産業連携・地域支援部会(第16回) 議事録

1.日時

平成29年9月26日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省東館3F2特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任、運営規則について
  2. 産学官連携の最近の動向について
  3. 平成30年度概算要求の状況について
  4. 部会の審議事項等について
  5. その他

4.出席者

委員

(委員)
庄田委員、栗原委員、梶原委員
(臨時委員)
岡島委員、木村委員、後藤委員、佐々木委員、菅委員、須藤委員、高木委員

文部科学省

伊藤文部科学審議官、佐野科学技術・学術政策局長、松尾大臣官房審議官(高等教育局担当)、信濃大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、勝野科学技術・学術政策総括官
坂本産業連携・地域支援課長、大土井地域支援企画官、竹之内産業連携・地域支援課課長補佐、佐々木大学技術移転推進室室長補佐、川口産業連携・地域支援課専門官

5.議事録

【竹之内課長補佐】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課の竹之内と申します。本日は、先生の皆様には、御出席いただき、ありがとうございます。
 本日は、第9期における最初の会合でございますので、部会長をお選びいただくまでの間、私が進行を務めさせていただきます。また、部会長の決定等、人事案件に関する議題が終了するまでの間は非公開で進めさせていただきます。
 会議に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、御紹介申し上げます。文部科学審議官の伊藤でございます。
【伊藤審議官】  伊藤でございます。どうぞよろしくお願いします。
【竹之内課長補佐】  科学技術・学術政策局長の佐野でございます。
【佐野局長】  佐野でございます。どうぞよろしくお願いします。
【竹之内課長補佐】  大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)の信濃でございます。
【信濃審議官】  信濃です。よろしくお願いいたします。
【竹之内課長補佐】  科学技術・学術総括官の勝野でございます。
【勝野総括官】  勝野です。よろしくお願いいたします。
【竹之内課長補佐】  それでは、まず、配付資料の確認をさせていただきます。
 それでは、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。まず、1枚目が本日の議事次第でございます。続きまして、資料1-1が「科学技術・学術審議会に置く部会及び委員会について」、資料1-2が委員名簿、そして、資料1-3が運営規則でございます。続きまして、資料2-1、これが「産学官連携による共同研究強化のためのガイドラインについて」でございます。続いて、資料2-2が「オープンイノベーション共創会議について」、そして、資料2-3から2-5は政府の閣議決定文書等の関係部分の抜粋でございます。
 続いて、知財関係になりますが、パワーポイントの資料で、資料2-6、2-7となってございます。そして、資料3でございますが、これが「文部科学省におけるオープンイノベーション・地域科学技術関係施策の平成30年度概算要求状況について」でございます。続いて、資料4でございますが、産地部会に置く委員会についてでございます。
 このほか、参考資料1から3という形で御用意をさせていただいております。関係法令、運営規則、そして、産地課の施策の全体像という資料でございます。また、このほか、机上資料といたしまして、「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」、もう一つが、オープンイノベーション共創会議の報告書の本体を御用意させていただいております。
 以上でございますが、資料の不足等ございましたら、事務局の方まで御連絡を頂ければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、資料1-1をごらんください。まず、3月14日に開催されました科学技術・学術審議会の総会におきまして、本産業連携・地域支援部会の設置が決定されました。本部会の委員は、科学技術・学術審議会令第6条第2項において、「部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、会長が指名する」という規定がございます。これを受けまして、濵口会長より資料1-2のように指名をさせていただいております。
 議事に先立ちまして、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。

○委員の紹介。
○部会長は、科学技術・学術審議会令第6条第3項の規定に基づき、委員の互選により庄田部会長が選任された。
○部会長代理は、科学技術・学術審議会令第6条第5項の規定に基づき、庄田部会長が栗原委員を指名した。
○科学技術・学術審議会 産業連携・地域支援部会 運営規則について、資料1-3に基づき事務局より説明後、原案の通り了承、決定された。


【庄田部会長】 
 本部会の議事の公開については、運営規則第5条に基づいて、原則公開とされています。したがいまして、この時点から公開とさせていただきますので、報道関係者、並びに、一般傍聴者の方の入場を許可したいと思います。
(傍聴者入室)
【庄田部会長】  それでは、議題(2)に移ります。
 産学官連携の最近の動向について、事務局から報告をお願いします。
【坂本課長】  まず、資料2につきまして、私、産業連携・地域支援課長の坂本から説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 この資料2-1をごらんいただきますと、「産学官連携による共同研究強化のためのガイドラインについて」と書かれておりますけれども、昨年の11月末に、産学官連携について、これを大幅に強化していくためのマネジメントの課題について、処方箋をまとめたと。このガイドライン、今、全国で実践を、我々、経済産業省とともに、大学あるいは国立研究開発法人に促しているところでございますけれども、この内容について簡単に御説明させていただきたいと思います。
 この2-1の上のところにございますけれども、そもそも、このガイドラインの契機となりましたのは、経団連の方で、「産学官連携による共同研究の強化に向けて」という提言が28年2月に出されました。この後、日本再興戦略において、ここは「未来投資に向けた官民対話」ということで、総理の発言を書かせていただいておりますけれども、日本再興戦略に、この下線が引いてあります産学官連携の体制の強化のために、企業から大学あるいは研究開発法人への投資を今後10年間で3倍に増やすと、2025年までということでございますけれども、こういう目標が定められたというところでございます。
 では、これをどうやって実現していくかというところで、産学連携のマネジメントについて、この先ほどの経団連の提言、あるいは、その他も産業界から様々な指摘がなされていたところもございまして、大学、国研側からもそのマネジメントの改革という動きが出ておりましたので、この昨年の7月に、経済産業省と文部科学省共同で、「イノベーション促進産学官対話会議」という産学官の代表する有識者の方々にお集まりいただいて会議を設置いたしまして、産業界から見た大学・研究開発法人が産学官連携機能を強化する上での課題とそれに対する処方箋をまとめたということでガイドラインを策定したということでございます。
 このガイドラインの構成なんですが、先ほどの御紹介した経団連の提言の方で、資金・知・人材の好循環というものを産学官の中で起こしていくということが強く求められているということがございましたので、この資金・知・人材と、それから、最も重要な司令塔機能といいますか、コアになる機能として本部機能がございますので、こういったものを項目立てとしているということがこの1ページ目の内容でございます。
 次のページをごらんいただければと思います。このガイドラインは、お手元にございますけれども、こういった冊子になっておりますが、ガイドライン自身は六十数ページに及ぶものでございますが、その後、事例集も含めて、各大学で、あるいは、国立研究開発法人でどのようにマネジメント課題を解決していくかと、そのシステム作り、制度、そういったものを事例をまとめてございます。こういったものを使って、各大学で、どこが自分たちはできて、どこができてないかといったところをチェックしながら、体制作りを進めていただいているところでございます。
 その課題と、それから、処方箋のところのポイントだけ、もう幾つかかいつまんででございますが、説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ目でございますけれども、まず、産学連携本部機能の強化ということでございますが、産学連携、日本の場合、まだまだ、大学でいうと、部局の研究室と、あと、企業側の研究開発部門の担当者ベースのつながりが非常に強いと。そこで共同研究が生まれるわけなんですが、そこから大型化していくというところがまだまだ少ないというところの問題が指摘されております。
 したがいまして、そういった共同研究は、大型化していくというのは投資になってまいりますので、その投資価値を認められるような企画を行う。そのために、産学連携本部機能が部局横断的な共同研究を企画・マネジメントできる体制を構築する。あるいは、そういったマネジメントについての具体的な目標・計画というものも策定して、組織的に動いていくというようなことを処方箋に書かせていただいているところでございます。
 次、資金の好循環につきましては、共同研究について、様々なコストが掛かるわけでございますけれども、そのコストを適切に回収できているかというと、なかなか回収できていない。その結果、大型の共同研究を進めれば進めるほど、大学側に費用の不足、あるいは、マネジメントの負荷が掛かってしまうということで、このインセンティブというのがなかなか働かないという課題が指摘されております。
 したがいまして、大学等の側で、費用の積算根拠というものをきちっと把握して、それをパートナーに提示すると。あるいは、共同研究の進捗、成果の管理というものをしっかりやるということを前提になるわけでございますけれども、その共同研究に関わる人件費、これは正規の職員の方もそうですし、あるいは、学生も、最近、共同研究に参画するということ、ニーズは高まっておりますので、そういったところの人件費でありますとか、様々な管理部門の経費、間接経費ですね。さらには、大学の強みを持った分野というものを、これは研究あるいは人材育成も含めて成長させていく、そのための投資に用いるような費用も企業から御協力いただくということで、戦略的産学連携経費、こういったものを共同研究経費の中に積算をしていくというふうなことを処方箋として書かせていただいております。
 あと、知の好循環というところについては、知財マネジメント、なかなか企業の事業戦略の複雑化、多様化、あるいは、スピード感に追い付いていないということがございます。あるいは、活用も十分に行えるような扱いもまだまだできてないんではないかというところがございます。
 それで、まず、一つ目は、非競争領域の知的財産権と書いておりますけれども、非常に基礎的な分野の研究で生まれた基本的な特許、なかなかすぐに企業側が事業化に組み込むことが想定するのは難しいようなものについては、できる限り、大学、あるいは、国研側が活用可能な状態で蓄積をしていく。これもいろんな形態が考えられるわけですけれども、そういったことを推奨しております。
 あるいは、共同研究の成果について、少し前までですが、不実施補償といったものを大学側が企業側に要求をするというふうなケースも出ておりましたので、そういった不実施補償の問題も含めて、共有特許に基づいて、更に活動を発展させるときに、不実施補償だけではなくて、共同研究を新たに立ち上げるとか、いろいろな形で双方がメリットを実現していくような、そういう形の契約というものを考えていくということを推奨させていただいているところでございます。
 あと、産業界との協力が拡大していきますと、営業秘密管理や利益相反管理といった、そういったリスクをきちっと抑え込むということが重要となりますので、そういったリスク管理の体制を構築するということも重要になってまいります。
 あと、人材の好循環ということですが、人材の流動化、なかなか日本の雇用制度の問題もあって、難しいところがございますけれども、例えば、大学、国研と、それから、企業との間でもクロスアポイントメントを促進するといった形で流動化を図る、あるいは、産業界との関係をやっぱり人事評価にも取り入れていく、そういった形で流動化を促すということについても書かせていただいているところでございます。
