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産業連携・地域支援部会 大学等知財検討作業部会(第4回) 議事録

1.日時

平成25年12月19日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学等の知財の活用方策について
  2. その他

4.議事録

【三木主査】  おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会大学等知財検討作業部会の第4回を開催いたします。
 本日、委員の出欠状況ですけれども、委員のうち、中野委員が御欠席ということになっております。他の委員の先生方には、皆さん、御出席いただいております。どうもありがとうございます。
 まずは事務局より、配付資料の確認をお願いいたします。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  それでは、お手元の資料を御確認ください。資料といたしまして、資料1から3を用意してございます。
 資料1としまして、事務局よりの資料でございまして、大学等における知的財産の状況という資料でございます。資料2といたしまして、北海道大学様からの資料でございます。北海道大学における特許等の出願・維持、管理、技術移転という資料でございます。資料3といたしまして、新潟大学様、山梨大学様よりの資料となっております。大学知財の海外展開とリスク管理についてという資料でございます。
 もう一点、参考資料1といたしまして、この作業部会での中間取りまとめの資料を付けさせていただいてございます。過不足等ございましたら、途中でも結構ですのでお知らせいただければと思います。
 以上でございます。
【三木主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、早速審議を進めてまいりたいと思います。
 前回の作業部会までに、知財を集約し、活用する方策について御審議を頂き、先ほど御紹介ございましたように参考資料で、今日付いておりますが、その中間取りまとめを行ったところです。本日は、知財の棚卸し方策、それとともに海外への技術流出や訴訟等のリスク管理について審議を行いたいと思います。
 議論を深めるために、本日の前半では北海道大学における取組、並びに山梨大学及び新潟大学でのUCIPにおける取組について、それぞれ大学に御説明を依頼しております。そして後半では、それらの御説明を踏まえ審議を行いたいと考えております。
 まずは事務局から、本日の議題に関する基礎的データについて説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  それでは、お手元の資料1をごらんいただければと思います。
 先週、平成24年度大学等における産学連携等実施状況調査がプレス発表されてございますので、大学の産学連携の数値的な最新状況をお知らせさせていただければと思ってございます。
 1ページ目をごらんいただければと思います。左側の図でございますけれども、民間企業との共同研究の受入れ金額と件数の推移でございます。平成23年度から金額、件数ともに着実に増加しているという状況でございます。右側、オレンジの棒グラフでございますけれども、民間企業との1件当たりの受け入れ金額の推移というところで、単価といたしましては、205万円、202万円というところで推移しているという状況でございます。
 続きまして、2ページ目をごらんいただければと思います。こちらは特許出願件数の実績の推移でございます。左側の棒グラフでございますけれども、平成23年度、外国出願、国内出願合わせて9,124件でございましたけれども、総数といたしまして、24年度では9,104件と微減しているという状況でございます。右側の折れ線グラフでございますけれども、こちらは大学からの出願に占める共同出願の件数の割合でございます。大体60%前後で推移してございまして、傾向としては平成24年度の状態でも変わらない状況でございます。
 続きまして、3ページ目をごらんいただければと思います。こちらは大学での特許保有件数の推移を示してございます。平成23年度は国公私立合わせて1万4,000件程度ございましたけれども、平成24年度の末時点での実績では約2万件弱という状況となっておりまして、近年、件数としては右肩上がりで非常に速いペースで増加している状況でございます。
 続きまして、4ページ目、御紹介させていただきます。こちらは特許実施等件数及び特許の実施料等の収入を示してございます。折れ線グラフでございますけれども、実施等件数が、昨年に比べて8,800件、およそ3,000件ほど見かけ上は増えてございますけれども、こちらは数値のカウントを整理させていただきまして、大学間で一部答え方にそごがあったところを整理した結果、件数として増加したという状況でございますので、一応点線で書かせていただいてございます。収入額といたしましては、平成23年度10億円程度でございましたけれども、平成24年度におきましては15億円程度と増加しているという状況でございます。
 続きまして、次のページに進んでいただければと思います。本日、以降の議題に関係するデータかと思いますけれども、大学等の知的財産の棚卸し状況でございます。こちらは減った要因が何かを聞いているものでございまして、譲渡したものにつきましては国内外合わせて191件減っていると。うち学内の中で譲渡したものについては152件という状況でございます。権利期間切れにつきましては、全体で65件ほど発生してございまして、特許料の不納又は放棄という要因に関しましては、613件減っていると。また、その他要因も2件ほどあるというような状況でございます。保有件数といたしましては2万件ある状況でございますが、その中で特に減少した要因について、どういったことがあったかというところを示してございます。
 そして最後でございますけれども、こちら、保有している特許等の知的財産の侵害調査につきましても、調査の中で伺ってございます。
 マル1の図でございますけれども、特許権等について国内外で侵害調査を実施した機関数というところを年度別で書かせていただいてございます。平成24年度におきましては、国内で侵害調査を実施した機関が11機関、外国で実施した機関が2機関あるというような状況でして、大体10件程度ずつぐらいで、過去5年程度は推移しているという状況でございます。
 マル2につきましては、特許権の共有相手から第三者が侵害しているという報告を受けた機関数でございます。平成19年から24年にかけまして、5件から10件程度で推移しているというような状況でございます。
 下ほど、マル3のところでございますけれども、平成24年度までに侵害調査を実施したことがある機関数といたしましては、全大学の中で39機関とデータ上表れているところでございます。
 以上でございます。
【三木主査】  ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局からの御説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 はい、どうぞ。
【柳生委員】  最後の侵害調査というのは、どういう意味ですか、すなわち侵害というのは何か実施したことが侵害になるということですので、必ずしも特許を保有していることと一義的には結びつかないと思うんですけど。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  こちらは、実際に大学がどういう調査をしたかというデータよりは、特許権に関する知的財産に関して何か国内で侵害調査をしたことがありますかというのを、イエス・ノーで聞いている状況でございます。実際にどういう活動を大学様がしたかというところについては、今、省として把握してございませんが、ただ、イエス・オア・ノーでお答えいただいて、その機関数を計上させていただいているという状況でございます。
【三木主査】  ほかにはございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、続いて大学からの御説明の方に移りたいと思います。まず北海道大学における取組につきまして、北海道大学産学連携本部の末富弘知的財産本部長・技術移転室長より御説明を頂きます。
 末富先生、よろしくお願いいたします。
【末富北海道大学知的財産部門長】  皆さん、おはようございます。北海道大学産学連携本部の末富でございます。本日は、このような場で私どもの取組について御説明させていただける機会を頂きまして、厚くお礼を申し上げます。
 それでは、北海道大学における特許等の出願・維持、管理、技術移転について、資料に従いまして説明をさせていただきます。
 まず、本日のテーマは保有案件の棚卸しということで頂戴しておったんですけれども、私どもの考えとしましては、棚卸しというのは、本学における産学官連携活動の中の、ある一つの行動でございまして、全て他の活動と関連している、そういうぐあいに考えております。したがいまして、本学の、要は産学連携における知的財産の活用についての基本的な考え方から説明をさせていただきたいと思っております。
 まず基本的な考え方としまして、産学連携における特許戦略は、社会でいかに活用されるか、それを中心に考えております。
 続きまして、この活用自体も実際は最終的に企業における事業化であるとか、サービスの確立であるとか、それはいろいろあるんでしょうけれども、その前段階の企業との共同研究であるとか、公的プロジェクトの獲得、これも考慮しております。更に今申し上げましたように、事業化は最終的に企業が担うものでございますので、そのための特許の扱いはライセンスにこだわらず、譲渡等も含め柔軟に対応しております。また、特許の中身が非常に問題になりますので、少なくとも大学が出願する特許につきまして、なるべく企業がきちんと活用できるレベルの特許にしたいとも考えております。一番下にいきますけれども、国際的な研究協力や事業化のため海外出願を重視しております。
 本学のこれまでの取組を簡単に書いてきました。ポイントはスクラップ・アンド・ビルドの徹底と、それのバックボーンとなる業務管理体制の改革でございます。
 スクラップ・アンド・ビルドは、これは言うまでもなく、スクラップは保有している案件で活用の可能性が低いものは放棄する。ビルドは、新しいネタを見つけて積極的に特許出願をする、そういうことでございます。平成15年10月に知的財産本部が本学でも発足しましたけれども、毎年棚卸しという名前でランク付けはやっておりました。ただ、最終的にランク付けをするだけで、その後のフォローがほとんどなくて結局形骸化しておりました。それではよくないだろうということで、2年前に発明評価基準を導入しております。更に発明評価基準に従った棚卸しも実施しております。それは後ほど説明しますが、出願時の基準の明確化、6つの基準がございます。それから維持の基準の明確化、それから最終的に製品化、事業化に向かうまでのロードマップの作成の義務付け、これでございます。
 一方、業務管理体制はどういうぐあいにしたかといいますと、業務処理の簡略化、それから業務ツールの高度化及び効率化、これも後ほど説明しますけれども、決裁における部門長決裁というのを導入しております。従来、本学の公式な機関で外部委員が入っている知的財産審査会というのがございまして、これは2週に1回やっているんですけれども、そこで様々な決裁を行っていましたが、この部門長決裁を導入することによって非常に専門的になり、かつ時間が短縮された。更に業務ツールとしては、これも後ほど説明しますが、徹底的に自分たちがどういう業務を今やっているのか、これはシステムでございますけれども、それを導入しまして管理事務を効率化して、人件費削減を達成しております。
