研究開発プラットフォーム委員会 先端計測分析技術・機器開発小委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成24年1月24日(火曜日)14時00分~16時30分

2.場所

金融庁12F共用第2特別会議室

3.議題

  1. 平成24年度基本方針(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

二瓶主査、石田委員、江原委員、大島委員、小原委員、佐藤委員、菅野委員、杉浦委員、杉山委員、田中委員、中村委員、原委員、森川委員、山科委員

文部科学省

吉田研究振興局長、森本大臣官房審議官(研究振興局担当)、柿田基盤研究課長、原原子力災害対策支援本部モニタリング班副班長、竹上基盤研究課課長補佐

オブザーバー

牛山東京電力技術開発本部主任、浮穴農林水産省消費・安全政策課課長補佐、林JST開発主監、市川JST先端計測技術評価委員会委員長、澤田JST産学基礎基盤推進部開発総括、安藤JST産学基礎基盤推進部(先端計測担当)参事役、佐藤JST研究開発戦略センターフェロー

5.議事録

【二瓶主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回先端計測分析技術・機器開発小委員会を開催させていただきたいと思います。
 まず、本日は議題として、「平成24年度基本方針(案)について」をご議論いただく予定でございますが、議事に入ります前に、1月6日付で文部科学省の人事異動がありまして、倉持研究振興局長の後任として吉田局長が、また、戸渡大臣官房審議官の後任といたしまして森本大臣官房審議官がご就任いただいております。初めに、一言ずつご挨拶をお願い申し上げたいと思います。

【吉田研究振興局長】  1月6日付で研究振興局長を拝命いたしました吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。この小委員会でご議論いただいております計測分析技術・機器は、我が国の研究活動を支える大変重要な共通基盤であるとともに、科学技術の最先端を切り拓く、先導的かつ戦略的な基盤である言えます。文部科学省としても、引き続きこの分野の振興に努めてまいりたいと思っております。
 この後、平成24年度の予算案に基づき、先端計測分析技術・機器開発プログラムについてご議論いただくわけですが、来年度に向けて、震災からの一日も早い復興、そして、我が国の成長と世界に先駆けたイノベーションの実現に向けて、引き続き努力してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。このプログラムでは、これまで二瓶主査をはじめ、委員の皆様の絶大なるご支援・ご協力を賜り、心より御礼申し上げます。ぜひ、本日も活発なご議論をよろしくお願いいたします。

【森本官房審議官】  大臣官房審議官に着任いたしました森本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま局長から話がありましたとおり、計測分析技術は非常に重要な分野であり、まさに、ものづくりの原点とも言うべき、我が国の強みを遺憾なく発揮することができる分野だと思っております。そして、この強みを活かし、国際競争力の強化、あるいはイノベーションの振興につなげていくことが重要です。
 特に、研究開発の現場、あるいは放射線の計測が必要とされている現場ですぐに役立つものを、ハードウエアとソフトウエアを組み合わせた計測分析システムという形で、今後開発していければと思っております。革新的なアイデアを導入し、また、関係機関が一体となって、いち早く成果を生み出していきたいと思っております。どうぞ、先生方のご指導、よろしくお願いいたします。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に先立ちまして、事務局より配付資料等のご確認をお願いします。

○竹上基盤研究課課長補佐より、出席者の紹介及び配付資料の確認があった。

【二瓶主査】  それでは、早速ですが、議題(1)平成24年度基本方針(案)についての議論に入りたいと思います。前回の小委員会におきまして、平成24年度概算要求に先立ち、プログラムの改善の方向性などを示した「中間報告」をご議論いただきました。昨年12月末に予算案が決定されましたが、その間、文部科学省における概算要求作業と並行して、小委員会のもとにタスクフォースを設け、その中で専門の有識者の皆様とも議論しながら、本日、事務局にご準備いただきました「平成24年度におけるプログラム実施の基本方針(案)」について検討を進めてまいったわけでございます。本日は、この基本方針(案)に関し、ご意見をいただくとともに、小委員会としてのまとめ、すなわち、決定をいたしたいと考えております。
 それでは、事務局より、平成24年度の予算案の内容及び基本方針(案)の内容についてご説明をお願いいたします。

○柿田基盤研究課長より、資料2に基づき説明があった。

○竹上基盤研究課課長補佐より、資料3及び机上資料1~3に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ただいまご説明いただきました内容に関してこれからご審議いただきたいわけでございますが、内容が多岐にわたっておりますので、全体を(1)推進委員会の構成と役割について、(2)放射線計測領域について、(3)グリーンイノベーション領域及びその他事項について、の3つに分けて議論を進めさせていただきたいと思います。
 それでは、初めに、推進委員会の構成と役割についてです。これは従来のやり方を一部変更しております。一番大きな点は、重点領域を重点的に推進するため、その目的のために領域総括を設け、かつ領域総括が中心となり、議論と集約を行うための場として分科会をつくるという内容になります。何かご質問がございましたらどうぞお願いいたします。こちらからお願いして恐縮ですが、田中先生、何か一言お願いします。

【田中委員】  私は、(3)のグリーンイノベーション領域のところでお話ししたいことがありますので、申し訳ありません。

【二瓶主査】  はい、わかりました。杉浦先生、いかがですか。

【杉浦委員】  推進委員会についてですが、こういう委員会を置くというのは、形の上ではわかるのですけれども、従来の方式と全く異なるので、具体的なイメージが沸かないのですが。

【二瓶主査】  確かにそうですね。それでは、私から、1点だけ補足させていただきます。このような組織を設けて実質的、効果的な事業推進を行おうということを考えた一番大きな理由は、放射線計測領域とグリーンイノベーション領域、この2つの分野を、全体をまとめて議論をするという従来のやり方から大きく変えました。重点領域という言葉は従来と同じなのですが、考え方が従来とは大きく違いまして、社会的な要請、重要度から申しましても、それから、予算上からも、この分野を特に短期間に重点的に進めたいということが最初の理由づけでございます。
 そうすると、全分野を一括して採択し、評価するという従来方式は、これはこれで1つの全体を見渡した事業運営としては優れていたわけでございますが、例えば、放射線計測という分野、これは実際は計測全体から見ると、必ずしも大きな分野ではありません。そこに特化して重点を置くということになりますと、全体の社会的重要性にこたえ、社会的な要望にこたえるためにも、専門家を特に手厚く配置した採択評価を行わなければならないと考えられます。また、その審議を効率的に行うためには、独立した分科会方式でまとまった形で行うのがよい。それを統括する責任者は責任も重いわけですから、ある種の権限も、相応なものを持つのがふさわしい。このような理由でこの2つを特出ししたわけです。
 これがきっかけで全体の構造が変わったということで、総合評価部会というのは、一般領域の採択を行うという点については従来と同じですが、新たに重点領域の中間評価、事後評価の役割を持たせました。つまり、より客観性の高い評価を行うべきだということからすれば、領域分科会の権限から、中間評価・事後評価の部分を独立させて、より客観的な立場で総合評価部会で評価を行うという流れになったとご理解をいただければよろしいかと思います。どうぞ。

