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科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会合同部会(第2回) 議事録

1.日時

平成30年3月30日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 5階 5F3会議室

3.議題

  1. 研究人材の育成・確保に関する課題と今後の取組等について
  2. その他

4.出席者

委員

宮浦主査,室伏主査代理,川端委員,髙橋委員,沼上委員,湊委員

文部科学省

佐野科学技術・学術政策局長,伊藤文部科学審議官,藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官,松尾大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当),勝野科学技術・学術総括官,塩崎人材政策課長,石丸人材政策推進室長 他

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会
中央教育審議会大学分科会大学院部会 合同部会(第2回)


平成30年3月30日


【宮浦主査】それでは只今から、科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会同号部会第2回を開催致します。本日の会議は冒頭より公開となってございますので宜しくお願い致します。
本日は長我部委員がご欠席ですが、現時点で6名の委員が出席となり定足数を満たしています。議事に入る前に事務局より本日の資料を確認願います。
【広瀬係長】事務局でございます。委員の先生方のお手元に、資料1から8及び参考資料1、2を配布させて頂いております。その内、資料の1から7、委員の先生方からご提出頂いた資料につきましては、参考資料2「科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会合同部会の公開について」の第3条、但し書きの規程に基づきまして、一部を非公開とさせて頂いております。資料に関しましては適宜投影をさせて頂きますので、傍聴の皆様におかれましては前方のスクリーンをご覧頂ければと思います。
また、委員の皆様のお手元には、紙のファイルでございますけれども、第1回合同部会で用いました主要な資料、基本的な資料に関してご用意させて頂いております。議事進行の過程で不備等ございましたら事務局までお知らせ願います。以上でございます。
【宮浦主査】それでは議題に入らせて頂きます。資料は、資料1から資料7となっております。本日は、各委員より研究人材の育成・確保に関する課題や対応に関してご意見を発表して頂き、その後意見交換を行う事としたいと思います。発表はお名前の順番でお願い出来ればと思います。初めに長我部委員でございますが、本日ご欠席でございますので、資料を基に意見交換をさせて頂きたいと思います。事務局より、長我部委員のご意見・資料のご紹介をお願い致します。
【宮地補佐】研究人材の育成・確保を巡る諸課題と今後の対応に関する意見、イノベーション人材としての議論ということで、先ず現状認識と分析ということございます。
1つ目はなぜイノベーションに研究人材・博士号取得者が必要かということで、その1つ目としては、イノベーションに高度研究能力が必要な分野があると。Science linkageの強い分野、バイオロジー・先端医療や先端的engineering力が必要な領域、IT・AI・ビッグデータ等、そうした分野があるということ。2つ目としてはイノベーションプロセスに必要な資質は高度研究人材育成の中で培われるということで、課題の発見・設定能力、既存の方式や行動を当たり前と思わない力、課題への従来の挑戦のレビュー能力、仮説構築力、仮説検証方式の考案力・実行力、検証結果の分析力、発信力というところが1つ目の現状認識と分析としております。
2つ目、そして何故日本企業が博士課程修了人材を必要としないのかということで2つございまして、1つは研究者のイノベーションの優先度が低い。当面する経営課題アンケートで新製品・新サービス・新事業の創出は4位であると。ただし重要度の認識は上昇傾向にあるということでございます。また2つ目として、食わず嫌いということで、採用していない企業は研究人材に対してステレオタイプの人物像を描いている。採用している企業では博士課程修了人材に対して好評価、同年齢で比較した職位の平均値は高いという自社研究所での限定調査ということでございます。
現状認識と分析の3つ目ということで、企業の博士課程修了者に対する処遇ということでございます。初任給は大多数の企業で経年相当であり、プレミアムなしと。その根本は職の安定性を重視し、格差を是認しない社会の総意に基づく給与制度であるということになってございます。で、現状認識と分析の4つ目でございますけれども、日本でもイノベーションにおけるスタートアップの役割の重要性の認識ということで、国立大学等へのVC出資による高度研究人材のイノベーションへの挑戦、CVC(Corporate Venture Capital)を設ける企業の増加、というところでございます。
2ページ目にいきまして今後の対応というところでございますけれども、2つございまして、1つは企業の意識変革の継続ということで、グローバル競争の激化、ステークホルダーによる収益性の要求ということで、差別化・イノベーションの重要性が増しており、研究者の意識は変わりつつあるという現状であると。またスタートアップが産まれやすい環境の整備の継続ということでございます。2つ目として大学院教育の変革ということで、基礎学問の重視、根本から考える力がイノベーションに必要というところ。あとはImplementation、偏重からの脱却という事で学位論文もImplementation中心でまとまりやすい研究に流れていないか。課題設定や挑戦的なテーマの設定に積極的になる必要があり。加えて思考力の訓練として充足されているのは分析力、不足しているのは俯瞰力・デザイン力ということ。あとは大学院教育への投資を「家庭」から一部「社会」へ、というそういったところで、今後の対応としてまとめられているところでございます。以上でございます。
【宮浦主査】ありがとうございました。長我部委員の御意見についての意見交換でございますけれども、最後にまとめて設けさせていただきたいと思います。続きまして川端委員より御説明をお願いいたします。
【川端委員】それでは私の方から話題を提供するということで、ぼんやりした話をしてもどうもよくわからないので、少し定量的な話をします。私は2月までH大学という大学におりまして、今度N大学に移ったので、両方の大学のデータを載せております。この辺りは最終的には公開は出来ないのでこの場でリアルな話として見て頂ければ。今日お話するのは3点です。1つ目は若手人材の採用・育成の話、2つ目は博士人材の話、3つ目はこれらをmanageする大学経営の話、この3つの観点でお話します。資料、これがH大学のデータですね。横軸が年齢で、縦軸が人数でこれは研究者全体の分布図です。左の上の列がH21年で下の列がH26年。5年後にどういう風に人口分布が移ったか、研究者人口の分布がどう移ったかを示したものになります。先ずは左の上のグラフを見て頂ければ、紫が助教で赤が准教授で、青が教授です。だから60歳くらいに山があるのは団塊の世代です。これが5年後には下のグラフに移って、団塊が消えて全体にばら撒かれたと、こういう状態です。全体の左側が正規教員です。右側が外部資金で雇われた特任教員になります。左側を見て頂くと、細かいですが人数的にはH21年とH26年の全体像の人数は変わらないです。この5年間で正規教員の数は変わっていないです。そのことを反映して助教の数もほとんど変わっておりません。618人が609人とほぼ変わっていないということです。その代り、右側を見ていただくと、これは特任教員です。この紫色が若い先生、見づらいですが特任教員の中の紫色が若い先生。実はこの分布の中にはポストドクターは入っておりません。ポストドクターは全体で217名いて、この特任教員の助教が87名、右の上がそうです。これがH21年の状態。それが5年後どうなったかというと、特任助教は87名から173名で倍になったという状態です。ポスドクの数はほぼ変わらないという。つまりこれは全体で、長い目で見たらいろいろなことがあるでしょうけれども、ショットで見たら若手の教員が応募できるポスト(正規および特任助教)が増えているということです。要するにこの5年間で、下の足し算・引き算が少し間違っていますけれども、大体13%増えています。実はこれが、総研究者数でいうと全体の37%を占めています。だから研究者総員全体の37%は若手の研究者を雇用しているということです。ただしショットなので、この人の任期が1年だったり2年だったり5年だったり10年だったりしていると、そういうことがあります。ちなみにN大学も同じです。5年間で研究者の若手の人数は12%増えています。その上で若手向けポストの比率は33%あるというのが現状です。だから大規模大学だけではなく中規模大学でも、こういう風に動いているという。だから若手が少ないから…、少ないのが悪とか何だかって言うけれども、基本的にショットで見ればポストは増えているということです。ただし、ある部分は質が悪い。任期が2年であるとか1年であるとかっていうものがこの中に入っている、そういった点を考える必要がある。それは解決できないかというと、今色んな大学で動いているのが、運営費交付金と外部資金の合算使用です。合算によって正規教員並みの特任助教を作ろうという動きが始まっています。要するに外部資金でいえば、3年間の外部資金はそれだけしかないのだけれども、その間接経費を寄せ集めたら5年とか10年で雇用できるだろうという合算使用、それが始まっています。問題は、こういう制度は出来つつあるもののそこにどうやって引き込むかという。先程で言えば右側をよりどうやって左側に近付けていくかという具体的な作り込みです。これが最後の大学経営にも関係する話になってきます。
