先端計測分析技術・システム開発委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年3月25日(水曜日)17時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 15F特別会議室

3.議題

  1. 委員会の設置について
  2. 平成27年度におけるプログラム実施の基本方針について
  3. 今後の進め方について
  4. その他

4.出席者

委員

佐藤主査、尾嶋主査代理、田中委員、大堀委員、森川委員、飯島委員、菅野委員、瀬藤委員、杉山委員、中村委員、藤本委員、坂本委員、岡本委員

文部科学省

川上科学技術・学術政策局長、渡辺研究開発基盤課長、中川研究開発基盤課課長補佐

オブザーバー

市川JST総合評価会長、林JST開発主監、山下JST先端計測室調査役、角野JST先端計測室副調査役

5.議事録

科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
先端計測分析技術・システム開発委員会(第1回)
平成27年3月25日


中川研究開発基盤課課長補佐より、主査及び主査代理の紹介があった。

【佐藤主査】主査の佐藤でございます。どうも上の委員会で指名されて、ここでは拒否権がないという話なので、よろしくお願いいたします。第1回の先端計測分析技術・システム開発委員会を開催したいと思います。
 時間が余りないので一言だけ、主査をやらせていただくということで、御挨拶をさせていただきます。本事業は、二瓶先生が今まで11年ぐらいやってこられたので、その果たした役割というのは非常に大きくて、その後を受け継ぐということで非常に荷が重いのですけれども、精いっぱいやらせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、具体的に議事に入りたいのですけれども、事務局より本日の配付資料の確認をお願いいたします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、配布資料の確認があった。

【佐藤主査】ありがとうございました。欠落は大丈夫でしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、資料1-1、1-2に基づいて、本委員会の設置及び委員の紹介を事務局よりお願いいたします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、資料1-1に基づき説明があった。また、資料1-2に基づき出席者の紹介があった。

【佐藤主査】ありがとうございました。
 それでは、議題1の運営規則等について、事務局より説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、資料2-1、資料2-2に基づき説明があった。

【佐藤主査】ありがとうございます。
 ただいまの運営規則等、それから公開の手続について、質疑等ありましたら。よろしいでしょうか。
 では、異議なしということで了承いたします。
 では続きまして、議題2に入りたいと思います。27年度におけるプログラム実施の基本方針についてということで、資料3により、事務局より説明をお願いいたします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、資料3に基づき説明があった。

【佐藤主査】ありがとうございます。
 基本方針については、昨年度の概算要求のときに、それを行う上で10年の成果と今後の展望というのをまとめて、この事業がいかに重要かということを示し、方向性を出したものでございます。今回それを簡潔に反映した基本方針を示したものでございます。御質疑、御意見等ありましたら、お願いいたします。

【飯島委員】質問してもよろしいですか。

【佐藤主査】どうぞ。

【飯島委員】先端研究基盤共用・プラットフォームとの連携ということが強調されているのですけれども、2の留意事項における最初の丸の1行目で、研究開発現場でのニーズが明確であるということなので、これはあくまでも今後は、研究開発のための計測機器ということを目指すということなのでしょうか。今までは結構、実機と言ったら変ですけれども、いろいろな現場で実際に測定に使うような機器も随分含まれていたと思うのですが、今回この先端研究基盤共用・プラットフォームとの連携が非常に高く掲げられているので、研究現場用ということで意識されているのか、それとももっと広い意味で考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

【渡辺研究開発基盤課長】まず、先端計測分析技術・機器開発プログラムというところで、最先端の計測機器の要素技術や、実機に近いところまでを作ることを支援するということが、そもそものプログラムの趣旨でございますので、汎用的に使えるということが副次的に出てくるということも想定されるわけですけれども、基本的には最先端の、今まで実現していないような計測分析の要素技術・機器の開発です。そういったものを、どういった分野がどこまでの先端性があるのかといったことも含めて、こちらの委員会で御議論いただくことにはなりますけれども、まず第1の優先順位はそちらに置くことになろうかと思います。
 汎用的なものというのがどこまでを想定されたというのは、私もよく御質問の趣旨が分かっていないかもしれませんが、汎用的に社会に出していく計測機器ということであれば、基本的には産業界が主導していく、あるいは産業界を業として支援する立場の省庁が担当していく部分にも移っていこうかと思います。それ以外の部分について、特に文科省とし支援していく部分について、もしここの表現で足りないようでしたら、具体的な表現ぶりを先生方に御指摘いただき、その御意見を反映してまいりたいと思います。

