研究開発プラットフォーム委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成24年4月10日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 平成24年度の取組について
  2. 研究開発プラットフォーム構築に必要となる今後の取組について
  3. その他

4.出席者

委員

二瓶主査、伊丹委員、宇川委員、長我部委員、瀧澤委員、野田委員、吉澤委員、若槻委員

文部科学省

吉田研究振興局長、森本大臣官房審議官(研究振興局担当)、柿田基盤研究課長、岩本情報課長、原基盤研究課量子放射線研究推進室、永井ナノテクノロジー・材料開発推進室長、林情報課計算科学技術推進室長、伊藤振興企画課学術企画室長、釜井ライフサイエンス課課長補佐、阿部基盤研究課量子放射線研究推進室室長補佐、馬場ナノテクノロジー・材料開発推進室室長補佐、竹上基盤研究課課長補佐

5.議事録

【二瓶主査】  それでは定刻となりましたので、ただいまから第5回研究開発プラットフォーム委員会を開会させていただきたいと思います。
 本日の議題はお手もとの資料にございますとおり、2つございます。第1は、平成24年度の取組について。第2は、研究開発プラットフォームに必要となる今後の取組についてでございます。
 今回、年度初めての委員会ということでございますので、吉田研究振興局長がおみえでございますので、一言、ごあいさつをお願いいたします。

【吉田研究振興局長】  1月6日から研究振興局長を拝命しております吉田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今日はお忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今年は1月にはJ-PARCが、3月にはX線自由電子レーザーのSACLAがそれぞれ共用を開始いたしまして、この秋にはスパコンの京も共用開始する予定になっておりまして、これまでのいろいろな予算投資が実を結ぶという、一つの節目の年を今年は迎えているのかなという感じがいたします。ただ一方で、財政状況も非常に厳しいものがございますので、我が国が有しているさまざまな先端研究基盤につきまして、これらをいかに有効活用していくか、国際競争力をいかに確保していくか、というあたりがこれから先、重要になってこようかと思っております。そういう意味で、この委員会でご議論をいただいております我が国の研究開発プラットフォームをどう構築していくかという議論は、非常に重要な議論だと私どもも認識しております。本日も先生方の忌憚のないご意見を賜り、平成25年度の概算要求に向けて、あるいは大学やその他研究機関のシステム改革等につなげていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは、事務局より、配付資料の確認をお願いします。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、出席者の紹介及び配付資料の確認があった。

【二瓶主査】  それでは早速ですが、議題の1番、「平成24年度の取組について」に入ります。昨年末の委員会におきまして、参考資料1としてお配りしております論点整理という形で、これまでの議論を一たん整理させていただきました。去る4月5日に平成24年度本予算が成立いたしまして、文部科学省において先端研究施設・設備の整備・共用を進めるための取組が実施される予定となっております。つきましては、各取組の内容について、一部の取組では、この論点整理ペーパーを踏まえて改革に取り組んでいる事例もございます。本日は、事務局から、これらの取扱、取組をご紹介いただくとともに、委員の皆様から、各取組について忌憚のないご意見を賜りたいと。そう考えております。
 それでは、まずは事務局より、研究基盤関連の平成24年度文部科学省予算についてご説明をお願いいたします。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、資料2-1に基づき説明があった。

【二瓶主査】  それでは引き続きまして、事務局より、最先端大型量子ビーム施設、SPring-8、SACLA、J-PARCの整備・共用についてご説明をお願いいたします。

○ 阿部量子放射線研究推進室室長補佐より、資料2-2に基づき説明があった。

【二瓶主査】  それではもう一つ、説明をさせていただきたいと思います。次は革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築についてご説明をお願いいたします。

○ 林情報課計算科学技術推進室長より、資料2-3に基づき説明があった。

【二瓶主査】  以上3件続けてご説明をいただきましたが、それぞれこの3件が共用法対象施設でございます。その取組につきまして、ただいまのご説明等、ご意見・ご質問等がございましたら、どうぞお願い申しあげます。どうぞ。

【西島委員】  似たようなこと、細かいことで大変恐縮なのですが、SACLAとJ-PARC、SPring-8で、SACLAの年間が7,000時間と計算しているのですが、SPring-8の場合、年間運転時間が5,000時間とか、ユーザータイム4,000時間となっているのですが、これは同じところにあって、運転時間がこれだけ違っているその理由がちょっと、どういうことなのかなということが1点。まずその点はいかがでしょうか。

【阿部量子放射線研究推進室室長補佐】  ここに書いてあります運転時間は、施設のマシンタイムですので、ユーザーに提供される時間は、これとは異なります。SPring-8だと4,000時間程度になりますし、SACLAだと24年度は3,000~3,500時間程度になるのではないかと思います。

【西島委員】  いや、多分、同じ施設にあるので、多分、一番響くのは電気に伴う休止とか、そういうのがあって、新しくできる施設のほうは慎重にやるので、むしろ、こんなにほんとうに動くのかなと、ちょっと疑問に思ったので、そこだけです。

【阿部量子放射線研究推進室室長補佐】  一応、施設の能力としては、先ほどの運転時間を稼動させることが可能ということです。

【西島委員】  まあ、最大でとっておかないとね。お金が足りなくなってしまいますから、それはいいと思いますが、そこだけ気になるので。
 あと、HPCIコンソーシアムなのですが、一般社団法人ということなのですが、このイメージ図を見ると、中に企業とか何かが入ってきて、今ある申し込み状況は、「機関」というのはすべて、これは公的な機関で、いわゆる民間企業は入らないものなのか、入ることを想定しているのか、あるいは入ることを推奨されているのかと。その辺のニュアンスを聞きたいのですが。

【林情報課計算科学技術推進室長】  コンソーシアムに機関として参画するところは、HPCIシステム構成機関とユーザーコミュニティー代表機関ということになっておりますので、一般的な民間企業は当てはまりにくいのかなと思います。ただ、ユーザーコミュニティー代表機関としては、準備段階では、スーパーコンピューティング技術産業応用協議会が入っておりましたので、そのような産業界を代表するような団体がユーザーコミュニティー代表機関として入ってくることは十分考えられるだろうと思っております。また、アソシエート会員については、個人が加盟することも可能でありますので、企業の方が入ってくることは十分考えられると思っています。

