【資料4】報告書骨子(案)
はじめに
光科学・量子ビーム研究開発の現状や内外の状況等を踏まえつつ、現在の課題と今後の推進方策等について検討を行った。
- 平成24年に共用を開始した大強度陽子加速器施設J-PARCやX線自由電子レーザー施設SACLAをはじめ、多様な量子ビームの利用が可能な時代となった。
- また、技術の発展や理論の進展により発生原理が異なる放射光とレーザーで達成できる光の波長が近似してきている。
- このような取り巻く状況が大きく変化している現状において、光科学技術及び量子ビーム科学技術の分野の振興において、これまでの成果や日本の強みなどを活かしつつ、今後、重点的・戦略的に推進する方策の在り方について検討を行った。
光・量子ビーム分野の推進の意義について
- 第四期科学技術基本計画における位置付け・使命
- 社会への貢献、果たすべき役割
- 科学技術全般を支える基盤技術としての今後の方向性(分野融合や境界領域の開拓を先導する技術 等)
- 我が国の優位性を活かす仕組みの必要性
- 光・量子ビーム分野への投資の必要性 など
施設・装置・技術等の開発・高度化とその有効利活用について
国内には様々な施設があり、光科学・量子ビーム研究開発の多様化が進んでいるとともに、様々な大学・研究機関で世界トップレベルの要素技術が生まれているが、財政難の中で、今後、関係施設・装置・要素技術等を最大限に利活用していくためにはどうすればよいか。
現状と課題
- レーザー等の光科学技術と量子ビーム技術の融合点にきている
- 施設・組織間の連携が不十分
- 施設等が便利になったため、施設側と利用者が乖離
- 施設側と利用者側が協力した装置等の開発・高度化が必要
- 目的を明確にした開発・高度化が必要
- 利用者が多い施設では限られた資源の中でビームタイムが不足している
推進方策の方向性
- 施設・組織間の連携・協力の強化、プラットフォーム化の推進
- 戦略的な施設・装置・技術等の高度化と供用の促進
- 計算科学との連携を強化し、ビームタイムの効率性向上を進めることが必要
- 施設側とユーザーの乖離を繋ぐ施策が必要
- 施設・装置等を使いこなし利用研究を開拓していくパワーユーザーが必要であり、研究拠点化をより強化していくことが重要
- 国家プロジェクトへの貢献と、専門分野の課題解決への貢献 など
課題解決型の研究開発・利用研究の推進について
社会的課題や研究開発課題を解決していくためにどうすればよいか。今後、どのような取組が重点的に必要で、どのような領域に集中化すべきか。
現状と課題
- 科学技術力の維持・発展には、要素技術開発は継続的な取組が必要
- 施設・装置の技術的な高度化ではなく、専門分野の課題解決をより意識すべき
- 応用可能性を重視した開発が重要
- 課題解決に向け潜在的な利用者は多いが、マッチングが弱い
- 利用初心者から見ると敷居が高い
- 各分野の進化・裾野の拡大により、境界領域や中間領域の問題が発生
- ミュオンなどは利用開拓の強化が必要
- 計算機科学の高度化への対応が遅れている
- ハードのみならず解析ソフトや周辺機器の高度化も必要
推進方策の方向性
- 専門分野や産業界の課題解決に向けたニーズに即した装置開発の推進
- ニーズに合わせた利用施設・装置等の選択とコーディネートの強化
- 利用支援の強化、利用分野の開拓、利用者の掘り起こし
- 先導的事例研究やトライアルユースの推進
- 分野融合の促進、境界領域や中間領域の開拓、複数の光の相補的利用の推進
- イオンビームやミュオンなどの利用者がまだ少ない分野の開拓
- 量子ビームと計算機科学の融合による高度な実験・解析の実現
- 解析手法の開拓などソフト面の強化 など
開発成果の利用促進・社会への還元等について
開発・整備・高度化された施設・装置等を効果的に活用し、その成果を技術移転や産業応用へと展開していくためにはどうすればよいか。より製品開発に近いフェーズでの光・量子ビーム利用を推進するためにはどうすればよいか。
現状と課題
- 政策が国民社会に還元されていることが見えづらい。基礎科学から産業応用まで、成果や出口への道筋を見通した研究開発や施策が必要
- 産業応用へと繋ぐ基礎的研究が重要
- 研究開発への企業参加の強化が必要
- 利用機会が少なく製品開発や品質保証に使いづらい
- 公募時期や知財などで製品開発に近くなるほど使いにくい仕組みになっている
推進方策の方向性
- 大学教育や研究開発の段階から企業の参画を促進する取組の強化
- 大学コーディネーターとなり企業と共同で推進するプロジェクトの推進
- 出口を明確に設定したプロジェクトの推進
- 各施設等において産業ニーズを吸い上げる仕組みの構築
- シミュレーション技術や小型線源などの簡易的な実験設備の開発
- 遠隔操作などより施設・装置等が使いやすい仕組みの開発・導入の推進
- 成果等の広報の強化 など
人材育成について
光科学・量子ビーム技術等を駆使した新しい計測・分析・加工の技術や装置を生み出し、産業界を巻き込みながらイノベーションまでつなげていく人材をどのように育成していくべきか。
現状と課題
- 光・量子科学のような基盤分野の人材育成においては、分野に閉じこもるのべきではなく、広く産業界や基礎科学の世界で活躍できる人材を育成すべき
- 加速器を含めビームラインサイエンティストやテクニシャンなどの施設や装置を支える人材が少なくなっており、継続的な養成が必要
- 測定原理まで踏み込んだ要素技術開発を発展させられる人材育成が必要
- 学生を含め若手が先端施設・装置等に触れる機会が乏しい
- 若手を惹きつける魅力ある研究、面白い研究を推進することが重要
- 産業界を巻き込み見える出口(成果)を提示して学生を惹きつけることが必要
- 教育の段階からキャリアの展開をイメージさせることが必要
推進方策の方向性
- 先導的プロジェクトと合わさった若手人材の育成の推進
- 研究施設と大学が連携し、研究開発と連動した若手人材の育成の推進
- 大学等において企業との共同講座を開設や産学連携の共同研究の推進
- 大学教育の場や研究機関において、トライアルユースなども活用して、若手が先端施設・装置等に触れる機会を提供 など
国際的な取組について
光・量子ビーム研究開発における国際頭脳循環の中核となるためにはどういった取組が必要か。
現状と課題
- 一国では人も資源が限られており、国際的な連携・協力が必要
- 我が国の強みを活かした戦略的な国際協力が必要
- 国際頭脳循環の拠点としての環境整備が遅れている
推進方策の方向性
- 国内拠点と海外拠点との積極的な連携・協力の推進
- 国際競争力の強化に向けオールジャパンでの戦略的な研究拠点の強化
- 重点的な拠点を明確にし、研究環境等を集中的に整備
- コアコンピタンスとなる技術開発の推進強化 など
おわりに
- 中・長期的な取組の方向性
- 今後5年程度に集中して取り組むべき事項の提言
(参考資料)
- 報告書概要
- 今後の方向性等のイメージ図
- 今後の取組のイメージ図
- 委員及び有識者のプレゼンテーション資料(概要)
- 光・量子科学技術分野の研究ポテンシャルマップ(仮称)
- 開催概要
- 委員一覧 など