【飯島委員】少しニュアンスが違っていて、測定の目的が研究開発の支援のためなのか、それ以外も含まれているのかということを伺っているのですけれども。

【渡辺研究開発基盤課長】研究開発の場というのは、何も研究の場だけではないので、先端的なニーズがどこにあるかということによるかと思うのですけれども、具体的にはどういうところを想定されていますでしょうか。

【飯島委員】今度はヘルスケアに関するものが含まれていないのですが、ヘルスケアの場合は具体的に診断の先端機器の開発というところまで踏み込んでおりました。

【渡辺研究開発基盤課長】御指摘の意味が分かりました。その場合は診断をしたい場の最先端のニーズということですので、それを含めて研究開発現場という表現をしてしまっているのですけれども、より適切な表現を工夫いたします。

【飯島委員】分かりました。理解しました。今までどおり、割と広い意味で解釈してもよいということですね。ありがとうございました。

【佐藤主査】どうもありがとうございます。
 だから、共用の方の事業で見たら、ここで開発したものが組み込まれて、うまく先端的に使われて、より共用の事業が威力を発揮するとかいうことがあれば、そういうところは優先的に、少し優先順位を上げてやっていこうではないかというニュアンスもあるわけですよね、今の話はね。

【渡辺研究開発基盤課長】それを想定していまして、具体的な例で申し上げると、今プラットフォーム事業として、光ビームプラットフォームと、NMRのプラットフォームの2つがございます。もちろん、今後はそれ以外のものも作られる可能性もございますけれども、分かりやすくNMRの方で申しますと、本体のNMRに加えて、いろいろな計測をするための附属の機器が必要でございます。計測ニーズによって、このような機器が欲しいというニーズが、研究者や産業界の方から出てくると。それに応じて、附属部分を、自動化も含めて、作る必要が出てまいります。プラットフォームの場でニーズを吸い上げ、その試作機をそこで使っていくということも含めて、相互連携がより一層深まることを期待するということでございます。

【佐藤主査】だから、先端計測側と共用側のシナジー、お互いにできるところはシナジー効果を発揮できるようにということも含めて、もう少し広くやったらいいのではないかという考え方で。

【渡辺研究開発基盤課長】はい。

【飯島委員】研究開発現場じゃなくて、測定現場とか書いていただければ、何の問題もないです。

【佐藤主査】なるほど。
 ほかにございませんか。どうぞ。

【田中委員】この従来の領域という区分は設定しないということで、予算の関係もあり、仕方がない部分もあるかと思うのですが、それを逆に、ある意味、欠点を利点にする考え方になるかもしれませんが、このプラットフォームを推進するということは、単にある領域だけで使おうというだけでなく、例えば実際に選ぶときにも、こういう分野にも将来展開できるのではないかなということを1つの評価軸にした方がいいのではないかなと思います。
 といいますのも、実はあさって、神戸で日本薬学会というのが開かれて、そこで特別講演を行うところで、いかにこの分析機器というものが役立っているか、あるいは役立とうとしているかということで、いろいろ私なりに調べた結果、これは面白そうだなという装置、5種類か10種類を選んだ中に、この先端計測で開発したものが、少なく見積もっても3つありまして、これを見ているだけでも、従来例えば無機化合物を分析しようと思っていたのが、意外に、例えばたんぱく質の分析に使えるとか、従来は素材、マテリアルの話がライフサイエンスに使えるという話もあります。今まである企業だけ、ある大学だけで考えていた応用が、それはそれで深める必要はあるのですが、そういう思いも掛けないところに使えるということが、例えばイノベーションにつながりますし、そういったところをいろいろな知恵を持ち寄れるところが、ほかの国と違うこの層の厚さといいますか、そういうところがこれからの新規採択における1つの評価軸になる。それだけだったらどうしても、せっかくのチャンスを失うかもしれませんが、そういう考え方があってもいいのではないかなということで、従来の領域という区分を設定しない、その分だけ様々なアイデアを評価しなくてはならない目利きの人は大変になると思うのですが、そういう点では逆にいい、欠点ではなく利点にできるかなと思います。
 以上です。