時間がないので2つ目、博士人材です。ご存知の様にここ10年以上に亘って博士の入学者数は減り続けています。これはどうしてかという話になると、一般的に国全体の統計的な分析で言うとここに書いてあるように、「終わった後に職がないから」、それから「学費がないから」、それから「カリキュラムがつまらないから」、とこの3つの項目が挙げられます。じゃあこの3つ全部OKにしたらどうなるかといって取り組んだのが、要するにリーディング大学院の一部であり、それから工学系の大学院でも博士授業料は全部大学が寄付金等から出します、生活費も出します、出た後のポストも確保しますとうたっています。でも志願者数は上がらないのです。それはどうしてかという話です。色んな考え方があると思いますが、私としては基本的には学生にとってドクター自体が魅力的ではないからだと考えています。学生にとってです。社会にとってではなくて学生にとって魅力的に見えていない。ひっくり返したら何かというと、「こういう障害さえ取り除けば博士に行きたい学生はいっぱいいるはずだ」と教員は思っている。そこが間違っている。要するに殿様商売をそろそろやめる時期だと、このようなことが提案です。1つやったのは、日立製作所と一緒に実施したのですが、エスノグラフィーを使って学生の行動観察をしました。ここではそうした取組をやったということの紹介です。博士に行くときの意思決定因子は一体何なのかということを調べますと、結局、先ず博士への進学者の多くは、ここに書いておりますけれども、大学研究者を若い頃に決めて一途で走って来る人の人数はすごく少ない。それよりは、今は博士という経験を、もっと広く色んなものに、社会にも活かしたいと思っている人達の方がメジャーになっているというのがここでの分析になります。意思決定のタイミングというものがあって、そのタイミングを外すと、幾つかのタイミングが、これは分野によっても大学によっても全部違うはずです。そのタイミング以外で彼らは情報を取ろうとしていない。特に彼らの意思決定のときには賃金でもWEB情報でもない、そういうものでほとんど影響はされていないという、それ以上に関係するのは半径3mのリアルな情報です。目の前にそうしたロールモデルがあればそれに飛び付く、というのが彼らの意思決定因子。そういう意味で、各大学の情報を更に分析して、それに合ったようなリクルートの施策というものをもっと考えるべきだろうというのが1つの提案です。特に、博士課程の生活費をどうにかしようという話が色々議論されています。ただ今、博士にとってそれに一番近いものがJSPSの特別研究員制度です。特にDC1です。ここに書いているのは、横軸が修士1年・修士2年の時期を示しています。企業の採用の時期でいいますと、修士1年の夏くらいからインターンシップが始まって、修士2年の春辺り、この星印の辺りから採用活動が始まりますが、このときには給与の処遇から全部提供されています。一方でドクターはどうかというと、ずっとその真ん中のラインですがDC1の特別研究員制度はM2の春に応募が始まります。このDCに行こうという人間にとっては自分の生活費は全く分からない状態です。進学を決めていくというプロセスの中に入っています。それで、企業の場合の内定式が終わったその後の次の年の1月頃に最終決定が下る。だからお金の当てもなく行きたいだけで行くしかないから、親にとか色んなものに泣きつくしかない、そんなような状態でこの意思決定がされている。という訳で、せめて企業のリクルートが始まる頃には、「あなたはJSPSのDC1が当たっていますよ」とか「当たっていませんよ」ということが決まっているべき。そうしないと生活費支援とリクルートが繋がらない。JASSOも同じです。JASSOも同じ様に、結局はドクター行こうかと思ったときに「自分はこれが取れるかどうかわからない」、ましてや「その利息があるものとないものの何が当たるかもわからない」というような状態が彼らの環境になっていると思います。
最後3つ目、これら全体を考えたら大学教員、3つ考えて更に、という話もありますけれども、今大学の中では色々な機能の強化という意味で様々なことが降りかかっています。当然、研究の多様化も教育の多様化も国際も地方も大学もいっぱいあります。そしてこれが大学教員のボランティア、アマチュアでは進まなくなっているというのが現状です。それで、先程の話、2つを進めるにあたってもべらぼうに色んなお金が掛かるし時間が掛かる、加えてそういったものを結局大学全体としてはmanageしなければならない、要するに大学研究者の時間のマネジメントをする必要があるということ。今のところ機能強化とは増やす方向だけの機能強化になっています。「今やっている事をやめる」というのも機能強化のはずなので、そういう事も含めて全体が知恵を出すときだろうということで、一番下の全国一律事業というのは国全体で機能を増やす方向に走っているのですが、それ以上に各大学が知恵を出して、より魅力的なGood Practiceを創り出すような事業というものが必要だろうというのが提案です。以上です。
【宮浦主査】ありがとうございました。それでは只今の川端委員のご説明につきまして、少し意見交換・ご質問ある委員、意見交換させていただきたいと思います。いかがでしょうか。1つ私から、半径3mのリアルな情報についてですけれども、所謂ロールモデルですね、ロールモデルの重要性と、最後に重要だということを言って頂いた経済的なタイミング、経済的なサポートを受けられるタイミングが見えない、というところと、1年先や2年先、或いはもっと上の先輩のその辺りの関係というのか、情報交換というのか何らかの糸口に出来ることが想定し得るでしょうか。
【川端委員】半径3mのリアルモデル・ロールモデル。例えばです。彼らの意思決定は、例えばここのケースの場合は意思決定自体が為されるのが4年生、学部の4年生がやっと研究が分かり始めた頃に「ドクターはどうしようか」とぼんやり思い始める。そのときに身近にへこたれたドクターがいると絶対行かないですよ。そこにピカピカした人間・ドクターがいるとその後を追い掛けて行く。他方企業にはリクルーターというものがいて、企業のリクルーターはそういうタイミングでピカピカした社内のエース的な人間がやって来て、「ほら企業はこんなに給料があって、こんなに素晴らしい話、未来があるぞ」などと言って帰る。だから彼らにしてみれば、それがロールモデルに見える。一方でドクターはというと、身近なドクターでへこたれている人がいて、「給料もないし」というような状態。それで、その人達に「私の将来はどうしたらよいだろう」と訊いたら「お前ら覚悟あるのか」というような、そんなことを宣うドクターが周りにいっぱいいて、それでなぜドクターに行くのだということ。だからそれでも行く様な人間はかなり強い意思を持ってそういう風に動いていたり、たまたま目の前に優れたドクターがいるラボは、後が繋がっていたりします。良いドクターが行ったらその後も繋がって、良いドクターがずっと行くというラボが生まれて来る。そのためそこからも、半径3mというのは、ラボの中に任せているとそうなるため、全体で優秀な人との交流会だとか、色んなものをやっていくと、そういうものが生まれていく施策にも繋がる、という風に感じています。
【宮浦主査】ありがとうございました。今の点含めまして他に御意見・御質問ございますか。今御指摘の、「博士に高い確率で繋がっていくラボと、そうでないパターン」というのはどの大学でも、或いはどの部局でもある程度あるのではないかと。その辺りのラボを超えた交流会も、ある意味リーディング大学院等はそういうパターンで、ラボを超えた交流が非常にどの大学でも盛んに行われている点が非常に良い点かなと思っておりますけれども。
【川端委員】分からないですがそれは各大学で。あともう1個はタイミングですよ。どのタイミングで彼らに何を伝えるかによって、我々も今まで人材育成本部でドクターに行くリクルートというので、修士に入った入学式のときに行っていたが、「この分析をしたらそこでは全然効かない」という事が分かり、色んな事がありました。彼らにとって「きっかけになる何かが順々にあって、そこでしないといけない」というような感じがありました。
【宮浦主査】ありがとうございます。また後程総括して議論させて頂ければと思います。それでは続きまして髙橋委員よりご発表をお願い致します。
【髙橋委員】リバネスの髙橋です。どうぞ宜しくお願い致します。ベンチャーをやっている身ですので、何かサービス紹介のようになってしまったら申し訳ないと思いつつ、1つのケースだと思って聞いて頂ければと思っております。私は、学振を取れるかとかの確約のない中で、それでもやはり研究は続けたくて就職活動はせずに進学し博士を取りまして、その後も大学の寄付講座の方で特任の助教を7年続けながら、一方で会社経営にも関わって参りました。
リバネスという会社は今70名程常勤の人間がおりますけれども、実は半分以上が博士を持っておりまして、残り半分も修士で構成しています。博士の多くは新卒博士で雇っております。今、日本以外もシンガポール・マレーシア・アメリカ・イギリス等で活動を行っております。私の専門はいわゆる農学の分野ですが、他のメンバーたちの専門性に関しては、理系・文系関わらず、あらゆる分野の博士人材が集まって活動している会社になります。実はこの会社自体を有限会社として立ち上げたのは、私が修士の2年生、2002年の6月になります。その当時を思い起こすと、大学院の周りの仲間の多くは就職活動をしていて、先程川端先生からもお話があった通り、自分も特別研究員に採用されるかわからなくて、ただこのまま博士に進んでも統計的に見れば研究で食べていくのは厳しいことが分かっているという状況でした。会社を立ち上げた理由として、自分のような研究を志すものがこの先、その専門性を活かしてどの様に社会の中で活躍していくか、或いはキャリアを築いていくかというところ課題意識もありました。また、次世代科学者の育成、子供達の科学教育、理科離れ・理科嫌いを防ぐという点については、博士人材が教育の現場に出て行くことでより改善できるのではないかというアイデアがありました。大学院生が起業するという選択肢は、2002年当初はなかなか一般的ではなかったですが、そういう中で自分達も、「自分の将来含めて懸けて動こう」とやって来た取組になります。
今日ご紹介したいのは大きく言うと全部で3つです。会社設立当初に開発し現在も続いているウィークエンド型のインターンシップ、産業界と連携した研究費を活用した取り組み、あとは事業創出の部分です。立ち上げ当初は修士の学生だったというのもありまして、当然経験も何もある訳ではありませんので、「じゃあ自分達はどういう形でビジネスを始めようか」と思った時に、きっかけとしては「子供達の理科嫌い・理科離れの部分を押さえる様な科学教育のサービスを始めようじゃないか」ということで始めました。学校現場も当然予算は限られていますので、ビジネスとしてそれが上手く回るかという点では非常に苦労したのですが、ただ一方で少し気付いた事がありました。私自身大学院生で子供の前に立って植物バイオの話をする訳ですけれども、最初はなかなか通じない訳です。でも、訓練していくと少しずつ上達する。非専門家とのコミュニケーションスキルというが、大学の中でもOutreachは活発になりつつありましたが、やる側の人材育成という観点は少なかったわけです。丁度そのタイミングで経済産業省の委託事業に関わらせて頂くことができて、きちんとそのスキルスタンダードを立ち上げることができました。自分も含めた大学院生がこの育成トレーニングを回していくことによって、しっかりと自分の専門性を分かりやすく非専門家や、他分野の専門家に対してコミュニケーションが出来るような、そういったプログラムを作りました。それを我々はサイエンスブリッジコミュニケーターと呼んでおりますけれども、そういう「話したり書けたり、或いは繋いだりものを作ったり」と、そういうことが出来るような人材の育成プログラムをを現在まで継続しています。ただこの研修ごを平日研究室を飛び出してインターンする、となると、なかなかラボによって先生方の考え方は多様ですので難しいこともありました。私自身も比較的毎日頑張るというラボに所属していたのもあって、日曜日だけみなで集まって、子供達の教育活動を通じた自分達の研鑽活動・研修活動をやって行こうというモデルで回し始めました。これは実は今この2018年も回しておりまして、毎週日曜日に色んな大学から多様な専門性を持った大学院達が集まって来るような形でやっております。これは現場の写真で実は一部は企業からの若手研究員の方などもいらっしゃるのですけれども、実験教室に出て行って自分の専門に係る部分をわかりやすく非専門家の子供達に伝えると。勿論これは理科嫌い・理科離れというところにも効いてきながら、一方でこれは若手研究人材の成長につながる場として広がっています。ちょっとした発展編では、中高生達の学会を日本やマレーシア、シンガポールでやっているのですけれども、博士人材を中高生の科学部の研究コーチにして、ブリッジコミュニケーションのスキルを磨きながら、一方で子供達の研究テーマを深めていくという活動も行っています。具体的なケースを一つ紹介しますと、ある国立大学の学生と話しましたところ、彼自身も「将来的にはPIとして活躍したい」と考えているのですが、「学生の立場で研究しているとなかなかmanageを学ぶ事が出来ない。ただスカイプなどで遠隔でどこかの高校の、例えばバイオのアドバイスをしながら研究成果を出していくという活動は、自分の将来にとっても非常に良い経験になる」というようなことを話していまして、「若手研究人材の社会との接点」という部分と教育という点に加えて次世代PIとしての経験値を積む活動にもなりつつあります。インターンに適した学年についての議論がありましたが、これは私達のインターン生の卒業生の進路で、細かいところはいいのですけれども、学年としてはどこが良いかということは明確には言い切れません。修士と博士が大体半々くらいで学部生は非常に少ないという感じです。一方で大事なことは、私達がやっているウィークエンド型のインターンシップ、教育に係るインターンというものは、学生自身の多様性というか、「将来こうしたい」というキャリアに良い意味で影響しません。多様性を多様性のまま打ち出すというか、進むべきキャリアや必要なスキルをこれだと決めてそちらに寄せるというよりは、ブリッジコミュニケーションというベースのスキルの部分をしっかり鍛えて、それで大学教員になる人間もいれば、産業界に出て来る人間、学校教員になる人間、文科省にも何名か入っており、色んな人間がいる訳ですけれども、そういうような活動になっているのかなと考えています。
