研究開発プラットフォーム委員会(第11回) 議事録

1.日時

平成25年8月9日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 本委員会の調査検討事項(海外企業が成果専有利用を希望する場合の取扱いなど)について
  2. その他

4.出席者

委員

二瓶主査、宇川主査代理、瀧澤委員、西島委員、村上委員、吉川委員、吉澤委員、今仲委員、中村委員、野田委員、福嶋委員、森委員、

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、伊藤科学技術・学術政策局次長、弦本研究開発基盤課長、三宅研究開発基盤課課長補佐、神部量子放射線研究推進室室長補佐、

オブザーバー

佐藤先端計測分析技術・システム開発小委員会主査代理

5.議事録

第11回 科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
研究開発プラットフォーム委員会
平成25年8月9日


【二瓶主査】  それでは、定刻になりましたので、本日の会議を始めたいと存じます。本日は、第11回の研究開発プラットフォーム委員会でございます。
 本日の議題は、お手元の資料にございますとおり、本委員会の調査検討事項についてを予定しております。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より,出席者の紹介と配付資料の確認があった。

【二瓶主査】  それでは、本日の議題、本委員会の調査検討事項について入りたいと思います。
 前回の委員会でお知らせいたしましたとおり、本委員会のもとにタスクフォースを設置し、これまで3回にわたって調査検討事項の検討を進めてまいりました。その内容は3点ございまして、第1が『共用施設・設備について、海外企業が成果専有利用を希望する場合の取扱い』、第2が『適切な利用料金の考え方、各機関が利用料収入を獲得するインセンティブの高め方』、第3が『「研究開発プラットフォーム」の取組効果を測るための指標等の明確化』でございます。その結果を本委員会の検討事項(案)としてまとめましたので、本日提示させていただき、御議論いただきたいと考えております。
 本検討結果(案)につきましては、本委員会で取りまとめた後に、8月26日の先端研究基盤部会において審議を行い、部会決定をするという流れを予定しております。
 それでは、事務局より、タスクフォースにおける検討の経過も含めて資料の説明をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より,資料3-1~7に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは、本日の主な議題は、ただいま御説明いただきました幾つかのグループに分かれておりますが、そのまとめが資料7でございます。資料7を中心に質疑応答をさせていただきたいと思いますが、もちろん附属資料についての御質問があれば、その都度お願いしたいと思います。それでは、資料7の1.は余り問題がなかろうかと思いますが、2.1、2.2、2.3、それぞれ順番に御議論いただければと思います。
 まず、2.1.『共用施設・設備について、海外企業が成果専有利用を希望する場合の取扱いについて』、1ページから2ページまででありますが、この部分並びに関連資料に関して、何か御質問、御意見はございますか。
【森委員】  資料7の2ページ目にあります「基本的な考え方」、項目は2.1です。ここで「これこれを求めることを排除するものではない」という非常に穏やかな言い方をしておられるのですけれども、ここで提言されておりますように、海外からの企業が成果を専有する場合も、基本的に同一料金で、国内の企業と同じ条件で使うことを標榜している場合に、私は、ただし書として、その外国企業がやっぱり何をやっておるかということを、つまり、申し出てきている海外企業が研究の何をやっておるか、公開はしなくても何をやっておるかをきちっとつかむということを「基本的な考え方」で表現しておくことが大事で、「これこれすることを排除するものではない」という、私にとってはちょっと穏やか過ぎる表現をするのではなくて、「なお、各種法令・規則の遵守のために、これこれの利用の制限を行うことに留意すべきである。そのためにこういうことをしていくのを排除するものではない。そしてその理由を明らかにするべきである」とするのが望ましいと思います。「排除するものではない」というのは、やりたければそうやりなさいというように聞こえるのですけれども、そうじゃなくて、海外企業に同じ料金でこうやってオープンする以上、やっぱりそれをきちっと把握して、それでそういうことが我が国の各種の法令や規則の遵守と抵触しないかどうかをちゃんと、「制限するということに留意しなさい」というポジティブな言い方の方がいいと思います。私の意見です。
【二瓶主査】  ありがとうございました。
【森委員】  「基本的な考え方」のところの表現の仕方ですね。
【二瓶主査】  ポイントは、海外企業、いろいろな企業からの利用申込みが予想される。その際に、その企業がどういう性格の企業であるか、それをもう少しきちっと把握するための手続等を明記すべきだという御意見ですね。
【森委員】  ええ。もう少し、「排除するものではない」という言い方じゃなくて、我が国の法令や規則の遵守から見て抵触しないということに留意する。その上でどうしても問題が出るようであれば、特別の負担を求めることをやってよろしいと。しかし、その場合はその理由を明らかにしなさいという方向に書いた方がいいと思います。
 私は、海外企業が申し込んできて、私たちの提供している施設を使わせた経験があるのですけれども、よっぽど提供者が注意していないと、お金を払って成果専有なのでということで、かなり向こうさんの主張どおりの仕事をされる可能性があるのですね。
 そこは、我が国にはやはり、例えば核兵器に関する仕事はしないというような決まりや観点が明確に述べられておるわけで、そのことを守るのは公的な立場にある人間の責務でもあるわけですので、「我が国の各種法令・規則の遵守のために、制限を行うことや、これこれを排除するものではない」という穏やかな言い方ではなくて、もう少し、「公務員に求められている立場を遵守する観点」からの強い言い方の方がいいと思います。
【二瓶主査】  いかがでしょうか。今の観点について御意見ございますか。
 実際の運用上、御指摘のように、冒頭に国内企業と同じ扱いをするための前提条件を明確にしておくべきであって、それを、森先生がおっしゃるように、例えば申請を受け付ける際にきちっと提示すべきだということになるわけですね。
【森委員】  私はそれを明記した方がいいと思います。
【二瓶主査】  確かに、実際の手続上ではそうでしょうね。その内容が、実は相当きちっと練っておかないといけないということになりますけど、この関連で何か御意見ございますか。
【福嶋委員】  いいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【福嶋委員】  福嶋ですけれども、森先生のおっしゃることに賛成なのですけれども、実はその内容というのは、海外企業に限らず、国内企業であっても同じ扱いをすべき内容ですよね、きっと。ですから、ここで言う海外企業に対する差、区別という問題の前提の中で、成果専有といえども、内外に関わらず森先生のおっしゃるようなことをすべきだということが、この前段階にあるべき話ではないかなと思ってお聞きしていたのですけれども。
