産業連携・地域支援部会(第9期)地域科学技術イノベーション推進委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成30年5月15日(火曜日)13時00分から15時00分

2.場所

文部科学省 15階 特別会議室

3.議題

  1. 関係者からの「地域科学技術イノベーション」の現状に関する発表
  2. 委員からの意見発表
  3. 自由討議
  4. その他

4.議事録


【須藤主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第9期地域科学技術イノベーション推進委員会を開催いたします。
 お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日は、まず、議題1としまして、地域科学技術イノベーションの現状に関しまして関係者の方々から御発表いただきます。
 その後、議題2としまして、松原委員の方から地域における科学技術イノベーションの取組の基本的方向性につきまして、特に地域の範囲、それから地域の定義、地域や科学技術イノベーション活動を行う意義、目的といったところに関しまして御発表いただきます。
 その後、最後に議題3としまして、議題1、2の関係者、松原委員の発表を受けまして、委員の皆様の御意見を頂戴することにしたいと思います。
 それでは、まず、配付資料の確認を事務局の方からお願いいたします。
【植原専門職】  本委員会は前回同様、ペーパーレスとなっております。配付資料は皆様のお手元にございますタブレットのデスクトップに全てダウンロードされております。資料はお手元の議事次第に記載のとおり、資料1-1から資料3及び参考資料1から6です。なお、参考資料6につきまして、全日本地域研究交流協会から御提出いただいておりますが、時間の都合上、ホームページの掲載が間に合っておりません。申し訳ございません。傍聴者の皆様におかれましては、後日、ホームページに掲載させていただきますので、そちらを御確認ください。なお、議事次第と照らし合わせながら、資料を御確認くださいますようお願い申し上げます。
 なお、資料1-3の科学技術・学術政策研究所提出資料につきまして、一部、資料のデータが精査、調整中ということもありまして、ホームページに事前に掲載している資料と今回、委員会で使う資料が一部、異なっている部分がございます。一般傍聴の方におかれましては、その部分については前方のスクリーンに投影されますので、そちらの資料を御参照ください。なお、その際、前方のスクリーンに投影されます資料の撮影は御遠慮くださいますようお願い申し上げます。
 御不明な点等ございましたら、事務局までお知らせください。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、議事に先立ちまして、前回御欠席された委員の方々を事務局の方から紹介していただきます。
【植原専門職】  委員の皆様を御紹介いたします。
 早稲田大学商学学術院教授、金子裕子委員。
【金子委員】  よろしくお願いいたします。
【植原専門職】  東北大学大学院経済学科研究科教授、福嶋路委員。
【福嶋委員】  福嶋です。よろしくお願いします。
【植原専門職】  以上でございます。
【須藤主査】  それでは、議題1に入ります。議題1は、関係者からの「地域科学技術イノベーション」の現状に関する発表でございます。本委員会運営規則第3条第2項に基づきまして、本日は公益財団法人全日本地域研究交流会、JARECの総括主任研究員、中﨑様、それから科学技術・学術政策研究所、NISTEPより上席研究官の荒木様に御出席いただいております。
 それでは、発表の前に、まず、事務局の方から進め方のご説明をお願いします。
【植原専門職】  それでは、議題1の関係者からの発表に先立ち、まず、事務局より前回の委員会での委員の皆様の御意見を基に作成いたしました論点整理について説明いたします。その後、全日本地域研究交流協会、JARECの中﨑様からは、関係各府省庁によるこれまでの地域科学技術イノベーションに関する支援や施策の変遷について、科学技術・学術政策研究所、NISTEPの荒木様からは、NISTEPにて取りまとめられた報告書を基に、地域科学技術イノベーションに対する取組やその成果等に関する地域の認識や地域の科学技術イノベーション活動の現状について、それぞれ10分程度で御発表いただきます。最後に議題1全体について、委員の皆様からの御質問、御意見を頂戴いたしたいと思います。
 それでは、まず、事務局より説明いたします。
【生田室長】  それでは、お手元のタブレットの資料1-1をお開けいただけますでしょうか。
 資料1-1、4ページにわたる資料でございます。こちらの内容につきましては、前回、第1回の委員会におきまして、委員の皆様方からそれぞれ御経験に基づくお話や、今後の検討に当たって示唆となるようなお話、色々なお話を頂きましたので、その内容を事務局の方で勝手ながらこのような形でまとめさせていただいた内容となってございます。
 大きな柱立てといたしましては、ローマ数字で1 、2 、3 、4 と分かれておりまして、最初に、「地域における科学技術イノベーション活動の基本的方向性」という柱、ローマ数字2 が2ページ目でございますけれども、「国内外の地域科学イノベーションの事例からの教訓」、そして同じページのローマ数字3 で「地域の科学技術イノベーション活動の置かれている現状及び課題」、そして次の3ページ目からがその課題解決に向けて、「今後国及び地域に期待されること」、こういった形で便宜的に4つに分けさせていただいております。
 なお、本日の委員会においては、主にローマ数字の1 、そもそも論のところでございますけれども、基本的方向性のところについて、特に御議論いただきたいと思っておりますので、そのようなことを前提に、今からの説明を聞いていただければと思います。
 では、内容でございますけれども、冒頭申し上げましたように、ここに書かれている内容は前回の委員会で委員の皆様がお話しいただいたことをまとめているものでございますので、簡単に言及させていただきます。
 (1)のところでございますけれども、「科学技術イノベーション振興政策における地域の捉え方」、これはまさに地域の定義ですとか範囲、主体、そういったところに関する御発言をここに置かせていただいております。
 そして、(2)の「地域が科学技術イノベーション活動を行う意義・目的」でございます。ここに関する御発言、黒ポチで5つ書いてございますけれども、最初の3つは基本的には類似されるような御意見だったかなと考えてございます。地域発の科学技術イノベーションと地域着の科学技術イノベーションという分け方の考えですとか、若しくは地域の強みから生み出される技術から出てくるイノベーション、これが技術開発型イノベーションと地域の中での新しい革新的な組み合わせから生み出されるイノベーションという2つの分け方ですとか、また、科学技術発のイノベーションと地域の課題解決が出発となったイノベーション、こういった分類になるんじゃないか、というようなお話がここでは出てきたと考えてございます。
 そして、(3)のところ、「地方創生の流れにおける科学技術イノベーションの位置づけ」でございますが、これはあえて事務局の方で(3)と章立てさせていただいた背景といたしましては、やはり平成26年にまち・ひと・しごと創生法というのができて、そこから初めて今回、地域における科学技術の振興の在り方というのを検討する機会でございますので、改めてそういった地方創生の大きな流れがある中で、我々の科学技術政策としてはどのように考えていくべきかという思いで、あえて(3)の柱立てを書かせていただいております。
 そして、1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。ここは、先ほど申し上げましたように、事例からの教訓、こちらにつきましては、前回の委員会で委員の方から出てきた事例を幾つかここに並べさせていただいておりますが、今後、第3回目の委員会以降は、地域の主な主体、大学ですとか自治体、地域の中核機関になるような三セクとか地方金融、若しくは認定VCといったところからヒアリングをしていきたいなと考えてございますので、ヒアリングの結果をこの中に今後盛り込んでいきたいと考えてございます。
 そして、章立ての3 のところでございます。これが現状把握、若しくは課題、そういった観点で御発言のあったような内容のものでございます。これも事務局の方で便宜的に(1)から(4)という形で分類をさせていただいております。なお、この分類については、とりあえず、現状において置かせていただいているものでございますので、今後の議論の展開によっては、更に細分化ですとか、若しくはくくり方を修正するとか、そういったことも念頭に置いて、とりあえず書かせていただいた内容として御理解いただければと思います。
 (1)でございますが、これはエコシステムの形成、いわゆる地域が主体性を持って、又は持続性のある、そして広域連携、そういったことがキーワードとしてあるかなというようなもの、そういったことが想起されるような御発言をここに書かせていただきました。地域における広域連携におけるイノベーションがやはり日本ではまだ少ないですとか、システムとしてイノベーションが残らないというのは、モデルが考えられていないのではないか、そういったような内容があったかと思います。
 そして、(2)の分類のところ、ここは地方創生の中でも、我々は、科学技術行政という観点から考えていきたいと思っておりますので、R&D、若しくは社会実装活動、そして、そのマネジメント、そういったところの現状ですとか課題、そういうものをここに書ければと考えております。出口が見えず、地域の産業として生き残っていけるか分からないプロジェクトがあるとか、地方における企業のサイズが中小・零細であり、そこでの研究というのはほとんどないことから、地方が自発的になかなか取り組みにくいといった御発言があったかというふうに考えております。
 そして(3)、これはマネタイズの仕組み、これは自立するためには必ずや必要な話だとは思いますけれども、地方の場合、構成要素として自治体と大学がほとんどのため、VCなどの役割が極端に少ないですとか、地域の科学技術イノベーションの課題として、金の切れ目が縁の切れ目、そういったことが現状として多いのではないか。そして、お金がなくなると、次のステップにつながっていかない、そのような御発言があったというふうに我々としては理解しております。
 そして、(4)のカテゴライズとしては、人材の確保ですとか、若しくはいろんな主体、プレーヤーがいると思いますが、その役割分担、そういったことを書き込んでいけたらなと考えてございます。地域を引っ張っていくコーディネーターがあまりいない、プロジェクトの資金をうまく回していく程度で終わっていて、実際、本当の企業ニーズと大学のシーズを連携させるといったところの役割が果たし切れていないのではないか、このような御発言があったと考えております。
 そして、次の4 のところでございますけれども、これは今まで申し上げた3 の課題の設定、現状把握、課題の把握、これに対応する形で、その解決に向けて、今後何をしていかなければならないのか、そういった形で整理をさせていただきました。