 こういったガイドラインについては、次の3ページでございますけれども、様々な形で、政府としても実践の促進を図りたいというふうに考えております。例えば、様々な共同研究プロジェクトで、ガイドラインの実践をきちっと確認するようなことをマネジメントの中に入れていくとか、あるいは、このガイドラインに基づく精神的な制度、体制の構築を促すようなインセンティブを付与していく、そういう施策も展開していく。あるいは、右上になりますけれども、そもそも、マネジメントはやっぱり人材が重要でございますので、大学の中でイノベーションのマネジメントを行えるような人材の育成を行うと。これも文科省としても、そういった各大学でそういう役割を担う人材の育成を今進めているところでございます。
 さらに、大学、特に国立大学の評価においても、産学官連携の取組を評価する際の参照すべき取組の事例とするとか、あるいは、指定国立大学においても、ガイドラインの内容を踏まえた取組がなされているかというのが審査の項目に上げられているということで、活用を促進していくということを進めているところでございます。
 以上、産学官共同研究強化のためのガイドラインついての説明でございます。
【庄田部会長】  資料2-1、ガイドラインについての説明でした。
 委員の皆様の中には、ガイドライン策定に関与された方もいらっしゃると思いますが、この時点で何か御質問、御意見等はありますか。
 梶原委員、どうぞ。
【梶原委員】  去年の11月に発効されている状態ですけれども、これを実際に運用というか使った状態で、各使用者からのコメントですとか、実はもっとこういうふうに変えてほしいとか、先ほど事例を増やしていくというお話がありましたけれども、その辺の見込みとか、その反応状況を教えてください。
【坂本課長】  ありがとうございます。この事例が今、着実に増えておりますけれども、先ほど、公的資金も含めてインセンティブを付与するということで、後でちょっと予算のところで御説明いたしますけれども、研究コンソーシアムを形成するのを支援するような事業を我々は展開しておりますけれども、その中で、例えば先ほどの共同研究経費の見える化でございますとか、あるいは、知財の取扱いですね。
 個別の大学で、研究コンソーシアムになりますと、大学側も複数の大学がかかるわけですけれども、こういったところで知財の扱いをできるだけ統一的にするとか、そういった仕組み作りというのがもう既に始まっております。今のその研究コンソーシアムの形成の事業で、要は産学共創プラットフォーム共同研究推進事業、OPERAという事業でございますけれども、東北大学では、間接経費を使って知財の費用を賄っていく。できる限り、東北大学にすぐれた知財を蓄積して、通常実施権の、通常実施権だけじゃないかもしれませんが、ライセンスをするということをもって会員企業に共有化していくような、そういう知財の蓄積の取組をやっておりますし、あと、広島大学では、共同研究費の見える化を全学的に、全学の共同研究についてそのルールを適用するとか、あと、名古屋の方では、人材育成ですけれども、人材育成も博士課程の学生を産学共同研究で共同で人材育成をしていくようなプラットフォームを形成するとか、そういう取組が今、加速していると、数がどんどん今、増えつつあるという状況でございます。
【庄田部会長】  よろしいですか。
【梶原委員】  はい。
【庄田部会長】  須藤委員、どうぞ。
【須藤委員】  今、梶原委員から出た話と少し関連するんですけど、せっかくガイドラインを作ったので、これを使う仕組みをしっかりと作る必要があると思います。坂本課長が言われたように、OPERAのプロジェクト等でこれをちゃんと使ってやりましょうというのが進んでいるんですけれども、それだけではちょっと足りないんで、どうしたら本当にこのガイドラインを使った産学連携ができるかというのを是非、この場でもそうですけど、文部科学省の方でもその仕組みを考えていただきたいと思います。
 それから、もう一点、たしかあのときに、知財の維持費は結局議論が間に合わなくて、後でまた別の機会に議論しようということになったと思うんですけれども、アカデミアでせっかくできた知財をちゃんと10年間ぐらい維持するというのはすごく大変なことだと思うんですね。企業だったらそれなりの予算を持っているので、しっかり維持できるのですけど、その仕組みを少し考えないと。大学での知財の維持というのは難しいと思いますので、その辺も、是非頭に置いていただきたいと思います。
【庄田部会長】  栗原委員、どうぞ。
【栗原部会長代理】  こういうガイドラインを作るというのは非常に重要だと思いますし、ベストプラクティスを積み上げていっていただくことも大変重要なんですけれども、このガイドラインは、そもそも企業の投資額を3倍にするという政府目標とリンクしているとすると、大学や研究法人の評価ばかりではなく、企業がどれだけ投資をしたかということのフォローアップとかマイルストーン設定が大変重要だと思います。その辺をどのようにモニタリング、モニタリングというとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、見ていくのか、あるいは、どう促していくのかということについても今後考えていっていただきたいし、何か具体的な仕組みを考えているのであればご説明いただきたいと思います。
【庄田部会長】  坂本課長、お願いします。
【坂本課長】  ありがとうございます。今、須藤委員と、それから、栗原委員から御指摘ございましたけれども、須藤委員から御指摘があった知財の費用の面については、これは引き続き検討ということが現状でございます。
 ただ、この知財の費用というのをどうやって大学側が必要なものを確保していくかというところについては、一つの方策というよりも、幾つかの方策をやっぱり組み合わせないといけないということで、そのうちの一部については、今回、研究事業の中で、直接経費で出願費用を確保していくというようなこと、後ほどちょっと御説明をさせていただきたいと思います。段階的に、知財の費用面についても措置をしていきたいというふうに考えています。
 栗原委員の方からの非常に重要な御指摘でございまして、企業側の投資というものを我々もしっかり促していきたいというふうに思っております。なかなか企業側の投資、統計としてはありますので、それも追っ掛けていきたいと思うんですけれども、どれだけ企業側が投資の意欲を高めているか、実際に投資を増やしていくかというところを、我々として、直接的に促すということはまだ具体策等はちょっと見えていませんが、一つやろうとしておりますのは、企業側がどういう課題の解決を大学とともに行うことを求めているかと。企業側の課題上、これも結構センシティブな部分はあるんですけれども、その課題情報を大学に流していくという仕組みが作れないかというところが、今、経団連と調整を始めております。
 そういった形で、投資は流れていくチャンネルを拡大していくということはこれからちょっと積極的にやっていきたいというふうに思います。
【庄田部会長】  統計である程度把握できるということですが、どういう情報が現在存在するのですか。
【坂本課長】  二つですかね。一つは、総務省統計で、企業側と大学側に双方に、どれだけの研究費が使われたか、あるいは、誰に対して支出したかというのと、大学側でいうと、それどう受け入れたかというようなのを取っているというのがございまして、もう一つは、これは文部科学省の方で毎年行っておりますけれども、産学連携実施状況調査というのがございまして、これは全国の400ぐらいだったかな、400の大学、回答は結局400ぐらいか、大学数400ぐらい? 400大ぐらいにアンケートを取って、共同研究費、受託研究費、ライセンス、それから、治験ですね。そういったところの費用がどれだけ、資金がどれだけ入ってきているかというものを毎年チェックしていますので、こういった統計で追い掛けることは可能です。
【庄田部会長】  高木委員、どうぞ。
【高木委員】  このガイドラインは、昨年の秋、非常に短期間で膨大な量をまとめられました。新規に議論されたことに加え、過去いろいろな委員会で議論されたことをまとめて、単に報告だったものをガイドラインにしたという意味は、非常に大きいと思います。けれども、それだけ量が多くて、内容が深いです。
 先ほどご説明がありましたが、全国各地で精力的にガイドラインの説明をしておられる点は素晴らしいですが、もう少し分かりやすい説明もあってもいいと思います。先日、関連するシンポジウムに参加しましたが、たまたまかもしれませんが、フロアから質問が全く出ませんでした。質問が出ないということは、よく分かっているか、逆に、理解されていないかのどちらかだとすれば、後者の可能性が高い。これは少し考えなければならないことだと思います。折角作られたのですから、普及の仕方を少し工夫されるとよろしいと思います。
【庄田部会長】  大変重要な御指摘ですので、よろしくお願いします。
【坂本課長】  はい。
【庄田部会長】  それでは、時間の関係もありますので、資料2-2の説明をお願いします。
【竹之内課長補佐】  それでは、続きまして、オープンイノベーション共創会議における検討結果について御説明をいたします。お手元の資料2-2をごらんください。
 文部科学省では、オープンイノベーションの加速に向けた具体的な改革方策を検討するため、イノベーション創出活動の第一線で活動する各界の有識者の方々の参画を得まして、本年1月にオープンイノベーション共創会議を設置いたしまして、7月まで、4回にわたり議論を重ね、報告書を取りまとめました。報告書の本体は机上配付資料として御用意しておりますけれども、ここでは時間の制約もございますので、この概要資料に基づいて説明をさせていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、全体の構成をごらんください。まず、第1章の「はじめに」でございますが、これは議論の背景としまして、大学・研発法人が先進的な知識集約型の産業創出のプラットフォームとなることを要求されていること、また、2025年までに、大学・国研への民間投資3倍拡大という政府目標の達成に向けまして、大学等のイノベーション創出力を強化することの必要性を上げてございます。
 続く2章、ローマ数字の2のところでございますが、こちらでは、我が国の産学官連携の現状認識といたしまして、1点目には、米国の例との比較などに基づきまして、日本における大型の共同研究の件数、これが依然として少なく、また、大学発ベンチャーについても依然として低調であることなど、社会的な期待に比較しまして伸び悩む産学官連携の現状を分析しております。
 また、2点目といたしまして、資金の好循環という観点から現状を掘り下げまして、間接経費の低さなどによって、産学連携に対する大学の組織的インセンティブが十分に働いていない、また、実行財源を生み出そうとする際に、制度的な限界が存在することなどを上げてございます。
 ローマ数字の3、3章でございますが、このような現状認識に示された課題の背景にあります阻害要因を整理する視点としまして、三つ。一つ目が、民間投資導入拡大と柔軟な資産運用、二つ目としまして、事業化の観点からの研究成果の質的向上、三つ目として、イノベーション人材の育成強化のこの三つに着目をしまして、具体的な改革方策を検討いたしました。
 ここから先の詳細につきましては、次ページ以降に要点をまとめてございますので、そちらを用いて御説明をさせていただきます。3ページをごらんください。
 ここでは、産業界、それから、大学、国研のそれぞれから見た産学官連携拡大の阻害要因を分析しております。産業界から見た阻害要因といたしましては、企業にとって、大学等の研究内容ですとか技術シーズが見えづらく、また、マネジメント体制も不十分であるといった点が上げられてございます。
 一方、大学等から見た阻害要因といたしましては、産学官連携が組織的なベネフィットにつながらない。また、経営トップのリーダーシップが十分に発揮されていない。大学・国研の資産運用に係る制限があることなどがございます。オープンイノベーション共創会議では、これらの阻害要因を克服するための改革方策について検討を行いまして、次ページ以降に検討に基づく対応策を示しております。
 続いて、4ページをごらんください。初めに、マネジメント改革として上げておりますのがオープンイノベーション機構の整備でございます。産業界からは、特に大型の共同研究開発の実施をする上で問題点として、企業に対する提案力の不足、それから、部局横断的なチーム編成などを可能にするような連携の柔軟性の不足ですとか、財務管理、知財管理に関するマネジメント体制の脆弱さが指摘されております。
 これらの阻害要因に対する改革方策として、オープンイノベーション機構、ここで提案されているオープンイノベーション機構におきましては、事業化ですとか知財管理、営業秘密管理等のプロフェッショナル人材を結集させることによって、高度なマネジメント機能を実現、また、すぐれた研究者等を、部局を超えて機動的に編成して、集中的に支援するということを検討してございます。