 これが本学の産学連携本部の体制でございまして、今言った活動につきましては、基本的にこちらの知的財産部門でやっております。これが先ほど申し上げました、知的財産審査会で、実際に最終的に職務発明の認定であるとか、出願・取消し、あるいは契約を最終的に決めるところでございます。
 これは完全に個人情報になるのですが、メンバーでございます。実はTLO部門で技術移転を行うのが普通ですけれども、大学の組織改正の関係がありまして、実態と異なっております。今こちらでやっているのは、食と健康に関わるプロジェクト等を専門にやっております。
 こちらが私ども、まさに知的財産の出願、管理、維持、それから技術移転をやっているセクションでございます。全員、企業での業務を経験しております。ベテランぞろいです。この2名が弁理士の資格を有しております。あと、この真ん中のマネジャーが実は民間企業で知財部に十数年在籍しておりまして、そちらの業務の効率化をやっておりまして、その効率化を今導入して非常にうまくいっております。
 これが実は人員の推移でございます。平成23年度はトータルで26名、24年度は25名、それから25年度は20名になっております。ただ、今、欠員が1人おりまして、実際は19名でやっております。この青線の中が、今申し上げた活動を中核的に行う部門長、マネジャーでございます。下の赤線の中が、知的財産事務を事務的に処理するメンバーでございます。こちらは、24年度から25年度にかけまして、この中核人材が2名減っておりますけれども、これは大学産学官連携自立化促進プログラムで採用した人数が、24年度で終了しましたので減った分でございます。実は5名減ったんですけれども、そのうち2名を再雇用しておりまして、こういう数字になっております。あと下の知財事務の方は、実数で減っております。これを見ていただければ分かると思うんですけれども、要はお金の面で見たら、収入と支出、全てトータルで見ないと棚卸しの意味というのはよく分かってこないと思います。
 これは発明発掘から出願・維持、技術移転までの基本的な流れでございまして、発明の連絡があった場合に、先ほどのマネジャーが研究者のところに行って、相談、ヒアリングを行い、研究者が発明届を作成して提出。それから知的財産審査会にかけて、ここで職務発明の認定、あるいはそれを承継するかどうか、あるいは契約をどうするか、そういう判断を行います。
 これは平成23年9月に導入した発明評価基準です。上の3つが事業化可能性、下の3つが特許化可能性に関わるものです。順番どおり、事業化可能性を重視して取り組んでおります。
 まず、製品イメージ。特許が使われる実際の製品であるとかサービス、そういうものが想定できるかどうか。それから、2番目に市場規模。これは市場調査報告書等を活用するとなっております。実際に今、市場があるかどうか、そのうちの市場を、その技術の優位性によってどれだけとれそうか、あるいは新しい市場を作るか、そのあたりをやっております。それでこの市場調査報告書等と書いてありますけれども、先端的な技術になればなるほど、非常にこれは分かりにくくなります。ですから、これはかなり広めに考えております。それと、あと専門性の問題で、私どものマネジャーでできない部分がありますので、これは平成25年3月に、ある承認TLOに医療関係をお願いしたのを数十件作ってもらったのがあります。それは実際に今活用しております。
 それからロードマップです。要は最終的に製品にいくまでの特許活用、例えば共同研究の獲得であるとか、技術移転というのも当然あると思いますけれども、そういう具体的な計画や展開をここに書いております。一方、特許性については、大体月並みというか、新規性、進歩性、それから排他性、それから利用関係、こういうものを調べております。
 これが実際に使っているシートでございます。これが判断材料になります。これは必ず、どんな長いものでも1枚でやることになっております。後ほど説明しますが、これと、先ほど申し上げたロードマップが一対になっております。まず、発明の名称、それから発明者、権利の状況、それから発明の概要です。この下の6つは、先ほど言いました基準でございます。丸かバツかで判断しております。三角というのはございません。ここに書いてあるとおり、例えばこれでいけば、こういう事業化可能な製品がありますよと、それから市場もありますよねと、それからロードマップもできていますよねと、全部これが丸になっております。全ての項目が丸の場合は必ず出願を行います。
 次は残念ながら出願を行わなかった事例でございます。順番にずっときていまして、これが先ほどと違うのは、共同研究を基にした共同発明でございます。それで、まず市場の有無で、アンダーラインを引いておけばよかったんですけれども、要は市場として余りにも小さ過ぎる。つまり、年間のロイヤリティーが数万程度しか見込めないということで、これは持っていてもしようがないだろう、そういう判断をしております。つまり、この段階でバツを付けましたので、他は評価しないで、そのままマイナスにしてやっております。結論としては、共同発明の企業が譲渡をしてくれという話がありましたので、これは有料で譲渡を行っております。
 これがロードマップでございます。これも1枚で書くことになっております。マネジャーが一番困っているのは実はこれなんです。要は最終的に予測を立てなけりゃいけないという、ただ、そこまで先ほど申し上げたように大学の研究というのは、本当に先端的になればなるほど先が分からないという、読みにくい面がございますので、それを考えた上でやっております。上が権利化のステージでございまして、下が事業化のステージです。一応出願をしまして、それから国内優先権期限、あるいは海外出願優先権期限ですね、それが1年後に来ますので、それがまず第一歩。それから、その次は海外移行期限、これを第二歩として考えております。
 まず発明を特許出願しまして、これは具体的な企業名が実は書いてあるんですけれども、どこどこに打診して、それで共同研究にいったら、次の優先権主張もこれは行うという話になってきます。更に海外出願が非常に重要な形になりますので、念のためと書いてありますけれども、JSTさんの方に事前に打診をして、それの可否も確認するという形になってきます。それで共同研究がオーケーになりますと、ずっとやるうちに、これは触媒の関係なんですけれども、こういう成果が出てくる。成果が出てきた場合、そのいろいろな関係を見た上で次のステップにいけるとなれば、海外への移行を行うと。つまり、第一の段階は、まず共同研究がとれるかどうか、それから第二の段階は、この共同研究の成果が出たかどうか、そこで具体的に考える話になります。一方面白いのは、これは触媒関係なんですけれども、試薬用途で使える可能性がありましたので、駄目な場合でもこちらの方で試薬に持っていくという活動をしております。
 これは従来、棚卸しと言っている出願維持判断基準でございます。当たり前なんですけれども、実施許諾、オプション契約が存在する、あるいは具体的なライセンス先が想定され、実施許諾交渉が進行している。次が一番問題になるんですけれども、ライセンス先は未定、ただし、先ほどの発明評価シートの6基準に当てはめまして、それに合うのであれば継続します。あとは外部資金との絡みでございます。
 したがいまして、私どもでやっている出願維持管理は、従来言っている、例えばスーパーなんかで決算期に在庫を全部調べて棚卸しをやりますよね。ああいうものとは違います。ですから、棚卸しというよりも、都度アクションごとに対応を考えている。だから、マネジャーにとっては、常日頃、教員、研究者と接触しなければいけないし、その動向を見なければいけないということで、大変ではありますが、これはもう徹底してやっております。
 次、これは非常に重要な話なんですが、業務管理体制の改革をやっております。先ほど申し上げましたように知的財産審査会と部門長決裁という二本立てに変えました。知的財産審査会は新規出願であるとか放棄、それから部門長決裁は、それよりもちょっと軽い方ということでやっております。知的財産審査会は2週間に1回でございますけど、部門長決裁は私は毎日やっておりまして、それで非常に迅速な処理ができております。あと、業務管理体制はアクセスを利用して、いろいろなインターフェースの作り込みを行っております。まず、先ほど申し上げた知財事務がいろいろな情報を入手して、一方、マネジャーはいろいろな期限の確認であるとか、決裁の依頼もします。私は、このシステムに乗っかってボタンをぽんっと押すだけで部門長決裁が終わると、こういう形になっております。
 結果、どうなったかといいますと、新規基礎出願ですね。これは北大費用負担ありで、単願もあれば、費用負担ありの共願もございます。これは23年度から始めまして、それまでは大体100件前後だったんですけれども、23年度は70件程度、それから24年度は50件程度に減少しております。
 続きまして、今申し上げた北大の費用負担がある保有案件につきましては、やはりピークが22年度で、800件近かったのが760、それから670ということで、これも減っております。それから、PCT及び外国移行出願については、PCTの出願は当然絞り込みも厳しくしているので減ってはいますけれども、外国移行は既に出しているものについての対応がありますので、これはまだ減っておりません。これを見て、確かに棚卸しというか、削減の効果は出ているんですけれども、先ほど申し上げたように削減するのが目的ではありません。その分をいかに新しいものに持っていくかという、そういうことを考えたらこの数字で喜んでいいのかどうか、少し考えさせられる数字ではあります。
 次、やはり削減とパラレルで見ていかなければいけないのが技術移転の実績だと思います。本学はライセンス収入等、商標も全部含めてですけれども、21年度は2,300万、22年度は3,300万、23年度は5,900万、24年度は6,500万という形で来ております。特徴的なのは、やはり譲渡が増えております。この譲渡は、1つ大学発ベンチャーから上場準備をしているので譲渡をしてくれと、そういうのもございました。一方、我々としては扱いが非常に難しいので、LSIPに譲渡した案件もあります。LSIPに平成23年度だと300万、24年度は600万、今年度も1件交渉中でございます。それから、もう一つ、MTA、成果有体物です。これは非常に力を入れておりまして今伸びてきております。先週も2万ユーロの決裁をしてきました。トータルで10万ユーロぐらいになる可能性が高いので結構な収入にはなってくると思います。
 これは先ほど申し上げた北大発ベンチャーの例で、昨年、東証マザーズに上場しております。これは情報としては出せないんですけれども、上場のためのデューデリジェンスをやっている中で、弁護士から、要は自分の権利にしなさいよというサジェスチョンを受けまして、それに従って私どもも上場のためであるならばということで譲渡を実施しました。結果、特許権等を譲渡して、その後にマザーズ上場。ただ、譲渡したから上場したわけじゃなくて、上場の手伝いとして譲渡をいたしました。
 次、ライセンス収入及び特許経費についてですけれども、このライセンス収入は、さっき言ったトータルのとは違います。実施許諾、譲渡、著作権、MTA、ノウハウ等。商標は除いています。それから特許経費は、全特許経費からJST支援分を引いた額でございます。22年度はマイナス2,600万、23年度はマイナス1,000万、24年度はプラス762万3,000円になっております。これは恐らく最も早いスタートの段階における収支の判断だと思います。企業で言えば、粗利益に近いような感覚かなと思っております。