 最初のエコシステムの形成につきましては、地域の特徴を生かして自発的に地域が取り組む仕掛け作りがやはり重要ではないかとか、変わっていくことへの受容性が大事であり、既存ルールを壊すといったことが求められているのではないか。そして、地域科学技術イノベーションを行う拠点となるような法人組織を自治体が作り動かしていくために、国が最初の段階でどこまで支援できるかというのが肝ではないか、ですとか、地域の強さを生かしたクラスターを戦略的に使い、東京中心ではない広域の地域イノベーションを作り上げていくことが必要ではないか、そして地域のやりたいこと、できること、求められることの3点がうまく組み合わさらないとキャッシュがフローしないのではないか、このような御発言があったかと思っております。
 (2)のところ、研究開発に関係する部分としては、やはり最初からのチームメイキングが肝ではないか、そのような御発言があったと伺っております。
 そして、(3)マネタイズの仕組み、ここはやはりお金の匂いがしないとどうしようもないと、経済学的な活動に結び付かないものはそもそも持続しないのではないか、そして経済価値を作り、富の循環を起こしていく施策にすることが重要。
 そして、最後の4ページ目でございますけれども、市場の失敗が起きているような、国こそがテコとなって動くような分野に施策を持っていくことが重要。そして、最終的には地域が自立するためにはどこまで国が支援していくべきなのかをちゃんと見極めていくことも必要ではないか、そのような御発言があったと考えてございます。
 1回目の委員会で委員の皆様方から本当にいろんな御意見を頂いたと思っておりますので、それをとりあえず、このような形で整理をさせていただきました。
 説明は以上でございます。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、関係者の皆様から発表していただきます。
 まず、全日本地域研究交流協会、JARECの中﨑様、お願いいたします。
【全日本地域研究交流協会(中﨑)】  全日本地域研究交流協会の中﨑でございます。御紹介ありがとうございます。
 皆さんにお配りしましたこういった資料がございます。これの一番後ろに私どもの財団の活動のポイントが書いてございます。
 私たちの財団は平成4年に設立されまして、ちょうど平成4年というとバブルがはじけて、ありとあらゆる産業が立ち行かなくなって、今後どうしていくかというときに、やっぱり地域に科学技術や産業の芽を出そうと、そういう機運が高まったときに、科学技術を推進するということは国ばかりではなくて、地方自治体もやるべきではないかというふうな動きになりました。そのときに、自治体だけではなかなか難しかろうということで、今でいうネットワークを作るという視点で私たちの財団が設立されたと聞いております。具体的にやっていることは、どちらかというと、地域の科学技術に関連する一地域では難しかろうというところの調査研究というのをやらせていただいてございます。2つ目は、そういった調査研究で出てきたものを普及啓発するための研究会、研修会というものを主体的にやらせていただきました。
 それでは、小さ過ぎて見づらくて申し訳ないんですが、皆さんのお手元のところで見ていただければと思います。
 皆さんのお手元の資料の1995年というところの上のあたりを見ていただけたらと思うんですが、ここが出発でございます。国の方で科学技術基本法というのを超党派の議員で提案されまして、そういう法律ができました。その中で、地域に関わるポイントは、これまでのサイエンスのテクノロジーを国ばかりではなくてリージョナル・サイエンス・アンド・テクノロジー・プロモーションということで、自治体もまたプロモーションするということが義務付けられました。ただし、義務付けられたんですが、予算面で充実はしていないので、予算は国の方で支援していく事としています。もう一つはマンパワーという意味で、それに長けた人を見つけるのがなかなか難しかろうというところを国の方で支援していきますというふうに伺ってございます。それに基づいて、JST、科学技術振興機構の方には地域室というものが後からできたと伺ってございます。
 その中でポイントとなるのは、5年置きに新しい科学技術の基本法に基づいた計画を立てて、それを重点化するのはどういうところだというふうな計画がされています。この中で、ちょっと独断と偏見ですが、地域事業に関わるところを少し御説明させていただきますと、最初の第1期基本計画では地域のポテンシャルを把握していこうということで、自治体の皆さんがそこにある大学の皆さんと一緒になりまして、どういうポテンシャルがその地域にあるんだろうかというあたりをサーベイしてございます。その結果として、次の第2期に移りますとクラスターということで、抽出したポテンシャルを集積していくというところに繋がってございます。クラスターの後、第3期に行きまして、クラスターだけでは難しかろう、その目的は地域のイノベーション、この会議のとおりでございます。出口を思考しようというのが第3期になってございまして、その次がもうちょっと具体的手前の地域の課題を発見して、その強みを生かす、解決する方策を模索しようというのが第4期で、ちょうど3期と4期の間に政権の交代と東日本大震災が発生してございます。それを受けながら、第5期は研究成果の橋渡し機能の強化ということで、特に企業サイドへの橋渡しを充実させるというのが現在であると、地域から見ると、そういうふうに思えます。
 特にこの中でポイントは、また1999年というところを見ていただいて、内閣府・立法というところで赤く書いてございます産業活力再生措置法ということで、日本版バイドール、これは本日御参加の方は一番なじんでいるかなと思うんですが、大学等々で研究した成果の所有権を大学に移すということでございます。そのためには、国立大学の法人化等々をするということで、赤字で記載されていますように、第2期と第3期にまたがっていろんな施策が計画・実行されてきています。これは国の省庁再編、そのほか今、申し上げたような、特に大学が自由に知的財産を所有して活用できるという方向付けのための施策が、連続的に打たれてきたというところでございます。
 そういう中で、文部科学省さんの施策はお話を頂いたと理解してございますが、第2期基本計画から知的クラスターということで、産学官で、人、物、金、情報がクラスタリングしていく仕掛けということで地域の強みを生かすような施策が5年、10年とされてきて、その後、地域イノベーション戦略支援プログラム、あるいは、今、展開しています地域イノベーション・エコシステムという拠点作りの施策というものがなされてきているわけでございます。
 次に、その下のJST実施ということで、これも文科省さんなんですが、実施がJSTさんでございます。これについては先ほどの制度設計がなされるちょうど前、科学技術基本法ができたあたりから、大体、1996年あたりからJSTの地域事業というのが始まっています。一番最初はリージョナル・サイエンスプロモーション・プログラム(RSP)ということで、地域にどんな価値のあるものがあるのか、そのプロモーションをどうしていったらいいのか、これは七人の侍というようなコーディネーターと言われる方が活動し始めて、いろいろな大学の中の知見を外に出す、あるいは外に出す前の育成というのをやられてきたと伺ってございます。その後、この制度は非常に良いということで、ポイント(点)的な活動をもう少し広げて面として広げてやっていこうといったのがJSTのイノベーションプラザ・サテライトということです。各地域に科学技術振興の拠点を設け、その拠点の中でいろんな施策が実行されています。皆さんのお手持ちの資料には少し青っぽく書いてあるいろんな施策、予算を付けていく施策がございます。そういったもので、プラザ・サテライトというものを地域に作りまして、それで面的な活動を充実してきました。残念ながら、政権交代で段階的に廃止という流れになってしまいましたが、今はリサーチコンプレックスとか、あるいはマッチングプランナー、スーパークラスターという拠点活動及びマッチング活動というものに繋がって重点が置かれています。これはもともと1997年頃の拠点形成ということで、地域結集型共同研究事業という産学官のプロジェクトで、地域の技術の育成を行う拠点活動といったものが主体としてなされてきました。そこまでが文部科学省関連の施策でございます。
 そこの下の経済産業省については、どちらかというと、地域の企業を強くする方策はどのようにするのかという施策です。一番最初は地域にハイテク産業とかソフトウェア産業を充実化させるためにテクノポリス法とか頭脳立地法とか、そういった法律を作って施策を展開してきました。同時に地域の財団を中心にワンストップサービスということで、地域の中小企業を支援するワンストップサービスをずっと支援展開してきました。その中の一つとして、地域新生コンソーシアムということで、地域の企業等がコンソーシアムを形成して研究開発や事業展開を行うような仕組みを支援することをずっとやられてきました。それから最近に至っては産業クラスターということで、これは文部科学省の知的クラスターとリンクをしながら推進され、知的クラスターは研究開発、産業クラスターは企業間のネットワークを強化して、事業化展開という出口思考をする、そういうものでございました。それぞれの地域では自立化するということで国の支援は収束しました。その次に展開されたのが地域の中核企業をハンズオンで支援することです。これは地域の中核企業を育成してグローバルに活性化展開すれば、恐らくそこに群がってくる、あるいは一緒にやっている中小企業も恐らく活性化するんではないか、そういう思考があります。そこが大体、経済産業省の地域に関わる産業活性化でございます。
 次が農林水産省でございますが、農林水産省に行って、専門家の方にお聞きして、まとめたものでございます。基本的には農林水産業の技術開発というところは、そこに書いてありますように、都道府県の農業試験場の品種改良等を支援する指定試験事業というものと、地域総合研究ということで、国の試験場の持っているシーズを現場に実証していくというが2つ目、3つ目は県の試験場の補助、こういうことを長きにわたって支援してきました。ところが、経済産業省、文部科学省さんの方で、新たな事業展開に向けてネットワークを作る、あるいは異分野の交流を積極展開する事の重要性が言及されました。農林水産分野では、単に一次産品を生産するばかりではなく、加工して製品を作って、それをディストリビュートするということになると、六次化まで含めると、多様な知見が要るだろうということで、後半になりまして、どちらかというと現在やっているコーディネート活動とか、知の集積と活用の場といったところにつながってきているものでございます。
 その次が総務省でございますが、総務省の場合は地方の交付金を分配するという大きな機能がございますが、どちらかというと、後半になりまして、地域の元気創造プラットフォームを作る地域おこし協力隊を推進するということで、地域住民へのサービスに関して、更に活性化するような方向で、人を支援するような形の政策がとられてきました。ここが発端となり、一番上の内閣府のところで現在やっています、まち・ひと・しごと創生本部ということで、地方創生に向けた事業展開につながっています。今、各省庁こぞって、そこに向けた施策を展開しているというのが一連の地域に関わる流れでございます。
