産業連携・地域支援部会 イノベーション創出機能強化作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成25年7月23日(火曜日)13時30分~15時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館西館(金融庁)13階共用第1特別会議室

3.議題

  1. 大学等発のイノベーション創出機能の強化について
  2. その他

4.議事録

【馬場主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携地域支援部会のイノベーション創出機能強化作業部会の第2回を開催させていただきたいと思います。
 それでは、最初にですが、前回より事務局の方からも少し異動があったということですので、横井室長から、紹介の方、お願いをいたします。
【横井大学技術移転推進室長】  大学技術移転推進室長の横井でございます。
 それでは、7月に異動がありましたので、改めて事務局全体、御紹介申し上げます。
 まず、関大臣官房文教施設企画部長でございます。
【関文教施設企画部長】  関と申します。よろしくお願いいたします。
【横井大学技術移転推進室長】  伊藤科学技術・学術政策局次長でございます。
【伊藤科学技術・学術政策局次長】  伊藤でございます。よろしくお願いします。
【横井大学技術移転推進室長】  それから、8日付で産業連携・地域支援課長が、木村に替わりました。遅れて参りますが、よろしくお願いいたします。
 大学技術移転推進室室長補佐、沼田でございます。
【沼田大学技術移転推進室室長補佐】  沼田でございます。よろしくお願いいたします。
【横井大学技術移転推進室長】  同じく大学技術移転推進室専門官、鷲崎でございます。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  よろしくお願いいたします。
【横井大学技術移転推進室長】  私の方も7月8日付で異動になりました大学技術移転推進室長の横井でございます。改めまして、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【馬場主査】  よろしくお願いをいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局より、まず配付資料の確認の方をお願いをいたします。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  では、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御覧いただければと思います。
 資料1、2、3と、参考資料を付けさせていただいてございます。
 資料1といたしまして、立命館大学の研究推進理念と組織体制・人材育成についてで、野口委員からの資料でございます。
 資料2といたしまして、産学官連携コーディネーター、リサーチ・アドミニストレーターのこれまでの取組と現状についてで、事務局より準備させていただいている資料でございます。
 資料3といたしまして、イノベーション創出機能強化作業部会の予定のA4、1枚紙でございます。
 最後、参考資料1といたしまして、大学等発のイノベーション創出機能の強化についてということで、本作業部会において審議する内容を前回お示しさせていただいていたところでございますけれども、それを参考資料として付けさせていただいてございます。
 もし印刷の不備とか落丁等ございましたら、会の途中でも結構ですので、事務局までお知らせいただければと思います。
 以上でございます。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 それでは、議題に入らせていただきたいと思いますが。今回、前回から進めております、いわゆる大学発のイノベーション、それをどう創出するかということで、イノベーション創出機能強化について審議を進めさせていただいております。前回には、第1回ということで、法人化となって10年近くたちました大学及びその産学官連携本部の在り方について、その具体の例を紹介していただきながら、そこで必要とされる機能等について議論を頂いたと思います。本日と次回にかけては、コーディネーター、あるいはURAの「人材」の強化を中心に議論をさせていただきたいと思います。
 ただし、人材の教育・研修という意味に関しては、次回に集中審議をさせていただきたいと思いますので、本日は特に、コーディネーター、URA等の人材の在り方や、その組織あるいは体制の構築に、あるいはその方向性というものについて御議論を頂ければと思っております。
 そういう観点ですので、まず議論を深めるために、野口委員の方から立命館大学での取組について御紹介いただけることになっておりますので、野口委員、まずはよろしくお願いをいたします。
【野口委員】  立命館の野口です。私の今日の話題は、「立命館大学の研究推進理念と組織体制・人材育成について」であります。特に我々立命館では「支援」という言葉は余り使わないようにしております。「研究推進」という言葉を使っています。これについては、後ほど説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、職員の定義です。これは大学のテニュアの事務職員やコーディネーターも含まれます。こういった職員の研究推進力量を向上させ、教員、研究者の信頼をより高めるために、我々の理念としましては、「学費は学生に還元をして、研究費は研究者自らの手で取ってくるという理念」を、まず大きなものとしておいています。その上で、我々、職員は、研究推進に業務で給料を頂いていますので、プロの意識とスキルを持つというのは、至極当然のことであります。そして、教員(研究者)が、例えば科研費を申請するけれども、こういう内容のところで困っているという、だから助けるという、援助・支援という考えから、積極的に、我々、職員は、そういった教員(研究者)に関与して、成果創出させるという、推進という考え方をとても大事としています。こういう前向きの精神を理念のベースに置いています。ですから、教員と職員のコンビネーションプレイの実践がとても大事で、主人公になるのはなにも研究者だけじゃなくて、職員も一緒に、教職協働で主人公の一人になっていくということも大切なことだと考えております。
 その上で、研究推進における教職協働の一つの大きな目標として、職員と教員が協業をしていきますと、やはり研究の展開力が発揮をでき、それが大きな学外資金の獲得につながる。学外資金の獲得につながりましたら、職員の方には間接経費の有効活用する意識が芽生えます。それによって研究支援環境の整備・醸成、職員のモチベーションアップにもつながっていくと考えます。
 教員にとりましても、学外資金が入ってきますと、研究環境の向上とともに若手研究者の確保・育成にもつながり、それがひいては拡大再生産となるスパイラルにもなっていくと解釈しています。
 その上で、研究のミッションは、先ほど言いましたように、支えて助けるから積極的に関与していくということが、非常に大事ではないかと思っております。
 次に大事な点として、大きく二つです。一つは研究成果創出推進ということで、これは、論文をはじめ、いろいろな成果発表があります。あと、一つは、先ほど申しました、学外資金の獲得推進という大きなミッションもありますので、この二つが連動しますと、学園の研究高度化の具体的実現につながっていくのではないかと私は考えております。
 そういった研究高度化につながってくるものを具体的施策に落とし込んでおりますのが、研究高度化中期計画という立命館の独自施策です。2006年度から第1期計画ということで5年スパンで計画しました。第1期では定量目標も立てております。第2期計画については、2011年から2015年ということで、同様5年スパンで策定をしております。
 目指す大学像としましては、大きく提示している四つですね。特に私としましては、産学官連携を強固に推し進める大学というのを、今年度については、四つの中の一つの大きな柱として進めております。
 それから、本学には、医学部、農学部、看護学部等々がありませんので、そういう意味では、ある国立大学にはない、ある程度エッジを立てた、つまり分野に特化した、例えば外部から見て、「○○なら立命館」と言われるような特色を持った研究も進めていく必要があると思っています。このことは、研究高度化中期計画の中でうたっているところでもあります。
 次に、我々の研究部の沿革というところなんですけれども、特徴的であるのが、1995年に本学は全国の大学に先駆けて、一番に産学官連携の窓口、リエゾンオフィスを設置したということであります。
 そして、産学官連携の攻めの要の組織がリエゾンオフィスで、学外資金獲得後の資金管理や成果の創出、マネジメントをしていく組織が研究支援センターという、このダブルで機能発揮してきました。
 BKCといいますのは、びわこ・くさつキャンパスの略称で、自然科学系の学部が集中しているキャンパスであります。もう一つ、衣笠キャンパスというのは人文社会科学系が主体です。法学部や産業社会学部、文学部、国際関係学部、政策科学部、映像学部があるキャンパスで、研究所や研究センターの支援、つまり、守りのところから出発をしたという経緯があります。
 翌年の96年には、人文社会化学系の方でも産学官連携を積極的に推進していこうということで、こちらにもリエゾンオフィスを発足させました。その後、様々な変遷があり、現在、リサーチオフィス(衣笠)、リサーチオフィス(BKC)、研究企画課の3課で今日に至ってます。
 衣笠キャンパスにおけるリサーチオフィス(衣笠)の推進体制につきましては、本学は教員が1,100名近くおりまして、そのうち大体700名強が人文社会科学系の教員ですので、700名全ての教員をサポートするというよりも、人文社会科学系については、前述でも少し触れましたが、研究所、研究センター、全部合わせて15あります、この15の研究所、研究センターを中心に人文社会科学系は支援をしていこうとしています。研究会とか、国際シンポジウムとか、そういった研究所の組織的活動の支援、あと積極的な学外資金の導入にも取り組んでいますが、主は科研費の申請と管理ですね、この辺が人文社会科学系の支援するリサーチオフィス(衣笠)の推進体制となっています。
 一方で、自然科学系のびわこ・くさつキャンパスのリサーチオフィス(BKC)の研究推進体制については、学部の学科と独立研究科の支援です。それぞれ全部で20あります。20にそれぞれコーディネーター、我々はテクノプロデューサー(TP)と呼称していますが、それぞれの学科等に担当TPを張り付けまして、ワンストップサービスしております。研究部のリサーチオフィスには産学官連携の機能を中心として、研究交流、公募申請、知財マネジメント、ベンチャー支援、科研費申請等、場合によってはポスドクの任用や教員の任用等々も、ここで全部一括して管理しています。そして、30億にのぼる研究資金の管理もやっていますので、かなりボリュームある内容となっています。ですから能力開発の研修も大変です。
 次に、リサーチオフィス(BKC)の組織図ですが、今、1課で2課長置いています。簡単に説明すると、一人の課長のところには、いわゆるPre Award、攻め(研究交流推進等)の部分、もう一つの課長のところにはPost Award(研究マネジメント等)、守りの部分ということで区分しています。今、この人数も93名にも膨らんできましたので、1課2課長を、それぞれ2課に分けようということも一方で考えています。ただ、そうすると、やはりPostとPreが分断されますので、効果的に機能している1課2課長が当面無難かなと考えています。