次の話に行きます。研究費の活用モデルということで、前回の委員会でも少しだけご紹介をさせていただいた話ですけれども、民間からfundingをいただく形でリバネス研究費という50万円の非常に少額の研究費を実施しております。これは私自身の経験の中からなかなか研究費が取れない、ということもあったのがきっかけで始めたわけですが、今では学生を含む若手研究者と産業界のコミュニケーションツールとしての機能が大きくなってきたと感じています。例えば、キャリアに関連した話ですと、研究人材が就職先を決定する際に採用ツールを活用するという流れが一般的でない中で、採用する産業界側に色々話を聞いていると、「博士を採用するのであれば研究する力を見たい」、というわけです。それであれば履歴書を送るよりも研究プランを送った方が良いのではないかというのが発想になりました。そういう中で50万円の研究費に対して企業は知財は主張せずに多くのケースでは寄付として出る形で、研究費を若手の人材に送りながら、一方で若手の方は、私達から提供される企業ニーズに関する記事や要項をヒントにして、自分の専門性を掛け算して自分の研究アイデアを出していく。そしてそういう中で、理想的には博士学生やポスドクの方々が、年に1個か2個は、少額かも知れませんけれども、産業界との共同的な研究、社会との接点を生むような取組が出来れば良いと思っています。リバネス研究費は既に200名以上採択者を出しておりまして、約1億のお金が若手の方に流れております。規模感としてはまだまだ小さいですけれども、これは金額だけでなく件数をどれだけ増やせるかの勝負だなと思っています。一方でこういうところにapplyして来るアクティブな若手研究者に対して産業界側も非常に好意を持っており、コミュニケーションを取りたがっているので、こういう形もひとつリクルーティングの形になり得るかなと考えています。
あともう1個は、研究費絡みで、弊社の関連会社で取り組んでいるものを少しご紹介いたしますが、学部生なども職業柄会う機会が非常に多いのですが、進学先で相当迷っています。研究室のWEBサイトなどを見て「これいいな」と思って進学をしてしまって、なかなかその後のキャリアにつながらないとか、自分のやりたい事がイメージと違う、というミスマッチがやはり多いと感じています。それを全て解決する話ではないですが、このようなミスマッチの原因の一つは、情報が見える化されていないのではないかと思いました。例えば、日本の特に国の税金由来で動いている研究費がどう動いているかということはなかなか省庁横断で見えるデータベースというものがないのが現状です。そのため、これは「日本の研究.com」というサイトで、フリーで公開しているものですので是非見ていただきたいですけれども、科研費をはじめとする様々な厚労省や農水省などの採択データで公開されているものに関しては全部取ってきて、50万人分くらいの先生方が登録されておりますけれども、それこそ、このビッグデータを機械学習でゴリゴリ動かしたりしながら分野の推定エンジンとか、そういうものを実装しながら「学生達がどういう研究をどういう研究費で取っていて、どういう先生と繋がっているラボに行こう」というのを見える化をするということも、先ず入口の部分では大事なのかなと思っています。
あともう一つ、L-RADという別のデータベースについても紹介させてください。科研費の採択率は2割ちょっとだと記憶しておりますけれども、残りの7~8割は不採択になる訳です。しかし不採択アイデアというものは大学にとって非常に大きなアセットだろうと私は考えておりまして、しかも時系列で時間積分がきいているので、膨大な数の研究者のアイデアというものが実は大学に眠っていて、産業界はそこに対して非常に興味を持つのではないか。実はそのデータベースのやりとりの中で、URAの方や、先程私が最初にご紹介したブリッジコミュニケーターなど、そうした人間が活躍出来るのではないかということを考えています。今、それこそ企業側はオープンイノベーションの流れの中で外部との連携を非常に強めようとしている背景の中で、落ちた研究費のデータベースを今私達の方で汲み上げておりまして、まだ登録1,000名程度ではあるんですけれども、研究者が持つ不採択アイデアを、勿論秘密が守られる状態で、新規性を失わない状態で企業側に提示をして、そしてそこの中で活躍するようなURAの任期が切れた方々をどんどん私はこういう武器を持って提案出来るような、或いはプロジェクトを組み合わせて作れるような、そうしたデータベースが出来て来ると、この先に繋がっていくのではないかということを考えております。あと最後にもう1つが、リバネス研究費であったり、先程のL-RADという落ちた科研費のデータベースなどを運営していると、やっぱり自分自身で起業したいという先生方も非常に多く出て来て下さるということと、或いはEDGEだったりリーディングだったり、そうした取組が今盛んに行われておりますので、その中で「研究成果を社会実装したい」、「起業したい」という先生方も声を掛けていただく機会が非常に増えて参りました。そういう中で、リバネスは今、サイエンスブリッジコミュニケーターとしてこのテックプランターというシードアクセラレーターの方を始めておりまして、私たちがリアルテックと呼んでいるバイオ、モノづくり、アグリ、さらにはマリンといった領域で、世界の課題を解決する事業の立ち上げに特化したシードアクセラレーターも始めております。そうした中で幾つかの大学や、或いは地域のモノづくり企業などが出て来るようなケースもあるのですが、規模感としては、国内では年間130チーム程があります。加えて、実はこれを東南アジアのシンガポールやマレーシア、ベトナム、インドネシア、タイ、フィリピン、シリコンバレー、ボストン、ロンドンでもやっておりますので、1,000名位のそうした大学発を多く含む技術を持ったアントレプレナーがコミュニティになり始めました。こうしたコミュニティの価値を最大化して、次の動きを作っていくということが非常に大事なのかなと考えております。そのため、論点としましては、やはり研究費というものを絡めながら社会との接点を生み出していく、或いは教育の現場を作っていくということが一つキーなのではないかと考えています。
オマケの最後の1枚は参考です。実は1個ご紹介したい論文がありまして、論文の内容といいますか、どういう風に作ったかという話なのですが、実はこれは東工大のリーディングの先生方と一緒に書いた論文でございます。前回もちらっと申し上げました、EDGEとかリーディングは、各校かなり突っ込んだ取組をされている一方で、学術的な検証というものがないので、どうしても「失敗した」ということがネガティブデータで報告書には載ってこないのではないかということを思っています。そうした中で、このリーディングの方々と一緒にやった色んな教育カリキュラムを事前・事後しっかり学生を追いながら、学術的な意味として、「これは良かった」、「これは違った」といったことを明確にしていくことを積み上げていくことは非常に大事ではないかということを今思っておりまして、それは最後飛び地的な話ですけれどもご紹介をさせて頂きました。以上になります。ありがとうございます。
【宮浦主査】ありがとうございました。只今の髙橋委員からの御紹介内容について御質問或いは御意見…川端委員。
【川端委員】こうした天衣無縫的に色んなものを広げながら走りながらで、こういうものに関して修士の方と博士の方が1対1、50:50位で採用されながら前に進んでいる。そこに応募して来る人間達とリクルート的なところというのはどんな風に動かれているのですか。
【髙橋委員】それこそ学会であったり、あとは大学のカリキュラムを作ったりといった仕事も一部やらせていただいているので、接点を生むという意味では実はあまり苦労はしておりません。あと今日は全くご紹介しなかったのですが、実は会社としても、それこそwetなライフサイエンスをやるラボをどんどん構えていて研究者としての活動も広げています。社員は事業部部署に所属しつつ、研究活動としては自由に出来る様にしてあります。「独立系の研究者として社会の中で自由にやるためには何が出来るだろう」ということで、今、そういう意味では特許なども自社として出し始めています。個人的には、「研究機関のビジネスモデルを再発明したい」というような野心で動いております。
【宮浦主査】それでは後程またまとめの時間もございますので。髙橋委員ありがとうございました。続きまして沼上委員から御発表をお願い致します。
【沼上委員】それでは私の方から簡単にお話をさせて頂きたいと思います。前回も申し上げましたが、私のところは理科系がない学校ですので、少しリアリティの感覚に欠けた部分があろうかと思いますがお許しいただければと思います。
先ず一番初め、すごくBusyな図なので恐らく後ろの席に座られている方はほとんど見えない状況だと思いますが、大変申し訳ありません。これは今までいただいた資料や私自身の経験などから、「多分こういうことじゃないか」というものの全体像を示したものであります。基本的にポイントは、ここの「優秀な学生がPhDに進学しない」というところが初めの起点になっている訳ですけれども、修士で就職してしまうということで企業側のマスターの需要が高まる。マスターの需要が高まって良い人が来るので、ポテンシャルの高い学生を育てれば良いという信念が持続して、その結果、PhDを雇用せず会社の仕事のやり方を持続して「擦り合わせを変えない」というイナーシャが維持される。それでこの結果、Science-basedのBreakthroughのような仕事のやり方をしなければならない者がなかなか育たず、事業分野の再編も難しい企業セクターが出来上がり、そしてモノづくりに固執をするということが起こって、「PhDは自社の仕事の仕方には馴染まない」という風に思う。或いは「Science-basedの産業の成長力が弱い」、或いは「新産業を生み出す力が弱い」ということでPhDの需要が伸びない、マスターの需要がそのまま持続するということが起こる。また先程もそうした議論があったと思いますけれども、実はPhDの学生というのは単に特定の分野の能力を持つばかりでなく、仮説を作る力とか、一般性の高いコンピテンスを持っているものの、PhDの人を身近に持たないが故にそういう人達の能力に気が付かない、そうしたことがあってPhDの需要がなかなか伸びず、マスターの需要が伸びたままになっている。またこちらが今度、大学経営側の方の問題で言うと、運営費交付金が下げ止まってはいますが、今まで長い間で下がって来て、それから期間の短い補助金が増えると。これによって書類作業を増えたり、大学の研究力を弱めたりということが起こる。また教員の高齢化が起こって来たので、その結果、大学の経営上幾つかの問題点が出て来る、これはまた後で言いますが、若手のポストも減って来る。教員の高齢化があり、若手のポストが減ると同時に、この種のお金がないところで、大学側が一方でリスク回避をしてきた短期の資金で、先程川端委員のところからの出ておりましたけれども、短期の資金には短期の雇用で対応するということを長い年月やって来た。これは本来であれば大学が負うべきリスクの全てを若い研究者に丸投げしたと、いうことをやってきてしまった。これが大きな問題の1つだと思います。それから外部資金の獲得の強調をして、しかし1件ずつが300万円とか極めて少額である。こうなると書類作業だけ多くなって、教員が書類作業に追われて大学の研究力が衰退し、大学の研究職に魅力が段々と減っていくというような悪循環が出来て来る。こうなると結果的にPhDのキャリアが魅力的ではない、或いは「PhDにあまり優秀でない人が行くようになると、若手のポストをその人に付ける事がなかなか出来ず、またPhDの就職が恵まれない、という状況になり、PhDのキャリアが不安であると。この結果として、またPhDの学生で良いのが来ないということになる。また残ったPhDの学生が、先程川端委員は「違う」というお話をされていましたけれども、PhDに進む人は「長く大学に留まりたい」という思考をある程度持っているのではないかと私は思っているのですが、「相対的に優秀なPhDが会社に就職しない」ということで、また「PhDの企業側の需要が伸びない」、更に多数のポスドクが残留して、また「かっこよくない」と。これにはまだ何本か矢印があるのですけれども、随分悪循環が何種類にも回っていて、この状況を打破するのはそんなに簡単ではない。1個ずつこうした悪循環が回っているときは、個別に1個ずつの四角を潰していっても恐らくダメで、個別の資源の逐次投入になって全部水の泡になるということなので、どこかに起点を定めないといけないだろう。そのため良循環の起点になるところをどこか探してくるということで、私自身の見て来た限りではこの4つ位あるのではないかと考えております。
