人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第2回)議事録

1.日時

令和6年2月6日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省5F1会議室及び Web 会議(ZOOM)

3.議題

  1. 研究開発マネジメント業務・人材に係るヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

 小泉委員、稲垣委員、桑田委員、重田委員、杉原委員、高木委員、野口委員、正城委員

 

文部科学省

 生田人材政策課長、髙見人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会
研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第2回)
 

令和6年2月6日

 
【川村人材政策推進室長補佐】  事務局でございます。会議の開催に先立ちまして、委員の皆様におかれましては、Zoomのビデオをオンにしていただきますようお願いいたします。
【小泉主査】  では、よろしいでしょうか。定刻となりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会人材委員会研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループの第2回を開催いたします。
 本日の会議は、冒頭より傍聴者に公開していますので、よろしくお願いいたします。
 本日は8名の委員に御出席いただいており、定足数を満たしております。よろしくお願いします。
 それでは、議事に入る前に、まず本日の委員会の開催に当たり、事務局から注意事項と資料確認をお願いいたします。
【川村人材政策推進室長補佐】  事務局でございます。本日の会議は、対面とオンラインのハイブリッドでの開催となりますので、対面で御出席の委員は、御発言の際には挙手、または名立てなどで合図いただき、オンライン御出席の委員は、挙手機能により挙手ボタンを押していただき、主査より指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただきますようお願いいたします。
 機材の不具合等がございましたら、対面で御出席の委員は、会場の事務局にお声がけいただき、オンラインで御出席の委員は、マニュアルに記載の事務局連絡先に御連絡ください。
 資料につきましては、Zoom上での共有も行いますが、会場ではお配りしておりますので、各自、お手元で資料を御覧ください。
 それでは、まず資料確認をいたします。事前に送付しておりますけれども、資料としましては、議事次第、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2でございます。議事進行の過程で不備等がございましたら事務局までお知らせ願います。
 以上でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。それでは、早速ヒアリングに移りたいと思っております。前回は、ファンディングエージェンシー、それから、URAの質保証ということで、全国的な組織という、少しマクロな観点でのお話をしていただいたところですが、今回は2つ、大学からお話をしていただくということで、大学の執行部に関わられて、また、現場もよく御存じの先生方からお話をお伺いしたいと思っているところです。
 まず杉原委員から、信州大学におけるURAの育成、活躍についてお話をいただければと思います。
 杉原先生、ぜひよろしくお願いいたします。

【杉原委員】  よろしくお願いいたします。それでは、信州大学における、大学の機能強化を目指したアドミニストレーション人材等の増強について御説明させていただきます。
 まず信州大学の研究や産学官連携支援部署の簡単な御紹介です。信州大学の教員数、2ページの中段付近にございますように、およそ1,000名でございます。この教員数1,000名に対して、産連本部であります学術研究・産学官連携推進機構という教員系の組織と、研究推進部という事務系の組織を併せて100名を超える支援スタッフがいます。研究者1,000名に対して、支援スタッフは100名なので、かなりの大人数で、研究支援、産学官連携支援を進めているところです。さらに、共同研究等の間接経費は現在、40%に設定しておりまして、通常、多くの大学で執行されている30%よりも10%大きい数字としております。
 また、間接経費を原資としました機構の予算規模ですが、運交金や競争的資金で雇用した人件費などを抜いて、あくまで間接経費を原資とした機構の予算規模も2億円強といったところでございます。それ以外に、一番下にありますようにインキュベーション施設を4棟持っていまして、ここの入居料収入なども機構の活動資金になっております。
 3ページ目でお示ししているのが、この学術研究・産学官連携推進機構の中にございますURA室の構成です。URAは広義の意味では、知財コーディネーターや産学連携コーディネーター等も含めますので、ざっと34人いますが、狭義の意味でのURAは、ここに示しましたように、本部担当の8名と部局担当の7名、計15名になります。この本部担当と部局担当のURAは、それぞれのミッションに応じまして、科研費申請の支援をしたり、大学間連携の支援をしたりするという体制になっています。平成23年から公式に大学独自予算でURA体制を整備しまして、平成24年度からはURA整備事業で大きく組織拡大して、事業終了後は、自立、さらに徐々に拡大を進めているところです。
 この15名の内訳について非常によく聞かれるので、1月1日付で、博士号を持っているか、あるいはURAのスキル認定機構の認定URAを持っているか、URA歴がどれくらいかというのを一人一人記載しました。本部担当のURAは、およそURAのキャリアが10年以上といった人材がそろっていまして、かなり大学本部に直結した戦略的なマネジメント、研究マネジメントをするような体制になっています。
 また、部局担当のURAも10年以上のキャリアを持っている者が半分ぐらいです。そこに若手も加えて、まずは現場のURA活動等に少し触れてもらうようなことをしています。後ほど御説明しますが、本学の15名のURAにはテニュアトラック制度が入っていまして、緑で塗った者が既にテニュア獲得をしたURAでございますが、ほかのURAたちも5年のテニュアトラック期間を経て、試験に合格すれば、無期雇用に変わるという仕組みになっています。さらに、お手元の資料にはございませんが、年齢構成はこの15名、1名は公募中なので14名ですが、50代が3名、40代が9名、若手30代が2名といったような編成で、現状は活動しています。
 5ページ目が、URAのテニュアトラック制度です。間接経費を原資にして、まずは5年間のテニュアトラック期間を要しております。その間、下のほうにありますAAシート、これはミッションアポイントメントシート、要は、年度ごとに各URAが自身の目標をきちんと文章化して設定し、年度中間、そして年度末に執行部と面談することによって達成度を評価するような仕組みを入れています。これで毎年きちんとURAの目標設定と達成度を評価する仕組み、さらに、教員の業績評価、一般の教員と同じような形で、全ての活動、例えば科研費の支援をやれば点数が1点とか、1,000万円以上の研究費を取ってくれば点数が5点とか、全ての業績を点数化するような制度もありまして、その組合せで評価するような仕組みになっています。3年目で中間評価、5年目で最終の評価でテニュア事業という仕組みになっていますが、優秀なURAは、3年過ぎれば早期テニュア授与というような仕組みにもなっています。こういった形で、間接経費を原資に、65歳の定年までURAとして活動できるようなテニュア制度を用意しているところです。
 なお、本学のURAは、6ページにございますように、教授、准教授、助教という3段階の職階制度を持っております。さらに、教授、准教授、助教という3層構造の中でも給与体系を3段階にしておりまして、例えば助教の段階1で、当初大学に雇用されまして、テニュアの上で認定URAになった場合は、段階2で昇給すると。あるいは顕著な成績があればさらに昇給するという仕組みがあります。さらに、昇進制度もありますので、お給料の増加に加え、准教授に上がったり、教授に上がったりという仕組みがございます。この昇級の実施は右側にございますような、先ほどお示ししたような評価と、経験年数や認定URAの資格等を総合的に加味して判断するようになっています。
 さらに、インセンティブとして、年間80万円のボーナスを支給するようになっておりまして、この80万円は、先ほど業績を全て点数化するような仕組みがあると申し上げましたが、その点数等で最大80万円を年度末に支給するような仕組みになっています。
 こういった形で、ジュニア級のURAからしっかり教授級URAという確固たる地位までキャリアパスを用意しまして、さらに各職階の中でもお給料が上がるような仕組みで、URAのモチベーション等を維持していくような仕組みを取っています。ただ、正直、これでも給料がまだまだ低いなというところがございまして、もう少し全体のベース給を上げようかといったところも議論になっているところであります。
 7ページが、URAの評価、特に年間の目標設定に関わる資料になります。URAのスキル標準で示されている、この表に示しました業務。さらに一番下の人材・組織マネジメントは、URAスキル標準では、この人材育成や組織的なURAの管理能力スキルの記載が乏しいものですから、それを本学独自に加え、この5項目でそれぞれのミッションに対して自身の目標設定、具体的な数値設定等を上げてもらい、年度末に執行部との評価で点数をつけていきます。原則として、ここに挙げた項目全てでエフォートを割くように指導しておりますので、信州大学のURAは基本的にオールラウンダーとして育てるような方向で、現状、活動しています。
 こういった形で、10年以上、本学のUR体制を動かしてきております。URAは、研究と社会貢献といったところが大きなミッションになっていますが、例えば文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」のような教育に大きく関わる支援をするのか、あるいは人材政策課所管の「SPRING事業」のような、教育と研究支援両方にまたがる事業を誰が支援するのか、あるいはリカレント教育のようなプログラムはどういった形で支援するのか、あるいは大学経営はURAが支援するのかといったところ、このあたりは非常に今、URAの境界線が曖昧になってきているというか、業務の幅が広がっていると思います。
 当然ながら大学としても、教育や大学経営の全体に関わるURAのような存在、アドミニストレーション体制はあるほうがいいに決まっていますし、その体制があれば、大学の戦略をより高度に実行に移せるだろうということで、本学では大学全体の経営等に関わるアドミニストレーション人材の育成なども開始しています。
