人材委員会 次世代人材育成検討作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成27年6月11日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省5F2会議室

3.議題

  1. 次世代の科学技術イノベーション人材育成について
  2. その他

4.出席者

委員

塚本主査、千葉主査代理、飯澤委員、大島委員、隅田委員、立澤委員、長谷川委員

文部科学省

川上科学技術・学術政策局長、岸本科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術総括官、柿田人材政策課長、唐沢人材政策推進室長他

オブザーバー

佐藤筑波大学生命環境系教授、尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター、高城科学技術振興機構主任アナリスト

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会
次世代人材育成検討作業部会(第2回)

平成27年6月11日


【塚本主査】  それでは、定刻でございますので、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会次世代人材育成検討作業部会の第2回を開催させていただきます。
 本日は宮浦委員が欠席されておりますが、定数8人に対して7名の出席ですので定足数を満たしております。
 議事に入る前に、事務局より配付資料の確認等をお願いいたします。
【唐沢人材政策推進室長】  それでは、私の方から配付資料の確認に入ります前に数点御報告を申し上げます。この次世代人材育成検討作業部会は、去る5月27日に第1回を開催いたしまして、本日が第2回になります。第1回の会議を御欠席し、で本日から参加いただいている先生方が2名いらっしゃいますので、この場をお借りして御紹介させていただきます。飯澤委員でございます。
【飯澤委員】  飯澤でございます。よろしくお願いします。
【唐沢人材政策推進室長】  大島委員でいらっしゃいます。
【大島委員】  大島です。よろしくお願いいたします。
【唐沢人材政策推進室長】  また、本日は議事次第にございますように、意見発表といたしまして3名の方にお越しいただいています。はじめにこの場を借りて御紹介申し上げます。
 まず、資料1にございますように、女子の理数系の興味・関心の喚起に関する意見発表を頂く予定の科学技術振興機構、理数学習推進部、主任アナリストの髙城英子様でございます。
【髙城科学技術振興機構主任アナリスト】  髙城です。よろしくお願いいたします。
【唐沢人材政策推進室長】  また、資料2にございますように、当方のグローバルサイエンスキャンパス事業に関する取組事例といたしまして、本日は筑波大学より2名の方にお越しいただいております。生命環境系教授、GFESTプログラムリーダーの佐藤忍様でございます。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  佐藤です。よろしくお願いします。
【唐沢人材政策推進室長】  同じく筑波大学GFEST事務局、GFESTコーディネーターの尾嶋好美様でございます。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  よろしくお願いいたします。
○事務局より異動のあいさつ、及び配布資料について説明。
【塚本主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、議題1に入らせていただきます。
 まず、科学技術振興機構の髙城主任アナリストから、女子中高生の理系進路選択についてプレゼンテーションをしていただきます。よろしくお願いいたします。
【髙城科学技術振興機構主任アナリスト】  髙城です。どうぞよろしくお願いします。資料の関係で座らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 JST科学技術振興機構の髙城英子と申します。今回はJSTが今までやってまいりました女子中高生の理系選択に関する事業の取組、その中で見えてきたもの、また、私の30年ほどの中学校理科教師としての経験を踏まえてこれからの、特に女子中高生の理系選択について意見を述べさせていただきたいと思っております。
 JSTでは7年間、女子中高生の進路選択の支援を全国の大学等でしてまいりました。多くの方に参加を頂き、OGとのつながりや積み重ねがあり、成果も大きいのですけれども、その中で改めて中高生の声を聞きながら検討してみたいと考えました。
 具体的には、昨年度、サイエンスアゴラ2014という場がありましたので、理系の進路選択での悩みや障壁について、直接、女子高校生から話を聞きながら検討するシンポジウムを考えました。それに向けまして、事前のアンケートやワークショップを行いながら検討してみたいということや、ダイバーシティの考え方から、当日には男性の方にも参加していただきながら進めていきたいと計画をいたしました。
 まず、事前のアンケートですけれども、幾つかの学校を対象に、9月から10月にかけてアンケートをとらせていただきました。アンケート実施先が限られ、少し偏りが出てしまう、又は、女子のデータが多くなってしまうなど、全国の高校生の男女の姿を見るというわけにはいかなかったのですけれども、少しずつ高校生の様子はつかむことができました。
 その中の幾つかを御紹介したいと思います。これはまず、「相談するときにどなたにしますか」ということでアンケートをとらせていただきました。やはり予想していたとおり、圧倒的に「母親」に相談するということが多かったです。続きまして、「先生」「父親」と続きましたけれども、この中で男女差というのはほとんど見られませんでした。
 また、保護者の意識について高校生がどう考えているかを、自分の保護者について聞いてみましたけれども、「大学の進学」を希望している保護者が9割を占め、「理系・文系」の進路についてはほぼ同数、又は本人に任せるということで、高校生の自主性を尊重している姿が見えてきました。
 この次がなかなか面白かったのですけれども、高校生の文理選択に対してどのようなことで悩んでいるかということを聞いてみましたら、少し男女の差が出てまいりました。まず、男子のグラフについてですが、青いラインで見えているような、余り大きく悩まなかった、すっきり決めたという意見が多くありました。比べまして、女子のグラフでは、学力問題ですとか適性ですとか、幾つか文理選択の悩みが出てまいりました。進路選択について、特に問題なしと考えている意見や、学力、適性、その他の中にどんな要素が入るのか、この辺りをワークショップで深めていこう、ということになりました。
 実際には、文理選択の悩みを議論する形でワークショップを進めてまいりました。ここでは文理選択のときに障壁を感じている、又は感じたことがある女子高校生19名に集まってもらいました。先ほどの「悩みなし」「学力」「適性」「その他」の4つに分けて少しワークショップでお互いの意見を出し合おうということになりました。
 その中で、最初のディスカッションといたしましては、お互いの悩みをまず出してみることをテーマにしました。このテーマでは、学力関係、数学や理科が好きか嫌いか、得意かそうではないかというようなことで考えていた、それに悩んだということがまず出ました。また、就職に関して有利という考え方から、医学部、歯学部、薬学部、看護関係など医学系のことを考えている人が多いということが出ました。就職の中での資格に関しては、後ほどシンポジウムの中で話題にいたしますが、この日に関しては、それほど話題にはなりませんでした。また私たちは、ライフイベントに対してどう思っているか、という意見が出てくるかと思っていたのですけれども、やはり高校生にとっては、結婚ですとか子育てとかというのはまだまだ遠いものと感じているように思われました。
 ディスカッション丸2 としましては、先ほどの4点に分けてそれぞれ検討してみました。「特になし」としているものの中には、自発的に自分の中で資格や職業は受験科目を重視して考えているので悩まなかったという人たちと、あるいは、周囲からの勧めであったり通学距離で選んだりというような、成り行きで何となくそんなに悩まなかった人たちの2つに大きく分けられるのではないかという意見が出ました。あと、学力や適性に関しましては、教科の好き嫌いや学力が余り伸びないというような悩みが幾つか出されました。「その他」の中には、いろいろな職業観のもと、いろいろな思いが詰まっているのでしょうという意見がこのときに出てまいりました。
 この日とても印象的だったのは、この日に初めて顔を合わせた19名が、「ふだんなかなか女子同士で進学のことなど話したことがなかったのでとてもいい経験になりました。」と生き生きとした顔で話していることでした。学校ではこういうことって余り話さないのだな、と感じました。
 このように、高校生の様子は大分分かりましたので、シンポジウムに向けて幾つかの資料もこちらで準備いたしました。まずここでお示ししましたのは、俗にM字カーブと言われる女性の年齢別に労働力の割合を示したグラフです。それの国際比較になっていますが、実は赤い色の下から2本目が日本なのですけれども、これを見ますと、子育てなどに関係すると思われる30代で、まだまだこのカーブが下がってくるというようなM字カーブを見ることができます。これを高校生に見せましたところ、キャリア教育ですとか社会科の授業で、「そういえばこれやったわね」という話題になりましたけれども、さほど自分のものとは考えていないような様子でした。
 続きまして、2つ目に用意しましたのは、高校3年生が就きたいと思っている職業についてのデータです。実は、これはちょっと古いデータだったのですけれども、これを示しましたときに、女子の方に資格を有するようなものが結構多いということが話題になりました。これに関しましては、そのとき集まりました高校生と、「そうよね、私たちもこういうのは結構意識しているわね」ということで、同感を得たところです。これに関しましては、ちょっとデータも古かったので、その後調べてみました。文字が小さいですが、手元の資料を見ていただきますと、平成25年度のデータが出てまいりまして、男子、女子とその親御さんたちのデータを、ここで御紹介したいと思います。
 基本的にはまず、女子高校生に関しましては、看護師であるとか幼稚園の先生であるとか教師であるとか、上位は変わらないのですけれども、前回私たちが用意しましたものよりは大分バラエティが広がってきたのかなという感じもしました。保護者の意識を見てみますと、男女を問わず資格に対しての思いは結構強いように思いますが、表を見ますと、男子ですと結構理系の資格を意識しているというところに、女子とちょっと違う傾向が見られます。
 続きまして、大学とか大学院での進学の割合で、これはよく話題になるものですので、皆様も御存じかと思います。理学部、工学部というのはやはり低いのですけれども、実はこれも余り新しくない、平成17年度のデータなのですが、これを示したときに、理学部、工学部のことと、もう一つ話題になったのが家政学部は圧倒的に女の世界だということで、「男子は逆に少ないわね」などということがこのときの話題になりました。新しい資料でその後の傾向を見てみますと、平成。26年度でもやはり理学部、工学部での低さはまだまだあるのかなという気がいたします。若干、工学部の博士課程が増えたでしょうか。
 このようなことを準備いたしまして、再度シンポジウム前に関係している皆様と打合せをしたのですけれども、その中でとても印象的だったのは、女子校の存在でした。女子校というのが結構理系に進む人が多いというような話題が出ました。普通一般の高校生ですと、大体、2割から3割程度が理科系のクラスを作るのに対して女子校は、学部は医学系とか薬学系に偏るという傾向はあるのですけれども、半数ぐらいが理科系に行く傾向があるというのです。
 ここで私がふと思い出しましたのは、私が中学校の教師をしていましたときに聞いた話題ですけれども、理科の実験では男女別班でやった方が、結構女子が活発に動くという話です。決して私は、男女別班で実験するという方法を肯定はしないのですが、もしかしたら、そのときに男子と一緒にやるよりは女子だけでやった方が女子は実験活動に手を出たりするのかもしれません。男子と一緒だと、どうもその先生がおっしゃるのには、記録係になっていたり、裏方に回ったりというような傾向が出てくるというのです。女子高では理系コースへの選択が少数派ではないというお話を聞いたときにちょっと思いました。
 このようなことを経ましてシンポジウムの柱としましては、考えていくときの基準、方向性、尺度ですとか範囲、それから、考えている場とか高校生だけではなくいろんな方が交流できる場として考えていこうというふうにまとまり、当日を迎えました。
 シンポジウムの方はこのような2部構成で実際には進めてまいりました。講演では、先ほど松井さんのお話がちょっと出ていましたけれども、日本アイ・ビー・エムの松井さんは、御自身は理系の学部ではなくて、今、理系のお仕事をされていらっしゃるということで、お願いした次第です。またもう一人、小林さんには、理系のいろいろな方の取材を多くしていらっしゃるということで、来ていただきました。この中でお二人とも多様な生き方があって、いつでもやり直しもきくというお話をしてくださったのが印象に残っています。
