大学入試の個性化・多様化の事例(平成15年度)

(1)大学入試センターの資格試験的な利用の例

○ 京都大学理学部(入学定員301人)

 大学入試センター試験で一定の水準に達した者が、個別学力検査に進み、学力検査等の成績判定には大学入試センター試験の成績は利用しない。

(2)傾斜配点

○ 名古屋大学理学部(入学定員270人)

 特定の1科目で高い学力を有するスペシャリスト型受験生を重視し、定員の一部で「数学」又は「理科」の高得点者を優先的に選抜するもの。

○ 大阪大学経済学部(入学定員220人)

 大学入試センター試験と個別学力検査の成績を3種類の配点で判定し選抜を行うもの。

(3)面接の重視

○ 東京大学理科3類(入学定員90人)

 医学部における教育を受けるにふさわしい意欲と適性を有する学生を選抜する必要があるとの観点に立って、個別学力検査に個人面接を導入している。

○ 宮崎医科大学医学部医学科(入学定員100人)

 社会から医師に要求されるのは、偏った能力に秀でる事なく総合的な能力であることから、学力を「大学入試センター試験」と「小論文」により評価し、人物を「面接」により評価し、これらの合計に基づき総合的な能力で選抜を行うもの。 

○ 大阪市立大学医学部第1部(入学定員80人)

 智・仁・勇を持つ医師として、将来医療チームの一員などとなることが期待される受験生の選抜を目的として、面接試験において、学力試験では推し量れない将来医師となるのに必要な適性、能力、人柄を評価する。

(4)論文の重視

○ 筑波大学第二学群人間学類(入学定員120人)

 個別学力検査等において人間に関する論述試験、口述試験を行うが、あらかじめ指定した図書を試験前に読んでおくこととしている。

○ 京都大学経済学部(入学定員240人)

 創造的で論理的な思考力を持ち自主性のある学生を選抜することを目的に、「論文」試験(個別学力検査において計6時間という長時間の論文を課す。)を行うもの。

(5)異なった尺度による選抜

○ 名古屋大学法学部(入学定員175人)

 入学定員の約3分の1を推薦入学、帰国子女等・社会人を対象とした特別選抜で選抜し、一般選抜においても個別学力検査で、前期は小論文も課し、後期は論文のみを課し選抜を行うもの。

○ 大阪市立大学経済学部第1部(入学定員176人)

 個性豊かな学生を増やし、大学教育の活性化を目指すため、1大学入試センター試験で特に優秀な成績を修めた者、2高等学校において必要な基礎学力を身につけるとともに、課外活動等においても高い成果を修めたり、団体活動において指導的な役割等を果たした者という2つの基準により選抜を行うもの。

(6)多様な評価資料の活用

○ 早稲田大学

 各学部で活動記録報告書、数学オリンピックの結果、スポーツの実績などを評価資料として活用し、選抜を行っているもの。

(7)履修科目指定制

○ 推薦入学において、高等学校における特定の科目を出願要件としているもの。

群馬大学医学部(入学定員245人)

試験区分 募集人員 出願要件 選抜方法
推薦入学 医学科20人
保健学科44人
(1)高等学校もしくは中等教育学校を平成15年3月卒業見込みの者及び学校教育法施行規則第61条の2第3項の規定に基づき平成14年度中に高等学校を卒業又は卒業見込みの者
(2)出身学校における学習成績、人物及び健康等に優れ、かつ、調査書の学習成績概評がAに属し、高等学校長が責任をもってAとして推薦できる者(保健学科においては、調査書の学習成績の全体の評定平均値が4.0以上で、高等学校長が責任をもって推薦できる者)
(3)出身学校において、数学については、数学2、数学3、数学A、数学B及び数学Cのうち2科目以上、理科については、物理1B、化学1B及び生物の1Bうち2科目以上を履修又は履修見込みの者(4)合格した場合は、入学することを確約できる者
面接、小論文及び提出書類(調査書、推薦書等)を総合して判定。

富山医科薬科大学薬学部(入学定員105人)

試験区分 募集人員 出願資格及び推薦の要件 選抜方法
推薦入学 16人 高等学校(中等教育学校及び文部大臣が高等学校の課程と同等の課程又は相当する課程を有するものとして認定した在外教育施設を含む。)を平成15年3月卒業見込みの者で、次の要件を満たし、高等学校長等が責任をもって推薦できる者。
(1)高等学校における調査書の学習成績概評がA段階に属する者で、人物・学力ともに優秀で、特に薬学部での勉学を強く希望する者。
(2)合格した場合に入学が確約できる者
(3)高等学校で次の教科・科目を履修している者
1.数学;数学3及び数学Cを履修している者(理数科にあっては、理数数学1・2を履修している者)
2.理科;「物理1B・物理2」、「化学1B・化学2」、「生物1B・生物2」のうちから2以上を履修している者(理数科にあっては、理数物理、理数化学、理数生物のうちから2科目以上を履修している者)
3.外国語;英語2、リーディング、ライティングを履修している者
(注)普通科又は理数科出身者を含め、上記の教科・科目を履修していない場合は、履修した教科・科目の内容が上記の教科・科目に相当することを証明する高等学校長名等による証明書を提出すること。
出願書類(調査書、推薦書、志望理由書)、小論文、適性検査、面接及び健康診断の結果を総合して判定。