【西島委員】  HPCIのイメージの点線の中に、A企業とか、C大学とか、独法とかが入っていたので、これはどういうことかなと思ったのです。
 それからもう一点は、具体的に企業が、このコンピューターを使いたい場合は、例えばJ-PARCとか、SPring-8とか、SACLAの場合は、登録機関がかなり明確になっていて、要するに顔が見えるからいいのですが、正直言いまして、このスパコンのHPCIに関しては、企業から見ると登録機関も見えないわけですね。早々に供用開始ということですが、企業の立場から言えば、今の感じでは、多分、平成24年度の予算を確保するのは、どういうところに登録して、どういうシステムで使うのかが、多分、社内説明ができないので、ちょっと対応が遅れていないかという気がするのですが、その点はいかがでしょうか。

【林情報課計算科学技術推進室長】  ユーザー窓口としては基本的に登録機関が担うことになります。この登録機関は、基本的には共用法に基づくもので、ユーザー窓口や課題選定に係る業務を行い、今回は財団法人高度情報科学技術研究機構(RIST)を登録機関として選定しております。

【西島委員】  業界の活動をしている人に聞くのですが、産業界とすると、やはりSPring-8というものにかなり慣れていて、それと同様に、SACLAも同じように利用できると思いますし、J-PARCもクロスという登録機関がかなりSPring-8と類似しているので、SPring-8みたいな形で施設を使うという印象です。一方、このスパコンがSPring-8と同じように使うものかどうかについては議論がありますが、施設として、どちらかというと、これまでの一連の施設利用から逸脱しないように、それに慣れたような形でいかないと、複雑だなという印象を与えるので、その辺だけはぜひご注意いただきたいなと思います。はっきり言いまして、業界からすると、ほんとうに民間が使える形になっているのかという声を私は聞きますので、その辺だけは。

【吉澤委員】  よろしいですか。同じスパコン、京について質問させてください。SPring-8やJ-PARCは、ビームラインが明確にありますので、何割が共用促進法に提供されるのかが、非常に明快に理解できるのですが、京の部分だけ、同じ共用促進法が適用されるのですが、コンピューターのCPUタイムの何割が共用促進法に適用されるかは、この資料には全く触れられていないので、それが5%なのか、それとも50%なのかを教えていただきたい。

【林情報課計算科学技術推進室長】  CPUの数×時間で表された数値を計算資源と言いますが、計算資源全体を100%としたとき、そのうちの約15%が理化学研究所で基盤研究や高度化研究をするために割り当てられており、この部分は共用対象ではありません。それ以外の残り85%を共用に供するということで今進めております。その85%の部分がいくつかに分かれていまして、その中の50%分――85%の50%ではなくて、100%の中の50%ですが、京全体の50%分は、戦略プログラム利用枠となっております。この枠は、5分野(ライフ分野、材料分野、地震・気象分野、物づくり、基礎物理)で立ち上げた戦略プログラムで採択されたチームが使うことになっております。これも共用の一形態ということで我々は位置づけております。そして、残りの30%が一般公募をした上で共用する枠になります。なお、その30%のうち、若手利用および産業利用に係るものを、それぞれ5%程度割り当てることを検討しております。また、成果の期待される課題に追加的に割り当てるよう、5%分を留保することとしております。

【吉澤委員】  ありがとうございます。

【岩本情報課長】  コンソーシアムについては誤解しやすい点がありまして、コンソーシアム自体は、ユーザーの意見など、いろいろなものを集約するための場として機能させることを考えておりまして、例えば京の利用に関しては、コンソーシアムに加盟しているかどうか、あるいはコンソーシアムとの関係はどうであるかは一切関係ありません。共用法のほかの施設でも、全ての応募を公平に受け付け、利用者選定をするという方法をとっており、それと同じ考え方に基づいております。コンソーシアムが利用者選定に関わっていると誤解されがちなところがあるので、そこは注意して今後、きちんと説明をしていきたいと思っております。以上でございます。

【若槻委員】  すみません。よろしいですか。今のに関連しまして、京の産業利用、今の話だと5%ぐらいということだったと思うのですが、成果占有の場合の料金はどういうふうに設定されているのでしょうか。どのぐらいコンパラブルなのかというのをお聞きしたいのですが。

【林情報課計算科学技術推進室長】  今、手もとに細かいデータはないのですが、基本的には運営費を時間で割るだけの話なので、運営費のうちの大体90億円分ぐらいを365日で割って、24時間で割ると1時間当たりのものが出てきます。そのようにして算出された値は10ペタ分に相当するので、そのうちの1ペタ分を使うのであれば、それの10分の1の費用ということになります。しかし、まだ細かいところは検討中で、これから理化学研究所で詳細を詰めていくことになります。

【若槻委員】  そうですか。

【二瓶主査】  よろしいですか。

【若槻委員】  J-PARCとSPring-8の質問に移りたいのですが、よろしいですか。

【宇川委員】  ちょっとよろしいですか。

【若槻委員】  それでは宇川さんから。

【宇川委員】  今のコンピューターのことについて一言だけ。コンソーシアムの代表をやることになっておる宇川ですが、特に産業利用に関してなのですが、まず一つ、産応協は加盟の手続が遅れているというだけで、入ることになっています。ですから、遠からずメンバーとして入ってくるだろうというのが1点ですね。
 それから、産業利用に関しては、例えばトライアルユースでありますとか、成果公開に関しては無償であるとか、そういったものは全部入っていると。それで今、登録機関で公募要領等もつくっていると思いますが、そこには、そういったことがすべて書かれている。さらに登録機関で、京を含めてHCPI関連のリソースとして何が使えるかという情報もすべてアップして、見られるようにする。それから、図にも入っていましたが、HCPIの枠組みの中で、2カ所、アクセスポイントをつくって、そこでセキュリティーを維持した形で利用できるようにするとか、かなり産業利用については力を入れてやっていると思います。
 コンソーシアム自身は正式には4月2日に立ち上がったということですが、実は1年半前の7月の時点から、準備段階コンソーシアムということで立ち上がって、ほぼ同じ数の38機関、その中には産応協も入っていて、産業界の方々もワーキンググループ等に入って、かなりの議論を積み重ねてきております。ですから、いろいろな意味でお知らせすることについては少し遅れぎみだったかもしれないですが、産業利用については、これから立ち上がっていくべく準備をしているということです。以上です。

