人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第1回)議事録

1.日時

令和5年12月22日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省16F2会議室及び Web 会議(ZOOM)

3.議題

  1. 議事運営等について(一部非公開)
  2. 研究開発マネジメント業務及び人材の現況に関するWGの共通認識
  3. 研究開発マネジメント業務・人材に係るヒアリング
  4. その他

4.出席者

委員

 小泉委員、稲垣委員、桑田委員、重田委員、杉原委員、高木委員、野口委員、正城委員

 

文部科学省

 生田人材政策課長、髙見人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会
研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第1回)
 

令和5年12月22日


 議題1については非公開。

【小泉主査】  では、これより会議を公開といたします。改めまして、私は、科学技術・学術審議会人材委員会の狩野主査から、研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループにおける主査の指名を受けました小泉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私自身、URAをこの10年ほどやっておりますけれども、様々な形でこの10年でも大学等の研究周りでのいろいろな業務が日に日に大きくなっている、そして、そうした研究開発マネジメントに関わる業務を続けるということが大学の研究力の強化にもかなり重要になってきていると感じています。そういった中で、皆様の御知見をいただきながら、どういうふうに今後していけばいいのかということを一緒にディスカッションしていくことができればと思っておりますので、ぜひ委員の先生方には忌憚なき御意見をいただければと思っているところです。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、引き続きまして、ただいま私より指名いたしました稲垣主査代理からも、一言御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【稲垣主査代理】  皆さん、おはようございます。金沢大学の稲垣と申します。私は、今動いておりますURAの質保証にどういう訳か立ち上げ期から関与させていただいておりまして10年ぐらい関わっているのですが、その過程においても、大学における今までの教員と事務職だけではやはりもう到底物事が回らない状況にあり、かつその質保証の中においてもどんどん新しい業務が入ってきております。そういうことを含めて、どういう形で研究者全体を支援し日本の研究力を高めていくかというのは本当に大事なことだと思っておりますので、こういう研究開発マネジメント人材の今後の道筋をどのような形でこのワーキングで出すかというのは結構大きいことかなと思っております。僅かながらでもお力になれればと思いますので、よろしくお願いいたします。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 続きまして、事務局を代表しまして、生田課長より御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【生田人材政策課長】  文部科学省の生田でございます。本当に委員の皆様方、お忙しいところ、本ワーキング・グループの検討に御尽力いただきまして、ありがとうございます。
 昨今、文科省では、若手研究者とか、あと最近では博士人材とか、そういったトピックスが表に出ておりますが、今日話題となります、URAを中心としながらも、URAに限らず、技術支援者、技術職員と言われる方もいらっしゃって、多分いろいろな呼び方があると思いますが、何はともあれ、イノベーション創出には、研究者だけじゃなくて両輪で、それを研究開発マネジメント人材と呼ぶのがいいのかどうかそこら辺も含めてぜひ皆様方に大きな議論をしていただいて、我々としてもそれを施策にしっかりと反映をして行きたいと思います。今まではやっぱりURAはこうしましょうとか、研究支援者はこうしましょうみたいな、それぞれの脈絡で議論はしてまいりましたが、ここは人材委員会の下のワーキング・グループですので、あまりそこの分け隔てはなく、大きな人材プールとして御議論いただければと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

