ここからサイトの主なメニューです

科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会合同部会(第1回) 議事録

1.日時

平成30年3月16日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 15F1会議室

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. 研究人材の育成・確保の現状と課題について
  3. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、川端委員、髙橋委員、沼上委員

文部科学省

佐野科学技術・学術政策局長、伊藤文部科学審議官、中川大臣官房総括審議官、松尾大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、柿田大臣官房総務課長、三浦大学振興課長、塩崎人材政策課長、石丸人材政策推進室長 他

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会合同部会(第1回)

平成30年3月16日

○議題1については非公開
【宮浦主査】  科学技術・学術審議会人材委員会・中央審議会大学分科会大学院部会の合同部会の主査の指名を受けました、宮浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに御挨拶をさせていただきます。
 人材委員会と中教審の大学院部会の合同部会が設定されたことは、非常に意義があると思っております。
 私自身は、人材委員会の主査として、特に博士人材や若手研究者の問題に取り組む一方で、中教審の大学院部会の委員として、大学院という視点から、博士前期・後期の大学院生の研究人材としての育成や社会における幅広い活躍の促進について、教育面から議論させていただいてきたところでございます。若手研究者の問題や、多様な人材の育成とその社会における活用を議論するには、大学院の教育課程から、その先の研究人材としての活躍促進について、民間での活躍も含めて、包括的に議論することが非常に重要ではないかと思っていたところでございます。
 そのような背景の下で、恐らく委員の皆様もそのようなつながった議論が必要であろうと思っていたところに、人材委員会と大学院部会の合同の部会が設定されて、短期間で深い議論ができるのではないかと思っております。
 私が主査を拝命いたしまして、より深く若手人材を活用する包括的な議論につながることを期待しているところでございます。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 簡単でございますが、御挨拶とさせていただきます。
 続きまして、佐野科学技術・学術政策局長より御挨拶をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術政策局長】  御指名ですので、御挨拶をさせていただきます。
 私、科学技術・学術政策局長を拝命しております、佐野と申します。どうかよろしくお願いいたします。
 このたび、主査からもお話がございましたけれども、科学技術・学術政策と高等教育政策の両方にとって非常に重要な共通の課題であります、科学技術イノベーション人材につきまして、特にキャリアパスの問題や、あるいは大学の人事システム改革について、集中的に議論していただくために、科学技術・学術審議会の人材委員会と中教審の大学院部会の合同部会を設置していただくことになりました。
 言うまでもなく、科学技術イノベーションの鍵を握りますのは、人材でございます。その質の向上と能力の発揮を進めていく環境を作っていくことは、非常に重要なことであります。今般、就任されました委員の皆様におかれましては、是非幅広い観点から御議論いただきたいと思っております。私どもとしても、今回、集中的に議論をさせていただいて、いろいろな形で政府で今後の方針を取りまとめるに当たって、スピード感を持って行っていきたいと思いますので、よろしく御指導賜りたいと思っております。どうかよろしくお願いします。
【宮浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、三浦高等教育局大学振興課長より御挨拶を頂戴いたします。
【三浦大学振興課長】  大学振興課の三浦でございます。
 本来でありますと、高等局長の義本が挨拶をしなければいけませんが、同時刻に国立大学法人評価委員会の総会が開催されておりまして、そちらに出席しておりまして、申し訳ございません。私から一言申し上げます。
 合同部会の設置の目的や背景等については、まさに今佐野局長からお話があったとおりでございます。この後、スケジュールの話も出てまいります。大変タイトなスケジュールで、かつ、非常に大きな課題について御審議いただくということでございます。
 大学院部会もその合間にスケジュールを入れておりますので、先生方にはお忙しいところ、まことに恐縮でございます。人材政策課と一緒に一生懸命事務局を務めさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
【宮浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、次に、議題2といたしまして、研究人材の育成・確保の現状と課題について議論をしていきたいと思います。
 本合同部会におきましては、先ほど事務局から御説明ありましたとおり、とりわけ、科学技術イノベーション人材のキャリアパスや大学の人事システム改革について議論してまいりたいと考えているところです。
 また、事務局としては、本合同部会の議論を「研究人材育成総合プラン(仮称)」の策定につなげていきたいものと聞いております。
 まず、研究人材の育成・確保をめぐる現状と課題とそれを受けた文部科学省の取組、また、本件に関係して、これまで示されてきた提言や今後議論すべき論点の案につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局より資料2-1から2-5に基づいて説明
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 資料を御説明いただきまして、また、近年取り組んできた施策についても関連をまとめていただいたところでございます。