【田中委員】  今の質問に対する答えも含めて、それで逆に私の確認といいますか、「要請」ではなく、「確認」という言葉を使うことになると思いますが、「推進」という言葉から思い起こすのは、これは何か早く加速してやらなければならないということ、それで端的に思い起こすのは、例えば、短期開発型、いわば短期集中、最大1年というのは、開発としては異例に短いことになるわけでしょうか。それにも対応できるような体制にするということと理解してよろしいでしょうか。

【二瓶主査】  全くご指摘のとおりでございます。全体から切り離して1つのコンパクトな責任体制を分離独立させたというようにご理解いただいて結構かと思っております。杉浦先生、いかがでしょうか。

【杉浦委員】  もともと大学にいた人間から言うと、こういうプロジェクトタイプの研究というのは、今非常にいろいろなところでやられているのですけれども、これをここで1年、3年という非常に短期のプロジェクトタイプのものをつくって、果たしてそこまで推進委員会なり何なりがリーダーシップを持って進められるかどうか非常に危惧いたします。だから、プログラムとしてはいいのですけれども、実際には、1年といっても正味のうちのどれくらいが使えるのか。実際に1年というのが、本当にそこで達成目標を持ったテーマが出てきて、それも更にマッチングファンドにやるということになる二重の枷があるものですから、企業のほうが進んでやられていれば、それでいいのかもしれませんが、そうでないと、本当にやれるのかという、期間的な問題と、こういう非常に強いリーダーシップを持ったやり方が、最低5年ぐらいでないとニーズに合わないのですけれども、難しいのではないかなという気が逆にいたします。

【二瓶主査】  恐らく、ご指摘の最大のポイントは今のご意見だと存じます。したがいまして、中間報告といいますか、前回の小委員会の議論でもあったのですが、要するに、従来の先端的な独創性、先端性に優れた新しい方法を開発するのだという目標の考え方からいたしますと、かなり異質なものに取り組むということになるわけです。まさに、ご指摘のように、従来の発想で考えると1年で何ができるのだろうということになるわけですが、ぜひ、ご理解いただきたいのは、放射線計測、現在もう既に10カ月近く経過しておりますが、その間に起こったもろもろの事態、これに、今から始めるのでも遅いくらいの、まさに緊急な要請、ニーズがある。それに対して、この事業で、何を、どこまでできるのだろうかということでございます。したがって、従来の発想では、恐らく、いいものができたにしても間に合わないという結果になる心配があるわけです。
 そこで、かなり大きな発想の転換をして、その部分を切り出す必要があるということになるわけです。従来の体制では十分にフォローできないとの懸念から、特に切り出して、1年、3年という短期間に急速に推進する必要がある、その開発体制に見合った体制をつくる必要があると考えた訳です。しかも、それは従来のものと同じではない。先端計測分析・機器開発事業の本来のねらいは、かなりロングスケールの、しかし、きわめて重要な成果を上げて、我が国の科学技術イノベーション政策に根本的な、基本的なレベルで貢献したいというのが本来の事業の性格だと存じます。
 しかしながら、今般、ここで緊急な事態に遭遇し、それに対応できるようなことも、我々が担う必要があるのではないかという発想でこういうものが組み込まれたということで、いわば、異質と言うと言葉はちょっと適切ではないのかもしれませんが、ある、緊急性ということに基づいた、きわめて特徴的な部分を、別途、体制を組んで社会ニーズに対応しようと、そう考えてこの部分をつくり上げたということでございます。
 はい、どうぞ。

【山科委員】  事前にJSTのほうとすり合わせはかなり進んでいるわけですね。というのは、来年の3月までに、短期開発型では最低幾つかプロダクトがなければいけないわけです。もし、逆に、来年の3月までの1年間で何らかのプロダクトを得るとしてやるならば、一般的に公募して研究費を差し上げて、「何かできますか」と言っても結果が出てくるのはかなり難しいと思うんです。ですから、二瓶先生が仰るように、1年で何かを、というならば、何らかの形で、JSTが先導する形をとらざるを得ないでしょう。そうすると、JSTのほうの負担や責任が相当大きくなることが危惧されますが、そのあたりの確認が欲しいと思いました。

【柿田基盤研究課長】  今回の予算案につきましては、9月に行った前回の小委員会以降のさまざまな状況を反映して編成されております。ご承知のとおり日を追うごとに放射線、福島の問題でいろいろな対応をしなければならないということが明らかになっており、現地からのニーズも沢山出てきております。また、文科省の中にも、原子力の災害対策支援に当たっているチームもありますが、そういった現場からの要請というものも直接聞いている状況です。同時に、この事業が今まで以上に如何に社会に貢献していくかという視点を持って、事業の発展、また、改革について省内、財務省、また関係省庁とも議論させていただきました。
 予算ですので特に財務省からは、何年もかけて物ができたとしても、その時にはもう「時、既に遅し」ということになるので、できるだけ早く成果を出す必要があるとの当然の要請もありました。
 そういった各方面との議論も踏まえて、タスクフォースで何度もご議論いただいて、また、JSTとも相談し、1年、あるいは3年というタイムスパン、それから、開発する対象として、先ほど二瓶主査からお話がありましたとおり、この事業の当初の範疇から一歩も二歩も拡大するような部分に出てきているわけですけれども、そういったところに乗り出す。そのためには、やり方も含めて変えなければいけないとの結論に至ったわけです。それは中間報告書の中に既に芽出しがなされていたわけですけれども、新たな推進方策を導入する必要があるということです。そしてそれが本当にできるかどうかということをタスクフォース等の場で議論していただいて、結果、予算化され、またJSTの中では公募に向けた準備も実際に進められているという状況でございます。
 それと、詳しくはまたJSTからお話があるかもしれませんが、JSTの中でも、今回の復興特別予算を使って実施する事業は、この先端計測だけではなく、JSTの事業のほかにも復興対策ということでかなりの予算を受けて実行するものがございまして、そのための、いわゆるヘッドクォーターのようなものを設けて、集中的に責任を持つ体制でやるという仕組みもとられると聞いております。いずれにしても、大変なチャレンジになるということを我々も重々認識し、今ここでこういった取り組みを思い切ってやらないと、この事業として、更にこれから本来のオンリーワン、ナンバーワンの技術や機器の開発も含めて、しっかりとこの事業を進めていくためには、常に改革と、そのためのさまざまな挑戦と努力を続けていく必要があるだろうと考えているところです。

