人材委員会(第96回)議事録

1.日時

令和5年4月24日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

科学技術・学術政策局局1会議室及び Web 会議(ZOOM)

3.議題

  1. 議事運営等について(一部非公開)
  2. 科学技術・学術分野における人材の育成・確保をめぐる現状と課題について
  3. 第12期人材委員会における主要論点(案)について
  4. その他

4.出席者

委員

 狩野委員、岩崎委員、稲垣委員、梶原委員、迫田委員、杉山委員、鈴木委員、隅田委員、長谷山委員、桝委員、水口委員、村上委員、柳沢委員

文部科学省

 柿田科学技術・学術政策局長、清浦大臣官房審議官、山下科学技術・学術総括官、生田人材政策課長、髙見人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会(第96回)

令和5年4月24日


議題1については非公開。

【狩野主査】  よろしいでしょうか。それでは、これより会議は公開となります。
 改めまして、私は科学技術・学術審議会の大野会長から第12期の人材委員会における主査の指名を受けました、狩野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私はいろいろな仕事はしてまいりましたけれども、まず、国内においては、ぜひこれから先の建設的な変化を促すため、そして、国外に対しては、我が国が何か違いを持った上で魅力を感じてもらえるようになるために、ぜひとも科学的な思考ができる人材を豊かにし、また、その活躍の場を広げていきたいという気持ちで、こちらをお引受けいたしました。
 ぜひとも委員の皆様から元気あふれる意見をいただきまして、そのために資する政策の制定につながっていくといいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、引き続きまして、主査代理に御就任いただきました岩崎委員からも一言御挨拶をお願いできたらと存じます。
【岩崎主査代理】  では、手短に。狩野主査から御指名いただきまして、主査代理を務めさせていただくことになりました、東京大学の岩崎と申します。
 私自身は、専門はバイオインフォマティクス、ゲノム科学と情報科学の融合領域の研究をしております。生命科学と情報科学は、人材育成という観点からはかなり違った状況にある2つの分野ですけれども、その両方の事情に通じているかなと思っております。
 それから、これも狩野主査から御紹介ありましたように、私、内閣府の日本学術会議、若手アカデミーの代表を務めておりまして、45歳以下の人文社会科学、理工学、それから生命科学の各分野を代表する若手研究者の方々と、人材育成に関していろいろな情報交換をさせていただいてきました。そういった意味で、各分野のいろいろな分野の事情にも通じてきているかと思っております。
 人材育成というのは、これから日本が少子化を迎えていく中で、また、日本や世界がいろいろな課題を迎えている中で、我が国が国際的な役割を果たすということもありますし、我が国からイノベーションを起こしていくということもありますし、地方の活性化、あるいは分野の横断によるイノベーション、いろいろなところで幅広く重要になってくる課題だと思っております。
 各分野の若手研究者から聞いた意見等も踏まえて、こちらでその意見を伝えて、よりよい人材育成につなげていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【狩野主査】  熱の籠もった御挨拶、ありがとうございました。
 では、続きまして、本日は第12期最初の人材委員会でございますので、事務局の代表として、柿田局長様から御挨拶をお願いできたらと存じます。
【柿田科学技術・学術政策局長】  ありがとうございます。
 科学技術・学術政策局長の柿田と申します。本日は大変お忙しい中、先生方に御参画いただきまして、大変ありがとうございます。一言御挨拶申し上げます。
 これまで、文部科学省をはじめ、政府で科学技術・イノベーションへの投資というものがかなり急速に進んできております。そういった中で、研究費については、年々、引き続き、予算の強化ということは、文部科学省も徐々にやってきているかなと、強化できているかなと思いますが、その担い手である人材、そこを強くしないと先行きが危ういなというように個人的には思っておりますし、それはもう自明であると思っております。
 そういった中で、科学技術・学術審議会、たくさんの委員会がございますが、人材については、人材委員会がまさにその名のとおり、要となって御議論をいただく場となっておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 人材に関しましては、最近では博士課程の学生への経済的支援を中心に、博士号取得者を増やしていくという政策強化しておりますけれども、当然、将来、若い人たちが博士を目指して、そして博士号をもって社会で、研究者はもちろん、産業界を含め、様々な場で活躍していくということが、これまで以上に日本として大事になってくると思います。そういったときに、博士課程の学生に対する視点で政策をやるということのみならず、もっと遡って、次世代の小学生や中学生など、そういったところに、より一層、てこ入れをしていきたいなと私自身、思っております。これまでも科学技術振興機構を通じて、次世代の人材育成を様々やってまいりましたけれども、もっともっと光を当てて、もっともっと予算をつけて、現場の方々への御苦労はいろいろ課題もあるというように聞いており、先ほど現場の意見をこの審議会にお伝えいただくという話もいただきましたけれども、ますます政策と、それから研究の現場といったらなんですが、実際のところで起こっている課題、そういった問題意識をどんどんここに上げていただきまして、よりよい政策を進めていきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【狩野主査】  大変ありがとうございました。若い方々で、探求学習というのが最近、必修化の流れがございまして、これの活用の仕方についても、ぜひ関連するところ大だと思いますので、こちらもお願いしたいと思っている次第でございます。いろいろ分担がございますので、どれだけ主に扱えるかは、また御相談させていただきたいと思いますけども、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
 それでは、早速議題の2番、科学技術・学術分野における人材の育成・確保をめぐる現状と課題について、そして、議題の3、第12期人材委員会における主要論点についてに移ってまいりたいと思います。
 これら2つが初め、独立して書いてあったのですが、内容が非常に関連しますし、皆様から活発に御意見をいただきたいということがございまして、一緒にさせていただきまして、御意見をいただいてまいりたいと思います。
まず、前期、第11期までの議論を踏まえまして、今期、第12期の人材委員会における主要論点(案)となっておりますけども、これをリストアップいただいておりまして、この論点を軸に、科学技術・学術分野における人材の育成・確保をめぐる現状と課題について、事務局に整理をお願いしてございますので、こちらについて事務局から御説明をお願いできればと思います。
 
【對崎人材政策課長補佐】  ありがとうございます。では、オンラインの出席の方々もいらっしゃいますので、画面を随時共有しながらで進めさせていただきたいと思います。会場御出席の先生方は、資料2と3をお手元に御用意いただければと思います。
 まず、第11期までの人材委員会における議論の中で、論点整理として、今後、特に検討すべき課題例を整理いただきました。そちらに基づきまして、まず、資料3でございますけれども、簡単に事項のみでございますが、主要論点(案)ということで、4点ほど事務局のほうで挙げさせていただいております。
 もちろんこれに限ったものではなく、今日は先生方、御議論いただければと思いますが、当座11期までの議論を踏まえてということで、4点でございます。
 まず、1点目が、博士後期課程学生への経済的支援の充実とキャリアパスの多様化というところで、こちらは先ほど先生方、あるいは局長の柿田からお話ありましたように、博士課程学生への経済的支援が充実している中で、今後、そのキャリアパスをどのように多様化していくかといった観点で、大学における支援体制や大学院の中でのカリキュラムの充実、また、主査、局長からもお話ありました、次世代の人材の育成の裾野を拡大していくことにどうつなげていくかといった観点があるかと思っております。
 また、2点目としまして、産業界における博士人材の活躍促進というところで、こちらはアカデミアに限らず、産業界、様々な場での活用が広がってきているということを第11期でもヒアリングをさせていただきましたけれども、こうしたことをより進めるために、もちろん文科省だけの仕事ではありませんけれども、産業界における適正な処遇の向上とか評価といった方策も含めて、また、様々な産業分野や企業の規模、職種等もございますので、そうした点にも留意をしながら、この産業界における博士の活躍促進という観点で御議論いただければと思っております。
 また、3点目としまして、研究人材のあるべき流動性と安定性の両立ということで、こちらも昔から言われてきているところではございますけれども、国際頭脳循環の活性化といった論点も含めて、研究人材があるべき、アカデミア、産業界も含めた流動性と安定性というものをどのように考えていくかといった観点。
 また、4点目としまして、URAや技術職員等の研究のマネジメントに関わるような人材も含めて、研究人材というところには多様な観点がありますので、そうした博士号取得者を含めた研究人材の多様な育成や確保の在り方といった観点を挙げさせていただいております。
【狩野主査】  切替えのときに少し私が申し上げましたが、1点ございまして、今、4つ論点を挙げていただきましたけれども、後で御意見をくださるときに、これのいずれに関連した内容かということをインデックスしていただいてお話しいただきますと、その後で、せっかく頂戴した御意見をまとめるのに有意義かと思いますので、ぜひお力添えをお願いいたします。
【對崎人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、以上の論点に関する参考資料というか、これまでのデータ等でございますけれども、そちらを資料2にお示ししておりますので、こちらは大部でございまして、先生方、いろいろなところで御覧になっている資料もあるかと思いますので、簡単にかいつまんで説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1点目の博士後期課程学生への経済的支援の充実とキャリアパスの多様化に関しましては、まず、2ページ目は全体の総数として学部生の11%ぐらいが修士課程に進学して、そのうち、10%ぐらいがその後、博士課程に進学するという流れの中で、社会人や留学生の数が、このように外からも入ってきているというところが全体の総数でございます。
