資料2 審議テーマ 「大学教員等の人材育成に係る意識改革のための方策」審議資料

◆ 博士課程学生及び博士号取得者の育成に係る大学教員等の意識改革のための方策として、以下の方策などを検討してはどうか

  1. 大学教員等の意識改革につながる評価方法の構築
  2. 大学教員等の意識改革に資する取組の推進

1.大学教員等の意識改革につながる評価方法の構築

○ 大学が、組織としてキャリア支援を強化するとともに、大学教員等の評価において、大学院学生一人一人の適性(知識基盤社会を支える人材あるいは世界をリードする研究人材やその両方を兼ね備えた人材)を見据え、適切な進路指導を実施するなど、教育者としての側面から見た評価の結果を処遇等に反映させるシステムを構築することも一案。<参考資料5:図1-1、2、3、4>

○ また、競争的資金制度等の審査においても、制度の目的や特性に応じて、人材育成に係る取組の計画や実績を評価の一指標とすることを検討。
<参考資料5:図1-5、6、7>

(グローバルCOEにおける評価の例)

  • キャリアパス形成に対する支援体制
  • 博士課程学生に対する経済的支援や、若手研究者に自立して活躍できる機会を与えるなど、若手研究者がその能力を十分に発揮できるような取組み
  • 博士課程学生を含めた若手研究者の育成・支援の実績

2.大学教員等の意識改革に資する取組の推進

○ 学生やポストドクターのキャリアパスに対する大学教員等の意識改革に資する方策について検討。

(例)

  • 産業界が求める人材像を把握するため、インターンシップ(見習い的な学生のみの企業実習)を超えた、教員と学生が共に参画する産学協働の連携教育研究プログラム(課題解決型の演習等)の推進や民間人を講師とするキャリア指導の研修等の推進

<参考資料5:図2-1、2、3>

(中間まとめ 関係箇所抜粋)

1.大学教員等の意識改革につながる評価方法の構築

第2章 社会の多様な場で活躍する科学技術関係人材の養成方策
 第1節 理工系人材のキャリアパスの充実
 (1)大学院等における教育研究の質の向上について

<解決に向けた提言>
  • 大学は、大学院において技術者コースと研究者コースという二つのコースを複線的に学ぶ(複線型)カリキュラムを設定することを検討すべきである。技術者コースでは、技術経営的な教育等も行うとともに、教育効果を高めるため、両コースの協働の場を設けることも重要である。また、両コースで身につけることができるスキルは、将来的には技術者、研究者双方で必要とされることから、学生自身が柔軟に履修できる環境を整えるべきである。なお、学生が進学時にコースを選択することは困難であるため、大学は、進学時からすぐに二つのコースを設定しないよう留意すべきである。

第3節 教員等の意識改革のための取組

<検討の視点>
  • 教員の意識改革や人事制度改革は、効果が明確に現れるまでに時間がかかる困難な課題であるものの、時代の変化に応じて若手研究者を養成するためには避けて通ることができない課題である。現在、教員の採用・昇任のための人事評価については、研究成果が第一義的な指標になっているが、研究成果至上主義では教員の意識改革は困難といえる。教育、人材養成及び社会貢献等も評価するなど、大学の執行部自らが意識を改革し、トップダウンで主体的かつ継続的に取り組むよう促していくことが必要である。
  • 全ての教員に、アカデミアであるか否かを問わず、社会で活躍できる人材を養成するための教育力強化への取組が求められる。しかし、指導教員に、博士課程学生及び博士課程修了者は研究の推進に必要な戦力であるとの認識が依然としてあり、そのような事情を招いてきた問題点を解決するための方策が求められる。その根本的解決には、教育、研究及び社会貢献の有機的な連携による教員の教育研究活動の実践が必要である。すなわち、教員は社会の求める価値創造への参画を通した教育研究活動の実践によって、初めて、社会が求める人材を育成するための真の教育力を発揮できる。
<解決に向けた提言>
  • 大学や研究機関は、ポストドクターを任期付きで雇用する場合、当該ポストドクターがキャリア開発研修や就職活動に一定期間時間を割くことを、指導教員等が容認するよう、義務付けることを検討すべきである。また、職務専念義務の現行の考え方の見直し等も検討すべきである。
  • 研究資金配分機関は、研究費で採用するポストドクター等に研修を実施することは、研究活動の質の向上に結びつくことから、その目的や特性に応じて、当該研修を雇用機関の業務の一環と位置付け、その実施を各機関に義務付けるべきである。
  • 大学や研究機関は、その目的や特性に応じて、指導教員等に教育に対するインセンティブを与えるため、人材養成の観点を機関における指導教員等の評価指標の一つと位置付け、その結果を研究費や処遇等に反映させるシステムを構築することが期待される。
  • 大学や研究機関は、メンター制度の創設や指導教員等を対象とした研修の実施等により、学生及び博士課程修了者の人材養成について、指導教員等の意識を高めるべきである。
  • 指導教員等は、ポストドクターの役割は研究支援のみではないことを認識し、博士課程学生についても後継者を育てることを唯一の目的にするのではなく、社会の多様な場で活躍できる人材を育てる必要があることを常に念頭に置き、学生及びポストドクターが社会と接する機会を十分確保すべきである。
  • これらの諸改善、諸改革に当たっては、大学等の持つべき、教育、研究及び社会貢献の有機的連携の重要性を各教員と組織が十分に認識し、それを実践する文化の醸成と評価システムの整備が必要である。