その人材は、やはりURAから派生させることが近道ではないかと我々は思っております。一つには、URAにはこれまで大学本部と部局の両方の目線から、企画・調整・実行等をさせておりましたので、そういう能力は学内の通常の教員や職員と比べてもかなり長けています。また、当然ながら、外部資金の獲得能力はある。さらに教育等をある程度経験しているURAは、教育者の目線でも思考できるところがあります。常に大学の人・もの・金を俯瞰して、プロジェクト構成などを普段から考えさせていますので、経営的視点が非常に強くなっています。これらを基に、個人的な能力、感受性があるとか、メンタルであるとか、体力があるといったところも加味して、経営支援に踏み込んでいくようなURA、本学ではUAと呼んでおりますが、そういう人材などの育成にも入っています。
 このアドミニストレーション人材を研究以外、先ほど申し上げたように教育もそうですし、大学経営等に活用していくにはどうしたらいいかというところですが、具体的には、研究支援で培ってきた能力を経営支援等に生かすためには、やはりどういう業務をアドミニストレーション人材がこなせるかといった、機能強化業務を具現化できるかというのが一つポイントだと思います。当然ながらそれに対して投入できる人材はいるか、あるいは育成できるかというところも重要です。さらに、そういった人材を置くことについて、学内の理解や、その運用体制が組織的に整えられるかというところもあります。結構な人員数を投入しますので、当然ながら大学として採算が合うかといったことも鍵になると思います。こういったところを総合的に加味して、次のステップに今、本学は進んでいるところです。
 続きまして11ページ、これはいろいろ御批判があるかもしれませんが、私の個人的なURAの能力別の分布イメージになっています。Fundamentalに該当する基本的な能力を持った方や、もう少し進んで言われたことをきちんとこなすぐらいの能力を持った方は割と多いですが、AdvanceとかStarのように、自分できっちり企画して、本当にオリジナリティを持って動かしていけるような人材というのはまだまだ少ないかなと感じています。正直ここは教えられてできる業務ではなく、個人のセンスが大きく影響するようなところもありますので、この辺りのポイントを見極めながら、能力的にAdvanceやStarクラスになりそうな人材が恐らくUAにも向いているだろうと思って、学内で人選をしながら、URAからUAに転向するような人材を今、抽出しています。
 きっかけがないとなかなか大学としても踏ん切りがつきませんので、本学は令和4年度の文科省の国立大学改革・研究基盤強化推進補助金を利用しまして、大学総合司令塔、アドミニストレーション本部を設置しまして、まさに、経営のアドミニストレーション人材、UAを置きました。併せて、教育分野に特化したUEAも配置したところです。
 このアドミニストレーション本部の業務のご紹介です。まず、外部や大学内部から様々な情報提供があります。大学の改革に影響を及ぼす大きな情報が入ってきますと、やはりこれを役員とアドミニストレーション本部でしっかり共有しまして、アドミニストレーション本部でその情報の分析を行い、さらにその情報の分析から、課題の解決シナリオ等をしっかり描くという作業をします。その上で、大学全体の合意を取って、課題の解決シナリオの執行に入ります。今までは大学のトップから大学の大きな改革方針等を現場に伝えるだけで、現場はなかなか実行に移せない、具体的にどういう活動をしたらいいのか分からないというところもありました。それが我々の反省点でありまして、このアドミニストレーション本部は、解決シナリオをきちんと定めるだけではなく、各部局等と伴走支援しながら、大学本部の意向を大学末端まで伝えて、一緒に走りながら、大学の大きな改革を進めていくという機能を持っています。ですので、企画調整機能と実行機能を持っている、まさに経営のアドミニストレーション人材として、UAを今、育てています。
 アドミニストレーション本部は、本部長が学長で、研究担当理事、教育担当理事、経営担当理事、あと私も副本部長に入りまして、情報収集して、きちんと分析する。さらに分析結果を基に解決シナリオをしっかり構築する。そして、解決シナリオを学内の多様な部局と一緒に伴走しながらプロデュースして実行していく。これらのトータル機能を持った組織として動かしています。
 まさに、これまで縦割りで、学長から各部局等に指示が出ておりましたが、各部局等では、具体的な実行に移す、あるいは、大学本部の総意が十分に伝わっていないところもありましたので、ここに横串を刺すような形で、このUAが伴走支援しまして、部局の間をつなぎ、大学全体の総意をきちんと各部局末端まで伝えながら、大学全体の改革を非常に効率的に進めるという仕組みになっています。
 このアドミニストレーション本部ができたことにより、長期的な戦略をしっかり練り、きちんと大学として合意を取って伴走支援することで、きちんと大学全体として方向性をキープしながら、一体感のある業務遂行ができるようになりました。こういったところから、今、大学としては方向性を統一した大きな事業などもアドミニストレーション本部を発端に動かし始めています。
 17ページをご覧ください。業務イメージは、先ほど申し上げたように、調査分析等を行って、省庁、学内執行部あるいは部局、関連自治体や企業等とも調整しながら、まさに伴走支援するといったところがUAの役割になっています。
 18ページ、ここも本当に一例ですが、例えば研究力強化を目指した改革などもありますが、通常のURAでは踏み込めなかったようなところ、例えば、研究は当然ながら研究者の処遇等や研究環境も重要ですが、一方で研究を支える事務体制にまで踏み込まないと、やはり大きな研究力の強化はできないので、例えば事務定員の新規確保を行ったり、業務所掌の、かなり事務部の中にも踏み込んだようなマネジメントをしているところです。あるいは大学院改組です。まさに研究人材育成の根底を支えるような大学院の改組などにもしっかり入り込みまして、研究の領域と、教育、大学院の部署をきちんとつなぎながら、大学全体としての大きな改革をつなげる仕組みを取っています。
 こういった形で、今まで研究と社会貢献はURAが担っていましたが、教育と社会貢献を担うUEA、さらに大学経営を踏まえながら全体を伴走支援するUAを置きまして、大学経営改革に絡むような事業全般をこなすようになっています。当然ながらこのUAは、大学経営改革に絡む競争的資金等の獲得や、大型プロジェクトの企画運営にも関与していく形になっています。結果として現在、かなり大きな予算等も取れ始めてきておりますので、経営力向上と同時に、しっかりとした外部資金導入を果たして、このUAという仕組みも自立的運用をしていきたいと考えています。
 実際に信州大学の中にいる支援人材の一部を、20ページの左側に書き出してみました。今日、話題に上がっているような人材だけを挙げています。この人材を、四象限で配置すると大体こんなイメージになっています。左右(横軸)が外部資金の獲得機能、外部資金の獲得額で、右に行くほうが外部資金の獲得ができる、左のほうが外部資金の獲得がしにくい、という形です。縦軸は研究やイノベーション強化の機能で、攻めと守りといったところです。特にUA化するURA、今、本部担当のURA等のUA化を図っておりますが、一番下に書いてあります通り、通常の部局担当のURAと比べると、外部資金の獲得能力が数十倍大きく、全体を俯瞰しながらより大きな構想を練って、大学全体に影響を及ぼす大きな資金獲得ができる能力を持った人をUA化して、しっかり大学全体としての改革と予算確保を進めるという仕組みを取っています。
 併せて、こういったUAが確保した資金によって、資金導入が非常に難しい、例えば研究インテグリティ担当のURAや、分析専門のIRer、技術職員等の増員なども図るような仕組みを取っています。併せて、こうした技術職員や通常のURA、部局担当のURAも外部資金獲得機能を上げ、大学全体としてより戦略的な外部資金獲得等、大学の改革を進めたいと考えております。
 余談ですが、コアファシリティ事業で、ちょうど今、技術職員の改革も私の下で動いています。これまでの大学の技術職員は、職階が技術職員、技術専門職員、技術専門員の3段階しかありませんでした。要は、事務部で言うと係員と主査と課長補佐しかありませんでしたが、新しい職階等をしっかり整備しまして、それこそ係員から課長級あるいは部長級まで上がれるような仕組みをしっかり作りまして、技術職員の能力開花につなげようとしています。また中段にありますように、技術職員の新たなスキルとして、産学官連携プロジェクト等の企画や提案、調整能力等を保有させることで、技術職員自ら外部資金獲得にも関与できるような能力を身につけさせるようなことも、今始めています。これによって技術職員がある程度自前で資金確保するような動きを強化しています。実際には間接経費として入ってくるのですが、そのようなお金で技術職員の増員を図り、さらに外部資金の獲得ができるような技術職員を増加させる、といった好循環を生み出そうという動きも出始めたところです。
 一方で、23ページのような図を考えたところ、10年ぐらい前、URAの数が非常に少なかった頃に、我々URAがどのような業務を担当していたかというと、まさにこの大型資金を獲得する業務とIR業務や知財業務、部局担当業務、今で言う研究インテグリティ、コンプライアンス系の業務、何でもこなしていたようなところがあります。ですから、今もよく、これからURAを立ち上げる、あるいは、少しURA機能を強化したいとおっしゃるような大学が視察に見えたときは、こういった方向性で指南することもあります。つまり、お金がしっかり稼げるポジションにある程度URAを配置して、しっかり外部資金を獲得した上で、全体的な機能強化を少人数ながら進めていき、分業化できるような体制になってから得意分野で分業させていったほうがよい、というアドバイスをしています。
 このような形で、現在、信州大学では、URAに加えて、大学全体の経営戦略等を担うUA等を配置しまして、様々なアドミニストレーション人材で大学全体の経営改革を進めているところです。さらに技術職員も現在、これまで部局に所属していたのを全部、本部所属に集約し、研修として外部資金獲得等の新しいスキルを持たせて、新たな研究力強化人材としてステップアップすることも進めています。
 アドミニストレーション人材を自前で、ある程度資金繰りも意識しながら育成し、拡大していく状態に今、来ております。ただ、安定雇用のためにはまだまだしっかりした人件費のベースになるような予算が必要だと思っていますので、いろいろと情報等を集めながら今後の体制をしっかり組んでいきたいと考えております。
 以上、雑駁ですが、本学の取組を御紹介させていただきました。どうもありがとうございました。