 なお、オープンイノベーション機構につきましては、後ほど御説明いたします平成30年度の概算要求に盛り込んでございます。
 このような要件を満たすオープンイノベーション機構を立ち上げ、運営を文科省が5年間、集中的に支援をし、事業終了時には、間接経費や特許料収入などといったものを基に、大学等が一定程度自立した形で運営するということを目指しております。これにより、国内外からこれまでにない競争領域における大型の共同研究を呼び込み、企業との綿密な連携を通じた研究者の意識改革等を進めることを目指しております。
 続いて、5ページをごらんください。ここからは制度改革に関する事項でございます。大学等発ベンチャーへの支援は、研究成果の社会還元のチャンネルとして、近年、重要性が増しておりますけれども、ベンチャー支援の対価によって、効果的に自己財源を生み出そうとする際に、制度的な課題が存在しておりました。
 具体的には、国立大学では、自己収入の拡大に大きな可能性を有する株式等の取得をできる範囲が、これまで、「寄附・ライセンス対価」のみに限定されておりました。また、取得した株式につきましては、特段の事情がない限りは、換金可能になった時点で直ちに売却するということが求められておりまして、自己収入の最大化がなかなか見込めないという状況がございました。
 こうした課題に対する改革方策といたしまして、株式等の取得・保有期間に関する通知を発することを盛り込みまして、本件につきましては、この共創会議の報告書を受けまして、既に本年8月に通知が発出されております。
 これによりまして、具体的には、国立大学がベンチャー等から株式等を対価として取得する範囲を、例えば施設の使用料ですとかコンサルティング料などにも拡大することが可能であるということを明確に示しました。また、この通知では、インサイダー取引等の規制等に留意しつつも、その寄附等で取得した株式の保有期間を柔軟化することによって、適切な時期の売却が可能であるということにも触れてございます。
 続きまして、6ページをごらんください。ここでは国研の研究成果の最大化に向けて、でございますが、その研究成果を活用したベンチャー企業への出資というものは一つ有効な手段でございますけれども、一方で、現在、ベンチャー等に出資できる国研は、法律により、JST、産総研、NEDO、この3法人に限定をされております。このうち、金銭出資ができるものはJSTのみとなっております。
 国研の研究成果を速やかに社会に還元するために、ベンチャー企業等に出資できる国研の範囲の拡充を検討することとしております。これによって、国研の産学官連携機能の強化ですとか、研究開発成果の活用を促進するとともに、事業化に成功したベンチャー企業等から利益還元が拡大されることとなりまして、国研の財務基盤の強化を後押しすることが可能となります。
 続いて、7ページをごらんください。ここでは国立大学・国研におきましては、安定的な業務運営が求められている法人が投資リスクを回避するという趣旨から、資産運営について制限が存在しております。具体的には、国立大学では、一定の元本保証のない金融商品を運用することは可能でございますが、その原資は寄付金等に限定されております。また、国研では、国立大学と同様のこのような措置というのは現時点では認められておりません。
 このような課題への改革方策といたしましては、国立大学における元本保証のない金融商品の運用を行うに当たっての原資の範囲を、例えば産学連携による特許料収入ですとか、財産の貸付料収入等に拡大する措置を省令改正にて対応することを検討してまいります。また、国研につきましては、その実態を踏まえつつ精査をした上で、不動産の貸付や自己収入の運用に関して、国立大学と同様の措置の必要性を検討してまいります。
 続きまして、事業化の観点からの研究成果の質的向上についてでございます。8ページをごらんください。国の研究開発ファンディングにおきましては、克服すべき課題と将来のビジョンの共有を産学官の間で行い、それを起点として、事業内容やマネジメント体制が設計されるということが重要でございますが、現状ではこのような取組が十分に行われていないというような指摘がございました。
 こうした課題に対する対応策といたしまして、大学等の成果を将来のイノベーション創出につなげる機能を有するJSTのファンディングにつきまして、産学官による将来ビジョンの設定の場を設置いたしまして、また、段階に応じたマネジメントですとか、ベンチャーの立上げの支援の改革を行いつつ、基礎研究から実用化まで一気通貫した支援をするための検討を進めております。併せて、投資家ですとか企業等の投資意欲を高めるために、研究成果の概念実証促進のための関係プログラムの充実を図ることとしております。
 もう一点が知財の取扱いでございますが、これまで、共同研究から創出された知財に関しては、取りあえず共同出願、共有特許というケースが多く、実際に事業化につながっているか不透明であるというふうな指摘がございました。適切な共同研究の成果の取扱いが大きな課題となっておりました。
 この点につきましては、後ほど別途御説明がありますけれども、共同研究の成果を大学又は民間企業の単独帰属とする選択肢も含めた複数の契約モデルの中から、研究ですとか、その研究の寄与度ですとか、また、その技術の成熟度合いに応じた適切なモデルを選んでいただくような、そういうツールを提供することが有効な手段と考えられますことから、そのモデルケースの構築に努めていくこととしております。
 続きまして、9ページをごらんください。ここでは3のイノベーション人材の育成の強化についてでございます。現状の課題としましては、産学共同研究における学生の関わりが弱く、共同研究の、産学の共同研究を通じた人材育成、これは特に博士課程の学生でございますが、これが十分になされていないと。また、依然として、起業に挑戦する人材、中でも世界市場を見据えた新事業展開を担う人材の増加がこの産業界から強く求めれているという状況でございますが、まだまだ国際的な事業化展開のノウハウを持ったメンターの不足などがありまして、人材育成体制が非常に脆弱であるといった課題が上げられてございます。
 こうした課題に対する改革方策といたしまして、一つには、非競争領域の研究コンソーシアムの形成の支援事業でございますが、これにより整備した共同研究体制を、これは高等局でやっております「卓越大学院プログラム」をはじめとする博士課程教育へ活用することを奨励することとしております。
 もう一点でございますが、民間団体、それから、企業等、我が国の起業家育成の中核大学との協力によりまして、起業を志す学生、若手研究者に対して、海外大学等での武者修行からその後の起業挑戦までを一貫して支援する体制を構築することを検討してございます。
 説明としては以上でございますが、このほか、報告書には、産業界と大学等のクロスアポイントメント制度の活用の拡大ですとか、ベンチャー経営、ベンチャー経営者の候補の人材プールの形成、また、国立研究開発法人によるベンチャーの技術の活用促進といった点についても言及をしております。
 以上が、オープンイノベーション共創会議における報告書の概要でございます。
 この報告書の内容につきましては、政府の成長戦略を検討する「未来投資会議」等にも既に報告しまして、平成30年度の概算要求にも反映したところでございますが、今後、大学等の本部ですとか研究現場、それから、産業界をはじめとする各方面の方々から意見を聴取しまして、改革方策を実行していくこととしております。
 以上で説明を終わります。
【庄田部会長】  資料2-2の説明ですが後ほど、資料2-6、2-7でより詳細に説明いただく場面もありますが、この時点で何か御質問、御意見等はありますか。
 木村委員、どうぞ。
【木村委員】  共同研究費をこれから増やしていくということを目指される中で、大学側の阻害要因として組織としてのベネフィットにつながらないというところが御指摘されていたかと思います。それに併せて、研究者、あるいは大学の教員の方々のインセンティブというのがちゃんと図られるのかお伺いしたいところです。
 後の資料で、人事制度改革の説明もありましたが、例えば海外ですと、大抵のプロジェクトを運営する教員は、ダブルインカムになったりするようなインセンティブがあります。日本の場合は、共同研究を広げれば広げるほど、大変な状況に陥るというようなことがおきます。特に力がある先生のところには共同研究が集中しがちですし、バックアップ体制も含めて、検討をする必要があるのではないかと思います。これが1点目の質問です。
 二つ目が、博士人材について、博士課程に行く学生が少ないという課題があります。大きな要因としては、日本における社会的地位が確立されてないのではないかという印象があります。
 この問題は文科省で進めておられるクロスアアポイントメント制度にも影響があると思います。特に欧米では、企業で働いた方が大学に行って教える、あるいは政府機関で活動するなど人材の流動性があり、それを支えているのは博士人材の豊富さです。一方で日本のように博士号を取ってない人が大多数の場合、大学でポストを得るというのは難しいです。つまり企業から大学への流動化は制限されるということです。今日日本の大学では、博士課程に進学するのは留学生という状況です。留学生が多いということ自体は悪いことではないですが、日本人の学生が博士課程に入るモチベーションをどのように制度として支えていくのか、考えていく必要があると思います。
 【庄田部会長】  今の2点について、坂本課長、お願いします。
【坂本課長】  ありがとうございます。まず、大学の教員のインセンティブということについては、やはりこれはガイドラインの取組、書かれている処方箋をいかに実践をしていただくかということにつながっていくんですけれども、給与面についても、例えば、民間の共同研究費の中に人件費を入れて、これを例えば混合給与とかという言い方をされるみたいですけれども、学内で給与を支出するときに、ある意味、上乗せできると。それは共同研究経費の中でそういう人件費の設定がなされた場合ですけれども、ということであるとか、あるいは、大型の共同研究をされたときに、ある意味、給与の報酬という、報奨というか、上乗せするというようなことが今徐々に起こりつつあります。そういったものを是非ちょっと促していきたいなというふうに我々は考えているところでございます。
 あと、もう一つ、博士課程の問題、これは御指摘のとおり、確かに日本において、博士課程の学生の価値というものがなかなか評価されづらいというところも指摘されているところはあるんですけれども、日本の特に大企業の場合、雇用、採用もやっぱりグローバル化してきて、結構海外の学生が、Ph.D.を取っている学生さんを採っているところも増えているというふうに我々は聞いておりますし、そうなってくると、いかに日本の博士課程というかPh.D.ホルダーが競争力があるかというところにも掛かってくるかなと。
 そういった競争力を持たせるためにも、あるいは、実際に彼らの能力を産業界側が認める機会を作るためにも、産学共同研究と教育とをいかに結び付けるかというのが重要になってくるかなというふうに考えております。
【庄田部会長】  ほかにいかがでしょうか。
 佐々木委員、どうぞ。
【佐々木委員】  九州大学の佐々木です。この会場の中で、多分、本当に研究者として現場でやっている人間はそんなに多くないので、現場の方から今のお話しに対して少しここでお話しさせていただこうと思います。
 まず、一つは、一つ目の御質問で、大学人へのインセンティブというところは、やっぱり大学の現場にいると、どこかの先生のお給料が上がると、やっぱり何か嫌な顔をされるというのが大学の文化としてまだまだかなり残っています。
 他方、今、大学トップマネジメント研修で実は8月に行ったときに、詳細な制度のお勉強をしてきたんですけれども、普通の方は、御存じのように、9か月しか給料出なくて、残りの3か月は自分でファンドを稼いできて、それの直接経費で出せるというところですし、サンディエゴに行ったんですけれども、3か月のサマーサラリーを稼いで、なおかつ、もっとアクティブにやっている先生は、要は15か月サラリーという制度を作って更に3か月分上乗せされると。そうすると、9か月のお給料が15か月まで上がるわけですから、それこそ7割近く上げられるということで、それがかなりインセンティブになっているということです。
 これは将来的にはやっぱり日本で導入すべきだと思いますし、一番多分ハードルになるのは大学の先生の現場の意識がなかなか変わらないことで、そういうことは我々が言い続けていくしかないかなと思います。
 それから、二つ目の博士課程のなかなか就職行けないというところは、本当に我々は現場でも議論していまして、やっぱり産業界の方がよく言われるのは、日本の博士の方は教授のコピーだと言うんですよね。教授のコピーが来ても、会社はどんどん動いていくし、求められる分野というのは変わっていくのに、自分はこのことを勉強してきた人間ですということでなかなか使いづらかったというのが今までの課題です。