 それから、リサーチオフィス(BKC)の人員をPre AwardとPost Awardに分けますと、大体30名、30名で、両方横断的に見ているのが30名ということで、総勢93名でやっているという図式になっております。
 リサーチオフィス(BKC)の特徴はといいますと、やはり攻めの部分です。少し前述もしました、テクノプロデューサー、要はテクノロジーをプロデュースしていくというスタッフの配置です。TPと呼称し、2006年度から採用しています。そういったテクノプロデューサーの業務ということでは、主は教職協働で積極的に企業を訪問していくということです。年間大体、企業訪問と、来校するケースがあります。都度2,000件軽度接触しております。訪問と来校、約1,000、1,000ぐらいですね。
 そして、展示会とか、いろいろな技術シーズ発表会にも積極的な対応をしています。年間30件程度対応しています。具体的には、イベント別に、S、A、B、Cとランク付けしています。Sについては、今回、8月の末にありますイノベーションジャパン等です。Sということで、ブース出展も積極的にしますし、テクノプロデューサーも多数送り込んで、いろいろなところとネットワークを育んでいきます。Aについては、出展は抑えぎみで、テクノプロデューサーを積極的に送り込みます。Cというのは、出展はせずに、リサーチ活動中心にテクノプロデューサーを送り込みます。Dというのは参加しないということで区分しています。
 先ほど御説明しましたように、本学の研究部の特徴はワンストップサービスということで、産学官連携や研究プロジェクトのプロデュース等を研究部に一元化をしているということです。他大学、特に私学は機能分化させているところが多いように思います。
 そのテクノプロデューサーの役割について、産学官連携や研究プロジェクトをプロデュースするということで、外部資金獲得のノウハウや公募事業をメイキングする際のキャスティングも重要です。こういう公募事業には、この研究者でいこう、もちろん研究者情報も頭に入れながら、マッチングさせる企業は、これでいこうとセレクトしていく訳です。このように業務も広域にわたるので、スタッフについては、異業種、異分野からの転職と学内の制度上、任期制の職員が非常に多いです。課題もありますが、文系、理系、学位保有者、年齢など属性は多様でダイバーシティマネジメントを丁寧に行っています。
 こういったテクノプロデューサーについては、先ほど言いましたように、20学科ありますので1人2課持つこともあります。例えば、機械工学科については鈴木さん、知能情報学科と情報システム学科については田中さんが担当しなさいと、そういう縦割りになりますけれども、毎週月曜日に開発会議というのを開催しておりまして、そこにこういったスタッフであるテクノプロデューサーが全部で13名集まって、現状、どういう案件が進んでいるかや一緒になって対応するのがいい案件であれば、テクノプロデューサーが複数で対応するということもあります。それから、担当学科制、つまり学科エージェント制を敷いていますので、教員から見ても、企業から見ても、双方向で全てワンストップで対応できるのが強みです。しかしながら、修得しなければならないノウハウはたくさんあるので、「人材育成」には、我々も大変頭を悩ましているところであります。
 あと、このテクノプロデューサーの、やはり模範となるというか、優秀であるという人物には、共通点があり、フットワークやハンドワークが非常に早い。何事にもまめで行動が早い。そして絵解きがうまいということです。テクノプロデューサーの必須といいますか、やはり『PowerPoint』の作成力量です。企画概要を1枚スライドで分かるように説明しなさいというのを、訓練を交えて結構しています。次に地図思考です。自分の置かれているポジションをどこに置いて、どういうふうに対応していくか。マインドマップじゃないですけれども、まず自分たちを中心に置いて考えなさいと言っています。図式化して考えなさいというように指導します。この絵を描くのがうまい者は非常に渉外能力にもたけていると感じています。
 それとあと、相談がうまい、聞き上手ですね。これは当然のことだと思いますが、こういうのが共通点だと認識しております。
 育成すべき人材像は、四つのWorkを遂行できる者ということで示しています。単純にFootwork、Network、Teamwork、そしてあと、全体を鳥瞰した上で、構想力・企画力、推進力発揮のFrameworkという、四つのWorkを非常に重視をしています。そういうスタッフに求められる資質というのは、もちろん博士号等あったにこしたことはないですけれども、とりわけ科学技術、特に理系については興味あることが重要でありますし、やはりコーディネーターとかURAも、一方では私はコミュニケーションビジネスだと思っていますので、そのような能力を重要視しています。それから、傾向としてアカデミアの世界でずっといた方よりも、企業の経験がありベーシックなスキルをマスターしている方が若干伸び率は高いと感じています。
 そういったスタッフの知識、スキル、適性を段階別に表しているのが、この図であります。
 特に、この次の図が重要で、研究推進業務を実務編でマッピングをしました。横軸の左がPre Award、右がPost Award。つまり攻めと守り、そして縦軸の上がAcademic、下がNon-Academicということで、簡単に言うと上が大学、下が企業という軸で見ていただければと思います。
 テクノプロデューサーは横軸及び縦軸とも広域に活動してもらうのですが、やはり昨今は人材確保も難しくなっておりまして、とりわけ、Post Awardの確保が難しく感じています。我々は、この確保の仕方ということにも壁にぶつかり、非常に頭を痛めているところであります。そういった意味では、スキルアップの研修は非常に大事と考えています。
 このスキルアップ研修は、業務時間の3時から5時とか、この研修も業務の一環であるという位置付けで、業務時間内に実施をしているのも特徴であります。
 この研修についても、教えることが一番の研修ということで実施しています。この図のここから上のADVANCED SKILLについては外部の専門家にも御協力賜りますけれども、ここから以下のところは、職員が自分で勉強しながら、経験を交えて講師役となってコーチングをしていくというような研修を実践しております。そういった研修を経て、昨年度、我々のテニュアの職員、約50名弱に自己評価のアンケートを、実に83項目に及んでいますがとりました。アンケート結果から、そういった意味においては、テニュアの職員のところで弱い部分が、いろんな部分で出ております。そこについては研修等で補強していきたいと思っております。弱いのは、外部人材にこの間頼っている、特に事業化とか知財のところですね。逆に大学のテニュアの職員ですから、資金の管理とかプロジェクトの管理、学内ルールをしっかり把握しながら対応していくというのが非常に強いという傾向が出ています。
 あと、大学でいえば、研究部における研究交流数やキャリアセンターの就職者数、入学センターの受験者数というのは定量で評価もできますので、そういった数の評価も導入をした、目標管理システムを入れて、マネジメントの強化とモチベーションの高まる仕組みをシートを作って導入しようかなと思ったんですけれども、やはり処遇と連動しない、つまり給与と連動しないことが大きな問題点となりました。権限を大きく与えるといっても、仕事が増えるだけということもありまして、やむを得ず、これは評価システムは中止にしました。ただ、このような取組に対して意気に感じてくれた、任期制職員の何人かが、いろんな機関にキャリアパスしたことは救いとなりました。
 これまで考えて、やはり最も悩ましい悩みというのが、専門性のところです。これだけの業務をワンストップでやるからには、深い知識と専門性が必要で、市場には、そんな人材は広く供給されていないので、やはり独自の研修で鍛えることが必要ということです。あと人的編成の不安定要素もあります。大学のテニュアの職員はジェネラリストで、3年ぐらいの異動が一般的でありますし、URAやコーディネーターといっても、そのほとんどの人材は任期がありますので、スペシャリストですけれども、雇用の入れ替わりが3から5年レンジであって、雇用の安定性に欠けるということ、やはり人材確保が困難です。職場における定着率の問題ももちろん出てきますので、そういった雇用施策の構築が急務であります。今、URAの制度で、そういった規程やテニュア化の整備をしているというのは非常に大事であり、我々も本学の人事部へ複線化人事制度の投げ掛けをしていますが、弁理士や弁護士のような資格基準が必要ではないかと言われると、なかなか難しい部分もありますので、苦慮しているところであります。
 最後に、やはり今後の課題は、そういった産学官連携に携わる者たちの、私は評価制度ののろしを下ろしましたけれど、やっぱり成績評価とインセンティブを考える必要があります。あと、ステータスです。社会から見ても、このようなURAになりたいと思えるような社会的ステータスとか、そして学内でもきちっとした、例えば、学生部や教学部職員の方から、URA、コーディネーターを見ても、単純に任期のある契約職員としてしか見られないケースがありますので、きちっとした学内職としての地位を確保する、やはり明確な専門職としての位置付けも必要であると思います。それから、ローカル、グローバルと言っていますけれども、やはりスケールの大きな仕事ができる人間もいれば、小さくこつこつ積み上げて成果を出す人間もおりますので、そういった意味では、コーディネーターの適性をきちっと見極めることが大切と思います。そういった多様性ある人材をマネジメントしていくテニュアの職員のマネジメント力量の向上というものが、今後ますます重要になってきますので、適切な対応をきちんとしていく必要があると思っています。
 以上で話題提供を終わります。どうもありがとうございました。
【馬場主査】  野口先生、どうもありがとうございました。
 それでは、今のお話について、御意見、あるいは御質問等ありましたら、お願いをいたします。
【柘植委員】  柘植です。ありがとうございました。さすが立命館という、感服をするのを、まず申し上げたいと思います。
 様々な工夫をしていますけれども、私は何でこれだけ職員の、特にテクノプロデューサーの皆さん方が、それから事務職と一緒になって一つの教育、研究、社会貢献をやっている。この本当のエンジン。インセンティブのエンジンはどこなのかと。先進、文化……。まず一つ間違いなく、立命館の文化があると思うんですね。教員、職員があっての立命館だという誇りで、職員の皆さん、動いていると思います。ちょっと、そういう文化的な話も土台にありながら、もうちょっと何か具体的に、ほかの大学が学べるようなインセンティブを回しているエンジンというのはどうなんだろうかと思って自問しているんですけれども。