【佐藤主査】ありがとうございます。そうですね。
 どうぞ。

【森川委員】森川でございます。私、事前に資料を頂いて、2点、これまでよりも前進してすばらしいなと思ったことがありまして、その1点は、ニーズの明確化ということに関して、「将来的にユーザーとなることが想定される者との連携体制が開発段階から十分に構築されている」。この表現は、多分今までになかったことで、出口戦略が非常に明確になる表現で、これは私、一歩進んだすばらしい表現だなと思いました。
 それからもう一点は、10年間の総括のレポートで、中間レポートのときに私が杉山委員と一緒にタスクフォースで、この標準化について是非、すごくその特許性の問題って難しいという議論があったのですけれども、しかし戦略的な標準化というのは必要だということを、そのときにも書いた記憶があるのですけれども、標準化をここまで前面に出したのは、これも多分これまでにないことで、私はこの2点は、大変前に大きく前進したすばらしいことだと思います。是非これを進めていただきたいと思います。

【佐藤主査】ありがとうございます。
 ほかに御質問等。どうぞ。

【中村委員】私も事前に配付されたのを拝見いたしまして、今回、森川委員がおっしゃったことに加えて特徴的だと思いましたのは、調査・評価機能の強化といった点かなと感じました。市場予測、これを真面目にやっていくのは相当大変なのですけれども、そこをどのように進められるのか、私自身、ちょっと想像付かなくて心配なところではあるのですけれども、これはある程度第三者の方にやっていただきますと、評価等々反映できますので、非常に心強い話になるのかなと感じました。できれば具体的にどのように進められるのかを、ちょっと御説明いただけますか。

【佐藤主査】どうぞ。

【渡辺研究開発基盤課長】そこは、是非御指導も頂きながらやりたいところなのですけれども、まずは分野としてどういうところが、技術としてはどういうところまで来ているか、あるいは諸外国と比較したときの優位性がどうなっているかという広いお話ですね。広いお話は、このCRDSと書いてあるのがJSTの研究開発戦略センターでございまして、分野ごとに戦略的に、俯瞰的な状況を取りまとめているところでございます。そういうところに、例えば計測といっても、何を測るかで随分状況が違いますので、私どもから具体的なリクエストをしまして、俯瞰的な報告書をまず頂くというのが1点。
 それから、市場予測というときに、こちらは少しチャレンジングだと私も十分承知しているのですが、申請をする、課題を提案する方々に、そういう視点を一層持っていただきたいという点がございまして、すごいものができるというのは私も大変わくわくして聞かせていただくのですけれども、それが今あるものをリプレースできるのか、全然違うものなのかということを考えるときに、現状の市場が日本のメーカーさんも含めて位置付けがどうなっているのかということを、まずは提案者の側にもしっかりとプレゼンテーションしていただく。それを基に検証させていただく、更に深く調査をさせていただくといったことを想定しております。
 それから、佐藤主査からの資料4の中にもあると思いますけれども、具体的な技術の動向について、こちらの委員会の場で、更に深く議論をしていただくといったことも想定しております。それで十分かどうかということはあるのですけれども、まずはできるところからということでございます。

【佐藤主査】ありがとうございます。
 JSTから何か一言。調査するという、あるいは判断材料に使っていくという話なので。

【林開発主監】資料3の留意事項として「調査・評価機能の強化」が提示されていますが、これには相当な負荷が掛かると思います。ここはしっかりやらないと駄目だという認識を持っています。特に今までのお話に加えて具体的な提案に関して競合技術や市場動向辺りも含めて調査・評価する必要があると思います。更に中間評価ではこのような評価とともに事業環境の変化なども見直すということが必要だと思います。是非よろしく御指導の方、お願いします。

