようなところも調査しております。つまり、技術支援者というカテゴリーの方々の研究に対する意欲というのも、こういうところに反映されてくるのかなと思っております。

【隠岐主査代理】 今、24ページを偶然開いて思ったのですけれども、博士号を持っていて、研究者的な時間がある方というのは、つなぎの仕事としてこれを捉えているという理解でいいのですかね。

【江端委員】 はい、そういった方が多いのではないかと推測できます。要は、先ほど原田先生がおっしゃったように、研究者のキャリアパスというところ、次がなかなか見えてこないときに、技術支援に回る方々が今は結構多いのではないか。ただ、技術支援に関しても、その次が頭打ちでなかなか進められないので、どこからパスをつくっていったらいいのかということも検討できるのかなと考えております。
したがって、本調査は細かいことが多数書いてありますが、是非先生方にも一緒に御覧いただいて、多角的に議論をさせていただければと思っています。

【原田主査】 このデータはどのような形式のファイルになっていますか。アンケートはどのような形でやられたのでしょうか。

【江端委員】 アンケート用紙はエクセルですべて項目立てしております。また、データを回収後に、解析しやすいように、例えば、項目ごとに選択肢あるいは自由記述といった形で適した回答形式をとしてあります。

【原田主査】 どうもありがとうございました。
では、続いて、隠岐委員から、多様な人材が活躍できる研究環境づくりのための取組について、御紹介ください。

【隠岐主査代理】 資料4-1をごらんください。
この資料を説明しますと、サイエンストークスという、民間企業が主催した、第5期科学技術計画のことをみんなで話し合おうというイベントがありまして、それに参加していました。
1枚目の右下に雰囲気がわかるようなページがありますけれども、イベントを開催して、テーマを決めて、テーマごとにそれぞれ話し合うということをしました。多様性というのはテーマの一つでして、私はそのテーマのリーダーのようなことをやっていた。ただ、正直申し上げますと、私自身は人文系の科学史の研究者でして、専門とは少し違うことをやったというのを一応御説明しておきます。なので、これからある内容というのは、基本的にはサイエンストークスで、集合知というか、人が集まって話し合った内容をまとめたものです。それから、多様性というので私が知っているいろいろな専門の方々にメールを投げて答えていただいた、そこからまとめたものも入っています。

隠岐委員から資料4-1の詳細な内容について説明があった。

提案として、サイエンストークスに出されたのは、提案1というところをごらんいただきたいのですが、多様性を排除しない研究環境づくりをしていけないかということが提案として出されました。
1つ目は、ハラスメント対策を徹底する、それも研究環境という意味で考えていくということ。ライフラインを設置するとか、そういったものを強化していけないかという話です。
2つ目は、これが今日の作業部会に私がかかわった一番大きな提案なのですけれども、いわゆる外国人、障害者、性的少数者等々、様々な人々の差別事例の事例集というかデータベースをつくって、対策に役立てることはできないかということ。
3番目は、タイプ、立場・条件に応じた互助的な全国的な研究者ネットワークの創出を支援できないか。これは聴覚障害の方から提案があって、自助的なネットワークをつくりたいのだけれども、どうしていいかわからないということを言っていたというのがありました。
提案2もサイエンストークスでの提案ですが、「大学外」及び「大学内外」の研究活動を支えるインフラづくり、共有スペースが欲しいと。これは分野によっていろいろニーズがあると思うので、結構当事者研究に偏っていますけれども、公民館みたいなところで研究活動をすることがもっと認知されると有り難いという話があったと。あと、大学の公共施設などの使用条件をもう少し緩くできないかというふうな提案があったということです。
以上、こんな感じの提案が出たというのが、サイエンストークスなのですが、資料4-2をごらんください。これは、さっき申し上げた事例集のひな型みたいなもので、実際に資料をつくっていく上で記録しておきたいような話がいろいろ出てきたのですね。
例えば、3ページ目あたりに差別の事例を出してくださった方がいらして、聴覚障害があって大学教員として勤務されている方の話です。真ん中のあたりですが、学内に障害のある教員を受け入れる態勢ができるまで不採用にしたらどうかということで、採用されなかった事例があるという話を挙げられていて。こういうのは知らないからこそ起きてしまうような問題ということがあるかと思うのですね。そういったことを繰り返さないようにしていくために、何かできることがあるのではないかということが結論として出てきました。
ほかにもいろいろ細かいことを書いてあって、記述のレベルにばらつきがあると申しますか、体験談的なものもあり非常に粗いのですが、当面の方向性としては、先ほど挙げたICUにおけるジェンダー関連の取組のセンターとか、広島大学のアクセシビリティセンターなどにもう少し話を聞いて、あとは何らかの形で体験談といったものを吸い上げるようなことを考えています。
とりあえず私の方からは以上です。