 これから、意見交換に移りたいと思います。非常に膨大な資料で、何かにフォーカスすべきである点と、フォーカスできない点があると思いますけれども、特に最初話題になりました国際的な動向で中国が台頭する中で、我が国の状況が思わしくない、伸び悩んでいるということの原因の1つとして、研究人材、特に若手の育成確保にまだまだ問題があるということかと思います。
 それでは、どうすれば良いかという論点になりますと、博士課程、いわゆる学部及び博士前期から博士後期に一般学生の進学率が減っているという現状があります。その原因としては、経済的支援の重要性とともに、出口の問題といたしまして、若手研究者の雇用環境が不安定になっていることや、任期付き教員が近年非常に増えていることが大きな問題点であろうかと思います。運営費交付金が一定額の中で、人件費のウエートが若手に回っていないというのが大きな問題であろうかと思います。
 また、クロスアポイントメント等々をうまく利用して、何とか雇用環境を大学改革と結び付けて改善していかないと、根本的な解決に結び付きにくいという側面があろうかと思います。
 さらに、多様性や流動性、我が国の研究人材が民間と大学等の間を動かないということが以前より指摘されてきましたので、人材が動く仕組みを考えないといけないということとともに、外国人、女性を含めて、多様性の確保も未だ問題点が多いという状況でございます。
 何かに絞って議論することはなかなか難しいですけれども、まずは、ここが一番問題だ、あるいはここから議論したいと思っているという御意見がありましたら、委員の皆様、いかがでしょうか。
【川端委員】  少しだけ。
【宮浦主査】  では、川端先生。
【川端委員】  とても膨大な資料で、中教審でも、人材委員会でも、何度かこういう資料を見させていただいていて、ここでの議論をやっていくという観点で、私自体が問題点と思っているところを幾つかお話いたします。そちらを、次回も少しお話しできたらなと思います。
 1つは、データ的な話で、やはりここに並べられているデータが、幾つかの観点であって、例えばキャリアパスの話を私もいろいろ考えるところがあります。なぜドクターの進学率が上がっていかないかという話に関して、配布資料には、経済的支援が必要だとか、雇用がないからだという話があって、これは確かにそのとおりですけれども、彼らの意思決定プロセスというのはどうも違う気がします。彼らが修士課程からドクターに行こうとしたときの意思はいつ決定されて、何で決定されているか。
 行きたいと思う人間が、経済的な問題で行かないかというと、そういうわけではなく、お金が稼げるからドクターに行くという人間は大変少ないです。大体、我々が大人的に見るとこのように思えるけれども、若い人たちが意思決定するときに、そのような打算的な決定をしたかというと、そのようなことはありません。この点について、ドクターや修士、学部生も含めてマーケティングを一度行ったことがあるので、御紹介します。
 キーワードとして出るのは、彼らが意思決定するプロセスに対するリクルートという観点で、学振や教員の活動のタイミングが合っているかどうかというところが少し気になるところです。
 もう一点は、ポストドクターに関する雇用の話ですが、確かにポストドクターは10年前に増えて、彼らに職がないという話になって、その後、かなりの割合が特任教員に流れたという話になります。ポストドクターは響きが悪いから、特任教員にしようという動きです。
 では、特任教員はどうなったかというところの流れが必要です。
 その後、ポストドクター自体を調べると、確かに継続する人間が多いですけれども、実は彼らには彼らなりにマーケットがあって、5年というオーダーで見ると、かなりの割合は就職しています。
 そういう観点も踏まえて考える必要があるだろうという気がしています。
 最後の1点は、若手教員の話です。配布資料に本務教員に対する若手教員の占める比率とあります。こちらに、いわゆるここ数年の人件費問題があって、大学の人件費が多様な財源の元に、いろいろな人を雇用するということが可能になりました。 問題は、その方々の任期がどれぐらい短いかであって、例えば5年であったり、7年であったり、10年であれば、本務教員と同じ状況で、それが悪かというと、悪ではないと考えている人が非常に多いです。
 そのような意味で、数字に出すとこのようなことがキーワードになりますけれども、大学の財政も人事制度も含めて、現在、非常に変革しています。
 外部資金を獲得し、間接経費で新しく雇用する。それは、本務教員かと言われると、そうではない特任教員になっていて、外部資金の任期で切らずに5年とか10年全部足し合わせて雇用しましょうという制度が、いろいろな大学でスタートしつつあります。
 これからの本務教員と若手の関係は、もう一段、中まで踏み込んで問題点を明らかにする必要があると思います。 
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 非常に問題点が明確でした。来週、さらなるバージョンアップを期待しています。
さきほどお話しいただいた中で、運営費交付金型の本務教員とは何かという話題提供を頂いた点、非常に重要だと思います。
 定年延長の問題がありますけれども、クロスアポイントメントや年俸制を大幅に導入すると、どの経費で雇っても同じ教員となります。一部はパーマネントで、一部は5年や10年の任期があるものの、50代後半の方は、当然10年以内ですし、若い方も10年、20年、それがキャリアアップしながら他大学に移れば、結果として5年だとか、結果として10年だということになりますので、中をよく見て少し考え直すといった点が非常に重要な論点かと思いました。
 さきほど御指摘のように、ポスドクの問題が出てからは特任教員化して、特任助教が非常に増えて、それが3年任期、5年任期と言いながら、意外と5年ぐらいで見ていると、いろいろ移ったり、就職したりしているという事実もしっかり見て、全く動かないと画一的に論じるものでもないということだと思います。
 タイミングの問題で、学部生ぐらいから話をしておかないと、修士2年の博士前期2年ぐらいで、来年進学しましょうと言っても、環境が整っていないということはおっしゃるとおりだと思います。
 そのようにすぐできることと長期スパンが両方必要かと思いますが、民間の髙橋委員から何かございますか。