【佐藤主査】 今までの財産という意味ではどうなのですかね。いわゆるCRDSなり何なり、積み上げてきたロードマップとか財産があると思います。その延長線上から見たら、これはかなり画期的な提案だねという判断をするとかいうことがしやすいのではないですか。財産がある程度積み上がっていくといいなと思っていたのですけれども。

【林開発主監】そうですね。そういうロードマップといった大きなトレンドのことをしっかり見る必要はありますね。それとは別に具体的なテーマそのものが従来技術や競合技術に対してどういう位置付けにあるかという辺を、委員会でしっかり議論していただきたいと思っていますけれども。

【市川会長】ちょっとよろしいですか。少し逆のことを言いたいのです。というのは、これを見ますと、ニーズというのが前面に出てきますけれども、シーズの部分を是非残してほしいと私は思います。それがどこに表れているか、ちょっとよく分からないのです。実際にいろいろな評価をやってきて、例えば百生先生らがやっているX線の位相差を使ったいろいろな情報、計測があるのですけれども、必ずしもニーズを捉えて始めたわけではないのですね。ところが、ずっと続けてきて、それがいろいろな医療にも展開できるということとか、あとは産業にも、例えばCTとかそういうのに使えるということで、どんどん実は発展しているのです。最初から市場がどこにあるかというのを全部予測しろというのは、JST側も大変ですし、我々評価する方も採択する方も、そこまでは見通せる自信はありません。
 だから、確かにニーズで次はどういうところが発展するというのは、我々なりに予測はしようという努力はするのですけれども、ただ、採択のときに、これは面白そうだなという何かシーズの部分を、是非残してほしいと思います。そうでないと、本当に新しいイノベーションにはつながらないのではないかと私は思います。ニーズだけではない部分も是非残したような書き方が、私は必要だと思っています。
 ですから、さっき言った共用とかそういうところと、あと何かの文章中に含まれているかもしれませんけれども、シーズの部分を是非残した形で戦略を作ってください。現場の評価というか採択する方も、もう少し許容ができて、面白そうなものも採択できる余地を是非残してほしいというのが我々の要望なのです。その辺りがどこに表れているのかというのが見えなかったので、少しコメントさせていただきました。

【林開発主監】いいですか。それに関連して。
 ニーズと言ったときに、既に顕在化しているニーズと、まだ誰もが気づいていない潜在的に可能性があるのではないかと思われるニーズとに分けて考える必要があると思います。そこをうまく使い分けるというか、幅広く潜在的ニーズもうまく捉えて新しい市場がこれだけありそうということで議論すべきと思います。既存の延長線上にあるニーズや現在分かっているニーズだけを追い求めても、大きな展開が期待できないと思いますので、その辺を是非、市川先生に見ていただくことを期待しています。

【市川会長】なるべく広い形で、シーズもニーズの中の一部かという捉え方で、採択を是非、総合評価部会の方ではやりたいのです。例えば環境問題解決領域とかは、一般的な領域と比べますと、実は差が出てくるのですね。つまり、面白さとか、計測の高度な技術とか、そういうのを比べると、やはりレベルが、環境問題解決領域などは申し訳ないのですけれども、少し劣ります。一般的な領域においては、すごく最先端のものは面白いのですよ。技術的にも非常に面白い。
 このため、明らかに採択のときから差が付いてしまっているにもかかわらず、予算が大体振り分けられているので、レベルがやや劣る方を採択しなくてはいけないという、そんな状況も出てくるのですね。少しその辺りを考えてほしいというのが、採択・評価をしている部会としては、強く思うのですけれども。

【佐藤主査】事務局、何かございますか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】そういう意味では、領域を外して要素技術と先端機器開発のくくりにした中で、ある種のポートフォリオだと思うのですけれども、先端性のあるものも含めて、ある種、設計の自由度は上がったとも言えるので、そこの組合せはあるかと思っております。