【小泉主査】  杉原先生、ありがとうございました。信州大学は非常に取組が素晴らしく、URAシステムを10年かけてしっかりとつくられて、有名なURAもたくさんおりますし、やはり先駆的な取組をされているなと思ったところです。特に今後は研究・社会貢献・教育といったところの業務の広がりに応じて、大学のそもそもの体制の整え方とか考え方、そういったところが新たな取組として、いろいろと模索されているのが大変よく分かりました。ありがとうございます。
 委員のほうから、せっかくの機会ですので、質問等あれば挙手や御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。正城先生。
【正城委員】  正城です。杉原先生、どうもありがとうございました。御説明いただいた中で、特にUAの考え、全学的な視点に立っていろいろな業務をするというのは、まさしく私も必要だというふうに感じているので、大いに賛同いたします。一方で伺いたいのが、非常に大きな組織になり業務が分業化された中で、UA的な考え方というのはどのように浸透されているのかという点です。最後のほうにおっしゃったように、少人数のときはそれを意識せざるを得なくて、皆さんが全学的な視点を持って活動されているということもよく分かりますが、一方で個別に分業化された業務を1個1個見ていると、業務間で若干相反するといいますか、ある視点を捉えると別の視点を抑えないといけないというところはよく出てくると思います。全学的な視点、UA的な視点を、組織が分業化された体制の中で、人事評価なのか、別の手段なのか、どういった形で浸透させていらっしゃるか、あるいは今後させていこうと思われているかをぜひお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
【杉原委員】  正城先生、ありがとうございます。URAも本部担当と部局担当というような形で大別しています。通常はやはり現場を知る必要があるので、ジュニアクラスであれば、部局担当から始めますが、いろいろな業務に関わらせていく中で、大学全体を俯瞰するような能力等をある程度、身につけさせるような場が幾つかございます。そういった方法でURA人材に、大学本部の視点で全体を俯瞰できる位置づけにステップアップするチャンスを与えていまして、その上で、大学全体を見る本部担当のURAに移して、研究面で大学全体を見る形を取らせます。さらにそこである程度時間等をかけて経験させますと、当然ながら研究だけではなく、教育や財務等の様々な視点を持ちますので、徐々にステップアップさせながら、業務以外でも俯瞰する範囲を広げさせて、最終的には大学経営全体のカバーをさせるといったところに今持っていっているところです。実情としては、先ほどURAの本部からUA化していくといった人材も、それこそ10年以上のURAキャリアを持っているような中でも、一部の人材が今、UA化に入っているといったところです。
 今後、経験やノウハウ等を積んでいけば、もう少し効率的にUA化を図ることもできるかと思いますが、まだパイロットモデルの段階ですので、手探りで今やっています。
【正城委員】  ありがとうございます。よく分かりました。
【小泉主査】  ありがとうございました。では、高木先生。
【高木委員】  高木でございます。御説明ありがとうございました。大変すばらしいお取組をされておられると思います。前回のワーキング・グループで、URA等のマネジメント人材に関して、キャリアップや成果のアピールの仕組が重要だと申し上げましたが、本日、まさにその御説明がありました。キャリアパス制度を実践されておられ、大変感心いたしました。それから、前回申し上げたもう一点は、この人材が活躍できる環境あるいは組織、制度が重要だということを申し上げましたが、この点についてもいろいろ工夫されておられます。
 質問が3点ほどございます。
まず1点目は、3ページの学術研究・産学官連携推進機構の構成の図についてですが、一番上に機構長がおられて、機構運営会議、そして本部が3つあります。その下にURA室の構成という図がありますが、この室長というのは( )付で機構長とのことですが、これは一番上の機構長がここを見ておられるという理解でよろしいでしょうか。今、組織対組織の大型連携や、トップのリーダーシップが産学連携で言われていますが、URAの所属されている組織の長の方がどういうポジションの方であるかは、非常に大事な点だと思います。また、このURA室と14ページのアドミニストレーション本部との関係について、例えば本部長の方で、3ページの機構長の下の本部も御担当されている方も一部おられると思いますが、両組織の関係について、教えていただけますでしょうか。
 【杉原委員】  すみません。御説明が欠落しておりましたが、3ページのところの、まずURA室の構成のほうです。機構長が研究・産学連携担当理事で、この機構長がURA室の室長も兼ねています。大学では教教分離という考え方がございますが、本部等に所属しているのではなく、この機構の中にあるURA室に全員が所属しており、業務によって、学術研究支援本部の業務をしたり、社会連携推進本部の業務をしたりと、業務によってそれぞれの本部長の下で別の業務をするといったような仕組みになっています。ですので、機能としての機構長の下の3本部と、URAの具体的な所属、人事管理システムとしてのURA室があるという仕組みになっています。
 この室長は機構長なのですが、副室長は、3本部長が兼務しているような仕組みにもなっていまして、この本部と室の相反が起きないような形で、副室長がこの業務はこちらの本部の業務だといった形で、ある程度振り分けながら、URA全体のマネジメントをしているところです。
 あと、アドミニストレーション本部とURA室との関係ですが、URA室のうちの本部担当の8名、現状、公募中を除くと7名のうちの約半数を今、UAと兼務させています。これらの人材がしっかりとした形で、UAの能力が開花・達成できれば完全にUA化を図ろうと思っていますが、現状ですと、兼務させながら育成しているところがございます。一方で、アドミニストレーション本部にはもう専任でUAをこなしている人材もいます。URAからUAに移行していく途中段階のものが3名、4名いるといったところが現状になります。
 以上です。
【高木委員】  どうもありがとうございます。URAが執行部と強いつながりで活動されているというお話を聞いて感心いたしました。
あと簡単に2点ほど質問をよろしいでしょうか。
間接経費40%、そこから人件費を捻出するというのは、大変すばらしい仕組みだと思いますが、逆に、間接経費40%ということについて、産学連携の共同研究の企業側をどのように説得されておられるのか。例えばこのURAの付加価値について、人件費に充てることの付加価値をどのように説明されておられるのか。あるいは40%ということで企業側から反動がないのかということについてお伺いします。
 それから6ページのURAの昇給制度で、助教、准教授、教授ということですが、私学ではこのようなお取組を聞いたことがありましたが、国立大ではあまり今まで聞いたことがございませんでした。学内でこうしたお取組みを進めるに当たり、スムーズに進んだのかどうかお伺いします。
 以上、2点教えていただければと思います。
【杉原委員】  では、まず間接経費の40%ですが、これはやはり導入時には相当いろいろと意見交換させていただきました。もちろん企業の方からもいろいろな御意見をいただいきましたが、その40%の内訳等をきちんと説明していった中で、ある程度御納得いただいたと我々は理解しております。
 一応、毎年の共同研究費の導入額あるいは導入件数等を見ましても、以前、本学は10%でしたが、その頃から比べても、40%にしたから減っているということはなく、むしろ毎年きちんと右肩上がりで増加していっておりますので、ある程度多くの企業様には御納得いただけたのではないかと考えているところです。
 あとは、URAが教員の枠を持っているといったところですが、これは10年以上前、URAをどういう職種で雇用していくかといったところを各大学でいろいろ議論した中で、やはり本学は少しアカデミックな知識等も身につけた背景等を生かして、教員格というのを前面に出した仕組みを構築しております。ですので、私も教授ですし、大学の承継枠でURAをやっている教員も数名おりますが、それらも含めて、皆、教員という位置づけを取っております。
金沢大学もこうした教員での仕組みかと思うので、もし稲垣委員、補足があればお願いします。
【小泉主査】  稲垣先生、どうぞ。
【稲垣主査代理】  金沢大学は全員が教員ではなく、承継ポストを使っている人と、ポストは使っていないがお金があるから准教授相当で雇っている人と、あとは研究員という立場、様々です。特に地方大学はあまり人が集まらないので、待遇面である程度差をつけるとか、そのような工夫をされているような印象があります。
【杉原委員】  そうですね。本学もまさに、URAの教授というところを付与するのは、我々としての売りというか、地方大学としてのアピールになっておりますので、この辺りは学内理解を十分得て進めながら、良い人材を採るための仕組みとして今も定着しているところです。
【高木委員】  ロールモデルになるお取組ではないかと思います。どうもありがとうございました。
【小泉主査】  ありがとうございます。うちもそうですし、昇給制度は大分いろいろなところでできてきていると思いますが、このようにまとまった形でできているのはすごいなと思います。ただ、やはりちょっと給料が低いなというのは、先ほど仰っていただいた通りですね。もうちょっとURAの給料を上げるというところは考えなければいけないのではないかと思って、お聞きしていたところです。
 野口先生、お願いします。
【野口委員】  杉原先生、非常に示唆に富んだ御説明、ありがとうございました。特に23ページの分業、兼務をしながら組織強化をされている点等々は非常に参考になりました。
 その上で、私も3点質問ですが、先ほど高木委員がおっしゃったように、間接経費40%というのは非常に高い額だと思います。私どももチャレンジをしようとは思いましたが、十数年前に10%を20%に上げるのが正直精いっぱいでした。今日は勇気づけられましたので、頑張ってみようかなと思っているところです。その上で3点です。
 1点目は、間接経費の2億円の配分方針というのがあればお聞きしたいと思いました。例えばもう全額、機構のURAの人件費に投入しているのか。例えば3分の2投入で、3分の1は別途経費等で使っているのか等、分かる範囲でお聞かせ願えればと思います。
 2点目ですけども、博士のキャリアパスは、やはりURAも考えていかなければならないというのは私もずっと思っておりました。例えば信州大学でPhDを取られた博士学生群がURAに進むような道筋や促し方があるようであれば教えていただきたいです。