【髙橋委員】  どこに力点を置くかが大事と思っていまして、そういう意味では川端先生がおっしゃったのと少し違うかもしれないですけれども、やはり就職先が広がっていないというのは、1つ閉塞感にはつながっていると思います。実際、行く人間というのは、気にせず行ったけれども、迷っている層もいると思います。いろいろ考えた結果という学生たちも一部いると思うので、そのような方々がその先、例えば、非常にネガティブなデータが見えているという中で、進学を諦めるという現状もあるのではないか。
 論点としては、統計データを見ると、ボトムアップ的な発想と言いますか、ポスドクが1万5,000人いて、それをどうしようかの施策になるのですけれども、一方で、トップを念頭に置いている卓越研究員はそのソリューションになり得ませんよね。 例えば、国としてどちらを先に解決するか。国際競争力という話になると、恐らくトップを伸ばそうという話になるかもしれないと思いつつ、先ほども国別の、人数に依存する話ならば、ボトムを含めての対応になると思います。それらをうまく整理して、整理した後には、恐らく優先順位を付けて行っていかないといけないと思います。
 そのような意味では、例えば若手の率や、あるいは女性研究者の率といった、ダイバーシティーの目標数値は、決めて実行すれば達成できるはずです。一方で進学者を増やすことは、施策を打っても達成できない可能性があります。
 つまり、数字目標の比率は、強引に行えば、恐らくできる話です。例えば企業では、そのようなダイナミックなことを行うところもあるので、産業界側の視点で言うと、達成できる目標もありますし、議論になると思いますけれども、一方で本当に向き合って、施策として行っていかなければならないものもあると思います。そのような論点の整理が非常に必要だと思います。
 私が大学で博士を取った後、教員をしながら、学生時代に立ち上げた会社を同時並行で運営していたことを経て、今は会社の方にいますので、産業界側の立場から言いますと、産業界側から見たときのアカデミアは、アカデミアが自分たちはどう見えているか、思っているものと大分ずれがあると思います。
 私は、そのような意味では、産業界をより理解するような、インターンだけではない仕組みをいろいろ考えたら良いと思っています。特に産業界は、優秀な博士を欲しがっています。ただ、それが就職のタイミングで出会うと、どうしても人事に出会うので、ダイレクトに研究所で出会えないケースもあります。
 ある会社が言っていたのは、博士課程を取ってすぐの就職は新卒対応になるのに、1日でもポスドクをすると中途採用の枠になるとのことです。それは、アカデミアから見ると、スキルは変わらないではないか。でも、そのような中でも、やはり企業というもののカルチャー、仕組みの中で見たときに、どのように人材が見えるのだろうかというところがいろいろあると思います。
 そういう意味では、大学側から産業界を理解する。逆に言えば、産業界の立場に立って、どういうものが大学の魅力的なアセットになるかという視点もあります。
 最近、私が試みている1つを紹介しますと、実は科研費に採択されなかった申請書を先生方に預けてもらっています。企業はそのようなものに大変興味を持ちます。結局、予算が付いて、知財になって、シーズ集に乗るよりも、もっと前のアイデアでそのようなものを持つ先生とつながれたら、企業にとっては大変魅力的です。
 まず研究活動で先生と知り合ったり、若手と知り合ったり、そのような現場が産業界とのクロスアポイントメントにつながったり、研究活動を1つの軸にして、産業界側の事情も見た感じのつながりみたいなものを設計していくと良いのではないかと思います。
科研費の採択率は4分の1ぐらいだと思いますから、100考えたアイデアのうちの75は、仮説検証の一歩目にも立てずにシュレッダー行きになっている状態だと思います。そのような資産が大学には多く眠っていて、産業界側も、オープンイノベーションと言っている中で、そのような人たちとのつながりに関連づけて、キャリアの話に行けると、非常に面白いのではないかと思います。
 そのような意味では、産業界との出会いのタイミングをどう設計すれば良いだろうか。あるいは、出会い方です。私も企業をしている身としては、就職したい人を雇いたくないのです。研究したい人を雇いたいのです。ただ、それは大学と取り合いになります。大学は10年ぐらい掛けて、学部、修士、博士と育成してきて、この研究者はすばらしいという人は、みな雇ってしまいます。この人たちが、企業も欲しい人ですので、私はクロスアポイントメントは非常にすばらしいと思います。
 他には、産業界との出会いのところを、就職活動以外でも見ていく。例えば、学振との出会いも多分そうだと思います。どのタイミングかというのをしっかり設計すれば良いと思います。
 もう一つ私が思っているのが、リーディングやエッジなど、いろいろな取組の検証をよりしっかりできたら良いのではないかということです。各大学が特徴的な仮説検証をして、報告書には、恐らく良いことしか書いていないと思います。
 一方で、失敗したというのも、私は大事なデータだと思っていて、そのようなものを学術的に検証して、このようなものはマッチしなかった、または成功したというものを横串に刺すような検証が多くあると、同じような失敗を別のところが繰り返すこともなくなるのではないかと思います。今、私自身も、この点に非常に興味を持って、一部リーディングでお手伝いさせていただいたイベントで学術の論文を頑張って書こうと、社会科学系の先生と動いています。何かそのような取組ができていくと面白いと感じました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 博士学生の出口の問題の就職で、ポスドクを1日すると、あるいは特任教員を1日すると、もはやマーケットとしては全て中途採用になってしまう。そちらはおっしゃるとおりで、年齢やキャリアもほとんど同じなのに、真っすぐ出れば新卒採用、大学の雇用システムにわずかでも入れば中途採用。その点が本質的におかしい部分もあって、やはり博士後期の学生が通常のエントリー型の就職活動に入ること自体が問題であろうと考えます。
【髙橋委員】  企業に言われたのは、だから1日でもポスドクやってほしいという話だったのです。普通の新卒採用では人事マターになるが、中途になると研究所マターになるんだと。全ての企業がそうだとは言いませんが、採用の仕方を工夫するだけで、変わる可能性があることは、大きな示唆だと思います。