 後半は、このような形で壇上とフロアも結びながらパネルディスカッションを行いました。高校生も結構積極的に話してくれて、場が設定されると彼女たちも積極的に発言することができるのだなというのが私の印象です。
 その中から出てきました議論の抜粋として、このようなことを挙げました。保護者とか教員も含めて、やはり学力で入れる進学先を決めているというのが結構実状ではないかということ、また、多様な理系の進路を知ってからの議論が必要なのに、なかなかその辺が見えていない、高校生に届いていないのではないかということです。また、会場からも大変たくさんの御意見を頂きまして、いろんな議論の中で、海外では文系・理系というのは聞いたことがないとか、文系・理系と分ける必要自体があるのかなどという話まで広がり、とても有意義なシンポジウムだったと思います。
 こうしたから、これからの女性の進路先を考えるような事業を考えていく上での、提案をこのように考えました。まず、いろいろなところで話題になるロールモデルですけれども、これはごく普通の身近な、立派過ぎない、そんな方たちの多様な生き方をロールモデルとしてやっていくことが必要ではないかということ。また2つ目に、キャリア教育は今、いろんなところで行われているのですけれども、それと実際の進学指導との間にまだまだギャップがあるのではないかということ。これに関しましては、私も中学校の教員をしておりまして、その辺りは本当に実感するところです。一般論としてのキャリア教育をやりながら、いざ3年生となり、その生徒の進路先となると、そことは違う世界での話として進んでいく傾向がないかということです。このことは私自身も感じていたことなので、考えていかないといけないなと思いました。また3つ目は、本人も保護者の方たちも、そして教員も、余り意識していない固定観念とか保守的な面というのはまだまだあって、もう一度、女性の進路を考えていくときの情報提供について見直しが必要なのではないかということ。そういう意味でいいますと、このところ、女性を取り囲む状況というのは結構変化してきていますし、先進的ないろんな取組も見えてきているのですけれども、それが実際に高校生の手にはまだまだ届いていないという状況もあるように感じます。その辺りでは、システムの見直しなども含めて多様な生き方を考えていける、多様な学び方を考えていける、そのようなことを私たちはこれから支援していく必要があるのではないかということになりました。
 より効果を高めていくためにということで、大きく2つ考え始めているところです。今までの私どもがやってきました事業というのは、大学などに興味があったらいらっしゃいという募集が多かったものですから、ともすると、理系に関心がある子たちの方にフォーカスしていたのではないかということで、ターゲットを迷っている中高生に向けることを考えていくというのが1つです。また、これからの様々な生き方を探るような手だてを考えていきたい、ということがもう1つです。例えば、迷っている中高生に関して、企業の方ですとかいろんな方が学校の中でも入っていって活動をできないか、キャリア教育の一環としてできないかということ、また、生き方に関しましては、多様な立場の人が直接高校生に接することができないか、交流することができないかなどということを考えてきました。
 私たちとしましては、目指す姿として、科学技術と社会の関わりですとか、多様なロールモデルですとか、社会の状況を的確に知ることで、女子中高生たちが適切に自分で進路を選択できるという姿を目指していきたいと思っております。それに向けまして具体化を今図っているところですが、そのためにまず、各ステイクホルダーとなられる方たちのニーズの把握、そのためのインタビューなどを今、企画を進めているところです。その中で見えてきましたのは、企業の中で女性研究者、技術者への要望が高くなってきていて、いろんな試みがされているということです。こうした動きを私自身も今までより強く感じました。また、高校生たちも直接企業の方と話を聞きたいという要望が結構強く出ております。高校又は大学にありましても、独自の取組をそれぞれ進めておられるようで、そういった多様なものを見せていただきました。また、いろんな方がステイクホルダーとして関わってくる中で、私たちは連携というのはなかなか難しいのではないかということを思っていたのですが、既に様々な形で幾つか、連携を取り始めているところも見えてきましたので、今までより連携というのは広がりを見せているのかなということを感じています。
 これらのものをもとにしながら、これからもやっていきたいと思うのですけれども、最後に、このような事前でのいろいろな調査などに参加させていただきまして、髙城本人、私として幾つか感じたことがあります。最後にちょっとそれを述べさせていただきたいと思います。
 やはりいろいろなところでお話を伺いまして、女性の生き方に対する固定観念というのは大人の中に根底部分に結構強くあるものだなというのを改めて感じました。また、特に思うのは、M字型のカーブという労働パターンを前提にして、その中で女子の将来像を考えている方がまだまだ多いのだなと思いました。というのも、いろいろなところで、一度辞めてしまっても自立していけるように資格を勧めているのだという声を聞いたからです。また、男女の生き方には差がないとみんなが思っているのですけれども、意識に上らない陰の部分でまだまだいろんなジェンダー意識というのを感じることもありました。例えば、女性のことを考えると、現役で行かせたいですとか、自宅のそばから余り離れないようにとか、資格を取るまでの時間を考えると、結婚とか出産に影響が出ないかというような話題も幾つか出ておりました。高校からは、うちはそれほど意識していないのだが、親御さんがやはりそちらを望んでいらっしゃるので・・・というような声もお聞きしました。このようなことを考えますと、単に女子中高生だけを対象にして進めていくだけの企画では限界があるのかなということを感じています。
 女性が輝いて生き生きと活躍できる社会というのは、結局は、いかに自分らしく生きていけるかということを文系も理系も関係なく、女性も男性も関係なく、社会全体で考えていくものではないかということを思っております。こんな中でも、先日、出生率がまた1.42と若干下がったなどという話題も出てきています。いろんな制度はできているとはいうものの、女性の中で、育児であったり介護であったり看護であったり、問題はまだまだ残っているように思います。それを女性がということではなくて、社会全体で働き方や生き方を根本的に考え直すときに来ているのかなということを私は感じました。
 そして、いろんな方にお会いしまして、ちょっと思ったことなのですけれども、たくさんの活躍をしていらっしゃる方とお会いすると、大変美しく、仕事もバリバリとなさっていながら、おうちでもとても立派に家庭を築き上げていらっしゃるという方とお会いすることがあります。時々、余りにパーフェクト過ぎて、ちょっとまぶしいものを感じることがありました。もしかすると、高校生たちが身近なロールモデルを欲しているというのは、その辺と関係あるのかなということをちょっと考えてしまうのです。すばらしいものでなくいい、私たちの生きる先輩としてのモデルを求めているのかと思いますと、肩肘を張らずに自然体で、自分なりの生き方を求めていくというロールモデルが欲されているのかなと考えてしまうのは、だんだん年をとってきたからからなのだろうかと、ちょっと思った次第です。
 以上です。どうもありがとうございました。
【塚本主査】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまから10分程度、質疑及び意見交換の時間をとらせていただきます。ただいま頂きましたプレゼンへの質疑のみならず、女子の理系への関心の喚起という観点から御意見をおっしゃっていただければと思います。どなたからでも結構でございますので、御意見があればお願いいたします。
【千葉主査代理】  身近なロールモデルが大切だというふうに御指摘があったのですが、それはアンケートか何かで、身近なのがもっと欲しいよと女子高生が話したのでしょうか。
【髙城科学技術振興機構主任アナリスト】  いろいろなワークショップとかをしたときにも、自分たちのこれから手が届きそうなというのでしょうか、実際に大学に行ったときのものが知りたいという声がありましたことがひとつです。また、幾つかのロールモデル集も提示もするのですが、若干、そのモデル集に手が伸びない、又はページを開いている時間が長くないように感じます。今までのいろんなところに活躍されている女性像に対しまして、集まった高校生たちは、そんなに大きく関心事は持っていなかったなと思います。
【千葉主査代理】  逆に、身近なロールモデルをそこで提示されていて、そちらの方はものすごくよく見ていたとか、そういうふうな事例があったのですか。
【髙城科学技術振興機構主任アナリスト】  はい。それはこのシンポジウムではありませんけれども、いろんなところにインタビューに参りましたときに、企業の若手の女性の方が来てくださって、そこで話したときにとても話が盛り上がったとか、具体的にそこの学校の卒業されたOGの人が来たときに、大学ではどういうふうに学ぶとか、実際にどうこうというときには、とても高校生たちが積極的になっていたということは幾つかの場所でお聞きしました。
【塚本主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
【大島委員】  よろしいですか。非常に興味深いお話、ありがとうございます。質問が1点あります。高校生事前アンケートの結果の抜粋を拝見して、学力的問題というのは具体的にどういう問題なのでしょうか。というのは、例えば、理系的性格の女子を見ると、42.9%が学力的問題で理系を進学、決めていると記述されています。このことは理系が得意だからという意味でしょうか。
【髙城科学技術振興機構主任アナリスト】  そうですね。これは2通りありまして、理系とか数学が好きで理系学部に決めたという生徒と、理系の職業には興味があるのだけれども、その割合に理科や数学が伸びないので、果たしてそっちに行っていいものかどうかということで悩んでいる生徒という2通りがありました。
【大島委員】  コメントが2つあります。1点目は、お母さん、いわゆる保護者の影響が非常に大きいという結果が出ていますが、進路、特にキャリアパスについては、理科系でどのようなキャリアがあるかということを保護者の方も、学校の先生も含めて、知られていないということが多いです。そのため、女子中高生や大学生に対してのキャリア教育だけではなくて、保護者、先生を含めたキャリア教育の方がかえって効果が上がるのではないのかということを、私も様々なイベントを通して感じています。それがコメントの1つ目です。
 コメントの2つ目は、SSHや、JSTで女性研究者支援モデルなど様々な取組が行われています。しかし、現段階は、個人的には、女性だけではなくて、男性の働き方も含めた次のセカンドステージに来ていると思います。就職活動中の男子学生の話を聞いていると、男子学生も将来に対して非常に、不安を持っています。男子学生の不安は、自分はとにかく家族を養っていかないといけない、だから、働かないといけないということです。一方、女性はいろいろなキャリアの選択があって、男性は一つの選択、働くという選択しかないと話しています。そのような話を聞いていると、例えば、女性の就業率のM字カーブの話が出ていますが、男性の場合には、一旦仕事をやめると非正規雇用になり、正規雇用への道に戻ることが非常に難しくなり、男性の方が女性よりももっと大変な状態になるケースが見られます。したがって、女性あるいは男性の一方向からだけでなく、社会全体で取り組まないといけないことと思います。今後は、女子理系進路選択というだけではなくて、男子学生の進路の多様性というのも強調していくことが非常に大事ではと思っています。
 以上です。
【髙城科学技術振興機構主任アナリスト】  全く同感です。ありがとうございます。
【隅田委員】  コメントと質問があります。
 中高生を中心にされていますが、例えば、就きたい職業なんかは小学校に入学するときもよくデータが出ますよね。そのデータで考えたとき、小学校、中学校、高校でいくとどのように変わっていくのか、というのがもし分かれば知りたいなというのがございます。恐らく小学校から最初、男の子は一番、公務員なのかなとか、ちょっと思うわけですよ。
【千葉主査代理】  小学校は野球選手。
【隅田委員】  ですよね。どちらかというとプロフェッショナル系の職業が出てきているのではないかという気はするのですけど、そんなのがありましたら。
 それと、さっきのM字に関していくと、何らかの仕事でピークがどれぐらいの年齢にある職業なのかと考えたときに、30代あたりがちょっと落ち込むということになると、研究なんかは不利になるのだろうなというイメージはできます。なので、どうにかやり方を変えないとしんどいだろう。でも、逆に言うと、10ページのM字型のデータで65歳以上のところを見ると、日本とか韓国が今度は逆に高いのです。そういう利点を生かしているのかということがあって、例えば、65歳以上からピークがあるようなクリエイティブな仕事があれば、日本とか韓国が今度はガンガンやる可能性はあって、どこにピークがある仕事をどう創るかというのが考え方とすればいいのではないかということ。