 これらから見ますと、先ほどの科学技術ばかりではなくて、もうちょっと地域の基礎自治体を支援するようなものも含まれて、最近行っているというところが特徴的かと思われます。かつて、文科省から島根県の海士町の方に役人の方が御出向されて、一生懸命、そこで地域の活性化という活動をされていました。私たちも何度か訪れて、いろいろ意見を交換させていただきました。そういったところに文科省の方が出向で行くと、非常に小さい村なんですが、サイエンスを使って、そこの村おこしをやっていこうということで、イワガキの養殖等々を、今までの他地域での研究開発の知見を使って、いろいろ改めて研究開発を展開されているというようなことも、御支援されているというのがだんだん分かってきました。今後、そういうのも含めた活動が必要かなという理解をしています。
 以上でございます。ありがとうございました。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きましてNISTEPの荒木様、お願いします。
【科学技術・学術政策研究所(荒木)】  御紹介ありがとうございます。NISTEP、第2調査研究グループの荒木と申します。よろしくお願いいたします。
 私は地域連携、地域イノベーションに関する調査研究を行っております。資料の方を開いていただいて、地域イノベーションと地方創生という資料を皆様にお配りさせていただいております。
 2016年から第5期科学技術基本計画がスタートしたことを踏まえまして、第5期の初期調査ということで各地域の大学機関等におけるステークホルダーの地域イノベーションと地方創生についての実態・意識の調査を行っております。調査対象に関しましては、先ほどお話ししましたように、大学等のステークホルダーということで、日本国内全ての都道府県、政令市及び地方銀行と公設試験研究機関の計490機関を中心に調査を行っております。アンケート調査は2016年12月に開始、2017年2月に回収をしております。363機関からの回答を頂いて、都道府県、政令市など自治体からの回収率は100%となっております。
 質問は全部で20問、Q1からQ2に関しましてはプロフィール等になっておりますので、今回御説明させていただくのはQ3からQ20まで、御説明したいと思います。
 Q3では、地域イノベーションに対する取組の成果の認識について伺っております。こちらに関しては、成果が出ている、どちらかといえば成果が出ていると回答をしている機関が5割を超えておりました。
 その内訳に関しましては次のスライドになります。各セクター別に見ますと、自治体の認識が高く出ています。しかしながら、地方銀行や公設試も40%以上の機関で認識があるとなっております。もう一つ、ここで注意していただきたいんですが、よくわからないという回答傾向もございますので、今後アンケート調査を行う際には工夫が必要だと考えております。
 Q4では、地域主導による科学技術イノベーションに対する取組の状況を伺っております。既に取組を自ら推進中であるという機関に関しましては、自治体では非常に高いんですが、地方銀行や公設試では12%以上となっております。
 次に。地域内のグローバルニッチトップと呼ばれる企業の存在認識ということで、地域内におけるグローバルニッチトップと呼ばれる企業が存在していることを認識していますかということを伺っております。こちらは回答に差があるということが分かるかと思います。
 次のスライドでは、グローバルニッチトップと呼ばれる企業向けの支援施策の実施について伺っているんですが、これから実施する予定であると回答をした機関は全体で32.8%、3分の1程度の機関で実施するという回答になっております。
 その次では、地域の関係者との連携の状況を伺っております。ここでは地域内の関係者とは連携がうまくできているかを伺っています。連携できている、どちらかといえば連携できているという機関は全体の6割ちょっとになっておりますので、地域の中のステークホルダー同士では連携ができているという認識が高かったと考えられます。
 では、認識している地域での連携のための取組はどうだろうかということで、次のスライドになります。こちらは連携できていると認識している機関ではどのような取組を行っているかを聞いているんですが、一番多い回答は、定期的な会議を開催することで各団体が有する情報を適宜共有していますと73%程度の機関で回答がございました。
 次に連携を具体化する際に牽引役となってきた組織について問いを立てております。今までは都道府県庁が取りまとめ役であったと、77.7%の機関が回答しています。次いで大学等であるという回答が5割程度でした。
 次のページをお願いします。多様な関係者の連携をさらに高める場合、連携に参画することが重要な組織ということで、地域のリーダー格の中堅・中小企業と回答した機関が5割近くになっております。続いて、大学や高等専門学校、地域金融機関を挙げる回答が3割超となっております。
 次をお願いします。連携のコーディネーションを担う人材の状況を伺っております。地域によって違いはあるんですが、どちらかといえば不足していると思う、不足しているという回答傾向が強く、連携のコーディネーションを担う人材については6割超の機関で不足感を抱いているということが分かりました。
 次に、期待されるコーディネーションを担う人材の能力ということで、どのような能力を持ったコーディネーターが必要かということを伺いました。人材が不足していると認識している機関では、4分の3の機関が将来の地域振興のビジョンを語り、関係者を巻き込んでいくことのできる人材の不足を指摘しております。続いて、地域内の中堅・中小企業等が保有する技術等を幅広く把握している人材の不足を挙げる機関も多くありました。
 次になります。独自の強みを生かしたイノベーションの推進戦略の策定状況について伺っております。こちらは4割超の機関が策定済み、策定予定と回答しておりました。
 次のページをお願いします。戦略を策定している機関での戦略の目標はどのようなものがあるか伺いました。戦略を策定している機関では、当該の戦略の目標について、大学や公設試験研究機関等と中堅・中小企業等との共同研究の件数と設定している機関が多くありました。そのほか具体的な項目として、出願件数や事業化数、外部資金獲得額、企業立地件数など数値目標化が可能な項目が挙げられておりました。
 次、お願いします。まとめとしまして、地域イノベーションへの認識では、地域イノベーションに対する取組の成果の認識において成果が出ていると認識している機関は5割を超えておりました。
 次に、地域企業の活性化では、地域におけるグローバルニッチトップと言われる企業の存在について認識している機関は3割程度だったということになっております。
 次に、地域の特性を生かしたイノベーション・システムの駆動では、地域内での関係者との連携状況については、6割を超える機関で連携ができている。次に、コーディネーションを担う人材については6割超の機関で人材不足との認識があるとなっております。特に将来の地域産業のビジョンを語り、関係者を巻き込んでいくことのできる人材が不足しているとの認識がありました。
 地域が主体となる施策の推進では、地域独自の強みを生かしたイノベーションを推進していくための戦略について、4割弱の機関で策定済み、各主体の戦略においては定量的目標が挙げられているということが分かりました。
 今回の意識調査は、第5期科学技術基本計画初年度の調査となっております。今後は要因分析等を行って、3年目に再度、意識調査を実施し、初年度の調査結果との比較を行おうと考えております。
以上です。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、これまでの事務局、それから関係者の御発表を踏まえまして、質問、御意見等ございましたらお願いいたします。
 いかがでしょうか。はい、どうぞ。
【林委員】  芝浦工大の林ですが、中﨑さんから全体の流れを説明していただいたときに感じたのは、人材が足りないというのはあちこちで出てきているんですけれども、過去、第1次、第2次、第3次と、ずっと予算を使っている中で、イノベーションとか、あるいは人を巻き込むような人材の育成ということに関して、組織的な、あるいは系統的な予算配分であるとか施策というのはされているんでしょうか。ちょっと私が懸念を持っているのは、試験機械を入れるとか、科学技術を何とかしようと、そこに予算が行っているのは明らかですが、どうも何か新しいことを興そうというところの人材育成、まさに今、あちこちで問題になっているところに行っているのかなというのが疑問なので。
【全日本地域研究交流協会(中﨑)】  私たち、実は文部科学省さんの傘下のJSTさんの方から委託を受けて15年以上ですが、その頃はあんまり人材育成って叫ばれてはいなかったんですが、やっぱりこういう新たなビジネスチャンスとか技術をビジネスにしていくというものについては、ちょうどMOTが各大学に設置されるような時期だったんですが、それを横目で見ながら、やっぱり地域の科学技術についてもそういうことになじんでいる人が参加すべきじゃないかということを強く思いました。JSTさんと一緒になって、そういうプログラムをグローバルに作って、林先生は、海外にずっといらしたのでいろいろ御存じだと思うんですが、アメリカでいうと当時のAUTM(アソシエーション・オブ・ユニバーシティー・テクノロジー・マネージャーズ)ということで、大学の技術移転を主とする方の活動を見て、これは日本にも必要だなということで、そういうプログラムを作らせていただいてきました。当時は約1億円の規模でしたが、そのぐらいの規模で、大学の知恵を社会還元する為の人材育成を実施させて頂き、今でも継続してやらせていただいています。延べ1万人の規模で、そういう産学連携・技術移転活動を行う人材を輩出させていただきました。
 ただし、非常に難しいのは、コーディネーターと言われる人は、会社のOBが比較的多くて、その方はビジネスについては自分がずっと培われてきたことについては御存じだけれども、ある意味では知的財産のマネジメントをどうするんだとか、マーケティングをどうするんだとか、ビジネスにするためには、いろんなことの知識が必要だと思われます。その人材育成を体系的にプログラムとして作ろうということで、アメリカのAUTMとかケンブリッジ大学とか、いろいろ先進的な活動をなされている方から教わりつつ、そういう研修を計画的にやってきたという経緯で、延べで1万人ぐらいの方に参加をいただきました。
ただし、そのコーディネーターという方も60歳近傍から65歳ぐらいまで頑張っていただいて、会社員時代にとった杵柄をうまく活用してくれて、その知見がやっぱり若い人に伝わるには、どうしたらいいんだという悩みが非常にありました。いろいろ大学の方にも教わりながら、一緒に研修プログラムを創り、実施させていただきました。文科省やJSTの方と一緒に、私どもも直接的に関わらさせていただいた事例でございます。