 それから1点だけ、今JSTさんの方で海外出願支援制度を検討されているということで非常に期待しているんですけれども、今聞いているところでは従来の方式と、それからもう一つ譲渡を受けて特許群でやられるということで聞いておりまして、そういう場合は、大学としても海外出願戦略を変えていく必要があるのかなというぐあいに考えております。いつまでも大学が持つのが果たしていいのかどうか、それは費用の面もありますし、特許の、特許群、ポートフォリオの問題もありますし、そういうものも、あるいはライセンスも含めて、その辺の戦略は変えていく必要があるということで、今、私どもの中でいろいろ話をしている最中であります。
  今後の課題です。先ほど申し上げたようにスクラップ・アンド・ビルドをやらなければいけないんですけれども、スクラップはかなりシステマティックに進んできておりますし、ある意味マネジャーの意識もかなり均一になってきました。だけど、新たな研究成果を発掘しないと、これは何のためにやっているんだという話になりますので、これは最重要課題と考えております。それから、もう一つ、実際に事業化をやるためには、知財の作り込みや技術移転の専門性は絶対必要です。その場合は、事業化を展望した知財の作り込みや技術移転の専門性の強化が必要と書いてありますけれども、今、本学としてやっているのは、発明段階から専門家、弁理士を入れて、知財の作り込み、権利化を1つ試行しております。それから、もう一つ、外部TLOを活用した技術移転等を既に試行しています。ただ、これだけだとまだまだ不足しておりますので、いろいろな意味でさっきの海外出願も含めて、支援機関との連携強化が必要だと考えております。それから、やっぱり人材が非常に重要だと考えております。本学におきまして、平成24年度にマネジャー職の正規雇用を実は実現しております。今8名いるマネジャーのうち、7名が正規雇用になっております。ですから、中期的・長期的な人材育成が可能になってきましたので、その視点に立った能力開発をやっていきたいなと考えております。
 次は全く話が違うんですけれども、実は海外への技術流出の対応と、それから訴訟対応等、是非北大の取組を書いてくれないかということで書いてきました。これは正直言いまして、なかなか進んでおりません。これは安全保障輸出管理の関係なんですけれども、当然いろいろな必要な制度を作って、仕組みも作っております。ただ、実際にはまだこれが残念ながら教員全員に十分には浸透していないという状況がございます。また一方で専門家ですね。専門家って誰のことを言うのか、なかなか難しいんですが、商社で実務をやった方、あるいは経産省の方、あるいは国際弁護士の方なんでしょうけれども、これがやっぱり不足しておりまして、今後の対応に不安が残っております。年1回程度、安全保障輸出管理に関する啓蒙活動は行っておりますけれども、まだまだ浸透していないという、これが悩みでございます。
 それから、リスク管理につきましては何で契約とかたくさん書いたかといいますと、これは私自身の個人的な話になってきますけれども、大学の中に例えば法務・コンプライアンス部とか法務室というのが必要なんじゃないかという実は意見も持っております。もちろん費用対効果とかありますけれども、こういう形でやっております。全部間違いなく対応はしております。組織も作っておりますし、必要な規定は作っております。ただ、実効性の問題はどうかというと、やはり問題は出てきております。特に先ほど訴訟の話にありましたけれども、弁理士による第三者による侵害の意識向上を図る講習会をやったことがあります。ただ、これは単発です。それから、顧問弁護士が2名いるんですが、病院関係とか学生関係の訴訟対応はしっかりできているんですけれども、知財関連の訴訟が実はまだ1回もないものですから、そういうこともあって体制が不十分になっております。
 あと、我々としては先ほど法務・コンプライアンス部、あるいは法務室の話をしましたけれども、果たして大学として、本当の専門家、弁護士等、あるいは専門家と大学をつなぐ専門人材、どちらが必要なのかと。それから、最後の組織の課題としては大学法務・コンプライアンス部を作る必要があるかどうか、これは今課題として検討をしている最中でございます。
 すいません、最後は相当雑ぱくな話になりましたけれども、以上でございます。御清聴ありがとうございました。
【三木主査】  末富先生、どうもありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、委員の皆様方から御質問等があれば、お願いいたします。いかがでしょうか。はい。
【長澤委員】  キヤノンの長澤でございます。幾つか質問をさせていただきます。最初は、例えば我々の組織と比べた場合でも、今回御説明いただいた内容は非常によく考えられていると思います。弊社でも、発明を発掘することが結構重い仕事になっているのですが、今の御説明ですと、フローチャートでは発明があったら、すなわち発明届が来たら対応するという感じに受けたのですけれども、プロアクティブに発明を掘り起こそうという動きはあるのでしょうか。
【末富部門長】  大変的確な御指摘でございます。今の人数では発明届、当然、大学、私どもは職務発明規程ができておりますので、それにのっとって発明届を出すんですけれども、それの対応が大体精いっぱいに近い状況ではございます。ただ、それではよくないので、今は試行ですけれども、例えば新任教員には直接行って、本学の産学連携の考え方であるとか、職務発明規程、それから場合によっては研究の成果を聞くようにしております。また単体ではなかなか難しいので、FD研修、ファカルティー・ディベロップメント研修のことですが、これは集合の新任教員の研修なんですけども、そういう場でもやっておりまして、地道な活動をやっていかなきゃいけない。あと、もう一つのポイントは若手教員じゃないかと思っています。それについては、若手教員の団体とやりながらいろいろ進めている最中で、まだ成果として出ているところまで入っていません。以上です。
【三木主査】  よろしいですか。
【長澤委員】  では、もう一つお願いします。
【三木主査】  はい、もう一つ。
【長澤委員】  質問ではないのですけれども、特許になる技術というのは、そんなに高尚なものばかりではないと思います。実際に権利化してみると、これでも審査が通るのだというものがかなりあります。実際に、こういうものが特許になったという事例を先生方がお分かりになると、実は特許になるのではないかというアイデアが出やすくなると思います。以上です。
【末富部門長】  はい、ありがとうございます。
【三木主査】  ほかに。はい、どうぞ。
【前田委員】  マネジャーの方を正規職員になさったというお話は、すばらしいなと思いました。そうすると、スタッフ、マネジャーと書いていらっしゃる方々は皆さん正規雇用でしょうか。
 もう一点お伺いします。正規雇用といっても、文部科学省が第3の職位と言われるような、教員と事務員とは異なる、またもう一つの職位とか言われる職種でしょうか?どういう形で雇用されているのか教えていただけたらと思います。
【末富部門長】  まず、マネジャー、チーフマネジャーは現在8名おりますけれども、1名だけ任期付きでやっております。これは年齢的なものがありまして、正規雇用でやるよりも任期付きでやった方が有利だという面でございます。それと職としては、私ども学術専門職、主任学術専門職ということで、まさに第3の職位になっております。珍しい条件で、こんなこと言っていいのかどうか分かりませんが、給与は教員並みでございまして、あと労働条件が事務職員並みという状況です。
 あと、正規職員を採用したんですけれども、実は大学にとっても非常にリスクのある話なんです。それは例えば何万人も社員のいる企業さんでしたら、もしやってみて合わなければいろいろなところに回せますけれども、たかだか20人ぐらいの組織で回すことは非常に難しいと。それで実はハードルがあります。3年間の業務を見た上で、その後、正規雇用にして60歳の定年までやるかどうか、あるいは3年で雇用を打ち切るか、それを判断することになっています
【前田委員】  すばらしい雇用の仕方で、モデルケースというか、他大学も参考になるんじゃないのかなと思いました。
 もう一点よろしいでしょうか。
【三木主査】  はい。
【前田委員】  文部科学省さんの説明にも関係するのですけれども、大学は、上がってきた発明届出を2週間に一度審査して出していくのが精いっぱいというのが現状だと思います。しかし、特許というのは持っていても仕方がなくて、訴訟対応ができなくては全く意味がないものですから、訴訟のための人材というのが大事だと思うんですね。
 いずれJSTさんにプールしていただいて、群で価値を高めるというふうになると思うんですけれど、みんなから集めてくるところにばかり注力されてしまいがちですが、集めた後の運用の仕方にも力を入れてほしいと思います。例えば、弊社の場合ですと、知財部の3分の1ぐらいは、他社が侵害していないか、また、自分たちが訴えられないかを見張る人間がいるんですね。大学にそれを置くのは難しいので、集めた群の特許の価値を高めるのであれば、それを侵害していないかどうかを見張るための人材を充実させていただきたいです。繰り返しになりますが、是非ともJSTさんには人材にお金をかけてもらいたいなというのをすごく感じています
【三木主査】  ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ。
【上野委員】  IBMの上野です。様々なプロセス、基準を設けられて管理されているところがすばらしいと思いました。その中で、2つほど質問があるんですけれども、まず2ページのところで、企業が活用できるレベルという言葉がちょっとぴんときませんでした。事業化に向けての短期、中期、長期というような意味でのレベルなのか、そのあたり、どういった御趣旨でこういう基準、考え方を持たれているのかということを御説明いただきたいのと、あと、それから出願をするかしないかの基準のところがありましたけれども、6つぐらいの基準を付けて……。
【鮫島委員】  9ページだね。
【委員】  失礼しました、9ページですね。6つの基準で出願の要否を判断するという点に関して、恐らく電気・ITの分野での視点からのコメントですが、この分野は北海道大学さんでは余りやられていないのかもしれません。この利用関係という部分に関して言いますと、他社なり他の特許技術を使わない技術というのは、電気・ITではなかなか存在しないと思われまして、そうすると、これを基準にした場合、ストレートに適用すると、その1件の特許だけで実施ができるようなものを出願するということになり、これはなかなか難しいので、ひょっとしたらば何か違う基準も採用されているのかなとも思いながらお聞きしていたのですが、その2点をお願いします。
【末富部門長】  最初の2ページの企業が活用できるレベルというのは、ちょっと話を戻しますと、要は大学が単独出願した特許で企業さんが使ってみたいなというのがやはりあります。ただ、それを実際、中身を見て見ると穴だらけであったり、既にほかの企業に包囲されていたりで実際に活用できないという、それは大学の事業化に向けた考え方の甘さであるとか調査の甘さであるとか、専門性の不足なんですけれども、そういうことのないように最初の段階から代理人、あるいは企業さんを入れてやっていきたいという。つまり、企業さんがきちんと特許として評価できるような、使えるような、そういうものを想定しております。
 続きまして、利用関係のところ、これは本当に上野委員の御指摘のとおりでございまして、機械装置であるとか、あるいはライフサイエンスでは全くやり方が違うと思います。今のところ、この利用関係のところで複雑なものについては、残念ながら私どもとしてはなかなか保有しないという結論が出ております。ただし、研究成果をきちんと使うという意味では、それじゃ当然よくないわけで、そのあたりいろいろな専門的な機関、大学でできることでは本当に限界があるものですから、先ほど前田委員がいいことを、私も言いたかったんですけれども、なかなか言える立場じゃないんですが、いろいろな機関さんと連携していくのが重要かなと思っております。