【森委員】  おっしゃるとおりですけれども、国内企業の場合は、多かれ少なかれ、何を狙って何を研究しておられるのかというのは、申請書を受けた段階である程度、その組織の代表者が分かるのですけれども、海外企業の場合はなかなか、私たちのように、出されている申請書だけでは分からない側面がやはり多いと思います。その点を、国内と同等にするのだから、料金も同等ですのでどうぞ使ってくださいということだけを前面に出すのは少し危険であるというのが私の主張です。
【二瓶主査】  なるほど。大型施設を運用されているお立場の先生方から御意見いただきたいのですが、いかがでしょうか。
【吉澤委員】  吉澤です。中性子の関連ですと、その議論の前に、福嶋さんが指摘されたように、まず個別の課題について、成果非専有の場合は安全の観点と中身の観点で個別の審査をしているのですね。そこのところでフィルタリングが掛けられているという認識を持っています。ですから、ここは外国の企業をどう扱うかという議論なので、その前に、成果非専有の課題に関しては、各施設がスクリーニングをしているはずなので、その前提があればいいんじゃないかと思います。申請書の紙だけではなくて、多分、個別の面接も必要だと思いますので、その辺の制度設計がちゃんとされていればオーケーだと思います。
【二瓶主査】  いかがでしょうか。確かに、この「検討課題」というのは国内と国外の扱いをどう区別するのか、しないのかという論点で書かれておりますから、御指摘のように、基本的な手続、それから手続の際に提出していただく情報、その内容については何も触れてないですね。
 事務局、何か意見はありますか。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  主査の御指摘のとおり、こちらでは、基本的には海外企業との関係ということで整理をさせていただいておりますので、今回はこういう形にさせていただいております。
 ただ、前提となる部分につきまして、再度ここで検討するということも考えられると思いますので、いわゆる国外、国内は関係なく、法令の遵守というのは当然求められてしかるべき話ですので、それについて誤解のないような修正を考えて、表現をしてみるということで整理をすればよいのではないかとは考えております。
【二瓶主査】  いかがでございましょうか。確かに、少し前提条件を簡潔に書いた上で、海外企業と日本の国内企業との差についてはここに書いてあるようにという書き方では、森先生、いかがでしょうか。要するに、海外企業は確かに情報が不足しておりますから、きちっと情報を得ないといけない。判断する基本になる情報をきちっと出してもらった上で、その判断をまずした上でこの条文になるというような書き方に改めるということですね。ちょっと、案文は再度検討させていただきますが、御指摘は確かに承りたいと思います。
【森委員】  私は、基本的な考え方というものを、そこを読んで海外の方は来られる場合があるので、重複してもかまわないので簡単に書いておくべきだと思います。
【二瓶主査】  はい、分かりました。ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
【福嶋委員】  ちょっと別のところで。
【二瓶主査】  どうぞ。
【福嶋委員】  ささいなところですけど、改めて読んでいたときに、同じところ、資料7の2ページ目の「理由」のところの真ん中ぐらい、3段目の直前に書いてあることですけれども、括弧して「例えば」と書いてありますよね、「例えば、国内企業等との共同申請うんぬん」と。これが書いてあると、これじゃないといけないというか、こうすればいいんだというような、かえって誤解を招くような例が出ているので、ない方がいいのではないかなと思いながらお聞きしていたのですけど、いかがでしょうか。
【二瓶主査】  先ほどの御指摘とちょうど裏返しで、余り具体的に書くなという御指摘ですけど。
【西島委員】  正直言って、これがないと分かりづらいですよね、印象として。多分、一番多いのは、国内の現地法人の申請というのが。SPring-8なんかも、私が課題選定委員のときは一つの指標になっていたので。「等」が付いているので、これを抜いちゃうと、「経済活動に一定の貢献」というのが逆に物すごくアバウトになってしまって、拡大解釈をするので、どの程度のことが一定の貢献なのかというときに、この二つを書くというのは、ある意味、歯止めになっているのではないかなと私は思ったのですけどね。
【二瓶主査】  これは「等」と書いてあるのですが、実際問題として、海外企業の場合はこれをお願いする形ですよね。
【西島委員】  そうですね。
【二瓶主査】  要するに、最低限、現地法人であることとか、現地法人からの申請であることとか、それも共同研究でいいのか、あるいは国内の日本企業との共同研究である場合、具体的にはこの二つのいずれかを踏んでくださいということですね。
【福嶋委員】  やっぱりそうなるのですね。
【二瓶主査】  ですから、これを書く必要があるのではないかと。
【西島委員】  大変になると思うのですよね。
【二瓶主査】  何か関連して御意見ございますか。
【野田委員】  よろしいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【野田委員】  NIMSでは、特に現地法人というか、ちゃんと税金を払っているというのが前提ですね。いきなり全然関係ない海外の企業が使いたいと言ってきた場合には、そことの間での共同研究契約とか何かがあれば、きちっとした契約があればそれに基づくのですけれども、いきなり使わせてくださいというわけにはいかないとは考えています。もしあるとしたら、そういう契約関係が別途発生していればいいのかなという気もちょっとしますけれども、その辺はアバウトだと難しいですね。
【二瓶主査】  今、野田先生がおっしゃった共同研究契約というのは、例えば日本の大学が海外の大学と共同研究推進契約のようなものを結びますね。そういうものがあればいいというか、そういう場合だと簡単に、どうすればいいのかな、国内の大学と共同研究の形で申請が出てくるということが期待されますね。それであれば全く問題はないのですが。
【野田委員】  そうですね。
【二瓶主査】  そうでなくて、そういう提携を結んでいる海外の団体からの申込みであれば自動的に認めるとかいうことですか。
【野田委員】  実は施設を管理しているところとの関係があるので、要するに、施設を日本の例えば大学が使う場合に、その大学と契約を結んでいるところが使う、間接的な使い方になりますね。その場合だと、また抜け道があるかもしれませんね。
【二瓶主査】  おっしゃるとおり、形は確かに整っているけど、実質、全然承知していないと。
【野田委員】  特にアカデミックユーザーの場合には、そういうケースは幾らでもありますよね。そういう場合は、国内の大学が使うという形で、実際に使っているのは共同研究している外国の研究者となりますけれども。
【二瓶主査】  そうか、アカデミックの場合は。
【野田委員】  アカデミックの場合は結構あるのではないかと思いますけどね。