 また、3ページ目でございますけれども、こちらは博士課程入学者の内訳として、近年の傾向として、社会人で博士課程に入学されている方が増加している傾向にある中で、社会人以外のストレートドクターの数は減少傾向にあるということでございます。
 また、博士号取得者のキャリアパスについて、4ページ目でございますけれども、こちらは博士課程修了者ですぐに民間企業等の研究職になる人は、割合としては36%ぐらいでございまして、また、一部がポスドク等、あるいは大学等の教員になって、その後のキャリアを歩んでいくというところのバックデータでございます。
 また、博士号取得者の分野別の割合を5ページ目にお示ししております。こちらは、博士号取得者全体の人数は横ばいの傾向でございますけれども、分野で見ますと保健の割合、保健の中に含まれるのは医学、歯学、薬学、保健学でございますが、こちらの数字に関しては、人数は増えている傾向でございまして、構成比では、理学と工学の減少割合が大きいというところでございます。
 6ページは博士課程修了者の就職の状況でございますけれども、こちらは教員にカテゴライズしているところが、いわゆる純粋な大学等の教員で、技術者、研究者というところに含まれていますのが、いわゆる製造関係の技術者、研究者で、技術者に関しては製造関係、研究者に関してはいわゆる大学等教員以外の研究者というところでございます。
 7ページは職種別の進路でございます。こちら、自然科学系では、医療分野は人数が多いというところで、それ以外に教育、学習支援業の割合が増加していて、学術研究や専門サービス業といった割合も微増している中でございますけれども、下の段が理工、農系でございますが、こちらは全般的に横ばいになってございます。
 8ページ目でございますが、今、6ページ、7ページ目でお示しした点につきまして、分野別に見てまいりますと、人数として、保健の人数の割合が多いところでございますけれども、分野によってこのように進路先にも多少の違いがありまして、大学教員や民間企業等に就職する割合が工学、保健等は比較的高い割合でございますけれども、一方で、理学や工学のように、ポスドク等の経験をある程度するというキャリアもあるということ、また、横幅で人数比を表しておりますけれども、人数比がそれぞれの分野によって若干異なっているところも留意すべきところかなと思います。
 また、9ページ目でございますが、こちらは博士課程修了した者の就職後20年以内程度の企業等で働く者に、自分の専門分野が赤でございますけれども、それに加えて、自分の業務で必要となっている専門分野、これが黄色のバーで示しておりますもので、そして、事業の展開や成長に重要だと考える専門知識、分野というのを灰色で示しておりますが、これらを尋ねたものです。傾向としては、灰色の分野が高いところは、自分が専門では学んでいないけれども事業の展開に必要だと考えている分野、あるいは黄色の分野というのは、自分が専門で学んだところではないかもしれないけれども業務で重要な分野と考えられるところで、こうした点が分野によって異なりまして、例えば人工知能・機械学習・知識処理といった分野や、エネルギー変換・貯蔵学といった分野は、自分が専門で学んでいないという人も含め、今後の展開に重要だと考えている分野で、こうした分野において、供給される人材よりも人材が必要になるというミスマッチが起きているというデータでございます。
 ここからは以前お示ししているデータ等もございますので、少し飛ばしまして、12ページを御覧いただけますでしょうか。12ページは生活費相当額程度を受給する博士後期課程学生の割合で、こちらは2018年が直近となっておりますけれども、今、2021年度時点のデータを集計しているところでございますので、こちらは次回開催等の場でお示しできるかと思います。生活費相当額受給者の割合というのは、博士課程支援を今後どう進めるかといった観点で重要でございますが、2018年度時点では、10%程度となっておりますが、我々の施策によってこうした部分がまた増えてくるところは期待するところでございます。
 また、13ページは現状の支援の状況でございますが、博士課程学生在籍者が7万5,000人ぐらいいる中で、我々の国の支援と既存の様々な支援の形で、今1万8,400人程度が支援を受けている状況でございますが、政府としましては、第6期の科学技術イノベーション基本計画の中で、2025年度までに2万2,500人に支援の割合を増加させるという目標がありますので、こちらに向けて支援を着実に進めていく必要があるというところでございます。
 また、14ページは、博士課程の経済的支援で国が進めている事業の中での現状の成果をまとめておりますけれども、就職の傾向としましても、いわゆる普通の博士課程の修了者に比べて就職率が若干高い傾向にあったり、また、大学や学生に関しても、キャリアパスや視野を開いていく中でのポジティブな賛同の声をいただいているところでございますので、引き続き支援の継続性が重要であるのではないかと考えております。
 また、15ページは、いわゆるトランスファラブルスキルに関しての調査データでございますけれども、こちらは2020年に文部科学省が行ったもので、既に御覧になっている方もいらっしゃるかと思いますが、諸外国のほうでは、トランスファラブルスキルと言われるものを、こうして項目や要素に分解して、それぞれ足りない部分を博士課程の学生、あるいは博士人材がどのように身につけるかといった観点を、例えばイギリスではプログラムとして提供したりするといった取組が行われているところでございますので、文科省の事業のほうでも一部進めておりますけれども、こうしたトランスファラブルスキルをどのように涵養していくかといった点も重要ではないかと思います。
 駆け足で恐縮でございます。16ページは次世代人材育成といったところで、裾野を広げるという観点で、小中高生を対象にした事業を文科省のほうでも進めておりますので、こうしたものと博士課程の経済的支援といったものを一本化してつなげていくことがますます重要ではないかなというところで、現状の施策をお示ししております。
 大部で恐縮でございますが、続きまして、2点目の産業界における博士人材の活躍促進でございます。こちらもバックデータになる部分は少し飛ばさせていただきまして、19ページを御覧いただければと思います。19ページは、産業種ごとの博士人材の博士号保持者の割合を経年変化でお示ししております。一番左側の欄で、全産業と製造業と非製造業と分けておりますけれども、全産業の中では4%程度で、若干最近は減少傾向でございますが、非製造業のほうでは、逆に博士号保持者の割合が上がってきていると。
 分野ごとに製造業と非製造業の中身を分解したのが右側のグラフでございますが、こちらも製造業の中での分野によって傾向が減少傾向にあるもの、あるいは、時期的には一時的に上がったりしているもの、非製造業のほうでは、学術研究や専門サービス業といった分野で、割合としては増えているという傾向がございます。
 少し飛ばさせていただきますが、20ページ、21ページは博士号のベンチャーにおける割合が高いというところと、ベンチャーの中での役職等の割合をお示ししております。
 22ページは経済産業省において令和3年度に行われた調査でございますけれども、博士の処遇向上といった観点で、博士課程在籍者は収入がなく、学費の支出をあわせ修士課程修了後就職した者との収入の差額についてその後、博士課程修了後の就職による給与の上乗せによりどのくらいの年齢でその分を回収できるかといったことを計算しているものでございます。例えば上乗せが5万8,333円だとすると、40歳程度で博士課程に行っていたときの収入と学費の分が回収されると算出されています。あるいは、23ページでございますけれども、こちらは博士課程中に経済的支援が実施されることによって、当然その差額、損失回収可能な年齢が下がるということでございます。
 また、24ページは企業に博士人材がいることによる効果でございますけれども、こちらは新商品やサービスを開発するといったことに博士人材が非常に活躍できるといった傾向を調べております。
 25ページは企業と博士人材本人と大学に同じ項目のアンケートを取ったものでございます。それぞれが考える博士人材の強みは、最先端の知にアクセスする能力、自ら課題を発見し設定する力等々で、強みに関しては一致している傾向がありますけれども、26ページにお示ししていますのは、弱みと考える部分として、修士号と比べて弱みを持つものはないというのが多数の傾向ではございます。それ以外にビジネスに関するスキルやマネジメント能力、コミュニケーション能力といった観点は、企業や博士人材本人がもっと磨くべきと考えているところでありますけども、大学のほうではそこまで認識されていないという傾向があります。
 また、27ページは、大学が考える博士課程学生を産業界で活躍させるための取組として、インターンシップ等が重要という傾向が挙げられておりまして、文部科学省のほうでもジョブ型の研究インターンシップ等で、企業における研究人材とか研究の役割や仕事といった観点でも今後、涵養が図られる必要があると考えております。
 28ページは、関係府省庁の中での博士号取得者の数をお示ししておりますけれども、こちらは行政職(一)というのが、いわゆる行政官でございますけれども、それ以外に、いわゆる気象大学等の大学に準じる学校の教育職や研究職といった分野で採用が見られておりまして、そういう意味では防衛省や厚労省、国交省といった研究職で採用されている分野以外にも、文部科学省をはじめとして、最近では博士号取得者が府省庁のほうに入ってきているというところもお調べしておるところでございます。
 続きまして、3点目の論点の研究人材の流動性と安定性の両立に関してでございます。31ページでございますけれども、こちらはセクター間移動の総務省における統計調査でございます。非営利団体・公的機関から大学等への移動が紫のバーでございますけれど、こちらは20年間でかなり増えてきているところでございますが、数としては、一方で、大学等から企業、あるいは企業等から大学に来る人の人数の割合は停滞していると。ただ、全体としては、セクター間移動の数としては増加傾向にあるというところがございます。
 また、32ページ、33ページは、いわゆる研究者の国際交流でイン・アンド・アウトを人数で調べているところでございます。こちら、コロナの影響は多分にありますけれども、この調査ではアカデミア、大学、国研等へのインとアウトの数を調べており、コロナ前の状況から若干の減少傾向があったというところで、今後、これをどのように回復させるかという課題も国際頭脳循環の観点から極めて重要であると考えております。