【二瓶主査】  よろしいでしょうか。どうぞ。

【岩本情報課長】  このコンソーシアムという体制で進めることにつきましては、政府として、一つの大きな方針として導入したものでございます。というのも、約3年前に事業仕分けがあり、スパコン計画に関しては、京のことだけを考えているのではないか、あるいは開発者側の視点だけに立って物事を進めているのではないかと、いろいろなご意見があり、京だけではなく、ほかのスパコン施設も含めて、ユーザーニーズにどのように応えていくのか。そこを大事にして施策を進める必要があるということで、事業仕分けの後、HPCI計画ということで転換をいたしました。そういう意味では、利用者本位の考え方に立つことは非常に重要でございまして、また京だけではなく、ほかの施設も含めて考えるということについて文科省でいろいろ検討した結果、コンソーシアムという、いろいろな関係者の意見を吸収できるシステムがないと、なかなかこれはよくなっていかないだろうということで、先ほど宇川先生がおっしゃったように1年以上前から、HPCIのあり方そのものも準備段階のコンソーシアムでご議論いただいていたということです。それで先ほど、林室長から説明しましたように、HPCI計画については、概ねその内容を全部踏まえ、予算を構想し、措置しているということでありまして、若干体制が複雑なように思われるかもしれませんが、今申し上げた背景に基づいておりますので、ご理解のほど、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

【二瓶主査】  ありがとうございました。それではどうぞ。

【若槻委員】  国の研究プロジェクトの利用についてということでお聞きしたいことがあります。今の先端研究基盤の資料で、J-PARCについてとSPring-8についてということでご説明があって、非常に重要な施策だと思うのですが、SPring-8では、成果非占有の優先利用ということで、私の理解では有料ということだと思うのですが、一方、J-PARCは、これも正式に決まったかどうかわからないのですが、方針としては、同じように国の研究プロジェクトを受けるときに重点分野利用ということですが、利用料金は発生しないとお聞きしたように気がするのですが、先ほど利用者側から見たときの入り方として、なるべく同じように見えるのがいいのではないかという話を考えますと、おそらく状況は非常に複雑なのだと思うのですね。J-PARCの中でも共用促進法のビームライン、クロスと言うのでしょうか、それとかいろいろあるとか、SPring-8でも同じように何種類かあるというときに、国のプロジェクトといったときには、共用促進法で持っているビームラインだけではなくて、必要に応じていろいろなビームラインが使える必要があると思うのですね。そのときに、言ってみれば、どこがビームラインのオーナーかによって変わるシステムというよりは、なるべくならば、1つの共用促進法で言えば、そこでまとまった形ができるといいのではないかなという気がいたします。複雑だということはよく承知した上でですが、ロングタームで考えると、そういうことが重要なのではないかなと思いますが。
 それから、一つ質問なのですが、国の研究プロジェクトという場合には、これは文部科学省だけではなく、経産省とか、ほかの省の国のプロジェクトも当然受けると理解してよろしいのでしょうか。

【阿部量子放射線研究推進室室長補佐】  まず1点目でございますが、J-PARCにつきましては、今年度の後期から、こういった取組を具体的に導入するということで、今はまだ制度設計中でございます。ただ、ご指摘のとおり、共用ビームライン以外のところについても当然、使いたいというユーザーの方が多くいらっしゃると思いますので、そこの扱いについては、ご指摘も踏まえながら検討を進めたいと考えているところです。
 それから国のプロジェクトがどこまで入るのかというところですが、経産省等のほかのプロジェクトもあるかと思います。それをどこまで入れていくのかも、これからの検討なのですが、まずは最初というところもございますし、また第4期基本計画で特にライフイノベーションや、グリーンイノベーションという柱が立っていますので、それに関連したようなプロジェクトを取り上げてはどうかということで、今回、J-PARCでは元素戦略プロジェクトを一つ重点的にやってはどうかということで始めようとしているところでございます。

【二瓶主査】  よろしゅうございますか。それでは、はい、どうぞ。

【宇川委員】  一点よろしいですか。海外からの利用ですとか、海外の研究者の利用についてなのですが、国際協力とか、そういう観点もあると思うのですが、そういう場合に、特に外為法ですね。輸出規制との関係はJ-PARCその他のこのあたりではどうなっているかが、もしわかりましたら教えていただきたいのですが。

【阿部量子放射線研究推進室室長補佐】  詳細については、今、手もとに資料がなくわからないところがあるのですが、一般的な輸出入の規制については、どれにも規制がかかるようなものは同様に規制がかかるのだとは認識しております。最先端の施設を使うような研究では、時々、関係することもあるようでございます。

【宇川委員】  可能であれば、整理しておくべきポイントではないかと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは大体よろしゅうございますか。
 それでは次に進ませていただきます。次に2件、資料2-4、2-5の2件のご説明を続けてお願いしたいと思います。まずナノテクノロジープラットフォームについてお願いいたします。

○ 馬場ナノテクノロジー・材料開発推進室室長補佐より、資料2-4に基づいて説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは引き続き、創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業、資料2-5でございます。よろしくお願いします。

○ 釜井ライフサイエンス課課長補佐より、資料2-5に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは、ただいまの2つの事業につきまして、ご意見ご質問がございましたら、どうぞお願いいたします。

【西島委員】  10年間やってきたタンパク関係の事業も、創薬「等」という形で入っていますが、創薬だけとは限らないと思うのですが、こういう形で補助金化ということで、大変目的がはっきりして、いい方向に向かっているのかなと総論としては思うのですが、創薬等研究の基礎と創薬等研究の臨床の連携ですが、ご存じのように創薬は非常に道のりが長いわけで、途中の非臨床、幾つかの動物実験とか、その辺のところについてはどういう連携をお考えなのでしょうか。