 3点目ですが、10ページのところに、先ほど先生がおっしゃった学内理解等ということについてお伺いしたいです。例えばこの機構というのはある意味の特区で、例えば全く違う分野の学部の教員から見ると、なかなかその特区について、例えば下に記載のある通り「投入に関して採算が合うか」という点の予算的な側面であるとか、機構施策等の理解増進を図るのが非常に難しいところがあると思います。今一番、理解増進が図られていない部分と、こうしたら図れるのではないのかなという工夫の面があればお聞きしたいと思いました。
 以上3点です。
【杉原委員】  まず1つ目の間接経費ですが、先ほどの2億円というのは、あくまで学内で配分されてきて、我々の部署の中で、純粋に我々の活動費でもらえるのが2億円以上という書き方をいたしました。ですので、この2億円は、我々の部署の中でどのようにでも使えるところですが、大半は人件費で使っています。先ほども申し上げましたように、研究者1,000名に対して、かなり大人数の支援部署になっています。URAの15名もそうですし、例えば知財のコーディネーター、弁理士の資格を持っている者とか、様々な人員等も2億の原資等を使っていますので、基本的にはほぼ人件費で活用しています。これ以外にも、先ほど申し上げたように、建物の入居料収入で人を雇用するなど、財源多様化でいろいろと財源を持っていまして、組み合わせながら大きな支援組織を維持しているところです。
 あと、大学院生等、特に博士課程の大学院生等に対してURAを目指していただくアピールですが、大学院の、特に博士課程の授業で、私自身も幾つか講義を持っており、URAとはこんなことをやっていますよ、というのをいろいろ授業の中で言っておりますが、なかなか、URAになりたいという方はまだまだ現れてくれていないなというのが正直なところです。これは私の努力不足なのかもしれませんが、もう少しきちんとしたコースでやったほうがいいのかもしれないし、あるいはそういう希望を持っている人たちをもうちょっと集中的に集めて、指導体制というか、研修体制などを学生のうちからやったほうが効果的なのかなと思っています。
 あと、学内の理解促進の浸透についてはなかなか難しいところがあります。我々が一番てこずっているのは、実は学務系の部署です。学務は聖域のようなところがどうしてもあり、なかなか入り込めなかったので、我々の予算で学務にアドミニストレーション人材であるUEAを落下傘的に置きまして、UEAがまず学務系部署の中で少し、アドミニストレーション人材の価値等を広げて、使えるなと、あるいは今後もこういった人材が必要だと思わせつつ、我々もUEAを足がかりに議論をしているようなところがあります。正直、本学だけかもしれませんが、なかなか学務系の壁は高いなというのが我々の実感です。
 以上です。
【野口委員】  ありがとうございました。
【小泉主査】  杉原先生、ありがとうございます。まだ質問があると思いますが、また後ほど改めまして、桑田先生の発表の後に質疑応答させていただければと思います。まずは一旦、杉原先生、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、東工大の桑田委員から、スタートアップ支援に関わるマネジメント人材の役割についてということでお話をいただいて、また、その後、ディスカッションしたいと思います。
 桑田先生、よろしくお願いいたします。

【桑田委員】  はい。桑田です。よろしくお願いいたします。
 今日は、「スタートアップ支援に係る研究開発マネジメント人材の役割」について話すように依頼されましたので、それとマネジメント人材、特に今日は、今UAの発展についてのお話をいただいたんですけども、私のほうでは研究開発のマネジメント人材という切り口でお話をさせていただきます。
 まず今日は、大学でスタートアップ事業はどんなのをやっているの? というのを本学の事例で少しお話をして、こんな、いわゆるURAの役割があるんだというのを次で御紹介しながら、全体的にどんなことをやっていくのがURAの期待感なのかというのを御提示して、少し議論の話題提供にしたいなと思っております。
 それで、まず1個目です。4ページ目で御覧いただいているのは、昨今、大学が投資市場に入っていくことにすごく積極的だということで、もうこの場の皆様も共通の認識だと思っております。パッと見ていただくと、大学というのが閉じられた空間の中でDeep Techを一生懸命つくって、いい研究をつくっていくということをやりますが、当然ながら連携機関というのが存在していて、そこでいいものが出てくると、世に出していこうというベクトルが働きますが、実はこのずっと先に経済循環というのが回っていて、今、世界ではVCの投資市場というのが大変膨らんでいるんですね。この経済効果をうまく大学側でも取り組んでいくことによって、大学自身ももっと社会に貢献できる、プラス、大学自身が経済的に活性化していくのを目指そうではないかということで、大学発の、いわゆるエコシステムの場をつくりながら経済循環のところに突入しています。そして、経済の循環の中にフィードバックでお金が返ってくるところまでやっていきましょうというのが今の大学の中の大きな動きの一つというふうに御理解ください。
 それで、今日お話しするのは、大学発の起業をするときのサポートですね。URAやマネジメント人材というのは一体どんな人が登場してきて、どんな役割を果たしているのかということについて、お話したいと思います。
 5ページ目に提示しているのは、今既に本学で動いているものですが、何年か前にプラットフォームをつくっていきましょうということで、IdPと呼ばれるプラットフォームをつくりました。このときも独自でやっていたわけではなく、いろいろな大学や研究機関と連携しながら、外に研究を売り出していくようなプラットフォームをつくっていくということをしていました。この後、これをベースにどんどん呼び込みという事業を始めていくのですが、まずこのプラットフォームで何をやるのか理解していただければ、スタートアップ支援がどのようなものか、ざっくり御理解いただけると思います。
 まず教員や学生が起業する際の支援をします。当たり前ですが、ざっくり言うとそういうことです。東工大では、東工大発ベンチャーという称号を与えますので、その手続を行います。それから、この後もっとお金が必要になりますので、お金を用意して、それでスタートアップを支援するというプログラムを提供しますので、このプログラムの運営をしています。また、スタートアップするときはどうしても起業するための環境、いわゆるオフィスや、実験の場といったものが必要になります。この環境整備のために箱物を用意しておりますので、その支援のための手続や制度づくりも行っています。
 それから、ベンチャーをつくる人には、一定の知識レベルが必要になるため、大学ではアントレプレナー教育をやっています。そこに入ってくる社会人、あるいは学生がアントレプレナー教育を受けているので、そことうまく連携しながら、そこで学んだものを生かしてベンチャーを立ち上げませんかというような、伴走支援をしていくということもやっています。
 それから、地域と連携して研究を創発していく中で、地域連携のアクティビティも結構重い仕事になりますので、その対応もやっています。例えば東京都と連携したり、ある程度のファンドをいただいたり、一緒にプロモーションしたりということもこういうところに入ってきます。スタートアップ支援と一口で言っても、実はこれだけ細分化されたようなワークが走っていることになります。
 6ページ目は、東工大のスタートアップ支援というのは時系列で見るとこんなことをやっていますというご紹介です。最初やりたいと思うときから、だんだん気持ちが持ち上がってきて、起業する準備が進んできて、実際に起業し、最後に投資を受けて、旅立っていくという流れになります。これを時系列で支援していかなければなりませんが、そのために、それぞれ人と事業化と設備を支援するプログラムを全て用意していて、そこに人が張りついて、一生懸命支援をしています。例えば起業家養成のためのプログラムを提供するには、そのための事務処理や運営処理も必要になりますので、そういう処理をしています。
 また、事業化するためには、URAがここで初めて出てまいりますが、後でもうちょっと詳しくご説明しますが、一緒に起業化をしたいという人にいろいろなフェーズでの伴走支援をしています。例えば事業化をするとか、あるいは各種ベンチャーへの支援プログラム等々の紹介なども一緒にしますし、ベンチャーを支援する国の事業の採択に向けた支援も行っています。
 それから一番大きな、コワーキングスペースと言って、スタートアップするための仲間を増やせるような場所が欲しくなるわけですね。出会って、一緒にディスカッションできるような場が欲しくなるので、そういう場の提供をしたり、あるいはいよいよローンチするんだというときにはオフィスを提供して、これは幾ばくかお金を頂きますが、そうした場所の運営もやっていくということになるわけです。これだけ全方位でサポートしてもなかなか起業は厳しいというのがベンチャー支援ということです。
 7ページ目は、東工大のベンチャー支援の様子を御紹介するために持ってきたのですが、それでも頑張って、称号を与えて、2030年ぐらいまでには150社を超えるぐらいのベンチャーをつくっていきましょうということをやっています。時価総額と呼ばれている、どのぐらいの価値のある会社になるのかということですけど、そういう価値の大きな会社をぜひ育てて、先ほど言った経済循環の中に飛び込んでもらって、そこから大学にもお金が還流してくるということをしたいのですが、まだまだ時価総額で9億円クラスの会社はあまりまだ多くはないです。東大のベンチャー支援はもっとすごい数を擁していますので、すごいなと、そこぐらいまで行きたいなというところです。
 御覧いただいているとおり、それでも学生がベンチャーになっていくということについても、つまり通常の就職ではない、自分がやりたいことをやっていくんだということについても、大変興味を持っているというのが調査で分かってきたので、やはりこの辺りを厚く支援していくことによって、研究者の人生の道のりをいろいろとバリエーションを持って提供できるような、そんな場にしていきたいなと思っています。
 8ページ目は、先ほどちょっと出てきましたが、場の提供が大切だということです。本学は、学債なども発行しながら2031年ぐらいに田町地区を再開発して、もっと大きな世界ベースのベンチャー呼び込みの場を用意しましょうという計画を立てています。でも、それまで場を遊ばせていてはいけないので、今ある田町キャンパスを、「INDEST」と言っているんですけど、ベンチャー用のコワーキングとプライベートスペース、そういうものを提供できるような場として使っていただけるように綺麗に整備をして、ここでベンチャーの活動をやっていただけるようにサポートをしています。
 9ページ目、IdPというプラットフォームになりますが、これも実は東京大学や慶應義塾大学に入ってもらって、一緒に考えたプラットフォームです。先ほどの、仕組みがこれだけ要るでしょうと考えていて、そのほかに外部企業等も一緒に入っていただきながら、仕組みを整えてきています。