 少し飛ばしまして、36ページを御覧いただけますでしょうか。36ページ以降は研究者の人材の流動性をどう図るかといった観点で、内閣府が令和元年度に行った調査の結果でございます。こちらの全体は、また御興味があれば御覧いただければと思いますが、かいつまんで、特に大学、企業の間の研究人材の交流といった観点で、36ページの案のB-1からB-3が参考になるかと思いお示ししております。
 38ページ以降が大学、企業の研究人材の流動性の事例と、政策の案でございますけれども、38ページの大学から企業に人材流動促進させる場合に、兼業副業ルールの緩和、研究者の起業促進、ジョイントラボの促進、あるいは、企業に100%で大学の人が出向するような仕組みといったものがあると、より流動性が促進されるのではないかといった観点がB-1でございます。
 案のB-2は、多様な大学の人材を企業にどう呼び込むかといった観点で、特に知財やライセンス等の専門家が企業の中に入っていく仕組みとして、こうしたオンライン客員教授や知財フリーダムといった制度によって、一時的に企業と大学でタイアップすることによって、大学の人材を受け入れる施策もあるのではないかといった事例が示されております。
 また、案B-3は人材育成という観点でございますけれども、こちらは博士後期課程学生などを共同研究の中に積極的に取り組むことによって、企業の出資を受けながら、人材育成も実際に行い、共同研究も進めていくといった事例が数多く挙げられておりますので、こうしたものも参考になるのではないかといったところでございます。
 最後、4点目のURAや技術職員等の研究マネジメント人材の育成の観点でございます。URAに関しては、皆さんよく御存じのところだと思いますが、42ページに数等を示しております。URAと一口に申し上げましても、様々な役割をお持ちの方が御活躍されている中で、様々なバックグラウンドと年齢構成の中で、こうした方々の役割をどのように考えるかといった点が重要ではないかと。
 特に、43ページは量、質ともにまだまだ必要性があることが認識されておりますし、44ページのほうでは、URAを配置したことによる効果として、外部研究資金の獲得の増加や、研究者が今まで以上に研究に専念できるようになった、期間内での交流や情報共有が進展した、分野横断研究が盛んになった等の効果が得られているところでございます。
 また、技術職員と言われる方々に関しまして、これまであまり実態把握の調査が行われていなかったところでございますけれども、45ページに、内閣府が直近に実施したところのデータを1つお示ししております。こちら、いわゆる施設系技術職員といった方は含んでおらず、教育研究系技術職員と定義して、その方々の人数や年齢構成等を把握したところでございます。
 こちらは、御覧いただきますように、男性と女性でこのような割合と人数となっておりますけれども、より詳細なキャリアパス等の実態把握が必要と考えており、それは文部科学省のほうでも引き続き検討しているところでございますので、また別途、詳細のところをお示しして、議論いただければと思っております。
 そして、URAや技術職員等の研究補助者の割合としては、46ページにお示ししておりますように、近年横ばいといった傾向がある中で、国際的に比較すると47ページにございますように、日本は全体として主要国の中で、研究支援者と言われる人が低水準となっていると。
 こうした状況の中で、内閣府のほうでも、48ページ、49ページにお示ししておりますけれども、研究時間の確保といった観点で、技術職員やURA等の配置やキャリアパス、こうした方々も含めた研究マネジメント人材の育成、確保といった観点で、重要性というところを取りまとめていただいたところでございます。
 駆け足で恐縮でございますが、4点に関する参考資料をお示ししました。以上でございます。
【狩野主査】  大変ありがとうございました。これだけの資料を集めていただきまして、また、整理して出していただきまして、大変ありがとうございます。
 お気づきのとおりだと思いますけども、なかなか大学で職が増えるというほどの事情ではないということもあって、経産省様の資料も集めて出していただいたということが一つと、もう一つ、私はもともとが臨床医学で、今もその続きで研究者をしている人としては、統計も大事ですが、それの裏側にあるエピソードといいますか、個々人の事情、こういうものも非常に重要だと思っていて、個々人のエピソードのことについては委員の先生方からぜひ入れていただいて、それゆえ、より別の一般化があるのかもしれない、別の測定が必要かもしれないということも御意見をいただければと思っております。
 加えて、政府ができることを私なりに勝手に解釈いたしますと、仕組みを変えること、それからお金の配分の仕方を考えること、それからメッセージを出すことと、この3つぐらいが機能としてあるかなと思っていて、これをどのように有効にすると、今日、御紹介いただいたことからさらに先が出てくるかなということが有効に議論できるかと考えておりますが、これに限りませんので、お好きな発言をなさっていただければと思っております。
 これから10時55分までを予定として、皆様方から幾らでも御意見をお受けいたします。大体、お一人1、2分お話しいただくと2ラウンドぐらいできそうですので、闊達に御意見をいただければと存じます。先ほど申し上げたように、4点ございましたので、これのどれに関わるお話かということを先におっしゃってから、内容について共有いただければと思っております。分類不能な場合はそう言っていただければと思います。
 では、先に主査代理から。
【岩崎主査代理】  では、御指名ということで、若干発言させていただきたいと思います。ありがとうございました。若手研究者の普段の意見交換でも、この4点は極めて重要な領域だということで合意されておりまして、極めて適切に現在の状況について御説明いただいたかなと思っております。
 1番目の経済的支援についてですけども、経済的支援は高度人材を育成する上で非常に重要な、最も効いてくるファクターだと私たち認識しておりまして、まさにこの方向で、既にこうやって拡充されているところですけれども、これをさらに進めていただきたいと強く思っております。
 ただ、2番目の産業界の学生人材の活躍促進ですが、やはりいろいろなアンケートを見ますと、実際に雇用した企業からは非常に高く評価されております。したがって、今何が重要かというと、こういったところで実際に博士号取得者が活躍しているということをもっと可視化していって、いろいろな企業にさらにこうした流れを広げていくということが重要だろうと考えております。
 ここで、大学院でどういった教育をすることを企業が期待しているのか、例えばビジネスマインドとかをどこまで大学院で教育するべきなのか、それは本当は企業でも教育できる部分、企業に入ってから学ぶべき部分も多々あるかと思います。したがって、企業からは本当に大学院に何を期待されているのかをよく理解する必要があると思います。私たちがいろいろなことに手を広げ過ぎて、逆に中途半端な教育をしてしまうという面もありえるのではないかと、そういった観点も重要かなと考えております。
 それから流動性ですけれども、こちらも非常に重要な観点で、セクターを越えて交流する場というのは非常に重要です。それから、各地域で、地域の課題を解決するという意味で産学官、それらのセクターを越えて連携するといったことも、これからの地方の活性化という文脈では大事かなと思っております。
 それから、国際的にも科学技術外交ということもありますけれども、そういった点で、こういった国際的な観点を持った博士号人材が活躍していくことで、日本が、例えばいろいろな科学的な枠組みを国際的につくるときにより主体的に貢献していける、そういった点も国の利益に大きく資することだということを、皆さんに広く理解していただくということも大事かなと思っております。
 それから、流動性の向上は当然いろいろな労働関係の法制度等も関係してきますので、もっと幅広いステークホルダーを巻き込んだ議論が重要かなと思っております。
 最後まで言っていいですか。
【狩野主査】  どうぞ。皆様にその間に考えていただいて。
【岩崎主査代理】  URAや技術職員等、これも非常に私たちは重要でして、若手研究者が自由に研究をするためには、当然研究時間の確保は大事ですし、まだいろいろな研究体制が若手の場合だと整っていない場合がありますので、そういったサポート人材を大学等で組織してもらえる、コアファシリティ等を準備していただけるということは、非常にイノベーションにとって重要かなと考えております。
 また、競争的資金を活用する上でも、基盤的経費がきちんとしているということが重要でして、そういった意味でも、基盤的経費をきちんと措置していただくということを、これまで非常に努力されてきていると思いますけれども、さらに推し進めていただくということが重要かなと思っております。
 以上、雑駁ですけれども、4点について発言させていただきました。
【狩野主査】  ありがとうございました。今のように包括的でなくても結構ですので、皆様から、迫田委員、お願いします。
【迫田委員】  最終的な出口というか、どういうキャリアを想定するかによって対応策が変わってくると思います。まず、アカデミアに関しては、働き口の確保が必要ですし、それが魅力ある処遇でなければなりません。財政上の課題を何とかしない限りは増えていきません。もちろん大学博士号課程の経済的支援ももっと充実していく必要があると思いますけども、アカデミアにお金をかけていかないと解決できない問題ではないかと思います。
 しかし、公共セクターは、やりようがあると思います。地方公共団体も含めて、ある程度、ドクターを採用する目標が明確になってくれば、大きな供給先になると思います。
 産業界は二極分化しているのではないかなと思います。積極的に採用に取り組み、博士を何人採れるかがKPIになっている企業と、そうでない企業とになっていると思います。うまくいっているところは、今のまま頑張っていけばいいのですが、そうでないところについては、共同研究等をもっと進めて、活用の道を示したり、現在文科省が進めている博士課程のジョブ型インターンシップを進めていけば、効果があると思います。
 それと、大学によって違いはあると思いますが、マインドというか、社会へ出ていくことに対する動機づけが重要だと思います。アカデミアにしか興味がなく、駄目だったら民間へでも行こうという意識では、多分通用しないと思います。ビジネス自体は、社会に出てから学べばいいのですが、そういうマインドができているかどうかが非常に大きいと思っています。応募されていて落ちる方と入る方の境目はそこにあるのではないかなと感じております。
 以上です。
【狩野主査】  大変ありがとうございました。杉山委員、お願いします。