○ 一般選抜において、出願要件とはしていないが、高等学校における望ましい履修領域を示しているもの。
東京大学理科各類(前期日程・後期日程)においては、募集要項に以下のとおり記載してある。

〔入学後の教養学部における講義について〕
 前期課程の理科各類では、数理科学は必修であり、数学1、数学2、数学3、数学A(数と式、数列)、数学B(ベクトル、複素数と複素数平面)、数学C(行列と線形計算、いろいろな曲線)の履修を前提とした講義がなされる。
 また、理科一類では物質科学(物理学及び化学)が必修であり、理科二類・理科三類では物質科学(物理学、化学)及び生命科学が必修である。これらの科目においては、高等学校又は中等教育学校における当該科目の履修を前提とした講義がなされる。

(8)アドミッション・オフィス入試

○ 慶應義塾大学総合政策学部、環境情報学部(入学定員各435人)

 本大学と学部の理念や教育内容を良く理解した上で第1志望で当該学部への入学を志し、より高いレベルでの自己実現を図ろうとする情熱と明確な志望を持った者を積極的に受け入れるために、詳細な書類選考と丁寧な面接によって多面的、総合的に評価し入学者を選考するもの。

試験区分 募集人員 第1次選考 第2次選考
アドミッションズ・オフィスによる自由応募入試(AO入試) 4月入学・9月入学あわせて
総合政策学部100人
環境情報学部100人
書類選考 面接

◎ 出願資格

○ 出願者共通

 以下の1~4の条件をすべて満たす者

  1. 次の一つ以上に該当する者。なお、卒業(修了または取得)見込みで4月入学に出願する場合は3月31日、9月入学に出願する場合は9月21日までを見込みの期限とする。
    1.高等学校もしくは中等教育学校を卒業した者、及び入学までに卒業見込みの者。
    2.通常の課程による12年の学校教育を修了した者、及び入学までに修了見込みの者。
    3.高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者、及び入学までにこれに該当する見込みの者。
  2. 総合政策学部、環境情報学部いずれかでの勉学を強く志望し、第1志望として入学を志す者。
  3. 総合政策学部、環境情報学部の学習・教育環境を積極的に活用し、志望理由としてあげた自己の目標や構想を実現するに十分な意欲と能力を有する者。
  4. 次のひとつ以上に該当すると自己評価できる者。
    A.学術・文化・芸術・スポーツなどさまざまな分野において、研究、創作活動、コンクール、競技などの活動を通し、広く高い評価を得ている者。
    B.外国語能力やコンピュータ技術等の技能に優れており、高度な資格や技術を有している。
    C.社会的な奉仕活動やその他の社会的活動を通じ、広く高い評価を得ている者。
    D.学業が極めて優秀であり、創造的、積極的な学習姿勢を堅持している者。
    E.学業、人物ともに優れ、指導的な役割を積極的に果たすなど地域社会や高等学校等から高い評価を得ている者。
    F.関心や興味を持ったテーマに関して自由研究や自主学習などの自発的な取り組みを開始し、評価を得ている者。
○ 外国高校出身者など

 出願者共通の条件に加えて、以下の1~3の条件をすべて満たす者。

  1. 当該国の教育制度に基づく大学入学資格を有する者、またはこれに準ずる者。
  2. 当該国、またはその他の国で実施される大学進学のための国家試験等の統一試験、またはこれに準ずる統一試験を受験している者。
  3. 日本の大学教育を受けるに足る日本語能力を有する者。なお、日本語を母語しない者で日本語学習歴や日本語能力を示す資料がない場合は、日本国際教育協会が実施する「日本留学試験-日本語」あるいは「日本語能力試験1級」を受験している者。

◎ 選抜方法

 中学校卒業後から出願に至るまでの全期間にわたって獲得した学業ならびに学業以外の諸成果を筆記試験によらず書類選考と面接によって多面的、総合的に評価し入学者を選考。

第1次選考 ・・・ 書類審査(提出された書類により選考)
 ↓
   事務局のスタッフが提出されたすべての書類に目を通した後、24人の担当教官がそれぞれに振り分けられた書類に目を通し、応募総数の3分の1程度に絞り込む。
 ↓
第2次選考 ・・・ 第1次合格者に対し、面接(面接は受験生1人に対し教官3人により、30分程度行う。)
 最終合否は第1次選考の評価とあわせて総合判定

○ 提出書類

志願票
入学志願者調書
志望理由書 ・・・ その学部を志望した理由及び入学後何をどのように学び、実現したいかを、志望する学部と関連させて2000字程度にまとめる。横書きで自筆とし、必ず日本語で。
活動報告書 ・・・ 本人が自筆で記入。中学卒業以降に取り組んだすべての分野の活動やその成果等を記載する。
志願者評価書 ・・・ 志願者を客観的に知る立場にある2名の方に、推薦書ではなく評価書として作成を依頼する。
調査書・成績証明書 等

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

-- 登録:平成21年以前 --