【小泉主査】  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。まさにおっしゃっていただいたように、これまで文科省の中でもURAの話はURAの話、技術人材は技術人材の話、研究開発マネジメント、プログラムマネジメントというところはまた別で、別々の課が別のところで話しているところがあったと思いますけれども、今回こういうところで一緒に考えることができるというのはよい機会かなと思っています。ありがとうございます。
 それでは、よろしいでしょうか。議題1はここまでといたしまして、議題2としまして、まずは本ワーキング・グループで議論する研究開発マネジメント業務・人材に関わる全体像を委員間で共有するということをしたいと思います。
 先日、実はこの第1回の会議の前に、委員の顔合わせを兼ねてミーティングを行いました。その際の議論を基に少し研究開発マネジメント業務及び人材の現況を、皆さんの考えを基として少しまとめてみましたのが資料2になります。机上配付されているものもありますし、画面で共有されているものもあると思いますが、それを見ながら私のほうから少しお話をいたしまして、どういうふうにまとめたかというところのお話をし、その後、こちらの内容に関しまして各委員から3分程度ずつ、何でも思っていることをまずは御発言いただければと思っております。
 まずは、資料2を御覧いただければと思います。まず土台としては、ここに4つの項目にまとめておりますけれども、1つ目は、やはりこれは「大学等における」という形容詞がついた状態での研究開発マネジメント強化であろうと思っています。なので、日本の大学等が国際的に競争力のあるアカデミアの基盤を確立して、質が高く多様な研究を推進し、イノベーションの源泉となると。そのために、大学等における研究開発マネジメント力の強化が重要な課題であるとさせていただいているところです。
 細かいところは全部読み上げることはしませんが、2つ目の項目のところで、では、個々の大学におけるとなるとどうなるか。研究開発マネジメントの目的は何かというと、これはこの前の皆さんの顔合わせのときにも議論になりましたけれども、一律で、同じように同じような目的を全ての大学等に当てはめるというのは無理だろう、するべきでないと。大学によっては、力を入れる場所も、もちろん大学の目標、そして大学の規模等も、目的も違いますし、地域性、国際性、様々な大学の特徴があるわけで、その特徴に応じて大学における研究開発マネジメントの在り方も多様であろうというところを申し上げているところです。なので、一つの正解があるわけではないというところでどうするかというところが一つ重要なポイント、多様性を認める中で、研究開発マネジメントをそれぞれの大学が柔軟に考えていく必要があるのではないかと言っているところです。
 ただその一方、3つ目の項目ですけれども、日本全体で捉えていくと、研究開発マネジメントと言われる業務は、拡大していると思っています。先ほど生田課長からもURAのみじゃないという話をしていただきましたけれども、まさにURAだけではなくて、技術人材だったり、ファンドレイザーだったり、本当に様々な人材が今、大学の研究開発マネジメントに関わり、そして、10年前にURAを導入するときにつくられたスキル標準が一つの原点にはなるとは思いますけれども、そこに書かれているものだけではない様々な業務が研究開発マネジメント業務となってきている。そういった現況もちゃんと認識しなければいけないと思いますし、また、一つ一つの専門性を高めるというだけではなくて、全体を俯瞰するような能力を持ったURAも必要であろうと考えているところです。
 なので、4つ目の項目ですけれども、そうした研究開発マネジメントを担う人材も多様であろうと。様々な職種、様々な人材、様々な専門性を持った人たちが大学等の研究開発マネジメントに関わるというところ、そして、その人たちが、ここは顔合わせの議論のときに皆さんが口を揃えて言っていらっしゃったのが、その人たちがやはり尊厳と誇りを持ちながら、この業務をやって大学のために自分は働いているんだと、そういったポジティブな気持ちを持ちながら行って、尊厳と誇りというのがとても大切だろうと。そのためには、大学等は適切に彼らを評価し処遇してあげるということが、具体的には必要になるのではないかという議論をしたところです。
 これを我々は原点としながら、もちろん、「いや、小泉、ここはちょっと違うぞ」とか、あるいは御意見があればいただければとも思っておりますが、まずはこれを基準としながら、議論を進めていきたいと思います。
 では、各委員3分ずつということで、これに関しての議論でなくてもいいですし、それぞれの大学等における現況でもいいですし、思いの丈をお話しいただければと思います。まずは、重田委員からお願いしてよろしいでしょうか。
【重田委員】  この4つの項目を見まして、抜けているというか、前回発言できなかったなと思っていましたのが、多分こういった日本の政策で考えていると、ベースになっている人材像が日本人ばかりだと思われるのですが、例えば台湾国立大学に行ったときには、かなりのところに外国人人材が、事務職員であれ、URAのような立場であれ、プログラムマネジャーのような立場であれ、結構いたということがあります。
 やはり台湾というのは小さな地域、国ですので、いろいろなところに国際化を進めるという施策を進めているんですけれども、今回こういったところでいろいろなことをしていくに当たって、どういうタイミングで外国人人材に関する議論をするのか、また、例えば何かプログラムをつくるとすれば、その英語化あるいは共通化、あるいはそのどういう人材像が求められているのか、あるいはどういうタイミングで雇用するのかとか、そういったところまで話ができるといいかなと思いました。
 以上になります。
【小泉主査】  重田先生、ありがとうございます。その点、かなり重要なポイントだと認識しました。ありがとうございます。
 続いて、杉原委員、いかがでしょうか。
【杉原委員】  先日のお話のときや、今日もございましたけれども、技術職員であったり、あるいはファンドレイザーだったり、非常に多様な人材が今、大学の研究マネジメントに関わっているということに私も非常に感銘を受けております。実際、企業から依頼される大型の共同研究等につきましては、技術職員が死の谷、魔の川と呼ばれるようなブレークスルーを越えるための大きな役割を果たしていると考えております。
 技術職員の人材の中にもURA的なスキルを持った人材が、一方でURAの中にもそういった技術の、具体的に機器が分かる人材が当然必要になってくると思います。あるいは、そういった人材の育成が必要です。さらに今、リカレント・リスキル教育がかなり大きなポイントとして、企業との連携の大きな要素になっておりますが、そういったリカレント・リスキル教育まで含めたコーディネーション、マネジメントができるような能力・人材も必要になってきているかと考えています。
 ですので、幅広にこれらの人材をここで協議して、ロールモデルを幾つか提示することで、これからこういう研究人材を拡大していきたい大学等に対する示唆になったり、あるいはもう既に実行されている大学等にも新たな示唆等がいただければと考えております。
 以上です。
【小泉主査】  杉原先生、ありがとうございます。まさに、例えば技術人材ながらもURAのスキルを持っているとか、そういう業務の越境性を意識するような人材育成も含めてということですよね。ありがとうございます。
 続いて、高木委員、いかがでしょうか。
【高木委員】  ありがとうございます。資料2の共通認識については、この通りだと思います。さらに次のステップとして少し具体的な検討が必要と思います。4つの○の項目のうち、特に2番目の「実施そのものが目的ではなく、それを通じて何を実現したいのか、その目的を明確にする必要がある。」の記載通りで、その目的について、リストアップ、論点整理が必要だと思います。さらに1番目の○の項目の「目標と意義」における目標についてもやはり具体的な検討が必要と思います。
 この「目的」、ある意味でこれは課題設定、課題定義になると思いますが、4点ほど候補になり得る課題を述べたいと思います。また、課題設定については、従来のURAのスキル標準等は、言わばボトムアップだと思います。それに対して、第6期の科学技術・イノベーション基本計画などで謳われている大学経営、大学改革については、ボトムアップに加えてトップダウンの議論も必要ではないか、あるいは視野に入れる必要があると思います。
 4点ございますが、まず1番目は、お話が出ていましたが、研究力の向上です。この場合、KPIも議論したほうがいいと思います。論文数なのか、サイテーションなのかなど、いろいろな意見があると思いますので、何かを実行に移すためにはKPIを絞り込んだほうがいいと思います。
 それから、2番目は資金獲得です。これも概ね2つあり、一つは公的資金・競争的資金の獲得、もう一つは民間資金の獲得です。これは部局でいうと医学、工学が中心になるのかもしれませんが、大学や研究機関の財務基盤強化、財源多様化という点では非常に大事だと思います。
 それから、3番目は研究者の負担を減らすということ。これは今申し上げた1番目、2番目とも関係いたしますが、研究者の実質的な研究時間、研究に充てられる時間が、論文数や論文の質、サイテーションと、国別の比較を見ると相関があるという研究調査もあるようですので、大事だと思います。
 それから、4番目は少し視点が異なりますが、マネジメント能力が必要な人材は誰でしょうかという視点です。例えば研究者自身や執行部は除くのか、除かないのか。除くのであればそれはそれでよくて、今後の議論のスコープが明確になりますので、確認をしておいたほうがよいと思います。
 参考資料1のスライドの7ページにURAのスキル標準22項目がありますが、実はこれは以前、平成30年10月の産業連携・地域支援部会で御紹介いただきました。そのときは、全てを一人でやるのは当然無理ですし、継続的な教育も必要ではないかと、私からは申し上げました。報告された委員からの補足では、例えばURAなどの人材が活躍するときに、環境や組織、制度も大事であり、また、22項目に分けたけれども、実際には重なっている部分も実はあるというお話もあったと思います。ほかの委員からは、キャリアアップについて、自分の実績をどのようにアピールできるのかと言う点でのご意見がありました。研究者の場合は論文を発表し、プロモーションしていきキャリアアップできます。先ほど尊厳と誇りというお話がありましたが、URAの場合、自分の実績を示すために何か成果を発表できるのか、さらにそれを評価する仕組みがあるのか、このような議論も必要であろうという意見が出ておりました。
 最後になりますが、大学の場合と、研究開発法人、いわゆる研究所とはガバナンスがかなり違います。「大学等」と包めることも必要ですが、どういう組織か、大学なのか、研究所なのか、さらには、SIPのマネージャーのようにプロジェクトの場合なのかで違ってきますので、場合によっては分けて議論することも必要だろうと思います。
以上でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。かなり具体的にポイントとなる部分をお示しいただいて、どうもありがとうございます。特に4つのポイントのうちの最後のところ、マネジメント人材といった場合にどこまで含めるのかというところは、この後皆さんでもディスカッションできればと思いました。