【渡辺研究開発基盤課長】補足させていただいてよろしいでしょうか。特に、要素技術で全てができるわけではないのですけれども、特に要素技術のところは新規性、独創性を、これまでこの委員会の議論でも重視するというところがございまして、その技術でプロトタイプを作るときに、その時点でも非常に独創的であり続けるものは存在すると思いますので、そのときには、JSTのプログラム運営のさじかげんでやっていただく。そういう裕度は当然のことながらプログラム運営側に委ねられているところだと、こちらの先生方にお認めいただければ、そういう方針でよろしいのかなと思います。

【佐藤主査】シーズを全然無視しているわけではなくて、あくまでも新しい原理が出ることが一番大きいわけで、それを重視しながら、だけどこういう分野はもうニーズがはっきりしているでしょうというのが多いので、予算の関係上、そういうことに関してはちゃんとニーズを明確にしてくださいということを言っているので、シーズを否定しているわけではないという御理解で、僕はいるのですけれども。

【市川会長】はい、分かりました。ただ、ニーズのみの文章が残ってしまうと、シーズが無視されるおそれが少しあるので、コメントだけはちゃんと言うようにいたします。

【佐藤主査】どうぞ。

【杉山委員】私も全く同意見で、要素技術と先端機器開発とタイプを分けた、その要素技術の方に、今先生方のおっしゃった革新的なシーズが入っているので、それに対応する文言が2番の留意事項の中にあっても良いと思います。つまり2番の留意事項のところに、「独創的なシーズ技術も是非入れる」ということが明快に分かる何か文言を入れていただければと思います。
 別の公募ですがERATO提案課題などを見ていても、先端計測の一般領域で先に開発された技術がベースで提案されることもあります。それゆえ、予算は余りないのですが、かなり先生方が独自な発想で提案できるすぐれた仕組みが表に見える形で、留意事項の所に是非1つ丸を増やして記載してほしいと思います。

【佐藤主査】ありがとうございます。いいですよね。

【渡辺研究開発基盤課長】はい、そのように反映させていただきたいと思います。
 それから、これはあくまでも27年度のプログラムの実施方針でございます。それでもう一つ、最初に記載されているAMEDに移管されている課題、機器開発というときに、今JSTからも、それから委員からも御指摘がありましたけれども、どちらにも使える、あるいはどちらかを志向していたのだけれども、こういうことにも要素技術、シーズが非常にすぐれている場合には、発展していく方向が別のものも裨益するということは当然あるわけなのです。
 AMEDの方はまた、今日菅野先生にも御出席いただいていますけれども、医療機器開発は厚労省、経産省、文科省が連携して進め、その調整を行う場というのを別途作ってございます。そこにおいてこの事業を、また、この事業のこれまでの成果を、どうしたらうまくつなげられるかという議論をすることになろうかと思います。菅野先生には、実はそういうお役目も担っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【尾嶋主査代理】これを読ませていただいて私もその点が気になりました。ライフイノベーションの分野を切り離すとことで懸念されるのは、その間にある領域、先ほど田中委員から非常にいい指摘があったのですが、そういう物質を見ていても、将来ライフの方に発展する可能性のあるものが、たくさんあると思います。それを遠慮して、バレーボールのお見合いみたいな感じになってしまうと非常にまずいので、多少相手の領域を侵害するぐらいでもいいのではないか。基本技術は一緒なので、そのぐらい我々に取り込んでインキュベーションとしてやっていき、その次はAMEDでやってもらってもいいかもしれません。余り狭く考えない方がいいのではないかなと。その懸念を少し感じました。

【佐藤主査】菅野先生、どうですか。その辺のさじかげんを。(笑)

【菅野委員】実は僕も少し気になったのですね。全くおっしゃるとおりで、それで今は使えないだろうというものが使えたときのインパクトは非常に大きいので、AMEDの予算要求もここでやられるのだと思うので、この研究開発基盤課が常にウオッチしているという、何かうまい仕組みができるといいのではないかなと私は思います。