 この後のスタートアップの投資も含めたサポートが、国のスタート事業で支援をいただきGTIEという名前で呼んでいます。スタートアップを具体的にサポートしていきましょうということで、支援のファンドをいただきながらGTIEでサポートしているというのが、今一番メインのアクティビティーです。
 参加している企業や大学等は10ページにありますが、もう皆様御存じの大学と一緒になって動いています。東京都や川崎市にも入っていただきながら動いています。
 11ページは、本学単体で何をやっているかということですが、先ほど言ったプラットフォームを運営している、イノベーションデザイン機構と呼ばれている組織を用意いたしました。ここに教員とURAと事務が常駐していまして、先ほど言ったアクティビティーの本学の分の運営をやっているということになります。それからINDEST、これは場所の運営で、これもイノベーションデザイン機構のメンバーが運営をしているものになります。
 それから、実は本学はいわゆる技術経営の学位課程がありますので、ここに所属する教員が教えて、新しいベンチャーを起こすような起業家を育成するということもやっています。
 いろんな場を広げていくアクティビティーをどんどんやっていることに加え、今、力を入れたいのは、国内だけではなくて海外のビジネススクールとも連携をしながら、うまく海外の投資家との連携、ネットワークをつくっていって、今GTIEで、国の支援や、協力していただけるベンチャー支援の組織からだけではなく、海外のVCからも支援を受けられるような、そんな枠組みに育てていこうとしております。
 総括いたしますと、大学がイノベーションを起こすような環境整備をし、将来こんなありたい未来になりたいんだという価値に向かって、オープンイノベーションの場を形成して、いろんな企業とか周辺のVCなどを呼び込みながら、ベンチャー創出も含めて革新的なバリューを創出していくということをしているということになります。
 ここまでが概観です。この後、じゃあ本学でのベンチャー支援をやっているマネジメント人材は、どんなことやっているかということをもう少し詳しく御説明申し上げたいなと思います。
 14ページ目になります。先ほども大枠のミッションということで御説明申し上げましたが、ベンチャーをつくり、企画立案をしていくためにはいろんなアクティビティーをしていかなければなりません。そこに張りついているのが、この事業で雇用されている特任教員とURAになります。教員や学生からの起業の相談を受けて、このような形で会社を興していったらよいのではといった話をメンター的に、いろいろと相談を受けながら一緒に伴走支援するということをやっています。
 それから、立ち上げのときにGAPファンドと呼ばれるファンドが必要になりますので、そのファンドのプログラムを紹介して採択するところから、採択者への支援サポートまでやっています。これもURAなどがサポートしています。
 あと、ベンチャーへの各種支援というのがあって、創業へのアドバイスももちろんですが、学内スペースをどのように利用すればいいのかといった手続的な支援や、あと利益相反になっていないかというのをきちっと押さえて指導するということ。それから新株予約権というのがあって、新株予約をして、ある程度成長したときにペイバックがかかるようにということ、知財などのペイバックが必ず考慮した手続を支援するというようなことまでやっています。
 連携したい企業がいれば、企業の紹介もしています。また、ネットワーキングのためのイベント運営もしています。ピッチなどもやっていますので、ベンチャーを起こしたいという人たちは、そこに入ってプレゼンしてみたらどうでしょう、といった形でサポートしたり、ベンチャーキャピタルの外部の専門家を紹介するということもしています。これがURAと特任教員がやっていることになります。
 それから、ベンチャーを育成したり、活躍の環境をもうちょっと整えてあげたりすること。もうちょっとデイリーなワークになってくるのですが、先ほど申し上げたINDESTと呼ばれている学内のインキュベーション施設をうまく使っていくために、コミュニケーションマネージャーというのを常設しており、それはURAがやっています。事務的な手続として、運営は事務が担ってくれています。
 それから、学内のラボスペース、レンタルラボを使うための案内と、新しいラボができたらルールをつくるというのはURAの仕事になります。
 また、田町再開発については先ほど御案内いたしましたが、キャンパス革新企画立案、これはおそらく先ほどの信州大学の例ですとUAの仕事の領域になるのではないかと思います。もう少し学内的、全体的な話になりますが、こうなると、本学では教員とURAが企画業務をしています。
 それから、GTIEですね、プログラムで採択されたあとにお金をつけてあげるというようなこと、これは手続的なことなのでURAが行っています。また、先ほど言ったアントレ教育についても、連携させるという意味合いではURAがサポートしています。最後に地域連携、これも結構大変なのですが、教員とURAがサポートをしています。
 ということで、ここまでが今日のメインテーマの、起業家・ベンチャー支援のURAが担う業務の御紹介だったのですが、ここから全体感を少しお話ししたいと思います。
 16ページの図は全体感をまとめた図で、特にURAの活躍の場として従来まとめていたものなのですが、このワーキングではマネジメント人材全体の話に発展するのだと伺ったので、URA等「マネジメント人材の活躍の場」と、ちょっと言い換えております。この図、左上は研究者の領域です。右側は、連携する企業等、自分たちがアウトプットを出すような社会の領域となっています。
 このちょうど中間に、いわゆるマネジメントをしている場が存在して、ここでURA等マネジメント人材の人たちが様々なアクティビティーをしているということになるかなということです。彼らももちろん研究強化のためにサポートするのですが、研究を推進しているのは研究者なので、ここでは研究力強化には研究者側からアウトプット矢印が出ています。
 この中間層のマネジメントをしているところでは、特に財務基盤を強化して、大学をよりよいところに導いているということになります。濃い青で書いたことが、主に研究マネジメントでやっていることです。まず研究戦略を立てていくということ。それから、研究の成果が出てきたら、その研究を価値化していくということ。そして、価値化し終わったらお金に換えていく。収益に換えていって、知の収益化をして、また、学内の投資のサイクル、研究への投資のサイクルへ向かうという、この3つの大きなマイルストーンがあって、そこをぐるぐる回っているんだということです。
 我々が最もよく存じ上げているURAというのは、知財や研究支援を行ったり、外の研究と連携をしたり、研究者をサポートする人々なので、今御覧いただいている研究者との接点のところで大活躍をされているということになります。片や、産学連携などをやっている人たちというのは、相当数コーディネータとして大学に古くからいたのですが、社会との接点を持ちながら、大学の知を拡販したり、研究をプロモーションしたり、あるいは、一大学では賄い切れないようなところを、コンソーシアム運用しながらやったりというようなことをしておりました。
 そこに今回、今日御紹介しているような起業支援というのも一つ入ってくる。ベンチャーになって飛び立っていくというところを一緒にやっていこうということで、従来以上に、この個社を立ち上げる支援というところも追加でやっていかなければならない業務であるということになります。
 お金が入って投資ができてくると、こちら側には研究者が大勢控えているので、研究全体がどういうトレンドになっていって、求められている研究はどういう方向性となっているのか。あるいは、大学の中でどういう研究の成長シナリオが書けるのかというような、いわゆる研究戦略を立てていくというのは、中長期的に大学でどうしてもつくっていかなければならないものになります。どれだけのファンドがあるのか、どれだけのスキルを持った研究者が蓄積されているのかというあたりも含めながら、これはもう大学全体で見ていかなければならない話なのですが、ここにもマネジメント人材というのは必ず存在しなければならないし、調査などはおそらくマネジメント人材が行っていくべきであろうと、我々は理解しております。
 このようなサイクルを回しながら、大学を強くしていかなければなりません。あとは、今日これからの御議論になるのだと思いますが、マネジメント人材の役割の在り方というところで、一つのありようとして今の図を御説明すると、3つの役割がある。研究支援の機能、戦略推進の機能、価値化して価値を外へ出していくという機能。この3つの機能を、うまくそれぞれ連携をしながら回していくことによって、強い大学ができあがるのではないかというのが我々の考え方になります。
 そのために、研究支援のためのマネジメント人材としてどういう人たちが必要なのかというと、大学の方針に沿った精緻な活動ができるような、URAのような専門人材を育成していくというのが必要であろうと思っておりますし、戦略を推進するためには、内部の戦略立案だけではなくて、外部の情報から戦略をつくって、経営の権限を一部担うような、権限が持てるような、発言権を持っているような、そんな人材を育成していかなければならないし、確保していかなければならないということになります。
 それから、価値を創出するという、今日お話しした起業家支援もそうですが、社会を動かして、自律的に、プロアクティブに動いていく実力を持った人材、これを確保していかなければならないということで、課題は満載です。こんなにフルスペックな人たちっているんでしたっけということをいつも指摘されて、ううっと唸っているわけです。
 ここでううっと唸っていたとしても、組織の意志があれば、何とか育成したり、いろんな人に集まっていただいたり、連携したりしながらやっていけるのではないかと思っているのですが、一つだけやらなければならない課題は、機能が分かれていると業務ワークというのはどうしても連携がしづらくて、いわゆるセクショナリズムになってしまうということです。このため、それぞれ専門的なファンクションを持ったとしても、大学全体はこうやって動いていて、それで強くなっていくんですという、いわゆるフレームワークを俯瞰的に見て、動くことがよりよい成果を結びつけているということを理解することだけは、マネジメント人材のスキルとして持っておことだと考えています。そうすることによって、協力して組織運営ができるような人材になっていく。そういう人材を増やしていくということが一つ大切だと思っております。
 それからもう一つ、社会との接点でダイナミックな活動を担うスキルというのはどうしても必要だと思っています。内なる、秘めたワークや、精緻なワークも大切ですが、どうしても外との接点を担うのをちょっと苦手とする人たちが、URAには比較的多いです。そういうのを克服していくというのも、一つ育成のポイントとしてはあるのではないかと、特にベンチャー支援をやっていると分かってきますので、そのリクワイアメントは受けて立って、少し育成していかなければならないのではと思っております。