【二瓶主査】  それは特に構わないわけですね。
【野田委員】  問題ないと思いますけれども、ただ、企業はそういうケースがあるかですね。それは、むしろ福嶋さんの方が詳しいかもしれません。
【二瓶主査】  最近、企業と大学の連携、共同研究連携なんていうのは結構ありますよね。海外も含めてありますか。
【福嶋委員】  それは確かに、例えばトヨタ自動車とアメリカの大学との共同研究があって、共同開発ですか、研究があって、本当は研究を海外の人がやるから、J-PARCの利用申請は海外の人かもしれませんけれども、共同でやるということは当然あることですね。
【二瓶主査】  その場合も、きちっとした共同研究ですよね。
【福嶋委員】  契約に基づいてですね。議論の中でちょっと確認したかったのですけれども、国内企業の定義のときに、後半に書いてある「国内の現地法人」というのも、これは国内で税金を払っているのだから国内企業であるとしましょうという定義をしたはずですよね。そうすると、資料7の2番目の「国内の現地法人の申請」というのは、これは海外企業の申請ではなくて国内法人の申請とみなすから、ここの対象、私自身、混乱しているのですけれども、ここに書いてあるということはどういう意味なのかなと。
【二瓶主査】  なるほど。おっしゃるとおり、「国内の現地法人」というのは国内企業と同じ、同義ですね。現地法人との共同研究の形で海外の企業の研究者が申し込んでくるというようなケースをたしか念頭に置いたのではないかと思います。
【福嶋委員】  分かりました。
【二瓶主査】  どうぞ。
【村上委員】  今、問題になっているところを何度か読み返してみたのですが、やっぱりどうかなと思ったのですが、これはタスクフォースのときにも問題になったのですが、資料7の2ページの「理由」の真ん中あたり、2段落目の最後の4行で「特段の差異を設けないことを原則とすることが望ましい」という文章があって、それに対して「なお、これこれを考慮することが望ましい」と。
 これは、実は「特段の差異を設けないことを原則とします」と言っているにも関わらず、「なお、これこれすることが望ましい」と、同じ「望ましい」、「望ましい」と来ているので、一体どっちだというのが、この文章はやっぱり曖昧だろうなと思うのですね。原則として特段の差異を求めないことを強調するならば、上のところは「望ましい」はなきにして、「それを原則とする」というふうにして、その後、「こういうことを考慮することも望ましい」というぐらいの、ただし書という意味合いにするぐらいがいいのかなと今までの議論で思いました。
【二瓶主査】  なるほど。御指摘のように、前段と後段、前段は「原則とする。ただし」として、「これこれが望ましい」という書き方にすればよろしいですか。
【村上委員】  はい。
【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは、ほかにいかがでしょうか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【今仲委員】  細かいついでに、「基本的な考え方」の「なお」から以下ですけれども、「排除するものではない」で切るべきではないですかね。「排除するべきものではないが、その際は」という文章よりは、「排除するものではない」で一旦切った方が明確になると思います。ちょっと細かい話ですが。
【二瓶主査】  ありがとうございます。ほかには、いかがでございましょうか。
 それでは、もちろんまた戻っていただいて結構ですが、次の項目に進ませていただければと思います。資料7の3ページの2.2.『適切な利用料金の考え方、各機関が利用料収入を獲得するインセンティブの高め方』について、この項目について、御意見あるいは御質問はございますか。
 私からちょっと口火を切らせていただきますが、資料7の4ページ目の上から5行目、「なお、学術研究を中心とした成果非専有利用においては」という表現がありましたけど、これは成果公開利用ですよね。基本的な用語は各機関とも同じように使ってほしいと思いますので、今までの議論では成果公開というカテゴリーだと思います。
 宇川先生いかがでしょうか。
【宇川委員】  この論点全体が、恐らくイノベーションですとか産業界の利用などに主眼が置かれているので、これでもいいのかと思うのですけれども、成果公開利用に関しては、特に共同利用機関ですとか、そういうところを中心に、無償というのが、ある種の原則のようになっておりますよね。そのことを「基本的な考え方」のところに何らかの形で入れておかなくていいのかどうかというのが、ちょっと気になっているところです。どちらがいいのか、迷うところではあると思うのですけれども。
【野田委員】  よろしいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【野田委員】  実はSPring-8にNIMS、それから原研専用ビームを持っているのですが、我々が関係しているナノプラットフォームでは成果公開しなくちゃいけないのですけども、設備利用料金は取っています。1時間1,200円ぐらいです。
 ただし、理研側との取決めがあるのですけれども、以前はJASRI側に提供する部分に関しては完全にお金を取らないということだったのですが、今は一応利用料を取っています。ただ、それはあくまでも専用ビームラインに限ってのことでありまして、SPring-8全体の共用に関わることに関しては、先生がおっしゃったようなことかと思うのですけれども。
 ですから、大型施設でも、そこを専用的に使っているところに関しては、利用料金を取っているというのが現実です。
【宇川委員】  よろしいですか、もう1回。
【二瓶主査】  どうぞ。
【宇川委員】  そういった状況もありますし、スパコン関係ですと、情報基盤センターは普通、利用料金を取っているわけです。だから、それぞれの組織の成り立ちとか経緯とかによって、そこも完全に統一されているわけではないので。
 私は、公開利用に関しては無償というのがいいと思うのですけども、そこまでを基本的な考え方に書き込むことに関しては、そこまでやっていいのかどうかというのは迷うところがあるというのが先ほど申し上げたところです。
 ただ一方で、理由のところの、しかも割と最後の方に書かれてしまってというのが、それでいいのかなという気もして、どういうふうに発言すればいいのかずっと悩んでいたところだというのも正直なところです。
【吉澤委員】  よろしいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【吉澤委員】  参考情報ですけれども、私ども物性研究所は全国共同利用なので、基本原則、ただだとお思いでしょうが、実は消耗品代を頂いております。
【宇川委員】  それはいいと思うのですね。
【吉澤委員】  だから、そういう意味での利用料金設定ということがどこかに明確になっていればいいと思います。分野が違うと想像がつかないかもしれませんけど、液体ヘリウムというのは低温にするのに非常に金額が掛かりまして、数千万から1億円ぐらいサポートしなくちゃいけないという大変な共同利用でございます。
【二瓶主査】  なるほど。それともう一つタスクフォースの議論で問題提起があったのは、たしかSPring-8は運営費交付金で賄うという前提があって学術利用は無償ということになっているという話がありました。