【原田主査】 ありがとうございました。
何かご質問、御意見ございますか。

【江端委員】 よろしいですか。最後に広島大学のアクセシビリティセンターやICUを例とした話がありましたが、全国的にこういった取組をされている例というのはそれら以外に幾つぐらいあるのでしょうか。また、それらはどの程度広がっているのかというのを大まかに教えていただければと思います。

【隠岐主査代理】 これの個別の項目について言えば、障害に関してはかなり取組があるはずなんですけれども、研究環境という枠でやっているわけではないということですね。大学の特に学部の教育を中心にいろいろな対策がとられているけれども、例えば研究者として研究資金を使って手話の通訳を配置してという話になると、想定外の事態が出てくるということを聞いています。今回ちょっと偏りがあって視覚障害とか精神障害になると余りカバーできていないのですが、そういうわけで研究における取組はほとんどないようなことも聞いています。
他方、性的マイノリティ、いわゆるLGBTだとかになると取組が進んでいない、ようやく渋谷区で同性カップルを地域レベルで「結婚に相当する」諸権利をあたえる条例が話題になったというレベルなので、これまでに大学で例えば大学院生が何か施策を期待できるかというと何もなかった、私は何もなかったと聞いています。

【江端委員】 そうだとすると、この「研究環境として」という観点で見たときに、それを具体的にクリアするための施策というか、この作業部会で議論する上で具体的にどのような研究環境が理想的であるといったような、最終的なゴールというのですか、これは確か2年間かけてやる部会だと聞いていますので、2年後のゴールとしてどういったものがイメージできるといいのかなというのを率直にお聞きしたいなと思います。すみません、私は余りその辺イメージできていないので。

【隠岐主査代理】 いえいえ、非常によい御質問かと思います。
中川さんとも話し合ったのですけれども、当面の目標は事例集づくりになると思うのですね。それも秋とか今年度内をめどに仕上げて、ここにあるかなり不完全なものを、後半をもう少し広がりを持たせると。どこまでとかどういうふうにするかというのもまだ固まっていない、いわば第一歩を踏み出したレベルという感じだと思っています。
それをまずつくった後どうするかは相談しましょうみたいな感じになっていまして。ただ、理想としては、例えば、もしないのであれば、既に国内にあるいろいろな取組がうまく周知されるというのかな、これが当然なのだということを、少なくとも情報のレベルで行き渡らせる何かを修得する。
例えば、ハラスメントだったら講習会を徹底するとか考えられます。数値目標をつくれるようなことなのか、設定してみるべきかなど、そういうことが具体的に適切なのかどうかもここで話し合う必要があると思うのですけれども。いずれにせよまだ調査段階なのかという認識を持っています。イメージとしては、既に日本によい取り組み事例があるのだけれども、全国的にはすごく偏りがあるから、それをなくしていくというふうな感じで私は捉えています。

【江端委員】 わかりました。ありがとうございます。

【原田主査】 調査をやるときにどのようにしていくのが良いのか、どのようにしたら調査を広く万遍なくできるのでしょうか。

【隠岐主査代理】 それは難しくて。

【原田主査】 戦略はありますか。

【隠岐主査代理】 その戦略自体をアクセシビリティセンターとICUのCGSというのですけれども、そこに聞こうというレベルなのです。というのもそれぞれ全く違う問題ですので。多分私が一人でやるべきことではなくて、2人か3人かそれぞれの専門家がいないといけない話を今無理やりこうして入れていただいていると。なので、この後もしこの方向性での取組が進むなら、2年後は専門の方が複数入るような状況を想定するとして、私はその準備をするべきだろうなと思っているのですね。そういうわけで、調査方法はこれから検討していく。なぜかというと、それぞれとても難しい問題で、全く違う問題が出てくることですし、何もやらないでいいというところをどうつくれるかという感じです。

【江端委員】 「研究環境」と言ったときに、この話は実際に今ある設備の有効利用というよりは、新しくそういった環境を整えるためにつくり上げるというようなイメージを私自身持っていますが、例えば、文部科学省の事業でいうと、COIとかWPI等大きな研究が進む上で建物が建てられたりするわけですよね。その建物を建てるときにこういった研究環境も整備するといいですよといった、提言というような形でこの作業部会で議論されたことが上がっていくというのが一つのイメージなのかと思っています。
ただ、それがどこまで、あくまでも提言という感じになるのかなと思いまして、実際に政策に反映されるかどうかというのはまた別の話だと思いますが、そういったところに関連づけられるのかなと。