【原委員】  1年程度の期間でできるのかという意見もあると思うんですけれども、放射線計測の歴史というのは、それ自体は非常に長くて、非常に地味な分野だったと思うんです。3.11からまだ1年たっていないのですけれども、実際の動きを見ていると、やはり製品として既にいろいろなところから、今まで聞いたことがないようなところが実は研究開発を行っていたり、あるいは既に製品化されているものもあったりします。何が違うかというと、従来と違う高濃度のところを問題にしているので、今までだったら全然考えも及ばないような、検出方法等を含めて、実際、プロだったらあまり考えなかったかもしれないようなことまでいろいろな業界が興味を持って、動きの早い、分析業界、計測業界というのは、通常であればわりと長期スパンで開発を進めると思うんですけれども、違う業界からも、ただし、そういう専門家の人の意見を聞きながら、実際にプロダクトがあらわれつつあります。ですから、やはり、今、こういう状態に置かれている中で、やらなければいけないと思うので、そういう地盤をつくってあげれば、もっとそれは出てくると私は思うので、ぜひ、そのターゲットを1年、3年というのを掲げてやってほしいと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【田中委員】  いろいろな方の意見とかを聞いて、ますますいろいろ思い浮かぶことがありますので、これもまた確認のような形の話になるのですが、1年ということは本当に短いです。それでこの予算ということも考えますと、一体どういう方々が応募されるかということを、私なりに想定しますと、もう既にアイデアはかなり温めていると、原理的にもこういうふうにできるというものは多分持っていらっしゃる方々が想定されます。そして、私も放射線計測の比較的大きな企業に属していますから、ある程度想定はできるのですが、大きな企業とか、名だたるところはもう既に動き始めているわけです。そういった方々以外の、実際に応募される方々というのは、企業の側からすれば中小、あるいはベンチャー、そういった方々が応募されるのではないか。アイデアはあっても、それを実現するお金と、国から認められてそういうプロジェクトを始めたという後ろ楯があれば、ある意味、技術者、研究者がやりがいを持って進められるということになるのかなと思います。ですから、逆に、なるべく早く適切な方々を選ぶということであれば、そういったところ、分野に、より大きく声が伝わるようにすることになるのかなと思います。
 以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございました。やはり、事柄がJSTの中の事業推進にかかわるということでございますから、JSTから、1言ご発言をいただきたいと思います。

【安藤参事役】  できるのかというようなお話でございますけれども、当然これは国の要請といいますか、社会のニーズでございますので、これはやらねばならないというふうに思っております。かつ、幸いなことに、これまでに機器の開発ということでは、かなりノウハウを積んでおりますので、例え1年であっても3年であっても、特に、3年でプロトタイプ機を実証・実用化する、プロトタイプ実証・実用化タイプのノウハウがありますので、それを踏まえて、かなり早期に世の中に出していくということも十分可能だというふうに思っております。
 あとは、公募に向けたPRにつきまして、現在、いろいろなところにPRに行く予定にしております。あるいは、ここにいらっしゃる皆様方からも、ぜひ、いろいろなところにPRをしていただければと思っておりますので、ご協力をよろしくお願いしたいと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。林主監から一言ありますか。

【林開発主監】 ご指摘のように、1年間は非常に短いです。私、企業にいても、企業でも1年間で物を仕上げるというのは大変だと思うんですが、ここには、幸い幾つか、安藤参事役などから話を聞くと、アイデアをお持ちだとか、あるいは、プロトタイプを開発中だという話もありそうですので、広く公募し、そういう企業、大学をうまくマッチングさせるというのがポイントだと思います。そうすれば一定の成果を短期間に上げることができるのではないか。上げねばならないというのが使命だろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

【二瓶主査】  ありがとうございます。ただいまのような議論でございます。いかがでしょうか、杉浦先生、山科先生。

【杉浦委員】  かなりの決意を持ってやっていただけるということが非常に重要だということと、例えば、10件くらい、既にもうこういう人たちが対象だというくらいのイメージを描いていらっしゃるのだったら、これは可能だと思うので、ぜひ、そういう格好でもいいですから、これは被害を受けている方のためにも、ぜひやっていただきたいと思います。

【二瓶主査】  山科先生、いかがでしょうか。

【山科委員】  大変結構だと思います。進めていただきたいと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。本日、決定ということでございますので、いろいろなお立場からの貴重なご指摘ありがとうございます。また、受ける側の決意表明もございましたとおりでございますので、これはひとつ、本日、決定をしますと、この委員会は議事録公開でございますので、決定文書が世の中に出せますので、早急にPRを進めて、申請をするための準備をもう始めていただけるところがあっていいのではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。これで第1の部分は一応区切らせていただきまして、次に進ませていただきます。
 次は、「放射線計測領域について」でございます。これも非常に具体的な内容でございますので、どうぞ、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

【中村委員】  今回、実用化タイプ、それから革新技術タイプ、それぞれ2つの種類を設けていただきまして4種類ということで、応募者からしますと非常にわかりやすい形になっているかと感じております。ただ、1つ気になりましたのは、放射線計測というのは、普通の計測技術と違いまして、社会的な位置づけが、ある意味、非常に重要で、特に計測値の正確さは社会的に重要だというところが大きく違うと思います。
 お伺いしたいのは、申請者が研究開発を行いまして出てくる結果に関して、正確さというのは応募者に任されていると思ってよろしいのでしょうか。それとも、今回は、このように事情が特殊であるといったことから、客観的にその値を判断できるような仕組みをお考えでしょうか、その辺をお伺いしたくてご質問しました。

【柿田基盤研究課長】  非常に大事な点だと思います。この放射線計測機器につきましては、データの信頼性が生命線になると思いますので、採択審査及び開発の過程でしっかりと信頼性、正確性の担保について確認する必要があると思っております。
 新たな推進体制の中に、今回、放射線については特別な分科会を設けて、領域総括の方に全体をマネージしていただくことになるわけですけれども、まさにこの分科会がチェックとレビューをきちっとしていくということが必要であると思っております。そういったことで、採択の審査でも、当然チェックがかかりますけれども、今のご指摘の部分は、開発の過程や、あるいは、成果に関する性能評価ということも含めてのことかと思いますので、そこのところも含めてきちんと分科会でチェックする体制を整える必要があると考えております。