【三木主査】  よろしいですか。
【上野委員】  ありがとうございました。
【三木主査】  私の方から1つ質問なんですけれども、本日棚卸しの議論と技術流出のところが焦点なものですから、それに関わって、スライドでいいますと12ページの権利維持判断基準のところについて1件質問させていただきたいと思います。
 まず権利自身は単独出願案件であれ、多くの場合は日本版バイ・ドール規定で委託を受けた機関が権利化、特許を受ける権利、それからソフトウエアに関する権利等を実際に権利化する行為ができると。それが棚卸しの段階で放棄決定後、発明者から希望があれば、これは発明をじゃなくて、多分特許権若しくはソフトウエアに関する権利なんでしょうけども、個人に譲渡ということが載っておりますが、このときに例えばリスク要因で考えますと、外国人のポスドクが発明したもの、その外国人が既に海外に職を得ていた場合等、いろいろケースがあると思うんですね。そういった場合も含めて、いろいろなケースについて、どういうふうなお考えで現在このルールを適用されているのかというところを教えていただけますでしょうか。
【末富部門長】  今の御指摘は私どもに対して大変的確な御指摘、御質問だと思っております。全てのケースを実は網羅的に今検討できている状態ではないのです。ですから典型的な形で、教員、発明者が学内にいる場合、それから日本国内にいる場合、そういうものについてはきちんとやっておりますけれども、今おっしゃった外国人のポスドクがなした発明であって、母国、外国に行った場合どうするかという、そこまではまだ正直言って検討は進んでいません。
【三木主査】  例えば日本国内におられて大学の職員である先生方に権利を譲渡すると、この場合でも、その後、その権利が自由にまた売買できますね。いわゆる特許不実施主体が世の中にはありますけれども、そういったところに権利が渡っていくリスクというのも当然あると思うんですが、その辺については契約で縛るとか何かできるとはちょっと思えないんですけども、どんなふうにされているのか。よろしくお願いします。
【末富部門長】  おっしゃるとおり、契約で縛ることは無理だと思います。もう大学には権利がないわけですから。それで私どもとしてやっているのは、御自分で扱う場合はほとんどないと思うんです。どこかの企業に譲渡したような場合は、必ず連絡を頂きたいということは言っております。ただ、全部が全部、連絡が来ているわけではないですし、じゃあ、連絡が来たからそれをやめろという話はできないので、それは非常に難しい問題だと思っております。
【三木主査】  ありがとうございました。
【野間口委員】  よろしいですか。
【三木主査】  はい、どうぞ。
【野間口委員】  とても簡潔に分かりやすく説明いただきありがとうございました。その中で1件、12ページの図について確認したいのですが、普通企業は、もともと発明したときは、発明者が発明に対する実効的な権利を持ちますが、それを1つの機関、企業という法人に譲渡しましょうということで現状の流れはできているのではないかと思います。大学の場合はどのようになっているのでしょうか。もともと個人のものなのか、最初から機関のものなのでしょうか?
【前田委員】  原則、機関帰属です。
【野間口委員】  原則機関のものですね。ここの図に書いてあるのは原則個人のもののようにも読めるのですが、そこのところはどうなのでしょうか。原則機関のものなのだけど、大学としては個人から希望されたら譲渡しますよというふうな解釈ですか。この点についてはどなたに聞いたらいいのでしょうか。

【三木主査】  北海道大学さんの方でお答えいただいた方がいいかとは思いますが、今、大学の場合には原則機関帰属と言いつつも、個人への権利の放棄の段階、若しくは出願の段階でも承継しないということで個人が出願できるパスを、たしか作っているかと思います。これが現状の大学の状態だと思います。この辺は、またこの後の議論で深めていく課題であろうかと思いますけれども、いかがですか。
【野間口委員】  もう1、2点質問です。17ページで特許経費のところに注釈がついていまして全特許経費と書いてありますけれども、これは人件費を含まない数値と考えていいですか。人件費以外の全経費ということでいいですか。
【末富部門長】  よろしいでしょうか。
【野間口委員】  はい。
【末富部門長】  人件費は全く含まれておりません。要は特許出願に掛かる手数料であるとか法的な経費であるとか、あるいは代理人への支払です。
【野間口委員】  分かりました。それから、20ページで学内審査体制というのは、体制的には非常にしっかりとられていると思いますが、これは出願の段階の審査でしょうか。それとも先ほど三木先生のお話のように、海外から北大の先生が持っている特許権を使いたい、譲渡してほしいというときに、どういう形で譲渡する、使わせるかということでしょうか。要するに通常実施権的なのか、独占的なものか、もう完全に譲渡してしまうのか、その辺の審査もこれは対象にしているのでしょうか。
【末富部門長】  御指摘のとおりでして、譲渡するのか、独占的実施権を付与するのか、通常実施権を付与するかの、大学にとっても非常に重要な問題でございまして、最終的に知的財産審査会、これは学内の人間と、それから学外の有識者も入っておりますけれども、2週間に1回の知的財産審査会が、最後は産学連携本部長の決裁になりますけれども、実態的には最終決定機関であり、そういう審査ももちろん行います。
【野間口委員】  過去に日本の多数の大学に、アメリカのIVが来て、知財に注目し、知財を欲しいと言ってきた時期があるのですけれども、その辺り、北大で問題になったことはないでしょうか。
【末富部門長】  実施しない会社からのアプローチはもちろんございました。ございましたけれども、私どもは基本的には先ほど申し上げたように、社会でどういうぐあいに事業化していくか、それが狙いでございますので、そのためにはやはり実施する企業とやった方がいいだろうという基本的な考えは持っております。
【野間口委員】  ありがとうございます。
【三木主査】  ありがとうございました。時間が大分経過しておりますので、続いてUCIPでの取組につきまして、山梨大学の田中正男理事・副学長と新潟大学産学地域連携推進センターの松原幸夫教授より、御説明を頂きます。よろしくお願いいたします。
【田中山梨大学副学長】  山梨大学の田中でございます。きょうはUCIPの活動の御紹介の機会を頂きまして、まことにありがとうございます。今、パワーポイントが出ます。
 きょうの説明は、ここに書いてございますけれど、1番と2番につきまして、私、田中の方から説明いたしまして、3番につきまして、新潟大学の松原から説明させていただきます。
 現在のUCIPの体制でございますけれども、昨年度まで文部科学省の技術化促進プログラムの支援を頂きまして、5年間活動して、今年度から各大学の経費を使って活動を継続しているという状況でございます。現在の体制は理事長が山梨大学の学長、それから副理事長が新潟大学の学長ということです。事務局は田町の駅前のキャンパス・イノベーションセンターの6階に置いてございます。
 4つの委員会を設けて活動してございますけれども、メンバー構成としますと、大学の経費を出していただいている大学、運営経費を出していただいている大学を正会員といいまして、山梨、新潟、静岡、信州の4大学が正会員、それ以外の6大学、芝浦工大ほか、千葉大とか埼玉、神戸、これらが賛助会員ということで、現在10の大学が参加してコンソーシアムを作ってございます。現在、研究者数でいうと約1万人、学生数でいうと10万人ぐらいの規模でございます。これまでの活動で、大学知財の海外展開をするのに必要なネットワークであるとか、あるいは国際法務の取扱いだとか、そういったインフラがある程度でき上がりまして、これを基盤にして今年度から新たな取組を始めております。ただし、このインフラというのは実にメンテしないとすぐ壊れてしまうというものですので、常に更新する、新しい取組をやっていかないとならないというものだと思ってございます。
 その中できょう御説明するのは、大学の知財の活用戦略として、この辺の4つの話と、リスク管理ということで安全保障であるとか、その辺を中心にしたお話をしたいと思ってございます。それ以外にUCIPとしますと、国際知財人材の共有化であるとか、産学官連携、あるいは知財業務の標準化、共通化の取組も始めているところでございます。
 まず、大学知財の活用戦略ということでございますけれど、UCIPの大学が保有している特許のポートフォリオ分析をしようということで、現在いろいろなツールを使ってやってございます。単独の大学の特許では質的にも量的にも非常に不十分で、なかなか単独の特許を活用するのが難しいという中から、こういう取組を始めているわけでございますけれど、当初は特許公報の国際分類を中心にしながら、そこに明細書を読み込んで、ポートフォリオを作っていったわけですけれど、いかんせんたくさんの特許がありますので、時間的にも労力的にも非常に難しいということで、現在どういうことをやっているかといいますと、特許公報のデータベースから、ここに上がっているデータをCSVのリストでダウンロードし、それの中にFタームというテーマコードをキーワードにしながら特許マップを作成するということをやっています。特許公報というとIPDLがすぐ思い浮かぶわけでございますけれども、IPDLの場合はCSVでデータがダウンロードできませんので、有料のデータベースを使ってCSVでダウンロードしています。その後にダウンロードしたデータを本学の職員がビジュアルベーシックを使ってマップを作るようなツールを作っていまして、それを使いながらポートフォリオの分析を始めているということでございます。
 これはイメージとして捉えてもらいたいと思いますけれど、どんなふうにやっているかということでございますが、これがFタームの作りです。テーマコードと、それから観点というものがございます。ここにUCIPの大学がございまして、各大学の持っている特許がございますけれども、それがこういうふうに分類されます。それはFタームのテーマコードと、それから観点を使ってこういうふうに分類していく。大分類とすると、こんなふうになるということでございますけれども、もう少し、非常に細かいものですから、ここのところだけ取り上げますとどういうふうになっているかといいますと、ここがUCIPの参加大学です。これがFタームの観点というところでございます。こちらがコード名ですけれど、こういうものを自動的に分類してくれます。例えばここで見ますと、静岡大学はイメージセンサーの特許をたくさん出しているとか、横国は光デバイスのものを持っているとか、山梨大学でいうと燃料電池関連が多いとか、こういった分類が自動的にできますので、こういうものを見る中で、どこの大学のどういう特許をバンドル化すればいいかとか、あるいはある大学の特許を補完する大学は一体どこが持ってるか、あるいは大学間の連携を進める上では、どういう分野でどういう大学とどういう大学が一緒にやればいいかというようなことを検討し始めているということでございます。
 ここで問題とすれば、Fタームというのは日本の公報しか使いませんので、海外の場合はこういうツールは使えないという問題が1つあるのと、こういったものを作っていったその先は、更に人的な読み込みをやりながら実際はやっていくということになりますので、このハードルをもう一つ越えていくには人的な問題があるということになろうかと思います。