 あともう一つ言えば、きょうは女性がテーマだったのですが、バイセクシャルとか、ちょっと今、男、女ではなくて、違うところでクリエイティブなことをやっている人とか、そんな研究も出始めているので、そういう視点もあってもいいのかなという気がしました。
 以上です。
【髙城科学技術振興機構主任アナリスト】  では、今のことについてよろしいですか。
 小中高ということでいきますと、私、ちょうど小学校4年生から大学生徒まで、一応全部教えたことが私の経験の中であるので、そこでの感覚ですが今、小学生では野球選手とかサッカー選手・・・という話がありましたけど、小学校のときって結構身近に見えているものが少ないことと、自分のまだ職業観がないので、ビジュアル的に見えるものであったり、スポーツであったりというのが多いような気がするのです。ですが、高校受験を意識するあたりから、自分の学力ですとか進み方ということで大分変わってくるように思います。そこにはキャリア教育が中学校のあたりから本格的に始まることも影響していると感じますけれども、まだまだ中学校の段階ですと実感がない。だんだん高校、大学と進むに連れて、ある意味では実感を伴い、ある意味では夢がなくなるというか、そんな傾向はあるような気がいたします。
【塚本主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
【長谷川委員】  私は高校に勤務しているのですけれども、髙城様のお話しいただいたキャリア教育と進路指導のかい離というのはものすごく気になっております。実は、私、校長2校目で、前任の学校も理数科があるのですけれども、特に千葉県でも地方部は理数科が定員割れする傾向がある。それは髙城様がお話しいただいたように、学力の問題であったり、あとは、キャリア教育の不足であったりということがその原因じゃないかなというふうに考えております。そして、高校になってくると、今度は現実に大学進学等々がありますので、1年生に入ったときからキャリア教育を積極的に実施します。そして、将来の職業選択に迫られて、初めてそこで文系・理系の色分けができてくる。だとするならば、もうちょっと早い段階からキャリア教育を徹底してやれば、もう少し理数系の人材も裾野が広がってくるのではないかなと考えております。
【塚本主査】  どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、グローバルサイエンスキャンパス採択校である筑波大学の佐藤教授、尾嶋コーディネーターから、筑波大学における取組についてプレゼンテーションをしていただきます。お願いいたします。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  それでは、私、筑波大学で今、GFESTプログラムリーダーをしています佐藤と、あと、コーディネーターの尾嶋の方から御説明いたします。私は、済みません、座って失礼いたします。尾嶋は立って説明させていただきます。
 筑波大学における高校生を対象とした科学技術人材育成事業ということでお話しします。
 今日はうちの今やっているGFESTというもののプログラムの御説明と、最後にIntel ISEFに関してお話をさせていただきます。
 今まで筑波大学が何をやってきたかということですが、2008年にJSTの未来の科学者養成講座に採択されまして、「めざそう未来の生物学者~筑波大学BSリーグ~(Biological Science League)」というものを始めました。この当時は、生物というのが、子供たちが自主的な研究をしやすい分野なので、そこを中心に始めました。次の年、2009年に筑波大学で国際生物学オリンピックが開かれたのです。それから、物理、生物のチャレンジというのは、これはオリンピックの国内予選ですけれども、それを筑波大学では隔年でずっと開催してきています。2011年ぐらいから、もともとBSリーグという生物だけだったものをSuper Science Leagueということで、理工系にも広げて理系全体に広げつつあったところ、2012年にJSTの次世代科学者育成プログラムに採択されまして、ここでSuper Science League(SSリーグ)ということで正式に理工系全体に拡張したということになります。
 2014年に新しいプログラムでグローバルサイエンスキャンパスというJSTのプログラムで、未来を創る科学技術人材育成プログラム、GFESTというものが始まりました。2008年のBSリーグ発足から筑波大学として持っているポリシーは、個性を伸ばすということです。そしてもう一つは、自ら積極的に課題を発見する人材を支援するということです。我々の特徴は、小学生も含めてですけれども、小中高生で、もともと何らかの問題意識を持って研究等何かに取り組んでいる生徒たちがいるのですが、それがなかなか学校では指導されていなくて、2008年当時、出るくいを育てると言ったのですけれども、出るくい化しているということで、そういう子たちを大学で個別支援しながら指導していこうということで始めたものです。詳しい内容は尾嶋の方から説明します。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  それでは、筑波大学のGFESTについての概要を説明させていただきます。GFESTでは、生徒の資質と目的に合わせて、スーパーサイエンスコース、科学トップリーダーコースの2つのコースを用意しています。これらの2つのコースの全員が受講する共通プログラム、それから、選抜者の海外派遣を行っております。
 受講者の選抜方法ですけれども、志望動機書及びSSコースの場合は研究実績、TLコースは科学オリンピックの予選成績等を加味して選抜しています。
 これが初年度の受講生の所属学校と学年ですけれども、茨城県は当然のことですけれども、東京、茨城、栃木、埼玉、近隣のいわゆるトップ校の生徒が集まっています。
 GFESTの教育プログラムには2つの柱があります。1つが専用サイトでの大学教員・大学院生による個別サポート、もう一つが実習・共通プログラムによる集団サポートとなっています。
 GFESTはテーマに合わせて個別研究支援、個別学習支援を行っているのですけれども、生徒に対して大学教員と大学院生、それぞれ専門の大学院教員と大学院生がついて、2対1で個別にきめ細やかにサポートしています。
 個別研究サポート方法ですけれども、GFEST受講生専用のサイトを作って、基本的にこの掲示板に書き込むという形で、個別にメールのやり取りという形でサポートしております。
 SSコースについて説明します。SSコースは、科学に対する熱意と思考力を持ち、高度で挑戦的な問題を解決していくための主体的探究能力を有する「グローバルな未来の科学者」の育成を目的としております。先ほど述べましたように、書類審査、それまでの研究実績等により書類選抜をし、入ってきた生徒をSS3生とします。ここで、先ほど申し上げましたように、個別で研究支援を行いまして、1年後にポスター発表審査をし、約半数程度をSS2生とします。また1年間、研究支援をした後に口頭発表によりSS1生とします。SS1にまで昇格した生徒は、高校卒業まで継続的に支援していきます。中学1年で入った場合に、中1でSS3、中2でSS2、中3から高校3年生まではSS1で過ごす生徒もいます。
 SSコースの昇格審査と茨城県高校生科学研究発表会を同時に開催しております。これは茨城県内の高校生を中心に、約170組の発表と500名程度の参加者があります。ここではSS1生のポスター発表やSSの修了生のプレゼンも行っています。
 次は科学リーダートップコースです。こちらは特定科学分野の専門的な知識やスキルを有し、将来的にその力を生かしてグローバルな視野を持って様々な分野で活躍できるトップリーダーの人材の育成を目的としています。
 物理、工学、情報、数学、地学&地理、生物、化学、このような分野別に募集をして、分野で集まった生徒たちに対して特別実習を行っています。TLコースの生徒に対しても、受講生に対して大学教員と大学院生2対1でサポートしております。
 共通プログラム、先ほど言いましたように、2コース共通のプログラムを2か月に一度、奇数月に行っています。基本的には75分3コマの講義を行っていて、1コマは必ず最先端科学講義、あと2コマはサイエンスイラストレーションや論理的思考力等、高校生に身につけておいてほしいと思うような講義を行っております。
 共通プログラムのときには、必ず英語でのゲームなどを行って、受講生同士が英語でコミュニケーションする時間を作っております。終了後は、交流会として受講生同士の横のつながりを醸成しています。
 地方の生徒や、あとは、学校の都合などでどうしても出られない生徒がいるので、これは自動録画システムに講義を収録し、休んだ生徒は動画で受講しています。受講した後、全員にレポート提出を義務づけています。
 こちらは今年の2月ですけれども、筑波大学名誉教授の白川先生に直接実験を指導していただきました。これはやはりノーベル賞受賞者の方に直接指導していただけるということで、受講生の満足度は非常に高かったです。
 そのほか、GFESTでは英語プログラムを行っています。これも個別に対応するということで、まず、個人のレベルに合わせた英語のオンライン教育というのをベネッセに開発・運営を発注いたしました。Placement Testによってレベル分けをし、内容は科学に特化いたします。このようなレベルに分かれた生徒に対して、どんどんレッスンを行っていくという形ですけれども、動画による自習学習の後、Skypeでマンツーマンのレッスンを行うというように個別の英語プログラムとなっています。
 海外研修についてです。3月30日から4月3日まで、マレーシア日本国際工科院、MJIITでの研究室体験を行いました。MJIITというのは、2012年に日本政府の支援で日本の25大学が連携して設立した大学院になります。英語で教育と運営が行われており、この中に筑波大学のマレーシアオフィスとして教員2名が派遣されております。このような緊密な連携関係を生かしまして、1名から3名のグループで、各ラボに配属し、研究室体験を行わせました。
 GFEST受講生の成果です。SSコース、自主研究をしている生徒ですけれども、まず、5月に行われました国際学生科学技術フェア(ISEF2015)でアメリカ園芸学会賞の3等を取りました。これを受けるに当たって参加した高校生科学技術チャレンジ(JSEC2014)では、朝日新聞社賞を取った生徒と審査委員奨励賞を取った生徒がおり、2名ともISEF2015に参加しています。それから、日本学生科学賞中学生の部では、内閣総理大臣賞と入選1等がSSコースでした。
 TLコースの方では、日本の科学オリンピックの本戦出場者が地学オリンピックで3名、地理オリンピックで1名、この子は日本代表になりました。あと、情報オリンピックで1名、数学オリンピックで2名出ています。
 ここで、Intel ISEFについてちょっと御説明したいと思います。これはアメリカで行われている世界最大の高校生の科学技術コンテストです。70以上の国や地域から、予選を経た約1,700名の高校生が参加しています。この予選を受ける生徒というのは世界中で700万人くらいいると言われています。日本からは、日本学生科学賞、高校生科学技術チャレンジ(JSEC)において高く評価された生徒のみが参加できます。
 ISEFは分野が20に分かれていて、それぞれの分野の研究者によって審査が行われます。英語が母国語でない場合は、ボランティア通訳がついて発表をサポートしてくれます。コンテストという側面もあるのですけれども、もう一つ、世界中から科学大好きな高校生が集まって交流を深める場でもあります。
 Intel ISEFでは、主催者によるGrand Awardという表彰と、企業や学会からのSpecial Awardという特別賞に分かれています。Grand Awardは、発表者のうち約25%が入賞します。4等、3等、2等、1等とあって、1等の中からその分野の1位がベスト賞として選ばれます。この各分野、20分野ありましたけれども、その20分野のベスト賞のうちから最優秀賞、ゴードン・ムーア賞が選ばれます。ゴードン・ムーア賞を取った研究というのはどんなものかというと、2012年はすい臓がん研検出のための新しい紙状センサーの開発、2013年は人工知能の低価格自動走行車開発への利用、2014年が腫瘍抑制遺伝子に生じる変異の性質の特定、2015年が航空機客室内のエアフロー~機内感染の抑制~といったように、非常に高度かつ実用的な研究になっています。
 Intel ISEFと日本のコンテストの違いです。ISEFの方は、審査員になるためには6年以上科学・科学教育に関係していなければいけません。公正さを保つため、高校の先生は審査員にはなりません。一方、日本のコンテストの場合は、審査員は高校の先生も多いです。
 発表データについて。ISEFは直近1年以内のデータのみしか発表できません。日本のコンテストは、その要件はありません。
 研究場所についてですけれども、ISEFに出ている高校生は、大学や研究機関で行っていることが半数近くです。日本のコンテストの場合、研究場所は所属高校がほとんどです。