 私自身も日本の博士課程を中退してスイスで学位を取った人間なので思うんですけれども、やっぱり専門家を養成するという博士の概念をやっぱり変えるべきじゃないかなと思います。本当に世の中で新しい道を作っていける人が博士ですよということを明確にするというのが大事だと思っていますし、まさに、今、ちょうどいろんな大学さんで、うちも含めて、卓越大学院プログラムの議論をしていますので、そういう中でやはりそういうところがきっちり評価されるようになれば、大学はやはり変わってくると思います。
 これは鶏と卵なので、なかなかすぐには変わらないですけれども、本当に10年、20年かけても、我々は変えていかないと、本当にこの国の将来がなくなるのではないかと、本当に現場はそういうことを考えています。
 以上、少しコメントをさせていただきました。
【庄田部会長】  何か今のコメントに関して、ありますか。
 松尾審議官、どうぞ。
【松尾審議官】  済みません、高等局でございますけれども、大学の件で、今の佐々木委員からあったように、後者の方の博士課程なんですけれども、やはり大学の現場と企業とがうまくマッチングしないと、それで、博士課程出てなんぼのもんじゃいという、というのが多分あるんだと思います。
 それで、今現在、高等局の方でも、卓越大学院のほかに、例えば全学、本当は全学でこれをやりたいんですけれども、例えば工学教育の改革ということで、まずは一番大きな工学教育の部分を改革すると、この前、レポートを出させていただきまして、30年度の予算にもちょっと入れているんですけれども、例えば教教分離するとか、あるいは、メジャーとサブメジャーにするとか、今、佐々木先生から言われた先生のコピーというんじゃなくて、実際に学んだこと、例えば博士課程、あるいは修士・博士課程になったら、自分で好きなところを選んで、いろんな人から教えてもらうと。
 そして、それは、プログラムは企業と一緒になって作ってもらって、実際現場で役に立つような、今言われたように、やっぱり研究のための研究者というだけではなくて、社会のための研究を博士課程でもやるというような意識を少しずつ変えていくしか多分なくて、ドラスティックに変えると、また現場での混乱であるとかがあるということもあろうかと思うので、そういったことを今やり始めていますので、少し改革が遅いということがあるかもしれませんけれども、そうやって徐々に博士課程の人たちを増やし、そして、それをその方々が社会に出ていくと。
 これが例えば人生100年ということになっていきますと、27歳で博士で行くというだけじゃなくて、もっと上の年代で大学とやり取りをするということになりますと、それはやはりもっとそれがドラスティックにいかないといけないので、そういった改革を今進めておりますので、また御支援いただければ有り難いなと思っております。
【庄田部会長】  高木委員、どうぞ。
【高木委員】  先程ご説明のありましたイノベーション人材の育成は重要なことですが、イノベーション人材というのはどのような人材なのかを整理する必要があると思います。一般にイノベーション人材といいますと、専門知識を持った博士課程の人材というより、むしろその反対の、特定の専門に余りこだわらずに、今までの既存のものではないことを生み出していく人材のことを言うこともあるわけです。
 科学技術基本計画でも、科学技術イノベーションを担う多様な人材の育成が謳われていますが、多様ということは決して曖昧を意味するものではなく、多様性のそれぞれについて、ある程度スキルセットを明確にすべきだと思います。従って育成の方法論も、共通の部分もあるけど、多様性に対応した個別のものもある。もしイノベーション人材育成の議論を深めるのであれば、多様性のうちのどういう人材なのかというスキルセットを明確にして議論する必要があると思います。その上で、イノベーション人材育成のあるべき姿を議論すべきと考えております。
【庄田部会長】  私の方から質問させてください。5から7ページで、国立大学・国立研究開発法人の阻害要因とありますが、私立大学あるいは地方自治体の公的研究開発法人にはこのような阻害要因や制約は余りないという理解でよろしいでしょうか。
【坂本課長】  私立大学については、基本的に母体となる運営主体が目的とするところに入っている範囲内において、こういった活動というのはできるということで、特に制度的な縛りはないというふうに聞いております。 
【庄田部会長】  各地方自治体の公立大学、研究開発法人はいかがですか。
【坂本課長】  そうですね。国立並みの規制が掛かっているかもしれません。ちょっと済みません、今、手元にデータはございません。
【庄田部会長】  わかりました。
 それでは、資料2-2についてはここまでとし、資料2-6の説明をお願いします。
【坂本課長】  資料2-6ですが、研究開発事業における特許関連経費の確保について、先ほど御指摘がございました知財に関わる費用をどう確保していくかというところを、一部動きがございましたので、御説明をさせていただきます。
 表紙をめくっていただきますと、1ページ、2ページは先ほど私の方から御説明しましたガイドラインの説明の資料でございますけれども、2ページ目の中に、これ、確認でございますけれども、概要で、真ん中の方にいろいろ処方箋を簡略化して書かれておりますけれども、知の好循環のところで処方箋としてポツが四つございますけれども、二つ目のポツ、知的財産に係る予算の確保と、それから、管理体制の整備というところですね。特にこの特許については、取得にしても、あるいは、更に維持していくところは非常に費用捻出と財源捻出のところが難しいというところはこのガイドラインのところでも議論されたものでございます。
 そこからでございますけれども、3ページ目でございますけれども、一つは、こういった費用をいかに確保していくかということと、それから、そもそも研究開発プロジェクトにおいてすぐれた成果というものをしっかりと特許にしていくというこの両面から、このプロジェクトのマネジメントの改善ができないかというところについて、我々、政府内でも検討を進めてきております。
 その方向性としては、3ページに書かれておりますけれども、知的財産戦略本部が今年5月に決定をしました知的財産推進計画2017においても、この研究開発プロジェクトのすぐれた成果を国内外で適切に権利化・維持するために、特に事業化を視野に入れるプロジェクトについてですけれども、研究成果である特許の権利化まで、一部、直接経費から支出することも含めて、大学における適切な知的財産予算の確保方策を検討するということが書かれてあるところでございます。
 さらに、4ページをめくっていただきますと、先ほど御説明したオープンイノベーション共創会議の検討結果のまとめの中でも、下線のところにございますけれども、事業化を視野に入れる研究開発事業については、事業成果に基づく有望な知財創出を促進するための特許出願費用の直接経費計上を含めた知財予算の確保というものを研究開発ファンディング改革の中で位置付けるところでございます。こういった方針を受けて、我々は今、ファンディング事業について、改革をこの点について進めようとしております。
 これは5ページに書かせていただいておりますけれども、特にJSTの研究開発事業の中で、今、検討している内容でございます、この赤の枠の中ですけれども、検討内容のところですが、事業化を視野に入れる研究開発事業、具体的に言うと、JSTの未来社会創造事業、A-STEP、それから、センター・オブ・イノベーションプログラム、そのうちA-STEP、センター・オブ・イノベーションプログラムについては産業連携・地域支援課の事業でございまして、後でちょっと御説明いたしますが、新しく出てきました未来社会創造事業というこの研究開発事業、この三つについては、研究の実施期間内に特許権の取得が見込まれる成果に係る特許経費については、事業期間中は直接経費により支弁すると。そのほか、同期間内に特許権取得が見込まれない成果に係る特許経費については、間接経費等を活用して支弁すると。要は、事業期間内に権利化できるものについては、その費用を、基本的にはもうこれ、出願費用になりますけれども、もう直接経費で出せるようにすると。それ以外の経費については従来どおり間接経費で支出することというふうに少し直接経費で特許の費用も支弁ができるようにするということを今考えております。
 これの効果でございますけれども、大学の現場とも議論をしておりまして、6ページをごらんいただきますと、これは一部の大規模な大学でございますけれども、直接アンケートを取った結果、おおむね肯定的な意見であったというところでございます。
 具体的に、じゃあ、どういう効果が見込まれるかというのを、これは最後のページ、7ページでございますけれども、やはり費用ということもあるんですけれども、それよりも何よりも、まず、成果の事業化ということに関して言いますと、特許出願をしっかりと意図した研究開発計画を策定することができるとか、あるいは、研究成果、研究者にとって、発明創出へのモチベーションがやはり向上するといったこの期待される効果、こういったことが現場からも出てきておるというところでございます。
 一方で、懸念される影響ということで、研究開発経費そのものが圧迫されるんじゃないかとか、あるいは、有用性の低い特許がどんどん出てきちゃうんじゃないかとかというところを現場から出てきているところでございますが、こういったところについては、しっかりと、実際に実施される研究者の方にその権利化の重要性、しかも、クオリティーの高い特許を取ることの重要性を認識をしていただく。これを我々としても働き掛けるとともに、実際、クオリティーの高い特許であるかどうかということを判断することを含めて、このファンディング主体であるJSTの、JSTの方にも知財の活用を支援する事業、あるいは、その組織がございますので、そういったところの知財のエキスパートが大学を直接支援すると。自らの事業でございますので、そこの中で生まれてきた成果をいかにクオリティーの高い特許にしていくかというところも踏み込んで、これから支援をさせていただくということで、こういった課題も解決をしていこうというふうに考えております。
 ということで、研究開発事業、まだ一部ではございますけれども、直接経費で特許関連経費を支弁するというふうな形で改革するというところの御報告でございます。
 以上です。
【庄田部会長】  資料2-7も関連しますね。
【坂本課長】  そうです。じゃあ、2-7も併せて。
【庄田部会長】  資料2-7の説明の後、併せて御質問、御意見をいただきます。
【川口専門官】  それでは、2-7について御説明させていただきます。
 先ほど、坂本、竹之内から御説明いたしましたが、ガイドラインやオープンイノベーション共創会議の取りまとめにもございましたように、戦略的かつ柔軟な共同研究等の成果の取扱いに対する要求というのが高まってきているところでございます。
 昨年度、弊省におきましては、調査研究におきまして、柔軟な共同研究等の成果取扱いに資する通称さくらツールなるものを作成いたしましたので、それにつきまして、多少重複があるかもしれませんが、御紹介させていただきます。
 1枚目をごらんください。先ほど、坂本から御説明いたしましたように、昨年の11月30日、産業界から見た大学・研究開発法人が産学連携機能を強化する上での課題とそれに対する処方箋をまとめたガイドラインを策定いたしました。その中で、知財に関する項目といたしまして、知の好循環がございます。
 2枚目をごらんください。知の好循環におきましては、大学の知的財産マネジメントにおいて、企業のオープン・アンド・クローズ戦略等の事業戦略の複雑化、多様化に対応できていないという課題を解決するために、処方箋として、非競争領域の知的財産権を大学等の中核機関に蓄積すること、あるいは、共同研究の成果の取扱いを総合的な視点で検討することなどが上げられております。
 次のスライドをごらんください。更に詳しく見てみますと、具体的には、産学官のパートナーシップを強化して、共同研究の成果取扱いについては、双方の共同研究の目的や状況等に応じて、総合的な視点で検討すること。非競争領域においては、知的財産権を中核的な機関に蓄積させるのみならず、蓄積された知的財産権を他の機関が利用しやすい環境を整えることが上げられている一方、産業界に対して期待される取組といたしまして、共同研究の成果であっても、大学・国立研究開発法人の単独特許とすること、あるいは、共有特許でも、第三者に実施許諾可能とすること等、特許権の積極的な活用、いわゆる事業化につなげていくための方策を検討することが重要であると指摘されているところでございます。