【原文部科学省原子力災害対策支援本部モニタリング班副班長】  文部科学省の原子力災害対策支援本部でモニタリングを担当している原と申します。失礼いたします。これは参考でございますが、やはりもう製品としてできているものは、最低限のJIS規格などが既にあるものがございます。例えば、空間線量、NaIのシンチレーションメーターでございますと、一般的に大企業がいま市販しているものは、最低でも20%は保証するような検査をしているような状況です。それを踏まえて、また今後、先ほど柿田課長が仰った中での検証を進めていただければというふうに考えております。

【二瓶主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【江原委員】  文章というか、文についてなのですけれども、5ページの7行目の「達成目標」というところに、「放射性セシウムを確実かつ簡便に測定できる技術」というふうに書いてありますけれども、放射線というのは時間に対して非常にランダムに放出されるというようなことで、ある意味、確率現象だと思うんです。そういうことで、この文章の「確実かつ簡便」というのは相反するのではないかということで、どうしてここだけこういう文章を使ったのかと。ほかのところでは、「精度よく」とか「高精度」というふうに書かれているのですけれども、できれば直したほうがよいのではないでしょうか。

【石田委員】  どのようにしたらいいですか。

【江原委員】  多分「高精度」でもいいと思うんです。もしくは「確実性の高い」とか、「確実」と確定してしまうと、私はどうなのかなというふうに思います。
 それと、ちょっと意見というか、感想なのですけれども、今回の公募、期間も1年、3年、両方とも多分可能だと、私は放射線メーカーなものですから、思います。ただ、重点的に取り組む対象が1~3まである中に、「アルファ線、ベータ線の測定」がありますが、これは扱いが非常に難しくて、ある限られた機関でしか扱えないのではないかという印象を持っております。ですので、「アルファ線、ベータ線の測定」についての公募は、個人的には難しいのかなと思います。
 それと、そのほかに私、2つほどあったのですが、1つは別添でも出ておりました、この辺のこと、ぜひ考慮していただきたいと思います。別添で、先ほど、放射線計測領域における取り組みの推進に当たって考慮すべき事項、この辺は非常に大切だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、あと、先ほど中村委員がご質問された、やはり、性能をどういうふうに評価するか。今、市販されているものは、カタログ値を見るとかなりいいかげんなものが出ているかと思います。そういう意味で、ぜひとも今回、追加された、開発終了後、開発した機器の性能情報、この中に、先ほど私が申し上げたような、確率現象に近いことがありますので、多分、ソフトで予測なり推定してやる部分というのが出てくるかと思います。そのときに、どこまで公開できるかわからないのですけれども、ソフトのアルゴリズムみたいなものも広く公開できるように、できればしていただきたいと思います。そうすることによって、採択されて、実際に開発を進める方も、更にいいものをつくろうという努力をされるのではないかというように思っております。
 以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございました。

【原文部科学省原子力災害対策支援本部モニタリング班副班長】  「簡便に」という文言が入っているのは、いろいろな調査の中でセシウムが一番支配的に影響してきているという結果がでていること。あと、食品の世界においては、特別な技能を持った人しか使えないものではなくて、多くの人が使えるようにすることが求められている状況があるかと思います。そういうことも踏まえてやられているということだと思いますので、ご配慮いただきつつ検討いただければと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【杉山委員】  今のところにも少し関係するかもしれませんが、食品の中でも、特に給食に対する計測ニーズが非常に強いと聞いています。そこで募集の際に、この1年で開発する課題に関しては、国策でやりますので、社会ニーズによく合うように、二、三の例を課題例として挙げてもいいのではないかと思っています。
 といいますのは、民間企業では当然、様々な放射線計測装置を開発しているけれども、国策レベルでやるのは、このプロジェクトだけだと思います。それ故、重点的に取り組む対象を3つ設けていますけれども、その他にも様々な対象への計測技術の応募がたくさん出てくると思います。その場合、重点的に取り組む対象以外から多くの応募があり選択に窮することをさけるために、予めどのような計測対象課題を優先的に短期間でやるのか、ある程度、社会ニーズの強い課題群を、優先順位をつけて示しても良いと思います。

【二瓶主査】  今仰った短期の場合の優先順位の高い課題はどのようなものでしょうか。

【杉山委員】  給食に対する計測のように、国として、短期間での開発を期待している課題群に対するものです。

【二瓶主査】  なるほど。

【杉山委員】  もし、募集の際に事前に提示することが出来ればということです。

【二瓶主査】  具体例を挙げたほうがいいと、そういうことですか。

【杉山委員】  はい。

【二瓶主査】  いや、確かに短期というのは、もうすぐにでも始めてもらいたいという内容ですので、どうですか、それを公募の段階では、なるべく具体化するということでいかがでしょうか。今、ここではちょっとなかなか議論が尽きないと思うのですが。

【杉山委員】  はい。(公募の段階で工夫して頂ければと思います。)

【二瓶主査】  わかりました。ありがとうございます。どうぞ。

【森川委員】  私が被災地の関係者といろいろディスカッションをすると、セシウムはもちろんのこと、ストロンチウムの測定に対する住民の要望が非常に強いということを感じております。そういう意味で、ハードルは高いかもしれませんけれども、アルファ線、ベータ線放出核種を測定する、これは本当にぜひやっていただきたいと思います。
 それから、もう1点、感じたのは、高精度、高感度というのは、もちろんオンリーワンの機器に求められるわけですけれども、今回は特に「大量」かつ「迅速に」という、また2つのキーワードがありまして、そのときには本体だけではなくて、周辺機器とあわせた開発もぜひやってほしいというような声が現地で強く寄せられています。そのときに、達成目標のところで「技術・機器及びシステム」というふうに共通して使われている言葉なのですけれども、そのとき、周辺機器は、システムというところに周辺機器を含むシステムという解釈なのか、そこら辺はどういうふうに理解をするか。
 タスクフォースのときに、ご説明では、特に食品の分野では、なかなか国産メーカーの応募は少ないだろうというお話があったのですが、逆に、その周辺機器からは、外国製の本体を含めて、システムとして迅速かつ大量なものを提案というものも、今回は含まれてもよろしいのか、その辺を教えていただきたいと思います。

【柿田基盤研究課長】  今、森川委員からご指摘いただいたとおりに我々は考えております。そのような趣旨で「システム」という言葉を入れさせていただきました。少し補足しますと、タスクフォースで19日にご議論いただいて、そのときもシステムという話もありましたが、更にその後、省内で改めて議論しまして、今、お話があったような意見が省内からも出てまいりました。やはり、機器単体にとどまらず、システムとして組み上げていくことも重要ですので、今のご指摘の趣旨ということでご理解いただければと思います。