 一方、いろいろな共用の範囲に含まれる設備とか、そういう意味での運営費交付金を頂いていないところもあると。とすると、実質的に何がしか頂いて運営しないと、もともとやっていけないというケースもあるという点が指摘ありまして、その点と今お話のような点を、やはりこれは基本的な考え方にきちっと書いておかないと、いろんなケースがあるよということをあらかじめ理解しておいていただく必要があるのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。どう書くかは相当よく考えないといけないと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしければ、今のような考え方で、基本的な考え方の項目に、この無償利用に関して書き込むということにいたしましょうか。
 それではほかに何か御意見ございますか。
 もう1点、私からですけど、事務局の考え方をお尋ねするという形になりますが、「基本的な考え方」の5行目に、「利用料収入を施設・設備の高度化・メンテナンス」という、「高度化」という表現があるのですけれども、補正予算で高度化経費というのを扱いましたね。高度化って言ってしまうと、そういう発想と重複してしまわないかなという気がしまして、ここの意味はそれほど大げさに、大きな設備をどんと入れるという感覚ではないと思うのです。だとすると、「施設・設備の充実」くらいの表現の方がいいのではないかなって、大変細かいことですが。それで、高度化経費はまた次のチャンスにどんと頂ければ有り難いと皆さんお考えではないかという気がしましたけど。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  事務局から補足させていただきますと、二瓶先生の御指摘のとおり、資料7の3ページの「理由」にありますように、「試料の交換する自動化設備を導入する等」という表現にしておりますとおり、まさに充実という観点の考え方で入れさせていただいている表現なので、表現についてはその形でもよろしいかと思っております。
【二瓶主査】  ほかにいかがでしょうか。
 もしよろしければ、次の項目に進ませていただければと思います。資料7の4ページ目からですが、2.3.『「研究開発プラットフォーム」の取組効果を測るための指標等の明確化』について御意見いただけますでしょうか。
【西島委員】  ちょっといいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【西島委員】  タスクフォースでも満足度というのは大変重要だという議論はあったのだけど、数値化の方法を検討する必要があるというのだけど、数値化の方法を検討するのは、誰がどこでどうするのでしたっけ。満足度を示すって、これ、ぽっと出たときに、それはそうだよって言ったけど、誰かがちゃんとこれをやるには、どこをどうするっていう議論で終わっていたのでしたっけ。数値化の方法。満足度が重要だっていうことは議論があったのですけど、文科省の方で何かひな型を作るのでしたっけ。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  議論があったのは、やはり何かしらの定量的な形で示すことが必要なのではないかという点でありまして、それについては、その場でなかなか結論が出せるものではないので、引き続き検討しなければいけないのではないかという御意見を頂いて、どこでというところまでは明確化していないのですけども、そういう表現を入れさせていただいているという状況です。
【西島委員】  例えば実際の研究開発プラットフォームとして今、放射光とNMRとありますよね。それは独自にNMRとか放射光のところが、こういうことで利用者の満足度を、数値化の方法を独自に考えてくるということで、二つのところで対応していいのですかね。なかなか難しそうなことになるのではないかなと思うのですが。
 重要だと思うし、それは確かに論文とかじゃなくて、是非産業界の満足度を図ってほしいと思うのですけど、具体的に私のように産業界にいる立場からすると、どういうものが実際上がってくるかなと思ったので。
【野田委員】  ワーキングでも話していましたけど、ナノプラットでは、昨年24年度、2,000件ぐらい利用されているのですが、その利用者には満足度アンケートという形で、非常に簡単なアンケートなのですけれども、対応がよかったですかとか、結果に対して満足していますか、また使いたいですかとか、簡単な項目5つか6つをウエブで直接利用者がアンケートに答えるような形にして、その結果をそれぞれの実際に使った施設の方々が見られるような形にしていると。データは一応円グラフなり棒グラフなりで表示はできると。誰がやるかというところはまだ決まっていないのですけれども、今は各実施機関でそういった表示をされているところもいらっしゃるということです。
【二瓶主査】  どうぞ。
【吉川委員】  満足度を問うというのはなかなか難しいのですが、逆に不満足なところはどこかというのを聞くと、割合書きやすい部分があります。不満足なところがないというのは、これは満足しているというふうにも言えるので、もし満足度の尺度がなかなか難しいようであれば、不満なところをどうぞ自由にお書きくださいというふうな。
【西島委員】  課題をね。
【吉川委員】  そうですね。その施設をより良くこれから利用する上で改善点があればというふうなことも一つかと思います。
【二瓶主査】  心理学的なアプローチからすると、いや、よく分かりませんけど、例えば満足度5、4、3、2、1と5段階ぐらいに書いて丸付けていただいて、満足度低い方には理由、不満足なところをお書きくださいなんて感じが多いですよね。
【吉川委員】  多いですね。
【二瓶主査】  そういう感じでよろしいのですか。
【吉川委員】  それは基本の部分だと思います。不満なところというのは、利用者個人の定性的なもので。
【二瓶主査】  非常に具体的に出てくる。
【吉川委員】  ええ。ですので、情報としては良い情報が取れると思うのです。
【二瓶主査】  ありがとうございました。結局これ、先進的な施設・設備側がこういうもくろみ、NIMSのナノプラットのお話がありましたが、多分そういうところを工夫してくださいという意味じゃないかと。だんだん思い出しました。
【西島委員】  そうですね。
【佐藤委員】  ちょっといいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【佐藤委員】  満足度と不満足度を表すのもすごく大切だと思うのですけども、今非常に問題になっているのは、多分、研究開発プラットフォームを日本の科学技術イノベーション政策にとって有効に働かせるということを考えているわけで、じゃあ、その科学技術イノベーション政策にうまく結びついているのかということをどういう形で評価指標にして数値化して表して、次の政策に生かすのかということを考えなきゃいけないのではないかということがちょっと出ていたような気がするのですけども、そういうことを踏まえて、今後検討する必要があるのではないかと私は思うのですが。