 こういう特許をパッケージ化して活用していく、付加価値を高めていくという取組とともに、もう一つは個別特許の評価から取り組んだらどうかということも行ってございます。これは各大学がそれぞれ持っている特許、例えばアメリカに出した特許について、後方の特許というものが必ず出てくるわけでございまして、その後方の特許を調べることによって、各大学の持っている個別の特許と、それを引用しているような後方特許と比較検討する。例えば本件の個別特許と後方特許との関係が応用関係があるとか、あるいは利用関係があるとか、あるいは代替関係にあるとか、あるいは技術的なトレンドが本件特許の方向にいくとか、そういったことを調べる中でもって、本件特許と後方特許の比較をして、仮に密接な利用関係があれば、そこが本件の特許を使ってもらえる可能性があると、ライセンスの可能性があるというような取組をやったらどうかということを今検討し始めているところでございます。こういうことをやり始めたのは、我々、5年間、海外の企業や、あるいは技術移転機関にいろいろなお願いをしたんですけれども、なかなか実績として結びつかないということがある。そういう中でもって米国の大学はどういう取組をやっているかといいますと、やはりこういった取組を専門の法律機関にお願いしてやっているということを知りました。それが1点でございます。
 それから、もう一つは、やはり日本の大学の特許というのは、本当に今、海外において、例えば米国において、侵害があったときに侵害訴訟をやってくるのだろうかという疑問を持たれているところがありまして、訴訟になると多額な時間も費用も掛かるので、なかなかそこまでの体制は日本の大学にはないのではないかということをいろんなところから聞いたこともございます。そういう中でもって、やはり正当な権利を主張していくには、こういう市場の調査をやりながら、かつ大学の、米国のマーケットや、米国の大学の取組をよく熟知している、更に侵害訴訟に対しても知識や経験を持っているところと連携しながらやっていくのがいいのではないかというようなことで、本年度、たまたま経産省のある事業の事業費を取れましたので、現在、この取組を始めているところでございます。ちなみに、お願いしている事務所はStadheimという米国の、シカゴにある法律事務所でございまして、この事務所はニューメキシコであるとか、ウィスコンシン大学とか、そういったところでかなりの実績がある組織でございます。
 実際の、これは案件でございますけれども、UCIPの特許をざーっとサーチしてもらいました。その中でもって利用関係というか、後方特許として、UCIPのこの特許は可能性があるのではないかというのが何件か挙がったんですけれど、現在やろうとしている特許は、こういう2件の特許について取組を始めているということです。あくまでも、侵害訴訟はやらないで、ライセンスのところ、仮に利用、使っているということになった場合は、交渉の中でもって使用許諾を出してライセンスを取るというのが我々の目的でございまして、決して侵害訴訟をやっていこうということではないし、そこに至らないで実施許諾が結べるのが最もいいことだと考えてございますけれど、特許を出す以上は正当な権利の主張をしなくてはいけないということになろうかと思います。
 次は、もう1つの使い方として、大学の特許を使ってベンチャーを起こしていくということで、国内ではいろんな大学でやっているかと思いますけれど、UCIPの中の新潟大学でございますけれど、サンフランシスコに新潟大学の脳梗塞の治療薬に関する特許を使ったベンチャー企業を立ち上げました。これは日米バイオという、サンフランシスコにある技術移転機関にライセンスをお願いしたんですけれど、ここの日米バイオが言うには、大学の単独の特許をそのままどこかに持っていっても二束三文だろうと、しかしこの内容はとてもいい内容なので、もう少し大学のやってきたマウスのレベルから、哺乳類のレベルまで上げてやると、非常に付加価値が付くのではないかということで、サンフランシスコの中にベンチャーを立てようということで、Shimojaniというバイオベンチャーを作ったということでございます。このShimojaniのバイオベンチャーを作るに当たっては、ここの日米バイオの社長さんがベンチャーファンドを持ってきたり、あるいはベンチャー企業の社長さんをリクルートしてきたり、そういうことをやりながら、現在、新潟大学の医学部と米国の大学が一緒になりながら、前臨床試験というんですか、哺乳類の試験を今、脳梗塞の治療薬に向けての取組をやっているという事例でございます。
 こういう事例をやる中でもって、一体どういうリスクがあるかということでございますけれど、まさしく今、この死の谷を越えようと。大学の知財というのは試験管レベルだとか、小動物のレベル、こういう場合の、このレベルのものはほとんど製薬企業は評価しないと言われてございますけれど、これをさらに、哺乳類を使った前臨床試験まで持っていくと。そのためにベンチャー企業をサンフランシスコに作ったわけでございますけれど、それを作るというのは、設立者の覚悟であるとか、もちろん特許の目利きをしなくちゃいけない、あるいはファンドを説得する、更に研究開発を進めていく、そういった人材が必要になると。それをいかに見付けていくかが極めて重要だということだと思います。
 それからもう1点、こうやってベンチャーが進むにつれて、大学の元の特許の価値というのはだんだん相対的に減少していく。したがって、最終的に製造承認になったときに、ライセンス料が非常に低いという問題もどうも出るみたいですけれど、ここに至るまでには相当なお金が掛かりますので、大学の研究者もそういうところは納得しなくちゃいけないだろうということと、それと同時に、やはり最終的な製品に向けては、大学が更に新たな貢献をしていくという取組が必要なんだろうということだと思います。
 それから、最後、4番目でございますけれど、今までが大学の特許の活用なんですけれど、これはちょっとケースが違うんですけれど、山梨大学は山梨県の中小企業等にいろんな相談を受けるわけでございます。たまたまある企業から、自分のところで使っている製品の中にフェムト秒のパルスファイバーのレーザーがあると。ところがこれが、ドイツから買ってきているんだそうですけれど、日本の高温多湿の対応ができていないために、実際売った後にいろんな苦情が来る。何とか自前でファイバーレーザーの開発をしたいという話を持ち込まれました。本学にもレーザー関係の研究開発者がいるんですけれども、ファイバーレーザーというのは実に微妙なところがどうもあるそうでございまして、なかなか単独ではできない。どこかの大学と一応やろうという話の中で、実はUCIPで作っているネットワークの中にニューメキシコの大学がございまして、そこの大学がレーザー研究所という、大きなレーザ研究施設を持っており、ファイバーレーザーの権威者もいらっしゃるということでもって、3者で共同研究の開発をやって、たまたま今、企業も含めてニューメキシコ大学に行っておりますけれど、きのう入ったメールによると、これまで1年半ぐらい掛かりましたけれど、やっとプロトタイプが完成して、目標値も出たというところまで来たそうでございます。
 あとはパッケージングしていくということでございますけれど、そういった新しい製品に向けての技術開発を大学が支援しながらやっているということですけれど、ここで1つ問題がある。どういう問題かというと、もともとある特許を活用するのではなくて、こういう製品を作りたいから是非大学に技術を教えてくれといったときの、出てきた製品の中には、実は先行の他社の企業の関連特許がたくさん使われている可能性がある。そういうものをそのままにしておくと、この企業の製品が権利侵害として訴えられる可能性もあるし、そういうところは本来は企業の問題なんでしょうけれど、一緒になって解決してあげなくてはいけないのかなと。先行特許の抵触をできるだけ回避する、あるいは回避できない場合は、何らかのアドバイスをしていく必要があるということだろうと思います。
 そういう取組を、これも先ほど言ったような特許の調査をやりながら分析をしているということです。これがその例でございますけれども、ファイバーレーザーの開発に当たって先行特許を見ていきますと、米国にも特許が出ていると。それを基礎出願にして日本の特許も出ていると。しかも米国も、何回も一つのものを分割している。日本国内の特許も分割しているということで、かなり力を入れて、この企業はファイバーレーザー関係の特許を扱っていることが分かりましたので、こういう調査をしてやるということも非常に重要なんだろうなと思います。
 それから最後でございますけれど、きょうのテーマが、棚卸しにも少し触れてくれという話をされておりまして、特に棚卸しのページを作ってございませんけれど、我々の考える棚卸しというのは、活用の裏返しなんだろうと思っています。大学の特許は、今言ったように幾つかの使い方があります。先ほど北大にもありましたけれど、譲渡をするという使い方もあろうと思いますけれど、活用の方策をいろいろ考える中でもって、最後に残ったものは、やはり使えないということになるので、棚卸しをしていくんだろうと思います。
 私の説明はここまででございまして、次は新潟の松原教授に移りたいと思います。
【松原新潟大学産学地域連携推進機構教授】  松原でございます。きょうはこのような場を与えていただき、ありがとうございます。
 UCIPは今年で6年目になります。日頃困っている問題に対処しようということで、法務調査部門を立ち上げ、主に2つの点から調査研究を行ってきました。第一に、安全保障貿易輸出管理。当初は、日本の大学での取り組みは始まったばかりで、未知の課題でした。第二に、国際契約です。
今回のテーマは、技術流出防止と訴訟のリスク管理ということですけれども、安全保障貿易輸出管理は一つの重要な管理ポイントだと思います。また研究契約の検討ということも訴訟の防止に非常に有効です。今日は、この2つに絞って考えていきたいと思います。
 外為だけでなく、不正競争防止法とか、様々な法規制があります。それから国外では、米国の経済スパイ法など様々な法規制があります。そのような中で、いきなり外国から数十ページの国際契約のドラフトが来て、その検討に入るということになるのですが、そもそも自分たちの研究ステージ、それがフロントランナー、世界最高水準の研究を行っているのか、キャッチアップ型なのかとか、またオープンにすべき公益性の強いものかということで、研究のスタンスが違うはずです。特に世界最先端のものをやっている場合に、共同研究に入りますと、非常に重要なところで、技術の上流側でコンタミネーションが起こると、権利が使いにくくなるということもあります。そのような場合、海外から来た場合は逆に特許ライセンスとか、こちらが資金を出す場合は、委託研究とか、様々なやり方があると思います。漫然と相手方のプロポーザルを受けるだけでなく、根本から考えていく必要があります。必要がない場合はやらないとか、国内の企業を優先的に選ぶとか、ケース・バイ・ケースで、研究ステージからちゃんと見ていこうということをここでは書いております。
 UCIPでは、まずは国際共同研究契約を一度見直したいと考え、平成22年から数年かけ、標準書式を検討し、タームシート、チェックリスト、マニュアル、条文集を整備しました。百数十ページにわたる資料は、ホームページで公開しております。ここにあげたのは、チェックリストです。これよりも簡略なもので、A4 1~2枚で、契約期間、対価、権利帰属等、骨子だけをまとめたタームシートもあります。これで交渉すると非常に具合がいい。これまで契約書ベースで1年ぐらいかかっていたものが、タームシートに切り換えて契約交渉をすると、一、二か月でまとまったという話もあり、高い評価を頂いております。タームシートで合意したら、チェックリストで更に細部を詰めていき、相手方からカウンターが来た場合には条文集を参考にしながら対案を作成します。これも成果が出ております。