【隠岐主査代理】 ちょっと発想が違うところがあって、ハード面でこれからつくらなければいけないものがあるという話ではないのだと思います。むしろソフト面という感じで、例えば、もう死にたいと思ったときに電話を受ける場所があるかとか、すごく孤立している感じがすると思ったときに、「あなたは一人ではなくて、同じような条件で才能を持った人がほかにもいるのだ」ということをぱっと知らせることができるかとか、そういう方面なのですね。
この関連の、つまり条件がいろいろあって生き延びているような研究者を知っていますけれども、具体的にこの設備がなかったら駄目だったとかいうふうに言語化できる人はほとんどいないです。実際そうじゃなかったのかもしれないし、わからない。ただ、とにかく生き延びなくてはという感じに到達するわけですね。そこのところをうまくどうすくい取れるかということと、ものをつくったら解決するのではない提案をどうできるかというのが勝負かなと思っています。

【江端委員】 一点だけ、今の質問ですが、ものをつくったから解決することというのもあるのでしょうか。

【隠岐主査代理】 それはもちろんあります。端的にもう取組のあるユニバーサルトイレは非常にすばらしいもので。車椅子の人もそうですけれども、性同一性障害の人もあれはすごく大事で、そういう人が集まっている研究会をやると必ずアナウンスがあるのですね、「ユニバーサルトイレは1階です」と。要は、男性トイレや女性トイレに行けない、行きたくない人がいるから、そういうところに行くと。こういうのが一つ例としてあります。

【江端委員】 ありがとうございます。

【原田主査】 ほかにいかがでしょうか。
特になければ、資料5の今後の予定について、説明をお願いします。

麻田研究基盤整備係長より、資料5に基づき説明があった。

【原田主査】 何かご質問あるでしょうか。
私が少し関係している男女共同参画学協会連絡会が大型アンケート調査をやっていて、そこは女性だけではなくて男性も答えられるのですけれども、キャリアパスについていろいろ調べて結果を出しています。生データをNISTEPの方が使いたいとおっしゃったのですが、アンケートをとるときに相手にその許可を得ていないので、今のところ生データを出せないのですね。
アンケート調査は5年ごとで、もう3回実施しました。次のアンケートは2年後に行うのですが、今その準備を始めたところです、私はワーキンググループに入っています。次のアンケート調査時には、他の機関に所属する方が生データを使う可能性があることをあらかじめ了解してもらうので、NISTEPの方が再解析をしたいときにデータを使用できるようにする予定です。
過去アンケートを自分たちで解析した結果をまとめた資料を使うことはできます。ホームページに公開されています。その資料も役に立つと思います。職の流動性について、前職と現職を時系列で調べている項目もあるので、関係があるかと思い紹介させていただきました。

【麻田研究基盤整備係長】 ありがとうございます。

【江端委員】 人材の流動性は、第5期科学技術基本計画の論点の一つであるということで先ほどお話しいただきましたが、流動性が余りないといったエビデンスはデータとしてとられていますか。

【麻田研究基盤整備係長】 私はその担当ではないので、詳しいことは担当の方に確認しないといけないのですけれども、第5期の資料をつくるに当たりまして、例えば、企業から大学へとか企業から法人へというような、人が一体どれぐらい動いているかということをパーセンテージで示したものが出されておりました。エビデンスになっているものが何かというのは私も把握しておりませんが、外に出しているデータがありますので、それに付随する基礎データは確実にあるものと思っています。
それが今回の趣旨とか内容にあてはまるようなデータかどうかというのはよく精査しなければいけないのですけれども、いずれにせよ何かしろのエビデンスは持った上で、人材の流動性ができていないという評価をしているということかと思います。

【江端委員】 今のお話は企業と大学と法人といった非常に広い範囲の流動性の話ですが、例えば、高度研究支援専門職と言われているような人材の流動性についても、1つの大学内の部局間における流動性が全然ないとか、大学間の流動性が全然ないとか、よく議論されています。今は人材育成のコンソーシアムの話等、流動性を高めるための取組があると思うのですが、そういうところにもこの結果を反映できればいいと思っています。

【隠岐主査代理】 その場合の流動性なのですけれども、定義が、今、質問のおかげで整理ができたのですけれども、分野の問題とか、国の流動性なのかとか、地域なのかとか、学部の部局ともおっしゃいましたけれども、整理した資料があるなら今度拝見したいなと思いました。

【麻田研究基盤整備係長】 わかりました。

【江端委員】 多分いろいろな形で整理ができると思います。

【原田主査】 分野によっても違いますよね。工学部だと企業に勤めていらっしゃった方が教授職で大学にいらっしゃるというのはよく見受けられます。私も知っている方が何人かいらっしゃいます。でも、基礎的な理学部とかだと稀ということになってしまいますし。