 次のスライドをごらんください。一方、知財に目を向けて、日米大学の特許を比較すると、米国はやはり単願が多いのに対して、文化ともいいますか、日本はどうしても共願が多くなっています。また、米国は中小企業・ベンチャーに委ねられる特許が多いということで、中小・ベンチャー企業等にいくのが63%、ベンチャー企業にいくのが15%もあるのに対して、日本は、中小・ベンチャー企業等にいくのが35%、新規企業・ベンチャー企業にいくのは1%もいっていないという状況でございます。
 次のスライドをごらんください。そのような状況の中で、我が国の共同研究契約について指摘がなされているところでございます。まず、我が国の共同研究というのは、とりあえず研究先行で、知財保有・実施等の合意は後回しになっていることが散見されるという話を伺います。また、研究が始まった後に、共同研究契約のひな形、平成14年に文部科学省が出させていただきましたひな形にかなり近しいものに基づいて、とりあえず共有で契約締結している大学が多く見受けられると。
 実際にその共願の特許がどうなっているかというと、相手先企業と持ち分比率、経費分担等を相談して時間を掛けて処理しているんですが、実際、いざ活用の段階になって第三者へ権利移転したくても、特許法73条の条文の関係で、共有者の同意が必要になるということで、協議による企業との合意は困難で、幅広く活用する機会を逸失している可能性が考えられるところでございます。
 このような共願・共有の使い勝手を更に改善するにはどのような方策が考えられるかというところで、昨年度、調査研究を行わせていただきました。
 海外の事例に目を向けますと、調査研究がございまして、海外においては、研究契約締結時において、将来の活用のときの言い争いをなるべくなくすために、共有特許となることを極力回避しているということで、共同発明や共有特許とする例はまれでございます。また、大学に単独帰属とする場合、企業が独占実施権を得ることになると思うんですが、その場合も、しっかり独占する分野、製品、あるいは、期間、あるいは、マイルストーン契約である程度まで研究が進んだらお金が入るというような様々な工夫を設けて、なるべく実施化が進むような共同研究契約を行っているという状況でございます。
 さらに、日本に法体系が近い英国の例におきましては、ランバートツールキットなるものが作成されておりまして、こちらは、当事者合意が困難になるため、成果共有は極力回避して、どちらかの単独保有に寄せるという考え方で、2003年のランバート報告にまとめられており、それに基づいて、指針や契約モデル等を公開したものでございます。
 それに基づきまして、昨年度、日本版支援ツール、通称、さくらツールなるものを策定させていただきました。目的といたしましては、考え方の整理と選択肢の提供ということで、釈迦に説法かもしれませんが、契約は、事業の目的、狙いを共有して、その実現のための枠組みを合意するものでございます。知財の権利帰属や実施許諾は多くのマネジメント要素の中のほんの一つでしかないので、可能な限り、単独保有の形態とする等、シンプルな保有形態を目指しつつ、共有の形態とする場合においても、企業側の独占意向や大学側がベンチャー等の活用をしたいかどうかを勘案しながら、実施の在り方について柔軟に判断していくことが重要であろうということで、モデル契約書とその選択のための考え方を提示させていただいているところでございます。
 次のスライドをごらんください。現状と課題、海外の状況については、先ほど御説明させていただいたとおりで、やはりキーとなるのは、取りあえず共有から成果活用主義への転換を図っていこうというところでございます。そのために、大学と企業の2当事者間で締結される共同研究契約について、11類型のモデル契約書と、それを選択するための考慮要素なるものを提示させていただいております。
 最後のスライドになります。基本的な考えといたしましては、研究成果である知財の活用については、可能な限り、広い範囲で活用がなされるよう、その取扱いの柔軟性を第一に考えるべきだということ。知的財産がいずれかの当事者に帰属したとしても、大学は将来の研究の可能性を制限されないこと。全ての知財は、実用化に向けて適切な努力がなされるべきであること。原則として合意された期間内に学術的公表がなされることでございます。
 何度も繰り返しになりますが、このさくらツールで提供されるモデルの各類型というのはあくまで交渉の出発点で、最終的な取決めは個別事情に応じてというところでございますので、戦略的かつ柔軟な共同研究契約を促すものという位置付けでございます。
 最後になりますが、平成28年度にモデルを作成いたしまして、今年度、平成29年度の調査研究におきましては、これを改善していこうということを検討中でございます。
 是非御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【庄田部会長】  資料2-6、2-7を併せて説明いただきました。
 後藤委員、どうぞ。
【後藤委員】  先ほど、須藤委員からも御指摘があった知財の予算の件ですけれども、今、坂本課長から御説明がありましたように、穴を開けていただいた、直接経費から出せるように穴を開けていただいた。非常にすばらしいことだと思います。
 ただし、まず、JSTのこのA-STEP、COI、それから、未来社会創造事業ということでございますけど、どうしてもJSTの仕事をやっておりますと、現場としては、すぐれた特許ができるのは、このA-STEPとかCOIもありますけれども、基礎研究のCRESTとかERATOからも出ているわけですね。特に特許収入が大きいものはそういったところから出ておりますし、ベンチャーが生まれている基になった研究はどこでやっているかといいますと、やっぱりERATOとかCRESTが多いんですね。
 したがいまして、この産地課さんの所掌範囲にこだわらずに、全体、JSTについても全体、それから、AMEDや科研費も含めて、同じような考え方を導入していただくのがいいんじゃないかと。現場からサイドからはそうです。
 科研費も、科研費は違うんじゃないかという御指摘があるかもしれませんけれども、では、すぐれた上位引用数の1%から10%の論文がどこのファンディングで出され、書かれているかと調べると、科研費とJSTの資金とほとんど重なって、6割ぐらい重なっているんですね。だから、JSTだから、科研費だからという区分は恐らくないんだと思いますので、是非これ、全体に広げていただくような御検討をお願いしたいと思います。
【庄田部会長】  菅委員、どうぞ。
【菅委員】  東大の菅です。まず、2点だけ。
 先ほど、直接経費から特許使用権というか、そのお金を出せるというのは確かにいい部分はあるんですけれども、本来はやっぱり間接経費で出すべきものなはずなんですね。特許というのは、ある研究費からぽっと出てくるものではなくて、実は結構長い息の中で、いろんな研究費が混じりながら最終的に出てくるものがはるかに多いので、本来は直接経費で出すのは多分趣旨に合っていないはずなんです。
 やはり間接経費を大学が取るときに、例えばCRESTだったら、あるいは、ERATOだったら、これだけの予算は間接経費の中から、もし特許が出るときは、出さないといけませんよというプールができるように最初からしてしまわないと、多分非常に難しい議論になると。要は、直接経費で出すということは研究費を削って出すということなので、若干本末転倒かなという気もしないでもないです。だから、そこは間接経費をどう取り扱うかというところをはっきり決めた上で、そういうシステムをこれからもっと積極的に入れていくというのはありかなと思います。
 それから、さくらツールですけれども、これ、よく分かるんですが、私の実は経験から言うと、共願にしたいというのは企業側の実は言い分で、企業側としては、できるだけ安くその特許を手に入れたいという思惑がちらちらするのが実際です。私もそういう経験、何度もしました。
 本来は、特許というのは、考え付いた人が持つものです。金を出した、あるいは、実験をしたという人は特許を持つ権利を持ちません。だから、本来は大学の中で、もし、企業からお金が来て研究をするということになると、本来はその知財なりは大学に帰属するというのが私は根本的なところだと思うんですね。
 それを今まで日本の企業は、こんな日本の企業の悪口を言ってもしようがないですけれども、金を出して一緒にちょっと関わっていれば、それは企業と共願にすべきであるという考え方の下でずっとやってきたというのが本来の間違った考え方ではないかなというふうに思います。
 ですので、今後、こういうさくらツールをやるときは、やはりかなり企業の方に譲歩してもらう必要がある。経団連に譲歩してもらう必要がある。そういうところを徹底してやらないと、結局は大学の方に帰属しないという、完全には帰属しないということから逃れられないような気がするんですよ。ツールを作っても、多分、企業側が譲歩しない限りは、企業側の考え方が変わらない限りはそうは起きないということになると思います。
 アメリカの企業とかヨーロッパの企業なんかともお付合いありますけれども、彼らは余り共願を、もちろん先ほど話出ていましたけど、面倒くさいのでしたくないです。むしろ、大学の方で全部取ってもらって、それをライセンスしてもらう方がはるかに楽でお金もきれいに払い込めるということで動く場合が多いので、やはり日本の企業側のある程度の変化というのもここで非常に重要になってくるんだろうなというふうに思います。
 以上です。
【庄田部会長】  梶原委員、どうぞ。
【梶原委員】  済みません最初の2-6について、先ほど、須藤委員からご確認された出願、登録の費用についての話は見えましたが、維持費についてのコメントがこの中に入っていないですが、維持費についてはここでは間接経費という御認識ということをおっしゃっているのですね。
【坂本課長】  そうです。
【梶原委員】  分かりました。
 それで、先ほど、産業界に変わってもらう必要があるという話がございましたが、私、産業界として、大学との共同開発を見ておりますと、結局、企業側が何を思うかと言うと、先行で投資をしていると、先ほど金を払っているのにという話がありましたけれども、先行で何らかの投資をしている形になるので、普通に大学側が単独で保有されてしまうと、結局、後から来る人にある意味ただ乗りされてしまう、同じ条件になってしまうのではないかというのが一番気にするところです。先行で先に出すところのメリット、そこのところをどう考えるかということを、そのプロジェクトを進める上で、お互いの目的意識が合えば、さくらツールをうまく使っていくのかなという気がします。余りにも類型が多いので、これは交渉する方もなかなか大変かとは思います。
 一方で、企業側は共同開発するとなると、企業側のひな形があるわけです。それこそ、類型によって、どういうパターンになるかによって。そことの整合性、企業側に全部忘れてもらえということなのか、さくらツールが唯一ということなのか。実際運用するに当たっては、先ほど冒頭で、ガイドラインをどのように運用されて、どんな反応がありますかという質問と関連しますが、お互いの理解が必要と思って、少しコメントさせていただきました。
【庄田部会長】  佐々木委員、どうぞ。
【佐々木委員】  まず、冒頭申し上げたいのは、現場の研究者として実は一番困っていたのが特許の関係の費用を出すというのが一番やっぱり我々、すごく苦労していました。ですから、こういう形で直接経費で出せるようになるというのは本当に非常に有り難いなと思いますので、これを是非やっていただきたいと思います。
 その中で、先ほど後藤委員の方からお話がありましたけれども、ちょうどうちはたまたまCOIをやっていたりして特別扱いをしていただいているんですけれども、やっぱり基本的なアイデアの一番根っこの基本特許的なものは意外に科研費とかそういう自由な発想から出てくるところが多いので、是非、COIとかA-STEPに限定せずに、やっぱり科研費で直接経費で出せるように最後はしていただけると、本当に大学は変わるかなと思いますので、これは時間が掛かると思いますけど、是非お願いしたいと思います。
 それから、先ほど、前の委員の方のお話があって、出願費用はそうなんですけれども、維持費は間接経費だということでちょっとがっかりしたんですけれども、実は、間接経費って研究者が自由に使えればいいんですけれども、半分は大体本部がピンはねして、部局もピンはねして、ほとんど研究者に来ないんですよね。ですから、やっぱり維持費って、実はそんなに費用が掛かるわけじゃないので、やっぱり直接経費でその事業の間だけは、例えば維持費、本当に数万円ぐらいの維持費だと思いますので、やっぱりそこも出せるようにしていただくように御尽力いただけると、本当に変わってくると思います。
 最後の最後は、二つ目のお話で、共願が多いというのは、実は私も産学連携の本部に入って初めて気付いたんですけれども、産学連携本部にいると、それぞれの特許が本当に大学として承継する価値があるかというのは判断しようがないんですよね、余りに大学って分野が広くて。