【佐藤主査】なるほど。では、その辺をうまく運用してもらって調整してもらうということで、よろしくお願いします。
 よろしいですか。時間がなくなってきてしまいましたので、今まで貴重な意見を頂いたので、それを本件に反映して、事務局で修正していただいて、後で主査一任ということでさせていただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。

(異議なしの声)
 ありがとうございます。では、この件はそういうことで、後日、これは正式に修正したものは、委員に一回配付するのですか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】はい。決定しましたら、JSTに送るのと同時に、委員の皆さんにも、メールになると思いますが、送らせていただきます。

【佐藤主査】では、よろしくお願いします。
 ちょっと時間がなくなってきましたので、最後の今後の進め方、議題の進め方について、資料4について私から説明させていただきます。余り時間がなかったので、皆さんにお諮りする以前、10年の成果と今後の展望ということで、かなり昨年にいろいろ議論してきたことを踏まえながら、この委員会として、次の28年度あるいは28年度以降をどう進めるべきかということを、少し戦略的に取り組まないと、これまで一生懸命やってきた先端計測事業というのが更に発展することが難しいと思いますので、その辺を是非やりたいという意味で、今日は少しお話をするだけで、後で皆さんから意見をいろいろ頂きたいのですけれども、私なりに考えた1つの案を御紹介したいと思います。
 資料4を見てください。これは先ほど来、田中先生からもお話があったように、計測分析分野は非常に、科学技術の基本原理の創出、まさにシーズ的なことがかなり生まれてきていますと。それを使って、未知の工学領域の創成というのをやって、非常に多くのノーベル賞が得られている。これは10年の成果の中に挙げたのですけれども、もちろん田中先生のMALDIも含めて、いろいろなノーベル物理・化学賞を輩出していると。トータルで見ると、二瓶先生がJSTと一緒にまとめてくれたところ15%以上あるということなので、ノーベル賞に対して科学の基本原理を生み出しているという意味で、非常に重要な分野であると。
 次のノーベル賞の創出に貢献していくという意味で、マザーオブサイエンスの役割を果たしているのだろうと考えられるわけです。そのシーズの部分とともに、それから反省、課題としてこの前挙げたのは、せっかく良い技術、あるいは良い原理を開発したのだけれども、それが世界に貢献していく、あるいは世界の競争力を上げていくという意味で見ると、必ずしもそうはなっていないということが分析で分かってきて、それをきちっと捉えて、新しい、更に飛躍させるために、どうしたらいいのだということを考えていく必要があるのではないかということで、先ほどの部会でも少し議論になったのですけれども、計測分析のソリューションを提供するみたいな、あるいは超サイバー空間みたいなことが起きている。それは新しい価値の創造みたいなことがいろいろ起きているので、そういうことも踏まえた取組方をしないといけないのではないかと考えているわけであります。
 こういうことを少し皆さんと一緒に議論して、勉強会みたいなもので、フリートークである程度のメンバーが集まって、それで有識者を交えて議論していく必要があるのかなと思っておりますけれども、そういうことをやっていく必要があるのではないかと。
 それで、検討のテーマの例。これは後でいろいろ皆さんから、メールでもいいのですけれども挙げていただきたいのですが、検討のテーマの例としては、今後の展望に書いた中を少しピックアップしたものなのですけれども、1つは、これまで開発したもの、すぐれたもの、先ほど市川先生が言われたシーズがあるでしょうと。それは、いいものであれば次のイノベーションの展開に持っていけるはずだということで、例えばFIB質量分析だとか、1GHzのNMRだとかいうことがいろいろ開発されてきているものを、世界的に貢献していくという意味で、もう少し展開できるような可能性を見いだした方がいいのではないかということが1点。これは、だからユーザーも含めて、評価者も含めて、イノベーションデザインと言ったらいいのか、デザインをしていく必要があるのかなと思います。
 それから2番目が、プラットフォーム。先ほど来、共用のプラットフォームというのは、どちらかというとユーザー側に必要なプラットフォームというニュアンスが強いのですけれども、先端計測技術・機器の開発をしていくという意味でのコアとなる部分というのは何なのだということを作っていかないと、効率的な先端計測技術・機器を開発していくのは非常に難しい。世界の潮流からいうと非常に難しいと思いますので、それを蓄積して、絶えず継続的に新しい計測あるいは分析機器が生み出せるような仕組みができないのか、どうあればいいのだというのを検討したい。
 それから3番目は、個々のテーマになるのですけれども、個々の分析、単に分析するだけという話ではなくて、これは何を物語っているのですかというソリューション指向型の計測・分析システムというのが、世の中の潮流としてはそっちの方に動いているように見えるので、それはどうなのだというのを議論したいという話と、それから光学分析領域の最前線と未来技術の可能性ということで、これは何を言っているかというと、この前ノーベル賞をもらったSTEDの超解像度蛍光顕微鏡に見られるように、光学領域での分解能というのが非常に上がっていると。それで、話を聞くと、10ナノメートルぐらいの分解能が出てき始めているという話を聞いて、電子顕微鏡でその領域をいろいろやっていこう、あるいはやっていく必要があるのではないかと考えていたのですけれども、生で見られますから、光学でできるのであれば、光学が勝ってしまうのではないのということも出てきているので、その辺も含めて、光学と電子、あるいはそういう分野の最前線というのはどうなっているのということをちゃんと明らかにして、戦略として立案したらどうかとか。
 3番目は、そうはいいながら、やはりマザーオブサイエンスなので、次のイノベーションを起こすいろいろな種が、デバイス等があるので、それが最先端の極限計測分析システムで、どういうことが要求されているのだというのを明らかにして、それも戦略設定すべきではないかと考えて、まだあるのですけれども、余り挙げると検討できないという話になってしまいますので、このぐらいを挙げながら、少し勉強会的に7月初旬ぐらいまでに、28年度に向けた戦略検討をやってはどうかと。それ以降については、少し余裕があるので、今年いっぱいくらいまでに検討してはどうかということを考えておりますということで、本当は皆さんに議論を頂きたかったのですけれども、時間がほとんどないので、どうしてもこれに一言言いたいという人がございましたら御意見をお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
 新しく来られた岡本委員は、何かコメントがございましたら。