【野口委員】  一番は、処遇との連動で厳しい部分もありつつも、権限と裁量権だと思います。やはり給与を上げることができないんですね。以前でしたら、例えば、知財本部整備事業や展開プログラムという外部資金の枠内で、例えば、700万、800万という処遇もできましたが、それら事業が終了しましたら、今度は大学内の給与規程に基づく基準でやらねばなりません。そうすると、かなり低いんですよね。そのような意見交換をする際に出てくるのが、権限、裁量権が欲しいと。例えば、教員とのマッチングの後、企業との契約交渉に単独に行ったときに、企業との受託研究、共同研究の取扱いについて、持ち帰って研究費の提案をするんではなくて、その場で、例えば、これぐらいでどうですかとかですね。あと、やはり知財の契約を締結するときに、例えば、フィーの関係とかですね。また、国プロを申請する際に、自分たちでいろんな情報収集して、マーケティングをして、こういうキャスティングでもって、このような企画の方向性でもって、自分が国プロの柱となって提案をしていくということですね。要するに、専任職員と変わらない裁量権を与えてやるということです。そういう裁量権を与えると、やはり多様なノウハウや教員のシーズを深く知らなければ大きな仕事をできませんので、そういった意味では、権限と裁量権を与えてあげるというのが、一番、モチベーションも高まり、業務を遂行する上でのエンジンになっていると思います。
【柘植委員】  ありがとうございます。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 そのほか。山本先生。どうぞ。
【山本(外)委員】  テクノプロデューサーについて、ちょっとお聞きしたいんですが。
 やはり、これ、仕事の内容を見ると、かなり幅広い内容になっているかと思うんですが、採用されるときに、かなりこういった仕事を経験しているところを重視して、それなりにスキルが幾つかもうそろっているような人材を採用しているのか、あるいは入ってから、先ほど教育のプログラムもおありというふうにありましたが、そこら辺を集中的に何か使ってスキルをアップさせるのか、どちらにどういうふうな形でやっているのか、はたまた、その両方、もちろんあるよということなのか、そこら辺はいかがでしょうか。
【野口委員】  もちろん本学に入職してから伸ばしていくのが一番と思っております。ただ、実際、募集しますと、大体、1名の枠に、派遣会社経由やリクルート関係の広報誌に掲載したりして、大体50人か60人応募に来ますので、そこでまず書面でふるいにかけます。その後、面接には、現在は、私も入っていないですけれども、次長や課長など、必ず、研究部の経験あるスタッフと、あと人事部の職員が同席して面接をします。やはり30分ぐらいの面接では分からないので、一番大事なのは履歴書で、どういう実績があるのかを評価しつつ、私自身が面談ポイントであると思っている、対面影響力と問題分析力と感受性を見ます。この三つを持っているかということを徹底的に人事部と研究部の職員で把握するように言っています。それから、先ほど言いましたように、コミュニケーション能力が非常に大事ですので、この辺も会話の中で測ります。そして、身だしなみは当然で、会話の雰囲気・話材とかも見ます。それから、問題分析力の検証では、少し気付きが必要な課題を質問したときに、どういうふうに答えが返ってくるかとかですね。この三つが人事部と研究部の人間でオーソライズできれば、あとは入って鍛えてみなければ、たった30分程度の面接では分かりません。入ってからは徹底したOJTで鍛えます。シャドーイングと現場体験が中心です。育成できる人材を育成するのが私の仕事でもあるんですが、育成できる人材が何人か育ってきてますので、そういった育成できる人材と、育成される配属された者とを一緒に、企業や教員研究室を回って、見本を見せるシャドーイングの次は、現場体験をさせて、状況説明やアドバイス、注意喚起、それの繰り返しですね。そうやっているうちに、自立化してきますので、その後も丁寧なケアをしながら教育をしています。
【馬場主査】  永里委員。お願いします。
【永里委員】  積極的なコンサルティング型営業というようなタイトルで書いてありますけれども、この対象は、中小企業の研究開発とか、あるいはそれにまつわる知財とか、あるいはコスト低減とか、そういうようなことなんでしょうか。
 それから、こういうコンサルタント型という言い方から、当然のことながら、バックグラウンドとして、かなりいろんなことを知っていなきゃいけないんで、どういう経験を持った人が、そういうふうになってらっしゃるんでしょうかという質問です。
【野口委員】  バックヤードについては、アカデミアの世界でずっといた者とか、銀行員とか、旅行会社とか、メーカーとか、千差万別です。それもやはり入職後のOJTで鍛えるしかないんですけれども、積極的なコンサルティングというのは、先の説明でも少し触れました、いかに産学官連携のノウハウポケットをたくさん持ち、活動できるかと思います。受託研究、共同研究、奨学給付金などのベーシックなノウハウから、様々な大学リソースの把握、知財マネジメントやベンチャー支援などのレベルの高いノウハウまで必要と思います。例えば企業が、自社の人材を育成をしたいということであれば、大学のMBAとか、MOTで学べる手法を提案するとか、社会人ドクターの御紹介を差し上げるとか。逆に海外でビジネスをしたいということであれば、例えば、本学は海外に複数の拠点を持ってますから、そういうところからまず情報を得、提供するとかです。まさに、様々なノウハウポケットが、まず必要なわけです。それから、入職時研修では、本学にどういうリソースがあるかというのを学ばせるように、カリキュラムに組み込んでいますので、そこで徹底的に教育した上で、次の段階のノウハウ修得の研修に移ります。
【永里委員】  ありがとうございました。
【馬場主査】  ありがとうございました。
 そのほか、どなたかございますか。堀部さん、どうぞ。
【堀部委員】  御説明があったのかもしれないのですけれども、ちょっと理解できなかったもので教えてください。把握できなかったのですが、テクノプロデューサーという立場の人がいて、そのほかにURAとか、産学連携コーディネーターの方がいるのですか。またその場合、それぞれの関係はどのようになっているのでしょうか。
【野口委員】  実際、URAと産学官連携コーディネーター、あと本学独自のテクノプロデューサーとかの定義付けというのは、多分、各大学に任されている部分も多分にあるんじゃないかと思っております。
 私どものテクノプロデューサーというところで、まず持たなければならない能力でしたら、例えば、説明資料の18ページにあると思うんですけれども、研究推進業務のマッピングの横軸に、Pre Award、Post Awardと書いていまして、横に色の付いた帯がまた付いてますけど、これを重ねて円柱やと思ってください。丸く円柱になっているということで見ていただいたら良いと思うんですけれども。基本的には、我々のテクノプロデューサーのところでいいましたら、右下のPost AwardとNon-Academicってありますよね。この右下の四角ですね。これ以外のところの上の三つありますよね。ここについては、基本的にはテクノプロデューサーの必要な要件として、我々は考えています。ですから、Non-AcademicでPost Awardの右下のところは、これはなかなかノウハウがなければできませんので、ここは基本的にはテニュアの大学職員にさせているところです。我々のテクノプロデューサーのところでさせている部分については、この上の三つ目以下のところを基本的には学ばせて、対応させるようにしています。
【堀部委員】  ありがとうございました。
 資料の御紹介の中で、ページ8のところで、それぞれの学科のところにURAを張り付けてられるとおっしゃったんですけれども、それがテクノプロデューサーなんですか。
【野口委員】  はい。そのとおりです。
【堀部委員】  ありがとうございます。
【野口委員】  分かりやすい図が13ページの左の四角のところですね。ここが学科ごとにテクノプロデューサー配置という、堀部先生がおっしゃったところに、当たるところと思います。
【堀部委員】  ありがとうございました。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 では、山本委員、お願いします。
【山本(佳)委員】  分野融合について、お伺いしたいと思います。
 テクノプロデューサーが学科の教員の動きを把握しているというのが、すごくいい仕組みだなと思いました。ただ、おっしゃったように縦割りになりがちかなというところが気になりましたので、具体的な工夫があれば教えていただきたいというのが一つです。
 それから、理系のBKCと文系キャンパスの連携というのも、どの大学も難しいところだと思うので、工夫があればお伺いしたいと思います。
【野口委員】  はい。分野融合のところについては、基本的に、例えば、GCOEもそうかもしれませんし、また、今公募中のCOI事業もそうかもしれません。また、通常の企業と連携するときに、複数のテーマがあるときには、分離融合がキーワードになるかもしれません。しかし、これら分離融合のようなテーマのものはスケールも大きく、基本的には、URAやテクノプロデューサーだけでは、いかんともしがたい部分がありますので、これはそういった融合ができるかどうかいうことを、テクノプロデューサーと担当する教員も交えてディスカッションします。その中で提案ができそうなものは、例えば、医工連携とか、農商工連携とか、ディスカッションして提案可能なものであれば、提案パッケージを作って進めます。これら企画書を書くのも、やっぱり教員の知恵が要りますので、下地は我々の方で作りますけれども、あくまで研究エッセンスは教員の方が入れて、提案できる段階になれば分野融合も進めていくということであります。今のところうまくいっているのは、医と工並びにITと歴史都市防災の連携ですね。ただし、実際のところは、異分野融合で積極的にできているというところについては、件数については、まだまだ少ないです。これからの課題だと思っています。
 あと、キャンパスが複数ありますので、今考えていますのが、キャンパスごとに、我々は研究機構を置いています。びわこ・くさつキャンパスには総合科学技術研究機構とBKC社系研究機構があって、衣笠には衣笠総合研究機構というのがあって、キャンパスごとにカラーを出した研究機構がありますので、そういった研究機構の機構長と副機構長と、研究担当理事でもって構成する機構長会議というのを、今、何回か開催しています。そういう、やはり研究行政のトップのところで、理系と文系の組織的な融合を図らないことには、テクノプロデューサーの段階で分離融合させることは、とても難しくなってきています。そういう意味で、トップマネジメントの研究担当理事や機構長等も入れて融合を図るという動きを、今しております。2015年度からは3拠点化になるので、それはもっと進めていきたいと思います。
【馬場主査】  すいません。3拠点というのは、どういうことですか。
【野口委員】  まず、びわこ・くさつキャンパスですね。これが自然科学系です。あと衣笠、京都にありますキャンパスですね。これが人文科学系で、2015年に大阪の茨木史に衣笠と同等の広さのキャンパスが展開するんです。そこには社会科学系の学部が主として行きますので、カラー的には自然科学系、人文科学系、社会科学系ということで、キャンパスごとにカラーが出てきます。その特徴を融合させない手はないだろうということで、先のトップマネジメントによる融合会議を積極的に開いていこうということを進めています。
【馬場主査】  ありがとうございます。まだ御質問あるかと思いますが、最後にまた時間とらせていただきますので、そのときに、あわせて、また御議論いただきたいと思います。