 次に、世界各国の主要大学、研究機関の標準契約書式を分析しました。条文対比表をもとに、そもそもその条文があるかどうかを調査した結果、それぞれ標準書式と言いながらも、かなり抜けがあることもわかりました。
 どうしても国際契約となりますと、日本の大学は腰が引けてしまうんですけれども、やはりこちらから最初にファーストドラフトを出すということも、有効な管理ポイントだと思います。簡単に書けば紛争を防止できるかというと、逆です。最近為替相場が変動しておりますけれども、例えば送金の問題ひとつとっても、どの時点でどのレートを使うとか、支払条件とか、詳細に書いた方が、事務処理で問題が起こりません。
 平成24年は更に特徴的な契約書式を2つ調査しました。一つ目は英国の産学官共同研究標準契約書、Lambert Modelです。昨年イギリス大使館で、説明会を開いております。やはり英国でも同じで、産学連携をやっておりますけれども、契約で非常に問題が起きるということで、どの当事者にとっても、リーズナブルで交渉しやすい共同研究契約書式を作成して、これを世界中でPRしているようです。
 二つ目は、New York State Science & Technology Law Centerがアメリカの大学の産学官の受託共同研究契約等膨大な書式を分析しておりまして、これもいろいろバリエーションはありますが、そこでの重要な管理ポイントを明らかにしています。欧米においても共同研究契約は今、大きな課題になっているため、標準化を進めています。
 今後の課題としては、研究ステージ別に国際共同研究契約をトップランナー型にするのか、キャッチアップ型にするのか、対応を変えていく必要があります。基礎研究段階なのか、もう実用化に近い段階にあるのかでも変わってきます。統一標準書式をUCIPでも検討しましたけれども、これが更に文科省とか、国で統一バージョンがありますと、うちの大学はこれで行くということで、相手方にも説得しやすくなります。独法化前は文科省の国内の共同研究契約の標準ひな形がありましたが、あれも非常によくできておりまして、逆にあれがなくなった後、個々に交渉して、各大学とも大変な作業になっていますので、その標準化を進めていただきたいと思います。
 また、横断的な国際契約支援のプラットホームの整備が必要ではないかと考えております。UCIPでの法務部門は約10大学おりますが、そこでの問題事例をよくよく聞いてみますと、各大学で似たようなオファーを受けているにも関わらず、それぞれが個別に対応策を悩んでいます。そうではなく、良い対応例を相互に共有していく方がずっと効率的です。そういう情報交換の場があればと思います。秘密保持の問題がありますので、なかなか相談しにくいということもありますが、実際には技術内容とか、相手方と関係なく、一般的な契約の問題も多いので、情報交換と契約支援の場が作れるものと思います。
 JSTの外国出願支援制度についてですけれども、これが最近絞り込みが厳しく、基本特許と思われるものが国内出願だけで終わるということも多くて困っています。技術によっては、IT系とか、米国特許だけでも押さえられれば、それで世界のアキレス腱を押さえることになるものもありますので、現行の制度のほかに、PCT要件を外して、米国出願だけでもやれるような制度があれば、国全体としても少ない予算で多くの外国出願が可能になるのではないかと思っています。USPの先行技術開示義務で、中国出願の拒絶理由が出た場合、その翻訳作業に膨大な費用がかかります。その辺の見直しができればと思います。また特許法の見直しも、米国のように仮出願の制度があれば非常にやりやすいと思います。実際、いきなりアメリカの仮出願をするケースも出ておりますので、国内でもそういう制度を立ち上げていただければ利用しやすいと思います。
 国際的な交流を進めていくためには、安全保障輸出管理体制を早急に整備しなければなりません。安全保障輸出管理は、もう委員の皆様よく御存じなので省略いたします。
 図2-3-4ですけれども、研究機関は以前から輸出管理体制の整備が進んでおりましたが、国立大学は法改正を受けて、2010年4月から学内の輸出管理体制を整備したところです。私立大学、公立大学はまだまだの状況です。また、重要性と難易度について調べましたところ、やはり留学生の受入れの問題と共同研究、あとサンプルの持ち出しが非常に重要であるという回答です。
 カラーの左下の表の、実際留学生の受入れ状況を見ますと、留学生は国立大学の理系の工学、理学部のところに集中しています。
 契約についてのアンケート結果を御紹介します。図の2-3-37を御覧ください。「契約審査のときに輸出管理の視点から審査を行っているか」という問いで、国立大学では約半数、研究機関では8割方行っているという結果でした。私立大学も一、二割行っていますが、回答していないところが非常に多いので、実際はもっと低い数値であろうと思います。
 図2-3-38の右側のグラフを見てください。輸出管理条項があるのかという質問をしましたところ、国立大学では入れているところが少ないですが、それに対して研究機関は最初の2つの項目で、輸出管理条項、又は法遵守条項がほぼ入っています。研究機関の方は進んでいますけれども、大学側は遅れています。特に輸出管理というのは大学がやるのは困難ですけれども、企業側はその辺の体制を整備していますので、この条項を入れておけば企業側はきちんとやるはずなので、そういう意味で非常にぐあいのいい条項です。是非活用していただきたいと思います。
 それから左下の図をみてください。これは話がずれますけれども、国別の留学生の学部で見た場合、非ホワイト国は、理系の留学生が多くなっています。その反対に、英国、米国、ドイツとかは、日本の人文系の学問、特に日本文学に非常に高い関心があるというところが明らかになっております。
 次のページでは、経済産業省への要望というところも取り上げてみました。該非判定ツールとか、輸出管理の実務家が困っておりますので、電子化をしてほしいということ。多重構造になっております輸出管理法の体系がありますが、これを統一するとか、スリム化してほしいという要望。それから政府の総合窓口。1つの問題がありますと、経済産業省だけでなくて、外務省を始め、法務省、財務省とか、様々な官庁に個別に聞いていかなければならないということもあり、非常に事務が煩雑になっているので、このような要望が出ております。
 このほかに、自由記載欄で、大学の共通管理組織を作ってほしいという要望が多数ありまして、これを受けてUCIP、産学連携学会、九州大学さん等の共催で、輸出管理DAY for ACADEMIAを今年3月に開催いたしました。文科省、経済産業省、国大協、知財学会他、様々な団体の後援を受けて、輸出管理の先進事例の紹介を行っております。このイベントは皆さんの手弁当で、講師も日本中から来ていただきました。補助金なしの自主運営です。
 最後に今後の課題ですけれども、私立、公立大の輸出管理体制整備と、それから外国人留学生の受入れ基準等の明確化、これも訴訟になったりしておりますけれども、やはり入試の問題もありますし、手続をどこまでどういう基準でやればいいかというのが各大学とも非常に悩んでおります。
 それから、横断的な輸出管理連絡協議会の設置ということで、下に書いておりますが、国大協さん、産学連携学会さん、UCIP、それから九州大学さんがやっている九州ネットワーク、この辺がそれぞれ立ち上げているんですが、ネットワーク同士が更にネットワークを作って、非常にいい関係の中で情報交換が進んでいるという状況です。
 それから、4番目がコンプライアンス・研究倫理ベースでの輸出管理体制の再構築ということで、今、UCIPではアンケート調査を実施しております。輸出管理というのは該非判定をやりますけれども、これは実際はかなり製品化された段階で管理リストに載るということで、遅れているわけです。実際、大学がやっている先端研究なんかはこのリストに入らないと法律上は白になって流してよいという判断も出てくる。鳥インフルエンザとか、例外規定で、管理の外に出てしまうという問題がありまして、外為(がいため)法だけでは管理できないところがあります。再度法規制の外での研究倫理での管理ということが必要かなと考えております。
 あとは人文系の外国人留学生の受入れ体制整備。安全保障ということを考えますと、単に理系の技術流出防止とか、軍事技術の流出防止だけではなくて、むしろ人文系の学生をいかに多く入れるか、日本のファンになっていただくことこそが、真の安全保障になると思います。欧米先進国は日本の人文、特に文学に非常に高い興味を示して、人文系留学生の内七、八割が文学関係の留学生ですけれども、そういう方を積極的に受け入れることで安全保障が達成されると考えております。
 以上です。
【三木主査】  どうも、田中先生、松原先生、ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、ちょっと時間が押しておりますので、数件だと思いますが、御質問がございましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。
【長澤委員】  田中先生のお話の中で、たしか7ページだったと思いますが、後願特許を見て、侵害等についてチェックされているのですが、これはある意味で非常に意味があると思います。私どもも、同じように後願特許を読みますが、これは特許を権利化する際に参考にする意味もあります。ただ、我々が侵害チェックをする場合は、どちらかというと、後願特許よりも、例えば新聞発表、論文発表、雑誌の記事、また、裁判の判決内容等を見て、うちの特許を使っているかもしれないということを検討することが多いです。
 当初の数年間は後願特許を見たりもしますけれども、何年かたつと後願特許があるからといって、うちの特許を利用しているかどうかちょっと分からなくなる可能性が高くなります。したがって、先ほど申し上げましたようにメディア等を頼ることになるのですが、そのためにメディアを分析するチームを作って対応しています。この辺りの対応についてどう考えられているのかというのが1つと、これに関連して、私も先ほど上野委員がおっしゃったように電機系、IT系なので、特許数が多く、訴訟をやるとなると、数多くの訴訟をやらなければいならなくなるので、できる限り交渉で解決するという考えを持っています。一方では、昨今、行儀が余りよろしくない交渉相手もおりまして、いざとなったら訴訟をするという姿勢は見せておかないと、なかなか交渉もうまくいかないのではないかと思いますがいかがでしょうか?これら2点について質問させてください。
【田中副学長】  2番目の方からでございますけれど、特許権という、独占排他権を持っている以上は、やっぱりそれを行使できない大学であったらば、正当な権利主張はできないわけですから、それをやれるだけの体制は腹積もりをしておくということだと思いますけれど、それを日本の単独の大学がやれるかといったらば、特に海外でやれるかというと、これはできませんので、そこのところは各大学が連携したり、あるいはここで言うStadheimみたいな専門機関と連携して、彼らの知識や経験を取り組みながらやっていくというスタンスがいいだろうと思います。ただしそれは最後の最後であって、やはりおっしゃるとおり、実際に訴訟になれば、それはディスカバリーはあるわ、エビデンスは出せわ、研究ノードを出せわ、これはもう大変な作業になってしまうわけで、研究者の研究時間を奪ってしまいますので、そこのところは交渉力だと思うんですよね。そこも日本の大学とか職員ではとてもできないので、知識と経験を持つところとうまく組んでやるのが一番よろしいかと思います。