1つが日本の大企業以外の出口を探すということ、これが1つ目。これを言うと嫌われると思いますが一応それを言います。2つ目が、大学側がきちんとリスクを取って経営力を高めるということ。これは川端委員も先程仰っていましたけれども、一つ大きなポイント。3つ目・4つ目はですね、3つ目は限られた領域に集中投資をして、研究力の向上と、そこの研究室にいる事ことによって輝いた研究が出来ていて、そこに輝いたキャリアのある人が出て来るというところを少数、今もそういうのを目指されているのでしょうけど、更に少数に絞って幾つかの領域に投資をしていくということ。もう一つが大学院の文化をやはり変革していくというところが必要であろうという風に思っております。選択肢の1は、博士の学位を日本企業がなかなか、特にオールド・エコノミーが評価しないのであれば、ちゃんと評価するところを探してくるということです。その評価するところの要求に合わせて考え方を変えるという事をすれば良いのだろう思います。今の時代、例えば大学院生の就職先はGoogleになりますとかいったら結構喜んでかっこいいと思って就職するのではないかと思います。それこそそのうち中国企業のHuaweiにも行きたいという人が出て来る可能性は十分にあると思います。向こうの方の給料が高くなるという事が起こってきますので、その意味では日本のオールド・エコノミーの「擦り合わせ重視」、この体制のところに無理矢理押し付けて、「擦り合わせ重視」の日本企業の言う事を一生懸命聞いてプログラムを変革するのではなくて、需要があるところに供給するという基本的な当り前のところに1回戻るという事ではないかと思っています。これは一見「国費を使って海外企業に貢献するとは何事だ」といって怒られていそうな感じはしますけれども、こうすることによって長期的には日本企業もPhDを評価するという、そういう社会が出来て、アジア全体に貢献出来る日本のPhD、プログラムが出来上がると思いますので短期の問題は少し目を瞑ればですね、その種の手を打たざるを得ないのではないかという風に思っております。そのうち人材の獲得競争が相当厳しく起こって来ますので、より優秀な人を採る為にはやはりPhDを取った人を優遇した処遇で採っていかなきゃならないと。企業がそういう事に気付いてくれる時代が来る様になる為には、この手の必要があるのだろうと。また、もうひとつはベンチャービジネスですね。考えてみると、日本は随分昔はベンチャービジネスがあって、例えば、堀場製作所は京大出てすぐか、あるいは学生時代に創業したのではないかと私は記憶していますし、それから今をときめく村田製作所もですね、従業員8人位の時に京都大学からですね、研究所をつくるというので京都大学から人が行っています。驚く程ベンチャー思考的な国だったのが、知らない内にオールド・エコノミーの中に人材が吸収される国になっています。これはどこかでやはりScience-basedのベンチャービジネスを特定分野で強力に推進するということをやっていかないといけない。これが後輩達にSymbolicな影響を及ぼして、「こういう風に行くのがかっこいい」というのを見せてくれるのではないかという風に思っております。それからですね、大学経営のプロを養成する、これはずーっと今問題になっているところの一つだと思いますが、今まで外部資金に短期雇用で若手が全てのリスクを背負い込む、というのを何十年か、十何年かやってきたということで、これをやるとですね、目の前の先輩、3mの範囲の人達を見ていると、「大学院には行かない」という意思決定をする人はやっぱり出て来ると思います。せめて10年位の長期の雇用を3回繰り返せばどうにかなるという位のところまで持って来ないといけません。で、その為に何が必要かというと、実は間接費のところで賄うのではなく、外部からの収入がある程度のところまでは一定して獲って来られる、という状況になると、その部分、ある程度確実に獲れるところについては長期雇用で対応するという風に考えてですね、1個1個のお金の出所は変わっちゃうのだけど、総額として見るとそこそこは稼げると。考えてみたら企業は毎年のお金、売上を約束されている訳ではないのに、であるにもかかわらずきちんと一定の人数を雇用していっている訳ですから、それと同じ様な経営をある程度していく、ということが必要になる。その時に根本的にポイントになるのが何かと言うと、色々プロジェクトは変わるけど、同じ人材が対応出来る範囲の仕事を請け負って来るということ、そういうところを大学の生存領域として定義・設定しないといけないということですね。それを我々戦略論の用語で言うと「ドメイン」と呼んでおりますが、数学だと多分「定義域」か何かだと思うのですけど、我々は企業の生存空間・生存領域の事をドメインと言いますが、ある領域は決定的にこの大学がすごく強いと、従って今回プロジェクトのお金を獲れなくても企業から必ず次に類似のプロジェクトを獲れると、いう様なものを組み合わせていくには、一番強い部分がどこで、どの位汎用性のあるリソースを持っているかというのを定義していかなければいけない。こういうことをやっていく必要があるだろうと。それが重要なポイントです。また同時に長期の研究の需要予測、これをやっていかないと、この種の長期の雇用をオファー出来ない。長期の汎用のコンピテンスを持っている人達を採り、また長期の需要予測を行ってダイナミックな視点で経営出来る人達が出て来ないと、大学のこの問題は解決出来ないだろうと。それから同時に知識のマーケティング力を高めると書いてあるのですが、ちょっと10分を超えてしまったかも知れませんけれども、もう少しですので。知識の生産を3種類に分けるとですね、特定企業向けのCustomizedの研究というのと、複数企業が直面する問題、マルチ・クライアントで取って来る研究というのと、それから需要の変動とは関係ない純粋にやっていく研究ですね、京都大学の’’暗黒バエ”とかですね、恐らく需要が何もないところでずーっとやって来たとかですね、そういう3つ位に分かれるのですが、この1番上の特定企業向けの受託研究というのは、これ簡単に手を出しちゃいけない仕事の一つで、相当余剰金が出ない限りは手を出さないと。これはかえってコキ使われて終わるということが起こるので、相当な高い金額のもの以外は取らない。で、むしろ出来るだけマルチ・クライアントで、日本の多くの企業或いはアジアの多くの企業の共通の課題を解く様なものを探って来ると。これをやる為には何が必要かと言うと、どんな人達にどんな知識が売れるかというのを、個別の受注生産ではなくて、こちら側が企画して売り込んでいかなくてはならない、知識の需要・市場の分析が出来ないと、マルチ・クライアントの研究プロジェクトは出来ないので、市場を分析する経営力を相当高めていくということが必要であろうと思います。あとは、PhDに進む事自体がすごくかっこいいということがわかる様になる為には、特定分野でですね、最先端の部分を作らなくてはならない。その時の選び方はですね、Visibilityが高いと、あそこに行ったらあんなにかっこいい生き方をしている、というのがVisibilityが高い、波及効果が生まれやすいというところを選ぶこと、それから企業との連携とか就職、起業が起こりやすいところ、こういうところを選ぶということが一つすごく重要だと思っています。ここから先は私が昔やった研究の話をちょっとだけしますけど、全部やっていると面倒なので、ここだけお話をします。これは私が昔やった液晶ディスプレイのですね、1970年代の研究者の分布を描いています。純粋な研究者と中間の技術と科学を繋ぐ様な研究者と、本当の技術屋さん、その3つに分けると、液晶ディスプレイの産業の初期の段階で日本はどういう分布だったかと言うと、基礎研究者がすごく少なくて、エンジニアがすごく多くて、真ん中がちょっといると、こんな感じでした。イギリスとフランスはストンと落ちて来て真ん中があまりいないと。で、ドイツとアメリカというのはこの真ん中がすごく厚く、科学と技術の両方に貢献する、そういうタイプの人がすごく厚くいました。この図を見て頂くと、初め科学者がいる間にちょっとだけ科学と技術の両方の領域で活躍する人が出て来たところで、科学と技術の両方の業績数がグーンと増えて来るということになりますので、この中間の領域の人が出来て来るというのはすごく重要なので、その種の領域を描ける様なものを探って来るというのがポイントだろうという風に思っています。この他にも、計測工学がすごく重要だとかですね、堀場製作所は特に計測のところだと思いますけれども、応用研究が重要だとか幾つかありますけれども、それはもう時間がないのでこの位にしておきます。以上です。
【宮浦主査】沼上委員ありがとうございました。只今のご発表にご質問・ご意見はございますでしょうか。
【湊委員】京大の湊でございます。選択肢の2の話について、大学経営に係る問題、これは非常に確かに大きい問題ですね。人件費相当を、そういう形での外部資金に依拠しようとする時に、日本のシステムはまだ物理的にそれが出来ない。端的に言えば、外部資金の主なソースは公的研究資金、それから所謂産学連携関係の資金になりますけれども、公的研究資金の場合、30%の間接費でほぼ文科省関係では担保されているけれども、これは全省的に普及している訳ではない。特に民間との共同研究等々に関しては、これは非常に不鮮明で、端的に言えば、我々もかなりの額をそれでやりますけれども、それは基本的にRestrict fundですね。長期間に亘る、とりわけ人事に係る様なファンドには少し回せない。米国は明らかに例えばハーバード等々東海岸ですと、大体民間との共同研究でオンキャンパスでやったら直接経費に対して大体60%です。イギリスでも今Full fundingで大体、民間の企業の場合は大体4割近く付きます。で、そうしたものが当然大学の運営に回せる、裁量性の高いファンドになるべきですけれども、残念ながら、今の制度の問題もあるし、社会風土の問題もあるけれども、日本ではそういう形での外部資金が大学が安定的に担保出来る、基金化出来る条件にはない。そこは非常に大きな問題で、当然改善する余地があるべきもので、これから如何に大学の裁量的な基金を増やすルートを増やすかということをやらないと、これは机上の空論に終わってしまう気がします。