【釜井ライフサイエンス課課長補佐】  非常に重要なご指摘でございます。西島委員ご指摘のとおり、我々文部科学省としましては、例えば化合物ライブラリーについても外部供用を目指していくという考えで、今、産業界からの問い合わせも増えているところでございます。ただ、ご指摘のとおり、創薬プロセスという観点で見た場合に、最適化研究ですとか、ヒット化合物をとるというところから、具体的に言うと毒性試験とか、メディケムと言われているような創薬化学のほうをどうしていくかという点については課題でございます。今現在、医療イノベーション推進室という内閣官房に設置された推進室がございまして、そこで各省の取組を束ねた上で、どこが創薬プロセスにとってネックになるとかというのを、今、実務者間で検討中でございますので、ぜひそういった検討も盛り込んで、政策立案に反映してまいりたいと考えております。それから、規制の問題もございますので、そちらについては厚生労働省とも、ぜひ連携して対応していきたいと考えてございます。

【西島委員】  臨床試験の中には企業が取り組む治験が含まれるので、治験というふうに企業が受けた場合は、企業の中には、製薬会社は動物施設を持っていますし、例えば停電になって、私たち人間研究者は停電になっても暑さ寒さは我慢するのですが、動物は自家発電でしっかり守られていて、ある意味ではきっちりした実験動物を持っていることは製薬会社の1つの特徴です。従って、治験の場合はいいと思うのですが、いわゆる臨床試験として、大学の先生方がやっていくときに、ここまで基礎から上げてきたシーズの種を、その後で必ず先ほど出ていたイノベーションでも、動物実験なんかの非臨床の部分をどういうふうに、どこまで当てるかは、しっかり構築していく必要があるのではないかなと思うので、その辺はよろしくお願いします。

【釜井ライフサイエンス課課長補佐】  はい、わかりました。

【二瓶主査】  どうぞ。

【長我部委員】  ナノテクノロジープラットフォームに関してですが、これは第1期のナノテク総合支援をさらにもっと使い勝手をよくするという施策が随分盛り込まれていて、非常によろしいかと思うのですが、こういうことで利便性が上がって、使いやすくなったことはあると思うのですが、アウトカムというか、この設備・施設を使うことによって、例えば第1期の総合支援でもいいのですが、どういうアウトカムが出たかとか、あるいは今後のプラットフォームの運営において、成果の把握をどうやって捕捉して、このプラットフォームの意義を強調していくかというあたりの設計なり、あるいは第1期の総合支援のアウトカムのまとめみたいなものはございますか。

【馬場ナノテクノロジー・材料開発推進室室長補佐】  ご質問ありがとうございます。まず、この3月まで行われたナノテクノロジー・ネットワークの事業の成果については、今後、事後評価を行うことになっているのですが、過去4年間におきましては、利用者の件数でいうと5,000件以上の利用が図られたということです。その利用によって、4年間の累計でございますが、例えば論文としては2,000件以上の発表があったり、200件以上の特許の出願があったりとか、そういった形での成果は多数出ているところでございます。
 今回の事業において、どのように成果を把握していくかというご質問でございますが、我々としては、この事業全体を統括するプラットフォーム運営統括会議というものを設置して、この運営統括会議が各領域別のプラットフォームの実績成果を毎年度把握させていただいて、翌年度の予算等に反映することによって、PDCAサイクルを回していきたいと考えております。
 あともう一点、今回、強化ポイントの1つとして、連携推進マネージャーを設置することとしております。こういった連携推進マネージャーを配置することによって、産業界のニーズなり、技術的な課題を解決する仕組みをつくっていきたいと考えております。

【長我部委員】  多分、論文とかという形ではかなり捕捉しやすいと思うのですが、イノベーションと科学技術との一体的展開ということになると、論文から、さらにそこがどうイノベーションに結びついたかという観点の捕捉までしないと、プラットフォームの評価にならないと思うので、ぜひその辺をうまく捕捉する仕かけと、産業界もなかなかそういうところを外に出したがらないので、これもまたまずいかと思うのですが、そこをうまくして、そこを言わないと、これの意義が随分問われるのではないかと思うので、おそらく産学連携してやるべき点だろうと思います。

【野田委員】  私、実はナノテクノロジー・ネットワークの全体の取りまとめをお手伝いしてきまして、今ご指摘の点なのですが、3年ほど前に中間評価を受けたときに、やはり使った成果が一体どうなっているのかということで、実は追跡調査を行いました。それはすべてではないのですが、平成20年と21年度の2つの成果に関して、これは実は足で稼ぎまして、ほんとうは話したくないことも、公表してほしくないということもありましたが、一応、使ったデータはすべて持っておりますので、それに対して、今、どういう状況になっているのかというのを、かなり調査して、その報告書は一応つくって、これはナノ材料委員会には出しているはずなのですが。ただし、5年間のすべては網羅していませんので、もし次のプラットフォームが立ち上がって、その辺をきちんとやっていかないと、おそらく最終的にどうなっているのかというところまでつかむことはできないのではないかと。
 それから、実は追跡調査をやってわかったことは、途中で終わってしまって、要するに失敗したというか、産業化にはいかなかったと。物はできたのだけれども、それが実際に産業までにはいかなかったというのもかなりあるのですね。ですから、もし次のプラットフォームが立ち上がるようでしたら、その辺の支援も非常に大事ではないかなと思います。特に中小企業さんの場合ですと、やはり実際に物にしていくというところがあるので成果を公表するのに非常に辛いところがあるのではないかと思うので、その辺の制度設計が非常に重要になってくるだろうと思います。ちょっと補足させていただきました。

【長我部委員】  確かにおっしゃるように、これ単独ではなくて、それに続くような施策との連携において、さらにアウトカムが広がるというのは確かにご指摘のように非常に大切なポイントだと私も思います。

【馬場ナノテクノロジー・材料開発推進室室長補佐】  文部科学省としても、この事業を進めていくにあたって、アウトプットだけではなくて、アウトカムについても把握して、こういった基盤の重要性について積極的にアピールしていきたいと思っています。