 ただ、今の御発表をお聞きしていて、非常に大学から外への発信を熱心にされているという印象を受けました。大学によっては、逆に受け入れて、大学の中でいろんなことを、外から来た人をという、企業を中に呼び込んでというタイプと、それから、今、立命館の方でやられているのは、大学の中から積極的に外へ出ていく、その典型例をお聞きしたような気もいたしております。
 では、次に移らせていただきたいと思います。
 その前に、木村課長が来られているので、ちょっと自己紹介をお願いします。よろしいでしょうか。
【木村産業連携・地域支援課長】  すいません。遅れまして、まことに申し訳ございません。
 8日付で産業連携・地域支援課長を拝命しました木村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 前職では、机二つ隣の地域支援企画官ということで、主にクラスターの方をやらせていただいておりました。クラスターの方は、どちらかといえば気合があれば何とかなる部分が結構多かったんですけれども、今回、こういう分野も担当させていただくことになって、また難しい議論をさせていただくということになって、これからいろいろ御指導いただくことになると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
【馬場主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、次の議論に入りたいのですが、その前に、コーディネーター、それからURAのこれまでの現状について、一旦整理させていただきたいと思いますので、事務局の方から、その説明をお願いいたします。
【沼田大学技術移転推進室室長補佐】  私の方から、産学官コーディネーターとリサーチ・アドミニストレーターのこれまでの取組と現状について、説明をさせていただきます。
 こちらの資料につきましては、前回のこの会議でもお示しをさせていただきましたが、産学官連携については、第1期科学技術基本計画の期間では、承認TLO制度、また日本版のバイドール条項など、産学官連携のための制度的な枠組みが整備され、第2期基本計画では、その産学官の有機的な連携を推進し、技術革新システムを構築することが明示されまして、これらをもとに産学官連携の体制整備でありますとか、研究開発、地域科学技術振興の各施策が数多く出され、予算の充実が図られたところでございます。
 このような時代背景の中で、産学官コーディネーターについては、第1期の基本計画の中で、コーディネーターの育成又は活用と、国立大学等のコーディネート活動の強化が掲げられまして、また、当時の文部省でも、平成11年度の学術審議会の答申において、産学連携の推進のための体制の整備ということで、企業のニーズと大学のシーズをつなぐ産学のコーディネーターの配置等による組織体制の強化と、その必要性が強く指摘されまして、それを受けて、平成13年度に産学官連携支援事業として、16大学、16名の産学官コーディネーターを派遣する事業を開始したところでございます。
 本事業につきましては、当初、大学において産学官に対する教員の意識醸成でありますとか、組織体制の取組が、まだ始まったばかりの時期でございまして、スタート時はJSTを通じてコーディネーターを派遣し、常駐させる事業として開始をいたしました。その後、平成13年度の第1補正で、文部科学省において、産学官連携支援事業が実施をされ、先の16大学を除く56大学に56名のコーディネーターが配置されたことから、事業を一括して効率的に運営していくため、平成14年度からは、文部科学省の事業にJSTの事業が統合されまして、文部科学省により、民間の人材派遣会社に雇用管理の業務を委託して実施することとされたところでございます。
 これらのコーディネーターの配置につきましては、マル1の産学官連携支援事業から、マル4の大学等産学官連携自立化促進プログラムが終了するまで、約12年間続けてまいりましたが、途中、行政刷新会議の事業仕分の結果を踏まえ、平成22年度からは、大学等の主体的な取組、自立化のための環境整備を推進するということで、大学等産学官連携自立化促進プログラム「コーディネーター支援型」の事業に変わりまして、これまで人材派遣会社の雇用管理の形態から、大学等で雇用していただくという形態に変更されました。
 本事業では、平成24年度には55機関において49名と、そのほかに同プログラムの中に機能強化型と申しまして、産連本部の機能強化のために、人件費でありますとか活動費を支援する事業がございまして、そちらで65機関、こちらについては先ほどの55機関と一部重なる大学もございますが、その中で111名程度のコーディネーターを雇用していたところでございます。
 自立化プログラムが終了した今年度からは、まさしく自立化が大きな課題となっているところでございますが、現在のところは、コーディネーターからURAの一部移行ということで、多少人数の減少はございますが、ほぼ全ての機関が取組を継続していただいているところでございます。
 また、現在は、これらのコーディネーターの全国的なネットワークの構築と地域間のコーディネーターの連携強化ということで、持続可能な体制の整備でありますとか、コーディネーターの育成、資質の向上を図るということを目的として、全国コーディネート活動ネットワークの構築強化事業を展開しているところでございます。
 なお、こちらの事業につきましては、自立化促進プログラムのコーディネーターだけでなく、大学、地方公共団体、また技術移転機関、産業界等で活躍する約1,300名のコーディネーターに御参画を頂いているところでございます。
 次に、コーディネーターの業務分類でございますが、こちらは先のネットワーク構築事業における調査によるものですが、現在の業務につきましては、当初想定をされたシーズ、ニーズのマッチングによる共同研究等の立ち上げ支援から、知的財産関連の業務、ベンチャー立ち上げ支援、地域の連携推進等ということで、その業務は、この10年余りで多様化しているところでございます。
 次に、コーディネーターの現状でございます。
 こちらは、私どもが毎年実施をしております大学等における産学官連携実施状況調査の結果によるものですが、調査は、国公私立大学、高専、それに大学共同利用機関を含めた1,095機関が対象でございまして、そのうち回答があった990機関の結果を整理したものでございます。
 こちらにつきましては、マル1が、先ほどの自立化促進プログラムの「コーディネーター支援型」で雇用されているコーディネーター、マル2が、自立化促進プログラムの「機能強化支援型」で雇用されているコーディネーター、また、マル3が、1、2以外の機関の経費で雇用されているコーディネーターについて整理をいたしております。
 まず、コーディネーターの数ですが、こちらはマル1からマル3を足しまして、約800名強が雇用されているところでございます次に性別と年齢構成については、まず性別は、男性が約9割を占め、年齢構成は、約5割が60歳以上の構成になっており、これらの結果は、マル1からマル3について、ほぼ同じような状況となっております。
 次に、コーディネーターの雇用期間の定めでございますが、こちらについては約8割強については期間の定めのある雇用となってございます。また、コーディネーターの前職でございますが、こちらについては所属機関別では民間企業等が約6割、職種別では研究職、また知財、法務部門の専門職、技術系職員、事務系職員等が多いという結果になっております。
 次に、こちらの所属機関別と職種別を合わせた表でございますが、こちらについては、大学等では教育職、また民間企業では研究職、知財法務部門の専門職、技術系職員が多い結果となっております。
 次に、こちらは参考でございますが、JSTが、産学官連携支援データベースということで、ホームページで掲載をしているコーディネート活動を行っている方の人数でございます。大学等のコーディネーターのほかにも、TLOや、独法、その他の機関で雇用され、コーディネート活動を行っている方が約1,800名いらっしゃいます。
 続きまして、URAにつきましては、当時、大学の研究者が研究資金の調達、管理、知財の管理、活用等の研究活動以外の様々な雑務に忙殺され、研究自体の活動時間が短くなっていることや、研究者一人当たりの研究支援者が海外と比較しても少ないといった実態の改善が急務であり、我が国の研究の質の向上を図るためにも、早急に研究支援体制を整備することが必要である。といった学術界等、具体的には日本学術会議でありますとか、9大学の学長による提言等がございまして、また、文部科学省においても、科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会産学官連携推進委員会において報告がまとめられ、平成23年度よりURAの定着に向けた全国的なシステム整備に向けた事業を開始したところでございます。
 本事業では、URAを大学等において、研究資金の調達、管理、知財の管理、活用等を総合的にマネジメントできる研究開発に知見のある人材ということで位置づけ、その育成・確保する全国的な仕組みを整備するとともに、専門性の高い職種として定着を図るということを目的としまして、マル1のURAのスキル標準の作成、これを東京大学に、また研修・教育プログラムの作成を早稲田大学に委託するとともに、②の大学がURAを配置し、活用・育成するということで、15機関に支援を行っているところでございます。
 なお、こちらのURAの配置につきましては、平成23年度、24年度となっておりますが、今年度からは、別途、研究大学強化促進事業費、こちらは研究振興局で今年度立ち上げた事業で、世界水準の優れた研究活動を行う大学群を増強するということで、指標に基づき、大学ごとの研究力に関する状況を分析し、20大学程度を選定して、その取組を支援するというものでございますが、その選定された大学は、URAを配置することが必須となっておりますので、この事業で支援をしていくこととなってございます。
 また、スキル標準と教育研修プログラムの委託については今年度で終了いたしますので、こちらについては、今後、これらを活用した事業を展開していきたいと考えているところでございます。
 次に、URAの業務分類でございます。こちらは先ほどのスキル標準の作成の昨年度の成果報告書ということで、現時点ではあくまでも参考でございますが、現在の業務については、大学の研究力の調査分析、研究戦略策定といった、研究戦略推進支援業務から、プレ・アワード系の想定業務、ポスト・アワード系の想定業務ということで、こちらについても多様な業務が実施をされているところでございます。
 続きまして、URAの現状でございます。
 まず、こちらは、マル1が、先ほどの私どもの事業で、雇用しているURA、マル2が、大学独自の経費で雇用しているURAで、URA業務に専念・専従をしている方、また、マル3が、独自の経費で雇用したURAで、エフォートの半分以上をURA業務に従事している方ということで整理をしており、人数は合わせると約320人で、約6割がURA業務に専念・専従しているという結果が出てございます。
 次に、性別と年齢構成でございますが、こちらは先ほどのコーディネーターと変わりまして、性別については、男女比についてはおおむね2対1程度、また、年齢構成については、約6割強が40代以下ということで構成をされているところでございます。
 続きまして、URAの雇用期間の定めでございますが、こちらの約6割につきましては、期間の定めのある雇用になっており、また、URAの職務従事状況については、プレ・アワード、ポスト・アワードの双方を担当するURAが多い結果となってございます。