 最初のところの後方特許の話ですけれど、これはあくまでも例示として、取っ掛かりとして後方特許をやると。そこで挙がってきた企業の、例えばホームページであるとか製品であるとか、そういうものを見ながらやる。最終的には本当に細かい製品の分解というんですか、分析というか、それをやらない限りはなかなかそこにはいかないとは思いますけれど、そういう意味でも半導体分野であれば、そこに得意の、そういう調査能力を持っている、蓄積があるところとやらないと、これはなかなかできないだろうと思いますので、先生のおっしゃるとおり、後方特許だけ見るのではなくて、論文や、あるいは技術情報や、メディアや、もろもろ使って関連性を見ていくんだろうというふうには思います。
【三木主査】  ありがとうございました。
【野間口委員】  よろしいですか。
【三木主査】  どうぞ。
【野間口委員】  北海道大学さんも、山梨大学さんも、新潟大学さんも、日頃、研究を主にやっておられる先生方とお会いしたときに受けている印象と違って、共同研究や輸出管理などについて、とても真摯に考えていらっしゃり、大学内の整備をしておられるというのがわかり、私は非常に心強く思いました。是非そういうマインドを広げていただきたいと思いながら聞かせていただきました。
 1点、質問ではないのですが、19ページの3番目に輸出管理連絡協議会というのがありますが、これ一つとってみても、共通的な問題に各大学がぶつかっていて、個々に対応しているのでは、とても非効率ではないかと思いました。例えば、国大協とか、そういった機関なりで対応して、JST、JSPSなどで共通的なところはサポートできるのではないかと思いました。その上で各大学の特徴を加えていけばいいと思います。そうすると5番の外国人留学生の受入れについても、NHKの「cool japan」という番組を見ると人文系の興味が日本に対して非常に大きいと感じるのですが、そういうところまでつながるような、サポートするようなプラットフォーム的な仕組みが考えられるのではないかと思いました。これは先生方にこの場で言っても仕方がないのですが、文科省もそういう大きな視点で考えた方がいいという感じがしました。とても勉強になりました。
【三木主査】  ありがとうございました。時間がかなり押してきておりまして、今の野間口委員の御発言も質疑応答といいますか、むしろ今後の有りように対する御意見だというふうに受け取らせていただきました。そういう意味では、残った時間を、先ほどの北海道大学、山梨大学、新潟大学さんの御説明も踏まえながら、知財の棚卸し方策と、海外への技術流出の訴訟等のリスク管理につきまして審議を進めていきたいと思います。残りの時間が20分程度しかございませんので、まず初めに、知財の棚卸し方策について審議を行いたいと思います。この件に関しましては、前回の作業部会では企業からの視点を中心に御審議いただきましたが、本日はほかの視点からでも結構ですので、何か御意見等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 どうぞ。
【島田委員】  よろしいですか。棚卸しの件で、ちょっとJSTの取組を御紹介したいんですけれども。JSTでは、保有特許をここ5年間ぐらいで1万4、5,000件あったのを6,000件ぐらいまで減らしてきてまして、ほぼ大体、これ以上なかなか減らしづらくなってきている状況があります。といいますのは、減らすときに1件1件、大学の場合ですから、発明者の先生に意向を確認しながら丁寧に減らすということが必要でして、そこはいわゆる棚卸しをするときに、何か一定の年数とかで機械的に切ってしまわないで、そういう丁寧な対応が必要かと思っています。そのときに、JSTにJ-STOREという技術移転をするデータベースがあるんですけれども、そういうデータベースに、棚卸しするような場合には載せて、最後の最後の御紹介をするような、そういうような目的に、J-STOREのようなツールを使っていただければ、少しはお役に立てるんじゃないのかなと考えています。
【三木主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。棚卸しに関しましては、北海道大学さんの方のロードマップを最初に設定していて、今後の技術の発展、そして実用化に向けての絵が描けて、シナリオがあると。これが今から多分多くの大学でも必要なことなんだろうと思いますが、このフェーズのどこかで新しい知財の出願と、それから年金維持していくことの、いわゆるせめぎ合いの中で棚卸しをせざるを得ないと。そういう場合もあるでしょうし、それから別の観点で、もうほとんど可能性が少ないなという形で棚卸しする場合もあるだろうと。ただ、非常に難しいのは、きょうの御説明の中にもございましたが、かなり先端的な大学特有の、10年、ひょっとしたら15年かもしれないというような研究開発成果の知財の取扱いといったところが、棚卸しに関しましては、今後、大きな課題ではあろうかと思いますが、企業様の側から見ると、こういったところに対しての大学の期待というのも当然おありなんだと思いますが、それぞれ企業の委員の方から何かございましたら、いかがでしょうか。
 どうぞ。
【前田委員】  先ほど、基本的な特許で、海外出願のときに却下されて出すのが非常に厳しかったので、せめて米国だけでも、というお話がありましたが、企業は、足の長い、もっと先の特許ほど持っていてもらいたいと思っているのですね。でも、数人でやっている大学の知財本部ではそこまで判断しきることができないと思うんです。すぐにでもライセンスできそうな、中小企業に持っていけそうなものは、大学は自身で売り買いできますので、ポートフォリオ分析をして、足は長いけれど、是非集めておこうねというものをJSTさんが持っていてくれることを、企業も大学も望んでいるんじゃないかと思います。先ほどより、人材、人材と強調していますが、製品が見えているものを判断するのは専門家の方だったらできるんですけれど、そうではないものをうまくJSTの方でプールしていただけるような方法を行っていただきたいです。
【三木主査】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
【長澤委員】  もう1つだけ質問させてください。14ページで松原先生がお話しされた内容のPCT要件というのは、私も外した方がいいと思います。私もIT系なので、基本的にはPCTを使う件というのは、かなり先の技術であり、重要性の判断が30か月延ばせるという利点を使ってPCTを使います。それからPCTのもう1つの利点はパテントサーチをやってくれるということがあるのですが、費用はそれなりに高く、日本のいろいろなサーチ会社はその半額ぐらいでサーチしてくれますから、PCTを利用する価値というのはパテントサーチには決してないと思います。ちなみに弊社の場合は17%ぐらいPCTを使っています。今の時点では価値判断がしにくいものや、例えば国際標準関係で標準に採用されるか、されないか分からない状態でペンディングになっているもの等をPCT出願します。しかしながら、ほとんどの特許に関しては、外国出願をする前に自らサーチをすれば、大体どの国で権利を取って、どういう活用ができるかが分かりますから、松原先生が御指摘のとおりアメリカ出願だけというケースがもっとも多いです。次がアメリカと中国とに出願というケースが多いです。PCT出願よりも、米中に2国出しても費用は安いので、PCT出願に縛ってしまうのは余り好ましくないように私は思います。
【三木主査】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
 はい、どうぞ、上野委員。
【上野委員】  先ほどの棚卸しの話とも関わる点で、北海道大学さんの発明の発掘から出願のチャートのところでも出てきたんですけれども、ちょっと関連する問題意識を指摘させていただきたいと思います。先ほど、出願をするかどうか判断をした際に、出願をしない場合には個人の帰属どうのという話がございましたけれども、この帰属の問題、結局は発明者に帰属させるのか、機関に帰属させるのか、ということで、先ほどもちょっと議論を始めかけたかと思います。今後密接に関係してくるだろうなと私が感じたのが、今ちょうど職務発明の問題が産業界、政府でも積極的に議論されていまして、改正の議論として、現在の発明者帰属を機関帰属、使用者帰属にするのかどうなのかということも含めて議論がされています。いろいろお聞きすると、先ほどの外国ポスドクの話もそうですし、あと留学生も今後どんどん増えてくるだろうという中で、この改正の議論自体は、大学の特許に関しても影響はいろいろ出てくるんだろうなと思っています。そういった意味で、何か具体的な方向性まで議論できるわけではないかとは思うんですけれども、課題、問題意識として、そういったものが影響を受けるんだ、検討課題であるんだ、ということは認識しておく必要があるのかなと感じました。
【三木主査】  ありがとうございます。はい、どうぞ。
【鮫島委員】  弁護士の鮫島です。企業じゃないんですけど、企業の代理人なので、ちょっと企業的な、大学の特許のユーザーみたいな立場として言いますと、最近同業他社から権利行使される、我々のお客さんがいて、そういう場合に一番いいのはカウンター特許を持っていることなんですけれども、それがありませんというケース。結構我々、じゃ、それだったらもう特許を買ってくるしかないよねというアドバイスを最近しているんですけれども、その場合に、まずサーチするのは大学の特許です。なぜかというと、企業の特許だと、下手に何か売ってくださいというと、かえってそこから権利行使をまたされちゃったりして危ないので、中立的な機関である大学さんだったら、恐らくそういうこともないだろうし、それから快く売ってくれるだろうなと思って、大学の特許は実はそういうふうに、非常に、そういう場合は価値が高いと思っています。
 問題なのは、大体そういうときに使える特許というのは10年以上前に出願されたものなんです。したがって、何が言いたいかというと、10年ぐらいで棚卸しされてしまうと、何だ、せっかくいいものがあったのに、もうないのかというようなことが、結構、今まで頻繁に起きているわけではないんですけど、起き得るかなと思っていて、そこが、大学の特許が基本的な発明をカバーしていることが多いということと相まって、非常に棚卸しを難しくしている要因かなと私は思います。単なるコメントですが。
【三木主査】  ありがとうございます。棚卸しにつきましては、一方では大学側では財務的な観点からせざるを得ないという状況にある程度あるという認識もあろうかと思いますが、その中で本当に中長期、中長期といってももちろん十数年だと思いますけれども、そういう期間、保持していくべき知的財産というものをどういうふうに今後検討していくのか、これは全大学、更に産業界の方々の御協力もないとできないことであろうかと思いますので、この点についてはテークノートしておいていただければと思っております。
 それでは、もう残りの時間はわずかではございますが、続きまして、海外への技術流出や訴訟等のリスク管理について審議を進めていきたいと思います。大学として留意すべき事項、大学に期待する点など、何か御意見等ございましたら、頂戴いただけると有り難いと思っています。いかがでしょうか。どうぞ。
【長澤委員】  質問を1つだけさせていただきたいと思います。3人の先生の話の中で、特許の出願をするかしないかという判断をどうしているのかということがなかったと思います。ちなみに我々の場合は、要は侵害の検証の難易度、その技術を開発する困難性がどのくらい高いか、また、その技術にどれぐらいの期間をかければ到達できるかという、到達難易性という言葉を我々は使うのですが、その2つの観点を鑑みて決定します。簡単に言うと、検証ができなくて、他社が到達するのに10年も掛かるようなものを出願して、1年半で公開にして、さらには御丁寧に新興国語に翻訳するということはしないという方針で臨んでいますが、この点について、何かお考えがございましたらお聞かせいただきたいのですが?