 基本的には、最後のところに関しましては、「大学等」と書いてあるのは、基本は大学であろうと思っております。もちろん大学等で活躍できるような研究開発マネジメント人材は、個々のプロジェクトも担えるかもしれない。でも、研究開発法人とか、我々のような大学共同利用機関法人となるとまたちょっと別だというのはおっしゃるとおりで、基本はまず大学における研究開発マネジメントの在り方というところだろうと。執行部を含めるかどうかとかは、また後ほど御意見いただければと思います。ありがとうございます。
 続いて、正城委員、よろしくお願いいたします。
【正城委員】  大阪大学の正城です。私はもともと教員ではありましたけれども、法人化前のコーディネーターといっていた時代から、法人化直後の知財制度、共同研究講座という大型の産学連携、ベンチャーキャピタルの設立に関わらせていただいておりまして、現在は、ここにも記載されていますけれども、ファンドレイザーをまとめる立場にあります。
 この主査にまとめていただいたところにもあるようなスキル標準が書かれているものをこの会議の前にもう一度読み直してみたのですが、研究活動の活発化に資する実効的なURA制度の構築を目的とすると書かれておりました。それ自体はここのところでも同じかと思いますが、私が感じているのは、恐らくその上位概念というか、どういうことを目的にすれば研究活動が活性化されるのかというようなところを意識しながら議論をさせていただければなと思っております。
 私自身は、大学等が社会といかにつながっていくか、関わっていくかというところかと思っておりまして、関わっていく限りにおいては、関わる相手、それは企業だったり、市民であったり、最近ですとNPOとかそういったところも含まれてきているかと思いますが、相互にメリットがあるといいますか、相乗効果があるような形でないといけないと思います。
 国等の資金獲得のみとしてしまうと何かゼロサムゲームをしているような感じがしますので、そうではなく、より大きな点を意識しながら、そのためには、「では、大学等がどうしていくべきなのか」という観点で皆様と一緒に議論できればと考えております。よろしくお願いします。
【小泉主査】  ありがとうございます。先ほど高木委員もおっしゃっていたように、正城委員も今おっしゃっていただいたように、やっぱり目的・目標をしっかりする、そこからスタートしていかないと、逆に目の前にいる人材を「この人どうする?」という議論から入ってしまうと、本当に瑣末な議論になってしまうし、大義を見失ってしまうと思います。正城委員からの御指摘は、大学の役割の一つとして、やはり社会との接続というところがあって、その中で研究開発マネジメントをどう本当にマネジメントしていくのかという議論があるというお話だったと思います。ありがとうございます。
 では、今日オンラインで参加の委員からも御意見いただければと思います。順番に行かせていただきます。桑田委員、よろしくお願いします。
【桑田委員】  よろしくお願いいたします。すみません、今日は遠隔で恐縮です。意見を述べさせていただきます。
 まずは、この目的、共通認識については、本当にずばっとまとめていただきまして、小泉先生、ありがとうございました。この内容については特に異存はないし、このとおりだなというふうに全くアグリーの気持ちでおります。
 先述の先生たちがおっしゃっていたとおり、前提条件として、マネジメント力を強化するということが大学等の研究力に資するということが正しい、所与のものであるということで我々は議論しておりますが、実はこのロジックが少し弱いので、我々の中では、オーディエンスたちが揺れ動いてしまうというようなことがあるのではないかと思っております。
 これは日頃感じていることなのですが、例えばマネジメント人材がいるから、経済も牽引できるのだとか、研究のパフォーマンスが上がるのだとか、国際の競争力が上がるのだとか、イノベーション自身が促進できるのだというようなことを私たちは主張しますが、果たしてそれは本当ですかという問いに、すかっと答え切れているかというところはいつも自問自答しているところです。その辺りも含めた議論をして少し答えが導ければ、さらに我々のロジックは強固なものになると思いますし、研究マネジメント人材をとにかくうまく使っていく、うまく推し出していくためには必要な要件なのではないかと思っております。
 それからもう一つこれを読んでいて感じたのは、スキルや、マネジメント人材のアクティビティー自身は、個々の大学のいろいろな目的によって違ってくるということですが、いみじくもここに、俯瞰する視点を持った人材というようなことが書かれています。結局、全体を見渡すような力を持ちながら、個々の専門性、個々の目的を持って進んでいくということが大切になるので、この辺りの連携をどうやってうまく育成していくのか、スキル標準なども立ち上がってはおりますけれども、どうやったらこういう人材、すばらしい人材が育成できるのかという辺りも議論にのせていただけると良いのではと思いました。
 最後に、小泉先生、少しだけ、私の勉強のために教えてください。1番目の項目の最後の文章のところに、「そして、研究開発マネジメントのエコシステムの構築が必要である」とありますが、このエコシステムとはどういうイメージをされているのか少し教えていただければ幸いです。お願いいたします。
【小泉主査】  桑田先生、ありがとうございます。まずそういった意味では、ここにお集まりの皆様は、研究開発マネジメントの強化が、大学にとって、研究力強化にとっていいものだと思って話をしているけれども、必ずしもそう思っていない大学の人たちもいるかもしれない、余計なことしやがってと思っている人がいるかもしれないという中で、ちゃんとしたロジックモデルを立てるならロジックモデルを立てる、エビデンスを積み上げていく、先ほども話が出ているような、目標を設定して、KPIを設定してということをちゃんとしていかなければいけないと思いました。ありがとうございます。あと、俯瞰力の重要性というのもお話しいただいたところだと思います。
 そして、最後のところ、研究開発マネジメントのエコシステム。エコシステムという言葉がいいのかはまた議論もあると思いますが、やはり人が育ってきて、特に人材の流動性も含めたエコシステムだと思っています。大学の中だけで人を育てて、大学の中だけでキャリアアップしていくというだけではなくて、大学から大学にそういった人材が移っていく、または研究機関と大学の間で移っていく、企業との間で、様々なセクターとの間でぐるぐる人材が回りながら育てていく、雇用も確保されていく。研究開発マネジメントの、特に人材に関してはそういったエコシステムが必要なのかなというイメージをしているところです。すみません、なかなかこの辺ぼやっと書いているところなので。
【桑田委員】  いえいえ、すみません、ちょっと理解のために。お時間いただきまして、ありがとうございます。
【小泉主査】  いえいえ、ありがとうございます。その辺も具体的なところはぜひ御意見いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【桑田委員】  よろしくお願いします。
【小泉主査】  続いて、野口委員、よろしくお願いいたします。
【野口委員】  私は現在、副学長をしておりますが、兼務で研究や産学官連携現場のマネージャーもしております。一方で昨日も企業訪問してきましたが、大型共同研究を提案するプレーヤーもしております。大体月に5社前後ぐらいは訪問しています。そういった意味からも、この共通認識については同意します。やはり昨今の地域中核・特色ある研究大学や国際卓越研究大学、企業との産学連携、博士のキャリアパス、スタートアップもあり、多様な産学連携や地域連携がどんどん展開をされてきているのを目の当たりにして、本当に激しく、そしてまた複合的な展開がなされていると実感しています。
 そのような観点からいいますと、私からは3点指摘したいと思います。立命館大学の研究現場の支援担当者は資金管理業務なども含めて250名ぐらいおりますが、URA等の人材の確保、そして育成に腐心しています。育成についてはプレアワードなのか、ポストアワードなのかというのもあります。その後、シャドーイングと現場体験で研鑽し、実践経験を積んでもらうというフローです。実践経験は、公募事業のメーキング、共同研究提案、研究プロジェクトの推進、起業支援、知財のライセンス、博士キャリアパス支援等の現場で活躍してもらっています。その後重要なのが成果検証で、定量、定性、それからコミュニケーションを密にした成果検証フィードバックです。その上で、適材適所を見極め、さらに活躍できるフィールドを提供していく。こういうスパイラルが非常に重要であるというのは経験に基づいて思っております。
 それから、全体を俯瞰し、成果創出するという観点からは、俗にT型人材とかπ型人材とか表現しますが、下に足が1本、2本、これは強い分野であり、上の横の棒がやっぱり広い見識であり、俯瞰する能力であると思っていますので、そういったT型、π型人材の育成というのはスケール感ある成果創出するにあたって、とても重要だと思っております。
 最後に、業務に対する尊厳と誇りの観点ですけれども、私も2004年に、当時はリエゾンオフィスという所属の名前でしたので、リエゾンオフィサー十訓というのを作成し、今も掲示しております。指針とか理念というのをきちっと「考え方」の拠り所として定着をさせることで、組織に対するモチベーションやロイヤリティーも高まると思います。尊厳と誇りというのは、私は活躍を促進させていく視点からも処遇とともに非常に重要だと思っていますので、そういう拠り所や理念論についてもお話しできればと思っています。よろしくお願いいたします。
【小泉主査】  野口先生、ありがとうございます。まさに今お話いただいた幾つものポイントはありますけれども、やはり人を雇って終わりではないので、その中で成果を見ながら、また適切なチームをつくり上げていく、複合的な課題に取り組んでいく。そのためにも、PDCAをきれいに回すというのはこの分野ではなかなか難しいとは思いますけれども、やはり結果を見ながらまた検証していくという作業の重要性を思ったところです。ありがとうございます。
 では最後、稲垣先生、いかがでしょうか。
【稲垣主査代理】 やはり先ほど高木先生もおっしゃったように、これ今、ボトムアップベースで議論されていると思いますが、何回もボトムアップでやっても結局、周りがどう思うかということが重要で、特に大学の経営層が必要だと思ってくれないと、いくらボトムアップで物事を進めてもうまくいかないというのが実感としてもありますし、多分過去もそうだったのだろうと思います。ですので、こういう議論を進めていく上で、やはり経営層、いわゆる本当の大学の経営層にどういうふうにアピールする、切り込んでいくのか、そこも含めて考えていくことが重要だと思いました。
 あと、本当に必要なのかという桑田先生の問いのことですが、逆に、今、研究開発マネジメント的業務に携わっている人が一斉にいなくなったら大学って回りますかという観点で調査をすると面白いのかなと思って聞いておりました。
 ですので、ボトムアップだけじゃなくてトップダウンと。あとは、尊厳と誇りというのは、やはり身分が安定してそれなりに評価されるという環境をつくることが大事ですので、政策に反映していく過程では、単にこういう人材を育成するだけではなくて、その後どうするのかという道筋も含めて検討していくことが重要なのかなと感じております。
 以上です。
【小泉主査】  稲垣先生、ありがとうございます。最後のところ、特に道筋というのはとても重要なポイントなのかなと思ったところでした。
 あと10分ぐらいはこの件に関してディスカッションできると思いますので、御自由に発言していただいてよいのですが、いかがでしょうか。