 次に、URAの前職でございますが、こちらは所属機関別では大学等及び民間企業が、また職種別では事務系職員が多い結果となってございます。またマル1からマル3で分類をした場合、マル1においては、大学等の教育・研究職の比率が高く、マル2においては、大学等及び民間企業からおおむね同率で教育・研究職又は事務系職員からの転入者がおおむね同率で存在をする。また、マル3においては、大学等出身の事務系職員の比率が高いという結果となってございます。
 次に、参考でございますが、「研究補助者」と「研究事務その他の関係者」の数の推移でございます。こちらについては、「研究補助者」については、研究者を補佐し、その指導に従って研究関係業務を従事する者、また「研究事務その他の関係者」は、研究関係業務のうち、庶務、会計などの事務に従事する者ということで整理をしておりますが、こちらについては両方とも、徐々にではございますが、増加傾向にあるという結果となってございます。
 また、最後でございますが、イノベーション創出に向けた様々な支援業務のイメージ図でございます。こちらは事務局で整理をさせていただいた図でございますが、先ほどのコーディネーターとURAの業務ということで、青い部分が主に産学官連携に係る業務、下の黄色い部分が、その他研究支援のための業務ということで整理し、両者については、一部、真ん中の緑の部分で重なるところがあるというところで、議論のご参考にしていただければと思います。
 説明については、以上でございます。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、何か御質問等ございますでしょうか。あるいは感想でも結構ですが。
 では、山本先生、お願いします。
【山本(外)委員】  リサーチ・アドミニストレーターの13ページですかね。13ページ。御説明にスキル標準の策定と研修教育プログラムの整備が平成25年で終わると。これはどういうふうに、これから活用されるというか、何か政策上、これをどういうふうに使おうということでしょうか。
【沼田大学技術移転推進室室長補佐】  まだ検討中でございますが、これらの教育プログラムやスキル標準を活用した研修をどこかに委託をして実施していただくようなことを考えているところでございます。
【馬場主査】  よろしいですか。
 そのほかに何かございますか。
 山本委員、どうぞ。
【山本(佳)委員】  コーディネーターとURAの年齢層の違いについて、ちょっと確認したいのですけれども。お願いします。
 コーディネーターはシニアが多く、URAは若手が多いですよね。これはこれからは若手がどんどん育って、継続的にやっていくようにする狙いがあるのだと理解しております。
 そもそも文科省の支援事業のときに、その年齢層の設定を、例えば、応募するときの要件として、変えたのかどうかお伺いしたいと思います。
 また、URAではこのような事情で、若い人が多くなったというような別の理由があれば、それもお願いしたいと思います。
【沼田大学技術移転推進室室長補佐】  URAの育成・確保するシステムの整備事業では、公募において、URAの中にシニアURAを配置し、バランスも考慮して整備をしてくださいということで、事業の計画の策定をお願いしたところでございます。
 それと、URAについて、若手が増えていることについては、詳しい分析はしておりませんが、URAの職務や前職との関係、また、こちらは整理では、URA業務を併任でやっている方もいらっしゃるので、そのような数字が出ているのかなと考えております。
【山本(佳)委員】  そもそもの支援事業でどういう人材設定をしたかという点はどうでしょうか。
【沼田大学技術移転推進室室長補佐】  シニアと若手をバランスよくということで。
【山本(佳)委員】  URAの場合には両方あるということでしたね。
【沼田大学技術移転推進室室長補佐】  はい。
【山本(佳)委員】  分かりました。ありがとうございます。
【馬場主査】  よろしいですか。
 では、そのほか、何かございますか。では、どうぞ。
【内島委員】  今の山本さんの御質問にもありました、URAの人材に関連して、もし情報をお持ちでしたら、是非教えていただきたいのですけれども。恐らく、この調査を行ったとき、回答された方がそれぞれにマル1、マル2、マル3の分け方で回答されているかと思います。前回、福井大学さんから事務職員さんを今までとは違う雇用形態なり、5年任期にしたりというような形で、URAとして就かせるようなことをされているというお話がありました。コーディネーターの場合ですと、若い人ですと、ポスドクだったりですとか、そういう人に限られる部分が今までもあったかと思うのです。URAの場合は、そういう若い既存の職員さんが大学の裁量でURAに立場を変えるという形で増えているのでしょうか。それともやはり若い人を育てようということで、ポスドクを新たに新規に採っているURAが多くて、結果的にこのような割合になっているということなのでしょうか。もし何か情報をお持ちでしたらと思いまして。
【横井大学技術移転推進室長】  先ほどのプレゼンテーションの資料の17ページを御覧いただくと、URAとして配置と整理する者の前職が載っておりますので、ここを見ていただくと圧倒的に事務系職員が多く、ポスドクはそれほど多くないというような現状は分かっていただけるかと思います。
【内島委員】  分かりました。ありがとうございます。
【馬場主査】  よろしいですか。
 どうぞ。
【松永委員】  最後の21ページ目のイノベーション創出に向けた支援業務のイメージ図ですけれども、縦軸の整理は非常によく分かりましたけれども、横軸というのは、右へ行けば行くほど専門的になるという理解でよろしいのかというのが一つです。ちょっと細かい質問ですが。
 もう一つは、この部会の考え方として、これ全体を、やはり議論したいという意思がおありなのかという、その2点を、お聞きしたいと思います。一つはテクニカルな質問ですけれども、むしろ2番目の方を、どうお考えなのかお伺いしたいと思います。
【横井大学技術移転推進室長】  1番目の点につきましては、縦軸はお示ししているように整理されているということでございます。
【松永委員】  ええ。非常にクリアだと思います。
【横井大学技術移転推進室長】  横軸は、お示ししていないように。
【松永委員】  特にいい考えがなかったということですね。
【横井大学技術移転推進室長】  うまく整理できていないということで、課題だと。先ほど野口先生から、アカデミック、ノンアカデミックという座標軸をお示しいただきましたけれども、そこは検討材料かなと思っています。
 2点目につきましては、これを全て議論の検討課題にするのかというお話ですけれども、この部会そのものは、イノベーション創出機能強化ということですので、全体が対象になっていますけれども、どうやって創出を強化していくかというところで、焦点を絞っていただくということが必要になってくるかと、事務局では考えています。
【松永委員】  分かりました。ありがとうございます。
【馬場主査】  ありがとうございます。特に後半の方については、少しその点も含めて、これから議論させていただきたいと思います。それぞれのいろんなコーディネーターとURAの定義そのもの、あるいは役割もケース・バイ・ケースに多分なってくると思いますので、きょうの全体の組織とか体制の構築のところで、もう少し御意見あれば、また述べていただければと思います。
 そのほか、まだ文科省の方の説明についての何か御質問。
【野口委員】  16ページなんですけれども、16ページの主としてポスト・アワード担当のところの人数が多いと見ているのですが、一方で右上のグラフのところでいきますと、赤のところが期間の定めのない雇用ということで、実際の研究推進課や研究部内の事務職員だと思うんですね。それをポスト・アワードのところで、かなり多く占めていると思うんですけれども、例えば、通常の研究推進課、研究部の事務職員がURAのポスト・アワードということで定義付けすると、この部分、かなり膨らんでくると思うんです。特に今後ですね。こういうところのポストとプレの、少し定義付けの整理していく必要も、特にポストのところは必要かなと思うんですけれども、その辺のところ、少しお考えがあれば、聞かせていただきたいと思います。
【沼田大学技術移転推進室室長補佐】  そちらについては、これからの議論の中で整理をいただければと思っております。
【馬場主査】  そこを、是非お願いしたい。
 役割として、プレ・アワード、ポスト・アワード、どちらに力点を置くべきかということも含めて、少し議論をお願いしたいと思います。次の議題の一つにさせていただきます。
 そのほかございますか。よろしいでしょうか。では、ありがとうございます。
 それでは、きょう、最後の議題になりますが、今、いろいろお話も出ていましたけれども、特にコーディネーター、それからURAの人材そのものの在り方といいますか役割。最後の21枚目の『PowerPoint』にもありますように、それにも少し御参考にしていただきながら、体制の今後の構築の方向等について議論を、フリーディスカッションで結構ですので、お願いをしたいと思います。
 コーディネーターとURAで、構成年齢、活動内容などにも特徴が出てきているということもございます。何か役割に応じて構成ができているように思いますけれども、何か、その組織、体制について、あるいはその定義でも結構です。何かございますでしょうか。
 では最初に、プレ・アワード、ポスト・アワードについて、これ、野口先生の方で少し、事務の方、いろいろ、プレ・アワードで活躍していただいているような印象をちょっと受けたんですが。それに比べて、リサーチ・アドミの方がどうもポスト・アワードにある程度集中しているのではないか。そんなにおいがちょっと見えますけれども、先生の方で、その事務の方がプレ・アワード、どういうふうに具体的にやられているのかということと、これは私からの質問になりますが、先ほどのお話を伺っていると、アカデミックといいますか、先生の姿が少し見えないような感じで拝見をしました。事務の方が企業に行って、いろんな売り込みをしているような印象を受けたんですが、その辺はいかがですか。
【野口委員】  前者については、人事政策上の問題もありまして、基本的に本学の場合は、課に配属をしたら、平均4年で異動させるという原則があるのです。ただ、研究部については5年以上に、今、大体なっております。また、特にポスト・アワードの方は大学の事務職員が適しているといいますのは、大学内の他の国際部や教学部や財務部という部署と、特には交渉、時には連携をしなきゃならないので、ポストのところは大学の事務職員の方が適していると思うんです。
 ただし、プレ・アワードの業務において、企業との連携、官公庁との連携を育むのは、やはり任期制の専門職員が多く、3年から5年で転出していきます。そういう現実がありますので、そこについて、ノウハウを継承するのも数少ないけれども、大学のテニュアの職員こそが、やらなければ駄目ということで、大体5年から6年のレンジで担当させて、数少ない人数で継承とOJTが可能になるように仕向けています。また、前述の通り、基本的にポスト・アワードの方が大学の事務職員は適していると思いますし、そしてマネジメントという側面で考えれば、プレ・アワードの方も大学の職員がしっかりとハンドリングをしなきゃならないと思っていますので、そこについても5年、6年の異動レンジで、責任持つ大学職員をマネジャーとして置いています。その配下に任期制のテクノプロデューサーを置くという形態にしております。