【森川委員】  ありがとうございました。

【竹上基盤研究課課長補佐】  資料3ページのところに「主な選考の観点」というのがありますが、開発期間が3年の中期開発型に関しては、機器の性能の向上という部分が選考の観点として重要になります。一方で、開発期間が1年の短期開発型に関しては、利用ニーズとの合致や、開発プロセスなどを重要視しており、システムや周辺機器の開発をやるような企業の応募も想定した、評価指標の設定にしている状況です。

【菅野委員】  多分、ニーズというのは多様なものがこれからいろいろ出てくるのではないかと思うんです。今回こういう推進委員会をつくった理由というのは、そういう多様なニーズが、ある意味、飛び込みで来たときに、開発している機器を、少し仕様を変えるようなことでそのニーズに対応するというようなことを多分、柔軟にしていただくような趣旨で、こういう非常にちょっと機動的な構成になっていると思うので、そこら辺、ぜひ、JSTの方にうまくアレンジしていただくと、非常に大変なことだと思うんですけれども、つくってみたけれども使えなかったという批判、特に、短期開発型は期待も大きい割に逆に批判も強く出てくるかなと思いますので、ぜひ、そこら辺を考慮していただければと思います。

【二瓶主査】  江原委員、先ほどご指摘のご意見で、アルファ線・ベータ線の計測に関して、なかなか難しいのではないかというご指摘でしたけれども、もう少し具体的に仰っていただけますと今後の参考になるかと思いますが、いかがでしょうか。

【江原委員】  具体的に申されましてもちょっとあれなのですけれども、やはり、アルファ線、ベータ線が測れるようになるということは私も非常にいいことだと思うんですけれども、まず、許認可が非常に難しいという問題が、中小企業にとっては1つの問題点だと思います。
 それと、アルファ線にしろ、ベータ線にしろ、紙一枚とか、そういうもので止まってしまうので、非密封になるということは非常に扱いが難しくなったりするというようなこと。あと、体内に入ってしまって被爆した場合を考えますと、やはり、そういう設備や体制をしっかり整えてからでなければ開発もできないというような、そういう意味で、限られた機関でなければ難しいのではないかというようなことで申し上げさせていただきました。

【原文部科学省原子力災害対策支援本部モニタリング班副班長】  少し補足させていただきます。例えば、セシウムの分析といった場合ですと、例えば、プロセスの中で、分量調整とか濃縮とかの前処理等を行うことはございますが、その前処理の後の工程はゲルマニウム半導体の検出器などを使えば計測することができます。それに対して、アルファ線・ベータ線放出核種ですと、加えて、化学的な処理をして分離をするというプロセスも必要になってきます。今、先生が仰ったのは、例えば、薬品の取り扱いができるかどうかといったことをご懸念されていて、今のようなお話が出たのかと思います。1年のプログラムですと、アルファ線・ベータ線放出核種の機器開発をできるところは限られるだろうというご趣旨なのかなと思います。

【江原委員】  そうですね、それもあります。

【原文部科学省原子力災害対策支援本部モニタリング班副班長】  ですが、一方で、今、先生が仰ったように、ストロンチウムの分析ニーズが非常に高い、これは私も日々、地元の方からの要望等もよく聞いております。そういう中で、既存技術・機器よりももっとどう早くできるかということも課題になってきます。正直申し上げますと、既存技術では、アルファ線・ベータ線の計測に、1カ月~1カ月半かかります。簡便な手法もありますが、それは核種の特定ができない、全ベータ線分析のような手法になりますので、そこは大きな課題になっているということは確かでございます。

【二瓶主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、グリーンイノベーション領域その他事項についてです。
 田中先生、どうぞ。

【田中委員】  私は、ご存じのとおり放射線計測のメーカーに勤めておりますし、現在、国会原発事故調の委員でもありますので、放射線計測領域に関するコメントはあえて控えさせていただきました。それのかわりと言っては何ですが、このグリーンイノベーション領域、それに例をとって、もしかしたら一般論になるかと思うんですが、参考資料2の1ページにマル1、マル2と書かれております。太陽光発電、蓄電池、燃料電池、こういったものは、今、日本のお家芸と言ってもいいかもしれません。ただし、問題がありまして、例えば、中国や韓国がかなり追い上げて、場合によっては、もう追い越している。では、こういった状況で日本はどうすればいいかといったときに、この先端計測分析を考えますと、日本が戦略的にできることといったら、そういう分析計測の学術、技術が、少なくともそういった国よりも、今は進んでいるという利点をもっと生かすべきではないかという話になると思います。
 特に産学官連携、もう中に既に書かれていますが、具体的にそれを想像すると、そういうふうにもう開発段階から、そういう分析計測がメーカー、あるいは学が、産あるいは学と一緒になって開発することによって、イノベーションとかブレークスルーというのが生まれる。それができる素地が、日本のほうが圧倒的に強いはずですので、そういった利点を最大限生かして、世界に貢献。日本もそれで豊かになるということがありますから、そういったことはもちろん折り込み済みだとは思いますが、今、当たり前のことを申し上げているのですが、そういったことをもう少し念頭に入れて、例えば、今後実際にどのプロジェクトといいますか、アイデアを選ぶかといったときに、そういう融合といいますか、一緒になって開発できるチームが、多分、成功に近づくといいますか、将来的に日本、あるいは世界に役立つということになるのではないかと思います。
 以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【佐藤フェロー】  9ページの「知的創造プラットフォームの構築」という形で書かれていることなのですけれども、そのウのところに、「重点開発領域における研究開発の重要性や具体的研究手法に関して、開発者、関係団体、ユーザー等の各方面の関係者の理解を深めるため、JSTは、文部科学省や小委員会と連携し、CRDSの協力も得つつ、随時ワークショップを開催する」と。これは非常に重要なことを含んでいるのですが、例えば、公募がもう始まってしまった後、このワークショップを開くことができるのか。公募前にワークショップを開いてやるのが普通だと思うのだけれども、今のスケジューリングから言うと、これを公募開始前に行うのは大変難しい状況になると思うんです。これは、来年以降の問題にするのか、にもかかわらず、もう公募が始まった段階でもワークショップを開いて、こういう問題提起をしていくのがいいのか。この重点領域の中には放射線も含まれれば、グリーンも含まれるのか、それとも、グリーンだけなのか、その辺のことについてご指導いただければありがたいと思います。