 多分、そのほかの省庁につきましても、経済産業省は経済産業省で、どちらかというと、これはやっぱり中小企業を支援するという立場で、そういうことをずっと企業で実践してきた銀行マンとか、あるいはマーケティングの専門だとか、また、研究開発が専門だとか、そういうスペシャリティーを持った方が、地域の財団に配置されて、中小企業を色々な側面で支援する仕組みとして、ワンストップサービスを行う機能として地域プラットフォーム活動を実施してきたように思います。
 林先生の御質問で、これからという意味では、やっぱり林先生が携わっているような大型のエコシステムをどうやってマネージするのか、1年、2年では事業化にならないところの道筋を作るというのをどうやってつないでいくかというあたりがやっぱり問題になるのではないかなという感じはしています。
【林委員】  須藤さん、これは意見も述べていいんですか。
【須藤主査】  自由にどうぞ。
【林委員】  人材育成の場合に、確かにそういう形でコーディネーターを育成していこうと。これはそれなりに役に立つと思うんですけれども、問題は周りの人たちがコーディネーターが全部やってくれるんじゃないかとか、要するに引っ張ってもらうのを待っているような状況であると、なかなかイノベーションにはほど遠い。御存じだと思いますけど、イノベーションが活発な地域とか、やっぱりそういう雰囲気じゃなくて、何かやってみようかなという感覚がみんなにあるという感じですよね。ですから、カルチャーになってきている。コーディネーターの養成からカルチャーの形成にどういうふうに移行していくかとか、そのときに、企業の場合はトップがそっちを向いているかどうかが物すごく大事で、多分、自治体の場合はそこのトップがそっちを向いているからどうするかというあたりなので、やはりこれから考えていくときに、コーディネーター養成という次元からもう一歩、二歩踏み出したような、リーダーシップ育成、プラスカルチャーの生成のというか、そういったところまで行ければなとは思います。
【全日本地域研究交流協会(中﨑)】  ありがとうございます。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 中﨑さん、よろしいですか。
【全日本地域研究交流協会(中﨑)】  はい、そういう方向で鋭意尽力させていただきたいと思います。
【須藤主査】  他にありますか。はい、どうぞ。
【金子委員】  早稲田大学の金子です。
 ちょっと教えていただきたいんですが、先ほど荒木さんの方から御説明を頂きました資料の中で、施策の成果の認識のところで、県、あるいは自治体といったところは比較的、成果の認識が高くて、銀行さんはちょっと成果の認識が低いというようなアンケートが出ていたのかなと。それとともに、これから取り込みたい人員の中に民間の中小企業の方々を取り込みたいというようなアンケート結果もあったように思うんですけれども、そういう意味では、民間側がうまく成果を感じていないから参加を呼び込めていないというのか、そういうようなところがあるというような傾向というふうなことなのでしょうか。
【科学技術・学術政策研究所(荒木)】  今回のアンケート調査の対象がどうしても自治体と地方銀行と公設試という形になっているので、民間の意識まではちょっと分かってはいないんですけれども、個人的な見解でいけば、6ページにあるんですが、グローバルニッチトップと呼ばれる企業の存在の認識というところで、地方銀行ではグローバルニッチトップと言われている企業の存在の認識が41%程度となっており、あとはわからないと回答されていたので、ここに何かしらの原因があるのではないかなと考えております。地域の関係者が地域の企業の状況について上手く把握できていないのではないかと考えられます。また、地域の企業も自治体の科学技術に関する取組を認識できていない可能性もあります。これは個人的に思うところです。
【金子委員】  すみません、ありがとうございました。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【西村委員】  今のところに関連するんですが、グローバルニッチトップというのがちょっと分からなかったんですけれども。例えば私たち三重県でやっているケースだとすると、そもそも論としては、こういう補助金を受けない人たちが結構、しっかり頑張ってやっているんですよね。だから、このアンケートの中で、科学技術と地域の活性化みたいなことがとれるのかなというのがちょっと思ったのが一つです。ですから、何で企業側の声を聞かなかったのかなというのがどうしてもこれを見るときに、把握できないんじゃないのかなというのはちょっと聞きながら思っていたことです。すみません、感想っぽくなって申し訳ありません。
【科学技術・学術政策研究所(荒木)】  ありがとうございます。
【須藤主査】  今後とる予定はないんですか。定期的に見ていきますよね。
【科学技術・学術政策研究所(荒木)】  今回報告させて頂いた調査結果は第5期科学技術基本計画の地方創生の章に係る初期調査の結果ですので、今回初めて調査を行っております。第5期科学技術基本計画も3年目を迎えましたので、3年目の調査を行い初期の状況と比較する予定です。
 あと、先ほど言われたグローバルニッチトップという企業の定義については、特定の製品分野において国内外で高いシェアと収益力を誇る企業というと定義されております。
【西村委員】  そういう企業はほとんど取っていないです、三重県だと補助金は。ほぼ自分たちでできますからね。ということなんですね。
【須藤主査】  どうぞ。
【加藤委員】  民間からの現状というところで、先ほどの御報告と交えてなんですけれども、まず、地銀さんはイノベーションには多分、無関心というか、理解できない状況じゃないかなと思いますね。というのが大体多くて、我々、新しいことをやるに際しても、イノベーションなんで、多分、年齢で仕切るのは申し訳ないんですけれども、上の方の決裁権がある方たちには多分、御理解いただけないことが多くて、そこが一番、しようがない、自分たちでやろうみたいなことになってしまうというところですかね。うちは県がどこかを支援したいと来られたので、お話ししていたんですけど、大企業の重役をやられた方で、地域を盛り上げたい我々の概念は理解できるんですけど、いざ技術になると、プラットフォーム型のビジネスって、つい最近のことなので、まあまあ、メーカーでがんがんやってきた方たちとのビジネスモデルとか考え方とはかなり乖離がある。1億人とか何十億人から1円ずつもらうビジネスと、1台売って幾らだというビジネスとは余りにも思考が違うものですから、そういう意味で先ほどコーディネーターの人材不足だという話もあったんですけど、コーディネーターの人たちは私たちに相談に来るという感じに今なっていて、いや、私たちはサポートしてもらいたいんだけどなというのが一つと、あと、大学と共同研究したいのもやまやまなんですけど、あまりにもコミュニケーションがとれなくて、ビジネスマナーを知らな過ぎてお話にならないというので、だったら、ビジネスマナーを知っている海外の先生とやろうかなとか、そういうことになりつつあるという現状をお伝えしたくて発言させていただきました。
【須藤主査】  恐らく反論もあるかと思うんですが、後の議論のところでやりたいと思います。串岡委員、どうぞ。
【串岡委員】  私は実際の現場でこういうことをずっとやっていましたけれども、多分、幾つかお話があるイノベーションとか、あるいはグローバルニッチトップについて、自治体の当局でこれを担当している人は日常的にそういったことを考えているから、自分が考えてやっている限りは、一応、応えようとしますけれども、恐らく地方銀行とか公設試はほぼ同じようなことを考えていたとしても、イノベーションとか、あるいはグローバルニッチトップと言われてしまうと、ちょっと戸惑っているかなと思っておりまして、地方銀行だって、当然、イノベーションというか、新事業だとか新産業、その企業が確かに担保価値がなくても、事業性評価をやろうとしているところは、もっと恐らくあると思いますし、公設試の問題は、平成17年に三位一体改革をやって、結局、自治体を通じて公設試にいろいろな資金が流れていく。自治体で一括的に運用される部分がすごく減っていると。多分、公設試の中には例えば地方を独法化して、自治体政策とちょっと離れたところで動いている場合もありますし、地方銀行や公設試にこういう問いの立て方をした場合に、本来、救えるところが救えていないところがあるのかなという気は若干しています。特にグローバルニッチトップについては、一般的には経産省である特定の、細谷さんが打ち出された概念ですから、私どものところなんかはよく取材を受けたりして、なじんでいるところとなじんでいない地域がありますので、受けとめる側として同じレベルであったとしても、ちょっと答えがばらついているのかなという気が直感的にはいたしました。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 まだあるかと思いますけれども、ここで松原委員のお話を聞いてから、もう一回、まとめて議論したいと思います。
 では、お願いいたします。
【松原委員】  それでは、お手元の資料2になるかと思いますけれども、地域における科学技術イノベーションの取組の基本的方向性についてという題で話をさせていただきます。
 タイトルを書くに当たっても少し悩んだのですけれども、それはすぐこの次のスライドで出てまいります。
 第1回の委員会ではいろいろな方が発言されましたが、私も発言の機会がありまして、1回目の委員会で大きくは3つの点を発言させていただきました。1番目は、地域は、重層的・階層的に捉えられる。2番目はちょっと難しい言葉が入っているかもしれませんが、知識ベース、知識の性格ですね、それから知識の流れ、フロー、こういったような特性に応じて、地域イノベーションというのも1種類ではなくて、大学のアカデミックな研究成果などを中心にして非常にグローバルに知識が流れるようなサイエンス系と、それから暗黙知という言葉があるかと思いますけれども、技術者と、それから公設試験研究機関の人がいろいろやりとりをしながら作り上げていくようなものづくり系のイノベーションの世界。もう一つは大都市圏の中、例えば渋谷あたりのファッション産業、最近、IT系もありますし、丸の内あたりの新しいベンチャー系の企業もあるかと思いますが、これはそのときとか、その場といいますか、そういうようなところで、知識というのかひらめきのようなもので新しいものが生まれてくる、そういうものを感性系、あるいはベンチャー系も入るのかなということで、ちょっとここは自信がないので括弧書きにしていますけれども、そんなようなものがあるのかなというのを2点目に話させていただきました。3点目は、地域の内と外の産学官の関係というのは、地域イノベーション・システムの特性として捉えることが重要ではないかという点を挙げさせていただきました。
 前回、私自身は発言をしませんでしたけれども、前回のまとめのところでも事務局の方で「地域の」とか、「地域が」という言葉が使われております。これについては、私も論文1本ぐらい書いているのですけれども、要するに「地域の主体化」ということがいろいろ言われるんですけど、本当に地域が主体になりうるのかということを問題にする必要があるのかと思っております。これは今後の議論の中でも留意すべき点かと思います。ただ、もちろん、地域が主体になるような議論が非常に多くなっております。しかしながら、地域は容器であるとか場所であるとか環境であるとか、そういったような捉え方をするのがある面では正確なのかと思っていまして、タイトルは「地域における」というようなことばを使わせていただいております。