 また少し課題としてあるなと思ったのは対象ですね。あくまでも基本的には、これは僕の案ですけれども、今、稲垣先生もおっしゃっていただいたように、ボトムアップで、この人いるからどうしよう、今のURA制度をどうしていこうとか、今の技術員をどうしていこうとボトムアップで議論していくとどうしてもごちゃごちゃになってしまうと思います。まずは大学にしましょうか、大学として研究力強化、そして様々な点を高木委員からも御指摘いただきましたけれども、社会との接続ということも含めて、大学として研究開発マネジメント業務はこうあるべきだという大きなところから入っていって、そこに必要な業務、それを担う人材はどうあるべきかというトップダウン的な、上からというか、大きな目標から入っていく議論をしたいなと思ったところです。それはそれでよろしいですか。ありがとうございます。
 その上でですが、先ほどどなたかから指摘もありました、執行部の人材をどう育てるのかというところ。研究開発マネジメントのリーダーシップは執行部が取っているとすると、執行部の人をどう育てるかという議論も必要じゃないかという御意見、そこも入れるか入れないかのという議論もあったと思いますが、個人的には、執行部はやはり目標・目的を立てるための人たちであって、むしろ現場、それを実際にどう具体に現場に落とし込んでいくかというところの業務・人材の話なのかなとは思っています。なので、執行部というのはまたちょっと違うスキルなのかなと思わないでもないですが、その点それぞれ、URA、産学連携から執行部に今入られている桑田先生、それから、事務局のほうから執行部に入られている野口先生の御意見をいただければと思います。桑田先生、まずいかがでしょうか。
【桑田委員】  ありがとうございます。すみません、私、申し遅れましたが、東工大で理事・副学長をしております。今ダイバーシティー推進担当しておりますが、ちょっと前までは副学長で研究企画担当をしておりました。URAは主に研究の面倒を見るという関係で、研究企画というミッションで動いていました。まず執行部として大学運営全般を見る中には、もちろん研究はとても大切な柱の一つですが、教育や財務といった様々な領域があり、それを俯瞰しながら大学運営、大学経営をしていくことになりますので、また少し視点が変わるかなと思います。
 私自身は、ここではあくまで研究マネジメントという視点で議論したほうがぶれないかなと思っているので、研究をどのように発展させるのか、大学の研究力をどうやって上げていくのか、大学でというのであれば、大学からイノベーションはどのように起こるのかというところに力点を置いて議論していくのがまずはよいのではと思っております。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。執行部となると大学運営も入ってくるので、今回のこの議論は、大学運営ではないだろうというところですね。そうなると、執行部については、ここで議論するのとは違うかなということですね。
【桑田委員】  そうですね。一つの視点としては入らなければいけないと思いますが、執行部の方を入れてしまうと話がぶれてしまうので、まずは研究でというポイントで議論したほうがいいかなと思っております。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 野口先生、いかがでしょうか、その辺。
【野口委員】  ありがとうございます。私は2001年から研究部門に配属になりました。ですから、この部門で22年以上の経験値です。それから現在、産学官連携戦略本部の副本部長と研究部の事務部長、今年の4月から大学院キャリアパス推進室室長の3つを兼務しております。特に研究部事務部長は、2009年から14年以上研究部門を牽引する責任者をしております。
 なぜかなと思い返しますと、今回のメンバーでは私立大学は私だけですが、一つは少子化のあおりを一番受けるのは、どんな大学にもあると思いますけれども、学費に大きく依存している私立大学が大きく影響を受けると思います。そういった意味で考えますと、学費以外の収入政策がとても大事で、かつ私どもの大学で言いましたら、学費は学生に還元し、研究費は研究者が自ら取ってくるというような考え方です。すなわち、研究高度化こそ財政創造に繋がるとう考え方です。そのためには、研究政策を牽引する役員が全体を俯瞰しながらも、研究と財政、研究と教育エフォート、研究と博士キャリア形成など大学全体課題と繋がる政策的視点が有効に働くと考えています。私立大学が構造的不況業種という中出、成長曲線に乗るための非常に大事なポイントであると思います。私はこれまで、研究支援現場から至り、今の立場にありますが、理事長、学長という両トップが、私立大学における研究の重要性を十分認識され、切れ目ない研究政策展開をしていくためには、コア人材を長期に据え置くという考えに至ったのではないかと考えています。結果として、本学独自の5年スパンの研究高度化中期計画策定に繋がったのではないかと思います。
 また、本学はR2030計画という中で大きな2つの柱を描いております。一つは2030年までに次世代研究大学を目指そうということ、もう一つはイノベーションを創発する人材を生み出す大学になろうという、2つの柱です。2つの柱とも研究政策と深く関わっています。推進は全学構成員でして行きますが、コアとなる人材こそが、研究を推進する人材であり、場合によってはURAであるということです。大学計画の真ん中に研究に関連する政策を据えることで、求心力が働き、社会課題と向き合い、社会環境と呼応しながら展開していくことが、うまく本学では機能しています。大学運営と研究政策の一体化を考えていくのが、私の今の立場の仕事です。加えて言いますと、現場と縁遠い部分もある理事長、学長という両トップがより的確な政策判断ができるように、現場の声を上げていくのも私の仕事であると解釈しています。つまり、研究現場や大学の意思決定をハイブリッドで担当する私の立場から主張していくのも、大学政策にとって重要であるということを、今の立場を通して痛感しているところです。
【小泉主査】  ありがとうございます。大学というと確かに教育から全てになってしまいますが、野口先生がやられてきたように、研究にいかに軸を置いて、そこを大学の施策に逆に結びつけていくかというところの重要性というところですね。なので、やはり議論としては、大学全般となるとなかなか広くなってしまうので、今、野口先生が言われたように、大学における研究開発というところに絞った議論をするのがいいのかなと思ったところです。
 執行部的には、重田先生、何か御意見ありますか。この件じゃなくてもいいですが。
【重田委員】  前回、顔合わせのときには、私は自分が執行部になった瞬間にOJTをさせられており、大学の規模の違いがあったとしても、いろいろな能力が求められるということ自体がちょっとストレスにもなったので、そういう層を育成するようなプログラムがあるといいなと思っていました。ただ、今回の件はやはり研究開発イノベーション創出という、かなりある意味、大学力を強化するところに評価を置いていて、そこで働く人材像あるいはそういったものをどう育成するかというところなので、やはりトップ層に関しては個々の大学にも依存しますし、規模にも依存するので、そこまで手をつけるとなるとかなり広い人材像になってしまいます。やっているともう5年10年かかる話だと思いますので、この話は一旦置いておいたほうがいいかなと思っています。
【小泉主査】  ありがとうございます。たしか高木委員からの提案でしたっけ。いかがでしょうか。
【高木委員】  ありがとうございます。議論のスコープの確認の意味で発言させていただきました。大学の副学長、理事などの執行部の方と対話する機会が多いのですが、今お話がありましたように、執行部を担う人材の育成に苦労されているというお話をお聞きしておりましたので、可能性として発言いたしました。
 もちろん執行部の中には研究開発担当の理事、副学長がいらっしゃいますので、そのような方は、やはり関係すると思います。ただし、今回マネジメント人材にフォーカスするとして、そのマネジメント人材が執行部に対してきちんとアピールできるような能力も含めるということであれば、これは組織としてうまく回るのではないかと思います。
【小泉主査】  大学の中でどう位置づけていくかということまでも、マネジメント人材の仕事であるということですよね。
【高木委員】  そうですね。
【小泉主査】  ありがとうございます。では、執行部の人材をどう育てるかという課題は人材政策課のほうに一旦お渡しして、この中での議論ではメインにはしませんけれども、やっぱりそこは、結局、執行部が理解できていないと大学運営も成り立たない、研究開発を成り立たなくなると思うので、そこはまたちょっと別の議論として提案していきたいと思います。ありがとうございます。
 もし杉原委員や正城委員からも御発言あれば、いかがでしょうか。杉原先生、何かありますか。
【杉原委員】  研究力強化というのは、実際には研究者だけでなくて、例えば研究環境、場所であったり機器であったり、あるいは当然ながら大学院の修士・博士学生等も含めての研究力だと考えています。施設であれば、大学の施設部、あるいは大学院であれば学務系の部署にも物を言えて、きちんと交渉して、大学全体として研究開発がいい方向に進むように交渉ができる人材が必要だと思っています。先ほどの執行部のマネジメント能力をという話ではなくて、執行部に対してきちんとそういったことを提案できて、きちんと話をまとめていい方向に持っていけるような能力がURAに必要ではないかというのが強く感じたところです。
【小泉主査】  ありがとうございます。執行部に対して大学の中での位置づけをちゃんと言える人材が必要で、博士人材も研究環境も含めて議論をしていただかないと、ここから先は違うのよというわけじゃないということですね。グッドニュースとしては、人材政策課は博士人材もやられているので、全てここで議論できるというありがたい状況ではあります。
 正城先生、いかがでしょうか。
【正城委員】  執行部の話とは違いますが、議論の検討の範囲という関係でいくと、研究分野による、支援人材あるいはイノベーション人材の違いというのもかなり顕著かなと思っています。人文社会系の場合、理工情報系の場合、それから、医歯薬系ですかね。特に医歯薬系の場合には、レギュレーション等知っておかなければいけない知識も含めて、対応しなければいけない範囲もかなり専門性が高い分野だと思います。一般的に全分野をもちろん対象にはすると思いますが、分野によってどこまで掘り下げるのか、あるいは逆にそこは立ち入らずに大きくほぼ多くの分野で使えるような範囲を集中的に議論するのかなというのは、今日ではなくていいと思いますが、どこかで共通認識を持てればなと思っております。
【小泉主査】  ありがとうございます。分野の違いというところは抜け落ちていましたね。分野にもちゃんと目配せしながら、自然科学だけとか、または医学系だけとかいうわけではなくて、人文学、社会科学も含めた多様な分野も目配せしながら議論できればと思いました。ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。では、今の議論を共通認識として持ちながら進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ヒアリングに移りたいと思います。本日は2件のヒアリングを予定しております。1つ目としまして、まず稲垣主査代理のほうから、URA育成に関わる近年の動向につきまして、URA育成という観点から概観したお話をいただければと思っております。稲垣先生、では、よろしくお願いいたします。