【二瓶主査】  どうですか。

【柿田基盤研究課長】  ここの趣旨は、たしか中間報告のときからも入れていたと思いますけれども、理想を申し上げますと、今、佐藤先生が仰ったように、公募を開始する前に、社会とコミュニケーションをとって、どこに重点を置いて公募するかという検討を行う過程の一つとしてワークショップは非常に有益だと考えておりますが、時期的には、今回の放射線とグリーンについては、もう間もなく公募を開始すべく準備していただいておりますので間に合わない状況です。
 一方で、放射線もグリーンもそうですけれども、特に放射線については、産と学のチームでやっていただくわけですけれども、しっかりと使えるものにしていくことが大事だと思いますし、現場のニーズに適切に応える形で物をつくっていくことが大事ですので、できれば、このプロジェクトが採択された後の開発の進捗報告会ということでもいいと思いますけれども、ユーザー等のステークホルダーを交えてディスカッションをして、場合によっては、開発の方向性といいましょうか、よりよいものにしていくということに、その議論が活かされれば非常にいいと思います。
 それから、グリーンイノベーションに関しては、仮に25年度も新規公募をすることになりますと、新規公募に向けての新しいターゲットの設定に向けた議論をワークショップでやるということは必要ではないかと思います。

【佐藤フェロー】  了解です。

【二瓶主査】  確かにご指摘のように、中間報告の議論のときには、ちょうど今ごろまでにやるという気持ちがあったのです。そういう意味では申しわけなかったのですが、今、課長のおっしゃるように、プラットフォームの構築というのは、これはご承知のように非常に一般的な枠組みの議論をして、こういうやりとりが大事ですよというようなことを今までもやってまいりました。ですから、公募と絡むと、やり方を少し工夫しなければいけないかもしれません。ごく一般的に言いますと、実際に採択された事業が進んでいる途中においても、ユーザーからの意見がいろいろなチャンネルから聞こえてくるということが大事なことです。したがって、開発者とユーザーサイドの意見交換の場というのが課題選定後でも、そういうことが前提として組まれたワークショップであれば、実施してもいいのではないかと思います。これは1つ、ご検討いただければと思います。

【佐藤フェロー】  放射線計測に関して新規公募が今年限りだとすると、特に開発期間が1年間の短期開発型では、公募して採択された段階ですぐにワークショップをやらない限りは、ほとんど意味がないと思うんですね。ですから、その辺のところについては、文科省とも相談しながらやらないと大変難しい問題かなと思っています。

【二瓶主査】  ありがとうございます。どうぞよろしくご検討のほどをお願い申し上げます。ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、一通り全体の議論を終えましたので、どうぞ、どの部分に関しましても結構ですので、ご意見があればいただきたいと思います。いかがでしょうか。

【杉山委員】  全体に関係すると思いますが、プラットフォームの進め方を来年度に向けてどうするかということです。やはり、伺っていますと、プラットフォームというのは、ワークショップもプラットフォームという考え方でやればできるというように、現段階においては、知的創造プラットフォームという考え方でいろいろなことを動かしていこう。と感じます。そこから更にもっと具体的なプラットフォーム、何か委員会のような形のあるものにするかどうかというのは、これからの議論だと思います。
 そういう議論の一つとして、さきの推進委員会とも関連するのですが、今までは開発総括だけで動かしていたことに対して、もう1つ領域総括が入ってきて、いろいろ途中で研究開発を方向転換してもいいというようなケースがでてくると思います。場合によっては、提案のあった公募の幾つかを組み合わせてもっとよりよい公募に変えるというような柔軟性が生まれてくるかもしれません。そのようなことを推進委員会で議論できるようにして、よりよい方向に効率的に研究開発を進めるというのもプラットフォームの1つの考え方かもしれません。私は、そういうふうにかなり柔軟にプラットフォームをとらえていますが、いかがでしょうか。

【柿田基盤研究課長】  そうですね。柔軟に考えることが私もいいと思います。程度の問題があるかもしれませんけれども、できる限り柔軟に、かつ迅速に事を進めていけるようにすることが大事だと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【佐藤委員】  今の件にも関連するのですけれども、プラットフォームというのはまさに基盤なので、私は、本年度から入っているので、この議論にあまり参加できていないので理解が十分ではないところもあるのですけれども、全体の今までやってきたものを集約して、次の価値を創造していくような旗振り役をするのが多分プラットフォームであって、そういう機能がこの中にないといけないような気がするんです。そのために必要なデータベースとか、そのために必要なワークショップを開いて、どういうところを目指していけばいいのかということをリーディングするというような機能をこの中で果たしていかれればいいのかなと。
 そうすると、先ほども、グリーンイノベーションとか、そういう領域においても、今こういうふうに進んでいるではないか。そうすると、先端計測で開発したものをベースにして、もっとこういう本質的なところをきちっと押さえるということをやっていかないとだめなのではないかという提案が出てきて、そういう相乗効果をもたらすような機能をこのプラットフォームにどんどん盛り込んでいけばいいかという気がするので、漠然としているので、何か煮詰まっていない可能性が高いので、そういうものを今後やっていけばいいのではないかと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【石田委員】  先ほど柿田課長から、システム化のところで、周辺機器とか、そういう周辺付属品等を含むというお話があったので、これは非常に結構なのですけれども、ちょっと私、タスクフォースのメンバーで今ごろちょっと気がついたのですが、例えば、ソフトの開発、計測したデータを処理するためのソフト開発、これはいろいろな意味で非常に重要だと思うんです。例えば、そういう提案があったときに、このシステム化の中にそういうものを含めるのかどうかというのを、明確にしておいたほうがいいかなと思ったのです。特にマル1、マル2の場合、結構重要な点があるかなと思うんですが、どうでしょうか。

【江原委員】  そうですね。

【柿田基盤研究課長】  ぜひ、せっかくですので、この場でご議論いただければ幸いかと思います。今のご趣旨は、ハードウエアとしてはほぼ完成しているものであって、更にソフトウエアを改良することによって、よりデータの表現の仕方がよくなるとか。

【石田委員】  そうですね。プロトタイプがあってもソフトがおくれているとか、いろいろなケースがあると思います。

【柿田基盤研究課長】  ソフトウエアの部分だけに特化していいかどうかという問題ですが、これは、システムという趣旨をどう解釈するかということかも知れません。システムに関しては委員の方々からもご意見がありましたので、ぜひ、ご議論いただければと思います。

【安藤参事役】  これまでの経験から申し上げれば、当然ながら、機器だけ開発して動くわけではありませんので、実際に動かすためのソフトウエアとかデータベースの開発もしておりますので、あわせてやることは十分可能です。ただ、完全にソフトだけというと若干疑問がありますけれども、それを含めた開発ということでよろしいのではないかと思います。