【隠岐主査代理】 私は人文系なので流動性というとどれを言われているのかわからないところがありますね。例えば、地方から都市だったらすごくあるわけですね、いわゆるキャリアステップでいくわけで。外国にとかいうことになると分野は限られてくると思われますので、その辺も少しわからない感じはありますね。

【江端委員】 もうちょっと言うと、人材の流動性があるとなぜいいのかということについて、はっきりと言っているような報告があるのか、エビデンスがあるのかと思いますし、この作業部会でも話し合うべきだと思っています。ダイバーシティが、多様性があるとなぜいいのか。イノベーション創出環境という話をされるときにはダイバーシティが重要だと言ったりしますけれども、わかるところもあるのですが、本当にそうなのかという部分もあります。その辺についても深く議論できたらいいかと思います。

【隠岐主査代理】 それは非常に難しい議論で、10年ぐらい前からダイバーシティを進めている、特にヨーロッパとかアメリカでダイバーシティとは何かという哲学的な議論が今来ているような段階で、そこは何でもかんでもというわけにはいかないとは思います。一方で、人権の問題というのが入ってきていて、人権が侵害されないようにという話で進めていくのかなと私は思っています。無理に数値目標を立てて進めていくというのは、今の段階では得策ではないと思っています。

【江端委員】 私は今URAという立場で大学改革の非常に深いところにかかわっているのですが、実際に研究大学強化促進事業とかスーパーグローバル大学の事業というのは、具体的な数値目標を上げなさいと言ってやっているわけですよね。そういった目標を考えて進めることは非常に重要だと思う一方で、大学は今どんどん出口戦略を重視する方向に向かっていて、予算をとるにしても出口が見えていないと駄目だとなってきているので、基礎研究はやっていていいのかということも議論になったりしています。
一方で、ダイバーシティを確保しながらやりなさいといったときには、総合大学としてのバランスを見ながら様々な形でやっていかなければいけないので、そういうところも重要な議論になると思っています。

【隠岐主査代理】 もし可能であるなら、数値目標まで踏み込むつもりはなかったのですけれども、立て方というのはいろいろあると思うのですね。例えば、ハラスメント件数はこれだけか、ちょっと危ない、ハラスメント取組の対策がこれだけ広まっている、国内、何パーセンテージだとか、そういう数字のとり方によっては意味があるなと、日本としてプライドを持てるというのはちょっと変な言い方ですけれども、これだけ5年でよくなったのだと言えるような目標がつくれる可能性もあるかなというわけですね。

【江端委員】 そうですね。

【原田主査】 よろしいでしょうか。

【麻田研究基盤整備係長】 ありがとうございます。

【江端委員】 すみません、もう一点だけ。最後の拡大アンケートの話は、議論を進めていくにつれてどうするかという意味で書かれていると思いますが、NISTEPの人材調査についてはどの人材について調査されているでしょうか。

【麻田研究基盤整備係長】 おっしゃるとおり拡大アンケートそのものが今後の進捗を踏まえてですので、NISTEPの何が使えるかも含めて、今お話があったように方向性も様々なものがあり得るのだと思っています。今回この議論において本当に必要とされる方向性がまだ決まっておりませんので、NISTEPの人材育成というのも何を切り出せばいいのかというのもまだ、わからない状態だと思っています。
また、一番下にあるように、事務局の中でも、また先生方と連携をとらせていただきながら、方向性を見つつ、NISTEPの調査の使えるものというのはどこになっていくかと、また使えないものもあるかもしれませんので、併せてそちらについては今後詰めていければと思っています。

【江端委員】 了解しました。○でいうと高度研究支援専門職についてというところに付随している話なので、そこに絞って話をするのがわかりやすいのかなと思いますが、一方で余りにもフォーカスしすぎると、NISTEPの調査の対象になり得るのかどうかというのもわからないですね。絞らずにということで言うと、今、隠岐先生や原田先生が進められているアンケートの話も含めて、もう少し広い範囲で議論できることなのかもしれないなと、余り広げすぎてしまうとまたわからなくなってしまうので。

【隠岐主査代理】 つなげるみたいな感じですね。

【江端委員】 はい、そうですね。そういったところで関連があるのかなと思います。

【麻田研究基盤整備係長】 そうですね、流動については今後検討の余地はあると思います。全体を最終的に1つの報告書にまとめることが本作業部会の目的になってきますので、流動の話はまた改めて先生方と御相談させていただきたいと思います。どうぞ今後ともよろしくお願いします。

【江端委員】 はい、よろしくお願いします。

麻田研究基盤整備係長より、今後のスケジュールの確認があった。

【原田主査】 では、以上をもちまして第1回研究基盤環境形成作業部会を閉会いたします。
本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――


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