【杉山委員】  幾つか、身も蓋もないことを言いますけど、まず、博士人材、博士に行くか、博士号を取るかというのは、結局博士号を取ることのインセンティブがないので博士に行かないということがあります。在学中の経済支援はすばらしいのですが、経済支援をもらった後に企業に入って、高給優遇されるということが今のデータでも出ていないわけですよね。全くインセンティブがないので、先ほどの個人的なエピソードで言うと、学振をDC1から3年間もらった学生が企業に行って、「博士に行って損した。何も得なことがなかった。3年間、企業のキャリアとしては無駄にした。」と、そう私に言い放ったものがいました。それほど全然インセンティブがないのです。修士に行くインセンティブは、理系は明らかにあって、いい会社で研究職に就くには修士に行かないと会社のほうも採ってくれないし、会社の側も修士からしかいい人が来ないのは分かっているから、自社で育成したくても学部からは学生が来ないのです。そういう両方がうまくマッチして修士には行くという現状が出来上がっています。こういうふうに博士もなっていかない限り、つまり、需要と供給、両方ともに対して博士に行くことによるインセンティブが生じること、特に企業のほうは、博士号取得者から取らないと優秀な人材が来ないというようにならない限り、この問題は解決しないような気がします。
 それから、文系と理系で問題が全然違うということもありまして、文系はそもそも修士にも進まない。これは全く先ほどと同じ理屈で、修士に行くインセンティブが何ひとつないからです。修士に行ったら逆に就職先が狭まります。何の得にもならない。結局、留学生ばかり。今、我々の大学でも文系は非常に留学生が多いです。留学生の彼ら彼女らは、結局、博士号を取得することによってインセンティブを得ています。博士号を取って国に帰ると、非常に高い給料で雇われるとかいろいろインセンティブが個人に帰結する。いずれにせよ、文系と理系では問題が大きく違うという点は注意したほうがいい。
 それから、3番目ですけれども、博士人材の1つの重要な行き先として書いてありましたけれども、私は起業というのがこれから重要になると考えています。ベンチャーも非常に博士号取得者をたくさん積極的に採ってくれる傾向があるというのは、それと同じ流れです。また、これもうちのエピソードになりますけれども、リーディング大学院として走っていた情報系の1つのプログラムでは、起業を積極的に支援して、結果、そこから10社ほどが起業に成功した、という実例があります。この10社の皆さん、今、大変頑張ってどんどんとお金を集め始めていますけれども、この実例からも、優秀な博士人材が起業に向かって、イノベーションを起こすというのが、これからの大きな流れになってくれればいいなと個人的には思っています。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。いかがでしょうか、今の御発言に対して産業界的御反論とかありましたら、では、梶原委員、お願いします。
【梶原委員】  決して反論ではございません。産業界からの視点で見たというときに、資料14ページにトランスファラブルスキルの話が出ておりますが、SPRING・フェロー事業の成果の中で、キャリアパス整備の中でトランスファラブルスキルに注目し、非常にいいと思っておりました。
 いわゆる今、大変不確実な時代になっておりますので、先が見通せない中で、企業では、結局、どういう状態になったとしても対応できる人を望んでいるところがあります。トランスファラブルという表現をされていますけれども、一時、企業の中では、アジャイルな人が欲しいと言っていたこともありました。そういう意味でいうと、アカデミアを目指そうが、企業に行こうが、トランスファラブルスキルは普遍的なものだと思いますし、特にコミュニケーション能力という類の話は、博士人材の方が専門性のところは比較的コミュニケーション力が高く見えるという印象があるかもしれませんが、実は、コミュニケーションの力というのは、いかに自分の思いを伝えられるか、理解してもらえるかということが重要なので、共感力を上げられるような伝え方ができるかどうかに依存すると思います。専門性が高い人はコミュニケーションが苦手だというのは全くないと思います。少し前までは、企業の中でも、博士人材は割とコミュニケーション能力が弱いという言い方をしているところがありましたけども、決してそんなことはなく、最近、富士通で採用する博士人材は、非常に優秀な方が多い印象です。
 それで、ジョブ型という形で企業が変わってきていますので、本当にジョブにマッチした人はとなったときに、それがマスターであろうが、ドクターであろうがというのはありますけども、ケーパビリティやポテンシャルとしてドクターの方は非常に高いので、欲しい人材として合っていると即採用したいというような状態になってきているのが今の実態なので、少しずつ日本の社会は変わってきていると私は思っています。今、企業は非財務指標を追いかけるというようなところがありまして、いわゆる売上げとか利益という財務指標ばかりではなく、非財務の分指標についても非常に中長期観点で見ていかなければいけません。
 そういった中で、今、人的資本というのが非常に重要な要素になっており、言わば人材育成の観点では、社内もそうですし、当然社会に対してのということもあり、ここでは大学院や博士人材という形で議題になりますが、初等中等教育のところから日本の社会がもっと活性化するようになっていくために何が必要かという視点で、社会全般が変わらなければならないと思いますし、一斉に変わっていかないといけません。
企業から見て、インターンは、人を知る、相手を知る、企業を知るということで非常に良いと思っています。実際に、今回の資料においてもインターンに参加したらすごくよかったという声がいっぱいありますよね。こういうのをもっと発信して増やしていき、今までの認識を変えていく必要が非常にあると思っています。
 大学院教育カリキュラムの充実とありますが、トランスファラブルスキルのような要素や、先ほどのスタートアップで起業してもらうという話のところもいわゆるマネジメントや企業経営など、アントレプレナーシップのような形で教育していただきたいという思いもあります。それから、グローバルの視点が重要です。やはりグローバルの経験を持っている人のほうがアジリティーが高く、多様性を非常に受け入れて、自身も多様性のある人間になっているということもあるので、国際性の要素も重要です。先ほどの資料でもありましたが、デジタルスキルといいますか、AIの話もあったように、全体的にDX人材が足りないと思います。教育課程の中でもDXに関わる視点をしっかり入れていっていただくと、どんどん変わっていけるのではないかと感じております。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。梶原委員は、私が把握している限りではCSTIの仕事も少しされていると思いますので、ぜひ、その観点も入れていただければと思います。
 鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  ありがとうございます。具体的に文科省の方々への質問という形になるかもしれないのですけれども、まず、私が把握している3つのボトルネックというのをお示しして、変更が可能なのかどうかという御意見を伺えればと思います。
 まず、周りの人で修士に行かない人たちという若者の声を集めてみると、行ってもいいのだけど、自分の成績だと行けないような気がする・・・といった感じです。そこの仕切りは本当に高いのか。または、そんなに高くないけれども、誤解をしているのかというところが分からないのですが、基本的には、修士に行きたい人はみんな行けるようなほうがいいのではないかなと思っています。そうすれば、11.3%から30%ぐらいまで実現可能なのかもしれない、それが1点目。
 もう一つは、製薬企業には、大変優秀なもともと文系の方がいます。経済学とか法学で卒業していて、社会人はばりばりで、Ph.D.をやりたいと。社会人Ph.D.をやりたいのだけど、文系だから、バイオテクノロジーとかジェネティクスとかできないのではないか・・・という懸念があって、これも誤解なのか、仕組みとして本当に、文系の人は理系のPh.D.ができないのか、または、どうしたらできるのかというところを教えていただきたい。
 あと、資料2の22枚目のスライドですけれども、27歳のときに、これだけの金銭的ギャップが生じてしまうというのは、これはもうペナルティだと思います。そのためここは金銭的な解決が必要だと感じました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。これは文部科学省の皆様がお答えになれる内容かどうかというと、大学の人が答えてもいいかもしれないような気も少ししているのですが、取りあえず、矛先が向かった對崎さん、何かお答えできることはありますか。
【對崎人材政策課長補佐】  ありがとうございます。先生の御指摘、1点目は多分修士の充足率だと思いますけれども、一定数の留学生とか社会人を受け入れているというところなので、大学によって充足率の差はあると思いますけれども、一概に成績だけをもって進学が阻まれる、もちろん一定の入学試験は当然行われているので、あとは充足率が大学の中でどのくらいあるかと、あるいは、日本人の定員をどのくらいにして、社会人の定員をどのぐらいにするとか、そういう違いがあるとは思います。そういう意味では、必ずしも、もちろん成績が加味されると思いますけれども、どこで学ぶかという観点で、成績だけが理由になって行けなくなるということではないと思っています。
【鈴木委員】  すいません。1点目は、学士の普通の学生が修士に行くとき、社会人ではなく。
【杉山委員】  基本的には、私の感覚では、大学院は、重点化によって、あるところで定員がすごく増えたので、ある程度、きちんと学部で勉強していた人にとっては、していなかった人は駄目ですけど、勉強していた人は比較的容易に進学できると思います。例えば、東大の理系などでは学部より大学院のほうが定員が多い場合もあります。修士課程は、そういう意味では非常に入りやすい、そんな難しくないというのが私の印象です。特に、理系では、と思います。
【鈴木委員】  先生のある程度の定義は、多分高いような、そんなことはないですか。
【杉山委員】  いや、自大学に進むことがあまりいいとは思いませんけれども、名古屋大学においても、自大学の大学院であれば、ほとんど望む人は、研究室には若干よりますが、基本的には上がれるという感じです。
【鈴木委員】  なるほど。
【狩野主査】  私の印象で申し上げると、もう一つにあるのは、学生の皆さんのマインドセットという部分も結構あるように思っていて、そこで、先ほど梶原委員がおっしゃった広報の必要というのがリンクする気がします。というのは、先入観として、そこまで行ってしまうと次に職がないのではないかと思っている人たちというのは、分野によってはある程度いるように思っておりまして、そういう人たちに、いや、ありますと。それから、今、鈴木委員がおっしゃったように、分野が違ったとしても、その能力は生かせますといったことがうまく伝わると違ってくるのかなと思って、伺っていました。
 主査としてではなくて、個人としてお返事しました。ほかは、いかがでしょうか。隅田委員、いいですか。
【隅田委員】  幾つかあります。まず、経済的支援は大きかったと思います。これが前進したというのは。