【宮浦主査】  研究所がこの人材が欲しい、このような領域の人材が欲しいと言っても、採用マターになると、全て人事に話が流れていき、思うようにその人をピンポイントで取れるかという話題も聞いたことがあります。より良い人材を有効に活用したいというのは、産業界とも共通した考え方ですので、より踏み込んだ議論をする余地があるように思います。
【髙橋委員】  可能性があると思っています。
【宮浦主査】  他には、重要なことを言っていただいたのは、キャリアパスの問題と、実際に共同研究などの研究内容をセットで、常にリンクさせながら博士人材の場合は考えていくべきだということです。企業は、就職したいという人に会いたいのではなくて、研究したいという方に会いたいということです。
【髙橋委員】  完全にそうです。
【宮浦主査】  採用は採用、研究は研究となっている部分を、うまくリーディングやエッジの経験を生かして、横串的に機関ごとに持っているノウハウを民間側でも大学側でもシェアするようなシステムがあるとよいのでしょうか。
【髙橋委員】  そういう意味では、卓越研究員の民間の部分は少し課題があります。恐らくたくさん指摘が出ていると思うのですが、そのようなところは逆に期待値もあると感じています。
【宮浦主査】  卓越研究員は、システムを使って課題になっていることをうまく盛り込んで、よりよくできるチャンスでもあります。
【髙橋委員】  そうですね。ただ、そちらが本来、就活のものなのかどうかというのは、要検討だと思います。テニュアトラックや、そのような流れを考えた上での卓越研究員制度とは何ぞやというのは、別の議論としてあると私は思うのですが、一方で、民間もそのようにして研究活動に入って、キャリアを含め考えられるような場作りができているという意味では価値があると私は考えています。
【宮浦主査】  博士後期課程の学生と一口に言いましても、やはり分野によって状況がかなり違うと思います。人文系、社会学系、工学、理学、農学、保健で、もちろん保健などは、ほとんど就職率は100%に近い世界があります。比較的工学系ですと、多くが民間に行きます。理学系の特色や社会学系の特色、それぞれあると思います。なかなかトータルで議論するべきところと、やはり分野を意識した議論も重要だと思うのですが、沼上委員、そのあたりいかがでしょうか。
【沼上委員】  私の理解では、理科系の直面している問題と、社会科学系の直面している問題は随分違う問題です。 私が今回参加している立場は、基本的にうちの大学の立場は全く関係なしに、私自身はイノベーションの研究者だったので、理系とビジネスの間の関係についてのところで少し貢献できるかなと思って、今回参加させていただいています。
 私は半分、経営戦略論をしている立場なので、今回の議論を全体に見させていただいたときの印象は、経営戦略の基本は基本的に選択と集中です。今伺っている限りでは、我が国の理系の教育は、極めて難しい悪循環に入っています。非常に優秀な人がドクターに進みにくい状況になっていて、修士が最適解になっています。修士が最適解になっているので、企業も修士を取りたがっています。ドクターを取るのに躊躇しています。恐らく、そうであるがゆえに、またドクターに進みにくくなっているという、ある種の悪循環に陥っているのではないかということが、今伺っている限りでの私の印象でございます。
 そうなりますと、その悪循環を克服するのは、基本的には物すごく集中が必要です。恐らく3年から5年にわたって経営資源をある特定分野に集中的に投入しないといけないという状況にあるのだろうと思っています。そのためには、この悪循環の根源はどこかということを考えないといけません。
 これは、官僚の方にこう申し上げるのは本当に酷なことだと思うのですが、このように表があって、全部が埋まっていること自体が、選択と集中ができていないということになってしまいます。
 しかし、官僚の方々は、恐らく減点法で、あちらができていない、こちらができていないと周りから言われるので、答えを全て用意しなければならず、この枠が全部埋まってしまうのだと思います。
 しかし、経営戦略の考え方からすると、あえて目をつむり、ここは当分捨てるというように考えます。、「残念ながら、ここは対応できません、この危機的状況を救うには、ここに集中せざるを得ません」というストーリーを作っていかないと、この状況を抜け出せないのではないかというのが、私が今、理解している限りでの我々の直面している問題ではないかと思っています。
 今、聞いた限りの話では、川端先生のおっしゃっているとおり、少しお金を与えれば直るかと言われたら、恐らく直りません。それは、お金に反応しやすい人が反応するだけで、多くの人は必ずしもお金に反応して言っているわけではないので、必ずしも直らないでしょう。
 根本的なところはどこにあるのか。身近に理系の大学院生がいないので即断はできませんが、恐らく大学院に行き、ドクターまで行き、すごく格好よく活躍できる、すごく充実した人生が送れるというキャリアのイメージが現在の学生には描きにくいということでしょう。その状況に置かれてしまっていることが現状の問題だろうと、私はこのデータを見る限りでは感じています。
 例えば理系で大学院に行くと、Googleに就職できますとか、そこでも物すごくイノベーションに関与できますとか、そのようなものが続々出てくるようであれば、恐らく多くの人は憧れて行ってしまうということがあるのだろうと思います。それが、どこかで就職するのでしょうが、今どうなっているかは分からないですが、必ずしも活躍しているわけではないキャリアになってしまう場合には、行きたくない、という気持ちになってしまいます。
 恐らくこの悪循環を克服するためには、かなり抜本的な、今までの発想とは違う打ち手を打つということと、悪循環は、1年、2年、政策を取っても克服できないので、かなり継続的に数年間にわたって特定分野に集中的な手を打たないと克服できないのではないでしょうか。これが、私が受けている印象であります。
 他にも、細かい点で幾つか聞きたいところがありますけれども、これはまた後日、事務方にお伺いすればいいと思うので、全体として受けた印象はそういう印象でございます。
【川端委員】  先生たちが言われる話は本当にそのとおりだと思います。もう二点ぐらい、どうしても言いたいとずっと思っていることがあります。
1つは、リーディングも卓越大学院もGCOEもそうですが、大学に対する施策は、以前、いろいろな大学に多様な取組をしてもらう時代が一時あって、その後、大学院教育改革をはじめとして、集中的な施策に移っていきました。そして、結局10年ぐらいたって、ドクターの数は増えていかない。