 今すぐはちょっと出せないと思いますけども、例えば波及効果みたいなことが一番重要だと思うのですが、産業連関表みたいな、ああいう経済屋さんが考えることが本当に良いのかとか、科学技術政策に対する評価指標みたいなものがあっても良いのかなという気はするので、そういうのをちょっと定めていかないと、満足、不満足だけでやっていると、いい加減にできないところもありますので、その辺考えていく必要があるのではないかという気がします。
【二瓶主査】  どうぞ。
【福嶋委員】  今おっしゃったとおりで、こういう評価は、あんたは駄目ですよというためにやるのではないので。先ほどおっしゃった、課題を書いていただくことが、もしかしてちゃんと書いてくださるというのは、きっと非常に満足されておられる方ですね。我々がアンケートを書くときに、ぱっと頭に浮かぶのは、お世話してくださった方の顔が思い浮かんで、あんまり悪いなんて書けないですね。具体的に何をしてほしいですかというような項目がいっぱい出るということは、かえって非常に満足して、今度使おうという意欲が出てくるということなので、おっしゃるように、不満足じゃおかしいですね、今後の希望について書いていただいて、その項目がたくさん出るということは、やはり今後についても役に立つということで、そういうやり方がいいのではないかなと確かに思いました。ありがとうございます。
 それから、資料7の2.2とも関係するのですけども、実は2.2で議論した獲得するためのインセンティブを高める一番重要なところは、いわゆる有償でもやってくださったということが、この取組の評価としては非常に重要な項目であって、そういうことを念頭に置いて今後の評価にも使いますということは、料金を取るための活動に対する一番大きなインセンティブになると思うのです。
 ですから、最低限こういう指標であるというところに、もしかしたら有償利用の金額というよりは、どれくらい皆さん本当に使いたいということでやっていくかという、有償利用というか、成果専有利用がどれくらい増えてきたかというのは、かなり重要な指標にもなるということもどこかに明記した方がいいかなと思いながら聞かせていただきました。
【野田委員】  先ほど私、実際に使っている人たちに対するアンケートの話をしたのですけど、実は我々もこれから中間評価とかいろいろ受けるのですが、3年ごとぐらいにやっているのは、もっと広く研究者の皆さんに、まずこの施設を使ったことがありますかというところからやらないと、先ほどの話で、使った人はそんなに悪いことは書かないだろうというのはありますので、まずこの施設をよく知っているかとか、あるいは使ったことがあるかとか、その辺から少し広く、研究者全体に対してのアンケートというのも必要かなと思います。それはしょっちゅうというわけではないかなと思いますけど。
【吉澤委員】  二瓶先生、よろしいですか。
【二瓶主査】  はい。
【吉澤委員】  佐藤先生が発言していただいたので、タスクフォースの議論を思い出したのですけど、たしか私も、プラットフォーム形成事業というか、研究開発プラットフォームの施策の狙いがどこにあるのかということを注視して指標を考えなきゃいけませんねという発言をして。ここの今書いてある文章のほとんどのところは、個々の大型施設や研究所がされていることに重心があって、国の施策としてプラットフォームを形成しましょうと標榜しているはずなので、プラットフォームを形成したが故にどういうイノベーションがあったかとか、施策効果があったかということを評価しなきゃいけない。そのための指標はすぐにはタスクフォースでも提案できないので、じっくり検討していただく必要があるのでしょうかと申し上げたと思うのですよ。だから、そこの施策に対する指標という部分の観点が、ここの今のまとめには落ちているような気がちょっとするのです。
【二瓶主査】  確かに最初、伊丹先生が御指摘の、余り細かいことはやるなという議論があったとき以来、個々の施設の評価指標という感覚で議論が進んできましたけど、御指摘のように、考えてみると、それはプラットフォームの見方というか、プラットフォーム構成要素は個々の設備、機器ですから、それの評価ということが主体であることは事実ですが、考えてみると、もっと大事なのは、プラットフォームができていることの評価を。ですから、一つ一つの設備に対する満足度じゃなくて、それが組み合わさって、全体としてプラットフォームが形成されていることに対する満足度を知る必要があるという観点です。そういう観点をもう少しこの文章に盛り込んではいかがかという御指摘として受け取ってよろしいですか。
【吉澤委員】  はい。
【宇川委員】  よろしいでしょうか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【宇川委員】  実は私も同じようなことを感じていて、発言しようと思っていたところだったのですが、全く同感です。
 それと関連するのですが、「基本的な考え方」の文章をそういう目で見てみると、資料7の1行目のところは、確かに「共用取組やプラットフォームの効果取組を図るために」と出ているので、問題意識はそれでいいと思うのです。でも、そこに続いて出てきている「特に重要な指標としては、施設稼働率や外部利用時間・件数」、これはどれだけ当該施設が必要とされているかというニーズを図る指標です。それから「論文・特許件数等」、これは成果創出の指標です。でも、それは先ほどから出ているように、個々の施設がどのぐらい求められていて、どのぐらい有効に働いているかということに対する指標であって、それがプラットフォームを形成していることによって、じゃあ、どれだけユーザーニーズに応えられたのか、あるいは成果創出に寄与したのかということに対しては、直接の答えになっていないですよね。
 ですから、「特に重要な指標としては」から「特許件数等が考えられ」というのは、まず基本として、個々の施設の目的であるところに照らして、ニーズ、それから成果創出に対する定量的な指標として、これは基本でしょうと。さらに、それに加えて、共用取組やプラットフォームの効果取組を図るための指標がなければいけないのだけど、そこはすぐに提案できないので、より検討すべきであるというふうな、例えばそんな書き方をしておかないといけないのではないかという気がいたします。
【二瓶主査】  ありがとうございました。おっしゃるとおりだと存じます。
 さて、予定の時間がぼつぼつ参りましたが。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  すいません、1点よろしいでしょうか。
【二瓶主査】  はい、どうぞ。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  福嶋先生から御提案があった、成果専有で有償利用という観点をこの文章にも出すべきではないかというお話がありまして、それについてはどういたしましょうか。有償利用の割合というのが成果の指標として重要であるという御提案を先ほどされたと思うのですが、これについては、反映する、しないというのはどのような形にいたしましょうか。
【宇川委員】  よろしいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【宇川委員】  ここはちょっと意見が委員によって分かれるかもしれないのですが、これは私自身の個人的な意見ですが、優先利用であるにせよ、それを認めるかどうかというのは、やはり行おうとしている研究の質とか進捗状況によって判断されるべきで、有償利用と結び付けるというのは本当に良いのかというのが私の意見です。