【稲垣主査代理】  よろしくお願いいたします。今日は、この資料に関しては、私は、URAスキル認定機構という、今URAの質保証を動かしている組織の立場でお話をいたします。ちょっとスライドが多いですが、細かいことは全部省略して、制度の設計の背景・経緯と、どういう人材を認定しているのか、あとは、実際に受けた人たちがどのような感想を持っているのか、その辺をメインに御説明をさせていただきます。
 それではまず、6ページ目をお願いできますか。この制度を検討するに当たって、URAというのはどういうものかというのをまず考えました。検討を始める段階で、文科省と研究大学コンソーシアムがそれぞれURAの定義をこのような形で公表しておりました。それらを踏まえてこのURAの質保証ではもう少し幅広に考えましょうということで、6ページの一番下に示してあるような、大学等組織全体を俯瞰しながら、学術的専門性を理解しつつ、自身の業務に関する専門性とセクターに偏らない能力を駆使して、多様な研究活動とそれを中心に派生する様々な業務に積極的かつ創造性を持って関わり、研究者あるいは研究グループの研究活動を活性化させ、組織全体の機能強化を支える人材ということで定義をいたしました。この中で、URAという職名を持っているか持っていないかは問いません。あくまでもこういう業務に従事しているかどうかということにフォーカスするということで進めております。
 その後、7ページ、8ページ、9ページまでは、国の文書でURAに関する記述はこのようになされておりまして、大事だと言ってくださっているという状況でございます。
 10ページ目、文部科学省の産学連携調査の数字を基にURAの人数を図示化したものですが、2011年から比べるともう5倍以上に増えています。一時伸びが停滞した時期もありますが、また最近増えてきている状況です。配置機関の種別に関しては、当初は国立大学が多かったのですが、近年は、私立大学、そもそも私立大学の数が多いというのもありますが、私立大学のほうが配置している機関数としては多くなっているというのが見えてきております。
 11ページ目に示しているのが、この制度の本当の基盤というか憲法的な扱いで使っております、東京大学が2013年度につくったURAのスキル標準というものです。当時の時点で4つの区分22業務にURAが従事している業務を整理していました。これはもう10年前の話ですので、ここでカバーし切れない業務が発生しているというのは先ほどから議論があったとおりです。
 続いて、13ページ、制度の設立の経緯を改めて御説明いたします。これは平成23年度概算要求の文部科学省の資料です。真ん中に丸がついている部分がありますが、スキル標準の策定、これが東京大学が行ったスキル標準の策定で、先ほどお示しした4区分22業務を体系的に文書化したということです。その時点で、2つ下、全国ネットワークの構築というので、リサーチ・アドミニストレーターの全国ネットワークを構築するということと、リサーチ・アドミニストレーターの資格制度をつくるということが施策の中で考えられていたということになっています。上のほうの全国ネットワークに関しましては、RA協議会という形で実現しておりましたが、資格制度に関してはしばらく手つかず状態だったものが、令和元年度から突如動き出したというような状況です。
 14ページですが、そこに至るまで、文科省のサイトにこのようにURAに関する各種調査・研究事業が行われてきておりました。その中で、右上に特出ししてURAの質保証に資する認定制度の導入に向けた論点整理というのがございますが、平成30年度にこの論点整理という文書がまとめられて、ここで具体的に質保証、資格認定に関してこうあるべきだというようなことが提言されました。
 それを受けまして、15ページですけれども、リサーチ・アドミニストレーターに係る質保証制度の実施ということで本格的な事業の実施に移ったという流れです。
 16ページには、制度の実施に至るまでの検討の経過をまとめました。先ほど申し上げた平成30年度の論点整理、これは表紙がピンクなので通称ピンク本といいますが、この論点整理では、URAをめぐる現状と課題、あとは質保証の意義が取りまとめられました。その上で、認定制度をつくる際には、検討の視点としてこういうことを含めて検討するべきだということが取りまとめられており、対象者、申請要件、認定の基準、審査方法とか、対象に関してはスキル標準を土台として検討すべき、と取りまとめをされております。
 この論点整理を受けて、令和元年度と令和2年度に制度設計のための委託事業が行われました。この委託事業では、この論点整理に書かれたことを忠実に実行するための制度設計とするようにと御指導を受けておりましたので、そのような形で制度設計を進めてまいりました。2年間、まず、最初の1年度は制度の概形をつくって、2年目はその制度が実際にちゃんと回るのかという試行を中心に行いました。
 この論点整理から令和2年度の委託事業までは、文科省の産学連携・地域振興課が担当でした。令和3年度の補助事業、先ほど15ページでお示しした事業の概要ですけれども、この概要の図も産学連携・地域振興課が作っておりました。令和3年から補助事業が始まって、実際に制度を回すための実装プロセスに移ったのですが、この途中から産学連携・地域振興課から人材政策課に移ったという、そういう経緯があります。この令和3年からの3年間の事業、今年度で終わりですが、この事業で制度構築したものを本当に実装して動かしていると、そういう流れになっております。ここまでが経緯です。
 それで、17ページですが、この制度においてスキル標準を使いなさいと論点整理に書かれておりましたので、それを基にスキルをどう認定するかということを考えた結果、スキル標準ではスキルを業績(経験と実績)と能力と分解しておりました。さらに、スキルのレベル分けとしては、初級・中級・上級で、大体の業務経験の年数としては、初級は5年未満、中級は5年から10年、上級は10年から15年程度という形で取りまとめをされておりました。あとは、スキル標準についてはそのような形でしたので、こういったことを参考に制度を構築、検討してきたという流れです。
 19ページには、検討の体制について示しております。上のグレーで示している部分が、令和元年、令和2年の委託事業で実際に検討に参画した団体です。これも文部科学省から、この7団体が関与する形で検討するようにということが求められましたので、関係団体の方々に御協力をいただいて検討してまいりました。補助事業に移ってからは、いろいろ団体の御事情もあるということで、主幹機関に関してはRA協議会が担当し、協働機関として、medU-net、UNITT、多能工、金沢大学は事務的扱いのために入れているだけですが、この3つの団体と、協力として研究大学コンソーシアム、RU11、JSTに入っていただいて検討を進めてきました。ここまでが経緯です。
 次に21ページです。制度を実装化していく過程でどこが制度を動かすか、という話になりました。7団体で検討を進めてきたのですが、研修と認定という透明性を求められる事業を扱うことになりますので、やはり中立な立場の組織があったほうがいいだろうという検討結果に基づきまして、去年2022年1月にURAスキル認定機構という一般社団法人を立ち上げ、ここが現状、研修と認定の両方を実施、運用、管理しているということになっております。研修の修了証も認定の認定証もURAスキル認定機構の名前で出しております。
 22ページは、スキル認定機構の運営体制の図です。機構の運営は一般社団法人の法律に基づく形で動かしますが、研修及び審査、認定に関わる本当の中身に関しては、別途、事業運営会議という会議体を設定し、そこに検討段階から関与いただいている主に7団体の方々に入っていただいて、各種重要事項の審議・決定をしていただいております。その下に研修と認定に関する委員会を設けて、具体的に回すための検討、調整しているということです。ここまでが外枠の話です。
 次からは、どういう人を今育成しようとしているのかについての説明です。24ページをお願いします。先ほど申し上げたとおり、この制度におけるURAというのはこういう人材ですよという定義をいたしました。考え方としては、この人材に合致するかどうかという観点で制度をつくっております。
 論点整理においては、2つのレベルを設定することと書かれております。基準適合性を見るものと卓越性を見るもの、2つを設定しなさいと書かれておりましたので、それを踏まえて2つのレベルを設定しております。それぞれのレベルにおける人材像は、本当の制度で対象とするURAの人材像からかみ砕いて、この基準適合性と卓越性を考慮した人材像になるような説明にしております。現状、動いているのは認定URAだけですので、認定URAのほうだけを読み上げます。「URAとして関わる業務全般の知識を一定レベル以上備え、かつ大学等、我が国の研究組織での一つ以上の中核的業務(当該URAが主として従事している業務)の経験を有し、研究者、研究グループの研究活動の活性化に主体的に関わる能力を備えた人材」ということで、あくまでもこれは基準適合性ですので、一定レベルに達していて、何かしらの業務経験を持っていれば認定してあげましょうというようなレベルで今動いております。簡単に言うと運転免許証レベル、この免許があれば道路を運転していいですよというような、運転するために必要な最低限の交通ルールは分かっていますというような、そういう位置づけの認定になっております。
 次、25ページです。認定に関しては、論点整理で、認定だけじゃなくて研修と審査をして認定という、このセットで考えるようにという立てつけになっておりましたので、そういう形で制度も設計されております。認定期間については5年間で、申請要件は業務経験を有していることと、Coreレベルの研修プログラムの修了ということになっています。この研修については後で説明いたします。審査に関しては書面審査で、基準適合性を見ますよということで動いています。認定専門URAについては、現在まだ動いておりません。一部動いておりますが、本格稼働は今はしておりません。
 26ページは、制度の対象となる人をまとめております。基本的には誰でもいいですよという制度になっておりまして、当然学歴とか職歴は問いません。要件さえ満たしてくれれば大丈夫です。役職・職名も問いません。4つの区分の22業務全てに従事している必要はなくて、どれか一つでも全然構いませんよというような制度設計になっています。
 27ページは、改めてどういう能力を見ているのかというのを分解して示しているものです。先ほども申し上げたとおり、スキルというのは、業務遂行能力と業績で構成されます。これもスキル標準の考え方です。さらに、業務遂行能力というのは、知識・理解力と問題解決能力で構成されています。業績に関しては経験あるいは実績で表現されます。業務遂行能力のうち、知識と理解力に関しては研修で保証しましょう、問題解決能力についてはやはり実務経験が必要ですので、ここは審査で評価をしましょうという考え方で制度は設計されています。研修に関しては、認定URAになるための研修として今、FundamentalレベルとCoreレベルが動いております。ですので、認定URAの認定を受けるためには、このFundamentalとCoreの研修を修了しないとそもそも申請はできませんよというつくりになっています。認定専門URAについては動いていないので、説明は省略します。
 28ページにこの制度のレベル感をイメージしてお示ししております。まずは研修を受けていただいて、これはFundamentalとCore、2つなのですが、Fundamentalは指示があって仕事ができる知識のレベルですので、上司から「これやって」と言われたときに、その言葉が理解できる、そういうレベルの知識を身につけることを目的にした研修です。Coreは、自律的に業務を行うことができるということを想定しております。ですので、言葉だけ知っているのではなく、言葉をきちんと理解して、自分の考え方を持って行動に移すことができるような、そういうレベルの研修を設定しています。そういうレベルの知識を備えた人が認定URAに申請をして、適切な業務経験を持っていれば認定しますよという設計になっています。
 さらに、認定専門URAというのは上位のレベルで設定されている区分ですけれども、それにひもづく研修としてAdvancedレベルがあり、これは研修のレベルとしては、業務はもう主導的に行うことができるレベルですので、基本的な知識とかではなくて、本当にそれを実施するために何をどうすればいいかというのをきちんと考えて動けるような、恐らくグループワークとかそういったことが主体になる研修かなと想定しております。