 次にするべきことは、やはりボリュームを出す施策なのです。いろいろな大学がいろいろな取組をしない限り、これは解決しない。日本じゅうを1個の取組でまとめようとすると、結局それでは解にはならないのです。
 ドクターコース全体を取ったとしても、半分ぐらいRU11系のドクターがいますけれども、あと半分はそれ以外の大学、80大学とか、そちらにいるわけです。そこもまとめて動かない限り動きません。
 「ばらまき」と言われてしまうとつらいけれども、1点、そこに向かっての施策が必要なのだろうという気がしています。
 もう一点は、10年前は、ドクターが民間に行くということに関して、教員からも猛反発されて、民間からも来てくれるわけがないだろうと言われて、ドクターからも「そんなところに行きません」と言われた中で、キャリアパス事業がいろいろな形でスタートした。それが10年ぐらいたって、ドクターはいいねと思える企業さんが、ある割合で出てきましたし、ドクターの人間も、私は別にアカデミアでなくていいという人間がボリュームとして出てきているという意味で、意識がかなりしっかりしてきました。一方、先ほど髙橋さんが言われたように、そちらをマッチングさせたり、いろいろなことをしたりするには物すごくノウハウが必要で、やはりタイミングでいろいろなやり方がありますが、それが本当に各大学で支え切れるかどうか。大手でも、これを支えるのはすごく大変な状況なのに、では、中規模から小規模の一大学ごとにそれができるかどうかというと、ある意味では、ひょっとしたらナショナルセンター的なものの方が全体としては動きやすい部分があるのかもしれません。
 最後の1点は、このような話をすると、最後の最後、誰が全体のバランスを取るかということです。教育においては、いろいろなことをすればするだけいい。でも、その分研究時間が消えていく。では、支援者を増やせばいいとなり、その人件費はと言うと、研究者を減らすのだとなると訳が分からない。要するに、全体のパイが増えない中でどうマネジメントしていくかというアドミニストレーションの部分が非常に大切になってきています。
 これについては、同時並行で大学経営者を育成することが重要です。大学経営者は、鞭だけでは育たないので、育成するという観点での施策も同時に必要です。間接経費を付ければ、それで経営者が育つかというと、それだけでは育たないので、いろいろな取組が並行してあっていいのかなと思っています。
【髙橋委員】  少し漠とした話になってしまうかもしれないですけれども、大学経営という話をいろいろな大学の先生方としているときに、すごく違和感があるというか、ずれていると思う点が1点あります。
民間企業が何のために経営していますかと言うと、理念の達成のためなのです。要は各社、自分たちはこれに向かってするのだと。逆に言えば、それに賛成できない人は1人もいない状態でやっているのが1個の経営体です。
 例えば総合大学に、1つの理念でまとめられる言葉はあるか。全員がそれにはうなずくものが、今はないのではないかと。どうしても社会に向けた工学的な研究が大事だ、いや、理学が大事だ、あれやこれやという議論になっている中で、自分たちが原点に帰るような理念をきちんと作ることが、実は経営の基本なのです。寄付金を取ることや、外部資金を稼ぐといったものが経営だというのは、大きな誤りだということが、なかなか大学の経営の方々に理解いただいていないのではないかと感じることがあります。
 恐らく、そのような考えがないと、大学ごとの多様性も生まれてこないと思っていて、そうなりますと、結局施策も何もかも全部同じになってしまってくるので、そういう意味で、特に旧国立大学、独法化された大学たちに関しては、経営というのであれば、1つ1つ理念を決める必要があります。それは、学長が変わったら変わるものではだめなのです。大学が潰れるまで、潰れては困るのですけれども、続くような何かを作るという動きが、私はすごく大事だと思っています。
 ある先生が、あれは経営体ではなくて、集団なのだとおっしゃっていました。大学の教授会や理事会がただの集団になってしまっていると。このようなことを、内部にいる先生方がおっしゃっている状況もあるので、このような意味でどう経営をしていくかというのは、非常に大事なのではないかと感じています。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 先ほど、選択と集中である程度、集中的に施策を打って戦略を考えた方がよいという非常に貴重な御意見を頂いたのですが、では、どこに集中するかという問題があろうかと思います。いろいろな問題点がある中で、どこか最も有効なところ1か所、あるいは2か所に集中して、それを数年間集中的にして、それに波及効果として、自然に国際状況や進学状況なども改善してくるのではないかという考え方もありだと思うのです。
 いろいろして、これもしてみよう、ということで10年してきて、思うように右肩上がりになっていないといいますか、そういう悩みを考えると、逆にどこに集中すべきか。これもまた結構難しい問題です。
【川端委員】 
 それこそ、私がさきほど言ったように、余り大規模になって、平均化して、統計化すると訳が分からなくなるので、徹底的に小さなところを特区化した方が、成果も課題もはっきりするというのが私の何となくの感覚です。昔されていた大学院教育改革GPのように。焦点化して、キャリアパスを変えるため、できることを全部してみて、先生が言われたように何かが変わるかどうかという集中の仕方ができると、何かが変わるのではないかと思うのですけれども。
【宮浦主査】  それは、ある程度、自由裁量のGP的なもの、「うちはこれに掛けたい」とか、「うちはこれに集中したい」ということを、アイデアも含めて提案してもらって、数年間やってみると。
【川端委員】  例えば。
【宮浦主査】  それで、各機関で状況や課題がかなり違います。共通点はもちろんあるのですけれども、そういう方法もありだろうと。
【川端委員】  その上で、さきほど言われたように、失敗したというのも貴重なデータで、それが共有化されながら、どう拡大していくかという方法が利口な気がしますけれども。
【沼上委員】  今日聞いて、今日集まっただけで、どこに集中すればいいかが分かったら、もっと簡単だと思うのですけれども、残念ながら即座に分かることではないと思うのです。