 1番に関して、次世代人材育成の裾野拡大のところを見せていただきまして、修士のときにどうするか、博士に行こうと思うか、就職するかで、もう就職する学生は1年目から就職活動になりますよね。そうすると、もっと早い時点で決まっています。先ほどの文系、理系の選択も、これは大学で決まっているわけではなくて高校を決める中学のときから決まっているでしょう。
 そのように考えていくと、やはり小中高大、学部、修士、博士で21年ぐらいかけて考えないと、なかなか1か所だけではうまくいかないと思います。それでいくと、例えば継続発展しているSSHとか新しく出た次世代科学技術チャレンジプログラムとかは、前者は重点項目が多様化していたりとか、後者は実施機関も大学だけではなくて企業とか、あるいは研究機関、博物館とかも応募できるとか、随分新しい施策が出ているなという印象を受けます。それは、裾野を広げるのはもちろんですが、多様化に非常に良い影響があります。多様性と卓越性はリンクしていますし、地方創生というか、地方のいい子を発掘、伸長し、ネットワーク化することにもつながると思いました。
 資料でちょっと思ったのは、2ページ目の資料で見ると、学部から修士に行って、修士から博士でいくと、博士号の割合は1%ぐらいになるわけですよね。一方、19ページの資料を見ますと、この企業の新規採用でいくと、博士人材の割合は4%ぐらいです。この差はどう見るのかなというのがあって、多少分母が違ったりはしますが、逆に言えば、博士人材の不採用率は低いのではないかなという、そういう見方もできるかなと思いながら見ました。
 あと、25ページ、26ページで、この辺りはデータの母数も限られていますので言いづらいのですが、例えば26ページの修士号取得者と比べて弱みを持つものはないと。これが、企業6割、7割、4割とか、博士人材自体が、大学も8割と。博士号取得者は通常は修士号も持っているはずです。ですので、この値、もう少し高くていいのではないかなと。25ページの、強みを持つものはないは少ないので、もう少しうまく引き出せるようなデータが取れるのではないかと思います。
 あと、スライドの29ページ、これは、社会人で博士を取った人の信頼が高まるとか仕事の幅が広がる、あと、昇進昇給も20%ぐらいの人があると答えているので、もう少し見えないインセンティブなどがあるのではないかという気はいたしました。
 あと、観点3つ目の流動性と安定性は、コロナ禍の経験を生かしていて、ICTとかをもっと利活用することで加速できる部分はあるのではないかと思います。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。今の見えないインセンティブとか、もし調べられるとすると、やはり国の仕事のような気もしますので、ぜひ、今後、皆様に頑張っていただける余地があればお願いしたいと思います。
 私の不手際で、せっかくオンラインで手を挙げてくださっている水口委員に振りそびれておりましたので、その後で村上委員が先ほど手を挙げられた気がしますので、その順番でよろしいでしょうか。では、水口委員、お願いします。
【水口委員】  ありがとうございます。
 最初に、博士後期課程学生の経済的支援のところで、私自身、リーディング大学院でこの支援を受けていたという視点で、コメントさせていただければと思います。
 非常にこのリーディング大学院で支援いただいていて、その過程で、起業したわけですけども、経済的支援があったおかげというところも背景として、起業にチャレンジというところで非常に大きかったなと考えております。というのも、起業というチャレンジをする上で、こういう経済的支援があるということは、失敗しても大丈夫というような安心感があるのです。実際、修士2年のときに起業して、その後の博士の3年は両立しながらやっていたわけですけども、やはりチャレンジして失敗しても大丈夫というところがないと、なかなかチャレンジという土壌が生まれないと思っています。なので、経済的支援があるおかげでそういう土壌が生まれてどんどんチャレンジしていく学生が生まれてくると思います。
 また、今コロナ禍で、人材的な交流が少し減っているかなとは思いますけども、私がリーディング大学院に所属していたときは全国会議というものがあって、全国の優秀なリーディング大学院の学生が一堂に集まって交流をする機会がありました。ここは、横のつながりももちろんですし、縦のつながりも、修士の1年から博士の3年という5年の課程学生が一斉に集まるタイミングがあって、そこで起業をしている人がいれば、刺激になるのです。このような機会も含め、チャレンジする土壌が生まれてくると思うので、どんどんこのような交流や支援を引き続きやってもらえると、起業人材もさらに増えるのではないかなと考えているところでございます。
 私は、ベンチャーで立ち上げて以来、現在8年経営に携わっているわけでございますけども、ディープテックや科学技術を社会実装する上で、やはりコアな技術が重要になります。そのため、博士人材が、ベンチャーに入ってくることや、ベンチャーでも活躍できる人材をどんどん増やしていくことは重要だと思っています。一方で、大きなところとして、キャリアパスとしてアカデミアに残りたいと考える研究者は多いのかなと思っております。ただ、ベンチャーでも研究はできますし、その先の社会実装や、処遇、給与面など、マインドや文化というところもあるとは思いますけども、ベンチャーの価値や魅力をどんどん伝えていくことが、今後、人材の流動性も含めて重要になってくるかなとは考えております。
 以上になります。
【狩野主査】  ありがとうございます。ネットワーキングと、それから仕事図鑑のようなものですか。博士号を持った上での仕事図鑑としてどんなものがあるのか、それはどんなメリットとどんなデメリットがそれぞれあるのかというようなことがまとめられるとなかなかよさそうかなという気がしてまいりました。
 では、続いて村上委員、よろしくお願いいたします。
【村上委員】  初めに、論点の1についてですが、今日いただいた資料でいうと、9ページのところに表れていますミスマッチが非常に大きな問題ではないかと着目いたしました。全体的に博士課程の学生数を増やしていくことを目指しているということですけれども、一律に全ての分野が同じように伸びていくということにはならないと思います。人々の関心とか研究したいテーマというのは社会の影響を受けますので、潜在的な学生数が多そうな分野はあるわけで、それに対して、大学側の教育の供給体制というのは、そう簡単に、すぐには変えることができないものなので、そこをどうしていくのかということが、博士課程の学生を増やしていく上では考えるべき重要なポイントではないか。そのため、経済的支援に関してとか、あるいは研究支援とかに関して、今後どうしていくのか、議論が必要ではないかと思ったのが1点です。
 それから、2点目、産業界における博士人材の活躍促進に関しては、第11期でもかなり時間をかけて議論をしてまいりまして、その中で、産業界だけの問題ではなくて、大学側にもいろいろな課題があるということが明らかになってきました。その中心的なものとして、15ページ目のところに書かれている、トランスファラブルスキルをどう養成していけるかというのがあったと思いますけれども、今日のこの26ページの資料を見ますと、コミュニケーションとかマネジメントビジネスのスキルの重要性について、大学は認識をしていないということが出ていまして、私も大学に身を置く人間として、周りの教員たちはそんなに認識していないなということは感じている次第ですので、この辺のところを周知させるというのは、1つ、これから必要になってくる部分ではないかということです。もちろん、周知するだけではなくて、こういうスキルを意識的に教育の中で高める工夫はできると思いますので、そのようなことを考え、そういうやり方を共有できるような仕組みも必要だと思いました。
 それから3点目は、論点案の4のURAのことですが、URAは、やはり私の認識では、ものすごく政策の影響を受けていると思います。研究を支援する事業とか、研究大学をサポートする事業とか、そういうものの影響を非常に強く受けていますので、ここを質的、量的に高めていくということは、やはり政策が重要です。少なくとも今の段階では、日本でのURAはそんなに歴史が長くないといいますか、表立って出てきたのはこの10年くらいではないかと思うわけで、ですから、質的、量的にもまだまだ足りないと思われます。彼らの処遇も必ずしもいいものではない。任期つきも多いですし、日本全体はいわゆる期限の定めのない雇用の人たちが多いという中で、任期つきであるということは大きなハンデではないかと思います。財源等々の問題で、なかなか最初から無期を与えられない、あるいは任期つきから終身といいましょうか、長期雇用になる、その転換をできる人材の数が限られてしまうとか、そういう問題をいろいろなところが抱えている。そこをもう少し前向きにサポートできるように考えていく必要があるのではないかと思っています。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。ようやく大学側が発言するタイミングになってきていますので、ぜひ大学の先生方、お願いしたいと思いますが、URAに関しては後で稲垣委員からも伺いたいと思います。
 今、オンラインでは長谷山委員が手を挙げておられますので、まず、お願いしてよろしいでしょうか。
【長谷山委員】  長谷山です。資料3についてのお話で1番について、先ほど杉山委員がおっしゃったことがまさしく現状を表していると思います。我々が後期課程の学生や社会人博士学生を増やそうとしても、学生が博士を取って得なのか、民間が博士の学生を採って得なのかが理解されなければ、得という表現は打算的で避けたいところではありますが、杉山委員は、インセンティブという表現をなさったと思っています。100%杉山委員のお話のとおりというふうに私は思っています。修士卒の学生の就職活動が早まり、早期に内定が決まるのも、それが一つの理由だと思います。
 学生の経済的支援には大変に感謝しています。ただ、ある学生が「研究は面白い、博士に行こうか、民間に行って早くに社会で活躍しようか迷っている。」と、就職担当と相談していたところ、一瞬にして就職することになりました。具体的な研究分野と学生の選択理由は避けますが、学生が示された初任給が、我々の初任給をはるかに超えていたことのみお伝えいたします。
 このような状態になっておりますので、経済的支援の充実というものが、どういうインセンティブを生むのか示す必要があると思います。
 次に2番についてですが、文系と理系は全く違うという杉山委員の意見に加えまして、理系の中でも全く違う現状があります。生物の専門人材も、情報も、工学といえども工学の中でも全く違うと考えますと、ここでも分析がまずは第一歩であって、この先をどのように分析するかが重要なのではないかと思います。
