科学技術・学術審議会 第2回基本計画特別委員会における主な意見(項目別整理)

○ 日時:平成21年7月7日(火曜日) 15時00分~17時30分

○ 場所:文部科学省 第二講堂

<今後の科学技術政策に関する基本認識及び第4期科学技術基本計画に向けた検討に当たっての論点整理について>

 【科学技術の政策目標として目指すべき国の姿】

  • 21世紀は科学技術を中核とする知識基盤社会であり、最高の知の府である大学・大学院に国の内外を問わず志のある最優秀の若者を集め、世界最高の人材を育成しなければならない。これを阻むものは、大学院の体制が世界水準でないこと、大学人や学生の意識の欠如、公財政支出の決定的な不足の3点であり、第4期科学技術基本計画にあるべき姿を盛り込み改革することが必要である。
  • 若い世代を育てていくことが特に重要であり、子ども達が自らの未来のイメージを描くことができ、自らが社会を作るという気持ちや志を持てる社会を目指すべき。

【科学技術・イノベーションの位置づけ】

  • 新たに科学技術・イノベーション政策を柱として取り上げるのであれば、これまでの科学技術基本計画とは明確に異なる点を分かりやすく打ち出していくべき。
  • 科学技術・イノベーションの定義を明確にすべき。イノベーションが社会システムの変革をも含むと定義するのであれば、科学技術・イノベーションを進めていくことで、目指すべき国の姿が実現できるというメッセージを出していくべき。
  • イノベーションを創出するためには、ある程度の社会実験を行う必要がある。科学技術の成果を社会に実装していくためには、自然科学の研究者とは異なるマネジメントのスキルや技術が必要であり、こうした観点からも人文社会系の研究者との連携も必要である。

【研究開発投資及び科学技術の戦略的重点化】

  • 科学技術・イノベーションに取り組むに当たり、どのような分野で、どの程度の規模・スケールが必要なのか、またどのような形で取り組みを進めていくのかについてきちんと議論すべき。
  • 国家財政が厳しいとは言え、必要な投資額を明確に示すべきであり、例えば現在の目標額の倍増が必要ならば、それをきちんと提言すべき。
  • 次期基本計画では、何にどの程度の金額が必要となるのかという投資目標を明確に入れ込むべき。

【国際活動の戦略的推進】

  • 国際的なネットワークづくりのための具体的な仕組みや予算措置を行うべき。また、海外からの留学生に対する経済的な支援も、日本人に対する支援と同様に進めるべき。

【人材養成】

  • リーダーシップを持ち、世界で活躍できる人材を育てることが、世界貢献になると認識すべき。
  • 人材育成においては大学院の在り方が極めて重要であり、特に学生に対する奨学金や学生の流動性を高めるための具体的施策について盛り込んでいくべき。
  • 社会には多様な人材の要請があるが、既存の大学のシステムがこれに十分対応できる形になっておらず、今後、大学自らも大きく変わっていくべき。
  • 社会の要請に応える人材が必要であり、産業界が、大学と強く連携して、大学院教育に建設的に参画していくべき。

【その他】

  • 教育研究機関である大学を、論文生産性等のコストパフォーマンスをもって評価するということは慎重であるべき。効率的に論文を出すということのみではなく、教育効果がどの程度あり、どのような人材が輩出されてきたのかという点を評価すべき。
  • 研究開発の成果事例集が科学技術政策研究所により作成されているが、このような資料を活用し、基礎研究の成果が基になり、産業競争力の強化につながっているということを、社会に対して広くアピールしていくべき。
  • オープンイノベーションに関しては、ネットワーク化した社会の中で、一つの研究テーマに膨大な研究者が集まり、研究開発を行うという取り組みが進むと考えられる。このような状況を予測した上で、世界の流れに乗り遅れないように、必要となるシステムを構築して行くべき。
  • オープンイノベーションが進展する中で、大学側は成果や情報を外に出したいと考える一方、知的財産を確立しなければ出せないというジレンマに陥っており、この課題をどのように扱っていくのかを議論すべき。
  • デザインやサービスといった無形資産に対する投資が新たな価値創造の上で重要。

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)