 今、川端先生もおっしゃったポイントに付加して申し上げると、恐らく、個々の大学が選択と集中をして工夫していく部分と、国全体の政策として選択と集中をするという部分と、恐らく2階層に分かれるのだろうと思います。個々の大学は大学で、各自の置かれた状況に応じて、最大限の努力をしていく。これはこれでやらなければならないことだと思うのです。
 国全体として見ると、例えば、先ほど髙橋委員のおっしゃったような出会いの場をどう作るかというところを徹底的にする。実は、その出会いの場がしっかりできていれば、かなりの人があちら側にもすごく活躍する世界があるということを大学院生の方も分かるし、会社の側も、こういう人がいるということが分かります。
 そうなると、出会いやすい領域はどこかとか、出会いの場というのは、どういう政策で作っていくと一番効果的かとか、その種の議論というのは、あり得なくはないと思うのです。それが、今、解決策になるかどうかについては、まだ分からないのですけれども、1つの考え方としては、その種のところにどういう政策を打ち出していくかというのを集中的に考えるというのも1つの切り口になるかと思います。
 いずれにせよ、階層を2つ分けて、大学別に自由に選択と集中するべきところと、政策としてどこにスポットライトを当てていくかというのは、2種類議論があるだろうと思っています。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 2つの層で選択と集中ができるシステムがいいのではないかというお話で、キャリアパスの人材のマッチングの問題は、恐らく、先ほど川端委員からお話があったように、各大学がやるのが非常につらいと思います。いろいろな取組の中で行ってはいるのですが、それは体力にもよりますし、規模感も違うという中で、やはりナショナルセンター的に行った方が非常に有効ではないかと思います。
 例えば、現在の卓越研究員の出口はアカデミアも民間も両方ありとなっていますが、一定期間、出口は民間のみのものをして、どういう状況になるか眺めてみると、応募してくる応募者の色がかなり変わる可能性もありますし。
【髙橋委員】  それは、私はすごくいいと思っています。というのは、いわゆる人材紹介業的に博士の就職をお手伝いすることがビジネスとしてあるのですけれども、例えば大学のキャリアセンターに行くと、物すごくリストを渡されるのです。うちにはこんなに登録がありますと。人材派遣会社なら、人数が多いのはすごく価値だと思うのですが、逆に博士人材に関しては、その中のこの人がピカイチでというのが、実はすごく聞きたくて、そのスクリーニングというか、フィルターの部分を大学側が担っていただく。それは、大学にとっては非常に勇気が要ることだと思うのです。
 ただ、一方で、採用するか、しないかという見分けは、一瞬の出会いや面談数回では分からないのです。私が研究活動で出会うといいなと言っているのは、そこでフィルターが掛かるのです。
 例えば、これも次回紹介できたらいいなと今思ったのですけれども、民間予算で若手研究者向けのグラントを準備すると、自分で手を挙げて、自分のアイデアを持って突っ込んでくるというフィルターが掛かるから、母集団としては10人、20人なのですけれども、最初、採用目的ではなくても、そちらから彼を採用したいと言い出す人もいるのです。
 ただ、一方で、シーズ集も全く同じ構図ですけれども、うちの大学には何百人、何千人の優秀な博士がいますと言われて、どんと、渡されたときに、では、その中のどれがお勧めですかの部分のコンシェルジュ的なものをどこが担うか。
 私は、研究活動というのは、自然といいフィルターになるから良いのかなと思っていて、そういう設計も少し大事なのかなと思います。
 特に、先ほど言ったとおり、ポスドク研究者の採用には研究所が関わるケースが多くて、いわゆる大量に流していくような人事の仕組みは持っていないので、100人のリストから検討するのは不可能です。そういうところにマッチした形がうまくできていくといいのかなと感じています。
【宮浦主査】  その研究にリンクした人材の活用の場のマッチング的なシステムを国全体でも考える。また、個々の大学が、研究内容も含めてフィルター機能に関与して、そういう新しいシステムを一緒に作っていくというのが1つかと思います。
【川端委員】  今のキャリアパスの話についてもう少し補足すると、キャリアパスは10年前ぐらいからスタートして、そこでマッチング系の方々とか、一体どこをどうしたらドクターたちが動くとか、そういうノウハウが積み上げられました。でも、それがしっかりできるのはやはり中規模から。さらに小さなところは、とてもそんなものに人を割けないという状態です。
 大学的ですけれども、ともかくこういう機能は俗人的になっているのです。キャリアパスのノウハウは、ほとんどそういう人に蓄積されていて、10年たって、そろそろそういう方々がみんなリタイアを迎えているということが、今の日本中の動きです。
 ノウハウを持った人が集団でいれば、1人辞めても、また1人そこにいて、どうにかなるのだけれども、1人だけでしていると、引き継がれない状態になってしまう。これは別に小さな大学だけではなくて、大手の大学でも起こっていて、ノウハウ的なものも含めて、どこに蓄積していくかというところで、ナショナルセンター的なものに蓄積できれば、いろいろな動き方ができる。それを、大手だけではなくて、中規模も小規模も、みんながそれを使えるようになる。
 しかも、そこはただのマッチングで済まない。いろいろな方と議論すると出てくるのですが、ドクターの人間のかなりの割合は、民間に就職をしようかなとふと思ったときに、次の一手で何をしたらいいかが分からないのです。マスターの場合は、周りがみんな一緒になってやっているから、それと同じことをすればいい。ドクターの場合は、最初に一体どうすればいいんだろうとなってしまう。
 かといって、修士と同じようにやってもうまくいかない。中身は全然違うんだということがなかなか理解されていない。最初に相談に乗れる人が必要です。これは、SNSでよくて、別に各大学が持っている必要はないのだけれども、ナショナルセンター内にそういう人がいて、SNSだとか、いろいろなものでそういう相談に少し乗って、「ここからやったらどうですか」とか、「こうやったらどうですか」と言う人がおられて、そこにいろいろな大学がつながっていく形が考えられる。