【宮浦主査】ありがとうございます。今の間接経費の点は非常に重要な点かと思います。その他ご意見・ご質問ございますでしょうか。それではまた後程総合討論ございますので。続きまして湊委員よりご発表をお願い致します。
【湊委員】湊でございます。主な問題点は今の委員のご説明でほぼカバーされた様な気もしますが、私がとりあえず、若手研究人材という時にどういう人材をカバーするかということで、後期博士課程からジュニア・ファカルティ・若手研究者の間のRange、恐らく20代後半から40歳未満というところの研究を主とする人材ということに絞って諸問題・諸課題について先ず、箇条的になりますけれどもお話させて頂きます。一つは後期博士課程ですね。これまでずっとご指摘があった様に、優秀な学生の確保と支援というのは非常に大きな問題になっていますが、これは確実に全ての大学で低下傾向が来ている。一番大きな要因は何かというと、これは京都大学のアンケート結果ですけれども、経済的な要因がやはり非常に大きい。左側のグラフの横は年収で、これは300万円未満から順次年収を区切ってあるのですが、この紫色に示すのが後期博士課程大学院生です。ここで修士と違うのは日本の場合、ほとんどここで一斉に家計支持者になります。親の扶養に入っていた人達が家計の支持者になる。で、一転してここで生活困窮状態に陥る訳ですけれども、ほとんどの学生が年収300万円未満ということであります。ですからこの経済的な不安、及びそれに絡む色んな生活上の不安が非常に大きなネガティブな要素になっているというのは、先ず間違いないことだろうと思います。これはどういうことかと言うと、学費免除を拡大すべき等々の問題はありますが、そもそも日本にはスカラーシップがないからです。スカラーシップなしで大学院に行くなんていうのは日本くらいだと私は思います。ここが一つ問題で、例えばアメリカでこの前Stanford大学の人達とも話をしましたが、所謂カレッジを出て、マスターから博士というプロセスが非常にゆったりしています。選択の余地というか時間的なスケールが長い。日本の場合は学部を終わってすぐ大学院試験を受けて修士、さらにすぐに博士課程へと、トントンと行かないと気が済まない様なことがある。私も若い時にアメリカにいましたけれども、カレッジが終わって先ず働く人が結構います。それである程度自分で資金を作り、スカラーシップを受け、それで大学院へ行く。で、修士を取ってまた少し働いてお金を貯めつつスカラーシップを受け、次は例えばLaw schoolへ行くといった具合で、時間のスケールが非常に緩やかです。そういうことがあっても良いのでないかと思うのです。日本は何故時計で計った様にきちんといかないといけないのかというのはよく不思議がられるところです。それからもう一つは定員枠というもの、これは大学の側の問題ですけれども、現在、所謂充足率というのは専攻など細かい範囲で管理されています。例えば20名定員がある時に18名しか入っていないと2名足りないとか、そういうことに汲々とする。なるべくそのようなものは気にせずに良い人は入れる、逆に無理やり数字を合わせる為に、特に後期博士課程は来て貰う必要はないわけで、そうした自由度もあって良いだろうと思います。もう一つ、博士課程の質の保証の問題も非常に大きい。先程もご指摘がありましたが、PhDが日本社会でそんなに高く認知されていないという現実は、そもそも博士課程というのは何が特別なのか、高い社会的認知を受けている欧米におけるPhDと言われる人達が受けてきた教育と同等であるのか、というのはやはり問題だろうと思います。企業のアンケートなどを見ても、企業がまだあまり後期博士課程修了者、つまり博士人材を採らないということの理由の一つは、自分が博士論文についてまとめたことは非常に良く知っているけれども、他のことはあまり知らないということがあるようです。ディフェンス(博士修了審査)などをしていると時々我々もそういうことを感じることがあります。例えば非常に良いNatureの論文を書いたとしても、少しずらした質問するとほとんど知らない、そういうことがあり得る。そういう意味では大学院の共通基盤教育は重要ですし、カリフォルニア大学BerkeleyではGraduate Student Instructor Training Course というのがありまして(日本でもTeaching Assistantというものはありますが)、ここでは学生にきちんと契約で給与を払って低学年のカレッジの学生や下級生に教育をさせています。勿論教師と一緒に教育に参加するのですけれども、非常に初歩的なことからかなり高度なところまで教育出来る様なシステムになっていて、それに応じてきちんと給与を払う。これはBerkeleyの様に教員が非常に少ないところでは、教員の方も非常に助かっていると聞いています。本学でもこの4月から大学院共通教育というのを始めますけれども、そもそも基礎的な知的レベルが非常に高いということがあり、それに専門性が伴って学位が授与されるといった環境作りは、やはり必要だろうと思います。日本はまだ依然として「蛸壺」的要素が強いのではないかという印象は持っています。それからもう一つは日本へ来る外国の留学生が圧倒的に少ない。これは先程と同じ様な理由で、外国人学生に対するスカラーシップがほとんどないためです。ドイツはご承知だと思いますが、DAADというドイツ学術交流会というのがあって、外国の学生にスカラーシップを出してドイツの博士課程、場合によってはポスドクをどんどんドイツへ迎え入れている。これは公的なファンドで(恐らくこれは連邦だったと思いますが)、外国の良い学生をドイツ国内へということを行っています。これは50年以上続いていて、もう数十万人の学生が留学しており、日本人も随分行ったと思います。継続的なこうした努力が為されることによる影響は非常に大きいです。どういうことかと言いますと、かつて2000年頃以前では、私達の世代もそうでしたが、大学院を出たら多くの学生が欧米の主要大学へ留学しました。当時は日本以外にも中国・韓国とかも多数欧米の大学へ行った訳で、ぐるぐる循環していた訳です。しかし2000年を越えた辺りから、日本の主要大学から学生が欧米へあまり出なくなった。同時に外国からも入って来ていない。ところが欧米の主要大学では、中国・ベトナム等からは依然として学生が行っていますし、さらに最近ではロシア・東欧・北アフリカなどから優秀な学生がどんどん入って来ている。ですから大学院のところで非常に国際的に競合的な研究環境というものが常に維持されているわけです。日本はどうも今それがない。その結果、大学院生の研究マインドがそもそも低下しているのではないかと懸念されます。先程から、日本の学生の目がキラキラしていないという様なことも言われてますけれど、そういう環境にないのではないか。これは研究室の多くが、ガラパゴス化しているという風にしか僕には思えない。そういう意味では旺盛な研究マインドを担保するためにも、なぜ最近学生が積極的に国外へ行かなくなったかということは少し考えないといけないし、やはりスカラーシップの問題は大きいと思います。それから、話は少し戻りますが、博士人材の活躍の場について学位の社会的評価云々の話は申し上げましたが、加えて、先程委員からお話があった大学での安定雇用の減少ということもあります。この安定という言葉は少し曲者で、「任期付きは良くなく、無任期の安定雇用でないとダメだ」という言い方をされることがよくありますが、僕は必ずしもそういうことではないだろうと思っています。雇用はやはりきちんとすべきであって、「今の体制は若者に大学の問題点を全て押し付けている」というのは確かにその通りである一方で、ある時期に若手を沢山雇用しても、ただ、採用しっ放しであればまた10年後に同じ問題が起こる訳ですね。ですからこれは、雇用した若手をどう育てていくかということと一緒でないとなかなか良い施策にならない。例えば30歳台で助教に採用した人について、「貴方は65歳まで大学で雇用を担保します」と、そのような大学は世界中にありません。任期については、「資金が切れたら自動的に終わる」という任期は問題だろうと思いますが、必ず評価と一体としてそれに応じて「別の進路」を提示する様なシステムが必要だろうと思っております。そういう意味では雇用した若手をどういう風に育てていくかが特に大事な訳で、採用した時点で30代の若手が即Principal Investigator(PI)であるということは、普通まずありません。ジュニア・ファカルティというのはきちんとトレーニングされないと本当のPIにはならない。採用した若手研究者達を独立したPIに育てていく環境はどうしても必要だろうと思います。URAによるスタートアップ研究支援や大講座制でのトレーニングなど、いろいろなシステムがあり得ますが、彼らを育てることが大切です。で、最後にもう一つ大事なのは、彼らにしかるべき研究環境を担保しなくてはならない。その際、我が国の公的研究費ではしばしば若手にかなりの「研究費」を出している。300万円ではなくて400万円あるいは500万円という風に、しかしそういう形での研究費必ずしも若手の国際的な研究レベルは保てない。どういうことかと言いますと、最後の図になりますけども、勿論公的研究費そのものはもっと多い方が良いと思いますが、しかしこれは個人ベースでの公的な基礎研究費です。他方で、今国家プロジェクトとして、例えば京、Spring8、Next京、或いはスーパーカミオカンデなど、超大型の研究インフラ整備が進められています。しかし個々の研究者(特に若手の)がこの超大型の研究インフラ国家プロジェクトまで常にアクセス出来るかというとそれはあまり現実的ではない。むしろ若手研究者にとって重要なのはこの図の真ん中にある部分、つまりコアファシリティであり、先端的で汎用性のある様々な高度な技術が、若手研究者が容易にアクセス出来る状況にないと真っ当な研究は恐らく出来ない。今の日本が最も遅れているのは、このコアファシリティの手当てであり、この部分のシステム化が進んでいない。1人1人に相応の研究費を配分していると言っても、それだけでは例えば常にアクセス可能なスパコンが使えないと情報処理は出来ない訳です。このようなコアファシリティはやはりアメリカの東海岸、カリフォルニアなどではとても進んでいます。大きい大学は自分の大学だけでこれを担保していますし、カリフォルニア大学なんかはコンソーシアムでこれを行っています。実はこれが出来ていないのが、研究力が低下してきていると言われていることの大きな原因のひとつだと思います。例えばこの図のように、研究者の個々の研究力そのものは決して下がってはいないのですが、実はコア・ジャーナル、つまり研究領域毎の中核となるジャーナルへの発表数はここ10年急速に減って来ています。それは何故かと言うと、近年コア・ジャーナルのデータの要求レベル自体が非常に高くなっているのです。例えば医学の領域では、非常におもしろいデータを出して立派な論文を提出しても、「それでは人のサンプル10名分のゲノムのデータをさらに追加してくれ」と言ってきます。その時点で日本の研究者は「そんなことは時間がかかって難しい」ということになり、結局そのジャーナルには採択されないということになってしまう。これが日本の今の一番大きな問題点であって、大きな研究室ではこれが出来ても、若手の研究者は非常に優秀な人達でも、しばしばこういうレベルで行き詰まってしまう。こういうことを考えれば共通の先端研究環境整備も、もう少しSystemicに、若手を全体としてサポートできる形で担保していかないと、折角採用した有能な若手研究者が存分に活躍出来ない可能性があるわけです。随分早口に申しましたが、こうしたことが全体として絡み合って現在の問題につながっているので、先程委員のご指摘があった様にどこか一つを手当てしたら良くなるとは私も思わない。「どこから始めてどう全体を改善していくか」ということがやはりこれから議論されるべきであろうという風に思っております。以上です。