 それから、もう一つ、教員の存在が見えないという指摘についてです。そのことについては、基本的には、教員と職員が一緒に行くことを前提にしていますけれども、やはり最近、先生方についても、ある程度、研究交流の方向性やその企業のモチベーションが何かというのを推し量ってから一緒に教員と同行する方が成功する確率も高いと思っておりますので、最近は大体7対3の割合で、7、先に職員が行って、企業のモチベーションの確認をして、その後、先生を連れていくというケースの方が良いのではないかと、今試験的に進めております。ですので、若干、見えないところはあるかもしれませんけれども、最終的にテクノプロデューサーも、弓はある程度まで引きますけれども、射抜くのは、やっぱり教員の研究シーズでありますので、そこは軽重は付けながら、対応をしています。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 ある意味、非常に特徴的な取組のようにも思います。例えば、ほかの大学等で、今のようなプレ・アワード、ポスト・アワードについて、違っているとか、自分のところはこういうふうにやっているというようなところがあれば、御発言いただくと有り難いんですが。松永先生、いかがですか。
【松永委員】  14ページに、スキル標準の例が出ています。これはまさに、私も絡んで作ったもので、これが一応、R11中心に議論したものではありますけれども、日本のURAの業務の定義になると思います。
 特徴的なのは(1)です。これは、米国では、リサーチ・デベロップメントと呼びますけれども、要するに、プロジェ悔いとの仕込みの段階ですね。次が研究企画です。これまでの議論では、プロジェクトの仕込みの段階からやれる人たちをURAと呼びましょうとしています。今、東大と議論しているのは、その他業務のところです。その他というのは余りにも漠としているので、これをもう少し連携支援とかアウトリーチとかいう形で分けようとしております。
 それで、早稲田大学では、大体、先ほどの立命館の御説明と非常によく似ておりまして、スキル標準の1、2とその他の一部のところをやるのがURAで、3のところは、むしろガチッとした事務組織の方が、やはりいいのではないかと考えております。URAとコーディネーターとの区分けというのは、それほどクリアではないのですけれども、コーディネーターはやはり企業との連携にかなりウエイトを置いた、特化した人材のことをコーディネーターと称しております。本学の現状では。
 以上でございます。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 プレ・アワード、ポスト・アワードについて、そのほか、何か御質問ございますか。あるいは御意見等。
【柘植委員】  野口委員のサジェスチョンを伺いたいということなんですが。今の文科省の方の21ページの、これ実際問題、先ほど野口委員がおっしゃった説明ありました18ページ、この研究推進業務のマッピングで、プレ・アワード、ポスト・アワード、それでこれは実は円筒形になっているとおっしゃったんですが、これが現実だと思うんです。ちょっと文科省の支援業務のイメージ図が、そういう面では不足しているなと思っているんですけれども。何かその辺り、野口さん、この18ページの円筒の概念を21ページの絵に、もうちょっと何か描けないかなと私自身思っています。何かサジェスチョンありませんか。これ、非常に御説明のあった18ページの円筒の、この円筒が本当に回っているかということが、かなり、このURAの業務が定着していくかということの要かなと思って、ずっと私見ていまして、何かコメントあったら教えてほしいんですけど。
【野口委員】  21ページの縦軸の学内・学外というところの軸が、少し趣違うかなと思います。やはり、学内というのは、先ほど言いましたアカデミックで、大学でやらなきゃならないけれども、学外つまり企業との接触度合いが深まっていくと、事業化、起業というイメージになってきますので、少し図の整理が必要と感じました。
 私がこの18ページでまとめたのは非常にシンプルな考えで、大学の業務で、大学が苦手な事業化の業務、あと大学についてはポストの内容の多くを占めるURA業務、また、産学官連携業務については、企業とコンタクトをとる最前線の業務と、採択した事業のマネジメントをする管理の業務があると。それを大学のアカデミック、攻めと守りという4面にして巻物にすると、その境目のところも大体マッピングできるなということになっています。やはり、大学業務の対極にある事業家に近い業務と、それとやはりプロジェクトマネジメント業務と企業との間をコーディネートする業務という軸で少し整理をすると、更に、分かりやすくなるのかなという感じがいたしました。
【柘植委員】  ありがとうございます。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 今のような考え方も、当然非常に大事であると思いますが、何となく一大学でやらなくてもいい業務もあるような気がします。特に非常にベーシックな知財の問題であるとか、輸出云々の問題、そういうところは大学間共通ということもありますので、一大学でやるべきもの、それと共通化してできるような、そういうくくり、考え方もあるかと思います。主査として言うような発言ではありませんが、ちょっとそんなふうに感じました。
 では、プレ・アワード、ポスト・アワードの件、ちょっとそれぐらいにしておいていただいて、あと、次に、いわゆるコーディネーターと、コーディネーターというのは、ある意味、プレ・アワードの最前線にいるのかもしれませんが、そういう位置付けでのコーディネーターと、それからURAの中でプレ・アワードをやっている方との関係ですね。この定義を見ていますと、URAというのは非常に博士号を持っているような方、あるいは非常に専門的レベルの高い方というふうな定義がちょっとなされているような気もします。そういうところも含めて、コーディネーターとURAの線引きと言うのはおかしいんですが、協力関係、位置付けで、何かお気づきの点、あるいはアドバイス等ありましたら、お願いをしたいと思いますが。今、コーディネーターはほとんど企業のOBの方が多いということが現状で、60歳以上の方が非常に多い。それに比べてURAは、そういうシニアのURAもいますが、その方たちの下で、これから育成されるべき、若い、例えば、ドクターを取ったような方を、今、イメージしていると思います。もし、どこかの大学、あるいは企業等で、その辺について少し、こうした方がいいとかいうアドバイス等あれば、是非お願いをしたいのですが。ちょっと質問が具体的過ぎるかもしれませんが。
【柘植委員】  今の主査の課題設定を、少し議論を活性化したいための話なんですけれども。私はこのリサーチ・アドミニストレーターというものは、まさにアドミニストレーションができる能力、この文科省の14ページの業務分担にありますように、相当学術的なところまでも、もちろん研究者のクリエーションがオリジナリティーでしょうけれども、やはりクリエーションということが言える、学術的なクリエーションのところまで踏み込める能力も持っているし、一方では、やはり産業側のニーズ、社会的な課題解決に対して、どう進めればよいかという一種のデザイン能力といいますか、いろんな知を結合して、そういう幅広い意味でアドミニストレーターという言葉が付いていると思うんですけれども、その中で、やっぱり従来のコーディネーターというのは、ある意味では狭いといいますか、かなりお互いにニーズとシーズが見えているものをくっつけていくという、これももちろんクリエーションと言えると思うんですけれども、ちょっとストレートに言うと、コーディネーターは価値の創造の一部分しか担っていないと。リサーチ・アドミニストレーターというのは、ある意味では、まさに研究者であると、社会とを結ぶフルスペクトルの価値を創造することを組み立てる能力があると。そういう概念で言うと言い過ぎてしまうでしょうか。
【馬場主査】  ありがとうございます。そのとおりだと思いますけれど、何か今の御発言について。
 山本先生。
【山本(外)委員】  今の御発言について、私も意見をちょっと言わせていただくと、URAの定義そのものは、まずアワードが前提になっていることですね。プレ・アワード、ポスト・アワードのように。結局、競争的研究資金獲得が今、大学の財務的理由から、いわゆる外部資金調達として必要だということになっています。現に、そのような事を、大学トップの方も言っています。したがって、URAのミッションがどうしてもアワード前提になって、その1点に集約していくという、そういう状況になると思うんです。もちろん応募する案件がどのようなものか、案件の狙いによって、一概には言えないところもあると思うんですが。私から見ると、コーディネーター自身は、かなり幅広くやっていて、社会人経験をし、それなりの企業の中で、研究職、あるいは営業職、かなりその年齢に見合った経験も踏んでいることから、大学の若い研究者に対しては、比較的そのダイバーシティー能力を活かしいろんな対応ができるし、ある意味、先導的に研究の方向性を示していけるような、そういう能力はかなりあったんじゃないかなと思います。翻って、今度、リサーチ・アドミニストレーター、この文科省で作成した資料を見ると、年齢的に50歳以下が65%ですか。実に39歳以下のポスドク相当の方が43%と一番多い。いわゆるポスドクと言われる若い方々が、ひょっとしたら自分より上の先生方を指導するみたいな、変なことになっています。実際、うちでもあるんですけれども、「俺の書いた応募書類に君は赤ペン入れるのかい」と、「どこが気に食わないのかい」というように言われることがあるようです。やっぱり先導するにはちょっと研究マネジメントの経験が浅過ぎるというふうなことで、なかなかアワードへ向かって二輪車でいけるような状況でもないようです。そうすると、年齢的なことにこだわるつもりはありませんが、コーディネーターの方が、企業の研究職であったり、知財に関しても、専門性のあるスキルをしっかり持っているんで、対抗はできるんじゃないかなというふうな気もします。そういう意味では、コーディネーターをシニアURAぐらいに、うまくはめ込んで、ペアで走らせるというようなことをうまくできれば、若いURAが育っていくような気がします。そういう構図が得られないかなというふうに思うところです。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 今は、どちらかというと個人のベースの、それの能力、経験についてのお話だったと思います。一方で当然、そうなりますと、次、組織の問題があると思います。組織的にきちっと位置付けられていない、あるいはこう位置付けるべきであるというような、そうすれば、トップダウンがきくとか、組織的な命令系統がきちっといければなど、別の観点があるかと思いますが、その辺について何か、組織論については何かございませんでしょうか。
【永里委員】  だから、組織でいく場合には、組織としての実力というか、まだ余り経験がないんです。この組織で、そんなには。コーディネーターの方が長い歴史を持っています。だから実力を蓄えないと、組織力でいくといっても、やっぱり先ほどの山本委員の話じゃないけれど、若い人が年上の先生に赤ペンを入れるというのは、かなり難しいというようなことがあると思います。
 ですが、柘植先生のお話は、ちょっとURAを買いかぶりすぎているような表現があったんですけど、そうあるべきだというふうには思うんです。