 先ほど言いましたように、研究テーマ、ISEFでは、がんの研究等、非常に高度かつ専門的なテーマが多いです。一方、日本のコンテストは、高校生らしいテーマが多いです。
 指導についてですけれども、ISEFに参加する生徒の場合、半数近くが専門家の研究者に指導を受けていっています。日本のコンテストの場合は高校教員がほとんどです。
 審査時に聞かれることですが、ISEFでは、この研究は学術的にどんな意味があるか、新規性はあるか、どのように社会に役立てることができるのかということを聞かれます。でも、日本のコンテストの場合は、社会との関わりについて聞かれることはほとんどないということです。
 Intel ISEFで日本チームがどのような成績だったのかということをまとめてみたのですけれども、2013年に初めてベスト賞が出ました。これは地球科学分野での受賞だったのですけれども、この生徒さんは千葉県の生徒さんで、お姉さんもISEFに出たということで、非常にISEFに対する知識があって、大学の先生にも指導していただいたということです。2014年に2名、2等を取っているのですけれども、1名がSSコースの生徒、もう一名が東北大学の科学者の卵養成講座の受講生でした。
 これまで筑波大学SSリーグ、それから、GFESTでサポートし、Intel ISEFに出場した生徒は5名です。全て2年間以上サポートを行ってきたSS1生になります。2011年にJSECで文部科学大臣賞を受賞した生徒、科学技術振興機構賞を受賞した生徒2名がISEF2012に参加しました。次に、2013年、JSEC2013で文部科学大臣賞を取った生徒がISEF2014に参加し、Grand Awardで2等を取りました。そして、昨年、JSEC2014で朝日新聞社賞、審査員奨励賞を取った生徒が5月にISEF2015に参加しました。
 この生徒、2012年にISEFに参加した生徒たちに憧れて2013年の生徒がJSECに応募し、文部科学大臣賞及びISEFに出て入賞し、この入賞した生徒に憧れて、今度、今年参加した生徒たちがISEF出場を目指しJSECを受けるというように、継続的に事業を行っていることで縦のつながりができております。
 受講生の声です。大学の先生と現役の学生から学術的なサポートはとても心強く、研究に対する不安がなくなりました。論文の書き方や研究倫理など、多角的な指導を受けられたこともステップアップにつながりました。同時に、最先端の研究を行っている科学者から講義を受け、科学の最前線に触れられる点も魅力でした。菅平で本物の走査型電子顕微鏡を操作できたこと、ノーベル賞受賞者の白川先生の講義を受講できたこと、JAXAで本物の小型実証衛星を運用したことなどは一生忘れることできない経験となりました。また、同じ科学の道を志す多くの仲間に出会えたことも幸せでした。
 私はGFEST生として高校の外の世界をかいま見ることができ、大学に入ることがゴールではなく、あくまでスタートであると気づかされました。自分が思っていた以上に世界は広かった。そう認めざるを得ません。
 高校生の私にこのような広い視野を与えてくれたGFESTに感謝の気持ちでいっぱいです。この経験を糧に自分の夢に向かって努力していきたいと思います。
 この生徒が言っているように、「同じ科学を志す多くの仲間に出会えたことは幸せです」、これは毎年多くの受講生から聞かれる意見であり、やはりトップ層、科学に非常に興味のある生徒たちが集まる場というのは非常に重要だと感じております。
 以上です。
【塚本主査】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまから10分くらい質疑及び意見交換の時間をとりたいと思います。今回、佐藤先生、尾嶋様からお話しいただいたものに加えまして、それ以外にも幅広に、大学と連携した科学技術イノベーションに関しまして、いろいろ御意見、御感想を頂ければと思います。いかがでしょうか。
【立澤委員】  いいですか。聞き逃したかもしれませんけれども、先ほどいろんな高校の名前がいっぱい出ていましたね。中学1年生からも応募できるのですか。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  はい、大丈夫です。
【立澤委員】  応募する時期、中1とか中2とか中3とか高校、それから、どのくらいの方が応募しているのでしょう。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  実は、応募者数はそれほど多くないです。
【立澤委員】  少ない。中学生も結構応募があるのですか。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  いや、やはり高校生の方が多いです。
【立澤委員】  それから、学校名を見ると離れているので、ネットで授業もできると書いていましたけれども、指導は筑波へ行って実際に会って話をするということはたくさんできるのでしょうか。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  それは生徒によって違います。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  ふだんは我々インターネットで大体指導しています。基本的には、生徒が自発的に質問をしてくるとそれに答えるという形で、向こうから来なかったら我々は何もしないです。ふだんの個別指導はそういう形でやっています。それと別に、みんな集めてやるのもあって、それは教える形でやっているので、そのときに全員が集まるという形になるということです。
【立澤委員】  個人研究のアドバイスを受けるという形ですね。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  そうですね。あと、TLコースの方も、オリンピックを目指して勉強していく中で、自分の興味ができて何か聞きたいときにインターネットで先生なり院生に聞くという形で、どちらにしてもそういう生徒から発したことに対して我々が教えるという形にしています。
【立澤委員】  分かりました。
【塚本主査】  ありがとうございます。
【大島委員】  よろしいですか。質問させていただきたいのですが、高校の出身というか、所属が出ておりますが、所属している高校とは何らかの形で連携されているのでしょうか。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  筑波大学附属の高校に関しては、校長先生の方に直接、この事業の紹介はしているのですけれども、余り高校との連携というのはしていないです。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  そうですね。募集のときにはありますけれども、ふだん指導する上ではしていないです。もともと出るくいだというのもあって、先生方とはちょっと切り離した形でというのかな、そういう形もあったと思います、もともとはですね。今はそうでもないのですが。
【大島委員】  そうですか。一番目の最初の質問とも関連しますが、私たちも、未来の科学者養成講座を行っていました。そのときに、特に悩ましかったところは、高校生が実際に研究するとなると、持っている知識と研究に必要な知識に非常に大きなギャップがあったということです。そのため、大学側で微分方程式を一から全部教えなければならず、大学側の負担が非常に大きかったということがありました。分野にもよると思いますが、特に物理系の先生からはその点が悩ましいというお声を頂きました。実験系は、実験をすれば何らかの結果が出ますが、理論系をはじめとした物理系は、基礎となる微分方程式をまだ習っていない高校1年生ということもあり、大変だったのだと思います。このようなギャップ、高校で履修している科目と研究とのギャップについてはどのように対処していらっしゃるのでしょうか。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  今ここに分野別を示したのですが、SSコースの場合、生物が21名、化学が3名で地学が3名、物理2名、工学1名、数学1名ということで工学系が少ないというのがありますね。あと、生物のことについては先生から。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  生物は指導しやすい分野で、つまり、研究といっても、実際、高校とか家庭でもできる研究が多くて、実際にニューファインディングスが出てくるわけです、それだけで。ですので、やりやすいのですけれども、おっしゃるように、物理、工学というとなかなかそうはいかないところはあるとは思います。ただ、我々は何も研究といっても、本当の意味の研究をさせているわけではなくて、生徒の気づきを支援しているわけであって、だから、我々研究者の研究とは違ってもかまわないと思っているので、本人が疑問に思って、ここが分かんないと言ってきたことを本人が分かる範囲で答えていって研究させるということだと思っています。
【隅田委員】  よろしいですか。2つコメントと2つ質問があります。
 コメントは、筑波大学のコースはずっと、未来の科学者の最初のときから、最初の発表会で小学生のすごい子がいたり、自由研究を非常に丁寧に、大学の先生がメンターしていった事例があり、すごかったという印象が私はございます。
 2つ目のコメントはそれに関連して、大学も類ですか系ですか、全体でいろんな多様なテーマがある子供をできるだけ生かしながら、でも、それぞれの専門の先生がチームを組んで付いていって、まさに個別というよりは系全体で関わったというのもすごかったなと思っています。
 コメントはそうなのですが、質問は、先ほどのコメントに少し関わって、これだけ多様なテーマで、多様な学年が入ったときの参加者の男女比とかどうなのでしょうか。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  男女比は男子が49名、女子が15名です。
【隅田委員】  男子が49で女子が15ということですね。分かりました。女性も3分の1ぐらいは、いるということですね。
 もう一点は、これで筑波大学のプログラムは非常に歴史もあって、成功モデルの一つだと思うのですが、筑波大学の以外の大学でもできそうな部分というか、ほかのところに普及できそうなモデルの部分は、御経験から何かございますかということです。筑波大学はそういうことはよく分かったのですが、ほかの大学でもできる部分で、何かエッセンス、何か御提案をいただけるといいかなと思います。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  個別研究支援というのはだんだん増えてきたと思います。そういうタイプのやり方は増えてきたと思うのです。だから、大学教員がある程度個人的に関わってその生徒の疑問に答えていくというやり方は、例えば、インターネットでやる限りにおいてはそんなに負担ではないですよね。院生がコメントを出すのもそんな大きな負担ではないので、やっぱりじかに院生なり教員が疑問に答えてあげるというのは、多分すごく刺激になるのかなと思うので、そういうことは割とやりやすいのかなと思います。
【隅田委員】  仕組みとすると、生徒と教員の間のつなぎの、さっき尾嶋さんが言うマッチングさせる部分が要りますよね。そこがないと多分なかなかできないかと思います。そこのモデルも一つなのかなというのがありました。そういうところ、拠点というか、そういうポストがあるのでしょうか。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  そうですね。今、コーディネーターは2人、もう一人いて、工学に強い方がいて、2人で生徒をアレンジしていろんな先生に、誰に任せるかって決めないといけないので、そこさえうまくいけば、あとはお任せしておけば個別支援は進んでいくという感じですね。
【隅田委員】  あと、議論とかで使っている題材ですよね。サイエンスウィンドウなんか、非常によくて、あれは無料でたくさん配ってくれていてよかったりとか、科学英語のスカイプでやるプログラムをつくっていたりとか、そういうのもほかのところでもできそうなポイントのコンテンツもあるのではないかなと思っています。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  英語のために英語の勉強なんかしたくないですけれども、みんな科学が大好きなので、科学英語は知りたい気持ちはあるみたいなので、小学校の理科の教科書を使ったりとか、そういうこともしています。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  あと、英語のレベルがファンダメンタルの生徒には小学校3年生のアメリカの理科の教科書を使って講義をしています。
【隅田委員】  あとはもう一点、これはコメントになるのですけれども、ISEFのアワードの賞金を見ていて、日本もようやく科学の甲子園とかスポンサーが増えてきてうれしいのですが、受賞者にそのもらった賞金どう分けたのだと聞いたことがありまして、そうしたら、その子は、3等分したと言って、本人と家族と学校で3等分したって言っていたのです。だから、みんなそれぞれある程度、投資と思って頑張って力を入れているので、先ほど学校とはちょっとかけ離れたとはいっても、やはり関わってくださっている先生、学校とか、あるいは家庭とか、そういうところとうまく支持が得られるようなシステムになると更にいいかなと思いました。