 ですから、そこまで基本的な考え方に書き込むのはいかがかなというのが私の意見ですが、これは委員の方々によって意見が分かれるかもしれません。
【村上委員】  実質上、なかなか難しいかなと思うのです。つまり、各施設は別個に施設料を取るような有償利用というのは、多分多くのところがやっているのですね。ここで諮りたいのは、プラットフォームをやったことによって、その人たちが新たに優先利用として入ってきたという部分だけを抽出したいけれども、なかなかそこの区別が一遍プラットフォーム化によって成果専有の利用になったということを分けるのが難しいのではないかなという気がしますね。
【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは、ただいま頂きました御意見をもとに、この資料7を再度まとめたいと考えます。一応、今日の御意見いただいたレベルで、私と事務局とでまとめさせていただいた上で、再度御覧いただくというようなプロセスをとりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは次の議題に入りたいと思います。前回、私、冒頭で、欧州の現地調査の御報告をいたしましたけど、本日、佐藤委員からもう少し詳しい資料を頂いておりますので、10分程度で御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
【佐藤委員】  今までの議論を踏まえて、欧州現地調査に行けば、ちょっと話が変わってきたかなという気がしたのですけれども、日本の国だけでこれだけの議論が出ると。ヨーロッパは今、EUで27か国入っているのですね。27か国の共用施設でどういうふうに取り組んでいるのだろうというのは、そういうことが分かった上で行っていれば、もう少し良い報告が書けたのかと思うのですけども、そういう観点では余りまとめられていないような気もしますので、どういうことがなされているかという概要を私の方から簡単に御説明させていただきます。
 資料8の2枚目の出張目的ですけれども、これは当たり前のように、今後の研究開発プラットフォーム構築の政策立案に生かすため、欧州の研究基盤の開発・普及・共用システム等に関する戦略・実例の調査を行ったと。
 それで、特にNMRが、今、日本の状況が非常に厳しい状況にあるので、EUはどういうふうにやっているのだろうというのをもう少し調査して、ライフイノベーションが一つのキーだと言っているわけですから、それに対する政策立案に生かすことを目的にしたということでございます。
 出張期間が1週間と強行軍で、出張先が右側の地図で書いてあります。まず、フランスに入って、フランスの日本電子のパリ支社に入って、それからEUの行政機関の委員会に入って、ベルギーです。ベルギーに行ったものですから、そこの半導体プラットフォーム拠点の一つであるIMECというところは、皆さんも御存じだと思いますけれども、非常に今優れた活動をやっているので、そこを見てこようということで見てきました。その後にNMRの拠点であるCERMというイタリアのフローレンスに行って見てきたということでございます。
 次に、それぞれの概要を簡単に説明いたしますと、まず、2ページ目ですが、日本電子、これは御存じのように、日本の電子顕微鏡、あるいは質量分析計等の先端計測技術機器に関する代表的な企業で、ヨーロッパでも非常に活躍しているということで、そこを見てきております。
 事業の推移で見ますと、1956年に電子顕微鏡をフランスの原研に納入して以来、今まで約6,600台も納入しているという実績が出ています。特にイギリス、フランス、ドイツ辺りで非常に多いと。
 ところが、1990年のバブル期前後をピークにして、その後かなり減少して、現在横ばいで、かなり苦戦しているという状況で、メンテナンスを含めた新しいソリューション型のビジネスを展開していると言われておりました。
 次に、3ページ目のNMRの状況ですけども、これは市場が非常に活性化していて、マーケットサイズで言えば、2009年から2011年に265台ヨーロッパで、UKとフランス、ジャーマニー、ポーランド、この辺りが非常に多くて活用されていると。メーカー別で見ますと、Brukerが独り勝ちでして、8割ぐらいのパーセンテージを取っているという状況で、その中で日本電子は2台という非常な苦戦を強いられているという状況で、抜本的に戦略を見直さなきゃいけないという状況にあります。
 どういうような周波数のものがマーケットに出ているかというと、300メガヘルツから800メガヘルツぐらいまでが非常に多く出ていて、最先端では950。1.1というのは研究段階のような気がしますけども、900メガを超えるレベルまで行っているという状況でございます。
 続いて4ページ目、5ページ目ですが、そういうことが分かった上で、次に欧州委員会の研究・イノベーション総局に行ってまいりました。ここは御存じのように、EUの理事会があって、その下に立法府である欧州議会があって、欧州委員会が行政担当で、その下に政策部門が20総局。日本の省に相当する予算総局とか研究・イノベーション総局。研究・イノベーション総局が旧科学技術庁に相当するのかもしれないのですが、もうちょっといろんなバリュエーションで分かれているような感じがしますけれども、そういう省に当たるところでございます。ですから、研究・イノベーション総局が科学技術政策の全般を担当しているところでございます。
 そこの活動ですけども、今、EC、欧州委員会では2007年から2013年にわたる期間でFP7というプログラムを走らせて、総額約6兆円のプログラムで、ECとしても研究開発を推進しているという状況です。その中で、研究基盤関連は約3.4%の2,000億円ぐらいで実行しているという。下の方にありますけど、全体の予算に対してキャパシティーの部分が4,000メガユーロで、そのうちのリサーチ・インフラストラクチャーの部分が3.5%ぐらいで、2,000億円ぐらいを使ってインフラを整えているという状況でございます。
 新しい研究基盤の整備に関しては、ESFRIというプロジェクトを起こして、その中では国際的な専門家のピュアレビューを行って、その下でどういうものを具体的に実行するかということを決めて進めているということが言われていました。
 それから、次期のプログラムはHorizon2020でFP7の1.5倍の予算で、イノベーション創出のさらなる強化を図りたいということを盛んに言っていました。
 そのFP7の中の研究基盤戦略及びESFRIプロジェクトの内容を簡単に説明しますと、研究基盤戦略の特徴としては、やはり各国にわたっていますので、各国が持っている設備をうまく使えるようにするためのオープンアクセスができるようにするとか、あるいは人材育成をするとかいうことにかなり注力していて、その部分の予算を共用ネットワーク化で約58%使っていると。新規施設・設備の整備に23%ぐらい使っているという状況でありました。
 それ以外に、Integrating Activitiesという、いわゆる国境を越えたアクセスビリティ向上とか共同研究の推進とか、ネットワーク形成の推進とか、環境・地球科学・生命科学、いろんな分野にわたって89件のプロジェクトを起こして進めていて、年間6000人ぐらいのアクセスがなされているということで、非常に精力的というか、活発に活動が行われているということが感じられました。