 ということで、今日私に与えられたテーマは、スタートアップ支援のマネジメント人材育成の役割でしたが、後半はもう少し広めにお話をしました。いずれにしても、内なる研究マネジメントだけではなくて、外へ展開するというマネジメントの力というのは必要になってくるかなということです。
 今日一つの見解を示しましたが、精緻な研究支援にとどまらないということです。組織全体を強くするんだという意思と俯瞰力を持ったマネジメントスキルというのがどうしても必要になるので、その育成は一つ課題として押さえておく必要があると思っております。
 最後に書きましたが、職への高いインセンティブ、これも大切だと思いますので、ぜひ議論の中に加えていただければと思っております。
 まず、私からの説明は以上になります。

【小泉主査】  桑田先生、どうもありがとうございます。大変示唆に富む、すばらしい御発表をありがとうございます。
 特に16枚目の図は、桑田先生がもう10年ぐらい使っていらっしゃるものですよね。
【桑田委員】  そうですね。10年ぐらい使っています。
【小泉主査】  今日のお話を聞いて、大変よく理解できました。
 今までこの研究マネジメント業務に関わる人の業務って、リストアップすると、最近インテグリティも増えて、社会経済安全保障も増えて、と、どんどん増えていくように思われる中で、リストという考え方ではなく、特に17ページ目におっしゃっていただいたような、機能、または対象という考え方ですね。先生は対象の話もされていましたが、研究支援といっても、研究者に対する支援なのか、大学全体に対する支援なのか、外に向かって価値創造するものかという、この対象はどこかと考えれば、その対象の中での業務はいろいろあってしかるべきなので、このように機能に分ける考え方は、先ほどの杉原先生の話にも通じるなと思ってお聞きしたところです。頭の整理ができました。
 それから、最近よく出てくる「伴走」という言葉。URAは伴走支援しますよと聞きますが、特に、やはりスタートアップはプラットフォームをつくるとともに、一人一人に対してURAが本当に手取り足取り一緒に伴走するということが必要だというのも、大変よく分かりました。私も頭の整理ができて、かなりすっきりしました。ありがとうございます。
 皆さん、御質問等あれば。
正城先生、お願いします。
【正城委員】  正城です。桑田先生、どうもありがとうございました。感想の部分は主査と同じなので繰り返しませんが、それに関連して、この16ページや、6ページの各機能の話とか、14ページ、15ページ辺りの、それぞれの業務をどなたが担当しているかというのを詳しく御説明いただいたと思います。この16ページを基に、体系的に、各プログラムや施設のようなインフラを運営されているのか、あるいは推測ですが、国立大学法人の場合だと、今教えていただいたプログラムは様々な制度を使って個別に立ち上がってきている経緯が多いと思いますが、それをかなり尊重しながら、比較的ロバストに運営されているのかというのが、お伺いしたい1点でございます。
 関連してもう1点、各業務を俯瞰的に見ながらやることが必要ということをおっしゃっていただきましたが、特に今日フォーカスいただいたスタートアップ支援だと、学外の様々な機関との連携もありますし、もちろん学内について目を向けると、この図で行くと起業支援のところで、知財は当然提携しないといけないでしょうし、研究支援の部隊や、共同研究を推進する部隊との関係性のようなところもあるかと思います。そういった、今日、特にフォーカスして御説明いただいたスタートアップ支援人材というのは、学内のいろんなファンクションや部隊と、あるいは学外と、どのような連携、すみ分けをされているのかということをお伺いしたいです。
 まとめると、1点目は体系的あるいはロバスト、どちらの視点でこの図全体を運営されているのかということで、関連して2点目に、特に起業支援の部隊が学内外の別のファンクションを持ったところとどのような連携をされているのかというのを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
【桑田委員】  ありがとうございます。1個目は、御指摘のとおりなのですが、本当に様々な支援事業を担当として受け止めて、ベンチャー支援等はそれをまとめていろいろ工夫をしてやっています。
 もっと正直に言うと、潤沢じゃない予算の中で、ベンチャー支援の推進はその期待と共に時流であり、我々としてもベンチャー市場というのは外のVCの巨大な資金が回っているし、すばらしい尖った知財をお持ちの先生たちがいっぱいいるのに、大学として宝の持ち腐れになっているという状態を何とか解決をしたいという思いで、様々な支援をいただきながら、支援事業を堅牢にしていっています。
 大学で一番厳しいなと思ったのは、こうしたものに継続的に大学運営として投資をする判断をしてもらいづらいということです。継続的に一定のマネジメント経費を配分してもらうことが難しいんです。予算は優先度の高いものから順番に配分されますので、この手の事業に配分される予算の優先度は、外部資金を獲得しないかぎりほとんどないということになります。
 そんな中で、国や、あるいは外のVCも含めて、大学にはかなり期待をしてもらっているというのが分かったので、国の支援をいただきながら立ち上げて、次は自立ができるようなところまで持っていきたいなと思っております。投資が難しいというのは理解をしながら、努力をして、自立化への道を探っていこうというのが次の課題です。
 これが1個目のお答えで、これであっていますでしょうか。
【正城委員】  ありがとうございます。
【桑田委員】  はい。2個目ですが、16ページの図を見て、様々な部署と連携していますねという話ですが、実はこれ全て研究産学連携本部と呼ばれている本部の中にあり、研究担当の理事が本部長としてグリップしております。
 そういう意味ではもうみんな近しい仲で、それぞれのグループが連携をしているという形になっているので、組織づくりとしてはうまくいっていると思っております。
 組織図を用意しておらず申し訳ないのですが、その意味では連携はそんなに難しくはありません。ただし、難しくはありませんが、やはり責任と分担があって、どのような線引きでやるかというのは時々出てくるので、そういうときにもう一段上に立った視点で見て考えようよと言って、納得してもらっているというようなところです。
 以上です。
【正城委員】  ありがとうございました。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 ほかに御質問など。重田先生、お願いします。
【重田委員】  桑田先生、ありがとうございました。私は研究を担当しておりますが、産学連携は所掌していないもので、大変新鮮でした。また東京工業大学がかなりシステマティックに行っているのを拝見して、大変感動しております。
 2点程お伺いさせてください。資料の4ページに経済循環という形で、VC等が結構盛んと言われていると思いますが、日本はまだやっぱりVCの市場がアメリカに比べてそれほど大きくないと、私は認識しております。どのように海外展開を、いわゆるスタートアップ支援につなげるようなことを、この人材に担わせているのかというのをお伺いしたいです。あとは、もう一つ、こういった起業支援をプログラム化する、あるいは支援者をシステマティックに増やしていく努力というのは、東工大さんのほうでなされているか、この2点について伺わせていただけますでしょうか。
【桑田委員】  1つ目ですが、御存じのとおり、ここにも書いてありますが、世界のVCのマーケットは大きくて、特にアメリカとかは非常に大きいんです。ところが日本のVCのマーケットはそれよりかなり小さくて、正直言ってもう、雲泥の差なんです。
 だから我々は、本当は日本のVCにしがみつくのではなく、海外のVCに売り込んで投資を受けるほうが、はるかに大きなお金を得ることができるし、大きな支援を受けることができます。
 なので、視点としては、もう海外にやっていこうということを決めています。その意味では何をやっているかというと、海外のVCマーケットで活躍しているVCの会社と順次連携しています。海外のVC会社は日本の大学に大変興味を持っていて、日本中の大学を巡っているので、我々だけが特別ではなくて、我々もワンオブゼムでお付き合いしてくれるので、そこにいい提案をするということが、我々のミッションかなということです。ですから、まずは世界で活躍するVCと連携することから始めているということです。
 加えて、例えばアントレプレナーの教育等もそうですが、海外のビジネススクールとも連携ができると、もうちょっとネットワークが開けてくるかなと思っています。そうしたディスカッションはやっていて、研究者同士の連携はもうできているので、その中からの御紹介というのはもう結構始まっています。
 もっと、今おっしゃっていたようにシステマティックにということであれば、今言ったとおり、大学間の教育の連携、それをどういうふうに立ち上げるかが重要かとおもっております。結構難解なこともやらなければなりませんが、そういうところまで持ち上げていって、少しいい成果が出れば、また御紹介ができるのではないかと思っています。今、最初の一歩ぐらいのところまでやっているという感じです。
【重田委員】  ちょっと人材についてお伺いしたいのですが、こういったことを担当されている方というのは英語話者でしょうか。
【桑田委員】  そうです。これはURAも、特任教員でGTIEで雇用される人も含めて、こういう海外含めたVCのマーケットや業務に従来から携わっていましたという、そういう領域の方たちをスカウトしています。公募をかけて雇用しています。
 本当に、大学の雇用費は低いのですが、大学発という領域に可能性に興味を持って頂けたのだと思います。多分今まですごいきらびやかな世界にいらしたので、少しこういう大学にテコ入れする最初の人になろうじゃないかという、そういう心意気で来てくださっていると理解しています。そういう方たちの流動性がとても高いので、立ち上げて何年かSeedsが多発する大学を儲けさせてあげたら、今度はそのパイプを使って違う領域で大活躍されていくお気持ちがあるのだと理解しています。
 なので、英語も当然使い世界中のVCのマーケットに精通して、その場に身を置いていた人たちをスカウトして、仲間に入っていただいているという状態です。
 こういう感じでよろしいでしょうか。
【重田委員】  はい。
【桑田委員】  ありがとうございます。
【小泉主査】  ほかに何か御質問……野口先生、お願いします。
【野口委員】  桑田先生、非常に示唆に富んだ御説明ありがとうございました。URAのベンチャー支援マネジメントへのコミットの一つのありようというのがよく分かりました。