【宮浦主査】ありがとうございました。只今の湊委員のご発表につきましてご質問・ご意見ございましたらお願い致します。如何でしょうか。なかなか日本の若手、学生も含めて海外に出なくなっているというのは顕著な傾向だと思いますけれども、今のある程度のシニアの研究者は、恐らく概ね若手だった頃には8割9割は1回外に出て、戻って来た方が非常に多いと思いますが、今の若手が出なくなっていると。その要因の一つが様々な問題もあろうかと思いますけれども、その辺りがやはり大きな問題として取り上げられるべきかと。
【湊委員】私もその点は非常に大きな問題だと感じています。しばしば我々の中でも「いったい何が原因か」ということを議論するのですけれども、勿論日本の相対的な科学技術力が昔に比べて欧米並みになった等、様々なことがあるのでしょうけども、一つ大きいのは、ポスドクというのは欧米の主要な大学が個々の研究者の「研究費」の中で給与を払っているわけです。私たちの世代の研究者は欧米の研究室で、研究者の研究費で雇われてポスドクをやってきたわけです。昨今はもう欧米の研究者も自らの研究費で外国(とくに日本)のポスドクを雇わなくなってきているので、来るなら自分でGrantを持って来てくれという様なケースが多い。そうなるとやはりスカラーシップの問題が一つの要因になっているという気が致します。
【宮浦主査】他、如何でしょうか。川端委員。
【川端委員】話を聞いていて私自身も特に重要と感じたことは、研究環境整備、この部分は若手を雇用・育成・活躍促進を通じて、それと同時に、少し前まではやはり中規模の設備を買うというサイクルが回っていた。先程湊先生が言われた様に、やはり少額なお金が回って買えるものは一定の水準までで、その上は概算要求系になっている。今その部分は完全に抜けてしまっておりまして、そのずっとログスケールで言うとあと2桁上くらいのビッグサイエンスになると、突然そこに巨大なものがある。だからその間のところで一番欲しい部分がなかなか回っていない。「機器共用と言われる部分で」、と言われるがそれもたかが知れている。要するに概算要求系のちょうどその設備の中規模から少し上の部分が今どんどん老朽化しており抜けている。という、その様な気がするのですが如何でしょうか。
【湊委員】仰る通りだと思います。こういうところ、特にコアファシリティのところはそれなりに先端でないとならない訳で、5年前に作ったものをそのまま放っておいたらその5年後には大体もたない。こうしたことは常時手当てをすべきことなのですね。そこが今の日本の研究費の投資先として僕はかなり抜けている様な気が致します。川端委員の仰る通りで、この点はこまめに手当てをしていかなければならず一度やって「5年前やったから良いのでは」という発想ではもうもたない。
【宮浦主査】設備に関連してよく話題になりますのは設備メインテナンスと言うのでしょうか、所謂技官に相当する職種の方があまりにも減ってしまって、それが総合力の低下に至るという話題もよく出るところですが。
【湊委員】仰る通りだと思います。技官という人たちは大学に随分いたのですが、それを教員にどんどん振り分けたりしたことがあって、その点も非常に弱いところだと思います。
【宮浦主査】ありがとうございました。それでは続きまして私、宮浦から発表させて頂きます。
委員の皆様からも既に出ている話題も非常に多くございますけれども、少しこの分科会としてポイントを押さえさせて頂きました。先ず博士後期課程への進学状況の問題であります。進学のモチベーションについてですけれども、意外と純粋に研究に非常に熱意を持っている学生は結構いるのではないかというのが印象でございます。しかし学費ですとか生活費の問題が非常に大きくなっており、学生であり給与が発生しないということが、博士後期への進学の低下に影響を及ぼしている。各委員のご指摘の通りであります。もう一つはやはり出口の不安、アカデミアの限られたポストの競争。そして博士を取った後の企業への就職が、それを決断する時点で「将来どうなるのだろう」と非常に見にくい状況になっております。産業界への出口を何らかの方法で担保するシステムというのは、個々の大学でも様々な取組が行われつつある状況ではあると思いますが、恐らく大学単位で考えることではなく、民間を活用して日本全体で考える方が効率的であり、また大規模大学、或いは中規模大学等の格差是正にも繋がるところであろうと思っております。また若手研究者の雇用環境の改善ですけれども、先程から何度も出ております様に、任期付きの不安定な雇用環境というのが、やはり優秀な若手を進学しにくくしている。何故かと言いますと、当然ながら修士が圧倒的に多い理系ですが、企業に入ったら正社員になって4月から通常給料が出る。他方同級生で博士に進学した人は学生なので授業料を払う。生活費も不安。しかもアカデミアに残ると任期付きの確率が高く、経済的な不安が大きい。こうした先程来、奨学金等々のお話も出ておりましたけれども、やはり経済的な問題がやはり熱意の強さを削いでしまっているということがあろうかと思います。で、アカデミアで少ないポストを獲得出来るか不安であるという、圧倒的に少ないポストを考えますと、先程川端委員のご指摘にもありました様に、所謂パーマネントのポストの状況は変わっていない訳です。任期付きの特任助教等は増えて来ている。学生はよく見ています。教員を見る、テニュアトラック教員を見る、特任助教の先生を見る、またそれを目指しているポスドクの先輩を見ている訳です。で、そうした中、自分がその中に身を置くことに非常に大きな不安があることは、恐らく我々が想像している以上のものを彼らは抱えていると感じています。そのため大学で何かパッケージとしてマネジメントに取り組む様なアイデアを考えないといけない。各大学が少し良かれと思ってやってみる、次に違う取組を少しやってみる、という様な段階ではなく、マネジメントも含めた1個1個の施策というよりも、パッケージとして取り組む様な何か施策を行う。例えばですけれども、「シニアのある一定年齢以上の教員は全員年俸制にしていつ辞めても大丈夫」という状況にして、「何らかの事業経費等々の雇用型を大きく変えて所謂ポストを若手に一気に回してみる」ですとか。それは恐らく1、2大学でやってもあまり意味がなくて、ある程度の規模感で一斉にやらないと意味がないかもしれない。そしてもう一つは国際性と多様性の問題であります。先程、海外に出る若手が少なくなったという話題が出ておりましたが、その一つの要因は、帰国後のポスト競争が不安だということがあると思います。海外から日本のポストにApplyしても、「では面接は自費で来て下さい」と言われる。実際に行ってプレゼンをして、落ちた場合に、またApplyしようとしてもかなりハードルが高い。海外留学というのが一つリスクになって来ているというのが一つ大きな問題かと思います。一つは多様性という意味で女性とか外国人の活躍が日本で制限されている。例えば働き方改革が叫ばれていますけれども、やはりアカデミアの研究室、研究者が長時間労働の中で競争しているという現実がなかなか動かないということがあります。もう一つは外国人の教員の問題です。まだまだ書類が日本語であって、日本の正規教員で日本にやって来ると。英語でコミュニケーションしていても、添付されてくる事務方から見せられる添付書類は日本語だという。そして、申請書も英語が使えないのが多々あると。色々な日本独特の問題がまだ残っているかと思います。多様な人材登用を可能にして環境変化、組織のメリット感を組織として感じる様な政策、或いは数値目標を大学なり組織の評価指標にする様な取組をやらないと、なかなか進まないと言いながら、また5年間進まないということになってしまうのではないかと思います。一応大枠のまとめですが、敢えて少しすぐ出来ることはないだろうかと考えました。問題点が多々ありますので、今すぐ出来る事はないかということで考えた一例をお話させて頂きます。これは文部科学省の委員会か勉強会か何かの時に、リクルートの役員の方とお話をして、「とりあえず今すぐ出来ることってないですかね」というお話をさせて頂いた折に、修士の学生は就職活動ではリクナビなりマイナビなり使うことが全国的な流れになっておりますので、「リクナビ博士を作って下さい」というお願いをしました。そうしたコンテンツがないということが一つ大きな理由だろうと思いまして、博士の為のマッチングプラットフォームを作ろうということで相談した内容を少しご紹介させて頂きたいと思います。博士のPhDを対象とするのは、所謂修士の大規模的なリクナビ系の様なウェブサイトでいくだけでは、システムを組んだだけでは顔が見えないので難しいのではないかということで、そもそも博士課程とは何かということを、もう一回議論をして博士人材を見つめ直す様なやり方が必要だろうと。現状博士課程に進学しても色々問題がある。就職先が見えないということで、専門性を活かすことは勿論ですけれども、+α博士ならではの、「博士力」と呼んでおりますが、そうした「博士号を取得してポスドクをやって、色々やった上でPIを目指す」という一本道ではなく、博士とは何かということに一回棚卸をして、勿論専門的なスキルや語学力等はありますが博士ならではの視点とは何だろうかということをもう一回みんなで考え直しましょうと。勿論PhDコースの学生に考えて貰うということで取組を始めたところです。研究プロセスの中で色々テーマ設定や、研究テーマの立案、書類作成、データ収集、考察等は恐らく研究プロセスの中で培われますが、その他のプロジェクト管理や対外活動等。先程も「少しずれた質問をすると何も答えられない」という様な話が出ておりましたが、そうしたプロジェクトマネージ力ですとかグローバル対応力等が求められているということを博士に明確化した上で、課題の設定や、計画或いはプロジェクト・リーディング力を活かすと。所謂専門性のあるピンポイントの「工学部のこの専門だからこの企業のここ」ではなく、「もっと広い意味でのPhDの活躍の場があるはずだということを、PhDポストの学生、及び教員・各企業にもう一度考え直して貰うということが重要ではないか」ということに至りまして、このプラットフォームはまだ始めたばかりですけれども、「学生と求人企業その間のプラットフォームで個々の学生の専門や個性や所謂企業のニーズも見ながらマッチングしていく様な、PhDのマッチングシステムを全国で作ったらどうか」ということで、最近少しトライアルでやってみました。対象は博士を考えているマスター1年から直近の就職を控えているドクター3年まで。本学でやってみた例ですが、単なる○○セミナーではなく、教員は一切発言をしない。話すのはリクルートさん側と、学生がグループを組んで、「あなたは人事担当者、あなたは採用、あなたは…」と役割分担をして学生にやらせてみる。当然質問をする人事担当側の学生も設定されますので、自分が如何に質問が出来ないかということも認識出来る訳です。ということで、「博士力の棚卸ワーク」と呼んでいますが、学生にとっては異分野に自分のアピールをする難しさをもう一度考え直した上で、そこで「セミナー良かった」で終わらせずに、国内リクナビエージェントさんに登録することによって、学生の個性を見ながら、もう次の週から企業とのマッチングをやって頂くという様なことも始めています。これは一例ではありますが、種々問題がある中で、今すぐ出来る事を少しやってみても良いのではないかと。そしてこれが様々な大学でも動けば、所謂リクナビ的なものは最初の示唆で動いた時は、「大学教員なんてあんなもの」という様な指摘をされていた方もいるかも知れないですけれども、今やもう100%稼働しておりますので、こうした博士もPhD型の雇用システムが全国で動けば、企業側からPhDを見る目・感覚もかなり変わって来るかなと思っているところでございます。以上、宮浦から発表させて頂きました。
何かご質問はございますでしょうか。川端委員。
【川端委員】今の最後のマッチングプラットフォームの話ですが、これはWEB上でのマッチング、データとしてマッチングさせる為のプラットフォームと思えば良いのですか。つまりドクターが自分の業績や能力を発信し、企業側も何かを発信し、それら両者をこのプラットフォーム上でマッチングしようというものと思えば宜しいですか。