第3章 世界をリードする研究人材の養成方策
 第2節 研究資金制度等の人材養成に係る改革
 (1)研究資金制度等の人材養成への活用方策について

<検討の視点>

 研究プロジェクトにおいて雇用するポストドクターについては、その場限りの戦力ということではなく、研究パートナーとして明確に位置付け、ポストドクターのキャリアが次につながるようにサポートすることが重要である。
 競争的資金の中で、学生を育てる場や環境を提供するシステムを構築することが必要である。
 一方、研究資金は人材養成の一つの手段ではあるが、主な狙いは、あくまでイノベーションを創出するような研究を推進することである。そのため、競争的資金制度を改革する際には、複数の知の創造の成果を社会経済的に価値のあるものに統合することができる研究人材を養成する視点が必要であると同時に、研究者の自由な発想に基づく研究と、政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究のバランスに留意する必要がある。
 なお、研究の推進という観点から、人材養成については間接経費で充当すべきという考え方もある。

<解決に向けた提言>

 国は、大学や研究機関が研究プロジェクトにおいて雇用するポストドクターには、ポストドクター自身が一定期間、自立的な研究やキャリア開発のための活動に専念することができるよう、プロジェクトの目的や特性に応じて、改善を検討すべきである。
 国は、チーム研究に配分する競争的資金については、一定割合を研究室の意思でリサーチアシスタント経費やポストドクター雇用経費等に充当できる仕組みの導入について検討すべきである。さらに、制度の目的や特性に応じて、人材養成の方法・内容や人材養成に充てられている経費の割合を明確にさせ、人材養成を評価の一指標とすることを検討すべきである。
 国は、教員が修士・博士の入口・出口で質の確保を徹底するなど、教員の意識改革を図るため、制度の目的や特性に応じて、研究プロジェクトの審査基準の項目に、雇用する博士課程学生・ポストドクター等の当該プロジェクトにおける養成内容を評価対象とすることを検討すべきである。
 国立大学法人及び独立行政法人においては、博士課程修了者のキャリアパス支援のための取組、女性研究者や外国人研究者の登用目標の設定をはじめとした取組及び多様な教員や研究者を確保する取組等を、中期目標・計画へ位置付けるなど、組織的な取組を促進すべきである。また、国立大学法人評価委員会が国立大学法人を、各省庁の独立行政法人評価委員会が独立行政法人を評価するに当たっては、このような取組を積極的に評価すべきである。
 研究資金配分機関は、研究者の自由な発想に基づく研究と、政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究のバランスに留意する必要がある。同時に、大学や公的研究機関においては、複数の知の創造の成果を社会経済的に価値のあるものに統合することができる研究人材に対する評価基準の整備が必要である。

2.大学教員等の意識改革に資する取組の推進

第2章 社会の多様な場で活躍する科学技術関係人材の養成方策
 第1節 理工系人材のキャリアパスの充実 
 (1)大学院等における教育研究の質の向上について

<検討の視点>

 大学がカリキュラムを検討する際には、必要に応じて産業界の意見を聞くだけでなく、講師派遣や人材交流などの具体的な協働も考えられる。

 第2節 産学をつなぐ人材の養成・活躍促進方策
 (2)人材養成のためのアカデミアと産業界との連携強化について

<検討の視点>

 学生及び博士課程修了者を指導すべき立場にある大学教員自身が、企業等についての情報や社会経験を持っていないために、多様な場で活躍できる人材を養成するための取組、例えば、教育研究指導、情報提供等が十分になされていない。大学は、教員の意識改革を図るためにも、産業界と連携し、教員が企業に接する機会を充実する必要がある。

<解決に向けた提言>

 産学間の人事交流においては、双方向型の産学連携を目指すべきである。産から学への働きかけとしては、産業界が積極的に大学等に人材を派遣し、大学が社会の多様な場で活躍している人材を教育の現場に受け入れるなど、教育に社会の接続の視点を取り入れるべきである。一方、学から産への働きかけとしては、大学教員が、産業界への異動、産業界のインターンシップへの参加及び産学が協同して実施する研究・開発プロジェクトへの参画等を通じて、産業界のニーズに直に触れるとともに、大学が企業技術者向けに体系的な基礎研修・理論研修を実施すべきである。なお、大学が企業と連携する場合には、日本の企業だけではなく海外の企業も連携先として視野に入れるべきである。

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科学技術・学術政策局 基盤政策課

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