 以上です。
【千葉主査代理】  よろしいですか。スライドの中にも、日本では高校生らしい研究が多くて、アメリカ、海外ではそういうことではなく、大学レベルの研究が多いということがあったかと思います。確かに、日本のいろいろなコンテストの審査員の方々のある割合で、例えば、中学生らしいとか高校生らしいと、それから離れた作品を見ると、これは何か大人の悪い入れ知恵が入っているのではないかといってリジェクトされてしまうということも起こっていて、私はそのことが非常に問題だと思っているのですけれども、そういうことを意識されて指導されていたのでしょうか。すなわち、日本国内のコンテストを通さなきゃならないわけですよね。そのときの指導法として、大学が丸抱えみたいな印象を与えないような指導をされていたのですか。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  研究指導をするときに僕らが一番気を付けているのは、なるべく口出ししないというか、教え込まないということを注意していて、そうすると、当然、高校生が身近なテーマで研究していくということになりますので、本人としては研究をしているわけです。絶えず発見をして研究をしているわけですが、我々から見たら、それは本当の意味の研究にはなっていないかもしれないと思うのです。日本の科学コンテストというのは、僕はそれをよしとしていると思うわけです。見ている先生たちにそれが分かりますので、その本人が築き上げたプロセスを評価して、それを子供らしい、高校生らしいという表現にしている。一方、大学の教員が与えたテーマはこなし切れていないことが多くて、我々から見たときに、こなし切れていないだけに面白くないということになることも多いのかなと思います。なので、本当の意味で高度な研究までやれば、それは別ですけれども、どうしてもそこまでいかないとなると、つまり、高度な技術は生徒本人が工夫できる余地はほとんどないですし、創意工夫できるところはほとんどないわけですよね。それならば、もっとプリミティブなことでもいいから、自分の創意工夫でやった方がよいのかなというのが僕たちの見方だと思いますし、日本におけるコンテストの評価もそうなのかなと思っています。
【千葉主査代理】  それはばっちり日本のコンテストも対応できるという感じですか。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  そうですね。なので、今回、ISEFに僕も今年行ったのですけど、審査員の先生とも話したのですが、ああいうのが1等を取るのだったら、我々がやっている研究、日本での指導では無理だ、1等なんか取れっこないですし、もともとそんなことを僕らは目指してないのですよね。例えば、大学に入って高度な研究を高校生にやらせることをよしとは全く私たちは思っていませんので、そんなことがいいとは思わないので、だから、1等なんか取れっこない、取れなくてもしようがないじゃないかと思っております。だけれども、日本国内で研究をさせてISEFに連れていくと、やはりすごくいい影響を受けるので、そこの場に参加したことでよいのかなと思っております。そこで、そこそこの賞が取れればもちろんうれしいのですけど、そのぐらいでよいのかなと思います。ですから、ISEFで1等を取ったような研究テーマ、あのようなものを我々は目指していないよねというのはちょっと話したりはしていました。
【千葉主査代理】  あと1点だけいいですか。質問なのですけれども、私はその考え方、日本的でいいと思うのですが、じゃあ、大学に入った大学生だったら、高度なことをさせてもいいのでしょうか。高校生だったらそういうふうに、自分だけの気づきだけでやって、大学生だったらもう超最先端の機械をバーッと使わせて、君、やれ、みたいな指導になるのでしょうか。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  実はそうでもないですよね。というのは、大学に入って1・2年生というのは研究室に入っちゃいけないというのは、つい最近までは基本原則だったと思います。我々の頃もそうでしたが、もぐりで1年生、2年生でラボに入るのはいましたけれども、オフィシャルにはなかったのです。ところが、筑波大学が採択された文部科学省の理数学生応援プロジェクト、またその後継として筑波大学で独自に行っている先導的研究者体験プログラムによって、大学に入って1年生、2年生の段階からラボに出入りして研究してもいいよというシステムができて、割と最近ですよね。それで堂々とラボに入って1年生で研究することができるようになったという現状があって、でもやはり我々も指導していますけれども、あまり最先端をやらせるよりは、なるべく本人の気づきを大事にするような形でやっていきたいと思っていて、本当の意味での研究は、やはり4年生か大学院に入ってからというイメージでおります。
【立澤委員】  私は、学生科学賞に長く関わっているのですけど、確かに中学生らしいというのはあって、そこからかけ離れていると、かつては本人の考えではないだろう、指導者が手を加えているのであろうと思われることがありました。そこで学生科学賞も変わって、最終審査は対面審査になって、そこで直接本人に聞いて、本当に自分が分かっているのかというのが確認できるようになったので、かなりその辺は進んできたと思います。今年、総理大臣賞になった中学1年生、粘菌の研究は、筑波大学が関わっているのですか。
【尾嶋筑波大学GFESTコーディネーター】  はい。
【隅田委員】  それに関わって、国際大会は、今は日本のある特定の賞を取った子が代表で行くシステムなのです。だから、基準が1つしかないのです。確かに、日本的な基準でいい子が、別にそれは存在感を示すときがあってもよければ、別の基準で、日本では予選で落ちているけれども、外国に連れていったらそっちの子の方がいい賞を取る可能性もあるわけですよね。そうすると、ISEFなどに日本から参加させる生徒の選び方ももう少し多様にしたり増やしたりすると、バラエティが出てきて、さっきのどっちがいいかじゃなくて、両方あっていいわけなので、そういう子がいてもいいのではないかなという気はしますけどね。
【佐藤筑波大学生命環境系教授】  大学でしかできないような機材とか技術を使った研究をISEFで勝つ人はやっているわけですね。それを日本でできるかというと、大学生ですらラボにいられないのに、高校生とかをラボに入れて実際に高度な研究はなかなか今、させられる状態ではないですよね。そういうことは実際には大学としてはできないですよね。だから、なかなか難しいです。あともう一つは、アメリカでやっている子たちは、実際に本当に完璧にそれを理解して自分でやっている子たちなので、実際、確かに、日本でも中学生や高校生を大学のラボに入れてやらせれば本当にできる子はいると思うのですが、ただ、そういうシステムになっていないのかなと思っております。アメリカの子供たちは、本当にちゃんと理解していて、彼らはすばらしいです。100%分かって自分でやっている子たちだと思います。だからこそ1等が取れているのだと思います。
【大島委員】  あまり長い発言を言うつもりはないですが、いま、話題に取り上げられましたISEFですが、私、2年前に参加いたしました。そのときに、ISEFのコンテストと同時にISEF Education Programが行われました。そのprogramには高校の先生や政府関係の方が参加されていました。また、コンテストの審査員には、学校の高校の先生はなれませんが、プログラムに参加されていました。今のお話ですと、大学VS高校という感じになりがちですが、STEM教育という枠組みでコンテストを中心に大学、高校、あと、ガバメント、Non Profit Organizationを含めて一体でやっているとの印象を受けました。科学技術教育を行っていく上で、おっしゃっているように、大学で高校生を受け入れるのは難しいでしょうが、高校の先生がお墨付きで、高校の先生が責任を取っていただける場合には、このようなシステムがあればもう少しスムースになると重み増す。教育のシステムとして、高校も含めて設計しているということを、ISEFのEducational Programに参加して、非常に感じました。
 済みません、長くなりました。以上です。
【塚本主査】  ありがとうございました。それでは最後、スーパーサイエンスハイスクール採択校である京都市立堀川高校教諭の飯澤委員からプレゼンテーションをしていただきます。よろしくお願いいたします。
【飯澤委員】
 堀川高校の飯澤でございます。SSH・SGHにおける科学技術イノベーション人材育成というタイトルでお話しさせていただくわけなのですが、まず、本校、「探究」ということを特色としておりますので、そのあたりの話をさせていただきます。そして、どういう力をつけたいのか、評価はどうしているのか、さらに、今回、人材育成ということで中学生等にも普及事業をしていますので、そのあたりの話をさせていただきます。さらに、1校で解決できること、できないことということを課題というかたちでお話ししたいと思います。
 話題になるようなポイントを事前の資料で頂きまして、このあたりが私のプレゼンの関わるところかな、ということでお話しさせていただきたいと思います。
 では、「探究基礎」でございます。まず、本校では「探究基礎」という授業がありまして、その授業は用意された答えがない問いに対して正しいと思われる答え、つまり、導き出すということがポイントです。調べ学習との対比でよく言うのですけれども、答えを見つけたら、それで報告したらよいというのが調べ学習とするならば、探究活動というのは、答えがすぐに見つからないことをいろんな証拠を集めて導き出すことで、推論とか論理的な導出があるというものを「探究」と本校では呼んでいます。
 この力をつけるのが「探究基礎」という授業なのですが、先ほどの話とも絡みます。最近、いろんな学校で、小中高でも探究活動ははやっているのですが、これは、研究ではないじゃないかという突っ込みがあるのです。本当の意味で研究ではない、ということは本当によく言われます。ところが、そういうときに、これは、研究といいながらも研究ではないと言われるときには必ずこの質問を返しています。「大学に卒論を課していますよね。卒論はちゃんと研究になっていますか」と。これは2通りです。「いや、うちの研究室ではテーマを与えているので、ちゃんとした研究しか卒論になっていない」という答えもあれば、「確かに卒論というのは、学生が卒業するために論理的な推論や教育課程の一環なので、ある種、新知見が出なくても卒論として認めている」という2通りの答えが今まであります。実は、高校では多分、後者なのです。当人が研究できるようになること、あるいは、研究者としていっぱしのものであるということを証明するために卒論を書かせるわけではないわけです。なぜかというと、将来どんな道に進むか、高校は分からないし、更に小中高、多様なわけです。なので、恐らく、初等、中等で探究活動を児童・生徒にさせるというのは、ある分野の特定の機械を使ったとかということをさせるのではなくて、むしろ「探究」ということの総合的な能力を高めていく、論理的な推論、プレゼンテーションを含めてなんですが、そういったことを高めていくために価値があるのではないかと考えております。
 そういうような普遍的な力をつけるためには、一回探究活動をしたから研究能力が上がるかというと、分野にも偏りがありますし、さらに、経験することも少ないですから、できれば何回も何回もやってほしいと思っているわけです。ところが、授業時間というのがございますので、正規のカリキュラムで何回もやることはできないわけです。じゃあ、生徒にそれを何回も何回も実践してもらうためには何かというと、本人が探究という考え方ややり方、あるいは、実際に楽しく思うことで自分が勝手に探究していくようにしないといけないわけです。探究って楽しいと気づかせることが小中高では恐らくとても大事なことだろうと考えています。
 書いているとおりでありまして、孔子先生も「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」とおっしゃっていますので、探究を楽しむ人材を創っていくというのが恐らく初等・中等での探究活動の大きな目的になるだろうと考えています。
 もしも高校生以下に研究、ちゃんと新知見を出させないといけないという指摘があるならば、少なくとも国会図書館の利用制限を下げる必要があると思います。さらに、教科書の作り方に問題があります。教科書に引用はほとんどないですね。これは生徒が何で引用が書けないのだろうと思ったときに、はたと気づきまして、それは生徒に聞いたのです。こういう書き方ってよく見るじゃないと。新書とかでも最近はちゃんとまっとうなものにはあるのですが、引用の書き方として、括弧誰々、何年みたいな書き方がないわけですが、教科書にだってないじゃないですかと言われて、あ、そうだなと思いました。図表とかにはあるのですが、教科書にないというのは、小中高校生に研究させようという国としてはどうかというふうなことに初めてそこで気づきました。
