資料2‐5 基盤的経費の確実な措置

科学技術・学術審議会
基本計画特別委員会(第8回)
平成17年2月15日

■第2期基本計画のポイント

○ 競争的資金の倍増を図っていく中で、教育研究基盤校費及び研究員等積算庁費のいわゆる基盤的経費については、競争的な研究開発環境の創出に寄与すべきとの観点から、その在り方を検討する。その際、教育研究基盤校費については、教育を推進する経費であるとともに大学の運営を支えるために必要な経費としての性格を有することに留意する。

○ 大学等が活発な教育研究活動を展開し、優れた人材と研究成果を生み出すため、安全で効果的に教育研究に専念でき、かつ国内外の優秀な学生や研究者を引き付ける魅力に富んだ世界水準の教育研究環境を確保することが必要である。このため、国は、施設の老朽化・狭隘化の改善を最重要の課題として位置づけ、老朽化・狭隘化問題の解消に向けて特段の予算措置を講じる。

■第2期基本計画の進捗状況

○ 第2期基本計画中、国立大学の教育研究基盤校費は横ばいで推移。
 (国立大学教育研究基盤校費 平成13年度 2129億円→平成15年度 2129億円)

○ 平成16年度国立大学法人化に伴い、国立学校特別会計が廃止され、新たに、使途を限定しない、いわゆる渡し切りの交付金である運営費交付金として措置されることとなった(平成16年度 1兆2416億円)。また、施設・設備の整備についても施設整備費補助金として引き続き予算を措置(平成16年度 688億円)。

○ 私立大学等経常費補助金、私立大学等研究設備等整備費は着実に増加。私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助についても引き続き必要な経費を支援(私立大学等経常費補助金 平成13年度 3143億円→平成16年度 3263億円、私立大学等研究設備等整備費 平成13年度 47億円→平成16年度 58億円、私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助 平成16年度 168億円)。 ※科学技術関係経費については、それぞれその内数。

■第3期基本計画において採るべき主要な方策(案)

○ 学術研究は、研究者が旺盛な知的好奇心により「思考、仮説、検討・検証」のサイクルを繰り返すことから無限の可能性を秘めた「芽」が育つ段階(模索期・揺籃期・萌芽期)に始まり、独創的な発想や新規性の高い着想から発展する本格的な研究段階(成長期、発展期)に至ると考えられる。

○ 我が国の大学等においては、「基盤的経費」が研究組織の存立(人材の確保、研究環境の整備等)を支え、多様な「芽」を育むことを前提とした上で、「競争的資金」が研究目標の明確な優れた研究計画を優先的・重点的に支援するような二本立て(デュアルサポートシステム)によって研究体制が構築されている。
  基盤的経費と競争的資金とは相互補完的な関係にあり、多様な「芽」を伸ばすための競争的資金が有効に機能するためには、まず基盤的経費を確実に措置し、研究の裾野を広げ、学問領域の確立や研究の新たな展開に必要な「多様性の苗床」の肥沃化を図る必要がある。

○ 基盤的経費は、日常的な教育研究活動を支える資金として、研究者や研究支援者の人件費、最低限の研究費、研究基盤の整備費(施設整備費、設備費等)として支弁される。
 このような基盤的経費は、思いついたときにすぐ研究活動に取りかかれるための資金(機動性)であり、競争的資金の獲得に至らない構想段階の研究も開始・続行できるための資金(継続性)として、必要不可欠である。また、発展期のプロジェクトの推進においても、大学附置研究所、研究センターの整備等、基盤的経費の果たす役割は大きい(持続発展性)。

○ 一方、競争的資金は、優れた研究を成長・発展させることに重点を置いた研究費である。競争的資金が獲得できる研究は、研究計画や研究目標が見通せている段階のものであるため、競争的資金制度のみでは研究の多様な「芽」が生み出されてこない。
 すなわち、基盤的経費の役割は、模索期から萌芽期、成長期、発展期までの研究段階を一貫・継続して支えることであり、競争的資金制度(間接経費を含む)ですべてを代替することはできない。

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科学技術・学術政策局計画官付

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(科学技術・学術政策局計画官付)