4.第三次提言に向けた全般的な意見

○ 「科学技術と社会の新しい関係の構築」はかなり重要な点。この点をどのように解釈すべきかきちんと整理することが必要。

○ 「教育研究における適正な競争原理の導入」について、どういうレベルで、どういう順序でできるかというのも重要な視点。

○ 競争原理の導入など、大学の一人一人に届いているかというと、必ずしもそうではない。大学の先生は、時代から閉ざされてアカデミズムをやっている面もあり、活性化のために外から刺激を与えるシステムも必要。

○ 各大学の特徴を常に意識することが非常に重要。社会で必要とされる人材を意識すると、研究テーマは教学より実学になる。ニーズを意識してテーマを作っている先生が多い。大学の特色が社会ニーズに合っていれば問題はない。基礎をやりたければ大学がそれを手当すればよい。そうした違いを意識すべき。

○ 最終的には誰が責任を持って実行するのか。大学がどれだけ優秀な人材を輩出できるか。どういう形で実現していくか、当事者が強く認識すべき。

○ 世界第一級の科学技術、そうした成果につながる人材をどうやって社会の中で育てたらいいのか。日本の教育機関で行われている博士育成が社会のニーズにあうのかどうか。高いレベルの博士、ポスドクが日本企業の将来ニーズとマッチングするのか。多くの小中学生が志す道として、インセンティブが素直に働いているのか。多くの人にインセンティブになっていないのであれば、どうすべきか。それぞれ大学の特徴を生かし、非常に高度な人たちを育てていくような仕組みをさらに変えて工夫していく必要があり、第一次、第二次で議論されたものも含めて、強調しないといけないところを第三次として出していってはどうか。

○ 例えばトムソンなどの非常に優れた研究室がどのように運営されていたかといったケースを考えてみることも必要ではないか。

○ 優れた科学技術、国際的な科学技術人材を生み出すために、どのように社会と結びつき、どのように社会との関係を築かなければならないかといった社会との絡みの中で、企業は何ができるか、大学から企業に何を望むかを考えるべき。初等中等教育との関係、社会から理解を得るための方策など、社会との結びつきを強調すべき。

○ 「科学技術人材」「科学技術をする人々」は変わった人で一般的な人でないという認識があった。いかに社会一般から変わった人でなくて普通の人として認識されるか。また、国際機関に日本人を送り込む時には、博士号のような形式的にでもはっきりした資格が必要だと思う。

○ ノーベル賞級の人を育てる認識で大学院に入れると、そうでない人の行き先がなくなる。企業がいいと思ったら企業へ行くべき。母集団を大きくし、研究所でもどちらへも行ける優秀な人を育てるように経済的支援を増やすべき。

○ アメリカの企業では、博士でないと取得できない知識、コンセプチュアルや従来とは違った形で高度の知識等が要求されるのではないか。

○ 博士号取得者に何を求めるか。専門的知識や技能、テーマが一致しなくても、研究プロジェクトのマネジメントとか研究の高度な方法論もある。研究者側からもアピールする必要がある。

○ 人文社会系も含めたものであれば、もう少し膨らませるべき。全体的には科学技術創造立国が前提でも、日本の学問に欠けているのはパブリックアドミニストレーションのような分野。PhDを持ってる人達のサポート、イニシアチブがなければならない。また、大学経営をきちんとやる人が日本ほど少ないところはない。

○ 修士も博士も、人文社会系の志願者が増えると思う。特に社会人は今後増えるのではないか。Eラーニングが入ってきて社会人の掘り起こしがなされる。修士を取った人で、せっかくここまできたから博士論文もまとめたいという人は結構いる。学びたい人をいかに掘り起こしていけるかによってクリエイティブな国際級人材が生まれる可能性がある。

○ 博士とか技術者が変わっているのではないかという、社会的認識を変えることには非常に重要なことかもしれない。

○ 日本全体として技能者が減っているのは確実だと思う。技能を大学が維持管理、継承していくというのもある。学位に関係なく、大学がその辺の人材を維持していく必要があるのではないか。工芸の中で生き残っていくのだろうが、経済社会の中では残っていかない可能性が強いように思う。大学の人材育成というか、日本として技能者を残していく必要があるのではないか。

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