 なので、とにかくアマチュアを育てようと、正しい意味での愛を持って探究していってほしいなということであります。したがって、再発見でもよいだろうというのが本校の現在のスタンスであります。一時期、SSHを取った頃は、今から十数年前ですけれども、やはり新知見のあるところをやらせなきゃいけないだろうということで、教員がかなり関与しつつ、新知見が出そうな方向に誘導していっていたわけです。そうすると、やはり高校生科学技術チャレンジ(JSEC)等でも賞を結構取れていたのですけれども、そうではないだろうということで、学校の教育方針を変えた途端に非常に受賞率が下がってしまったということはございます。
 それはさて置きまして、どういうことをしているかといいますと、週2時間の授業で、1年半で探究する能力と態度を育成するということで、繰り返しになりますが探究が特徴です。
 指導は主に本校の教員が行っています。これはいろいろなやり方があると思うのですが、教科指導との関連性を非常に強くしたいという思いから教員がやっているということです。実はちょっと手を借りていますけれども、それはまた後ほど説明します。あとは、手法を身につけることが目的ということで、先ほども言いましたが、成果を出すことが目的ではございませんということです。
 授業としてはこのような流れでありまして、「社会と情報」でありますとか、「総合的な学習の時間」をうまく組み合わせて1年半で授業をしております。2年前期の半年間で個人に研究をさせて1人1本の論文を書くということをしています。そのためにはいきなり論文を書けないので、特に理系に限って申し上げると実験の手法とか技法、そういったものを学ぶのが1年後期です。その前に1年前期、ここはちょっとポイントなのですけれども、そもそも研究ってどんなものなのかということです。先日、京都大学の教育学部の学生さんが「探究の型を学ぶ」という1年前期の授業を見学に来られたのですが、そのアンケートをこの間頂きました。これがよく物語っているなと思ったのですが、感想がこういうものでした。「大学ではなぜ研究をするのか、なぜ引用が必要なのかということは当たり前過ぎて習わない。これをしっかり整理するというのは大変よいかと思います。」というような感想を頂きました。まさにそのあたりが狙いでございます。
 そうなると、どうしても研究というのはこういうものだよと伝えるのは、どうしても座学的になってしまいます。そもそも引用ってこういうものだと、これを実践的にやるのは難しいので、まずは探究活動というものに、生徒にワクワクしてもらおうということで、新入生に宿泊研修で半日、まず探究活動をしなさい、そして、宿泊した次の日に発表しなさいということをしています。探究活動を一通りまず体験するという取組をしています。「坂は見た目が9割」というテーマでやらせた例です。坂道を見たときに、急に見えないでしょうか。10%という坂道のときに、えっ、これ10%かよと思うぐらい急に見えることってよくあると思うのですが、本当に人はそういう認知の傾向があるのだろうか、ということを示すデータをそろえなさいということをしました。つまり、こちらから考えると、手持ちの道具で傾きを実測して、あとは印象と比べて相関をとったらオーケーというようなことを想定して生徒に出題したわけです。
 そうすると何が起こるかというと、坂道といいますか、こういうところで角度測定をするわけなのですが、角度測定をどうするかというのを一つ、これがミソなわけです。手持ちの道具でどうやって角度を測るか。角度というからには2本直線が必要で、坂道だけでは駄目なわけです。何が必要かというと、水平、あるいは垂直、鉛直の方向でございます。例えばイヤホンを垂らして鉛直を取ろうとするわけです。これは想定をしておりました。でも、イヤホンジャックだとどこが鉛直か分かりづらいですよね。ところが、次のチームは私もびっくりしました。実際に容器に水を入れて水平を作ってしまうという、これは恐れ入りました。これを違う班がやっているのを見て、お互いに勉強し合うということです。「あ、これ、アイデアだね」と言って工夫をする。巻尺のようなもので長さを測っている写真がありますが、これは何かといいますと、巻尺を持っていった生徒がいるのかと思うかもしれませんが、実は、これは発表用のポスターの模造紙を切って巻尺をみんなで作ったのですね。こういう泥縄、研究には恐らく、実際、こういう泥縄のところが結構ありますので、こういう力も大事なのだよということを伝えつつ座学に入っていくということでございます。
 そして、HOP(1年前期)という期間ではこういうことをやっておるということで、最近、大学でも初年次教育でリサーチ・リテラシーみたいなことをされているところが多いと思いますが、それに近いことをやってあります。実は、研究というのはこういう仮説が必要でということをやってPDCAサイクルだと、まさに仕事とも非常に近いのだよ、なんていうことを話しています。グループディスカッションなどをしたりしながら、論文、レポートを書いて前期は終了ということになります。
 1年後期になりますと、研究はどうしてもある特定の分野、学問分野というのがありますので、ゼミという少人数の分野に生徒の興味に合わせて配属して、そこで研究をしていくということをしています。これは物理ゼミということです。これは文系のゼミであります。社会科学でしょうか、輪読の準備をしているところであります。
 さて、ここで大学研究室には行っていないということを言いましたが、実は、大学院生による指導補助をお願いしています。特にSSHやSGH予算によってティーチングアシスタントという枠がございますので、そこで謝金をお支払いして来ていただいています。これは大変に効果的でありまして、複数の観点があります。1つは、研究指導、最先端の研究というのを教員はなかなか知りませんので、院生がそれを少し紹介してくれますとか、あるいは、ロールモデルというのでしょうか、非常に近い、大学は知っているけれども、大学院を高校生はなかなか知らないので、こんなところだよ、こういう研究をしているんだよ、大学に泊まることもあるよ、そういった情報を伝えてくれるなどフランクに話ができるということがあります。
 あともう一個、実はこういったことから、教職を実際に取ってほかのところに勤めているというような人もいるということで大変頼りになる存在であるということでございます。
 そして、こういったものを行った後、ついに自分で研究テーマを設定するということです。研究テーマを設定するというのが生徒にとっては一番苦労するところでありまして、それを体験するのが一番大事なことだろう。課題設定をするときには、こういう問いだったら解決できるかもとか、ここまで具体化すれば、この問題をやりたいけど、この問題のこの部分だったら解決策が思いつくからこの部分をやろうというふうに、実は解決策が思いつくというのは課題設定に必要になってきますので、非常にハイレベルな能力が要求されます。
 これはなかなかカオスな授業風景でございまして、同じ教室なのですけれども、違うものが机の上に乗っている。それはそうです。個人研究でありまして、このように進んでいます。これはJSECで実際に泥団子の研究をした子です。「泥団子がなぜ球形を保てるのかという研究をしたい」と言いまして、私、ついうっかり「くだらないからやめとけ」と言ってしまったのですが、本人は「どうしてもやりたい」と言って、「じゃあ、やってごらん」と言ったらJSECで賞を取ってInternational Science and Engineering Fair (ISEF)に行ってしまったという、なかなか研究の審美眼は難しいという話ですけれども、こういう生徒がやっています。これは津波の実験をしているのかな。教員と面談をしながら。
 面談がすごく大事でありまして、TAさんや教員、指導者が代わりますので、指導方針というものをいかに教員で、あるいは、TAさんと共有するかがとても大事です。つまり、教え過ぎてしまうことがあり得るわけです。先ほどのとおりで、教え過ぎては絶対にいけない。なので、まず言うことは、教えないでください。生徒は教員とか指導者の頭を使うことにかけては天才的で、「どうしたらいいですか」と聞いてくるのです。それを考えるのがあなたの仕事だと思うのですけれども、「どうしたらいいですか」と聞かれたら、これは魔法の言葉です。「どうしたらいいと思う」とオウム返ししましょうと、まず簡単なルールで指導に当たっています。ただし、全く手がつかないというのは非常に気の毒ですので、何をしているかというと、本の紹介やキーワードの紹介、これを是非お願いしています。つまり、何か研究テーマを聞いて、何をしたいの、何が分かりたいのということを聞きつつ、それね、こういう分野があって、その分野のこと調べてごらんとか、前、読んだ本にこういうことが書いてあったからこの本を調べてごらんというふうな本のインデックス、知識のインデックスは教員、TAが持っていますから、そちらで紹介をするということをしています。
 ゼミ内で輪読など、これはお互いの発表をお互いに聴講するということをして、そして、どの分野も問わずポスター発表を行っています。2年生同士で発表という観点もあるけれども、1年生が2年生の発表を見て、来年どのゼミに行こうかなどを決めたり、あるいは、互いの研究を批判的に検討するということも行い、非常に大事な効果があります。文系の生徒も理系の生徒もごちゃ混ぜにやっていますので、かなり初歩的な質問が出てくるということです。それに対して、友達ですから答えたいというモチベーションがあるわけです。なので、何とか自分の、全く共通の認識を持たない分野に関して自分の言葉でしゃべっていくということが一つ、非常に訓練されるような場所であります。
 最後、論文を書いて終わりますということですが、ここまで話すとよく聞かれることが、個人研究でいいのと、チームワークが大事と最近言われているからチームワーク醸成というのはどうしているのですかということがあるので。まずは本校では探究基礎においては、探究活動というか、先ほど言ったように、研究というのは仕事に似ている部分があります。まず、どの分野をやるか、経営判断みたいなものですね。そして、どういうふうに実際に実験器具がなければ自分で作ることも含めて、研究開発の一つですね。そして、最後、こんな成果が出ました、営業をするみたいなことですね。全部入っています。なので、大体どういうことかと全貌を知ることが大事で、その全貌を知らせるために一人一人でやらせています。議論の機会やチームワークを組む機会というのは、もちろん学校は探究学習だけではないですので、ほかの場所でもやっていますので、探究活動においてはそういったことでやっているということでございます。
 そして、論文集は実は作成しておりません。生徒の論文というのは、先ほども言ったとおり、新知見が出るわけではありませんので、論文集はデータで過去のものを見られるようにしておく程度です。むしろ、よく何々大学合格体験記というのがあって、生徒はそれが結構大好きでありまして、先輩がどういうふうに勉強したかというのは受験生にとっては結構大事な情報なのですね。それと同じように、先輩がどのように探究したかということを知るということは大事かなと思いまして、その振り返りを共有しています。論文には結論までの一本道で書けという指導をしています。つまり、得たことを全部書きなさいというよりは、最後、この結論を言うために必要なデータをしっかり書きなさいというふうにやっているのですが、それをすると、失敗したことが載らないのですね。実は、研究は失敗の方が案外大事で、これを失敗したからこうしてという、一番大事な失敗な部分が載らないので、こういう失敗がある中で、そこからどう乗り越えたかとか、どういうふうにアイデアを変えたかというのをシェアしているというのがこの体験記ということでございます。
 つけたい力と評価ということで、探究基礎でつけたいと思っている力は、長い目で見たときと短い視点で見たときと何種類かあると思うのですが、まず、長い方から説明いたします。人生という長いスパンの中でこんな力をつけてほしいということで言うと、もちろん、知りたいと思う力でありますとか、ちょっと思いどおりにならなくても何とかしていくようなことは、探究していくと幾らでもありますから、そういった力をつけてほしいのですが、結構大事なのは、最後の「分からないことに耐える力」ということでございまして、生徒はすぐ答えを欲しがるというのが最近の傾向でありますので、まず、自分が分かろうと思っても分からないまま研究をしていかないといけない。そして、最後に、自分がどんなに頑張ってやったとしても、しょせん自分が調査した範囲内のことでしか分かっていないということで、それは常に仮説である。特に科学の場合は、最終的には全て仮説といいますか、新しい実験結果が出れば全て引っくり返るということがありますので、常に仮説であるのだけれども、その仮説に基づいていろんな応用をしていく。つまり、応用でつまずいたら仮説に戻るというか、理論に元々に戻るということもここで分かってほしいなと思っています。
 次です。さらに、もう少し中期的な視野で言いますと、先ほども言いましたとおり、研究というのは仕事によく似ていますので、こういった力がつけばいいなというふうに考えているということでございます。
 さらに、PDCAサイクルという仕事の進め方以外にもいろいろなことがあります。これは保護者とかに大変に受けがいいです。中学校向けの説明会とか保護者の方に説明するときに、「探究なんかやって受験、大丈夫ですか」と言って、「いや、お子さんは受験の後も人生続きますよ」と言ってこういう話をすると、大変納得していただけます。