 その上で、17ページにも先生が課題で挙げておられますが、人が成功の鍵というのはまさしくそのとおりで、その下にありますように、習熟度を俯瞰的に上げていく育成が必要だというのも、そのとおりだと思っています。
 その上で、人材の3機能の中で、価値創出スキルというのが一番、育成する難易度が高いなと自分自身は思っておりますが、そういった育成については、先ほど先生がおっしゃられたように、一騎当千の人材を任用して、その後はセルフイノベーションに任せているのか、もしくは、何か育成していくようなメカニズム、例えば田町の再開発にコミットをさせて、何がしかOJT的な機能を働かせるとかいうのもあると思いますが、そのような育成の観点のところを少しお聞きしたいと思いました。
 以上です。
【桑田委員】  ありがとうございます。育成の観点というほどではありませんが、まず、先ほどお話したベンチャーは本当に特殊でしたので、そういうスキルセットをもともと持っている方にいらしていただいているというやり方をしています。そのほかの、例えば研究支援の人であっても、どういうふうに価値をつくっていくのかとか、あるいは産学連携を具体的にやっている人も、どういう価値を企業とつくっていくのかということをいつも考えているし、戦略立案する人もそうです。全ての人が全体の動きを理解しながら、価値創造に向かっていくんだということを理解していくということはどうしてもやっていかなければならないと思います。
 時々、例えば「いやいや私は法務スペシャリストで結構でございます」という方もいらっしゃって、それはそれで、その専門性をぐっと育成していただければよいとは考えていますが、育成の観点では、我々の中で2つ研修プログラムがあります。1つはいわゆるワークショップ型で、いろんな議論をやりながら価値を見つけていく。お題を与えて価値を見つけていったり、価値を見つけるための議論を膨らませて集約する方法をとるワークショップのようなものを時々やっています。来てみませんかとお声かけすると、価値創造のワークをやりたいなと思っている方たちというのは来て、いろいろディスカッションしながら、こういうふうに、こういうメソッドでやっていけばいいのかなというのを拾って帰っていかれるということで、それが一つの研修になっているかなということです。
 そのほかに、外部でいろんな研修が今、潤沢にあるんです。なので、外部研修で、企業の人向けだと思いますが、いろいろな社会人向けの教育があるので、予算が使えるときに、皆さんぜひ、受けたい研修があれば受けてくださいという募集をかけて、手を挙げてもらって行ってもらうというようなことをしています。
 期初には、スキル標準の研修の公募をかけてやっていますが、後半で少しゆとりが出てきたときには、社会との接点とか価値づくりとか、そういうもののワークショップや研修会に参加するのを促しています。
 また、OJTとしては、田町開発のミッションに関わる人は、メンバーが入ったらURAは業務としてOJTになりますが、たまたまそのミッションに近い人が業務にアサインされるので、そこで学べる人というのは限られます。全体的には、今言ったような研修会のチャンスをどんどん増やしていくということをやっています。
 以上です。
【野口委員】  ありがとうございました。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 ほかに。高木先生、お願いします。
【高木委員】  御説明どうもありがとうございました。高木です。
 まず、先程委員からもお話が出ておりましたが、16ページの図は非常によろしいですね。マネジメント人材の場ということですが、大学の機能の俯瞰するマップという位置づけにもなるかと思います。
 さらに、アウトプットですが、研究力強化に加えて、財務基盤の強化を明示されている点がすばらしいと思います。これを執行部のお立場でおっしゃるのはよく分かりますが、現場にどのくらいマインドが浸透しているかが、非常に興味のあるところです。
 これに関連して、起業した場合の研究者へのインセンティブを何か考えておられるかという点をお聞きしたいのが一つと、それからもう一つ、産学連携との関係です。確か東京工業大学は医学部を持たない大学の中では、1,000万円以上の大型の共同研究がかなり多い大学です。従来からしっかりやっておられます。
 今日の話はスタートアップ支援ということですが、従来の産学連携の取組とスタートアップ起業の取組の関連性を何かお考えなのかどうか。あるいは、これは別だということでも結構ですが、もしその辺のお考えをお聞きできればと思います。よろしくお願いいたします。
【桑田委員】  ありがとうございました。ここに明確に財務基盤強化と書いてあるのは、2018年、現在の学長になってから、我々はこれの御旗の下に働いています。
 なので、執行部だけではなくて、産学連携を行うメンバーも、研究力強化を行うメンバーも含めてだと思いますが、URA、マネジメントを行う側としては、財務基盤が強化されないと大学は成長できないということが肌にしみて分かっております。そのために、産学連携で得た受託費とか共同研究費の成長率は高いと自負しております。
 それから、起業したときの、例えば教員とか学生へのインセンティブですが、特別、例えば教員の評価が高くなるとか、そういう評価への反映というのは行っておりません。
 ただし、起業したいというときに、利益相反になるので、場所のレンタルについて、全く他人行儀になりますというような考え方もあるわけですよね。ですが、本学では支援という名目で、起業してから5年以内であれば、大学の場を格安でお貸しするというような、そういうメリット、便益を受けていただくということがあります。また、これはちょっと分からないのですが、私たちがよく言われるのは、東工大発ベンチャー、これは東大のベンチャーはもっとだと思うんですけど、銀行からの信頼、信用の話として、大学発ベンチャーであるという称号を持っているか持っていないかというのは少し分岐点があると伺ったので、そういう意味で、称号を付与するということは、別にお金は付与しておりませんが、何らかの社会的信用度を付与しているというインセンティブなのではないかと思っております。実施できているのはこのぐらいで、これ以上のことはしていません。
 あとは、産学連携と、企業と連携しているんですかというお話でしたでしょうか。
【高木委員】  つまり、産学連携で大企業と連携する際に、大企業が、大学発ベンチャーを何らかの形で支援するような取組ということを意識されているかどうかという趣旨です。
【桑田委員】  はい。イグジットの話としても、一つはあります。
 6ページ目に、OI機構というのが右端にいますが、これもこの本部の隣にいて、我々の中に入ってきて一緒になって動いています。こちら側は、大企業と大学を、組織対組織でお付き合いして大型の拠点をつくりましょう、今おっしゃったみたいな2,000万以上の拠点をつくっていきましょうというワークをしていますし、日頃から次の研究をどうやってつくっていきましょうかというディスカッションもしましょうという組織になっているんです。
 その中に、こちらのベンチャーで出てきた技術とどうジョイントして、どのようなビジネスにしていきましょうかという議論も加えるという連携ができています。まさに大企業との共同研究拠点の中での議論に、こちらのベンチャーをイグジットとしての位置づけることも、場合によってはあると思います。
 もちろん、そんなことはしたくないという起業家もいるので100%ではございませんが、出口のところを考えたいというときに、あちらの企業さんとのなじみがいいので、一緒に議論してはいかがでしょうかというようなことはやっています。
 以上です。
【高木委員】  どうもありがとうございました。
【小泉主査】  ありがとうございました。
 稲垣先生、何かありますか。
【稲垣主査代理】  いや、大丈夫です。
【小泉主査】  大丈夫ですか。ありがとうございます。
 僕のほうから桑田先生と杉原先生にお聞きしたいのが、マネジメント人材という点で、評価をどう考えているかということです。今後の議論につなげたいので、マネジメント人材の評価をどう考えているか、もう一度お伺いできればと思っています。
 本当に多様な、例えば信州大学だとUAという全体を見る人もいれば、それぞれの部局等でも一つ一つのプロジェクトを支援される方もいて、扱っている金額も全然違うという中で、なかなか一つの軸というので評価することは難しいだろうと、お聞きしていて思いました。桑田先生のお話にしても、やはり様々な機能のところにURAが配置されていると考えると、なかなか、こうやったら評価できるよというのは難しいのかなと思ってお聞きしているのですが、その辺の、URAのみならず、マネジメントに関わる人材の評価についてどう考えているかというところをお聞きできればと思います。
 それから、信州大学ではボーナス80万円というある種の魅力的な表彰があると思いますが、東京工業大学、それから信州大学それぞれで、マネジメントを頑張った人に対して表彰し、しかもボーナスもあげるような仕組みというのが、どのくらい考えられているかというところ。評価とその辺の表彰というところをどう考えておられるかというところを、それぞれお聞きできればと思います。まず、東工大の桑田先生、いかがでしょうか。
【桑田委員】  ありがとうございます。
 業績評価について、今、私のほうでお話ししたとおり、特任教員、教員、マネジメント教員、URA等、いろんな職種がいて、一意になかなか決められないのですが、URAの業績評価に関しては、目標設定とそれに対する到達度で評価をしています。これはどこの企業でも普通にやっていることで、相互に納得しながら、今期はどうだったとかいう評価をするというのは、一番ナチュラルなやり方だし、腹落ちする、相互が納得できるやり方かなと思います。
 そういうのを、今度はマネジメントする人材というふうにくくると、特任教員だったり教員だったり、全然給料体系が違う人たちとどう横並びにするのかというのが少し難解な問題で、これが今、私どもの課題になっています。マネジメント人材ということで、何か新しいランクをつくるのかというのも、これから考えるとしておりますので、今日は答え切れなくて申し訳ございません。
【小泉主査】  ありがとうございます。でも、そこが課題だということがよく分かりました。
【桑田委員】  大変大きな課題です。
あと、表彰制度は、実はURAは有期雇用の人たちが多く、いわゆるボーナスがない状態だったので、それではやる気が湧かなくなってしまうだろうということで、そんな信州大学のように巨額ではありませんが、毎年、業績が高い人に対して、何人か選んで表彰しています。信州大学さんの半分ぐらいのお金しか提供できていませんが、それでも一回もらったらちょっとお小遣いという感じで、URAの方たちを表彰して、本当にありがとうございましたと、表彰式と共にやっているという形を取っております。
【小泉主査】  ありがとうございます。すばらしいですね。
