資料3-2 「第9期人材委員会における主な審議経過および今後の検討課題(抜粋)

第9期人材委員会における主な審議経過及び今後の検討課題(抜粋)


3. 今後の検討課題

◎ 次期人材委員会において継続的に議論を深めるべき事項について,第6期科学技術基本計画の策定に向けた今後の課題等を中心に検討を行った。主な意見は以下の通り。


(若手研究者等の育成・活躍促進)
○ 今後,人口減少が進む(図10)中で,若手研究者の確保に関する状況が更に深刻化するおそれがあり,優秀な若手人材の博士課程進学の促進を図る取組が一層重要となると考えられる。

○ 研究人材の不足等の課題については,それぞれの分野によって状況が大きく異なることから,今後,研究人材の需給状況等も含め,各分野の状況に応じた対応方策の検討が必要である。

○ 大学院の学生が個々の研究室の研究の実質的な担い手となっていた状況は,大学院教育の実質化が進展する中で,変化しつつあるものと考えられる。担い手をどのように確保するのかという観点も含めた,研究活動の基礎となる研究室等における研究支援体制の確立について,今後,総合的な検討が進められる必要がある。


(次代を担う人材の育成)
○  次代を担う人材を育成する上で,初等中等教育段階から児童生徒の創造性を育む教育や理数学習の機会等を提供し,児童生徒及び学生の才能を伸ばす取組を推進することが今後ますます重要になる。引き続き,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業,グローバルサイエンスキャンパス(GSC),ジュニアドクター育成塾等を推進するとともに,今後は各事業を相互に連携させ相乗効果を図る方策を検討することが必要である。

○  特にSSHについては,生徒への指導やマネジメントを担う教職員の質を確保することが重要である。このための方策として,例えば,指導法や運営ノウハウの普及展開、博士課程の学生等がSSHに関わる取組の充実といった大学における人材の活用などが考えられる。こうした取組については,生徒が大学で行われている研究のノウハウや魅力に直接触れることや,博士課程の学生等が自身のキャリアパスの視野を広げられる等の効果も期待できる。

○  平成31年度からSSH科学技術人材育成重点枠として「高大接続枠」が新設されるが,今後はその成果も踏まえながら,高校から大学までを一貫した人材育成の在り方について検討していく必要がある。

(機関横断的な人材育成システムの構築)
○ 各機関における人材育成の多様な取組に加え,世界で活躍できるレベルの研究者の育成を戦略的に進めていくために,産学を問わず優れた研究者となるために必要な能力を育成するプログラムの可視化・体系化を図るとともに,各機関での取組の高度化にも活用ができるような機関横断的な若手研究者の育成システムを構築することが必要である。

○ 機関横断的な人材育成のシステムが,博士人材のキャリアパスの中で有効に活用されるためには,大学の人事給与マネジメント改革や産学官が連携した人材育成の取組の充実とも連動した具体的な検討を行っていくことが重要である。

○ 各研究分野における若手研究者の育成については,分野の特性に応じて学会等における若手人材育成に関する取組との連携を図ることによって,機関横断的な人材育成の機会をより充実していくことも考えられる。

(分野横断的・文理融合的な人材の育成)
○ Society5.0 やSDGs,地方創生といった課題への対応が求められる中で,こうした社会的課題の解決を図っていくためには,異分野の専門性の融合による知見や自然科学と人文・社会科学を総合した知見を有する人材の活躍が不可欠であり,こうした分野横断的・文理融合的な人材育成の在り方の検討が必要である。

○ 科学技術イノベーションが異質なものの融合領域から創出されることが多いという観点からも,こうした分野横断・文理融合的な人材の育成について検討することは重要と考えられる。

(人材の流動性の確保と多様な人材の活用)
○ 研究者が多様な研究環境で経験を積み,研究者としての能力を高める観点や,多様な背景を有する研究者を集め,活力ある研究環境を形成するといった観点から,研究者の流動性の確保に向けた取組が重要である。

○ 人材の流動性の確保が研究者の能力向上等に資することに加え,産学官の枠を超えたセクター間,分野間の流動性については,異分野融合によるイノベーション創出の観点からも重要である。また,国際的な流動性については,国際的な研究者のネットワーク形成の観点からも重要である。

○ 「卓越研究員事業」については,優秀な若手研究者の新たなキャリアパスを示し,活躍促進を図ることに加え,産学官の枠を超えた研究者全体の流動性を高めるという観点からも重要であり,引き続き,望ましい制度の在り方を検討していくことが必要である。

○ 多様な視点や創造性を確保し,活力ある研究環境を形成するため,女性研究者や外国人研究者等の多様な人材の活躍を促進することが重要である。人口減少が進む中で,次代を担う優秀な研究者を確保するという観点からも,多様な人材の活躍の促進は重要であり,多様な人材を惹きつける魅力的な研究環境の構築が求められる。

○ 近年,博士課程への入学者については,社会人からの入学者が数・割合ともに増加しており,実社会での課題を踏まえたイノベーションの担い手としての活躍が期待される。こうした変化も踏まえつつ,多様な博士人材の確保や活躍の促進を図っていくことが重要な課題と考えられる。
○ このほか,研究生産性の向上のため,高度な技能を有する技術支援者等の科学イノベーションを担う多様な人材の育成・確保やキャリアパスの構築についても研究支援体制の確立の観点から戦略的に進めることが必要である。この際,技術支援者等が有望なキャリアパスの一つとして評価される仕組みを検討する必要がある。

(その他)
○ 研究力強化に向けた研究人材の育成・確保など,今期において集中的に検討を行った施策・課題について着実な改善の取組を期待するとともに,今後の社会環境の変化や施策の進捗状況等を踏まえ,引き続き検討を行っていくことも重要である。

○ 今期の人材委員会においては,中央教育審議会大学分科会大学院部会との合同部会を設置しての検討を行ったが,引き続き,科学技術・学術審議会と中央教育審議会とが適切に連携を図りつつ,科学技術・学術政策と高等教育政策の双方に関わる課題についての検討を進めていくことが求められる。



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