 最後に、これは教員的な視点といいますか、非常に短い視点ですけれども、まずは、先ほど微積分、微分方程式を解かせるとかということがありましたけれども、まずは、既に習っていることを実際に使うのだということです。驚いたのが、私は地学でよく指導するわけですけれども、「三角関数って本当に使うのですね」と言う生徒がいたということです。確かに、日常生活で三角関数は使わないのでそうなのですが、そこの感覚が分かってくるだけでもやった価値があるかなと思っています。さらに、「三角関数、実際の勉強で何か変わったことがある?」と言ったら、「数学の模試程度の式変形にはびっくりしなくなりました」と。実際に、自分のやりたい研究というのは複雑怪奇なものを無理やり数学でやっていますから、結構、式変形とか膨大になったりするわけです。それに比べたら、数学の問題は解けるように作ってあるから楽ですねと。これはやった方としては、特に高校教員としては大変ありがたい気づきでありますということです。
 さらに、予習も実はしてくれていまして、こういうことをやるには、先ほどの泥団子が割れようとする力というのは、どうしても積分しないと出ないわけで、3年生でやることを3年生の教科書だけ渡して、「じゃあ、これで予習してきて」と言ったら、次の週にはしっかり予習してきてちゃんと計算していましたので、自分のモチベーションですから、具体的なやりたい、これを明らかにしたいということがあって、道具としての数学というふうに学べば、これは非常に習得がスピーディであるということになるかなと考えています。
 そして、キャリア的な観点で言いますと、ゼミというものを選択すると、特に、ちょうど進路選択というのがありまして、進路選択をいつするかというのはいろいろな意味で問題があると思うのですが、ひとまずは1年の秋に本校では進路選択をさせております。そこでは単に自分は数学が得意だから、何々が苦手だからということではなくて、ゼミ選択という、やりたいこととの兼ね合いを常に考えさせることができるので、自分がどのゼミに行きたいかということを考えるときに自分が将来行きたい大学、あるいは、したい仕事ということを意識させながらゼミ選択もさせているので、ちょうどそれが進路選択の文理というのと意識を合わせているので、よい影響を与えているかなと考えています。
 先ほど言いました体験記集でございます。ちなみに、体験記集には「文章としてわかりやすく書き表すのは困難である」、「要約する力を身につけられた」、「周囲から自分の思い込みを指摘してもらえた」、「第三者の視点で見直すことの大事さに気づいた」などの言葉が出ています。当たり前のことなのですが、これに気づくというのが大事なのかなと思っています。さらに、ネットに関する信頼性ということも気づきますし、あとは、これは自分自身も学生時代に困ったことなのですが、文献を引っ散らかしてしまって、後で引用するときに困るということです。それを先に実感できておくのはよいかなと思っています。あとは、これもよく言われることなのですが、表現するときに初めて自分が分かるようになっていくであるとか、第三者の視点で見直すことが大事とかということが、発表して初めて、あ、相手に伝わるなということでこれが分かるということがあるということです。
 こういった力が本当についたのかどうかというのは、今、体験記という振り返りで評価していたわけなのですけれども、更に新たな評価として、実際、生徒が本当に主体的に学ぼうとする意欲はついているのかとか、主体的な学習態度が身についているのかということを評価するために、今年度から新たに始めた取組として、よく大学であるような自主ゼミとか、あるいは、これはSGHに絡むのですが、自分たちで何か社会に対する関わりをつくっていこうというようなプロジェクトチームみたいなものを生徒に立ち上げさせようとしています。活動資金といってもそんなにはないのですけれども、活動場所と、あとは何かどこかに行くなら、そして理屈が立てば本ぐらい買ってあげるよ、交通費を出してあげるよというようなことを生徒に言っています。学校のお金や、あとは、理由がつく範囲でいえばSSHのお金を使いつつ、そのことをやっていこうと考えています。今、バイオロジーゼミという、生物のキャンベルの本を読むという輪読ゼミが立ち上がっているところであります。
 では、こういった校内的なというか、今の生徒の評価だけではなくて、実際にSSH、本校は14年目に入りましたので、去年がちょうど3期目の指定の終わりでしたので、3期分の総決算ということで、卒業生に、SSH以前の生徒も含めて13年間分の生徒にアンケートをとろうということでアンケートを実施しました。
 データは細かく載っています。この場では全部説明しませんが、気になるところがあったら御説明します。
 SSH以前の生徒と前期の生徒と後期の生徒といいますか、何段階かに分けて一応、掲載はしています。
 まず、大学への進学率なのですが、これはほぼ100%でありまして、今、10~13期生と書いてある一昨年度の卒業生が入っていて、浪人生もいるのでちょっと低くなっていますが、恐らくこれも100%近くになっていくだろうと考えています。
 次です。修士課程への進学率ですが、これは全国標本しか比べるものがないので、全国標本と比べるのが適切かどうかは分かりませんが、修士課程の進学率は、1~4というSSHが入っていない時期に対して、SSHが入った直後の生徒からそれ以降の生徒というと、ちょっぴり増えたかなというところであります。博士課程はどうかというと、こうなっています。修士に行った学生の中の博士課程に進学した学生ですけれども、倍近くにはなっています。網かけになっているのは予定者も含むという意味であります。
 就職している生徒もいますので、就職先を見てみると、配布資料50ページの表です。なかなか、これがどうだとは言えないのですが、1~4はSSH以前と思っていただいて、5~9はSSH以後と思ってください。例えば、医療、福祉がちょっと増えていたりとか、金融業がちょっと増えていたりするということはあります。
 留学経験は、実は、標本調査と比べてもそんなに高いというわけではないのです。
 さらに、堀川高校の取組の評価ということで、こういうことを今思うときに、それに影響を与えた高校の取組は何だと思いますかという質問をしました。総合的な学習の時間というのが探究の時間というふうに読みかえていただければいいのですが、こういうのは探究の時間が圧倒的です。そして質問とか議論とか人とのコミュニケーションというのも探究の授業がより影響を与えているというふうに卒業生は認識しています。あとはもちろん、いろんな生徒会的な活動であるとか、生徒間の自主活動、学校行事、クラスでどんな劇をやるかなどということを話し合うのにも影響を受けるということが分かります。あとは、説得力を高めるための論証とか技術ということであるとか、問題解決のための手だてを考えだすということも探究が非常に圧倒的であるということですね。もちろん、学科の全ての取組の中で聞いているわけですので、探究が出やすい項目であるかなとは考えています。科学的センスについても、理科の授業と拮抗するぐらい探究の授業というのは役立っているというふうに考えているところであります。
 次ですが、配布資料には載せていなかったのですが、科学や政策に関するアンケートということで、科学技術と社会に関する世論調査というのが内閣府の調査で行われていまして、それと比較できるような項目を2個だけ入れて、あとは本校独自の項目で聞きました。「科学技術のニュースや話題について関心がありますか」というものについて、薄い青色で書いているのが全国調査であります。「ある程度関心がある」まで含めると、本校の生徒は比較的関心が高い、平均よりは関心が高いと言えるだろう。そして、「科学者や科学技術者に対する身近や親しみ」で考えても、全国平均よりも多分かなり親しみを感じているというところであります。あと、本校独自の項目として、直接すぐ役に立つような研究ではなくて、「基礎研究も大事だと思うか」ということに対する項目が3つ目であります。これは全国調査ではやっていない項目なので、本校独自のもので、「そう思う」「どちらかというとそう思う」、基礎研究の理解も非常にしている。むしろ「そう思う」の方が「どちらかというとそう思う」よりも数が多いですので、理学部の素粒子とか宇宙物理とかやっている人からすると、涙が出るような結果だと思うのですけれども。実際、基礎研究に進む生徒がうちの学校は多くて、女の子でも今、素粒子をやっていますとか、天文のアルマ望遠鏡ですか、チリでそれをやっていますという子もいたりします。
 あと、「専門家でない人であっても原理を知るべきか」、例えば、携帯電話やそういう技術的なものの原理を知るべきか、ということについての答えと、あと、最後は、一方で政策、政治についてはどうかということを対比のために聞きました。そうすると、実は面白いことに、科学にはすごく興味があったり、基礎研究大事と思っているわりにはあまり政策に興味を持っていないという、これは非常によろしくないなと思っています。
 普及事業としては、幾つか教員対象のものとして、例えば探究道場というものをやっていまして、中学生向けに探究する特別講義みたいなことをやっています。同じように、答えを明示せずにやっているのですが、ポイントは、生徒が支援に入っているのです。要は、本校の教員が本校の生徒に対して答えを教えないように指導しようということはもちろんやっているわけなのですが、生徒にもそれを伝えて、中学生に対して支援するのだけど、答えを言ったらいけないよとか、質問に来られたら、まず彼らに仮説を考えさせるのだよということを言って指導に入らせています。これは本校を貫く非常に重要な仮説がありまして、我々が頭を使っていること、我々が心を砕いていることを生徒にやらせれば大概のことはうまくいくという仮説が本校にはありまして、教えるというのが一番勉強になるだろうということで教えさせているということは一つの例として挙げられています。これは一番ブロックの幅を積み上げていって、へりから一番遠くまでどれぐらい行かせるかというのをやらせているところです。これはパターンがいろいろあるので、答えというのはないのですけれども、いろいろ工夫してみました。参加者も手を動かしたりするのは大事だなとか、一緒に話したりするのは大事だなということの感想が得られましたということでございます。
 課題ですけれども、各校の工夫でできることは、本校でも工夫してやっていっているわけですけれども、問題は制度です。1つには、探究の指導をするというのは、実は探究指導の経験がない教員にとっては結構困難だと感じることが多いらしくて、先ほどの発表でもすごく気になったのが、インターネットを通じてでもどういうふうに指導しているのかということです。自分が専門でないことについて、専門というのは幅が狭いですので、生徒が興味を持っていることに詳しくない。教えられないじゃないかと思ってしまうのですね。教えるのではなくて支援するということで言うと、自分が研究している経験というのがあると、比較的そのあたりがピンと来るといいますか、もちろん、博士課程のときに修士の学生に対してアドバイスする経験もあるからかもしれませんが、そういったところがある。なので、1つ大事なことがあって、特別免許という制度がありまして、平成14年が奇しくもSSHの最初の年度なのですけれども、ちょうどそれから一気に増えております。特に、京都市や京都府では、免許がなくても採用試験を受けることができて、後から特別免許を出しますという制度があります。そうやって少しそういうふうに使われています。大事なことは、研究指導であって実験指導ではないということです。あくまでも研究指導の経験や理論を持っている教員が多分これからも必要になってくるだろうということです。例えば、生徒は1年生の段階では仮定と仮説の区別もつかないのですね。モデルとかという言葉も分かりませんし、研究のために使う語というものは、しっかり学ぶ経験が多分少ないのですね。なので、そういったことも踏まえて、研究指導であって実験指導ではないということをちゃんと理解していて、そういう言葉を使って指導できる教員が大事であろうと思います。
 もしかすると、探究指導の免許というのですか、教科「探究」というのがあっても良いのではないかとも思うのですけれども、ただし、それは専門研究の進め方ではなくて、やはり何度も言ったように、教育実習に来て、ちょっと生徒に対して質問に答えてね、というような程度でもいいと思っているのですが、探究という指導に対する教職の課程も必要なのではないかと考えています。さらに、博士号の取得者もどんどん教育分野に入ってきてほしいなと思っているのですが、大事なことは、自分はこれを専門にしているのでこれしかできませんという人は、やはり駄目だと思うのですね。大事なことは、自分は問題解決のプロであるという意識を持っていただければ、どんどん教育業界に来ていただいて、知識、技能を活用した研究ができるのであれば、研究というプロセスを活用したら、多くの問題に対応できるのではないかと考えています。そういった視点を持った学位取得者にどんどん教育に入ってきていただきたいと思っています。