【二瓶主査】  今のような作業、野田委員がお話しされたのは、これはセンター機関の役割として行うのですか。

【野田委員】  基本的に――まだこれは公募の最中なので何とも言えないのですが、センター機関としては、かなりその辺に重責があると思います。ですから、当然、ユーザー調査、ニーズ調査すべてを含めて、追跡調査もこれは毎年やるのか、あるいは隔年か3年ごとにやるのか、長いスパンだということなので、定期的にやはりきちんとやっていかないとだめじゃないかなと思います。その点、ナノネットをやってきまして、やはり追跡できるのは実は3分の1程度だったというのが反省点としてはあります。

【馬場ナノテクノロジー・材料開発推進室室長補佐】  今、ご指摘のとおり、本事業においてはセンター機関を設置することによって、きちんとそういった情報を把握することはもちろんなのですが、それを翌年度の予算等にきちんと反映することによって、成果等についても把握していきたいと考えております。

【二瓶主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【若槻委員】  今のナノテクノロジーの話をお聞きしていて、創薬等にも共通することがあるかなと思ったので、ちょっとお話しさせていただきたいのですが。
 今度新しく始めるものとして、連携推進マネージャーをつくられるということで、そのフェーリアがまずあって、それをフォローアップもしくは復活させるという作業がどれぐらいできるかが重要なことかと思うのですが、創薬等のほうでも実は解析を準備しているところなのですが、研究推進マネージャーを置きましょうということを考えて、かなり近いファンクションかなと思うのですね。というのは、解析の場合でいいますと、タンパクの生産、解析、それからバイオインフォマティクス(情報)、それから制御もあるのですが、そういうものを横串というのですか、すべて見渡して、連携しながら推進できるマネージャーをそれぞれのテーマについてつけて、ずっとフォローアップをする。責任を持ってフォローアップをするというシステムをご提案させていただいて、それがこれからきちんと動くか動かないかということになるわけですが、考え方としては、そういう考え方を提唱しているので、今、ここでお話しされた連携推進マネージャーがすごく近いかなと思ったので、ぜひ対象の分野は違うのですが、多分、研究プラットフォームとして、こういうことを進めていく上での観点としては非常に共通の部分があるかと思うので、ぜひこの辺、今後、やり方を、私からすれば、教えていただきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

【二瓶主査】  それでは、資料2-6、2-7、2-8、この3つを続けてご説明いただきます。まず、最先端研究基盤事業のご説明をお願いします。

○ 伊藤振興企画課学術企画室長より、資料2-6に基づき説明があった。

【二瓶主査】  それでは次に先端研究施設共用促進事業についてお願いいたします。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、資料2-7に基づき説明があった。

【二瓶主査】  それでは次に先端計測分析技術・機器開発プログラムについてお願いいたします。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、資料2-8に基づき説明があった。

【二瓶主査】  それでは、ただいまご説明がございました3つの項目に関して、ご質問ご意見をどうぞ。

【西島委員】  資料2-6なのですが、国内外の若手研究者を惹きつけるということと、若手研究者が活躍できる場というのは、少しニュアンスが違ってくるのかなと思うのです。例えば、その上の2ページの最先端次世代研究開発支援プログラムのほうで、若手研究者という形で、これはかなり年齢とかで絞ったと思うのですが、具体的に上のほうのプログラムの若手・女性が下のプログラムを使うようなときに、上手く使っているのか。あるいは使うときに優遇されるようなシステムづくりが進んでいるのでしょうか。

【伊藤振興企画課学術企画室長】  ネクストと言われる次世代の若手・女性研究者支援のプログラムで支援を受けた方に関しては、優先的な枠が設備整備の対象のところに確保できているかという点に関しましては、そこは必ずしも1対1連携という形にはなされていません。次世代の若手・女性研究者を研究費で支援するとともに、研究基盤の強化もあわせて広く行わなければいけないという大きな趣旨では共通しておりますが、このネクストの支援を受けている人に対しての特別優遇枠は必ずしも要件化はされていないという状況でございます。

【西島委員】  その辺についてはいろいろな考え方があると思うのですが、惹きつけていくというだけで、若い人たちが惹きついていって、活性化されるような若者だけではないので、今の若者は。積極的に使えるような場をうまく設定するというので、例えば応募した者に対しては、年齢制限とか、あるいは全体の30%を若手に使わせるとか、最初の1回は、かなり審査は甘くしても積極的に使わせるような、何かそういった思い切った方策がないと、いわゆる惹きつけるという形で、切磋琢磨して国内外で云々というのにすると、人材育成についての総論であるけれども、各論としての具体性は少し欠けていて、もはや次の段階を考えるべきではないかと感じています。例えばせっかく上のものについては、積極的に使ってもらうような推進策みたいなものがあってもいいのかなと思ったわけです。

【二瓶主査】  ほかにいかがでしょうか。
 それでは、実は今日は非常にタイトなスケジュールでして、後半に入らせていただきます。ご意見等、時間不足のためにご発言できない方に対する措置を後ほどまた、ご検討をいただければと思います。
 議題(2)に入ります。「研究開発プラットフォームに必要となる今後の取組について」に入ります。本日は論点整理で抽出した具体的取組等について、平成25年度概算要求などに向けて、さらに詳細に調査検討を行っていくため、資料3として論点メモを事務局に作成していただいております。この資料に基づき、今後の取組のあり方等についてご審議をいただきたいと思います。それでは事務局より、資料3のご説明をお願いいたします。

○ 柿田基盤研究課長より、参考資料4に基づき説明があった。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、資料3に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。ただいま資料3についてご説明をいただきました。残りの時間を有効に使って、この資料3について議論をお願いしたいと思います。
 初めに、これを3つにくくりまして、初めに「2.論点整理以降の変化」「3.本委員会で調査検討を進める取組」「4.調査検討の進め方」、ここまで何かご質問ご意見がございましたら、お伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

【伊丹委員】  よろしいでしょうか。今日のいろいろなご報告をお伺いしていて一番感じたのは、小さい共用設備、先端設備と言われるものから、どでかい何百億円のものまで、同じテーブルに乗せて議論することの無理を感じました。できれば、こういう国全体の方向を決めるような性格を持った委員会では、各原課が持っておられる個別の案件のディテールの説明よりは、ちょっとどこかで区切って、これ以下はここで議論しないと。それは現場の実務としては当然やらなければいけないのですが、それ以上の大きさのものしか、ここではやらないというような仕切りをどこかでしないと、際限なく話が、おまんじゅうと月に行くロケットを同じテーブルで議論するような、もちろんそこまで極端ではないですが、そんな感じがしますので、委員会の中で共通の見解・意見にまとまるものかどうかわかりませんが、いわば足切り線を決めたほうが全体が、ほんとうにビッグピクチャーを持てる議論になりそうだなと。最後は私は委員長一任でもいいと思います、その足切り線については。