 それで、6ページで、次期のプログラムの概要ですけど、Horizon2020の概要は、FP7の強化・枠組みの拡大を図るということと、戦略の項目としては、2020年、又はその先に向けた欧州研究基盤の整備、いわゆる世界水準の新たな研究基盤の整備、あるいは連携・共用、e-インフラの開発・展開ということが第1、それから、イノベーションポテンシャル向上と人材育成の促進というのが第2、第3が欧州研究基盤政策と国際協力の強化というのをうたっております。
 その中でちょっと特徴的なのが、科学機器分野における共同研究開発、商業化前の機器調達というのがありまして、Pre-commercial procurement,PCPという言い方をしていましたけれども、そういうことを図りながら設備利用の促進、あるいはイノベーションポテンシャルの向上を図るということをやっている。これはちょっとやっていること自身が、企業がプロトタイプを開発して、それを開発し終わる前に公的機関が機器調達して、公的機関に使ってもらうと。その中で一緒に問題点を把握して装置を開発して、良い物に仕上げるということをどうも進めているみたいで、貿易摩擦等の問題にならないのかというのがちょっと気になったのですけども、産業競争力強化という面では、新たなこういう取組というのは、我が国としても参考になるのではないかなと思いました。
 それから、施設・設備の共用については、先ほど来議論になっていましたけども、EU非加盟の研究者等の活用については、特別なファンドによりサポートするということを行っているようです。
 それから、日本の企業、現地法人であれば欧州企業と同様の条件でできるのではないかということで、それ以上ちょっと詳しく調べてないのですけども、そういうことは言われていました。
 7ページ目ですが、欧州委員会の活動の感想ですけども、27か国という世界水準のインフラ共用促進・強化ということで、これは一国ではできないことです。多国籍の異文化の衝突も含めて、新しいイノベーションを創出するというベースを作ろうという極めて壮大な計画で、我々1か国でもこれだけいろいろ苦慮しながらやっているわけですけども、これを進めているというのは、ECの役割というのはかなり大きいなという気がしました。
 それから、標準化、ディファクトスタンダード化というのが27か国入っているので、それが有利に展開できるなという印象を持ちました。
 あと、PCPという産業競争力強化のプログラムというのはかなり魅力的だなと。これも少し今後考えていかなくてはいけないのではないかというふうに思いました。
 問題は、多国間の調整、スピードというのが問題だろうと思ったのですけれども、EUの構成人員が、20%以上がベルギー人です。ベルギーは小さい国で、昔からうまく調整しながらやってきたということがあって、歴史的なそういう文化に基づいてやれるというところで、かなりなるほどと、ここがうまく調整しながらスピードアップしているように見受けられました。
 こういうことを踏まえて、今後のプラットフォームの構築に向けて参考にしていけばいいかなという。具体的な研究開発項目については余り議論できなかったので、この調査にとどまったという状況でございます。
 次に、IMECの方に行きまして、ここは半導体の研究開発拠点、今、物すごく、研究開発拠点としては独り勝ちみたいな状況になっているので、非常に注目されております。
 組織としては、ルーヴェン大学の1研究室がフランダース州政府の出資でできたNPO法人です。世界の企業、あるいは世界の設備、材料等を集めて、そこで最先端の半導体・ナノテク研究拠点にしているということであります。
 組織としては、今2,000名ぐらいいるのですけど、200名が外部企業、400名がアカデミアから来ている状況で、国籍は72か国を超えているので、ここもイノベーションを起こしていくという意味では文化の衝突があって、いい環境なのかなと思いました。
 8ページの下側に写真がありまして、300ミリファイのシリコンのパイロットラインがあって、現在これを動かしています。その先に、これはちょっと書いていないのですが、300ミリシリコンパイロットラインの上側のところに450ミリファイのシリコンのパイロットラインを今建築中で、2015年には出来上がるということで、それが出来上がると、ここでしか多分できない試作ができるような話になって、更に強力になるという状況が見えました。
 次に、現在行っている事業規模ですけども、約320メガユーロ、約400億円の事業規模に達しているのです。これが更に成長しているという状況です。それで、ちょっと間違いがありまして、知財戦略で、売上げの多くは知財かなと書いてあるのですが、これは間違いでございまして、その後いろいろ調べた結果、知財を売っているわけではなくて、知財を持ってパートナー契約を結んでお金をもらうという形になっているので、知財はその中に含まれちゃっているのです。だから、企業とのパートナー契約金で400億ぐらいの事業規模になっているということでありました。そこは訂正させてください。
 特徴としては3点ございまして、ライフ・グリーンイノベーションのエコシステムという出口を明解にして進めていると。それで最先端を行っているので、ここでしかできない試作が簡単に、それなりのお金を取るのですけども、簡単にそこで試作はできるという状況で、10ページ目の下の図を見ますと、Green RadioとかHumanとかSensor SystemsとかEnergyとか、そういうアプリケーションに対してIMECに来てもらって、インサイトでファブレスやファブライトの状況の企業がここに来てもらって、IMECのものを使って成果を出して、アプリケーションにつなげてくださいというやり方をしています。
 2番目がオープンイノベーションということで、世界中の400企業が集まってきていると。これは最近また話をしていると、1,000企業ぐらいになりつつあるというふうに言われていまして、すごい急成長をしているという状況で、なぜかというと、恐らく出口が明解になっていて、かつ、コアのCMOSというプロセスを徹底的に追求していて、かつシステムから材料・設備まで検討しているという、イノベーションを起こすという拠点としての条件が全てそろっているような状況になっているので、そういう企業はどんどんそこに行って成果を上げたいということをやっているのだと思います。
 それから、時間がもうなくなってきましたので、IMECへの参画のメリットという観点で見ますと、これは日本の拠点もそうだと思うのですけれども、世界最先端技術を使いながらリーダーシップ人材の育成を図るとか、最先端の本流コア技術が活用できるとか、先行知財をうまく取得できるとか、外部の技術を効率的にうまく活用できるということが非常に参画するメリットになっているのだろうと思います。
 感想としては、余りもう言いませんけども、半導体技術が進歩しないと次のスマート社会とかそういうものができないことは事実なので、それに対する大きな拠点を築いているので、これをそのまままねても日本ではなかなかできないのですが、うまく対抗しながら、あるいは協調しながら、うまく活用しながら日本のポジションを上げていくということを考えていかなくてはならないと感じました。