 最後、もう一個です。入試ですが、大学入試に関して言うと、もう少し工夫が必要なのではないかと考えています。よく言われるのは、知識ばかり問われるから困るとかいうことではなくて、そもそも学習指導要領にはこう書いてあるのですよね。理科の目標に「目的意識を持って観察・実験などを行い、科学的に探究する能力や態度を育てる」と書いてあるのですが、それが育っているかどうかを見ていただけるような大学入試になっているかというところであります。目的意識とは何かというと、仮説なのです。なので、仮説を立てられるかとか、あとは、ある実験結果に対して、立てられた結論に対して、それに対して反論してみたりとか、あるいは、こういうことを知りたかったらどういう実験が必要かということを問うような入試というのが考えられないかなと考えております。
 本校ではちょっと頑張ってやってみているのですけれども、一昨年に中学生向けに出した入試問題です。ごく単純な問題です。イタリアの根元に星印がありまして、そこは実は低気圧なのですが、風向きから推測しなさいということなのですけれども、つまり、根拠となり得ることというのは風向きです。かつ、ここが北半球であることというのがポイントなのですが、そういった2つの根拠から導くということをしっかり論じさせるということをしています。恐らくほかの問題でも、A君はこういう仮説を立てたが、そのA君に反論しなさいというような問題を出すようにしております。
 ということで、まとめます。まず、研究させるという経験を積ませているのですけれども、あとは、それらの成果として、全国平均との差なので意味があるかどうかは別として、差は確認できましたということです。さらに、普及事業に生徒を関わらせることで、普及プラス生徒の育成という二重の効果を狙っております。最後、課題のんですけれども、免許や教職の課程などにも改善点があるのではないか。あと、大学入試も今、変わりつつあるところではあると思うのですが、仮説や実験計画といったところを通ってくれるような試験があり得るのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
【塚本主査】  どうもありがとうございました。それでは、あと15分ですが、意見交換、御質問がございましたら、お願いいたします。どなたからでも結構です。
【隅田委員】  ちょっとじゃあ。教科書の引用の話で、教科書は執筆者もあって、一応、著作権は全部あるのだけれども、海外の授業を見に行ったら、資料で文献とか論文を読ませているような授業って結構あるのですけれども、日本で余り見ないのです。私、前回の会議のときにちょっと提案したのは、理科の先生が学会とかに入る支援をしてあげたらいいのではないかと思っていまして、大学、企業、社会もいいのですが、学会とかと連携して授業を作ると、地震とかがあったら、地震に関するその地域の文献とかをデータで使ったらいいと思うのです。そういうのだと引用もかなり分かるのではないかなというのがあります。
 それと、体験記録で出てきた、資料はちゃんととっておこうとか、それは重要なことなのですが、高校生のSSHの子で今、気づくのかというか、もっとこういうのはしっかり、幼い時期からこういうことは押さえていった方がいいのではないかという印象を受けました。
 3点目は、生徒相手のアンケートの結果で、総合的な学習がいいのは分かるのですが、逆に気になったのは、教科の授業とのギャップがすごくあって、多分ある程度何かをきちんと習得させるところと、それをうまく使うところと両輪で行っているとは思うのですが、そこら辺をどうされているのかというのがちょっと、このギャップのデータを見て質問です。
【飯澤委員】  では、初めのところで言いますと、授業で論文を使うということは本当に大事なところだと思うのですね。ただ、高いのです。生徒も論文を欲しがるのですよ、この分野の論文。サイトにあって、今、文献情報には非常にアクセスが容易になりました。しかし、有料なのですよね。それをどうするかというのが多分ありまして、無料のものも結構ありますので、そのあたりを教員が使うときにはそれを選んで使っている。実際に、実験、理科の授業でも論文を配っているというのは取り組んでいるところではありますが、情報アクセスにはかなり課題が残っていると思います。
 次に、文献についてでしたでしょうか。
【隅田委員】  体験記集の話で出てきたのですね。実験内容を全て自分で考える必要があるから大変だったとか、時間がなくなってしまったとか、そういうのはもっと幼い時期からできることかなと思って、先生の学校の問題ではないと思うのですが、SSH校で先端的にされているところでもこういうのが出てくるのだったら、もっときちんと中学校、小学校からでも押さえていいことかなと思ったので、それはコメントです。
【飯澤委員】  私も全く同感であります。実験レポート、中学校で書くレポートというのはまた少し様子が違うといいますか、理科のレポートで参考文献まで当たるとかということが中学校であまり経験がないのですね。実験結果をまとめて、自分なりの考えをまとめて出す。考察というのは本来、例えば、普通単純に考えたらこうだけど、この実験結果はそれでは説明できないという、ちょっと過去のモデルとの比較というのが多分、考察には必要かなと思うのですけれども、そういったところが中学校の理科の授業ではなかなかできていないのかなというのは実際、私もそう思います。
 最後なのですけれども、通常の授業との関連というのが、最近、本校で研究発表会、SSHの報告会とかをしますと、全国の先生方は、もはや探究よりも教科への関連に非常に興味が集まっていて、教科の授業はどうなってますかとすごく聞かれるのですね。二、三年前からずっと、「今取り組んでいるところでございます」というのがテンプレートなのですけれども、1つには、最近、アクティブラーニングという言葉がはやっていますが、生徒に議論をさせるというのができるのかなと思っております。探究で培った議論する力とか論証する力というのを生かすと、例えば、進化論と創造論、神様が作った論というのを実際に意見を戦わせてみる、あるいは、教員が既に破れた、例えば、天動説立場に立って地動説を納得させてみろということをやってみると、実は結構勝ちます。なので、ただ、それはすごく生徒には一生懸命言うのですけれども、それはこう考えたら説明できるねというやり取りをする中で、生徒は天動説に勝つつもりで地動説を一生懸命主張すると、実は、今の天文のモデルが身につくということができたりするわけです。なので、なるべく立場やモデルというものを意識させながら生徒に議論させるというのが、1つ、探究基礎をやってきた生徒に対して非常にやりやすいアクティブラーニングの形かなというのが今、研究をしているところであります。
【隅田委員】  そういうのをしていると、例えば、ここで出てくる、人に質問したり対話をしたり議論をうまくするという教科の授業のところが上がる予定だということですか。
【飯澤委員】  そうです。
【隅田委員】  分かりました。
【塚本主査】  ほかはいかがでしょうか。
【千葉主査代理】  この分からないことに耐える力をどのようにして与えていらっしゃるのですか。
【飯澤委員】  まず、1つパターン的に言いますと、「これ分からないのですけど」ということについて、自分でまず考えさせるということです。答えをすぐ与えないということで耐えさせようと考えています。あとは、実は、教員がもう少し手を加えたら、もっと研究が進むのだろうなという事例は結構あるのです。そういう生徒の感想を見ると、まだ全然やり足りない、自分の結論は出したものの、分からないところが多いのでそれは将来、大学に行ってやってみたいと思うとか、また機会があったら考えたいと思うようなことを感想で出ているわけなのです。つまり、自分が課題に取り組んで、もう少し支援すれば本人にとってはもうちょっと分かりきったという感覚になるかもしれないのですけれども、そこを与えないようにしているということでその力が育てられないかなと考えているところであります。
【塚本主査】  ありがとうございました。きょうの議論を通じて、全体でほかに何か御意見ございますか。
【千葉主査代理】  1点だけ身近なロールモデルって非常に大切だと思うのですが、逆に身近ではない成功したベテランですばらしい方に、ほかの教員も入らないから、とにかく学生だけに、御自分の経験でどのようにして男性に打ち勝ってきたかとか、本当のところを話してくださいよ、みたいな感じで学生との懇談をお願いしたら、ものすごく学生が喜んで、すごくインパクトがあった感じなので、輝く方にも本音を話していただければときっとすごく生徒たちも影響を受けることがあるのかなと、その1点だけお伝えしたいなと思いました。
【髙城科学技術振興機構主任アナリスト】  ありがとうございます。
【塚本主査】  ほかにいかがですか。
 探究というのはSSHだったらみんなある学科なのですか。それとも、先生のところだけ独自にある学科なのですか。
【飯澤委員】  恐らくスーパーサイエンスハイスクール事業はいろんなところで取り組んでいると思うのですけれども、本校はSSHを始める前から探究という授業を作っていまして、平成11年かな、その中で当時は理科系の実験計画も理科系の教員も余りそういうことをやるという意識はなかったものですから、理系の生徒が理系のことができないじゃないかという不満が上がったのですね。3年間過ぎた後にSSHという指定が始まったので、じゃあ、その理系のことをやるための機材、あとは人材を集めようということでSSHが始まって、探究という授業の中で理科的なこともやるようになったというのが流れであります。
【塚本主査】  探究、用意された答えがない問いに対して正しいと思われる答えを導き出す、会社でも社会でも必ず、毎回、毎回遭遇することですので、大変興味深いと思って拝聴していました。ありがとうございました。
 何か御意見ございましたら、せっかくの機会ですので。
【大島委員】  質問です。2つある、ゼミ選択の話をされていましたが、ゼミ選択はSSHの生徒さんなのでしょうか。どのような生徒がこのゼミを希望、選択するのがよく分かりませんでした。アンケートを非常に興味深く見せていただきました。御説明の中では、卒業生全員とのことですが、探究活動も全員がやっているでしょうか。
 SSHとSGHの学生の違いがよく分からなかったです。こちらSGHも採択されているということで、SSH、SGHのプログラムの違いが、例えばこの探究活動に際して後のような影響を与えていて、それがアンケートにどういうふうに反映されているかというのは、よくフォローし切れていなかったようですが。
【飯澤委員】  申し訳ございません。まず、ゼミについて御説明申し上げます。ゼミというのは10人ぐらいの少人数講座なのですけれども、実は、本校はSSHコースというのがあるわけではなくて、全員の生徒にSSHに関わる取組をしているということであります。何かというと、分かれるときに探究基礎という授業は全生徒が受講するので、それが2クラスですので80人が2時間の授業を受けます。それが大体8ゼミから9ゼミぐらいありますので、大体10人の生徒がゼミという小集団を作って、それがジャンルに分かれているのでそこに担当の教員が入るということであります。
【大島委員】  なるほど。じゃあ、これは全校生徒ですね。
【飯澤委員】  全校生徒です。なので、SSHが全生徒対象ということで、その中で言うと、言語力育成であるとか、あとは、プレゼンテーションの能力とかそういったことと、あとは、本校のSSHはちょっと変わっていまして、教員がどのように研究指導を共有するかというのを研究テーマに掲げていまして、高校におけるこれからの課題研究というのは、理科課題研究という科目もありますので、課題研究はこれから広がっていくだろう。そのときに一体どういうところをポイントに理科の課題研究をしていけばいいのか、高校教員って本当に分からないのですよね。そこのあたりを何とかノウハウ化できないかということで、実は生徒に指導するときには、論文よりは体験記集の方を、こういう成果があるよということを研究してきたのがSSHの研究なのです。したがいまして、全学ですというのが答えです。
 最後、SGHについては、実は昨年度から始まりましたので、SGHの取組のデータはまだ資料は出ておりません。SSHと非SSHを比較する場合は、卒業年度で変わります。一番初めの平成14年度まではSSHがなかったですので、その生徒はSSHがなかったときの生徒の結果が出ているということで見ていただければ結構かなと思います。丸1 です。
【大島委員】  丸1 ですか。5期生から13期生はSSH。
【飯澤委員】  SSHがどっぷり入っているということで御理解いただければ。
【大島委員】  今後はSSHは一旦終わって、これからSGHになるということですか。
【飯澤委員】  SSHもまだ継続しています。第3期の指定が去年終わって、今年から第4期の指定、1年目ということになっています。
【塚本主査】  どうもありがとうございます。
 本日は貴重な御意見を頂き、また、いろいろプレゼンテーションを頂きましてどうもありがとうございました。本日頂いた御意見につきましては、事務局で整理していただきまして、今後の議論に生かしていきたいと思います。
 それでは最後に、事務局より御連絡があればお願いいたします。
○事務局より資料4に基づいて今後のスケジュールについて説明。
【塚本主査】  どうもありがとうございました。繰り返しですが、お忙しい中、プレゼンテーションを頂きましてどうもありがとうございました。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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