 もちろん、地域において様々な主体、先ほどの話でも出ておりましたようにグローバルニッチトップ企業もあれば、都道府県もあれば、地銀もあれば、そういったような様々な主体が地域という容器の中でいろいろな関係を作り上げているのは確かなので、その主体間関係といったようなものが地域イノベーションのシステムの特性に大きく関わっている。容器である地域も、位置であるとか自然環境とか歴史とか文化とかいろいろあるので、当然、関わってくるのですけれども、そこはもう少し厳密に主体とそれを取り巻く環境というのでしょうか、立地環境のようなもの、こういったようなものを分けた形で議論をする必要があるのではないかなと思っています。
 さて、ちょっと前置きが長くなりましたけれども、本日の報告の内容は3点、ここに挙げさせていただいたものですけれども、今日は1を中心に話をさせていただければと思っております。
 早速ですけれども、科学技術振興政策における地域の捉え方について、まずは問題提起をさせていただければと思います。
 地域の定義とか範囲をどう捉えるべきか、これは前回からの話も引き継いではいますけれども、この間、科学技術白書を引っ張り出してきまして、そこで地域の扱われ方がどうなっているのかを見ております。
 スライドを変えていただけますか。本当は事務局の方が詳しいとは思うのですけれども、1973年から86年版を見ますと、地域の記載は見当たりませんでした。一方で、筑波研究学園都市の記載が出てまいります。ここは実はちょっと私も気になっているところで、要するに今の科学技術振興政策のルーツは、こういう学園都市を作るというところに相当力が入っていたかと思われます。
 その後、けいはんなが出てきたりするのですけれども、そこはちょっと置いておきまして、地域が出てきましたのは87年版ぐらいからです。私ももう少し勉強してみたいのですけれども、1963年度から全国を8ブロックに分けて地方科学技術振興会議なるものが開催されていたようです。後でも出てくるのですけれども、文科省は出先機関を持っていませんので、そういう面では霞が関が一つで全国の圏域をコントロールしているわけですけれども、地方ブロックに分けていろいろな議論をしていた時期があるということで、どんな議論をしていたのかというのは気になるところであります。
 先ほど中﨑さんの方から出ていましたように、90年代になってからかなり科学技術白書で地域の議論が活発になされてきます。それはなぜなのかという背景はしっかり押さえる必要があるかと思いますが、当時は四全総が出てきて、多極分散型の国土なんていうのが出ておりました。当時の首相は中曽根首相で、中曽根首相は科学技術庁とも大きく関わっている方ではあるかとは思うのですけれども、その辺あたりの議論も含めて、90年代になぜ地域がここで出てきたのかということは押さえておく必要があるかとは思います。
 それはともかくとしまして、92年版の科学技術白書を開いてみますと、科学技術の地域展開について、100ページ以上あり、科学技術白書の中で最も地域について熱い記述がされているのはこの版だと思っています。こんな話をしていると時間が幾らあっても足りないので、ちょっと駆け足になりますが、いずれにしても、90年代初頭、そして95年につながっていくのですけれども、科学技術基本法の中で、先ほど中﨑さんからもありましたように、自治体が科学技術の政策を作る必要があるということが言われてきます。ただ、現在の科学技術白書を見ましても、各自治体でどういう議論がされているか、どういう委員会があってどういうものを出しているかというのは、今は見えなくなっております。非常に危惧するのは、知的クラスターが廃止になって以降、おろそかになっているのではないかということです。ですから、そういうような空白があった後で、この委員会が、地域に登場してもらおうと言うのであれば、どういうような働きかけが必要なのかというのは重要な話かなというふうには思っています。
 白書の方はどうなっていったかといいますと、2007年からは地域イノベーション・システムという言葉が出てきます。その後、2012年から16年版については、地域についての記載は一切ありません。これは知的クラスターが廃止になった痛手というのかもしれませんけれども、要するに知的クラスターといったようなものをきちんと何であったのかというのを再検討した上での議論も必要かなとは思っています。
 先ほどありましたように、にわかに地方創生が出てきて、17年版には地方創生に資するイノベーション・システムの構築というのが出てきて、18年版はもうドラフトは出ているんでしょうけど、どうなっているかは私どもには分かっていないので、また教えていただければと思います。
 今度はこれまでの施策における地域の扱われ方なんですけれども、私の地域経済についての理論的な捉え方だと2つのタイプがあって、圏域型とネットワーク型というのがございます。国土政策とか産業立地政策、事例に新産業都市とか工業整備特別地域、テクノポリス等々、いろいろ書いてありますけれども、例えば1997年から2007年に走っておりました空洞化防止のところでものづくりの基盤産業を何とかしなくちゃいけないということでA集積と言われていたんですけれども、基盤的技術産業集積活性化促進地域というのが指定されていました。これにはちゃんと圏域が明確に区分され、そしてどれくらいの企業が集まっていないとだめだという形で、かなり細かい要件までも付けられております。こういうタイプのものが圏域型なのかなと思いますが、ただ、圏域が確定しておりますと、後でもいろいろ学問的にもやり玉に挙げられるんですけれども、新産都とかテクノポリスというのが成果を上げたのかどうかというのは数量的にはっきりと判断されてきます。結局、長らえた部分は結構あるんですけれども、ほとんどここで挙げているものは、今やなくなっております。
 さて、それで文科省の方はどうかというと、圏域を明確にはしていないというのが結論で、タイプでいえばネットワーク型なのかなと思っております。ネットワーク型というのは節になるようなハブと言ってもいいんでしょうけれども、そこから線が延びるような形になっている。文科省の場合には、知的クラスターもそうですし、いろいろあるんですけれども、基本的には大学がハブになり、そこから線が伸びていくというような形で、地域と言っていいのか分からないんですけれども、地域らしきものが取り上げられているかなと思います。
 知的クラスターから上げておりますけれども、それぞれちょっと違いがあったりするので、また個別に検討する必要があるかと思いますが、ここでは割愛させていただいて、あと、気になっているのは最近出されてきている拠点というやつですね。拠点形成の施策をどう位置付けるのかというところはやっぱり議論になる。まだ戦略支援プログラムぐらいのところは地域というのが見えていた。ただ、その後になってくると、大学の中でとどまっているんじゃないかなというのがあって、大学の中には立派な施設ができて、COIプログラムなど走っておりますけれども、じゃあ、それが地域に広がっているかというと、個々の企業にはある程度、線が結ばれていたりするんですけれども、地域全体に波及効果をもたらしているかというと、それはちょっと知的クラスターとかいろいろなものと比べると影響力は弱いのではないかなと思っております。
 次、お願いします。知的クラスターだけはどんな感じで走っていたのかというのを少し見ていきたいんですけれども、経済産業省は産業クラスターといいまして、そこは出先機関がありましたので、地方経済産業局の管轄区域というのはもう決められております。ただ、文科省の方は、圏域は都道府県もしくは市と書いてありますけれども、余り明確に圏域というのは設定しておりません。いろいろなタイプがあって、例えば北海道のところでいえば、北海道大学を中心にして円を書いておりますけれども、1期のところでは星が打たれています。けれども、その圏域を明確に線引きしろと言われたときに、線引きできるかというと、なかなかうまくできないんじゃないかと思います。1期から2期で数が18から9に減って、九州だと、北九州、福岡、久留米と分かれていたのが2期では1つになったりしているので、そういう面では、文科省は地域に対してどういうふうに考えてきたのかということをじっくりと議論したい気はします。
 ここからは、あまり時間もないので細かい話はできませんけれども、東北を中心とした知的クラスターで言うと、広域仙台の第2ステージですけれども、それと九州とを比較しながら、空間的な広がりみたいなものがどうなっていたのか、空間構造がどうだったのかというのを見てみたいと思います。
 ここも時間がないので、あまり長くということはないんですけれども、真ん中にインテリジェント・コスモス研究機構というのがありまして、歴史的にはインテリジェント・コスモスは四全総の頃に東北の人たちがかなり思想も含めて、非常に立派なものを掲げたんですけれども、そういうものが中核機関になって、当時としては仙台市、それから生協なども含めて、かなり市民も巻き込んだ形での知的クラスターを動かそうとしました。予防、健康とか、そういうやつなんですけれども、ただ、これは文科省にリアリティーがないと言われて、C評価という非常に厳しい評価を受けました。
 もう一つはシリコンシーベルト。これは福岡を中心にして先端LSIの拠点を作るということで、非常によくできた立て付けになっていますし、右側のところに韓国、台湾、中国、海外まで入っていて、非常に優等生的なもので、これはS評価を得ています。
 クラスター計画自体はこういう形で、経産省の方は産業クラスターが1期、2期走って、文科省の方も1年遅れですけれども、知的クラスター1期、2期が走っていたんですけど、九州はシリコンで行くというか、半導体で行くという形で、産業分野を特化した形で焦点化していました。東北はなかなか焦点を絞れないというか、例えば知的クラスターの1なんか、サイバーフェレスって何やるか分からないような、格好いい名前ではあるんですけれども、そんなようなものが2期になって少し先進予防型にはなったんですけど。それから、産業クラスターも最初のうちは高齢化とか循環型とかと言っていたんですが、これは原山先生と、ここにいらっしゃる福嶋先生がかなりてこ入れされて、産業クラスターの2期にはものづくりコリドーというのを出されて、産業クラスターは現在、自立化期に入ってしまいましたけれども、私は第2期の産業クラスターはすぐれていると思っています。