 ですから、えてして、企業さんがお金払うんだったら、それは企業さんが価値を認めてくれるから、それでは、大学も、認めましょうという流れになって、結構共願が多くなっています。ですので、研究費から、特に直接経費から出せるようにすれば、先生方もこれが本当に大事だと思ったら、自分の研究費を削ってでも特許を出しますし、それを維持しようとします。そうすると、おのずとそのような単独の特許はどんどん増えていって、大学に自由度が出てきます。実はこの二つ話は本当にリンクしていまして、やはり特許費用をできるだけ直接経費でいろいろな研究費から出せるようにするという一番根っこのところを是非推進していただけると、どんどん変わってくるかなと思います。
 以上です。
【庄田部会長】  須藤委員、どうぞ。
【須藤委員】  どこから話していいか分からないんですけれども。まず、菅委員から言われたことは、産業界が何でもかんでも共願にしろとは言ってないと思うんです。
【菅委員】  それは分かっています。
【須藤委員】  私も全ては知らないんですけど、産業界の方で一緒にアイデアを出したりしているはずなんです、共同研究なので。そこから出てきたのはやはり基本は、産学連携だろうと、産業界の中だけであろうと、やっぱり共願だと思うんですよね。
 そうじゃなければ、お金出しただけだったら、そんなに名前入れろって言わないような気もするんですけど。
【菅委員】  ちょっと反論していいですか。
【須藤委員】  ただ、これ、業種によって違うのかな。
【菅委員】  ちょっと反論していいですか。確かに業種が違うというのは一つある。
【須藤委員】  業種だと思うんですね。
【菅委員】  あと、もう一つ、どこでそれをやったかというのはとても重要で、確かに契約をするときはアイデアも出します。ですが、結果的にやった場所というのが最大の知財の産出した場所になるはずなんですよ。だから、契約です。契約を緩くやってしまっているから、先ほど、さっき心配にあった自分のところに来ないんじゃないかという問題も来るわけですね。
 だから、契約さえきっちりとやれば、さくらツールのいいところは、その契約をきっちりしましょうというところが僕はすごくいいと思うんですね。だから、契約をしっかりすれば、必ずその企業にメリットが行く契約ができるはずなんですよ。
 それを今後開発していくときには、ちゃんと相手に渡して、それを開発してもらうというのがこれは筋だと思うので、もちろんお金出して、いやいや、ほかの企業でやりますよなんていうのはもともと契約がおかしいということですね。それができてしまう契約を作ること自体がかなり問題があると。そこはしっかりやれば、私は問題ないと思います。
【須藤委員】  全くそのとおりで、それで、さくらツールをちゃんとやりましょうということで進んできたわけですよね。これは産業界からも言っているので、そこの議論をちゃんと詰めていけば、解決する問題だと思うんですよ。決して金払ったから全部入れろなんていうことは言うはずないんで、これは議論を進めた方がいいと思います。
 それから、もう一つは、権利化までの話ばっかりしていて直接経費だ何だというんですけど、結構問題が出てくるのはその後の維持している期間ですよね。そこに対してどうするかって議論を抜きにして、権利化までだけで、直接経費だとか言うのではなく、最後まで一連の流れで見ていかないと、この問題は解決しないんじゃないかなと思うんですよね。
 企業が維持までお金は払うべきものは払うと思うんですよ。そうだとしたら、先ほどの話にまた戻りますが、どこまで共願になるかという問題になります。維持して、どこで放棄するのもあり、そこまでの期間を一気通貫で考えて、そのときの費用をどうするかという議論をしていかないといけないと思います。時間がなかったので取りあえず権利化までではだめで、維持するところまで見ていく必要があります。その際企業は、どんどん放棄していきますからね。特許をいっぱい出しても、要らないと思ったらどんどん切っていきます。反面多分、大学の先生はじっと持っているんだと思います。
 そういったことまでシステムとして変えていかないといけないんで、是非これは権利化から維持して、最後に放棄するところまでを一貫で考えなきゃいけないと思います。
【庄田部会長】  坂本課長、お願いします。
【坂本課長】  ありがとうございます。最後に須藤委員の方で非常にうまくまとめていただきましたけど、そこまでやらないと、この議論は、はっきり言うと完結させるのは相当難しいです。でも、それが我々、スコープ全体に入っていることは間違いないので、これは引き続き議論をしっかりと、こういう形で一部でもできることはやっていくということを重ねながら、ソリューションは作っていきたいと思います。
 ただ、やっぱりそこで問題になるのが、先ほど菅委員の方から、結局、契約の仕方というのはこれ、我々も、もっと言い方を変えると、大学の知財マネジメントをめぐる事情と能力、これの問題にやっぱり帰着するというところが相当大きいと思っています。
 確かにアメリカの場合、その場所を、権利化するときのその場所の、考え方に場所がすごく大きな要素を占めているってすごくあるんですけれども、今お話が須藤委員からあったように、コストの問題もあります。要は維持費をどうやって捻出するかといったときのそのコストとメリットのバランスというのを考えたときに、共有にせざるを得ないというところも実態としてあると思います。
 そういったところを考えるならば、やはりいかに、公的資金で出てきた成果について、国費をできる限り、間接経費だけじゃなくて、直接経費まで、ある意味、広げた形になっているんですね。余り割合は大きくないんですけど。でも、それだけではなくて、いかに大学の中で資金を回していくかということですね。これも非常に重要になると。
 その資金を回すという意味は、なかなかバイラテラルの協力の中で、その資金を回すというのは難しいんですけれども、多数の、要は研究コンソーシアムのような形で、知財は結構コスト、外国出願まで考えると、すごく掛かってきますから、そういったものをいかに分担してコストを負担していただくような枠組みを大学側がら作れるか。要は、コンソーシアムの中で例えば知財の費用を捻出すると。その中で、その契約で先行者利益も確保して、その費用に見合った、そういう契約を大学側が作っていけるかというところがポイントだと思っています。
 したがって、さっきの非競争領域の知財の蓄積だとか、あるいは、さくらツールとかって、そこら辺はやっぱり絡んできていて、コストの回収のメカニズムも含めて、仕組みを作っていくということを是非やらせていただきたいというふうに思っています。
【庄田部会長】  さらにいろいろ御質問、御意見もあろうかと思いますが、進行の関係で、議題(3)に移らせていただきます。
 平成30年度の概算要求の状況の説明をお願いします。
【坂本課長】  私の方から、平成30年度の概算要求の状況について御説明させていただきたいと思います。
 この資料3と、もう一つ、参考資料3というものがございます。「産学官連携・地域科学技術施策の全体像」というものと併せてちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
 我々の施策、今回初めて部会に御参画いただく委員の方もおられますので、この参考3の方から御説明をさせていただきたいと思うんですが、一口に産学連携といいましても、やはりいろんな側面がございます。この全体像については、第5期、現行の科学技術基本計画の体系、具体的に言うと、この産学連携に関して五つの柱がこの基本計画で立っているわけですけれども、その柱ごとに、どういう施策が位置付けられるかということを整理をしております。
 簡単に御説明しますと、まず、2ページ目ですけれども、2ページ目については、企業、大学、公的研究機関における推進体制、これはマネジメント体制と言い換えてもいいかと思いますけれども、の強化というところでございます。
 今、我々が進めておりますのは、左にございますけれども、リスクマネジメント、あるいは、知財、先ほどのガイドラインの関係でいうと、知の好循環のところのマネジメントについては、我々は引き続き支援をしております。この前には、委員の皆様、御存じのとおり、我々、産学連携の体制、あるいは、知財本部、そういった体制の支援もずっとしてきておりましたけれども、今はこういった形になっております。
 新規施策として、先ほどオープンイノベーション機構の御説明を簡単にいたしました。後でまたちょっと御説明いたしますけれども、大学内でこれ、一言で言うと、民間資金を回して研究開発を実施していくと、その仕組みをどう作るかと。もう言うまでもなく、より高次元のマネジメントが必要になりますので、そういったところの体制整備というところにこのオープンイノベーション機構というのは乗り込んでいくということになります。
 次、3ページでございますけれども、人材、知、資金が結集する「場」の形成というところでございます。これは活動を走らせる場ということでございますけれども、これについては2軸で整理をしておりますけれども、縦軸が競争領域に入っていく場合、非競争領域が主なのかと。左側がそのプレーヤーの多様性ですね。バイラテラルからマルチラテラルへというふうな仕組み、整理にしておりますけれども、従来、先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムというのを、これは個別の企業さんとの間で大型の共同研究を行う、そのリソースでも事業化のリソースというのは企業側からしっかり提供していただくというふうなことをプロジェクトとしてやっておりましたけれども、これはもう今、終わりつつあります。
 新たに立ち上げてきていますのはこのセンター・オブ・イノベーションプログラムということで、産学官の資金のリソースを持ち寄るというところでは同じなんですけれども、プランニングのところで、将来の社会的課題、あるいは、社会像というものを見越した研究計画を策定ということを新しいプランニングの方法などを入れております。後でちょっと御説明いたしますが。
 あと、右の方に参りますけれども、今度はプレーヤーが多様になってくると、マルチラテラルの協力の関係でいうと、非競争領域では、産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム、先ほど、ガイドラインとかに出てきておりますけれども、こういった領域での基礎研究、人材育成に民間資金の導入を図っていくというふうなプログラムがここに位置付けられます。
 あと、もう一つ、右側で、世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラムというのがございますけれども、これは個々の大学、あるいは、研究所というレベルを超えて、大学、研究所、企業の集積が常に起こっている地域、その地域において、連続的にイノベーション、あるいは、新事業創出を起こしていくソフトとハードの両方のインフラを整備するということで、これは全国で3地域、川崎の殿町と、それから、けいはんな、あと、神戸、この3地域で今、プロジェクトを進めておりますけれども、こういった形で、幾つかのレイヤでその場の形成というものを進めているということでございます。
 4ページでございますけれども、4ページがベンチャー、起業家育成関係です。起業家育成については、次世代アントレプレナー育成事業ということで、各地の大学の起業家育成プログラムの支援を行っているということ、あと、ベンチャーの立上げについては、起業前の支援というものを、大学発新産業創出プログラム、STARTというので行っております。
 さらに、この右側ですけれども、これは出資型の新事業創出プログラムということで、先ほど、共創会議の御説明の中で、JSTは金銭出資が可能であると、その制度がこれでございます。シード段階のベンチャー企業に対して出資をすると。ただ、額は非常に少なくて、予算、全体で25億円なんですけれども、それを少しずつ出資をしているわけでございますが、民間投資の呼び水として、少額の投資ですけれども、一番アーリーなところを投資をしていくというふうな制度を持っております。
 あと、5ページ目ですが、シーズの社会実装、知的財産の活用促進ということでございますけれども、基礎研究、大学で行われる基礎研究の成果を知財化していくと、その活用を促すという意味では、このJSTの知財活用支援事業ということで、外国出願の支援でありますとか、これ、コストが非常に掛かりますので、そういった費用を負担するということと、あと、大学の知財マネジメントの高度化を支援すると、これは人材の育成も含めてですが、そういったことを今、JSTは進めているところでございます。
 あと、個別技術シーズの事業化を非常に、技術をシーズを育成していくところから、実際に事業化に近い段階まで、これは企業側で中心になってもらいますけれども、そういった活動をそれぞれの段階において支援していくのが研究成果最適展開支援プログラム、A-STEPということでございます。