【二瓶主査】  ありがとうございます。ご指摘の点でございますが、研究開発プラットフォームのまさに目的・機能、そういうものの議論をもとに伊丹先生ご提案のような、全体を枠組みとして整理をするという方向に議論が行くのではないかなと私は思うのですが、ただ、大きい小さいで、ぽんと足切りをすることが適切かどうかは、実は研究開発という目的の幅広さを考えますと、かなり大変な作業なのですね。例えば超巨大研究施設、特に共用法の対象になっているような設備、これは非常に明確に国家プロジェクトであること、並びに全世界を見渡しても非常に重要な施設と。そういう位置づけであります。ですから、先生のご議論の中では、こういうものが大事だという意識がおありだと思うのですが、一方、例えば個々の大学が保有している、従来国費で整備されたような機器・設備等、これをいかに有効に使うのか。活性化するのか。そういうような議論、これもまた研究開発のための国のいわば財産、資産を有効活用するという意味では、個々は小さいのですが、全部を束ねると極めて巨大な予算を費やした成果だということになります。
 それともう一つ重要なのは人材との絡みでいいますと、重点特化した場合の人材は、大体カウントできるぐらいの規模でございますが、世の中で必要としている人材は相当な数になると思うのですが、その人材育成をどうやって効果的に行うかも考えなければなりません。もちろん私としては、伊丹先生のご発言は極めて大事ですので、真剣に考えないといけないと思いますが、やはりあり方のカテゴリーを、初めの時点で十分に精査する作業が必要であるというご指摘として受けとめたいと思っているのですが、いかがでしょうか。

【伊丹委員】  私は先ほど、最後は委員長一任でいいと申しましたので、委員長のご見解がそうならば、私はちょっと意見が違いますが、もちろん従います。ただ、どんなマネジメントにも、どんな組織のマネジメントにもマクロのマネジメントとミクロのマネジメントがあって、両方とも大切であることはだれも否定しないのですが、マクロのマネジメントをやるべき人がミクロのマネジメントまでやると、全体は実は非効率になるというのが比較的、組織のマネジメントの常識的な結論だと思いますので、そこのところがディテールに入り過ぎないように、ぜひ気をつけるべきだと思います。

【西島委員】  ちょっとよろしいですか。産業界からすると、極端に言うと、大型機器に関しては自社のところでそろえるのが大変なので、なるべく使えることが望ましい。総論としては伊丹先生と同じなのですが、実は自分のところでお金を出して、最先端のものを買えばいいというわけではなくて、今、主査から話が出ましたが、そこに伴う人材とかソフトとかというものを考えていくと、まさしく、こういう研究開発プラットフォームのほうで、大きいものと小さいものをひっくるめて議論する場があまりないのが実情です。実はスパコンだけとか、SPring-8だけとかを対象としたプラットフォームは別のところにもあるのですね。そこで、人材育成とか、あるいは国費という視点でプラットフォームを考えるときは、そういう大きいもの、小さいものを入れて、細部に至っても、こういう場合、産業界からすると一度は議論しておいてもらっていただきたい。例えば使い勝手とか、人材育成とか、契約一つにしても、下と上のほうがあまりにも逸脱しないような流れになっていたほうが好ましいのかなと私自身は感じております。

【二瓶主査】  ありがとうございます。ほかにご意見は。はい、どうぞ。

【長我部委員】  「4.調査検討の進め方」のところで質問があるのですが、夏までの検討課題として、統合後、新法人のプラットフォームにおける役割というものがあるのですが、これは本年中ではなくて、夏までにしてあるということは、この後、この議論を引き取って、別のところで議論が行われるので、こういう夏までの設計になっているということでしょうか。その辺、もし差し支えがなかったら、この辺の議論の構造を教えていただければありがたいのですが。

【柿田基盤研究課長】  新法人の発足は2年後になるわけですが、それから逆算いたしますと、次期通常国会、すなわち来年1月の国会において、新しい法人の設置法を国会で審議することになると想定しております。そうしますと、当然それまでには、省内での法案作成作業を終えておく必要があるわけでして、その前段階として、新法人がどういった業務を担うか等の具体的な検討を夏までにはやらねばならず、この委員会からも提言をお願いしたいということでございます。

【長我部委員】  ありがとうございました。

【二瓶主査】  ほかにいかがでしょうか。それではよろしければ、次の分類で、「5.平成25年度予算事業について」と。ご説明にあったとおり、3ページに議論の論点が5項目書いてございます。この関連で何かご意見を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

【吉澤委員】  よろしいですか。先端研究施設共用促進事業は非常にいい事業だと思うのですが、やはり主眼が産業利用の推進のほうにあると思うのですね。純粋にアカデミックな大学とか、人材育成とか、大学でのことを考えると、共同利用拠点、共同利用研究所がございますので、ある意味でパラレルな施策になっていると思うのです。ですから、例えばKEKでしたら、大学共同利用法人ですので、まさにそれがミッションで置かれている独法なわけですよね。だから、そういうところのミッションとうまく整合性をとるようなことをやって、例えば主査がおっしゃったように、各大学に競争的資金で整備したような中型、小型のやつを産業界の利用に促進したいという方針で、この施策を打つのであれば、そういうことを明確にして、大学も手を挙げやすいような共同促進事業という制度設計にしていただくのがいいと思うのですね。共同利用研の大学共同利用ですと、どうしても産業界の人とのあれは受託研究とか、共同研究ということで、表向き、正々堂々とやれないというのがあるので、そこに大学にも共同利用促進事業にほんとうに手を挙げていいのだということで、ドッと打っていただくと、非常に大学と産業界の産学連携というのは言葉で叫ばれては長いのですが、具体的に見える施策が、各大学、例えば東京大学でも、産学連携推進本部とかをつくっていますが、どうなっているのだろうなという現実がある中で、具体的な施策を打てば、非常に明快で、それで結局、この施策は何が成果として出たのですかというときにも報告しやすいと思うのです。ですから、ぜひそういう方向で私どももご提案させていただきたいと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。