 それから、もう一つ、ポスドク対策というのは言い方としては悪いんですけれども、ポスドクの人たちをうまく活用して、そういうところでもキャリアパスとして生きていくというようなことをしてあげた方がいいと思うんで、URAというのは、そういう面もありますねということを、ちょっと言いたいです。
【馬場主査】  柘植委員、どうぞ。
【柘植委員】  今、主査の課題の個人と組織の話は、そうすると、ちょっと多分違った受け取り方の課題なんです。
 私ずっと、このURAの組織、去年から今年、ずっと見てみますと、組織の中で、このURAが定着していく自信がまだ見えていない。自信がないとは言えないんですけれども、道筋が見えていなくて、例えば、URAを新職種とすると設定するけれども、これだけの一つの特定の大学から見ると、非常に人数が少ないんですね。その中でキャリアデザイン描けといっても、人事の硬直化が見える、これはもう明らかなんですけれども。じゃあ、そうすると教員なり職員、従来の事務職員なり、あるいは教育を担当する教員との、そのバイラテラルなキャリアパスというのも描かれているかというと、意外とこれはなくて、難しいと。そういうことも一例なんですけれども、URAが組織として定着していくという、まだよく見えていないというのが私の感想でありまして、それが見えるためのインデックスを、何か文科省のきょうの資料の2の中には、どうも見当たらなくて、もう一歩工夫をしないと、そのインデックスで各大学をフォローしていくような。フォローという言葉はよくないんですけれども、トレースしていくと、そういうことをしないと、あるときは、ふっと消えてしまうような恐れを感じる。それがちょっと、主査がおっしゃった組織の中で私が感じていることなんですけれども。
【馬場主査】  それは、組織のことは、私、大学にいて、個人的に非常に感じているものですから、そういう発言をさせていただきました。目標としては、やはりURA、それからコーディネーター、そういうものがきちっと組織の中に組み入れられるような仕組みにしないと、多分、続いていかない、予算が終わった段階で切れてしまうように思います。どうやって……。言い方は悪いですが、予算が続いているうちに、どうやって組織の中に組み込むかということを目標にせめてさせていただきたいというのがあって、そのような発言をさせていただきましたが、その点について、御異論とか御批判があれば、お願いをします。私が勝手に決めてしまうとぐあいが悪いので、是非、それについての御意見を頂きたいと思います。できるできないのではなくて、やはりそうでないと続かないのではないかというふうに思います。
【山本(佳)委員】  私も取材をしてきて感じているところを一つお話ししてよいですか。
 私のイメージでは、コーディネーターは非常に多様な力のあるシニアの方が中心で、今まで引っ張ってきた。一方でURAは、更に研究企画やアワードの方で力を発揮できる若手が多く、これからはそういう人材が中心になっていくというシフトの段階なのかと思っていました。
 現在は恐らく、産学連携の組織と、研究支援の組織を組み合わせたり、コーディネーターとURAと二本立てにしたりしていると思います。ただ、この先どうなるのかなというのがよく見えなくて、気になるというところです。
 企業など大学外でいうと、やっぱりURAは浸透が遅れている印象です。始まってから年数浅いので、しようがないとは思いますが。
 URAが学内支援で公的な競争的資金を獲得するという形で力を発揮している。その特徴が強い。本来はこれから先は多分、シニアのコーディネーターが手がけてきたところも吸収していかなきゃいけないのに、それが吸収できないのではないかなという気がします。この先、広範囲の仕事ができるURAが育ち、URAの中で産業界との連携も強くできる人が必要になってくると考えます。ですが、うまくそんな人材が育っていくだろうかと今、疑問に思っています。
【馬場主査】  ありがとうございます。
【永里委員】  おっしゃる懸念はあると思います。だからURAのこのシステムを、文科省、若しくは国はどう考えるか。これをもっともっと強大にしていくのであるならば、今あった産学官連携のコーディネーターの方を吸収するような形にしないと、山本さんのおっしゃるような懸念が出てくると思うんです。だから、そういう意思を持ってやるかどうかですし、ちょっと京都大学とかほかの大学のを見ていますと、一緒にしてやっていこうというような動きがあるようなので、ひょっとしたら、ある種の意思が働いて、組織として、大学として、そういうふうにURAを育てていくというふうに行くんじゃないかなという、何かそういうふうに見える部分もあるんです。
 山本委員は、ちょっと御心配なさっていましたけど、その懸念はあるんですけれど、大学が組織として取り組んだらうまくいくんじゃないかとは思いますが、馬場先生、どう思われますか。
【馬場主査】  私はケース・バイ・ケースが非常にあると感じています。ちょっと角度を変えさせていただきますと、URAは今のところ、大学内の組織であって、外と連携をするものではないとまでは言いませんけれども、そういう懸念があるかと思います。というのは、URAがあって、産学連携本部があって、それでコーディネーターがいてというふうに、少し整理が付いていないというのが非常に多いと思います。
 産学連携の規模は大学の予算規模全体からで考えますと、小さな割合にすぎないというのが現状です。純粋な企業との共同研究費というのは全体予算の2%程度に過ぎないのです。その小さな収入を得るために、
ここに人を入れろ、お金を入れてくれというのは説得力がありません。今。やはり、そうではなくて、もうちょっときっちり、URAなりコーディネーターがどれだけの活躍をしているかということを、もうちょっと上手に見せないと、組織としてはできていかないような気が非常にしています。金額だけでは、もちろんありません。そのほかで、いろんな活躍をしていただいておりますが、URAというのは、やはり大型のプロジェクトを取りに行くということを、今、どうもどの大学も、その使命にしているのではないかという感じがちょっとしますので、私の意見としては、やはり今、山本先生、永里先生から頂いているように、URAか、もし、どれかに統一化して、産学連携、URA、コーディネーターは統一していくべき話だと思います。ちょっと、そこの設計まではできませんが、漠とした意見でございます。これは私個人の意見です。
 そのほか何か、URA、それからコーディネーター、それぞれで、今どういうふうになっているのかということについて御意見を頂きたいと思いますし、もう一つ、可能であれば、企業側から見たときに、企業の方での産学連携。企業の中のURAとは言いませんが、そういうものは必要ないのかなと、ちょっと思いますので。企業の方が、どちらかというと大学より個人プレーになっているところもあるような気もします。
【堀部委員】  企業に長くいましたので、企業の話を後でまたできればと思うんですけれども、まず大学の中の話です。大型プロジェクトを取るときに、コーディネーターというか、企業出身で外とやりとりしている人間が、余り寄与しないかというと、逆にかなり大きな寄与していると思うんですね。というのは、社会ニーズというか、そういうものをよく分かっているのはコーディネーターの方ですし、それから学内のどういう先生たちがいて、特に今回のCOIのような大きなプロジェクトになりますと、どこにどういう先生がいて、どこにどういう企業がいるかというのは、やっぱりよく知っているのはコーディネーターの方だと思います。基本的にURAと産学連携は、もう一緒になって、そこの中でそれぞれの仕事を担ったり、協力し合ったりするということに、私は大賛成なんです。イノベーションを創り上げていくときのニーズを把握しているのはコーディネーターという位置付けと思うんです。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 やはり、今までコーディネーターの方が歴史が長いので、先ほどの個人的な能力ということではありませんが、いろんなノウハウを持っている、経験も持っておられる、ネットワークも当然大きいであろうということで、コーディネーターを上手に、もうちょっと活用という意味でしょうか。
【堀部委員】  そうです。
【馬場主査】  どうぞ、山本委員。
【山本(外)委員】  趣旨は同じようなことになるんですが、リサーチ・アドミニストレーターの活動が、アワード獲得を前提にすると、内向きになってしまいます。どっち向くといったら、大学の先生見ちゃうわけですから。これが各々、ほかの大学にも伝染していった場合、そういうミッションの在り方が余り行き過ぎるとどうかなと危惧します。今までコーディネーターがやってきたのは、アワードじゃないけれど、共同研究、あるいはコンサルテーション、技術相談、そういった社会、あるいは企業の様々なお困りごとを、どうやって大学の先生につないで、解決してもらうか。そういう、いわゆるお困りごと探しみたいなことが活動の一つであったはずです。
 例えば、長崎大学のコーディネーターがやったのは、「おくんち」という有名なお祭りがありますが、あれの時代考証をやって、衣服とか、そういったものをもう一回再生するというか、作り直していくような活動をやっていましたよね。コーディネーター自身が積極的に関与していましたね。そういうふうな活動がないと、大学はこれほど産学連携活動をやってきて、やっと社会とつながってオープンになってきた流れが、一転、内向きになっていくミッションに、ぐっと行っちゃうと、今までの流れがそこで切れてしまうのかなというふうな懸念を私はするわけです。したがって、やはり協業というか、コーディネーターと今のURAというものがバランスよく、ちゃんと活動をして大学にいないとぐあい悪いんじゃないかなというふうに思うわけです。
【馬場主査】  どうぞ。永里委員。
【永里委員】  今の話はもっともだと思うんです。ところが、世の中の動きとして、中小企業というよりは大企業の方の考えでいきますと、いまや大企業が30年で潰れるような時代になっていまして、研究開発を単独でやるというような時代では、どうもないんです。ということは、国家プロジェクトとともにやるというような動きもありますし、よき大学と、いろいろな組んでやりたいというところもありまして、そうなると、今の山本委員の御心配の内向きのURAだとちょっと困るんですけど、内向きでないURAであるならば、むしろ、それが時代の趨勢だろうと思うんです。というのは、研究開発が単独でなかなかできにくい状態になってきたという、こういう流れです。20年、30年後の社会ニーズを取り込むような研究開発というのはなかなか難しいんで、単独でできない時代に来ているんじゃないかなと、こう思います。
【馬場主査】  今の御発言は、要するに、何か企業と一緒に新しいイノベーションを起こすような形をやるのがURAであると。ありていに言いますと、国のプロジェクトを取りに行くのがURAではなくて、もうちょっと根底から基盤研究やるときに、企業と一緒にやって、企業と一緒に提案してプロジェクトを作る、そういう意味と捉えてよろしいですか。
【永里委員】  それで結構なんですけれども、そういうふうにURAを考えないと、このURAの意味がないんじゃないかなという言い方ですね。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 そのほか。野口先生。