 次に、時間が余りないので簡単に言いますけれども、NMRの拠点であるCERMに行ってきまして、ここでは11か国11拠点、NMRのプラットフォームが出来上がっていて、イタリアのフローレンスにあるCERMはそのうちの一つの拠点で、13ページの下側の図にあります950メガヘルツから600、あるいは液体であれば400ぐらいまでの間を全部カバーしているという状況で、その中でStructual BiologyとBio BankとInformation Technology、この三つをこのインフラで生み出すということを標榜してやっているということでございます。
 結果として、この最終的なターゲットは、14ページの下側の図にあるNMR structure determination workflowという、いわゆるNMR計測をしてデータをプロセッシングして、解析をして、たんぱくの構造を推定してバリデーションまでやって出すという一連のことをやって、それをWeNMRプラットフォームという30本ぐらいあるソフトウエアを使ってうまく解析して、マルチスケールで構造データを蓄積していくということをやっている。こういうことをほかの11拠点でやっているわけですから、これは壮大なライフイノベーションという観点では強力なプラットフォームになっているのだろうと思われました。
 最後に、日本の研究開発プラットフォームをどうしていくかという今後については、いろいろな意見があると思うのですけども、私の印象としては、プラットフォームというのは知の創造を行うことで、それをもって価値を創造する土台として活用するということだろうと。
 NMRプラットフォームの中でBio-NMRとかWe-NMRというのを具体的に持ってやっていますから、そういうサブプラットフォームをその中で作って、課題解決型のプラットフォーム拠点を作っていけばいいのかなという気はしました。
 IMECは非常に印象的で、こういうことがうまくできてというのは驚きですけども、こういうことの、なぜこれができるのかという仕組みをゆくゆく検討して、日本型の新たなプラットフォームの理想形を作っていく必要があるなというのを感じました。
 以上でございます。
【二瓶主査】  ありがとうございました。
 質疑応答したいところですが、大分時間がなくなりました。何か御質問あれば一つだけお願いできますが、何かございますか。
【森委員】  11ページの真ん中にAcademic Researchということが書いてあるのですけども、端的に申し上げて、大学の先生がやっておられる研究は、この組織の中にどういう形で貢献しているというか、寄与するように仕組まれているかという点だけお尋ねしたいのですけど。
【佐藤委員】  大学との連携を含めてですね。それは余り詳しくは聞けなかったのですけども、IMEC自身が持っていない部分に関して、共同して一緒に、要素技術を実際にIMECで持っているCMOSのパイロットラインのところで具体的に検証して、その仮説が正しいかどうかということを解決して、そういうことをAcademic Researchという言い方をしているのじゃないかと私は思うのですけども、多分そういう観点だと思います。
【森委員】  ありがとうございました。
【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは、時間が迫ってしまいましたので、申し訳ございません。この件につきましては、佐藤先生に大変お世話になったのですが、佐藤先生、この委員会の委員では現時点ではいらっしゃいませんので、それで御提案ですが、佐藤先生にも本委員会の委員として加わっていただきたいと考えておりますけれども、親委員会、要するに先端研究基盤部会の大垣部会長と御相談して御了解を得た上で、そのように取り計らいたいと考えておりますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【二瓶主査】  ありがとうございます。それでは、そのように佐藤先生にもお願い申し上げます。
 それでは、残された時間が10分弱になってしまいましたけど、もう1件ございまして、本委員会の下部組織であります先端計測分析技術・システム開発小委員会の議論のまとめを御紹介申し上げたいと思います。資料9-1と9-2でございます。お願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より,資料9-1~9-2に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。9-1、9-2が下部委員会である先端計測分析技術・システム開発小委員会の本年度前半に議論したまとめでございまして、このまとめを基に、来年度実施を進めようと考えております。
 何か御質問はございますか。
【野田委員】  一ついいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【野田委員】  先ほどの佐藤先生のお話で、EUで産業競争力強化という話があったのですけど、こちらの方もそういった視点は入っていらっしゃるのでしょうか。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  こちらはあくまでもプログラムの重要事項という観点ですので、そこの観点についての言及は、この段階ではないということです。
【二瓶主査】  私からも少しコメントをさせていただきますが、先ほど御説明があったPCPという仕組みは、この小委員会発足時から実施をもくろんでいたことなのですが、なかなかできないと。一つは予算面、もう一つはTBT協定、いわゆる公的調達の話です。そういうことで随分長いこといろいろ検討をお願いしてきたのですが、実際、私自身も驚いておりますけど、ヨーロッパではすんなりこういうやり方で公的調達といいますか、要するに研究開発のプロセスの中で、既に企業とユーザー、これは大学も含まれます。そのネットワークで物すごく効率のいい開発をしているのですね。このやり方を日本でもまねをするといいますか、同じような発想を持たないと、とても開発競争に勝てないというふうに感じております。ですから、これは重要な今後の課題というふうに考えております。
 それでは、ちょうど時間が来てしまったのですが、今日のメインの議論でありました資料7については宿題が大分残っておりますけれども、このプロセスは、先ほど申し上げましたように、これから引き続き行いたい。最終的なゴールは、今月8月26日の親委員会である先端研究基盤部会に掛けるということになります。それまでにまた先生方の御協力を頂いて仕上げたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議題は以上でございます。事務局から何かありますか。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュールについて説明があった。

【二瓶主査】  それでは、本日の会議、これにて閉じたいと思います。
 本当にどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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