資料1 次世代人材育成検討作業部会における調査検討状況について(素案)

次世代人材育成検討作業部会における調査検討状況について(素案)

 
1 はじめに

検討の背景

・ 科学技術・学術審議会 人材委員会は、本年1月に、科学技術イノベーション人材の育成に必要な施策の在り方について、基本的な考え方、個別課題の内容及び今後の施策の方向性について提言を取りまとめた。

・ 多様かつ優れた科学技術イノベーション人材を持続的に輩出するためには、優れた次世代の人材を育成するとともに、科学技術イノベーション人材の裾野を拡大することが必要。

・ 今後の科学技術イノベーション人材には、例えば、以下のような資質・能力が期待される。
   ・ 他者と協働する能力
   ・ 国際的なネットワーク
   ・ 他の領域と交差した研究を行える思考力

・このような資質・能力を育み、また、幅広い知識や、主体的に課題を設定する能力、コミュニケーション能力などを課題研究を通じて育むため、これまでスーパーサイエンスハイスクールなどの取組を実施してきた。

・一方、初等中等教育の教育課程の基準となる学習指導要領は、時代の変化や子供たちの実態、社会の要請等を踏まえて見直されてきた。平成20年・21年の前回の改訂では、「基礎的な知識及び技能」、「これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力」及び「主体的に学習に取り組む態度」の、いわゆる学力の三要素から構成される「確かな学力」をバランス良く育てることを目指し、言語活動や各教科等における探究的な学習活動等を重視することとされた。

・ 我が国の子供たちについては、判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べることについて課題が指摘されていること等も踏まえ、以下の課題についての対応策を検討していくため、人材委員会に次世代人材育成検討作業部会が設置された。

・ 異能、異才の者をユニークな人材として評価するなど、教育の中で、個人を尊重し、一人一人の才能を引き出して最大限に伸ばし、評価していく意識、仕組みへの転換も必要

・ 科学技術イノベーション人材を持続的に輩出する必要があるにも関わらず、「理科を好きである」と答える児童生徒の割合が、年齢が高くなるにつれて減少しているなど、科学技術に対する興味・関心を喚起する必要がある。特に、自然科学系の学部・大学院に在学する女子の割合が低いなど、女子の理系への関心の喚起が急務

 


2 意欲と能力のある児童生徒への支援

・ 国は、カリキュラムの開発等を中心としたスーパーサイエンスハイスクール(SSH)、個々の生徒の資質を伸ばすグローバルサイエンスキャンパス(GSC)などの支援を実施し、課題研究を中心とした人材育成を推進してきている。

・ 学校単位で指定を受けるSSH事業により、多くの生徒の理科・数学・科学技術への関心を喚起し、さらに、生徒が個人として参加するGSC事業により、特に意欲と能力のある生徒を育成している。

・ 各SSHにおいては、将来の国際的な科学技術系人材の育成を図るため、理科・数学に重点を置いたカリキュラムの開発や大学等との連携による先進的な理数系教育を実施している。

・ SSH支援事業は平成14年度から開始され、SSHの取組により、科学技術に対する生徒の関心や理系への進学率が高まる等の成果が見られる。また、SSHに在籍する生徒や卒業生が科学技術のコンテストで受賞するなど、個々の生徒・卒業生の活躍も見られる。

・ 平成25年度から、SSHに、新規の研究仮説の設定を必須とせず、実践的な研究開発を行う「実践型」の類型が設けられた。

・ このように、事業開始時と比べて多様な学校が多様な取組を展開するなど、SSHの性格が徐々に変容してきている。

・ そのため、まず、SSH事業において優れた科学技術イノベーション人材を十分に育成・確保できているかどうかを検証する必要がある。各SSH校を通じて、SSHの在校生のIntel ISEF等の国際科学コンテストへの参加状況、卒業生の大学・大学院への進学の状況や就職の状況の把握し、SSHが、さらに優れた科学技術人材の育成・確保を行うよう、SSH事業の改善に努めるべき。
 

・ 具体的には、例えば、特に意欲・能力の高い人材を育成する学校と科学技術イノベーション人材の裾野の拡大を中心とした学校というように類型化して多様な学校による多様な取組に応じて支援を行うといった改善を行うべきではないか。
 

・ さらに、SSHの在校生・卒業生の活躍状況についても分析できるよう、課題研究を行う生徒のデータベースの構築を進めるべき。

・ SSHの指定校数の増加とともに、取組が多様になってきている。真に優れた科学技術イノベーション人材の育成に資するよう、必要に応じて他の事業の活用も促すべき。
 

・ グローバルサイエンスキャンパス(GSC)事業は平成26年度に創設され、平成27年度現在、13大学において取組が実施されている。この事業は、特に意欲と能力のある高校生に気づきや幅広い視野を与えるものであり、この取組を広めるべき。

・ その際には、高校生の指導方法・評価のグッドプラクティスの共有等をすべき。
 

・ SSHやGSCのほかにも、国は、大学等の機関と連携し、課題研究を担当する教員の指導力の向上を支援することが必要。


3 科学技術に対する女子の興味関心の喚起
 

・ 国・JSTは、大学・独法等が、女子中高生に女性研究者等と交流させることにより、ロールモデルを示し、理系進路選択を支援する「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」を平成18年度から実施している。

・ これまでの事業によって、理系進学に迷う、あるいは理系に関心が高いが将来の進路のイメージを抱けない女子中高生が、進路のイメージを持つことができた。

・ しかし、依然として自然科学系の学部の女子の割合が3割程度、特に工学系は1割程度であるなど、女子の理系に対する関心が十分とは言えない。

・ これまでの事業の実施を踏まえて、どのような児童生徒を対象にどのようなアプローチをすることが有効か等について、事例集を作成する等の方法により、普及を図るべき。

・ 男女の役割についての無意識の固定観念や、理数系教科への自信のなさから、理系の進学を考えず、自らの進路を狭めていることもある。

・ このため、女性の理系人材が中学校・高等学校等を訪問して女子中高生にロールモデルを示すような取組を支援することが望まれる。

・ その際には、企業の協力を得て、親近感のわく、多様なロールモデルを女子中高生に示せるようなことが望まれる。

・ また、女子中高生の進路の選択に影響を与える保護者や教員が、理系人材のキャリアパスについて正確な知識を持っていない場合がある。女子中高生本人のみならず、保護者・教員も含めて、理系人材のキャリアパスについて知識を持ってもらうような取組を推進することが必要。

 
4 今後の検討課題

・ 科学技術人材育成の取組を踏まえ、科学教育について研究をし、普及・展開することが必要。

・ JSTは、科学教育の研究をする大学とのネットワークを強化し、これらの機関において培われた研究成果を、事業の推進に役立てる必要がある。

・ 科学技術人材育成の評価の在り方について検討することが必要。
 

 

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