【瀧澤委員】  今の先生のご発言に賛同するものなのですが、ちょっと戻ってしまいますが、「3.本委員会で調査検討を進める取組(案)」のア)とイ)ですね。ア)が一番上に来て、量的・質的に施設・設備が拡大していくためのというのが先に来ていますが、国民としておそらく一番期待するのは、重要課題を達成すること。それに向けた施設・設備を効果的に活用する仕組みが、多分、最も重要な概念になるのではないかなと思いますので、今、先生にご指摘をいただいたのは、そういう観点からも支持できるものかなと感じました。

【二瓶主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【西島委員】  今の重要課題の達成というのは3ページの真ん中にもあるのですが、産業界が使うことに対しては、この共用促進事業は大変いい制度であって、かなり使われてきています。といって、これから全部、自前で稼げというのも、これもまた、そこで働いている人たちのことを考えると、モチベーションが下がってはいけません。企業の利用は波もありますので、その辺を含めて、ここにも書いてありますが、新たな目標設定とか、高度化を目指して、これまではどちらかというと今ある最先端をうまく使うための支援ですが、そう言っているうちに時代が変わって、古くなってしまいます。産業界とすれば、せっかく慣れてきて、2年後、3年後に施設そのものも新しい予算が入って、新しく高度化するとか、そこに働いている人たちも新しい機器を使って、新しい成果を出していって、こんな成果があって、それを産業界が、それだったらうちもお金を出しても使ってみようか、トライアルしようかと。そういう魅力ある場を形成するということで、これから考えていく必要があると思うのです。そのときに限られた資源ですから、先端共用促進事業、先ほど見ると、日本の中にかなりありますが、これからも多分、大学も手を挙げてもらうと思うのですが、多少メリハリをつけて、かなり魅力のあるところには資金を投入して、そうではないところはそれなりというと怒られてしまいますが。私は企業の者ですから、勝手に言ってしまいますが、それなりに、そういうようなメリハリをつけていって、そういうようなところを努力目標を持っていくということも必要です。幅広く使っていただくことに関しては一つの目標を達成したのかなと思いまして、中間評価なんかには、その辺のところをうまく、ちょうど今これからなりますので、一つの総論として、研究開発プラットフォーム構築というのは簡単ですが、各論としてどうするのかと。そういうときに、その辺をうまく、この辺に書いてあることを持っていけばよろしいのではないかと。それから、先ほど挙げました最先端事業で若手の人に使ってもらうというのも、一緒に、この促進事業の中にあって、人材育成で若手に使ってもらうとか、最先端の魅力あるというのを、うまくキーワードを、この3ページから拾って、具体的なものとして少し進めていかないと、総論としては、これでもいいと思うのですが、そこからまた問題を抽出するのが重要かなと思いました。

【二瓶主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【長我部委員】  審議の論点が5つほどあるのですが、まずプライマリーには、プラットフォームをちゃんと使いやすくする、使うユーザーが増えることが大事だと思うのですが、最終的にはイノベーションにつながるということで、このプラットフォームとイノベーションに向かうほかの施策との連携の仕方とか、あるいは先ほど、ナノテクのところで話題が出たような最終的なアウトカムの捕捉とか、そういうことも含めて、プラットフォームの部分だけではないところとの関連性をどうとらえて、どうマネージしていくかというあたりの議論も、やはり多分、5番目のマルとか、あるいは重要課題達成に向けて使うとか、幾つか内部には議論の要点として散りばめられているのですが、一つ大きな意識として持って議論したほうがいいように思います。

【伊丹委員】  よろしいでしょうか。既に何らかの理由で予算投入を大学にしろ、あるいは共用施設に、そういうものが投入してしまった設備のより効果的なマネジメント、より効率的な利用という観点から議論が当然ある意味で、現場の必要性がございますので、重要になると思うのですが、この種の委員会では、私は今のご意見と一緒で、マル5のこれから必要になる研究開発プラットフォームは一体何だと。そういう議論をぜひ大きな部分にする必要があるのではないかと。今まであまり、そういう話を聞いたことがないので、ここでは。利用システムだとか、課金だとか、人材ももちろん大切なのですが、もう少し大きな話を入れたほうがいいのではないかと。そんな気がします。
 ただ、私はこんなことを言っておりますが、事務局の方にはぜひ、この種の委員会は、委員が言ったことを全部入れようとしないほうがいいと思うのです。私は自分が座長をやっているときにも、そういう方針でやるのですが、全部入れようとすると、だれも満足するけれども、だれも満足しないみたいな形になりますので、したがって、私の意見は切っていただいても構いませんが、ぜひそういうことはメリハリをつけてやってください。

【二瓶主査】  ありがとうございます。それでは先に進ませていただきまして、4ページの「中核的機関の役割について」という項目に関して、ご意見をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。

【西島委員】  こんなことを言っては大変失礼なのですが、統合後の新法人においてということを相当な部分でやっていった場合にはお伺いしやすいのですが、何らかの都合によって、こうやって統合が行われなかったときにも、どう対応するかという……。何と言うのでしょうね。統合してしまえば、もちろん新法人で簡単なのですが、今の中で何かうまくやっていくようなものを、もう考えていって、統合というふうに、うまくシームレスにいかないと、ホップ、ステップ、ジャンプなくして、いきなりジャンプしなさいよというので、それで梯子を外されることはないのではないかとは思うのです。統合後の新法人であれば、これはある意味では大きくなってくれば、統合するときに、いろいろな事務機能もあるし、やりやすいと思うので、ここで議論するよりも、もっと上位の概念で動けると思うのですが、今ある中での部分で、うまくやるときには、どういうふうにやったらいいかという非常に現実的なところもワンクッションとして置かないと、この審議をいただきたいといっても、統合後の新法人ができるのであれば、そこでいいのではないですかと終わってしまうところもあるかなと。何かお考えをお聞かせいただければと思うのですが。