 あくまでもキャリアセンターは、学生支援の立ち位置で、学部生向けに作られているから、来たデータを右から左につなぐという立ち位置です。一方、ドクターの場合は、ただの支援だけではなくて、そこに育成があって、つなぐという話があるので、そこの立ち位置を含めると、やはり各大学よりは、ナショナルセンター的な動きが必要。今、JREC-INだとか、いろいろな方がそういう動きを一緒になって検討されておりますけれども、恐らく支え切れない部分で、もう少し大きなことを考えなければならないのかもしれないです。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 JREC-INの博士版みたいなものは議論したこともあると思います。
【川端委員】  そうです。
【宮浦主査】  そういうシステム上の工夫と同時に、酷な大学では、きめ細かくやっている方がいなくなったら、相談窓口が非常に難しいという事態も発生しているので、それをつなぐようなナショナルセンターが考えられます。その大学の学生しか相談できない各大学の窓口ではなくて、ナショナルセンターで、各大学の学生が相談できるような。
【川端委員】  博士限定。
【宮浦主査】  博士限定。出口は民間限定でしょうか。【川端委員】  先日議論したときには、余り民間や企業という区別を付けること自体がおかしくて、研究職ですという中にいろいろな切り口の方法があるという立ち位置もいいだろうというアイデアも出ていました。
【宮浦主査】  社会科学系の博士、あるいは人文社会学系の博士の方の出口として、そういうナショナルセンター的なシステムができたとしたら、若者がそこにアクセスするニーズはいかがですか。
【沼上委員】  基本的には、社会科学系はまた別の問題がいろいろあるので、また随分違うタイプの問題になると思うのです。基本的には、社会科学系のドクターのニーズは、既にマスターを持っている官僚の方々が社会人としてもう一回学ぶというものが多い。官僚の方々のように、エビデンスベースドの相当高度な分析を必要とするような政策立案をしなければならない局面に対応するため、ドクターのトレーニングは必要だという人たちが一方にいる。あるいはコンサルティングファームとか、リサーチをやっている会社のように、博士号を持っているということ以上に、博士号のトレーニングを経ていることに伴う極めて強力な方法論的に身に付いている力が必要な業種は幾つかあって、それは必ずしも理科系の研究所勤務とか、開発センター勤務とかの人たちとは違うタイプのキャリアになるので、この辺は必ずしも課題が同じだという感じではない。むしろ、今の文系は、どちらかというとマスターの需要がやっと立ち上がり始めたというぐらいの状況だと思います。
 うちの大学のことを余りしゃべらないつもりで来たけれども、一応、今回、うちは商学研究科と国際企業戦略研究科を1つにして、経営管理研究科というものを作って、夜間の講義を始めることにしたのです。1回目の募集は、まだ公表直後だったので、余り集まらなかったです。それでも数倍。2回目の募集は、15人のところを150人来ました。それは、社会人が修士を学ぶというカテゴリーが相当出てきているという、今そのぐらいの状況なので、ドクターはかなり限定されたマーケットです。
 しかし、理科系は、全世界的に見ると、ドクターが極めて適切なというか、当たり前のトレーニングになっています。これをどうするかが、日本という国の喫緊の課題だと思っています。恐らく、随分違うタイプの問題に直面しているということで、一応、切り分けて考えています。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 国際的には、PhDが少なくとも理系では当たり前になっていて、企業の民間、アカデミア限らずですけれども、日本では基本的に博士を持っているという状態になっていません。
【川端委員】  もう一歩踏み込んで、ドクターの学位プログラム自体に文理融合ではないですけれども、いろいろな意味で文系の方と一緒にカリキュラムをいろいろ受けていくというラインが動こうとしていますが、それについてはどうお考えでしょうか。
【沼上委員】  これは、実は物すごく大事だと私は今思っています。 今、インダストリー4.0と言われていますけれども、以前はロボットと言われていました。ロボットという、一応センサーがあり、物作りであるものが、次のターゲットインダストリーだと言われていました。
 物を考えるときに、ロボットと言って政策を考えるのと、インダストリー4.0と言って物作りの体系を全部見直すと言っていることと、構想の作り方が全然違うと思うのです。
 これは、SAPみたいなものがドイツにあるから、こういうような発想になるのだと思うのですけれども、やはり物作りのメーカーの視点から積み上げていくと、ロボットにいってしまうのです。
 でも、コンピューターサイエンスの、しかもコンピューターサイエンスの中のソーシャルシステムをどう設計するかという発想まで含んだコンピューターサイエンスの側から見ると、インダストリー4.0が出てきます。それは、やはり我々の国がいかに理系の人たちも社会システムをどう設計するか、社会をどう設計するかという発想を、若いときからどれだけ仕込むかというところがものすごく重要だというのが、今の私の問題意識です。
 ですから、学位プログラムのようなものになって、文理融合というか、せめぎ合うような部分を幾つか作っていかないと、日本の次の時代の新しいアイデアは出にくいと思います。今持っている技術力をどう積み上げていくと何ができますかということとは違うところから下りてこなければなりません。そういう発想の仕方をしなければいけないので、そのための人材を作るには、社会科学系と自然科学系の融合みたいなものがものすごく大事になってくるだろうということが、今、私が感じているところです。
【川端委員】  今、文系で言えば、やっとマスターまでの話がかなり出来上がってきたところで、その先に文理融合の話が始まっていくと、どのような接続性になりそうなイメージですか。
【沼上委員】  私の理解では、やはり初めは、まず理系のマスターを持っている人に社会科学系のドクターを取らせるのが1つの方向性だと思っています。あるいは理系のドクターコースの中に社会科学系のある種の教育プログラムを組み込む。このどっちかだと思います。だから、先に発達するのはそちら側だろうと思っています。
 私は経営学者なので、経済学者と少し違うのです。経済学は、もう数学ばりばりの、メカニズムをどうデザインするかという学問なので、実は、理系のある種の人たちとは極めて親和性が高いのです。だから、理系のある種の人たちと経済学のプログラムをうまく組み合わせるというようなことをしていくと、かなり違うタイプの人材がこれから生まれてくる可能性はあると思っています。