 いずれにしても、そういったようなものがどのような空間構造をなしていたのかということで、東北の経済産業局を中心にした産業クラスターの場合には、局が全部の単位で、仙台とか米沢とか北上とか郡山とか、こういったようなところを重点地域として、重点産業分野も絞った形で動かそうとしていました。それで、知的クラスターの方は破線で描いているんですけれども、ここは仙台市が中心になった形でやっている。なぜか仙台市がフィンランドと関係があるので、グローバル化しなさいと言われたときにフィンランドとくっついたということなんですね。右側の九州の方を見ていただきますと、ここは福岡市というよりは福岡県が中心になっている。ですから、同じ知的クラスターでも、市が中心になるのか、県が中心になるのかというのもまた違っていたりもします。そして、福岡の場合には他のアジア諸国との関係点、地理的にも近いということもあって、非常にそういう面では活発にいろいろな動きがあって、S評価にもつながっているのかなとは思います。ただ、九州の方は南北格差というのがなかなかうまく解消できていないのが産業クラスターの方の問題にもなっていたりします。
 これは知的クラスターとか産業クラスターという国の特定のいわば支援、政策にのっとったものであって、大学のパワーとか地域イノベーションをもっとトータルに見たときに、じゃあ、どうなのかというと、東北大学のパワーというのは非常に大きなものがあって、それは東京と線でつないでいるんですけれども、そういう面で言いますと、C評価なんですけれども、トータルの評価としては、実際に東北大学が東北地域で生み出した果実というのは九州大学が生み出している果実よりも全然大きいというようになるかと思います。一つの施策を地域との関係でどういう形で評価していくかというところは、要するに総合的に見ていく必要があるということなんですけれども、切り口によっていろいろ違うということになります。
 今までどちらかというと文科省の施策でしたけれども、これは先ほどの中﨑さんの話にもありました経済産業省の地域新生コンソーシアムというものを産学官の主体で、これは社会ネットワーク分析というんですけれども、可視化した成果になります。これは東北のいわゆるネットワーク特性というでしょうか、そういうものを示しています。東北大学が真ん中あたりにあり、S.S.は産総研ですが、産総研の東北センター、それから宮城県の公設試といったようなものとくっついているんですけれども、一目見ますと、そういうようなネットワークよりも山形大学、岩手大学、山形県の公設試といったようなものと企業との濃密なネットワークというものが見てとれるかと思います。いろいろなことを考えさせるんですけれども、ハブになっているような大学、東北全体で見れば、岩手大学が非常にパワフルであるということが分かるかと思うんです。これも一つの地域新生コンソーシアムというもののプロジェクトを基にしたネットワーク分析なので、ほかのものをどんどん入れ込んでいく必要があるんですけれども、こういうブロック単位で可視化するということが私は重要かなとは思っております。
 次は九州の方なんですけれども、九州の場合には東北と比べますと、ネットワークが非常に密である。星雲状、ギャラクシー状と言っていますけれども、産総研の九州センターを中心にしながら、九州大学や九州工業大学等とかなり企業も含めて濃密なネットワークが形成されています。東北と九州でどうして違うのかなんていうのも検討課題にはなります。
 地域の捉え方は、私も1回目で言いましたように、非常に重層的である必要があるんですけれども、地域イノベーションを地域の範囲で見ていくときには、結論的には私はここで挙げたような地方ブロック圏域で見ていくのがいいのかなと思っています。その一つの試みとして、この間、北陸を先行事例にしながら、地域イノベーションのプロジェクトの可視化を行っています。産学官ネットワークを、ここでは3つのプロジェクト、青が経産省の地域新生コンソーシアム、赤と緑は文科省ですけれども、赤が知的クラスター、そして緑が地域結集型といったようなものを重ねるような形の図を作っております。パノラマ、俯瞰図と言っていますけれども、左側に福井県を置いて、真ん中に石川県を置いて、右側に富山県を置いて、どの県が何について活発であるかとか、ハブになっているのはそれぞれ何なのか。福井で言いますと、緑が非常に目立つかと思うんですけれども、これは福井大学と福井県の工業技術センターですかね、公設試といったようなものが非常に強力なネットワークを形成している。こういう県、それから地方ブロックで見たときに、どういう特性があるのかというのを一目で見るようなことをしながら施策展開をしていくというのが大事かなと思っております。
 しかしながら、都市エリアとか、いろいろ新しいデータをとりたいんですけど、残念ながら、そういうデータが不足しています。ここは是非、事務局にもお願いしたいんですけれども、産学官が地方ブロックごとに可視化ができるようなデータを整備していっていただくと、地域のイノベーションの動きというのがより正確に捉えられるかなと思います。
 1番目の話できょうは終えるつもりだったんですけれども、2番目、3番目についてはまた別の機会があればと思いますけれども、頭出しだけですけれども、述べさせていただきます。
 2番目、地域における科学技術イノベーションの目的、これは前回の議論でもいろいろあったかと思いますが、私の個人的な意見では、国際競争力の強化だと思っています。これはいろいろな意見があるかと思いますけれども、地域にとってみると、やはり雇用であるとか付加価値額であるとか、ここでは出荷額の数字をテクノポリス圏域について取り上げていますけれども、そういうような金額で出てくるもの、雇用の数で出てくるもの、こういったようなものがやはり重要ではないのかなと思います。知的クラスターなり、いろいろなところで文科省の成果として上がってきますけれども、地域で生活している、働いている人からすると、やっぱりそういうものは遠いものだなというふうな感じはします。
 この図8自体は、長期的にテクノポリス地域の26地域を評価したもので、3つのタイプに分けられます。1つは、80年代優等生と言われていた青い棒が伸びているところ。すっと延び続けているところ、これがAタイプです。北上とか環大村湾。2番目のタイプは、当時、優等生で青い棒が伸びていたんですけれども、バブルがはじけた黄色、そして赤、2000年代に入りましてもマイナスが続いているようなところ。これは浜松とかになったりします。3番目のタイプ、これはおもしろいんですけれども、テクノポリスの頃は評価が非常に低くてだめな地域と言われていた、そういった地域が赤い棒を見ていただくと、非常に伸びているようなところがある。今になって伸びてきているような地域。要するに、地域の科学技術イノベーションといえるかどうか分かりませんが、テクノポリス政策の評価というのは、80年代の評価と現在の評価で全然違っているものもあるんだということは押さえる必要があるかなと思っています。
 なぜそういうことが起きているのかというので、これは地域イノベーションをかなり否定する形にもなるんですけれども、例えば北上川とか環大村湾というのはずっと優等生であり続けている地域なんですけれども、北上は電気機械が落ち込みましたけれども、トヨタによって自動車が伸びて、現在、非常に好調である。環大村湾でずっと電気が伸びているのはソニーが引っ張っている。浅間をごらんいただきますと、これはテクノポリス地域としては多いんですけれども、ずっと落ち込んできている。その原因は、当時のハイテク産業と言われていた電気機械産業がかなり厳しくなってきているというようなことによります。当時、劣等生というか伸びていなかった宇部、これは知的クラスターでも関わっている地域ですけれども、現在伸びているのは宇部興産を中心とした化学科学産業がいわゆる電池であるとか、そういったような部門で、スペシャリティー化学科学で伸びているというようなことによります。
 テクノポリスの評価はいろいろあるんですけれども、最後、テクノポリスが残したものというのを今、追いかけているんですけれども、実は地域イノベーションの中核機関として函館もそうですし、青森もそうですし、いろいろなところで現在の文科省のプロジェクトにつながっていったりしています。時間がないので省略しますけれども、中核機関の系譜みたいなものを押さえていく必要があるのかなと思っております。
 最後の話は時間も来ましたので、またの機会があればと思いますけれども、地方創生における科学技術イノベーションの意義なんですけれども、交付金の分析の結果、要点だけ言いますと、大学というよりは公設試験研究機関が熱心に交付金を取りにいっております。そういう面では、文科省のこれからの地方創生に向けた形での科学技術イノベーションをどういうふうに展開していくかということにつきましては、大学を中心にしたものをどうやって動かしていくか、非常に期待されるところが大きいかと思うんですけれども、それにつきましてはまた詳しく話をさせていただければと思います。
 長くなりまして申し訳ありませんが、私からの報告は以上にさせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、一通り御発表の方が終わりましたので、これより自由討議に入りたいと思います。
 自由討議に入る前に、前回、委員会を御欠席された委員の方、金子委員は発言されているんですけれども、一応、前回、皆さん、一通り時間を与えて話してもらいましたので、何かありましたら、お二人にお願いしたいんですけれども。
 じゃあ、金子委員からお願いします。
【金子委員】  金子と申します。事務局の方から事前に初めてなので自己紹介を兼ねた資料を作るようにという御依頼を頂いて、皆様のお手元にちょっと資料を用意させていただきまして、ちょっと議論の途中でまた話が戻ってしまうような感じになって大変恐縮なんですけれども、私がこれまでやってきたイノベーションに関連して、簡単に御説明をさせていただければと思います。
 私、東京に30年ぐらい住んでいますけれども、もともとは鹿児島県の出身で、九州を中心に県庁所在地でないところにも随分住んでおりました。それでイノベーションとの関わりということで言いますと、私、もともと監査法人に勤務している公認会計士なんですけれども、Winning Woman Networkという女性起業家のネットワークを立ち上げまして、4年間でネットワーク会員1,300人を超える方とネットワークしてまいりました。女性起業家、経営者といいましても、規模や成長段階というのが相当様々な方がいらっしゃって、課題が全く違うというところもございましたので、上場企業の女性社長の会、これはListed倶楽部と呼んでおりましたけれども、そのほか売上高5億円以上の女性経営者の会、あるいはIPOを目指す女性経営者の会なども行っておりました。業種も本当にいろいろで、製造業、ITというところから人材、不動産、教育、美容、ファッションまで、本当に様々な方がいらっしゃいまして、その中ではすばらしい女性経営者の表彰を行いまして、優勝された方にモナコのEOYに行っていただくようなEntrepreneur Of The Yearに参加していただくというようなこともやっておりました。
 では、次のページをよろしくお願いします。ちょっと今日、場違いな感じもするんですけれども、私どものWinning Woman NetworkはEntrepreneurial Winning Womanというのとコラボレーションをしておりまして、実はこの月末に東京でアジアパシフィック大会を開く予定にしておりますが、Entrepreneur Of The Yearは世界60か国を超える国と地域の起業家が参加するアントレプレナーの祭典です。ちょっと浮ついた写真のような感じもいたしますけれども、右側の写真がちょうど1年前にモナコに行ったときの写真で、真ん中のお姫様のような女性はジャスダック上場の企業の社長さんで、右側の女性は大阪の社長でIPOを目指されているという方々です。こういうパーティーの中で、中国、ヨーロッパの方々とビジネスチャンスを見つけていくというようなことをやっておりました。
