資料5-1 「適切な利用料金の考え方、各機関が利用料収入を獲得するインセンティブの高め方」に関する意見

1.総論

(1) 施設の分野毎や、国立や公立、私立、独法、大学共同利用機関など機関毎に利用料金の考え方が違ってくるので、全体として共通的に議論する部分と、個別に議論する部分とを切り離して考えるべき。
(2) 産業界が共用設備を用いる理由としては、単に設備整備の負担面からではなく、共用設備にはメンテナンスや実験のノウハウ、ソフト等の周辺技術等がある。また、共用設備の利用に当たっては、秘密保持の体制が重要。従って、利用料金は低ければ良いというものではなく、共用体制を整えられるよう適切な額とすることが重要。
(3) ナノテクノロジーネットワークからナノテクノロジープラットフォームへの移行で利用料金は大幅に上がった。しかし、利用者は減らず、逆に増える傾向にあるので、ニーズに合う利用料金の設定が重要。
(4) 設備投資の状況により実験効率等は大きく変わるため、利用料金を設定するに当たっては、その点に留意することが必要。
(5) サブプラットフォームでは利用料金がある程度そろっているのが望ましい。
(6) 利用料収入を得ることは重要であるが、各機関において、設置の目的等を勘案し、適切な時間の範囲内で共用に供することが必要。
(7) 利用料金は、各機関が必要となる経費を念頭に根拠を明示、設定して徴収すればよく、必要以上に制約を設ける必要はない。

2.利用料収入について

(1) 各機関が利用料収入を獲得するためのインセンティブをどう高めるのかが重要(利用料収入が増えたために国からの補助が減らされてしまうのではモチベーション向上につながらない)。SPring-8では、現在では、成果専有有償利用の利用料収入が設備整備に役立っている。
(2) 利用料収入の運用が自由である場合でも、施設の高度化や技術者の雇用など重要な用途を示していくことが考えられるのではないか。利用料収入の運用に法令や制度等に制限があるのであれば整理する必要がある。
(3) 利用料収入の取扱いについて、運営費交付金等で得たものと目的を持った国の事業で得たものでは扱いが異なるのではないか。例えば、共用を促進するための事業であれば、その利用料収入は、やはり共用を促進するために使用されるべき。
(4) 利用料収入の問題については、得た収入を自由に使えないという問題と、収入を得ることによりその分の補助金が減るという問題がある。これらの問題については検討していく必要がある。ただし、その制度設計の検討に当たっては、補助金の有無などを整理して検討すべき。
(5) 国の支出という観点から言えば、利用料収入分の補助金を減らすというのも一つの考え方ではある。
(6) 測定に係る検出器やソフトウェアは日進月歩であり、得た利用料収入をそれらに使えるのは機関のインセンティブを高める上で重要。

3.その他

(1) SPring-8の料金体系は非常に良く出来ているので、ほかの施設を利用する際にSPring-8の利用料金と比較することがよく行われている。
(2) 成果の公開と非公開で利用者側の負担金額が異なる場合があるが、成果公開といった際に一般的な定義というのはあるのか。
(3) 成果専有・成果公開で差を付けていない機関は、その差異に伴い留意すべき企業に対する姿勢などのノウハウや意識が不十分ではないか。

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