【髙橋委員】  面白いですね。どこに話が来るのか。
【宮浦主査】  今の議論で、理系の、特にPhDの場合、この技術を何に使うかという論点で、どうしても考えがちですけれども、社会科学系のフィールドから考えると、どういう社会を作りたいか、世の中を作りたいかから考えるという視点の違いを、特にドクターの学生には、文理融合でインプットしないと、その部分が非常に欠けている部分で、理系のマスター人材にこそ社会学系のドクターを取ってもらうということは、非常に面白い発想だと思います。
【川端委員】  今、何故このような話をしたかというと、さきほどのキャリアパスにしても、ミスマッチにしても、いろいろなものが今までの考え方で整理すればこうなのだけれども、これから作ろうとしている人材像というのは、先生が言われるような方向にいろいろな意味でシフトしていきます。とすると、それに応じた対応みたいなものを考えないといけないという気がして、今少しお話ししました。
【宮浦主査】  キャリアのマッチングは、やはり研究サイドから、一緒に研究しながらという部分と、今の社会科学系の新たな社会を作るというイメージについて、髙橋委員、いがかですか。
【髙橋委員】  今シードアクセラレーターの取組を会社で行っていまして、自分の技術を社会実装してビジネスを生み出そうという年間何百チームもの先生方や若手と議論するのですが、やはりそこで、そもそも何のためにこれを行うのか、どういう世界を作りたいのか、今、何が社会で課題なのかというパーソナルなパッションの部分と、他には社会はどうであるか見ることをすごく議論します。 逆に、技術の詳細については、ブラックボックスだけど、すごいものがあるんですで、ある意味よいのです。
今、先生のおっしゃっているお話を聞きながら考えていたのはそこで、きっとシードアクセラレーターで私たちが行っている取組というのは、もう博士を取った理系の先生方が、社会の中で、その意味付けは何だろうというのを議論するところなのかなと。
 逆に、そちらがあれば投資が付くわけではないと思うのですが、社会側からのニーズも、ただ単にすばらしい技術のロボットがあればいいという話ではなくて、インダストリー4.0的な、もっと全体感のものが見えてくると良い。その意味では、きょう、私は場の話ばかりをしている気がするのですが、EDGE-NEXTなんかでやっているアントレプレナーみたいな文脈の中で動いているプロジェクトの中でも、それと社会はどういう接点があるだろうと議論することができて、それは、専門性を磨いたり、ビジネスモデルを考えたりするのとは、私は違う話だと思うのです。そのイントロにつながるような、そもそも何でこれなのかという発想に持っていくようなものを、もしかしたら教育的な観点からも作ることができるのかなという話を、今お話を聞きながら感じていました。
【宮浦主査】  いろいろ御意見を頂き、次につながる議論ができたでしょうか。
 次回は、委員の皆様から資料を頂きつつ、さらに活発な議論につなげていければと思っております。
 それでは、事務局より当面のスケジュールについて御説明をお願いします。
【広瀬基礎人材企画係長】  事務局でございます。
 資料3に基づきまして、当面のスケジュールに関して御説明させていただきます。
 第2回の合同部会におきましては、研究人材の育成・確保に向けた取組につきまして、各委員より発表を頂きまして、討議いただくことを予定しております。
 具体的には、研究人材の育成・確保をめぐる諸課題、今後の対応に関する御意見を各10程度、御発表いただきまして、その後、質疑応答の時間を設けるという形で議論を深めていくことを予定しております。
 つきましては、大変お忙しいところ恐縮でございますけれども、御意見につきまして、本日の会議資料、議論内容等を御参考にしていただきながら、資料を御準備いただきまして、3月22日の木曜日までに事務局に御送付いただくようお願いできましたらと存じます。
 また、様式、枚数等は自由でございますけれども、もし発表時にプロジェクターなどを御使用なされる場合には、その旨、御連絡いただきましたら、御準備させていただきます。
 詳細に関しましては、事務局から改めて御連絡させていただきます。
 御不明点等ございましたら、事務局まで何なりとお尋ねいただけましたらと思います。
 その後のスケジュールとしては、現時点では、第3回、第4回の合同部会において、この件に関する知見をお持ちの有識者の方からヒアリングを実施して、議論を深めていくことを予定しております。
 その後、5月の第5回合同部会において、論点整理の素案を御審議いただいた上で、6月をめどに論点整理の取りまとめというスケジュール感で進めていくことを考えております。
 このスケジュール感につきましては、今後の審議状況等を踏まえまして、変更の可能性がございます旨御承知置きいただければと思います。
 資料3、スケジュールについては、以上でございます。
 続いて、幾つか事務連絡をさせていただきます。
 次回、第2回合同部会の日時につきましては、3月30日、金曜日、午後2時から4時を予定しております。委員の皆様におかれましては、追って、開催場所や詳細を含めまして、御連絡させていただきます。
 本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通し頂きまして、主査に御確認いただいた上で、文部科学省のホームページで公表させていただくこととなります。
 また、本日の会議資料でございますけれども、机上に置いていただきましたら、後日、事務局より郵送させていただくこととさせていただきます。
 以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、予定の時刻でございますので、本日はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。


―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

人材政策推進室
電話番号:03‐6734‐4051(直通)
メールアドレス:kiban@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局人材政策課)

-- 登録:平成30年10月 --