 イメージとしては、認定専門URAという名称から、本当にすごい人を認定するのかと思われがちですけれども、そうではないというのを示したのが28ページ上部のピラミッドの図です。基本的には、本当にすごい人はスタークラスという名称で仮にイメージをしていただいて、そこまでは行かないけれども、業務全体を一通り自分で回すことができるのが認定専門URAで、そのレベルより低く、最低限の知識を持って、上司の指示の下、仕事ができて、数年間の業務経験を持っているという人たちが認定URAのレベルというような立てつけに今はなっております。
 29ページからは具体的な研修の話になってしまうので細かい説明は省きますけれども、32ページが現在動いている研修の内容になっております。右側にスキル標準で設定された22の業務がありますけれども、それを再構築しまして、今は15科目の研修をFundamentalとCore、2つのレベルで開講をしております。FundamentalとCoreレベルは積み上げ方式になっておりますので、Fundamentalを修了していないとCoreは受けられないというつくりで今動かしております。
 37ページにカリキュラムマップ的なものを作っております。一応、番号が若い科目ほど総論的なもので、以降により専門的な業務に関する研修をしているというようなものです。これがカリキュラムマップで、こういう形で、一番上に業績とか問題解決とかあると思うんですが、4つの区分と専門業務、関連業務がこう関連しているというような形のマップになっています。一応きちんと皆様に考えていただいた研修になっているかなと思います。
 次が、38ページからは認定に関する内容です。39ページが審査の流れです。申請するには、Coreレベルの研修を修了していることが必要で、審査を受けるには、申請書を提出していただきます。提出された書類に基づいて審査委員会が書面で審査をし、その合否判定結果をその上にある認定委員会が確認をし、問題ないとなったら、最終的には事業運営会議に報告をして、事業運営会議の承認を得て認定が確定するという流れになっております。それなりに時間がかかりまして、審査員の方もそれなりの件数を審査してくださっているという状況です。
 42ページに、評価項目と評価の観点をお示ししております。先ほど人材像のところでお示しした人材像を、要素ごとに分解して評価項目としています。それぞれの評価項目について、1から5の評点をつけます。評価項目1だけは可否で評価しますけれども、2、3、4については1から5の点数で評価をします。基準になるのは3で、この基準を満たしているかどうかというのがある種のポイントになります。それぞれの評価項目について、評価項目1については審査委員の過半数が可と判定した上で、さらに評価項目2から4がそれぞれについて各審査委員の評定の平均が3以上であれば合格というつくりになっています。3はどういうレベルなのかということですが、これは、スキル標準のスキルカード(中級)に例示されているレベルということで、基準のレベルを設定しています。
 では、スキルカードの中級とはどういうことかというのが、45ページに、きちんと具体的な能力、スキルカードが書かれておりまして、どういうことができれば中級だといったことが書かれています。注意していただきたいのは、特定の業務についてこういうことではなくて、あくまでもこれは、自律的にとか、寄与度として30%は関与しているとか、助言と環境づくりをしたとかそういうことを、例えばお金を取りに行く業務でこういうレベルの仕事をしていればいいですよという、そういう考え方です。ですので、全ての業務でここまでこういうことをしているのではなくて、申請している人が主として担当する業務について、こういうレベル感で業務に従事していれば基準を満たす、評点が3になると、そういう考え方です。
 このスキルカードというのは、上のほうに今、研究戦略支援業務①となっておりますが、業務ごとに、こういうスキルカードが設定されています。基本的には、この審査で見るのは、赤い下線を引いている、自律的とか、寄与度30%とか、助言と環境づくりを行ったという、その部分です。具体的に下線以外のところの業務については問わないということになっています。
 最後に、49ページ以降に実際にこの制度を利用された方の情報をお示しします。まず、50ページです。これは研修の実施状況です。研修は2022年度の前期から本格的に動かしております。今、年に2回、前期と後期で動かしておりますので、今、2023年度の後期ということになります。受講者数に関しては、Fundamentalは大体150人ぐらいで推移していたのが、この後期から一気に増えました。右側にCoreレベルを示しておりますが、Coreレベルは、大体Fundamentalの半分の方が受けるという傾向があります。
 所属属性に関して下のほうのグラフで示しておりますけれども、当初Fundamentalは国立大学が多かったのですが、最近は私立大学が増えていて、今期の今年度の後期に至っては研究開発法人が大変増えたということになっています。Coreについても同様の傾向で、最初は国立大学がメインでしたが、近年は私立大学の方が増えてきている傾向があります。
 51ページは、実際に何人受講して何人修了したかという数字を示しております。下のほうに、この研修が有益だったかどうかというのを聞いております。これは任意回答のアンケートなので全員の回答ではないのと、恐らく好意的な人ほど答えてくれるので、あんまり事実をそのまま反映しているわけではないかもしれませんが、おおむね好評です。9割以上の人が役立ったと回答しているので、いい研修なのだろうと思います。
 52ページはもう少し細かい属性とかを示しております。左下、受講者の職種を聞いておりますが、当初はURAとか第3の職と言われている人たちの割合が高かったのですが、近年は事務職の方が結構受けていらっしゃいます。これはFundamentalだけのデータです。受講理由としてはやはり、「自身の業務役立つと思ったから」、「興味があったから」という回答が多いかなと思います。もう1個、右上、業務経験ですが、始まった直後は経験ある人もそれなりに受けておりましたが、進むにつれて業務経験の浅い人の割合が高くなってきています。
 53ページには記述の回答結果を示しております。ここは基本的にはよかったと。何がよかったかというと、自身の業務が何をやっているか全体像を把握しない中でやっていたのだけれども、この研修を受けることで、大学における支援業務がどういうものかというのを体系化して認識した上で、自分の業務がどう位置づけられるのかというのを認識して業務に従事できるようになったというような声が一番多いかなと思います。
 次、54ページは認定の状況です。認定については、大体30人ぐらいの方が受けて、何人かは落ちていますが、大体30人前後の方が認定されています。属性に関しては、これも国立大学が多いんですけれども、次いで私立大学が多いというような形になっております。
 57ページに、認定をされた方の、制度を今後どう活用していきたいかという声を、下のほうにまとめています。自身のキャリアパスを広げるため、あと、業務の幅を広げるため、組織内におけるURAの認知向上のために活用したい、あとは人材確保の観点で活用したいという声がありました。
 あと、組織的な活用事例について、59ページに分かる範囲で書いております。ある機関は、機関の中期目標に取得者の比率を書いて大学のアピールに使いたいということ。あとは、URAの質の向上に期待しているため、研修の受講の比率を中期目標に記述すると。あとは、URAの評価に活用する、事務職員向けの研修として組織的に利用したいといった声がありました。
 最後ですけれども、この制度が今動いておりますが、実施に当たって、1,600人しかいない業界の600人ぐらいの方々の協力を得てつくった制度です。本当に皆様ありがとうございました。説明は以上です。
【小泉主査】  稲垣先生、ありがとうございます。ここに関わっている委員の先生も多く関わっていらっしゃいましたし、この10年の話を一気にまとめてしていただきました。その中でもやはり稲垣先生のこれまでの御尽力は非常に大きなものがあると思いますので、どうもありがとうございます。
 時間もありますので、質疑応答はまとめてさせていただくのでよろしいでしょうか。
続いて、もう一つ、今回ヒアリングをお呼びしております。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)理事の柴田孝博様においでいただいております。お話をいただければと思います。柴田様からは、研究開発マネジメント人材の課題、並びに科学技術振興機構としての近年のお取組についてお話しいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【柴田理事】  JST理事の柴田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私どもはファンディングエージェンシーということですので、その立場から見たところ、それから、今日の資料のほとんどは、本年度から私どもの新たな取組として、組織内でも第3の職種と呼んでおりますが、研究開発マネジメント専門員という制度を設立しました。去年、ちょうど1年ぐらい前に理事長の橋本が記者説明会で使った資料を主に抜粋して今日はお持ちしましたので、まずそこから御説明できればと思います。
 スライド2ページ目です。これは皆さんも御案内のところであると思いますが、研究スタイルが、もう当然のことですが変わってきております。従来のリニアモデルから新しい枠組みとして、基礎研究と成果の社会展開、これが非常に近接してきている。社会実装と並行して研究が進むといっても過言ではないような状況が非常に出てきている。例えば量子コンピューターですと、もう最先端の物理ですけれども、1か月オーダーでどんどん進展していまして、産業界が本気でそれを使ってビジネスに持っていこうと、従来だとちょっと考えられないようなことも起きてきている。となると、やっぱりサイエンスで出てきた成果と、社会実装、社会が何を求めているのかというものの両方を見る目を持った人材が必要になってきているのではないかと我々としては思っているという状況でございます。
 3ページをお願いします。こちらも皆さんも御案内のとおりでございますが、米国では、まさに国防省DARPAはじめ、PM、プログラムマネジャーの存在が非常に大きくて、成果がもうずっと輩出されてきていると。
 これを踏まえて、4ページでございますが、日本では、ImPACTとかMOONSHOTとかで米国のPM制度を参考に推進をしてきたというところではあります。まだまだ全然足りないという認識は持っています。さらに次のスライドに行っていただくと、これは先ほど稲垣先生からありました、URA、非常に人数は増えてきていますよと。これは事実だと思っています。
 ここまでを通して、今、SIPとかImPACTとかMOONSHOTでPM的なものもどんどん出来てきており、URAも増えてきている。でも、なぜ何かしっくりきてないのかなというところなのですが、それぞれ、我々の例えばImPACT等でもPM的な人はもう輩出はされてきていますが、皆さんが何を苦しんでいるかというと、やはりパーマネントのポジションがないというところです。研究期間5年が終わったらポイと。一部の方はどんどん渡り歩いて獲得していくという方はいますが、なかなかそこが難しい点です。それから、URAについても、同じくやはり一番のポイントはパーマネントなポジションがないというところではないかと。大学によっては少しずつそういった取組が進んできたのは事実だと思いますが、なかなか予算の関係とかいろいろな定員の関係とかあってうまく進んでいないという認識を持っているところです。
 それで、6ページ、これはなぜファンディングエージェンシーのJSTがこんなことやろうとしたのかというベースの部分なのですが、知的好奇心、学術研究、まさに科研費の部分から、JSTは社会解決、課題解決に役立ちそうな研究成果を選んで、社会貢献につながるような方向に行くまで引っ張っていくと。0から1がJSPSさんで、1から10がJST、10から100はNEDO、このとおりではありませんが、大体こんなイメージだろうと。そのためのファンドをするのがJSTであって、JSTの1から10のところでそのまま社会に行くこともあれば、NEDOに渡してさらに発展していただくというものもある。こういった立ち位置のJSTは、サイエンスで出てきた成果と社会が何を求めているのか、両方を見る目や人材が必要であると非常に感じております。こういった人材を育てるミッションを持っている法人でもあると思っていますので、こういう発想に今回思い立ったというところであります。