 それから、先ほど別の委員からトランスファラブルスキルの話がございました。博士課程に進学するというのは、深掘りをしてその道の一流の研究者になること、と思われている方が多いのではないでしょうか。また、文科省ではその中からノーベル賞を取る研究者が出ることをお考えかもしれません。しかしながら、世界中どこに行ってもノーベル賞を取るために博士課程に行っている国は、もうどこにもないと思います。どちらかというと、生み出される人材は、研究のジェネラリストに近いのかもしれません。自分の専門を極めることによって、広い領域での課題の発見や課題解決の方法を設計して、その社会実装に向けて、いかに実証するのかを考えるものだと思います。それでありながら、まだ我が国は、ピュアサイエンティストですとかアプライドサイエンティストというような壁をつくり、博士に行く人間は大学教員を目指し、民間に就職すると都落ちというような、古い考えを我々年配者が意識せずに押しつけているように感じます。
 私も含めて、自戒の念を込めて発言させていただきました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。今日は皆様、弾けた発言をいただいておりまして、大変活発で、大変うれしく存じております。ありがとうございました。
 せっかくの機会ですから、やり取りをさらにしていただきたいと思っておりますけども、どうしましょうか。桝委員、お願いします。
【桝委員】  今の話に少し通じるものがあるかもしれませんが、論点の4つのうちの1番と2番に当たるもので、特に政府の皆さんができることと狩野主査が挙げていたメッセージを出すことで言いますと、この博士号というもの、博士号取得者というものをどういうイメージで発信していくかというのは、ある程度決めておいたほうがいいのかなと思っています。先ほどブランディングといいますか、インセンティブの話がありましたけど、博士号取得者が、こんなブランディングがあるということが1つのインセンティブになるのかなと私は考えています。この資料を拝見していると、科学技術に関する委員会だから当たり前かもしれませんけども、どうしても博士号というものが理系のものというような、理系のスペシャリストというような印象の方向へ、今、見えるかなという感覚があります。
 ただ、海外のイメージになりますけども、博士号取得者は必ずしも理系だけのものではなくて、むしろ社会に近い、文系、経済学であったりとかメディア学、最近でいうとリスクコミュニケーションとかもそうかもしれませんが、そういった印象があると思います。なので、個人的な意見ですけども、これから博士号取得者の日本における、ブランド戦略をやっていくのであれば、文理問わず、特定のジャンルに関するスペシャリストで、かつ社会と実装できる、つなげられるスペシャリストというようなブランディングがいいのかなというふうに思っています。
 少し誤解をおそれずに言いますと、MBAは、今、どえらいブランディングと言ってはよくないですか、でも、すごいブランディングだと思います。MBA、経営学修士ですけども、経営学のことを極めてノーベル賞を取るためのMBAと誰も多分思っていないですよね。言い方は悪いかもしれませんけども、格好いいなと思って取っている人も多分いらっしゃると思います。でも、あのブランディングは20年前あったかというとなかったわけで、いかにしてこのMBAはあのブランディングをなし得たかということは、もしかすると、今後、博士号を日本におけるブランディングするためのヒントが隠れているのではないかなという感覚もありますので、大変緩い意見で申し訳ないですけども、そういった方向性、博士号取得者というものを日本においてどんなブランドとして扱っていくかというのも、1つ視点として持っていただけるといいかなと個人的には考えました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。桝委員は、皆様御承知のとおり、マスコミを経験されて今はアカデミアにおられたりしますので、ぜひ両方を分かった上で、発信内容をうまくつくっていただければと。
【桝委員】  そうですね。そっちのほうしかできませんけど。
【狩野主査】  ありがとうございます。稲垣委員と柳沢委員がまだですね。先に柳沢委員、いつも、そもそもの問いを投げかけていただけますので、ぜひ今日もそもそもの問いを投げかけていただければと思いますが、お願いいたします。
【柳沢委員】  すいません、例によってまとまらない発言になるかもしれませんけれども、せっかくですので、この1番、2番、3番、4番に沿っていきますと、杉山委員とか北大の副学長の長谷山委員が少し違う意見を言っておられましたが、私は、大学院生の経済支援は極めて大事という立場でお話ししたいと思います。
 まず、これは以前の会でも同じことを申し上げていますけど、先進国で博士課程学生が給料をもらえない、デフォルトでもらえないのは日本だけだと思います。この博士後期課程学生の経済支援というふうに書いてありますが、まず、博士後期に行くことをコミットして修士にいっている学生も入れていただきたいということです。私、アメリカに24年おりましたが、アメリカでは、博士課程と修士課程は、多くの大学でパラレルです。一流の大学に行くほど。修士課程の上に博士課程があるという形を取っているところはむしろ少数、分野にもよるのかもしれないですけど、博士課程はほとんどの大学が一貫性博士課程で、修士を出しているところもありますけど、それはQEに受からないでドロップアウトする学生が修士を取って仕方なく卒業すると。そのため、学部を出た段階で博士課程に行く人と修士課程に行く人、最初からキャリアパスも違うし狙いも違うと。そういう意味で、日本もそのうちそうなるのではないかという気もします。少なくとも、私のいる大学でリーディングとか卓越大学院やらせていただいている一部のプログラムというのは、修士を出さないプログラムも私自身もやっていますし、そういうのも現実にはあるようになってきているので、少なくとも、何らかの形で博士後期へ行くことをコミットしている学生は修士のときから経済支援をすべきです。
 それから、これは国際性ということにもつながると思いますけど、資料を見ていてやはりちょっとショックを受けたのは、相変わらず外国人学生少ないなと。うちの大学を見ているともっといるような気がしますが、全国平均だとまだ10%ぐらいですか、ものすごい少なく見えますね、留学生。それはやはり外国人の目から見て日本に来る理由がないからですよね。その大きな1つは、デフォルトで経済支援がないことも大きいと思っています。もちろん、卒後のインセンティブとか、そういう収入の違いとか、それはもちろんすごく大事だと思いますけども、残念ながら、これは国がコントロールできることではないですよね。産業界のしきたりなので、こればかりは国が博士号取得者にはこれ以上の給料を出せなんていう法律は絶対つくれないと思うので、我々、ここにいる人たちがコントロールを少しでもできるのは、学生の間のことで。これは決して軽く見ちゃいけないというのは、これも私のナイーブな偏った意見かもしれませんが、博士課程に行く学生のモチベーションの根源にあるのは非常に単純なことだと思います。何らかの研究で1つの分野をもっと深掘りして極めたいという、その先に何があるかと考える前に、単純にそういう好奇心で博士号を取ろうと決める学生のほうが多い気がします。そのとき足かせになるのが経済支援のなさです。これは本当に社会的な問題で、親の反対とか親戚一同の反対とか、そういうものも現実にあります。それで諦めてしまう学生をごまんと見てきましたので、博士課程の学生は学生ではないと、専門家の卵だというふうに社会が見てくれるようになることが必須だと思います、日本の社会として。
 取り留めないですけれども、2番目の、産業界における博士人材の活躍、これに関しては、今まで諸先生方もいろいろな意見を述べられていて、私、あまり追加することはないのですが、あえて言うと、企業の方々から見た博士人材の弱みという資料がありましたよね。弱みはないという意見が一番多いというのはうれしかったのですが、具体的にどのような聞き方をしたのかなと少し思います。現実には、コミュニケーション能力がなくては、なかなか博士号は取れないです。コミュニケーション能力がなくて博士号をどうやって取っているのだろうと思ってしまいます。企業側の先入観が入っているのではないかなと。このアンケートの聞き方の詳細、それが問題だと思います。
 それで、例えばマネジメントとかビジネス知識がないという意見も出ていましたけど、博士課程で5年間アディションだったとして、例えば学部卒ですぐ来た同じ年の社員と比べて、本当にその社員さんはビジネススキルがあるのですかと聞きたいですね。そこが博士課程の出た人の弱みだと言われると、本当かと思いますけども。今の博士課程、これもまたバイアスのかかった意見かもしれないですけど、僕の周りの博士課程はアントレプレナーシップとか、ほぼ必修であるし、インターンシップも今、必修ではないにしてもほとんどの学生が取っているし、アプロプリエートテクノロジーとか、そういうまさにトランスファラブルスキルと言われるようなカテゴリーの教育を相当やっていると思うので、そうでないトランジショナルのところも多分多いでしょうけど、私の中ではそういうふうには見えないという感じです。
 産業界のことは、私は追加はないです。
 あと、この研究人材の流動性と安定性の話ですけれども、実は私、6年目で、6年前にこの委員会に入れていただいたときに最初に申し上げたのが、ここに座っている文科省の方々の中でPh.D.何人おられますかといきなり聞いて、そのときはゼロでした。今回は2名ですか、すばらしいですね。国もゆっくりかもしれませんが、変わりつつあるのかなと本当に思いますし、今回、この資料の中に、公官庁にどれだけ博士人材がいるかという資料も入れていただいたということで、すばらしいなと思います。これは本当に余談ですけど、この流動性というときに、国というか公の部分、官の部分というのもものすごく大事です。これは本当にアメリカに長くいて、ものすごく身につまされた部分なので。アメリカの例えば研究費のファンディング・エージェンシーでデシジョン・メーキングをしている人々は、ほぼ全員、Ph.D.どころか元PIの方がかなりを占めるので、その辺に差があるというのは言わざるを得ないです。
 それから、国際頭脳循環については、外国人学生が少ない、もっと外国から日本に来たがるようにするということです。先ほど言ったとおりです。