【宮浦主査】プラットフォーム毎の両者を見たマッチング以上のものですね。要するに、両者を見てマッチングをして連絡を取ってという中に必ず人が間に入ります。人が入って面談企業側にも希望を聞き、そこでミスマッチがないように設定をしたりした上で、要するに企業とPhDコースの学生が頻繁に会ってというよりは間に人が入る訳ですね。
【川端委員】それが、例えばこれだったらリクルート社の人が間に入るという風に思えば良いのですか。それは修士も含めているのですか。それともドクターだけですか。
【宮浦主査】ドクター専用で作りたいと思っていたのですが、集めてみると結構修士の学生も来ています。
【川端委員】そうでしょうね。
【宮浦主査】ただ修士の学生は所謂今動いているもので皆一斉に就活をします。対して博士の場合は時期を選ばない。ドクター2年、或いはドクター3年で始めてもいいし、春でも夏でも秋にやってもいい。先ず時間軸をなくすということ。気になった時に登録して考えてみる。そこで辞めて研究者になっても構わないというのが、要するに就職斡旋一筋ではないと、そういうことです。
【川端委員】一つ、少し違うラインかも知れませんが。今まで企業とドクターの間の直接的な対話の場を作ったり、WEBシステム作ったり、人材育成本部を作ったりということをやってきて、実は10年前にスタートした時には「企業なんて誰が行くか」というような話があったり、企業側も「誰が採るか」というような、教員も「何でそんなくだらないことをするのだ」とこのような様な状態から始まって、その為に大学がやらなくてはならなくなり、それがようやく10年経つと「企業で活躍したい」というドクターが出て来て、「企業もいいな」と思っていたり、あとはマッチングだという時代に入ったので、そろそろ各大学でやるべきことと、どちらかと言えばマッチングを本当に考えるとやはりエリアで考えなければならない、本当にそこに人が集まって、やはり小さい大学だと一つの大学で出来ないので、ある程度集まって拠点化して、という。それからあと最後に、ナショナルセンター的に、例えばデータベースとしてプラットフォームを作ってそれを各大学に貸し出して、「どうぞ自由にマッチング等色んなサイトに作って下さい」という様なデータベースのプラットフォームみたいなもの。例えば今JREC-IN Portal等もそうしたことをやり始めていて、そうしたカテゴリー的な動きがやっぱり3つとも必要だと思っている。但し大学が全部するという時代はもうそろそろ終わりかな。やはり大学とエリアとナショナルセンターみたいなものにそろそろ統合していく時代なのかなと、その様な気がしていて、その中にこうしたものが入って来ればいいかなと。
【宮浦主査】ありがとうございます。個々の大学がやれる時代でもなくなって来ている部分もあるので、民間を入れる部分も良いのではないかと考えているところです。ありがとうございました。続きまして室伏委員からご発表をお願い致します。
【室伏主査代理】室伏でございます。宜しくお願い致します。お手元資料は、実は国立大学協会等で、「日本の科学力が非常に下がって来ている」、更に「若手研究者の雇用が非常に不安定である」ということが前から話題になっておりまして、その中で幾つかの新聞社と雑誌社から依頼があって書かせて頂いた記事です。本日の会議のために資料を用意する時間がなかったためお持ちしたというものですので、見づらくて恐縮ですが、私がここで問題を提起している点について簡単にご説明させて頂いた後で、本学がこういったことに対してどの様な試みを進めているかということもお話させて頂きたいと思います。既に皆様の中でご議論があったかも知れませんが、私達の大学を含めて日本の大学の科学力が下がっているということが大きな問題になっております。その大きな原因として、予算がどんどん削減されている中で、大学が非常に困窮している状況があります。英国の科学誌Natureで取り上げられておりますけれども、取り上げられるまでもなく、今後の日本の科学力がどんどん下がって、いずれ世界から取り残されるかも知れないという強い危機感も持っています。国全体の財政が非常に厳しい中で、特に高等教育への予算が削減されて来ておりますので、それが大学全体の研究力を引き下げ、更には若手を育成することにも大きな問題を投げ掛けています。若い人達は自分の生活をどうするかといった問題もある訳ですから、研究者を目指して、その後にキャリアパスがほとんど見えない状況では、研究者を目指そうという人が減ってしまうという事は確かだと思っています。本学でも来年度入学の博士後期課程の志願者が定員を下回りました。こうした事が起こっている原因を受験生等に質問してみますと、やはり生活への不安がある様です。日本が優れた研究者を輩出して来た、こんな小さな国にもかかわらずノーベル賞受賞学者も沢山輩出しているのは素晴らしいことです。何とか基盤を崩さない様にする為にどうしたらいいかと皆様と議論をしているのですが、やはり、若手が元気に、且つ安定した状況の中で研究を進められるという事が非常に重要です。財務省等から、若手が雇用出来なかったのは大学の努力不足であるというご意見を頂く事があり、シニアの教員の早期退職を進めたり、シニア教員の俸給を減らしたり、そうした事で若手を雇用する事が出来るだろうと仰る方も結構いらっしゃるのですが、現実に国立大学の場合に、運営費交付金の減額に加えて、消費税、法定福利費、そうしたものの増加によって、大学の運営に係る費用は、所謂運営費交付金の引き下げよりもかなり大幅に減っているという事があります。でもそのような中で大学はそれぞれに努力をして若手を雇用する為に頑張っておりますし、文部科学省は若手人材支援事業というのを3年間やってきて下さいました。この制度は、前倒しで若い人達を雇用して、その人達に様々なメンターを付けるなどして、そして大学の中で活躍出来る様な状況を作ると、そうした意味で非常に良い制度だったと思っているのですが、それも今回「もっと大学が努力すべきで、運営費交付金の中でやるべきだ」というご意見が外部から強く出されて、打ち切りになるという状況になりました。こうした事を私達は非常に残念だと思うのです。シニアを切ればいいという議論もかなり乱暴な事で、シニア教員が果たす役割も大学教育の中ではかなり重要ですので、それぞれのバランスを考える事も大事です。この新聞記事に書きましたけれども、今年の1月に第一生命保険が、「大人になったらなりたい職業の調査」というものを子供達に行いました。この結果が非常に嬉しかったのですが、学者や博士になりたいと、特に科学者、理系の科学者になりたいという男の子が15年ぶりに、なりたい職業の1位になりました。残念ながら女子の場合は10位以内に入っていなかったのですけれども、大隅先生のノーベル賞受賞などを見て子供達が未来に向けて研究者になりたいという希望を持ってくれた事は非常に嬉しい事です。ただ、今までの皆様のご発表にありました様に、現在若手の人達が置かれている大変辛い状況を見聞きしましたら、きっと子供達も将来研究者になりたいという気持ちが萎んでしまうのではないかと大変心配しています。そして、先程から申し上げております様に、若者達の活躍の場をしっかりと確保して、夢を持てる様にする事が非常に重要だと思い、こうした新聞ですとか雑誌に私も意見を書かせて頂いたのですが、ここにはあまり具体的な事は書いてございませんので、本学(お茶の水女子大学)で行っている事について簡単にご説明をさせて頂きたいと思います。例えば、同窓会、ご関係の方々、または企業等に呼び掛けまして、若手の人達の活躍を支えるための奨学金ですとか留学支援のための資金について寄付を頂きたいという事をお願いして、この3年間である程度基金を集める事が出来ました。勿論まだまだ足りないのですが、意欲を持って海外に留学して、本学と海外の大学と両方で学位を取りたい等という学生達や、国際的な共同研究を展開したい若手研究者に役立てて貰える様な、そうしたものを作ろうと努力をしております。それから先程博士人材が企業等で評価が低いという風なお話があったのですが、現実には博士人材を雇用しているところでは博士人材に対する評価は段々上がって来ております。ですから企業の方々に博士人材を見て頂く事が必要だと思っています。今様々な企業等のインターンシップに博士人材を送り出す為の努力を始めているところです。例えば経済同友会ですとか経団連ですとか、そういったところの方々に、今は学部学生が主なのですが、修士人材や博士人材を是非インターンシップで受け入れて頂き、こうした人材の有用性を知って欲しいと働き掛けを行っています。少しずつ話を聞いて下さるところも増えて来ておりまして、将来はもっと博士人材が企業に出て行って、その価値を知って頂ける様にして欲しいなと思っています。それから本学では、先ず初等中等教育段階の子供達に向けて、研究者とは何かという事を知らせる、そうした事をかなり活発に行っています。これは15年前に作ったサイエンスエデュケーションセンターで開始した事業なのですが、子供の頃から研究者というものはどういうものか、研究というものはどういうものかを知る事によって、研究者になりたいという動機付けには結構有効だろうと思っておりまして、長年にわたって続けております。そのような中で本学に入学して来た学生もいます。小学校・中学校・高校の生徒達、それからその保護者、こうした方達をお呼びして、色々なロールモデルになる様な若手研究者や大学院生等の話を聞いて頂き、或いは簡単なものですけれども研究を一緒にやるとか、SSHの子供達への支援を大学院生を巻き込んで行うとか、そんなことをしております。そして、意思決定のタイミングのお話がありました。これはとても大事だと思っており、どんな時に本人達がその気になるかというのは、それぞれの子供の準備状況によって違うと思いますので、いつでもそうしたタイミングが訪れる事を考えて、私達は小学校時代の子供達から働き掛けを行っています。現在は文科省等からの支援制度があり、頑張ってらっしゃる大学もかなりありますので、段々に子供達への普及活動も盛んになるだろうと期待をしております。それともう一つ申し上げたいのは、今大学院の中で企業との課題解決型プロジェクトというものを立ち上げています。企業から簡単な課題を頂いて、企業の方と大学院生、更にそれを指導する教員達が一緒になって課題を解決していく中で、将来自分達が本当に研究の場で働くという、そうしたイメージを持って貰うという事もやっております。小さな大学の試みですけれどもご紹介させて頂きました。
【宮浦主査】室伏委員ありがとうございました。只今のお話にご質問ございますでしょうか。なければ総合討論という事で少々お時間頂戴致しまして議論をさせて頂きたいと思っております。幾つか各委員のご発表の中で共通項もございましたし、話題における特色もございましたので、ここで少し整理をしつつお互いに質問をするという様な形が良いのかなと思っておりますけれども、何か個別のご発表で聞き足りなかった点や気になる点等ございますでしょうか。川端委員。
【川端委員】大きいフレームワークの話と同時に、ずっと僕も思っていて、先程湊委員も言われたのですが、ドクターの育成の在り方、要するに何が言いたいかと言うと、少し時間があったので、前のラボのドクターの人達に意見を訊こうとしたところ、異口同音にドクターは皆寄ってたかって「忙しい」と言う。忙しい理由が「色んな彼等を評価したり、中間発表させたり」とすごく細かく切られている。我々が現役の頃は放ったらかし。色んな意味で彼等を評価し続けている、その評価に追い掛けられている状態というのはどうも進み過ぎている様な気がしている。それは、「学部、或いは修士ももっと勉強すべきだ」という様な話があり、ドクターまで行っても同じ様な事が動いている。ドクターの育成の在り方で、それこそ卓越大学院や博士課程教育リーディングプログラム、T型、π型等、所謂専攻系以外に副専攻の色んな社会に活躍する、これまたカリキュラム化されていて、色んな意味を細かく量をこなし、では彼らが本当に主体的に何か動こうとする様なものを創り出す環境が作れているかどうか、というのは非常に気になっており、そして更にそれが進んでいる様な気がしている。