 7ページ、これがまさに、募集としては研究開発マネージャーということで行いましたが、内部の肩書としては研究開発マネジメント専門員ということにしております。科学技術のイノベーション政策と研究現場をつなぐ高度な専門人材、プロデューサー的な人材になっていただきたいと、こういう思いを込めてやっております。優れた研究シーズや研究者の目利きであったり、早期からイノベーションの視点を携えて研究者と協働し、ここに書いているような活動をしていただくような方になっていただきたいという思いでやっております。
 8ページに行っていただきまして、今年度第1期はおかげさまで7名が新規で採用されて、今、ERATO、CREST、MOONSHOT、創発研究等に従事しております。現在第2期を絶賛募集中ですが、おかげさまでかなりの応募が来そうな状況です。今回来た方たちを見ますと、URA経験者や、サイエンスコミュニケーター出身等、まさに今回こういう議論する研究開発マネジメント、どこまでの範囲をスコープにするかは別ですが、いわゆるそのスコープの中の皆さんがやって来てこれにチャレンジされております。これは募集広告から持ってきておりますが、ファンディング関連部門に勤務しますよと。そして、定年制職員への道があります。最初から定年制はさすがに無理なので、当初は任期制職員として採用させていただきます。採用後2年度目に登用試験。これに受かりますと定年制職員としての身分を得ることになります。残念ながら1回通らなくても、1回だけ更新のチャンスがあって、もう一度登用試験を受けることができるという制度になっています。これの特徴は、JSTも当然ながら国から予算を頂いてやっている法人でございますので、定年制職員をむやみに増やすことはできません。退職金が払えるのかとかいろいろな問題が出てきます。こちらにつきましては年俸制の新たな給与体系をつくって設定したというのがポイントでございます。ですので、今回のこの制度は、ポスドクのテニュアトラックに若干似ているようなイメージかなとも思っております。
 私どもがこういう形で、これはまだ試行錯誤、走りながら考えている部分も多々ありますが、これを進める流れが出てきて、まさに先ほどいろいろな議論の中で大学の執行部側の皆さんはどうだとありましたが、いいねと言っていただけるような大学が出てきて、では人事交流しましょうかという流れになっていくと、こちら年俸制の職員ですから非常に流動性の高い人間になっておりますので、この業界全体の流動性が出てくるのではないかと思っています。
 我々の夢としては、大学やNEDO等、いろいろなところと行ったり来たりと人事の流動性が担保されて、それによって我々の狙っている人材が、業務もそうですし、研究マネジメントもそうですし、いろいろな人、いろいろな立場を知って、まさにスタークラスになっていく人も育っていくのではと思っています。ただし、これはリニアではなくて、当然ながら我々のこの職を経由してURAに専念する方もいるでしょうし、いろいろなキャリアパスは当然あると思っています。まさにチャレンジを始めたところでございますので、御紹介いたしました。
 最後のスライドは、これは文部科学省人材政策課から予算を頂いてやっている我々の事業です。これは先ほど稲垣先生の資料にもありましたが、もともとは、冒頭に小泉主査もおっしゃいましたけれども、それぞれがばらばらやっているようなところがあって、この資料には人材政策課所掌のものが書かれています。実はこの横に産学連携・地域振興課の予算でやっている目利き人材育成プログラムというものがあるような、そういう状況なんですね。私どもの理事会議等でもPM人材について説明すると、これ、単発でやって何なんだという議論が毎度あり、目利きをやっても同じようなことになります。
 ということで今回、生田課長のおかげで一つにまとめて、まさにURAも来年度からやらせていただきますが、研究開発マネジメント人材の育成事業というパッケージ化の第一歩が進んだと理解しています。まさに研発マネジメント人材、マネジメントの目的の明確化等が先ほどの議論でございましたけれども、ぜひ御議論いただいて、政策パッケージ、政策ポートフォリオというんですか、そういったものが出来て、この事業はこういう位置づけだよというのを明確にぜひしていただいて、受講生の方も明確にキャリアパスのイメージが描けるようなものにしていただきたいなと。これは我々からのお願い事項でございますけれども、我々もそういう形になるように一生懸命努力していきたいと思っておりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
【小泉主査】  柴田理事、どうもありがとうございました。丁寧な御説明をありがとうございます。最後のところ、確かに全体像を概観していくというところ、それがまさに生田課長の下まとまっているところがあるというところで、非常に機を得ているかなと思ったところです。ありがとうございます。
 では、15分ぐらい時間がありますので、ディスカッションできればと思いますが、論点がばらばらとしてしまうのはあれなので、何となく僕のほうから、お二人のお話は共通項がいろいろあるなと思いました。
 そもそも研究開発マネジメントといったときにどういう業務があるのというところで、URAに関しては、皆さん御案内のように、稲垣先生の資料の32ページ目にあるようなスキル標準というのがあって、URAを導入するときにこれをURAにやってもらおうというところからスタートしてきたところだと思っていますし、柴田理事からお話があったように、研究開発マネジメント人材として社会と研究開発の現場をつなげるというところの役割も担う人材が必要であろうというところです。このあたりが、特にスキル標準等は10年前ですので、研究現場、大学現場は今、どういったところまでなっているかというところの御知見がもしあればと思います。
 それから、それぞれやはりそういった人材を、URAに限った話ではないというのはそのとおりで、今日はURAに限った話をするつもりではありません。URAに限った話ではありませんが、そのような人材をいかに育てて、また先ほど来出ている尊厳と誇りを持って仕事に当たっていただき、それを適切に評価し、正直なところテニュア化して、ちゃんと仕事、職を持ってやっていただけるような、評価も含めてしていく必要があるのではないかというところは共通した部分だったのかなと思います。
 その辺りを中心に御議論いただきたいのですが、御質問でもいいですし、どなたかあれば、15分ぐらいディスカッションしたいのですが、いかがでしょうか。
【重田委員】  では、口火をということで。
【小泉主査】  重田先生、お願いします。
【重田委員】  筑波大学では、今こういった第3の職のいわゆる給与体系とか、あるいは位置づけというのをまさに変革しようとしているところです。URAに関しては、補助事業等でたくさん雇わせていただいて、そのうち何名かをまずはいわゆる承継職にいたしました。そのときに、給与表のようなものが全くない状況でしたので、一般事務職の形でURAを雇用するという形を取りました。そうするとかなり問題点がありまして、やはり一般職の給与とURAに求められている仕事あるいはそういったものの重要性の、要は、求められるスキルに対する給与と仕事量あるいは仕事の質のバランスが取れていないということで、なっていただいたにもかかわらず、ほかのところに移られる方もおりました。
 そこで、今年度からURAの職を見直しまして、リサーチコーディネーター、リサーチクリエーター、リサーチマネジャーという形で3段階の職に、それはそれぞれ下から順に、大学の助教、准教授、教授みたいな形のランクづけをして、募集したところ、URAの職を例えば600万とか500万ぐらいで募集をかけても全く人が来なかったのに対して、やはりそういったきちんとした対応する職を与えたことによって応募がかなり増えました。
 やはりこういった支える人材を確保するためには、当然のことだとは思いますが、給与の問題と、尊厳という意味では地位の問題、権限等は非常に重要だということが分かりました。なので、やはり今後はこういった形で、いろいろな大学でこの第3の職について、きちんとした給与体系と、あとは、どういう権限を持つかというのが明確になっていければいいかなと思います。
 でも、一方でこういった第3の職のところで難しかったのは、これは学長のほうから指示があったのですが、やはり第3の職となったときに、誰がその方の所掌をするのか、誰が束ねていくのかというのがやはり明確になっていないところがあって、例えば産学連携課に属するようなファンドレイザーとか知財関係の人は産学連携担当副学長になったり、あるいは、職員だったら人事担当の副学長、URAだったら研究担当というふうにかなり所掌がばらばらになってしまっていて、同じ第3の職であったとしたとしても部署によって何か違ってくるということが起きてしまった。そこが大学運営の中での人の在り方の問題があると学長のほうから指示があって、そこは今のところはペンディングで、それぞれにつけるという形にはなっておりますが、クリアしていかなければいけないとも同時に思っております。2つの観点からお話しさせていただきました。
【小泉主査】  ありがとうございます。やはりちゃんと大学の中で位置づけをして、先ほど柴田理事からもありましたが、テニュア化にしていくとかそういった道筋をちゃんとつくっていくということの重要性、そして、その裏づけとしての評価も必要だなというところがあるなと思いました。
 最後のところは確かにうちもそうで、URAについて、場合によって、これは研究担当理事に報告する、これは産学連携担当理事に報告する、といった形で、指揮系統が実は結構ばらばらになってしまうという問題は確かにあります。あまりにもURAなり研究開発マネジメントに関わる業務が広がれば広がるほど、いろいろな人がいろいろなことを言ってくる。大学のほうのマネジメント体制は今後の検討課題かなと思ったところです。
 ほかに、今の観点でもいいですし、ほかの観点でもいいです。野口先生、お願いします。
【野口委員】   稲垣先生、説明ありがとうございました。このスキル認定制度、構築のプロセス、内容、非常にすばらしいと思います。先ほど有期雇用の話が出ましたが、やはり有期雇用からテニュアポストへのパスポートであるとか、専門分野の俯瞰力がついていきますとマネジメント層への近道であるとか、処遇の向上に繋がることが大事です。一つの資格基準として学内で給与が上がるなど、後追いの調査を多分されていかれると思いますが、ぜひ実施していただくのと、この認定制度の価値を多くの大学に伝えるようなメカニズムを構築していただいたら良いのではないのかなと思いました。
 それから、私どもの大学で言えば、URAは終身雇用と任期制と両方、2つのラインを置いております。私どもは、労務管理と人材育成の観点を重要に考えていますので、いずれも課長管理の事務職種のところに配置しています。配置してから数年見ていましたが、今年度につきましては、例えば研究者からURAへの転換希望者があったケースや、URAから逆に所属異動はありますけれども、専任職員に登用をしたケースもありますので、キャリアパスの多様化とともにこの認定スキル基準も処遇にコミットできるようなものになっていければと思いました。
 それから公立大学の傾向なども見なければならないと思います。今、国立大学は85校ぐらい、公立大学はちょうど100校です。公立大学数の方が多いのです。また、公立大学の事務局は異動がある地方公務員の方が事務局職員を兼ねるケースがとても多いですが、今後地域の中核になっていくのは、文字通り公立大学だと思います。地方創生からイノベーションを起こしていくには、公立大学の関与が不可欠だと思いますので、そういうところにも働きかけて、スキル認定制度を受けるように促すことも重要かなと思いました。
 それから、イノベーション政策と研究現場を繋ぐというのは、過去においてもコーディネーターは「繋ぎ士」という話もありましたけれども、繋ぐというのは非常に重要で、この間、企業なり、官公庁なり、様々な団体を訪問してみますと、冒頭申しましたようにいろいろな産学官連携メカニズムが複合化してきていますので、やはり交渉事等の想定外とか、ステークホルダーとの板挟みというのが大変、難しくなってきています。そういうものに向き合い、乗り越えられる人材というのもURAの一つの大事な要素だと私は思っています。
 そのためにはやはり、現場体験を数多くこなすことが重要ですが、なかなか各大学のカラーもあって難しいと思いますので、例えばJSTさんのほうで大学のURA等の研究人材を他大学や他機関に出向を長期・短期で実施することをサポートできるような制度の構築を行うことも一考です。例えば費用とか、場合によってはスムーズにいくような各機関間の申合せについて検討頂くとか、そういうような前向きな観点で政策を推し進めていきますと、先ほど言いましたような、現場体験を経験しながら、さらに機能強化されたURAが育成されていくのではないのかなと思いました。ぜひ政策としても進めることを検討頂ければと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。それぞれ稲垣先生、柴田理事、何かあれば。稲垣先生、いかがですか。