それから、安定性のことに関してですが、1点だけ、誰も言わないので言いたいのは、例の労働基準法の悪法です。年度契約で5年以上ないしは特例で10年以上雇ってはいけないという。少なくとも日本のアカデミアには適用できないですよね。国の方針として、アカデミアのハードマネーをだんだん減らして競争的資金をその分増やしていこうという方針がある中で、いわゆる承継職員、無期の雇用の枠は減っていかざるを得ない。恐らくどこの大学でもどんどん減っていって、プロジェクト予算による、外部資金による雇用が増えていかざるを得ない。そういう中で、特に研究者はそうだと思いますが、あの法律は誰も得しない。いわゆる労働者そのものが一番損をする。お金もあるし、プロジェクトも続いているし、人間関係もいいし、本人もやりたがっているのに、あの法律のせいで出ていかなければならない。今年ちょうど制定されて10年目ですよね。ですので、この4月に本当にそういうことがたくさん起こって、私の直近の自分のラボも含め、周りでも、何十人という人が、ほかに理由なく、あの法律のせいで出ていかなきゃいけないという。何でこんなことを言っているかというと、そういうところに文科省がきちんと口を挟んで欲しいですね。例えば、あの法律は、アカデミアでは、国研とか大学では適用できないということを言って、そこを改正してもらうとか。このままだと本当に変なことが、安定性を阻害する余計な要因になっていますよね、私の観点では。
 最後、4点目ですけど、URA、技術職員等々ということですが、これも資料に表れているとおりで、私の感触もそのとおりですが、1つだけ気になったのが、資料の最後のほうで、研究時間の質の向上に向けて大学の取組案とか、特に若手の教員、これは岩崎さんの意見も聞きたいですが、国策でURAとかすごく増えたと思いますけど、本当にそういうものが若手を助けているのか。逆に若手が忙しいのは、いわゆる雑用が多くて本来の研究の時間が割けない原因は、本当にそこなのかと言いたいです。実はそうではなくて、これは大学にもよると思いますが、学内の様々な研究と関係ないデューティーが多過ぎる。これは言われて久しい、大学の中の問題です。それに加えて、ファンディングエージェンシーに対するポストファンディングのデューティーが多過ぎる。プレファンディングは本気で競争しなければいけなくて、そのグラント書きは自分で僕はやるべきだと思いますが、基本的には。そこで競争して、今の日本の研究資金の姿は、ファンディングされてからのリビューとか評価とか報告とか、少し過ぎるのではないかなと。これも、実はアメリカに長年いた経験から言っているのですが、アメリカは1回ファンディングしたら放っておきます。もちろん最低限の年間の報告書ぐらいは、1ページぐらい出されますが、その程度です。その代わり、5年後とかリニューアル、いわゆるコンペティティブリニューアルするときものすごく厳しい評価がやってきますので、サボれない。ですが、そのポストファンディングの期間に、何回も何回も評価会があったり中間評価があったりはしないですね。その辺の、いわゆる本来の研究以外のことを、この委員会の箱の外のことかもしれませんが、見直さない限り、URAとか増やしたりしても、あまり若手は楽にならないのではないかなという感触があります。この辺、まさに岩崎委員とかに意見聞きたいですけれども。
 すいません、例によってまとまらないですけども。
【狩野主査】  いえ、ありがとうございました。
【柳沢委員】  いろいろ断片的に言わせていただきました。
【狩野主査】  多方にわたりまして、ありがとうございました。URAの観点は、それこそちょうど専門というか御自身がそうであると思われる稲垣委員がおられますので、順番が回ってまいりました。ぜひ多様性を発揮していただければと思います。お願いします。
【稲垣委員】  ありがとうございます。
 URAの前に、私の素朴な意見でして、博士課程に進学するかどうかという判断をするときに、保護者の影響は結構あると思いますけれども、その実態について、どの程度まで調査されているのかなと思いまして。特に地方大学だと、やはり実家に住んでそこから通う学生が多くて、親の影響はすごく大きいです。就職も絶対安定のところにしなさいとかというのをよく聞くので、先ほどブランディングという言葉が出ていましたけども、大学の仕事ではないかもしれませんが、保護者に対しても、博士人材がどういうものかをきちっとブランディングをしていって、その学生自身が進みたい道に進めるような環境にしていくことが大切なのかなと思って聞いておりました。
 私、URAで仕事をしておりまして、あまり博士人材のことなどは詳しくありませんが、URAについていろいろ御意見が出ておりましたので。今、研究者が抱える業務というのは本当に幅広くなっておりまして、柳沢先生がおっしゃったように、取った後の業務も本当にFAによって違いますし、制度も違いますし、それぞれに対して先生1人で対応するのも非現実的な部分があります。事務の人たちも、人数は増えていないのに、どんどん外部資金が増えて、業務量がどんどん雪だるま式に増えている中で、捌くのは限界に来ていると。URAがその中でどう立ち回るかというと、はっきり言うと、私もURAが外部資金の獲得をサポートすると、取った後は仕事が逆に増えるので、本当に研究時間の確保に貢献しているのかという疑問はありますが、お金がないと研究は続けられないというジレンマが現実としてあるかなと思っております。
 やはり私としては、今後はURAがないと、日本だけではなくて世界と一緒に研究をしていく上では太刀打ちできないかなと考えています。国際的な関係だったり、知的財産の扱いだったり、その辺を世界レベルでやり取りしていくためには、それぞれの道のプロフェッショナルとチームを組んでやっていかないと、多分、日本は、研究ではいかに優れていても、どんどん遅れていくような状況になりかねないと思いますが、そういう周辺領域を支えるプロフェッショナルがURAだと思いますので、そういった人材をコンスタントに育成して供給していくことが大切ではないかなと思っています。
 冒頭のほうに、アカデミアが駄目だったから産業界にしたとか、そういう人がよくないというお話がありましたが、URAも同じで、研究者が駄目だったからURAになりましたという話もよく聞きますが、研究者とURAに求められる資質はそもそも違うので、研究者としてうまくできなかったからURAという考えの人は多分うまくいかず、URAというポジションに適した資質の人がその道に進み、研究者としてすぐれた資質を持っている人をプロとして支えられるような環境をつくっていくことが大切ではないかなと思っています。そのためには、やはり、ずっと言われているように、処遇環境は極めて大事ですので、そういった部分も含めて、体制を充実させていくことが必要かなと思います。URAに限らず、技術職員の方々も、広い目で見れば研究を支えるプロフェッショナルの役割の1つですので、あえて、先ほど積極的に壁をつくるというお話がありましたけども、積極的に壁をつくる必要はなく、研究を支援する、研究をマネジメントする人材というくくりで総合的に考えていくと、より効率的にできるのではないかと思って伺っておりました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。柳沢委員、どうぞ。
【柳沢委員】  先ほどの私の発言ですが、URAはいらないと言っているのではなくて、逆です。まさに、今、知財のことを例としておっしゃっていましたが、そういう部分です。本当にプロフェッショナルで、できれば全学的なスケールでサポートしてもらえるような方々がいることは必須です。実は、私自身がやっている、この睡眠研究所の事務部門の半分は実質URAです。URAというポジション名ではありませんが、実質的に全員元研究者の方々で、もちろん上のほうの方は全員Ph.D.です。例えば、研究所全体をまたがるようなグラントは、私ではなく彼らが書きます。先日おかげさまで科研費のRECONNECTをもらいましたが、私はほとんど口出しせず、事務部門の方々が各PIからアイデアを吸い上げ、それをまとめて書きました。ですので、いかにそういったサポートが強力かというのは、私はよく分かっています。
 ただ、今まさにおっしゃったように、本当は志望ではなかったのにURAになったり、シニアスタッフであまり出来ない人がURAになることもあるという部分は改善していかないと駄目だと思います。
 ありがとうございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。多岐にわたって全員からようやくご意見をいただきましたが、皆様のお力添えによってあと15分ございますので、2巡目の発言を御希望の方、ぜひ、今いろいろな意見が出まして、もう少し言い足りなかったとか、例えば技術職員の件、岩﨑さんが頑張っていただいたと伺っていますけど、何か追加ございますでしょうか。
【岩崎主査代理】  今、柳沢先生からもコメントがありましたので申し上げますと、若手研究者のいろいろな分野の方と話しても、こういう支援人材をもっともっと充実させてほしいという意見が非常に強いです。なるべく教育と研究という私たちが一番力を発揮するべき機能にもっと時間を使いたいけれども、今では、例えば、自分の研究だけではないいろいろな申請書の執筆に関わらないと、組織自体が非常に大変な状況になってしまうであるとか、オープンキャンパスなどにも時間を使わないといけないとか、多様な学生のサポートとかいろいろな業務がございます。そういう業務をそれぞれ専門的な能力を持っている方に助けていただく。それから、大学の仕組みをもっと効率化するということも必要だと思います。教員がやるには少し重たいけれども、事務職員がやるにも職権を少し超えているような部分といったところを効率化していただくようなことも必要かなと思っています。例えば、共用機器のより効率的な使い方のデザインであるとか、そういったことをやっていただく方も非常に重要だと思っています。
 それから、今、いろいろな最先端の技術を組み合わせて研究することがとても大事になっておりますが、そういったいろいろな技術に通じている方にすぐにアクセスできるということが、より分野横断的、融合的な研究を進めていくうえで非常に重要だということがあります。総じて、若手研究者の皆さんは、技術職員、URA、事務職員といったサポート人材が、非常に重要だと感じているのではないかなと思っております。
【狩野主査】  今日お話いろいろ出た中で、多様性という言葉がたくさん出てまいりまして、多様であることはもちろん大事ですが、他方で多様であるためにはコアがしっかりしていないと、どれを中心にした多様性なのかが少し難しくなるかなと思うところもありまして、その意味で、例えば桝委員がおっしゃったような、ブランディングがしっかりしている、それがコアバリューです。それから派生して、こういう力がある方はこの道がよい、というようなことが、具体的に若い方々にも見えるといいかなということも少し思いました。
 最後のほうは大学セクターからの発言が多かったので、もう1回産業セクターからいかがでしょうか。
【迫田委員】  ありがとうございます。2点申し上げたいのですが、1つ目が処遇の件で、前の会議からずっと議論になっておりますが、今日は長谷山委員からもあったように、処遇はマーケットプライスになってきており、マーケットで価値が高い人は高くなっているというのが今の実態だと思います。新卒採用と経験者採用でいうと、4割ぐらいが経験者になってきていますので、労働市場で価値が高いと認められる人が高いという、非常に単純なモデルにどんどん変わってきていると思いますので、そのように見ていただいたほうがいいのではないかと思います。そういう意味でいうと、採っている側からいうと、必ずしもドクターがみんな高いというわけではなく、修士の中にも高い人はたくさんいると思います。、入社時から全く別の処遇体系の人がいますが、全員がドクターというわけではなく、修士の方も相当数います。それが1つ。