 最後、五つ目の柱ですけれども、「地方創生」に資するイノベーションシステムの構築というところにつきましては、これも2軸を使って整理しておりますけれども、この横の軸は、左側が仕組み作りに重点を置かれているのか、あるいは、事業化のプロジェクト、活動そのものを支援するのかということですね。これは右でございますが、上と下は支援の形態がハンズオンなのかハンズオフなのかということでございますけれども、従来、地域イノベーションという文脈で行っていた事業はこの地域イノベーション戦略支援プログラムというものでございますが、この核となる研究者であるとか、あるいは、コーディネーターの配置によって、研究シーズ、技術シーズを生み出す、あるいは、事業化を促進するそういうシステムの整備を議論、支援をさせていただいておりました。
 今、重点をおいておりますのは、このもう一つの方の地域イノベーション・エコシステム形成プログラムでございまして、これは後でちょっと簡単に御説明しますけれども、地域の産学官金の連携の中で、事業化を促進するその事業化に集中して、そういった連携チームの活動を直接支援する。文部科学省もそういった事業の立上げに係るエキスパート、あるいは、特許事務所、市場調査会社といったツールを使って、それぞれの事業計画、ビジネスプランというものを評価いたしまして、フィードバックをどんどん現場に掛けていくというふうなハンズオン支援型の事業を立ち上げているというところでございます。
 こういった各いろんな切り口において、我々は施策を展開しておりますけれども、平成30年度概算要求においてはどういうところがポイントかというところを簡単に御説明させていただきます。
 今、我々は、先ほどちょっと五つの柱を第5期基本計画に基づくものとして御説明しましたけれども、今、我々は最近の議論の分野で、今、四つの軸ということで説明しております。資料3の方です。
 2ページでございますけれども、一つ目が民間投資の導入拡大によるオープンイノベーションの加速、二つ目が革新的研究成果による本格的産学官連携の推進、三つ目がベンチャー・エコシステムの形成、四つ目が地方創生の関係ですね。大きく主要施策として七つ上げておりますが、これらのポイントだけちょっと御説明をさせていただきます。
 3ページをごらんいただければと思います。3ページですが、これはオープンイノベーション促進システムの整備ということでございますが、先ほど共創会議のところで御説明をいたしましたそのオープンイノベーション機構、今、企業と大学との間の連携がどんどん進化をしておると、大型化をしておるということでございますけれども、これは我々、大学の一緒に分析しておりますのは、これまで小規模であったというのは、先ほど申し上げました企業と、それから、企業の研究開発モード、大学が技術シーズを企業側に取り入れると、そういったときの協力というところから、製品のプロトタイプ、あるいは、製造技術の開発、さらには、実際の最終組立て、事業を作るところまで、どんどん輻輳的に連携が進みつつあるというふうに我々は分析をしております。
 そうなってきますと、当然、企業側の競争領域の活動に大学側が組み込まれると、その活動の受け皿になるというふうな機能が必要とされますので、そういったマネジメントが可能となるような体制を大学の中に作っていただくと。具体的に我々はクリエイティブ・マネージャーという言葉でこのマネジメント体制の構成員を表現しておりますけれども、ここに書かれてあるような、ある意味、企業経営的な研究プロジェクト管理をできる、そういう組織というものを大学に作るということで、オープンイノベーション機構の整備という予算項目を新規に立てております。21億という要求でございますけれども、これは、年間2億円の支援を10大学にするという概算要求でございます。これは5年間、集中的に支援をするということを今、要求の内容に入れております。
 ただ、これ、大学の中に競争領域に重点を置いたプロジェクト管理組織だけを埋め込むというのは非常に難しいと。これが大学の教育研究と密接に連携する形で入るからこそ、大学に定着をすると我々は考えておりまして、したがって、この下にございますが、競争領域に移行する前段階としての非競争領域の基礎研究、あるいは、人材育成を行うコンソーシアムの形成とこれをセットで、大学に作っていただくというふうな要求内容にしております。この非競争領域の方は、年間1億円で同じく10大学ということで10億円の要求ということでございます。
 次、4ページは詳しい内容でございますが、これは飛ばします。
 あと、5ページ、6ページも、このオープンイノベーション機構で想定、我々が想定をしております組織構造、それから、あと、人材像ですね、マネジャーの、そういったものを書いておりますが、一つだけ、5ページを見ていただくと、いわゆる産連本部とどう違うのかというところは、これは産連本部では様々な形でライセンスであるとか共同研究のマッチングであるとか、いわゆる外部とのリエゾン機能は確かに成長してきております。
 しかしながら、それと実際に企業から資金を導入して大型プロジェクトを管理するという、そこまでの能力は今、産連本部にはございませんので、そのプロジェクトを管理する機能を加えて、新しい受け皿を作るというところを我々は今、概算要求に入れさせていただいているというところでございます。
 次、7ページでございますけれども、オープンイノベーション機構と対で御説明しました産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム、OPERAでございますけれども、この非競争領域での研究コンソーシアム、ここで基礎研究と人材育成を共同でやると、民間と、というところについては、これだけで単独で行う、行いたいという大学も今、全国、相当増えております。
 したがいまして、このOPERAは是非拡充していきたいと思っているんですが、ただ、今、我々、これまで2年、実施をしてきておりましたけれども、そこで教訓が出てきておりますのは、この事業の要件として、今、年間1億円の民間資金を、1億円以上の民間資金を集めると。標準タイプは1.5億円を想定しておりますけれども、例えば1,000万レベルのものを10件、年間走らせるというふうなコンソーシアムを形成していただくことを申請時点でもう提案していただきます。企業からのコミットメントも得ていただきます。
 しかしながら、この申請段階で、採択される前に、1,000万レベルのものを10件、要は例えば10社、コミットメントを引き出すのは非常に大学としてはハードルが高いということで、それを乗り越えてでも申請してきていただいている大学は今あるんですけれども、せっかくそこまでたどり着いて、残念ながら競争で一旦それが不採択になったというときに、我々としては、ブラッシュアップをしてもう一度再チャレンジとかしていただきたいんですけれども、その再チャレンジが余りに最初のハードルが高くて、信頼関係にある意味、不採択になったことでひびが入って、再チャレンジができなくなっている状況が今生じているということで、もうちょっと早く、参入のバリアを下げて活動を立ち上げられないかということで、最初の2年間はフィージビリティスタディ、具体的に言いますと、今、標準モデル1億5,000万程度、1億円以上という要件を、例えば年間2,500万円ぐらいで最初の2年間、立ち上げていただいて、その間に、フルスケールまで持っていけるかどうか、企業側のコミットメントも得られるかどうかというのを我々も評価をしてから、それで、フルスケールに上がれるようであれば、3年目からフルスケールになると。そこから4年間やるという2段階の審査プロセスというものを踏んで作っていくということを、今、概算要求に入れているところでございます。
 この28年度から始めたということで、4コンソーシアムですね、8ページに書かれておりますけれども、先ほど御質問があったところで簡単に答えましたけれども、このそれぞれのプログラムの中で、制度改革は今、どんどん進められておりますので、我々はこの共同研究費の支出ということでありますけれども、制度改革の呼び水としても、このプログラムは是非今後も使っていきたいというふうに思っております。
 次、9ページですけれども、センター・オブ・イノベーションプログラムにつきましては、これは各地で、今、18拠点をプロジェクトを支援させていただいておりますけれども、マネジメントとして大きく二つの新しい要素を持ち込んでおります。
 一つは、10年間、この事業概要のところに書いてございますけれども、10年後の日本が目指すべき姿、これは社会的課題であり、あるいは、目標とすべきシステムと、そういったものを構想して、それを起点としてキーテクノロジーを同定していく、あるいは、その研究開発課題、計画に落とし込んでいくというこのバックキャスト型のプランニングをすると。そういったプランニングの結果として、企業側も当然、その計画の価値を認めると。そうであるならば、大学でアンダーワンルーフで大型の研究チームを作っていただくと、リソースを企業から持ち込んでいただくという、こういうマネジメントの現場でのマネジメントを行っているというところでございます。
 もう一つは、ガバナンスの体制でございまして、下に革新的なマネジメント体制と書いておりますけれども、この各現場で、当然、その計画が作られて実施するわけですけれども、常にその出てきた成果を新しいものも含めて事業化していくというところを強力に誘導する仕組みとして、ビジョナリーチームということで、これはビジョンを三つに分けて、18テーマ、これ、それぞれカテゴリーを作っておりますけれども、それぞれのこのビジョンについて、ビジョナリーチームを企業経験者、産業界の第一線で活躍された有識者を中心としたチームに、サイトビジット、あるいは、インタビューをもう日常的に行っていただいて、常にその計画を修正することも含めて、あるいは、もう芽のないものはどんどん落としていく、そういったPDCAサイクルを回すことを積極的に行っていく。ある意味、これは研究プロジェクトのハンズオン支援と言っていいと思いますけれども、それぐらいのマネジメント、強力なマネジメントを行っているというところでございます。
 次、10ページでございますが、これは個別シーズの実用化を段階的に支援していくというものでございますけれども、新しいところは、この右側の表に赤枠をしておりますけれども、今、概念実証といいますか、プルーフ・オブ・コンセプトまでしっかりと研究成果を成熟させるというところが重要視されておりますので、そのプルーフ・オブ・コンセプト、ある試作品を作るのか、あるいは、データをきちっと出していくのか、そういったところについてまとまった資金を出す、1,000万円程度ですが、そういったメニューを追加することを要求の中に入れております。
 次でございますが、11ページ、大学発新産業創出プログラム、STARTでございますが、これはベンチャーの起業前支援ということで、事業プロモーターと書いておりますけれども、これは投資家です。ベンチャーキャピタリストですね。そういった方に御協力いただきまして、大学のすぐれたシーズを事業化の観点から審査していただいて、そのシーズを選んだ後、ビジネスモデルの構築、デューデリジェンス、あるいは、プロトタイピングというものの経費を文科省が支援させていただくと。その過程において、経営人材も確保して経営チームを作るということで、成功確率の高いビジネスプラン、あるいは、マネジメント体制というものを作っていただいて、実際、起業していただくというふうな支援をさせていただいております。
 あと、最近重視しておりますのは、基礎研究の成果を事業化するということで、ベンチャーにつなぎ込むということで、一番下のところに書いてございますけれども、STARTの前段階として、500万円程度の資金で予備的なビジネスモデルの作成、あるいは、右側のバイヤー・オブ・プロダクトの開発といったものをしていただくという支援を今年から始めております。こういったところを拡充していきたいというふうに考えております。
 12ページは次世代アントレプレナー育成事業でございますけれども、全国約30大学の全国ネットワーク、これ、13ページに書いておりますけれども、起業家育成のプログラムを展開していただくことをこれから支援させていただきますが、平成28年度に終了いたしましたEDGEプログラム、年間3,000人の受講者が出ております。これを更に拡大していくということで、その層を厚くしていく、そして、さらに、上級者コース、起業に行く直前までのレベルを高めていく、この両方を追求したプログラムを各地で展開していくことにしております。
 最後、14ページでございますけれども、地域イノベーション・エコシステム形成プログラム、これにつきましては、先ほど申し上げましたが、大学が持つすぐれたシーズを起点として、産学官金の関係者が、様々な専門分野の方々を集めて、事業化を実施していくと。これ、事業プロデュースチームと呼んでいますけれども、これを主に、特に大学と自治体との協力で編成していただくと。そこの事業化のための活動を、研究開発もそうですし、あるいは、事業化のための様々な活動を支援させていただくプロジェクトでございます。
