参考資料2 科学者の自律的行動を徹底するために

平成18年4月11日
日本学術会議

日本学術会議は、自律する科学者コミュニティを確立して、科学の健全な発展を促すため、全ての教育・研究機関、学協会、研究資金提供機関が、各機関の目的と必要性に応じて、科学者の誠実で自律的な行動を促すため、具体的な倫理プログラム(倫理綱領・行動指針などの枠組みの制定とそれらの運用)を自主的かつ速やかに実施することを要望します。
そこで、御参考までに、以下に具体的な取組として求められる事項の例を列挙します。別紙1「科学者の行動規範」(暫定版)の趣旨も御参照ください。

(組織の運営に当たる者の責任)

  1. 別紙1「科学者の行動規範」(暫定版)の趣旨を含む、各機関の倫理綱領・行動指針などを策定し、それらを構成員に周知して遵守を徹底すること。
  2. 組織の運営に責任を有する者が自ら指導力をもって倫理プログラムに関与し、不正行為が認められた場合の対応措置について、予め制度を定めておくこと。各組織内に研究倫理に関わる常設的、専門的な委員会・部署・担当者など、対応の体制を整備すること。

(倫理教育の必要性)

  1. 構成員に対して、不正行為の禁止、研究・調査データの記録保存や厳正な取扱い等を含む研究活動を支える行動規範、並びに研究活動と社会の関係を適正に保つ倫理に関する教育・研修と啓蒙を継続的に行うこと。特に、若い科学者に、科学における過去の不正行為を具体的に学ばせながら、自発的に考えさせる倫理教育を進めること。

(研究グループの留意点)

  1. 各機関内の研究グループ毎に、自由、公平、透明性、公開性の担保された人間関係と運営を確立することによって、倫理に関する意見交換を促進し、不正行為を犯さぬように日々互いに注意を喚起する環境を醸成すること。また、構成員が、科学研究に従事することによって、かけがえのない公共的な知的事業に参加し、それを育んでいるという目的意識を共有できるようにすること。

(研究プロセスにおける留意点)

  1. 研究の立案・計画・申請・実施・報告などのプロセスにおいて、科学者の行動規範を遵守して誠実に行動するよう周知徹底すること。

(研究上の不正行為等への対応)

  1. ねつ造、改ざん及び盗用などの不正行為の疑義への対応のため、以下に示すような制度を早急に確立し、運用すること。
    (1)不正行為などの疑義の申し立てや相談を受け付ける窓口を設けること。その際、受付内容が誣告に当たらないか、十分精査すること。
    (2)申立人に将来にわたって不利益が及ばないよう、十分な配慮を施すこと。
    (3)不正行為などの疑義があった場合には、定められた制度に沿って迅速に事実の究明に努め、必要な対応を公正に行い、その結果を公表すること。特に、データのねつ造、改ざん及び盗用には、厳正に対処すること。
  1. 研究の実施、研究費の使用等に当たっては、法令や関係規則を遵守するよう周知徹底すること。また、研究活動を萎縮させないように留意しつつ、利益相反の回避のためのルールを整備すること。

(自己点検システムの確立)

  1. 自己点検・自己監査システムによって、倫理プログラム自体を評価し、改善を図ること。

(以上)

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科学技術・学術政策局政策課