【三木主査】  いかがでしょうか。
【末富部門長】  北海道大学の末富でございます。本当に先ほどからの議論の続きにもなるんでしょうけれども、大変、大学としては難しい問題だと考えております。ただ、先ほど私ども、出願のときにちょっとお話ししましたけれども、やはり1つは、少し長い期間で考えなければいけない。つまりロードマップの持っていき方をかなり広く持っていくという、そういう方向で1つ対応していくのがございます。特に医薬品なんかになりますと、それはもう、すぐというのは無理な話でございまして、そういうものを対応していかなければいけないと。
 それから侵害についても、実は非常に難しい問題でございまして、一応私どもの発明に対するシートを作る場合に、侵害についても述べてはいますけれども、非常に今のお話のように具体的な話にまでなかなか入っていけないという。つまり何が言いたいかというと、専門家がいないというところなんですよね。だからその辺も含めて、いろんな意味で最初の段階から企業に入っていただくとか、あるいは専門家に入っていただくとか、これは重要だと思いまして、これはちょっと取り組んでいきたいなという、答えになっていないかもしれませんけれども、そのように考えております。
【三木主査】  ほかの。
【田中副学長】  侵害の推定の容易性であるとか、到達性については全く判断はしておりません、本学にとっては。あくまでも特許性があるかどうか、新規性、進歩性を基準にしながらやっているのが実情でございますけれど、これは大学の方針ではなくて個人の考えなんですけれど、技術移転の在り方について、米国以外に、ヨーロッパの調査をやったことがあるんです。ある大学、ベルギーの大学ですけれど、多くの特許はほとんど企業に差し上げてしまっていると。裏側で共同研究費をしっかりもらっていると。大学が押さえる特許というのは、あくまでも基本特許、あるいは自分たちがベンチャーを起こして創業できるようなもの、そういうのに限定してやっているんです。かなり大きな大学だったんですけれど、年間で20件とか30件ぐらいしか出していない。場合によっては10件ぐらいの大学もあった。そういう持ち方もあるのかなとは個人的には非常に思っている状況です。
【松原教授】  新潟大学ですけれども、まず実現可能性といいますか、実施可能性の代わりに「共同研究の可能性」という評価項目でやっております。それから侵害発見も一応評価項目に入っております。アカデミアが評価しますので、まずそれが基本技術かどうかとか、代替技術で作れるかどうか、その辺がまず一番重要なところです。このような考えで、それほど悩まずに判断しているように思います。悩まずにというのは、侵害発見等よりもベーシックな、技術の優位性みたいなところで判断していると思います。
【三木主査】  ありがとうございます。じゃ、柳生委員の方から。
【柳生委員】  味の素株式会社の柳生です。広い意味での知的財産というと、特許だけじゃなくて、例えば私どものバイオ分野ですと、研究関係のいわゆるマテリアル、試料、そういったものは極めて価値が高くて、したがって、私どもが大学と一緒に仕事する場合に、アーリーステージでそういうマテリアルトランスファーアグリーメントを結ばせていただきます。そのあたり、かなり大学の成果に期待するところも大ですので、逆に言うと、先ほど安全保障輸出管理のところでも、15ページにも記載いただいておりますけど、こういった研究試料でありますとかのアーリーステージでの技術移転については、当然、今もなさっているんだと思いますが、しっかりした管理が重要で、逆に言うとそこから得られる対価というのは、かなり価値の高いものだと思いますので、大きなリターンを期待されて交渉されるとよろしいのではないかと思いました。
【三木主査】  ありがとうございます。コメントという形でお聞きしておけばよろしいですか。御回答いただいた方がよろしいでしょうか。
【柳生委員】  いや、特にあればということで結構なんですけど。
【三木主査】  分かりました。じゃ、続きまして。
【松原教授】  MTAのことですけれども、国内外の大学や企業からいろんな書式が来まして、対応に困っています。件数も膨大で、契約工数が多くかかる割に案件の収入が少ない。京大さんが発表されていましたが、自学書式でほぼ対応しています。あのような対応は非常に望ましいと思います。特に海外の場合も、企業とかはちゃんと有償でこちらを免責してもらえるんですが、逆に国立の研究所に対し無償で提供しているのに免責してもらえないとか、そういう交渉が結構大変だったりします。統一したフォーマットで、これでないと受け付けないみたいなスタンス、先ほどの共同研究契約と一緒ですが、そういうことができれば事務工数も減らせるし、法的なリスクを減らせると思います。
【三木主査】  続けまして、どうぞ。
【柳生委員】  今まさにおっしゃったように、私どもも米国の大学とやると、基本的には免責の部分は極めて最初から規定されていますので、そういう前提でやっています。ですから、そのあたりは是非日本の大学でも対応されるのは大事かなと確かに思います。
【三木主査】  ありがとうございます。そろそろ時間が押しておりますけれども、あと1件だけということであれば、いかがでしょうか。大丈夫ですか。それじゃ、鮫島委員。
【鮫島委員】  大学が特許を譲渡されるときに一番やっぱり問題になるのが、それが転々譲渡してNPEに行ってしまうという問題だと思うんです。それに関しましては、まだ確立された実務ではないんだけれども、例えば完全譲渡ではなく、持分を一部残すと、これもフィフティー・フィフティーなんて言わなくて、例えば1対99とか、10対90みたいにして、そうすると少なくとも日本法上は大学さんの同意がなければ残りの持分はNPEに譲渡できなくなる実務というのがあり得ると思います。これは準拠法によるので、日本法ではいいんですけど、アメリカ法ではそうならないんですが、ただ、それは共有にしておけば、共有権利者同士の契約によって持分を譲渡する場合は必ず同意を、要は約束させるというようなことで可能であるという実務があり得ると思っています。それから、やむなくNPEさんにお譲りする場合、それをやるなともさすがに言えませんが、その場合は日本国籍企業に対しては権利行使をしないという約定をNPEと締結できるのか、できないのかという論点が実はあって、これは非常に弱い話なんですけれども、心意気を示すというのはあり得るかなと。ちょっと参考までに。
【松原教授】  最後におっしゃった件については契約事例がありまして、譲渡した場合でも日本企業に対してはノンアサーションという例はございます。
【三木主査】  NPE問題はちょっと、本検討部会の中でも、当然知財の棚卸しに関わって、必ず浮き上がってくる問題ではございますので、引き続きどういう形でこの問題の中に取りまとめていくかということは、事務局の方でもテークノートして検討を頂ければと思います。
 それから、先ほど、今、産業界の方で職務発明に関してのいろいろな動きがあり、法改正の検討等も進んでいるやに聞いておりますが、この件に関しましても、大学への影響、大学は基本的に今までも原則機関帰属ということがございましたので、ある程度、大きな影響があるだろうとは思えませんけれども、いろいろなケースについて、もし事務局の方で把握していることがあれば、また次回のときにでも、何か報告いただければと思います。
 本日の委員会ですけれども、どうも時間の配分が余りうまくありませんで、もう予定の時間になろうとしております。そういうことで事務局の方から今後の予定等についての御紹介をお願いいたします。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  御審議いただきまして、まことにありがとうございました。次回、年明け2月の上旬に予定してございます。そしてその次々回でございますけれども、同じく3月の上旬に予定してございます。また日程等決まり次第御連絡させていただきたいと思います。委員の方には内々でお伝えしている日程で恐らく変わりないと思いますけれども、また改めて御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 以上でございます。
【三木主査】  どうもありがとうございます。それではこれで、大学等知財検討作業部会を閉会といたします。本日は御多忙のところ、貴重な御意見を頂戴いたしまして、まことにありがとうございました。


―― 了 ――

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