【岡本委員】光学顕微鏡の分野では超解像技術が今はやっていています。ニコンにはN-SIMという顕微鏡が155ナノメートルの分解能、間もなく出るN-STORMというのは分解能が20ナノメートルです。ただ後者は、基本的には蛍光試薬との関係があって、いろいろトリックがあるのです。基本的に通常の光学分解能というのは、物理限界が決まっているので、それを超えるためには、例えばモアレ縞を利用して、その中から特徴抽出をするという、いわゆる構造化照明という特殊な方法を用いることによってできています。かつ,先ほど申し上げました通り,蛍光顕微鏡の場合には蛍光試薬を用いるという、いろいろなトリックを用いているわけです。私は専門が荷電粒子光学系ですが、光をもちいて簡単に荷電粒子とか電子の領域を超えるかどうかというのは、まだ分からないところがあります。
 要は、光と電子、あるいは荷電粒子とのシナジーを見ながら、先端計測にとって最適な検出解を見いだしていくのが一番いいのではないかと思います。ここに日本電子さんも委員としていらっしゃると思うので、是非いろいろな協議をしていきたいと思っています。
 以上です。

【佐藤主査】ありがとうございます。
 ほかに御意見等がありましたら。よろしいですか。
 今日は時間がないので、これをどういうふうに進めるかというのは主査・事務局に一任させていただいて、今後どういう計画で進めるかというのを、また改めて皆さんにもアナウンスしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局側から何か連絡事項がありましたらお願いします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュールの確認があった。

【佐藤主査】ありがとうございます。
 今日は短い時間だったので、余り深い議論はできなかったのですけれども、第1回ということで、この委員会を開催させていただきました。これをもって閉会にさせていただきます。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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