 杉原先生、遡ってもう一度、UAをつくられていく中で、既存の、例えば1,000万円研究費が獲得できた――プレアワードに関している研究者で、URAであればその基準で行けると思いますが――UAとなるともう全体のマネジメントで、金額も全然違うという話を先ほど杉原先生はされていました。そのあたりどのように評価をフェアにしていくかとか、また80万円というボーナスもありましたが、表彰について何かお考えがあれば教えていただければと思います。
【杉原委員】  今、URAのほうでは、先ほど御説明したように2つの評価軸を持っています。1つは、URAスキル標準をベースにして、個々のURAが年度の計画と目標値を立てて、執行部との面談で達成度等をきちんと評価していくような評価軸です。これは個別のURAごとに目標値も違いますし、ミッションも違うので、それぞれに対応した形の評価方法です。
 もう1つは、それこそ1,000万円級の競争的資金を取れば何点とか、産学連携の契約書を1本チェックすれば何点とか、もう全て点数化するような仕組みもありまして、この2つの併用で、ある程度、皆さん、バランスが取れるようにしています。
 具体的に昇進、助教URAから准教授、教授と上がっていくところは、先ほどのURAスキル標準で達成度を見て、その達成度をきちんと執行部が点数化したものをある程度ベースにしています。ボーナス査定のほうは、全員ある程度同じ点数基準でならして点数評価できるような、それこそ、どんな業務が何点何点といった均一評価基準がある程度大きくウエイトを占めるような形でやっており、全体としては両方の組合せで評価しています。
 表彰制度は、本学は用意していないのですが、ボーナスの金額がまさに、個々のURAに対する評価結果のような形になっています。表には出しておりませんが、本人に対しては満額だとか、90%だとかいったところは伝わっているので、それはある程度インセンティブになっているのではないかと思います。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。非常に勉強になりました。大学の現場からのお話というところで、また大学の執行部というところで、杉原先生、桑田先生のお話をお聞きしました。どうもありがとうございました。
  では続きまして、文部科学省事務局より、科学技術分野の文部科学大臣表彰「研究支援賞」について、御紹介していただければと思います。よろしくお願いします。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。人材政策推進室の髙見です。
 参考資料2として御提供をしておりますが、こちらは令和6年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰、その表彰の一つの部門として研究支援賞というものがございますので、そちらの御紹介をさせていただきたいと思っております。
 本日、杉原先生、それから桑田先生から、各大学の取組について御紹介をいただきましたが、議論の中でも、やはりURAをはじめとした研究開発マネジメント人材のインセンティブをいかに高めるのかといったこと、それからどうエンカレッジしていくのか、ここは大変重要なポイントと思っております。最後に、小泉主査のほうから各大学のマネジメント人材の表彰という仕組みも確認をいただいたところですが、文部科学省としましても、こういった研究支援賞というものを設けまして、こちらは主に技術職員を表彰するような枠組みとなっております。こういうものもうまく、このワーキングでの議論にも反映をさせていただけたらありがたいなと思いまして、御紹介いたします。
 こちらですが、上の「研究支援賞とは」というところを御覧いただければと思いますが、科学技術の発展、それから研究開発の成果創出に向けて、高度で専門的な技術的貢献を通じて研究開発の推進に寄与する活動を行った方を表彰するというものでございます。募集をかなり幅広く、国公私立大学、研究機関、それから、企業にも周知はしているんですけれども、なかなか上がってこないところではあります。技術職員、技術支援をしていただいている方というのはいろんな部署やセクターにいらっしゃると思うので、そういう方々を幅広く挙げていただくというのがまず大事で、この認知度を高めていくというのが、一つ課題になっているという状況はございますが、幅広いところに、昨年の5月から7月まで募集をしておりまして、今この選考過程にあるという状況でございます。一番下にスケジュールを書いておりますが、令和6年の4月に受賞者の公表ということで、ここに向けての審査が進められているという段階です。
 少し戻って、想定される業績の例というところにございますが、技術職員等が研究者と協働し、研究設備等による測定・分析方法を開発・改良して、測定精度の向上等を達成し、新たな研究成果の創出に貢献しましたというようなことを、各事例に関して具体的に推薦書の中に記入をいただいて、それを基に審査員の方々に審査をしていただくというような形で進めているものになります。
 ちなみに、後ろに、今年度の研究支援賞を受けられた10組の方々に関する御紹介もしております。それぞれ、かなり成果が明確に、申請書の中に書き表されているものが選ばれており、こちらの技術職員に関する表彰も、うまく御活用をいただきたいと思います。
また、URAをはじめとした研究開発マネジメントに携わる方々の表彰というのがあるのかというと、これと並ぶ形のようにはなっていないのが実態でございます。そういったところも含めて、今後どのようなインセンティブ設計ができるのかというところは、国のこうした仕組みもうまく使いながら御検討いただけたらありがたいと思いまして、本日、まず現状として共有をいたしきました。
 また次回以降の議論ということになると思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
【小泉主査】  髙見室長、ありがとうございました。
 このワーキング・グループを始める際に、座長のまとめにも書きましたが、最後そのURAをはじめマネジメント人材の尊厳と誇りとをいかにちゃんと担保してあげるかというのは、大変重要なポイントだと思います。もちろん給料、先ほど出てきたような、各大学で行っている表彰やボーナスという話もありますけれども、それ以外に、しっかり認知して表彰してあげるという仕組みも、尊厳と誇りという意味では重要なのかなと思っているところです。縁の下の力持ちであるからこそ、しっかり認知することが必要なのかなと思って、お話をお聞きしたところでした。
 今の点に関しまして、何か御質問等、委員のほうからございましたらお願いします。
 今後議論できればと思っているところですので、よろしくお願いいたします。
 では、ありがとうございました。最後、何か付け加えることとか、何かここで御発言があればぜひお願いしたいですが、いかがでしょうか。
【稲垣主査代理】  戻って質問していいですか。
【小泉主査】  いいですよ。はい。
【稲垣主査代理】  杉原先生と桑田先生に1つずつ別の質問です。杉原先生、事務職員をどうのように位置づけているのかというのをお聞きしたいのが一つです。
 桑田先生には、VC、伴走支援している人を大学が雇用するのがよいのか、外に外注するのがよいのか。多分いろいろ方法があると思いますが、大学がすばらしいスペックの人を、なかなかそれにかなった処遇で手当てできない現状がある中で、大学で雇わなくてもできることなのか、その辺について何かあればお聞きしたいです。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【杉原委員】  杉原です。事務職員ですが、基本的にはUA・URAと一緒に活動しております。ただ、もともとの業務の所掌等もあるので、例えば事務職員は、学内の事務間の調整や会議への付議といったところを中心に行っており、UA・URAは、教員格を与えているので少し教員寄りの活動といったところでうまくすみ分けながら、教員と事務職員の、まさに融合体みたいな形で活動しているところです。
【小泉主査】  桑田先生、いかがでしょうか。
【桑田委員】  ありがとうございます。御指摘の点はアウトソーシングの考え方だと思いますが、実は単純なアウトソーシングをすると、大学の施設を使ったり、大学の知財を使ったりしていくという戦略と、うまく線引きができなくなってきます。
むしろ線引きをしたくないわけです。大学の知財を使って、大学自身にも入金されるような仕組みを考えているわけなので、すぱっときれいにアウトソーシングしてしまうと、外のVCがベンチャーになりたい大学教員をハイヤーしているだけになって、何も大学が関わることはなくなってしまいます。
 それでは実は操作性が全くなくなってしまうので、そういう意味で、何らかのURAか特任教授のような方が入って、我々も戦略を持って、我々の拠点を使う、我々が出している価値が価値対価で返ってくるということもやっていくために直接雇用しています。
 あんまりそれの投資効果が悪ければ、稲垣先生がおっしゃったとおり、場合によってはアウトソーシングという考え方はあるかもしませんが、実はずっと長い間、外のベンチャー支援をしてくださる企業との緩やかな連携をしていて、一銭も大学に入ってこないというやり方をやっていた上で、今回は我々の場所を十分に使ってもらうので、もっと我々、商売していきましょうという考え方を打ち出したわけです。なので、やっぱり人を雇用していくことが必要になるかなと思います。
 だから、次は、我々のところで働いてくれる人はもっと実入りがいいんですとか、お金がもうかるんですというようなことにならないと、一緒に働くインセンティブがないので、仲間になってくれた人が離れて言ってしまう恐れがあります。大学もより自立化を進めて、我々のところで働いてくれる方たちも物すごくお給料がいいですよというようになりたいというのが我々の夢です。
 そういう好循環にしないと、おそらく田町の領域というのはうまく活性化しないと思っています。
【稲垣主査代理】  ありがとうございます。
【小泉主査】  では、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 では最後に、事務局より事務連絡をお願いしたいと思います。
【川村人材政策推進室長補佐】  事務局でございます。次回のワーキングの開催日時等につきましては、調整の上、追って御連絡いたします。
 また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通して公表させていただきます。
 以上でございます。
【小泉主査】  それでは、本日はこれにて閉会といたします。先生方、どうもありがとうございました。これで終わりにします。ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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