【菅野委員】  僕は短期のものは結果が大切だと思うので、ニーズに合ったものが出てくるかという、その観点一点から判断したらいいのではないでしょうか。本当にソフトウエアをつくれば被災地の方々に喜んでいただけるものができるような提案が出てくるのだったら、それはそれで、システムを広目に解釈することはいいでしょう。ただ、役に立たなければ、これはほんとにどうしようもないので、1年物は非常に特殊なものではないかと今回は考えますけれども。

【二瓶主査】  どうぞ。

【佐藤委員】  今、福島の支援をいろいろ計測関係で、具体的に、ボランティア的にやっているのですけれども、やはり、どうやってデータを収集するかとか、それをどういうふうに加工してセシウム137だけ取り上げて分離するかとか、そういうのは、やはり具体的なニーズがあって、かつ、実現がなかなか難しい。そういうものを、単に機器だけあるというのではなくて、通信機能を持たせたり、それを使って解析させたりということも当然必要になってくると思うので、菅野さんが言われたように、結果が大切だと、早くそれを実際に現場でうまく適用できるという観点で見て、ソフトもハードも入っていても構わないという判断をどういうふうにするかという判断は、分科会において行えばいいのではないかと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【杉浦委員】  9ページに「ソフトウエアタイプについては公募しない」と書いてあります。これは最初から気になっていたのですけれども、今の機械の中で、ほとんど何でもそうですけれども、ソフトウエアを開発することが機械と機械をつなぐための一番重要なところで、それだけの学科をつくってやっているくらいのところが結構あるので、ここの項目は考え直していただいて、例えば、放射線計測とか、グリーンイノベーションに関する重点課題に関するソフトウエアについての開発は、機器と機器を結ぶとか、そういう計測を可能にするものは認めるというような格好に書き直すべきだろうと、最初から認めないというと、機器が全く動かないということが起こってしまうということです。

【佐藤フェロー】  ここに書いてあるのは重点領域以外についてですよ。

【杉浦委員】  それはわかっています。しかし、このような記載では、領域に限らずソフトウエア開発は認めないと誤解されてしまうと思います。従来型にしても、ソフトウエアを組み込んで開発するようなものが出てくるという可能性があるのではないですか。

【二瓶主査】  ちょっと説明させていただきますが、23年度までは従来の、ここで言うと一般領域の公募の中に、従来はソフトウエア開発というプログラムがあったわけです。24年度はそれをやめるということに決めた一番の理由、ここに若干書いてあるのですけれども、システム開発の中のソフトウエアと、それだけを切り出したソフトウエア開発とが、いささか趣旨が混同して切り分けにくくなっているというケースが実際に見られたのです。23年度実施段階までの経験でそういうことがあった。それが1つの理由なのです。
 先程来ございますように、ソフトウエアは大事だということも十分に皆さんご存じのとおりですけれども、開発研究の公募としてソフトウエアタイプを切り出して、たしか3年やりました。その結果、いささか混乱が見られるので一たん中止して、そのあたりの交通整理をもう一度きちっとした上でまた再開をするという意味でここに特に書き出しました。そういう意味でありまして、重点開発領域については、もちろん全然別の話です。
 それから、ソフトウエア開発タイプを募集しないということは、ソフトウエアにお金を使ってはいけないという意味では決してない。単独の領域として課題を公募しないという意味です。先ほどの議論も少し混乱しておりましたが、必要なソフトウエアは当然つくらなければいけませんし、そのための経費を計上することは一向に構わないというご理解でお願いできればと思います。

【竹上基盤研究課課長補佐】  ソフトウエア開発タイプという形での公募はしないと記載しておりますが、やはり、機器とソフトウエアを一体的に開発していくことは重要であろうということで、今までこのプログラムでは、「技術、機器」のみを開発するという目的にとどまっていたのですが、本日配付した資料には、至るところに「システム化」という言葉が散りばめられていると思います。その真意は、ソフトウエアを単独で開発するのではなく、しっかりと機器とソフトウエアを、また周辺機器等も含めて、今後はそういったものを併せ持った機器をしっかりと開発していかなければいけない、そういった強い意思をこの基本方針では示しているということです。

【二瓶主査】  それから、今の議論で、システム化というところに、先ほどご指摘があった周辺機器、周辺システムも含めるというような表現があったほうがいいかもしれません。確かに、迅速性ですとか、現場で実際に測定機器を適用した場合に、更に必要な道具立てが必要になるケースというのは確かにあり得ます。
 例えば、食品分析などのイメージで言えば、1つの規格のパッケージに入れたものをベルトコンベアーで流れ的に、次々にはかっていく場合です。計測機器だけが対象なのかと言われると、そうではなくて、入り口から出口まで伴っていないと現実にその機能が果たせないことがあるわけです。その場合は周辺機器も含むシステムですから、どこかにそういう言葉を入れておいたほうがいいかもしれません。
 何かほかにご意見はございますか。どうぞ。

【山科委員】  プラットフォームのことなのですけれども、私はいまだに知的創造プラットフォームの具体的なイメージが頭に描けなくて、昨年、アに書いてある共用のところを少しお手伝いさせていただきましたけれども、機器の共用というのは、装置を開発する上での1つのポイントだと思うんです。もっとそれ以外にも、それから今度、JSTでは、データベースをつくると、それも大事なことだと思うんです。ただ、それだけでは、まだプラットフォームのイメージとは合わない。何か、指先だけさわっていて胴体がはっきりしない。
 9ページの文章の最後の4行、5行のところに推進委員会の作業みたいにして書いてある、その中にいろいろプラットフォームのネタみたいなものが入っているような気がするんですけれども、このプラットフォームを具体的にイメージするために、一度ワークショップのようなものを開いてもいいのではないかと思ったのですが、いかがなものでしょうか。皆さん、忙しい中に、またプラットフォーム・ワークショップなんていうと、また仕事が増えて大変かもしれませんけれども。でも、このままずるずるとやっていってもプラットフォームは全然前に進まないのではないか、私の頭の中では進まないなという気がするもので。