【柿田基盤研究課長】  新法人が26年度の4月に発足するわけですが、先行的に実施可能なものや準備については、是非25年度よりスタートさせたいと考えております。また、それ以外にも、統合後の推進方策を関係者間で話し合う等、平成25年度は準備期間として有効に活用していくことを考えております。

【西島委員】  わかりました。ということは、前提として、統合後の新法人を見据えてということの枕ことばを、そのまま受けてやっていくということで問題はないということですね。企業でいえば、合併する前に合併準備委員会というのがありますが、合併しなかったなんていうのもたまにありますので、ここで聞くべきことではないのですが、一応、私たちとすると、統合後の新法人を見据えてという、その大きな看板の下でやっていくということで、そこで結集してよろしいということですね。

【柿田基盤研究課長】  はい。閣議決定されていますので、それを覆すようなことがなされない限りはこの閣議決定どおりに行くということだと思います。

【野田委員】  よろしいですか。私も2年前、事業仕分けで、いろいろと質問を受けたのですが、そのとき、やはりガバナンスの問題がありましてですね。大きくしたときに、ある程度のサイズは非常にフットワークがいいと。例えばトップの判断が、次の日には、もう実施できるとかですね。ところが、あまりにも大きくなると、今度は下からの積み上げみたいになって、なかなかこういう方向を決めても、下がこういうふうにやったほうがいいのではないかという意見があっても、なかなかトップまで行かないと。そういうことがあるので、おそらく今回の基盤のプラットフォームもそうなのですが、どうやって効率性とガバナンスといいますか、フットワークのよさをベストミックスとしてつくっていくかが大事じゃないかなと思うので。私は実は今、それを代表する立場にはないので、意見は差し控えますが、そういったところを少し考えながらやっていったほうがいいのではないかなと思います。先ほど大型の設備と中小の設備を同じところで議論すべきかというお話もありましたが、フットワークのよさと、あるいはなかなか制度を変えられないというのもありますので、その辺をうまく組み合わせていけるようなシステムができるといいなと思います。具体的な案は私もまだ持っていないのですが、そういう議論もして、いろいろいいアイデアが出ればいいなと思うのですが。

【柿田基盤研究課長】  ありがとうございます。今回の統合については、「研究成果の最大化」がキーワードになっております。今ご指摘のあったように、大法人になって、意思決定のスピードに非常に時間がかかるとか、機動性に欠けるとかということになると、それは本末転倒になってしまいます。しかしながら、法人としては当然これまでよりも大きな組織になるわけです。その中で、科学技術の成果を創出するという側面での統合効果をいかに発揮していくか。各法人の方々のご意見も十分に聞いた上で、これから制度設計を進めていく必要があるだろうと思っております。

【二瓶主査】  私も一委員としての発言させていただきたいのですが、伊丹先生流に言うと、自分で自分の首を絞めるようなことになりかねないのですが、今おっしゃった研究成果の最大化ということと、4期基本計画の課題解決型研究開発というようなことを考えますと、この5つの法人それぞれにもちろん現有のミッションを持っていらっしゃるわけですが、それをあえて統合することを考える場合に、ここで議論しているのは、まさに研究基盤を充実・強化するという観点で、プラットフォームの議論をしておるわけです。そういう意味で、統合準備委員会というようなくくりで考えたといたしますと、各研究組織が現在、課題解決型の研究基盤、それをどういうふうに整理できるか。これはそれぞれミッションをお持ちですから、当然できるわけで、それを5つ並べて、効果を最大化する。その組合せとか、仕組みとか、そういうことを考えますと、このプラットフォーム構想を検討することが、5法人統合化の1つの考え方の軸を提供するというような、私はそういう印象を持っているのですね。ですから、それはもちろん1つの軸でありますから、それぞれまた違う軸を議論しなければいけませんが、5法人それぞれがこういう軸でまず議論をなさることが将来、それぞれどの程度の効果が得られるかをはかる1つの尺度になるのではないかという感じを持っております。その点だけ、一委員として発言させていただきます。

【吉澤委員】  よろしいですか。新法人は随分大きいのですが、大型施設に近いところにいる私から見ると、共用促進法や先端共用事業みたいな利用促進をする部分と、JSTのように要素技術の開発を支援してきたと。つまり、高度化や新しいテクノロジーをつくるところと、それを利用するところが一緒になるというので、これはうまく制度設計をしていただくと、統合の効果が出るかなと思うのですね。その中で、このプラットフォーム委員会に関連したところで、プラットフォームのときに私が前に発言したのは、SPring-8とペタコンを連携させたり、J-PARCとというような水平連携はすぐにイメージできるのですが、私が申し上げたのは垂直で、せっかく、この委員会の中に物材で野田先生のナノとか、そういうものがあったり、理研のほうには物つくりというようなプログラムがございますので、そういうところから利用を、ナノプラットフォームのいろいろな中型のところの利用に進めて、さらにそれが大型のところにというので、平成25年にテスト的な施策を打つときに、そういう統合する法人の業務を見据えて、垂直連携をするような施策を一つ、お考えいただくと、1つのビジョンを提供できるのではないかなと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございます。大体時間が来てしまいまして、危惧したとおりの経過をたどりましたが、申しわけございません。今日の議論は全く新しい課題、項目もつけ加えられておりますものですから、この場で初めて、こういう問題、課題に対して、委員の先生方にどうご意見をいただけるのかと私も危惧しておりました。ぜひ事務局から一度、関連した意見を各委員からお聞きいただければと思います。家に帰って、一晩寝て、思いついたことを書いていただければと思います。
 それでは、最後に残された時間でありますが、一応、あと状況報告が1つございます。参考資料5-1、5-2、5-3に関して、事務局より簡単に状況報告をお願いしたいと思います。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、参考資料5-1~5-3に基づき説明があった。

【二瓶主査】  何かご質問はございますか。よろしければ、ただいまのような状況であるということのご報告をいただいたということでございます。
 それでは、本日の予定した議題は以上でございます。5分ほど予定時間を超過いたしましたが、第5回研究開発プラットフォーム委員会を閉会させていただきたいと思います。本日は大変ありがとうございました。

―― 了――

 

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