【野口委員】  産学官連携コーディネーターの配置も平成13年からですので、根付くのに、やはり10年は掛かっていると思いますし、最近、いろんな大学行きましても、名刺にリサーチ・アドミニストレーターとか書いている方が非常に増えてきました。なので、URAが根付くのに数年単位で考えねばならないと思っています。
 いろんな切り口があると思うんですけれども、産学官連携業務にはシニアクラスがやはり多い。それは産業界や自治体との橋渡しするのは、経験もネットワークも必要ですので、おのずからそういう配置の部分はあるのかなということと、URAは若手が適しているというのも、これはやはり研究室と連携持つのは、若手の人材の方が食い込みやすいのではないかという仮説です。つまり、深化という観点で考えるということです。企業に深く深化しているのが産学官連携コーディネーターの業務で、もう一つは学内の研究室に深く深化していくのがURAじゃないのかなという感じが非常にします。
 特に他大学のURAの方とお話しますと、結構聞くのが、科研費の担当もしていますと。科研費はURAがやらなければならない業務ですと。科研費の調書のブラッシュアップとか、科研費の保有期間が今年度で、ちょうど切れますので、来年度は、こういった絵で描きませんかというのはURAの仕事でもありますと。場合によっては論文の被引用数を調査して、この大学で、この分野の強みも調査するのもURAですということで、どちらかというと、やはり研究室に深化をして、シナリオコーディネーター化していくのがURAの業務で、産業界や自治体との切り結びを絶対切れないのが産学官コーディネーターなのかなという感じがします。また、そのようにすみ分けることが可能であれば、共存共栄は、とても大事なことだと思っています。
【馬場主査】  今の形ですと、URAとやっぱりコーディネーターというのは、ある程度、組織として分けておいた方がいいということでしょうか。
【野口委員】  私のイメージのURAは、ポスト・アワードに両足を突っ込んでいるのがURAの姿ではないかという感じがします。そういう意味では、少し産業界との切り結びという観点もありつつも、将来的には産学官連携コーディネーターと一本化するのもありかもしれません。けれども、産学官連携コーディネーターというのは、企業や自治体の目から見ても、10年間でかなり定着しておりますので、そこのところも、斟酌しながら対応していく必要もあるのではないかなという思いも持っています。
【馬場主査】  ありがとうございます。
【柘植委員】  今の主査のは、分けた方がいい。URAとCDを分けた方がいいのかという話ですね。現在は、私は結論は今の状態は明らかに分けた方がいいだろうと。しかし、私は先ほど言いましたように、URAのパフォーマンス・インデックスというものを可視化できるようなものですね。例えば、コーディネーターでしたら、多分、産業との共同研究を、金額は別としても何件作ったと、あるいは何件コンタクトをしたとか、そういうパフォーマンス・インデックスだと思うんですけれども、URAは基礎研究、今は確かに公的な国の研究、基礎研究を主としつつ、ファンドの獲得に研究者の労力を少しでも軽減したいと、こういうことのベースからスタートしていますけれども、現在は明らかに、ですからURAとCDは違うけれども、やはり、この我々の作業部会の上位の産業連携地域支援部会、これが去年だったか作りました、日本全体のイノベーション・エコシステムという言葉を使っていたと思うんですけれども、あの中で、今の役目、それぞれのURAの役目とCDを位置付けて見える化したときに、多分足りない。すなわち基礎研究のファンドで得た研究の芽が、これは社会産業価値があるぞというところをつなぐという、新たな結合と言ってもいいと思いますけれども、この辺りは、やはり私はURAの進化の道だと期待しているんですけれども、CDでは、産業人から行ったコーディネーターでは、なかなか気が付かない。基礎研究の本当の社会的な価値という、これはかなりポテンシャルしかないと思うんですけど、そういう意味での新たな結合というものもURAの大きなミッションだと思うし、言わんとしていることは、今現在は、確かに一見分かれているように見えるんですけれども、しかし、URAの究極の姿、ミッション、あるいはパフォーマンス・インデックスを、やはり名前はどうでもいいんですけれども、イノベーション・エコシステムという、我々、描いたわけですけれども、その中で、現在はここを受け持っているけれども、やはり本来あるべきものは、ここのエコシステムのここまで伸びてもらわないと、本来の目的は果たせないとか、こういうトレースできるパフォーマンス・インデックスと言うと、ちょっと嫌らしい言葉かもしれないんですけれども、何かそれを共有できるようにしたいなと思うんですね。
【馬場主査】  もちろん共同でやることは間違いない話だとは思いますけれども、やはり非常に綿密に連携して一緒になってやっていく、お互いが協力するのはもちろんですが、そうは言いながら、将来的に一緒にやった方がいいのかどうか、これはずっと議論はしておく必要はあると思います。
【永里委員】  それで、やっぱり産学官連携、CDが重要だという観点というのは分かるんです。それは結局、中小技術を対象とするようなところと、そこを相手とする大学の場合には、そういうことが非常に必要なんでしょうけど、さっき言った、大企業が研究開発で20年後のニーズを先取りした研究開発をやろうというようなときには、やっぱりURAみたいなところの、その基礎研究力が社会に貢献するような、そういう方向へ持っていかないと、日本の成長そのものがないんじゃないかなという気がするものですから、そういうことを、ちょっと申し上げたいと思います。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 皆さん、いろんな現場で産学連携やられていますけれども、御自分の経験でも結構ですので、今のところ、特にURAとコーディネーター、一義的に決めてしまう必要は全くないと思いますが、いろんなケーススタディーをしておいた方がいいかなとは思います。こういうときには、やっぱりある程度、距離を置いたというか、二つ作ってやった方がいい場合もあるでしょうし、ある大学は、やはりもうちょっと一緒にすべきだと、そういうような議論を少し、時間があればさせていただきたいんですが、すいません、きょうの時間がアウトになってしまっています。
 最後に、どなたか。
【松永委員】  じゃあ、ちょっと。
 今の議論はURA同士の内輪の話でも結構しているところがありまして、一つは大学の規模によるところが結構大きくて、非常に大きな大学は、別に分けておいて問題ないといわれております。しかし、ちょっと小規模な大学は、一体化しないと、とてもこれからやっていけないよという、そういう切実な問題がやっぱりあります。ですから、何か一つの方向だけに統合するというのは、なかなか難しいかなと感じます。
【馬場主査】  そのとおりですね。そういうことはあると思いますし、いろんなケーススタディーをさせていただいて、いろんな意見を併記して、集約ではないけれども、そういう形で整理をさせていただきたいと思います。
 そのほか、どなたか御発言ございませんか。お願いします。
【内島委員】  私自身、産学連携コーディネーターとして活動してきておりますけれども、今の松永先生がおっしゃるとおりだと感じております。私のいる大学は、150人の研究者に対して、産学連携のスタッフは3名という状況でございます。
 その中で、今回のコーディネーターとURAの業務分類という資料を拝見させていただいていますけれども、私も含め、その3人のスタッフは、どちらも担当してやっております。周りにある中小企業さんに対しては、大学のシーズだけを提供して終了というようなことでは地域イノベーションには結びつきません。大学を知っている立場で、やはりそういう企業との接点なりつながりを得るためには、リサーチ・アドミニストレーターの方にあるプレ・アワードでしたりポスト・アワードという点も、私たちがしっかり担っていかなければなりません。それがないと企業さんとのつながりというのも生まれてきませんし、新たなイノベーションの創出というのにもつながっていきません。私の中では、やはりこれは一本化であろうという認識は非常に強く感じております。
 あと、もう一点よろしいですか。
【馬場主査】  どうぞ。
【内島委員】  大学として、その産学連携のスタッフをどうしていくかということが先ほどのお話もありました。先ほど大阪大学さんは費用の面で例を出していただいていましたけれども、大学の執行部自体が産学連携とか社会貢献ということに本当に価値なり必要性を実感していることが必要なのではないのかなというところを非常に感じております。そういう面をうまく認識された状態にしていくことが重要と感じます。人材の確保の面からは、一研究者とかという枠ではなくて、産学連携スタッフとしての必要な固定枠、研究者に対して1割とか、そういうような形になるか分からないんですけれども、そういうような形で安定化を進めていかないと、やはりこれは、今まで育ってきている人たちも、そのまま継続してより産学連携を推進していくことというのは難しいんだろうなというふうに感じております。
 以上です。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 最後の御発言、私、両方の意味で非常に厳しいんですが、要求する側と要求を受ける側の両方の立場に立っていますので非常につらいんですけれども、私も産学連携、最後に言われたとおりだと思います。産学連携どうなるかは、今のような観点を大学が持つか、国が持つか、大学の中に、そのミッションをきちんと入れるかどうかという覚悟が必要だと思います。そこに一にかかっているかもしれません。ありがとうございました。
 まだまだ御意見あるかと思います。すいません。ちょっと私の不手際で、少し時間を超過してしまいましたが、以上できょうの議論を終わらせていただきまして、次回、もう少し、いわゆるこの個人的な能力のアップとかを中心に、次回も組織の話から入らせていただいてもいいので、今のコーディネーター、それからリサーチ・アドミに関して、キャリアパスのことも含めて、少し御議論をしていただく方向にしたいと思います。
 まとめの発言をしろというふうにありますが、それはもう省略をさせていただいて、今のがまとめということで、御容赦いただきたいと思います。
 それでは、事務局の方から、今後の予定等、御連絡をお願いします。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  御議論どうもありがとうございました。
 お手元の資料3を御覧いただければと思います。
 今後の日程をお示しさせていただいておりまして、次回、第3回でございますが、8月7日、水曜日の、朝早くからで大変恐れ入りますが、10時から12時を予定してございます。
 会場につきましては、文部科学省内を予定しておりますが、また追って御連絡させていただきたいと思います。
 議題に関しましては、山本外茂男委員と松永委員の方から、それぞれプレゼンを頂く予定で考えてございます。
 また、詳細につきましては、追って御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【馬場主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、きょうの会議、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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