【二瓶主査】  わかりました。多分、柿田課長から後で補足していただけるので、私はそのインタフェースだけお話しします。知的創造プラットフォームの議論は昨年度、22年度の議論で一応、まとめて、提言まで持っていった。それを23年度からは部分的に実施をするという方針で共用とネットワークについて議論して23年度に入ったかと思います。実際にきちっとできたのは共用の事業なのです。ネットワークのほうは、実は放射線がらみの議論で、優先順位を変えて今までまだ着手していない、そういう状況でございます。
 そこで、24年度では再度、22年度の議論を呼び戻して、もう少しきちっとまとめましょうということが本来ここで書いたことの意味なのですが、一方、もう一つ、本年度、23年度から研究開発プラットフォームという議論が開始されました。これは、この委員会の上部委員会として発足して、既にかなりの議論をしております。その議論が、実は24年度に報告書としてまとまる、そういうスケジュールになっております。この知的創造プラットフォームというのは、いわば先端計測分析技術・機器開発、これを念頭に置いたプラットフォーム議論なのです。もちろん、プラットフォームの概念というのは、部分的に閉じてそれっ切りということはあり得ないということは承知しておりますけれども、かといって、最初から何もかも含んだ大きな本格的なプラットフォーム形成という議論にまで持っていくには、少しギャップがあるということから、知的創造プラットフォームという名称で、その内容は、先端計測分析技術・機器の事業をいかに活性化するか、いかに普遍化するかということを目指した議論という認識でございます。
 ちょっと話が長くなりましたが、もう少し本格的なプラットフォーム議論を今、柿田課長のもとでやっておりますのでご説明ください。

【柿田基盤研究課長】  研究開発プラットフォームと銘打って、小委員会で議論いただいております先端計測分析技術・機器ももちろんそうですけれども、X線自由電子レーザー、スパコン「京」、J-PARCをはじめとする先端的な研究基盤をいかに戦略的に整備し、有効に使っていくか、さらには、複雑でチャレンジングな研究テーマに対して、優れた研究基盤を連携して使って画期的な成果を出していくか、そのための仕組みをどう作っていくかという議論を研究開発プラットフォーム委員会において、こちらも二瓶先生に主査をお願いして進めていただいているところです。
 その中で、先端計測技術、機器の開発についても、当然、先端研究基盤の一翼を担うものとして、全体のプラットフォームの中にしっかりと位置づけ、計測技術や機器の戦略的な開発及び成果展開を、先端的な研究施設の整備、高度化、運用と効果的に連携させていくことを考える必要があります。プラットフォームの考え方につきましては、いわば先端計測機器に関わる知的創造プラットフォームの概念で先行的に取組が進められているところですが、今後は先端的研究施設との関わりも含めた、より大きな研究開発プラットフォームという枠組みの中にその機能をしっかりと位置づけ、我が国の研究基盤の戦略的な強化に向けた取組を進める段階に入ってきていると考えております。いずれにしましても、当小委員会での議論をしっかりと活かしながら、研究開発プラットフォーム委員会での議論を進めていきたいと考えているところです。

【二瓶主査】  どうもありがとうございました。大体ご議論いただけたように思います。本日の小委員会は、事実上、平成23年度の最後の小委員会でございます。今日はお忙しい中を田中委員にもお見えいただきましたし、1年間、振り返っていろいろなことがありましたが、何かご発言いただけることがございましたら、ぜひお願いしたいと思います。突然で大変恐縮ですけれども、江原委員には、いつもいろいろなことをお尋ねしたいと思いつつ、その機会がなかなかなくてここに至っておりますけれども、この委員会にご参加になられて、何か感想でも結構ですので、一言お願いできませんか。

【江原委員】  私は東成エレクトロビームの上野社長の後に入らせていただいたのですけれども、実は、最初のころは非常に戸惑いまして、どのような意見を申し上げたらいいのか、ちょっと迷ってしまったのですけれども、今日、大体これでわかりましたので、次年度は一生懸命、もう少しいろいろな意見を述べさせていただきたいと思っております。
 正直申し上げて、1回目はこんなものなのかなと思ったのですが、2回目、3回目と出ていくうちに、非常に大事な委員会だなということを痛感いたしました。今後ともよろしくお願いいたします。

【二瓶主査】  ありがとうございます。それから、重要人物のもうお一人、小原委員に一言お願いします。

【小原委員】  私も当時の推進委員会の内容を見まして、ある面ではびっくりしまして、非常に大きな責任を持たされたといいますか、持つような委員会になっていまして、JSTにもさまざまな委員会がありますけれども、恐らくこれほど大きな役割を担う委員会というのはちょっと珍しいのではないかなと思っております。しかしながら、それがどうだ、こうだと言うわけではありませんけれども、その下に3つ、ないしはプラットフォームを入れますと4つくらいになりますけれども、それを配置しながら全体を見つつ、これを円滑に進めていかなければならないと、これはお願いするのは林開発主監、プログラム・ディレクターになるわけですけれども、私も全力を挙げて林PDを支えながら進めていきたいと思っております。
 それから、先ほど短期的な1年物という議論が出ていましたけれども、JSTは、実は1年物は結構得意な分野で、ほかでも私が担当しているものがありますけれども、これはニーズをはっきり把握すれば、比較的あとはメーカーさんといろいろ協議しながら、進めていけば成果というのは出てくるのではないかと、半分、私としては、ある程度、見通しがあるのではないかと思っております。それだけです。

【二瓶主査】  ありがとうございます。今のようなご意見をいただきますと大変元気が出ますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
 それから、大島先生、何かコメントをお願いします。

【大島委員】  ちょうど1年前から参加させていただきました。先ほどのご意見と同じように、非常に大きなところ、もともと非常に狭いところをやっていたものですから、非常に大きな戸惑いが今でもあります。それで、タスクフォースにも出席させていただいて、ほとんどオブザーバーですが、今日お話しになったいろいろな部分から重点項目が出てきて、その内容というのもディスカッション、かなり激しい議論も聞きましたけれども、こうやって決まっていくのかということも、オブザーバーのような立場みたいな感じだったのですけれども、見させていただきました。
 翻ってみると、多分、日本の産業というのは、鉄から半導体になって、それから次のステップということで、グリーンテクノロジー、ないしは放射能というのはもう一つ大事な分野になりつつあって、それが自然な形でこういう感じで出てきて、こういうふうにまとまってきているというのは非常にありがたいと思っていますし、非常にしっかりした議論のように感じました。もう何度もご意見が出ていましたけれども、あとはこれをいかにうまく結実させていくかということではないかと思います。そういうことで、協力できるところは協力していきたいと思っております。どうもありがとうございました。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日、資料3にかかわる24年度の基本方針の議論、随分幅広くご意見をいただきました。本日、これの議論を含めた形でまとめさせていただいて、その事項を本委員会の決定事項というようにさせていただきたいと思います。今日も貴重なご指摘をいただきましたので、事務局のご協力をいただいて、私の責任でまとめさせていただいた上で決定ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【二瓶主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、議題1について終了させていただきます。
 事務局から、その他事項がございましたらお願いいたします。

○竹上基盤研究課課長補佐より、今後の小委員会の開催予定について説明があった。

【二瓶主査】  それでは、本日は以上で委員会を終了させていただきたいと思います。1年間、本当にありがとうございました。これからもよろしくご協力のほどをお願い申し上げます。

―― 了 ――

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