【稲垣主査代理】  ありがとうございます。制度の周知については、いろいろなところから同じような御指摘をいただいておりまして、できるところから少しずつしている部分はございますが、公立大学に関しては、例えば公立大学協会とかに御説明をしてそこから周知をしていただくとか、そういうことも考えていきたいなと思います。ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。柴田理事、コメントあれば、お願いします。
【柴田理事】  まさに先ほどの部分ですけれども、我々もまだ走り始めたところで、まだそんなに偉そうなことは言えないのですが、本当に育った暁には、ぜひファンディングエージェンシーで学んでいた人間が大学に行き、大学側ではファンディングエージェンシーの考えを吸収して、うちの人間は、大学の実態ないしは研究現場を経験して、また戻ってきてファンディング業務に生かすというwin-winの関係がうまく流動化でできていければいいなと考えておりますので、そのようにぜひ一緒になって頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いします。
【小泉主査】  ありがとうございます。皆さんが一緒になってつくっていくという、そういったエコシステムがそれこそ出来ればなと思います。ありがとうございます。
 ほかに御質問等あれば、いかがでしょうか。御質問でもいいですし、お二人の御意見を聞いて、こういう観点も必要だというものがあれば。
 高木委員、お願いします。
【高木委員】  高木でございます。御説明ありがとうございました。まず、このURAのスキル認定、この議論が平成30年10月の産業連携・地域振興部会で出たとき、私としては、認定をして質のレベルを高めるという、この方向性は非常に良いということを申し上げました。
 今もパーマネントのお話が出たのですが、約5年前のその部会でも、ある大学の学長をされておられる委員から、当時でも四十数名URAがおられ、そのうちの15名をパーマネントにしたというお話がありました。ただ、別の委員で副学長をされている方は、大学の現場からは、URAを増やすのならもっと研究者を増やしてくれという意見があるのも事実だということを言われていました。
 やはりここは資金の問題がネックになっていると思います。基本的に交付金や競争的資金で議論する限り、ゼロサムになりがちです。そうなりますと、先ほども申し上げましたが、民間資金ということが重要になります。今、文科省のオープンイノベーション機構の整備事業に関わらせていただいておりますが、その中で、クリエイティブ・マネージャーという、ある意味URAとも少し重なる役職が定義されています。いろいろな分野がございますが、それをまとめるのが統括クリエイティブ・マネージャーという役職で、その統括クリエイティブ・マネージャーを副学長に昇格させている大学もあります。例えば東京工業大学です。
問題はその人件費の財源ですが、5年間は文科省の支援ですが、民間との共同研究をしたときに民間から頂くお金の間接経費の割合を適正化し、そこから捻出する方法の他、全体の金額にクリエイティブ・マネージャーの人件費も積むという取組をしている大学もあります。これはまだトライアルで、大学としても相手の企業の了解、理解をいただいた上で積むということだそうです。これはクリエイティブ・マネージャーの役割が、共同研究を構築し進める上で、ある意味社会あるいは企業と大学を結ぶ非常に大事な位置づけであって、その活動に付加価値があるということを企業側が認めてくれれば、その人件費の一部を企業が払うということで、まだトライアルですけれども、将来的にはこのように民間から資金を獲得するということも一つの考え方だと思います。
 以上でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。職種や業務がいろいろ広がる中で、全てが同じように同じような扱いをするのではなくて、この業務に関しては民間からお金を頂きながらやろうとか、ただ、ほかの業務はそうじゃない部分もあるとか、それは本当に職種もいろいろ、業務もいろいろ、様々な形での雇用の在り方があってもいいのではないかというお話とお聞きしたところです。ありがとうございます。
 ほかに何か御意見なりありますでしょうか。いかがですか。
 杉原先生、お願いします。
【杉原委員】  信州大学では、スキル認定制度の資料の一番後ろに記載のある、中期目標等に認定URAの比率等をあげていたり、あと、URAを第3の職種としてパーマネント化して、昇給するときの要件等にしておりますが、そこまでやった上で、足りないなと思っているところが実はございます。
稲垣委員資料の28ページにURAの段階が書かれていて、初級からスタークラスまで上がっていくのですが、大型の共同研究であったりプロジェクトをこなしていくとなると、URAがチームとして動いていくことになります。今までのスキル標準等は、個々のURAの能力に対してスキルの標準を示しておりましたが、チームとして束ねてURAを動かすといった視点ではあまりプログラムがございません。現状ですと、1人で解決できる研究マネジメントはもう少なくなっていまして、チームとしてURAを動かしていく、あるいはもっと大きな集団として、URA以外の人、それこそ技術職員やいろいろなマネジメント人材を束ねながら研究マネジメントをしていくリーダーシップを発揮するような能力をつけさせないと、恐らく今後の大学に必要とされるようなマネジメント人材に達しないような気がしています。もし議論ができるのであれば、URA個々のスキル標準に示された個別の能力だけでなくて、URAを束ねる、マネジメント人材を束ねるようなところの能力アップも議論したほうがよいと思ったところです。
【小泉主査】  ありがとうございます。全く同じ意見です。まさに、そういった意味でやはり業務から入っていくべきだろうなと思っていいます。1人の人がスーパーマンのように産学連携から何から何まで全部やるなんていうことはもうあり得ないと思っているので、いかにURAで専門職を持った人を集めるか、または全然違う専門性を持った人を一緒に集めるのか。研究者も中に入るということもあり得るかもしれない。そういったチームをマネジメントしていく、チームとして業務に当たっていくということが必要な状況にどんどん入ってきているというところですね。どうもありがとうございます。
 正城先生、何かありますでしょうか。
【正城委員】  かなり議論は出ているので、では、簡単な質問だけ。JSTのこのマネージャー制度というのは、前職だったり、その後のキャリアパスのお話がありましたけれども、大体年齢層はどれぐらいの方を想定されていたとか、あるいは実際には公募してどれぐらいの年代の方の応募があったというのを教えていただけますでしょうか。
【柴田理事】  今採用しているのがいわゆるアラフォーです。来た方は30代半ばから40代でまさにアラフォー辺りですね。我々としても、やっぱりシニアの方よりはもうちょっと若年でもいいかなと思っておりまして、大体ターゲットどおりの方が来ています。今回ももう間もなく締め切りますが、多分3桁の応募はあるであろうと思っておりますが、そこの今の応募状況の年齢分布はまだ分かりませんが、イメージ、多分育てる期間がありますので、それぐらいで来ていただかないと、なかなか実働で活躍するタイミングがないと思います。
 我々の中でもやはり、係員級、係長級、代理級、課長級、部長級じゃないですけれども、そういう段階を設定しておりますので、先ほどのマネジメント能力辺りというのはまだ我々スコープに入ってなかったんですが、そういった辺りも含めて内部の設計に生かせればと思います。ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。では、桑田先生、何かありますでしょうか。
【桑田委員】  ありがとうございます。手短に言います。もう今おっしゃったとおりの状態だと思います。ときどき東京工業大学という名前を出していただいて、ありがとうございます。結構そういうマネジメント人材をなるべく執行部に近いところに置いておく、本部機能をうまくエッジを利かせてやっていこうという努力を東工大ではしております。ですから、冒頭であった議論の中で、執行部に食い込んでいくというところにそういう役職を与えていく、キャリアパスを通して、役職、ポジションを持っておくということが、場合によってうまく機能するかなという施策の一つであるというふうに御参照いただければと思っております。
 稲垣先生にいつもに本当に御苦労をかけて申し訳ないんですけれども、スキル標準の広報の周知がどうしても抜け落ちるときがあってというのを前も御相談申し上げていて、今日も今まで御議論があったとおり、もっとスキル標準自身の認知度を上げていくということ、また、冒頭にマネジメントエコシステム、流動性の話があったと思いますが、その質保証の観点からも、これはやはりマネジメント人材教育を受けていくということをこの業界の標準にしていくというようところまで、もし持っていくことができれば、流動性もより高まるでしょうし、意見もフェーズが合わない議論にならなくて、同じ視点での議論が進むと思います。ぜひそのようにこの場でもつくっていけるような議論ができればなと思っております。ありがとうございます。
【小泉主査】  桑田先生、ありがとうございます。
 最後、稲垣先生、付け足すこととかあればいかがですか。
【稲垣主査代理】  周知に関しては、ぜひ文部科学省のお力添えをいただきながら進められればと思います。
 私もちょっと質問よろしいでしょうか。
【小泉主査】  もちろんどうぞ。
【稲垣主査代理】  このJSTさんのマネジメント人材の育成というのはどのようにされているんでしょうか。OJTを基本にしているのでしょうか。
【柴田理事】  現状は、OJT、プラス座学もそうですし、各現場に張りつけてのまさにOJTですね。
【稲垣主査代理】  何か学位が必要とかそういうのは特に設けてないのでしょうか。
【柴田理事】  設けていません。4年制大学卒相当以上という条件にしています。
【稲垣主査代理】  ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。その辺も、どういった職種のどういった資格を持っている人というのも、もしかしたら業務によって全然違うかもしれないので。
【柴田理事】  そうですね。私も、リニアにあなたはこうなりますよというのはとても提示ができるものではないと思っていて、ここで学んでURAになって、スーパーURAになる方もいるでしょうし、どこかの5年ものの期間のプロジェクトに雇われていく方もいるでしょうし。明確にはなかなか提示がしにくいので、やっぱり全体的に、あなたはこういう人ですよというのが言いにくいのが正直な悩みですね。
【小泉主査】  施策としてのパッケージというお話がありましたけれども、施策としてのパッケージもございますし。
【柴田理事】  そうですね。その中の位置づけで、あなたはこういうところですよと言えるようになるとうれしいなと思うんですけどね。
【小泉主査】  全体をオーバービューするような。
【柴田理事】  はい。
【小泉主査】  ありがとうございました。本当にお二人のお話を聞きまして、この研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材について、今後も議論を深めていきたいと思います。まずはお二人、どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、事務局より事務連絡をお願いできればと思います。

【川村人材政策推進室長補佐】  事務局からです。次回のワーキング・グループの開催日時につきましては、調整の上、追って御連絡させていただきます。
 なお、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査御確認の上、文科省のホームページを通じて公表させていただきます。
 以上でございます。
【小泉主査】  どうもありがとうございました。もう少し議論したいなというところも皆さんあると思いますが、またメール等でもやり取りさせていただければなと思います。
 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 

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