資料6-1 「「研究開発プラットフォーム」の取組効果を測るための指標等の明確化」に関する意見

1. 総論

(1) 施設稼働率や外部利用・産業利用時間は各機関が各施設・設備の重要性を主張するために準備すべき基本的なデータである。国はこれらの数値を元に各施設の運営状況を客観的に評価し政策の効果を測ることが重要である。
(2) 商業的インパクトやイノベーションの創出が目的ではあるが、研究開発は製品開発ではないので、国が支援すべきプラットフォームということを考えると、商業的インパクトまで踏み込まない方が良い。
(3) 商業的インパクトの創出に主眼を置きながら、把握が可能な定量的な指標に色々な指標を加えていくべき。一番重要な指標が何なのかというメッセージを明確に出すべき。
(4) 各施設が属する分野に応じて、それぞれ独自のシャープな指標を立てる。
(5) 施設を利用したことによる成果指標(施設利用による学位取得件数や外部資金の獲得状況、企業との共同研究の件数等)が必要。
(6) 「優れた研究成果の創出」、「利用者や利用分野の多様化、新たな研究領域の開拓」といった指標は、何年かに一度で構わないので、フォローアップの際の評価指標として入れておいた方が良い。
(7) (各施設や研究機関の取組を測るための指標ではなく)プラットフォーム形成に伴う成果・効果を測るための指標を設けるべき。その指標は、プラットフォーム形成のフェーズ(一つ目の段階は使いやすいシステムをネットワークで実現し利用件数を増やす段階、二つ目の段階は研究者間の交流等も含めた深い結びつきによる本当のイノベーションにつながる段階)によって変わってくるはず。
(8) 施設立ち上げ当初と数年経過後では当該施設の目指すところが異なるので、別々の指標を設けるべき。例えば、世界的な研究施設は、まず、性能を最大限に引き出して世界的な成果を上げるということが重要で、その後に共用となる。
(9) 施設の規模や分類(施設単位、機関単位、サブプラットフォーム単位)や国の補助の有無で定量的な指標の考え方は異なるはず。共通となる最もエッセンスな部分は整備しつつ、カテゴリーごとに満たすべき要件あるいは整備すべき指標を検討すべき。
(10) プラットフォームとしては人が動くと良い。技術の平準化にもつながる。特に人材育成という観点では、キャリアを積める場を準備することが重要。
(11) コアとなる指標を示し、各機関における指標化を促す必要がある。ただし、その個々の書き方やその内容の解釈は、それぞれの設備・施設によって一概に横に並べ、比較できるものではないという前提を明確にすべき。
(12) プラットフォームの指標として、それぞれ特色あるSPring-8やフォトンファクトリー等の施設が通年で使える、という観点がある。企業としては通年で使えるのは重要。
(13) 地震等への対応に対するリスク分散で、施設の地域性といった観点もある。
(14) 評価指標における利用料金の位置付けについては精査する必要がある。評価の数値目標というのは、一人歩きしてその数値さえ達成できれば良い、となる可能性があるので危険。あくまで目標があり、その傍証として数値を用いるべき。やはり評価の指標としては我が国の研究開発に真に資するものであったかということになるのではないか。
(15) 取組の波及効果という点では、成果専有利用には有効に活用された実施例が多く含まれる。各取組により異なるだろうが、そのようなものをうまく捉える必要がある。
(16) 波及効果という点では、新規ユーザーがどれだけ増えたのかも重要。それ以外にも研究者が一人前となり外部資金を取り始める前のほとんど設備を持っていない段階を支援するのも重要な観点。
(17) ネットワークの一つの成果として、企業が持っている問題点を新たに大学の観点から取り組む等、大学の力をイノベーションにつなげていけるような場の構築がある。
(18) 企業はどのような共用施設があり、どのような成果を見込めるのかまだ知らない。プラットフォームとして、ブースやセミナー活動等、広報を充実し、周知していくのは重要な指標の一つ。
(19) トライアルユースから有償利用に移行し、更に研究開発の成果が出ていくという流れが重要。

2. 利用満足度に関する指標について

(1) 研究者の利用満足度が最重要指標であり、それをどのように数値化するかがポイント(利用件数も重要な指標だが、施設間での比較をするのには適さない)。
(2) 大学の研究者が十分満足して使っている領域は、産業界からも魅力があり、国際的優位性もある可能性が高いので、利用満足度ということは重要。社会的認知度の重要性はあまり高くない。
(3) 利用満足度を測る際には、例えば、リピーターの率など利用者が満足しているという事実が浮かび上がってくるような指標を考える必要がある。
(4) 利用満足度については、確かに重要ではあるが、科学技術イノベーション政策における効果がまず何よりも前提になる。
(5) 指標には、各施設が共通で持つべきコアの指標と、各施設が工夫して測るプラスアルファの指標があり、利用満足度は定量的に測れる指標ではないので、後者に属するのではないか。

3. その他

(1) 評価軸を定めることにより、対応して各施設における課題のテーマ選定に影響するため留意が必要。
(2) 各機関では評価が数多くあり、相当な負担になっているため、その点は留意すべき。それぞれの指標について文部科学省でも既にある程度把握しているのではないか。
(3) 新規機関、特に新規企業への参画を促す上で、無償利用制度であるトライアルユースは非常に重要。

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