 次のページをお願いいたします。私は科学技術だけでは必ずしもなかったんですが、この4年間、相当な数のベンチャー経営者の方とお会いしまして、その中でちょっと感じたことを書かせていただいんですけれども、私どもが表彰制度をスタートさせた理由というのは、成功事例を広く知ってもらおうという趣旨がございまして、地域ということを考えますと、地域の事情というのは相当に多様であろうというところは思うところなんですけれども、成功事例の分析を通した情報発信というのは、やはり学ぶことがたくさんあるのではないかと思っております。
 それから、2点目としては、今すぐでなくてもいいんですけれども、将来的には利益を生み出す可能性というのをたくさん感じさせていただくと、民間企業の協力というのは非常に得やすいだろう。特に若い人を中心にいろいろな人材を呼び込むためにはそういう可能性を感じさせることが大事ではないかと思っております。
 それから、3つ目は、グローバルという観点で言いますと、地域の中の課題を解決して、地域の中をマーケットにするということも十分あり得るというふうに思いますけれども、やはりグローバルをマーケットにすることによって事業化できる技術というのも相当あるのではないかということと、もう一つ、人材という観点で言いますと、小さな組織ほどマルチタスクをこなせる優秀な日本人を見つけるのはすごく難しいという声をたくさん伺っておりまして、やはり人も含めてグローバルな材料を生かしていくというか、いろんな視点を入れながらプロジェクトを進めるのが大切なのではないかなということを感じてきたというところでございます。
 以上でございます。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして福嶋委員、お願いします。
【福嶋委員】  東北大学の福嶋と申します。
 私はどちらかというと経営学の立場から地域イノベーションといったものをこれまで研究をさせていただいておりました。実は地域イノベーションに関してはアメリカを中心に研究してきたんですけれども、ただ、日本の地域イノベーションに非常に深く関わったのはJSTのプラザ・サテライトの審査ですかね、それに3、4年関わらせていただいて、こちらは2012年に事業仕分けでなくなってしまって非常に残念だったんですけれども、そのプラザ・サテライトの審査の中で物すごくいろいろ学ばせていただきました。
 1つ、仕事の中で発見したのは、地域によってかなり事情が違うと。だけど、地域の中にもかなりいいシーズ、あるいは目立ってはいないんだけれども、やる気のあるコアみたいな人たちが出てきて頑張っている地域というのがかなりあるということ。あともう一つ、このプラザ・サテライトの評価のときに、前半の方はどちらかというと各地域の中のネットワークの評価という、要は中の話ばかりしていたんですけれども、最後の方になってきますと、地域間を超えるということの方がむしろ重要だという議論が出てきて、最後の方は地域間をどれだけ超えたか、あるいはグローバルに展開したか、そっちの方を評価していきましょうよというような議論をしていた中でいきなり仕分けにあっちゃったということで、そこら辺が続かなかったというのは残念だなと思います。
 あと、もう一つ、非常に学びになったのは、コーディネーターという仕組みがかなり有効に使われていたんじゃないかということですね。各地域にコーディネーターという人がいて、そのコーディネーターの働きがいい地域とそうでない地域があるんですけれども、そんなにポテンシャルがなさそうに見えていた地域でも、コーディネーターによっていろいろネットワークが構築されて、それなりに成果を出し始めていた地域というものがあったと思います。ただ、最近、コーディネーターというのも、職としてはあまり確立されてなくて、期限が来ると、また次の人とか、有期で採用されていることがあって、これをある種、プロフェッショナルといいましょうか、比較的長期、もっと長期に雇用されるというような形のことをすればよいのではないかというような提言もプラザ・サテライトの最後の方にはされていたと思います。
 ということで、取りとめのない話になってしまいましたけれども、前回、何でも話していいというので、今日、ちょっと話させていただきました。
 以上です。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 残された時間が余りないんですけれども、ちょっと資料1の1ページ目を出してもらえますか。最初に生田さんから説明してもらった1、科学技術イノベーション活動の基本的方向性というところですね、それから2番目の地域がというのか、地域におけると言わなきゃいけないのか分かりませんけど、意義・目的、それから3番目に地域創生の流れにおける科学技術イノベーションの位置づけ、この辺について、残りの時間、議論したいと思います。後ろの方はまた次回にでもやりたいと思いますので、是非、この辺で先ほどの松原委員からの講演も含めまして、御意見のある方、よろしくお願いします。
 じゃあ、福嶋委員、お願いします。
【福嶋委員】  先ほどの松原先生の資料の中でネットワークの図があったと思うんですけれども、あの線はどういう意味というか、何と何をやったからつながっているんでしょうか。
【松原委員】  地域新生コンソーシアムというプロジェクトがあって、プロジェクトは多様なんですけれども、それぞれのプロジェクトに関わった大学、公設試験研究機関、企業というのをエクセルならエクセルでリストアップをして、それで専用ソフトを使ってこういう線で結んでいって、それぞれがプロジェクトにどう関わっているかを示していて、線が多ければ多いほどいろいろなプロジェクトに関わっているということを示しています。ハブになっているところと、どことどこが太くなっているかによって関係の強さみたいなものを示しております。
【福嶋委員】  プロジェクトということですね。
【松原委員】  はい。
【福嶋委員】  ありがとうございました。
 地域に関しては、一番最初の荒木さんの御発表で自治体とか、いわゆる行政の範囲で地域と捉える見方というのがあると思うんですけれども、先ほど松原先生の御発表の中に仙台の知的クラスターの話が出ておりましたが、あれも私、ちょっと関わっていまして、経産省の方では非常にお褒めいただいたんですけれども、実はいろいろ問題がありまして、やはり地域の中で地域単位でやることになると、みんな巻き込まなくちゃいけない。東北地方の特徴なのかもしれませんけれども、自治体、公設試、大学という、ある種、地域の中でプレーヤーを全員巻き込まないといけないといった礼儀というんですかね、地域の中でもいろいろ確執みたいなものがありますし、でも、実際にやってみると、このようなネットワークみたいに本当につながっている人たちというのがいて、結局、ネットワークとかこういったクラスターといっても、結局は人と人とのつながりなんですよね。先ほどもコーディネーターというのはとても重要だという話をしましたけれども、結局、クラスター同士がつながっているというのも、コーディネーターが非常に対外的に動く人、あるいは対内的に動き回る人が人と人とのつながりを作っていっているといった、実際の人とのつながりというのを踏まえた上での地域の捉え方というのをやられた方がいいのではないかと思います。
【須藤主査】  松原委員、何かございますか。
【松原委員】  社会ネットワーク分析、可視化したものだけしか示しておりませんけれども、これはいわゆる計量的に分析することができて、それぞれのネットワーク特性みたいなもので主となる主体が公なのか民なのか、それとも学なのかというようなことも見ることができますし、成果を上げたネットワークというのをより色を変えた形で可視化をすると、どういうネットワークが有効であったのかということまで見ることもできてきます。いろいろな使い方があるかなと思っております。
 以上です。
【須藤主査】  この図で企業はどうやって入ってくるんですか。
【松原委員】  プロジェクトの中で、例えば山形大学や岩手大学とプロジェクトを組んだ形で、ライフサイエンスとか環境とかものづくりとか、いろいろなものを全部、一緒くたにしてここでは挙げておりますけれども、それぞれのライフサイエンスの場合にはどうであるというのも別な図はあったりはするんですけれども、そういうような形でプロジェクトベースでここでは関わっております。もうちょっと先を出していただくと、北陸があるかと思うんですが、これは実は大きくすると、それぞれの企業名まで出てくるかと思います。先ほどグローバルニッチトップの話が出ましたけれども、かなり重要な企業というのが出てくるかと思います。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【林委員】  林ですが、生田さんの最初の基本的方向性のここの部分をちょっと見ながら、議論のことを思い出していたんですが、科学技術イノベーションのことをいろいろ考えていくときに、今日の委員会でも何回か議論が出てきた、今もまさに企業の話が出ましたけれども、企業の視点をどうやって入れるのか、ここは少しよく考えた方がいいかなと感じます。例えば、大学がサイエンスをやっているから何かイノベーションが出てくるという時代では全くなくて、やはり経済活動の中から、経済的なニーズの中から何をやればいいんだろうかという中でイノベーションが起きている。こういう時代の中で、企業はやっぱりそこにかなり敏感であるし、そこのニーズがどういうところにあるのかということと、地域の技術的な深さというのが合わせられるかどうかということを考えていった方がいいんではないかなと思いました。何回か今日も議論が出ていますので、そこら辺、吸い上げていただいてまとめていくといいかと思います。
【須藤主査】  他にございますか。
 西村委員、お願いします。