【宮浦主査】湊委員いかがでしょうか。忙し過ぎるという指摘について。
【湊委員】部分的には正しいと思います。ただ一つは、もう10年以上前になりますけれども、所謂大学院の教育課程改革というのを文科省で随分取り組んでいました。それを契機に、純粋蛸壺型の日本型大学院というものは、ある程度改善され、大学院共通課程ができたり共通技術コースを作ったりという風に、仕組みはある程度出来てきたと思います。そこで今の川端先生の話に戻ると、更にここに所謂学位プログラムが乗っかって来ている訳です。そうすると、本来の大学院プロセスに、更に学位プログラムが乗っかって色んな多様性を求めるということになってきて、確かに少しtoo muchなのかなと感じは受けます。勿論それは本人の選択に因る訳ですが、こうした要素も影響しているのかなと思う。つまり、学位プログラムが従前のプログラムに置き換わるのではなく、現状では付加的になっているというところに問題があるのでしょう。どこかで一度大学院の通常のPhDコースの在り方を検証して、そのQualityをきちんと担保するという作業がもう1度必要なのではないかという気はします。
【川端委員】結局皆が求めているとか、若手の育成についてもそうですが、要するに如何にcreativeかという話をいつもしていて、それが専門におけるcreativeさもあれば、社会に出た上での社会を変える様なcreativeさであったりして、creativeというキーワードがある割に、そのcreativeなものをどう創り出しているかというところはなかなか表に出て来ない。要するに技能的な話だとか経験だとかというものが積み重ねられて、それさえやれば、それがcreativeというものに繋がっているかどうかは、ちょっと横手に置いた話がやっぱり進んでいるのかなと。少なくとも昔の蛸壺がいいとは私は全然考えておりません。
【宮浦主査】蛸壺を開いたけれども質の担保という面と、あとは良かれと思って色々乗せていった結果、忙しくなっていると。そして、様々なセミナーや、課題解決型であるとかディスカッション型の取組に、博士課程教育リーディングプログラム等はその典型かも知れない。専門を越えたactivityに乗って活動した→夕方ラボに帰ってみた、実験をしてないことに気が付いた、そして、研究をしていないと論文を書けないという事に気が付き、これは困ったと。そう思っていたらやはり指導教員からもそうした指摘が出る。という事で、色々良かれと思ってやっている教員層と、研究して学位を取らせなくちゃいけない教員層のバトルというのもあると思うのですが、その辺りが現場として…。はい、お願い致します。
【平野大学改革推進室長】お話中すみません。今丁度お話頂いていた現場の教員のバトルといった様な話もちょっとされかけておりました。博士課程教育リーディングプログラムの担当をしてございます大学改革室長でございます。これはよく言われる事ではありますが、やはり学生さんの声等をヒアリングしておりますと、これはやはり色々intensiveなプログラムをやっていく中で、特に主専攻の先生と副専攻の先生のコミュニケーションが宜しくない。宜しくないというのは、究極のところは教育目標、「何をこの学生に対して、どういう形で身に付けさせるのか」ということ。もっと言ってしまえば学位プログラム全体としての教育目標が共有されているかどうか、そしてその学生に対して成長させる方向性というものが各教員間で協調した形で共有しているかどうか。こうした部分が判然としない中でメニューだけがある意味ごっそり集まっている。その中の何を選ぶのかという事、もっと具体的に言ってしまえば、A教員とB教員との学生の引っ張り合いの中で、その最適解というのを学生が自分で動き回る事によって見付けなければいけない。これに非常に苦労があるんだと。過度な負担になっていると。こうした様な声も博士課程教育リーディングプログラムの検証等で上がっています。そうした意味ではやはり私共、博士課程教育リーディングプログラムの次に今度は卓越大学院プログラムというものをやる事になっておりまして、そこで「学生に過度な負担を生じさせない様に」という事を注意している訳ですが、その際に強調しているのは、やはりしっかりと目標というものを具体的なレベルで共有をして頂いて、そこはしっかりと教員間でのコミュニケーションを取る事によって、学生に負担を付け回さない。こうした事を強調しているという現状についてご説明をさせて頂きました。
【宮浦主査】ありがとうございます。選択の問題、目標の明確化、その辺りをやはり現場がしっかりやっていく事が重要であろうと。髙橋委員。
【髙橋委員】リーディングやEDGEを見ていて思うのですが、学生側も先生方や大学というのがどういう方針かが見えていないという部分は結構大きいと思います。それは、大学毎の特徴付けみたいな話にも繋がるのかも知れないですが、それぞれのプログラムにうまくマッチした学生は伸びると思います。見える化が出来ていなくて、蓋を開けてみたら…という状態になっているプログラムは問題だと感じます。一方でそういう博士課程教育リーディングプログラムとか今度の卓越大学院プログラム等に手を上げた大学というのは結構KPIで縛られてしまう。「何人参加しましたか」「どうなったんですか」と。そこで縛られると先生方も「何はともあれちょっと見に来なよ」という動きになりがちだと思う。一方で先生方は研究に対するスタンスというのはそれぞれあって、そこに学生が強く影響されがちという状況があるので、そこは勿論先生同士の調整というのも大事だと思いますが、学生側から見て例えば、そのプログラムは自分が手を上げようかどうかというところが、自由なようでいて、プログラムの担当の先生のラボの学生がやたら参加している、そうしたワークショップ等が稀にあったりするので、そうしたところを上手く設計していかないと、「数字を達成しなければ」というような状態になってしまうと、本質から外れていくと思います。その辺の目標の設定の仕方というのも、柔軟にすればいいという訳ではないと思うのですが、数値化以外の部分での何かというのが見えないと厳しいのではないかということを感じています。
【川端委員】リーディングプログラムはリーディングプログラム、卓越大学院は卓越大学院だが、私が先程少し話をしたかったのは、要するにそうしたプログラムでないところでも同じ様な事が起こっているということ。要するに教員側が言わば安心したい。だから3年後にどうなるかといって潰れるよりは、「1年半後に中間報告があって、その前に1年後に何かがあって、半年後にも何かがあるから、上手く前に進んでいるよね」とこういう、途中グレて何か色んな事をしてくれた方が良いのかも知れないが、そういう事ではなくて着々と進んでいるという事を何か教員側は管理したがっている、というような状態がそのまま色んなところで動いてしまっているのではないかと、その様な気がしています。少しリーディングプログラムや卓越大学院とは違う次元の話かも知れません。
【宮浦主査】その辺り教育の質の担保という事で、中間評価ですとか様々なステップを設ける調書が、非常に忙しい要因の1つになっているというお話かと思います。先程沼上委員から手が上がっていたと思いますが如何ですか。
【沼上委員】問題の解決の為の糸口という意味で、要するにドクターを取った人が普通の会社で働くというか、一般のキャリアを追求するというところが突破出来れば、色んな意味で問題は解決していくのだろうと思います。その手掛かりが、川端先生のところには、「実は博士の経験を研究者だけではなくて博士の教育に色々活かしたい」というニーズは博士の学生にあるというご指摘がありました。そうすると、長我部委員のところでもありましたけれども、「博士を1回採用して使ってみた会社は博士を極めて高く評価してくれる」という事なので初めの一口を掴んで貰えれば上手くいく可能性はあると。或いはこの種のものは「博士の教育を受けた人って博士を評価するけど、博士の教育を受けていないと博士を評価しない」という様な傾向も、もしかしたらあるかも知れないという風に考えると、例えばリカレントをとにかくもっと増やして、世の中に博士を増やしてあげるというのも1つの突破口になるかも知れませんし、もう一つは先程の宮浦委員の話の中に出て来た博士力というもので、比較的簡単にみんなに分かりやすいものがあれば、それによって突破口が開けるかも知れないとも思います。ですが、「博士力」というものはあってもすぐ分かるものなのでしょうか。この人は博士力があると。例えば「面接を10分したら分かります」とか、或いはボツになった科研費の申込書を見ると、「あっこいつ博士力あるな」というのが分かるのか。博士力が非常に分かりやすく、短時間で企業側に伝わる仕組みが出来ると、これはこれで突破口になるかなという風に思い、その質問をしたかった次第です。
【髙橋委員】「ドキュメントを見ても分からない」というのが私の見る目ですが、特に私は自分の会社の採用をやっておりますので10分話をしたら分かります。それをどう表現するかというのは非常に難しいのですが、仮説を立てるとか、新しい何かをしようとする力かも知れない。積み上げて来たスキルは書面で分かるのですけれども、「何をやりたいの?」と言った時に新しいテーマを立ち上げられるかとか、そういうところは見ています。既存の事業とのマッチ度を見るというような感じで見れば数字評価はしやすいと思いますが、「博士も修士も大して変わらないな」という風に見える可能性があるとも思うので、新しいところの何か仮説を出す力という様な、どう定量化するかというのは非常に難しい。ただ1個面白い点として、研究のデータベースを見ていると、学会を超えて新しいテーマをどんどん立ち上げる研究者というのはやはりいらっしゃいます。それは組む相手であったりとか、対する予算がどこだったりとか、そういうもので新しい事を仕掛ける様な性質というのは、もしかしたら学生には難しいかも知れないですけど、定量化が出来るかも知れないなと思っています。
【宮浦主査】話題が尽きませんがお時間がございまして、まだまだアカデミア側から産業界に、博士力の話も出ましたけれども、アピールをして博士を育てる努力が足りない部分も重々ありますし、各種事業で補助金の給付を受けながらアカデミアがやって来た事を広く展開する事も重要であろうという事で、当面、様々な議論が出るところですが、本日一旦共通の課題も出て来たところですので、今後は更に様々なお立場からお話を伺っていきたいと思っております。それでは事務局からスケジュール等お願い出来ますでしょうか。
【広瀬係長】事務局でございます。本合同部会の今後のスケジュールにつきましては、合同部会の当面のスケジュール(案)と書いてある資料に記載の通りでございます。第3回・第4回の合同部会におきましては、ヒアリングを行う事としておりまして、次回第3回は村上早稲田大学教授、及び理化学研究所の方にご発表頂くという事を予定しております。次回の合同部会、4月26日の木曜日、14時~16時の開催を予定しております。委員の皆様におかれましては、開催場所等含めまして改めてご連絡させて頂きます。本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通し頂き、主査に確認を取った上で文部科学省のホームページを通じて公表させて頂きます。また本日の資料につきましては、机上に残して頂けましたら事務局より郵送させて頂きます。また恐縮ですが、こちらのファイルの資料に関しましては机上に残して頂ければと思います。以上でございます。
【宮浦主査】ありがとうございました。それでは本日はこれで閉会とさせて頂きます。ありがとうございました。

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