 それに加えて、文科省としても、先ほど申し上げましたようなハンズオン支援をするということで、事業化の、というか、成功確率を高めていくための努力を高度化していくということを我々は進めております。
 各地域、大体1億5,000万程度の支援を年間、しておりますけれども、28年度からスタートして、29年度を併せて、今、14地域、支援しておりますけれども、これをできれば倍増したいということで、そういった要求内容になっているところでございます。
 私からの説明は以上です。
【庄田部会長】  平成30年度の概算要求、ならびに文部科学省における産業連携・地域科学技術施策の全体像について説明いただきました。
 佐々木委員、どうぞ。
【佐々木委員】  九大の佐々木です。今日のガイドラインもそうでしたし、この予算もそうですし、本当に国の方が大学を活性化するために、これだけ御尽力されているということで、ただ、ただ本当に敬服しますということを、まず冒頭発言させていただきます。こういう形で大学がどんどん活性化していくと、日本全体、そして、地域の活性化にもつながると思います。
 一つだけ、この場で是非発言させていただきたいのは、こういう形で民間の資金も国の資金も大学に入って、それはすばらしいことなのですけれども、今、大学の現場でやっぱり一番課題になっているのは、こういうようないろんなチャンスとか資金があって、しかし、それを使っていろんな成果を出す人がやっぱり一番弱くなっているというのが一番根底にあります。
 運営費交付金が減らされてきて、教員が減ってきて、アクティビティが高い研究拠点というのは実はいろんな形で研究員として雇っています。URAだったり、研究支援者だったり、事務の支援者だったり、任期付きの研究者だったりするんですけれども、実は今、研究現場でどういうことになっているかというと、5年の任期の期限がちょうど今年度末に来ます。ですから、事務的な支援者の方は、残念ながら、大学にお雇いする予算はあるのですが、雇止めせざるを得ない状況です。
 まだ、事務的な支援はいろんな方ができるというのはあるのですが、やっぱりこれから現場で非常に切迫してくるのは、5年後には実は任期付き研究者の任期も、もう延長できなくなるということがあります。是非、これをどうにかしてほしいというのが、現場で一番深刻な課題だと思っています。
 他方、研究者も一労働者ですので、ある程度仕事をしたら、当然、パーマネントになるべきですし、それは大学のマネジメントを良くするということで、本来、解決すべきことなのですが、他方、大学というのは普通の企業さんとはやっぱり本質的に違います。すばらしい先生が来て、その人がわっとプロジェクトを立ち上げて、その人が定年になったらまた新しい人が来て新しいものを立ち上げるという、そういう日本の中で人材が流動するハブであるべきです。ですので、何年か勤めて、それであとは定年までその人がずっといれるということになると、逆に、今度は、人材の流動性を下げてしまうことになります。
 ですので、是非、研究開発強化を考える中で、10年という期限をやっぱり少し弾力化していただければ、本当にこういうことを積極的にできるようになりますので、それは中長期的な課題だと思いますけど、それも併せて検討していただければと思います。現場からの意見として発言させていただきました。
 以上です。
【庄田部会長】  栗原委員、どうぞ。
【栗原部会長代理】  いろいろな施策を御説明いただきまして、いろいろとバリエーションがあることを感じたんですけれども、一方で、大学や研究法人では制度を理解しているのかもしれませんが、企業側から見ると、分かりづらいし、かつ、何か利用しようと思ったときに各制度の枠組みにより足かせが生まれないよう、余り細分化して使い勝手の悪い制度が多数あったり、あるいは、何か大学等の側の視点だけでの縦割りの制度にならないように、今後これらをブラッシュアップしていっていただきたいと思います。これが1点目です。
 それから、2点目に、今日の議論は、どちらかというと大企業をイメージしていたようにも思えるのですが、日本の課題の中に、中小企業との連携が少ないというものがありました。それから、地域でのR&Dを進めるということも大変重要で、産業は一企業だけで成り立っているわけではなく、ある地域に中小企業まで含めた集積があって、初めてそのサプライチェーンから生まれてくるという構造にあるので、是非、大学、各地方の大学もそうですが、そういう大学や研究所、それからその地域に集積する企業、これは大企業や中小企業を含めてですが、地域連携を進めて頂きたい。場合によっては、自治体の予算ですとか、商工会議所の取組ですとか、そういう連携も含めてビジネスモデルのようなものを作り、強くなるという構造が発信できると良いと思います。
【庄田部会長】  岡島委員、どうぞ。
【岡島委員】  いろいろな施策があるなと、私も同じ意見なんですけれども、本当に自分の、産学連携をやっているベンチャーの自分の観点からいうと、こういうプログラムを使おうと思ったときに、いろいろな膨大な資料が必要で、それの審査に半年掛かってというスピード感でやられてしまうと、ベンチャーはもう本当に1週間先が読めないぐらいのスピードで動いているので、例えばもう少しベンチャーと大学が使いやすいようなスピード感のあるシステムとかができると、もう少し面白い取組ができるのかなと感じました。
 以上です。
【庄田部会長】  須藤委員、どうぞ。
【須藤委員】  この参考資料3は、きちんとまとめて話していただいて、私の中で頭がもやもやしているのが結構うまく整理できているかなと思います。今まで余り見せていただいてなかったので、非常に分かりやすくなったと思います。
 企業側がどのプログラムに入ったらいいかと迷うんじゃないかという意見が実際あります。これに関して、私が弁解してもしようがないんですけど、坂本さんは経団連とかCOCNに何度も足を運んで、この説明を何度もしてもらっています。ですから産業界側ももう少しこの内容を徹底していかなきゃいけないのかなと思います。確かに、余りベンチャーのところとかは産地課がどう動いているか、私も知らないんですけれども、産業界もこれを基に、この仕組みを産業界側に広げていかなきゃいけないかなという気はしています。
 ただ、1点、JSTで動いているプログラムが全部は入ってないんですよね、当然。これ、産地課が絡んでいるもので。
【坂本課長】  研究ファンディングとかという意味でですね。ほかに事業はありますね。
【須藤委員】  例えば、何ですかね、ちょっと未来社会創造事業とか、今、始まっているじゃないですか。あれがこの絵のどこにどうやって当てはまるのかとか、あれも産学連携で、産業界も結構本気で申請出しているところもあるので、そういった産地課以外のところで文部科学省がやっている仕組みがこの中にもう少しうまく入れてもらえると、分かりやすい。
【庄田部会長】  前期の部会から参考資料としてまとめていただいています。
【須藤委員】  これ、分かりやすくなっていますよね、本当に。
【庄田部会長】  文部科学省に限らず、国全体で進められている俯瞰的な政策全体像があると大変参考になると思います。御努力をお願いします。
 議題(4)は審議事項ですので、事務局から説明をお願いします。
【坂本課長】  御説明させていただきます。
 資料4でございますけれども、先ほど、部会の冒頭の運営のところでもちょっとお話がございましたけれども、基本的には、具体的なコンテンツはこの下部の委員会の方で御検討いただくということを想定をしています。当然、この部会の委員の皆様にもできるだけ委員会の方で入っていただくように、あるいは、御参加いただくようにお願いしたいと思うんですけれども、この委員会を、我々は今、二つ想定をしております。一つは、その地域科学技術イノベーション推進委員会ということで、ここにございますように、先ほど栗原委員の方からも、中小企業というような話もございましたけれども、各地域の実情、あるいは、実情というのは様々な分野の産業、あるいは、技術の強みとかある中で、そういったところをしっかり生かしつつ、地域のネットワークの中でいかに事業化していくかというところの仕組み作りはまだまだ我々、政策課題、あると思っておりますので、そういったところの現状、課題の分析、それから、あと、政策をどのように打っていくかというところを検討を行うということを想定をしております。あと、地域については、内局の事業もございまして、そういったところの評価も併せて行っていただくことを想定をしております。
 あと、産学官連携によるオープンイノベーション共創推進委員会というところでございますけれども、これはこちらの方は、きょう御議論いただきましたガイドライン、あるいは、オープンイノベーション共創会議の流れを受けて、いかに大学の産学連携のマネジメントというものを高度化していくかというところを議論、幾つか論点がございます。
 今日お話のあった知財の問題もそうですし、あるいは、そもそも産学連携のリエゾン機能として設立されましたTLOというのは今どんどん活動も多様化し始めていますし、この機能というものはもっと高度化できるんじゃないかというふうに我々は考えております。その中で、広域連携とか、そういった課題も出てまいりますので、今のような幾つかの課題について深掘りをすることを想定して、この委員会を整理させていただきたいというふうに思っております。
 この二つの委員会の設置について、御審議をお願いしたいというふうに思います。
【庄田部会長】  それぞれの委員会の調査検討事項の中に、地域、オープンイノベーションがありますので、かなり重なる部分もあると思います。
【坂本課長】  はい。
【庄田部会長】  本部会に二つの委員会を設置するということで御承認いただけますか。
【坂本課長】  部会長、もしよろしければ、もうお時間ないですけれども、いや、こういうことも議論すべきだというような御意見がもしあれば。
 是非お伺いできればと思います。
【庄田部会長】  部会の委員がそれぞれの委員会に入られるケースもあると思いますが、部会で議論した内容も含めて事務局でしっかり運営することをお願いしたいと思います。
【坂本課長】  はい。
【庄田部会長】  この委員会ではこういう点をより詳細に検討してほしいという御意見はありますか。
【後藤委員】  ちょっとよろしいですか。
【庄田部会長】  後藤委員、どうぞ。
【後藤委員】  今、議題にしていただいている委員会のお題でないのかもしれませんけれども、私、知財をやっていてよく耳にするのが、イノベーション、イノベーションという言葉が強調されるようになってきて、何か基礎研究をないがしろにしているんじゃないかと、基礎研究を軽視しているんじゃないかというふうに思われている節が、というか、そういうふうに流れているんじゃないかという御懸念があるというのをよく聞きます。
 イノベーションというのはやっぱりアカデミーでも基礎研究もちゃんとやって、それを最後の社会実装までつなげるということなんで、その辺りの考え方をやっぱりもっと打ち出していただくような、何か方策というか議論を是非お願いしたいと思います。
【坂本課長】  そこにおいては、後藤委員はよく御存じかと思いますけれども、文部科学省は必ずこういうオープンイノベーションというか、あるいは、産学連携というのと基礎研究といいますか、必ず並べて議論すると。
 今回のオープンイノベーション共創会議も、一方、基礎科学力の強化に関するタスクフォースという別の検討の会議もございまして、それと併せて打ち出していったと。その基礎科学力を強化する施策も30年度の要求の中に入ってございます。そこは非常に文部科学省の肝のところですので、引き続き重視をしていきたいというふうに思っております。
【庄田部会長】  それでは、二つの委員会を設置するということを本日決定させていただきました。ありがとうございます。
 最後に、その他について、事務局からお願いします。
【竹之内課長補佐】  次回の開催の日程につきましては、部会長と御相談の上、追って調整をさせていただければと考えております。また、本日の議事録につきましては、事務局から委員の皆様にメールにて御確認を頂いた後に、文科省のホームページで公開をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日お配りした資料は、記名の上、机上に残していただければ、後ほど郵送をさせていただきます。
 以上でございます。
【坂本課長】  済みません。事実関係の訂正を1点だけ、すぐ終わります。先ほど、産学連携実施状況調査、回答大学が400と申し上げましたけれども、これは間違いで、1,000です。1,000大学から回答を集めておりますので、相当包括的なデータが出てきているというふうに申し上げられるかと思います。
 以上です。
【庄田部会長】  それでは、閉会とさせていただきます。

お問合せ先

科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課

(科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)