【西村委員】  ほぼ同じような意見になるんですけれども、今日話していいのかどうか、何をもって成功するのか、目指すところがよく分からなくて。さっきおっしゃったように、企業の視点から見たときに、最終的にはその地域の中に富が生み出されればよくて、その過程として、やっぱりエンジンとなるのは地域にいる企業かなと私たちは思っていて、例えば過疎化しているところだったら過疎化をとめたらいいとか、本当に伸びているような地域だったら、全く違う、日本を引っ張るような新しい企業を作らなきゃいけないとか、多分、その地域によって成功のレベルは違うと思うんですよね。その過程の中に、そこに達したということを測る尺度みたいなものを何をもって成功とするかという視点の中に、絶対、企業の売り上げの増加だとか、雇用数の増加だとか、そうなってくると、どこにてこ入れしなきゃいけないかというと、すみません、これは私ごとになりますけれども、三重県の中で特にやっているのは若手経営者の育成ですよ。若手経営者の育成と、そこの参謀になるような人材たちと、とにかくうごめき合いながら、ネットワーク作りながら、育てることですよ。それとあと、出口のところで、結局、感性なんですよ。ここまで行ったら、自分たちは成功だという、客観評価なんです、全てが。商売で勝てなかったら、幾ら偉い技術を作っても、偉そうな論文を書いても、全く意味がないんで、例えばほかの国にこの製品が確実に売れたとか、売り上げが倍になったとか、そういったことにつながるようなきちんとした指標みたいなものが必要なのかなと思ったので。そういう意味で、そうやらないとだめだよという人づくりは私たちはかなりやっているつもりで、逆に言うと、そうしないと経営者として恥ずかしいという意識を地域の中で熟成させる、育成していく、当たり前のようにしていくような感性ですね。その感覚が、雰囲気ができてくると、その地域というのは伸びるんだと思うんですね。だから、何か上っ面の話が先程からずっと続いているような気がして。失礼な言い方をしたらすみません。ただ、本当に地場歩いていて、現場の中からいくと、この人たちのそういう価値を見出すような雰囲気ができたときに、初めて動いていくのかなと。それをどう引っ張るかというのは、多分、重要なことだと思うので、その指標を考えていただければと思いました。
【須藤主査】  西村委員、例えば三重県の場合に北部と南部の方で同じ考えを当てはめてよろしいんですか。
【西村委員】  よろしいです。違う足場があるわけではなくて、北の方はさっき言ったグローバル何ちゃらというのがいっぱいあるんですよ。そこはもう放っておいてもがんがん伸びていくんですよ。それはそれでいいんですよね。南はもう完全に過疎化なんですけれども、前回のときにも言ったんですけど、生き残り組がたくさんいて、それらが結構強いんですよね。だから、一次産業でも、このクオリティーだったら絶対抜けられるというのはあるので、お金頂戴、何ちゃらかんちゃら支援してくださいと言って何となく生き抜いているような感じの人たちって、ほとんど恥ずかしくて生きれなくなってきている。やっぱりそういうことはもうそろそろはっきり言っていいんじゃないかと思うんです。すみません、僕、過激なんでこういうこと言っちゃうんですけれども。だから、自ら律して自立した人たちが集団輪を作って、その中で自分はこれぐらいやらなかったら恥ずかしいと。これをもって成功としてちゃんとして生きていけるんだという雰囲気を作れば、南の方でも生きていけます。
【須藤主査】  南の方にも十分使えるということですね。
【西村委員】  行けます、行けます。
【須藤主査】  分かりました。他にありますか。はい、どうぞ。
【斉藤委員】  資料1のページ1の科学技術イノベーション活動の基本的方性について意見を述べます。私は、この基本政策において、イノベーション活動の各々についての期待効果が何であるのか、活動を通じてどういう評価をするのか、成功や失敗を他の活動に活かすためにどうやってPDCAを回していくのか、という観点が抜けているのが気になっています。
企業であれば、営利法人ですので、当然、投資とリターンという経済効果を可能な限りつかんで見直しをすべきかを常に考えるわけです。テーマとしては多種多様で、産業的な価値を生むことを狙うテーマも、社会課題克服のテーマもあるので、一律の尺度では公正な評価は出来ないとの反論もあろうかと思います。ただ、それぞれの取り組みの定量目標も、定性目標もあり、それと現実の成果を見比べて、個別に評価をしてみることで、今後の方策に活かせる「学び」はあると考えています。
この、過去を振り返って、次の政策どうするのかというPDCAの仕組みを廻すことは、是非、基本方針に入れて頂きたいと感じています。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【加藤委員】  地域の範囲というところで言うと、農業ロボットとかをやっていると、製造系だと、現場があって、製造できる工場もあって、いろんな条件が必要ですし、また、システム系のことをやると、別に地域関係なく、もうグローバルにつながっちゃえばいいしというので、ここに書かれているとおり、確かに地域を限定するのは難しいし、業種によっても、目指す何かによっても全然違うなというのは現場にいて感じます。
 もう一つ、先ほどから人が大事だというのはまさにそのとおりで、幾ら過疎地であっても、わくわくできるところで、これは将来、5年かかるかもしれない、10年かかるかもしれないけど、おもしろそうだというと、いろんな人が寄ってくる。その熱量が何かを生み出すというのは、それは世界共通だと思うんですね。そのときに、これ、一番、日本が抱えている問題かなと思うんですけど、コンプライアンスがうるさ過ぎるというか、どうにもならないかもしれないですけど、例えば海外で研究所に人を世界中から呼び込みたいというときに、いい宿泊、いい食べ物、用意しますよね。それが国費の中から賄われている。日本の場合、いやいや、そんな贅沢は、研究です、国費です、清貧でいてください、清い貧しさで価値を生み出してくださいっていうのが流れになっているので、これだと、まあ、わくわく感は自分たちの稼ぎから何とかしてくれというのかもしれないですけど、まず清貧ありきで、その後、10年耐えると楽しみがやって来るみたいだと、世界の人たちから、あの場所はどうなんだろうみたいなことになっているのかななんて思うので。やっぱり人を呼び寄せるわくわくを地域のどこかに作らなきゃいけなくて、そのわくわくって、逆に言うと研究費よりも安く作れる。コンプライアンスとか、あと、事務ですね。私も2月ぐらいから4月ぐらいまで死んでいる。あの事務で研究ができない痛さは多分、先生たちも皆さん、経験済みだと思うんですけれども。あれは行政の得意な方たちがちゃちゃっと書いていただけると、すごい研究は進むんじゃないかなという気がします。
 以上です。
【須藤主査】  ありがとうございました。内島委員、お願いします。
【内島委員】  私の認識の誤解がありましたら申し訳ありませんが、この場は地域の科学技術、いわゆる地域活性化、それが日本全体の活性化につながることに向けて、地域が活性化するツールとして科学技術によるイノベーションを創出しようというところかなと認識しています。そのことを考えると、先ほど地域を圏域型ですとか、地域ブロックに分けて見る、というような地域の捉え方についてのお話が松原先生からありましたけれども、やはりある程度、何区分かにするような地域の捉え方をしなきゃいけないかなと感じました。そこにある産業とか、歴史とか人、人の層、文化、それが成り立っているハード面、その地域の気候、環境、地盤、その地域の規模別なのか、構成別なのか、今、挙げたようなもので分けていって、その幾つか分かれたものの中でどのような科学技術によるイノベーションを生みだすことができるかというシステムというのを考えていく形がいいのかなと。先ほど金子委員からも地域の事情は多種多様だという話がありましたけど、地域における科学技術によるイノベーションを生みだすシステムを共通のシステムとして捉えると言うことも難しいのではないかなと感じております。
 以上です。
【須藤主査】  他にありますか。串岡委員、何かよろしいですか。
【串岡委員】  私、実は1992年ぐらいに広島県における科学技術振興の在り方について、科学技術振興の基本方向って形で、私、書いたんですね。そのとき、大体、ほかの県だと、当該県の科学技術政策をまとめるというか、ある種の総合調整機能みたいな話があって、こんなことを各部局がやっているから、それをまとめましょうというのが多分、当時の問題意識だったと思うんですけれども。結局、どんなプレーヤーがいるかということと、県で何かやる場合にほかのところとどうやってつながったらいいのかとか、多分、今、言っている話は別に私は間違っていなかったと思うんですが、その後、その政策をもっとどうやって続ければよかったかというふうに思っていますけれども。そして、地域というのはあくまでも地域における様々な取組という観点で捉え、また、地域の捉え方も、もちろん、県だけではなくて、圏域だと隣の県と仲よくやっていたりする場合もたくさんありますし、最初おっしゃったような重層的だということで理解しながら進められたらいいのかなと思います。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 一応、時間なんですけど、松原委員、何か最後に言われますか。
【松原委員】  地方創生の話はちょっと舌足らずに終わりましたけれども、私が地方創生の中で一番言いたかった点というのは、地方に魅力ある雇用の場をどうやって作っていくのかということだと思うんですけれども、そのときにいろんなプレーヤーはあるかと思うんですけど、私の観点はどちらかというと大企業、多国籍企業でもいいんですけれども、そういったようなものを巻き込むような地域科学技術イノベーションの在り方というのを考えられたらどうなのかなと。地域に密着した企業ということになると、中小企業とかに光が当たりがちで、それも大事だとは思うんですけれども、大企業も巻き込むような形でやっていかないと、やっぱりパワフルなものが出てこないのかなということで、また機会があれば話をさせていただきますけれども、大企業の拠点を生かすような形で、企業城下町に関してはここにありますように歴史的に大学があるので、それを使ったような研究開発機能の強化と。マザー工場って、地方はそういうのが多いんですけれども、それのいわゆる研究開発機能を強化するようなものを生かしていくような立て付けがあったらいいなとは思ったりしています。
 以上です。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 今、最後に言われた企業をどうやって巻き込むかというのは非常に大事な点だと思いますので、今日の議論をもう一回まとめていただいて、大企業、あるいはベンチャー企業をどうやって巻き込むかというのをまた別の機会に一度、議論できればと思いますので、よろしくお願いします。
 一応、時間になりましたので、きょうの議論はここまでにしたいと思います。
 事務局の方からお願いします。
【植原専門職】  本日はありがとうございました。
 参考資料5をご覧ください。次回の日程ですけれども、6月11日月曜日、10時から12時で予定しております。場所は文部科学省15階第1会議室です。こちらの特別会議室の隣が第1会議室になっております。
 今後の委員会の審議の進め方としましては、本日のようにまず前半で関係者からの発表やヒアリング、あるいは委員の皆様からの発表等を行うといったインプットの時間を設けさせていただいて、後半で論点に沿った自由討議を行うというアウトプットの時間を設けることを考えております。
 なお、次回の委員会で御議論いただく論点につきましては、本日の委員の皆様の御意見を基に事務局にて整理をしまして、また事前に委員の皆様に御連絡させていただきます。また、今後、ヒアリングを考えておりますが、ヒアリングを実施する対象機関につきましては事務局から委員各位に御相談しながら調整させていただきたいと思います。
 以上です。
【須藤主査】  それでは、これで今日の推進委員会を終わりにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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