(参考資料7)基礎科学力強化委員会(第2回)における主な意見

基礎科学力強化総合戦略に向けた検討の視点(論点の網羅)

【目標】

 基礎科学力強化の観点から以下を目標としてはどうか。

  1. 基礎科学をリードする優秀で創造的な人材の養成。
  2. 世界的レベルの創造的・独創的研究が、幅広い分野において、数多く行われるよう研究環境の整備。
  3. 創造的・独創的研究が促進されるよう研究の実施体制、方法等の改善。

第1回の委員会での指摘

○社会総がかりの科学技術研究開発体制の整備
○ジェネラリストの養成かスペシャリストの養成か、リーダーの養成か全体の強化か、どれを優先するのか。
○真理の探究を行うのが基礎科学の一面ではあるが、時代の流れに合った科学技術が求められており、現代は幅広い知識に支えられた基礎科学技術を重視するような科学技術の教育研究の在り方が必要。
○大学のシステムが学問の変化に対応できていない。学部の壁を壊して再編するような取組が必要。

【基礎科学の意義】

 基礎研究、学術研究の意義については、種々の議論がなされてきたが、基礎科学の意義をより明確に打ち出すことができないか。

  1. 基礎科学は、真理の追求のため、人類の存続に係る諸課題を解決、低減するものであり、真に豊かな社会の実現に貢献。世界規模での変革期において、日本が科学の研究の成果に基づいて人類の未来に貢献する旨国是として表明すべき。
  2. 基礎科学における発見、検証、発明は知の飛躍をもたらし、さらに、その成果の集約は技術イノベーションによる新しい価値創造を促して、直接的・間接的に社会の発展に寄与。

【研究人材の養成】

 個性的で豊かな創造性を有し、挑戦し“やりぬく力”のある人材についてその出現を単に待つのではなく、能動的かつ体系的に養成するにはどうすべきか。(「出る杭」を伸ばし、育てる。)

  1. 創造性を磨くとともに、研究の「ひらめき」や知的触発が得られるよう、学習・指導方法等の開発・普及、若手研究者の産学官による塾、研修コースの設置等知的触発の場の設定。
  2. 主要大学院の学部からの独立と国内外への開放性の確保。(大学による学部学生、大学院生、若手研究者の「囲いこみ」、学生・研究者の「引きこもり」打破)
  3. 「学生の立場」に立つ大学院教育(教官の意識改革、学習・指導方法などの開発・普及)。給付金など大学院生への経済支援(学費免除、教育研究貢献への対価支払、生活費の貸与)。
  4. 若手研究者の武者修行の奨励や異分野との融合の促進により、新たな思考法や発想の転換が得られるよう、帰国後の処遇に配慮した義務的な在外研究制度の導入、研究現場の流動性確保のためのインセンティブの付与などの仕組みの構築。
  5. 若手研究者が長期的視野に立って研究に専念できるよう、キャリアパスの整備(若手へ将来のイメージをもう少し分かりやすく早めに示す必要)。流動性、競争性を確保しつつも、安定した環境の中でじっくり研究が行える体制の整備(テニュア・トラック制の普及・定着など)。
  6. 高齢研究者の処遇を見直し若手研究者ポストを拡充すること等による大学等における「逆三角形」の年齢構成の改善、研究評価等へのシニア人材の活用。
  7. 助教、准教授の任期制の定着、教授からの独立。
  8. 小中高大における知的好奇心の醸成、想像力の伸長、科学的素養や科学的な疑問を持ち考え抜く力の育成、科学に携わることへの関心意欲の喚起など将来の研究者たる若者を育成する仕組みの構築。広い基礎知識の賦与と自学自習のバランス。

第1回の委員会での指摘

○科学者になる者を伸ばしたり、技術者になる者を育てたり、多様な人材の育成も初等中等教育の重要な役割。
○子どもたちの理科離れ、算数・数学離れが問題。小中高の時期が重要。
○小中高では、知識の習得・活用のみならず、探究という頭の働かせ方も大事。
○大学入試や大学院の選抜の在り方を見直す必要。
○学生の視野を狭くする教育の在り方が問題。若いうちにいろいろな分野を学ぶことが必要。
○研究が先端化し、大学院生になってから広く興味を持つよう促すのは困難。もう少し早い段階から新しい知識を身に付けさせる必要。
○大学院の定員とポスドクの関係を整理してシステマティックに考える。
○研究人材の養成について、質的向上か量的拡大か方向性を明確化する必要。

【研究環境の整備】

 世界的レベルの創造的・独創的な研究環境をいかに整備するか。

  1. 基礎科学力強化のためには大学等における教育研究の格段の充実が不可欠であり、特に、国立大学等の運営費交付金、私学助成等の基盤的な経費の確保。
  2. 若手研究者の研究の方向性について徹底的に議論がなされるなど、研究計画立案の方法等を含め、刺激があり、創造性豊かな、若い人たちの自由な発想が具体化するような研究風土の醸成。また、研究評価に当たっては、成果だけでなく「努力すること」を評価し、研究をやり抜く力や努力する研究風土の醸成。
  3. 研究者は研究により一層専念すべきである。そのための、研究資源・時間を最大限効率的に活用する研究支援体制(研究支援者、技術支援者の確保を含む)。
  4. 内外の世界的レベルの研究者を糾合できるような研究テーマの設定、研究環境の整備などにより国際的な研究拠点の形成。
  5. 大学等研究機関における外国人研究者のポストの確保や、海外経験を持つ研究者が重視されるような仕組みの構築。
  6. 先端的研究に不可欠な各種の大規模な研究施設・設備の整備について、国際協力(他国に設置する場合を含む)も視野に入れつつ、効率的に整備する方策。
  7. いわゆるビックサイエンスとスモールサイエンスについて、性格の違い、研究の多様性等を考慮した財政措置の仕組み。
  8. ボトムアップとして個人単位の研究とは異なる、国家運営のために必要な基礎研究の推進のための研究ポテンシャルの結集及び推進の仕方。研究課題に応じた柔軟な研究体制の構築。

第1回の委員会での指摘

○大学院は大学と切り離したあるべき姿を作っていくべき。国立大学の大学院についてはそういう体制が必要。
○若手研究者に目を向けるあまり、日本の研究を支えている中堅の研究者の研究費が減少していることが問題。

【研究の実施方法等の改善】

 より創造的で効率的な研究を促進するためにはどのような研究の実施方法、評価、成果の取扱い等が必要か。

  1. 基礎研究の成果が社会的価値創出に結実するには長期間かかる。目利きによる良いものは良いとする風土を。応用可能性とともに将来的な発展可能性を重視した評価を行いつつ、研究期間の長期化や切れ目のない研究支援。
  2. 研究費について、年度にまたがる予算執行、評価や提出書類の簡素化による研究者の負担軽減等の研究経費の執行の柔軟化。
  3. 基礎研究の成果について広く産業界と情報共有するとともに、産業界の現場での問題意識を基礎研究に反映する仕組み。
  4. 研究課題の採択に当たって、研究評価が短期的な成果主義や論文数などによる形式的評価に拘われないような評価システム。

【その他】

第1回の委員会での指摘

○科学と社会の橋渡しを行い、社会におけるリテラシーを高める人材の不足が問題。
○市民の中に科学に対する憧憬を育むような科学教育が必要。
○科学技術専用チャンネルなど科学技術に取り組む素晴らしさを多くの人に感得してもらうような取組が大事。

(以上)

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