 もう一つが、やはり社会へ出るというところに関してです。水口委員からもありましたが、リーディング大学院と卓越大学院はどこがどう違うのか、私もまだ理解できておりません。リーディング大学院については、は社会からのニーズはすごく高く、本当に激しい取り合いで、取れなかったというのが実情です。また今日のお話にもあったように、自ら起業する方が相当多かったと思います。初めから社会に出ることを意識して人材をつくられていたことが、そういう成果につながっていたと思います。それが卓越大学院になってどうなったか、これからの作業になると思いますが、是非検証を実施していただきたいと思います。個人的には研究第一に戻ったのかなという心配をしていますが、ご確認いただきたいと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。一番初めに岩崎委員が投げかけた問いである、どこまでが大学でやる仕事で、どこからは産業界の仕事であろうかというところは、確かにそれぞれの場で、それぞれ働いている人たちには必要な問いかもしれないなと思いつつ、今、御発言を伺っておりました。何かほかに追加ございますか。鈴木委員、先ほど質問で終わっておりましたので、何か御意見ございましたら。
【鈴木委員】  文系を卒業した社会人が、理系のPh.D.をできるかどうかというのは、私はまだもやもやしていて、もっと知りたいなと思います。
 それから、仕切りを低くする。もちろん卒業する、修士、Ph.D.を完了する仕切りは高くていいと思いますが、最初の門は広いほうがいいと思います。それも、具体的に各大学の方々は各大学のことは分かっていると思いますが、もっと我が国として一般の人が分かりやすい仕組みやクライテリアがあるといいのではないかなと思いました。
【狩野主査】  ありがとうございます。それは、あと知らしめないといけないですね。
【鈴木委員】  そうですね、知らせるということですね。
【狩野主査】  制度だけあってもなかなか活用されないので、あとは、先ほどお話があったように、学生の皆さんが、親御さんを含めて、どういうイメージを持っているかということは結構大きな課題に思われることは、確かに地方で働いているとありますので、これもうまく乗り越えていけたらいいなと思います。
長谷山委員、どうぞ。
【長谷山委員】  先ほどの、まだもやもやしているという鈴木委員のお気持ちが私も分かります。私は情報科学研究院の所属で、純粋な理工系部局ですが、文系の方が大学院生にいます。杉山先生がおっしゃったように、しっかりと大学の基礎力をもっていれば、入試科目で点数を取って、大学院には入ることができます。特別に数学を少しだけ勉強する必要はあるかもしれませんが、文系出身者が実際に入学しています。
 そのような方を受け入れるときに、大学人として困ることが1点あります。それは、文科省が、博士を取得するときに何年で取得するのか、つまり、標準年限3年間で取得させることができているかという指標で私たち組織を評価していることです。4年、5年、6年となれば、それは大学としての評価が下がるとなれば、我々とすると、学生としても受け入れをためらってしまうことになるかもしれません。
 以上です。
【鈴木委員】  ありがとうございます。社会人がPh.D.をやるとなると、3年というのは非常にきついと思いますので、そこの仕切りも変えて、例えば5年でできるようにする仕組みなど、そのようなことはとても有用だと思いました。
 ありがとうございます。
【桝委員】  そこに関して補足といいますか、意見よろしいでしょうか。まず1点は、期間の部分ですが、僕自身がまさに社会人で、助教の専任研究所員という立場でありますが、今、ドクターを取ろうとしていて、まさにその3年問題が、1つの大きな制約になっているなと。社会人で博士を取る方は、その3年間を完全に博士号取得のためだけに100%エフォートを使えるわけではなく、むしろほかのことをやりながら取ることに1つの意味があると思っていますので、おっしゃったように、3年という期限が、特に大学側に制約があったと僕は知らなかったので、なるほどなと思ったことと、では、論文博士はといったときにもっとハードルが上がってしまうので、そこの部分は、本人の努力の部分もあるでしょうけども、もしかすると制度上の改善の余地はあるのかなと、今、自分に関係することでしたので思ったことが1つです。
 もう1点は、先ほど文系の方が理系のドクターをという話がありましたが、僕は逆で、修士を理系で取っていますが、やはり文系の社会学の知識が必要だと思い、文系の博士号を今取ろうとしています。そういったキャリアパスはむしろあると思いますし、JAXAのH3の岡田プロジェクトマネージャーは、それこそチームマネジメントが必要だからということで彼は社会人でJAXAに勤めながら、マネジメントに関わる文理融合分野での博士号を取られているはずです。そういった理系から文系、文系から理系、両方あるということはちょっと意識したほうがいいかなと個人的に思ったところです。どちらも、いい意味で、やりやすくなったらいいなと思っております。
【狩野主査】  杉山委員、お願いします。
【杉山委員】  今の3年の話ですけれども、長谷山委員のおっしゃるとおり、今、非常に定員管理のいろいろ問題がありまして、3年で取らせないと、ペナルティを食らうような状況でありますが、そこは少し本当は勘弁してほしいなというのと、ただ、逆に、文系で野放図に6年間かけて卒業させる大学もあるので、そこはそこで少しこちらとしてペナルティを与えたいというくらいには思っております。
 ただ一方で、社会人学生については、うちの大学もそうですけれども、一部の大学で、授業料は3年分、だけど4年かけても5年かけてもいいというシステムを今導入しています。この、ゆっくり時間をかけて、自分なりのやり方でドクターを取っていただくというものを導入している大学が増えてきていることは事実としてあります。
 それから、先ほど柳沢委員がおっしゃったことは、私、ほとんど全てアグリーです。支援については、私と長谷山委員2人とも少し別のことを言いましたけれども、この経済的支援については非常に重要だということは本当に思っております。というのは、私と長谷山委員、2人ともSPRINGの委員をやっておりまして、支援のために汗をかいている側なので、これは非常に重要で、国際標準として初めて我々が戦える土俵に上ったというふうに思っております。これはまさに柳沢委員のおっしゃるとおりだと思います。
 そこの関係で言うと、また別な話をしますけれども、5年縛り、10年縛りも、雇う側からするとまさにおっしゃるとおりで、大学に合わない、ポスドクを長いことやったり、特任でつなぐ人にとっては大変厳しいことになっているのは1つ事実です。ただ一方で、40を過ぎて5年任期、3年任期という人が増えてきてしまっていることもまた事実で、これは社会問題として何とかしなければいけないと考えています。つまり、それは運営交付金といった基盤的なコアのマネー、ハードマネーが少なくなって、結果として、承継というか任期なしで雇えなくなってきているということが、やはり一番大きな問題だと考えます。ですので、そこを何とかしていかないと、社会問題としての昔のOD問題が、ある意味別な形で蘇ってきてしまっています。つまり、40代になっても50代になっても、ずっと任期ありという人たちの人生をどうするんだ、というところは考えてあげなければいけないのかなというのが、私の感覚です。
 それから、リーディングのお話、迫田委員がおっしゃいましたけれども、私、リーディングでオールラウンド型のリーダーをやっていまして、まさにおっしゃるとおりで、社会に役立つ人材、トランスファラブルスキルもそこで我々も導入しました。それは、大学の中に残していて、当然卓越大学院のほうもそれを使っておりますけれども、プログラム自体は文科省のほうで少し研究のほうにかじを切ったというのは、我々も少し認識しているところではあります。ただ、その研究にかじを切ったといっても、そういうトランスファラブルスキル等をしっかり学び、また起業精神、そういうスタートアップに対する指向性を持った人材を育成するというところはどこも多分やっていて、いわゆる従来型のアカデミアに残る人たちだけを育てるという意識でやっている卓越大学院はほとんどないのではないかというのが私の認識で、少なくとも名古屋大学ではそういうふうにやっていますというのがコメントです。
【柳沢委員】  一言だけ。卓越大学院については、まだPh.D.1期生がやっと今年ぐらいに出たところだと思うので、あと数年様子を見ていただければと思います。
【狩野主査】  ありがとうございました。予定していた11時55分にちょうどなってまいりまして、もう1回御発言を考えていた皆様には申し訳ありませんが、そろそろ時間で今回はお開きにしたいなと思います。大変、さすがの委員の皆様でございまして、深みのある広みのある発言をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、事務局の對崎課長補佐ほか皆様から、御連絡事項、または今の議論について即座返事ができそうな内容がございましたら、ぜひお願いできたらと思います。お願いいたします。
【對崎人材政策課長補佐】  本日、お忙しいところ、先生方お集まりいただきまして、最後まで御出席ありがとうございます。
 資料4に今後の審議スケジュールをお示ししております。本日、多様な御意見いただきまして、その中でお答えを御用意させていただけるもの、あるいは今後さらに深めていくべき議論もあったかと思いますので、次回6月頃に開催をさせていただこうと考えております。その場で、本日いただいた御意見も踏まえた各種データやエビデンス、また政策の方向性等もお示ししながら議論を深めていければと思っております。その後、四半期に1回程度をめどに開催していきますけれども、必要に応じて主査、主査代理ほか先生方と御相談の上で作業部会等を設置して、さらに深掘りした議論を進めていくことも検討していきたいと思っております。
 次回の委員会、6月頃というところでございますが、そちらの開催日時等を改めて御連絡をさせていただきたいと思います。また、定例の御連絡でございますけども、本日の会議の議事録につきましては、作成の上皆様に御確認をいただいた上でホームページに公表させていただく予定でございます。
 以上でございます。
【狩野主査】  誠にありがとうございます。本日は、局長以下皆様方、最後までお聞きいただきまして、大変ありがとうございました。私の後の発言は、これで閉会といたします。ありがとうございました。どうもまた、次回以降もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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